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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

飯田 末夫 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 文化芸術の振興について
2 静岡文化芸術大学における地域人材の育成について
3 障害のある方が活躍できる社会の構築について
(1)特別支援学校におけるデジタル社会を見据えたICT教育の推進
(2)障害のある方の工賃向上に向けた取組
4 犬・猫等の動物愛護の取組について
5 安全で美しい県土環境保全事業の取組について
6 浜名湖湖岸堤の美しい景観に配慮した維持管理について
7 交通死亡事故抑止のさらなる取組について


○議長(藪田宏行君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百七号から第百三十四号まで及び令和三年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により十五番 飯田末夫君。
       (十五番 飯田末夫君登壇 拍手)
○十五番(飯田末夫君) 私は、自民改革会議の飯田末夫でございます。
 冒頭、このたびの台風十五号により犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 今年は、長引くコロナ禍や自然災害はじめ多くの方々にとって大変厳しい年になっているようです。また私事ではありますがたくさんの大切な人を亡くした年でもあります。安倍晋三元総理、エリザベス女王もお亡くなりになりました。ここでお亡くなりになられた皆様に心より哀悼の誠をささげます。
 それでは、当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に一括質問方式で質問させていただきます。
 初めに、文化芸術の振興について伺います。
 文化芸術の振興が国と地方自治体の責務であることを明記した文化芸術振興基本法は、平成二十九年に文化芸術基本法に改正されました。また文化財保護法では平成三十年と令和三年に文化財の保存と活用の推進を図る改正が行われ、令和二年に文化観光推進法が制定されました。これらの法改正等は文化芸術そのものの振興にとどまらず、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の関連分野における施策を法律の範囲に取り込むことで幅広い分野と連携して総合的な文化政策を推進し、さらには観光との連携を深めることで地域の活性化に寄与していくことが狙いとされ私も実現を期待しておりました。
 こうした中、様々な活動に影響を及ぼすコロナ禍において文化芸術活動においては不要不急とされるなど自粛圧力も強まり活動が大きく縮小されることになりました。私の地元でも文化団体の会員が高齢化、減少しているところも多く、このコロナ禍でさらに活動が縮小してしまったと相談も受けています。
 私は、アフターコロナに向けて文化芸術に接したいという国民、県民の期待感は依然強いものがあると感じています。この県民の思いをきめ細やかに掘り起こすとともに、法改正等の趣旨にあるように観光や国際交流など社会の様々な分野と連携することで文化芸術活動を再び活性化することが重要だと考えます。
 県はこれまで、令和四年度から令和七年度までの第五期静岡県文化振興基本計画を策定し動き出したばかりであります。
 そこで、県として来るアフターコロナに向けて県内の文化芸術活動を再興するため今後どのように文化芸術の振興に取り組んでいくのか伺います。
 次に、静岡文化芸術大学における地域人材の育成について伺います。
 静岡文化芸術大学は、平成十二年静岡県や浜松市など地方公共団体の公と企業や市民など民間の民の双方に支えられる公設民営大学として開学、平成二十二年に公立大学へと移行し地元産業界や地域の方々に支えられ今日に至っています。開学以来文化、政策の両面から地域活性化を考察できる人材や高度なデザイン力でものづくりに新たな付加価値を創造できる人材を輩出するなど地域の期待に応え地域の発展に貢献してきたものと考えております。
