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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

橋本 一実 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/05/2013

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 次期総合計画の策定について  
2 平成二十六年度当初予算編成について  
3 ファシリティマネジメントの推進について  
4 内陸フロンティアの推進について  
5 旅館・ホテル等の大型施設の耐震化について  
6 東京オリンピック・パラリンピックを契機とした取り組みの推進について  
 (1) 交通網の充実を生かした誘客対策  
 (2) スポーツ王国しずおかの実現  
7 富士山静岡空港について  
 (1) 利活用の促進  
 (2) 新たな運営体制
8 介護サービス提供体制の充実について
9 障害者雇用の促進について
10 災害時における避難勧告等について
11 企業局事業の課題と対策について
(1) 水道施設更新マスタープラン
 (2) 工業用水道事業の経営改善
12 学力向上対策について
 (1) 人的支援
 (2) 教職員の新規採用
13 ストーカー犯罪への対応の強化について


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十一番 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇 拍手)
○三十一番(橋本一実君) 民主党・ふじのくに県議団の橋本一実でございます。
 質問に入ります前に十月十六日に伊豆大島を襲った台風二十六号による土石流災害により三十五名の方が亡くなり、四名の方が行方不明となったことは記憶に新しいところであります。伊豆大島と本県の伊豆半島との距離はわずか二十キロであり、血縁や事業で関係の深い県民も多く、決して他人ごととは思われません。お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様の一日も早い生活再建が図られますことを念願する次第であります。
 あわせて十一月八日にフィリピンを直撃した台風では、死者が五千名を超える甚大な被害が発生いたしました。犠牲になられた方々と御遺族に哀悼の意を表しますとともに、一日も早く被災地が復興することを切に願う次第であります。
 それでは民主党・ふじのくに県議団を代表し、当面の県政の諸課題につきまして知事並びに関係部局長、企業局長、教育長、警察本部長に分割質問方式にて伺います。
 まず初めに、次期総合計画の策定について伺います。
 知事は、強力なリーダーシップのもと新東名高速道路の前倒し開通、富士山の世界遺産登録、内陸のフロンティア構想の策定及び総合特区の指定など目に見える成果を上げていることは、非常に高く評価できると考えております。
 一方で東日本大震災を契機とする地震・津波や依然として厳しい経済・雇用情勢など多くの県民が抱える閉塞感や不安を早急に払拭し、国内外の憧れを集め魅力ある富国有徳の理想郷“ふじのくに”の実現に向けた、より一層の取り組みが求められております。
 さらに、本県を取り巻く財政状況は伸び悩む県税収入、増加する県債残高など一層厳しさを増しており、危機意識を持って行財政改革を進め、ふじのくにづくりを着実に実現するための基盤を構築していく必要があります。
 こうした現状を踏まえ去る十月十七日に我が会派では、次期基本計画の盛り込むべき施策について九つの柱別に二十三項目、地域別に八項目、合計三十一の意見を提出いたしました。県民の安全・安心な暮らしを担保しつつ本県の活力を伸長する、まさにふじのくにづくりの総仕上げに向けて必要な施策であると考えますが、我が会派からの提言について今議会で示された次期総合計画にどのように反映されたか伺います。
 次に、平成二十六年度当初予算編成について伺います。
 十月に示された来年度当初予算の財政収支の試算では、四百三十億円の財源が不足しており引き続き本県の財政状況は大変厳しいものであることがうかがえます。このような中で県民に必要なサービス水準を維持していくためには、昨年度にも増して徹底した歳出のスリム化や歳入の確保に取り組み、財源不足の解消を図る必要があります。
 一方、消費税の引き上げに伴う歳入歳出への影響や国の概算要求が歳出上限を定めない異例の措置がとられているなど国の予算編成や地方財政対策の動向は例年以上に不確定要素が多く、厳しい財政環境下での予算編成となることが予想されております。
 川勝知事は、知事就任以来一貫して富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを目標に掲げ、静岡県の将来に向けて指揮をとってまいりましたが、任期二期目を迎え改めて多くの県民が知事の県政運営に大きな期待を寄せていることと思います。来年度は富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに向けた総合計画の新基本計画初年度であります。喫緊の課題である地震・津波対策の推進はもとより、経済・雇用対策、少子化対策など重点的に取り組むべき施策はめじろ押しであり、大変重要な予算編成になることと思います。
 知事が掲げるふじのくにづくりを着実に実現していくためには、事業の重点化を図るとともに、このような厳しい財政環境下においても裏づけとなる財源をしっかりと確保し、持続可能な静岡県政の基盤を築いていくべきと考えますが、来年度当初予算をどのように編成していくつもりなのか伺います。
 次に、ファシリティマネジメントの推進について伺います。
 県有施設は老朽化の進行、厳しい財政状況、社会情勢の変化によるニーズの多様化といった課題に直面しており、それらの課題に対応するため県は、従来の保全管理から経営的視点で県有財産を企画、管理、活用するファシリティマネジメントの考え方を導入するとしています。昨年度県が作成したファシリティマネジメントの基本方針によれば、その取り組みの方向性として県有施設の総量適正化、長寿命化、維持管理経費の最適化、施設の有効活用の四つが記載され、新たな静岡県総合計画及び行財政改革大綱のもとに段階的に取り組むこととされております。
 このファシリティマネジメントの取り組みについて全国的な状況を見てみますと、いち早くファシリティマネジメントを導入し維持管理経費の削減で成果を上げ、施設の総量削減への取り組みが注目されている青森県を初めとし、大規模な市町村合併を経験し施設の重複を解消するために総量削減への取り組みが注目されている浜松市などさまざまな状況があります。このように自治体によって取り組みが多種多様であり、言いかえればファシリティマネジメントの取り組みは、それぞれの自治体の課題に応じたものとなっているものと考えます。
 県は、現在実施方針を作成していると伺っておりますが、今後具体的にどのような取り組みを展開していくのかお聞きします。
 次に、内陸のフロンティアの推進について伺います。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、県の最重要政策に位置づけられており、沿岸都市部においては防災・減災対策の充実によりゆとりと潤いのあるまちづくりを進めるとともに、内陸高台部については津波の心配のない地域に強く美しい景観を持つ新たな地域づくりを行うことで、東日本大震災の復興モデルとなることを目指すものであります。
 本年六月には国との協議の結果、総合特区計画が認定され、有事に強い広域物流施設の整備に対する利子補給が認められたことで速やかな事業の具現化が図られるものと期待しているところであります。
 また、本年五月に経済界が中心となり設立した内陸フロンティア推進コンソーシアムでは、八月から九月にかけて県下三カ所で企業へ市町の取り組みを紹介する地域別セミナーを開催し、十月には知事と意見交換するなど官民が連携して事業を推進しており、取り組みに対する理解はかなり広がってきていると感じております。
 新東名高速道路の県内区間が先行し開通したこの好機に沿線周辺の利活用を進める取り組みとして、先ごろ長泉町にイオングループの企業進出が決まるなど目に見える形で動き出しております。こうしたうねりをとめることなく、さらに県内各地へ広げていく必要があると感じています。しかしながら沿岸都市部については、具体的な動きが余り感じられておりません。今後は都市の利便性を失うことなく一層の安全性を高め、水と緑にあふれた都市へと再生していく取り組みにも大いに期待しているところであります。
 防災・減災対策と地域成長を目指して各地域で始まった取り組みは、県全域での安全・安心な地域づくり、均衡ある発展を早期に取り組める県民、企業の思いのあかしであります。今後どのように取り組みを広げ進められるのか、県の見解をお伺いします。
 次に、旅館・ホテル等の大型施設の耐震化について伺います。
 私の住む熱海市は、かつては多くの観光客や団体客が来遊し、観光繁忙期には道路や駐車場は他県ナンバーの車で大混雑するなど全国有数の観光地として大いににぎわっておりました。しかし日本経済の長引く不況や観光スタイルの変化などにより、ここ十数年来熱海を訪れる観光客数は大きく減少し、かつてのにぎわいが感じることのできないくらいにまで低迷をしていると感じております。
 このような厳しい現状に追い打ちをかけるように、このほど耐震改修促進法が改正され、旅館・ホテルなどの大規模な建築物に対して耐震診断の実施が義務づけられました。対象となる建築物の所有者は、その結果を平成二十七年十二月末までに県などへ報告しなければなりませんが、報告の期日までは今からわずか二年ほどしかありません。そのためまずは耐震診断を早急に実施していただけるようさきの九月議会において、対象建築物の耐震化に係る県の補助制度を拡充するとともに、耐震診断に必要な経費について追加補正し予算化したところであります。
 しかし、耐震診断を実施すれば旧耐震基準で建築された建築物の多くは耐震性が不足しているとの結果になるものと推測され、結果の公表により観光客はこのような建物の利用を避けるようになることは容易に想像ができます。このため耐震診断の結果の公表までに耐震改修を行うことが必要となってくるわけですが、二年という短い期間において耐震改修まで終えることは大変困難であることが予想されることから、耐震診断の結果の公表についてはその時期を含め柔軟な対応が必要であると考えます。
 また、対象建築物の所有者の費用負担を軽減するため、耐震改修につきましても県は市町と協調して、耐震改修工事費の最大三分の二まで補助することとしています。しかし市町におきましては、厳しい財政状況の中で億単位となる耐震改修に対してさらなる上乗せ補助を行うことは難しいことから対象建築物の所有者の耐震改修工事費に係る負担はまだまだ大きく、将来の経営に与える影響は相当なものとなっております。熱海の観光業に携わる私の知り合いからも対象となる旅館・ホテルの中には、これを機会に廃業する者が出てくるのではないかと危惧する声を聞き及んでおりますが、そのような状況はぜひとも避けなければならないと考えております。
 そこで、県として耐震診断の結果の公表について、また対象建築物の円滑な耐震改修の実施に向けてどのような対応をしていくのか伺います。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした取り組みの推進についてのうち、交通網の充実を生かした誘客対策について伺います。
 先月、静岡県議会産業振興・教育等海外事情調査団の一員としてスペインを視察をさせていただきました。マドリード市では政策的に言語の問題を解決することに力を入れており、ホームページやガイドブックを初め、案内所やガイドつきツアーの提供など日本語サービスの充実、嗜好に合わせたきめ細かな観光商品の提供、他国との差別化を図っておりました。同じくバルセロナ市のグエル公園ではスマートフォン用のガイドが七カ国語で用意され、見学スポットで端末をかざせば詳しい案内を入手できるとのことでありました。また市内には無料でWiFiを利用できる場所が数多くあり、外国人観光客もスマートフォンでのさまざまな情報を入手しておりました。
 今回の調査を終え、来る二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催で世界各国から日本へ訪れる外国人観光客の皆様へのおもてなし、対応に大きなヒント、知恵をいただいたと考えております。
 さて、本県は世界遺産富士山を初め国の指定文化財であり日本の近代化産業遺産群の一つとして世界遺産国内暫定リストに掲載された韮山反射炉、良質の温泉、豊かな山海の食材など多くのすばらしい観光資源を有しており、国内有数の観光立県でありますが海外での知名度はまだまだ低く、東京オリンピック・パラリンピックはふじのくに静岡県の名を高める絶好の機会であり、誘客への大きなチャンスであります。
 こうした中、昨年四月に開通した新東名を初め今年度には八王子ジャンクションから海老名インターまでの圏央道、三島塚原インターから函南塚本インター間の東駿河湾環状道路が開通する予定です。この二つの路線開通により首都圏から本県に到達するまでの時間は大幅に短縮されることとなります。さらに平成二十九年には中部横断自動車道が開通する見込みとなり、こうした交通網の整備は、東京オリンピック・パラリンピック等に訪れる方々にも本県の観光的魅力を存分にお楽しみいただける絶好の機会になるものと考えます。
 一方、アクセスの向上は本県が通過点となってしまう可能性も多分に含まれており、より積極的な誘客対策と受け入れ体制の整備も欠かせないものと考えておりますが本県の所見を伺います。
 次に、スポーツ王国しずおかの実現について伺います。
 二〇二〇年の夏季オリンピック・パラリンピックの開催が東京に決定したことは、本県にとっても大変喜ばしいことであります。今後七年後の開催に向けてオリンピックを国全体で盛り上げ成功させていこうという機運の高まりが予想される中、本県においては地理的・物理的立地条件に加え、交通アクセスがよいことから全ての静岡県民が身近にオリンピックを感じ、スポーツへの関心を高める好機となることでしょう。
 先月行われたプロ野球日本シリーズで地元宮城県初め東北の皆さんは、東北楽天ゴールデンイーグルスの優勝に大いに勇気をもらったと思います。同様に四年に一度の大舞台へ本県ゆかりのトップアスリートが一人でも多く出場し、世界の強豪たちと力の限り戦う姿には県民は誇りと感動を抱き、特に子供たちに与える夢と希望は絶大なものとなるでしょう。
 また、オリンピックを目指すトップレベルの選手育成だけでなく、子供からお年寄りまで幅広い年代で自分の体力や適性、能力に応じて生涯にわたってスポーツに親しみ、スポーツを楽しむことができる環境づくりも不可欠であります。そのような環境が整えば県民にとってただオリンピックは見るだけのイベントではなく、例えばボランティアとして運営にかかわりを持ちたいというような意識も芽生え県民全体でオリンピックを応援、支援し、オリンピックに自分たちも参加するということになるのではないでしょうか。そしてこのような土壌の中からスポーツに接する子供たちがふえ、世界に羽ばたくトップアスリートが誕生していくことにつながっていくのだと思っています。
 そこで、東京オリンピック開催を契機としたスポーツ王国しずおかの実現に向けて、今後県はどのような取り組みをされていくのか所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、利活用の促進について伺います。
 最近の全国的な航空需要を見てみますと九月の訪日外国人旅行者数は約八十六万七千人と、ことし二月以来八カ月連続で前年を上回るなど東日本大震災等による需要の落ち込みから回復傾向は明らかになってきており、急速な経済成長が続く東南アジアからの訪日旅行者数の増加も見られています。さらに国際情勢の影響で減少していた中国からの訪日旅行者についても、個人旅行に加え団体旅行に回復の兆しが見られるようになってまいりました。
 一方、本県の状況を見てみますと富士山静岡空港の今年度の利用者数は十月末までで二十七万三千人余りであり、仮に十一月以降全ての便が満席になったとしても今年度末までの利用者数は約六十二万人にとどまり、現在の総合計画の目標値である七十万人の達成は困難と言わざるを得ません。
 このような中で、県は次期総合計画における富士山静岡空港の利用者数の目標値を七十万から八十五万に見直すこととしております。現在の目標にすら利用者数が届いていない状況においてさらに高い目標を達成するためには、相当の知恵と工夫、努力が求められていると思いますが、県の考えについて伺います。
 次に、新たな運営体制について伺います。
 民活空港運営法が本年七月に施行され、国管理空港においては空港運営を民間に委ねる取り組みが具体的に進められようとしています。
 県では、本年四月に公表した取り組み方針において先導的空港経営検討会議の答申を最大限尊重して新たな空港運営体制の構築に取り組むとしており、富士山静岡空港の最終的な空港運営体制として公共施設等運営権を民間事業者に移譲する、いわゆるコンセッション方式による空港運営への移行を目指すこととしております。
 そして県は、平成二十六年度以降の一定期間を最終的な空港運営体制に至る移行期と位置づけ、この期間に富士山静岡空港株式会社が所有する旅客ターミナルビルを取得するとともに、同社に対して出資するとして本議会に補正予算を上程しているところであります。
 これまで県は、空港運営の民活化を掲げ県内経済界の理解を得て県内企業のみで設立された富士山静岡空港株式会社を空港基本施設の指定管理者として、民間主導の管理運営体制をとってきたと承知しております。
 今回県が出資すれば同社はいわゆる第三セクターとなり、空港運営の民活化の理念や国が取り組むインフラ施設運営の民活化の流れにも逆行するのではないかとも思われます。また次期基本計画において県は、静岡空港の位置する志太榛原地域を個性豊かな魅力ある交流都市圏として広大な自然空間と都市空間が調和する地域を創造するとしており、その中核施設として静岡空港を位置づけようとしております。
 そこで県は、同社に出資することによって、この移行期においてどのような空港運営体制を構築し、どのような空港を目指していくのか所見を伺います。
 ここで一旦質問を終了し、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 橋本議員にお答えいたします。
 次期総合計画の策定についてであります。
 去る十月十七日、民主党・ふじのくに県議団の皆様から三十一項目に及ぶ貴重な御提言をいただき改めて感謝を申し上げます。
 計画の戦略別の取り組みにかかわる二十三の提案のうち内陸のフロンティアを拓く取り組みにおける事前復興の考え方の明確化、教育行政改革の推進、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進、再生可能エネルギーの自給率の向上、安心して子供を育てる環境整備などまさに次期計画でも最優先事項でございます。全力で取り組まなければならない施策でありますので、計画の戦略体系別の取り組みに位置づけるだけではなく、ふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点取り組みとして特に強調したところでございます。
 また、東京オリンピックを見据えたトップアスリートの育成や富士山静岡空港新幹線新駅設置など新たな政策課題への対応につきましても今回、施策や主な取り組みで明確化したところでございます。
 地域づくりの基本方向につきましては、ファルマバレープロジェクトの推進、東静岡周辺地域の整備推進、世界農業遺産を活用した地域活性化等々八つの提案をいただきました。いずれの提案も魅力ある五つの圏域を形成するための必要不可欠な施策でありますことから、圏域の施策の柱として位置づけたところでございます。
 また、全体を通した意見として持続可能な自治体経営を進めるべきであると御提案をいただきました。これを受けまして徹底した歳出のスリム化と歳入確保による財政の健全化への取り組み、ファシリティマネジメントの推進、社会の変化を踏まえた組織や外郭団体の見直しなどを掲げまして、徹底した行財政改革に努めてまいります。
 以上のとおり、いただきました御提言を真摯に受けとめ総合計画の原案に反映したところであります。今後とも県議会の皆様、県民の皆様の御意見をいただきながら、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを四年間で前倒しをして完遂するべく、次期基本計画の策定に取り組んでまいります。引き続き御支援と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、平成二十六年度当初予算編成についてであります。
 国が八月に公表いたしました平成二十六年度地方財政収支の仮試算では、地方税、地方交付税などの一般財源総額が一・二%増加すると示されてはおりますが、社会保障関係費等の義務的経費の増加などにより、来年度も多額の財源不足が見込まれています。また議員御指摘のとおり、消費税の税率引き上げによる影響など例年以上に不確定要素も多うございます。年末に決定する国の予算編成や地方財政対策の動向によりましては、財源不足額がさらに拡大する懸念もございます。
 このため、来年度の当初予算の編成に当たりましては、県全体で効率化のための数値目標をこれまでで最も厳しい数値に設定するなど全庁を挙げて歳出スリム化と歳入の確保に取り組み、財源不足額の解消を図ってまいります。
 一方、各部局におきまして効率化の目標に基づいて縮減した額の一定の範囲内で新規事業の提出を認めるなど既存事業の積極的な見直しと効果的、効率的な事業の創出を促しています。さらにこうした効率化の取り組みとは別に特別枠というのを設けまして、総合計画の新しい基本計画にかかわる新規の取り組みを全庁的に推進できるようにしており、一層の事業の重点化を図る考えでおります。
 こうした取り組みを通じまして、財源の確保や選択と集中による事業の重点化を図るとともに、徹底した行財政改革に取り組み、持続可能な財政運営の構築に努めてまいります。
 次に、内陸のフロンティアの推進についてであります。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、長泉町で民間企業の進出が決定いたしました。また新東名新富士インターチェンジ周辺の土地区画整理事業におきましても企業から多数の引き合いがございます。こうした具体的な動きが目に見えた形で始まっております。また総合特区利子補給金制度の活用によりまして、物流関連企業を初めとした四件の新規投資が行われました。民間事業者の動きも活発化しております。さらに沿岸都市部におきましても浜松地域の防潮堤工事や吉田町における津波避難タワー等の整備に加えまして、掛川市沿岸部のメガソーラー建設など取り組みが進んでおります。こうした動きを受けまして経済界からは、内陸のフロンティアを拓く取り組みが民間資金需要に刺激を与えているという声も聞かれております。防災・減災と地域成長を両立する本取り組みの理念の具体化が着実に進んでいるという実感を持っております。
 これらの動きをさらに加速化させ県内全域への展開を図るため、総合特区事業の一層の具体化や市町独自の取り組みへの支援に努めるとともに、取り組みのモデルとなり得る活動を内陸フロンティアプロジェクトとして表彰する制度を創設いたしました。また企業立地補助金の充実や沿岸都市部で事業を継続する中小企業向けの制度融資を拡充いたしまして、支援を強化し民間投資の促進に努めてまいります。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、短兵急になし遂げられる事業ではありません。息の長いしかし同時に迅速な対応が求められる事業でもございます。今後は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきまして沿岸都市部の防災・減災対策を最優先で実施するとともに、事業の具体化に向けましては、土地利用制度の運用に関する柔軟な対応や人的、技術的支援の強化により、沿岸都市部、内陸高台部をあわせて県内全域での安全・安心でかつ魅力ある地域づくりを図ってまいります。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした取り組みの推進についてのうち、まず交通網の充実を生かした誘客対策についてであります。
 東京オリンピック・パラリンピックは絶好の機会であります。これを好機と捉え観光交流人口を拡大するには、本県の充実した交通網やすぐれた観光資源を最大限に生かした誘客とおもてなしの心にあふれた受け入れ体制の整備に官民が一体となって取り組むことが重要です。
 誘客対策につきましては、東京からのアクセスの利便性が本県にはあると。この利点を生かすとともに、世界遺産富士山、伊豆半島ジオパーク、南アルプスエコパーク、浜名湖等世界標準の観光資源や豊かな温泉、多彩な食などを組み合わせた魅力的な観戦ツアーといいますか、あるいは応援ツアーも造成してまいります。
 また、富士山静岡空港を成田、羽田を補完する首都圏第三空港として位置づけることが重要です。この富士山静岡空港の利便性を発信してまいりまして団体ツアーや個人旅行者の誘客とともに、選手団やVIPのチャーター便を誘致いたします。
 受け入れ態勢の整備につきましては、外国人に対応できる観光案内所や交通機関などの情報を多言語ホームページをもって提供するとともに、母国語で情報収集できるWiFiの利用可能エリアを拡大するなどこうしたことに取り組みまして、旅行者が安心して移動できる環境を整備してまいります。
 市町や観光関係団体等と連携をいたしまして交通網の充実を生かした誘客活動や受け入れ環境の整備を積極的に進めることで東京オリンピック・パラリンピックを契機に訪れられる国内外の多くの観光客が、静岡県での快適な旅を楽しんでいただけるように努めてまいる所存であります。
 次に、スポーツ王国しずおかの実現についてであります。
 県内スポーツ界の機運を高めスポーツ人口を拡大していくためには、県議御指摘のとおりスポーツを実際にする人ばかりではなく、スポーツを見る人、ボランティア等で支える人。する人、見る人、支える人、これらスポーツに携わる全ての人々の活動が互いにかかわり合いながら活性化されていくことが必要です。
 県はこれまでも国際舞台等で活躍できる選手の育成に努めてまいりました。東京オリンピックを七年後に見据えまして有力選手を中心として、国内外での遠征合宿の実施や優秀なコーチ、トレーナーのサポート体制の整備を支援してまいりまして、競技力の向上に努めてまいります。
 また、県民が生涯にわたってスポーツに接するためには、スポーツを身近に感じ親しみを持つことができる環境をつくることが重要です。静岡県にゆかりのある選手による講演会や実技指導、国際大会や全国規模の大会等の招致を通じまして、スポーツの魅力を発信してまいる所存です。スポーツ王国しずおかの実現に向け、これらの取り組みの成果が定着していくことが重要ですので競技団体や市町と、より一層連携を深めてまいります。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、利活用の促進についてであります。
 富士山静岡空港の利用者数は回復傾向にありますものの東アジアの国際情勢が不安定にございまして、また円安、福島第一原発の汚染水漏れ等、国際線の利用者数に大きく悪い影響がございまして、残念ながら今年度中の七十万人の達成は困難な状況であります。
 しかし、活力ある産業活動や世界遺産富士山に代表される豊かな観光資源など静岡県の持っているポテンシャルを考慮いたしますれば、富士山静岡空港は早期に七十万人を達成することは可能です。それに満足せずにさらにその上の目標を目指すべき空港であると確信しています。このためこれまでの利用実績や全国的な需要動向、利用者からの要望等がございまして、これらを踏まえまして増便や新規開設が望まれる路線を想定し、不測の事態がなかりせば次期総合計画において目標値を設定した八十五万人は実現可能であるということであります。
 県では、さまざまな利活用促進策によりまして、航空会社に積極的な経営判断を促すことで定期路線の充実を実現し、それによる利便性の向上が利用者のさらなる増大をもたらすという好循環を生み出すことを基本的な戦略としています。
 今後は、この基本戦略を踏まえまして旅行商品の販売力の強化、ビジネスの利用者の拡大、また教育旅行の需要の拡大等々重点的に取り組みまして、東南アジアからのインバウンド需要の拡大を図ってまいります。
 また、航空会社の就航希望に十分応えるために旅客ターミナルビルの増改築を行うこととしております。利用者の利便性のさらなる向上を図るため空港アクセスの改善についても検討しているところです。
 静岡県の発展にとりまして重要な社会資本である富士山静岡空港が、利用者や航空会社に選ばれる魅力的な空港として成長していけるように全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 土屋経営管理部長。
       (経営管理部長 土屋優行君登壇)
○経営管理部長(土屋優行君) ファシリティマネジメントの推進についてお答えいたします。
 施設管理を従来の個別最適から全体最適に転換するためのファシリティマネジメントの考え方を昨年度、基本方針として整理いたしました。これを受け現在実施方針を作成しているところであり、次期総合計画や行財政改革大綱のもと今後四年間で段階的に実施する取り組みについて、来年一月を目途に公表する予定であります。
 実施方針の具体的な内容といたしましては、まず前段においてこれまでの取り組みとその成果を整理いたしました。例えば本県では、全庁的に施設利用を調整する仕組みをいち早く導入するとともに、個別の再編計画などを進めた結果、現在県民一人当たりの延べ床面積では都道府県の中で少ないほうから五番目というふうになっております。
 また、平成十五年度からは百年庁舎の実現を目指し、先駆的に建物の長寿命化に取り組んでおりまして、施設ごとの老朽度合いを把握、全庁でその情報を共有するシステムを設けるなど基本的な環境が整備されている状況でございます。
 次に、先ほど議員からも御紹介いただきました四つの柱ごとに取り組みの内容とその工程を具体的に定めてまいります。例えば総量適正化の観点からは、建物解体に係る期間、経費が不要となることで迅速かつ効率的な売却が可能となる県有地を建物つきで売却する手法を導入いたします。また施設の有効活用の観点から大規模施設だけではなく、歩道橋や公園のトイレのような小規模施設まで含め、幅広い施設を対象に民間からの提案を受ける方式を導入したネーミングライツなどの新たな取り組みも進めてまいります。
 こうした取り組みを着実に進め、その効果を全庁的に共有するとともに県と市町が連携し、情報共有する場として研究会を設けるなど県全体でファシリティマネジメントの推進に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 旅館・ホテル等の大型施設の耐震化についてお答えいたします。
 県では、改正された建築物の耐震改修の促進に関する法律の円滑な施行のため、旅館・ホテルの関係者等に対し説明会や意見交換会を開催するとともに、市町と合同で対象建築物の所有者を個別に訪問し法改正の趣旨や拡充した補助制度等の説明を行ってまいりました。
 耐震診断の結果につきましては、建築物所有者から報告を受けたときにその内容を公表しなければならないとされており、公表に当たりましては診断結果を一覧できるものとするなどわかりやすさと公平性の確保に留意いたしますとともに、建築物所有者の希望に応じ耐震改修の予定の有無やその時期を掲げるなど診断後の対応についても十分配慮した記載をしてまいります。
 また、対象建築物の耐震改修を円滑に進めるためには、拡充した県の補助制度が最大限活用され建築物所有者の負担軽減を図る必要がありますことから、市町における補助制度の整備充実が不可欠となります。
 このため、県といたしましては地域社会、産業の中核を担い被災後の重要な公共的役割を果たすこととなる旅館・ホテルや体育館、病院など大型施設についての耐震化の重要性を市町に理解していただき、積極的な取り組みをされるよう引き続き働きかけてまいります。
 さらに、対象建築物の所有者に対し市町とともに繰り返し訪問しまして耐震化の必要性を強く訴え、速やかに耐震診断や耐震改修に取り組んでいただけるよう要請をしてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山静岡空港についてのうち、新たな運営体制についてお答えいたします。
 県では、来年度から始まる新たな体制において空港基本施設や旅客ターミナルビル等の空港機能施設を県が一体的に保有することとし、その一方で運営については可能な限り民間に委ねてまいりたいと考えております。そして最終的には公共施設等運営権に基づく民間主体の空港運営を目指すこととしております。その実現に向けた移行期における過渡的な措置として空港運営の中心的な役割を果たす富士山静岡空港株式会社に出資することにより、県が責任を持って民間主体の空港運営体制の構築に取り組んでまいります。
 また、同社の経営に参画することにより空港全体を経営する体制を推進するとともに、静岡ならではのおもてなしの充実や航空機利用者はもとより空港を訪れる方々に対する利便性向上を図るなど空港の魅力を一層高め、魅力発信交流都市圏における重要な拠点施設となるよう努めてまいりたいと考えております。
 県といたしましては富士山静岡空港株式会社に出資されている企業はもとより、県内外の民間企業や空港周辺の自治体等とこれまで以上に協調連携して、全国の地方空港に先駆けた空港運営に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇)
○三十一番(橋本一実君) 御答弁ありがとうございました。
 まず初めに意見を申し上げさせていただいて再質問をさせていただきますが、知事から次期総合計画の策定につきましては、私たち会派からの提言について最優先事項につきましてですね、まず強調したという御発言がございました。また地域別の八項目についても魅力が大変あるということで、柱として取り入れるという御発言をいただきました。私たちもこれから委員会審議等もありますが、しっかりとその議論を尽くして総合計画のほうはバックアップをしてまいりたいと思いますので、県のほうもしっかりと進めていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 それでは再質問に移りますが、質問事項は平成二十六年度当初予算編成について、ファシリティマネジメントの推進について、旅館・ホテル等の大型施設の耐震化について、この三点について伺いたいと思います。
 平成二十六年度当初予算の編成につきましては、取り組みの重点事項として県有施設や未利用財産の有効活用、県税の徴収対策の強化が挙げられているわけですが、先ほど知事からも効率化の数値を最も高くしていくということで特別枠を設けるということが挙げられておりましたが、この未利用財産の有効活用の部分そして徴収対策の強化というものが挙げられていると思いますが、この特別枠がこの徴収対策の強化、そして未利用財産の有効活用ということなのかどうか。その一点、確認のため再質問させてください。
 それとファシリティマネジメントの推進につきましては、先ほど一月公表ということで市町との研究会の設置というふうに部長さんから述べられましたけれども、市町と連携した資産の整理。このあたりをどういうふうに考えるか。例えば県有施設があって、その県有施設が稼働すると市町の施設、例えば会議室とかそういったあたりの利用が下がるわけですので、そういったところの考え方を伺いたいと思います。
 そしてもう一点、ファシリティマネジメントについて具体的な削減目標が必要だと思うのですが、その設定についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、旅館・ホテル等の大型施設の耐震化につきましては、耐震診断にもこれは言えることだと思うんですが、市町の負担と同率にするという県の考え方。九月の定例議会でも私これ本当にどうなのかなというふうに思ったんですが、補助をしていただくことは非常にありがたい。このことについては大変感謝を申し上げるわけですが、やはり国と同様に市町の負担率に関係なく県の率を定めるべきではないのかなというふうに感じたところもあります。ただなかなか財政上厳しいということもありますので、そのあたりのもし考えがありましたら県民にわかりやすく御説明いただきたいとともに、先ほど個別訪問をされているということがありましたので特に主な個別訪問をした声がありましたら御紹介いただきたいというふうに思います。この三点で再質問を終わります。
○副議長(渥美泰一君) 土屋経営管理部長。
○経営管理部長(土屋優行君) 橋本議員の再質問にお答えいたします。
 まず最初の平成二十六年度当初予算に関係してでございます。
 特別枠につきましては、先ほど知事からも御紹介いただきましたように総合計画の新しい取り組み、総合計画を推進するための事業ということで今回要求をお願いしてございます。これにつきましては個別の財源を確定するわけではなくて全体の事業の取り組み、財源確保、あるいは歳出削減、それを踏まえて対応すべきものは対応するということで先ほどの徴収の確保等によった金額によるということではございませんので、御承知いただきたいと思います。
 財源確保につきましては歳入確保、先ほど申し上げました個人県民税の収納率の向上、あるいは県有財産の売却、そういうものが当然ございますけれども、その全体において特別枠については対応していくということでございます。
 それからもう一つ、ファシリティマネジメントに関する市町との連携の件でございます。これにつきましては十月に開催されました県と政令市とのサミット――浜松市、静岡市とのサミットの中におきましても公共施設についての情報を共有しましょうと。それから公共施設の管理手法についても研究しようというところから、まずスタートをさせていただきたいと思ってございます。
 最終的には、議員が今御紹介いただきましたような県と市町の施設の共有化ということも議題となるかもしれませんけれども、各市町あるいは県によりましてもその施設の目的あるいは老朽度合い等が異なりますので、最終的なものにつきましてはそれに行き着くということになるかもしれませんけれども、最初からハードルを高くせずにまず情報を共有、そこから始めようということで考えてございます。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 旅館・ホテル等の大型施設の耐震化につきましての再質問についてお答えをいたします。
 この補助制度の考え方でございますが、これまで市町が建築物等の耐震化を助成するという場合におきましては、財政力指数にかかわらず県と市が補助率を同率として助成をしてきたところでございますので、今回の拡充した補助制度につきましても同様の取り扱いということでさせてもらっているところでございます。
 あと、個別訪問におきます意見等でございますが、やはり耐震工事が費用がかなりかかるということがございます。そのための助成策をお願いをしたい、さらには融資制度も充実させてもらいたいというようなお話がございました。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 三十一番 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇)
○三十一番(橋本一実君) 再質問の御答弁ありがとうございました。
 旅館・ホテル等の耐震につきましては、なかなか財政規模、財政力指数、その辺の市町の力が違うといいますか、なかなかそういった面ではこれだけ大きな工事という形になりますので、ぜひまた改めてその耐震改修のほうは御検討いただきたいと要望を申し上げて次の質問に移りたいと思います。
 次に、介護サービス提供体制の充実について伺います。
 我が国の高齢化は今後一層進行し、二〇二五年にはいわゆる団塊の世代の方が全て七十五歳以上となりますことから、介護ニーズが急激に増大することが見込まれております。そのため国におきましては、介護保険を持続的な制度にしようと現在、保険給付の対象となっている要支援一と二の方の対象サービスの市町村事業への移行や特別養護老人ホームの入所対象者の重度の方への重点化など幅広い見直しの議論が進められております。介護サービスは、制度創設以来最も大きな転換期を迎えていると感じております。
 一方、本県におきましても高齢化が進む中、特別養護老人ホームの入所待機者は一万人を超えており、施設を整備しても需要に追いついていない状況となっております。私の地元である熱海市におきましても定員二百三十名のところ、ここ数年入所待機者が二百人ほどで高どまりをしており、申し込みをしてもすぐには入所できない状況にあります。さらに国の制度見直しの報道などが加わり、住民の皆様からは介護が必要になったときに必要なサービスを本当に利用できるのかといった不安の声が上がっております。
 このような県民の不安を払拭していくためには、入所希望者が多い特別養護老人ホームを初めとした介護施設の整備をさらに進めていく必要があると考えております。しかし介護施設等で働く介護職員は、県内有効求人倍率を見てみましても人手不足が常態化しており、今後円滑に施設整備を進めるに当たっては、介護人材の確保が大きな課題となってまいります。特に介護職員の離職率は、他の産業と比べて高い状況にあることから人材の確保に向けては、離職防止の取り組みをさらに進める必要があると考えております。
 そこで、待機者の解消とともに、将来の介護ニーズに対応していくために県では今後どのような施設整備を進め、また介護職員の確保に取り組まれていくのかをお尋ねいたします。
 次に、障害者雇用の促進について伺います。
 先月十九日に公表されました平成二十五年六月一日現在の県内民間企業における障害者雇用率は一・七二%となり、昨年度の一・六五%から〇・〇七ポイント上昇し過去最高を記録したものの、依然として法定雇用率二・〇%を下回っており、法定雇用率を達成した企業の割合も四六%と半分に満たない状況となっております。全国順位を見ても雇用率が三十三位、達成企業の割合は三十五位と残念ながら本県は、四十七都道府県の中で低位に位置しております。
 静岡労働局が五月に公表したハローワークを通じた平成二十四年度の県内障害者就職件数は、前年比一三・五%増の二千二百三十八件で二年連続で過去最高を更新したとの報道もあり、雇用率がどこまで上昇するのか期待しておりましたが実際の雇用率は、法定雇用率までには開きがあるのが実情であります。
 働く意欲がある障害者の方の数は年々増加しており、民間企業の法定雇用率が本年四月から二・〇%に引き上げられるなど障害者雇用の重要性は年々高まっており、社会が障害者の方を支えるという認識が広まっております。例えば大阪府箕面市のように障害者の方が社会的支援を活用しながら社会参画する、いわゆる社会的雇用に取り組んでいるという事例もございます。
 こうした環境のもと就労を希望される一人でも多くの障害者の方が働くことができるよう民間企業における障害者雇用を一層促進し、雇用率を上げていくことが喫緊の課題であると思います。六月には精神障害者の雇用を義務化する改正障害者雇用促進法が成立し、平成三十年四月からは法定雇用率がさらに引き上げられることが見込まれているなど今後も行政によるこれまで以上の取り組みが求められております。
 具体的には、企業に対する働きかけや支援を強化し障害者雇用の取り組みを促進する一方、障害者に対しましても就労機会の提供に努めるとともに、せっかく就労しても職場になれずに離職してしまうことのないよう職場定着支援を行うなどこれまで以上に支援を行うことが必要ではないかと考えます。
 そこで、障害者雇用率の改善に向けて県はどのように取り組んでいるか伺います。
 次に、災害時における避難勧告等について伺います。
 日本で起きる土砂災害は、温暖化の影響からこの二十年から三十年で一・五倍にふえていると言われております。県内においても平成二十四年度時点において八千二百六十九カ所の土砂災害警戒区域が指定されており、去る十月に土石流による被害に遭った大島と同様に甚大な被害となる可能性があります。
 これらの土砂災害を初め洪水、暴風雨などの被害から県民の命を守るため、災害対策基本法において、災害の発生時や発生するおそれがあるときは市町村長が住民に対し避難のための立ち退きを勧告、指示できるとなっております。この避難勧告、避難指示が適切に行われたか行われなかったかにより、犠牲者の人数は大きく左右されることと思います。県内の市町においてはマニュアルは作成済みとのことでありますが、その運用については不安を感じているところも見受けられます。
 過日、この避難勧告等に対する意識調査が報道機関によって実施され、避難勧告の判断に七割超の市町が負担感を持ち、最終判断は市町が行うが県や国の支援を強めるべきと回答した市町が二十六市町、七四・三%を占めたとの結果が紙面に掲載されておりました。これは避難勧告、避難指示が空振りに終わったり、避難をしたためにかえって災害に巻き込まれたりする心配などもあることから、大変難しい判断が市町に求められることによるものと思われます。
 また、避難勧告、避難指示を出すタイミング、時間帯、気象の予測、対象地域の設定が難しいと三十以上の市町が回答しております。
 そこで、避難勧告、避難指示について、県の市町への支援の現状と今後のあり方について伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 介護サービス提供体制の充実についてお答えいたします。
 静岡県では、これまで介護基盤緊急整備基金を活用するなどいたしまして特別養護老人ホームを初め高齢者介護施設の整備を積極的に進めてまいりました。しかし高齢化の進行などによりまして、県内には依然として多くの入所希望者の方がおられます。
 このため、市町が来年度策定される予定の第六期介護保険事業計画におきまして、団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年に必要な介護サービス量を見据えた上で中長期的視野に立って、待機者の解消に向けて積極的に整備計画を作成していくように働きかけてまいります。もって将来の介護ニーズに対応した高齢者介護施設の充実に努めてまいる所存です。
 介護職員の確保につきましては、雇用のミスマッチの解消に向けて就職人数が全国第一位の実績を誇る静岡県社会福祉人材センターを活用するなど各種就業促進策に取り組んでいますが、議員御指摘のとおり離職を防止することが極めて重要な課題です。
 このため私どもは、全国に先駆けまして若者が介護分野で夢や希望を持って長く働くことのできるように能力、資格、経験に応じた給与、処遇体系を定めるキャリアパス制度――キャリアアップして、かつ賃金が上がるという制度を全国に先駆けてその導入を促進しています。私みずからも関係団体の皆様とお目にかかり、直接要請するなど適切な処遇が行われる環境の整備を今進めているところです。
 さらにイベントではございますけれども、本年九月にふじのくにケアフェスタ二〇一三を開催いたしました。こうしたフェスタを通じまして介護技術の向上とともに、職業に対する誇り、やりがいなどの意識の醸成に努めているところであります。今後も介護職員を確保するため、離職防止に向けたこれらの施策を一層推進してまいります。
 離職が多くなるのは、どうしても仕事がきついということもございます。直接サービスには係りませんけれども福祉介護器具というものも必要でございまして、こうした福祉機器、介護機器というものの改善、改良ということも支援しております。例えば車椅子というのは多くのところで多用されるわけですけれども、この車椅子も通常その重さは十五キロぐらいです。これを五キロにまで減量すると。そうしますとかつそれが折り畳みになりますと、車にお乗せしたりおろしたりするときにとても付き添いされる方、介護される方が力が要りませんで助かるわけですね。こうしたところも現場に参りまして、そうした支援をしていくということもあわせてやっております。
 私どもとしましては県民の皆様が、必要な介護サービスを安心して利用できるように体制の整備に向けて全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 障害者雇用の促進についてお答えいたします。
 県では企業における障害者雇用を拡大するため、県内三地域で経営者を対象に雇用促進トップセミナーを開催したほか、障害者雇用に積極的に取り組んでいる就労応援団企業による講演会を年十二回、見学会を六回開催しております。
 また、五月に県内三地域で開催した就職面接会では企業九十四社、障害のある方四百三十一人が参加し四十六人の就職が決定したところであり、来年二月にも追加で面接会を行うなど企業と障害のある方の一層のマッチングを図ってまいります。
 さらに、障害のある方の受け入れや求人について助言する障害者雇用アドバイザーを拡充するとともに、職場定着を支援するためジョブコーチの派遣や在職中の障害のある方を対象にした対人スキルの向上、パソコン技能の習得等の職業訓練の充実を図るなど雇用から定着まで一貫したきめ細かな支援により、雇用の促進に努めてまいります。
 平成三十年四月からの精神障害者雇用の義務化に向けて今後セミナー等を活用し、障害の特性や雇用する上での配慮すべき点を紹介するなど精神障害者の雇用への理解を深めてまいります。
 今後も静岡労働局など関係機関と連携し、一人でも多くの障害のある方が就労できるよう企業への支援に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 小川危機管理監。
○危機管理監(小川英雄君) 災害時における避難勧告等についてお答えをいたします。
 避難の勧告や指示につきましては、発令に至る判断基準、対象地区と避難所及び情報伝達方法などを定めました市町ごとのマニュアルに基づき発令することとなっております。
 県では、市町の判断を支援するため気象警報発表時には予想される雨量や河川水位、土砂災害危険度などの基礎情報をリアルタイムで提供しております。またこれらの情報を活用し、市町が適切な判断を行うことができるよう気象研修会や市町の風水害版の危機管理演習などの機会を設け、市町職員の対処能力の向上を図りますとともに、災害の状況に応じた具体的な判断が可能となるよう平素からマニュアルの検証と見直しを市町に呼びかけております。
 しかしながら気象予報には不確実性がありますこと、夜間など災害の前兆を把握することが困難な場合があること、夜間や豪雨時には避難行動の安全性に配慮する必要があることなどにより市町において避難勧告などの発令をちゅうちょする場合もあるものと考えております。
 今後、県といたしましては、市長や町長の判断を補佐する職員を対象として地域特性に応じ、実災害への対応をテーマとした研修を実施しますとともに、実際に判断が求められる場合には気象台や国の河川事務所などの国の関係機関と県の土木事務所も含めた県の関係機関が連携し、積極的な情報提供を行い避難勧告等の判断が円滑に行われるよう働きかけてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇)
○三十一番(橋本一実君) 御答弁ありがとうございます。時間の関係もあって意見だけ申し上げさせていただきますが、まず介護サービスの提供につきましては知事からキャリアパス制度の周知ということで、ぜひこれはさらなる周知、取り組みの推進をお願いしたいと思います。
 また、車椅子の軽量化の支援をされているということで私もちょっとそれは知りませんでしたので、地域も本当に私の地域は熱海市で坂が非常に多いんですけれども、やっぱり車椅子の必要性というのは非常に高いものがありますので、ぜひそのあたりの推進もお願いをしたいと思います。
 そして、災害時における避難勧告につきましては、やはり大島町、そして東日本大震災の教訓を生かした――静岡県は防災先進県として声を上げておりますので――その辺の取り組み、また市町のバックアップをしっかりしていただきたいと、お願いを申し上げます。
 それでは次の質問に移ります。
 次に、企業局事業の課題と対策のうち、水道施設更新マスタープランについて伺います。
 今後、企業局が管理する工業用水道施設及び水道施設の多くが全面的な更新時期を迎えることとなりますが、更新に当たっては建設物価の上昇や管路敷地の市街化に伴う工事の困難さなどにより莫大な費用がかかることが予想されております。
 また、創設当初と比較して用水型産業の縮小や人口減少に伴い、受水企業や使用水量が減少していることから給水収益が低下し財源の確保が困難になることが見込まれる一方、施設能力には余剰が生じており、今後もこのような傾向は続くものと思われます。
 このような中、企業局においては適正規模で効果的な施設更新を図るため、今年度から平成二十八年度にかけて施設更新の基本計画である水道施設更新マスタープランの策定が進められています。施設の全面更新に当たっては、将来の水需要に見合った適正規模への転換が不可欠でありますし、更新時期についても費用負担などを考慮した計画的な更新が必要と考えております。またマスタープランが策定されれば水道施設の将来像が想定できますが、施設が全面更新されるまでは現施設において引き続き収益の低下や施設の老朽化といった状況の中で用水の安定供給が求められるわけであります。
 そこで企業局はマスタープランを策定した上で、どのような水道施設の整備や管理を行い施設の更新を図っていく考えなのか、所見を伺います。
 次に、工業用水道事業の経営改善について伺います。
 工業用水道事業は用水型産業の縮小、企業経営合理化による使用水量の減少などにより、給水収益は平成八年度以降減少傾向が続き、今後も工業用水使用水量の大幅な増加は見込めない状況にあります。収益の減少により各事業の経営は年々厳しくなっており、平成二十四年度決算でも中遠工業用水道事業など三事業では赤字経営が余儀なくされて累積赤字が膨らんでおります。この状態が恒常化すれば将来事業経営が行き詰まり、必要な施設更新ができなくなるなど将来にわたり用水を安定供給する責務が果たせなくなるおそれがあると考えております。
 一方で受水企業にとっては工業用水道料金の経費負担を抑えたいのが実情であります。受水企業が合理化の中でコストの安い他の地域へ生産拠点を移すケースも発生しております。企業局の工業用水道事業の使命は産業インフラの整備により県内産業振興に資することであり、景気が回復しつつあるとはいえ消費税増税などによる企業の経費増加が見込まれる状況の中、より安価な料金であれば企業の事業継続や新規進出の意欲を引き出す本県の魅力ともなります。工業用水道事業の経営改善は急務でありますが、県内産業振興の観点からも低廉で安定した工業用水を供給することが求められ、新規顧客開拓などによる収益増加と一層のコスト削減を図る必要があるものと考えます。
 そこで企業局では、今後工業用水道事業の経営改善にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、学力向上対策についてのうち、人的支援について伺います。
 今年度の全国学力・学習状況調査の結果、本県の小学生国語A問題が全国最下位であった問題は、結果として県民が子供たちの学力の状況について真剣に考える契機となりました。今こそ知事や教育長のおっしゃるとおりオール静岡により県民総がかりで子供たちの学力向上に取り組んでいくべきではないでしょうか。
 子供たちに真の学力をつけるためには、単なる教科の学習だけではない広範な取り組みが必要であります。以前私が訪問した清水小学校では、学校司書による読み聞かせの様子を拝見いたしましたが、子供たちが肩を寄せ合い目を輝かせながら聞き入っている姿が印象的でした。学ぶことの大切さ、楽しさを子供たちに伝えられるよう学校だけでなく、地域や家庭でも役割が期待されているところであります。
 しかしながら何といっても学校の果たす役割は最も大きいところであります。県教育委員会では緊急対策として学力向上対策本部を立ち上げ、対策に取り組んでいるところですが、その成果に大いに期待しているところであります。
 こうした中、財務省は平成二十六年度以降、小中学校の教職員を一万四千人削減するという方針を打ち出しているところで大変残念であります。静岡県教職員組合と連合静岡の共催で行った署名活動では、子供たち一人一人の多様な学びに柔軟に対応できるような豊かな教育環境を求める県民の声が本年度で二十五万、十年以上にわたる累計で二百八十六万を超える大きなものとなっております。教育は人です。教員が一人一人子供たちと向き合ってしっかりときめ細やかな指導ができる環境でなくてはなりません。教員の多忙化が言われて久しい中、教員に対する人的な支援が求められております。
 そこで、真の学力向上に向けた人的支援とその効果的な活用について、教育長の所見を伺います。
 次に、教職員の新規採用について伺います。
 学力向上のためには、学校現場の教員の質を高めることは何より重要であります。一方、昨年の県議会で私が指摘したところでもありますが、学校現場には多くの常勤、非常勤の講師が配置されており、少なからぬ人数の講師が学級担任を受け持つなど本務教員と同様に活躍をしております。何年も講師を続け豊富な経験を持ちながら採用試験に受からず、正式採用にならない講師の方を何人も知っております。彼らは大卒で経験のないまま採用される教員よりも子供に接する技術ははるかに大きいはずです。こうした人材を正式な教員に吸い上げて活用する仕組みが必要ではないかというのが私の持論であります。もちろん教諭には高い資質が必要であり教諭の士気が下がらないような配慮も必要でありますが、他県の例もありますので、ぜひ実現していただきたいと思います。
 また、講師の必要性については教諭の産休・育休などまた最近では疾病特休をとる方も多くなっているのが現状のようでありますので、しっかり講師も充足していただきたいと思います。
 いずれにせよ、講師の登用の制度改正を含め教職員の新規採用についての教育長の所見を伺います。
 最後に、ストーカー犯罪に対する対応の強化について伺います。
 本年十月、東京都内で女子高校生が元交際相手の男性に殺害されるという痛ましい事件があったことは記憶に新しいところです。報道によれば被害者は、つきまとわれていることを警察に相談しながら結果として最悪の被害に遭ったというものでありました。平成二十三年に長崎県や神奈川県で相次いで発生したストーカー殺人を教訓に本年十月改正ストーカー規制法がスタートいたしました。
 この法律では、つきまとい行為への取り締まりの強化が図られるとともに、被害者の住所やつきまといの現場を管轄する警察の双方が警告を出せるようになるなど被害者の徹底保護や各警察間の連携が強化されました。
 ストーカー問題は個々の当事者間に複雑な関係があり、その対応に当たっては一律にスムーズに解決に至るものばかりではないと考えておりますが、少なくとも被害者の切迫感と現場警察官との温度差があってはならず、相談を受けた初期的段階における対応が極めて重要であると考えております。日常的なストーカー行為が凶悪事件にまで行き着いてしまうというのが昨今の著しいケースでありますが、このようなストーカー相談が警察に寄せられた場合、具体的にどのような対応をしているのか伺います。
 今後、このような事件を本県で発生させないためストーカー犯罪の対応強化策について伺うとともに、ストーカー相談を適切に受け迅速に組織的な対応をとることができるよう現場警察官に対してどのような教育や訓練等を行っているのか、あわせて警察本部長に伺い、以上答弁を求めたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(渥美泰一君) 白井企業局長。
○企業局長(白井 滿君) 企業局事業の課題と対策についてのうち、まず水道施設更新マスタープランについてお答えいたします。
 企業局では、現在将来の水需要に見合う適正な施設規模への更新のための基本計画である水道施設更新マスタープランを策定しております。これまで企業局では、管路の全面的な更新の目安を建設後おおむね六十年と想定して維持管理を行ってきましたので、このマスタープランができましても実際に更新整備に着手するまでにはしばらく時間があります。全面更新までの間は施設をできるだけ長く使用し費用を抑えつつ内部留保資金を蓄える必要がありますことから、アセットマネジメントの考え方に基づき、定期的な点検や管体調査等により老朽化や腐食の進行の程度を見ながら必要最小限の整備を実施して施設の長寿命化を図ってまいります。
 こうした取り組みにより耐用年数を迎えつつある施設を適切に維持管理するとともに、全面更新の際にはマスタープランに基づき、費用の最適化と支出の平準化を図ってまいります。
 次に、工業用水道事業の経営改善についてであります。
 産業構造の変化や用水型産業の縮小により工業用水の使用量が減少する中、企業局では組織体制の見直しによる定員の削減や維持管理業務の民間委託、新たな顧客の開拓など経営改善に積極的に取り組んでまいりました。また東日本大震災や歴史的な円高を背景とした大手製紙企業の生産規模縮小による給水収益の大幅な減少や電気料金の値上げ等による経費の増加に対応するため、平成二十四年二月に企業局改革プランを策定し、より一層の運営コストの削減に取り組み、経営体質の強化に努めてきたところであります。こうした取り組みによりましてもなお多額の累積赤字を抱える工業用水道事業につきましては、受水企業の皆様に経営状況を丁寧に説明し御理解を得た上で料金を適正な水準に見直し、経営基盤の強化を図ってまいります。
 来年度から始まる第三期中期経営計画におきましても引き続き工業用水の需要の掘り起こし等による収益増に積極的に取り組むとともに、人員の削減や施設の長寿命化による整備費の縮減、浄水場発生土の利用拡大などにより運営コストの削減を図ってまいります。
 また、比較的小規模な工業用水を対象として包括委託や指定管理者制度の導入の可能性についても検討してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 学力向上対策についてのうち、まず人的支援についてお答えをいたします。
 先月十一日に県と市町の教育長代表者会から学力向上に向けた提言が出され、その提言の中に子供の学びを支える取り組みの支援がありました。これは外部人材を活用した補充学習などの取り組みに対する支援を念頭に置いたものであります。
 現在一部の市町では放課後学習支援等を行っておりますが、このような取り組みは学校の現場にゆとりを生み教材研究が一層充実したり、今まで以上に子供の学びに寄り添うことができたりといった、さまざまな効果が期待できます。
 県教育委員会といたしましては、文部省が概算要求をしております外部人材活用による地域ぐるみの教育再生事業を活用して人的な支援を行ってまいりたいと考えております。さらに本年度末の人事異動において、指導力や専門性にすぐれ魅力ある授業づくりの推進役となり得る教員の配置を積極的に進めてまいります。今後も学力向上に向け授業改善や教員の指導力向上を図るとともに、効果的な人事配置や人材の活用に努めてまいります。
 次に、教職員の新規採用についてであります。
 議員御指摘のとおり、全国的には教職経験のある受験者を対象に一次試験を免除する選考を実施している県などもありますが、そのようなところでも二次試験において教科専門の筆記試験や模擬授業を行うことなどにより、教職員としての資質能力を判断しております。本県では教職経験者を対象とした特別選考を設けておりますが、この選考は教職・一般教養試験のかわりに課題作文を実施することで現在学校に勤務している講師が日ごろの教育実践で培った力をより発揮できるようにしております。また来年度は、新規採用者数をふやし、本年度より約八十人増の九百人の採用を予定しております。なお教諭の産休・育休等により休む場合には、講師の任用は不可欠であり、確実に任用しているところであります。
 今後も選考試験としての平等性を保ちつつ、即戦力となる人材を確保するために教職経験者の特別選考の方法について工夫するとともに、新規採用者数の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
○警察本部長(島根 悟君) ストーカー犯罪に対する対応の強化についてお答えいたします。
 初めに、ストーカー相談が警察に寄せられた場合の対応についてでありますが、相談を受理した際は直ちに署長へ報告され、署長指揮のもと相談者の意向を踏まえつつ関連警察や関係機関と連携し、相談者やその家族等の安全確保を最優先とした保護対策及び加害者に対する措置を迅速に行っております。昨年はストーカー相談を五百十三件受理し、行為者に対して口頭警告のほか書面警告四十五件、禁止命令五件、傷害や暴行等により四十三件を検挙するなどしており、また相談者に対してはその意向に応じまして一一〇番通報があった場合に相談状況が即時にわかり、対応できるシステムへ登録をいただくなど援助措置を三百十二件実施しております。
 次に、ストーカー犯罪の対応強化策及び現場警察官に対する教育等についてであります。ストーカー事案については、最悪の事態を常に念頭に置きつつ事案の危険度、切迫度を的確に判断することが重要であります。そこで相談の対応処理の都度その時点の危険レベルをチェックさせるなどして、迅速な組織対応が図られるよう警察署に対する指導を行っているところであります。
 現場警察官に対する教育等については、各警察署においては署員を集めた研修や現場対応時の個別指導等を継続的に行い、また本部におきましては警察署に対する巡回指導や研修会を行うほか警察署が対応した全てのストーカー相談について、その受理・処理状況を点検し必要な指導を行っております。
 このほか昨年からですが、警察本部と警察署の連携によるストーカー事案を想定した初動対応訓練を実施しており、一一〇番通報の受理をし関係部署への手配、現場臨場、相談者や家族等の保護、加害者の検挙といった措置について実践的訓練を行うなど迅速的確な対応がとれるよう教育や訓練の推進に努めております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇)
○三十一番(橋本一実君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、企業局事業の課題と対策について意見をさせていただいて、再質問をさせていただきます。
 まず午前中、工業用水道の関係につきましては、料金の見直しについての言及がありました。大変厳しい情勢の中で、やはり料金の見直しということでありますので、この工業用水道事業の赤字という部分については、その話になるとやはり企業のほうもなかなか正直な胸の内というのは言えなくなる部分があるのかなというふうに思います。ですのでできるだけ料率については抑えていただきたいなというふうに思うわけでありますが、現在どのようなその料率については協議の状況なのか。その点一点お答えいただきたいのと、あと水道施設更新マスタープランについてですが現在その作業を進められているわけですが、このマスタープラン策定に当たっては基本的な事項として企業経営の原則から供給水量を定めなければ施設の規模の確定ができないわけであります。その供給水量については、受水企業、受水団体の水需要量をもとに将来展望としたプランにするべきであると私は考えているわけでありますが、その認識で正しいかどうか、そのあたりを局長にお伺いしたいと思います。
○副議長(渥美泰一君) 白井企業局長。
○企業局長(白井 滿君) 企業局事業の課題と対策についての再質問にお答えをいたします。
 工業用水の料金改定の協議の状況でございますけれども、七つの工業用水の中で一番大きな累積赤字を抱えております中遠工業用水と二番目に大きな湖西工業用水について必要な料金水準への改定の協議を行っております。中遠工業用水につきましては五十四年の七月から給水を開始しましたが、五十九年までの間で段階的に料金を定めました。五十九年以降の給水を開始をした企業につきましては一立米当たり二十六円ということになっておりますが、五十四年の十一・七円から始めて段階的になっております。そのまま三十年を経過しておりますので、この段階的な料金制度については一律二十六円にするように見直しをお願いをしているところであります。
 それから湖西工業用水につきましては、豊川用水の水を使っております豊橋の東三河工業用水の料金と同じ料金を目指すということで、現在一立米当たり二十六円のものを豊橋市内の企業と同じように三十二円という水準にお願いをしたいということで、経営状況を説明をしながら企業の皆様の御理解を得るべく努力をしているところでございます。
 それから、マスタープランについてでございますが、お話のとおり将来の水の需要を見越した上でその必要量に合わせて適切な規模での更新計画を立てるということでございます。現在のところ水の需要が大変減っておりますので、将来的にも現在の施設規模からは相当ダウンサイジングをするような計画を立てていくのではないかというふうに見込んでおります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 橋本一実君。
       (三十一番 橋本一実君登壇)
○三十一番(橋本一実君) 御答弁ありがとうございます。
 それでは最後に要望として、ぜひ料金見直しについては、企業の声をしっかりと聞いていただきたいと。それと同時に水道施設更新マスタープランのほうは受水団体の受水量の希望をもとに計画を進めていただきたいと要望して質問を終わります。(拍手)

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