• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤曲 敬宏 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 伊豆湘南道路の実現に向けた県の取り組みについて         
2 効果的な観光情報の発信、収集のあり方について
3 少子化対策について                       
(1) 男性職員の育児休業                       
(2) 中高校生と乳幼児との触れ合い体験                
(3) 在宅育児支援                          
4 きめ細かな特別支援教育の実現について


○議長(鈴木利幸君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第五十号まで、第五十二号から第六十六号まで及び第六十八号から第七十四号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十七番 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇 拍手)
○十七番(藤曲敬宏君) 皆さん、おはようございます。冒頭質問に入る前に一言述べさせていただきます。
 新型コロナウイルスの国内居住者の感染が国内最多の七十七人に上っている北海道の鈴木直道知事は、二月二十八日緊急事態宣言を発表し健康、命を守ることは何事にもかえがたい、多くの皆様方に御協力いただきたいと述べ週末の外出自粛を訴えました。緊迫した状況の中、道民の命を最優先に考え的確かつ迅速な判断をもって陣頭指揮に当たる姿は知事としての資質を大いに感じられ道民にとっては大変頼もしく映ったのではないでしょうか。
 一方、静岡県においてはどうでしょうか。知事はごろつき発言をめぐる問題で二月議会の自民改革会議の野崎政調会長による代表質問にみずからの発言に対する真意を問われ、議場においてごめんなさいと発言を撤回、謝罪しました。このニュースはその日のうちに静岡県内だけではなく全国に流れました。この差に愕然としました。
 国難と言われる新型コロナ対策で全国の首長が、議会がそれぞれ感染拡大防止、産業界へのセーフティーネット対策など全身全霊で事に当たっているまさにそのときにこのような低レベルのことを論議しなければいけないことに怒りを感じるとともに川勝平太知事には今回の発言に対するみずからの責任をしっかりとっていただき、そして二度とこのような見苦しく、くだらない論議を神聖な議場に持ち込まないでいただきたいと申し上げて分割質問方式において私の質問に入ります。
 まず最初に、伊豆湘南道路の実現に向けた県の取り組みについてお聞きします。
 現在、静岡県の東部・伊豆地域と神奈川県西部の沿岸部を結ぶ幹線道路は箱根峠を越える国道一号と相模灘の海岸線を走る国道百三十五号があります。このうち国道一号は箱根エリアで観光シーズンの渋滞や冬場には降雪による交通規制がたびたび実施されるなど極めて厳しい道路環境だと言えます。同時に国道百三十五号も海岸線の崖沿いを縫うように走る箇所が多く自然災害発生時には土砂崩れや津波による被害が危惧されている上に毎週末はもちろんのこと海水浴シーズンや河津の桜まつりの開催時期には特に著しい渋滞が発生しており、新たな幹線道路ネットワークの充実を求める声は以前から上がっておりました。
 伊豆湘南道路構想は、函南から熱海市を経由し神奈川県西部に至る路線であり実現すれば伊豆縦貫自動車道と湘南地方を結び、観光はもちろんですが本県の産業や経済などに大きな効果をもたらします。この道路については国による昭和三十年代後半の小田原と沼津を結ぶ構想から始まり、平成十年には熱海市を中心とし両県をまたぎ四市四町からなる建設促進期成同盟会が新たに設立され実現に向けた要望活動を継続して進めてまいりました。
 静岡県では、期成同盟会の設立を契機として県単独事業により構想の実現に向け調査を進めてきたと承知しておりますがいまだに事業化には至っておりません。構想から五十年間実現への道のりは大変厳しく一向に見向きもされることなく、国への要望活動では必要性を訴えても伊豆湘南道路という名前さえ知らない国交省の幹部もおり失望したことは一度や二度ではありませんでした。
