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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤田 寛 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/17/2011

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 平成二十三年度当初予算編成について               
2 新総合計画の実現に向けた財政の中期見通しについて        
3 行政の構造改革の推進について                  
 (1) 新行財政改革大綱                       
 (2) 今後の権限・財源の移譲計画                  
4 地域外交の推進について                     
5 富士山世界文化遺産登録の実現について              
6 自然史資料を活用した新たな活動拠点の整備について        
7 ふじのくにの産業振興について                  
 (1) 一流のものづくり・ものづかい振興条例             
 (2) ふじのくに食の都づくり                    
8 就職未内定の大学生、高校生への就職支援対策について       
9 介護人材の確保について                     
 (1) 今後の取り組み                        
 (2) 外国人人材の活用の促進                    
10 家・庭一体の住まいづくりの推進について             
11 次期防災通信ネットワーク機能の整備について           
 (1) 特徴と機能                          
 (2) 県全体の防災通信インフラ機能の向上              
12 「命の道」の整備について                    
13 静岡式三十五人学級編制の推進について              
14 特別支援学校の今後の施設整備計画について            
15 暴力団排除条例について  



    ○議長(天野進吾君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、四十番 藤田 寛君。
           (四十番 藤田 寛君登壇 拍手)
    ○四十番(藤田 寛君) 民主党・ふじのくに県議団の藤田寛であります。会派を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に若干の意見や提案も交えながら質問をいたします。
     まず質問に入ります前に鳥インフルエンザなどの防疫対策ですが、この種の案件は何といっても初動態勢が肝要でありますので、危機管理体制に万全を期して県民の安全・安心を確保をしていただくよう要請をいたします。
     質問の第一は、平成二十三年度当初予算編成についてであります。
     来年度は、川勝県政の羅針盤である新総合計画が実質的にスタートする年であり、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに邁進する知事の手腕に県民の多くは大きな期待を寄せています。一方本県の現下の経済情勢は、リーマンショック以降一時期の非常に厳しい状態からは何とか抜け出したものの、過去最高水準の円高による輸出企業の業績懸念や若年層を中心とした厳しい雇用環境など、依然として予断を許さない状態が続いています。
     こうした経済の低迷が続くと県税収入など県の歳入環境に大きな影響を及ぼすこととなり、あわせて巨額の借入金残高を抱える国と地方の財政状況を考え合わせると、ふじのくにづくりに投じることが可能な政策的な財源にはおのずと限界があると言わざるを得ません。このため限られた財源を効果的に、そして効率的に活用することこそが重要であり、選択と集中を徹底した予算編成が求められていると思うのであります。我が会派はそうした見地から昨年十二月、知事に対し県民幸福度の向上を図るため五つの柱に基づく諸施策の実現を提言をいたしました。
     また、知事は予算編成の基本方針として、新総合計画の着実な推進、厳しい雇用経済状況への万全の対応、ふじのくにづくりと財政健全化の両立、以上三点を明らかにされているわけですが、この基本方針をベースとしながら財源不足の解消を図りつつ、どのように予算編成をされたのか。加えて個性を重んじる川勝知事のもとでの予算編成でありますから、川勝カラーや川勝オリジナルがどのようにちりばめられたのかをお伺いするものであります。
     次に、新総合計画の実現に向けた財政の中期見通しについて伺います。
     富士山を仰ぐこの地に、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」の日本の理想郷を築こうとの強い思いの結晶こそが新しく策定された総合計画であると、知事は提案説明演説で熱く述べられました。我が会派はそうした知事の本県の発展を期す力強くそして熱意に満ちた思いの集大成である新総合計画の実現のため、助力を惜しまないことを改めて表明をするものであります。
     ところで、先述したように県の財政環境は相変わらず厳しい状況にあり、新総合計画の着実な推進を図るためには、数値目標や工程表とともに各種事業に係る概算所要額が明示されなければ、計画に盛られたふじのくにのグランドデザインは絵にかいたもちになりかねません。そこでこうした不安を払拭するために、議会からの提言に加えていただいた結果、主な取り組みに要する概算事業費の総額が、向こう四年間の合計額で四千六百六十億円と明らかにされたわけであります。
     一方、毎年公表されている財政の中期見通しによると、実質公債費比率や将来負担比率は引き続き健全性を維持しており、通常債の県債残高も減少見込みとのことですが、財政の弾力性を示す経常収支比率はさらなる上昇が免れない状況となっています。つまり扶助費や公債費などの義務的経費がますます増加する一方、自由裁量で使える政策的経費が減少することによる財政構造の硬直化が強く懸念されるのであります。
     そこで、今回の財政の中期見通しにおいて、新総合計画に要する概算事業費をどのように織り込んだのか。また新たに創設を提案されているふじのくにづくり推進基金百億円の有効な活用策について伺うものであります。あわせて新総合計画の実現に向けた着実な取り組みとともに財政の健全性の確保も重要課題であると考えるところでありますが、今後の財政収支をどう見込んでいるのか伺うものであります。
     次は、行政の構造改革の推進についてのうち、新行財政改革大綱に関してであります。
     新総合計画の基本理念の一つに“ふじのくに”の自立の実現が掲げられていますが、この理念を現実のものとするためには、地域主権に結びつく行政経営モデルを県みずからが確立していかなければならないと思います。つまりこれまで培ってきた新公共経営の手法に基づく創造型の行財政改革をさらに進化させることこそ必要であると私は考えます。
     こうした中で、新総合計画の実質的なスタートに歩調を合わせるタイミングで、本年度内には新しい行財政改革大綱が策定される予定であり、その案が既に示されているのであります。大綱案では透明性が高く効果的で効率的な未来を見据えた戦略的な行政運営の実現を戦略の柱に位置づけているようですが、この大綱は新総合計画の着実な推進を図る上でその執行体制を下支えする役割を担うものである以上、いかにして実効性を具備するのか最もこの点が重要なポイントであると思うのであります。
     そこで、知事の新行財政改革大綱に対する基本的な御所見とその進行管理にかかわるお考えを伺うものであります。
     次に、今後の権限・財源の移譲計画についてであります。
     地域主権改革の取り組みを進める政府は、基礎自治体への権限移譲を重点項目の一つとしており、今通常国会に関連法の改正案を提出する見込みとなっていることから、今後県から市町への権限移譲が進んでいくものと考えられます。本県においては県から市町への権限移譲が全国でもトップクラスの実績であると評価されておりますが、本県市町は人口七十万人を超える政令市から人口一万人を割る過疎の町まで規模、自治能力において大きな差があり、今後権限移譲を進めていくに当たってはこうした点を考慮する必要があると思うのであります。
