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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

木内 満 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/20/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
(1) 次期総合戦略  
(2) 税収見通しと来年度に向けた財政運営  
(3) リニア中央新幹線整備への対応  
(4) 沼津駅周辺総合整備事業  
2 県民の生命・財産を守る危機管理体制の強化について  
(1) 核燃料税  
(2) 地震財特法の延長  
(3) 捜査支援体制の強化に向けた取り組み  
3 子どもへの支援の充実について  
(1) 子どもの安全確保対策  
(2) 子どもの貧困対策  
(3) いじめや不登校への対応  
4 次世代産業の創出と競争力の強化について  
(1) MaOIプロジェクトの推進  
(2) 豚コレラ対策  
5 本県の魅力を活かした観光・交流の促進について  
(1) ラグビーワールドカップ二〇一九成功に向けた決意  
(2) 静岡デスティネーションキャンペーンの総括  
6 行財政改革の推進について  
(1) ワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政の推進  


○議長(鈴木利幸君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百二十七号から第百五十号まで及び平成三十年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 なお、議案第百三十三号について人事委員会の意見を求めたところ、お手元に配付したとおり回答を得ていますので御承知おき願います。
  
                                人委給第13号  
                              令和元年9月18日  
 静岡県議会議長 鈴 木 利 幸 様
                   静岡県人事委員会委員長 小 川 良 昭  
地方公務員法第5条第2項に基づく意見について
 令和元年9月17日付け静議議第39号により意見を求められた下記議案について、異義はありません。
                   記
議案名
 第 133 議案 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例(職員の給与に関する条例の一部改正、静岡県職員の退職手当に関する条例の一部改正、静岡県職員の旅費に関する条例の一部改正、静岡県教職員の給与に関する条例の一部改正、静岡県地方警察職員の給与に関する条例の一部改正に係る部分に限る。)
  
○議長(鈴木利幸君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十五番 木内 満君。
       (十五番 木内 満君登壇 拍手)
○十五番(木内 満君) 皆さん、おはようございます。自民改革会議の木内満です。
 質問に入る前に、九月九日の台風十五号で被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。静岡県内では伊豆半島を中心に大きな被害が発生しました。県には一日も早い復旧・復興に向けて力強い支援をお願い申し上げます。
 私は、自民改革会議を代表して知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に一括質問方式で伺います。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略について伺います。
 県が平成二十七年十月に策定した美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略は施策の見直しや改善を図りながら推進し今年度が最終年度となっています。次期総合戦略の策定に当たっては、まず現戦略の総括をしっかりと行い今後の課題等を明確にすることが重要です。現戦略では特に少子化や転出超過の抑制に主眼を置いており従来の視点による取り組みが多く、将来の社会経済情勢の変化への対応という点でまだ十分とは言えないと考えています。
 今後人口減少抑制戦略を進めたとしても当面人口が減少することは避けられません。県の長期人口ビジョンによれば、二〇二〇年に合計特殊出生率二・〇七と社会移動の均衡を図っても二〇六〇年の人口は現在より六十万人以上少ない三百万人程度になると見込んでいました。しかし長期人口ビジョンの目標達成は困難と見込まれ人口減少がさらに加速することは明白です。
 こうした状況を踏まえると、県は人口減少社会に適応するための戦略にこれまで以上に主眼をおいて対策を進めるべきであると考えます。国も新たな視点として、関係人口の創出・拡大やソサエティー五・〇の実現に向けた技術の活用などを盛り込み適応戦略を強化する方針を示しています。地域間競争の視点で見れば人口減少社会への適応が進み将来にわたって持続可能で誰もが快適に過ごせる地域こそが人々に選ばれ、結果として人口減少の抑制にもつながるものと考えます。
 そこで伺います。現戦略の成果や課題をどう評価し次期戦略にどう反映しようとしているのか、また次期戦略では人口減少社会への適応戦略にどう取り組もうとしているのか、県の考えを伺います。
 次に、税収見通しと来年度に向けた財政運営について伺います。
 本年七月末時点の法人二税の調定実績は、製造業の企業収益が伸び悩んだことなどに伴い前年度比九六・一%にとどまり、県税全体でも前年度比九八・一%であったと聞いています。本年度の県税収入が当初予算の水準を確保できるのか大変懸念しています。
 内閣府の八月の景気ウォッチャー調査によれば、製造業の景況感を示す指数は米中貿易摩擦や中国経済の減速などを受け東日本大震災直後の平成二十三年五月以来の低水準に落ち込んでいます。また消費税率引き上げによる個人消費への影響や海外情勢などに対する懸念から先行きにも厳しい見方が出ています。こうした動きは県内企業にも共通するものです。
 近年の県税収入は平成二十四年度以降増加傾向が続いておりましたが、本年度の調定実績や現下の経済状況を踏まえるとこれまでと同様の傾向が続くとは思えず大きな転換点にあるものと考えます。税収がこうした厳しい状況にある一方、地震・津波対策や人口減少社会への対応など県政の喫緊の課題は山積しています。
 県は、これまで美しいふじのくにづくりに取り組むとしてさまざまな事業を展開してまいりました。しかし厳しい財政状況を踏まえ、まずはやりたいこととやらなくてはならないことをしっかり整理した上で今後の静岡県の発展のため地に足をつけた地道な施策、真にやらなくてはならない施策に集中して取り組む必要があると考えます。そのため限られた財源を有効に配分することが知事が担うべき重要な責務であると考えます。
 そこで伺います。まず今年度の税収をどのように見通しているか、また来年度の当初予算編成に向けて県はどのような姿勢で臨むのか、県の考えを伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備への対応について伺います。
 去る九月六日にJR東海より、中央新幹線建設工事における大井川水系の水資源の確保及び水質の保全等に関する中間意見書に対する回答が県に提出されました。これは県が六月六日にJR東海に提出した中間意見書について、JR東海より七月十二日に示された回答案をもとに八月二十日と二十一日に専門部会を実施し、八月二十九日のJR東海と利水者、地元自治体との意見交換などを踏まえJR東海から静岡県に提出されたものであります。
 JR東海からの回答を踏まえ九月十二日と十三日に専門部会が実施されましたが、その席上ではJR東海の回答内容は不十分であり対話を継続していくことが確認されたと聞いています。またこれらの議論と前後して九月六日には菅官房長官が開業予定の二〇二七年に影響が及ばないよう静岡県とJR東海の間で客観的な議論が進むよう国交省として必要な調整を行っていくと発言がありました。また知事は定例記者会見や知事広聴の場でJR東海にルートの変更を促すような発言もしておられ報道などで大きく取り上げられております。
 利水者や地元自治体のみならず全国的にも大きな関心を集めるリニア中央新幹線整備への対応について、改めて県としての認識と今後の方針について幾つかただしてまいりますので簡潔にお答えください。
 まず、トンネル湧水の全量回復ということについてJR東海は回答書の中で先進杭がつながるまでの期間はトンネル湧水の全量回復は難しいと説明していますが、県としてはトンネル工事中、工事完了後、リニア運転中も含めて全期間において例外なく全量を戻すことが技術的な説明も十分理解が得られた後に協定の締結が完了するまでは工事の着工は一切認めないという趣旨で用いているように感じられますが、その認識で正しいかどうかお答えください。また全量という言葉の定義についても確認のため御説明願います。
