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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

曳田 卓 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 東アジア文化都市開催を契機とした海外との交流の拡大について
2 サイクルツーリズムの推進について
3 AOI−PARCの取組の成果について
4 新興・再興感染症対策業務におけるICTの活用について
5 ひとり親家庭に対する支援について
6 中小企業者のコロナ関連融資の返済支援について


○副議長(鈴木澄美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により六十七番 曳田 卓君。
       (六十七番 曳田 卓君登壇 拍手)
○六十七番(曳田 卓君) 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として通告に従い県政の諸課題について知事、副知事及び関係部局長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、東アジア文化都市開催を契機とした海外との交流の拡大についてお伺いをいたします。
 去る五月二日に静岡市内で東アジア文化都市二〇二三静岡県春の式典が盛大に開催されました。式典ではSPACによる特別公演「天守物語」が披露されたほか、本県と共に開催都市となった韓国の全州市から民俗芸能団体のハプグッマウルが参加して全州旗接遊びを演じ、中国の成都市と梅州市は伝統芸能を映像で放映するなど各国の多様な文化芸術を通じた交流が本格的にスタートいたしました。
 今後も十二月に予定されている秋の式典のほかオペラコンクールや国際シンポジウムの開催、高等学校の相互訪問など一年を通じて集中的に様々な事業が展開されます。これらにより県民が自らの地域の文化を再発見し表現者として様々な形で文化活動に親しむことで創造的な地域社会が築かれるとともに、国内、東アジア域内の相互理解と連帯感の形成を促進し多様な価値観を認め合う環境が育まれることが期待されます。
 これに加え県は、東アジア文化都市二〇二三静岡県の開催を通じて本県の観光価値を向上しインバウンドを拡大すること、国際競争力を強化していくことも目的としています。今回の東アジア文化都市の開催都市はいずれも経済が発展している地域にあり、特に中国の成都市はパンダのふるさととして有名で人口が中国で四番目に多く二千万人を超え域内総生産は国内七番目と極めて経済力が高い都市です。これらの地域との交流を積極的に進めていくことは本県の国際競争力を強化し、特に観光面においては現在回復途上である本県への訪日旅行をコロナ前の水準まで引き上げさらに拡大させることにもつながり、本県の発展に大きく寄与するものであると思っております。
 以上から、東アジア文化都市の開催で生まれた新たな文化交流の芽を大きく育てていくため東アジア文化都市が終了した後も継続して海外との交流の拡大に取り組んでいくことが重要であると考えますが、県の考えをお伺いをいたします。
 次に、サイクルツーリズムの推進についてお伺いをいたします。
 東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の開催を契機に県では国内外のサイクリストを引きつけるサイクルスポーツの聖地とすることを目指しています。コロナ禍によりオリンピック・パラリンピック開催後のサイクルツーリズムに対する盛り上がりは県の想定どおりとはいかなかったと思いますが、先月八日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが引き下げられたことで反転攻勢のチャンスが到来しています。
 先月、県内初開催となるサイクリングイベントエロイカジャパン二〇二三が伊豆を舞台に二日間にわたって開催をされました。ちなみにエロイカとはイタリア語のバイスエロイカからきており古きよき自転車という意味です。
