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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

東堂 陽一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/27/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水量減少への対応に
 ついて
2 外国人材の活躍支援について
3 帰国・外国人児童生徒に対する日本語教育の推進について
4 静岡茶の販路拡大と生産者への支援について
5 農作物の鳥獣被害対策について
6 農業用ため池の防災対策及び適正な管理について
7 静岡モデル防潮堤の整備促進について
8 垂木川の河川改修における早期整備について


○副議長(中沢公彦君) これで加藤元章君の質問は終わりました。
 次に、三十六番 東堂陽一君。
       (三十六番 東堂陽一君登壇 拍手)
○三十六番(東堂陽一君) 私は、自民改革会議の所属議員として通告に従い一括質問方式で知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水量減少への対応について伺います。
 リニア工事に伴う本県にとっての最大の関心事は、この南アルプスを源流とする大井川に水量減少等の問題が生じることだと思います。大井川の水は飲料水、生活用水や農業用水、工業用水など多岐にわたり利用され流域の住民生活や産業の維持、発展に不可欠な財産です。しかし他県にはこの水問題をよく理解せずリニア工事着工ありきの発言があったことは非常に残念なことです。
 大井川の水量減少が生活や産業にどれほどの影響を与えるものか、県は水量減少によって起こる具体的な影響についてもっとわかりやすく説明をし、県民はもちろんのことそれ以外の多くの人とも危機感を共有すべきではないでしょうか。この点が曖昧なままでは本県が幾ら有識者による専門部会を設けJR東海と科学的根拠に基づいた対話を行っているとしても、協議の問題点が見えづらいために静岡県が開通を妨げているとの印象を与えかねません。
 また、県民の中にさえ「静岡県はいつまで工事を引き伸ばすつもりか」、「別の落としどころでも探っているのか」といった声が出てしまうのは、水問題以外の知事の発するさまざまな発言で水問題の重大さが伝わっていないためではないかと懸念しています。
 このように、地元が独善的に開通を妨げているとの印象を与えないためにもまずは県民生活や産業の維持、発展に重要な大井川の水がリニア工事により減少した場合の具体的影響を明確にした上で、水問題は絶対に譲れない立場でJR東海との協議を進めていただきたいと考えます。この点について、知事の認識を伺います。
 さて、今ラグビーワールドカップ日本大会が開催されています。日本はその初戦を見事な勝利で飾りましたが、その先発選手、十五人中八人は外国出身選手でした。彼らは日本で日本の歴史や文化を学び、日本チーム全員が互いを知り、補い合い、一つのチームになっていったといいます。その姿は外国人材の受け入れを進める日本社会が目指す姿と重なります。
 さて、これから二問は多文化共生に関する質問です。
 まず、外国人材の活躍支援について伺います。
 我が国は、本格的な人口減少社会を迎え生産年齢人口が減少する中景気は緩やかな回復を続けており有効求人倍率は高い水準で推移しています。今後も景気の回復が続くと見られており中小企業を中心に人手不足の深刻化が懸念されます。
 こうした中、国は本年四月から特定技能制度を創設して人材確保が困難な産業分野への外国人材の受け入れを開始しました。特定技能制度では今後五年間で最大約三十四万五千人、制度初年度の今年度は最大四万七千五百五十人の受け入れが見込まれていますが、出入国在留管理庁の発表では制度発足後四カ月となる本年七月末現在で特定技能の在留資格を取得したのはわずかに九十六人にとどまっています。このように特定技能外国人の受け入れは進んでおらず企業の人手不足の緩和にはつながっていないのが現状と言えます。
 本県経済が今後も持続的に発展していくためには、外国人材の受け入れを希望する県内企業が人材を円滑に受け入れることができ、そして本県で就労することとなった外国人が地域で安心して生活し働き続けられることが重要です。
 そこで、県では外国人材の本県への受け入れの現状についてどのように認識し考えているのか、また外国人材が生き生きと活躍できるためにどのような施策展開、支援を行っていくのかを伺います。
 次に、帰国・外国人児童生徒に対する日本語教育の推進について伺います。
