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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

牧野 正史 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/07/2021

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1)令和4年度当初予算編成
 (2)次期総合計画
 (3)辞職勧告決議案可決を受けての知事の対応
2 ポストコロナ時代の文化芸術の振興について
3 MaOIプロジェクトの評価と魅力向上について
4 静岡県立工科短期大学校の学生の活躍に向けた取組について
5 夜間中学(ナイト・スクール・プログラム)について
6 未来につながる新しいタイプの新県立中央図書館整備について
7 がん検診受診率向上に向けた取組について
8 視覚障がい者に優しい信号機整備について
9 ポストコロナ時代を見据えたICTを活用した学習の推進について
10 社会インフラ整備のための生産性向上について
11 総合防災アプリ「静岡県防災」の活用について
12 空き家対策の強化について
13 事業者の社会的取組の促進に向けたインセンティブについて
14 投票率向上の取組について


○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百二十五号、第百二十六号及び第百三十号から第百四十九号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二番 牧野正史君。
(二番 牧野正史君登壇 拍手)
○二番(牧野正史君) おはようございます。私は、公明党静岡県議団を代表して県政の諸課題に対し知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に一括質問方式で質問させていただきます。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、令和四年度当初予算編成について伺います。
 令和三年は、静岡県にとって感染症対策に加え土石流による甚大な災害に見舞われた大変な一年でした。コロナ禍により加速する少子化、求められる医療・介護の整備、生活困窮対策など喫緊の課題が山積しこれまでに誰も経験したことのない困難に遭遇しています。ワクチン接種や徹底した予防対策の結果感染拡大は落ち着きようやく経済活動が動き始めましたが、新たなオミクロン株の出現により経済再生のめどが立たない状況です。
 令和四年度の当初予算編成に当たり、県が試算した財政収支においてもコロナ禍前のレベルまでの県税収入の回復は見通せず、令和四年度当初予算の財源不足額は四百八億円と前年度に比べ百八億円も増加する見通しとなり依然厳しい財政運営が迫られています。
 このような状況の中で、ポストコロナ時代に求められる県民の安全で安心な豊かな生活を守る施策をいかに展開していくのかが課題です。こうした時代だからこそ一人一人に寄り添うきめ細かな行政運営が求められます。新総合計画スタートに当たり感染防止対策と経済活動の両立、デジタル化や脱炭素社会の確立など本県が直面する課題への対応も進めていかなければなりません。
 そこで、大変厳しい財政状況の中で次期総合計画の理念として掲げるSDGsの実現に向け誰一人取り残さない持続可能な新しい静岡県を構築していくための令和四年度当初予算編成について、県の考えを伺います。
 次に、次期総合計画について伺います。
 県は、ポストコロナ時代の次の四年間に向けて静岡県の新ビジョン後期アクションプランを策定しています。コロナ禍の二年で新しい生活様式とともに人々の価値観は一変しました。今後も引き続き感染防止対策を講じながら医療の充実と経済の再生が喫緊の課題です。また近年激甚化する自然災害による被害に備えるため防災・減災対策への一層の取組が急務と考えます。
 一方で、これまでの少子高齢人口減少社会への取組に加え新たな価値観に基づいた幅広い施策の展開が求められます。東京一極集中から地方分散型へシフトする中で、本県の特色を生かし魅力を高める施策も必要です。
 我が会派では先月、後期アクションプランの素案について知事に幾つかの具体的な提言をさせていただきました。危機管理体制の強化では連携協働の中に教育機関の追加や、昨年の吉田町での工場火災死亡事故の教訓から消防職員・団員の命を守る教育と実践の強化を盛り込むことを提案させていただきました。行政のデジタル化の推進では県民のデジタル化による利便性の向上に対する意見、要望、相談などに対応する窓口の設置を要望しました。誰もが活躍できる社会の実現では障害者雇用率の目標値の向上や性の多様性理解の促進を図るため学校現場における取組の設定を求め、真の共生社会の実現へ静岡県を導いていく施策になることを期待します。
 また、次期総合計画案についてはこれまで十二月定例会と二月定例会において計画案を議論し策定していくこととされていましたが、見直しに時間を要しているとして現時点では計画案が示されておりません。次期総合計画は今後四年間の本県の目指す姿を示す最も重要な計画であり、その策定スケジュールが遅れていることについて懸念しています。
 そこで、まず我が会派の提言を次期総合計画にどう反映し次の四年間に進んでいくのか、また今後の計画策定スケジュールについてどのように考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、辞職勧告決議案可決を受けての知事の対応について伺います。
 十一月二十四日に開催された臨時会で、御殿場市民の方から知事の辞職を求める請願が上程されました。また知事の辞職勧告決議案を自民改革会議と共に提出し賛成の立場から票を投じました。知事が参議院補選中に浜松市内二か所で行った問題発言はその後あらゆるメディアでほぼ全体を何度も報じられ、多くの県民に周知の事実となりました。県民の負託を受け四期目の県政運営のかじ取りをする静岡県知事として決してあってはならない言動と断ぜざるを得ません。誰が聞いても人口、産業、経済を比較し地域差別を行っていることは明らかです。
 知事は謝罪後、誤解や公務と政務の区別など弁明に終始されましたが、先哲の言葉に言葉というものは心の思いを響かせて言うものであるとあるように一度ならず二度繰り返されたことは知事の心の奥底にそのような考えがあると自ら露呈してしまったのではないでしょうか。これまでも県議会議員や首相に対する侮辱的発言が議会でも問題視され、最近では御自身の知事選での女性蔑視かつ人権意識の欠如した発言や建設現場で働く方の努力を無にするような発言も浮き彫りになり断じて許されるものではありません。
 そこで、まず知事はこのときに学長時代のエピソードを通して有権者に何を伝えたかったのか誰もが分かりやすい言葉で説明をお願いします。
 また、知事はそのたびに謝罪と二度と問題発言はしないと自らお約束されました。我が会派も性善説に立ち知事の謝罪と誓いを信じてきましたが、今回は議員、政治家だけではなく御殿場市民をはじめ県民に対して向けられたことは容認できませんでした。また県政の課題が山積している中で再び知事の言動によって停滞することは残念でなりません。
 今回辞職勧告決議案が可決されましたが、十二月定例議会冒頭で知事はお辞めにならず続投の意思を表明されました。であるならば、今後残りの任期で再度問題発言されたときの自らの身の処し方や、あらゆる分断を協調に変えていくために具体的にどう県政のかじ取りをしていくのか知事に伺います。
 次に、ポストコロナ時代の文化芸術の振興について伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大は人々の心の糧となる文化芸術活動にも大きな影響を及ぼし、アーティストたちの活動継続が困難な状況にまで追い込まれました。
 そうした中で、県では文化プログラムの展開により感染対策に配慮しながら地域と文化資源を結びつける多くの取組を行うとともに、緊急に「ふじのくに#エールアートプロジェクト」などの公的支援を実施しウイズコロナの新たな文化芸術の動きを生み出しました。コロナ禍は大きな傷みを生みましたが、文化芸術がいかに大切なもので人々にとって豊かさを生み出してくれるものであることが再認識されたとも考えます。
