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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

橋本 一実 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2011

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 振り込め詐欺の撲滅について
2 カジノ複合施設誘致について
3 熱海市地内の国・県道の整備促進について
4 安心医療の提供のための人材確保について
5 伊豆の観光再興について



    ○議長(植田 徹君) これで塚本大君の質問は終わりました。
     次に、二十一番 橋本一実君。
           (二十一番 橋本一実君登壇 拍手)
    ○二十一番(橋本一実君) 皆さんこんにちは。民主党・ふじのくに県議団の橋本でございます。
     通告に従い、当面する県政の諸課題について、知事及び関係部局長、警察本部長にお尋ねいたします。
     まず初めに、この年末年始に被害が多発する恐れのある振り込め詐欺についてお尋ねいたします。
     全国で多発している振り込め詐欺につきまして、本県におきましても、本会議や委員会において被害防止策等積極的な議論が交わされてまいりました。またそのことに呼応し県警本部におかれましては、県内市町や金融機関等との連携、また街頭キャンペーン、絆コミュニケーションキャンペーンなど多くの被害防止活動と撲滅に向けての手段を講じていただいており、このことにまず敬意を表するとともに感謝申し上げる次第でございます。現在公開されております県警ホームページを拝察いたしますと、「振り込め詐欺犯人が川柳で防犯対策をアドバイス!」といった内容の斬新な取り組みも見られ、また被害者は高齢者が多いことから、インターネットを使った防止策に加え、敬老会等に説明に出向くなど県民への周知のための対策も取り組まれております。
     私の出身地の熱海市では、高齢化率が約三九%にも上り県平均よりも非常に高いことから、市議時代にはその地域対策についてさまざまな議論を交わし、同報無線を使っての防止策、民生委員や市職員、そして各自治会等との連携により実際事件を防ぎ、地道な現場での取り組みが被害者を出さないことにつながる成果を実感した次第であります。全国の対策に目を転じてみますと、千葉県松戸市では、昨今はやりの萌えキャラクターを採用。小学三年生の児童に萌えキャラに扮していただき啓発ポスターを作成。また振り込め詐欺防止を寸劇で呼びかけるといったものや、お隣の神奈川県警では高齢者に知名度の高いプロ野球四百勝投手の金田正一氏と御子息の俳優賢一氏を振り込め詐欺の撲滅ポスターに起用するなど、あの手この手で被害者を出さないように啓発運動を展開しているところであります。ちなみにこの金田親子のポスターのキャッチコピーは、「金田さんは金出さん」というものであります。このような他都市の取り組みも大きな防止効果が見込まれておりますので、既に取り組まれている施策もあるでしょうが、よいものは早急にまねるべきことも必要であると思います。
     しかし、このような取り組みをよそに新たな手口も次から次へと出てきており、最近では犯人等が駅や自宅にまで現金を取りに行くといった大胆な手口の事件も発生しており、県民の不安は高まるばかりであります。全国的な被害は一時期よりも減少傾向にあるとはいえ、平成二十二年は被害者数六千六百三十七人、被害額は驚いたことに約八十二億一千三百万円にも上っております。これだけ多くの被害状況を考えるとき、この犯罪の撲滅のための厳罰化、つまり法改正の必要を強く感じております。厳罰化と取り締まりの強化で、この詐欺犯罪がいかに割に合わないものであるかを思わせることが必要であると思います。そして振り込め詐欺の中でも、本県で特にふえている手口がオレオレ詐欺であり、肉親を思う情につけ込む非常に卑劣な手段であります。これは別分野でありますが、一九九九年に発生した東名高速飲酒運転事故で幼い姉妹が犠牲となり、危険運転致死傷罪の成立に大きく影響したことを思い出し、当時の量刑が余りにも軽く、当時の日本の法律に命の重みが反映されていないということから、法改正を求める署名運動が始まり世論の後押しもあり最高刑を懲役十五年とする危険運転致死傷罪が刑法に新設され、違反者は激減、交通事故死者数も当時の約半数に減ってきております。確かに法改正の道のりは大変ですが、国政、立法府での議論となることはもとより、私たち政治家が県民の代表として、県民を守るために国政や司法への働きかけをすることは論をまちませんが、官民一体での協力体制で臨まなくては、その道は開けてこないものと思っております。