 全量回復の技術的な実現性について、専門部会においてある委員からは青函トンネルの工事と比較すれば技術的にも対応可能であるとの発言がありましたが、県として全量回復は技術的に実現可能と認識しているのかどうかお答えください。また現在のルート及び工法ではコストを度外視したとしても技術的にトンネル湧水の全量回復は不可能であるとの結論が出た場合においても、あくまで全期間の全量回復を求めていくとの姿勢は変わらないとの方針を持っているのかお答えください。
 知事はリニア中央新幹線整備工事に関し、金銭補償があれば工事を認めるとの認識は誤りであると明確に否定されておられますが、水量減少と環境保全について利水者や地元自治体も納得できる対応が示された後に、それらの対策とは別にリニア中央新幹線の立地自治体として地域貢献策をJR東海に求めていく考えはあるのかどうかお答えください。
 国の関与について八月九日に国土交通省、静岡県、JR東海の三者で合意した文書であるリニア中央新幹線静岡工区の当面の進め方についてにおいて、基本的に静岡県とJR東海との間で調整するという原則を確認した上で国土交通省は専門部会における検討を見守りつつ状況に応じて検討の促進等に努めるといった範囲に限定されていると認識しておりますが、今後JR東海との隔たりを埋めていくために国の関与を強めていくことを求めていく意向があるかどうかお答えください。
 知事は回答案が提出された後、定例記者会見や知事広聴の場で迂回や遠回りといった表現でJR東海側の主体的なルート変更を期待するような発言がたびたび見られますが、静岡県として国やリニア中央新幹線整備期成同盟会所属の各自治体、JR東海などに対し対案を示しルート変更を働きかけてきた経緯は存在するのか、また今後そのような働きかけを行っていく考えがあるのかお答えください。
 最後に、これらの経緯を踏まえJR東海の対応を現時点でどのように評価し、今後どのように交渉を進めていくのか、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、沼津駅周辺総合整備事業について伺います。
 現在沼津駅周辺では鉄道により中心市街地が南北に分断されています。この両地区を連結する幹線道路では朝夕の通勤時間帯に渋滞が発生し、豪雨時には冠水により通行どめとなるなど交通の課題を多く抱えています。また駅付近の踏切では近年死亡事故も発生しています。
 本事業は沼津駅周辺で抱えているこれらの課題を鉄道を高架化させることで抜本的に解消し、県東部地域の拠点としてふさわしい沼津のまちづくりを推進する上で非常に重要な事業であり住民の期待も極めて大きいと認識しています。しかしながら一部地権者の強硬な反対などから長い間思うように事業が進まず、事業推進の鍵を握る新貨物ターミナルの建設工事にいまだに着手できていない状況です。
 この状況を打開すべく、当局は昨年秋に土地収用法に基づく立入調査を実施し、これが大きな転機となって用地買収が一気に進み約九四%まで用地が取得できたと聞いています。さらに報道にもあったように、九月十八日には残る用地の取得に向けて土地収用法に基づく裁決申請を県と市が共同で行ったと伺っています。
 本事業については我が会派としても重要な事業の一つと捉え、知事に事業の推進に向けてリーダーシップを発揮していただくようお願いしてまいりました。残る地権者の方々から同意をいただく努力を最後まで怠らないということを前提とした上で、今回の知事とョ重沼津市長の決断を新たな局面へつながるものとして大いに歓迎したいと思います。
 そこで伺います。この裁決申請が沼津の新しいまちづくりに向けた大きな一歩となり今後は各方面から未来に向けての大きな期待が寄せられるのではないかと考えますが、事業推進に向けて改めて知事の考えを伺います。
 次に、県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、核燃料税について伺います。
 核燃料税は、地方税法に定める税目以外に県などの地方団体が条例により課税対象や税率などを定め総務大臣の同意を得て新設する法定外普通税であり、本県のほか原子力発電所が所在する十一の道県で導入されています。本県では浜岡原子力発電所の立地に伴う安全対策等の財政需要の財源を確保するため昭和五十五年度に創設され五年ごとに更新しているところであり、本年度は第八期の最終年度と伺っています。今期からは浜岡原子力発電所が運転を停止している状況を踏まえ、従来の発電用原子炉に挿入された核燃料の価額に課税する価額割に加えて、発電用原子炉の熱出力に対して課税する新たな課税方式である出力割を併用する方式を採用しました。税率については価額割八・五%、出力割八・五%相当の合計一七%相当とし、その結果原子力発電所の稼働の状況にかかわらず安定的な税収の確保が図られるようになりました。この結果昨年度の税収は十二億四千万円となり五年間では六十二億円程度が見込まれています。
 現在浜岡原子力発電所は運転を停止していますが、原子力発電所の立地県としてこれまで実施してきた県民の安全・安心のための施策は引き続き行っていく必要があると考えます。核燃料税はこれらの施策を実施していく上で貴重な財源となっており、県民の安全・安心のためには核燃料税の継続は必要不可欠と考えます。
 そこで伺います。本年度末で課税期間が満了となる核燃料税について、来年度以降どのように取り扱っていくのか、県の考えを伺います。
 次に、地震財特法の延長について伺います。
 昭和五十一年の東海地震説の発表以来、本県は防災先進県として地震対策を推進してまいりました。幸いにもこの四十年の間大きな地震に見舞われることはありませんでしたが、昭和十九年の昭和東南海地震、昭和二十一年の昭和南海地震の発生から約七十年の歳月が経過していることを踏まえると大規模地震発生の可能性が一段と高まっていることを意味していると言えます。このような中、国においては現在の科学的知見では地震の発生について確度の高い予知は困難とされたことから、いつ起きてもおかしくない大規模地震に備えて平常時から公共施設の耐震化や緊急輸送路の整備など基本的な地震対策をしっかりやっておくことが重要であることを改めて認識しました。
 昭和五十五年に議員立法により成立した地震財特法は、大規模地震対策特別措置法に基づく地震防災対策強化地域における対策を推進するため国の財政上の特別措置を定めた法律であり、今年度末に八回目の期限切れを迎えます。しかし地震財特法の残事業は本県を含む強化地域内の八都県全体ではまだ相当量あると聞いています。地震財特法による財政措置はいまだに重要であり地震財特法が延長されない場合、本県のみならず周辺自治体にも大きな影響があると考えます。
 そこで伺います。国に対し延長の働きかけ等を行うべきと考えますが、県はどのように行動していくのか、県の考えを伺います。
 次に、捜査支援体制の強化に向けた取り組みについて伺います。
 本年上半期の刑法犯認知件数は、前年同期比七百六十七件減少し八千七百件で記録が残る一九八〇年以降最少を更新しています。県警察や防犯関係団体各位の並々ならぬ御尽力に感謝を申し上げますが、全国に目を向けると京都アニメーション放火殺人事件、川崎児童殺傷事件などテロとも言える犯罪が連続発生しており、事件発生後にいかに早期に被疑者を特定し検挙できるかということについて警察に期待する県民の声は高まっていると感じています。
 本年二月東京都江東区において資産を確認するアポを受けた高齢女性が遺体で発見される痛ましい強盗殺人事件が発生しました。その後犯人は約二週間弱でスピード逮捕されましたが、報道によると警視庁捜査支援分析センター、通称SSBCが事件捜査に大きく寄与したと聞き及んでいます。このSSBCとは警視庁が犯罪の匿名化、IT化などの急速な進展に迅速、的確に対応するため部門横断的な組織を構築して各種犯罪情報の集約と多角的な分析、IT機器の解析、機動性を生かし現場における初期の捜査支援分析を行うなど犯人検挙に結びつく情報を提供することを目的に設置した、たたき上げの捜査官と財務や画像解析技術等を有する分析官から成る組織です。
 本県では本年三月小山町内においてアポ電強盗事件が発生している現状を踏まえれば、街頭防犯カメラの画像の収集・分析、AIの導入、ビッグデータの捜査へ活用など専門知識を備えた職員による捜査支援体制の強化が必要であると考えます。
 そこで伺います。県内における凶悪犯罪の現状についての認識と警視庁の捜査支援分析センター、通称SSBCのような専門知識を備えた職員による捜査支援体制の強化に向けた県の考えを伺います。
 次に、子供への支援の充実についてのうち、子供の安全確保対策について伺います。
 本年五月、我が会派から子供の安全確保対策について緊急要請を行いました。県は六月に県庁版の静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションを取りまとめました。そして今月六日には県庁版のアクション六十三件に県のさらなる対策四十三件、市町、民間の独自対策百二十五件を加え総計二百三十一件から成る静岡県版の子どもの安全確保緊急対策アクションを取りまとめたところです。短期間のうちにこれだけの対策を検討していただいたことにひとまず敬意を表します。