 一九五〇年から進んだイタリア全土の工業化によって一九九〇年代のトスカーナ地方の小さな村が大きく疲弊しました。工業化によって農村のにぎわいは失われ過疎化が進行し豊かな田園の風景は消滅しようとしていました。この変わってゆく故郷の姿に胸を痛め何とかしなければと立ち上がったスポーツジャーナリストのジャンカルロ・ブロッジは、まだトスカーナに残されていた未舗装道路の白い道をバイスエロイカで走ろうというサイクリングイベントを考え出しました。
 その後、二〇一三年にイタリア以外では初めて日本でエロイカジャパンとして開催され新たなステージとして伊豆半島が選ばれました。今後三年間にわたり伊豆半島で開催されます。
 当日は国内だけでなく海外から来日したサイクリストも含めた多くの方々が、修善寺駅を発着点にビンテージ自転車で伊豆半島の二市三町を巡る五つのルートを自分のレベルに合わせて楽しまれました。あいにくの雨で伊豆半島をほぼ一周する全長百六十一キロメートルの最長ルートは参加者の安全確保のため中止となりましたが、伊豆のすばらしい景観を十分に堪能していただけたものと思います。
 こうしたイベントが伊豆半島で開催されることは、県が矢羽根型路面表示の整備やバイシクルピット設置の働きかけを行い伊豆半島一周ルートイズイチをモデルルートとして設定するなどサイクリング環境を整えてきた結果であると大いに評価するものです。
 コロナ禍による社会環境の変化により体験型旅行へのニーズが高まる中、本県の強みを持つサイクルツーリズムは他地域との差別化を図ることのできる大きな可能性を秘めていると感じております。アフターコロナを受けての人の動きが急速に回復する中で今こそ国際的なサイクルツーリズムの推進に向けた取組を加速していく必要があると思いますが、今後どのように施策を展開していくのかお伺いをいたします。
 次に、AOI PARCの取組の成果についてお伺いをいたします。
 平成二十九年八月に農業の飛躍的な生産性向上と関連産業のビジネス展開を推進するAOIプロジェクトの拠点として沼津市内に、私の母校東海大学の跡地であります浮島地区にAOI PARCが開所してから六年が経過しようとしております。その間農業を取り巻く状況を見ますと生産者の減少による担い手不足や高齢化、地球温暖化や増加する大規模自然災害への対応、また国のみどりの食料システム戦略にありますようカーボンニュートラル等環境負荷低減に向けた取組の加速化、さらには国際情勢の不安定化により燃油や飼料、肥料など生産資材の価格が高騰しており非常に厳しいものとなっております。
 こうした状況に対応するため持続可能な農業に向けた取組は不可欠であり、先端技術を活用し生産性の向上や農作業の省力化といったスマート農業を牽引するべくスタートしたAOIプロジェクトに求められる期待はとても大きなものがあると思われます。
 プロジェクトの拠点となるAOI PARCでは、これまで農作物の生産性や収益性の向上を図る技術の開発や付加価値を高める機能性の高い農産物の開発など先端的な科学技術の活用による研究開発や事業化を着実に進め一定の成果も得られていることは承知はしております。昨年五月には沼津市原地区に大規模生産では世界初となるほうれん草の閉鎖型植物工場が完成しましたが、進出の決め手となったのが国道一号線沿いであることの利便性のよさと企業や研究機関とのつながりを持つAOI PARCとの地理的な近さもあったと聞いております。
 こうした先端農業技術の事業化や大規模な植物工場誘致という成果がある一方で、県内の生産者への恩恵という面に目を向けますとAOI PARCの取組の効果が広く県内の農家に行き届いているとは言い難く、今後さらに力を入れていく必要があるものと考えます。
 そこで、これまでのAOI PARCの取組について県内の生産者に対しどのような恩恵があったのか、また今後どのような取組を行いその効果を県内の生産者へ還元していくのか、県の所見をお伺いをいたします。
 次に、新興・再興感染症対策業務におけるICTの活用についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症は、令和二年の発生から感染拡大を繰り返し流行の波ごとに感染者数が大幅に増加したため発生届の受付や健康観察など感染者の管理を行う保健所の業務がその都度逼迫したと聞いております。私自身も実際に地元の東部保健所へ伺い新型コロナ対応の現場を視察しましたが、医療機関から次から次にFAXで届く大量の発生届の処理や陽性患者への連絡、聞き取りなど関係する様々な業務が同時多発で進行している状況を目の当たりにし現場の業務を効率化する必要性を痛感したところであります。