     そこで、本県の描く理想郷ふじのくにづくりは、まず「住んでよし」、その目的に邁進するために、法改正以外で大きく被害を減らせる可能性があるのかということと、今後の県警の取り組む新たな防止策について所見を伺います。
     質問の第二は、カジノ複合施設誘致につきまして、改めて知事にお伺いしたいと思います。
     国内の経済情勢は依然大変厳しい状況にあり、円高に続き欧州危機の深刻化が懸念されている状況下、三・一一東日本大震災以降の観光地は厳しさが増すばかりであります。この現状を政治家としてどう切り開いていくか、どう立て直していくか、これが私の使命であると強く感じております。世界では、アメリカ・ラスベガスやマカオを初め約百二十カ国の地域に合法カジノがあり、一大観光地を形成し、外国人観光客の呼び込みのほか地域振興や雇用創出に貢献している状況です。本年は、シンガポールにコンベンション、アミューズメント、ショッピング、フードコートを備えた二つのIR――統合リゾートが完成し、シンガポールのGNPを大きく引き上げる要因となっていることが話題となっております。カジノ合法化の議論は東京都の石原知事が大々的に打ち上げて以降、遅々として進んでいないように思われておりますが、超党派の議連ではカジノ区域整備推進法案を準備し、現在民主党、自由民主党がともに党内政務調査会において法案提出に向けた調整に入っていると聞き及んでおります。また停滞する国内経済の刺激に加え、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故で遠のく外国人観光客を呼び込む起爆剤としてのねらいもあり、収益を震災復興の財源とすることも視野に入れているということです。
     このような状況において、観光立県を標榜する本県静岡がカジノ誘致に積極的な市町等との連携を行い、カジノの合法化推進及びカジノ施設の誘致に本格的に取り組む段階に来ているのではないでしょうか。さきに述べたカジノ先進地であるラスベガスでは、年間五十回を超える五千人以上の規模のコンベンションの開催、日本でも公演しているシルク・ド・ソレイユによる「オー」や「ミスティア」などのナイトショー、世界の人々が楽しめるレストランやショッピング、各ホテルの趣向を凝らしたアミューズメントやグランドキャニオンなど雄大な自然ツアーなどが組み合わされております。またマカオでは、市内全域にポルトガル統治時代の遺跡群を中心とした世界遺産を楽しめ、シンガポールでも同様にMICE環境が整備され、カジノはまさにそれら観光の一つのツールであり、それら観光客に提供することを可能にする大きなエンジンと言えます。
     私は、カジノによる地域振興を成功させる要件として、これら資源が必要と考えたとき、本県、特に東部地域には、既に多くのポテンシャルのある資源が存在していると考えております。富士山静岡空港の開港、羽田空港の発着枠拡大により、海外、国内遠隔地からのアクセスは一段と向上して、また神奈川県と山梨県と接しSKY圏を構成するこのエリアには、知事が先頭に立って推進され、先般、世界文化遺産登録に向け推薦することが決まった富士山のほか、同じく推薦された武家の古都鎌倉の世界的観光資源もあります。伊豆は、古都鎌倉をつくり上げた源氏や北条氏にゆかりの地であり、また九州・山口の近代化産業遺産群の構成資産候補に韮山反射炉が追加されたところであります。さらに地質学的な資源に目を向けたジオパークには、伊豆や箱根で協議会を設置し取り組んでいるとともに、沼津市には大規模なコンベンション施設も整備中であります。これらアクセスのよさや世界的な自然や文化資源に加え、良質な温泉資源、本県が進めているファルマバレー構想による医療・健康の提案、駿河湾・相模湾での海洋レジャー、日本の伝統文化を伝える和風旅館や芸妓など、SKY圏のエリアにある資源を結びつけることにより、ラスベガスやマカオ、シンガポールに負けない魅力を提供することが可能であります。さらに域内交通インフラの整備、新しい観光資源の開発、安全・安心な生活環境・治安環境の整備をするために、カジノの持つ大きなシナジー効果が寄与するものと考えております。