 県内の外国人居住者は年々増加し、それに伴い外国人を含む日本語の指導が必要な児童生徒は五年間で約六割増加している状況にあります。学校はその対応に苦慮しており、市町における支援員の任用や民間団体による日本語指導も行われていますが十分とは言えず早急な対応が求められています。県教育委員会でもこうした児童生徒に対してきめ細かい指導や支援が行えるよう、外国人児童生徒が多い学校への教員の配置や外国語が話せる相談員の派遣をしていると聞いています。
 しかしながら、支援を必要とする外国人児童生徒の増加に対して対応できる教員数が十分でなく、現状は日本語指導の経験や知識が乏しい教員が手探りで必死に指導しているのが現状で支援が必要な児童生徒の中には十分な日本語の指導を受けられず、不安を抱えて学校生活を送っている児童生徒もいます。
 申し上げるまでもなく、外国人県民は県内に住み、働き、日常生活を営む社会の一員です。本県産業の活性化、発展に大きく寄与しており、その活躍の基礎となる安心・安全な生活を過ごせる環境や子供たちがしっかりと教育を受けられる環境は行政や地域、企業など社会全体でしっかりと整えるべきです。本年四月の改正入管法の施行により今後も県内では外国人県民の増加や多国籍化が予想され、それに伴い教育現場においてもより一層の外国人児童生徒への対策が求められることとなります。
 そこで、今後も増加していくと考えられる日本語指導の需要に対して県教育委員会では、どのような取り組みをしていくのかを伺います。
 次に、静岡茶の販路拡大と生産者への支援について伺います。
 本年の県内産の一番茶、二番茶は減産に加え価格が低迷したことから生産者の経営状況はますます厳しくなっています。「このまま来期も生産を続けるかどうか、県内の多くの生産者が岐路に立たされている」という新聞記事も見られました。
 近年、ライフスタイルの変化などに伴い家庭や会社などで急須で入れて飲むお茶の需要は減退しており、比較的安価な原料を使用するドリンク飲料やティーバッグの需要が伸びています。一方本県では一番茶を中心に収量を抑えた高品質なお茶を主に生産しているため、高価格帯のお茶の販売が振るわず価格が低迷するという需給のミスマッチが茶業不振の要因の一つに挙げられています。
 このため、余りお茶を利用していない業界に本県のおいしいお茶が採用されるような取り組みやライフスタイルに合った飲み方や使い方を提案するなど新たな需要を喚起し、静岡茶の販路を拡大していくことが重要です。また経営に苦慮している生産者に対しては、流通販売業者と連携した確実な販路の確保や販売先が求めているGAP認証を早期に取得することなどについて支援することが考えられます。
 日本一を誇ってきた静岡茶が危機にあります。茶業関係団体などとも連携しスピード感を持って対応すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、農作物の鳥獣被害対策について伺います。
 野生鳥獣による農作物への被害は依然として深刻な状況です。獣種別ではイノシシやニホンジカによる被害が大きく、ほかにもハクビシンやニホンザル、地域によってはアライグマなどの被害も見られます。
 私の地元である中遠地域ではお茶、お米、露地野菜、施設園芸、果樹など多彩な農作物が生産されており農業の大変盛んな地域ですが、最近ではイノシシの生息域が山間部のみならず海岸部の方にまで広がっており地域の農業者の方々は軒並みイノシシの被害対策に頭を悩ませているところです。
 県の報告によりますと、平成三十年度の野生鳥獣による農作物への被害額はピークであった平成二十一年度と比較するとかなり減少しているとの報告です。しかしながらこの報告は現場での農業者の方の実感と必ずしも一致しているとは言えないように感じています。一部の農業者の方からは鳥獣被害は減っておらず、地域によってはむしろ増加しているのではないかとの声が聞かれます。
 このような野生鳥獣による被害が続くことで農業者の方が生産意欲を減退させており、ひいては離農や耕作放棄にもつながっていくのではないかと危惧しているところです。農作物の鳥獣被害対策は本県の農業振興における重要課題の一つであり、早急にさらなる対策をとっていく必要があると考えています。
 このような状況を踏まえ、まずは現場の農業者の声に耳を傾け地域の状況をきちんと知ることが必要です。そして農業者が安心して生産活動に取り組めるよう、地域の実情に即したよりきめ細やかな対策を実施することが重要であると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、農業用ため池の防災対策及び適正な管理について伺います。
 まだ記憶に新しいところですが、西日本地域を中心に全国規模で記録的な大雨となった平成三十年七月豪雨では河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害が発生しました。この災害では地域農業の礎である数多くのため池も被災し、広島県ではため池の決壊により幼い命が奪われるといった痛ましい出来事があったことは決して忘れることができません。