 また、流動的に変化する社会情勢の中グローバル社会におけるSDGs推進の担い手としての実践や経済及び文化の両面での地方創生への貢献、地域の成長を担う人材の育成が一層求められております。
 こうした中、静岡文化芸術大学では今年度から第三期中期目標期間がスタートし新たな節目を迎えたところです。県が示した中期目標の中で重点的な位置づけとして定めた事項に、地域や他の高等教育機関と連携し大学における教育研究活動の質を向上させ文化と芸術を中心とした地域貢献機能を強化するとあります。本県産業を牽引する多くの企業が集積する浜松市に立地する本大学が産業界と連携を深めることも地域に貢献できる人材育成に有効であると考えています。
 そこで、県は大学法人の設立団体として、地域創生や地域の成長に貢献するための人材育成について社会経済情勢の変化も見据え第三期中期目標期間において静岡文化芸術大学にどのような期待をしているのか伺います。
 次に、障害のある方が活躍できる社会の構築についてのうち、特別支援学校におけるデジタル社会を見据えたICT教育の推進について伺います。
 世の中では、例を挙げるまでもなくSociety5・0の到来や予期せぬ新型コロナウイルス感染症の感染拡大等によりデジタル社会の到来が一層加速しているのを実感します。そのような中、国が創設したITパスポートという新しい資格試験が注目を集めています。これはIT部門の基本的な知識を有することを証明する国家資格としてIT人材を育成・確保することに加え、社会的弱者の就労支援にも活用され始めています。また障害のある方たちの就労においてもデジタル人材を育成する取組が始まっています。
 今年夏、私はデジタル人材育成を氷河期世代など社会的弱者の就労支援に生かす事業に取り組む愛知県と岐阜県を視察に出かけました。そのうち岐阜県では、昨年度特別支援学校での児童生徒がデジタル社会に必要な資質能力を育むことを目指したICT活用の支援に係る学校の活動がデジタル庁の二〇二一年デジタル社会推進賞銀賞を受賞しました。これは、知的障害のある子や年齢の低い子も楽しめるアプリの検討プログラム実践、3Dプリンターの活用の実践、就労につながる情報処理技術者試験の受験支援等を実施していることが評価されました。今後デジタル社会がより進展することを想定して広く社会にICT活用をさらに進めていく必要があると考えます。
 そこで、本県の特別支援学校においても就労支援に役立てることも含め、近い将来に訪れるデジタル社会をよりよく生きるための資質や能力を育成するICT教育の充実を図ることが重要と考えますが、県教育委員会の所見を伺います。
 次に、障害のある方の工賃向上に向けた取組について伺います。
 障害のある方が住み慣れた地域で自立した生活を送るためには、それぞれの適性や能力に応じて可能な限り就労し経済的にも自立することが必要であります。障害のある方の就労には民間企業等で働く一般就労と、それが難しい方が障害福祉サービス事業所で働く福祉的就労の二つに分かれます。
 令和二年度に実施された静岡県障害のある方の実態調査によりますと、現在仕事をしている人のうち約三割が福祉的就労に従事しており、この福祉的就労は障害の特性に合わせたサポートを受けながら働くことができ障害のある方の状態に合わせて作業内容を調整できるなどのメリットがある反面、働いて得ることのできる工賃が低く県の平均では自立できる水準には達していないことが課題となっております。
 県ではこれまでも工賃向上のための支援を行っており、平成十九年度には一万三千三百九円だった県平均工賃月額は令和元年度には一万六千五百十一円まで向上したと承知していますが、折からの新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け取引先企業からの受注減やイベントの中止等による販売機会の減少などにより令和二年度は一万五千五百二十九円に低下しており、工賃を回復させるための取組を早急に実施していくことが不可欠であると考えます。
 そこで、県ではこうした状況を踏まえ障害のある方の経済的な自立のため工賃向上の支援をどのように進めていくのか伺います。
 次に、犬・猫等の動物愛護の取組について伺います。
 九月二十日から二十六日は動物愛護週間でした。動物愛護と適正管理による動物から人への危害や迷惑の防止を目的として昭和四十九年に動物保護管理法が施行され、平成十一年に動物愛護管理法と名称を変えその後も動物愛護の比重を高めながら改正されてきました。近年我が国ではペットブームにより十五歳未満の子供の数よりも犬や猫の飼育頭数の方が多い状況となっています。我が家も今年、十七年間連れ添った犬を亡くしたばかりです。とてもつらい思いをしたものですがペットが心豊かな生活に欠かせないものとなってきている人も多いのではないでしょうか。エリザベス女王も大変な愛犬家だったことが知られています。
 一方で、ペットブームを背景に悪質な販売事例や病弱な犬や猫を健康確認や休息時間の確保もせずに全国や県内各地で移動展示などによる販売事例、様々な虐待事件に飼い主が適切な繁殖制限をせずに増えてしまった結果生じるペットの鳴き声や臭いの問題等が相次ぎ令和元年六月さらに厳しい法改正がされました。コロナ禍ではさらにペットを飼う人が増え、その陰で需要を見込んで百匹以上の犬を劣悪な環境で飼育するペット繁殖業者が動物愛護管理法違反の疑いで逮捕される事例など多頭飼育崩壊事例が全国で発生しています。
 県では、国が定めた動物愛護管理基本指針を踏まえ令和三年三月に静岡県動物愛護管理推進計画を策定し、人と動物の共生する社会を目指し飼い主責任の徹底、人と動物の安全と健康の確保、地域活動の充実に取り組んできました。
 そこで、動物愛護の観点から動物取扱業者や不適切な飼い方をする犬猫等の飼い主に対する県の取組状況について伺います。
 次に、安全で美しい県土環境保全事業の取組について伺います。
 河川や道路については、県民の安全・安心や豊かな暮らしを支える重要なインフラであるとともに美しい景観の一部ともなるので、常に良好な状態を維持する必要があると考えています。県では水門、陸閘等の河川施設、橋梁等の道路施設など定期的に点検を行い施設の長寿命化を図るなどその機能が継続的に発揮されるよう適切な維持管理に努めてきました。また河川では、国の防災・減災、国土強化のための五か年加速化対策等により堤防機能の強化のための天端舗装など美しい景観にも寄与し地域の皆さんからも好評を頂き喜ばれております。
 ところが、時に河川堤防付近で繁茂している雑草を見つけることもあります。これらの雑草は河川の流れを阻害し氾濫の要因となるばかりか、水面も見えず景観も悪く不快に感ずる要因にもなっています。私自身もこれまで長年にわたり河川の除草について地元の皆さんと一緒に改善に取り組んできた経緯もあります。
 県では、河川において治水機能に加え環境や景観といった機能も確保するため住民や企業団体等に協力を仰ぎリバーフレンドシップ制度などの河川愛護活動への支援を行い河川の除草を進めてきました。今後さらに効率化を図って進める必要があると考えています。
 また、道路では交差点付近の雑草は見通しを妨げる障害物となり歩道や路肩に生えた草は道路の通行空間自体を狭めるなど通行上危険な状況にさえなっています。河川、道路に限らず近年地域住民から除草を求める要望が多くなってきていること、さらに我が会派からの要望に応え県では今年度当初予算で河川、道路の除草、伐採及び防草対策等を集中的に進めるため安全で美しい県土環境保全事業を新規に事業化したところです。除草に関する予算をしっかりと確保したことに対し期待する声がある一方、二年間だけの計画期間内で事業目的が達成できるのか一抹の不安も伴う次第であります。
 そこで、県では安全で美しい県土環境保全事業を活用してどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、浜名湖湖岸堤の美しい景観に配慮した維持管理について伺います。
 浜名湖では過去の干拓や埋立てに伴う民間の湖岸施設が多く存在しており、私のところにも湖岸堤の維持管理に対する要望が相次ぎ県当局へも強く要望してきました。これら住民からの要望に対し、県では今後湖岸堤の抜本的な整備を行うため仮称浜名湖水辺整備計画策定に着手していく旨伝えられたため、早速我が会派で設置した環浜名湖振興議員連盟のインフラ整備・景観分科会の議員で今年七月、湖岸の状況を船上からも確認してまいりました。状況としては老朽化による崩壊が進んでいる箇所もあり、維持管理も追いつかず景観形成にも悪影響を与えておりました。
 県としても、関係市や関係団体等と勉強会を立ち上げ所有者の現状等の調査を進め百二十キロメートルを超える湖岸の約八割が高潮や津波に対する高さが不足していること、約半分が民間所有であることが課題とされこの二点にどのように取り組むかがポイントとなります。
 浜名湖地域は、全国観光圏の一つに認定されるなど風光明媚な西部地域の観光資源であるため将来にわたって官民一体で景観の維持に取り組む必要があります。また二〇二四年には浜名湖花博二十周年のイベント開催も予定されており、浜名湖湖岸堤の景観維持は喫緊の課題であります。
 しかし、近年の台風の例を出すまでもなく激甚化、頻発化する自然災害を受け湖岸近隣の住民は老朽化した湖岸堤がいつ被災するかと大変心配をしており早急に湖岸堤の機能確保を図る必要があると考えます。
 そこで、県では計画策定後の抜本的な整備を行うことに併せ美しい景観に配慮しどのように湖岸堤の維持管理を行っていくのか伺います。
 最後に、交通死亡事故抑止のさらなる取組について伺います。
 昨年中の県内における交通事故死者数は八十九人で前年に比べ十九人減少し、統計が残る昭和二十八年以降過去最少の結果となりました。本年も九月二十七日現在死者数は五十一人で、前年同期と比較しマイナス十二人となっています。昨年六月策定された第十一次静岡県交通安全計画での年間死者数の抑止目標は八十人となっており、その目標に向けてまずは百人を下回ったことは大きなステップであり本年も引き続き減少傾向であるのは喜ばしいことでもあります。
 交通死亡事故が減少した要因としてはコロナ禍の影響も少なからずあるとは思いますが、死亡事故抑止に特効薬のない中、高齢者、横断歩行者、自転車等に向けた様々な交通事故防止対策を関係機関と連携しながら地道に行ってきたことが大きいのではないかと考えます。
 しかしながら、発生した個々の死亡事故の内容を見てみるとシートベルト非着装が六人いるなどもう少しの尽力で防ぐことができたのではと感じるものもあります。また私の地元浜松市においては、本年七月に実施された夏の交通安全県民運動では十日間の運動期間中に二件の死亡事故が発生し、また九月二十七日現在での死者数は十六人と前年の同時期よりも三人増えているなど県全体のような交通死亡事故の減少傾向を体感できずにいる地域もあります。
 このように全体としては減少傾向にあるものの、発生した事故を分析することや地域ごとの特徴などに着目すればまだまだできることはあると考えます。
 そこで、県警察ではこれまで交通死亡事故抑止のためどのようなことを重点に取り組んできたのか、今後年末にかけてさらなる交通死亡事故抑止のためにどのような取組を行っていくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 飯田議員におかれましては、十七年間かわいがられた愛犬を亡くされました由、似た経験を持つ者として議員御本人、また御家族の皆様方の喪失感、相当大きいものがあると同情を禁じ得ないものであります。元気を出してください。
 飯田議員にお答えいたします。
 文化芸術の振興についてであります。
 私は先月、文部科学省に招かれまして永岡文部科学大臣から来年二〇二三年静岡県を東アジア文化都市に選定するという決定の書類を拝受いたしました。東アジア文化都市というのは二〇一四年に発足いたしまして日本、韓国、中国が国を挙げて文化を振興させるものであり、各国から一つの自治体が原則選ばれまして来年は静岡県が一千を優に越す地方自治体の中から文化都市として選ばれた、いわば日本の文化首都ということではないかと思います。
 この東アジア文化都市の淵源はヨーロッパにございまして、ヨーロッパがEUを結成いたしまして国民、国家が壁が低くなりパスポートも要らない、通貨もユーロに統一されたと。これをどう精神的に融合させるかということで一九八五年、今から三十年近く前に、いや四十年近く前にアテネを皮切りに都市が順番にヨーロッパ全体の文化の首都としてヨーロッパ全体を励ますと、そういう運動、これを日本、韓国、中国が二〇一四年から始めたということでございます。ちょうど来年がその十年目に当たるということでございます。
 また、富士山が世界文化遺産に登録されてちょうど十年目の節目になるということでございまして、観光とも結びつけながら文化、スポーツ、教育、芸術、食、ファッション等々様々な分野の皆様との連携を強化して年間を通じて多彩な文化イベントを切れ目なく開催することで本県がこれまで培ってまいりました独自の文化事業を国内外に発信して国際交流にもつなげてまいりたいと考えております。
 本県の文化芸術活動はコロナ禍により縮小を余儀なくされましたけれども、改めて議員も御指摘のとおり文化や芸術これらが心の豊かさを生み出し人間が生きる上で当たり前過ぎるぐらい重要なものであると認識させられたところであります。文化の首都になるという、この来年を好機と捉えましてアフターコロナに向けて文化芸術活動が再び県内各地で活発に展開されるよう全力で取り組んでまいります。
 現在第五期文化振興基本計画これを走らせておりますけれども、この計画の目標には多種多彩な文化が花開きお一人お一人が表現者になるふじのくに芸術回廊の実現を掲げております。文化を食文化なども含めてスポーツも含めて幅広く捉え誰もが生活の中で身近に文化に触れて個性に応じて表現ができる環境を整えるとともに、文化の力を生かした魅力ある地域づくりを進めるため施策を重点的に推進してまいります。
 まずはこれまで以上に多くの皆様に文化芸術活動に参加していただくようアーツカウンシルによる住民主体のアートプロジェクトを県全体に拡大するとともに、県民の文化芸術の祭典であるふじのくに芸術祭と障害者芸術祭を一体的に実施するなど文化活動を共に行うことで多様な価値を認め合う共生社会を実現してまいります。また将来を担う子供たちが多彩な文化に触れる機会を提供するため県教育委員会と連携してふじのくに文化教育プログラムを推進するとともに、グランシップなどの文化施設におきまして多彩で質の高い鑑賞機会を提供してまいります。
 県民の皆様が心豊かな生活を送るためにはスポーツ、文化、芸術等々が不可欠であります。アフターコロナに向けて誰もが自由にスポーツ、文化、芸術、芸能に親しみ自己表現や創作活動ができる環境を整えることにより生涯を通して文化に親しむことのできる感性の豊かな地域社会の実現を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(藪田宏行君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 静岡文化芸術大学における地域人材の育成についてお答えいたします。
 静岡文化芸術大学は、開学以来実務型の人材の育成と静岡県及び国際社会への貢献を基本理念に掲げその実現に取り組んでまいりました。第二期中期目標期間には持続可能な地域づくりへの取組が評価されアジア初のフェアトレード大学という国際的認定を受けるとともに、文明観光学コースと匠領域という新たな教育課程を設置するなど産業界の要請に応える取組も着実に進めております。
 こうした成果を踏まえ、県では昨年今後六年間に文化芸術大学に期待する目標として第三期中期目標をお示しいたしました。この目標では日本の地方が人口減少に直面し持続可能な地域社会の在り方を模索する中で、大学にはグローバル社会におけるSDGs推進の担い手としての実践や経済、文化両面での地方創生への貢献、地域の成長を担う人材の育成が一層求められているという認識の下、地域貢献機能の強化を重点目標の一つとして位置づけたところであります。特に学生の将来の活躍の場である地域産業のイノベーション創出を担う人材を育成すること、受託事業や共同研究の実施、自治体の政策形成への支援などを通じて自治体や企業との連携を深めること、キャリア教育の充実等により学生の県内への定着を図ることなど地域の活性化や地方創生に大きく寄与していただくことを期待しております。
 静岡文化芸術大学ではこれを受け本年三月高い数値目標を掲げ意欲的な取組を盛り込んだ第三期中期計画を策定いたしました。学生の地域志向を高めるためフィールドワークなどの地域課題解決に取り組むほか、県内就職率の向上に向け産業界との連携による業界研究セミナー等を開催し地域企業の魅力の理解促進を図るなど地方創生への貢献に積極的に取り組んでいくこととしております。
 社会経済情勢が大きく変化する中で将来に向けて地域を支え地域の成長に貢献する人材育成を担う大学の機能に大いに期待しており、静岡文化芸術大学が第三期中期計画を着実に推進し地域社会の文化と芸術の振興を担う開かれた知の拠点として教育研究を一層充実できるよう、県といたしましても積極的に支援してまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 障害のある方が活躍できる社会の構築についてのうち、特別支援学校におけるデジタル社会を見据えたICT教育の推進についてお答えいたします。
 県教育委員会では、これまで小中学部の児童生徒においては一人一台、高等部の生徒においては授業で十分に使用できる数のタブレット端末を配備するなどICT活用の環境を整えてまいりました。障害のある児童生徒にとってICTは障害による困難さを改善し持てる力を最大限に発揮させるための有効な手段であります。そのため個性や障害に応じたICT教育を一層充実させ、デジタル社会をよりよく生きるための資質や能力を育成していくことは大変重要であると認識しております。
 このため、小中学部の児童生徒については日常的にICT機器に慣れ親しみ、その利便性を自ら実感できる取組を進めております。具体的には計画的な活動のためのスケジュール管理やコミュニケーション手段としてのタブレット端末を活用するなどの好事例を学校間で共有しICTをより積極的に学校生活全般に取り入れてまいります。
 また、高等部では自立に向け就労等を意識した指導が重要になります。指導により日本語ワープロ検定試験等に合格した生徒やリモートワークの実習により在宅での就労を実現した生徒も出ております。引き続きパソコンを使ったポスターや名刺の印刷、表計算ソフトによる収支管理表の作成など卒業後に役立つ知識や技術の修得に注力いたします。
 また、卒業生がICTを活用して活躍できる新たな仕事を地域企業とともに見いだし就労に必要な知識や技術を適切に指導できるよう、学校と企業等が集う就業促進協議会などの場で積極的な協議を進めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、個々の可能性を引き出し進路選択の幅を広げデジタル社会を力強く生き抜いていく特別支援学校の児童生徒の育成に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 障害のある方が活躍できる社会の構築についてのうち、障害のある方の工賃向上に向けた取組についてお答えいたします。
 県では障害のある方が働く障害福祉サービス事業所の収益拡大を図るため、令和三年六月に令和三年度から三年間を計画期間とする静岡県工賃向上計画を策定し県平均工賃月額を令和五年度までに二万円とする目標を定め、その達成に向け様々な取組を行っております。
 具体的には、事業所の受注機会を広げるため障害者働く幸せ創出センターによる企業と事業所の仲介や授産製品の継続的な購入を県民に呼びかけるふじのくに福産品一人一品運動の普及に取り組むほか、昨年度は新しい生活様式に対応した販路拡大策として福産品のオンライン販売のためのECサイトを立ち上げました。また事業所の収益向上につながるよう、製品のブランド認定による販売力向上や農業への参入を促す農福連携への支援を推進しております。今年度はオンライン販売の出店数を二十から三十一に増加させるとともに、コロナ禍における新たな受注機会の確保策としてオンライン商談会を実施するほか、民間企業に対して福産品のセット商品を購入していただく一人一品運動協力隊への参加を促すなど取組を一層強化しております。
 県といたしましては、今後も福産品の販路拡大等を支援することにより、コロナ禍で下落した工賃の向上を図り障害のある方が経済的に自立し身近な地域で生き生きと暮らせる共生社会の実現に努めてまいります。
 次に、犬・猫等の動物愛護の取組についてであります。
 動物の適正な飼育等を社会全体で確保し動物の健康と安全保持を推進していくためには、ペットショップやブリーダー等の動物取扱業者への指導と動物の飼い主に対する適正飼育の普及啓発が重要であります。
 県では、動物愛護管理法改正により動物取扱事業者に対する規制が強化されたことから保健所による研修会開催や解説動画の配信を通じ動物取扱業者に対して新基準を繰り返し周知するとともに、立入検査により法の遵守を厳しく指導しております。さらに従業員一人当たりの上限飼育頭数の基準規制について、経過措置が終了する令和六年六月までに全ての事業所において基準に適合するよう指導してまいります。
 一方、多頭飼育や動物虐待が疑われる飼い主に対しては警察やボランティアの皆様と連携した指導を行ってまいりました。今年度からは市町の福祉部門等と連携し多頭飼育崩壊チェック表を活用した早期発見に取り組むとともに、不妊、去勢手術による繁殖制限や譲渡による飼育頭数削減の指導を通じて問題を未然に防ぎ適正な飼育が行われるようにしてまいります。
 県といたしましては、今後とも動物取扱業における法令遵守の徹底や飼い主への適正飼育の普及啓発により人と動物の共生する社会の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 安全で美しい県土環境保全事業の取組についてお答えいたします。
 河川、道路における除草は、近年労務費の高騰などの影響により除草が行き届かない区間が発生していることから、新たに安全で美しい県土環境保全事業を創設し二年間で集中的に支障木の伐採や除草、防草対策を実施することといたしました。
 河川では、従来の肩掛式と比べ作業効率が約五倍となるリモコン式草刈機を本格導入する準備として当事業により繁茂が著しい草木や樹木の伐採を行います。これにより治水上重要な区間で除草が必要な面積約三百六十万平方メートルのうち、年間の除草実施面積をこれまでの約百七十万平方メートルから約二百七十万平方メートルに拡大することが可能となります。
 道路では、安全対策が特に必要な交差点部や景観に配慮すべき観光地の道路で除草後にコンクリートやシート等で覆うことで雑草を生えさせない防草対策を集中的に実施し、除草が必要な面積を約百三十万平方メートルから約百十万平方メートルに減らすことにより目標とする年二回の除草が可能となります。
 県といたしましては、河川、道路における除草を適切に実施するとともにリモコン式草刈機の導入可能範囲のさらなる拡大や防草効果の検証、新技術の活用による効率化に継続的に取り組み県民の皆様の安全で快適な河川空間、道路空間の確保と良好な景観の形成に努めてまいります。
 次に、浜名湖湖岸堤の美しい景観に配慮した維持管理についてであります。
 浜名湖湖岸堤につきましては、これまで高波浪等で被災した箇所の所有者が随時復旧するなど事後保全による維持管理を行ってまいりました。予防保全への転換を図るためには民間所有の湖岸施設の取扱いを定める必要があることから、これまでに県は勉強会を設置し湖岸施設の損傷状況や埋立て等の土地利用の変遷、官民の所有区分等を調査し湖岸施設の維持管理における課題や対応を検討してまいりました。
 民間所有の湖岸施設につきましてはその所有者に維持管理していただくことが基本でありますが、これまでの勉強会における検討を踏まえ施設の老朽化が著しく高潮や津波等により施設が被災した場合、背後の公共施設等に大きな影響が想定される箇所に限定し施設の所有権を県に移した上で修繕を行うこととしております。湖岸堤の修繕に当たりましては、令和二年三月に策定した浜名湖景観形成行動計画の景観形成方針の一つである湖岸と一体となった景観づくりに基づき浜名湖岸の美しい周辺景観と調和した形態や色彩とするなど良好な眺望景観の形成に努めてまいります。
 県といたしましては、今後策定する仮称浜名湖水辺整備計画に湖岸堤の維持管理方針を盛り込むとともに、浜松市、湖西市及び関係団体等の声を聞きながら美しい浜名湖の景観に配慮した湖岸堤の適切な維持管理に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 交通死亡事故抑止のさらなる取組についてお答えします。
 本年昨日までの県内における交通事故死者数は五十二人と昨年を下回るペースで推移しておりますが、このペースを維持または加速させるべくさらなる取組が必要であります。
 県警察では、PDCAサイクルに基づく交通事故抑止対策を基本に四半期ごとに重点とする事故類型を指定するとともに、地域ごとに重点地区・路線を指定して集中的な交通指導取締りやレッドパトロールを推進しており、その結果本年は多くの重点地区・路線において重点とした類型の事故が減少するなど着実に効果が現れているところであります。浜松市内におきましても国道一号等の重点地区・路線では重点とした類型の事故が減少しておりますが、議員御指摘のとおり市全体で見ますと死者数が増加するなど一様に事故減少を体感できる状況ではありません。
 県警察におきましては、十月以降の重点とする事故類型を夕暮れ時から夜間の歩行者事故、飲酒運転と定め、全ての県民が交通事故の減少を実感できるようさらなる事故抑止活動に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(藪田宏行君) 飯田末夫君。
       (十五番 飯田末夫君登壇)
○十五番(飯田末夫君) ただいまは、私の質問に対し真摯に御答弁頂きましてありがとうございます。
 残りの時間を利用して、意見、要望を述べたいと思います。
 まずは、浜名湖湖岸堤についてです。
 湖岸堤の現状に対する危機感、そして浜名湖の景観を大切にしたいとの思いが通じ、答弁では高潮や津波により施設が被災した場合、施設の所有権を県に移した上で修繕を行うとのこと、課題であった湖岸の約半分は民間所有という高い壁を乗り越えてでも修繕するとの答弁、また景観についても湖岸と一体となった景観づくりの方針に基づき良好な眺望景観となるよう策定する整備計画に盛り込むとの答弁を頂きました。誠にありがとうございます。質問させていただいたかいがあったかなと思います。
 先ほども述べましたけれども湖岸を船上から確認する際、実は当日雨模様でかっぱを着てまでですね、濡れながら確認させていただきました。報われた思いでありますので、どうもありがとうございます。
 そして次に、文化振興についてです。
 さて、皆さんは文化芸術にはイノベーションを生み出す活力があるということを御存じでしょうか。私たちが知っているかつての日本、これは戦後の荒廃から力強く立ち上がった先輩方が頑張っていただいたおかげで繁栄しました。今日はですね、浜松市遺族会の皆さんもお見え頂いておりますけれども、一時はジャパン・アズ・ナンバーワンとも称され日本は経済的にも大変豊かでした。これが二〇一〇年GDPが中国に追い越されるまで三位以下に大差をつける、圧倒的二位を誇る一流国であったと思います。またこれまでアジア屈指の先進国として世界第三位の経済力を誇り、世界百九十六か国中、百五十か国あると言われる開発途上国への支援を積極的に行ってきたのも日本です。
 ところが近年、残念ではありますが日本は人口も減少し経済力の国際的地位を落とし続け、いわゆる普通の国となりつつあると言われています。今こそ日本にはイノベーションが求められていると感じているところです。
 そこで、この状況から脱するための方策として文化芸術の持つイノベーション力、技術革新力に目をつけて質問させていただいた次第です。
 また、この文化芸術には学力が上がる、脳が活性化する、AI時代を生き抜く創造力が養われるなどたくさんの効能も報告されているところです。
 このようにですね、私たちはこれからの静岡県はもちろんですが、そして日本を盛り上げ建て直すためにも文化芸術の振興を怠ってはいけないということを肝に銘じたいと思います。そして今後一層ですね、県におかれましては文化芸術の振興に尽くしていただけますよう要望し私の一切の質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(藪田宏行君) これで飯田末夫君の質問は終わりました。

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静岡県議会事務局議事課

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