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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

廣田 直美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2018

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 畜産業の振興について
(1) 生産基盤の強化
(2) 畜産業における危機管理
2 太陽光発電ガイドラインについて
3 安定した財政運営について
  県債の発行方針
4 狩野川流域下水道の今後の事業運営について
5 国民健康保険の運営の方針について
6 認知症に優しい地域づくりについて


○副議長(落合愼悟君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三番 廣田直美君。
       (三番 廣田直美君登壇 拍手)
○三番(廣田直美君) 私は、先の三月に行われました補欠選挙におきまして田方郡函南町の皆様の負託を受け、この場に立たせていただいております廣田直美でございます。初登壇でございます。皆様どうかよろしくお願いいたします。(拍手)ありがとうございます。
 私は、七年間の町議会議員を経験いたしまして県と市町のパイプを太くすることこそが円滑な行政運営につながると思っております。そうした意味で諸先輩方の御指導のもと、函南町のことのみならず県政全般に取り組んでいくことをお約束申し上げて質問させていただきたいと思います。
 それでは、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について通告に基づき分割方式にて知事、副知事、関係部局長にお伺いいたします。川勝知事を初め答弁者の皆様よろしくお願いいたします。
 初めに、畜産業の振興についてのうち、生産基盤の強化について伺います。
 北に優美な富士山を望み箱根や伊豆の山々を背に三百六十度山に囲まれた標高二百五十メートルの丹那盆地を有する函南町は、明治十四年から現在に至るまで約百三十年の歴史を誇る県内でも有数の畜産業の産地であります。特に乳牛を中心とした酪農は函南町の基幹産業でもあります。こうした中、函南町では中小企業地域資源活用促進法に基づき、すぐれた地域資源をブランド化し情報発信を通じて地域の活性化を図ることを目的に函南ブランドの認定制度を平成二十八年から実施しております。牛へのストレスを極限まで抑え伸び伸びと育った牛から搾乳される生乳の鮮度にこだわった丹那牛乳は、第一回の函南ブランド認定品に選出され中国の食品見本市でPRするなど販路拡大にも精力的に取り組んでおります。
 しかし、平成七年に八十九戸であった町内の畜産農家戸数は平成二十七年には四十一戸まで減少しております。特に乳用牛に関しては牛乳価格の低迷、生産調整、飼料の高騰が続き、七十二戸二千六百一頭から二十二戸千二百八十九頭にまで減少しています。こうしたことから全国に誇る函南ブランドである丹那牛乳の原料となる生乳生産量の確保が課題となっています。そしてこれは函南町だけの問題ではありません。静岡県全体としても後継者不足や高齢化により畜産農家戸数の減少が進み、生産基盤の弱体化が危惧される状況にあるのではないでしょうか。
 そこで、畜産生産基盤を支えるための県の取り組み特に酪農に対する取り組みについてお伺いいたします。
 次に、畜産業における危機管理についてお伺いいたします。
 平成二十二年宮崎県で牛、豚、水牛の口蹄疫が流行し防疫のために二十九万七千八百八頭の牛や豚を殺処分しました。この口蹄疫の流行による畜産関係の経済損失は約千四百億円、関連損失を合わせると約二千三百五十億円との試算もされています。平成二十二年八月に宮崎県による終息宣言が発表されましたが国際獣疫事務局による清浄国の認定がなされたのは平成二十三年、宮崎県の防疫・復興対策合同本部が解散されたのが平成二十五年と口蹄疫発生から復興まで約三年の期間を要しています。このように家畜の伝染病は非常に恐ろしいものでありますがこの宮崎県の悪夢を思い出す出来事が発生いたしました。
