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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野田 治久 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/23/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県の新型コロナウイルス感染症対策の評価と今後の取組に
 ついて
2 知事の危機管理に対する姿勢について
3 休業要請と協力金対象の課題について
(1) 休業要請対象施設の面積要件
(2) 観光地や宿泊業に対する姿勢
4 四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題について
(1) 感染拡大防止策と医療提供体制の整備
(2) 学校の臨時休業などへの対応
(3) 事業者への支援
(4) 観光産業の回復に向けた取組
5 今後の県財政への影響について
6 感染症に対応した業務継続計画(BCP)の策定について
7 感染症対策を踏まえた避難所運営について
8 感染症に乗じた特殊詐欺被害防止について
9 リニア中央新幹線整備について
10 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへの対応について
11 大規模氾濫時に機能する道路ネットワークの構築について
12 ニホンジカの捕獲対策について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十五号から第百一号までを一括して議題とします。
 議事の都合により休憩します。

○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十六番 野田治久君。
       (十六番 野田治久君登壇 拍手)
○十六番(野田治久君) 皆さん、おはようございます。
 私は、自民改革会議を代表して通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に当面する県政の課題について分割質問方式で伺います。
 初めに、県の新型コロナウイルス感染症対策の評価と今後の取組について伺います。
 昨年十二月中国武漢市で発生したと言われる新型コロナウイルス感染症は武漢市内から中国全土へ、さらには全世界に拡散していきました。今日時点での世界の感染者数は約九百万人、死者約五十万人という未曽有の大災害となっています。国内においては一月中旬に最初の感染者が確認されて以降感染者数は徐々に増え始め、四月上旬に一日の感染者数は七百八人とピークを迎え七都道府県に発令されていた緊急事態宣言を四十七都道府県日本全土に拡大しさらに延長されました。日本国民は法的規制や罰則規定がない中で三つの密や不要不急の外出を避け前向きに行動自粛を実行した結果、感染拡大は小康状態となり今日に至っています。
 静岡県では、二月十七日に新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げて以降、これまでの間医療従事者等とも連携を図りながら新型コロナウイルス感染症対策に懸命に取り組んできたと承知をしています。この場をお借りしまして改めて医療従事者、関係者の皆様、県をはじめ各市町の職員の皆さんの御尽力に感謝と敬意を表する次第であります。
 そして、対策の実施に必要な予算措置も二月、四月、五月と補正予算を編成し今六月定例会においても四度目となる補正予算を編成しています。新型コロナウイルスの感染者数は五月以降新規感染者が大幅に減少傾向にあり本県関係者が一丸となって取り組んだ対策の成果は確実に現れていますが、今後第二波、第三波が発生した場合のことを考えますとこれまでに実施した対策についてしっかりと効果を検証し今後の対策に生かすことが大切であると考えます。
 そこで、現在の新型コロナウイルスの感染状況を踏まえたこれまでの県の感染症対策の評価と今後の取組について、県の考えを伺います。
 次に、知事の危機管理に対する姿勢について伺います。
 私をはじめ多くの県民がこれまでの知事をはじめとする県の新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策が功を奏し高齢者や介護施設をはじめ病院などの集団感染、いわゆるクラスターを防ぎ医療崩壊を抑え込んできた感染症拡大防止対策を評価しています。しかしながら四月十六日に緊急事態宣言が四十七都道府県に拡大された翌日、四月十七日のテレビで生放送された知事の記者会見については大きな不信感を抱いたのは私だけではなかったと思います。会見を見た多くの県民が知事の危機管理意識に疑問を持ったはずであります。緊急事態宣言が四十七都道府県に拡大された翌日の会見にもかかわらず、その内容は静岡県としては休業要請は行わず地域の実情に応じた市町の判断に委ね、県は営業自粛要請と協力金支給を決めた市町に対する支援の検討を始めたというものでした。
 その後の記者との質問のやり取りに対し川勝知事はその中で、知事として休業要請はしない、市町にお任せする、私のほうからは指示をしない、それぞれの市町の決定、意思を尊重する、それぞれの主体性を重んじる、基礎自治体に対しこうしなさいというような指示はしない、目下のところ感染経路不明者は出ていない、県内においては基本的には安全と言えると考える、人の移動についても国も各特定警戒都道府県の知事さんも自らの都民、府民、県民に対して呼びかけられている、私はそれを信じたいと思っているしそれ以上何ができますかなど耳を疑うような発言が多く発せられました。
 確かに四月十七日時点で感染経路不明者は出ていないものの感染者は五十名に迫り、その後数日のうちに感染経路不明者が続出し県は方針を変え六日後の四月二十三日に休業要請を発令するに至りました。一刻も早く県内の感染拡大を阻止するためには当初から特措法上の権限を持つ知事が県全域で統一的な対策を講ずるべきだったと思っています。知事の感染拡大への見立てあるいは予測の甘さや県境あるいは伊豆地域などの観光地に県外ナンバーの車があふれる状況下で、新型コロナウイルス感染への不安と危機感の中で生活をし仕事をしている多くの県民がどれほど大きな不安を抱いていたかという現場の状況を理解していないなど知事のリーダーとしての危機管理に対する認識の甘さが露呈をした四月十七日の記者会見での発言を見過ごすわけにはいきません。
 そこで、就任以来危機管理こそが県の最重要政策であると発言されてきた知事の危機管理に対する姿勢について伺います。
 次に、休業要請と協力金対象の課題についてのうち、休業要請対象施設の面積要件について伺います。
 四月十六日緊急事態宣言が全国の都道府県に拡大されました。これを受け我が県では七日後の四月二十三日に四月二十五日から五月六日までを対象期間として第一弾の休業要請を、さらにはその後五月十七日まで休業要請を延長したことは承知のとおりであります。対象施設については第一弾では遊興施設、遊技施設、集会・展示施設、商業施設など幅広い施設を対象とし、第二弾では遊興施設、遊技施設等に対象を絞り込んでいます。休業要請による営業の自粛は日常の社会生活や経済活動にも甚大な影響を与えることになり対象施設に対する協力金の支給は必要最低限な支援と考えます。
 しかしながら、この休業要請の対象施設の設定について疑問や不公平感、不信感など多くの声が噴出いたしました。県内各地で私たち議員にも、コロナ感染者が拡大し自分の地域でクラスターは避けたいから休業は仕方がない、ただ地域の中でこの状況は皆同じはずなのに休業要請と協力金の対象から外されたことは納得がいかないとか県は対象外にされた我々の事業所の支援を次の補正でやってくれるんでしょうかねなどの切実なお声をたくさん頂戴いたしました。
 このほかにも、休業要請の対象施設について事業所の従業員数や風俗営業に関わることなど多くの指摘はありますが、面積要件について全国を調べてみると千平米という面積要件なしに全ての商業施設に休業要請と協力金の支給をしたのは秋田県と三重県の二県、千平米以下は休業要請の対象外としたものの休業協力要請を発令し協力金を支給した都道府県は東京都をはじめ全国の二十九都道府県に及びます。県内各地で多くの中小商業施設に不公平感や差別感を噴出させてしまった面積要件の設定について、商業施設千平米以下の施設を対象外とした考えを改めて伺います。