     静岡、浜松の両政令市に対しては、あるべき県と政令市の役割分担を改めて協議をし明確化をした上で、高度な自治能力を有する両市に対する権限移譲を一層のスピード感を持って加速すべきであり、その際今般の政令市に対する福祉医療費三助成のあり方についての議論にあったように、財源の自立についてもあわせて検討されるべきであると思うのであります。
     一方、一般市町においては今後さらなる権限移譲を進めていくには、事務執行の体制やノウハウに不安のある市町も少なからず現存しており、事務執行面や財政面での支援がないとこれ以上の県から市町への権限移譲は困難であるとの声も聞かれるところであります。
     知事は、就任以来地域主権の確立に向け基礎自治体の強化が何より重要であると指摘をされ、県から市町への権限移譲について権限、財源、人材の三位一体により、一層の権限移譲を行うとの考えを繰り返し述べられています。今般これまでの本県の権限移譲にかかわる知見を踏まえつつ、新たな権限移譲推進のための計画を取りまとめられるとのことですが、今後どのように権限、財源の移譲を進めていこうとされているのか、その計画の内容と取り組み方針について伺うものであります。
     次に、地域外交の推進についてであります。
     リーマンショック以降の世界経済や日本経済は、一向に景気停滞から本格的に抜け出せない状態が続いています。しかしながら経済発展を続ける新興国では、国民の平均年齢が二十代後半から三十代と若く活力に富んだ新たな社会を着々と築いており、日本が高度経済成長をなし遂げたときと同じような状況にあると言えそうです。一方日本を取り巻く外交は、昨年の秋以降から尖閣諸島沖の漁船衝突事件、ロシア大統領の突然の北方領土訪問、さらに朝鮮半島での北朝鮮の砲撃事件など経済と同様に不透明な状況が一層強まり、先行きが見えない状態となっております。
     このようなさまざまな社会経済情勢の中で、国家間の外交とは別の視点により地域間の自立的な経済を初め教育、文化など幅広い分野における交流を積極的に行い、真のグローバル化を達成することは非常に重要であると考えております。そのような時代に、本県において全国の都道府県に率先し単に儀礼的な地域間交流から一歩踏み込んだ相互にメリットのある地域外交を推進することは、時宜にかなった大変意義のある施策であると評価をするところであります。
     本県は昨年より、中国においてはふじのくに三七七六友好訪中団事業を推進をし、韓国においては忠清南道との交流を推進し、さらにモンゴル国においては大統領立ち会いのもとドルノゴビ県との交流に関する覚書に調印をするなど、今後の本県の地域外交を推進するための布石を着々と築いているところであります。
     このような中で、平成二十三年度の組織改編において地域外交施策を全庁的視点で戦略的に展開するため新たに地域外交局を企画広報部内に設置をし、さらに中国駐在員事務所の体制を強化するとのことでありますが、今後県はどのような戦略に基づき具体的な地域外交を推進されるお考えなのかを伺うものであります。
     次に、富士山世界文化遺産登録の実現についてであります。
     富士山の世界文化遺産登録については、平成十九年一月に世界遺産暫定リスト登載という第一のハードルをクリアをし、次のハードルであるユネスコ世界遺産委員会への推薦に向けて国への登録推薦書原案の提出が確実に行われれば、いよいよ最終ゴールである登録が現実味を帯びてくると思うのであります。昨年七月の推薦書原案の提出につきましては、残念ながら一年先送りとなってしまいましたが、何としても県民を初めとする多くの皆様からの熱い期待にこたえていただきたいと思うのであります。
     ところで、昨年の推薦書原案の提出が見送られた理由であった富士五湖の同意取得については、去る一月三十一日山梨県が文化庁へ国文化財指定申請に係る申請書を提出したことから、最大の懸案であった富士五湖の文化財指定については大きく前進をしたところであります。また包括的保存管理計画の策定に当たっては、広範囲に及ぶ富士山体などの構成資産の保護、保全のために、文化財保護法に加え自然公園法、森林法を適用することとしており、残る課題は関係省庁との調整であると認識をするところであります。
     知事は、本年七月末の国への推薦書原案提出について、不退転の決意で臨むと述べられておりますが、平成二十五年の富士山の世界文化遺産登録の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺うものであります。また富士山を世界文化遺産に登録するためには、行政だけではなくて静岡・山梨両県民はもとより日本国民全体からの支援が必要とも思うのですが、登録に向けての機運の盛り上げをどのように図っていかれるお考えなのかをあわせて伺います。
     次に、自然史資料を活用した新たな活動拠点の整備についてであります。
     本県の自然は、世界に誇る富士山を初めジオパークとしての魅力ある地形などを有しております。こうした魅力のある風景が四季折々に変化をし、日本を代表する豊かで美しい景観を形づくり、これらが織りなす風景や環境を持つふじのくには、世界に誇れる富国有徳の理想郷と言えるのではないでしょうか。こうした本県のすばらしい自然は県民一人一人の財産であり、その価値を十分に知っていただきその自然に感謝する気持ちを育てていくことこそが、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷をつくり上げていくことに結びつくと思うのであります。
     県では、本年度から県の持つ自然史資料を活用して、本県の自然のすばらしさをいつでもどこでも体感できる出前博物館やミニ博物館を各地で開催をし、本県の自然を身近なものとするように取り組むだけではなくて、生涯にわたって自然や環境等を学べる環境づくりに成果を上げているものと評価をしています。こうした取り組みを今後も着実に行っていくことが、ふじのくにをまるごと博物館とするための大切な取り組みであり、郷土の自然を大切にする有徳の人材育成につながっていくと思うのであります。
     県では、新総合計画においてこうした自然史資料を活用し生涯学習を支える施策として新たな活動拠点の整備を検討することとしておりますが、新たな施設の建設といった旧来手法によることなく拠点機能を整備することが肝要であると私は考えます。今後新しい活動拠点の整備に向けてどのような検討を行っていくのか、またどのような拠点施設を想定されているのかを伺うものであります。
     次に、ふじのくにの産業振興についてのうち、一流のものづくり・ものづかい振興条例についてであります。
     我が国のものづくり産業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、本県のものづくり産業を振興し経済の成長、ひいては県民生活の向上につなげていくためには、各地域が有する多様な強み、特色や潜在力を最大限に活用し、活力ある地域経済を築いていくことが重要であります。本県は、先人が培ってきた技術の蓄積や産業の集積、さらには多種多様な農林水産物や魅力ある観光資源などを有しておりますので、これらの資源をより積極的に活用し、あるいはこれらの資源を結びつけることによって域外から人を呼び込める新しい産業を育成をしていくことは十分可能であり、地域の比較優位を生かした未来につながる産業構造の転換を図ることについて、積極的な取り組みが必要であると思うのであります。そういった意味では今回提案をされているいわゆる一流のものづくり・ものづかい振興条例は、地域のすぐれた資源を新しい視点で活用し新しい価値を創造するというコンセプトを示すものであり、時宜を得たものであると思います。
     しかし、本条例は本県のものづくりの振興に関する基本理念や施策の基本方針などを定めるいわゆる理念条例であることから、今後条例をどのようにして実効性のあるものにするのかが問われることになると思うのであります。条例では実施計画の策定が規定をされており、二十五年度までの取り組みを経済産業ビジョンとして取りまとめる予定とも聞いておりますが、本条例制定をばねとした今後の具体的な取り組みについて伺うものであります。
     次に、ふじのくに食の都づくりについてであります。
     忙しさにかまけて、おにぎりで昼食を済ませてしまうこともたまにある私が言うのは大変心苦しいわけですが、食は人生の縮図であり、食をおろそかにすることは生きることをないがしろにすることであり、食はまさに人間の原点であります。(発言する者あり)はい。
     しかし、我が国における食とその礎となる農や地域には、食料自給率の低下や人口減少、高齢化などによる農山漁村の活力の低下など多くの課題が山積をし、その基盤が揺らぎつつある状態にあります。こうした状況の中、国は食を十分に活用した国民社会の将来像を明らかにするため、地域の活性化と日本経済の成長につなげる道筋を明示をした「食」に関する将来ビジョンを昨年十二月に策定されました。