 しかし、一昨年の台風十二号の被害で事態は一転しました。この台風は東から西に進む特異なコースをとり伊豆半島東海岸から神奈川県西部地方にかけ大きな被害をもたらし、特に小田原市の国道百三十五号線上では救急車が高波にさらわれかけたり熱海市内においても有料道路ビーチラインが大きく波にえぐられ通行不能となり長期間にわたり交通機能が麻痺しました。
 こうした事態を受け、静岡、神奈川両県も伊豆湘南道路の必要性について改めて認識を一致させ、昨年からオブザーバーとして期成同盟会に加わり関係市町などとともに国への要望活動を繰り返し行うなど強力な支援体制も整ってまいりました。本構想実現への機運が高まった今こそ事業化へ前進させる好機であり、静岡県もこれまで以上に実現に向けた検討を加速すべきであると考えます。
 そこで、伊豆湘南道路の実現に向けた県の取り組みについて伺います。
 次に、効果的な観光情報の発信、収集のあり方について伺います。
 ここ数年間で旅のスタイルは大きく変わってきました。旅行の形態が団体旅行から個人、グループ旅行に転じる中、これまで旅行情報を調べる場合旅行雑誌、テレビの旅番組、旅行代理店に頼るしかありませんでしたが今やデジタル媒体が圧倒的な情報源になっており、テレビの旅番組を見て気に入った観光地をその場でスマートフォンで検索したりSNSから情報を収集して旅行目的地を決定し宿泊施設や交通チケットをオンラインで予約し観光を楽しむことが当たり前となっています。今や観光情報の発信に当たり旅行者に対し本県を認知させ来訪を促進させるためにはデジタル媒体の活用は不可欠であり、インバウンドや若者に効果的な動画の活用を積極的に考えていかなければなりません。
 さらに、私はICTを活用した観光戦略において観光情報の発信だけでは十分ではないと思っております。誘客を進める地域の観光事業者にとっては旅行者の動的情報は宝の山です。本県も日本を代表する観光立県として宿泊産業はもちろん一次、二次交通網が広範囲に整備されておりそこからさまざまな情報が収集可能です。デジタル技術の強みである来訪者のビッグデータを収集しさらに分析することこそが今後の観光戦略では重要であり、こうしたデータを地域に還元することにより来てほしいターゲットに絞ったアプローチやリピーター獲得へとつながっていくと考えております。
 しかし、デジタル一辺倒が万能と申し上げるつもりはありません。本県が観光地域としてさらに高めていくためには旅行会社やメディアとの意思疎通、関係構築が大事であり、リピーターにとっては満足度の高い観光地となるためにもビー・ツー・ビー向けにはリアル空間のマーケティングも重要となります。本県の魅力を発信するためにはデジタル空間、リアル空間を意識しながら適時適切に発信していくことが大変重要と考えます。
 平成三十年度の静岡県における観光の流動実態と満足度調査によれば、「観光地の魅力や特徴」「観光地の自然・景観」については高い満足度であったのに対し「旅行前の観光情報の収集のしやすさ」「滞在中の観光情報・案内」については評価が低く「旅行全体の満足度」を下げており、情報発信を適切に行うことが急務であります。
 そこで、本県の効果的な観光情報の発信と収集、活用についてどのように取り組んでいくのかお伺いします。以上、答弁を求めます
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 藤曲議員にお答えいたします。
 伊豆湘南道路の実現に向けた県の取り組みについてであります。
 熱海から小田原に至る神奈川県との県境は、山が海岸まで迫る急峻な地形のため古来から交通の難所でありました。江戸時代小田原方面から湯治客でにぎわう熱海へはかごがようやく通れる熱海街道が唯一の道でありました。しかし地域の方々の御努力により明治十四年に人力車が通行できる道路として整備されました。昭和の時代に入り自動車が交通の主役となって昔の熱海街道は国道百三十五号、熱海ビーチライン、真鶴道路となり、現在も伊豆の経済活動や産業振興に対し大きな役割を担っております。
 これらの道路は雄大な相模湾を眺望しながら快適なドライブを楽しめるものの海岸に直接面している区間が多く高潮などの影響を受けやすい道路であります。一昨年の台風十二号では路肩の決壊などによる通行どめが二十七日間という長期にわたり社会活動への影響が大きかったことから、安全・安心な道路の建設が必要であることを改めて認識したところであります。