 子供の安全を確保するということは終わりのない取り組みであり、これらの緊急対策が一過性のもので終わらずに恒常的な取り組みとなっていくことを切に望みます。しかし既にこうした取り組みの契機となった事件や事故の記憶も薄れつつある中で、緊急対策を恒常的な取り組みとどうつなげていくかが重要な課題になっていると感じています。
 例えば緊急対策アクションの中には防犯マップの作成や児童、園児等の通学路緊急点検といった項目も挙げられていますが、こうした取り組みを通じて明らかになった危険箇所に対する防犯設備や交通安全施設などのハードの整備も急ぎ実施していかなければなりません。緊急対策アクションは数カ月のうちに実施できるソフト的な対応に重点を置いているように感じますが、道路や街路、防犯設備や交通安全施設の恒常的な整備と緊急対策アクションの間をつなぐ数年のうちに対応するというような優先的な対策も必要ではないかというのが現場で切実な要望に直面する私たちの実感です。
 そこで伺います。今回取りまとめていただいた静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションでは短期的にどのような成果を期待しているのか、そしてそれらの取り組みを恒常的な子供の安全確保対策につなげていくために中期的、長期的な視野をもってどのように子供の安全確保対策を実効性あるものにしていくのか、県の考えを伺います。
 次に、子供の貧困対策について伺います。
 県は、平成二十七年度に策定した静岡県子どもの貧困対策計画が今年度をもって満了することから現在次期計画の策定に向けて検討を進めていると伺っています。現計画の進捗評価をするため設定している数値目標を確認したところ、スクールソーシャルワーカーの配置数四十三人、生活保護世帯の子供の高等学校等進学率九八・六%、ひとり親の就職率四三・七%、ひとり親家庭に対する経済的支援制度の認知度現状以上の四項目が掲げられているにとどまっています。ほかには評価書に生活保護世帯に属する子供の高等学校等中退率等の指標が掲載されていますが、これはあくまで参考指標であり目標値は設定されておりません。
 四項目の数値目標に対する評価については、昨年度までに三回にわたり公表されている評価書により確認できますが、項目によりその進捗状況はまちまちとなっています。このため現計画における取り組み成果の検証は極めて難しく取り組みの妥当性を示すことができていないのではないかと考えます。子どもの貧困対策計画の見直しを行うに当たり、改めて県にはどのような理念を持ってどのような目標を定めてどのような覚悟を持って子供の貧困対策に取り組むのか、その姿勢が問われていると考えます。
 そこで伺います。まず現計画について数値目標の達成状況と参考指標の推移から計画の進捗状況をどのように評価しているのか、また次期計画において現計画の評価を踏まえてどのように見直すのか、県の考えを伺います。また計画の進捗状況をわかりやすく検証可能とするため数値目標の設定等をどのように見直すのかあわせて伺います。
 次に、いじめや不登校への対応について伺います。
 文部科学省の調査によると、全国的な傾向としていじめの認知件数及び不登校児童生徒数は年々増加しています。平成二十九年度の調査では全国の小中学校におけるいじめの認知件数が三十九万八千件と過去最多を記録し、不登校者数についても小中学校合わせて十四万人以上となっています。いじめの認知件数の増加要因については、いじめ防止対策推進法で示されたいじめの定義に基づき各学校がこれまで以上に子供の様子を丁寧に把握し、いじめが疑われる場合には積極的に認知して対応したことによるものと承知しています。一方、不登校についてはその要因を容易に特定することができずに有効な手だてが講じられず長期化するケースが多いと聞いています。
 しかしながら、文部科学省の調査結果を見るといじめの認知件数の増加に対して不登校の要因の中でいじめが占める割合は低く調査結果と現実の乖離が見られ、子供の学校に対する拒否感が正しく把握されていないのではないかと感じています。不登校児童生徒を減少させるためには学校が不登校の要因を正しく分析し改善に向けて有効な取り組みを進めていく必要があります。そのために学校に対して本当の気持ちを伝えられない子供が本当の自身の声を安心して伝えられる多様な手段の存在が必要であると考えます。
 そこで伺います。子供たちが安心してみずからの声を伝えられる多様な手段をどのように確保していくのか、県教育委員会の考えを伺います。
 また、あわせて未然防止や早期対応の観点から子供の心理や社会福祉等の専門家の活用も一層重要になると考えます。児童生徒を心理的な側面から支えるスクールカウンセラーや子供を取り巻く環境改善のために働きかけるスクールソーシャルワーカーのニーズが高まっていると考えます。
 そこで伺います。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門家の今後の活用方針について県の考えを伺います。
 次に、次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、MaOIプロジェクトの推進について伺います。
 静岡県が推進するマリンオープンイノベーションプロジェクト、通称MaOIプロジェクトについては本年七月に推進機関である一般財団法人マリンオープンイノベーション機構が設立されるとともに、来年秋の開所を目指して中核拠点施設となるMaOI―PARCの整備が進んでいると伺っています。専門的な知識を有する人材の指揮のもと機動性や継続性の高い法人組織を新たに設立し事業を推進するという枠組みは、ファルマバレープロジェクトやAOIプロジェクトに続くものであり本プロジェクトの成功に期待をしているところです。
 本年二月に産業界、大学や研究機関、静岡市、地元金融機関などの代表者から成る協議会から提言を受けたマリンバイオ産業振興ビジョンには、マリンバイオテクノロジーを核としたイノベーションを促進することにより本県における多彩な産業の振興と創出を図ることが目的として掲げられています。また研究開発の成果の出口としてフーズ・サイエンスヒルズやファルマバレーなど既存のプロジェクトとも連携し、短期的には軸となる水産や食品の分野、長期的には創薬、環境その他の分野に効果を波及させることが盛り込まれており、県ではこのビジョンに沿ってプロジェクトを推進していくものと承知しています。
 県内では過去に国の主導により民間企業の出資による研究所が設立され海洋バイオテクノロジーの研究が約二十年間進められておりましたが、産業振興に十分つなげることができていないまま解散したと伺っています。このため今回のプロジェクトの推進に当たっては成果を着実に創出することで、まずは水産業を初めとした県内経済の活性化に確実につなげることが大変重要であると考えます。
 そこで伺います。マリンバイオ産業振興ビジョンに基づく短期的な成果や長期的な成果を実現するためにどのような戦略を持ってプロジェクトに取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、豚コレラ対策について伺います。
 豚コレラは平成三十年九月に岐阜県の養豚場で発生が確認されてから一年、事態は収束するどころか感染拡大の一途をたどっています。静岡県では関係者の努力により現状では感染は確認されておりませんが、九月十三日に山梨県笛吹市の食肉センターで豚コレラに感染した豚の死亡事案が発生し翌九月十四日には出荷農場である埼玉県秩父市の農場で感染が確認されました。さらに九月十七日には埼玉県小鹿野町の農場でも新たに感染が確認され、岐阜県から始まった豚コレラの感染拡大は新たな局面を迎えています。
 我が会派は九月十七日に知事に対し豚コレラ対策に関する緊急要請を行ったところであります。そこで県の豚コレラ対策について数点伺います。
 国は七月二日に野生イノシシによる感染拡大を防止するため、岐阜県及び愛知県に加え隣接する本県を含めた七県でも経口ワクチンを散布することを公表しました。まずは県がこれまで実施してきた緊急対策の進捗状況とともに、新たな取り組みとして予定されている野生イノシシへの経口ワクチン散布の方法やそのスケジュールについて伺います。
 また野生イノシシの緊急捕獲において、例えば国有林では埋却処分が行えないため捕獲したイノシシの処分に猟友会の皆様などが大変苦慮されていると伺っております。こうした現状を踏まえ、捕獲したイノシシの処分について県の所見を伺います。
 笛吹市の食肉センターに豚コレラに感染した豚が持ち込まれていたことから既に流通ルートの中に豚コレラに感染した肉や内臓が混入している可能性を指摘する声もあり、もはや豚へのワクチン接種以外に有効な手段が残されていないと感じている専門家や養豚家の声が日増しに強くなっております。農林水産省もワクチン接種の方針を固めたとの報道もなされたところです。豚へのワクチン接種の方法に関しては清浄国認定を失うことの回避策として感染地域と周辺地域を接種地域として接種地域から非接種地域への出荷制限をかけるような方法も検討されていると伺っていますが、接種地域内のみで需給をバランスさせることは困難であり、全国的に取り引きされている繁殖用の豚の精液やインターネット通販などによる広域的な流通なども考えると実効性ある方法とは思えません。ワクチン接種をめぐり本県養豚の被害を最小限に抑えるためにも実効性のある適切な豚のワクチン接種の検討を国に対し強く求めていくべきと思いますが、県の所見を伺います。