 農林水産省ではこの未曾有の豪雨災害を受け、国内一律の基準をもって優先的に対策を進めるべき防災重点ため池の再選定を都道府県に指示した結果、本県の防災重点ため池の総数は百六十八カ所から四百九十二カ所へと大幅に増加しました。決壊した場合に下流域の民家や公共施設に影響を及ぼすおそれのある防災重点ため池が三倍近く増加した状況を鑑みますと、耐震並びに豪雨対策が確実かつ迅速に実行されるのか大いに心配しているところです。
 さらに、本県のため池は中遠地域に集中していることからこの地域の市町の負担軽減や支援体制も講じていかなければならないと考えます。また本年七月一日に農業用ため池の管理及び保全に関する法律が施行されました。本法では所有者等が明確でないため池も含め所掌する全てのため池において市町と相互の連携を図りながら適正な管理及び保全の施策を講じるなど、ため池の決壊による被害防止に向けて県が果たすべき責務が非常に大きくなっています。
 県は、これまでアクションプログラムに基づきため池の防災対策を推進していますが、ため池に起因した人的被害は決して起こさないとの強い決意を持ち激甚化する自然災害から命を守り切る備えを早急に用意する必要があると考えます。
 そこで、増大した防災重点ため池の防災対策の推進とため池新法に基づく管理及び保全にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、静岡モデル防潮堤の整備促進について伺います。
 静岡県では、平成二十五年に公表された第四次地震被害想定で想定される犠牲者を令和四年度までの十年間で八割減少させることを目標に静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきハード対策及びソフト対策を柔軟に組み合わせた津波対策を県下全域で進めています。こうした中、遠州灘沿岸及び志太榛原地域沿岸の市町はレベルワンを超える津波に対する安全度向上を図る、いわゆる静岡モデル防潮堤の整備にも鋭意取り組んでいます。
 政府の地震調査委員会が発表した南海トラフ巨大地震の発生確率の数値を見れば、いつ地震が発生してもおかしくない状況となっています。沿岸域に暮らし、津波に対して不安を持っている住民や沿岸域に工場等を持つ企業は静岡モデル防潮堤に期待を寄せており、一日でも早く完成することを強く望んでいます。
 しかしながら、静岡モデル防潮堤の整備計画延長は焼津市から湖西市に至る五十六・七キロメートルと非常に長く、また発生頻度は低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波に対して大きな減災効果を持つ防潮堤は、十数メートルの高さまで盛り土を行うため大量の土砂を必要とするとともに完成には長期の期間を要するのではないかと心配しています。
 そこで、静岡モデル防潮堤整備の進捗状況と整備に必要不可欠な盛り土材となる土砂の確保の状況及び今後の見通しについて伺います。
 最後に、垂木川の河川改修における早期整備について伺います。
 近年、気象の激化に伴い記録を更新する大雨等による洪水被害が全国各地で頻発しています。先ほども申し上げました昨年七月の西日本豪雨は平成最悪の水害と言われ、また本年八月にも佐賀、長崎、福岡県を中心に河川の氾濫、広範囲の浸水被害により都市機能が麻痺するなどの豪雨災害が発生いたしました。お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。
 さて、掛川市下垂木地区では交通網の整備が進み商業施設が次々に進展するなど新たな住宅地が急激に増加している地区となっています。当地区を流下する垂木川において平成二十六年十月の台風十八号の襲来時の大雨で、県道掛川天竜線の新橋上流においては河川幅も狭く河川阻害となる橋梁もあることから垂木川の水位上昇に伴い本川から洪水があふれるとともに合流する支川が氾濫し床上浸水家屋十八戸を含む計三十五戸の浸水被害が発生しました。また本年七月の集中豪雨においても垂木川の水位は短時間で一気に上昇し一部浸水被害も発生しました。このように沿川の住民にとっては豪雨のたびに河川の氾濫の危険を感じているところです。
 垂木川の河川整備につきましては、太田川水系河川整備計画に基づき下流から順次整備を進めていただいています。着実に整備を進めていただいていることは大変ありがたいことですが、この河川整備計画に位置づけのある区間は一・九キロメートルあり、現在の整備の進捗としてはいまだ計画の半分にも満たない状況であり、平成二十六年十月そして本年も浸水被害があった区間の整備につきましてはもうしばらく時間を要するものと思われます。