 現在構想段階であります伊豆湘南道路は、災害に強く十分な安全性を確保するとともに新東名、東名、伊豆縦貫自動車道と広域道路ネットワークを形成し首都圏からの観光交流の拡大や地域経済の活性化に必要な道路であります。
 このため、県では国への要望活動を積極的に実施するとともに近年の台風被害などを契機に平成三十一年一月静岡、神奈川両県が主体となり勉強会を立ち上げました。この勉強会では観光、防災、物流、安全・安心の四つの視点から本道路の必要性を取りまとめ、その成果を活用して建設の実現に向けて国に要請をしてまいりました。さらに来年度からは両県が協力して本格的にルートの検討を行うことを取り決め、国に対しましてそれぞれが調査費用を要望しております。
 県といたしましては、引き続き皆様の御協力を賜りながら伊豆湘南道路の早期実現に向けた取り組みを強力に進め、世界ジオパークに指定された美しい海岸線を有する伊豆半島が利便性が高く魅力あふれる地域となるように努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 効果的な観光情報の発信、収集のあり方についてお答えをいたします。
 最近の旅行では、モバイル端末等を活用してインターネットやSNSから観光情報を収集することが一般的となっております。このため県ではこうしたデジタル化の流れに対応して観光デジタル情報プラットホームの構築を進めてまいります。これは議員御指摘のように宝の山と言える旅行者の動的情報を収集しそれを分析し旅行者が閲覧したくなる情報を提案、提供できるようにするためのプラットホームです。
 具体的には、一つはいわゆるビッグデータ解析です。観光に関する情報はばらばらに多数存在します。それらをできる限り情報プラットホームに集めビッグデータ解析で旅行者の動向や関心を分析をします。旅行者の移動経路や立ち寄り先等のデータの分析結果を観光事業者等に対しまして提供することで新たな旅のプラン、メニューの提案や体験プログラムの充実、より効果的な観光情報の発信につなげてまいります。
 もう一つは、個別情報の利活用です。
 旅行者のホームページへのアクセス情報や位置情報などを分析をした上で、個々の旅行者に最適な情報をタイムリーに提案する機能を備えてまいります。
 県は、来年度の運用開始に向けシステム開発に着手するとともに県内の市町や観光協会、DMO、観光事業者等さまざまな方に参画いただく運営協議会を立ち上げ旅行者や観光事業者等が活用できる情報をプラットホームに集約する体制を構築してまいります。
 また、デジタルデータの分析結果は来年度県観光協会内に配置する旅行の企画に精通した専門人材による地域の旅のプラン、メニューの企画提案、商品づくり、その販売という活動に活用してまいりますとともにメディア等の本県へのファムトリップの促進などによりリアルで魅力を体験してもらうと、こういう取り組みによりまして本県の魅力の発信につなげ効果的な誘客に結びつけてまいります。
 県といたしましては、観光デジタル情報プラットホームを最大限駆使してデータを活用したマーケティングを実践し国内外からの誘客に確実に結びつけることで観光を通じた地域経済の持続的な発展につなげてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇)
○十七番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、それぞれについて再質問をさせていただきます。
 まず、伊豆湘南道路の実現に向けた県の取り組みについて伺います。再質問します。
 この事業ですね、先ほどありましたように本県と神奈川県両県をまたぐ高規格道路構想であって神奈川県との緊密な連携なくしては実現できないというふうに考えております。この間、両県の道路局の調整、支援をもちろんいただいてきました。そういう中でまたさらに伊豆担当副知事でありました土屋副知事と神奈川県の浅羽副知事が後方支援に回って国交省にそれぞれまた陳情に行っていただいたりというようなこともあってここまできました。今後も両県の連携がさらに重要になってくると思うんですけれどもそのところどのように進めていくのか、今お答えがその部分はなかったのでもう少し詳しくお聞かせください。
 それからもう一つ、次ですね。効果的な観光情報の発信、収集のあり方についてお伺いします。