 次に、本県の魅力を生かした観光交流の促進についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九成功に向けた決意について伺います。
 本日いよいよラグビーワールドカップ二〇一九が開幕します。夕刻に行われる東京スタジアムでの日本対ロシアの開幕戦を皮切りに、本県を含む全国十二の開催都市で四十四日間の熱戦が繰り広げられます。今大会はアジアで初めて、またラグビー伝統国以外での初めての開催であり、まさに新たな歴史を切り開く大会と言えるものと感じています。またラグビー後進地域と言われるアジアでの初開催が意味するところはラグビーというスポーツの真のグローバル化が実現できるかが問われているということであり、その意味で今大会はラグビーの地平線を広げるグランドブレーキングな大会であるとも言えます。
 また静岡経済研究所の試算によれば、今大会は二〇〇二年のサッカーFIFAワールドカップを上回る経済効果があるとも推計されており本県経済への多くの恩恵をもたらすことも期待されています。一生に一度とも言われる国際的ビッグイベントを大きなチャンスと捉え本県経済の活性化を図るとともに、さまざまな分野に大会開催の効果を波及させ広く県民の心に残る歴史的な大会にしなければなりません。県議会としてもこの歴史的なワールドカップを確実に成功に導くため県開催推進委員会等を通じて支援してきたところであり、県による開催準備も最終段階に入っていると承知していますがいま一つ気がかりなことがあります。それは何をもって大会の成功と見るかが明確になってはいないのではないかという点です。何十年に一度レベルの大規模国際スポーツイベントが行われる以上大会の成功をどのように定義するか、すなわちこの大会にどのような成果を期待しどのような目標に向かって取り組みを進めるのかが明らかになっていなければ成功の可否は判断できません。
 そこで伺います。大会が開幕しいよいよ二十八日の大会本番を目前に控えた今、県の決意としてエコパ四試合の成功をどのように定義づけ、またそれを達成するためにどのように取り組んできたのか伺います。
 次に、静岡デスティネーションキャンペーンの総括について伺います。
 本年四月から六月までの三カ月間本県を舞台に十九年ぶりに開催された静岡デスティネーションキャンペーン アッパレ!しずおか元気旅は富士山、パワースポット、歴史文化、風景、アクティビティー、食の六つをテーマに世界遺産富士山の構成資産である富士山本宮浅間大社での特別企画やダイヤモンド富士の眺望を楽しむ限定ツアー、地域の特色を盛り込んだ観光列車の運行など個性豊かなツアーやイベントが県内各地で数多く実施され観光の令和最初のビッグイベントが盛況のうちに閉幕を迎えたと聞いています。県の発表によればキャンペーン期間中の県内観光施設等の入り込み客数は前年度比一一〇%、県内宿泊客数は前年度比一〇七%と期間を通じて好調でした。県内各地でのにぎわいがマスコミなどにも多く取り上げられ一定の成果を上げたのではないかと考えています。
 一方、地域によっては効果が余りなかったという声もあったと聞いています。知名度の高い観光地だけでなく県内全域の観光地に多くの人が足を運ぶようになってこそデスティネーションキャンペーンの本当の成功と言えるのではないでしょうか。
 このキャンペーンを一過性のイベントの成功にとどめるのではなく本県への継続的な誘客を確かなものにしていくためには、キャンペーンでの取り組みを市町や地域の観光事業者等に根づかせ継続していくことが大変重要です。また間近に迫った東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックも見据え、ますます激しくなる地域間の競争に勝ち抜き世界に誇れる観光地となるよう取り組みを進めていくことが必要です。
 そこで伺います。今回のデスティネーションキャンペーンで得た成果及び課題を踏まえ、来年春のアフターDCはもとよりその先をも見据え今後の観光振興にどのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、行財政改革の推進についてのうち、ワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政の推進について伺います。
 県は、昨年三月高度情報化基本計画(ICT戦略二〇一八)・官民データ活用推進計画を策定しました。今後ICTがどんな分野で利活用され、どんな社会変化をもたらすかとの観点からブロックチェーンなどはやりの言葉も使ってまとめられたものですが、県民にとってはそれによってどんな利益がもたらされるのか明確になっていないと感じています。
 ICT化には二つの利点があり、一つはデータの蓄積により新たな知見が得られること、二つ目はICT化により業務の効率化が進むことだと考えます。そのうち一つ目のデータの蓄積による知見の獲得は二つ目のICT化による業務の効率化がなされた後に実現するものと考えています。
 こうした中、国はデジタル手続法において行政のデジタル化に関する基本原則等を定めています。具体的には個々の手続やサービスが一貫してデジタルで完結するデジタルファースト、複数の手続やサービスをワンストップで実現するコネクテッドワンストップ、そして一度提出した情報は二度提出する必要がないという原則ワンスオンリーです。このうちデジタルファーストやコネクテッドワンストップの実現は、各機関同士の情報連携システムなど環境整備が前提でありすぐの実現は難しいと考えます。一方一度提出した情報は二度提出する必要がないというワンスオンリーについては実現するための前提として事務や業務の棚卸しや整理を行うことが必要でありますが、こうした取り組みはシステム開発等を要するわけではなくすぐにでも手をつけることができるものと考えます。また事務や業務の整理によって得られた知見は県の財産としても残るものと考えられます。
 ワンスオンリーが実現すれば行政手続が簡略化されることを通じて県民にとってわかりやすい成果になります。県民に行政の未来像を伝える上でもワンスオンリー原則を意識したデジタル行政を推進することが重要であると考えます。
 そこで伺います。ワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政の推進に向け今後どのように取り組むのか、県の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 木内議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略についてであります。
 本県の美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略は、県議会を初め地方創生県民会議や地域会議などオール静岡で議論を重ねて策定した人口減少対策の羅針盤であります。毎年度PDCAサイクルを回し不断の見直しを図りながら常に戦略の進化を追求し続けております。
 去る八月二十一日に開催いたしました県民会議では施策の効果をはかる重要業績評価指標、いわゆるKPIは約七割が順調に推移しており計画全体としては順調に進捗しているとの御評価をいただきました。一方おくれの見られる分野につきましては、来年一月に開催する県民会議を初め二月県議会定例会などで御議論をいただきながら実効性の高い施策を取りまとめ次期総合戦略に反映してまいります。
 昨年三月に国立社会保障・人口問題研究所が公表いたしました将来推計人口を踏まえ将来人口の展望を示す長期人口ビジョンの改訂も行ってまいります。議員御指摘のとおり長期にわたる出生数の減少、東京一極集中の加速化によりまして人口の将来展望が厳しくなることが見込まれております。こうした中、人口が減少しても快適で安全な社会を創造する、いわゆる適応戦略の重要性がより一層高まっていると考えております。
 このため、生産性や生活の利便性向上が期待される最先端技術の活用、外国人県民を初めとする多様な人材の活躍の促進、関係人口の創出・拡大による地域活力の維持、実践的学問として技芸を磨く実学を推進するなど県、市町間また市町間連携等新たな視点の施策を積極的に盛り込んでいくところであります。県民会議でも経済界の代表の方々から県内企業みずからが外国人県民の日本語教育や働き方改革などの適応戦略を推進すべきであるとの御提案をいただくなど民間主導による取り組みへの機運の高まりを実感したところでございました。
 今後、官民の連携協働による取り組みの相乗効果を高めるべく県を挙げて施策の構築を進めてまいります。
 世界に先駆けて我が国が直面する人口減少・超高齢化の克服に向け、世界共通の目標となるSDGsのフロントランナーとして人口が減少しても快適で安全な社会の創造を目指す人口減少社会への適応戦略にも重点を置いた地方創生を実現するべく全力を傾注してまいります。
 次に、リニア中央新幹線整備への対応についてであります。
 リニア中央新幹線の整備につきましては、利水者を初め流域住民の皆様が大きな不安を感じておられます。そのことから中央新幹線環境保全連絡会議に専門部会を設置いたしました。その筋の専門家から成る科学者の集団であります。彼らを通しまして科学的根拠に基づきJR東海と対話を重ねているところであります。
 引き続きこの専門部会の場で工事中、工事完了後の将来にわたり、全量すなわちトンネルにおいて本県境界内に発生した湧水の全てを大井川水系に戻すことを求め科学的知見に基づく対話を続けてまいります。その結論が県民の皆様の御理解を得られるものとなるまでは協定の締結も工事の着工もできないと考えております。
 工事中のトンネル湧水の全量戻しにつきましては、現在JR東海が工法等を検討されているところであります。新たな工法の提示を待っているというのが現状であります。トンネル工事に伴い流出する湧水の全量を戻すことは事業者であるJR東海の社長が約束されたことであります。それゆえ守っていただく責務がございます。
 地域貢献策についてでありますが、リニア新幹線の整備の法的根拠である全国新幹線鉄道整備法、いわゆる全幹法の第一条におきまして地域の振興に資することとの目的がうたわれております。地域貢献策につきましては事業者であるJR東海から提示されるものと認識しております。
 国の関与につきましては、これまでどおり科学的根拠に基づく対話を見守っていただきまして状況に応じて助言等をお願いできればと考えております。
 ルートに関する御質問でございますが、ルートというのは可変的なものであります。今名古屋から大阪へのルートはまだ定まっておりません。ルートに絶対不変というものはありません。
 さてルート変更につきましては、私はリニア新幹線整備と大井川の水資源や南アルプスの自然環境の保全との両立を図ることが極めて重要であると認識しております。現在両立を図るための対話を続けておりますので働きかけを行う状況にはないと考えております。またこれまで国やJR東海等にルート変更を働きかけたことはありません。
 JR東海から九月六日に提出された中間意見書の回答は、説明に図あるいは表等々が入るなど以前に比べれば格段に理解しやすいものになっております。しかしながら引き続き検討を行うあるいは必要に応じて継続する等々抽象的な表現が多く見られ、さらに対話の内容を深めていく必要があると認識しております。
 大井川の水資源は流域住民の皆様にとって生活や経済活動に欠かせない命の水であります。またユネスコエコパークに登録されている南アルプス、赤石山脈は世界の宝であります。生物と文化の多様性を保存していかねばなりません。この確固たる信念のもとで引き続き粘り強く対話を進め、県民の皆様の不安が払拭されるように全力で取り組んでまいります。
 次に、沼津駅周辺総合整備事業についてであります。
 沼津駅周辺総合整備事業は、駅周辺の交通や市街地の南北分断等の問題を解決し鉄道高架により生じる土地を活用して魅力と活力ある県東部地域の拠点都市を創造する極めて重要な事業であります。一方、新貨物ターミナルが移転する原地区におきましては道の駅構想やまちづくりなど新たな取り組みが期待されており本事業はそのためにも必要なものと考えております。
 しかし私が知事に就任した当時十年前、本事業の反対派も賛成派もお互いに話ができない険悪な状況であり事業が全く動かない、まさにデッドロックの状態でありました。これをいかに打開するか、打開するために私自身両方の立場の方々に集まっていただく場を設けみずからも赴き、公開で対等に平等に意見を交わしお互いの思いを聞いていただくようにいたしました。それ以降も有識者会議による事業の再検証やPI  パブリックインボルブメントなどさまざまな取り組みを粘り強く行いまして私も現場に幾度も赴き反対派の方々と意見を交わしてまいりました。
 そうした中で貨物ではなく待避線であるならば納得するという御意見もいただきまして、みずからJR貨物の会長、社長とも一対一でお会いして新貨物ターミナルのあり方について待避線として御了解をいただくなど十分にこの十年間、時間をかけて地元の皆様や関係者の理解を得るように努めてまいったところでございます。
 こうした中、沼津市におきましては新貨物ターミナルの用地取得につきまして大沼前市長さんが反対派の方々の懐に飛び込み膝を交えて話し合いを行われました。そのスタイルを踏襲した現ョ重市長さんもまた何度も何度も現地へ足を運び市長みずからが丁寧な説明を行ってこられました。その結果、必要となる百七十件の土地のうちこれまでに百六十二件もの所有者の方々から先祖伝来の大切な土地をお譲りいただくことができ、私が就任した当時は六九・四%であった用地取得率が九四・二%にまで大きく進捗いたしました。これまでに土地をお譲りいただきました方々の思いに応えるとともに新たな原地区のまちづくりを進めるためにも新貨物ターミナルの未買収となっている土地の取得が不可欠であります。このようなことから沼津市長の御決断を尊重し九月十八日に市と共同で裁決申請したところであります。
 今後収用委員会の審理が始まりますが、県といたしましては私といたしましても沼津市とともに最後の最後まで任意での用地取得を目指してまいります。また用地の取得が完了した後には速やかに工事着手できるよう関係機関との協議や設計など必要な準備もあわせて進めまして事業の推進に全力で取り組んでまいります。
 次に、県民の生命財産を守る危機管理体制の強化のうち、核燃料税についてであります。
 核燃料税は法定外普通税として昭和五十五年四月に創設し原子力安全対策、生業安定対策、民生安定対策に活用することで原子力発電所周辺地域の安全と振興に大きく寄与してまいりました。現在浜岡原子力発電所は運転を停止しておりますが、県民の皆様の安全・安心と地域振興を図るため環境放射線監視センターの運営や避難路となる幹線道路の整備などの原子力安全対策、温水利用研究センターの運営やため池整備など農林漁業の振興を図る生業安定対策、海岸保全や河川整備などの民生安定対策等々確実に実施していく必要があります。これらの対策の財源の一部に充当するため、核燃料税につきましては今後五年間の財政需要を踏まえまして来年度以降も現行と同様の枠組みにより課税を継続したいと考えております。
 今後納税義務者である中部電力株式会社の御理解をいただいた上で、ことしの十二月議会に条例案を提出できるよう準備を進めてまいります。
 次に、次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、豚コレラ対策についてであります。
 豚コレラにつきましては、国を挙げて感染拡大防止に向けて対策を講じているところであります。しかし九月十三日には関東圏の埼玉県でも発生が確認されるなど歯どめがかかる気配がなく強い危機感を抱いているところであります。
 このような中、貴会派を初め各会派から豚コレラ対策に関する緊急要請をいただきました。養豚農家を初め関係の皆様の抱えられている大きな不安、心配を共有し県内への豚コレラの侵入を全力で阻止するという強い決意のもとで拡大防止対策に取り組んでまいります。
 まずこれまで実施してきた緊急対策の進捗状況でございますが、感染拡大予防対策といたしまして六月から八月にかけて家畜保健衛生所の職員が県内の全ての養豚農場に立ち入り国の指導に沿った消毒方法の徹底を図りました。また野生イノシシ対策として六月に創設した県単独の補助制度を活用しこれまでに十八戸の農家が侵入防止柵を設置しております。さらに七月末からは猟友会の御協力をいただきまして浜松市及び湖西市内で野生イノシシの捕獲強化に取り組み捕獲したイノシシ全頭のウイルス検査を実施いたしました。これまで百六十五頭全てが陰性であることを確認しております。
 この暑いさなか山に入りまして、ブヨ、ダニ、蚊に悩まされ、さらにマムシに出会う危険もある中で猟友会の方たちが大変な御努力をしていただきまして、昨日貴会派の中谷多加二さんの御仲介を得て本県猟友会の金沢会長さん、また西部猟友会の宮崎会長さんほか西部猟友会のリーダー二十四名の方々と意見交換をしさまざまな御要望等についても承ることができました。特に国有林内で捕獲した野生イノシシの処分につきまして御懸念がございまして、現在捕獲個体を持ち出して埋却や焼却をしておりますけれどもこれにつきまして現在猟友会の負担があることがわかりましてその負担をできるだけ軽減できるよう森林管理署や関係市町と調整を始めました。
 それからまた県境にはさまざまなところにわなが仕掛けられております。その旨を記す掲示もございますけれども、そこは危険なところでございますから県民の皆様がそうしたところに立ち入ることがないようにぜひしてほしいという猟友会からの御要望もございましたので、ここでお伝えしておきます。
 次に、野生イノシシへの経口ワクチン散布につきましては、国の散布計画に合わせて県、浜松市、湖西市及び関係団体で構成する静岡県豚コレラ経口ワクチン対策協議会におきまして九月二十五日から佐久間及び水窪地域、十月中旬には湖西、三ヶ日、引佐及び天竜地域で散布することを決定いたしました。散布後はワクチンの効果判定のためイノシシの捕獲とウイルス検査を行います。
 豚へのワクチン接種につきましては、豚コレラの発生地域が関東圏に拡大した状況や本県養豚農家の意向を十二分に踏まえ国に対して適時的確に判断されるように要望してまいります。さらに関東圏での発生を受け、御殿場市、富士宮市、静岡市の三カ所に車両消毒ポイントを新たに設置するとともに東部地域や中部地域におきまして野生イノシシの捕獲とウイルス検査を実施するなど緊急対策を強化してまいります。