 本年六月定例会の我が会派の代表質問に対し、県では現在次期文化振興基本計画の策定を進めており、コロナ禍で明らかになった課題に対応した文化振興施策の展開をしていくとの答弁がありました。私は、ポストコロナ時代の文化芸術の振興はアーティストの力だけではなく地域の皆さんや観光資源、特色ある食文化などと連携し文化の捉え方を広げていくことが文化振興の鍵になると考えます。
 先日十一月二十七日、演劇と食文化と日本平観光のコラボツアー「芸と食と絶景と」が開催され私も参加させていただきました。日本平中腹の舞台芸術公園ではSPACのオリジナル劇やそば打ちパフォーマンスを楽しみました。このほか日本平ホテルでの食事や久能山東照宮を巡るバスツアーも行われるなど演劇と食と観光がコラボした内容で、地域の文化ポテンシャルと今後のアートプロジェクトの多様性や発展性を感じこれからの文化振興につながるものと期待しています。
 そこで、ポストコロナ時代に持続可能な文化芸術を実現していくために今後どのように文化振興に取り組んでいくのか伺います。
 次に、MaOIプロジェクトの評価と魅力向上について伺います。
 海洋産業の振興と海洋環境の保全を両立し、ブルーエコノミーの世界的な拠点形成を目指すMaOIプロジェクトがスタートして実質三年がたとうとしています。昨年十一月には清水マリンビルにプロジェクトの中核拠点となるMaOI―PARCもオープンしました。開所式には私も出席しプロジェクトの大きな可能性を感じたことを覚えています。
 先日、一年ぶりにMaOI―PARCを視察しました。開所式のときには研究機器しかなかった実験室では共同研究先の企業が微生物に関する研究を行っていました。またマイナス八十度冷凍庫に駿河湾で採取された菌株を保管し、膨大な数の菌一つ一つの個性を調べ食品、化粧品、医薬品産業などへの応用の可能性を調べる研究も行われるなど活気を感じました。さらに水産、食品、創薬、化粧品、海洋資源、エネルギーなど幅広い分野への研究や事業支援に向けて走り出しており、この三年間で実に二十ものテーマで取り組んでいます。
 一例を挙げると、三保半島の地下水を活用してサーモンの陸上養殖を行う三保サーモンの生産支援は地産地消や地域おこしにも一役買うなど幾重にも可能性を広げています。当日視察に応対していただいた渡邊専務理事はMaOIプロジェクトのチャレンジとして、既成概念を乗り越えて既存の産業で 行き詰まっている課題を解決する、人々が関心を持たないところに目をつけると生き生きと語られ大変頼もしく感じました。
 ここまで順調に進んでいるMaOIプロジェクトですが、私は将来にわたって継続的に発展するためには企業や大学に選ばれるMaOI―PARCの機能強化が不可欠と考えます。MaOIの第一次戦略計画では企業等が入居できるレンタルラボ等の設置を検討することになっておりますが、新型コロナの感染拡大により人の往来が制限され、その一方でデジタル化が加速するなどプロジェクトを取り巻く環境は大きく変化しつつあります。こうした状況を踏まえつつ機能強化の方向性を決める必要があります。
 そこで、これまでのMaOIプロジェクトの評価と今後の魅力向上にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、静岡県立工科短期大学校の学生の活躍に向けた取組について伺います。
 我が国では、コロナ禍で浮き彫りになったデジタル化の遅れを取り戻すため急速なデジタル化の推進が行われています。県内中小企業においてもデジタル技術の導入が急務となっていますが、デジタル人材の不足などで思うように進んでいない現実があります。
 今年四月に開校した県内ものづくり現場の人材育成を担う県立工科短期大学校の静岡キャンパスを先日視察させていただきました。機械制御技術、電気技術、建築設備の三学科で構成され、一学科当たり二十人から三十人の少人数体制で指導員や民間企業の専門職の方からきめ細かい指導を受けることができます。授業時間数の六割以上を実習に当て実際の工業用機械の操作や電気工事、シーケンス・プログラミング制御など実物を触って学ぶことができ、基礎的な技能の上に現場で必要な高度な技術力を身につけることができる、まさに実学の府にふさわしい大学校となっております。また将来を見据えた資格取得の取組がされており、CAD、電気工事士、施工管理技士、応用情報技術者など即戦力の育成を目指しています。
 これらの宝の人材を本県の中小企業の現場において育成強化に生かしていくことが必要と考えます。まだ開校して半年ですが、短期大学校ですので来年には就職活動も開始します。ここ静岡は全国有数のものづくり県でありすばらしい技術を持った中小企業が多数あることから、こうした企業のよさを知ってもらい就職につなげる取組が重要であると考えます。
 そこで、工科短期大学校の学生が卒業後に県内企業での活躍に向けた取組についてどのように考えているか伺います。
 次に、夜間中学――ナイト・スクール・プログラムについて伺います。
 県教育委員会では、先月四日に令和五年開校予定の県立夜間中学――ナイト・スクール・プログラムの基本方針について発表しました。着々と進む夜間中学の実現に誰一人取り残さない社会を目指す我が県の決意を感じ、これまで会派としてその必要性を一貫して取り組んできた者としてとてもうれしく思います。
 基本方針として、磐田市に本校を設置し三島市に分教室を置くという全国初の試みや本校の設置場所がJR磐田駅前の複合施設「天平のまち」という学校施設ではない建物を利用する点も新たな取組で、これから設置を検討する他県にとっても注目されていくことと期待します。また静岡式三十五人学級編制を適用し、きめ細かい学習指導を受けられることは生徒さんにとっては安心感につながります。今後学校名の決定や教育課程の編成、教員の確保、さらに国籍や年齢、家族状況など生活環境の違いなど様々な配慮が必要であり課題は多いと考えます。
 夜間中学で学ぶことを楽しみに期待して入学してくる生徒のために、課題解決に向けどのように準備を進めどのような学校を目指して行くのか教育長に伺います。
 次に、未来につながる新しいタイプの新県立中央図書館整備について伺います。
 昨年度に実施された新県立中央図書館整備計画では、アフターコロナに対応した新しい図書館としての機能の検討と、広くアイデアを募り新しい図書館の実現と県の負担を抑える、この二点の両立を目指す方向性が示され現在設計段階に移行し設計事業者を公募しており、どんな図書館が完成するのか期待は膨らみます。昨年度行ったアイデアコンペでは新しい時代に合った静岡らしい図書館のデザインや新しい使い方のアイデアを募集したところ、実に二百十五件もの応募がありました。私も原本を拝見しましたがどれも力作で夢と希望あふれるものばかりでした。今年三月にこの中から優秀作品三十二点が選ばれましたが、甲乙つけがたい作品に審査は大変な作業だったと察します。改めて県民の皆さんの新しい図書館に対する期待の大きさが伝わってきます。新しい図書館は県民皆さんの図書館であり、皆さんからのアイデアを生かしてつくり上げていただきたいです。
 新図書館は県民の知のインフラとしての図書館と未来につながる新しいタイプの図書館を整備計画に掲げていますが、このうち未来につながる新しいタイプの図書館とは従来の図書館の概念にとらわれることなく学び、交流し、創造する場としてのことであり、この新しいチャレンジに大いに期待しています。アイデアコンペにおいてもクリエーターの空間やユーチューバーの支援、またはおしゃべりのできる居場所づくりなど従来の図書館とは違う活動や交流の場としてのアイデアが多くあったところでもあり、この機能に対する県民の関心も高いと考えます。
 そこで、県民の思いの詰まった新しい時代の図書館の実現に向けて未来につながる新しい図書館として具体的にどのような整備を行う計画であるか伺います。
 次に、がん検診受診率向上に向けた取組について伺います。
 がんは昭和五十六年以降日本人の死因第一位であり、年間三十万人以上の方ががんで亡くなっています。定期的にがん検診を受診することで早期発見、早期治療ができ死亡率の低下につなげられますが、依然として四〇%程度の受診率で推移しております。