 今デジタルを活用した観光情報の発信、収集についてお話がありましたけれどもプラットホームをつくっていくということですけれども、本来ならば昨年がラグビーのワールドカップがあってそしてことしがオリンピックがあるということで最高のですね、このチャンス、発信、収集のチャンスであったと。それに間に合う形で本当ならばこのプラットホームづくりができればよかったんですけれども今できていないと。若干ほかの県に比べて静岡県この部分においてはおくれているのかなというふうに思います。今から追いついていく、また進めていくためには観光情報の発信と収集、この活用のベースとなるために観光情報のプラットホーム構築を急がなければならないというふうに思います。そのためには地域連携DMOとの連携が重要であるかなというふうに思います。
 今簡単にDMOの話が出ていましたけれども、具体的に静岡ツーリズムビューローであるとか浜松・浜名湖ツーリズムビューロー、また美しい伊豆創造センターを含めて地域のちょっと広範囲の地域連携型のですね、このDMOここが司令塔になっていく、また連携の拠点になっていく、そういったことがないとこのプラットホームづくりは進んでいかないというふうに思っています。その辺のところ役割をしっかり果たしてくれているのか、またどのようにこのDMOが果たしてくれるのか、その辺について二点再質問させていただきます。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 伊豆湘南の神奈川県との連携についての再質問についてお答えいたします。
 現在、神奈川県との調整に当たりましては担当者レベルで構成いたします神奈川静岡県境道路に関する勉強会、この中で調整を行っております。いよいよ具体的なルートの検討になってまいります。この勉強会を次のステップとして局長、課長レベルの伊豆湘南に関する協議会という形に格上げをしましてある程度決定権、決定できるような組織として連携を強化した上でいよいよ来年度から両県で一体となって調査を実施してまいります。さらにはそこの調査で出てきた具体的な話を要望活動に利用するなどして実現に向けた取り組みを強化していきたい、このように考えている次第でございます。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 効果的な観光情報の発信、収集のあり方についての再質問にお答えいたします。
 この観光のデジタル情報プラットホームなんですけれども、旅行者のこの情報を分析してその結果を最適な商品企画とか情報発信につなげていくという目的なんですが、地域のDMOがそういった商品企画とかその販売、また情報発信の中心的な役割を果たすものだと思っております。そういった意味でもこのプラットホームの開発から運営にかけましてですね、しっかりと協力体制は築いてまいります。
 また、この新しいその取り組み、企画、商品企画の取り組みですので地域のDMOと一緒に取り組んでいく中でDMOの機能の強化にもつなげてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇)
○十七番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を一点させていただきます。
 今ですね、両県が連携をしっかりととってやっていくということで力強い、そこにまた国が入っていただいて将来的には国の直轄事業等も視野に入れてしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 そういう中で、やはり民間の力、官民の一体化が必要ではないかなというふうに思っていますのでぜひこれまでも期成同盟会にそれぞれの商工会議所等が入っていますけれども、さらにそこの機運醸成というんですか民間からのさまざまな声をもっと上げていくためにも平成二十八年にスタートした県境を越えた両地域の観光振興政策に取り組む神奈川静岡県境地方創生連絡会というのも民間また行政入ってつくっていますのでぜひその辺とも連携をとりながらですね、進めていただきたいと要望申し上げまして次の質問に移ります。
 少子化対策についてお伺いいたします。