 次に、観光地や宿泊業に対する姿勢について伺います。
 休業要請は新型コロナウイルス感染症の拡大防止こそが本来の目的であり、本県の休業要請の対象施設は県外からの人の流入を避けることや三密と集団感染を防ぐために特定警戒都道府県である首都圏や隣接県の感染状況を十分に踏まえた上でその対象施設を設定すべきであったと考えています。
 我が県は多くの世界レベルの観光地が広がる観光立県であります。中でも伊豆地域は年間一千万人が訪れる一大観光地であり、川勝知事も伊豆は世界に誇る観光地であると明言されています。そんな伊豆地域ではコロナ感染拡大の危険性が深刻さを増し始めた二月の末から三月にかけて首都圏の住民が田舎へ避難するいわゆるコロナ疎開現象が顕著になりました。私の周辺でも別荘地にやたら人が多くなった、スーパーやパチンコ屋に県外ナンバーの車が多くなったなどのコロナ感染に対する心配の声が多く聞かれ、三月二十日から三連休は伊豆の主要道路におけるお盆休み並みの大渋滞には驚かされました。その数日後にコロナ感染者が急増したことは皆さん承知のとおりでございます。そしてこの状況に鑑み観光が主要産業である伊豆の各市町が、観光地の責任として人の移動を食い止め住民の安全を守るために宿泊施設や飲食店などに営業自粛を要請しています。
 このような動きに対して、県は宿泊施設や飲食店などは休業要請の対象施設とはせずに市町の自主性に任せ協力金の一部を支援する方針にとどまりました。しかしこの方針は四十七都道府県の統一基準ではなく、愛知県や群馬県など十県では宿泊施設を休業協力要請の対象とし協力金も支給しています。また三重県や愛媛県、鹿児島県では休業要請はしないものの要請期間外への宿泊予約の延期や変更に対し協力金を支給しています。
 静岡県は自他ともに認める観光立県です。であるからこそ新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため多くの観光地を抱える責任と独自性を発揮し宿泊施設を休業要請の対象施設に設定すべきであったと思っています。
 そこで、宿泊施設を休業要請の対象外施設とした理由と根拠について伺います。
 次に、四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題についてのうち、感染拡大防止策と医療提供体制の整備について伺います。
 これまで二月、四月、五月の三回にわたる補正予算に計上した新型コロナウイルス感染症対策に関する事業は国の緊急経済対策などに呼応しどれも緊急に必要な対策、支援であったと認識しており確実かつ早期に実行されなければならないものばかりであります。特に感染拡大防止策と医療提供体制の整備は県民の命と健康を守り県民の不安を解消するためにも早急に対策を講じていくことが強く求められていました。
 そこで、感染予防策の徹底、PCR検査体制や地域外来・検査センター設置などの強化、医療体制の確保など現在の事業計画の進捗状況について伺います。あわせて事業を実施する中で明らかになった課題や教訓を今後の第二波、第三波の発生にどのように生かしていくのか伺います。
 次に、学校の臨時休業などへの対応について伺います。
 県では、緊急事態宣言を受け子供たちの感染拡大防止のため三月三日から県立学校の臨時休業を実施しました。そしてこれによる影響を受ける教育活動等への支援が四月補正予算に盛り込まれました。臨時休校が長期化した中で児童の居場所の問題や児童生徒の教育機会を確保することが重要な課題として浮かび上がりました。現在学校は再開されていますが時差通学や短縮授業、少人数学習、教室の換気などの三密回避への対応、臨時休業においての授業日数の不足に対する長期休業の短縮や土曜授業の実施などの授業指導支援、その他にも児童生徒の心身の健康保持と保護者への助言などの心のケア、部活動の段階的再開、感染予防対策など課題は山積しています。しかしながらいつまた感染が発生し再び学校の休業が実施されるか不安の残るところであります。
 そこで、学校における感染防止対策や教育活動支援のための対策の進捗状況と今後の課題について伺います。
 次に、事業者への支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の急激な縮小を踏まえ、中小・小規模事業者、農林漁業者を支援し県内経済への影響を最小限にとどめるため県は制度融資の拡充による資金繰り支援等の対策を緊急的に実施しています。四月補正予算では県内企業の資金繰り支援や雇用の維持確保等のつなぐ支援に関連する経費を中心に計上されました。また緊急事態宣言が解除されて以降、感染防止策と社会経済活動の両立に配慮しつつ必要な経済対策を適切に実施するとしています。
 四月補正予算の新型コロナウイルス感染症関連の県制度融資の申込み状況は、国の連携対応貸付けを含むと平成二十年のリーマンショックや平成二十三年の東日本大震災時の申込み件数と融資金額をはるかに上回っています。災害時における初動対応が被害の軽減やその後の応急対策に大きな影響を及ぼすものであり、その意味でもつなぐ支援に的確に対応することが重要であります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い事業活動に大きな影響を受けている中小企業や農林漁業者の経済活動維持のための諸事業の進捗状況や今後の課題について伺います。
 次に、観光産業の回復に向けた取組について伺います。
 私が生まれ育った修善寺温泉は伊豆最古の温泉地であり、物心ついたときから今日まで温泉地を訪れる人や車の雑踏、温泉街特有の色彩やざわめきなどが絶えることがなくにぎわいがあふれていました。ところが伊豆市が新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため宿泊業者と飲食業者に休業要請を発令した四月中旬から約一か月間、ほとんどの観光関連事業者が店を閉め町から観光客の姿とにぎわいが消え町そのものがフリーズし時が止まり、まるで白黒の静止画のような状況が続きました。
 六月に入り各観光地ではこのような状況から少しずつ色が戻り始め動き出していますが、新型コロナウイルスと共存せざるを得ない状況下では三密の回避やソーシャルディスタンスの確保などへの対応が求められています。今後感染症対策が旅行者の観光地や旅館選びの重要な要素になるものと考えられ、各観光地や宿泊施設では県の感染予防対策に関する指針に沿って旅行者の安全・安心の確保に懸命に取り組んでいます。
 しかしながら、県の数字がまだ出そろっていませんので修善寺温泉旅館組合の宿泊実例をここで一例に挙げますと対前年同月比では三月五六%、四月八%、五月二%、六月は三〇%前後と予想され大変厳しい状況が続いており旅館、ホテルなどの宿泊業者はもとより仕入業者や飲食店、土産物店やクリーニング業など観光地の様々な事業者、また観光施設や旅行代理店、公共交通事業者など観光関連事業者への影響は甚大であります。経営破綻に至る事業者も複数発生し従業員の解雇や雇い止めも生じるなど観光業界は危機的状況にあります。
 我が自民改革会議では、観光産業振興議員連盟を中心に広く関係団体や地域の声の聞き取り調査を重ね政調会に上申し県当局に要望を続けてきました。こうした動きを受け県では、この機に速やかに観光誘客対策を機動的に展開できるよう二月議会で異例の当初予算の補正予算として三億円が計上され、また今六月議会開会日に十二億円が追加計上されました。経済活動が動き出したまさに今のタイミングでどれだけ効果的な事業展開ができるかが大変重要であり、国によるゴー・トゥー・キャンペーン始動まで切れ目なくスピード感を持って取り組んでいく必要があります。
 そこで、深刻な打撃を受けている県内観光の需要喚起にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、今後の県財政への影響について伺います。