 厚生労働省のがん検診のあり方に関する検討会では、昨年四月と五月のがん検診受診者数が前年同月と比べ新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少していることが明らかになりました。これは受診控えも大きな要因ですが、一方でがん検診機関がコロナ感染への懸念から一時的にがん検診を中止したこともあり、本県では富士市、三島市が胃がん検診等を中止し縮小体制を取らざるを得ない市町もありました。まだコロナウイルスへの対応が確立していなかった時期のためやむを得ない措置と理解しています。
 ただ、受診率の低下は早期発見・治療の入り口を狭め死亡率を高めるリスクがあります。定期的にがん検診を受診している中でがんが発見された方と、自覚症状が出てがんが発見された方の進行具合をデータで見ると、胃がんについては検診で発見された方の約八割がほかに転移していません。一方自覚症状後に発見された方の約七四%が残念ながら他臓器、リンパ節、脳への転移が認められます。肺がんについても検診の場合は五〇%以上転移なしに対して自覚症状の場合は何と九〇%がほかに転移してしまっているという結果が出ています。このデータからも、いかにがんの検診を定期的に受けることが重要か理解できます。
 がん検診受診率向上は重要な課題でありますが、県として受診率向上に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、視覚障害者に優しい信号機整備について伺います。
 本年夏に開催された東京二〇二〇パラリンピックでは、障害のあるアスリートがハンディを物ともせず戦う姿は多くの人に希望と感動を与えてくれました。視覚障害のクラスでは米岡聡選手がトライアスロン男子で銅メダルを獲得。米岡選手の試合後のコメントで、メダルは銅だったが金以上に輝いているメダルだと思いますのコメントがとても印象に残りました。選手以外でも、オーディションを勝ち抜き閉会式にドラマーとして出演した全盲の酒井響希君は二歳のときに目のがんで両目を摘出し光を失いました。その後父親の知り合いの家でドラムに初めて触れたのがきっかけで夢中となり、プロのドラマーになることが夢になりました。今では元X―JAPANのYOSHIKIさんやリトルグリーモンスターなど数々の大物アーティストとも共演し、一歩一歩確実に夢に近づいていらっしゃいます。
 このように、スポーツ以外の場でも障害のある方が健常者と同じように社会参加ができ生きがいのある生活を送ることができる社会を構築していかなければと強く思いました。そのためには障害のある方が安全に安心して移動できる支援が重要と考えます。
 今回、県警察では視覚障害者の方に横断歩道を安全に利用していただくための歩行者等支援情報通信システム、通称高度化PICSの整備を実施しました。このシステムは信号交差点においてブルートゥースを利用し視覚障害者などが所有するスマートフォンへ歩行者用信号の色などの情報を送信し画面、音声、振動等で確認することができます。これまでは視覚障害者を支援する信号は音声をスピーカーから発していたため音に対する近隣住民との調整が整備のネックとなっていました。高度化PICSは現在JR静岡駅と三島駅周辺に整備されていますが、今後も積極的に導入し視覚障害者等への支援につなげたいと考えます。
 そこで、本県における高度化PICSを今後どのように整備していく方針か、県警察の所見を伺います。
 次に、ポストコロナ時代を見据えたICTを活用した学習の推進について伺います。
 国が二〇一九年から五年間かけて行われる予定だったGIGAスクール構想は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による学校の休校措置で教育現場におけるICT化の必要性を痛感し前倒しで進められました。二〇二〇年度中までには端末、回線の整備が行われ、今年度から試験的にまたは本格的にと学校によって濃淡はありますが活用が始まりました。
 ズームを使い、密を避けるため学校の別室や自宅で授業のライブ配信を視聴したり、スタディサプリを活用しクラッシーで課題の範囲を示すなど初めての取組で御苦労も多いと思いますが、挑戦されている学校現場の先生方には頭の下がる思いです。
 一方で、ワクチン接種率の向上と効果や徹底した予防対策により現在の新型コロナウイルス新規感染者数が劇的に減り徐々に日常を取り戻していく中で、今後新たな感染症や冬に猛威を振るうインフルエンザ、ノロウイルスによる学級閉鎖に加え気候変動により頻発する大雨や台風の中での通学が心配されます。特に高校生になると自宅から距離のある学校へ自転車や公共交通機関を使っての通学と、悪天候の中では危険が増します。私もこの世代の子供がいますが、多くの高校で大雨警報が発令されても休校にはならず大雨の中かっぱを着て自転車をこいで通学する姿が気の毒でなりません。このようなときに、オンライン学習に切り替わればいかなる事態においても学びの継続を補償するメリットがあると考えます。
 そこで、今後ポストコロナ時代を見据えたICTを活用した学習について県立高校にどのように方向性を示し展開していくか、教育委員会の所見を伺います。
 次に、社会インフラ整備のための生産性向上について伺います。
 令和元年の台風十九号、本年七月の熱海市伊豆山地区における土砂災害、沼津市黄瀬川大橋の橋桁の落下など近年人命や社会生活に影響を及ぼす大規模な災害が頻発しており、速やかな災害復旧のため土木事務所職員を含む建設産業従事者の重要性が増しています。ひとたび災害による被害が発生すれば、県民の命と暮らしを守るため建設産業従事者は一日も早い復旧を目指し昼夜を分かたず全力を尽くされます。
 一方で、地元要望や計画に基づき進められている通常の事業に加え国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策事業や老朽化した公共施設の機能を維持するための事業も増加しています。また新型コロナウイルス感染症に対応する新たな働き方の拡大や、政府の働き方改革関連法の施行に伴う全ての建設業者に対する時間外労働上限規制の適用など社会情勢も大きく変化しています。
 今後、災害の頻発化に伴い建設産業従事者の業務はさらに増加してくることが想定されますが新たな人員の増加は容易ではありません。安全・安心な地域社会構築のために社会インフラ整備を推進する上では、限られた人員の中でもこれまでと同様県民ニーズにきめ細やかに対応していくことが必要であると考えます。さらに、増加した業務に対し働き方を効率化し生産性を高めていくことも求められています。
 県民の安全・安心の確保に向け、生産性向上や効率化に向けた現状の取組や今後の予定について伺います。
 次に、総合防災アプリ「静岡県防災」の活用について伺います。
 総合防災アプリ「静岡県防災」は令和元年六月の運用開始から令和三年十一月末現在まで約十九万四千件ダウンロードされており、平時から各種ハザードマップの確認や防災知識の習得、避難トレーニングなど機能を活用でき、有事には気象情報や避難情報がプッシュ型で通知されるほか河川や道路の状況をカメラで確認できるなど非常に有益な機能と情報が多く搭載されています。年々災害発生頻度やメカニズムも変化しているため必要な機能の拡充も期待するところであります。
 これらの機能は、災害リスクの理解促進とともに災害時の県民の皆様の命を守る行動の支援に役立つものと考えます。しかしこの多彩な機能を十分に理解し活用できればという前提の話でもあります。多機能であるがゆえにせっかくの機能、情報が宝の持ち腐れとならないように活用方法を県民に分かりやすく周知する努力が必要と考えます。地域防災訓練のような場において市町と連携して積極的に防災アプリの使い方をレクチャーしたり、新型コロナウイルスの感染防止の呼びかけとして健康福祉部が行っている動画配信形式で少しずつ活用方法を伝えていく工夫なども有効だと考えます。特に災害時に要配慮者となる、デジタル弱者と言われる高齢者や日本語が不自由な外国人にはより丁寧に周知することが重要となります。
 そこで、防災アプリの利用者をさらに増やし搭載された機能を有効に活用してもらうため県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、空き家対策の強化について伺います。
 核家族化・高齢化社会が進む中で急増する空き家が全国的に問題となっています。適切な管理が行われていない空き家は防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。県は地域住民の生命、身体、財産の保護、生活環境の保全を図ることを目的に空き家等対策の推進に関する特別措置法に基づき空き家対策に取り組んでいます。