 そこで、垂木川の整備状況と当地区の浸水被害の解消に向け、今後どのような整備方針で取り組んでいくのかを伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 東堂議員にお答えいたします。
 この九月議会も本日をもちまして一般質問並びに質疑最終日となりますが、貴会派におかれましては木内議員また山田誠議員そしてこのたびの議員からリニアに関して強い関心を御表明いただきましてまことにありがとうございます。今回リニア中央新幹線に伴う大井川の水量減少について御質問でございますので、その対応についてお答えをいたします。
 平成二十五年九月の環境影響評価準備書におきまして、JR東海はトンネル工事により大井川の流量が最大毎秒二トン減少すると予測しました。県ではこの減少分、毎秒二トンについて県民の皆様に御理解いただきやすいよう約六十万人の生活用水に相当する量と説明をしております。
 トンネル工事により想定される影響として、ほかにも第一に地下水脈の変化による地下水位の低下という影響、第二に重金属等の有害物質を含む水の流出という影響、さらにまた河川水とは水温等の異なる湧水が導水路等で河川に流入することによる水質の悪化とあるいは変化という影響、さらに沢がれ等による生態系への壊滅的影響などがございます。現在JR東海が説明されているリニア工事に伴う水量減少等の影響はまことに少ない地質調査をもとに推定した予測です。予測にはもとより不確実性がございます。二トンをはるかに超える量が減少するリスクもあります。今後は中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会等におきまして実際に調査したデータに基づく施工計画や環境保全計画の御提示を求めます。そしてまた具体的な影響とそれへの対処方法を明確にしてまいりたいと考えております。これに基づきわかりやすい資料を作成し、県民を初めさらに多くの皆様に御理解をいただけるように努め、危機感の共有を進めてまいりたいと考えております。
 今月十二日の専門部会におきまして、JR東海は初めて工事の工程において山梨県側に十カ月分、長野県側に七カ月間、本来大井川水系に流れるはずの水がトンネル湧水としてトンネルの傾斜に沿って両県側、すなわち大井川水系外に流出することは避けられないと明らかにいたしました。JR東海は工法については引き続き検討するとしておりますが、このJR東海が想定なさった流出期間と毎秒の流出量をもとに流出総量を計算してみますと合計で約二百十万トンとなります。これは人口十万人の島田市民が使用する約七十日分の生活用水に相当する量であります。決して看過できるものではありません。そしてこの値すら単なる一つの想定にすぎません。
 南アルプスを源流とする大井川の水は長い歴史の中で大切に受け継がれてきた財産であり、議員の御地元掛川市におきましても生活や経済活動に欠かせない命の水であります。今月十一日、十二日に移動知事室で吉田町、牧之原市、静岡市も訪れたのでございますけれどもさまざまな世代  小学生も含めてでございますが  多くの県民の皆様から一様に大井川の水を守るように強く求められました。また酒造メーカーの社長さんからも切実な意見、手紙が寄せられております。東堂議員と同様、命の水を大切にする多くの県民の思いは私の思いでもございます。
 県といたしましては、リニア工事による大井川の水量減少問題は絶対に譲らないという立場でJR東海と科学的根拠に基づき粘り強く対話を進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 外国人材の活躍支援についてお答えをいたします。
 県内における外国人労働者は、五年前と比較して一・五倍の約五万七千人と大幅に増加しております。人材不足が依然として深刻化する中、本県産業を支える貴重な担い手となっております。
 こうした中、国は本年四月に新たな在留資格、特定技能制度を創設し人材不足が著しい介護や建設など十四分野への外国人材の受け入れを開始いたしました。しかしながら議員御指摘のとおり、特定技能の在留資格の取得は十分に進んでおりません。そういう状況にございます。これは新制度導入までの準備期間が短かったこと、そして受け入れ手続の煩雑さや技能実習生と異なり監理団体を介さないことによる企業の負担が見通せないこと、このような理由があると思われます。
 県では、本年五月から経済四団体及び市町と連携して特定技能及び外国人技能実習制度の説明会を県内十二カ所で開催をしております。参加企業からは制度の理解が深まったとの御意見をいただいております。しかしまだまだ十分とは言えません。十四分野ごとの受け入れ方法等の説明を求める要望も数多く出されております。県内企業への制度の周知をさらに進める必要があるというふうに感じております。このため今後介護や建設など分野別のより詳細な説明会を開催することとし、本議会で九月補正予算案としてお諮りをしているところであります。