     知事は、このような食に関するビジョンを既にお持ちのようで、「食材を生産するものづくりと利用するものづかいを結合させ、地域でとれたものを地域でおいしく楽しく美しくいただくという食文化を創造し、食材の王国であるふじのくにを食の都にしてまいりたい」と力説をされています。
     今年度からは本格的にふじのくに食の都づくりに取り組み、本県産の食材を積極的に活用し本県の農林水産業や食文化の振興に貢献している料理人や菓子職人二百人をふじのくに食の都づくり仕事人として表彰するなど、各種の先駆的取り組みを展開をなさっています。このような地域の資源である食を核とした取り組みは、農林水産業の振興や本県のイメージアップなどにつながるものであり、さらに強力に推進すべきであると思います。
     そこで、ふじのくに食の都づくりについて、本年度の取り組みを総括をし、また今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺うものであります。
     次に、就職未内定の大学生、高校生への就職支援対策についてであります。
     静岡労働局が発表した県内大学に通う大学生の就職内定率は昨年十一月末現在で五五・四%と、統計が始まった平成六年度以降最低であり、まさに惨たんたる状態であります。さらに国が公表した全国における同時期の就職内定率は六八・八%であり、これと比較しても一三・四ポイントも低く本県の大学生は特に厳しい就職環境にさらされていると言えます。また高校生についても、昨年十二月末で八三・四%と前年を二・八ポイント上回ってはいるものの、前々年と比べると六・六ポイント下回っている厳しい状況となっています。
     県では、これまでも厳しい就職環境を受け、内定獲得セミナー、就職面接会の追加実施、就職相談の充実などさまざまな緊急対策に取り組んでいることは承知をしています。しかし昨年度の三月時点で、就職を希望しながら内定を取れずに卒業した県内の大学生は六百十七人、高校生は二百八十一人にも上っており、このままいきますと本年度はさらにその数が増加されることが危惧をされるのであります。
     また、既に大学三年生が来年度の就職活動を始めており、民間の就職支援のほとんどが三年生向けにシフトしてしまっていますが、それを横目に卒業目前にしてなお内定獲得に奔走するも就職先が見つからずに途方に暮れる大学四年生や、就職できずに卒業を迎える高校生が多数いることを思うと、心が痛まずにはいられないのであります。静岡県の将来、日本の将来の後継者たる若者が、社会人としての第一歩すら踏み出せない状況は、若者自身の人生だけでなく我が国の社会、経済全体に及ぶ深刻な問題であります。
     民間企業では、卒業後三年以内の既卒者を新卒者に含め採用する動きも出てきたようですが、民間の採用拡大が十分に期待できない中で、こうした若者にこそ行政の支援が期待されていると思うのであります。
     そこで、県はこの三月に未内定のまま卒業を余儀なくされる大学生や高校生に対して具体的にどのような支援をお考えなのか、御所見を伺うものであります。
     次に、介護人材の確保についてのうち、今後の取り組みについてであります。
     我が国の高齢化率は、昭和四十五年の七%から平成六年に一四%に達するのにわずか二十四年であり、驚異的なスピードで急速に高齢化は進んでいます。もちろん本県でも例外ではなく、昨年四月一日現在の高齢化率は二三%、特に七十五歳以上の高齢者の割合や高齢者のひとり暮らし世帯が急速に増加をしています。
     このように高齢者が急速にふえることに伴って、住みなれた自宅で自立した生活を送ることが困難となり、施設へ入所を希望する高齢者もふえ、昨年一月一日現在では県内で一万人を超える方々が特別養護老人ホームへの入所を待っている状況にあるのであります。県ではこれら待機者を一人でも減らすよう積極的に特別養護老人ホームなどの施設整備に取り組まれていますが、あわせて重要なことはその施設で介護サービスを提供する人材の確保であります。
     しかし、介護職員は他産業に比べ仕事の割に給料が安く、介護の仕事への意欲があっても他の仕事に移っていく人が多いことや若い人たちが希望しなくなっている実態があります。また県内の有効求人倍率が、昨年十二月に全産業が〇・五三倍に対し介護関係は一・八二倍と高い倍率となっており、全国と同様本県も介護人材の不足が極めて深刻となっているのであります。
     介護保険制度は、高齢期の暮らしを支える社会保障制度の中核として着実に機能しておりますが、高齢者が住みなれた地域で将来への不安を抱えることなく安心して生活していくことができるようにするためには、介護を必要とする方々の立場に立って質の高いサービスを提供する介護人材を十分確保することが重要な課題であると思うのであります。
     そこで、県では今後どのようにこのような介護人材の確保に取り組んでいくのかを伺うものであります。
     次に、外国人人材の活用の促進についてであります。
     介護需要の増大を受けて、県内の一部の介護保険施設などではEPA――経済連携協定によって意欲ある外国人介護福祉士候補者の受け入れを行っていますが、受け入れ施設の費用負担が増大することや、受け入れ外国人の在留期間が三年から四年と短いことなど多くの課題があるものと伺っております。こうした中、本県が四十都道府県の代表として、外国人介護福祉士候補者などの介護保険施設での受け入れ促進について構造改革特区に共同提案をし、現在国と協議中であると仄聞をしております。今後介護保険施設への外国人人材の活用の促進について、県としてはどのように取り組まれていくのか伺うものであります。
     次に、家・庭一体の住まいづくりの推進についてであります。
     県では、新総合計画において「住んでよし 訪れてよし」の理想郷づくりのため、生活と自然が調和をする家・庭一体の住まいづくりを提案をし、自然との触れ合いや家族の団らん、近所づき合いを大切にした暮らしの推進を図っていくこととしています。これは、地域に残る四季折々の生活や伝統行事の中でだれもが経験した日本人の暮らしの原風景でありますが、生活の利便性や合理性を追い求めた現代生活の中では年々失われつつあるものであり、家・庭一体の住まいづくりは、かつての心豊かな暮らしに回帰するため、自然と触れ合う住まいづくりから始めようということであると私は理解をしています。
     しかしその一方では、数年来の経済情勢の悪化に伴い昨年度の全国における住宅着工件数は四十数年ぶりに百万戸を割り込み七十八万戸、本県においても約二万六千戸とともにバブル期の半数以下にまで落ち込んでいるのであります。また昨今の勤労者世帯の実収入は横ばいから減少の傾向にあって、可処分所得のうち住宅ローン返済額の割合も約二〇%を占めているなど、今後新規住宅建設の大幅な回復は期待できないものと理解するべきであると思います。
     そこで、このような住まいへの志向や住宅建設の状況の中で、県は家・庭一体の住まいづくりの施策をどのような方針で進めていこうとされているのか伺うものであります。また平成二十三年度当初予算では家・庭一体の住まいづくり推進事業費が計上されているわけですが、事業の初年度としてどのように具体的に取り組んでいくお考えなのか、その事業内容についてあわせて伺うものであります。
     次に、次期防災通信ネットワーク機能の整備についてのうち、特徴と機能についてであります。
     昨年十月鹿児島県奄美大島を襲った集中豪雨では、停電や電話ケーブル切断により一万二千回線余りが不通となったほか、携帯電話や消防救急無線もつながらず被害の把握や被災地との連絡が全くできない状況が長く続いたとのことでありました。また記録的な大雪に見舞われた年末年始、福島県と鳥取県の国道で車が長時間にわたり立ち往生する事態が相次いで発生をし、停電により携帯電話が不通になるなど情報の混乱が被害拡大を招いたとも聞いております。
     災害対応は初動が決め手であり、このように早期の情報連絡体制の維持確保が何よりも重要であります。
     そこで、本県では、現在の防災行政無線システムの老朽化対策やデジタル化の必要性から、次期防災通信ネットワークを平成二十三年度から向こう四年間で整備をすると伺っておりますが、これまでの災害の教訓を踏まえ、情報伝達機能や関係機関の情報共有機能の一層の充実を図るために、どのような特徴や機能を持たせようとしているのかを伺うものであります。
     次に、県全体の防災通信インフラ機能の向上についてであります。
     次期防災通信ネットワークの整備に当たり、県では市町の防災行政無線のデジタル化を支援するため全国で初めて県で更新整備するネットワークシステムを市町に利用してもらい、県と共同でデジタル化を推進するとのことであり、また市町単独整備の場合に比べ財政負担が大幅に少なくなるとも伺っております。県と市町との情報連絡体制は、市町内部の体制が機能して県全体の防災力の向上に結びつくのであります。