 県の空き家の実態として平成二十五年は県内に約二十七万戸でしたが、平成三十年にはさらに一万戸増加し二十八万戸の空き家が発生しています。この事実から、様々対策はしているが空き家の解消が進んでいないと考えます。
 空き家の処分が進まない原因の一つに更地化した後の固定資産税の増加があります。藤枝市や磐田市は空き家解体・除却補助事業と併せて空き家解体後の土地の固定資産税、都市計画税を除却後三年間減免する措置を取り所有者の負担を軽減しています。また全国の自治体の中には中古住宅として空き家を利活用しているところもあります。手放したい所有者と住みたい人を結ぶ空き家バンクを設け移住希望の若者や子育て世帯にリフォーム費用を補助するなど非常に好評です。
 また、単身高齢者や独り親世帯の住まいを確保する住宅セーフティーネットとしての活用や災害時に被災者が入居するみなし仮設としての利用なども注目すべきと考えます。空き家の解体、再利用と選択肢はありますが、そもそも空き家にさせない、増やさない取組が必要だと考えます。
 そこで、これまで以上に市町と連携し空き家対策に取り組む必要があると考えますが、県の見解を伺います。
 次に、事業者の社会的取組の促進に向けたインセンティブについて伺います。
 本県では今年三月に、議員提案による事業者等を守り育てる静岡県公契約条例が制定されました。条例の基本的な考え方として価格以外も考慮した総合的に優れた契約の締結や従事者の労働環境の整備、事業者による社会的活動の評価、応援などが掲げられており、時代の変化を捉えた意義ある条例だと感じております。
 事業者による社会的取組の一つに県が推進しているふじのくに健康づくり推進事業所宣言があります。この制度は事業所が従業員の健康管理や維持増進のための具体的な取組目標を宣言し戦略的に実践することで労働生産性の向上や労災防止を図るものです。さらに従業員や家族、地域住民に対して特にすばらしい取組を推進する事業所には年に一度知事褒賞が授与される制度もあります。また国の経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度は地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組を基に特に優良な健康経営を実践している企業、法人を認定し顕彰する制度です。
 私の地元である静岡市に拠点を置く静和工業株式会社でも健康経営優良法人認定を二年前に取得しました。当時総務部の課長が中心となり取得をされましたが、なぜ取得をしようと考えたのかお聞きしたところ、社員の健康管理意識の向上を会社として推進することで仕事に対する活力や生産性の向上、コミュニケーションの活性化が図られる、さらに認定の取得によって会社のイメージアップを図ることで人材の採用につなげていきたいと答えられました。取得に向けて苦労された点は会社全体に健康経営の必要性の理解が行き渡らないことであり、今も課題として残っているそうです。
 私は、持続可能な社会を実現していくためにこのような取組をする優良な企業が県内に増えていくことが望ましいと考えます。そのためには経営者あるいは企業の担当者が積極的に取組を進めやすいように、県として入札制度の中で加点評価するなどのインセンティブを設けることでモチベーションの向上を図り後押ししていくことが必要だと考えます。静岡県公契約条例が制定されたことを受けて事業者の社会的取組の一層の促進に向けた県の取組が期待されます。
 そこで、健康経営をはじめ次世代育成支援など様々な社会的取組について公契約条例の中でどのように評価していくのか伺います。
 最後に、投票率向上の取組について伺います。
 今年は選挙イヤーの一年で県内でも市議選や町議選、県知事選挙をはじめ首長選挙、そして直近では参議院補選、衆議院選挙が実施されました。
 選挙になると必ず注目され発表されるのが投票率です。さきに行われた衆議院選挙の全国の投票率は五五・九三%、本県は五四・八一%で過去最低となり、全国でも三十四位と低い結果となりました。選挙期間中は期日前投票が定着し期日前投票開始直後の投票率が前回よりも伸びており、全体の投票率が高くなる期待もありましたが蓋を開けてみるとさきに述べた結果です。一概には言えませんが、結局今まで当日選挙に行っていた投票に意識の高い人が期日前投票に回り、その分当日行った人と合わせると同じような投票率または減る結果となったと考えます。投票率を上げるためには若者の政治参加意識の向上も大切ですが、投票までの利便性を高めることも大切だと考えます。
 その一つとして不在者投票の投票用紙等の請求をオンラインで申請できるようにすべきと考えます。この制度は選挙期間中または投票日に選挙人名簿登録地以外に滞在している投票所に行けない人が事前申請することにより滞在地の最寄りの選挙管理委員会で投票できるものです。本県は高校卒業後県外の大学や専門学校等に進学する若者が非常に多いです。中には進学先の居住地へ住民票を異動しない方もおり、投票のためには静岡に帰るか不在者投票制度を利用する必要があります。
 平成二十八年に総務省がマイナンバーカードを利用しての不在者投票の投票用紙等のオンライン申請を認めて以来、さいたま市、杉並区、大阪市、神戸市、大分市などがオンライン申請を利用しています。本県で利用している市町は残念ながらごく一部に限られています。このデジタル化が盛んに叫ばれている時代に県としても強力に推進すべきと考えます。
 選挙は民主主義の根幹であり、このようなデジタル技術の活用なども含めて一人でも多くの有権者が投票しやすい環境をつくり実際に投票に参加していただくことが必要と考えますが、県として投票率の向上に対して今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 牧野議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、令和四年度当初予算編成についてであります。
 来年度当初予算編成の基本方針は、次期総合計画を計画初年度から的確に展開することであります。次期総合計画の基本理念である富国有徳の美しいふじのくにづくりの柱に静岡県をSDGsのモデル県にを掲げることで、次期総合計画の推進が誰一人取り残さない持続可能な静岡県の実現につながるものと考えております。
 最優先で取り組むべきは県民の皆様の命を守る危機管理であります。新型コロナウイルス危機の克服に向けた医療、検査体制の充実やワクチン接種の推進のほか今回の危機を教訓に新しい感染症への対応に向けた備えも進めております。また熱海市における土砂災害の教訓等を踏まえた豪雨対策の強化にも取り組んでまいります。
 また、環境と経済が両立した社会やデジタル社会の形成は待ったなしの取組であります。二〇五〇年の脱炭素社会の形成に向けた省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入促進、SDGsのモデルとなる地域循環共生圏の形成に取り組むとともに、コロナ禍で明らかとなりましたデジタル化の遅れに対応して地域社会のDX――デジタルトランスフォーメーションや行政のデジタル化を推進してまいります。
これらの総合計画に掲げる取組を着実に進めるための財源としてふじのくにづくり推進基金を設置しておりますが、この四年間で約二百億円を活用した結果基金は底をついております。大変厳しい財政状況ではありますが、次期総合計画を着実に進めるためこれまで以上に徹底した事業の見直しと歳入の確保に取り組み、来年度の財源不足額の解消に加えふじのくにづくり推進基金の積み増しを目指してまいります。
来年度当初予算編成に当たりましては、これまで進めてまいりました健全財政を堅持しつつSDGsのモデル県にふさわしい誰一人取り残さない持続可能な富国有徳の美しいふじのくにづくりを目指して予算を編成してまいります。
 次に、次期総合計画についてであります。
 総合計画静岡県の新ビジョンについては、今年度が前期計画四年間の最終年度に当たりますことから現在県議会をはじめ総合計画審議会、市町、県民の皆様から広く御意見を頂きながら次期総合計画後期アクションプランの策定作業を進めているところであります。