 少子化対策は長期ビジョンに立ち部署横断的かつ広範囲な取り組みが求められているもので、二年連続で合計特殊出生率が下がっている静岡県にとっては新年度はまさに正念場と言えます。今年度に引き続き新年度一億円の予算を計上して進めようとしているふじのくに少子化突破展開事業費助成は国や地域が進める優良事例や先駆的事業にも取り組もうとする市町を応援する横展開支援事業であり市町から継続を求める声が大きかった事業です。
 そこで、次に挙げる全国の少子化対策の優良事業として挙げられている事例について、県の知見をお聞かせいただきたいと思います。
 まず、男性職員の育児休業について伺います。
 タイムリーな話題として、つい先日小泉進次郎環境大臣が自身の第一子誕生に合わせて出産から三カ月の間、通算二週間育児のため育児休暇取得の意思を表明しました。自分が育休を取得することで世論に対し機運を高める目的とのことです。これに対してインターネット上では賛否両論が出ていますが、政府も日本全体の育児休業等の取得率向上を図るため国家公務員の男性職員による育児休業等の取得に率先して取り組んでいく方針を示しています。当然地方自治体においても男性職員が率先して育児に参加できる職場環境づくりや職員の意識改革が大変重要だと思います。昨年十二月に総務省が公表した調査結果によると、男性の育児休業取得率は国家公務員が一二・四%、民間が六・一六%、地方公務員は五・六%と低調な取得率となっています。
 そこで、静岡県庁における男性職員の育児休業取得の実態と取得率向上に向けた取り組みについて少子化対策という視点からお答えください。
 次に、中高校生と乳幼児との触れ合い体験について伺います。
 中高生と乳幼児との触れ合い体験は学習指導要領にも記載されており、本県でも幾つかの取り組みがされていると聞いています。現代の中学生や高校生は少子化や核家族化が進行することにより自分とは異なる世代と接する機会が少なくなる傾向にあります。そのため乳幼児触れ合い体験は小さい子供と触れ合う体験を通じて命の大切さを考える機会になるなど多くの意義があります。
 一方、少子化対策の視点から見た場合、生徒一人一人の人格形成をする時期にこのような貴重な経験ができることは家庭を築くことの大切さを理解する上でも大変大きな意味を持つものと捉えます。
 国立青少年教育振興機構青少年センターの調査では、実際に赤ちゃんや小さい子供と触れ合う機会が多かった人はそうでない人に比べ結婚意欲が高く希望する子供の数が多いと報告されています。またこうした取り組みは本県だけではなく愛媛県や石川県など多くの地域で行われており、参加した生徒からは、自分が親になるなんて想像できなかったけれど、きょうあの場にいたママのように立派な親になりたいと思った、赤ちゃんがいるだけでみんなが温かい気持ちになれるんだということを感じた、大変になっているはずなのにお母さんが輝いて見えたなどの感想があったそうです。このように乳幼児触れ合い体験の場を少子化対策につなげていくという視点も大切だと考えます。
 そこでお伺いいたします。静岡県における乳幼児触れ合い体験の取り組み状況と少子化対策の側面も含めた乳幼児触れ合い体験の意義について、教育委員会の見解をお聞かせください。
 次に、在宅育児支援について伺います。
 二〇一九年十月から幼児教育無償化がスタートしました。政府が全世代型社会保障と銘打つ少子化対策、子育て支援策の目玉政策です。これにより認可保育園や認定こども園など保育料を市区町村が決めている認可施設では三歳以上児の保育料が無料になり子育て家庭の家計が助かっていることは間違いありません。しかし現状では今後保育ニーズがふえ、かえって待機児童問題が深刻化するのではないかという声も上がっています。
 二〇一九年四月の国の待機児童数は一万六千七百七十二人となり二年連続で減少したと発表されています。ところが認可保育園、認定こども園、小規模保育など認可の保育に申し込んで実際に認可外保育施設で待機している家庭、遠くの施設を勧められて断った家庭など除外されている数字を含めると全国で十万人に上ります。
 そんな中、注目すべきは子育て先進県として少子化対策に取り組む鳥取県です。平成二十六年三月に子育て王国とっとり条例を制定し行政、企業、県民、子育て支援団体が一体となって安心して子育てできる環境づくりに取り組んでいます。その結果二〇〇八年に一・四三、全国十七位だった合計特殊出生率を二〇一七年には一・六六、全国七位まで回復させるなど結果に反映させる政策に取り組んでいます。