     そこで、今回の共同整備により費用面だけでなく県全体の防災力の向上にどのような効果をもたらすのか伺うものであります。また県の防災通信インフラ機能の向上という点では、国と県との連絡体制はどのように強化をされるのかをあわせて伺います。
     次に、命の道の整備についてであります。
     新総合計画では、県民幸福度の最大化を図るための重点的な取り組みの一つとして地域医療の再生を挙げておられます。地域医療の再生では、周産期医療や小児救急医療などの充実を初め医療の偏在の解消や医療従事者の確保などを図っておりますが、社会基盤としての道路整備も地域医療の再生に大きな役割を果たすものであると私は考えます。
     例えば、伊豆地域の重篤患者を受け入れる第三次救急医療機関は伊豆の国市の順天堂大学静岡病院でありますけども、伊豆特有の急峻な地形のために道路は幅員が狭い箇所やカーブが連続をしており、救急医療機関への搬送に時間がかかるばかりではなくて、災害等による通行どめも多発をするなど道路の維持、整備は命を守るために大変重要な要素であると言えるのであります。このため県では、伊豆地域で昨年度に救急搬送に携わる消防署や病院との意見交換を行い、今年度に現場の生の声を踏まえて命の道の視点を重視した道路計画を策定していると聞いております。
     しかしながら、北遠や奥大井地域など県内にはほかにも救急医療機関への搬送に課題を抱える多くの地域があることから、県全体で命の道の整備を進めていくべきであると思うのであります。
     そこで、地域医療の再生を図るための命の道の今後の整備について、県の所見を伺うものであります。
     次に、静岡式三十五人学級編制の推進についてであります。
     知事は、日ごろから国づくりは人づくりであるとおっしゃり、徳のある人材の育成を目指して教育の分野に力を入れられております。その具体策の一つである三十五人学級編制は知事のマニフェストにも掲げられており、現在国に先駆け県独自で小学校六年生と中学校全学年において実施をされていますが、保護者や学校現場からは他の学年への拡充を望む声が強いと聞いております。
     またその一方では、静岡式三十五人学級編制の導入で教員の負担がふえた、新学習指導要領の完全実施と静岡式三十五人学級編制の拡充により来年度は教員の多忙化がさらに進むのではないかと憂慮する声も上がっているようであります。こうした中で静岡式三十五人学級編制、とりわけ小学校五年生等への拡充に当たって教員の増員は必要であると考えますが、静岡式三十五人学級編制の成果と課題を含めどのようにとらえられているのかを教育長にお伺いをするものであります。
     また、政府は本年四月から国が小学校一年生で三十五人学級編制を導入することを計画をしているようであります。本県ではこれまで小学校低学年の児童数の多い学級に対して支援員を配置しており、とりわけ小学校一年生の段階で学習規律や生活習慣をしっかりと身につけさせることが、その後の学校生活に影響を与えるために支援員の配置による成果は大きいものと私は思います。したがって義務教育がスタートする小学校一年生には、今後とも学級の規模にかかわらず支援員の配置が必要だと考えます。またたとえ三十五人学級が実現しても支援員の配置を望む保護者や学校関係者は多いと思われます。
     そこで、小学校一年生への今後の支援員の配置についてどのようにお考えなのか、教育長の御所見を伺うものであります。
     次に、特別支援学校の今後の施設整備計画についてであります。
     特別支援学校における児童生徒数の大幅な増加に伴う教育環境の悪化については報道でもたびたび取り上げられており、県民の方々と教育について意見交換する際には必ずと言っていいほど特別支援教育の充実が話題に上がり、県民の特別支援教育に対する関心の高さがうかがえるのであります。
     このような状況の中、我が会派でも特別支援学校の施設整備について繰り返し質問で取り上げ、教育環境を改善するための早急な対応を求めてまいりました。県教育委員会では、本年四月の開校に向け現在三つの分校で開校準備を進め、浜松城北工業高等学校内に浜松特別支援学校城北分校の整備が進み新しい校舎が完成しつつあり、また御殿場特別支援学校では昨年十二月に校舎増築が完了し、早速この一月から中学部が新校舎で学習を開始したと聞き、これらの取り組みについては一定の評価をしているところであります。
     しかしながら、依然として児童生徒数の増加が続いており、各校では特別教室を普通教室に転用したり、特に藤枝特別支援学校では普通教室や廊下の一角を使って作業学習を行ったりして対応する状況さえ多く見られ、厨房の調理機能が限界に来ている特別支援学校もあり、教育環境としては大変厳しい状態が相変わらず続いているものと思います。
     昨年度の質問でも取り上げましたが、知的障害者を対象とする特別支援学校の狭隘化や通学困難は、本県の施策の中でより優先順位の高いものとして取り組むべき課題と考えます。これらの課題に対し教育長は、これまでの特別支援学校の整備にかかわる基本計画に続く新たな施設整備計画を今年度中に策定すると答弁をされているわけですが、具体的にどのような内容になるのか教育長にお伺いをするものであります。
     最後に、暴力団排除条例についてであります。
     県警では、静岡県暴力団排除条例の制定準備を進め本会議に議案提出されているところであります。年頭安村警察本部長は、「暴力団を初めとする組織犯罪への対応に特に力を入れていく」と訓示されております。また警察庁長官も、「ことしは暴力団対策が日本の警察の最重要課題だと位置づけている」と全国警察に指示をしたとも聞いており、警察は暴力団に対する取り締まりを一層強化しているものと承知をしております。
     昨年、福岡県においても暴力団排除条例が施行されましたが、その施行直前に幼稚園の前に暴力団事務所が新設され住民の暴力団追放運動が始まりました。ところが追放運動の中心となった住民の自宅にけん銃が撃ち込まれるという事態が発生をし全国的に注目をされています。
     暴力団は暴力性、反社会性が著しく強い団体であり、その追放は警察や行政の力はもちろんのこと、住民みずからがその気にならなければ成功をしないのであります。全国的にも暴力団排除条例が相次いで制定をされ暴力団追放機運が高まっている今、暴力団排除の基本的施策を定めた条例を制定することは絶好の機会であると考えます。
     そこで、県警はこの条例を活用することにより今後どのような効果を見込んでいらっしゃるのか警察本部長に伺いまして、私の質問といたします。(拍手)
    ○議長(天野進吾君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 藤田議員にお答えいたします。
     初めに、平成二十三年度当初予算編成についてでございます。
     平成二十三年度当初予算は、政策的経費に使える財源が限られる厳しい財政状況の中で、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進めるため、三つの方針に基づいて予算編成いたしました。三つの方針とは、第一に新しい総合計画の着実な推進、第二に厳しい雇用・経済状況への万全の対応、第三にふじのくにづくりと財政健全化の両立であります。
     その方針、第一の新しい総合計画の着実な推進についてでありますが、これにかかわりましてふじのくに県議団を代表して藤田県議のほうから、「我が会派は知事の本県の発展に期する力強くそして熱意に満ちた思いの集大成である新総合計画の実現のため、助力を惜しまないことを改めて表明するものである」という御表明を承りまして、まことにうれしく感激した次第でございます。これを聞きまして、せんだって問題になりかけたあの「応援をします」というのは、主語と目的語を書き間違えられたものだというように思いまして、今改めて感謝申し上げる次第でございます。
     まず、新しい総合計画の着実な推進というのは四つの柱から成りますけれども、第一に万全な危機管理体制の確立であります。そのために県有施設などの耐震化を進め来年度には県立学校の耐震化を完了させます。鳥インフルエンザなど家畜の防疫体制を強化するために、東部と西部の家畜保健衛生所の建てかえを進めてまいります。
     二つ目の柱といたしまして、未来を支える人材の育成です。静岡式三十五人学級編制を小学校五年生にまで拡大して実施いたします。そのほか新しく沼駿、志榛地区に特別支援学校高等部の分校整備を進めます。かようにいたしまして教育環境の充実に努めてまいります。先ほど教育長のほうから富山方式をまねて中学二年生に企業訪問をするというような具体策も、そうした教育環境の充実の一つでございます。
     三つ目の豊かさの実現のためには、地域企業の成長産業への参入支援など新産業の創出に取り組んでまいります。またふじのくに地域医療支援センターを拠点とした医師確保対策の充実に努めます。さらに子供を産み育てやすいまちづくりに意欲のある市町を支援いたしてまいりまして、子育て支援を充実させてまいります。
     第四に、地域の自立を促進するために空港の機能拡充やにぎわいの創出を図ります。そのために富士山静岡空港の旅客搭乗橋をもう一つつくります。そして石雲院展望デッキの整備を進めます。そのほか救急搬送路等の安全・安心の道路整備や集中豪雨に備えるための治水対策など、県民に身近な社会資本の整備を進めてまいります。
     方針の第二における厳しい雇用・経済状況への万全の対応についてでは、未就職卒業者を県の臨時職員として雇用するなど七千五百人余りの雇用を創出いたします。県産材を利用した木造住宅の建築に対する助成件数を大幅に拡大するなどしまして、消費の拡大を図ってまいります。
     方針の第三でございますが、ふじのくにづくりと財政健全化の両立のために、新しい行財政改革大綱に基づきまして補助金の終期を設定する、いわゆるサンセット方式による補助金の見直しをいたします。さらなる県有財産の有効活用による新しい財源の確保に努めます。そして徹底した歳出のスリム化と歳入確保に取り組みまして、ふじのくにの自立を支える財政基盤の確立に努めてまいる所存でございます。
     次に、行政の構造改革の推進についてのうち、新行財政改革大綱についてであります。
     新しい行財政改革大綱では、これまでの国と地方の関係を見直して中央集権から地域主権への転換を図ります。みずからの責任において独自の施策を推進する自立したふじのくにづくりというのは、まさにそのためのものでございます。
     このため、県民がふじのくにの富国有徳の志を持った士民、富士の「士」と書いた士民、ジェントルマンとして主体的に地域づくりを進めることや基礎自治体は身近な行政需要に対応し、県は広域機能や高度専門的な機能を担うなどこうした役割の分担を明確にしながら、場の力を生かした独自の施策を進めることを目標に掲げております。
     その実現に向けては三つの戦略がございます。透明性の高い行政運営、効果的で能率的な行政運営、未来を見据えた戦略的な行政運営の三戦略でございます。三百を超える具体的な取り組みにつきましてその目標を実現する担当の課、そして実施時期を明記しました。大綱であるとともにこれは行財政改革の実行計画でもあります。したがいましてスピード感を持ってこれを前倒しをするということを一つの姿勢といたしまして、確実に実行をしてまいります。
     また、取り組み状況はすべて県民に公表いたします。透明性を高めます。新たに課題が発生した場合には、必要に応じて検討会を設置いたしまして迅速に対応いたします。このようにして常に検証や見直しを行いながら、地方自治のモデルとなるような地域主権の時代にふさわしい行政経営に努めてまいります。
     次に、今後の権限・財源の移譲計画についてであります。
     地域が地域の実情に応じて発展していくには、基礎自治体である市町が権限移譲を通じて自己決定権限を拡充し、住民に身近な行政を自立的かつ総合的に担っていく必要があります。そのために年度内を目途に、新しい権限移譲推進のための計画を取りまとめているところでございます。
     新しい計画におきましては、平成二十三年度から二十五年度までの三年間で、市町との間で協議が整った事務及び法令改正が見込まれる事務を合わせ、国の地域主権改革関連法案の議論に先行して五十三法令六百七十三事務を市町に移譲することとしております。これは直近の計画と比較しても三倍強と多くの事務の移譲を目指すものとなっており、引き続き日本一の権限移譲法律数となる見込みでございます。また権限移譲事務交付金制度における移譲初年度に措置する経費の充実を図ります。それとともに県・市町職員人事交流制度の弾力的運用によりまして、県職員派遣の拡充を計画に盛り込みます。財源・人材面での支援も強化してまいります。
     県といたしましては、補完性の原則に基づきまして、住民に身近な行政はできるだけ市町が担って、できない分野を県が補完するという県、市町での役割分担を一層進める本計画を地域の自立に向けた推進計画とも位置づけておりまして、今後とも権限と財源と人材の三位一体の権限移譲を進め、国の地域主権改革のモデルとなるふじのくにづくりを進めてまいります。
     次に、地域外交の推進についてであります。
     グローバル化が進行いたしました。日本もまた静岡県にもその影響が大きくあらわれております。国や地域による文化の違いを理解して、海外諸国とさまざまな分野において相互にメリットのある地域外交を推進することが大変重要であるという認識を持っております。こうしたことから平成二十三年度に企画広報部に地域外交局を設置いたします。そして今年度は臨時代理大使を置きましたが、来年度は大使を任命申し上げる次第でございます。ほぼ最終段階になっております。人選につきましては近日中に御報告できると存じます。
     富士山静岡空港の就航地である中国や韓国、さらにモンゴル、台湾など東アジアを中心とする地域や北米などを重点地域としております。友好的互恵・互助の関係に基づく交流を推進してまいります。外交や国際交流に関して卓越した知識や経験を持つ外部有識者を活用いたしまして、全県的な視点に立った施策を進めるための地域外交戦略会議を開催する予定でございます。こうしたことを通じて本県独自の、あるいはふじのくにの地域外交を展開してまいります。
     具体的には、中国浙江省とは平成二十四年に友好提携締結三十周年を迎えますので、中国駐在員を一名増員して体制を強化いたします。そして記念事業の準備など、防災環境などでの連携協力を進め、韓国忠清南道との文化、観光などの分野における友好提携に向けた交流も推進いたします。モンゴルのドルノゴビ県創立八十周年記念事業行事への県民訪問団の派遣も予定しております。このように多面的に地域間交流を拡大してまいる所存でございます。
     また、海外からの技術研修員の受け入れをしますとともに、JICAグローバル大学院につきましては、元文科大臣・現在静岡文化芸術大学の理事長の有馬先生とも協力体制をしきながら、その実現に向けまして現在文科省、外務省に働きかけているところでございます。本県の有するすぐれた技術も生かして国際協力を積極的に推進するとともに、県内におきましては外国人の県民と日本人の県民が相互の理解と協調のもとに安心して仲よく暮らせるように、多文化共生推進基本計画の具体化を図るなど幅広い観点から総合的に地域外交を推進してまいります。
     地域外交という言葉は目新しいわけですけれども、外交というのはかつては国家主権は国王が持ってましたんで国王の専管事項でございました。しかしアメリカが独立しまたはフランス革命以降国民国家が成立しました後は、これはいわゆる外交官が――国の外務省ないし国王の直属の者が外交をしてまいりました。そうした国がする外交というのが二十世紀に入りまして一般化いたしまして、そうした中で国同士が戦争をしないために国際連盟、戦後になりましては国際連合というものがつくられました。
     一方、グローバル化が進展いたしまして地球が狭くなりました。その結果十億にもなんなんとする人々が交流する時代になっております。そうした中で地方政府間の交流も進んでまいりました。実際、本県でもそうでございますが日本全体をごらんになりましても、友好都市関係を取り結ぶ諸都市が昭和五十年代くらいから急速にふえております。
     そして、二十一世紀になりましていわゆる都市間の関係を持つ都市、あるいは地方政府の国際連合――UCLGというものも設立されました。二〇〇四年のことだと存じますけれども、ユナイテッド・シティーズ・アンド・ローカル・ガバメンツという、いわば国際連合に対しまして地方政府、地域の都市間の国際的な集まりでございます。こうしたものは本県におきましても日中国交十周年を記念いたしまして一九八二年から浙江省と交流を結ぶようになり、それが日中間の交流の平和の対話づくりの礎の一端を担っていることは我々の誇りとするところでございます。
     こうした地域間の関係は日本だけでも恐らく千七百近い友好関係がございます。中国一国におきましてもそれくらいの数の地域政府間関係というものがございます。さらには韓国におきましては各道が、世界で大使を経験した人たちを各道の大使として任命しておりまして、地域間外交を進めているわけでございます。