 十月十八日に本年度第二回目の総合計画審議会が開催されました。ここで御議論頂いた計画案について県議会各会派から御意見を頂いたところであります。本来十一月三十日に開催を予定されていた全員協議会で御意見を踏まえた修正計画案について御説明し、本議会の各常任委員会において御審査頂くこととなっておりました。しかし質、量ともに大きな修正を要する御意見等も含まれておりまして十分な精査が必要な状況となっております。
 このため、現在各部局におきまして頂いた御意見をできる限り計画案に反映させるための作業を進めております。今後早期にこれを取りまとめて県議会の皆様と調整の上、修正案を作成してまいりたいと考えております。
 公明党静岡県議団の皆様から頂きました危機管理強化に係る連携協働への教育機関の追加や消防職員・団員の命を守る教育と実践の強化、デジタル化による県民の利便性向上に係る窓口の設置、障害者雇用率の目標値の向上、性の多様性の理解促進を図るための学校現場の取組等々の具体的な御提言につきましては大変重要な御指摘であると受け止めておりまして、内容を精査の上、修正案への反映を図ってまいりたいと考えております。
 今後の計画策定スケジュールにつきましては、修正案の取りまとめの後県民の皆様へのパブリックコメント、総合計画審議会における審議を経て二月県議会の全常任委員会での集中審査をお願いできればと考えております。そしてその上で次期総合計画の成案を得て三月末の公表を目指してまいります。
 県といたしましては、頂いた貴重な御意見を最大限計画に盛り込み政策に具体化していくことで富国有徳の美しいふじのくにづくりを着実に進めSDGsのモデル県を目指して誰一人取り残さない社会、誰もが努力をすれば夢を実現し活躍のできる社会の実現を図ってまいります。県議会の皆様の御支援御協力を賜りますように伏してお願いを申し上げるものであります。
 次に、辞職勧告決議案可決を受けての私の対応についてであります。
 私の不適切な発言が御殿場の市民の皆様をはじめとした県民の皆様の心を深く傷つけることになりました。県民の皆様、なかんずく御殿場の市民の皆様そして県議会の議員の皆様に改めて深くおわびを申し上げます。
 県民の皆様や地域の差別につながる言動は決してあってはならないものであります。一旦発した言葉は消えるものではないと自らに言い聞かせ、改めて深く反省をしているところであります。
 知事選挙での発言につきましてはNEXCO中日本との良好な関係を紹介したものでございました。当時の静岡文化芸術大学の学生が工事現場に興味を持ってくれたこと、また工事が早く進み前倒し開通になったことについて工事関係者の皆様に敬意と親近感を持ってお話ししたものであります。しかし砕けた、また不正確な表現、性別、外見、学歴、職業等々について触れた言葉は多様性の尊重という観点からすれば古い固定観念に結びつく時代錯誤のものであります。不適切であったと反省しております。
 昨日、県議会自民改革会議並びに公明党県議団に所属する女性議員五名の皆様と県内十六市三町の女性市議会議員・町議会議員三十人、計三十五名の皆様から知事の女性差別的かつ人権意識の欠如した発言に対し厳重に抗議しますとした抗議文書を頂きました。慎んで拝見いたしまして、この抗議を読んで私の発言に強い嫌悪感を抱かれているということがよく分かりました。この抗議を尊重申し上げまして今まで以上にジェンダー平等並びに人権意識の自覚を高め、今後はジェンダー平等を常に心にとどめ、また人権意識の自覚にもとることのないよう十分に注意してまいります。
 さきの十一月臨時会におきましては辞職を求める請願が採択されたこと、さらに辞職勧告決議が可決されましたことを極めて重く真摯に受け止めておりまして、再びこのような発言を繰り返すことのないよう自戒しています。多くの方々を傷つけ県民の分断を招いてしまったことには深い反省の念を抱いておりまして、県民の皆様の協調と協働による豊かな県土づくりを進め全ての県民の皆様の生活を守るため常に公人であることを強く自覚し、ノーサイドで私の持てる力の全てを県民の皆様に尽くしてまいる覚悟であります。
 県政運営に当たりましてはより一層県民の皆様のお声に耳を傾け、私の思いにつきましては誠実に言葉にし県民の皆様にお届けしてまいります。
 引き続き県民の皆様、また県議会の各位の御意見を承りながら常に万機公論を旨とし職務に精励させていただきたいと考えております。節義を重んじ礼節を失わないことを心がけてまいりますので県議会の皆様の御理解と御支援、御協力をお願い申し上げます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) MaOIプロジェクトの評価と魅力向上についてお答えをいたします。
 県では、令和元年度に最先端のマリンバイオテクノロジーを活用して海洋・水産分野の産業創出と環境保全を目指すMaOIプロジェクトを立ち上げました。これまでに推進機関となるMaOI機構の設立、拠点施設MaOI―PARCの供用を進めました。MaOI機構の理事長にはJAMSTEC――海洋研究開発機構の松永是理事長、研究所長には国立遺伝学研究所の元副所長であり、またゲノム研究の世界的権威の五條堀孝先生に就任を頂き県の水産・海洋技術研究所や東京工業大学、早稲田大学などの県内外の研究機関や大学、企業等が参画したネットワークの構築を進めております。プロジェクトの推進体制の整備を第一期として進めてきたところであります。
 同時に、先ほど御紹介頂きましたように三保サーモンをはじめ研究開発も進めております。既に用宗産の海藻、アカモクを使用した高保湿化粧水をはじめ三件の取組が事業化に結びつき、さらに複数の商品開発が進行中です。また昨年度末に開催されたMaOIプロジェクトの戦略推進委員会でもプロジェクトは順調に進しているとの評価を頂いたところであります。
 海洋はまだ未活用の資源が豊富に存在し、企業の競争戦略で言うまだ競争が激化していないフロンティア領域、企業の競争戦略で言うブルーオーシャン領域であります。また駿河湾など美しく豊かな海を持つ静岡県の場の力を生かすことができる分野です。よって本プロジェクトは静岡県が飛躍的な発展を推進すべき分野と言えます。
 このような飛躍的な発展のためには、多くの研究者あるいは企業が集まる国際的な研究開発拠点とすることが必要です。MaOIプロジェクトの魅力、求心力を一層高める必要があります。その鍵は大量のデータを収集し整理しそれを、いわゆるビッグデータをAI等で解析し新たな知見の獲得につなげるデータ駆動型の研究開発の推進が必要と考えています。
 このため、当初計画で予定していた企業向けレンタルラボの整備に代えて企業や研究機関等のデータ活用を支援する体制を強化いたします。具体的には県の水産・海洋技術研究所が蓄積してきた半世紀にわたる海況情報をはじめ微生物ゲノムや環境DNAなどの希少価値の高いデータのさらなる充実と、MaOI機構の強みであるデータ解析機能の強化を軸に企業や研究者が膨大なデータを効果的に利用できる環境を整備してまいります。
 県といたしましては、こうした取組を通じてMaOIプロジェクトの企業や研究者に対する求心力を高め国際水準の研究開発拠点化を進めるとともに、新たな海洋産業の創出、海洋資源保全などの世界的課題の解決に貢献できるよう大きな未来像を描きプロジェクトを推進してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) ポストコロナ時代の文化芸術の振興についてお答えいたします。
現在策定中の次期文化振興基本計画では、コロナ禍による活動自粛への対応を教訓に持続的な文化芸術活動の実現を重点課題として検討を進めております。
 まずは、文化芸術活動をこれまで以上に身近なものにすることが重要であります。文化プログラムでは地域の特色を生かした芸術祭において住民の皆様がアーティストと協力して活動し、さらには鑑賞者として情報発信する姿が見られました。今後は県民の皆様が暮らしの中で食文化やお祭りなどの文化芸術に触れ、気軽に参加することができる機会の創出に努めてまいります。
また、特色ある文化は地域の貴重な観光資源でもあります。議員から御紹介のあったSPACの演劇と食文化を融合した取組は食文化を活用した新たな観光――ガストロノミーツーリズムのモデル事業であります。文化芸術の魅力が観光資源となり、その観光収入が文化芸術の向上にも寄与する好循環の可能性を示したものと考えております。