     一部の方は、カジノ合法化への不安材料として治安の悪化を挙げられております。これに対して、カジノに詳しい大阪商業大学の谷岡一郎学長は、カジノ設立で犯罪が増加した例は世界になく、娯楽消費や外国人富裕層の集客といった経済効果による地域振興のメリットは明白であると述べられております。また依存症の問題を指摘される方もおりますが、海外の事例を参考とした研究が、京都大学の先生を中心に研究会により検討されており、カジノに対する不安は解消できるものと考えておりますが、カジノがもたらすメリット、デメリットをしっかり把握し、その対処法を検討していくことが必要であり、具体的に誘致を想定するエリアを定め、地域特性に応じた検討を始める段階に来ているのではないでしょうか。
     二月本会議で、誘致について熱海市という具体的な場所を挙げた質問に対し、知事は「法制化とともに地域住民の理解が重要だと認識しており、熱海市へのカジノ誘致につきましても、ぐらぐらといきそうになりましたけれども、一方で伊豆観光圏、あるいは箱根、湯河原などの一帯は一つの観光圏として今協力関係が進んでおりますので、その地域全体の合意形成というものが必要であります」と、するりとかわされてしまった感もありますが、震災復興という要件も加わり、カジノは日本の成長戦略の柱の一つである観光立国を推進する原動力としての期待が高まっている中、待ちの姿勢ではなく攻めの姿勢を強調する静岡県の観光にはカジノの積極的な取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか。
     知事に、改めてカジノ誘致に向けて、静岡県が主導権を持って取り組むこと、そして熱海ということでなくSKY圏エリアを候補地として、関係県・市町と研究、検討していくというポイントで伺い、さらに立地についても御所見を賜れればと思います。
     第三の質問は、熱海市地内の国道百三十五号及び一般県道十国峠伊豆山線について伺います。
     御案内のとおり、今熱海市は静岡県の東の玄関口としてJR熱海駅前広場整備事業が県の支援によって進められ、JRの熱海駅舎改築と相まって静岡県の東の玄関口にふさわしい様相を呈するのも間もないことと大きな期待が寄せられております。このことに引きかえまして、観光事業に重点を置かれているこの道路、神奈川と静岡の県境を走る国道百三十五号につきましては、ここに入ると同時に、神奈川県側の地勢的条件が異なることもあってか、改良が進んでいることから、静岡県、すなわち熱海市内に入るといささか変化を感じられるとのことが、この道路を利用される多くの観光客を初めとする皆様方の偽らない実感であります。申し上げるまでもなく、この国道百三十五号は、東名高速、厚木道を経て、首都圏を初め神奈川県の人口密集地の京浜地域や湘南地域からも熱海、伊東、伊豆に入る動脈であり、私がこれから申し上げたいこの入り口が熱海市泉門川地域であります。
     本年九月二十一日に静岡県西部に上陸した台風十五号は、県下に大きな災害をもたらしました。この熱海市泉門川地域の国道百三十五号の道路沿いでも、ちょっとした倒木と崩土によって、県境から熱海市伊豆山の交番に至る間が、関係者の努力もありましたが、熱海土木事務所よりいただいた資料によりますと、九月二十一日午後三時五十分から二十二時までの約六時間の全面通行どめとなる被害が報告されております。言いかえれば、道路として東の玄関口は全く六時間を超える間機能を失い、関係自治体、住民の皆様に大変御迷惑と御不便をおかけしたことは既に御承知のとおりであると思います。しかしこのとき、熱海市内に入る・回路を知る人々の車は一般県道十国峠伊豆山線に集中し、大きな混乱の状況を呈したことも、既に御案内のとおりと存じます。今、改めて検証してみますと、この主因は当該道路のうち、熱海市伊豆山七尾峠の間約一キロメートルの間でカーブが多いため見通しも悪く、しかも交通安全施設も完備されず、普通車の交互通行に支障を来す状況があることから九月二十一日の大きな混乱を招いたものであると思います。さきにも申し上げましたとおり、ひとたび国道百三十五号、静岡県への玄関口付近等に障害が生じた場合、県下最大の観光集積地であります伊豆一帯に入る交通路を失うことになり、このことを早期に解消したいとの念願は関係自治体、住民の熱い願望でもあります。
     以上のとおり、熱海市内の国道百三十五号の整備と一般県道十国峠伊豆山線の未整備部分の早急な整備に特段な配慮を求めるものですが、御答弁をよろしくお願いいたします。
     第四の質問は、安心医療の提供のための人材確保についてであります。
     医療の高度化、専門化が進む一方で、高齢化の進行に伴い医療需要の増大が予想される中、医師不足は大きな課題となっております。