 県といたしましては、国、市町、JA、猟友会等の関係団体と密接に連携しながら豚コレラの感染拡大防止対策を迅速かつ着実に実施してまいります。
 なお、その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 本県の魅力を生かした観光交流の促進についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九成功に向けた決意についてお答えをいたします。
 本日いよいよラグビーワールドカップ二〇一九が開幕をいたします。平成二十五年に始まりました招致の段階から数えて実に六年余の歳月をかけて今日に至りました。その間県開催推進委員会の皆様を初め多くの方々に多大なお力添えをいただきました。改めて大会の開催に御尽力いただきました関係の皆様方に感謝を申し上げます。
 県におきましては、今大会の成功に向けまして大きく三つの成果を目指し取り組みを進めてまいりました。
 第一は、平成二十七年四月に組織委員会との間で締結した開催基本契約に基づき県が実施することとされております大会会場の提供や一般観客の輸送などの責務を全うすることであり、それがすなわち最大の目標でございます。このため国際基準に適合したスタジアムの整備、安全かつ円滑な交通輸送の実施、万全な警備体制の確保、魅力あふれるファンゾーンの設置・運営、大会をともに支えるボランティアの配置等の開催準備に全力で取り組み準備が整いました。
 第二は、大会の開催を通じまして本県が誇るさまざまな魅力を国内外に発信し本県の国際的な存在感を一層高めることでございます。このためJR愛野駅からエコパスタジアムに至るラストマイルやファンゾーン等におきまして本県の有する食、文化、観光など豊富で多彩な魅力を発信いたします。また本県が世界レベルのスポーツイベントを開催するにふさわしい洗練された品格のある開催都市であることを国内外に積極的にアピールをしてまいります。
 第三は、このワールドカップを単なるスポーツイベントと捉えずラグビーの持つ教育的、道徳的価値を積極的に学校教育に活用し子供たちの人格形成に生かすことであります。このためワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンやノーサイドなどのラグビー精神を小中学校での教育に生かすための教本を制作して授業に活用する取り組みを進めてまいりました。あわせて県内の小中高校生及び特別支援学校生を対象とした観戦招待も実施をいたします。
 いよいよ来週二十八日から始まるエコパスタジアムでの日本対アイルランド戦を初めとする四試合を目前に控えまさに身の引き締まる思いでございます。本ワールドカップを確実に成功に導き来年の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックへの弾みをつけますとともに、大会全体を通じて世界中から注目される美しいふじのくにとしての存在感の一層の向上を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 知事の政治姿勢についてのうち、税収見通しと来年度に向けた財政運営についてお答えいたします。
 今年度の税収見通しについてでありますが、議員御指摘のとおり本年七月末の県税の調定額は前年同期比九八・一%と前年度を下回っており、七月に実施した企業への聞き取り調査におきましても製造業を中心に企業収益は伸び悩むと見込まれておりますことから、当初予算額の確保は予断を許さない状況にあるものと考えております。今後も米中の貿易摩擦の長期化など海外経済の先行きは不透明感を増すことが予想されますことから、来年度当初予算編成につきましては厳しい環境下での編成になるものと認識しております。
 一方で、議員御指摘のとおり県民の皆様の安全・安心を確保する地震・津波対策や人口減少・超高齢化に適応した持続可能な社会の形成、最先端技術の活用による豊かさを実感できる社会の形成など県政の喫緊の課題に対し的確に対応していかなければなりません。
 県といたしましては、来年度の当初予算編成に向けて限られた財源を有効に活用するため施策の必要性や有効性などを客観的なエビデンスに基づいて徹底的に検証しあれもこれもではなく、あれかこれかの選択に全庁を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、地震財特法の延長についてお答えいたします。
 県では、東海地震説が発表されて以降これまで約四十年にわたり建物の耐震化の促進、防潮堤や津波避難施設の整備など二兆四千億円余の地震・津波対策を実施してまいりました。このうち地震財特法に基づき実施した事業は約四割を占め、本県の地震・津波対策の推進に大きく寄与しております。
 地震財特法は今年度末に期限を迎えますが、緊急輸送路の整備や津波対策など必要な事業が残されておりますことから本県の地震・津波対策を着実に推進する上で地震財特法の延長は大変に重要だと考えております。
 現在県内市町や地震防災対策強化地域の関係七都県と連携を図り関係省庁と調整を進めておりますが、県といたしましては県議会の御支援もいただきながら地震財特法の延長に向けて国に対しなお一層の働きかけを行ってまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 小嶋警察本部長。
       (警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 県民の生命財産を守る危機管理体制の強化についてのうち、捜査支援体制の強化に向けた取り組みについてお答えします。
 初めに、県内における殺人、強盗などの凶悪犯罪の現状でありますが本年は八月末までに百七件を認知し七十八件を検挙、検挙率は七二・九%となっております。凶悪犯罪は県民の体感治安に大きな影響を及ぼすことから引き続き徹底した捜査により被疑者の検挙に努めてまいります。
 次に、本県警察における捜査支援体制につきましては平成二十年刑事部刑事企画課に捜査支援室を設置し携帯電話、パソコン等電子機器のデータ解析を初め防犯カメラ画像の収集・分析、犯罪プロファイリング等の業務を行っております。特に防犯カメラ画像が被疑者の特定や犯行の立証に極めて有効であることから、今年度捜査支援室に防犯カメラ画像の収集・分析などを専門的に行う機動分析係を新設し、本年四月から八月末までおおむね四十件の事件に出動し現場の捜査支援に当たっております。また捜査支援に当たる職員の能力向上を図るため先進的な取り組みを行っている警視庁のSSBCや愛知県警察刑事部情報分析捜査課に職員を出向させております。
 県警察といたしましては、引き続きビッグデータ、AI等を活用して先進的な捜査支援を行っている都道府県警察への職員派遣、研修受講等により捜査員の分析能力向上等を図るとともに捜査支援室の体制の強化も進めてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 子供への支援の充実についてのうち、子供の安全確保対策についてお答えいたします。
 静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションは、他県で発生した子供が巻き込まれる事件事故が県内でも起こり得るという危機感を共有し、これまでの対策を踏まえつつより幅広い視野で考えスピード感を持って取り組むという基本方針のもと策定した県庁版のアクションに市町、民間団体の取り組みを加え取りまとめたものであります。具体的な対策としてスクールバスへの防犯機材の設置、通園路でのポストコーンの整備や路肩のカラー舗装、子供が自分の身を守る体験型防犯講座の拡充、見守り活動を行うボランティアへの防犯ベストの提供などを官民挙げて迅速に実施してまいります。
 これらの対策により従来は被害を想定していなかったスクールバスや通園路等の安全確保、子供自身の防犯力の向上、子供の見守り体制の充実強化が図られるほか県、市町、民間団体がオール静岡で子供の安全確保に取り組む体制が強化されると考えております。
 一方こうした緊急的な取り組みに加え、議員御指摘のとおり危険箇所に対する交通安全施設の整備等恒常的なハード対策につなげていくことが重要であります。このため点検結果等により安全対策が必要と判断された通学路、通園路等における歩道整備や交差点改良などの対策につきましては優先度を上げ計画的かつ着実に整備を進めてまいります。さらに見守り活動を行うボランティアを対象とした講座の開催など継続的に実施すべき対策につきましては、子供の安全確保対策の両輪となるふじのくに防犯まちづくり行動計画及び静岡県交通安全実施計画に組み込み進捗管理を行い実効性あるものにしてまいります。
 県といたしましては、未来を担う子供たちのとうとい命を守るため市町や民間団体と連携しオール静岡で全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 子供への支援の充実についてのうち、子供の貧困対策についてお答えいたします。