 これに対して県は全庁からの応援職員や人材派遣の活用等により対応してきましたが、一日当たりの新規感染者数がピーク時には約八千人に達した昨年の夏、いわゆる第七波を迎えた際には手作業からの脱却を目指した独自の情報管理システムを開発、導入するとともに、新型コロナ療養者支援センターを開設して受付、聞き取り業務を集約化するなど業務の効率化を図り人海戦術の限界を克服してきたと聞いております。
 現在、沖縄県では第九波を迎えていると聞いております。今後も新たな感染症の発生が予想される中、保健所業務の効率化と県民サービスの向上を図るとともに、医療デジタルトランスフォーメーションを推進するためには新型コロナウイルス感染症対応の経験と実績を踏まえて平時においてICTを活用した業務体制を構築しておくことが必要であると考えますが、県の考えをお伺いをいたします。
 次に、独り親家庭に対する支援についてお伺いをいたします。
 ここ三年余りに及んだ新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、先月八日をもって感染症法上の分類が五類へと引き下げられました。これにより街や観光地には人のにぎわいが回復し県民にとってはようやくかつてのコロナ以前の日常が取り戻されつつあります。
 しかしながら、長きにわたったコロナ禍における経済的な影響に加え昨年来から続いている燃料費をはじめとする物価高騰の長期化により県民の生活は大きな打撃を受けております。その中でも特に食料に関する物価については、先月二十六日公表の消費者物価指数の中旬速報値を見ますと二〇二〇年比で十二ポイントも高くなるなど継続的に幅広い食料品目で高騰してきており、食べ盛りのお子さんを抱えている子育て家庭、とりわけ非正規雇用の割合が高く経済的基盤が弱いとされる独り親家庭がその影響を強く受けていると言われております。
 実際に私の地元からも、物価高騰や非正規雇用などにより家計が厳しい状況にあるため通学定期代の支払いや子供の学用品、制服などをそろえるのにも苦労している親御さんたちがたくさんいるということ、また独り親の方々を対象とした食料配付会においては毎回希望者が殺到してきている状況にあるという声を見聞きしております。実際私も現場に立ち会いその状況を間近に見ることができました。
 特に直近の国民生活基礎調査によりますと、独り親家庭は子供のいる世帯の約一割を占めさらにその約五割が相対的貧困状態にあるとされており、このように大変厳しい状況に置かれている独り親家庭の子供の健やかな育ちを支えていくためには、特に経済的支援や就業支援など独り親家庭が経済的に自立した生活ができるよう、それぞれの保護者のニーズに寄り添ったきめ細やかな支援が必要と考えております。
 そこで、こうした厳しい状況に置かれている独り親家庭に対する支援について、県はどのように取り組んでいくのかについてお伺いをいたします。
 最後に、中小企業者のコロナ関連融資の返済支援についてお伺いをいたします。
 私は、令和三年十二月県議会定例会においてコロナ禍における中小企業者への融資による支援について質問を行いました。その際当初の予想よりコロナ禍が長引く中、多くの中小企業者はコロナ収束後にもすぐには売上げ回復が見込めず、後の返済は厳しくなるのではないかとの懸念を示したところであります。その後約一年半が経過し先月八日にようやく新型コロナの感染症法上の位置づけが五類に移行したところでありますが、コロナ禍で疲弊したところに円安や物価高、人手不足などの課題が重くのしかかり多くの中小企業者の売上げや利益の回復にブレーキがかかっております。
 こうした中、令和二年度から民間金融機関を通じて実施した実質無利子、無担保融資いわゆるゼロゼロ融資につきましては、多くの中小企業者が据置期間を三年に設定していたことから本年四月からの返済が本格化しております。民間調査機関の発表によるとコロナ関連融資を受けた企業の倒産件数が増加しており、今後業績が回復しなければ倒産や廃業がさらに増加するおそれがあるものと思われます。また最近の新聞報道等ではコロナ禍の前から多大な債務を抱える中小企業者がコロナ関連融資で持ちこたえることができたものの、業績不振によって返済原資を確保できないためにゼロゼロ融資の返済時期を迎えたところで再建を諦めるケースが出ていると聞きます。