     こうした中で、県では、昨年度策定された静岡県総合計画の基本構想において、重点取り組みとして地域医療の再生を掲げ、医科大学、医学部の誘致や医療従事者の就業環境の改善などにより医師等の確保を図るとしております。県内の医療施設に従事する人口十万人当たりの医師数は百八十二・八人で全国順位四十位と、絶対数で医師は不足している状況にあり、本県においては医大誘致を含めた医師確保対策をどのように進めていくのか、県民に対して示していくことが必要であると考えております。
     そこで、まず現在の医大の誘致の状況について御説明をお願いいたします。
     また、県民が安心して必要な保健医療サービスを受ける体制を整えていくことは重要であり、医学修学研修資金の貸与者の定着促進策や医師の負担軽減策について、県内医療機関を初め医師会や市町と連携をとりながら取り組んでいくことが必要であります。
     まず、県では県内における医師の充足を図るため、医学生及び専門研修医に修学研修資金を貸与し県内医療機関への就業を図っており、貸与を受けた方が確実に静岡県内に就業するとともに、末長く県内で活躍してもらえるよう期待しているところであります。
     そこで、その二として、医学修学研修資金の貸与者の県内医療機関への定着を促進するための取り組みについてお伺いいたします。
     その三としまして、県では、医師確保の一環として病院に勤務する医師の負担軽減をするために、医師の事務補助者の導入や産科医と連携した助産師外来等の設置促進などの施策により、医師の転出を一定程度抑止した効果はあると思われますが、加えて地域の医療機関の連携を促進する必要があると考えます。
     また、昨年同僚議員より静岡県立大学に特定看護師養成課程の設立について質問がなされ、医師の負担軽減策の一つとして、医師が行っている診療や治療の一部について、認証を受けた看護師が医師の業務を補助することができる仮称特定看護師について、国では保健師助産師看護師法の改正案を来年の通常国会に提出し、早ければ平成二十五年度の導入を目指していると聞いております。
     そこで、これらの医師の負担軽減策の拡充に向けた県の今後の取り組みや法改正への対応についてお伺いいたします。
     最後の質問は、伊豆の観光再興について伺います。
     カジノ誘致もこの一端でありますが、即効性のある中長期対策の観点から伺います。
     本年十月に公表されました平成二十二年度静岡県観光交流の動向で示されております宿泊客数の推移では、全県で平成三年が二千七百六十五万三千人となっており、平成二十二年では一千六百九十三万八千人と示され、特に伊豆については平成三年の一千九百九十三万五千人から平成二十二年一千二十三万四千人と二十年間で半減しており、景気、経済と大きな観光動態の変化を感じるとともに、改めて観光を基幹産業としている地域の厳しさをこの報告書が示しております。そして本年三月に発生した東日本大震災による計画停電は、観光地を真っ暗な闇に突き落としたと言っても決して過言ではありません。風評被害や消費者の心理の冷え込みは、まさにそれまでの観光低迷に拍車をかけ、倒産や失業者をふやすことになったことは既に十分御承知のことと思います。このような危機的状況のときだからこそ、行政がしっかり救いの手を差し伸べなければならないことは言うまでもありません。
     そこでお聞きしますが、伊豆のブランド力の向上・強化となる観光再興のためのさらなる具体策を求め、県として、改めて短期、中長期の伊豆の観光振興策についてお聞かせいただきたいと存じます。
     以上で、ひとまず質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 橋本議員にお答えいたします。
     初めに、カジノ複合施設誘致についてでございます。
     二度目の御質問、特に熱海への誘致を念頭に置かれた、その熱意に打たれました。
     熱海を含む東部並びに伊豆半島地域というところは観光資源に満ちておりまして、その観光振興につきましては、富士山、そしてジオパークにもなるであろう伊豆半島ということでございますが、先ほど御指摘のように、再来年度には恐らく武家の古都とされる鎌倉と、信仰の対象、芸術の源泉でもある富士山とが同時に世界文化遺産になるということで、国際的な注目が格段に高まると見込まれるところでございます。そうした中で、神奈川県、山梨両県と連携を図りながら、国際競争力の高い魅力ある観光圏の整備を進めなければなりません。豊かな自然と温泉資源を生かした新しいツーリズムの振興など、世界に誇れる観光ブランドの創出を図らねばならないと考えているところでございます。