 当面の県の財政運営においては県民の生命、健康を守り事業、生活を守るため新型コロナウイルスの感染防止を最優先課題としてちゅうちょすることなく万全の対策を講じるとともに、新しい生活様式の定着を図りながら事業活動や消費を活発化させていくための対策にも取り組んでいかなければなりません。一方で県全体の財政運営を見ますと本年度の歳入につきましてはそもそも米中貿易摩擦の長期化の影響により県税収入の動向が不透明でしたが、これに新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な経済活動や交流の停滞、外出の自粛による消費低迷などの影響が加わり税収の先行きの不透明感は確実に高まっています。国の二度にわたる補正予算において地方創生臨時交付金などの財源措置がなされていますが、感染症による影響の大きさや交付金の使途などから財政全体をカバーできるものではなく財源確保について一段と厳しい状況になっているのは間違いありません。
 また、このような状況を受けて令和二年度当初予算に計上した事業についても中止や延期、規模の縮小など事業の執行に関して見直しを求めているものが相当程度あるのではないかと想像されます。その一方で激甚化する自然災害への対応をはじめ県の重要施策は着実に進めていかなければならず、こうした状況下での財政のかじ取りは極めて難しいものと思われ大きな課題であります。
 そこで、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う県財政への影響についての認識と今後どのような方針により財政運営を行っていくのか、県の見解を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 野田議員にお答えいたします。
 県の新型コロナウイルス感染症対策の評価と今後の取組についてであります。
 本県では、本年二月十七日に静岡県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしました。これは感染症が拡大する本格化する前のことであります。その時点で感染蔓延が予期されるということで臨戦態勢を取ったということでございます。この対策本部におきまして感染症防止対策の徹底及び県内の社会経済活動への影響の把握と必要な対策の実施を柱とする基本方針を決定いたしました。また感染症の専門家に御意見も賜り全庁を挙げて取り組んでまいったわけでございます。
 特に、新型コロナウイルス陽性者が確認された際は管轄の保健所による綿密な積極的疫学調査を通じて感染経路と濃厚接触者を特定するとともに、PCR検査体制を強化したことにより速やかな検査の実施が可能となりまして感染の範囲がより詳細に把握できるようになりました。迅速かつ適切な対応を可能とする体制をその都度整えてきた次第でございます。
 また、県民の皆様には三つの密の回避や不要不急の外出自粛など感染予防に取り組んでいただきました。特に医療関係者の皆様には皆様と同様感染リスクのある中、日夜治療に従事していただきましたことに対しまして深い感謝の念を持っている次第でございます。
 これらの結果、本県におきましては新型コロナウイルス感染症の累積感染者数が人口十万人当たりにして二・二人程度と他の都道府県に比べて患者の発生を抑えることができている状況であります。これまでの対策は一定の成果を上げていると認識しております。
 しかしながら、本県は首都圏及び中京圏という感染リスクの極めて高い地域に挟まれているということでございます。実際本県で感染されている方々はもうほぼ全てこうした地域と関わりのあった方ということでございます。したがいまして新たな感染拡大に対しては強い危機感も持続しているということであります。
 今後の感染拡大防止に向け、唾液によるPCR検査や抗原検査など新たな方法による検査体制の拡充や患者を受け入れる病床と宿泊療養施設の一層の確保に努めます。県内外の感染状況等を的確に監視分析し、感染拡大の前兆が認められた場合には直ちに県民の皆様へ情報を提供いたしまして警戒を呼びかけ必要な対策を速やかに実施することで新たな感染拡大の防止に万全を期してまいります。
 次に、私の危機管理に対する姿勢についてであります。
 休業要請をはじめとする危機管理の施策は、人々の行動特性と地域の実情を考慮することで初めて実効性が高まります。休業要請は強制力を持つものではありません。県民の皆様、事業者の皆様が休業要請に協力してくださることで初めて実効性が生まれるものであります。
 一方で、事業者や働く人への経済的影響は甚大です。また県の東西で隣接、近接する都県で感染が蔓延してその地域の人々との交流の程度によって県内でも感染リスクが異なります。地域の実情をしっかり見定めることが重要であります。
 したがいまして、休業要請につきましてはこの地域の実情をしっかり見定めそれを踏まえた適切な対応、適切な内容とすることが必要であります。その時々の全国、県内での感染状況とともに地域の人々の移動状況、経済活動状況などそれぞれの地域の実情を踏まえて適時適切に判断しなければなりません。この点で地域の実情に精通している市町長の意向をしっかりお聞きするということは不可欠な条件です。
 さて、去る四月十六日全国に緊急事態宣言が発令されました。本県も指定区域となりました。知事が法律に基づいて県民の皆様への外出自粛あるいは施設の休業等を要請することが可能となりました。その時点における県内の感染者は四十八名でその感染経路がほとんど特定されておりました。そこから県内一律で休業要請を行う段階にはないと判断した次第であります。
 その後、感染経路不明の割合が増えました。県内の市町に感染が蔓延するおそれが高まりました。こうしたときに危機管理は臨機応変に対処しなければなりません。また隣接都県の休業要請の内容を踏まえまして県内一律の休業要請を行わなければ感染拡大が顕著な近隣都県から流入があり得ると、これを防ぐためには県内一律の休業要請を行うことが必要であるとその時点で判断をした次第であります。
 本県は首都圏、中京圏に隣接、近接しており経済的な結びつきや交流が活発でありますことから、こうした地域の感染状況や休業要請の動向を的確に分析しながら休業要請の対象と時期を決定することが極めて重要であります。先ほど申しましたように地域の実情を一番よく知る市町の首長が地域の実情に即して県の休業要請に上乗せする形で実施する休業要請、これも重要であります。このため本県では、市町長が行う飲食店などへの独自の休業要請を行う場合におきましては県が財政的に支援することといたしました。二本立てにしたということであります。このような二段構えの休業要請は全国にも例が少ないものであります。本県の地域特性を踏まえると適切なものであったと確信しております。
 リーダーシップというのはもちろんいろいろな考え方があると思いますが、これをしろあれをしろというふうに指示をあるいは命令をするというのもリーダーシップの一つの形かもしれません。しかし私はリーダーシップというのは人々の力を引き出すことであるというふうに考えております。そして特に危機に際しましては自助、共助が不可欠です。自助、共助がないところで上からの公助があっても回復、復旧は遅れます。そのために常に市町それぞれの地域の実情をしっかり見定めねばなりません。
 特に、例えば議員の伊豆と違い志太榛原では感染者が出ていません。同じように休業要請するといってもそれぞれの実情はしっかり踏まえた上でしなければならないということでございます。部分をもって全体と見誤ってはならないのであります。
 県民の命、財産を守ることは私に負託された最も重要な使命であります。危機管理が本県政策の一丁目一番地であることは何ら変わりありません。私は今後も現場主義を実践しこれまでの知識経験を生かした大所高所での適時適切な判断に全身全霊をかけて取り組んでまいりますし、これからもそういたします。ふじのくに静岡県の全ての県民の皆様をお守りするというのが我々の仕事であります。その負託に応えてまいります。
 次に、今後の県財政への影響についてであります。
 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、これまで四回にわたり補正予算を編成し感染拡大防止と医療提供体制の整備をはじめ事業や生活に影響を受けている方々への支援や社会経済活動の再開に向けた取組など基金を百一億円取り崩して対応してまいりました。また企業の生産活動や消費の落ち込み等により県税収入への影響は避けられない見通しです。県税収入の減少に伴う大幅な財源不足は本年度にとどまらず来年度以降も続くと見込まれ、本県の財政状況はまさに緊急事態であると認識しております。