 このため、既往融資の借換えによる救済や返済条件の変更などの対応を早急に行うべきではないかと考えます。特に債務の大きい中小企業者については、返済の行き詰まりによって倒産することがないように県として継続した支援を行う必要性を感じております。
 そこで、中小企業者の事業継続と再建を図るためにどのように資金繰り支援などに取り組んでいくのか、県の考えをお伺いをいたします。以上について答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 曳田議員にお答えいたします。
 東アジア文化都市開催を契機とした海外との交流の拡大についてであります。
 今年は本県が中国の成都市、梅州市、韓国の全州市と共に東アジア文化都市に選定され世界のひのき舞台に立つ幕開けの年となっております。選定された三都市との交流に加えましてスポーツ、武道、食、ファッション、温泉、旅、花等々本県の誇る多彩な魅力を広く国内外に向けて発信する絶好の機会と考えております。
 まず開催都市間の交流についてでありますが、ビビンバ発祥の地である全州市は二〇一二年に韓国で初めてユネスコの食文化創造都市に選ばれました。本県も全国トップの四百三十九品目の多彩で高品質な農林水産物を有する、いわゆる食材の王国、食の都でありますことから食をテーマとした交流に取り組んでまいります。具体的には九月に全州市で開催予定の交流イベントに参加し本県の食材や歴史、風土が育んだ食文化の魅力を発信してまいります。
 スポーツの交流につきましては、十月に本県で開催する国際サッカー大会に全州市のチームをお招きいたします。中国のサッカーの故郷と呼ばれる梅州市から御提案がございましたサッカー人材の交流につきましても大会と併せて実施する指導者研修会への梅州市の参加を調整してまいります。さらに東アジア地域を中心に広く海外との交流を進めてまいります。
 本県は今月二十二日に世界文化遺産登録十周年を迎えた富士山をはじめユネスコ世界ジオパークの伊豆半島、世界で最も美しい湾クラブの一員である駿河湾、世界農業遺産の茶草場農法など様々な世界クラスの地域資源の宝庫であります。これらを活用して地域特有の食とともにその背景にある歴史・文化、自然環境などを楽しむガストロノミーツーリズムを推進いたしますほか、洋上から富士山を仰ぎ見る駿河湾フェリーや中央日本四県を縦断する高速道路で広域周遊を促進する黄金KAIDOプロジェクトを新潟県、長野県、山梨県、静岡県が一体となって展開してまいります。さらに温泉文化のフォーラムや浜名湖花博二〇二四など幅広い分野で地域の特色を生かした取組を切れ目なく実施してまいる予定でございます。
 東アジア文化都市は、もともと欧州文化首都の理念を理想に創設されたものでございます。文化で東アジアの平和を希求し人々の豊かさ、幸福を目指すものでありますことから国、市町、民間団体等と一丸となりまして文化の融合と相互理解を深めながら文化活動の活発化や観光交流人口の拡大に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 森副知事。
       (副知事 森 貴志君登壇)
○副知事(森 貴志君) 新興・再興感染症対策業務におけるICTの活用についてお答えいたします。
 県では、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ今年四月には三島市にある県総合健康センター内に本県の感染症対策の司令塔となるふじのくに感染症管理センターを開設し感染症に関するあらゆる情報のデジタル化に取り組んでおります。
 具体的には、これまでの対応で構築した療養者支援情報システムの成果を他の感染症に応用し発生届のオンライン化、患者調査票などの電子化を進めております。またスマートフォン等の活用により相談業務のチャットボットによる自動応答や療養証明書発行の受付を自動化するなど保健所業務の効率化と県民サービスの向上を図ってまいります。
 さらに、匿名化した発生届や病床利用状況のデータを活用し医療関係者や市町、県民の皆様などと共有できるオープンデータベースを構築いたします。また感染症の発生動向などのデータを閲覧者が自らグラフや地図上で可視化し将来の流行予想などができる機能を備えた専用のホームページを開設し情報発信機能を強化してまいります。