 今後、増加が見込まれる外国人材が生き生きと活躍できるためには地域との共生が最大の課題です。外国人よし、地域よし、企業よしの三方よしの実現が必要であります。
 このため、本年七月に開設した十一言語以上に対応する県多文化共生総合相談センター、通称「かめりあ」では情報提供や相談を行い県内市町とも連携をして外国人材が安心して地域で生活できるよう支援を進めております。さらに外国人材と地域との共生に成果を上げている企業の先進的な事例も紹介をしております。引き続き企業における共生の取り組みの充実を促してまいりたいと考えております。
 県といたしましては、今後とも多文化共生推進本部を中心に市町や関係団体と連携して外国人材が地域で安心して生活し働き続けられるよう、誰もが努力すれば夢がかない差別されずに幸せを実感できる多文化共生の地域づくりを着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 帰国・外国人児童生徒に対する日本語教育の推進についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県に住む外国人の方々は社会の一員であり県内産業の発展に貢献する県民でありますことから、その子供たちが学校で安心して学べる環境を用意することは教育委員会を初め行政、地域、企業を含めた社会全体の責務であります。県教育委員会では外国人児童生徒が多い学校に教員を加配するとともに、日本語指導コーディネーターを派遣し特別の教育課程の編成を支援しております。さらに担当教員等を対象とした日本語指導の研修会を開催しております。また一部の市町では教室で寄り添いながら指導助言する支援員を配置しておりますほか、就学前後に学校や学校以外の場所で日本語の指導を行っております。
 しかしながら、外国人児童生徒が急増している学校では特別の教育課程を担当する教員が確保できず十分な指導ができていない状況が見られます。今後も増加が見込まれる外国人児童生徒に対する支援を一層充実させることが必要であります。
 このため、今年度新たに立ち上げた多文化共生推進本部教育プロジェクトチームにおきまして検討を進めさらなる対策に取り組むことといたしました。具体的には特別の教育課程により十分に日本語指導を行えるよう小中学校に非常勤講師七十人を配置することといたしました。またやさしい日本語を指導する専門家の派遣や支援員の確保と質の向上を図るための養成講座の開催に取り組むこととし、必要な経費に係る補正予算案を本議会でお諮りしているところであります。
 県教育委員会といたしましては、市町教育委員会と連携し外国人児童生徒が県内どこの学校に在籍しても安心して学べる環境の整備に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 静岡茶の販路拡大と生産者への支援についてお答えいたします。
 本年の県内産一番茶、二番茶の取引は減産にもかかわらず単価が低下するなど需要と供給のミスマッチが顕在化しておりますことから、新たな需要の喚起による販路の拡大や流通業者と連携した販路の確保は喫緊の課題となっております。このため来年の一番茶に向けての緊急対策として必要な経費を九月補正予算案に計上し本議会にお諮りしているところであります。
 具体的には、新たな需要の喚起による販路の拡大につきましては現在日本茶インストラクターが静岡茶を使った料理や飲み物を開発し、首都圏のレストランなどで提供する取り組みを進めておりますが、さらに茶業研究センターで開発した女性や外国人に評価の高い香り緑茶の販路開拓にも取り組んでまいります。また消費者目線による新しい商品の開発やターゲットを明確にした商品提案を進めるための若手の生産者と茶商が協働する仕組みを構築してまいります。
 流通業者との連携による販路の確保につきましては、茶産地構造改革事業により流通業者との契約生産などを進めておりますが、ことしの厳しい現状を踏まえてさらに流通業者の求めるドリンク原料茶等への転換を加速する必要があります。このためドリンク原料の加工の際に効率的に蒸すことができる過熱蒸気発生装置などの導入に対する助成枠を拡大してまいります。
 また、飲料メーカー等がGAP認証の取得を取引条件とする動きを強めておりますことから認証取得を要望する茶工場が大幅に増加しております。このため認証取得に必要な経費に対する助成を増額して生産者のGAP認証取得を加速してまいります。
 県といたしましては、生産者団体や茶業会議所などの関係機関と連携し静岡茶の販路拡大と生産者の支援にスピード感を持って取り組んでまいります。
 次に、農作物被害対策についてであります。