 子供たちの未来がその生まれ育った環境によって左右されることなく貧困が世代を超えて連鎖することがないようにしていくことは社会全体の重要な責務であります。
 県では、静岡県子どもの貧困対策計画に基づき教育の支援、生活の支援、保護者の就労支援、経済的支援の四つを施策の柱として子供の貧困対策に取り組んでおり、その進捗状況を静岡県社会福祉審議会の子ども・子育て支援部会に報告し御審議をいただいております。平成三十年度につきましては四項目の数値目標のうち生活保護世帯の子供の高等学校等進学率など三項目が前年度を上回り、参考指標についても増加傾向のものが減少傾向のものを上回っていることから、全体として着実な進捗が見られるが目標達成に向けてさらに改善に努めていく必要があるとの評価をいただきました。
 令和二年度から始まる次期計画の策定に当たりましては、本県の子供、子育て支援の総合的な計画であるふじさんっこ応援プランと一体的に策定することにより包括的かつ早期に対策を講じるとともに現計画の評価を踏まえ、特に親から子への貧困の連鎖を断ち切るための教育の支援や進捗におくれが見られる保護者の就労支援などの取り組みを充実してまいります。また数値目標につきましても本年度実施している子供の生活アンケート調査により子供を取り巻く状況や支援ニーズを把握し国が新たに選定する指標を参考にしつつ適切な指標を設定してまいります。
 県といたしましては、引き続き市町及び関係機関と一丸となって対策に取り組み全ての子供が夢と希望を持って健やかに成長していける社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 子供への支援の充実についてのうち、いじめや不登校への対応についてお答えいたします。
 県内の平成二十九年度のいじめの認知件数は小中学校合わせて約一万件、不登校児童生徒数は約五千人となっており年々増加しております。いじめにつきましては学校現場で初期の疑いの段階から積極的に把握に努め解消に取り組んでいることがうかがわれる一方で、不登校の増加につきましては深刻な状況と受けとめております。
 各学校ではいじめや不登校のサインを敏感に察知するため、教職員が子供と向き合う時間の確保に努めるとともに気持ちを打ち明けることができるよう機密性を担保したアンケート調査や保健室での養護教諭との面談を実施するなど子供に寄り添った対応に努めております。しかしながら不登校の要因や背景は複雑化、多様化しており、また不登校の要因としていじめの割合が低いことを考えますと今まで以上に子供たちが安心して思いを伝えられる多様な相談窓口が重要であると考えております。
 このため、県教育委員会では二十四時間子供SOSダイヤルやいじめ・暴力対策メールに加え、本年度から健康福祉部と連携し年間を通じて長期の休み明け前後や土日祝日にLINEを活用した相談窓口を設置しております。七月末時点で電話相談の年間件数に相当する六百二件の相談があり子供たちにとって身近なLINE相談は大変有効であると考えております。また教職員だけでは十分に対応できない心理や社会福祉といった専門的な立場からスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーがいじめや不登校の防止、解消に大きな力を発揮しており学校現場に不可欠な存在となっております。
 県教育委員会といたしましては、一人でも多くの子供の声に耳を傾けられるようLINE相談など相談窓口の状況等を検証し必要な改善を図るとともに、臨床心理士会と協力して研修等を行いスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの確保充実を図り多様な課題を抱える子供一人一人に寄り添った組織的な支援に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 次世代産業の創出と競争力の強化についてのうち、MaOIプロジェクトの推進についてお答えをいたします。
 駿河湾を初めとする豊かな海洋資源に恵まれた本県は水産、食品、医薬品等多彩な産業が集積し最新のマリンバイオテクノロジーを活用した研究開発と産業応用に大きな可能性を有しております。こうした高いポテンシャルを生かしMaOIプロジェクトの成果を着実かつ早期に県内産業に結びつけていくためには、産学官の緊密なネットワークの構築と先端的な研究開発から事業化に至る一貫した支援体制の整備が必要であると考えております。
 このため、県ではまず緊密なネットワークの構築に向けてこの七月に設立した一般財団法人マリンオープンイノベーション機構、通称MaOI機構が中心となり産学官金のネットワーク組織MaOIフォーラムを十月に立ち上げます。広く国内外の研究者や企業の交流の場を創出するとともにオープンイノベーションのもと専門のコーディネーターを配置して研究成果の橋渡しやビジネスマッチングなどを積極的に展開してまいります。また特にAOIプロジェクトやフーズ・サイエンスヒルズ、ファルマバレーなどの親和性の高いプロジェクトとの連携を強め異分野の融合領域での新結合を促進してまいります。
 事業化までの一貫した支援体制につきましては、水産業を初めとする産業界が抱える喫緊の課題に対しまして大学や研究機関等の高度な知見や最新設備のリソースを生かして課題解決に向けたシーズの創出や事業化を目的とした企業とのコンソーシアムの形成を推進してまいります。具体的には今年度から大学や企業などと連携して稚魚の生育管理が極めて難しいキンメダイの飼育技術や海洋微生物を活用したサプリメントの開発、さらに海洋環境保全のために駿河湾を実証フィールドとした海洋生分解性プラスチックの研究などを進めてまいります。
 加えて現在AI、IoT等の著しい進展を背景といたしましてデータが産業発展の重要な鍵を握る時代となりつつあるため、県では新たな海洋微生物資源のライブラリーとともに過去から蓄積されてきた駿河湾の海況データなどのデータプラットホームの構築を進めてまいります。世界からのアクセスを可能とする環境整備を図り知の拠点としての集積を図ることでMaOIプロジェクトを戦略的に推進し県内産業への早期の効果発現に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 本県の魅力を生かした観光交流の促進についてのうち、静岡デスティネーションキャンペーンの総括についてお答えいたします。
 十九年振りの本県開催となった今回のデスティネーションキャンペーンでは、従来のイベントを中心とした一過性のキャンペーンではなく地域における継続的な誘客の仕組みづくりを目指して市町、観光協会、交通事業者等が連携して地域の観光資源の発掘、磨き上げや誘客活動に全県を挙げて取り組んでまいりました。キャンペーン期間中には各地域のDMOが中心となって風景や神社仏閣、食など魅力ある地域の観光資源を生かした商品企画を旅行会社に提案し多くの旅行商品として販売され好評を得たところであります。また本県を訪れた観光客の方々を対象に実施したアンケートでは九四%の方から満足との高い評価をいただくこともでき、本県の魅力を十分堪能していただけたと実感しております。
 一方で、旅行会社からは本県の観光地としてのポテンシャルは高く評価されたものの、観光客の行動パターンの分析に基づく商品づくりや効果的なプロモーションの必要性、宿泊施設との連携強化による滞在を促す企画の充実等について御意見をいただいたところであります。
 県といたしましては、来年春のアフターDCやその先を見据え地域が発案する旅行商品づくりの取り組みを全県を通して推進するとともに、各地域のDMOや宿泊施設等の観光事業者、商工業者などと連携して滞在型の旅行商品の充実にも努めてまいります。また観光事業者や交通事業者などが個々に把握している旅行者データを一元的に集約する観光プラットホームを構築し、その分析結果を事業者や自治体等にフィードバックすることにより旅行者ニーズに即した旅行商品の開発や情報発信につなげるなど効果的な誘客活動に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木経営管理部長。
       (経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 行財政改革の推進についてお答えいたします。
 ワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政の推進についてでありますが、本県では平成三十年三月に策定いたしました高度情報化基本計画におきまして、ワンスオンリーの考え方を踏まえデジタル県庁、デジタル行政の推進を基本施策に掲げ生産性の向上に取り組んでおります。
 ワンスオンリーという考え方は県民負担の軽減が図られる大変重要なものであり、本県では県有施設の利用を予約するシステムにおきまして登録した利用者情報を二度目以降も利用できる仕組みなどを導入しているところであります。
 一方ワンスオンリーの取り組みを幅広く進めていくためには各部局が行っている申請事務等の実情を把握し事務手続の整理、見直しを行い、守秘義務や個人情報の保護にも十分配慮した上で情報の管理や利用方法のルールづくりを行う必要があります。このため各種手続における提出書類の実態調査を行うとともに、電子申請システムの利用方法を工夫するなど県民の皆様にとって便利で負担の少ない手続の拡大を図りワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政を推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 十五番 木内 満君。