 県といたしましては、次の新興・再興感染症の流行時に適時適切に対応できるよう国が行う医療DXの進捗状況を注視しつつ、保健所を設置する静岡市及び浜松市とも連携してICTを活用した県全域の感染症業務のデジタル化を推進してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 村松毅彦君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) サイクルツーリズムの推進についてお答えいたします。
 県では、昨年三月に第二次静岡県自転車活用推進計画を策定し国際的なサイクルツーリズムの目的地創造を目標の一つに掲げて様々な施策を展開しております。
 具体的には、本県が誇る富士山や伊豆半島など魅力的な地域資源を生かした百六十を超えるサイクルルートを県のホームページ上にGPSデータで公開しているほか、食や歴史など地域の情報を熟知したサイクリングガイドを育成するなどサイクリストが快適に旅行できる受入れ環境を整備し国内外に発信しております。
 新型コロナウイルス感染症が終息を迎える中こうした取組が民間に波及する動きが相次いでおり、その事例の一つが議員から御紹介頂きましたエロイカジャパン二〇二三であります。当日は悪天候の中、イタリアやアメリカなどの外国人サイクリスト三十二名を含む総勢二百二十名余の参加者が伊豆半島の景観を楽しむとともに、地元ボランティアによる温かいおもてなしによりサイクリングを満喫いたしました。
 このほか、県が取りまとめたルートを活用し富士山や浜名湖周辺など県内各地で民間主催のサイクルイベントが開催されており大きな手応えを感じております。
 今後は、サイクリストにも対応した宿泊施設の充実を民間に働きかけるなど受入れ体制のさらなる充実を図り海から山まで変化に富む地形や絶景、歴史遺産、多彩な食材等本県の地域資源を存分に楽しめる体験型、滞在型のサイクルツーリズムを推進してまいります。
 県といたしましては、国内外の交流が活発化している今を好機と捉え国際的なサイクルツーリズムの目的地となるサイクルスポーツの聖地の実現を目指して官民が一体となって取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 櫻井農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 櫻井正陽君登壇)
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) AOI PARCの取組の成果についてお答えいたします。
 県では、これまでAOI PARCを核として農作業の省力化や農産物の高品質化を実現する先端技術の研究開発に取り組み三十件の研究成果を事業化につなげてまいりました。
 具体的には、農作業の履歴を自動記録するアプリやGABAを豊富に含むソフトケールの周年栽培技術を開発したほか、三ケ日ミカン等の機能性表示取得などにより省力化を実現している生産者やJAと連携して販路を拡大する法人等も顕在化をしてきております。今後はこうしたAOI PARCの取組成果をより多くの生産現場に普及するとともに、生産者のニーズに対応した研究開発を強化し農業の生産性向上や所得拡大に結びつけることが重要であります。
 このため今年度は、生産者と連携してリスト化した八百八十ヘクタールの農地を実証フィールドとして開発した高糖度トマトの自動給液システムについて現場実証等を加速し県内に広く普及してまいります。また価格高騰が続く飼・肥料の県産化や未利用資源の活用、DXを活用した農業のスマート化など生産現場でニーズが高い研究開発や実用化、専門人材の育成等に重点的に取り組んでまいります。
 県といたしましては、生産者や企業、関係機関等が連携したオープンイノベーションを加速し研究成果を着実に生産者に還元することで本県農業の持続的発展を実現してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 八木健康福祉部長。
       (健康福祉部長 八木敏裕君登壇)
○健康福祉部長(八木敏裕君) 独り親家庭に対する支援についてお答えいたします。
 経済的基盤が脆弱な独り親家庭の生活の安定と自立の促進のためには、経済的支援や就業支援が大変重要であると認識しております。
 県では、経済的支援として国の物価高騰対策を踏まえ低所得の独り親世帯のうち児童扶養手当受給者に対して五月に特別給付金を支給いたしました。加えて生活や就学のための貸付金について家計が急変し収入が減少した方を四月から新たに貸付対象に追加し制度の拡充を図ったところであります。
 就業支援としては、県内三か所に設置する独り親サポートセンターにおいて就業相談や資格取得講習会等を行っております。今年度からはドラッグストア等から求人需要の高い医薬品登録販売者の資格取得講習会の開催を拡大いたしました。今後も求人先のニーズを踏まえたサービスが独り親の方に提供できるよう取り組んでまいります。
 加えて、子育てに理解のある職場環境づくりに積極的に取り組む企業として県が認証するこうのとりカンパニーなどを対象に、独り親の方が希望する就労条件や業務内容等に合った求人枠確保の協力を求めることにより就職率の向上を図ってまいります。
 さらに、県や市町等の各種支援制度を掲載した独り親家庭のしおりを電子化して利用しやすくするとともに、独り親の方が登録する静岡県ひとり親あんしんLINEを活用したプッシュ型の情報発信やチャット相談により一人一人に確実に情報を伝えることで経済的支援や就業支援制度の利用を今後も促進してまいります。
 県といたしましては、独り親家庭における子供の健やかな育ちを支えていくため今後とも関係機関と連携して独り親家庭に対するきめ細かな支援に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
       (経済産業部長 増田始己君登壇)
○経済産業部長(増田始己君) 中小企業者のコロナ関連融資の返済支援についてお答えいたします。
 県では、これまでゼロゼロ融資をはじめとするコロナ関連融資として総額一兆円を超す資金繰り支援を実施し中小企業者を下支えしてまいりました。こうした取組によりコロナ禍での企業倒産件数は低水準に抑えられ県内企業の事業継続が維持されたと考えております。
 しかしながら、県が金融機関へ伺った際に、県内でコロナ関連融資を利用した企業の多くが返済に不安を感じておりコロナ前から債務を抱えている中小企業者は特に不安が大きいという声が聞かれました。さらに物価高騰などの影響を受けて業績回復がままならず事業継続を断念するケースが出てきております。
 このため昨年度ゼロゼロ融資からの借換えが可能な県制度融資の限度額を一億円に引き上げるとともに、売上げ減少要件を緩和した結果借換えに対応した制度融資の利用が大幅に増加してきております。また本年四月からは金融機関同意の下で無利子期間終了後の融資利率の引下げを可能とし中小企業者の金利負担を軽減いたしました。
 県といたしましては、引き続き県内企業の動向を注視しながら国の施策に呼応した機動的な制度融資の活用などの支援を通じて中小企業者の返済が円滑に進むよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 曳田 卓君。
       (六十七番 曳田 卓君登壇)
○六十七番(曳田 卓君) それぞれ御答弁頂きありがとうございました。ぜひ強力にですね、政策を推進していっていただきたいと思います。
 その中でですね、二点ほど意見、要望を申し上げたいと思います。
 独り親家庭に対する支援についてです。
 独り親家庭に対しては確かにきめ細かい支援が行われているということはよく分かります。しかしながら現場の声を聞いているとそうした支援が本当に困ってる方々にきちんと行き届いているのか疑問に感じることも多々あります。例えば、奨学金制度が用意されていてもその情報にたどり着けない方がいたり、貸付金を利用したくても連帯保証人がいないと利子がついてしまうため利用をちゅうちょしてしまうという声も聞きます。
 先般閣議決定された子供未来戦略方針の中にも、子供の貧困対策は全ての子供の健やかな育ちを保障するという視点のみならず公平公正な社会経済を実現する観点からも極めて重要である、特に独り親家庭の自立と子育て支援は子供貧困対策としても喫緊の課題であると認識する必要があるとの記述がありました。
 せっかく様々な支援制度が用意されているのでありますから支援を必要とする方が確実に利用できるよう現場の声に耳を傾けて工夫を重ねてほしいというふうに思います。また今日の午前中の我が会派の沢田議員も子供の居場所づくりについて質問で取り上げていましたが、こうした子供食堂をはじめとする子供の居場所づくりに取り組んでいる方や子育て家庭を対象に食料配付を行っている方などが私の地元にも多数いらっしゃいます。こうした地域の支援者、支援団体は、行政が必ずしも十分に行き届かない部分をカバーしたり支援が必要な子供や子育て家庭を行政の支援につなぐといった極めて重要な役割を果たしていると思っております。
 一方で、活動資金が十分でなかったり活動場所の確保に苦労していたりすることが現実です。先般、先議した六月補正予算で物価高騰の影響を受けている子供食堂に対する支援金支給が盛り込まれていましたが、健康福祉部所管の病院施設や介護施設の支援金と比べると格段の違いがあります。ですからもっと手厚い支援をお願いしたい。引き続きこうした地域の支援者、支援団体の活動をサポートすることを通じて独り親家庭をはじめとする子育て家庭を支えていっていただけたらと思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
 二点目は、コロナ融資関連の返済支援についてでございます。
 増田部長から御答弁頂きましたが、その枠を出ない答弁ですよね。基本的には前と同じ。ただ私が言いたいのはですね、今回のゼロゼロ融資は全て静岡県信用保証協会の保証の下に実行されているわけです。
 御承知のとおり、静岡県信用保証協会は県が出資をしている外郭団体で現在の会長は吉林章仁前副知事です。保証協会の発行している冊子ディスクロージャーを見ますと信用保証協会は法律に基づいて設立され県内の中小企業、小規模事業者の方々が金融機関から事業資金の融資を受ける際に保証人となって借入れを円滑にする公的機関であり、企業の安定と繁栄及び地域経済の発展に貢献することを使命としていますと書かれています。
 さらに、この制度をより強固なものとするために信用保険制度があります。この制度は保証債務の履行いわゆる保証した企業が破綻した場合の代位弁済を行うわけですけれども、このリスクをカバーするために、ここが大事ですね、日本政府出資の株式会社日本政策金融公庫に保険料を払っていますと、こういう記述があります。
 ちなみに、令和三年度の信用保証協会の決算書を見ますと、その保険料はなんと六十二億円です。ちなみにこれはどういうことかといいますと、代位弁済する、例えば一千万円保証しました、焦げつきました、八割の八百万円は日本政策金融公庫からカバーしてもらえますね。これがこの信用保険制度であります。
 私は、令和三年の一般質問でもコロナ禍で借りた緊急融資の返済は相当厳しいものになるというふうにお話をさせていただきました。まさに今まで借りた金以上に必要でない、つまり企業が存続するためにはどうしても借りなきゃならん状態がコロナの融資でした。
 ですから当然先ほどの答弁にあったように売上げがなければ当然返済の原資はないわけですね。案の定返済の始まる今年約三割の事業者が返済の猶予や条件変更を相談していると聞いております。私も何件か相談を受けております。
 ただ、県議会としては経済産業部商工金融課を通じてしか信用保証協会との話はできませんが、先ほどのディスクロージャーにあるように地域経済の発展に貢献すること、現状を見た場合には静岡経済の底上げをするということが使命であるというふうに書いてあるわけです。
 政府は日銀にお札をどんどん刷ることは命じられますけれども我々は県はできません。しかしながら先ほど申しました日本政策金融公庫をバックにしてるわけですから、ぜひとも商工金融課、県の保証協会と協力、連携してですね、先ほど様々の苦しんでいる事業者の条件変更あるいは返済猶予、弾力的に進めていっていただきたい。
 借りたものを返すのは当たり前です。これは分かります。ただ現状はそういう厳しい、非常に厳しいコロナ禍の後遺症に苦しんでいる中小企業者、小規模事業者が多数でございます。ぜひよろしくお願いをいたします。以上で質問を終わります。
○副議長(鈴木澄美君) これで曳田卓君の質問は終わりました。(拍手)

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ファックス番号:054-221-3179

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