     その中でのカジノということでございますが、その導入につきましては、海外ではシンガポール、あるいはマカオ、アメリカのラスベガスなど大きな経済効果を上げている事例もございますし、観光産業を初めとする地域産業を活性化し、税収面などに効果をもたらす可能性は否定できません。一方、人心の荒廃や治安の悪化、青少年への悪影響などを懸念する消極的な意見もあるところでございます。またカジノ、ホテル、テーマパーク、ショッピングモールなどの機能を有するカジノ複合施設の立地は、その地域のホテル・旅館業や商業施設に間違いなく大きな影響を与えると考えられます。そうしたことから、それぞれの地域や国民全体の間で広く受け入れられるためには、カジノ導入のメリットとデメリットをしっかりと検討した上で合意形成を図る必要があるという考えには変わりはありません。
     御提言のありました、静岡、神奈川、山梨県をSKY広域圏というふうに言われましたが、なかなかいいネーミングであると感心した次第でございます。静岡の「S」、神奈川の「K」、山梨の「Y」でSKY広域圏、使わせていただきたいと存じますが、そのSKY広域圏におきましては、関係する市町村が県境を越えて連携して、交流人口の拡大を図るために積極的な観光振興の取り組みなどを進めているところでございます。カジノ複合施設の誘致につきましては、議論すべきテーマの一つになったというように認識しております。
     そこで、カジノに関しましては、法制化の動きを注視し、その具体的な制度の内容や条件などを踏まえた対応を行うことが必要ですから、引き続き情報収集に努めます。また必要に応じて県民や市町の意見を把握するなど、カジノが解禁された場合に迅速な対応を図ることができるように取り組みたいと存じます。差し当たって近隣の競争相手となりますと、マカオ、シンガポールですが、そこの客層の大半は中国系というふうに認識しております。そうした中国系の方々に魅力的な地域立地を考えねばなりませんが、関西空港、あるいは羽田空港など中国系の方々が来やすいところとの競争力をどのようにつけるかということもあわせて考えねばなりません。そうした課題を入れ込みながら、このカジノの問題については先ほど申しましたような形で検討してまいりたいと存じます。
     次に、伊豆半島を中心にしました観光再興についてであります。
     県では、東日本大震災によりまして危機的な状況となった本県の観光産業を早期に回復するために、五月補正予算を初めとした三度の補正予算を計上し、各種の緊急誘客対策を行ってまいりました。この結果、震災の影響は脱しつつありますものの風評被害によって海外からの訪日旅行が伸び悩んでいるという状況にかんがみますと、さらなる施策が必要であると理解しています。
     国内につきましては、伊豆地域の主要マーケットである首都圏で七月に、中京圏では九月に、旅行会社を対象といたしました観光商談会を初めて開催いたしました。その結果、新しい体験型のツアーが造成されるなど大きな成果が上がりました。今年度中には、この次は関西圏を対象とした同様の商談会を予定しておりまして、新しい地域からの誘客やリピーターの掘り起こしなどを図ってまいります。
     海外につきましては、やはり風評被害の払拭が喫緊の課題でございます。特に韓国からの来客が激減しております。そこで韓国国内におきまして、本県出身の女優、沼津出身のハングルの巧みな高木りなさんを起用しまして、富士山をテーマとしたコマーシャルを放映したところであります。すべてハングルでなさったということで、韓国で大変高い人気を博されているということで、その効果を期待しているところでございます。そのほかマスメディアの活用や観光展への出展を通しまして、本県の魅力や安全性について引き続き情報発信してまいります。
     平成二十二年に認定されました伊豆観光圏では、観光名所を周遊するワンコインバスの実施や伊豆まるごと周遊ツアーなど新しい取り組みも行われています。さらに現在伊豆半島全域で進めております伊豆半島ジオパーク構想では、伊豆総合高校の生徒さんが伊豆の大地の成り立ちを学び、その成果を小学生や地域住民にわかりやすく伝えるジオツアーを企画するなど、地元がみずから特色を生かした取り組みを進め機運の醸成を図っております。