 今年の九月九日、岐阜県の養豚農場において日本では平成四年以来二十六年ぶりとなる豚コレラが発生したと農林水産省が公表しました。この後岐阜県内において十一月十六日に二例目、十二月五日に三例目の発生が確認されたところです。静岡県では発生の都度、瞬時に対応をとっており県内全ての養豚場の豚に異常がないことを確認したと報告を受けています。また昨日には岐阜県内で四例目が発生したと報道がありました。さらには中国ではアフリカ豚コレラが発生し、いまだ流行が続いております。また中国においては口蹄疫も発生しており日本にこうした病気が入ってくる危険性はゼロとは言えない状況であります。
 特定家畜伝染病は、発生すると社会的影響が大きいことからいかにしてその発生を防ぐのか、また万が一発生した場合にはどのように被害を最小限に抑えるのか、県の対応をお伺いいたします。
 一方、畜産業における危機管理の問題は病気だけではありません。九月に発生した北海道胆振東部地震では酪農王国北海道に大きな被害をもたらしました。地震による停電によって搾乳ができず乳量低下につながる乳房炎が多発したことや、同じく停電の影響で扇風機や照明が使えずストレスを受けた乳牛の搾乳量が減少しました。さらに道路の寸断や乳業工場の操業停止により出荷ができなかったといった被害も発生しました。
 そこで、災害時の生乳の生産・流通を守る対策について、県の見解をお伺いいたします。
 次に、太陽光発電ガイドラインについてお伺いいたします。
 再生可能エネルギーは現時点では安定供給面、コスト面でさまざまな課題が存在するものの温室効果ガスを排出せず国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で重要な低炭素の国産エネルギー源です。平成二十四年七月に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度――FIT制度が開始されたことを契機にその導入が大きく進んでおり、平成二十九年三月現在導入された再生可能エネルギーの九割以上が太陽光発電となっています。
 太陽光発電の急速な普及は地球温暖化対策の観点から望ましいことですが、近年平成三十年七月西日本豪雨発災時には山陽新幹線のトンネル付近ののり面に設置された太陽光パネルが崩壊し新幹線の運行を一時見合わせたという事態が発生いたしました。また兵庫県姫路市では斜面の中腹部に設置された約三千五百枚のパネルのうち三割ほどが地面ごとずり落ちる事故や、大阪狭山市のため池に設置された太陽光パネルが平成三十年九月四日の台風二十一号の影響で九百二十枚がまくられぐちゃぐちゃになり、地域住民が恐怖を感じたなどの弊害が生じています。
 このように、大規模な太陽光発電設備の設置に関しては自然環境の破壊、生活環境への影響、景観の阻害、災害リスクの増加などの懸念から多面的な対応が求められるようになってきました。現在大規模な太陽光発電事業に伴う環境保全上の問題への対応として各自治体がさまざまな取り組みを行っています。
 例えば、私が視察した和歌山県では太陽光発電事業を対象とした条例を制定し太陽光発電事業計画の認定基準への適合、認定申請前の自治体との協議、自治会等への説明等を義務づけしているのが特徴です。さらに国においては環境省が環境影響評価を導入する考え方を公表し経済産業省も小規模発電設備の安全規制を強化する方針であると伺っております。このような中、本県では対応策の一つとして県と市町による検討会を設置し、市町が地域の特性を踏まえたガイドラインを策定するためのモデルガイドラインを作成したと承知しています。
 そこで、このモデルガイドラインの主な内容と今後の活用についてお伺いいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 廣田議員におかれましては初登壇ということで謙虚ながらも堂々たる御質問でございました。これからも県と市町なかんずく函南町とのきずなづくりに御活躍ください。
 御質問のうち、畜産業の振興にかかわることとして生産基盤の強化に関してお答え申し上げます。
 本県畜産業はしずおか和牛や静岡型銘柄豚ふじのくに、駿河シャモを初め議員の地元の丹那牛乳が地域ブランドとして愛されており高品質な逸品を提供しているところであります。また本年四月に開催されました全国の乳牛共進会におきまして、函南町の乳牛が最高位のグランドチャンピオンに輝き高い評価を受けました。