 このため、本年度執行予定事業の見直しはもちろんのことですが来年度予算編成におきましても徹底した見直しに取り組んでまいります。また県税が減収した際に発行できる減収補填債などの県債も最大限活用いたします。これらにより感染症対策、経済対策で拡大する行政需要に対し当面必要となる財源を確保してまいりたいと考えております。
 加えて、経済が感染拡大前の水準に戻るにはなお一定の時間を要することが想定されております。そうした中、今後の財源確保の視点からも県として早期の経済の回復を促していくことが重要な施策になります。
 幸いにも隣の山梨県は本県と同様に感染が見事に抑えられている地域であります。富士山を共有する両県を合わせますと経済規模、人口規模でニュージーランドにも匹敵いたします。言わばふじのくに国民経済というものを構想することも可能であります。そうしたことでこの国内経済圏を充実、発展させるために域内で財とサービスの消費を拡大する、言わばフジノミクスによる富の創出、経済の活性化を目指してまいります。
 フジノミクスというのはデマンドプルと言っていいかと存じますが、個人消費の中心は家計でなされますのでその家計が全経済の半分以上の規模を誇っております。そこの人々の消費意欲が拡大いたしますと、消費するものが増えると豊かさ感が戻ってまいります。それは幸せ感にもつながっているというふうに思っております。
 そしてまた、サプライサイドにおきましては何といいましても危機管理、この感染症の中では健康不安が大きいのでこの健康産業を富を生む産業に変えていくということで医療健康産業、これを重視すると重点的にここに取り組むということで、デマンドサイドにおきましては個人消費の喚起、財とサービスのさらなる充実、特に山梨県の人々には修善寺温泉などに来ていただくというのはこれを施策的に主体的に進めるということなども考えているわけでございます。また山梨県、静岡県のそれぞれの子供たちが従来の修学旅行先をお隣の県に変えていくということも新しい発見、また新しい新たな経験になるというふうに存じます。
 こうしたデマンドサイドとそれからまたサプライサイドにおける医療健康産業、これの最先進県になるということを柱にいたしましたのがフジノミクスでございます。
 こうしてこれまで以上の徹底した歳出の見直しや財源の確保に加えましてウイズコロナ、いやアフターコロナ時代にふさわしい地域主導型の経済政策により本県経済の成長を促し持続的な県税収入の確保につなげてまいります。今後とも災害対策や重点施策を着実に推進できるよう安定した財政基盤の構築に努めてまいります。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題についてのうち、観光産業の回復に向けた取組についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う急激な需要の落ち込みにより県内観光産業はかつてない厳しい状況にあることから、観光需要の早期回復に向けて迅速かつ効果的な施策を展開することが大変重要です。
 まずは、安心して旅行できる環境を整える必要があります。県内の宿泊施設等を対象として先月策定した新型コロナウイルス感染症に対する対応指針に基づき、事業者の実践に役立つ動画の配信やオンライン研修会の開催など地域が取り組む感染症予防対策を支援してまいります。
 県内観光需要の喚起に向けましては、最初は県民の皆様による県内観光を促進をすることが重要です。これによって地域経済の循環を促す、活性化することが重要です。今月十六日から「バイ・シズオカ〜今こそ!しずおか!!元気旅!!!〜」と銘打った県民の皆様の宿泊代金を一人当たり最大五千円割り引く宿泊支援キャンペーンを開始いたしました。また県内観光地の周遊を促進するデジタルスタンプラリーを開催するほか、交通事業者等が地域の方々と連携して取り組む周遊企画を支援をいたしております。
 さらに、県外からの来訪促進にも努めます。本議会で御議決頂きました六月補正予算を活用し、国のゴー・トゥー・キャンペーンを待つことなく県外からの来訪者も含めた宿泊、周遊促進のためのキャンペーンを展開してまいります。
 このキャンペーンでは宿泊者への本県農芸品等の購入券の配布をはじめ連泊による長期滞在や再来訪する宿泊者への助成を行うほか、交通事業者等が地域と連携して行う周遊企画への支援を継続するなど旅行消費額の拡大を図ってまいります。これらの取組に加え、静岡、山梨両県民の皆様を対象とした駿河湾フェリーの半額キャンペーンや静岡、山梨間で修学旅行の相互訪問を進めるなど本県独自の誘客施策を展開してまいります。
 県といたしましては、深刻な打撃を受けている本県観光産業の一日も早い回復に向け市町、観光関係団体、事業者などと一体となって県内観光産業に広く経済効果が及ぶようスピード感を持って観光需要の喚起に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 休業要請と協力金対象の課題についてのうち、休業要請対象施設の面積要件についてお答えいたします。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業要請は、感染拡大防止の観点から多数の者が利用する施設に対して行うこととされております。具体的な対象施設につきましては同法施行令第十一条で定められており、商業施設等については建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限定されております。
 このため、県といたしましては法令の趣旨に基づき千平方メートル以下の商業施設等については休業要請の対象外といたしました。
 一方、本県は首都圏や中京圏に挟まれ県外からの流入による感染拡大が懸念されることから、市町の要望も踏まえ地域の実情に応じて市町が独自に休業を要請した場合に県として支援を行うことといたしました。その結果熱海市や伊豆市など十五の市町が千平方メートル以下の施設につきましても独自に休業要請を行い、県は交付金による支援を行ってきたところであります。
 県といたしましては、県による休業要請と市町独自の要請の二段構えの対策を実施することで感染防止に取り組んできたところであります。
 次に、観光地や宿泊業に対する姿勢についてであります。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法では、ホテル、旅館等の宿泊部分につきましては休業要請の対象施設とはされておりません。また平成三十年の国の宿泊旅行統計調査によれば本県の東部、賀茂地域では観光客を主な利用者とするホテル等の宿泊者の割合が約八割を占める一方、中部、西部地域では約三割にとどまっており地域的な偏在が認められます。
 このようなことから、県といたしましては法令の趣旨及び県内宿泊施設の利用実態等を考慮し宿泊施設に対する県内一律の休業要請は行わないことといたしました。一方本県は首都圏や中京圏からの流入による感染拡大も懸念されることから、市町が地域の実情を踏まえ宿泊施設の休業を要請する場合県は交付金による支援を行い市町と連携し感染拡大防止に取り組んできたところであります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題についてのうち、感染拡大防止策と医療提供体制の整備についてお答えいたします。
 感染拡大防止策につきましては、マスク等衛生用品や消毒用エタノールを確保し、国内外からの寄附分等を合わせ医療機関や社会福祉施設などに対しマスク五百万枚、消毒液約六万リットルなどを提供したところであります。
 新型コロナウイルスPCR検査につきましては、県の環境衛生科学研究所における行政検査に加え、民間検査機関等へ委託することで検査可能数を大幅に増加いたしました。さらに地域のかかりつけ医がPCR検査を必要と判断した際には速やかに実施できるよう市町及び医師会等と協力し、検査を集中的に行う地域外来・検査センターをこれまでに県内六か所に設置いたしました。今後も各医療圏域に一か所以上設置する方針で検査体制を拡充してまいります。