     このように、静岡県といたしましては、伊豆観光圏や箱根・湯河原・熱海・あしがら観光圏などの広域的な誘客の取り組みを初め、地域における魅力ある観光地づくりを担う若い世代や新しい動きを支援し、伊豆地域を魅力ある観光地として育てることにより伊豆観光ブランドの充実を図ってまいります。
     しかし、県にだけ頼るのではなくて、伊豆地域の方々自身にも新しい中長期的な課題に対応するために韓国からのお客様、あるいは中国からのお客様に対して期待をされるならば、韓国旅行、中国旅行を、みずから企画して行っていただき――もちろん富士山空港を使って行っていただき――そしてそういう韓国や中国からたくさんのお客さんが来られている日本における観光名所を視察していただいて、攻めの観光戦略をおとりになる必要があると存じます。我々も攻めておりますけれども、ぜひ伊豆半島の方々もそうしていただきたい。特に熱海は玄関口でもございますので、首都圏からの方々のイメージがそこで形成される。特に外国の方々が羽田から来られる場合には、熱海をまず見られる可能性が非常に高うございますから、熱海におけるそうした国際性というものがあわせて考えられなければなりません。その国際性の一つはカジノでございましょう。しかしもう一つ、例えば梅園であるとか、あるいは佐佐木信綱先生の施設であるとか、そうした非常に品格のあるものが熱海あるいは伊豆半島全域にございます。そうした歴史や伝統、先ほどおっしゃいました韮山の技術というものもございますし、源氏や北条にまでさかのぼりますと歴史がございます。そうした伊豆全体のアイデンティティーというものを常ににらみながら、同時にどれが世界に通用するのかということをお考えになるために、みずから外に出て国際性を高めていただく、そういう地域住民になっていただきたいと強く願うところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 橋本県議からの振り込め詐欺についての御質問でございます。
     警察といたしましては、検挙と防犯の両面から対策を進めておりまして、検挙に関しましては、だまされたふり作戦という形での検挙を進めております。今年十一月末までに八十七人検挙してございます。また被害者の状況を分析し、被害に遭いかねない人たちに直接届く注意喚起と、だましのトークを見破る方法を教授する、そういう広報啓発活動、これによりまして十一月までに千五百件以上のアポ電を見破って被害を防止しております。また金融機関の窓口、これは最後のとりでになりますが、窓口での助言を行ってもらうということに関しまして、これまで七十件、一億円以上の被害を阻止しているわけであります。しかしながら振り込め詐欺の現状につきましては、御指摘のとおり簡単に携帯電話でだませるということと、海外からのアポ電もふえているということの手軽さということから、犯行は後を絶たないということで本県の被害総額は、十一月末で百四十五件、総額二億五千万円余に上っております。
     こうしたことから、今後の新たに取り組む対策として、まず高校や大学の同窓会への働きかけ――同窓会名簿が最近よく出回っております――それから地域女性団体、介護関係団体、児童・民生委員、家庭を訪問する業務を行っている事業者など被害に遭う危険の高い人々と接する人々の協力をいただき、重層的な防犯ネットワークを通じた直接訴える被害防止方策に努めております。
     また十二月から、交番の警察官が被害者層の中心になっております独居の高齢者宅に的を絞って巡回連絡を行っておりまして、直接面接し広報紙を持参して注意喚起を行っているところです。さらに今後、犯人が犯行に利用している名簿をもとに被害者となるおそれのある登載者に対して注意喚起をすることも検討しております。そのほかこれまで有効に働いておりますその他の手法でありますが、留守番電話。在宅中であっても留守番電話にするということで被害を阻止するという方法があります。こういった有効な方法についてもさらに広報を図ってまいりたいと思います。加えて銀行のATM――犯行の手段として現金を引き出すわけでありますが――ここの利用限度額を引き下げるということによりまして、利用客を窓口の係員に誘導し係員と面接するということによって阻止すると。これを図りたいということで、県内に本店を有する金融機関の協力を得て利用限度額の引き下げを現在進めつつあります。現に進んでおります。
     これら官民一体となった方策により、振り込め詐欺を撲滅すべく取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 熱海市地内の国道、県道の整備推進についてお答えいたします。