 今後の文化芸術の振興につきましては、日々の生活の中で文化に親しむことができる社会の実現に向けて取り組むとともに、魅力ある文化資源を観光や産業など様々な分野の方々と連携し活用することで文化芸術活動が継続して営まれるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 三須経済産業部長。
○経済産業部長(三須敏郎君) 静岡県立工科短期大学校の学生の活躍に向けた取組についてお答えいたします。
 本年四月に開校した県立工科短期大学校では、学生が県内企業で即戦力として活躍できるようものづくりの基礎技能から最新のデジタル技術までの習得とともに、職場体験など現場での実習を通して学生が企業を実際に知ることができる教育カリキュラムとしております。
 具体的には、学生の希望や適性に応じた企業への就職につなげるため全ての一年生が県内企業でのインターンシップにより職場を体験することとしております。各学科の特徴に応じた職場実習や見学会などを実施し学生と企業とのつながりができるよう努めているところであります。
 また、今年度から新たな取組として県内企業に就職した卒業生の職場体験談の聴講や企業の採用担当者と直接意見交換を行う企業説明会も実施いたしました。学生からは採用担当者から勉強方法に関する具体的なアドバイスを受けたことで学生のうちに資格取得に努めたいといった声が寄せられ、参加企業からも手応えがあったとの評価を頂きました。
 これに加えて、技術専門校時代には就職実績のなかった県内企業を工科短期大学校の職員が訪問して企業が求める人材ニーズの把握や本校の教育内容の紹介を兼ねて新規就職先の開拓も進めているところです。
 県といたしましては、本校で学ぶ学生一人一人が確かな技能や技術を身につけ卒業後は県内企業に定着して活躍できるよう引き続き取組を進めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 夜間中学――ナイト・スクール・プログラムについてお答えいたします。
 学齢期に義務教育を十分に受けられなかった方に学び直しの場を提供する夜間中学につきましては、先月の基本方針策定後校名の募集を行うなど令和五年四月の開校に向けて着実に準備を進めているところであります。
 夜間中学への入学に当たっては、これまで学ぶことができなかった様々な事情を踏まえ入学希望者の状況、背景を丁寧に把握してまいります。その上で日本語指導への対応などそれぞれのニーズに応じた支援を行うことができるよう教員の確保等について市町教育委員会や高校、大学との連携を進めるほか民間企業や関係団体、地域住民の皆様など外部人材の御協力を得て取り組んでまいります。
 さらに、本校と分教室をオンラインで結ぶ遠隔教育をはじめデジタル教材などICT機器の活用を図り充実した教育環境を整備してまいります。また教育課程の編成においては他の都道府県の夜間中学の実践を基に研究しより先進的、効果的な取組を積極的に取り入れてまいります。
 県教育委員会といたしましては、一人一人に寄り添いながら入学した生徒が学ぶ喜びを味わい意欲を持って通い続け、将来の可能性を広げることができる学校を目指し誰一人取り残さない教育の実現を図ってまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 未来につながる新しいタイプの新県立中央図書館整備についてお答えいたします。
 図書館に求められる役割は従来から大きく変化してきており、本の貸出しにとどまらず地域の情報拠点としての多様化、高度化した図書館サービスが求められております。昨年度実施したアイデアコンペにおいても今までの図書館のイメージを超えて利用者が様々に利用できる提案を頂き、新県立中央図書館の整備計画に反映したところであります。
 新県立中央図書館の整備に当たりましては、従来の図書館機能を拡充するだけでなく図書館の枠を超えた学び、交流し、創造する場となることを標榜しております。本以外の多彩な情報との出会いの場、人と人とが出会い交流する場、さらに利用者の活動から新たな文化を創造、発信する場となることを目指しております。
 具体的には、利用者がミーティングや読書など自由に利用できるオープンコラボレーションスペースを中心に身近で関心を引くテーマ別配架コーナーやデジタルデータ、映像、実物展示など様々な情報を発信するコーナーを設置することとしており、利用者の知的好奇心を刺激する工夫をしてまいります。また厨房設備のあるキッチンラボや工作機械を備えたものづくりラボなど利用者の知的創造活動を支える施設やセミナールーム、多目的ホールなど 利用者の交流を通じた学びの場を提供していくこととしております。
 現在設計者を選定する作業を行っているところでありますが、今後決定した設計者と共に県民の皆様の思いが込められた未来につながる新しい図書館の形を具現化し、末永く県民に愛され利用される図書館となるよう整備を進めてまいります。
 次に、ポストコロナ時代を見据えたICTを活用した学習の推進についてであります。
 県立高校においては、普通教室への無線アクセスポイントやネットワークが整備され日常的にオンライン接続を行うことができる環境が整ったところであり、本年八月からの緊急事態宣言時には短縮授業や分散授業のほか四十五校で学校の実情に合わせたオンライン学習を行ったところであります。
 全日制の高等学校では、制度上教員がいる環境で行う授業を原則としているためオンラインのみで学習を完結させることは困難であります。しかしながら議員御指摘のとおり、有事の際も含めICTの利点を最大限に発揮させるためには日常的にICT環境を有効活用することが重要であります。
 県教育委員会では、各学校と協力しながら授業においてスマートフォンやタブレットなど生徒が保有する端末を利用するBYODによる学習を推進するとともに、有事の際には学校と家庭をストレスなくオンラインで結び学びを保障する取組を進めているところであります。
 具体的には、授業での課題に対する生徒個々の考え方をクラス全員で共有する思考の可視化等に活用するほか同時双方向型のオンライン指導を実施するために導入したウェブ会議システムや授業の課題を配信できるツールについて優れた活用事例を各学校と共有してまいります。さらに学習履歴のデータ化を進め個々の生徒に最適な学びや協働的な学びを提供するほか教員の指導方法の改善に活用できるシステムの構築を検討してまいります。
 県教育委員会といたしましては、子供たち一人一人に対応した学びをどのような状況下においても提供できるよう引き続きICTを活用した学習の推進に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長(石田貴君) がん検診受診率向上に向けた取組についてお答えいたします。
 県では第三次静岡県がん対策推進計画に基づきがん検診受診率の向上に取り組んでおりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により昨年度における市町のがん検診受診者数は県全体で前年度に比べて一四・七%減少しており、一層の受診率向上が求められております。
 このため、検診実施者である市町や県医師会、県病院協会に検診時の適切な感染予防対策を求め県民の皆様が安心してがん検診を受けられる体制の確保に努めるとともに、本年十月の乳がん月間に合わせた富士川サービスエリア大観覧車のライトアップや県対がん協会と連携したがん検診の重要性を訴える特集記事の新聞への掲載など様々な機会を捉え啓発にも取り組んでおります。今後はさらなる受診率の向上のため個別の受診勧奨や再勧奨のほかがん検診と特定健診の同時実施、夕方や夜間、休日検診の実施など仕事で時間に余裕がないとされる働き盛り世代の利便性の向上を図るなど市町に対して具体的な方策の強化を呼びかけてまいります。
 さらに、本県独自の取組であるがん検診受診率向上のための協定締結企業四十八社と連携してリーフレットなどの啓発資材の配布や職域検診の受診勧奨などの取組を推進することにより、一人でも多くの方が検診を受けられるよう効果的な啓発を進めてまいります。
 県といたしましては、県民の皆様が安心してがん検診を受け早期発見、早期治療につながるよう受診率の一層の向上に市町や関係団体、企業と連携して取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 視覚障害者に優しい信号機整備についてお答えをいたします。