 医療提供体制の整備につきましては、人工呼吸器などの医療機器の整備や病床確保に要する経費を助成することで重症・中等症患者を受入れる病床を合計二百床確保いたしました。軽症患者の受入れ施設につきましても五月に百五十五室の民間宿泊施設一施設を確保し患者の状態に応じた医療体制を充実したところであります。
 課題への対応といたしましては、病床確保に伴う医療機関の経営面への影響が明らかになったことから空床補償を拡充するなど負担軽減に向けた支援を進めていくとともに、感染のさらなる拡大を念頭に唾液によるPCR検査や迅速な抗原検査など新たな検査方法につきましても感染症専門家等の御意見を伺いながら導入を進めてまいります。
 県といたしましては、感染拡大の防止のため引き続き県民の皆様には三つの密の回避など新しい生活様式による感染予防に取り組んでいただくとともに、感染症専門家や医療従事者の皆様の御協力を得て迅速かつ的確な検査体制と重症度に応じた医療提供体制の確保により県民の皆様の命を守る取組を進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題についてのうち、学校の臨時休業などへの対応についてお答えいたします。
 県立学校におきましては五月二十五日から全ての学校が再開したところでありますが、子供たちが安心して学校生活を送ることができるように感染予防対策を十分に行い教育活動を継続していくことが重要であると考えております。
 各学校では、教室の換気など三つの密を避けるための取組のほか四月補正予算により消毒液や非接触型体温計などの衛生用品を整えて校内での感染予防対策を行っております。さらに高等学校では電車等が混雑する通勤時間帯を避けるための時差通学の実施、特別支援学校では一斉登校の開始に合わせて六月八日から乗車率を引き下げるためスクールバス三十五台を増車し登校時の対策に努めているところであります。
 また、長期間の休業や学校再開後の児童生徒のストレスや悩みに対応するため学級担任が児童生徒への声かけや面談を実施し、不安を抱える児童生徒及び保護者に対しましては養護教諭やスクールカウンセラーと連携した相談体制を構築しております。さらに体力の低下が懸念されたことから、学校再開後は生活のリズムを取り戻していくことを優先して体育の授業や部活動におきましては無理のない運動から段階的に進めてまいりました。
 今後、夏季休業期間の短縮や土曜授業の実施、学校行事の見直し等により授業日数を確保して当該年度の学習内容を確実に終えることとしております。児童生徒の心身に過度の負担をかけることがないよう引き続き注意深く見守っていくとともに、気温や湿度が高まる季節を迎えておりますことから熱中症対策にも万全を期してまいります。
 県教育委員会といたしましては、今後も新型コロナウイルス感染症と向き合い学校における感染及びその拡大のリスクを可能な限り低減し児童生徒の健やかな学びを保障する環境の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 四月補正予算等の実効性と進捗状況、今後の課題についてのうち、事業者への支援についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、県内の幅広い業種に深刻な打撃を与えております。売上げが急減した事業者を対象とした県制度融資への申込額は六月十九日現在で二万六千七百八十件、五千四百五億円に上っており、県では県内中小企業等への資金繰り支援に全力で取り組んでいるところであります。加えて今月に入り新型コロナ関連の解雇、雇い止めが全国で二万人を超えるなど雇用情勢も悪化しつつあります。
 県では、四月補正予算により制度融資の拡充や雇用調整助成金の申請支援に係る専門家派遣の拡充を行ったところでありますが、現在融資の申込みがさらに増加しておりますことから過日六月補正予算として融資枠の拡大や離転職者訓練のさらなる拡充などにつきまして御議決を頂いたところであります。
 また、新型コロナ危機を契機に業種転換や新サービス展開に挑戦する中小企業等への新規助成には二週間で二百件を超える応募がございました。オンラインビジネスの展開などアフターコロナを見据えデジタル化を一気に推進する取組が数多く計画されており、今後これらの取組の県内への水平展開を図ってまいります。
 さらに、バイ・シズオカの一環といたしましてJA静岡経済連の通販サイト「しずおか 『手しお屋』」を活用した農林水産物の販売につきましては約一か月間で六千四百四十件の注文がございました。今後この成果を生かしECサイトを活用した県産品の全国販売を展開していくほか、山梨県と連携した県民相互の県産品購入などの取組バイ・ふじのくにを積極的に推進してまいります。
 県といたしましては、感染症防止対策と社会経済活動の両立に配慮しながらアフターコロナを見据えた県内経済の再生に向けた取組を着実に進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 野田治久君。
       (十六番 野田治久君登壇)
○十六番(野田治久君) それぞれ答弁を頂きましてありがとうございます。意見を一つ言わせていただきまして、要望を一点述べさせていただきます。
 知事から危機管理のリーダーの在り方についてお話を頂きました。危機管理時のリーダーの在り方、ちょっと私の考えるリーダー像と今回の知事のリーダー像とは私は相違があったなと思っています。
 知事から地域の状況を見極め人々の力を引き出す自助、共助をもって常に各地域、市町と協調をして地域の状況を見定めていくというようなお話でしたが、私はこれは平時のリーダーの在り方だと思っています。
 危機の下では、私はリーダーというのはもっと強い責任感と決断力をもって今やらなければいけないことを具体的に県民に示してそれを実行する、その上でしっかりとした発言をする、それが県民の共感、信頼を得るリーダーだとそのように思っています。
 十七日の会見では本当に残念ながらそういう知事の姿勢が私は見れなかったと思っていますし、その後知事がこのコロナ対策について県民の先頭に立って、私が県民を守っていくという姿勢がどうも見えてこなかった。危機管理に対するリーダーとして少し私は物足りないなという気がしておりました。ちょっと残念に思ったものですから指摘をさせていただきます。意見とさせていただきます。
 それから要望でございますが、面積要件でございます。休業要請の面積要件は県民の安全・安心、公平公正という観点から千平米ということにこだわらずに広く支援の枠を県民の中に取ってその上で市町の自主性を整理していく。そういう形が私は正しい支援の仕方ではなかったのかなと思います。今回の二段立ての支援では対象外になった事業者の方が多くいらっしゃいました。こういう方の不満が非常に大きかったと言わざるを得ない。そういう方には厳しい対応だったと私は言わざるを得ないと思っています。今回の対応をよく検証いたしまして第二波、第三波、来てほしくないですけど同じような事態になったときには今回のその辺の対策を十分生かしていただきたいと思います。
 それでは、質問に移ります。
 感染症に対応した業務継続計画――BCPの策定について伺います。
 未曽有の大災害となった東日本大震災をはじめ熊本地震、九州北部豪雨、西日本豪雨、また昨年の台風十五号、十九号など日本では大規模な災害が毎年のように発生しています。こうした大災害時においてヒト、モノ、情報やライフラインなど利用できる資源が制約されることから行政が業務を継続する上で大きなリスク要因となっています。
 このため、県では平成二十四年六月に静岡県業務継続計画――BCPを策定していますが、一方業務を継続していく上でのリスクはこうした大規模災害だけではないことが今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大で改めて認識されたところであります。現在県では新型コロナウイルス感染症について感染の蔓延防止や民間への支援など様々な対策に当たっていますが、同時に県民の生活を支える通常の業務に対応していかなければなりません。新型コロナウイルスに対してはいまだ治療薬やワクチンが開発されておらず、こうした状況下における県職員に感染者が発生した場合利用できる人的資源が限定されることが想像されることから、県民の生活にとって必要な業務をいかに継続していくかは行政にとって非常に重要な課題であると考えます。