     神奈川県と伊豆地域を結ぶ国道百三十五号の熱海市泉門川地内では、平成八年の道路防災総点検で、のり面崩壊などの危険性が判明しました十カ所につきまして防災対策を進めております。本年度までに八カ所が完了し、残る二カ所につきましては平成二十五年度の完了を目途に整備を進めております。
     緊急時に国道百三十五号の代替路となる県道十国峠伊豆山線につきましては、本年度から二カ年にわたり実施しております“安全・安心の道”緊急対策事業などを活用しまして、熱海市泉地内の四カ所において、道路幅が狭く線形の悪い区間の道路の拡幅工事や通学児童の安全を確保する歩道工事等を進めているところであります。
     本年九月の台風十五号では、国道百三十五号が六時間にわたり全面通行どめとなり大変御迷惑をおかけいたしました。その際には十国峠伊豆山線が・回路となっております。このうち議員御指摘の七尾峠付近につきましては、今後、地元の方々の合意を得た上で早期に効果を得るために、待避所設置も含めました一・五車線的な整備によりまして、緊急度や優先度の高い箇所の整備を進めてまいります。
     県といたしましては、関東圏からの玄関口となる国道百三十五号や県道十国峠伊豆山線は、熱海市のみならず伊豆地域の観光を担う道路でありますことから、引き続き災害に強い道路整備を進めてまいります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 安心医療の提供のための人材確保についてお答えをいたします。
     初めに、医大誘致の状況につきましては、現在複数の学校法人と話し合いを行い候補地をごらんいただくなど、誘致に向けた取り組みを進めているところであります。一方、国においては文部科学省が設置した有識者会議による検討会で医学部新設の是非等が議論されておりますが、意見の集約にはいまだ至っておりません。
     県といたしましては、今後も国の動向を注視しつつ、医大誘致の実現に向けて引き続き学校法人との話し合いを進めてまいります。
     次に、医学修学研修資金の貸与者の定着促進につきましては、現在貸与を受けている三百四十六名の医学生等に対しまして、多彩な研修プログラムの提供やキャリア形成の相談窓口の設置など若手医師にとって魅力ある研修環境を用意するとともに、在学中の貸与者には意見交換会の開催やきめ細かな情報発信を行うことなどにより、緊密な信頼関係を築き県内医療機関への就業、定着促進を行ってまいります。
     次に、医師の負担軽減策の拡充のうち、地域の医療機関の連携促進につきましては、全県版の地域医療再生計画を推進する中で、東部地域の医師会が進める二次救急医療機関への開業医による応援体制の整備や、県医師会が主体となって取り組むICTを活用した病院と診療所等の情報共有システムの構築などを積極的に支援し、地域における新たな連携を促進してまいります。
     また、特定看護師の養成につきましては、新たな医師の負担軽減策として注目しているところであり、静岡県立大学が看護教育の拡充に向けて作成した計画の中でも大学院における検討事項として挙げられておりますので、引き続き法制化への動向や医師の負担軽減効果等を踏まえながら、静岡県立大学と連携して検討を行ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 橋本一実君。
           (二十一番 橋本一実君登壇)
    ○二十一番(橋本一実君) それでは再質問をさせていただきます。
     知事におかれましては、カジノについて御丁寧に御説明をいただいてありがとうございます。ただ内容からしますと、二月の御答弁と前進をしなかったなというようなところもありまして、知事がおっしゃるように、待ちの観光から攻めの観光に、それにはやはりせめて調査費ぐらいつけていただくことも可能なんじゃないかなというふうに思ったわけですが、なかなか難しい部分もあろうかと思います。しかしこれだけ観光地が疲弊した中で、今もう全国が総観光地、全世界が総観光地時代というふうに言われているわけですから、全世界の中で、それを競い乗り越えていく、勝ち抜くということについては、やはり意識改革が必要なんじゃないかなと私は思っております。
     カジノについては、教育長や警察本部長については少々アレルギーを示されるかもしれませんけれども、やはりそれを協力してこの静岡が乗り越えていく。そして例えば東京の石原知事、大阪の橋下新市長ですか。カジノについては前向きな発言があるわけですが、やはりこの静岡の魅力からすると、東京や大阪に十分勝てると私は思っておりますので、ぜひそのあたりの見解を知事から再度お聞かせいただいて、また立地についても一言いただければというふうに思います。
