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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

牧野 正史 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2021

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 リニューアル後の静岡県地震防災センターの活用について
2 離婚後の親子への支援について
3 ドライブレコーダーの普及について
4 五周年を迎えるふじのくに地球環境史ミュージアムについて
5 夜間中学の設置について
6 静岡市内の特別支援学校狭化解消について
7 郷土愛を育む取組について


○議長(山田 誠君) 次に、二番 牧野正史君。
       (二番 牧野正史君登壇 拍手)
○二番(牧野正史君) 皆様こんにちは。私は公明党静岡県議団の一員として、県政の諸課題に対し知事、副知事、関係部局長及び教育長、教育部長に一括質問方式で質問させていただきます。
 初めに、リニューアル後の静岡県地震防災センターの活用について伺います。
 今年は二〇一一年三月十一日の東日本大震災から十年の節目を迎えます。改めて犠牲となられた多くの方々に謹んで哀悼の意を表します。
 私の前職の食品グループ会社では宮城県気仙沼市の工場が津波にのまれ全壊しました。震災が起きたのは平日の金曜日でしたが、幸いにも工場は休みで出勤していたのは業務部の数人の方たちだけでした。すぐに裏山に避難し一人の犠牲者も出なかったのは不幸中の幸いでした。その後、工場は国の震災復興支援を受け建て直すことができ四年後の二〇一五年四月に再稼働し現在に至っています。
 しかしこうした大災害も時の流れとともに記憶が風化していくことが心配されます。いつどこで起こるか分からない災害に対して、私たち静岡県民はその教訓を忘れず常に防災意識を持ち備えを進めていく必要があると考えます。
 静岡県地震防災センターは平成元年四月にオープンしました。その後阪神淡路大震災、東日本大震災の教訓を生かすため平成三十一年一月に十一億四千万円をかけて施設の改修に入りました。そしてコロナ禍で若干遅れましたが令和二年六月にリニューアルオープンしました。知る、備える、行動するをテーマに新たに火山、風水害ゾーンを設け面積を今までの一・五倍に拡充し、実際の地震の揺れを阪神淡路大震災のマグニチュード七・三のものから想定される南海トラフ巨大地震のマグニチュード九のものまで体験できるようにしました。
 コロナ禍の影響を受けながらもリニューアルオープン後、現在までに一万三千人が来場しています。来場者は個人のほか企業、消防団、自治会などの団体が多く、特に小学四年から防災教育が始まることもあり児童生徒が県下から団体で来場しふじのくにジュニア防災士取得の流れにもつながっています。また県立大学看護学部では授業のカリキュラムにも組まれており、私が訪問したときも看護学部の学生さんが熱心にメモや写真を撮っていました。
 一方、県が富士宮、島田、浜松で防災イベントを実施した際に来場者にアンケート調査したところ実に五八%の人が地震防災センターのあること自体を知らないという結果でした。防災意識の高い人は自ら来場される傾向があります。デジタル化の時代に入りオンラインで地震防災センターと学校や企業さらに広く一般の方をつないで見ていただくのも一つの有効な方法と考えます。また静岡県はこの半世紀幸いにも甚大な災害による被災経験がないため、避難生活体験プログラムなどを実施し改めて日頃の備えの大切さを肌で感じてもらう必要があると考えます。
 そこで、県として県民にいかに足を運んでもらいより広く防災意識の向上を図るのか、またリニューアルした地震防災センターを今後どう活用していくのか県の所見を伺います。
 次に、離婚後の親子への支援について伺います。
 厚生労働省が発表する令和元年の日本の婚姻数は五十九万九千組、離婚数は二十万八千組です。この数字から日本では三組のうち一組が離婚していることが読み取れます。離婚が増える中、子供の養育費不払いと離婚後子供との面会交流ができないケースが問題となっています。
 国では二月の法制審議会において、父母の離婚に伴う子の養育費に関する問題を解消するため家族法制の見直しを諮問しました。子供を育てることは親の義務であり、離婚により子供と離れて暮らすことになっても親であることに変わりはありません。法律上の親子関係も存続し子供の成長を支えるという親の責任も変わりません。にもかかわらず昨年度県が行った静岡県ひとり親家庭生活実態調査によると、養育費を受給している割合は母子世帯で三八・九%、父子世帯では九・一%にとどまっています。養育費の不払いは独り親家庭が貧困に陥る一因と考えられこうした状況は看過できません。
 面会交流も子供の心身ともに健やかな成長のために重要と考えます。離婚によって夫婦は他人になっても子供にとっては父親母親ともにかけがえのない存在であります。子供は面会交流を通じてどちらの親からも愛されている、大切にされていると感じることで安心感や自信を持つことができ、子供が生きていく上での大きな力になると考えます。しかしながらその面会交流が行われている割合も先ほどの県の調査結果では母子世帯で二八・六%、父子世帯でも五三%にとどまっています。
 私は昨年秋に、本県のひとり親サポートセンターと東京都港区が行う面会交流コーディネート事業を視察しました。いずれも独り親世帯に対し仕事、生活、またキャリアアップのための資格取得支援など手厚く行っています。港区はスタッフの二十名全員が家事調停員経験者で非常に心強い体制をとっています。しかし本県と港区のスタッフの共通課題認識は、離婚時に調停証書、公正証書、協議書などで当事者双方が養育費や面会交流の取決めを交わしていないため面会交流のスタートラインにすら立てない親子が多いのが現状とのことでした。国はこうした状況を改善するため民法の改正を検討する方向ですが、法改正には時間がかかります。
県は子供にとって最善の利益を実現するため養育費の支払いや適切な面会交流を促す施策に積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、ドライブレコーダーの普及について伺います。
 あおり運転が社会問題となり昨年六月に道路交通法が改正され妨害運転罪が創設され、罰則が強化されました。県警察も取締りを強化して安全な交通社会の実現に向け悪質、危険性の高い交通違反へ厳格に立ち向かっていただいているものと評価いたします。
 しかし、法改正、罰則強化がされても今なお大事故につながりかねないあおり運転が時折報道されています。ドライブレコーダーはあおり運転を受けた際の有効な証拠となりまた搭載することで抑止力にもなると考えます。また動く防犯カメラとも言われ結果として行方不明者の捜索や事件事故の早期解決につながります。
 ドライブレコーダーは、本来その記録映像を見て運転のくせや注意点を客観的に確認して見直すことができ、自身の安全運転の意識向上やドライバーの安全教育にも活用できます。普及割合を見てみると県の公用車は九割を超え全車両の搭載も目前です。また県内のバス、タクシー、トラック協会の営業用車両は各協会の調査によれば平均して約九割という高い搭載率となっています。
 一方で国土交通省の調査によれば、自家用自動車の全国での普及割合は四割強であり中部ブロックでもほぼ同様の普及割合です。一般車両への搭載率は半分以下で普及に向けた取組が必要と考えます。
何より本県は二〇一七年六月神奈川県内ではありましたが、東名高速道路上で清水区の御夫妻があおり運転が起因となり命を落とされた死亡事故犠牲者が出た県でもあります。
交通事故防止の観点から今後県ではドライブレコーダーの普及に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、五周年を迎えるふじのくに地球環境史ミュージアムについて伺います。
 平成二十八年に開館したふじのくに地球環境史ミュージアムは今月の二十六日で開館五周年を迎えます。開館以来年間平均八万人が来場し、年四回の企画展や著名人による講演を開催するなど常に趣向を凝らした取組をしています。もともと県立学校の廃校後の校舎を利用して開館した地球環境史ミュージアムは学校の机や黒板、椅子などの備品をそのまま活用した展示デザインなどが評価されアジアデザイン賞や日本空間デザイン大賞など受賞した賞は十を超えます。審査員のコメントでも単なるガラスケースの中の展示物を創り出したのではない、独創性があり視覚的な魅力がある、対話と興味深さを内包し挑戦的であり奇抜である、しかし同時に洗練された空間デザインであると非常に高い芸術的評価を受けています。
 このミュージアムでは、地球の有史以来自然の恵み、水の恵み、地の恵み、熱の恵みのありがたさと同時に自然の脅威、水の脅威、地の脅威、熱の脅威も改めて思い知らされます。また静岡県には全国で最も種類の多い植物の存在や富士山、南アルプスから太平洋に至るまでの多様な生態系のすばらしさを知ることにより、現在課題となっているリニア工事の水と生態系の問題を改めて考えさせられます。
 来場客は小中学校からの団体や夏には自由研究の題材のために来る親子連れまた自然、生態系、環境など専門的に掘り下げるリピーターなどが多いと伺っています。SDGsにもつながるテーマでもあり、例えば館内見学後テストを実施し合格した方はふじのくに地球環境史マイスターに認定され、得た知識をアウトプットして広めていただく工夫など県内外からより幅広い層に来場してほしいと考えます。最近では清水区で出土されたナウマンゾウの牙の化石や焼津で水揚げされたピンク色のカツオが一般公開され、多くの人の興味を引いて、こうした新たな収蔵品も年々増えておりそれらを適切に保管しより効果的に紹介する展示なども必要と考えます。
開館五周年の節目を迎えたふじのくに地球環境史ミュージアムを今後どう展開していくか、県の所見を伺います。
 次に、夜間中学の設置について伺います。
 学び直しのセーフティーネットとして必要な夜間中学の設置について、我が会派は六年前から議会にて質問を継続してきました。一月の国の衆議院予算委員会でも登壇した議員から全国に設置をとの求めに対して、菅首相から今後五年間で全ての都道府県と政令指定都市に少なくとも一つ設置されることを目指し取り組むとの表明がありました。アフターコロナのデジタル化時代に誰一人として取り残さないためにも学ぶ、学び続ける重要性を国が認識していることを頼もしく思います。
 一昨年視察した埼玉県川口市立芝西中学陽春分校の校長先生にコロナ禍での夜間中学の様子を伺いました。昨年の緊急事態宣言に伴う休校中は一日おきに分散登校を実施、また家庭学習用に学校のホームページに授業動画のアップ、そのほかプリントを配布し自主勉強などで対応したが、生徒さん全てにネット環境が整っているわけでもなくプリントの進も個人差があり改めて対面授業の重要性を感じたと言われていました。
 学校再開後は、例年だと昼の本校と合同で行っていた運動会を密を避けるため夜に夜間中学だけで実施、またなかなか行事をしてあげられないため市内のプラネタリウムへ全校生徒を連れていってあげるなど先生方の強い思いを感じました。校長先生がただ勉強をするだけではなく学校を体験させてあげたいという言葉が印象的でした。
 さて、 十二月議会で我が会派から早川議員が県教育委員会が行ったウェブアンケートの目的について質問しました。教育長からは市町ごとのニーズを詳細に把握できるよう全県を対象として年内を目途に調査を行うと答弁を頂きました。
 アンケート調査の結果市町のニーズはどのようなものだったのかを伺うとともに、アンケート結果を受けて今後県教育委員会は設置に向けてどのように進めていくのか伺います。
 次に、静岡市内の特別支援学校狭化解消について伺います。
 県では特別支援学校の狭化解消に向けて、本年四月に伊豆の国市と浜松市北区の二校が新たに開校します。富士特別支援学校も県立富士東高等学校に分校を設置する計画が進んでいます。静岡市には二つの特別支援学校が存在し、県立清水特別支援学校は静岡市立清水小学校内に分校として設置されていたものを清水工業高校跡地に平成二十二年に県立清水特別支援学校として開校しました。もう一校の静岡市葵区にある県立静岡北特別支援学校の狭化解消については昨年の二月議会でも質問させていただきましたが、このたび駿河区の静岡県立静岡視覚特別支援学校に併置される方針が決まりました。これまで静岡市内の葵区、清水区には特別支援学校があり駿河区にはなかったため、静岡北特別支援学校へ駿河区から通う生徒の保護者からは狭化の問題とともに通学に対する相談も絶えなかったため今回駿河区に設置を決定していただいたことに感謝申し上げます。この件が新聞で報道された際は静岡北特別支援学校の卒業生の保護者から喜びの声を頂きました。
設置場所については何年も検討してきたことと考えますが、今回この設置場所に決定した経緯について伺います。また併置した際の相乗効果について、県の所見を伺います。また視覚障害の生徒と知的障害の生徒が同じ敷地内で学校生活を送ることになりますが、それぞれの教育環境や安全配慮について課題があると考えますが、県の所見を伺います。
 最後に郷土愛を育む取組について伺います。
 昨年は新型コロナウイルス感染症の影響により小中高校で例年実施している修学旅行を中止にする学校が多い中、本県では従来の他県を訪れる旅行から静岡県内を周遊するスタイルを採る学校もありました。
 私の地元静岡市立東豊田中学校では、静岡県の魅力を再発見するために生徒自ら周遊旅行プランを立て実施した一連の取組が学校内外に大変好評を博しています。東豊田中学では当初例年どおり京都、奈良の二泊三日を九月に計画していましたが、コロナの第二波が懸念される中、静岡市ワンデイ満喫プランと銘を打ち県内周遊旅行にかじを切りました。
 従来の修学旅行どおり連続三日間使用し、一日目は静岡を愛してやまない外部の八人のエキスパートから静岡の魅力を熱く語ってもらい、その後班ごとに話し合いプランを作成しました。
 翌日の二日目は昨日立てたプランに沿ってフィールドワークを実施。プランの一例として公共交通機関、乗り物を一切使わない歩いて名所自然満喫プランや、ワンデイ海の世界プランでは三保水族館見学後河岸の市で昼食をとり食品水産加工会社にマグロの加工の一部始終を見学、マイナス五十度の世界も体験。そのほかにそれいけ蒲原プランや丸子自然文化巡りプランなどふだん行くことがない隠れた名所や、また大人にない発想のプランが続々と生まれました。
 そして最終日の三日目は、午前中昨日フィールドワークで得た情報を基に班で模造紙を使いプレゼンの企画書を作成、午後はクラスで発表会を行い驚きと納得の観点からみんなで採点しクラスの代表を決定。どれを取ってもとても半日でまとめ上げたプレゼンとは思えないような内容ばかりでした。
 そして日本平ホテルに場所を移動し、選ばれたクラス代表がプレゼンを行うグランドチャンピオン大会を開催。ここにはJR東海ツアーズなどの旅行会社も審査員として参加。中学生のプレゼンを聞いたある旅行会社の担当者は明らかに企業にない発想と企業を上回る熱量、うちの社長がこのプレゼンを聞いたらすぐに採用しろと言うはずと大絶賛でした。
 その後、ゴー・トゥー・キャンペーンを利用した夕食のコース料理でテーブルマナーを学びながら楽しみ、日が落ちかけた頃日本平ホテルの中庭に出ると校長先生がサプライズで用意していた御褒美の花火が上がり生徒から歓声が上がりました。コロナ禍で従来と違う修学旅行となりましたが生徒の心には特別な思い出としていつまでも残ると思います。以上が東豊田中学のすばらしい取組です。青山校長は未来を担う子供たちが郷土を発展させたいという熱情をいかに育むかが教育の使命ですと語っていました。
 今年も修学旅行にコロナがどう影響するかは未知数であり、収束すれば従来の他県を訪問するスタイルに戻る学校もあるでしょう。小学校から中学校にかけて授業や社会科見学等で本県の産業を取り扱いよさや魅力について学習していることも承知していますが、県の施策「三十歳になったら静岡県!」また帰りなんいざふるさとふじのくにのキャッチフレーズを推進するためにも今回の中学校の事例のように子供たちが自ら静岡県の魅力を求め実感し郷土愛を深める取組がいま一重必要と考えますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 牧野議員にお答えいたします。
 五周年を迎えるふじのくに地球環境史ミュージアムについてであります。
 自然史博物館が静岡県に欲しいというのは県民のまた県議会における長年の夢でございました。これを受けてつくられたのが地球環境史ミュージアムでございます。ふじのくに地球環境史ミュージアムは、人と自然の共生を目指す全国初の地球環境史の博物館として、環境考古学の世界的権威である安田喜憲先生を館長にお迎えして誕生したものであります。安田喜憲先生は国際日本文化研究センターの教授をされており一時期同僚でございました。御一緒に本を出したこともございます。スウェーデン王立アカデミー――ノーベル賞を選定するあのアカデミーのメンバーでもあります。亡くなられた文化勲章を受章されました梅原猛先生が最も評価されていた学者のお一人でありました。