 県では、大規模災害発生時に備えBCPを策定していますが、これには新型コロナウイルス感染症をはじめとした感染症の蔓延は想定されておりません。
 そこで、今回の教訓を生かし感染症に対応したBCPを策定すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、感染症対策を踏まえた避難所運営について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の収束に向けて取り組んでいる中、緊急事態宣言が解除されたものの国内では第二波、第三波の発生への警戒が叫ばれており予断を許さない状況に変わりはありません。県民が一丸となって新しい生活様式の徹底を継続していくことが重要だと考えますが、今後超大型台風や集中豪雨、大規模地震、火山噴火などによる大規模災害が発生し地域住民ぐるみで避難が必要な場面も想定されます。多くの住民が集まる避難所はまさに三密が生じる危険性が非常に高く、一たび各地の避難所でクラスターが発生するようなことがあればこれまでの感染拡大防止の努力が水の泡となってしまいます。災害時に三密を回避する避難所運営を行うためにはより多くの避難スペースを確保した上で避難所内で感染防止のための様々な対策を取る必要があり、また住民自ら感染リスクを踏まえた避難行動をとる必要もあると思います。
 そこで、感染症対策を踏まえた避難所運営の実施に向けて避難所を設置運営する市町との連携や必要な資機材等の整備への支援、県民への情報発信などについて県はどのような取組を進めていくのか伺います。
 次に、感染症に乗じた特殊詐欺被害防止について伺います。
 現在、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として各市町において特別定額給付金の給付手続が進められていますが、全国的に新型コロナウイルス感染の不安につけ込み現金やキャッシュカードをだまし取る詐欺被害が増加しています。その手口は感染を気遣う家族やコロナ対策本部員を装うなど言葉巧みに犯行に至るとのことであり、人の弱味につけ込んで金品をだまし取る行為は断じて許されるものではありません。
 また、他の感染症に伴う経済支援に目を向ければ今後事業者への融資や助成金の支給などに関連した詐欺被害が危惧されるところであり、その手口を素早く情報発信することで県民の防犯意識を高めることが重要であると考えます。昨年の県内における特殊詐欺の発生状況は件数、被害額ともに前年を下回ったと聞いていますがそれでも六億円を超えるものであり、多くの県民がこれだけ多額の被害者になっている状況は極めて深刻な状態にあると言えます。
 県警察では、しずおか関所作戦を継続するとともに犯人グループから自宅の固定電話へかけられるアポ電を物理的に遮断する迷惑・悪質電話防止装置の普及促進を図っていると聞いていますが、被害者となりやすい高齢者を中心に装置普及の輪が広がることで本県から特殊詐欺被害の根絶が図られることを切に望んでいます。
 そこで、県内における特殊詐欺と感染症に乗じた特殊詐欺の発生状況及び今後の感染症関連を含めた特殊詐欺被害防止に向けた取組について伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備について伺います。
 四月二十七日にようやく国土交通省が設置する有識者会議が立ち上がり、まずは大井川の水資源問題についてこれまでの経緯等に関する説明が行われてきました。その後第二回会議においてトンネル湧水全量の大井川表流水への戻し方等のテーマに関する論点整理が行われ、第三回以降の会議からはそのテーマに関する科学的、工学的な議論が行われておりその議論の状況については注視していきたいと考えています。
 静岡県議会では、さきの二月定例会において大井川の水資源等への影響を回避することを大前提として流域住民の不安が解消されるように、その声に真摯に耳を傾け本県とJR東海との間で対話が尽くされることを希求する旨の決議を行ったところであります。決議にあるように大井川の水資源、南アルプスの自然環境への影響を回避すること、流域住民の十分な理解を得ることが大前提ですが、一方でリニア中央新幹線整備の議論がいつまでも停滞することは望ましいことではありません。有識者会議における議論を踏まえ課題解決に向けて県とJR東海の対話が深化し事態の進展に向かっていくことを大いに期待しているところであります。
 そこで、リニア中央新幹線整備について国の有識者会議の議論を踏まえ今後どのような着地点を見据えて対応していくのか、改めて知事の見解を伺います。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへの対応について伺います。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に鑑み、本年三月二十四日バッハ国際オリンピック委員会会長と安倍総理大臣、森組織委員会会長との電話会談により東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催の一年延期が合意されました。三月三十日には国際オリンピック委員会の臨時理事会においてオリンピックについては来年七月二十三日から八月八日、パラリンピックについては八月二十四日から九月五日という新たな開催日程が承認され、四月十六日には大会の延期に伴う今後の準備の枠組みが示されたところであります。
 本来であれば明日の六月二十四日から三日間オリンピックの聖火リレーが県内各地を巡る予定でありました。また多くの市町でもボランティア活動や各種イベント、海外選手の事前合宿など様々な準備作業に追われるなど連日お祭り騒ぎが続きオリンピック・パラリンピック本番への機運が最高潮に達しているはずでありました。またオリパラ効果に期待を寄せていた県内各地の観光業やサービス業などの皆さんの喪失感と経済的損失は計り知れないものがあります。
 また、これまで二〇二〇年の開催に向けて自転車競技の準備を進めてきた本県にとって今回の延期は大変残念なことであります。さらには大会の開催自体を危ぶむ声もありますが、開催自治体として現在示されている大会日程を前提に新たな気持ちで準備を継続してほしい、調整してほしいと思っています。
 そこで、延期により追加費用も生じるかと思いますが予算も含め来年度開催に向けてどのように事業を見直し県民のモチベーションを盛り上げ再出発をしていくのか、県の所見を伺います。
 次に、大規模氾濫時に機能する道路ネットワークの構築について伺います。
 近年、台風やゲリラ豪雨による水害が激甚化、頻発化しており、昨年十月の台風十九号は狩野川台風級と称され全国各地に未曽有の被害をもたらしました。私の地元伊豆地域では狩野川台風を上回る総降水量七百七十八ミリを観測したものの、これまでに実施されてきた狩野川の放水路、護岸整備、内水排除対策としての排水機場整備、また日頃の河床掘削、しゅんせつなどが効果を発揮し被害の規模を狩野川台風と比べて大幅に抑え込むことができました。
 一方で、伊豆の国市宗光寺、四日町、函南町塚本などの地区においては被害レベルは以前より縮小されたものの狩野川支流の内水氾濫により緊急輸送路でもある国道百三十六号がバイパス区間も含めて浸水し通行不能となりました。伊豆スカイラインや国道四百十四号など伊豆半島中南部にアクセスするその他の路線においても同時間帯に土砂災害や冠水による通行止めが生じたことから一時的とはいえ伊豆市、伊豆の国市及び賀茂地域が孤立状態となりました。防災ヘリの運用が困難な台風襲来時等における救急搬送や緊急物資の輸送を担う道路網の寸断は県民の命の危機に直結しかねない事態であり、速やかに対応を検討し何らかの対策が実施されるべき課題であると認識を新たにしたところであります。地形特性の違いなどにより県内各地域の被害状況は様々であると思いますが、気候変動の影響を踏まえれば県下全域で同様の事態が発生するおそれがあると考えざるを得ません。
 そこで、大規模な豪雨により浸水が発生した場合においても緊急車両等の通行を可能とする道路ネットワークの構築に向けた取組について伺います。
 最後に、ニホンジカの捕獲対策について伺います。