     したがいまして、本県におきましてもそのような世界の潮流に乗りおくれず、またそうした中で本県の持っている力を十分に発揮し、互恵・互助の精神にのっとりまして世界の平和に貢献していくということでございます。今後とも産業、観光、教育、文化などさまざまな分野におきまして地域外交を積極的に展開し、県民や企業、民間団体などの交流を促進するとともに、県勢の一層の発展に努めてまいる所存でございます。
     次に、富士山世界文化遺産登録の実現についてであります。
     富士山の世界文化遺産登録を確実なものとするのに何をするべきか。まず富士山の保存管理に関する実効性のある計画を策定し、その推進体制を確立せねばなりません。またユネスコの評価基準に合致した富士山の顕著な普遍的価値を証明しなければなりません。そしてその物証となる構成資産の選定が重要になってまいるわけでございます。
     議員御指摘の包括的保存管理計画の策定に向けて関係省庁と調整をしておりますが、現在文化庁が中心となりまして関係省庁と具体的な協議が進められております。静岡・山梨両県もその協議に積極的に参画し、年度内における実務レベルでの合意に向けて今最終的な取りまとめに入っているところでございます。
     昨年七月の学術委員会で構成資産としなかった柿田川と大鹿窪の遺跡につきましては、一年の余裕ができましたので、新しい観点で富士山の価値を証明できるのか、今改めて県学術委員会に検討をお願いしているところでございます。この三月には構成資産とすることの可否が決定する見込みです。
     七月末の推薦書原案の提出はこれはもう後戻りはしません。先延ばしにも決していたしません。平成二十五年の富士山世界文化遺産の登録の実現というのをタイムスケジュールの中に組んでおります。七月に文化庁に提出いたしまして、それから半年余りでユネスコに文化庁のほうから御提出なさいまして、それに基づきましてユネスコのほうから専門家がこちらに現地調査に来られる。そして最終的に委員会におきまして遺産登録の可否が決定されると、それが平成二十五年度ということになるという、そういうタイムスケジュールで動いているところでございます。
     登録に向けた機運の盛り上げにつきましては、従来から実施している学校、企業などを対象とした出前講座に加え、本年度新たに親子を対象とした現地学習会を開催するとともに、二月二十日には富士山の日を記念して、県立美術館館長の芳賀徹先生による世界文化遺産特別講演会を開催いたします。また二月二十三日の富士見の式典を契機にいたしまして、民間の方が中心になった、広く国民の皆様から登録への賛同と富士山を未来に継承する思いを込めたメッセージの募集も開始いたします。
     未来に引き継ぐというのは、まさに富士山について最初に歌われた万葉集の我々がだれもが知っている「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にぞ」、その短歌の前に長歌が置かれているわけですけれども、その長歌に書かれているとおり「天つちの分れしときゆ神さびて高く貴き駿河なる富士の高ねを」、最後は「語り継ぎ言い継ぎ行かむ富士の高ねは」とありますように、その奈良の時代から語り継ぎ言い継いでいこうという精神を、これを今に継承するということでございます。
     そうしたものとして、富士山百人一首というものを二月二十三日には皆様方に御披露申し上げ、五七五七七、七と五が合いますとリズムがいいわけですね。「妻をめとらば才たけてみめ美わしく情けある 友を選ばば書を読みて六分の侠気四分の熱」、七五七五とこういうようにしていきますと日本のリズムの中に入ってくる。こういうリズムも含めてこの日本の文化力、あるいは季節感、自然感、そして山への敬意、自然に対する畏敬の念の、それが象徴されている富士山をしっかりと継承していくということでございます。こうして登録に向けて官民が一体となりますような一層の機運の醸成を図ってまいります。
     次に、自然史資料を活用いたします新たな活動拠点の整備についてであります。
     県民が本県の自然を身近に体験し、県議言われるように丸ごと博物館にすることが目的でございます。そのすばらしさに感動したり生涯にわたり自然に関心を持って学べるようにすることは、みずからが住んでいる地域をよく知り愛し、そしてよりよい生き方を学ぶために大切なのであります。そのことがふじのくにに徳のある人材が生まれてくることになるにも通じていると存じます。
     そのため、現在所有しております自然史資料につきましても、収集や保管するだけではなく県民が直接見たり触れたりすることによって自然の魅力を実感したり、みずから自然について学べるように活用することが重要です。
     自然史資料を活用した新しい活動拠点につきましては、従前の博物館のように展示機能を主体としたものというよりも、いつでもだれでも本県の自然についての知的探究心を満たし、そしてまた関心を喚起する、それを通して身近に体感することのできる機能を備えた研究活動、生涯学習などに役立つ拠点となるように検討しているところです。活動拠点となる施設につきましては、厳しい財政状況、早期にそれが供用できるのが望ましいということも考慮して、例えばでございますが再編が予定されている県立静岡南高等学校の校舎なども、既存の公共施設の活用という観点で検討の余地があると存じます。
     次に、就職未内定の大学生、高校生への就職支援対策についてであります。
     厳しい就職活動を余儀なくされている大学生、高校生の就職支援は、何をおいても取り組まねばならない喫緊の課題であります。県といたしましては、昨年十月からこの二月までに未内定の大学生や高校生を対象とした就職面接会を県内各地で計十回、四百八十六社の参加を得て集中的に開催いたしました。さらに三月にも県内四カ所で実施することとしております。
     大中小の企業はすべて地域企業として地域の産業、経済、生活の基礎であるという観点から、就職の支援につきましても就職課を預かっている各高校、大学の人々におきまして、そういう大中小にこだわらずに地域にとって不可欠のもので、そうしたものは県が支援をするという観点から、いわゆるミスマッチというものが起こらないように今努めているところでございます。
     これらに加え人材派遣会社に委託し、就職が決まらないまま卒業する学生などに対しまして、就職活動のための基礎研修や企業実習などを行うことで正社員への就職に導く緊急未就職卒業者就職応援事業、これを四月から百二十人の規模で実施いたします。そしてその速やかな募集を開始いたします。それとともに県の臨時職員といたしましても、四月から五十人規模で任用するための予算を今議会にお諮りしているところでございます。
     卒業後におきましても就職面接会を開催いたしますとともに、ヤングジョブステーションでマンツーマンの就職支援を行うなどきめ細やかな対策を実施いたします。一人でも多くの未就職卒業者が早期に就職できますように、県の幹部職員が企業を訪問し要請するなど採用の拡大を積極的に働きかけてまいります。
     昨年末から、特にことしになりましてから賀詞交歓会等で例外なくもう一人お雇いいただきたいということをお願いしておりますが、先般浜松に行きましたらば特別枠として十人、さる大学からとったという経営者がおられまして、それを皆さんの前で公表されまして多く感銘を与えてくださって、こうした官民一体となった青年への就職支援というものが、今、地についているのでこれをさらに加速しまして、一人でも未就職者が出ないように全力を尽くしてまいります。
     次に、家・庭一体の住まいづくりの推進についてであります。
     家・庭一体の住まいづくりを実現していくための考えというのは、所有から利用へという、そういう考え方でございます。少ない負担で土地や住宅を有効利用できる制度がございます。定期借地権、定期借家権というのがそれでございます。この制度を活用いたしまして、それなりの広い庭で伸び伸びとした生活を人生の一時期、一段階、楽しめる選択の余地を常にあるというようにするということが大事で、多自然地域への住みかえ支援などに取り組んでまいりたい。若い世代の子育ての環境を充実させたい。郊外の空き家住宅を活用して都市部から移住促進をいたしたい。これは市町や民間事業者と連携して進めてまいります。
     都市部の集合住宅におきましても緑の環境が確保できるように、県営住宅の再生整備に当たりましては必ず緑のオープンスペースを設ける、共同の花壇や菜園なども設けるようにするなど自然と触れ合うことのできる空間を整備し、市町営住宅や民間集合住宅への普及を図ってまいります。
     さらに、農山漁村と都市との交流や週末の田舎暮らしなど多様で魅力的なライフスタイルを提案、促進するとともに、農山漁村にございます民宿の開設支援や移住相談センター設置などにも取り組み、定住、交流の拡大を図ってまいります。このような取り組みにより、新しい住宅建設やリフォーム需要を喚起することなども通して地域経済の活性化を図ってまいります。
     平成二十三年度におきましては、県、市町、民間事業者から成る家・庭一体の住まいづくりの推進協議会を組織いたしまして、定期借地・定期借家制度の普及・活用策や住みかえ情報の提供の仕組みなどについて幅広く検討していただき、それとともに未利用県有地における県産材を活用した定期借地権つきモデル住宅団地の具体的な計画づくりを行います。
     また、シンポジウムや学生、若手建築士等を対象としたアイデアコンペなども実施いたします。このような住まいづくりを広く県民に普及してまいりますとともに、推進協議会のメンバーを中心といたしまして、市町や民間の住宅設備におきまして家・庭一体の住まいづくりが広がるように取り組んでまいります。
     その中から出てくるコンセプトの一つが暮らしの空間倍増計画でございます。これは定期借地・定期借家権を利用しながら暮らしの空間が倍増できるようになりますと、不動産にかける大きなお金が節約できることになりますから耐久消費財の消費がふえます。それが本県においては全国平均よりも一割ほど低い個人消費を引き上げることになる。
     個人消費を引き上げないと県はデフレスパイラルからなかなか抜けられません。そのために今回はリフォームというところで県産材を活用しながら、そこにリフォームをして生活が幸せになる、家族の喜びが大きくなるというようなことを通して個人消費を上げていくということでございまして、そのために今回はやや金額は少ないという御批判もあるようですが、いわゆる事業仕分けにおきまして「不要」と判定せられましたことにつきまして、それはプレゼンテーションが下手であるとか、本県の大きな基本目標が判定人に理解されていないことなどがございますが、この第一次産業の大きな柱であります林業、県産材というものを励ましていくために、これは極めて重要な施策であるというふうに思っておりまして、しかしそれが同時に家・庭一体、家庭の回復になると。結果的に個人消費が拡大し、県にいわば好循環が戻ってくるということでございまして、幸せと経済の二つの循環がうまく働くようにということを目指しているものでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(天野進吾君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 新総合計画の実現に向けた財政の中期見通しについてお答えいたします。
     新総合計画の基本計画の概算所要額につきましては、議会からの御提言等を踏まえ、基本計画の具体的取り組みのうち工程表をお示しした主な取り組みに係る事業費、これを個別に積み上げ平成二十三年度に一千三百億円、平成二十四年度に一千九十億円というような形で、毎年度の所要額を財政の中期見通しに算入いたしました。
     また、基本計画の着実な推進を財源面から担保するため、二月補正予算におきましてふじのくにづくり推進基金として百億円を計上し、平成二十三年度当初予算ではふじのくにづくり推進事業と位置づけた重点的に取り組む新機軸の事業を中心に二十五億円を活用したところでございます。
     次に、今後の財政収支についてでありますが、一般財源総額が平成二十三年度と同額に据え置かれるケースでは、今後の財源不足額が四百億円程度で推移する厳しい見通しとなった一方で、社会保障経費の増加等に応じて地方交付税が措置される地方財政制度が本来有している機能が発揮されるケースでは、財源不足は中期的には解消の方向に向かう見通しであります。
     このため、新しい行財政改革大綱に基づき徹底した歳出のスリム化、歳入確保に努めるとともに、国に対しましては行政サービスの安定的な提供に必要な一般財源総額の確保や地方消費税等の税財源の充実等について提言をしてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) ふじのくにの産業振興についてのうち、初めに一流のものづくり・ものづかい振興条例についてお答えいたします。
     本条例は、一流のものづくりと一流のものづかいに積極的に取り組む機運を醸成し、本県経済の発展と県民の豊かな暮らしの実現に寄与することを目的に、その具体的な施策や達成目標につきましては、条例の実施計画であります経済産業ビジョンとして策定しているところであり、この三月に公表してまいります。
     具体的には、ものづくり事業者の新たな事業分野への進出については、環境、健康・医療といった成長分野への参入促進や関連分野に係る試験研究の重点化を図るとともに、スポーツ産業や新しいサービス産業分野の創出などを実施してまいります。また六次産業化や経営革新に取り組む事業者への支援につきましては、地域資源をものづかいの視点で活用し新しい価値を生み出す取り組みが進められますよう、専門家の派遣、相談窓口の設置、新商品の開発や展示商談会への出展支援などを実施してまいります。
     さらに、条例の実効性を高め経済産業ビジョンを着実に推進していくため、毎年目標の達成状況や成果について白書に取りまとめ進行管理を行うことにより、一流のものづくりと一流のものづかいができる人材が育ち、本県の場の力が持続的に高まり産業の発展や交流人口の増加につながるよう取り組んでまいります。
     次に、ふじのくに食の都づくりについてであります。
     本県では、二百十九品目を誇る豊富な農林水産物を活用し食の都づくりを進めるため、下田市出身の栗原はるみさんなどを講師に、ふじのくに食文化創造講座を県内各地で七回開催するとともに、秋にはふじのくに食の都づくり仕事人の表彰、また冬には本県の食材のすばらしさを首都圏のバイヤーや料理人などにPRするトップセールスを実施するなど、本格的に取り組んでいるところです。
     このような取り組みを進める中、この一月には県内の料理人の団体が県食材を使った日本料理コンテストを初めて実施し、また三月には西洋料理のコンクールも開催されるなど、食の都づくりが民間でも広がりを見せてまいりました。今後は新たなふじのくに食の都づくり仕事人を積極的に表彰するとともに、仕事人の店舗で春の料理を提供する第一回のレストランフェアである食の都仕事人ウィークをこの十九日から二十七日まで開催し、続けて五月、九月、十二月にも季節に応じて開催してまいります。
     さらに、仕事人と生産者が連携し新たな料理や食材の開発に取り組む――仮称でありますが――地域食文化学会を立ち上げて支援するほか、多彩な農林水産物の中から国内外に誇り得る価値や特徴を備えた農芸品をしずおか食セレクションとしてブランド認定をしてまいります。このような取り組みを通じふじのくにならではの食文化の創造を図り、国内外の方々を引きつけあこがれを集める食の都の実現を目指してまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 介護人材の確保についてのうち、初めに今後の取り組みについてお答えをいたします。
     高齢化の一層の進行に伴って介護需要はますます増大することが見込まれますことから、介護サービスを提供する人材を確保するとともに、資質を向上させる両面の取り組みが不可欠であると考えております。このため県では介護職員の給与改善を目標とした処遇改善交付金を介護事業所に交付する事業を実施しておりまして、昨年度の実績では月額一万七千円の賃金改善が行われ、就労意欲の向上や定着に一定の効果を上げましたことから、来年度はすべての事業所においてこの事業が利用されるよう粘り強く働きかけてまいります。
     また、介護職場体験事業や就業セミナーなどを通じまして、特に若い人たちに介護の仕事に魅力を感じてもらうとともに、「働きながら資格をとる」介護職員雇用支援事業や介護福祉士養成施設の在学生に対する修学資金貸与事業により、新たな人材の介護分野への就業を促し将来の質の高い介護人材の確保を図ってまいります。県といたしましては、良質な人材を安定的に確保することにより介護現場で質の高いサービスが供給されますよう、今後も引き続き介護人材の確保に積極的に取り組んでまいります。
     次に、外国人人材の活用の促進についてであります。
     現在、県内ではEPA――経済連携協定に基づきまして、二十四人のインドネシア及びフィリピンの方が十一カ所の施設で介護福祉士資格の取得を目指しておりますが、国家試験の受験には三年の実務経験が必要なことから、四年の在留期間の最後の年に一度しか受験できないことに加えまして、在留期間中の給与や学習支援のための費用など受け入れ施設の負担は大きなものとなっております。
     このため、県では四十都道府県で歩調を合わせまして構造改革特区提案を行い、受験機会を二回以上に拡大することや、受け入れ施設の負担軽減のため介護報酬の適用される人員基準への算入などを国に提案しているところであります。また介護現場では、EPAに基づく外国人介護福祉士候補者のほか永住許可を受けている外国人の雇用も増加していることから、外国人の介護資格取得を支援するため、平易な日本語に置きかえた介護福祉士国家試験用テキストを来年度新たに作成することとしております。