 先生がこの館長を御快諾頂いたというのは誠に幸運であったと思っております。研究員を選ぶにも厳しく選定をなさいまして生物、植物、地質学など幅広い分野の研究者が本県の自然に関する調査研究を進めるとともに、百年後の静岡が豊かであるためにというのをテーマにスタッフと対話をしながら知識を深めるユニークな展示や教育普及活動に取り組んでこられたということでございます。
 ハードとソフトで言うならば、高等学校の校舎をそのまま使っておりこれを博物館用に改修したものですから一から建設するのと違いまして大幅に建設費が削減されたということでございます。このミュージアムが優れているのはソフトの力であります。そのおかげで開館以来約三十五万人に御来場頂くとともに、学校や公共施設を会場とする移動ミュージアムを何と三百回以上開催するなどアウトリーチ事業にも積極的に取り組んでいるところであります。また斬新でユニークな展示デザインは、クロアチアで開催された国際会議に日本を代表する博物館として招待、参加するなど国内外で先ほど御紹介がございましたように十以上の賞に輝いているところであります。
 いつぞやは学問に造詣の深い秋篠宮皇嗣殿下が妃殿下を伴われて御視察をされるという光栄に浴したこともございました。今後は幅広い年齢層の方々にも御来館頂けるように、展示室を擬似的に体感できる館内ストリートビューや標本や資料を紹介する動画等のデジタルコンテンツを充実するなど情報発信に取り組んでまいります。
 また、議員から御提案を頂きましたマイスター制度につきましても導入に向けた検討を進めてまいります。さらに八十万点を超える貴重な資料を活用した研究やデータベース化を着実に進め展示の充実に努めてまいります。
 今月二十日には開館五周年を記念して、百点以上の人類の化石と骨格標本を最新の研究成果とともに展示する人類史ライブラリーと名づけた常設展示室を新たに設置いたします。ここでは地球環境の変化とともに七百万年――いわゆる人類の原型が東アフリカでできて以来のことですけれども七百万年の間で人類がどのように進化してきたのかを学ぶことで、現在から未来につながる人と自然の在り方を考えていただきたいと思っております。
 安田館長は残念ながらこの三月をもって御勇退なさいます。しかし続く新館長も優れた方でございます。この機会を借りまして安田館長のこれまでの御尽力に対しまして心から感謝を申し上げたいと思っております。今後も調査研究をはじめ教育普及、展示・情報発信などの充実に取り組みふじのくにの知の拠点としての存在意義を一層高めることで富士山や南アルプス、駿河湾などの美しい自然と水や森、海などの貴重な恵みの未来への継承に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) リニューアル後の静岡県地震防災センターの活用についてお答えをいたします。
 地震防災センターは県民の皆様の地震災害に対する知識の習得と防災意識の高揚を図るため平成元年に開館し、以来防災先進県静岡の防災啓発、情報発信の拠点施設として約百三十万人の方々に利用されております。今回のリニューアルでは地震・津波のほか新たに風水害、火山災害に関する展示を加え、災害を正しく恐れそれに備え行動につなげていただけるような施設となるよう全面的な見直しを行いました。来館者のアンケートでは展示内容につきまして七割の方から非常によいという回答がありました。日頃の備えの大切さが分かり早速家具固定や備蓄を見直したいといった声を多く頂いております。
 一方で、来訪者の八割を地域防災を担う自主防災組織や学校、団体等の利用が占め個人や家族等での来館は二割程度にとどまっております。また県内の来訪者を地域別に見ますと中部地域が六割、東部地域と西部地域を合わせて四割となっております。
 こうしたことから、より多くの県民の皆様に地震防災センターの展示内容を知っていただくため東部や西部地域を中心に各地の学校や市町の防災イベント、ショッピングモールなどに出向いて出張展示を行っております。具体的には災害発生のメカニズムやそれへの備えを取りまとめた大型の展示ボードを設置し分かりやすく解説しているほか、大型ディスプレイにより地震防災センターの館内や展示内容を紹介するPR動画を上映しております。
 また今回のリニューアルでは、県民の皆様に災害を身近に感じ防災意識を高めていただくため企画展示を行うスペースを新たに設置いたしました。先月末まではコロナ禍の避難所運営をテーマに感染防止に必要な間仕切りや簡易テントなど資機材の展示を行いました。今後も東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など過去の大規模災害が発生した時期に合わせて企画展示を行い、来館された方が災害を自分のこととして考え備えにつながるような取組を行ってまいります。
 県といたしましては、これらの取組により地震防災センターを県民の皆様はもとより県外からも多くの方々に来館していただける防災先進県にふさわしい防災力の啓発、情報発信の拠点として活用してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 離婚後の親子への支援についてお答えいたします。
 離婚後の養育費の支払いや面会交流が適切に実施されることは独り親家庭の生活の安定や子供の健やかな成長のために極めて重要であります。しかしながら議員御指摘のとおり、養育費の受給や面会交流の実施の割合は低くその背景には離婚時に子供の養育に関する協議が後回しにされ父母間における取決めが十分になされていないという実態があります。
 県では昨年度策定した第四次静岡県ひとり親家庭自立促進計画に養育費確保や面会交流の支援を重要な施策として位置づけ、今年度から子供のための再出発応援事業として離婚前後の子供との接し方や養育のために必要な手続等を学ぶ離れても子供に笑顔をと題するオンライン講座を開催し動画配信をしております。来年度は市町の独り親支援担当部署のほか離婚を考えている方が離婚届用紙の受け取りや提出に訪れる戸籍担当部署の職員も対象とした研修会を開催し、養育費や面会交流に関する離婚前の情報提供や相談支援に連携して取り組むよう働きかけてまいります。
 また、ひとり親サポートセンターにおいて実施している定期的な法律相談につきましても弁護士を増員し養育費や面会交流に関する相談の充実を図ってまいります。
 県といたしましては、引き続き市町と連携して離婚した独り親家庭の生活の安定とその子供が健やかに成長できる社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) ドライブレコーダーの普及についてお答えいたします。
 ドライブレコーダーは、 議員御指摘のとおりあおり運転対策だけではなく運転者自身の交通安全意識が向上するなど交通事故の防止にも有効であると認識しております。
 民間会社の調査によりますと全国におけるドライブレコーダーの普及割合は平成二十九年の二割から令和二年は四割超に倍増するなど急速に普及が進んでおりますが、交通事故防止を図る観点からもさらに普及することが望ましいと考えております。
 ドライブレコーダーを搭載していない方に対するアンケート調査によりますと導入時期について次期自動車買換え時や点検等のタイミングが挙げられておりますることから、普及のためにはそうした時機を捉えドライブレコーダーの有効性を理解していただくことが重要であります。
 このため、現在策定中の第十一次静岡県交通安全計画の施策にドライブレコーダーの普及促進を掲げるとともに、ドライバーの注意力向上など交通事故防止に役立つドライブレコーダーの効用につきまして県内自動車ディーラーで構成する団体等と連携して自動車購入者等に対して広報啓発を行うほか、県が行う高齢運転者向け講習会等におきましても周知してまいります。
 県といたしましては、 交通事故を一件でも減らすためドライブレコーダーのさらなる普及に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 夜間中学の設置についてお答えいたします。
 県教育委員会では夜間中学の設置に向けて市町ごとのニーズを詳細に把握するため居住市町、年齢、最終学歴、希望理由など六項目からなるウェブアンケート調査を実施し、昨年十二月末時点で百三十三人から夜間中学への入学を希望する回答を得ました。入学希望者の出身国はブラジル、フィリピン、ペルーなど外国の出身者が大半を占め、入学理由として就労や日本語の勉強、中学の教科学習などを挙げております。居住地は浜松市の二十四人が最も多く、次いで沼津市、静岡市、三島市、焼津市の順で県内に広く散在しており、設置場所といたしましては居住市町のほか掛川市、袋井市、磐田市などJR東海道本線沿線が望まれております。また十六歳から七十歳までの幅広い年齢層の方々が学び直しを求めておりまして、中には小学校段階の教育で修了している人もおりました。
 この結果を踏まえ、学び直しの機会を広く提供するため県が主体となり令和五年四月の開校を目指し静岡県立夜間中学――ナイト・スクール・プログラムを設置することといたしました。来年度はひきこもりの方々を支援する団体や外国人支援団体、大学等の関係者を含めた有識者会議を開催し、規模や設置候補地等の基本方針を策定してまいります。また入学希望者が多くの地域にわたることから、設置の効果が十分に発揮できますよう市町と連携を図りながら具体化に向けて取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、誰もが学び活躍できる社会を実現するため新たな学びの場、学び直しの場としてICTの活用を含め夜間中学の設置を着実に進めてまいります。
 次に、 郷土愛を育む取組についてであります。
 子供たちが将来地域の担い手となるためには自分の郷土を愛し誇りを持ち地域の自然、文化、歴史、産業といった郷土の特色を学び深く理解することが必要であります。議員御紹介の教育活動はまさにこのような郷土愛を育むすばらしい取組であると感じております。
 県内の小中学校におきましては、郷土愛を育む道徳科の授業、音楽科や家庭科における郷土の音楽や料理を扱った授業、さらに学年を上がるごとに身の回りの地域から市町へさらに県へと対象が広がる社会科の地域学習等が行われており、自分たちの住む地域を知ることで郷土に関する理解を深めております。さらにこれら各教科で学んだことを基に、総合的な学習の時間等において新しい特産物を業者に提案したり観光パンフレット等を作成して商店に配布するなど地域に対して積極的に働きかける取組が多く行われております。
 県教育委員会では授業づくりの参考として、見学やインタビューなどの体験を取り入れるといった子供たちが主体的に郷土愛を深められるような授業モデルをホームページに掲載しております。このモデルは学校において授業に計画的に取り入れられ子供たちの地域への関心をより高められるよう活用されております。今後はこうした取組を一層推進するため授業の手法を学ぶ研修等の機会におきましても教員に直接伝達してまいります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き市町教育委員会と連携しながら各学校における子供たちの郷土愛を深める活動や授業等の取組を支援してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 静岡市内の特別支援学校狭化解消についてお答えいたします。
 静岡市内の知的障害を対象とした新たな特別支援学校の設置場所につきましては通学負担の解消、交通の利便性、敷地の規模、早期に事業着手が可能であることなどを踏まえ知的の特別支援学校が設置されていない駿河区を中心に検討を重ね決定いたしたところであります。
 異なる障害種の学校を併置することにより双方が持つ進路指導の情報やネットワークを生かしたキャリア教育の充実、視覚と知的との重複障害のある児童生徒への指導体制の強化などの効果が期待できます。また弱視教育における見やすく分かりやすい教材作成のノウハウを知的障害のある児童生徒への指導に活用することにより教育環境の向上が図られるものと考えております。
 施設整備に当たりましては議員御指摘のとおり教育環境や安全への配慮は欠かせないものと考えております。特に視覚障害のある幼児、児童、生徒にとりましては音による状況把握が重要であるため、独立した学習エリアの確保や安全面から動線に配慮した建物配置とする必要があります。また点字表示等の充実、マークや色による表示など視覚障害と知的障害それぞれの特性に配慮した学校づくりを進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、異なる障害のある児童生徒がそれぞれの特性を尊重し安心して伸び伸びと学ぶことができる新たな特別支援学校の設置に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 牧野正史君。
       (二番 牧野正史君登壇)
○二番(牧野正史君) それぞれ御答弁頂きましてありがとうございます。