 私は、有害鳥獣対策についてこれまでに課題の角度を変えあるいは切り口を変えて六度の質問を繰り返してまいりました。五年前の予算は経済産業部、くらし・環境部合わせて二・三億円であったものが今期の予算では五・八億円と大幅に増額されており、その成果は着実に現われています。伊豆のニホンジカは減少傾向にあり農林産物被害も半減をしています。
 しかしながら、伊豆の自然環境を守り中山間地の活力を復活させるためにはニホンジカの生息数を一日も早く適正な生息数まで減らすことが喫緊の課題であることに変わりはありません。
 そうした中、私は今年一月の県議会危機管理くらし環境委員会で兵庫県丹波市にある兵庫県森林動物研究センターを視察いたしました。当施設は人と野生動物と自然環境との共存を目指して調査研究によって裏付けられた科学的な根拠に基づき野生鳥獣の個体数管理、生息地管理、被害管理に一体的に取り組み成果を上げています。また兵庫県立大学の研究部門と鳥獣被害対策に取り組む行政の一部が同居しており両者が一体となって日常的に調査研究し、野生鳥獣に関する最新の知見と情報を市町村や猟友会へも還元し地域の実情に応じた課題解決に大きく貢献をしています。
 こうした兵庫県の取組は鳥獣被害対策に苦悩している本県の参考となるはずであります。すぐにとはいかないまでも将来的にこのような鳥獣被害対策を一元的に管理する体制が静岡県にも必要と考えます。野生鳥獣の被害は、人と野生鳥獣との共存を図るというようなことをもはや論じている余地がないところまで差し迫っており一刻も早く解決しなければなりませんが、野生鳥獣被害の中でも最も大きな課題であるニホンジカの捕獲対策について今年度県はどのように取り組むのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) リニア中央新幹線整備についてお答えいたします。
 国土交通省のリニア中央新幹線静岡工区有識者会議につきましては、これまで県とJR東海との間で行われてきた議論等を検証し今後のJR東海の工事に対して国交省が具体的な指導等を行うことを目的としております。第一回、第二回の会議では水循環やリスク管理の重要性に関するJR東海の認識不足、あるいはまた分かりにくい資料による事業者側の正当性を主張するような説明がございまして座長からも分かりやすい資料の作成を求めるとの御指摘もございました。
 座長の御指摘を受けて、第三回の会議では流量を予測するための水収支解析の限界をJR東海は初めて認めました。こうしたようにJR東海の姿勢にも変化が見られるようになりました。今後科学的根拠に基づく議論が深まり分かりやすい説明がなされることを期待しております。
 会議での議論の結果を踏まえ、国土交通省からJR東海に対しまして大井川の水資源や南アルプスの自然環境が保全されるよう具体的な指導を行っていただきます。
 目下休会中のような形になっております県の専門部会におきましては、引き続き対話を要する事項四十七項目に御関心があることは言うまでもありませんで、そもそもこの四十七項目はこの専門部会で出てきたものであります。それ故有識者会議の検証を見ながら、またそれが終わってからもJR東海による説明を踏まえ、また新たな説明を求めつつ大井川流域をはじめ県民の皆様の御理解をいただくよう科学的根拠に基づいて検証を進めていただきます。
 専門部会の活動が円滑に進むように、遠からず有識者会議に参加していただいている本県の二人の先生から地質構造・水資源専門部会、また生物多様性専門部会の委員の先生方に対しまして有識者会議での議論の内容について御説明を頂き情報の共有と意見交換をする機会を持てる予定でございます。さらに有識者会議での議論につきましては県民だよりや県のホームページなどで積極的に情報発信をしてまいります。それは県民の皆様の御理解の促進に努めるためであります。
 私は、リニア中央新幹線整備そのものに反対しているわけではありません。しかし流域市町の生活、経済活動に必要不可欠な命の水である大井川の水資源、ユネスコエコパークに登録されている世界に誇る南アルプスの貴重な自然環境に悪影響を及ぼすということであれば、これを決して認めることはありません。リニア中央新幹線整備と大井川の水資源や南アルプスの自然環境の保全、この両立が科学的に確認され大井川流域市町、利水関係者をはじめ県民の皆様の御理解が得られることが着地点であると考えております。
 県民の皆様の不安が払拭されるように、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を仰ぎながら全身全霊で取り組んでまいります。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへの対応についてであります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催の一年延期に伴い、大会組織委員会は新たな出発東京二〇二〇大会実施本部を立ち上げられました。来年夏の開催に向けて大会運営計画の見直しを進められております。
 本県におきましても、延期による課題を洗い出し中でございまして対応について検討を進めております。新型コロナウイルス感染症防止対策や大会簡素化の方針などを踏まえ交通輸送対策の検討やテストイベントの実施、聖火リレー及びライブサイトの運営、都市ボランティアの管理等大会準備、運営に関わる様々な計画の見直しを行うなど大会組織委員会や市町など関係する皆様と連携して迅速かつ的確に対応してまいります。
 本年度の予算につきましては、大会の準備や機運醸成など本年度中に必要となる事業費は確保いたしました。その上でそれ以外の経費は減額することにつきまして本議会で承認を頂いております。来年度に向けましては今後の競技日程や聖火リレーの実施方針等の決定を踏まえて所要額を積算してまいりたいと考えております。
 一方、開催一年前となる七月下旬から九月上旬を来年のオリンピック・パラリンピック開催に向けた新たな出発の期間と位置付けまして、新しい生活様式を取り入れたサイクルイベントの実施やオリンピック自転車競技内定選手の激励会を開催するなど改めて機運の盛り上げを図ってまいります。また海外から来訪される選手、関係者、観戦客への受入環境の整備を進めるなどおもてなしの充実に向けた取組を着実に進めます。
 県といたしましては、大会延期によって生じた一年間の猶予期間をチャンスと捉え返しましてより魅力あるオリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催となりますように関係者一丸となって万全の準備を進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 感染症に対応した業務継続計画――BCPの策定についてお答えいたします。
 今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により感染症の被害は人的被害にとどまらず社会経済への長期にわたって大きな影響を及ぼすことが明らかになりましたが、このような状況下におきましても県が県民生活の維持に必要な業務を継続していくことは大変重要であると考えております。
 県では、感染症への対応といたしまして平成十八年二月に新型インフルエンザ等発生時における対応要領を策定し、県職員の感染状況を把握する体制や所属において複数の職員が感染した場合の対応策について定めております。しかしながら今回の事案発生により感染症に対する新たな業務の必要性や三つの密の徹底的な回避といった感染症対策の重要性が再認識されたところであります。感染症蔓延時において優先すべき業務や縮小・中断すべき業務、また必要な人員の確保などにつきまして明らかにしていく必要がございます。
 今後、今回の新型コロナウイルス感染症の対応を検証しつつ、さきに議決頂いた職員へのモバイル端末の導入により自宅等からの業務継続が可能になる点も踏まえ、関係部局と調整を図りながら感染症に対応したBCPの策定につきまして早急に検討してまいります。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 感染症対策を踏まえた避難所運営についてお答えいたします。
 避難所での感染を防止するためには受付の段階で健康状態に応じて入居スペースを区分すること、人との距離を一定以上保つこと、避難者の健康管理を適切に行うことなどが重要となります。
 このため、県では市町と連携し必要な対応策や留意事項等をガイドラインとして取りまとめ七月上旬に策定、公表いたします。また避難所での感染防止のため消毒液や防護服、段ボールベッドや間仕切り、大型送風機などの資機材も必要となりますことから、県の地震・津波対策等減災交付金の補助率を三分の一から二分の一にかさ上げして支援を行っております。
 さらに、避難所での過密を避けるためにはハザードマップにより地域の災害リスクを確認した上で在宅避難や親類、知人宅への避難など多様な避難行動を検討していただくことが重要となります。このため県や市町のホームページ、広報紙等を通じて県民の皆様に自分に適した避難行動の検討手順等について分かりやすく周知してまいります。
 県といたしましては、市町と連携してこれらの取組を着実に進め感染症対策を踏まえた避難所運営を支援してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) 感染症に乗じた特殊詐欺被害防止についてお答えいたします。
 初めに、特殊詐欺被害の現状についてですが、本年五月末現在県内における特殊詐欺被害の認知件数は暫定値で百五十一件と前年同期に比べて二件減少したものの被害額は約二億九千八百万円と約五千四百万円増加しており、依然として深刻な状況が続いています。特に警察官や市職員をかたってキャッシュカードをだまし取る、あるいは被害者の隙を見て盗み取る手口による被害が合計八十一件と全体の半数以上を占めております。
 次に、新型コロナウイルス感染症に乗じた特殊詐欺被害等の現状についてですが、県内では感染防止のための外出自粛に伴い在宅時間が増加した高齢者を狙ったとみられる詐欺電話などが多発しており、五月末現在市町職員をかたる者が特別定額給付金支給名目で銀行の口座番号等を聞き出そうとする詐欺電話などを合計二十九件認知しています。また被害者の息子をかたって、コロナがはやっているけど大丈夫かなどと電話をかけ親を心配する振りをして信用させてから現金をだまし取る手口による被害など五月末現在四件の実害を認知しております。
 県警察では、これらの被害を未然に防止するため県警察のツイッターやエスピーくん安心メールを活用した犯行手口に関する情報発信のほか関係機関と協力してテレビ、ラジオ、新聞等の様々な媒体により県民の皆様に注意を呼びかけております。
 県警察といたしましては、引き続きしずおか関所作戦に基づいた高齢者宅の電話機への対策や被害者となりやすい高齢者への警戒心醸成のための取組を推進するとともに、現役世代に対する働きかけを強化するなど特殊詐欺被害防止対策を関係機関、団体と連携しより一層強力に推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 大規模氾濫時に機能する道路ネットワークの構築についてお答えいたします。
 県では、これまで豪雨による道路の冠水対策として車両が水没し死亡事故となる危険性が高いアンダーパスを中心に排水ポンプの強化や進入防止機器の整備などに取り組んでまいりましたが、昨年の台風十九号で田方地区の道路冠水による通行止めの影響が広範囲に及んだことを勘案し、今後は道路ネットワーク機能への影響が大きい箇所における冠水対策を前進させることが重要であると考えております。
 このため、本年度田方地区で設立される予定の豪雨対策検討会におきまして国や関係市町の道路、河川、都市、農地などの各分野と連携しながら台風十九号を踏まえた水災害対策の一環として道路のネットワーク機能を確保する対策を検討してまいります。この中で道路面のかさ上げにつきましても実現性や効果、隣接地への影響などを検証いたします。また大規模氾濫による通行止めを想定して、通行可能な迂回路をあらかじめ設定し通行止めとなる前の適切な段階で情報発信する仕組みの構築につきまして関係機関と連携しながら検討してまいります。
 県といたしましては、県内全域におきまして大規模氾濫等による道路ネットワークへの影響が大きい箇所を把握するとともに、田方地区での取組がモデルケースとなるようハードとソフトの両面から通行機能の確保に努め県民の皆様が安全で安心して暮らせる地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) ニホンジカの捕獲対策についてお答えいたします。
 本県では、人と野生鳥獣との調和の取れた共存を図りつつも切迫する農林業被害への対応を最優先課題と考え、市町や猟友会等と連携しながらニホンジカの管理捕獲を積極的に進めております。
 昨年度は、過去最多の一万二百七頭を捕獲いたしましたが生息数を伊豆、富士地域それぞれで五千頭とする目標の達成にはさらなる捕獲が必要であることから本年度の目標捕獲数を約一万四千頭に増やしたところでございます。この目標の達成に向けて本年度は有識者で構成するニホンジカ保護管理検討会からの削減効果の高いメスジカを出産期前に重点捕獲すべきとの助言を踏まえ、生息密度の高い地域で夜間にライトを使いメスジカのいる場所を特定する手法を用いて例年より約二か月前倒しして四月から捕獲に着手いたしました。五月末までに約六百頭のメスジカを含む千百二十六頭を捕獲するなど着実に成果を上げております。
 また、民間企業が開発した捕獲したシカを撮影すると同時に位置情報まで可視化できるアプリや筑波大学との共同研究による人工餌場を用いてメスジカを効率的に誘引する技術の導入、県森林・林業研究センターが開発したGPS発信機をメスジカに装着し行動を随時把握するシステムの活用により効率的な捕獲を推進してまいります。
 県といたしましては、検討会に御意見を伺いながらメスジカ重点捕獲の手法を随時検証、改善して捕獲を進めるとともに大学や研究機関と連携して捕獲に関する最新の知見を積極的に取り入れるなどニホンジカの適正な管理が達成されるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 野田治久君。
       (十六番 野田治久君登壇)
○十六番(野田治久君) それぞれ答弁ありがとうございました。
 意見を一つ、要望を一つさせていただきます。
 大規模氾濫時に機能する道路ネットワークのお話でございますが、田方地区をモデルケースとして対策を今後講ずるというお話がありました。台風シーズンすぐそこまで来ておりますし、具体的にどういう形になるか早く住民に示せるように早急な対策をぜひお願いしたいと思います。意見でございます。
 あと要望を一点、このコロナ禍に避難所運営というのが大変重要な課題であってかつ非常に難しい対策を迫られる問題だと認識をしています。今危機管理監からその対策については避難所のスペースを新たに確保するとか分散型で住民の避難行動そのものを考えていただくとか市町との連携が大事だとそういったいろいろなお話を伺いました。しかし今も言いましたように災害は待ってくれない、今年ももうすぐそこに来るかもしれませんのでぜひ早急な対策をお願いしたいと思います。
 昨年私は、台風十九号で伊豆地区大変ひどかったものですからいろんなケースに出会いました。実は車で避難所に避難をしても駐車場がいっぱいでもう引き返してしまった、そういう方や、それから傘を差してお年寄りが避難所まで何とかたどり着いたんだけれども避難所がいっぱいで避難所の廊下にぬれたまま半日放置されたとそういった事例もございました。こういう方は多分もう警報が出ても多分避難はしないというお考えになるんではないかそこを一番心配しています。その上今このコロナ危機でコロナが怖い、なおさらその三密とか対応ができているかどうか分からない避難所へ行くのが怖いとそういった方が自宅へ残る可能性、これを大変心配しています。こういった方をなくさなければならない。
 特に、浸水想定区域とか土砂災害警戒区域とかこういった方地域の方は本当にいち早く市町と地域住民とで対策を練っていただいて災害時にしっかり避難ができて人命等の災害がないようにぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと要望いたします。以上で質問を終わります。
○議長(山田 誠君) これで野田治久君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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