 視覚障害のある方々が安全に移動するための信号機につきましては、いわゆるバリアフリー法に基づきましてバリアフリー化を推進するための手段として駅、市役所、病院など視覚障害のある方が頻繁に利用される施設周辺の主要な交差点で整備することとされております。これまでは歩行者信号が青色になっていることを知らせる音響装置を付加したものを四百六十三基整備してきたところでありますが、近隣住民の生活にも配意し音が出ない形での支援についても進めることが求められております。
 このため、ブルートゥースにより歩行者の持つスマートフォンに対し信号の色の情報を送信するほか当該スマートフォンから青色信号の延長を可能とするシステムいわゆる高度化PICSの整備を進めているところでございます。こうした高度化PICSは全国的に整備普及が推進されているところでありまして、本年三月時点で本県を含む六つの県において百四十基が整備をされております。本県では令和元年度から整備を始め令和二年度末時点で三十二基を整備をしております。
 具体的には、静岡市において静岡駅から浅間神社にかけて直近の県庁前交差点を含め十九基、三島市において三島駅から三島市役所にかけて十三基を それぞれ整備しておりまして、本年度中にはさらに浜松市の遠州鉄道八幡駅周辺に新たに五基を整備することとしております。
 県警察では現在令和四年度の整備箇所について検討しているところでありますが、今後とも視覚障害のある方々の安全な移動を支援する観点から視覚障害者団体や関係機関の御意見を十分踏まえながら取組を積極的に推進してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 社会インフラ整備のための生産性向上についてお答えいたします。
 頻発化、激甚化する災害に加え社会インフラの老朽化や防災対策への対応等建設産業従事者に求められる役割はますます大きくなっております。一方で建設産業においては担い手の高齢化や入職者の確保が喫緊の課題となっております。
 このため県では、担い手の確保に向けた働き方改革への取組や限られた人員により効率的に工事を実施するための生産性の向上に取り組んでいるところであります。
 具体的には、年度末など特定の時期に工事が集中しないよう債務負担行為の設定などにより平準化に取り組むとともに、今年度から毎月第二土曜日をふじ丸デーと名づけ県内の公共工事を一斉に休工する取組を始めました。十月には約四千か所の工事現場の九四%で休工することができ、働き方改革につながる取組として建設業関係者からも高い評価を受けております。
 また、現場管理の負担を軽減しこれまでより少ない人員や日数で工事を行うためにデジタルデータやGPSを用いたICT重機の導入による生産性の向上に努めております。これにより河川のしゅんせつ工事では作業員の延べ人数が八十人から五十人へと約三五%削減されるなどの大きな効果が現れております。さらにタブレット端末を活用して工事現場の状況を確認する遠隔臨場の取組により職員の移動時間や受注者の待機時間を削減するなど効率化を進めております。
 県といたしましては、これらの取組を推進するとともに工事関係書類の電子化などデジタル技術のさらなる活用により生産性を向上させることで社会インフラの整備を着実に進め、県民の皆様の安全・安心で豊かな生活の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 太田危機管理部長。
○危機管理部長(太田博文君) 総合防災アプリ「静岡県防災」の活用についてお答えいたします。
 災害に備え自助、共助の取組を強化していくためには多彩な機能を搭載した防災アプリの活用が有効の手段となることから、各種機能について高齢者や外国人にも分かりやすく周知するとともに利用者の裾野の拡大を図ることが重要であると認識しております。
 このため、県ホームページにおいて防災アプリの機能と操作方法を動画を活用しながら解説しております。さらに自主防災組織や外国人県民を対象とした防災講座などにおいて利用者目線からの御意見を頂き、より分かりやすい内容となるよう改善に努めております。
 また、さきの地域防災訓練において裾野市や藤枝市などでは防災アプリの機能を活用してコロナ禍での密を回避した効率的な避難所運営を検証する訓練が実施されました。訓練参加者のうち防災アプリを利用されていない方には、これを機にダウンロード方法等を御案内し利用者の拡大につなげております。
 なお、訓練の実施に当たって事前に機能の操作説明を十分行いスムーズに操作体験ができたことから、参加した住民の皆様と避難所運営側の双方から操作は簡単で便利な機能であるとの評価を頂きました。引き続き市町と連携し各種防災訓練をはじめ今後県民の皆様一人一人に取り組んでいただくわたしの避難計画作成のためのワークショップなど、関連する啓発事業の機会を積極的に活用し利用者の拡大につなげてまいります。
 県といたしましては、多くの県民の皆様に防災アプリの平時、非常時の機能を有効に活用していただくことにより命を守る防災意識の向上と地域防災力の強化を図ってまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 空き家対策の強化についてお答えいたします。
 県内の約二十八万戸の空き家のうち賃貸、売買が予定されているもの及び別荘等を除外した空き家が約八万八千戸あり、空き家にさせないこと、空き家の利活用を進めること、利用目的のないものは除却を進めることによりこれらを減らす対策が重要であります。
 これまで県は、市町や関係団体と連携して不動産、法務、税務、建築、行政の専門家に一度で相談できるワンストップ相談会を平成二十八年度から県内各所で九十五回実施し、八百二十組の相談を受け付けてまいりました。昨年度からは分譲後四十年以上経過し空き家の急増が懸念される郊外の住宅団地の住民の皆様を対象とした出前講座や、高齢者を対象に相続に備えた終活ノートを作成する我が家の終活セミナーを開催しております。
 今後は、空き家の利活用をさらに進めるためリノベーション事例の紹介や新たな価値をつけて流通させる買取り再販のノウハウを学べる研修会を来年二月に開催いたします。また空き家情報の充実のため広くて優良な空き家を一層流通させるための県版空き家バンクの構築に取り組んでまいります。これらの取組によりファミリー世帯や大都市圏からの移住者に対して豊かな自然環境の中で広い暮らし空間を持てるライフスタイルを提案してまいります。また広い家への住み替えが進むことにより家具や電化製品の購入等、個人消費の拡大も期待されます。
 県といたしましては、平成二十七年度に発足した県及び全市町で構成する空き家等対策市町連絡会議に民間事業者にも御出席頂き情報共有や意見交換をするなど空き家の流通やマッチングを促進させ、空き家にさせない、増やさない取組を市町や民間との連携を一層強化して進めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 増田出納局長。
○出納局長(増田仁君) 事業者の社会的取組の促進に向けたインセンティブについてお答えいたします。
 事業者等を守り育てる静岡県公契約条例は、事業者の皆様の社会的取組を積極的に評価、応援することなどにより活力ある地域の形成や持続可能な社会の実現を目指すものであります。
 県といたしましては、入札参加資格の格付けや総合評価落札方式等による事業者選定において障害者雇用や次世代育成支援などの社会的取組に対する加点評価を積極的に進めてまいります。またSDGsの推進や社会貢献などの様々な優れた取組を評価対象に追加すべく関係者との調整を図りながら徐々に拡大してまいります。
 議員から御紹介頂きました健康経営につきましても企業が従業員の健康保持・増進に取り組むすばらしい取組であり、県民総ぐるみの健康づくりを進める本県として積極的に評価すべき取組と考えますことから今後関係部局と連携し評価対象に加えることを検討してまいります。またこうした積極的な取組を後押しするため事業者の社会的取組を県のホームページ等で効果的にPRしイメージアップにつなげてまいります。
 今後とも、頑張る事業者の皆様のインセンティブになるよう公契約条例に基づき社会的取組を積極的に評価、応援してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 投票率向上の取組についてお答えいたします。