       (十五番 木内 満君登壇)
○十五番(木内 満君) それでは要望を五点と再質問を二点お願いをいたします。
 まず、税収見通しと来年度に向けた財政運営について要望を申し上げます。
 先ほど御答弁の中でもあれもこれもではなく、あれかこれかというような姿勢で取り組んでいくということがございました。とにかく地味でもですね県民のニーズが高いもの、目立たない地道なものが取りこぼされることがないようにしっかりと、また議会ともコミュニケーションをよくとっていただいて来年度の予算編成をこれからまた進めていっていただきたいという点、改めて強調させていただきたいと思っています。
 次に、地震財特法への対応についてですが、地震財特法に関しては静岡県そもそもが東海地震説に基づく大震法から始まったものであり静岡県が強化地域八都県の中でも幹事県としての役割を担っていると承知をしています。本件に関しては静岡県がリーダーシップをとって進めていく責任がある大変重要な事業だと思っておりますので、県としてしっかりとリーダーシップをとって地震財特法の延長についてまた活動していっていただきたいということを改めて申し上げます。
 いじめ、不登校への対応についてですが、特に不登校については私も実は小学生のとき不登校の経験が若干ございますが、不登校になるというのは学校に対する拒否感です。その拒否感を持っている学校に対して拒否している理由を素直に言えるかと言えばそもそも拒否感があるわけですから、信用していないわけですからそこについて児童や生徒から率直な声は学校が窓口である限りはっきりと届かないということを自覚した上で各種の施策を行っていただきたいと思っています。国でも不登校のゴールは学校に戻すことではないというような大きな方針転換が図られていると聞いています。そのあたりも含めて不登校児で学校に来ないからといって我々大人がその子たちに教育を施さなくていいということではないと、そういう子たちこそしっかりと教育を施す必要があるという前提に立って改めて全般的な考え方をもう一度見直していただけたらなと思っています。
 MaOIプロジェクトについて御要望申し上げます。
 静岡県は海洋資源が豊富ではございますが、バイオテクノロジーがそもそも盛んな地域かといえばそのような認識は持ってございません。ファルマバレー等に、そもそも生産額が高い事業をさらに加速させていくというようなものと違ってマリンバイオテクノロジーについては大分先を見据えた事業でありますが、その中で計画に明記しているように短期的には水産と食品の分野について結果を出していくということが明記をされております。マリンバイオテクノロジーが言葉だけのものや余りに遠くを見据えたものばかりになるのではなく、しっかりと水産や食品といった分野にまずは少しバイオテクノロジーの要素を足して明確に結果が出るというような成果を積み重ねていただくような地に足のついた取り組みをお願いしたいと思っています。
 ワンスオンリー原則を取り入れたデジタル行政の推進ということについてはICT戦略二〇一八の中でとありましたが、さほどワンスオンリーが明確にコアとして盛り込まれていたようには私は読み取れませんでしたので今回このような質問にさせていただきました。デジタルファーストやデジタルコネクテッドといった分野、遠い目標ですけれどもワンスオンリーの取り組みは決して無駄にはならないので外部から情報人材を取り入れるといったものよりか、まずは県庁職員の一番得意とする分野であると思う確実な事務の分野において少しでも将来に向けた取り組みを進めていっていただきたいと思っています。
 それでは二点再質問をさせていただきます。
 リニア中央新幹線の対応についてです。知事からまずは環境保全や水質の水量の確保といったものと両立を目指すという観点から迂回や遠回りというルート変更については求めていかないと、現状ではいかないということをはっきり御答弁をいただきましたが、であれば知事広聴や記者会見の場で迂回や遠回りという表現を使った発言の意図についてどういう意図があったのかお伺いしたいと思っています。
 またJR東海から地域貢献策は示されるものと認識がありました。前後の文脈も整理をすると地域貢献策についてはもちろんですけれども水量減少や環境保全とは全く別のものとしてJR東海から示されるものというようなことかと思いますが、どういったものを地域貢献策として想定して示されるものとおっしゃっているのかお答えいただきたいと思います。
 豚コレラ対策につきまして、ワクチン接種については適時適切な対応を国に求めていくというようなお答えでしたがワクチン接種については大変今、国でも報道される中身を見るとやはり地域を特定してワクチンを接種するというような方向で進んでいるのではないかというような雰囲気の報道がなされておりますが、質問でも書いたとおり地域を特定して特定した地域から地域外への出荷制限がかけられるということであると相当に大きなダメージが恐らくワクチン接種県になるであろう静岡県についても想定がされます。そういったダメージを最小限にする努力としてどのように取り組んでいただけるのか県の姿勢について伺います。以上、再質問とさせていただきます。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線整備への対応についての再質問にお答えいたします。
 まず一番目に迂回とか遠回りという発言の趣旨ということでございますが、知事はそれとあわせて急がば回れというような言葉も使っている場合があろうかと思います。これは今やることをしっかりとやれば道が開けてくるというような意味でお使いになっているものだと考えております。
 それからもう一つ地域振興策につきましてでございますが、内容はどのようなものかという御質問でございますがリニア新幹線、静岡県内で通るところはエコパークたる南アルプスでございます。この南アルプスの振興に資するようなもの、そんなものが一つの候補になるのではないかというふうに思っております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) 豚コレラ対策の再質問についてお答えいたします。
 ダメージを最小限にする努力、どのようにという御質問でございました。まずこのワクチンの接種に関しましては、議員御指摘のとおりワクチンの接種によって豚コレラの蔓延を防ぐということはできますけれども、一方でワクチンを接種することによりましてその野外で感染した豚とワクチンを接種した豚の区別というのがつかないというそういうデメリットもございます。そういうものがございまして先ほどお話がありましたように、流通の制限をかけるとかそういったことを考えなければいけないということでこれまで国も検討しているところでございます。
 やはり本県でも豚肉として出荷している養豚農家もございますし子豚を全国に出荷しているそういった農家もございます。そうしたことから、やはりそういった全国に出荷している方々は流通の制限というところに逆に不利益を得るところもございますので、そういった意味では国に対しましてそういったことを配慮していただいてより広域的な観点で検討いただければと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 十五番 木内 満君。
       (十五番 木内 満君登壇)
○十五番(木内 満君) リニア中央新幹線への対応につきましては我々議会も大変に憂慮している問題です。もちろん水量減少や環境保全といったものは絶対に対応していかなければいけないところでございますが、議会と県当局一体となって対応をしていく上でたとえそれがゆっくりやりなさいよという意味であったとしても誤解を招くような表現については知事初め県当局の皆様には厳に慎んでいただきたいということを改めて申し上げたいと思っています。
 豚コレラ対策につきましては、とにかく風評被害も懸念されます。明治に豚コレラが我が国に来てからそれから全農場、日本全国ワクチンを打って撲滅をしてきた経緯もあります。その間ワクチンを打った豚肉を我々はずっと口にしてきましたのでそうした風評被害がないと、安全であるということもしっかり県からこれから始まった場合には広報もしていただくなども考えていただきたいですし、先ほどおっしゃっていた自然に接触して抗体を獲得したのかワクチンによって抗体を獲得したのかわからないという問題があるということについてもマーカーワクチン等の対応でも対応可能だと思いますし、とにかく出荷制限に関しては確実なダメージが養豚家には生じますのでそういったところを避けられるよう全力を尽くして対応していただきたいと思っています。以上です。
○議長(鈴木利幸君) これで、木内満君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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