 これらの畜産物の生産基盤を支えているのが畜産農家の技術力であります。このような高い技術が次代に受け継がれ本県畜産業がさらに発展していくためには、ICTを活用した飼養管理技術の導入や飼料生産作業の外部委託などにより経営力の強化を図るとともに将来の担い手を育成することが重要であると考えております。このため県では各地域の畜産農家や地元JA、飼料会社などが連携し畜産業の収益性向上を目指す畜産クラスター協議会を支援し畜舎の整備、ICT機器の導入等々を促進しているところであります。
 例えば、函南町畜産クラスター協議会では酪農の生産力を強化するために酪農家が乳牛の管理に専念できるようにJA函南東部が飼料生産を請け負うコントラクター組織を立ち上げておりまして、地域が一体となって牛乳の生産量の増加に取り組んでいるところであります。
 また、酪農家を支えるため西天城高原にあります県家畜共同育成場では、県内で生まれた雌の子牛を預かり育成、受胎させて出産前に酪農家にお返しする共同育成事業を実施しております。今後も増加傾向にある受託需要に応えられるように取り組んでまいります。
 さらに、将来の担い手の育成として例えば県立田方農業高等学校では生徒みずからが牧草の管理から乳牛の飼育、また牛乳の生産を行っておりまして搾った乳を田農牛乳として製造販売しております。この田農牛乳は本年度の食セレクション商品として認定されるほどの高品質であります。
 私、田方農高にまいりましてこの高校生が搾乳してこれを検査して、そしてしかるべきところに納めて販売していると、その現場を見せていただきました。何しろ生き物が相手ですから春夏秋冬関係ありません。高校三年生が高校一年生を教えておりましてこれはごまかしのきかない実習だということでいたく感銘を受けたのを覚えております。実際県内で酪農実習施設としての工場は田方農業高等学校一工場のみであります。立派な少年少女がいるというふうに思った次第でございました。
 この田方農高に隣接する県東部家畜保健衛生所では、若者が畜産業に興味を持ち担い手となるきっかけとなりますように中高生を対象に畜産業の魅力を伝える出前講座を行っております。こうした取り組みを通じて畜産業を志す若者が輩出されることを期待しているところであります。
 県といたしましては、意欲ある畜産農家の経営力強化や次代を担う若い後継者の育成支援に積極的に取り組みまして本県畜産業の一層の発展につなげてまいります。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 芦川農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 芦川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 畜産業の振興についてのうち、畜産業における危機管理についてお答えいたします。
 口蹄疫や豚コレラといった特定家畜伝染病の発生を未然に防ぐためには、まずは畜舎への病原体の侵入防止が重要となります。このため畜産農家は部外者の立入防止や畜舎出入り口での消毒措置などを実施しており、県の家畜保健衛生所は家畜伝染病予防法で定める飼養衛生管理基準が遵守されているか立入検査を毎年実施し発生予防対策の徹底を図っております。
 万が一、特定家畜伝染病が発生した場合には被害を最小限に抑えるため迅速な防疫措置による感染拡大の阻止が欠かせません。畜産農家は家畜の異常を認めると直ちに県に通報し、県は速やかに立入検査を実施します。特定家畜伝染病が疑われる場合は知事を本部長とする防疫対策本部を設置して全庁体制で対応し、発生が確認された場合には家畜の殺処分は原則二十四時間以内、死体の焼却、埋却は七十二時間以内に完了させます。また発生後の防疫措置として迅速に埋却作業を行うために建設業協会や産業廃棄物協会といった関係団体と協力協定を結んでおり、いざというときの実践に備えて合同で防疫演習を毎年実施するなど防疫体制の一層の強化を図ってまいります。
 次に、災害時の生乳の生産・流通を守る対策につきましては停電により搾乳不能となった場合を想定し、発電機の配備に加え乳房炎の予防のため牛に与える餌や水を控えるよう県内の全酪農家の注意喚起を行っております。また災害時の生乳の流通対策として、生産者団体や県内八つの牛乳工場との情報交換が図られるよう連絡体制を整え災害時の出荷先確保にも対応してまいります。
 県といたしましては、日ごろから生産者や関係者との連携を密に図り特定家畜伝染病や災害発生時における畜産業への被害を最小限に抑えるため危機管理に万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 太陽光発電ガイドラインについてお答えいたします。
 太陽光発電は、再生可能エネルギー導入拡大の原動力として重要な役割を果たしておりますが近年森林伐採等による災害の発生や環境破壊、景観への影響などの懸念が高まっております。太陽光発電の適正導入を図るためには地域により状況が異なるため、それぞれの地域の特性に応じた指針が必要であると認識しております。このため七月に立ち上げた県と市町による検討会におきまして、市町がそれぞれの地域の特性に応じたガイドラインを策定する際の参考となるモデルガイドラインを作成し十二月四日に公表したところであります。
 このモデルガイドラインは、適切な場所への立地を促すためのエリア設定や地域住民とのトラブルを未然に防ぐための入念な事前協議、事業の各段階での届け出による情報の共有、設備の撤去を含めた適切な管理など事業の計画立案段階から撤去、処分に至るまで事業者に求める手続や遵守すべき事項を定めております。さらに市町が検討する上で参考となる事例や考え方などをポイントとして付記しており、例えば事業終了後の設備の撤去、処分につきましてはその規模や構造、有害物質の有無などにより必要となる費用が大きく異なることから慎重な検討が必要なことなどを留意点として示しております。
 このモデルガイドラインの活用につきましては市町からの問い合わせにワンストップで対応する窓口をエネルギー政策課に設け、県庁内の関係各課で構成するメガソーラーの導入に係る庁内連絡調整会議が主体となりまして市町のガイドライン策定を支援してまいります。
 県といたしましては、このモデルガイドラインをベースに県内市町と一層連携しつつ、災害防止はもとより環境や景観に配慮し地域との共生を図りながら太陽光発電の適正導入を推進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 廣田直美君。
       (三番 廣田直美君登壇)
○三番(廣田直美君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
 では、要望を二点申し上げたいと思います。
 まず、畜産業における危機管理のほうでございますが非常に今回の北海道の胆振東部地震におきまして生産出荷ができなかったということは本当に私、函南町丹那牛乳をこよなく愛している人間としては非常に心苦しい思いがございました。ぜひこういった危機管理の体制に、いろいろお考えになっているという御答弁をいただきましたのでぜひ促進していただきたいと思います。
 そして、太陽光発電でございます。
 本当に静岡県というのは横に長い地域でございますので、本当に地域の特性に合ったガイドラインをしっかり手続が実現できるような御支援をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 安定した財政運営のうち、県債の発行方針についてお伺いいたします。
 県は、平成三十年二月十三日公表の今後の財政運営において財政調整用の基金に頼る従来の財政運営からの転換を図り基金を除いたその年度の歳入によってその年度の歳出を補う、収支が均衡した財政運営を目指すこととしています。健全な財政運営のもとに平成三十年度からスタートする静岡県の新ビジョンの推進を図るものです。この目標を達成するには歳入の確保、歳出のスリム化に努め財源不足額の圧縮に取り組む必要があります。
 歳出のスリム化に関しては、例年当初予算編成基準において政策的経費の見直しが求められており平成三十一年度当初予算においても四十三億円を圧縮することとされています。新たな政策課題に対応するため既存の政策的経費の見直しは不可欠ですが歳出全体の五割以上を占める義務的経費の縮減にも取り組むことが重要です。
 特に公債費は、平成三十年度当初予算において千八百五十八億円が計上され歳出全体の一五・七%を占めています。そのもととなる県債残高は通常債を順調に縮減しているものの、国により配分される臨時財政対策債を含めた県債残高全体は二兆七千億円を超える水準で高どまりしています。残高抑制が難しい中であっても今後発行する県債について調達方法を工夫し、より有利な条件で発行することなどにより公債費の縮減に取り組む必要があります。
 我が国の金融環境は、平成二十八年二月以降日銀のマイナス金利政策により十年国債利回りが一時マイナスとなるなど歴史的な低金利水準が続いています。こうした環境を生かすため県債をより長期の年限で発行し、将来の金利変動リスクの抑制や中長期的な資金調達コストの低減を図るなど戦略的な資金調達に取り組むことが重要であると考えます。
 一方、米中の貿易戦争を初めとする不透明な国際情勢や今後想定される日銀の金融政策の見直しなど、金融環境はますます複雑化することなどが予想されます。県債の発行に当たっては投資家動向など市場の環境も踏まえた安定的な資金調達を図ることも重要であります。
 県では、平成三十年度当初予算において新規発行と借りかえを合わせて合計三千億円を超える県債を発行する予定となっています。
 そこで、県は県債発行にどのような方針で取り組むのか、所見をお伺いいたします。
 次に、狩野川流域下水道の今後の事業運営についてお伺いいたします。
 私の地元函南町には、県が管理する狩野川東部流域下水道の東部浄化センターがございます。浄化センターには現在稼働中の処理施設の南側に東駿河湾環状道路を挟んで約二万平方メートルの第二期事業用地があります。昨年十二月議会において当局からは平成三十年代後半には整備を行う予定と答弁がありました。地元としてはこの第二期事業用地の早期整備を望んでいることをこの場で申し上げておきます。
 この狩野川流域東部下水道は、狩野川水系の水質汚濁防止や伊豆市、伊豆の国市及び函南町の地域住民の生活環境向上を目的に昭和四十九年度に事業着手し昭和六十年十月に供用開始しました。平成二十九年度末の狩野川東部三市町の下水道普及率は六五・二%であり、県平均の六三・一%を上回っており流域下水道の整備は狩野川水系の水質改善に大きな役割を果たしてまいりました。
 一方で、近年の急速な少子高齢化の進展による人口減少や節水型機器の普及など社会情勢の変化に伴って、汚水量が伸び悩み今後計画している施設の規模は縮小していくのでないかと考えられます。このため整備期間が長期にわたる下水道事業は社会情勢の変化に柔軟に対応する必要もあり、これまでに計五回の事業計画の変更がなされました。
 昭和四十九年の当初計画では、計画処理人口九万二千七百十人に対し処理水量は十五万七千立方メートルでしたが、平成二十八年の第五回変更では計画処理人口七万五千三百人、処理水量は六万三百立方メートルへと見直しされ事業規模は当初から大きく縮小されていると聞いています。これまでの計画の見直しを勘案しますと今後整備する施設の規模が縮小し第二期事業用地内に未利用地が生じるのではないかという心配があることと、県が同じく管理する狩野川西部流域下水道や流域の市町が管理する下水処理場、農業集落排水施設やし尿処理場においても余剰施設が発生しおのおのの維持管理において非効率となることが懸念されています。
 また、汚水量に比例して使用料収入が伸び悩む一方で施設や設備の老朽化に伴う更新需要の増大が見込まれることから、汚水処理事業を取り巻く環境は厳しさを増していくものと予想されます。このため今後は県と市町において汚水処理の連携を図ることや将来を見据えた事業経営を行っていくことが重要と考えます。
 そこで、県は狩野川流域下水道の持続可能な事業運営に向けてどのような取り組みを行っていくのかをお伺いいたします。
 次に、国民健康保険の運営の方針についてお伺いいたします。
 国民健康保険法が昭和三十四年に施行されて以来、初めてとなる大きな制度改革が行われました。この制度改革はこれまで市町ごとに運営されてきた国保制度が将来にわたって持続可能で県民が安心して医療を受けられる制度となるよう、今年度から県が保険者に加わり市町とともに国保の運営を行うこととなったものであります。
 私は、町議会議員として国保の運営にかかわってきた経験からこれまで長年にわたり財政面などでさまざまな努力をして制度を維持し苦心しながら運営してきた市町の負担が、この国保の都道府県単位化に伴い増加することを懸念しております。制度の開始に当たっては県内市町の保険料率を急激に変動させないように市町ごとに医療費の実績を反映させて異なる標準保険料率を提示したと承知しています。
 そこで、医療費水準の差、賦課方式の違い、収納率の差、保険料上昇抑制目的の赤字繰り入れの有無などの要因で市町ごとに独自に設定していた保険料の今後のあり方について、県ではどのように考えているのかお伺いいたします。
 一方、医療費の状況を見ますと厚生労働省が発表した二〇一七年度の概算医療費は過去最高の四十二兆二千億円となっており、また団塊世代が全員七十五歳以上になる二〇二五年度には医療費は六十一兆八千億円に上ると予想されています。このような中、加入者の年齢構成が高いことから医療費が高く所得が低い方が多いと言われている国保が将来にわたって安定して運営されていくのか心配しております。
 また、私の地元である函南町の保険税収納率は平成二十八年度現年分で県内三十位の九〇・六八%となっており、納付者間に不公平感が生じることが危惧されますことからさらなる収納率の向上を目指すことが必要であると考えています。
 国民健康保険の安定的運営には財源確保と医療費増加抑制が重要と考えます。この点をどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、認知症に優しい地域づくりについてお伺いいたします。
 世界に類例を見ないスピードで高齢化が進む日本では、認知症の人は年々ふえ続けており約五百二十五万人、二〇一五年推計値から二〇二五年には七百万人を突破すると見込まれています。認知症はいまや誰でも発症する可能性があり誰もが介護者となり得るため認知症施策の推進は極めて重要です。また認知症施策の推進に当たっては認知症と診断されても尊厳を持って生きることができる社会の実現が必要であり、そのためには当事者の意思を大切にし家族にも寄り添っていく姿勢で臨むことが重要です。認知症施策に関する課題はいまや医療・介護だけでなく地域づくりから生活支援、教育に至るまで多岐にわたっています。
 県は、これまで認知症を正しく理解して本人や家族の支えになる認知症サポーターの養成や認知症への理解の普及啓発、認知症疾患医療センターの指定や認知症対応型グループホームの整備支援など認知症に関する医療・介護の体制づくりに取り組んできました。しかし一方で認知症かその疑いが原因で行方不明の方は、昨年一年間で全国では一万五千八百六十三人で統計を取り始めた二〇一二年の九千六百七人から毎年増加し最多となり、静岡県内においても前年よりも二十三人ふえ百九十五人と過去最多となっています。
 今後も高齢化、独居、認知症の人の増加が見込まれ、さらに行方不明になるケースの増加も見込まれます。住民票のある市町外に出てしまうと発見されたその市町に情報がなく対応がおくれて発見場所で保護せざるを得ない場合があります。例えば認知症高齢者徘回保護対策――通称どこシル伝言板は自治体ごとに導入していますが広域的な地域の見守り体制が未熟となっています。
 そこで、広域の見守りネットワークの構築を推進すべきと考えますが、県の見解をお伺いいたします。以上答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 狩野川流域下水道の今後の事業運営についてお答えをいたします。
 狩野川流域では、県が管理する二つの流域下水道と市町が管理する二十五の公共下水道などにより地域の公衆衛生の向上や狩野川水系の水環境の保全を図っております。しかしながら一部の下水道におきましては経費回収率が五割を切っており、社会情勢の変化によりこの情勢はますます厳しさを増すものと予想をしております。
 下水道事業の運営を確実に持続可能なものにしていくためには、中長期的な視点に立った経営基盤の強化や施設の老朽化に適切に対応する合理的な投資と収入を均衡させる財政マネジメントの向上を図ることが必要です。このため県では二〇一九年度から関係市町でも二〇二〇年度までには会計方式を公営企業会計へ移行することとしております。財務諸表の作成を通じて経営状況や資産を正確に把握し分析することにより社会情勢の変化に対応可能な中長期的な経営戦略を策定してまいります。
 また、県と関係市町は集落排水やし尿処理場の流域下水道への統合などの協議を早急に整え、汚水処理の広域化、共同化を進め流域全体の汚水処理事業の効率性を高め、最適化を図ってまいります。
 県といたしましては、関係市町と連携しこうした取り組みを着実に進め、狩野川流域下水道を核として将来にわたり持続可能な汚水処理事業の運営を実現することにより快適で安全に安心して暮らせる県土づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 安定した財政運営についてお答えいたします。
 県債の発行方針についてでありますが、県債の発行により調達した資金は建設事業等の貴重な財源となる一方その元利償還金は将来にわたって多額の財政負担となるため、県債発行コストの抑制による公債費の縮減を行政経営革新プログラムに位置づけ低利かつ安定した県債の発行を追求しております。より低利での調達を目指しこれまで二十年を初めとする超長期債の発行や利払い額を抑制できる定時償還債を導入したほか、先月には地方債としては全国で初めてとなる米ドル等の外貨建て国内債の発行を行うなど資金調達コストの縮減や金利変動リスクの抑制を図っております。
 また、安定的な資金調達のためにより多くの投資家の皆様に静岡県債を選んでいただけるよう、他県に先駆けて取得した格付の維持や投資家への個別訪問により財政状況等の説明を行うIR活動に積極的に取り組み静岡県債の投資家層の拡大を図っております。
 県といたしましては、地方債市場のトップランナーとして引き続き市場環境や投資家ニーズを踏まえた低利かつ安定的な資金調達に努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 国民健康保険の運営の方針についてお答えいたします。
 今年度からの国民健康保険財政の都道府県単位化に伴い、県では運営の基本的な考え方を静岡県国民健康保険運営方針として定め、安定的な運営のために市町とともにさまざまな施策に取り組んでおります。
 保険料の今後のあり方につきましては、保険料水準の統一を目指すとした運営方針に基づき保険料を決定する市町と十分に協議を行いながら医療費の適正化の取り組みなどを進め、市町間の医療費水準の差を段階的に縮小するなど統一に向けた条件を整えてまいりたいと考えております。
 財源の確保につきましては収納率の向上と国の財政支援が不可欠であります。収納率の向上を図るために保険料の口座振替による納付について広報啓発するほか、収納率が低い市町には積極的な対応を働きかけ収納率の向上に取り組んでまいります。また国に対して増加する医療費に対応した十分な財政措置を講ずることを引き続き要望してまいります。
 医療費の増加につきましては、特定健診の受診による早期発見や健康づくりによる予防などに県全体で取り組み医療費の適正化を図ることが必要であります。そのため県では国保ヘルスアップ支援事業により市町の特定健診の受診率向上や特定保健指導の効果的な実施を支援するほか、生活習慣病の重症化予防など県と市町が一体となって医療費の適正化に向けた取り組みを進めてまいります。
 県といたしましては、これまでの市町の取り組みを尊重し県民の皆様の理解を得ながら安定した財政運営を行い、国民健康保険制度が将来にわたり持続可能で県民の皆様が安心して医療を受けられる制度となるよう努めてまいります。
 次に、認知症に優しい地域づくりについてであります。
 近年認知症が原因と疑われる行方不明者が増加しております。市町におきましては早期に発見し保護するため、それぞれの地域の実情に合わせQRコードやGPSなどを活用したさまざまな取り組みが行われております。県では高齢者等に対する日常的な見守りを地域住民、店舗、配達業者等が連携して行う見守りネットワークの構築に取り組み、市町への立ち上げ支援や事業者団体等への働きかけにより全ての市町で見守りネットワークの体制が整備されたところであります。
 しかしながら、行方不明者が住所地の自治体以外の遠方で発見される事例がふえ市町を越えた広域での対応が課題となっており、各市町の見守り体制の連携が必要であります。
 県といたしましては、市町や関係団体等の御意見を伺いながら行方不明者の情報が関係機関の間で迅速、確実に共有されるよう見守りネットワークの全県的な連携体制の構築を図り認知症の方が安心して外出できる社会を目指して取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 廣田直美君。
       (三番 廣田直美君登壇)
○三番(廣田直美君) 御答弁をいただきましてありがとうございました。
 それでは要望を二点、再質問を二点させていただきたいと思います。
 まず、狩野川流域下水道でございます。
 とにかく広域化、最適化を図っていきたいという御答弁の内容だったと思います。それでもやはり人口減少に伴いまして、そして幾ら広域化を図っていてもやはりどれだけ事業用地がどれぐらい整備されるというのがまだまだ不透明な部分があると思います。そして万が一ですね、やはり未利用地が予測されると思いますのでその未利用地の有効活用をぜひ地元とお話し合いを進めていただいて、ぜひ有効な未利用地の活用にぜひ合意形成を図っていただきたいと思います。
 そして、認知症についてでございます。
 やはり、問題意識は共通だと思います。市町外に出てしまうとどうしても情報の共有が図られていないというところが、これが広域化が進んでいないゆえんだと思っております。やはり本当に認知症に優しい地域づくりというのは広域化を図ることによって促進されると私は思っております。ぜひ、さまざまなシステムが混在しておりまして取り組みも違っているような状況でもございますが、やはり問題意識の解決に向けてスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、再質問させていただきます。
 県債の発行方針でございます。
 外貨建て国内債を発行したということで御答弁いただきました。こちら初めての取り組みだと思います。今後この外貨建て国内債の発行方針、もしお考えがございましたら教えていただきたいと思います。
 そして、国民健康保険でございます。
 やはり、今まで市町独自でやっていたのが県も保険者にかかわって県と市町が一生懸命取り組むことによって本当に県民に持続可能な医療体制が構築できると私は思っております。そうした中で県が市町とともに運営するには、やはり基礎自治体が頑張りそして県も頑張って取り組むことが必要だと思います。そのためには県が市町の努力を後押しするインセンティブの仕組みづくりが私は重要だと思いますが、そのインセンティブについて県の認識をお伺いしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 佐藤政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 県債の発行方針の再質問にお答えいたします。
 外貨建ての県債をことし初めて発行いたしました。非常に効果があったと我々思っております。安定的な資金調達に向けましては発行方針の多様化、いろんな形でですね、発行するということは、非常に重要なことだと思っております。このため投資家の動向ですとか市場の環境を当然見ていくわけでございますけれども基本的には来年以降も発行していきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 国民健康保険の運営の方針についてのうち、市町に対するインセンティブにつきまして回答いたします。
 平成三十年度から、国におきまして県や市町の収納率の向上や健康づくりの取り組みなどを評価しまして、その評価に応じて支援金を交付します保険者努力支援制度というものが創設されております。本年度は国で約一千億円が措置されておりまして本県には県と市町合わせて約三十億円が交付されております。
 こうした保険者努力支援制度などのインセンティブの仕組みを活用いたしまして市町と連携しながら県を挙げて健康寿命のさらなる延伸を目指すとともに、国民健康保険の安定的な運営に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 廣田直美君。
       (三番 廣田直美君登壇)
○三番(廣田直美君) 国民健康保険でございます。
 県も独自にヘルスアップをされたという御答弁をいただきまして、そして頑張っている市町に対してもそういった支援ができてこそ県民が本当に安心して安定的な医療体制が受けられる、そういった取り組みにこれからも御尽力いただきたいと思います。
 これで私の質問を終わりにします。ありがとうございました。(拍手)

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