 要望を一点、再質問を一点述べさせていただきます。
 まず要望ですけれども、離婚後の親子の支援についてオンラインで離婚相談を実施していただけるということでありがとうございます。ただその、なかなか表現として離婚を前提とした相談をやっていますよという広報がしづらいとは思いますが、先ほど部長もおっしゃられたとおり離婚する瞬間というのはもう本当一刻も早く別れたいという親の強い思いが先行してなかなかその後のことを考えられないのが現状だと思います。しかしその後つらい思いをするのは子供たちですので、どうか離婚届の窓口となっている市町とも連携して離婚後も子供が安心して生きていける仕組みの構築をよろしくお願いいたします。
 それでは、再質問をさせていただきます。
 特別支援学校狭化の解消についてですけれども、今回この併置を決定するに当たり併置先である視覚特別支援学校の先生または保護者などの当事者がその協議の場に入っていたのかということと、またそれこそこの併置という言葉なんですけれどもそれは視覚障害の子供と知的障害の子供の校舎を完全に分けての考えなのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
○教育部長(長澤由哉君) 静岡市内の特別支援学校狭化の解消についての再質問についてお答えをいたします。
 静岡視覚特別支援学校への併置の協議でございますけれども、併置をするという決定するに当たりましては関係者の皆様にもお話をした上で決定をしたということでございます。
 それから、建物の配置等につきましてはまだ設計について規模も含めてこれから早急に検討していくことになりますので、完全に分離する部分とですね共通に子供たちが交流したほうがいい部分というのはやっぱりあると思いますので、そのあたり先ほど申し上げましたようにその安全にはきちんと配慮した中で子供たちが一番過ごしやすい環境を整備していくというふうに考えております。以上であります。
○議長(山田 誠君) 牧野正史君。
       (二番 牧野正史君登壇)
○二番(牧野正史君) 御答弁ありがとうございます。
 これから様々なことを決めていきますのでもう再々質問ではなくて要望にとどめさせていただきますけれども、今回この併置が新聞報道された際は先ほど私も述べましたとおり特別支援学校の保護者からは喜びの声を頂きました。一方ではその県の視覚障害協会の方たちから様々な御意見を賜りました。その御意見というのが先ほども述べましたけれども、この併置に関して当事者抜きで決めた、また現場の人間が協議に入っていない、また視覚特別支援学校の先生たちも新聞報道を聞いて初めて知った、寝耳に水だというその不安と怒りの声を早速頂いております。
 ですので要望ですけれども、今後協議の場には視覚特別支援学校の関係者の方も必ず入れていただきたいことを要望します。またその都度進状況の情報提供もしてあげていただきたいと思います。
 この視覚特別支援学校なんですけれども、年齢的には下は三歳の幼稚園児から受け入れて中学三年のところまで子供たち、視覚障害の子供たちが生活しているんですけれども、おっしゃられていたことが環境がそのまま学習になるというふうに言われておりました。どういったことかというと、音の反射や窓が開いてそこから入ってくる風で方向を感じたり、足元の感覚で今ここが校舎なのか廊下なのかということを学んでいくというか区別していくということを言われていました。ですので、視覚障害の子供たちにとっては環境が変わらないことが重要であり今の環境を崩してほしくないということを強く要望を頂きました。
 また一方で、併置になると視覚障害、知的障害共に学ぶことになると思うんですけど、その知的障害の子供たちに対して騒がないでとか走り回らないでとかという、そういうマイナスの言葉もかけてあげたくはないということもおっしゃられていましたので、どうかこれからいろいろ決めていくとは思うんですけれども校舎を完全に分けての併置また安全配慮を要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) これで牧野正史君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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