 中でも、鳥取県の新たなる取り組みとして注目するのが保育園の無償化など子供を通園させる世帯への支援だけではなく、在宅育児世帯への援助も必要ではないかという意見が浮上して実現した在宅育児支援策です。保育士や保健師など関係者にヒアリングを行い、経済的に余裕が出て子育てに専念できる、親の精神的なゆとりが子育てに好影響など肯定的な意見が続出。県のアンケートでも約七割が在宅育児への経済的支援を行うべきと答えたそうです。
 この制度は、対象は一歳までで市町村が地域の実情を勘案して現金給付や一時預かりサービスの補助、子育てクーポンなど現物給付の手法を選択、現金給付の場合は児童一人当たり給付は月額四千円から三万三千円とし、県内では既に十六市町村が在宅育児世帯に現金給付等の支援を行っています。事業化した結果保育所、幼稚園への低月齢児の入所率が低下し、また近隣から移住増などの効果を発揮しているといいます。
 先進的に取り組んできた鳥取県の在宅育児支援についてその成果と課題を研究し本県の少子化対策の施策の参考にすべきと考えますが、県の見解をお聞かせください。
 次に、きめ細かな特別支援教育の実現についてお伺いします。
 近年、特別支援学級に在籍する児童生徒が増加しており十年前の二倍以上となっていますが、個々に障害の種類や程度が異なるためそれぞれの生徒に合わせた生活指導や学習指導の対応が追いつかなくなっていると聞いています。特別支援学級においての指導は通常の学級に比べより専門的な知識と経験が必要となります。そのため担任は特別支援学校の免許を持つことが理想であると考えますが、現状では小学校または中学校の免許保持者が指導を行っているケースがほとんどです。
 今後、よりきめ細やかな指導のため担任のスキルアップのため特別支援学校における研修等が必要であると考えますが、教育委員会の所見をお聞かせください。
 また、学級編制の基準について現在は特別支援学級では八人で一学級に対し特別支援学校では単一障害であれば六人で一学級、重複障害であれば三人で一学級であります。既に平成二十一年度から静岡式三十五人学級編制を進める静岡県教育委員会としては通常の学級だけではなく特別支援学級においてもきめ細やかな教育を目指すことは当然の方向でもあります。将来的には特別支援学級においても最低でも六人で一学級という特別支援学校同様の学級編制として教員で対応することを必要と考えますが、教育委員会の所見をお聞かせください。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木経営管理部長。
○経営管理部長(鈴木宙志君) 少子化対策についてのうち、男性職員の育児休業についてお答えいたします。
 本県における男性職員の育児休業取得率の平成三十年度実績は、県庁全体では三・六%であります。そのうち知事部局につきましては一七・一%となっております。
 男性職員の育児休業取得率の向上につきましては、子育ての時期に応じて利用できる休暇制度等の紹介や育児休業の具体的な活用事例の提示のほか、子供の出生を間近に控えた男性職員とその所属の人事管理担当者等に対し育児休業等の取得を直接働きかけるなど男性職員が積極的に育児休業等を取得し充実した子育てが行えるよう意識醸成に取り組んでおります。
 また、二十八歳の若手職員を対象に次世代育成支援研修を実施し、県庁内の一時預かり施設での保育実習等を通じて職員が子育てに対する理解を深め少子化について積極的に考えるための取り組みを進めております。
 今後は、管理職員による子供が生まれた男性職員の休暇休業取得計画の作成、取得促進に資する管理職員の人事評価への反映など新たな取り組みを推進し、子供が生まれた職員が性別にかかわらず子育てを担い誰もが仕事と子育てを両立しながら能力を発揮できる働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 少子化対策についてのうち、中高校生と乳幼児との触れ合い体験についてお答えいたします。
 多感な中高校生の時期に乳幼児との触れ合いを体験することは、生命のとうとさや他者に対する思いやり、親や家族の大切さなどを理解することにつながるものでありますことから大部分の学校において乳幼児との触れ合い体験を実施しております。