 国政選挙、地方選挙を通じて投票率が低下傾向にある中、有権者が投票しやすい環境を整備していくことは若者のみならず全世代の投票行動を促し投票率を向上していく上で大変重要な課題であります。
 国においても、投票環境の向上方策等に関する研究会において選挙人の投票環境の向上と負担軽減等に関する検討がなされ、期日前投票所の混雑対策や不在者投票のさらなる利便性向上などの必要性が報告されているところでございます。
 このため、今年度執行した選挙ではコロナ禍での投票であることも踏まえ市町の選挙管理委員会と連携し期日前投票所の増設やバス等による移動期日前投票所の設置、SNSを活用した期日前投票所の混雑状況の発信など投票環境の向上に取り組んでまいりました。また不在者投票については名簿登録地外から投票用紙などを入手する手続が煩雑であり、この負担軽減を図ることが投票環境の向上につながると報告書でも指摘されております。
 議員から御提案のありました投票用紙等の取り寄せに関する電子申請の仕組みについては、有権者の負担軽減につながることの重要性を市町と共有し各市町の電子申請システムへの追加について先行自治体のノウハウを提供するなど取組を支援してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 牧野正史君。
(二番 牧野正史君 登壇)
○二番(牧野正史君) それぞれ御答弁頂きましてありがとうございます。
 まず、最後に答えていただいた投票率向上の取組についてですけれども、本当に想定していた以上の回答が出て本当にありがとうございます。本当に投票率高めるためには当然若者への主権者教育というのも大事なんですけど、実際現実においては投票日当日に雨が降るだけで高齢者の人というのはもうそれだけで私選挙行かないとかって、そういったことが起こり得ますのでデジタル化も含めて様々な利便性の取組をしていただけたらと思います。ありがとうございます。
 あと文化芸術活動、アフターコロナの、ポストコロナの文化芸術の振興についてですけれども、植田部長の言うとおり本当にそのSPACと観光と、例えば食というコラボというのは非常に今回すごい効果があったなというのを私も十一月二十七日に芸と食と絶景とに参加させていただきまして実際に感じました。当日舞台芸術公演にお客さんが入ってたんですけど、司会の方から今日初めてSPACを見た方って言ったところ約半数以上の人が手を挙げていました。私もよくSPACを見に行くんですけど大体見てると演劇が好きな人とかリピーターが多いんですけど、そういった中でその半数以上が今回日本平観光とあと食というところで初めて足を運んでSPACを知っていただいたというのがすごいすばらしいと思いました。
 さらに司会の方がSPACを紹介する中で、SPACというのは全国でも唯一の県立の劇団でそれを持っているのは静岡県ですっていうふうな説明をしていただいたときに、私の前に座っている女性二人が静岡県ってすごいねっていうふうに感嘆の声を出していましたので、私はイベントが終わった後その人にどちらから見えられたんですかというふうに聞いたところ富士宮ですっていうことで、本当にまだまだこのSPACという本当に静岡の宝が行き渡ってないのを感じましたけども、今回そのSPACというか演劇だけじゃなくて食や観光とコラボすることによって幾重にも可能性が広がるというのを感じましたので、ぜひ食以外でも産業とか健康福祉とか様々分野ありますけれども今後ともSPACを活用してよろしくお願いいたします。
 再質問を一点させていただきます。
 すみません。知事、御答弁ありがとうございました。知事に聞きたかったことなんですけど、その富士市での発言というのは知事がそう言われるんだったら、でも正直そうは県民の人は取らないと思います、私はそうは。あの発言を聞いて建設業界の方とか、その感謝の意が含まれているというふうには感じられないなというふうに思います。知事は本当に今回も様々なところで謝罪をしていただいたんですけれども、残念ながら知事は本当、十二月議会の定例会の冒頭でも我々議員と県民に謝罪をしていただいて、その後十秒深々と頭を下げていただきました。私はその姿を見てしてやったりという気持ちはなくて、静岡県のトップが、リーダーがそういう姿を見せるというのを複雑な思いで見ていました。だけど残念ながら知事はその謝罪、せっかく謝罪したのにその後津田左右吉氏の歌を御自身の心情と重ねたり、あと孔子の論語を引いて語られたりということでそのせっかく謝罪したその意思が伝わりにくいんですよ。
 私も知事が引いた孔子の残した言葉を一言言わせてもらうと、孔子は九思一言という言葉を残しております。御存じだと思いますけど九回思って一回発言する、つまり熟慮して発言せよという教えでございます。そういった意味でも知事の発言というのは公人としての、御自身が考えられている以上に本当に重いということを自覚していただきたいと思います。
 質問に移るんですけれども、知事が今まで謝ってきたわけなんですけれどもその都度、今回で非常にこれだけの大きなことになってる中でもう次やったときの自らの身の処し方というのを明確にはっきりと申し上げていただきたいと思いますけれどもいかがでしょうか。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 牧野議員におかれましては、再質問に先立ちまして様々に御配慮頂きましたアドバイス心にしみました。ありがとうございました。
 私はもう誓った以上これはですね、言葉にもとることをしてはいけないということで言葉は言霊が宿っているということでございますし、さらに蓮池議員から御指摘がございましたように一度発した言葉はこれは消えるものではないというふうに思っております。ですからそれにもとる行為はしないというふうに自らに言い聞かせております。
 進退は、例えば今知事選を県民の皆様にお願いすることができないという、自らだけのことで決められないという面があることも併せて御理解賜りまして、そしてこの地位に執心する気持ちはさらさらありません。十二年前から常に、当選したときからいかに辞めるかということを考えてきました。そうした意味におきまして文字どおり津田左右吉は早稲田の先輩ということもございまして、私の指導教授が最も敬愛した先生でもあったということもございまして、決してその今ぐうぐう知ってその歌を言ったのではなくて、二十歳ぐらいからずっと自らに言い聞かせている言葉として言ったものでございます。そうした気持ちをお酌み取りいただきまして、決してあれこれを引用して云々というのではなくて自らの先哲の言葉と自らの心を一つにするというそういう心構えを御披露申し上げたということでございます。お答えになってないかもしれませんけれども、どうもありがとうございました。
○議長(宮沢正美君) 牧野正史君。
(二番牧野正史君登壇)
○二番(牧野正史君) 知事としてはそういう何か文化的なこととかを話して、そういったことで御自身を表現したいという気持ち分からないでもないです。私も議員になってからいろいろな式典で御一緒させていただいて、本当に何でこんなすばらしい挨拶できるんだろうというふうに感嘆申し上げたときもありました。でもやっぱり自分自身が謝罪するときっていうのはそういう余計なことは要らなくて、ただただ謝罪するのが本来じゃないかなというふうに思います。
 本当に今回いろいろな発言をされている中で、これからは例えばこういうことを言ったら御殿場で農業されている方がどう思うかとか、一生懸命勉強して合格した女学生がどういう気持ちになるかとか、我々のために汗水垂らして流して働いてくださるあの建設現場の方がどう思うかという、そういった一人一人のその思いにはせられるような温かい真の静岡県のリーダーにぜひ生まれ変わっていただきたいと思います、本当に。
 確かにその人を変えることはできないんですけど、自分自身を律して変えることというのはできます。とにかく私は、知事にその生まれ変わった決意でしっかりとやっていただいて、今後もしまたやってしまった場合というのは潔い御自身での判断を申し上げ、要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宮沢正美君) これで牧野正史君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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