     あと、残り時間は短いんですが、警察本部長が新たな策ということで私、伺ったんですが、具体的な新たな策というのは、今取り組んでいる策に感じたわけですが、新たな策ということではお見受けしなかったような感じがいたしますが、再度お答えいただいて、あとは法改正についての見解をぜひお伺いして再質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 再質問のうち、カジノに関する件ですが、東京と大阪に勝てるとおっしゃった、その地域はきっと念頭におありになるんだろうと思いますが、差し当たっては橋本議員の今活躍されている熱海を念頭に置かれているかと存じますが、さらにこの議会でも天野先生から日本平というところが挙がっております。この競争をどう勝ち抜くかという課題もあろうかと存じます。それ以外にもあるかもしれません。それらを大阪あるいは東京という大人口密集地域で、かつ海外の交通手段、なかんずくアジアとの交通のアクセスについては格段に我々より勝っているというところとの競争力をどのようにつけるかということは、これはやはり相当にしっかりと研究しなければならないと存じます。
     差し当たって、今私の、この議会において共有されている可能性の地域となれば、橋本議員と天野議員の出された地域ということでございますが、これら二地域を中心に競争力を検討していくということになろうかと存じます。ともあれ法制化がまだなされていませんが、中央政府の動きを注視しながら、いざなされたときにどういう方向に進むかということについて、ちゅうちょせず反応できるように準備を進めたいと存じます。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 先ほど御指摘の、新たな策はないではないかという御指摘でございますが、よく聞いていただければわかると思うのですが、今月からまず独居老人でありますけれども、被害対象が要するに老人がかなり多いわけであります。かなりタンス預金というのがねらわれています。金融機関に行かなくても直接電話を受けて払いに行くと。それを受け取りに来るから払ってくれという感じの電話が非常に多いわけでありますので、そういう人たちというのは、なかなか一般的に聞いていても自分のことではないということで、ばっとそのときには頭が真っ白になってしまうというところがあります。その手口をじかに直接警察官が説明するということで先週から始めておりますが、交番の警察官、特別巡回連絡という形で、これに的を絞ってやっておると。直接面談して、「どうやってだますんですか」、「どういうふうにひっかかるんですか」と、これをやっておると。これははっきりとして先週からやっていることなんです。ちゃんと聞いてください。
     それから、犯人が利用している名簿、これをどう使うかという形。これはまさに、まだこれはひとつ検討なんですが、名簿で注意喚起するという手もあります。もう一つは名簿を使って、こちらがもう一つだまされたふり、いろんな手口があると思います。怖い名簿をこちらがつくってしまうという手もあります。いろいろな形があると思います。これは新しい方策で出します。
     それから限度額につきましては、これはやっと百万出してくれるところが出ました、まだほかのところは高いです。百万でも十分高いと思います。東京ですと五十万です。業者ですと、とても仕事上支障があるんですけれども、こういった御老人についてはそんな大金を一気に出す必要は全然ないんですね。そういったところも御理解いただいて協力をとっていこうと思っております。
     それから、御指摘の法改正につきましては、これは県レベルの問題ではございません。残念ながら国政、立法府の関係でございますので、これまでいろんな法律がつくられておりますので、今後も厳罰化したことによって減るかどうかは別として、心理的な影響は与えられると思いますので、ぜひともそういったことが進むことを、東京の状況を注視してまいりたいと考えております。
    ○議長(植田 徹君) これで、橋本一実君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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