 イノシシやニホンジカなど野生鳥獣による農作物の被害は、国の調査によりますと県全体としては減少傾向にあるものの、議員御指摘のように地域によってはいまだ深刻な状況にあると認識しております。こうした状況を踏まえ県では、部農会長や自治会長などを対象に昨年度モデル的に実施した集落ごとのアンケート調査を本年十月から全県で実施いたします。この調査により集落単位や獣種単位のより詳細な被害状況を把握し、被害の大きい地域から先行して侵入防止柵の設置を進めるなど市町と協力して地域の被害状況に即応した対策につなげてまいります。
 また、地域で被害防止に取り組む人材不足も課題となっております。県ではこうした対策を担う市町職員や猟友会員などで構成する鳥獣被害対策実施隊の設置を市町に働きかけており、現在二十市町まで広がっております。これらの市町では捕獲活動や追い払い、農業者への柵の設置技術の指導などを実施隊が行うことで大きな被害軽減につながっているため、引き続き未設置市町への設置を働きかけてまいります。
 このほか、捕獲従事者の労力軽減も課題となっておりますことから現在ICTわなの設置支援を進めております。このわなはスマートフォンなどを用いて遠隔操作や捕獲状況の確認を行うものであり、農林事務所が捕獲の実証を行い成果が確認できたものであります。今後市町を通じて積極的に地域への普及促進を図ってまいります。
 県といたしましては、引き続き市町やJAなど関係機関と連携して地域の声に耳を傾けよりきめ細やかな対策を着実に進めることで鳥獣被害の軽減に努めてまいります。
 次に、農業用ため池の防災対策及び適正な管理についてであります。
 県では、これまで地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき貯水量がおおむね一万立方メートル以上で決壊した場合に下流の住宅地などへの影響が大きく緊急度の高いため池二百十六カ所を選定し、耐震及び豪雨対策を推進しているところであります。現在全てのため池で対策に着手しておりこれまでに約六割が完成しております。そして令和四年度の完了を目指しております。
 このたびの国の新たな基準により防災重点ため池に追加選定した比較的規模の小さいため池につきましては、今後市町と協議してそれぞれの分担を決めた上で本年度中にハード及びソフト対策の実施計画を策定し、アクションプログラムとあわせてスピードを緩めることなく着実に対策を講じてまいります。対策の推進に当たりましては、同一水系に複数のため池が存在し連続的な被災が起こると広域的な被害になると想定する場合には、県が市町にかわり対策工事を実施できるため池群整備事業を積極的に活用し多くのため池を管理する市町の負担を軽減してまいります。
 また、ため池の約四分の一を行政以外の者が所有していることや所有者及び管理者が明確でないため池も存在しますことから、適正な管理が担保できない場合にはため池新法に基づき県の代執行などにより安全確保も図ってまいります。あわせてため池に関する情報や課題の共有による確実な対策と管理を推進するため静岡県ため池管理保全対策連絡協議会を本年八月に設置いたしました。これにより市町への技術的助言等の支援体制も整えたところであります。
 県といたしましては、こうした取り組みによりため池の防災対策を推進し激甚化する自然災害から県民の皆様の生命と財産を守ってまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 静岡モデル防潮堤の整備促進についてお答えをいたします。
 県は、地域の特性を踏まえた静岡方式の津波対策を市町との協働により県内全域で展開しているところであり、このうちレベルワンを超える津波に対応する静岡モデル防潮堤の整備を静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に位置づけております。このアクションプログラムでは全体計画延長五十六・七キロメートルのうち令和四年度末までに五五%を整備することを目標とし、各地域で立ち上げた静岡モデル推進検討会で進捗管理を行っております。今年度末には浜松市沿岸地域の防潮堤が完成することから整備率が約四〇%に達する見込みであり、目標達成に向け順調に進捗しております。
 また、静岡モデル防潮堤の整備に必要不可欠な土砂の確保につきましては全体の必要土量約一千四十万立方メートルに対し、昨年度までに約八百六十万立方メートルの土砂を確保いたしました。残る約百八十万立方メートルにつきましては今後県の事業や新東名高速道路六車線化事業、さらには民間事業で発生する土砂の活用などあらゆる手段を用いて市町と連携した土砂の確保に努めてまいります。
 県といたしましては、引き続き各地域におけます静岡モデル推進検討会で事業の進捗管理を行うなど市町が進める静岡モデル防潮堤の整備を支援し、安全で安心な県土づくりに努めてまいります。
 次に、垂木川の河川改修における早期整備についてであります。
 垂木川につきましては、平成十三年策定の太田川水系河川整備計画に基づき天竜浜名湖鉄道の上流区間で河道拡幅を進めるとともに河川の流れを阻害する橋梁のかけかえなどを進めております。現在、市道橋「新橋下橋」のかけかえ工事を実施しており、今年度、防災・安全、国土強化のための三カ年緊急対策により完成する予定となっております。これに引き続き来年度からは上流側の県道にかかる新橋のかけかえを行うこととしており、まずは迂回路のための仮橋の整備に着手いたします。
 垂木川の河川整備計画区間には対策の必要な橋梁が九橋ありこれらの費用や期間が多大となりますことから、平成二十九年に掛川市が地元自治会や県が参画する垂木川改修に伴う橋梁のあり方を考える会を設立いたしました。現在この会におきまして数多い橋梁の統廃合について地元の御意見を丁寧に伺いながら検討を進めているところであり、県はこの結果を踏まえ早期に効果が発現できる整備手順などを検討することとしております。
 県といたしましては、垂木川周辺の浸水被害解消のため予算確保と早期整備を積極的に進め掛川市及び地域住民の皆様と連携し安全で安心な地域づくりを目指してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 東堂陽一君。
       (三十六番 東堂陽一君登壇)
○三十六番(東堂陽一君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を五点、再質問を三点お願いいたします。
 まず要望から申し上げますけどリニア新幹線の大井川の水量減少、知事の決意を聞かせていただきまして頼りにしていますのでよろしくお願いをしたいということでございますけども、とにかくどれだけ水が大事かということをしっかりと情報発信をしてもらいたい、そういうことをしてもらった上で水問題が譲れないという立場でお願いをしたいと申し上げました。知事からは沿川住民六十数万人の生活用水だという話もございました。
 ちなみに、掛川の話で恐縮ですけども掛川市の水道水、飲み水で換算してちょっと計算をしてみたんですけども、毎秒〇・四二立米、使っていただいております、大井川から。ということでいかに二立米という水がなくなると大きいかということがありますので、そういう命の水だということをぜひもう一度再認識いただいて話を進めてもらいたいというお願い、要望でございます。しっかり情報発信も新たな方法も考えるという御回答でしたけども、考えながら進めてもらえればというふうに思います。
 二つ目の要望は日本語教育についてでございます。帰国・外国人児童生徒の日本語教育。
 ちょっと話がそれますけれども、帰国・外国人児童生徒等の教育の推進支援事業、虹のかけ橋という事業があります。掛川市、菊川市、御前崎市三市で共同運営しておりますけども、同じような目的のプレスクールですけどもね、ここの運営費用等で苦慮している面もありますので、そんなこともこれから考えてもらえればというふうに思います。
 そしてため池に対する要望ですけども、お話しいただきましたけど大変数がふえました。市や町の負担も大変でございますので予算要望ということ、それから対象事業の手法や手順の確立ということをよろしくお願い申し上げたいと思います。
 防潮堤に関してでは浜松の話がやっぱり入ってきたものですから、土量も十分かなりの率までいっているという話になりましたが、中東遠地域ではその分差し引いて考えるとまだまだ土砂の確保は大変な課題でもあると思いますので引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。
 垂木川については浸水被害がたびたび発生しております。一日も早い整備が進むように重ねてお願い申し上げます。
 再質問に移ります。
 帰国・外国人児童生徒に対する日本語教育の推進。今非常勤講師七十人増というお話がありました。これで当面の困っている子供たちが対応できるかどうかということを再確認したいと思います。
 それから、お茶に関しては日本一を誇ってきた日本茶、本当に危機にあるということを強く認識したいと思います。これまでのような対策では間に合わないというふうに思います。思い切った施策展開が必要だというふうに考えますが、各種関係団体を巻き込んで思い切った施策展開をするというふうにしなければ本当に大変な状況になるというふうに思います。
 一つ目には抽象的ですけども、茶産地の構造改革という思い切った構造改革が必要だと思いますけどコメントがあればお聞きしたいというふうに思います。
 二点目には需要喚起、健康志向これはですね、需要喚起、お茶の万能薬と言えるような健康機能性がありますのでこれを前面に押し出してマスメディア等を使ってPRする。これは二年前の私の一般質問でも申し上げたことで繰り返しになりますけれども、いろんな機関を巻き込んで関係機関を巻き込んで県庁が主体になってPR戦略を考えたらどうかという話を二年前に申し上げさせてもらいました。再度同じ提案をしますけどもお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 最後はイノシシの再質問です。
 アンケートをとるということで、どこに被害が大きいかそこから優先的に対策を進めるというお話でありましたけど、それだけにとどまらずどんなことを聞いてどんな対策を立てるか、これが重要だと思いますのでアンケートの中身やどんな対策を想定しているかということがわかればお聞きしたいと思います。以上、要望と再質問をよろしくお願いいたします。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 帰国・外国人児童生徒に対する日本語教育の推進に係る再質問についてお答えをさせていただきます。
 現在小中学校におきまして、外国人児童生徒に対しましては特別の教育課程というのを実施しておりましてその人数は約千五百人ほどになっております。しかしながら担当する教員、加配する教員がなかなか十分に設置されてないということで、今回非常勤職員を七十人ということで配置をするということで予算案を計上させていただいております。
 これに伴いまして、単純な計算では七十人の非常勤職員の方々で約五百人程度の外国人児童生徒に対する指導ができるのではないかというふうに計算しておりまして、加配教員それからこの非常勤職員を合わせまして外国人児童生徒の特別教育課程、充実したものになるというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) 再質問についてお答えいたします。
 まず、お茶について二問、再質問をいただきました。
 一点目が、思い切った茶産地の構造改革が必要ではないかという御質問でございます。
 現在県といたしましては、やはりその地域の特徴に応じて、例えば中山間地では煎茶の、飲むお茶ですね、煎じて飲む、そういったお茶の、高級なお茶のそういったものを維持しながら、現在外国等で人気の高い抹茶ですね、抹茶の原料となるてん茶そういったものを、特徴のあるお茶の生産を進めていこうと。あるいは平地におきましてはドリンク原料になるお茶、そういった生産を規模拡大して進めていこうといったようなことを進めておりまして、そのための例えば基盤整備、農業者の負担軽減をするような基盤整備なども進めております。
 ただ、いろんな対策を進めておりますが、その中におきましてはやはり個々の生産者あるいは茶商等だけの対応ではなかなか解決しない問題もございますので、そういった県といたしましては生産者や茶商あるいはいろんな団体が集めたようなそういった方たちでしっかりと検討していくようなことも進めてまいりたいと考えております。
 それから、二つ目の質問で需要喚起のためのPR、特にマスメディアを使ったというようなお話がございました。御質問でございました。
 お茶に関しましては、抗がん作用ですとかコレステロールの上昇を抑制する作用ですとかいろんな効能等もあります。またリラックス効果などもそういったものも学術的には証明されているところでございます。議員から御提案のありましたようにそういったいろんな効能、そういったものをしっかりといろんな媒体、マスメディアも使いまして関係団体とともにPRしていくということは大事だと思いますのでしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 それから、三つ目の質問で鳥獣害対策の御質問をいただきました。アンケートの内容等についての御質問だったと思います。このアンケートにつきましては、例えば獣種ごと、例えばイノシシですとか鹿ですとか猿、そういった獣種ごとにどういった被害がいつごろからあるのか、あるいは被害の程度はどのぐらいなのか、防護柵などの効果などはどうなのかといったことを単純な質問にしまして、それでアンケートをとります。その結果をGIS上で地図上にその強度等も含めて表現してまいります。それによりまして市町あるいは集落を越えたようなその獣害の広がり方、そういったものも見えてきます。どういった獣害があるのかというのも見えてきます。それを見える化することによって具体的にどういう対策がそこに適しているのかということを進めてまいりたいと、そういうふうに考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) これで東堂陽一君の質問は終わりました。
 議事の都合により、休憩します。

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