 中学校におきましては、可能な限り乳幼児と触れ合えるよう家庭科の授業等において地域の幼稚園や保育所、こども園を訪問したり乳幼児を学校に招いたりする機会を設けております。また県立高校におきましては、平成十一年度以降保育体験実習の一環として主として一年次に保育所やこども園等に出向き子供たちとの遊び、絵本の読み聞かせ、実習先の行事への参加など触れ合い保育体験を実施しております。実施した学校からは、生徒が自分を育ててくれた家族の愛情について考えるよい機会になった、親になったときの責任の重さに気づいた、他者を思いやる心を育むことにつなげることができたなどの意見が寄せられております。
 また、乳幼児に触れ合うだけでなく保護者とも交流し子育てや家庭などについて話を聞くことにより家庭を築くことについて具体的に考える機会となっており、少子化対策の観点から次代の親の育成としての効果もあるものと考えております。
 県教育委員会といたしましては、今後も地域の方々の御協力を得ながら親との交流を含めた乳幼児との触れ合い体験に積極的に取り組み中高生に自分の将来を考える学びの場を提供していきます。
 次に、きめ細かな特別支援教育の実現についてであります。
 議員御指摘のとおり特別支援学級に在籍する児童生徒数は年々増加しており、県教育事務所管内では本年度小学校で二千六百人余り中学校で千二百人余と十年前の約二倍となっております。
 県教育委員会では、特別支援学級を新たに担当する教員等を対象に研修を実施しており児童生徒のさまざまな特性に応じた指導、支援の方法を学ぶだけでなく、先輩教員の授業を参観したり先輩教員からアドバイスを受けたりするなど経験の浅い教員にとって大変効果的な研修となっております。
 また、小中学校の教員が特別支援学校へ異動する人事交流を計画的に実施しており特別支援学校における指導や支援の方法を学んでいるほか、特別支援学校の教員が地区のセンター的機能として近隣の小中学校を訪問し個々のケース等に係る助言等を行い児童生徒に対する適切な指導、支援につなげております。
 しかしながら、特別な支援を必要とする児童生徒数が増加していることに加え子供たちの特性のあらわれが一人一人異なりますことから、学年の異なる児童生徒が在籍する多人数の学級では教員の負担が非常に大きくきめ細かな指導が困難な状況が見受けられます。このため来年度多人数の児童生徒が在籍する自閉、情緒障害、知的障害の特別支援学級におきましては個々の状況に応じた学習が実践できるようサブティーチャーとなる非常勤講師を配置することとし必要な経費に係る予算案を本議会にお諮りしているところであります。
 県教育委員会といたしましては、引き続き国に対して学級編制基準の引き下げを強く要望するとともに教員の資質向上や必要な人的支援に努め、特別支援学級の児童生徒の誰もが生き生きと学ぶことができる環境の整備に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 少子化対策についてのうち、在宅育児支援についてお答えいたします。
 多くの県民は二人から三人の子供を産み育てたいという希望を持っており、こうした希望をかなえる支援策を推進することが重要であります。民間の調査によりますと子供を育てながら働く女性の約八割が働く理由として経済的な事情を挙げており、また子育て家庭からは育児などのサポートを希望する声もあり、こうしたニーズや地域の実情を踏まえた支援が求められております。
 県では、子育て家庭の経済的負担軽減のためこども医療費の助成や企業等に御協力いただいておりますしずおか子育て優待カード事業などに取り組んでまいりました。また市町の地域子育て支援拠点におきまして交流の場の提供のほか、相談を通じて専門機関を紹介するなど在宅を含む全ての子供の健やかな育ちを県と市町が連携して支援しております。
 さらに、本年度市町とともに少子化対策に係る施策を検討するため設けましたふじのくに少子化対策連携会議におきまして課題解決のための情報の収集や共有、県内外の優良事例の研究を行いまして効果的な取り組みにつなげてまいります。
 今後、この会議におきまして議員から御紹介いただきました鳥取県の先駆的な取り組みも参考にしながら市町とともに知恵を絞り、「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを実現するため施策の立案、推進に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 藤曲敬宏君。
       (十七番 藤曲敬宏君登壇)
