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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中沢 公彦 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/27/2014

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 総合計画の推進について                     
   新たな基本計画に向けた知事の決意               
2 「命」を守る危機管理について                  
   地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の取り組み
3 「有徳の人」づくりについて                   
 (1) 学力向上に向けた指導力向上や人材の活用            
 (2) 補助教材の選定                        
 (3) 栄養教諭の増員                        
4 「憧れ」を呼ぶ“ふじのくに”づくりについて           
 (1) 観光振興の推進                        
 (2) 東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた我が県の取り組み                          
5 一流の「ものづくり」と「ものづかい」の創造について       
 (1) 経済再生に向けた産業成長戦略                 
 (2) 企業立地の促進                        
  ア 支援制度の充実                       
  イ 工業用地の造成                       
 (3) 中小企業の受注機会の拡大
6 「和」を尊重する暮らしの形成について              
   リニア中央新幹線に係る環境影響評価              
7 「安心」の健康福祉の実現について                
 (1) 障害のある人へのサービス提供基盤の充実            
 (2) 障害のある人への就労支援                   
8 ヒト、モノ、地域を結ぶ「基盤」づくりについて          
   社会資本整備の今後の進め方
9 「安全」な生活と交通の確保について               
   平成二十六年の警察運営の重点                 
10 地域主権を拓く「行政経営」について               
   安心な財政運営のための財源の確保


○議長(中谷多加二君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇 拍手)
○四十五番(中沢公彦君) おはようございます。質問に先立ちまして今月十四日から十五日にかけての記録的な大雪により、県の東部地域を中心に人的被害を初め孤立地区の発生、交通機関の混乱のほか農業被害など大きな被害が発生いたしました。お亡くなりになられた方に対しましては心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞い申し上げます。
 それでは質問をさせていただきます。
 私は自民改革会議を代表し、知事の政治姿勢について及び県の諸課題について、知事及び関係部局長並びに企業局長、教育長、警察本部長に通告に基づき伺います。
 初めに、総合計画の推進についてのうち、新たな基本計画に向けた知事の決意について伺います。
 県では、新たな基本計画の策定に当たって、広く県民の参画を仰いでおります。さらに県議会としても知事への政策提言を行うなど総がかりで取り組んでまいりました。しかし県民、県議会が参画してつくり上げた計画も実行されなければ絵に描いた餅となってしまいます。計画を単なる言葉の羅列で終わらせないためには、今後知事の計画の推進力が問われることとなってきます。
 また、昨年の十月に我が会派からの提言で指摘したとおり、本県は全国に比べて景気の回復が弱いという状況は依然として続いております。さらに平成二十五年の人口流出が全国ワースト二位と、人口減少に全く歯どめがかかっていないなど非常に厳しい状況にあることは明らかであります。こうした本県の危機的状況を好転させるためには、多くの県民が参画して策定した新たな基本計画の実効性を担保していくことが重要であり、そのためには来年度計画初年度の初動を機動的に展開していくことが必要であると考えます。
 知事は、来年度からスタートする新たな基本計画が確実に実行されるよう、どのように推進を図ろうとしているのか、知事の決意を伺います。
 次に、命を守る危機管理のうち、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の取り組みについて伺います。
 県は今年度六月に第四次地震被害想定の第一次報告を、十一月には第二次報告を公表し、あわせてこの想定に対する対策を取りまとめた地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定し、想定される犠牲者を今後十年間で八割減少させることを目指すとしたところであります。今年度におきましても、各市町の地震・津波対策アクションプログラムの策定を支援するための経費など早急な対応が必要となる事業について六月定例会、九月定例会において予算を措置したところであります。このアクションプログラムの実施には約四千二百億円もの莫大な経費が必要であるため、国庫補助金などの国からの財源を積極的に確保していく必要があります。そのためには県は一丸となって政府、省庁へのこれまで以上の働きかけを行っていく必要があり、我が会派としても県民の安心・安全を守るため、積極的に政府、自民党――与党に対して要望していく考えであります。
 そこで、知事は、地震・津波対策の財源確保のために国、政府与党に対して、どのように要望、働きかけをしていくのか伺います。
 また、県民の不安感を少しでも取り除くためにはアクションプログラムの目標を一日でも早く達成することが肝心であり、できるだけ早目に見える形で示すことが重要であります。そこで二年目となる来年度において、地震・津波対策の早期実施に向けた具体的な取り組みについて伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中沢公彦議員にお答えいたします。
 総合計画の推進についてであります。
 新たな基本計画に向けた私の決意についてでありますが、この計画の策定に当たりましては県議会の皆様から貴重な御意見、御提言をいただき厚く御礼を申し上げます。
 先ほど、この計画を総がかりというように形容されましたけれども、今後は県議会を初め県内各界各層の御参画をいただきまとめ上げましただけに、これを県民の県民による県民のための新たな計画というように位置づけておりまして、これを迅速かつ着実に実行していくことが私どもに課せられた使命であると考えています。その意味におきましても、私の強い決意をアクションプランという名称に込めまして、ふじのくにづくりの総仕上げに全力で取り組んでいく所存です。
 このアクションプランにおきましては、現計画の数値目標や工程表を徹底的に見直しました。また目標管理型の計画としての精度を高めました。そして総合計画審議会等による外部評価をこれまで以上に徹底いたしました。こうして計画の実効性を高めることにした次第でございます。また今後直面する課題に対しましても、常に柔軟に対応しながら計画の着実な推進を図ってまいります。
 また、景気低迷や人口減少など喫緊の課題に対応するため、新成長産業の育成と雇用創造、人口減少社会への挑戦など今後四年間で特に力を入れて推進する八つのテーマを重点取り組みとして位置づけました。計画の初年度となる来年度当初予算では必要な施策に重点的に予算を措置し、初動体制を整えたところでございます。さらに仮称ですが、産業成長戦略会議を立ち上げまして人口減少対策の有識者会議などを早急に立ち上げて、各界各層の皆様との連携協力体制の構築を図り、オール静岡で総力を挙げて課題解決に取り組んでいく所存です。
 後期アクションプランが目指すのは、県民の皆様が幸福であると感ずる県民幸福度の最大化です。その実現に向けて、みずからの姿勢、現場主義と前倒しをモットーといたしまして、富士のこの姿に恥じることのないような日本の理想郷を築き上げるために全身全霊をささげて邁進してまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、命を守る危機管理についてであります。
 地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の取り組みについてでございますが、プログラムの実施に要する事業費につきましては、平成二十五年度からの十年間の総額で約四千二百億円を見込んでおります。平成二十六年度の当初予算におきまして関連事業費四百四十四億円を計上し、本議会にお諮りしているところであります。
 事業を着実に推進するため十二月議会で超過課税を御議決いただきました。この超過課税や民間からの寄附金を活用するほか、議員御指摘のとおり国庫補助金などを積極的に確保していく必要があります。春と秋に行っております国に対する静岡県の提案とともに議員の皆様のお力添えを賜りながら、各省庁へ働きかけを行うなど一丸となって財源確保に努めてまいります。
 平成二十六年度の具体的な取り組みといたしましては、まずは防潮堤のかさ上げ、耐震化、粘り強い構造への改良や水門の自動化など対策が必要な百十二カ所の津波を防ぐ施設のうち約五割に当たる五十三カ所におきまして、地域の皆様の御意向を十分に踏まえた上で整備に着手いたします。また市町が行ういわゆる命山や避難用階段などの整備につきましても積極的に支援してまいります。
 住宅の耐震化等につきましては、従来からのTOUKAI―0の事業や本年度から拡充いたしました大規模建築物への支援に加えて、県有施設の天井脱落対策などにも取り組んでまいります。
 ソフト対策としましては、本県が育成した防災士などの地域防災人材バンク登録者を派遣いたしまして、地域の課題を提示し具体的な対応を検討する訓練――イメージTENというふうに言っておりますが――これはイメージトレーニング・アンド・エクササイズ・オブ・ネイバーフッドの頭文字をとってイメージTENということで、これは近隣の訓練、イメージ訓練を意味しておりますが、こうしたイメージTENを県内各地域で実践するなど県民お一人お一人の災害対応力の向上を図ってまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みによって想定される犠牲者、目下十万五千人というように想定しておりますが、この犠牲者を八割減少させるという減災目標を計画期間内に達成し、一人でも多くの県民の命が守られるように進めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) それでは要望一件、質問一件をさせていただきます。
 まず、要望については総合計画についてでありますが、ぜひこの総合計画を確実に遂行することを強く望むわけでありますが、くれぐれも御注意いただきたいのは、言葉――フレーズだけが先行するような形にならないようにしていただきたいなと思っております。やはり静岡県には静岡県の身の丈に合った活動、事業が必要でありますし、その実効性のある施策推進をすることで確実に県民の皆様のお手元に手にとる形でわかるような事業政策をぜひお願いしたいと思っております。
 質問については、地震・津波対策についてであります。
 おっしゃっていただいた内容は、本当にどれも確実に遂行しなければならない重要な案件であります。私が自民党の県議会議員だから言うわけではありませんが、自民党――与党を含めた政府省庁に対する要望活動、積極的なコンタクトをとりながらの折衝活動というのは、これからさらに重要性を増してくると思っています。その辺について知事または当局の皆さんは、要望活動についてどのような姿勢で取り組むおつもりなのかを改めて伺いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 国と県との協力というのは極めて重要です。特に本県のように東海道の幹線のど真ん中にありますだけに本県が被災いたしますと日本全体に大きな影響がございます。そのために日本のために静岡県が何ができるかという観点から常に考えているところでございます。
 そうした観点で、今回例えば基幹的な広域防災拠点につきまして、自民党の望月先生の御協力もいただき塩谷先生ほか県議会の皆様方、国会議員の先生方と御一緒に関係大臣に説明に行けたということを大変感謝しております。またそれによって御理解も深まったのではないかというふうに思っておりまして、こうしたことは陳情というよりも県と国とが一緒になってやるということで、文字どおり議員の御指摘のとおり党派を超えて人々の命を守るために我々が何ができるかということで、最善を尽くしてまいるというのが私の考えでございます。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) ぜひ私たちはこう考えております。自民改革会議という県議会における会派としては、当然のことながら当局との是々非々をやりながら県政発展のために、また県民の幸福度向上のために、引き続き我々は是々非々の姿勢を持って行政監視機能を高めていきたいなと思っております。
 自民党という立場としては、国に対して、また政府与党に対して県民のためになることであれば労を惜しまずに徹底的に折衝、交渉を重ねていきたいと思っておりますから、そういう意味では我々はめり張りをつけて、ときには目いっぱい知事に苦言を呈すこともありますが、場合によっては国に向かってしっかりと一緒になって文句を言っていくということもしなきゃいけないと思っておりますので、その辺の知事の自覚と責任と御覚悟をお願いしたいと思っている要望をして次の質問に移ります。
 次に、有徳の人づくりのうち、学力向上に向けた指導力向上や人材の活用について伺います。
 平成二十五年九月県議会定例会で我が会派の増田享大議員の学力向上に向けた指導とそれを補完する家庭学習のあり方についての質問に対して、教育長は学校と家庭のそれぞれ取り組むことなどをわかりやすくまとめた保護者、教員向けの一体型リーフレットを作成配付するなど教員の授業改善を推進するとともに、子供が積極的に家庭学習を行うよう取り組んでいくと答弁されております。また県教育委員会では学力向上対策本部を設置し具体的な緊急対策を企画して実行したり、市町教育長会や県校長会と連携を図り、情報交換や協議を行い学力向上に関する具体策などを検討したと聞いております。
 しかし、子供たちの学力向上を図るために最も重要なのは授業であり、子供に確かな学力を育む授業改善に向けた教員の指導力向上のための研修や子供たちの学習を支援する適正な人材の活用が必要であると考えます。
 今年度の学力・学習状況調査の結果を踏まえ、来年度の本県の子供たちの学力向上に向けての対策について、教育長の所見を伺います。
 次に補助教材の選定についてであります。
 静岡県の子供の確かな学力を育むためには、授業等で活用するドリルや単元テストなどの適切な補助教材の選定が重要であることは、我が会派の議員により重ねて問題提起を行ってきたところであります。
 九月定例会では、増田議員が補助教材の選定方法について質問したのに対し、安倍教育長は、県教育委員会で今後補助教材の選定等について各学校の実態を調査すると答弁しております。この答弁を受け県教育委員会では、十一月に政令市を除く県内公立小中学校に補助教材に関する実態調査を実施したとのことであります。
 また、十二月の文教警察委員会では天野一議員、東堂議員の調査結果を踏まえた補助教材の選定に係る質問に対し、各学校における補助教材に関する手続事務及び使用状況について、市町教育委員会が引き続き的確に把握等に努めるよう指導すると答弁しておりますが、県教育委員会ではその後どのような指導を具体的にされたのか、教育長に伺います。
 次に、栄養教諭の増員についてであります。
 各学校における食育の推進を図るには、学校にいる教職員全員が教育活動全体で取り組んでこそ効果があらわれると考えます。そのためには学校全体の食育の推進体制の整備が必要です。栄養教諭は教員免許法に基づく免許状の所持者であり、一定水準の教職の専門性が担保されている者であります。食育推進のための全体計画を作成し、その計画に従って各教職員が役割を十分に果たす体制をつくり上げ継続させていくことが、栄養教諭の本来的な職務と言えます。つまり学校全体の食育の推進を担う職責を有しているのが栄養教諭と言えます。本県の学校の食育指導体制の充実を図るためには、教職員個々の力量のみに依存することなく教職としての専門性が担保されていて、その職務として食育を担う栄養教諭を多く配置することが望ましいと考えます。
 しかし、残念ながら本県の栄養教諭の配置率は全国と比較すると下位に低迷していたため、我が会派としては栄養教諭の増員について重点的に要望してきたところでありますが、平成二十六年度は、六十四人をふやすということで大幅な増員がされるとのことであります。
 食育推進については、さらなる増員を図る必要があると思いますが、今後の見通しについて伺います。
 次に、憧れを呼ぶふじのくにづくりのうち、観光振興の推進について伺います。
 昨年、政府の観光立国推進閣僚会議で観光立国実現に向けたアクションプログラムが決定され、国の成長戦略に盛り込まれました。その中では、昨年一千万人を達成した訪日外国人旅行者数をさらに二千万人にするという大きな目標が立てられています。
 本県においては富士山の世界遺産登録が実現し、さらには東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、各地域でこの機会に合宿の誘致のための準備が始まるなど観光への機運は確実に高まっております。一方で外国人誘客の大きな鍵となる大韓航空が運休を決定したことは懸念材料であり、県当局のさらなる空港利活用を求めるものであります。観光は関連する産業の裾野が広く、幅広い経済波及効果が期待される分野であり地域活性化への重要な手段でありますことから、その施策にかける期待も大きいわけでございます。
 平成二十四年度、本県の観光交流客数は、前年度と比べ六・五%増となるなど東日本大震災の影響から脱し回復傾向となり、今年度に入ってもさらに増加傾向が続いております。この勢いをさらに持続させるため、観光施設整備など受け入れ体制の充実を図った上で積極的な観光誘客を進めていく必要があると考えますが、現在策定中のふじのくに観光躍進基本計画において、どのような戦略で本県の観光政策を進めていくのか、県の考えを伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた我が県の取り組みについて伺います。
 去る一月二十四日に一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が設立され、会長には森喜朗元内閣総理大臣であり公益財団法人日本体育協会名誉会長が就任されました。若干の失言が気になるところでありますが、今後国や東京都、日本オリンピック委員会との連携を図り、オリンピックの成功に向けて力を結集していくことになります。早速文部科学省では、来年度以降二〇二〇年オリンピック東京大会において活躍が期待される年代の競技者に対して、新たに育成強化プログラムを実施することとしています。そこで本県出身のアスリートがより多く活躍するためには二年後に行われるリオデジャネイロと、その四年後の東京大会を見据えた強化策を行う必要があると考えています。また東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定は、開催地の東京都等だけでなく、全国各地においてスポーツ振興、観光振興を初めとする、さまざまな波及効果が期待されています。
 県では昨年十月に推進本部を立ち上げて積極的に取り組むとしておりますが、今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、一流のものづくりとものづかいの創造のうち、経済再生に向けた産業成長戦略についてであります。
 我が国の景気は現安倍内閣の経済政策、いわゆるアベノミクスの効果もあり、日経平均株価の上昇や極端な円高の是正が進み、本年一月十七日に内閣府が公表した月例経済報告では、景気は緩やかに回復していると、リーマンショック前の二〇〇八年一月以来、実に六年ぶりに回復しているとの表現が使われるまでになっております。
 一方、県が公表している直近の静岡県月例経済報告平成二十六年一月号では、個人消費が緩やかに増加しつつある中、設備投資が持ち直し、輸出や生産にも持ち直しの動きが見られるなど本県の景気は持ち直していると報告されております。
 確かに各種の指標からは持ち直しの動きが見てとれるものの、例えば有効求人倍率を見ましても昨年十一月には五年一カ月ぶりに〇・九倍を上回る状況にまで持ち直してはおりますが、全国値を十八カ月連続で下回るなど全国に比べまして本県経済の回復に向けた動きには力強さが見られない状況にあります。また日本銀行が実施している企業短期経済観測調査いわゆる日銀短観では、企業の景況感を示す県内の業況判断指数が九月、十二月調査と連続して支店別で全国最下位となったものが報道されており、大変に懸念されるところであります。
 県では、現在総合計画の次期基本計画を策定中でありますが、本県経済の力強い再生を図るためには組織改編を含めて静岡県の本気度を示すことが求められており、経済再生に向けた経済成長戦略をしっかりと描き、その戦略のもと実効性のある経済対策を早急に実行していくことが必要と考えます。
 そこで、今後本県経済の再生に向けてどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、企業立地の促進のうち支援制度の充実について伺います。
 新しい企業の立地や既存企業の投資促進を図るためには、今まで以上に企業が立地したい、新たな投資を行いたいと思うインセンティブが重要ではないでしょうか。本県の課題点を挙げれば、まず一点目は工業用地の不足が挙げられます。整備された工業用地は企業のニーズに合致しやすく、またアクセス、水などの環境も整備されていると思います。そのためにも各市町において、計画や構想を持っている工業用地開発を促進するための支援策が必要であると考えます。
 二点目は、競争力のある分譲価格の実現であります。首都圏の圏央道の周辺では坪十万を下回る価格で工業用地を分譲しているとのことです。競争に勝つためにも対抗できる分譲価格の実現が必要であります。
 三点目は、県内企業の投資動向をしっかり把握するということです。今本県の企業が何を問題として、どういう動きをしようとしているのかを知るためには、訪問活動や投資動向の分析など力を入れる必要があると思います。
 これらの諸課題を踏まえ支援制度の充実にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、工業用地の造成について伺います。
 地域の活性化と産業競争力の強化のためには、企業立地の促進は最も重要な施策の一つであります。しかしながら先ほども申し上げたとおり、本県の工業用地のストックは不十分であり進出を希望する企業のニーズに応えることができないことから我が会派では、企業誘致推進のための支援制度の充実とあわせ新東名のインターチェンジ周辺を中心に工業用地の早期整備を要望したところであります。
 そんな中、企業局では来年度当初予算において内陸のフロンティアを拓く取り組みに関連して、モデル的に先行的な工業用地造成を実施することとしておりますが、今後の工業用地の開発にどのような方針で取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、中小企業の受注機会の拡大について伺います。
 全国的に景況感の改善が進む中で本県経済の景気回復の足取りは重く、特に本県企業の大部分を占める中小企業にとって大きな課題となっております。加えて四月からの消費税率の引き上げにより消費税の価格転嫁がスムーズに行われず、中小企業が不利益をこうむることも懸念されるところであります。県内経済を活性化させるためには、本県経済を支える中小企業が元気になることが大事であり、我が会派では今定例会に県、関係団体及び県民等が中小企業が地域経済や県民生活の向上に果たす役割を理解し、その受注機会の増大に努めることを目的とした中小企業者の受注機会の増大による地域経済の活性化に関する条例を議員提案することとしております。
 そこで、県として今後中小企業の受注機会を拡大させるための具体的な対策について、どのように考えておられるのか所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 憧れを呼ぶふじのくにづくりについてのうち、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けた我が県の取り組みについてお答えいたします。
 議員御案内のように、東京へのオリンピック・パラリンピックの誘致が決まるや本県は直ちに静岡県東京オリンピック・パラリンピック推進本部を立ち上げました。この本部におきまして、県内のスポーツ施設や市町の受け入れ意向など競技合宿の誘致に必要な事項を調査するとともに、東京都、観光庁、台湾の交流機関、モンゴル国駐日大使館等々への情報提供を始めるなどスピード感を持って取り組んでいるところであります。
 例えば、先般富士山の日の記念行事出演のためにモンゴル国立フィルハーモニー交響楽団が来静されました。それを率いて本県に来られたモンゴル国文化・スポーツ・観光省副大臣と親しくお話をする機会がありました。そしてその場には大石哲司前県議会副議長もいらっしゃいまして、私ども、ぜひ日本の夏になれていただくために、本県としてできる限りの御協力を、特にモンゴルが得意としている格闘技――レスリング、柔道、ボクシング等で合宿をされるなら喜んで歓迎すると申しましたところ、大変に感謝をされまして、できれば本年からともいうふうに言われたぐらいでございました。これが実現することを期待しているところであります。
 来年度は、文化・観光部にスポーツ交流室長ポストを新設いたします。大会開催までのロードマップを策定するとともに、本県のスポーツ施設や宿泊施設、観光の魅力などを取りまとめたプロモーション映像を作成し、日本オリンピック委員会や組織委員会、各種競技団体、大使館等に向けて積極的な誘致活動を展開してまいります。また誘致を希望する市町に対しましては、競技種目やトレーニング会場、宿泊場所、住民との交流事業などを盛り込んだ誘致戦略の策定を支援してまいります。
 さらに、オリンピック出場を目指す県内のアスリートを強化選手に指定いたしまして、合宿、海外遠征、トレーナーとの契約、練習環境の充実など幅広い支援を行うことによって東京オリンピック出場五十人を目標に若い世代の育成強化に取り組んでまいります。推進本部におきましては、東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に競技力向上や競技合宿誘致などによるスポーツ振興はもとより、観光、文化、国際交流などさまざまな分野での波及効果が得られますように、県内市町とも連携しつつ全力で取り組んでまいります。
 また、先ほど森元総理の話が出ましたけれども、多家一彦先生の御協力、あっせんを得まして、明後日三月一日に、森閣下と親しくこの件についてもお話しする機会が得られるものと思っておりまして、国と県との連携も、こうした機会を全面的に利用してまいりたいと思っているところでございます。
 次に、一流のものづくりとものづかいの創造についてのうち、経済再生に向けた産業成長戦略についてであります。
 本県経済を支えてきた輸送用機械や電気機械を中心とした製造業が、経済のグローバル化や国内市場の縮小に対応いたしまして生産体制の再編が進んでおります。こうした動きが県内の経済と雇用に影響を与えているものと認識しております。
 本県では、持続的な経済発展を目指し、多極的な産業構造を構築するためにファルマバレープロジェクトを初めとした静岡新産業集積クラスターの推進や新しい成長産業分野への地域企業の参入支援、企業誘致等々、鋭意取り組んでまいりました。この結果平成二十四年の医薬品、医療機器の生産額が三年連続で全国第一位となり、一千億円規模で毎年生産額を伸ばしておりますが、ついに平成二十四年、一兆円を超えました。各プロジェクトは着実に成果を上げておりまして、本県経済を支える産業に育っていると認識しております。
 こうした取り組みをさらに加速いたしまして、次世代産業の育成を、また次世代産業の創出を強力に推進していくためには、官民が一体となって取り組むことが非常に重要であると存じます。このため新たに本県産業の成長戦略を検討する場として、産業界、金融界にも入っていただきまして、そうした代表の方々をメンバーとする産業成長戦略会議、目下のところは仮称でございますけれども、これを来月立ち上げます。本県産業をさらに成長させるための新しい施策や企業の事業活動を活発化させるための環境整備などにつきまして、短期と中長期それぞれの視点から御意見を賜り、迅速に実施してまいりたいと考えています。
 新年度から産業戦略担当の県理事と専任チームを配置いたしまして体制強化を図ります。この産業成長戦略会議――仮称――で提言をいただきました施策のうち速やかに対応が必要なものにつきましては、今議会でお諮りしております産業成長戦略推進のための予算を活用させていただきまして、具体化してまいりたいと考えています。
 本県経済を本格的な回復軌道に乗せて持続的に発展させていくために、産業界、金融界と一体となりましてスピード感を持って、未来につながる産業構造の形成に取り組んでまいる所存でございます。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 有徳の人づくりについてのうち、学力向上に向けた指導力向上や人材の活用についてお答えをいたします。
 来年度に向けた取り組みとしましては、学力向上推進協議会からいただきました報告書等を踏まえ学力調査問題の活用に加え、授業改善や人材の活用等を推進してまいります。
 授業改善につきましては、来年度各教育事務所に地域支援課を設置し、指導主事による学校訪問を充実させ学校の実態を踏まえた適切な指導助言を行うことにより、教員の指導力向上と校内研修の充実を支援してまいります。このため既に県及び市町教育委員会の指導主事が一堂に会した研修会を実施し、授業改善の視点や全国学力・学習状況調査を生かした学校改善について共通理解を図るなど指導主事としての力量の向上を図っているところであります。
 また、人材活用につきましては、知識と専門性にすぐれた退職教員等を非常勤講師として配置し、習熟度別指導やチームティーチングを拡充したり地域人材を活用した支援サポーターを配置し、放課後の学習を支援したりするなど子供の実態に応じたきめ細かな指導を行ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、これらの取り組みを市町教育委員会と連携を図りながら効果的に進め、児童生徒の学力向上に努めてまいります。
 次に、補助教材の選定についてであります。
 各学校における補助教材の取り扱いにつきましては選択、決定の手順及び保護者等の理解について、より高い透明性と説明責任が求められていると認識しているところであります。
 そのため、県教育委員会では、本年一月に補助教材の選択から決定までの流れや保護者等への説明、補助教材の有効活用等について記した補助教材取扱いガイドラインを作成いたしました。そして本ガイドラインの内容を十分理解してもらうために、市町教育委員会の教育長や公立小中学校の校長に対して直接説明するとともに、さまざまな教材の出版に関する情報の提供も行ったところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後学校訪問等を通し補助教材の使用状況を把握するとともに、選択、決定について適切な指導助言を継続的に行ってまいります。また各市町教育委員会に対しましては、補助教材の届け出等に関し必要な指導・支援を行い、より透明性の高い補助教材の取り扱い業務が進められるよう努めてまいります。
 次に、栄養教諭の増員についてであります。
 栄養教諭は、各学校において食育の全体計画の作成、教科や特別活動で食に関する指導を行うなど食育推進の中核的な役割を担う存在であると認識しております。県教育委員会では平成二十二年三月に小中学校における栄養教諭スピードアップ配置計画を策定し、栄養教諭の増員を図ってまいりました。その結果今年度には五十二人の栄養教諭を全市町に配置し、献立作成や衛生管理等の学校給食管理とともに給食を教材にした食育指導を行っております。
 しかしながら議員御指摘のとおり、栄養教諭配置率は全国と比較すると下位に低迷している状況にあります。このため来年度は栄養教諭を倍増させ、これまで未配置だった特別支援学校にも新たに栄養教諭を配置する予定であります。
 今後は、栄養教諭の指導によって児童生徒の食に対する興味関心がどのように高まったかなどの効果を検証しながら、さらに栄養教諭を増員するとともに、資質の向上を図り、食の都、静岡県にふさわしい学校における食育の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
○文化・観光部長(下山晃司君) 憧れを呼ぶふじのくにづくりについてのうち、観光振興の推進についてお答えいたします。
 平成二十六年度から四年間を計画期間とするふじのくに観光躍進基本計画では、静岡の魅力を「創る」、「誘いざなう」、「もてなす」の三つの戦略を柱に観光交流の拡大を図ってまいります。
 まず、静岡の魅力に「誘いざなう」では、高速道路網の整備により交通アクセスが飛躍的に向上する関東圏や中京圏、さらには台湾等の空港就航先、経済成長が著しい東南アジアなどターゲットを明確にした上で本県が有する自然、温泉、歴史、文化、食など多彩で豊富な観光資源を生かして効果的なプロモーションを展開してまいります。
 また、静岡の魅力で「もてなす」では、自然や食などこの地でしか得られない体験を提供する旅行商品造成、多言語案内標識などの観光施設整備、観光産業を担う人材育成などに取り組む、おもてなし日本一の基盤づくりを推進してまいります。
 観光関係者はもとより市町や農業、商工業、まちづくり団体、教育関係者など地域が一丸となり、世界遺産富士山を初めとする世界標準の資源を生かした静岡の魅力を「創る」ことで、来訪者が感動し、何度でも訪れたくなる観光地の形成を目指してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 一流のものづくりとものづかいの創造についてのうち、企業立地の促進についてお答えいたします。
 支援制度の充実についてでありますが、まず工業用地の開発について昨年度新東名高速道路等を活用した市町の工業用地開発を促進する産業集積構想を策定するとともに、事業化に向けた可能性調査については企業局が調査費を市町に助成するなどの支援をしております。
 これらに加え来年度、内陸フロンティア構想における国の総合特区及び県が認定した区域において、企業局や市町等が工業用地を開発する際に道路や河川などの公共施設の整備、負担を市町が行う場合に三分の一を助成する制度を創設し、工業用地の供給を促進いたします。
 あわせて、昨年度成長分野の工場等の用地取得について補助率や限度額を引き上げましたが、さらにこの内陸フロンティア構想の区域において例えば成長分野の工場等の場合には、補助率を百分の三十から百分の四十に限度額を三億円から四億円に引き上げることなどにより、実質的に競争力のある用地価格の実現を図ってまいります。またこれまで県外からの企業誘致や県内企業の投資動向の把握のため職員が企業訪問を行ってまいりましたが、今後は訪問活動を専任とする支援員を配置するなど企業の動向把握を一層強化してまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みにより県内への新たな企業立地と県内企業の投資促進を図り、本県産業の持続的な発展を目指してまいります。
 次に、中小企業の受注機会の拡大についてであります。
 本県では、静岡県産業振興財団に専門調査員を配置して県内企業の発注案件を掘り起こし、その情報を中小企業に提供して取り引きのあっせんを行うことにより、受注機会の拡大に努めております。また県内中小企業が首都圏企業との新規取引を目指す展示商談会、静岡県テクノフェアin東京を毎年度実施しており、本年度は本日から二日間、東京都大田区で開催いたします。さらに大手自動車メーカーなど発注案件がある企業に県内中小企業が出向き、個々の技術力を売り込む特定発注企業個別商談会を年五回以上開催しております。
 来年度は、商談会に参加する企業に対し効果的な展示方法や商談への対応などについて専門家がきめ細かくアドバイスを行うほか、大手メーカーOBなどのコーディネーターが中小企業が有する高い技術力を発注企業に売り込むなど着実に受注につながるよう努めてまいります。
 また、家具、木製雑貨等の地場産業についても多くのバイヤーが集まる東京インターナショナルギフトショーなどの大規模展示商談会に新たに県ブースを設け、県外への販路開拓に取り組んでまいります。
 今後とも中小企業の受注機会の拡大のため、県内中小企業のすぐれた技術の売り込みや付加価値の高い製品の販路開拓を支援し、地域経済の活性化を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 白井企業局長。
○企業局長(白井 滿君) 一流のものづくりとものづかいの創造についてのうち、企業立地の促進についてお答えいたします。
 工業用地の造成についてでありますが、企業局では平成十四年度以降進出企業が決定してから造成工事に着手する、いわゆるオーダーメード方式により確実に利益を確保しながら保有する用地の分譲を進めてまいりましたが、今年度末には分譲用地もなくなる見込みです。一方東日本大震災以降の内陸高台部への用地需要の高まりや企業収益の改善など景気の回復基調を背景として、新東名高速道路の沿線などに企業立地の動きが見られるものの、企業のニーズに合った工業用地は不足している状況にあります。
 このため、企業局といたしましては内陸のフロンティアを拓く取り組みの総合特区のうちで住民の合意形成などに活発に取り組む地域の中から、立地環境や分譲見込み価格、地元の協力体制などを総合的に判断した上で新年度、小山町においてモデル的に先行用地造成に着手することといたしました。
 今後は、オーダーメード方式による受注の確保を図りつつ、より迅速に用地を供給するため、企業局の経営に与える影響も慎重に分析評価しながら、意欲のある市町と連携して価格競争力のある魅力的な工業用地の造成に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) それでは、要望三点、質問二点させていただきます。
 まず要望ですが、オリンピック・パラリンピックに関連したものでありますが、東京オリンピックは夏季オリンピックでありますね。実は東京オリンピックまでの間に先日終わったソチの四年後のオリンピックがあるわけであります。夏季と冬季と違うからという話になればそれまででありますが、選手の育成支援という観点で言えば我が県もしくは我が国を代表して出場されるということでありましたら、夏季も冬季も関係なく私は今回四年後に迎える冬季オリンピック・パラリンピックに向けても存分な選手育成支援対策を講じていただきたいなと思っております。
 ちなみに私の地元からもショートスケートで二名の選手がオリンピックに参加されました。残念ながらメダルには届きませんでしたが、大変地域では大いなる期待と感動を持って迎え入れたものであります。ああした出来事が県下各地で行われることを望むためには、まずその選手たちが存分に力を発揮するための周辺環境整備が大事だと思いますので、ぜひ東京オリンピックに向けた行われるそれぞれの大会に向けての御支援策をお願いしたいと思っております。
 二つ目の要望でありますが産業成長戦略であります。これは二十六年度の肝と言っていい事業であろうかと思います。その中でもよりきめ細やかに企業の機微に敏感であってほしいと思います。そういう意味では今度新設される理事の方、また今後できるであろう各部局の中の体制の中でどれだけ当局側がその企業の機微に敏感になれるかというのが重要であろうかと思いますので、二十六年度この肝と思われる産業成長戦略については、もう一丁目一番地ということでぜひとも推進をお願いしたいと思います。
 三点目の要望でありますが、栄養教諭のことであります。
 今回、我々が強く要望して倍増以上の数字が出てまいりました。これについては評価をする次第でありますが、それでも実は県内の栄養教諭の比率でいうと三分の一程度なんですね。まだ三分の二は逆に言うと栄養教諭になれる余地があるということでありますから、栄養教諭の必要性と、それによる効果の検証をすると同時にさらなる栄養教諭の増員を図って食を通じた子供たちへの教育。それは単なる物理的なアレルギーの問題だとか、栄養だとか、健康管理ということ。これはもちろん大事ですが、これだけじゃなくて食を通じた感謝の気持ちだとか食を通じた地域に対する思いをはせるような教育というのが重要だと思います。そこを強く推し進めていただきたいと思っております。
 それでは、二つ質問をさせていただきます。両方とも教育長に伺います。
 学力向上についてであります。
 さきの知事の所信表明の中で、教育委員会においては、今後教育委員会事務局の全ての教員を子供たちがいる学校現場に配置することで、学校の教育力の向上を図ってまいりますという話がございました。これは二十六年度当初予算に向けた、また今定例会における所信表明ということを考えると、私は二十六年度に教育委員会事務局の全ての教員が学校現場に配置されるという解釈をしておりますが、それで正しいですか。
 二つ目の質問です。補助教材についてであります。
 これは一つ苦言を呈しておきますが、私ども自民改革会議では定例会ごとに補助教材の問題を指摘しながら提言をさせていただいておりました。その中で教育長からガイドラインをつくってきちっとした説明責任を果たせるような体制をつくるということで言ったんですが、私はこれ、実は教育委員会からそれができましたので見てくださいというふうに渡されたものではありません。私の友人の学校の先生をやっている方から連絡があって、「こういうものもらったぜ」ということで手にしたわけであります。私からすると再三再四我々会派は、これを全力で子供たちのために取り上げてきた議題にもかかわらず、こういうものができたんでという配付がされないということで言うと、やはり教育委員会事務局というのは閉鎖社会なんだなというふうに疑わざるを得ません。そういう意味では、正々堂々と責任と自覚を持ってやるべきではないかと思っています。
 この苦言を前提にお話しさせていただきますが、この補助教材の取扱いガイドラインの三ページに補助教材の決定方法というのがあります。この中になぜかパターンAとパターンBというのが併記されております。
 パターンBは、新年度に新年度の担任の先生及び学年主任等と、その学校に赴任した方が自分の責任と立場において収集、採択、決定をする仕組みがパターンBであります。
 パターンAは、前年度中に教材の収集、候補選びを行って新年度に採択をするという、このパターンAも認めますよというふうになっております。
 パターンAは何が問題かというと、前年度ということはその採択するための収集及び候補選びをする先生は、新年度その学校にもういないかもしれない。また小学校四年生の、例えば補助教材を選定するんだけれども、四年生の担任になるとも限らない。自分がどこの学校の何年生を担当するかもわからない先生方が前年度に収集と候補選びをする。これで果たして責任と自覚がある採択と言えるんでしょうか。
 これは、実はこれまで静岡県の教育委員会事務局が学校の先生方とどういうふうにおつき合いをしているのか知りませんが、従来行われてきた古き悪しき慣習がAパターンだと思っています。それがそのまま残されているのは、まさにこれは閉鎖社会のなかなか改善されない根っこの暗い部分といっていいと私は思いますが、そういうことではないかなと。
 質問はなぜパターンAとBを併記したのか伺います。以上で答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 大きく二つ再質問があったかなというふうに思います。
 一つの今後学校現場に全ての教員をということでありますけれども、これにつきましては私たちは本年度、昨年度ありました教育行政のあり方検討会からのいろいろな提言を踏まえまして、具体化の対応方針を出しました。その中では当面複数年にわたりまして、百人の教員をということで考えております。
 これにどのぐらいの人数が上積みできるかというのは、これからの検討になろうかなというふうに思いますけれども、私たち教育委員会のほうでは今後ということでありますので知事の熱い思いを受けとめながら、教育委員会の事務局がどういうメンバーでやっていったらいいのか。これは他県の状況とか国の教育行政のあり方も踏まえながら検討していくべき大きな問題ではないかなというふうに思っておりますので、二十六年度ということで限定した考え方では私自身今のところはないということで御理解をいただければと思います。
 二つ目のガイドラインについてでありますけれども、まず一点目おわびをしなければいけないのは、ガイドラインを直接お渡しできなかったということで、この決定をしたときの定例会は公開でやっておりますので私たちは閉鎖性というよりも、ただ単にやはり気がきかなかったということで今後は議員の皆様には即時お渡しをするということで配慮していかなければならんということで、今感じているところであります。
 補助教材の選定のパターンA、Bございますけれども、確かに新年度になってから選択をするというBパターンが理想的かもしれませんけれども、教育の継続性ということを考えたときに来年例えば小学校三年から小学校四年生になる、本年度受け持っている小学校三年生が――先ほど議員からの御指摘で来年度いるとは限らないというお話がありましたけれども――一年間小学校三年生を受け持ってきて、どんなところが欠けているので来年にどういう形で託していったらいいのかという、そういう思いもあろうかと思いますので、教育の継続性ということを考えたときには、前年度に収集をし、その候補選びをするということは、私は教育的な意義があるのではないのかなというふうに思っております。最終的にはAパターンであろうがBパターンであろうが、これはいずれにしましても新年度に最終的な決定をしていくということで考えているところでございますので、その辺御理解をいただければなというふうに思います。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) それでは、再々質問を二点いたします。
 まず、学力向上に向けたことですが、二十六年度ではないですよということですね。それで二十九年度までに百人程度を現場に戻すという計画は私も存じ上げております。
 私は、川勝知事が熱い思いをと教育長が言っているということは、これはやれるのかやれないのか速やかに結論を出して実行するべきだと思いますよ。現実問題、難しいこともあるんでしょうよ。だから現実問題難しいもんで全員は無理だというんだったら、全員は無理だと言うべきですよ。それを何かお茶を濁すようなことを言っていたって教育現場は変わりませんよね。だからそういう意味では、勇気を持ってほしいなと思います。物理的に可能であれば速やかにやるべきです。そして物理的に無理だと。ここはどうしても内勤で現場の先生にやってもらわなきゃ。仕事があるんだよということであれば、そこはどうやってやったって物理的に全員を送ることは無理だよと言う勇気がなければ、事は進まないんじゃないですか。
 そういう意味では、もう少しやっぱり川勝知事の意を酌む――別に私、川勝知事の応援をしてるわけじゃないですよ。(発言する者あり)
 そういうことじゃなくて、学校の現場を直す、学校の子供たちのためにというのはどうあるべきか。そのために内勤の先生が必要だったら堂々と内勤の先生を何人必要だと言ったらいいと思いますよね。その辺に対する二十九年度までの計画はわかっている。だとするなら二十九年度までの計画を変更するのか、さもなければ二十九年度以降に向けて教育委員会事務局の先生の配置をゼロにするのか、どっちのおつもりなのかを伺います。
 二点目の質問であります。
 補助教材の選定ですけれども、今そういうふうにパターンA、Bの有意性の説明をいただきました。そうであれば――再々質問しないつもりだったんですがあえてさせていただきますが――実はもう既に出版文化会が退職校長の先生や教職員のOBの方が学校訪問をして営業をしていますね、一月から。私の手元にある資料によりますと、一月の二十一日から二月七日までびっしり市内の学校の営業訪問スケジュールがあって、こういうスケジュールにのっとって訪問するからよろしくなという資料が配付されております。別の市では驚くことに訪問趣旨、「平成二十六年度版小中学校図書教材採用の御理解と予算化についてのお願い」ということの趣旨で回りますからね、ということで、一月二十二日から二月六日まで、びっしり回る訪問が配付されています。これは従来どおりに出版文化会が何十年とやってきた慣習の営業訪問活動の一環の資料であります。
 民間企業が、先生方もしくは学校に向かって、来年度の小中学校の図書教材の採用についての御理解と予算化についてお願いですという趣旨のもと、こういうスケジュールで回りますから、皆さんあけてくださいねと言ったときに、民間会社に会ってくれる先生方ってどれぐらいいると思います。多分僕は一人もいないと思います。一校も相手にしてくれないと思います。だけどこの会社が言うと、なぜかみんなぎっしりと詰まったスケジュールのために時間をつくって、会って話を聞いてやっているんじゃないかと思います。
 一方、学校現場ではどういうことが話し合われているかというと既に選定についての話し合いがされている学校があります。既に選定について話し合いがされている学校の中でその校長先生が、出文を採用しないと学生協からの還元金がもらえないから、仲間がつくっている資料だから、問題の質はどこの会社も変わらないはずだと。だから出文を採択してくださいと会議で発言している校長先生がいます。これは全く改善の気持ちがさらさらないあらわれではないかなと思っています。
 今回、補助教材が問題としてクローズアップされた理由を忘れないでいただきたいと思います。学力の低下。残念ながら日本全国で小学校国語Aが平均最下位となってしまった。これがもとの発端であります。
 静岡県の子供たちにどのような教育をして、子供たちにどのように健やかに育ってほしいかという観点でいけばですね、仲間がつくっているテキストだからとか、学生協の還元金がもらえなくなるからとかという理由で出文を選ぶことがあっていいんでしょうかね。
 改めて教育長に伺いますが、こうした一連の強制的な学校営業、さらには校長先生からあろうことか仲間がつくっているからとか還元金がもらえなくなるからとかという理由で採択されている実情があるとした場合に、それが子供たちにとっての教育に対する影響がどのように生じると思いますか。それについての答弁をお願いします。以上、答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 中沢議員の再々質問にお答えいたします。
 一点目の件でありますけれども、これは教育委員会全体で決定すべきものでありますので、私がここで可能か不可能かということを即断するというのはなかなか厳しいかなというふうに思いますけれども、私の今の思いではこれまで教育行政に長年携わってきた者としましては、教員をゼロにするというのは、教育の専門的な事項について教育委員会は学校に指導するという大きな責務がございますので、やはり学校現場を知った教員が指導主事等を務めて学校を指導するというシステムは必要なのかなと思います。ただそのときのバランスの問題につきましては、再度見直しをかける中で、先ほど議員からありましたように二十九年度に向けての今計画がありますけれども、果たしてその計画以上の対応ができないかどうかということについては再検討する必要があるかなと思いますけれども、これはまた教育委員にもお諮りをして今後の対応というものを考えていきたいなというふうに思っておりますので、その点で御理解いただければなと思います。
 二点目につきましては、昨年から先ほど御紹介があったような状況が見られるのではないかという御指摘は、いろいろなところから私の耳にも入ってまいりました。まだこの時点においてもそういう事例があるということは、非常に私は残念に思っているところであります。やはり教育を子供たちのためにするときに、子供たちにとってどういうテキストが、どういう副教材が、補助教材が適切なのかという、やはり教育的な論理に基づいて、そこのところはやっぱり選択をすべきだというふうに思いますので、こういう実態がある以上は私たちもそれなりの指導を早急にやはりしていかなければいけないのかなというふうに思っております。以上であります。よろしくお願いします。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) 要望します。
 この補助教材の選定については、追跡調査をしながら徹底的に市町教育委員会と連携した中での補助教材の採択の候補選びから採択の過程について全て公開して、徹底的にオープンにした中での追跡調査を望みますので、ぜひお願いしたいと思います。
 ここのところですね出版文化会。またパンのノロウイルスに始まった県の学校給食会。一般社会から聞いてみると、よくわからない仕組みがいっぱいあるなということが何か出てきていて本当に子供たちにとってこれで大丈夫かなということがあります。そういうことでいえば、まさに安倍教育長の力を発揮のしどころで改革するものをどんどん推進していただいて、私は安倍教育長の手腕に大いに期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは質問に戻ります。
 次に、和を尊重する暮らしの形成のうちリニア中央新幹線の環境影響評価について伺います。
 県は、昨年九月にJR東海から提出されたリニア中央新幹線の環境影響評価準備書に対し、来月二十五日までに環境保全の見地から知事の意見を述べることとなっております。これまで知事に対し、大井川流域七市二町の首長から河川流量の確保を求める要望書が、地元の静岡市長からは環境保全措置の徹底やユネスコエコパーク登録への積極的支援を求める意見書が、それぞれ提出されました。また県議会からはくらし環境委員会と静岡市選出の十三名の県議会議員から、それぞれ要望の提出がありました。さらに先月二十一日には公聴会が開催され、十三名の公述人から実生活に即した切実な懸念や意見が表明されました。なお知事からの諮問を受けた静岡県環境影響評価審査会では、あす二月二十八日に五回目の審議を予定しており、そろそろ答申の時期を迎えているとも聞いております。
 そこで、これまでのさまざまな意見や要望あるいは近く出るであろう審査会の答申を踏まえ、知事はどのような方向でJR東海に環境影響評価法に基づく意見を述べていくのか伺います。
 次に、安心の健康福祉の実現のうち、障害のある人へのサービス提供基盤の充実について伺います。
 障害のある方もない方も誰もが住みなれた地域で相互に人格と個性を尊重し合いながら、安心して暮らせる社会が望ましいことは言うまでもありません。我が国も障害者権利条約を批准しましたが、今月十九日の国内発効を契機として地域への移行がより一層進むことを期待しております。しかしそのためには、支援を必要とされる方にグループホームなどの住む場所や働く場所がしっかりと提供されるとともに、自立して生活を送るための介護の提供などのサービスを確実に利用できるようにすることが必要であると考えます。
 県内においても県や市町が、障害福祉計画を策定し障害福祉サービス事業所をふやすよう取り組んできていることは承知しておりますが、サービスを利用する方も増加しており、まだまだ足りていないというのが私の実感であります。
 そこで、障害のある方が住みなれた地域で安心して生活をお送りいただくためには、身近な地域で必要なときに必要なサービスを利用できることが不可欠であると考えますが、県は今後どのように障害福祉サービスの提供基盤を整備していかれるのか伺います。
 次に、障害のある人への就労支援について伺います。
 昨年四月一日から、民間企業の法定雇用率が一・八%から二・〇%に引き上げられ、また障害のある方を雇用する義務のある事業所の範囲も従業員五十六人以上から従業員五十人以上の企業に拡大されております。現状に目を向けますと昨年六月一日時点の県内民間企業における障害者雇用率は一・七二%と過去最高を記録したものの法定雇用率には達しておらず、全国平均の一・七六%にも及んでいない状況にあります。私としては本県の障害者雇用率が少なくとも全国平均を上回り、障害のある方が生き生きと働くことができる県となることを願っております。このように県内の障害者雇用率が依然として法定雇用率に達していないのは、雇用の受け皿となる企業側の理解や体制が十分でないことが要因の一つであると考えます。働く意欲のある県内の障害のある方は年々増加しており、障害のある方がその能力を生かし戦力として働くことができる場をさらに確保していくことが重要であります。
 これまでも県は、企業への働きかけや障害者雇用への意識高揚に努めていることは承知しておりますが、本県が障害のある方にとって働きやすい県となるよう、さらなる工夫が必要と思われます。
 そこで、来年度に向けて県として障害のある方の雇用促進にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、ヒト、モノ、地域を結ぶ基盤づくりのうち、社会資本整備の今後の進め方について伺います。
 本県では、新東名高速道路を初めとする高規格幹線道路や富士山静岡空港、清水港など容易に人や物が行き交うことができる交通網が整備されており、これらの社会資本は本県の社会経済の発展や観光振興などに大きな役割を果たしております。また河川や海岸堤防、津波対策水門、公園、下水道なども県民の安全・安心を守り、暮らしの利便性を向上させ快適な生活環境を創出するために必要な社会資本であり、本県の持続的発展を図るためにも、これらの社会資本の整備を継続して進めていくことが必要です。
 しかしながらその一方で、近年厳しい財政状況が続き、本格的な景気回復には至っていない状況の中で社会資本整備への投資予算もさらに厳しいものになると予想されます。その上、人口減少や少子高齢化の進行、産業のグローバル化に伴う地域間競争の激化など多くの課題も抱えています。とりわけ近い将来発生が危惧されている大規模地震や中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を契機とした老朽化対策への早急な対応が求められております。こうした中、昨年の臨時国会であらゆる災害リスクに対応した強い国づくりを推進する国土強靱化基本法のほか、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に備えるための特別措置法が成立したところであります。
 本県としましてもこのような国の施策を踏まえ、県民にとって必要な整備を効率的かつ戦略的に進めていく必要があると考えます。
 そこで、県が掲げる県民幸福度の最大化の実現に向け、その基盤となる社会資本整備を今後どのように進めていくのか伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 和を尊重する暮らしの形成についてお答えします。
 リニア中央新幹線に係る環境影響評価についてですが、これまでに静岡市長、大井川流域七市二町の首長、県議会、またさまざまな県民の皆様、実に多くの方々から環境保全に関するさまざまな観点からの御意見、御要望をいただいたところでございます。具体的にはトンネルを掘削いたしますので土砂が発生いたしますが、その発生土をどこに置くか。また置けばそれによる土地が改変されますので、それによって希少動植物の生息・生育環境が喪失するのではないか。あるいは工事従事者の宿舎からの生活排水により大井川が水質を悪化させることになるのではないか。また大井川の下流域まで含めた河川流量が減少するのではないか。ユネスコエコパーク登録と整合するのか等々懸念が表明されておりまして、これらに対しまして事業者であるJR東海に対して責任ある対応を求めるものでございます。一々もっともであると考えております。
 県環境影響評価審査会でのこれまでの審議におきましては、静岡市長さんなどから出された御懸念を含めて自然環境や生活環境に及ぼす影響につきまして、専門的な見地から多岐にわたる御指摘をいただいております。明日開催される審査会を経まして近日中に審査会の意見が私に答申される予定でございます。
 この答申なども踏まえまして、環境影響評価法に基づき三月二十五日までに知事意見書を提出することになっております。この中では特に第一にかけがえのない恵みの源である南アルプスの保全のために、生態系などの自然環境が維持されること。また第二に大井川下流域まで流量減少が生じないように求めること。この二つを柱に環境保全の面からの懸念事項の全てにつきまして、責任ある対応をJR東海に対しまして厳しく求める考えであります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 安心の健康福祉の実現についてのうち、障害のある人へのサービス提供基盤の充実についてお答えいたします。
 現在県では、平成二十四年度から二十六年度までを計画期間とする第三期障害福祉計画に基づき、国庫補助の建設費助成や県単独の償還金助成などを活用してサービス提供基盤の整備を進めており、ことし二月時点での事業所数は九百三カ所と平成二十四年四月より六十四カ所ふえております。一方でサービスを必要とする方は増加傾向にありますので今後も需給バランスのとれた整備を進めていく必要があります。このため施設整備に対する助成を引き続き実施し、市町と連携しながら事業者に対して事業所の新設や定員増を働きかけるとともに、報酬体系の改善など事業者が参入しやすい制度改正を国に提案してまいります。
 県といたしましては、特別支援学校を卒業予定の生徒など一人一人のニーズをきめ細かに把握した上で障害福祉計画を見直し、計画を着実に推進することにより障害のある方が住みなれた地域で必要なときに必要なサービスを利用できるよう、さらなるサービス提供基盤の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 安心の健康福祉の実現についてのうち、障害のある人への就労支援についてお答えいたします。
 障害のある方の雇用を促進するためには、企業が障害者雇用への理解を深め働きやすい職場環境づくりを進めることが重要であります。
 このため、県では雇用実績のある障害者就労応援団の登録企業をふやすとともに、応援団企業を活用した見学会や雇用促進セミナーを本年度は計二十三回開催するなど企業の理解促進に努めております。これらの取り組みに加え来年度は、求人開拓員や障害者雇用アドバイザーなどが行ってきた業務を統合し、新たに求人開拓からマッチングまで一貫した支援を行う雇用推進コーディネーターを十七人配置いたします。具体的には障害のある方の能力に適した職務の選定や受け入れ体制等の助言を行うとともに、求人情報を障害者就業・生活支援センターや特別支援学校などにつなぎ雇用の拡大を図ってまいります。さらに障害のある方の職場定着を支援するジョブコーチの対象者を二百五十人から二百七十人に拡大するとともに、在職者を対象としたパソコン技能の習得等の職業訓練の定員を増員するなど支援を充実してまいります。
 今後とも法定雇用率の達成に向け、静岡労働局など関係機関と連携し働く意欲のある障害のある方が一人でも多く就労できるよう、障害者雇用の促進に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) ヒト、モノ、地域を結ぶ基盤づくりについてお答えいたします。
 社会資本整備の今後の進め方についてでありますが、県では誰もが豊かで快適に暮らすことのできる富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを実現するため、その礎となる社会資本整備の方針を示す新たな静岡県社会資本整備重点計画の策定を進めており、本年度末を目途に公表することとしております。本計画では国の国土強靱化基本法の方針なども踏まえ、南海トラフ巨大地震等の大規模災害から県民の生命財産を守ることを最重点目標に位置づけ、ハード・ソフト一体となった災害に強い基盤づくりを推進することとしております。さらに多様な交流や活発な経済活動を支える陸・海・空の交通ネットワークの整備活用を進めるとともに、快適な暮らし空間の実現や自然と調和する美しい景観の創造と保全にも取り組んでまいります。また高度経済成長期を中心に建設された多くの社会資本が急速に老朽化していることから、昨年度県が策定した社会資本長寿命化行動方針に基づき維持補修や更新時期の最適化を目指した施設の長寿命化を進め、適正な維持管理に努めてまいります。
 県といたしましては、本計画の推進に当たり学識経験者や民間の方々の御意見も伺いながらPDCAサイクルにより毎年度計画の達成状況を検証し、必要に応じて改善に取り組むなど県民幸福度の最大化の実現に向けて多様な主体との連携協働を図り、社会資本整備を着実に推進してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 四十五番 中沢公彦君。
       (四十五番 中沢公彦君登壇)
○四十五番(中沢公彦君) 時間が足りなくなってきましたので、要望だけさせていただきます。
 経済産業部長と健康福祉部長に要望いたします。
 障害者の方へのサービス提供それと就労についてですが、教育という入り口があって施設または就労という出口があるわけですが、ここの連携感が足りないように思います。ぜひとも教育委員会事務局、経済産業部、健康福祉部と連携を密にしてですね、実はこれはそのための局や課があってもいいのかなと私は思っております。そういう意味では、そこを束ねて管理運営をして、それを推進していく部署に伝えていく課ですね。こういったものが必要ではなかろうかと思っています。そこの入り口と出口がきっちり連携することで、例えばサービス基盤も数だけありゃいいというものじゃないんですね。障害を持っている方というのは多岐にわたりますから、程度の軽い方から障害が重い方までいろいろいます。だけどそれに合ってないけれども数だけはたくさんありますよと言ったって誰も使えないわけですよね。重度の方には重度の方に即したサービスがどれだけほしいのか、軽度の方には軽度のサービスがどれぐらいほしいのかという、まさにそこのサービスと障害の方の機微に沿ったものがないと数だけあったって何も適用できないということになります。就労も同じことですね。就労もそういった機微がわかって雇用とのマッチングをしないと全く進まないと思っています。そこの部分をお願いします。
 参考までに浜松市浜北区出身の早稲田大学の大学院を卒業されて、現在横浜市立大学の都市社会文化研究科の教授をされております影山摩子弥さんという方がいるんです。この方の著書に「なぜ障がい者を雇う中小企業は業績を上げ続けるのか?」という著書があります。その中で書かれていることが障害者雇用に対するまず誤解があると。一つは、障害者雇用は社会貢献として行うためもうけや生産性などを考えて取り組むべきではないという誤解。障害者雇用を売り上げやもうけの道具にするという発想という誤解。こういう誤解があるんだと。実は障害者雇用は、経営の負担ではなくてむしろ経営を改善するための積極的な方策であるんだよということが書かれています。
 つまりこれは、さっき言った産業成長戦略にも通じることなんですね。これを障害者雇用をきちんとやっていくと実は中小企業の収益改善がされて、体質改善がされて、産業成長戦略の一翼を担うものであるということが書かれています。これはまさに現代社会に一番必要な地域共生社会の第一歩となるすばらしい発想だなと思いますから、ぜひともこういった発想を取り入れて取り組んでいただきたいと思います。
 質問に移ります。
 安全な生活と交通の確保のうち、平成二十六年の警察運営の重点について伺います。
 昨年までの振り込め詐欺等の特殊詐欺の被害が十二億円に上ったほか、交通死亡事故者数は百八十四人と全国ワースト四位に入るなど課題も生じました。また南海トラフ大地震等の発生も懸念されるほか、暴力団対策やサイバー犯罪、ストーカー事件などへの適切な対応など治安の維持に当たる警察の役割は、ますます重要なものとなってきております。
 このように課題も多い中で昨年末、オリンピック・パラリンピック東京大会を控えた今後七年間を視野に入れた総合的な治安対策として、世界一安全な国、日本を実現することを目標とした「世界一安全な日本」創造戦略が閣議決定されたと聞き及んでおります。これはあらゆる分野が緊密に連携した的確な犯罪対策により、良好な治安を確保し安全・安心を実感できる世界一安全な国、日本をつくろうとするものであり、今後県警もこうした方針を踏まえた活動を推進していくものと期待しております。島根本部長におかれましては、静岡県警の総指揮官として日本一安全な静岡県の実現に向けて尽力していただきたいのであります。
 そこで、ことし一年の警察の運営重点をどのように定め、取り組んでいくのかについて、警察本部長に伺います。
 次に、地域主権を拓く行政経営のうち、安心な財政運営のための財源の確保について伺います。
 さきに公表された財政の中期見通しでは、平成三十年度まで四百二十億円余りの財源不足が見込まれております。大変心配な状況であります。後期アクションプランを実行するため県としてどのように財源を確保していくおつもりなのか伺います。
 また、財源不足額の主な要因を見てみますと高齢化に伴う社会保障関係経費などの義務的経費が増加していくのに対し、この財源となります地方税や地方交付税等の一般財源総額は、近年同水準に抑制されておりますことから、その結果年々財源不足は拡大しているのです。
 さらに、赤字地方債である臨財債の残高は、来年度末には一兆円に近づきつつあります。交付税の身がわりとして措置され、県民サービスの水準維持のためには国が認めた限度額まで発行せざるを得ないという、これはいわゆる借金であって借金でないという説明でありますが、このままで本当にいいんでありましょうか。
 県民が安心して暮らしていくためには、安定的な財源を確保することが必要不可欠であります。地方財政の抜本的な改革が必要なのであります。政府与党として国への働きかけについての協力は惜しまないつもりでありますが、県としてどのように対応していくつもりなのか伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 地域主権を拓く行政経営についてお答えいたします。
 安心して財政を運営していくための財源の確保についてですが、後期アクションプランを着実に推進するための財源として静岡県ふじのくにづくり推進基金に百億円を積み増しました。また徹底した歳出のスリム化と歳入の確保に努めた結果、平成二十七年度以降に活用可能な基金を二百五十二億円確保したところです。今後社会保障関係費の増加などに伴い、引き続き多額の財源不足が見込まれております。にもかかわらず富国有徳の理想郷“ふじのくに”を早期に実現するためには、強固な財政基盤を確立することが不可欠です。
 このため、内陸のフロンティアを拓く取り組みや産業界、金融界と連携した産業成長戦略に基づく雇用・経済対策にスピード感を持って対応し、税源の涵養に努めるとともに、本年度末に策定いたします新しい行財政改革大綱のもとであらゆる手法を駆使してさらなる行財政改革にも全力で取り組みます。
 一方、議員御指摘のとおり地方の財政運営は、国の予算や地方財政対策の動向によって大きな影響を受けます。県としましては国に対しまして真の地方分権改革の実現を求める。特に臨財債――臨時財政対策債の廃止を求め、これを現金で地方交付税として交付されるように強く求めるとともに、また償還財源の確実な確保を初めとして、国、地方を通じた中長期的に安定した税財政の枠組みの構築など強く働きかけてまいります。中沢先生を初め県議会の皆様方も、引き続きこの点に関しましては御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
○警察本部長(島根 悟君) 安全な生活と交通の確保についてのうち、平成二十六年の警察運営の重点についてお答えいたします。
 平成二十六年の県警察の運営指針は、「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」とし、現下の治安情勢を踏まえ、また国の総合的な犯罪対策等を参酌した安全・安心推進プログラム二〇一四に掲げる三本柱のもと、各種の施策を推進してまいります。
 まず第一の柱は、犯罪の起きにくい社会づくりであります。
 県民が警察に求めるところは、そもそも犯罪等の被害に遭わないこと、危難に遭遇した場合は警察の迅速的確な対応により安全・安心を得られることであると認識しており、そのような観点に立って犯罪の予防、検挙等の活動を強化してまいります。
 具体的には犯罪等に関する効果的な情報発信などにより、県民の皆様の防犯意識を高めるとともに、地域住民や事業者、関係機関等と連携した防犯活動を推進してまいります。特に現下の重要課題であるストーカー等の相談に対しては、相談者等の生命、身体の安全を最優先にした措置をとるほか、振り込め詐欺等の特殊詐欺に対しては金融機関と連携した水際対策を推進するとともに、中枢被疑者を目指した検挙活動を推進してまいります。このほかインターネットを悪用したサイバー犯罪の取り締まりの強化やテロ・大規模災害へ的確に対応してまいります。
 第二の柱は、人に優しい交通安全社会の実現であります。
 現在、第九次静岡県交通安全計画に基づき総合的な交通安全対策に取り組んでいるところでありますが、昨年は交通事故の死者数が大幅に増加し、中でも高齢者の関係する事故が増加しておりますことから、本年は高齢者の交通事故防止を最重点とした取り組みを推進してまいります。
 第三の柱は、安全・安心のための警察力の強化であります。
 治安情勢の変化に的確に対応するため、組織体制の整備を進めるほか精強な第一線警察官を育成するための訓練や研修をさらに強化するとともに、警察施設の整備や防災機能の強化を図るなど警察活動の基盤強化を推進してまいります。
 本年も、より安全で安心して暮らせる社会の実現を図るため、県警察職員一丸となって県民の皆様の期待と信頼に応えていく所存であります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) これで中沢公彦君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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