     介護需要の増大と国際化の中、外国人介護職員の活用は介護人材の確保のみならず介護現場におきましては日本人介護職員にもよい影響を与え、サービスの向上にもつながっているとの意見も多いことから、県といたしましては今後とも外国人介護職員の受け入れ促進のための支援策に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 次期防災通信ネットワーク機能の整備についてのうち、初めに特徴と機能についてお答えをいたします。
     次期防災通信ネットワークの整備につきましては、今年度実施設計を終え来年度から整備に着手することとしておりますが、今回の整備では使用する電波がこれまでのアナログ方式からデジタル方式へと移行することが大きな特徴となっております。デジタル方式への移行につきましては国の電波政策に沿うものでありますが、整備に当たりましてはデジタル方式の持つ特徴や機能を十分生かすものとなるよう設計に取り組んでおります。
     具体的には、携帯電話のような双方向通話、文字データや写真、動画などのさまざまなデータの高速通信、さらに被災者の個人情報の保護の観点から秘匿性を向上させた通信が可能になるなど、防災対策上、すぐれた特徴や機能を有しております。
     県では、防災関係機関相互での災害情報の迅速的確な収集伝達とその共有化を図り、次世代を担う県の基幹となる防災通信インフラとして、その機能がより一層充実強化されるよう整備に取り組んでまいります。
     次に、県全体の防災通信インフラ機能の向上についてでございます。
     本県における防災通信インフラにつきましては、県だけでなく市町にとってもデジタル化への移行が大きな課題となっております。しかしながらデジタル化には多額の費用を要することから、財政状況が厳しい中、デジタル化ができる市町とそうでない市町との間で防災通信インフラに地域格差が生じないか危惧をいたしております。
     こうしたことから、本県では整備に当たって市町の整備・運営費用の大幅な軽減が図られるよう県との共同整備を提案し、その結果十三の市町に参画していただくこととなりました。完成後は無線システムを共用することで、携帯電話のように県や市町との間で自由に通話することが可能となるなど、単独整備に比べ運用面でもすぐれた特徴を有することとなります。
     また、県では、今回の整備により自衛隊の指揮拠点となります東部方面総監部との直接の連絡体制を確保するなど、情報共有・受援体制の強化を図ることとしておりますが、内閣府や消防庁などにつきましても、国のデジタル化への対応状況を見ながら引き続き連携の強化に努めてまいります。なお、今後整備が予定されている消防救急無線を含め、デジタル化による防災通信インフラを新たに整備するためには、国の主導的な取り組みと積極的な財政支援が必要となりますので、引き続きその実現に向け市町と連携して国に強く働きかけてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 命の道の整備についてお答えいたします。
     救急医療におきましては、いかに迅速かつ安全に医療機関へ搬送できるかが救命の重要なかぎとなっております。昨年一月に伊豆地域で行いました救急搬送関係機関との意見交換では、バイパス整備などによる搬送時間の短縮を望む声とともに、落石防止対策や路面の段差解消などによる安全でかつ患者に負担の少ない安静な搬送を望む声が多く寄せられたところであります。
     こうした声を踏まえまして、本年三月までに伊豆地域における救急搬送路整備計画を策定することとしており、北遠など県内ほかの地域についても、今年度救急医療機関や消防機関との意見交換等を実施するなど救急搬送路整備計画の策定に着手しているところであります。
     県といたしましては、新たな総合計画における安心の健康福祉の充実に向け、政令市等とも連携し、来年度県内全域につきまして計画の策定を終えることとしており、計画を策定した地域から順次整備に着手し救急医療の支援に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 静岡式三十五人学級編制の推進についてお答えいたします。
     静岡式三十五人学級編制のまず成果につきましては、教員の子供と向き合う時間が増し良好な人間関係が築かれ意欲的に授業に取り組む子供がふえているなどの声が寄せられているほか、三十日以上欠席した児童生徒が減少するなど、生徒指導におきましてもよい影響が出ております。一方課題といたしましては、議員御指摘のとおり授業時数が増加し一部の教員の負担がふえることや、少人数の環境を必ずしも十分に生かし切れず知識の習得に偏った従前と変わらない授業も見られることが挙げられます。
     県教育委員会といたしましては、これらの課題解決に向け業務の精選を一層進めることなどにより多忙化解消を図るとともに、現状を把握し増員等を含めて教職員の適正配置について検討してまいります。さらに授業につきましては、言語活動、体験活動の充実を図るなど少人数学級のよさを生かした改善をさらに推進してまいります。
     また、小学校一年生への支援員の配置につきましては、保護者や学校関係者から要望が強く寄せられていることも踏まえて来年度も継続し、今後も小一プロブレム解消のためにきめ細かな支援を行うとともに、少人数環境下での支援員の必要性について検証してまいります。
     次に、特別支援学校の今後の施設整備計画についてであります。
     基本計画に続く新たな施設整備計画におきましては、三つの基本方針を考えております。第一は知的障害者を対象とする特別支援学校の大規模化、狭隘化や通学負担の大きい地区への対応、第二に肢体不自由者を対象とする特別支援学校の老朽化への対応、そして第三に共生・共育の推進の三つであります。
     具体的には、小笠・掛川地区及び榛南地区には、主に知的障害者を対象とする特別支援学校の本校を設置すること、肢体不自由者を対象とする田方地区にある東部特別支援学校及び浜松地区にあります西部特別支援学校では、老朽改築に取り組むことを早急な対策として計画に位置づけることとしております。また沼駿地区では沼津城北高等学校内へ、また志太地区では焼津水産高等学校内への高等部分校の整備に向け、平成二十三年度当初予算に設計費を計上し、平成二十五年度の開校を目指し準備してまいります。
     県教育委員会といたしましては、年度内の公表に向け現在施設整備計画を策定しており、特別支援学校の子供たちによりよい教育環境が提供できますよう施設整備に取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 暴力団排除条例の制定による効果についてお答えいたします。
     本条例の一番の眼目は、暴力団事務所をつくらせないために、学校、図書館、博物館等青少年の健全な育成に資する施設の周囲二百メートルを暴力団事務所の開設禁止区域としたことと、これ以外の地域においても、不動産譲渡等をしようとする者や建設業者が暴力団事務所に利用されることを知っての不動産取引や建設工事の請負契約を禁止したことであります。県内では約九十の組事務所を把握しており、これまで暴力団事務所の開設を禁止する法令がありませんでしたが、この条例により禁止区域内では暴力団事務所の開設を阻止できるほか、これ以外の地域でも暴力団事務所の開設を抑止する効果を期待しております。
     このほかにも、事業者や祭礼等の主催者等に対し暴力団の威力利用や利益供与を禁止するとともに、実効性を担保するためこれに違反した者には勧告や事業者名等を公表することができることとしております。加えて県の公共工事等あらゆる事務及び事業には、暴力団や暴力団と密接な関係を有する事業者を参加させない規定を盛り込んでいます。これらの規定を厳格に運用することで暴力団へ流れる資金を遮断することが期待できます。
     私は若いころ暴力団対策を担当しておりました。本条例は積年の悲願である暴力団壊滅の大きな武器になると確信しておりますし、また確固たる意志による運用をして、その武器にしていかなければならないと決意しているところでございます。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) これで藤田寛君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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