○十七番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、要望のみ述べさせていただきます。
 まず、特別支援学級の教育の実現についてですけれども、先ほど御答弁ありましたように非常勤講師の増員を支援学級において行うということで大変心強いというふうに思います。さらにこの四月から浜松、静岡に加えて東部と中西部地域で新たに発達障害支援センターがオープンするということも聞いています。ぜひ専門的な医療的なアドバイス等も含めてですね、いただけるというふうに思いますので特別支援教育を支える人材を養成するためにもぜひ強い連携をとっていただきたいなと緊密に連携していただきたいなというふうに思います。
 次に、少子化対策について要望させていただきます。
 男性職員の育児休業取得の状況について、今知事部局は一七・一%、静岡県全体としては三・六%ということで何でここが低くなるかなと。手元の資料によると教育委員会は一・九%、さらに警察本部は〇・六%というような数字を把握しています。知事部局に対して非常に仕事の性質上先生方や警官の皆さんは取りにくい、この育児休業を取りにくいというのは理解できますけれどもこれだけ低いと極端に少ないというのはですね、まず職場の空気として育児休業取得自体に対して取りにくい、そういった理解が進んでいないのかなというふうな思いもあります。まずはトップが通してですね、教育長そして本部長がまずこの育児休業取得について理解を推進を進めていただきたいというふうにお願いいたします。
 またその上で育児休業が取れなくても例えば先生方はその期間部活であれば部活の顧問を外してやるとか、警察官であれば配置転換するなどして何とか職場での負担を減らすような配慮をぜひしていただきたいと思います。個人の意識改革だけでは限界がある部分もあると思いますのでぜひ仕組みや制度を整えて取得率の向上を取り組んでいただきたいというふうにお願い申し上げます。
 続いて、中高生と乳幼児の触れ合い体験についてです。
 いじめや自殺に対する命のとうとさを知るために乳幼児との触れ合い体験は有効だなというふうに思っていたんですけれども、今回いろいろアンケートとかを見ますと結婚に対する肯定的価値観の形成にも非常にいい影響を及ぼすことがわかりました。これは乳幼児を抱えたお母さん方の協力がなくしてはできないことですので、地域の子育て団体との連携とか協力が必要となりますので地域を巻き込んだ実行体制をつくっていけるようにぜひ保育園とか幼稚園に行くのも大事なんですけれども親子でいるところに接する、お母さんとお子さんがいらっしゃるところに子供たちが接するというのはさらにいいということも聞いていますのでぜひ県下全体に進めていただくように要望いたします。
 また、同様の取り組みとして健康福祉センターが事業主体として学校現場に出向いて妊娠、出産に対する正しい知識や情報を提供している生涯を通じた女性の健康支援事業というのがあります。その中で妊娠及び出産の適齢期についても保健師が講演しているということも聞いています。ぜひ教育委員会では各地の健康福祉センターと連携して積極的にこの辺のところも実施にしていただきたいというふうに思います。
 在宅育児支援についても、今ありましたけれども鳥取の例、財政的な負担がかかりますのですぐには無理だと思いますけれども、ぜひ一番今少子高齢化の進む例えば伊豆半島でですね、モデル事業として将来的に取り組んでみるとかぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。
 要望の最後に意見を述べさせていただきます。
 少子高齢化の対策の事例として今三つほど伺いましたけれども、単純にこれをすれば合計特殊出生率が上がるといった特効薬のようなものはないと思います。しかし鳥取のように保健師であるとか母親であるとか現場の声を拾い上げて一つ一つ政策に反映させていく、そしてまた子供たち、中高生、十年後を見据えながら取り組んでいくというような長い取り組みが大事だと思います。ぜひ新年度の重要課題の一つとして全庁的に取り組んでいただきますようにお願い申し上げまして私の質問を終わりにします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木利幸君) これで藤曲敬宏君の質問は終わりました。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp