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令和4年12月静岡県議会定例会
鈴木 節子 【 討論 】 発言日: 12/01/2022 会派名: 日本共産党静岡県議会議員団 |
○議長(藪田宏行君) これから討論を行います。
通告により、一番 鈴木節子君。
(一番 鈴木節子君登壇)
○一番(鈴木節子君) 日本共産党の鈴木節子です。
認定に付託されております二〇二一年度静岡県一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算十一件、公営企業決算五件の計十七件のうち、一般会計歳入歳出決算、国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の二件について反対し討論いたします。
まず初めに、二〇二一年度会計の決算に関わり国政と国民生活の特徴に触れておきます。
この年は、新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックの収束どころかさらに拡大し、命と暮らし、雇用、地域経済など社会生活全般が脅かされ続けました。感染爆発と医療崩壊を絶対に引き起こさないコロナ対策の強化が求められましたが、ゴー・トゥー・キャンペーンの実施、オリンピック・パラリンピックを強行した結果感染爆発を引き起こしました。医療が迫し症状が悪化しても入院できず、原則自宅療養という方針によって自宅で亡くなる方が相次ぐ重大な事態を招いてしまいました。
コロナ危機で所得が減少し生活が困窮した人も少なくありません。また中小業者の休廃業、倒産も増加し地域経済は大きな打撃を受けました。物価高騰が続く要因は日銀の異次元の金融緩和政策に伴う円安誘導と輸入価格の上昇、それに加えロシアのウクライナ侵略に対する経済制裁による複合的なものです。国民の強い批判を受け菅政権から岸田政権に交替しましたが、医療、暮らしなど国民の悲鳴に応えたとは言い難い国政運営となりました。
こうした国政の下、本県は牧之原市の突風被害、東部の大雨による浸水被害、熱海の土石流被害と県下に甚大な災害被害が発生し被災者支援、防災力の強化が試された年となりました。
では、二〇二一年度の県政運営について反対理由を申し上げます。
まず、静岡県一般会計について反対理由を述べます。
第一に、原発推進予算が含まれていることです。東京電力福島第一原発事故では大量の放射性物質が放出され社会に甚大な被害をもたらしました。事故から十年以上たちますが収束とはほど遠く、今なお原子力緊急事態宣言下にあります。世論調査では一貫して再稼働反対、原発ゼロが国民多数の声となっています。
それにもかかわらず、政府はタンクにためている放射能汚染水を海洋放出すると決定し農協、漁協、森林組合など被災地の声を無視する暴挙に出ました。また原発を唯一の重要なベースロード電源と位置づけ迅速に再稼働させる計画を打ち出し重大事故の危険を顧みない行為です。
こうした国策の下、川勝知事が浜岡原発は再稼働が実現できる状況ではないと表明し続けていることを我が党は支持をしております。しかし原子力発電広報対策事業費、電源立地地域対策交付金事業費等原発を推進する予算は認められません。世界で一番危険と指摘をされる浜岡原発は再稼働させず廃炉にすべきです。再生可能エネルギーを抜本的に普及させることにこそ力を入れることを求めます。
第二は、地域医療構想の国策の下、病床削減に向けた予算が含まれていることです。地域医療構想はそもそも地域医療の不採算部門を担う公立病院等を再編の標的にして病床の大幅削減や統合を迫る懸念があります。政府はこれまで病床削減、病院統廃合、医師数抑制を進めてきた結果医師、看護師、スタッフの配置が薄く高度医療や専門医療に対応できる機器や設備は限られ常にぎりぎりの状態を強いられる現在の医療体制がつくられました。そうした余裕のない医療体制の脆弱さがコロナ危機によって明らかになったにもかかわらず、地域医療構想に基づいて高度急性期・急性期病床を減らす計画で四百を超える公立・公的病院の淘汰を進めるよう自治体に圧力をかけています。
二〇二一年度は病床削減推進法を強行し、消費税増税によって得られた財源を使い病床を削減した医療機関に補助金を出す仕組みまで導入しました。本県は二〇二〇年度から二〇二一年度の間一年間で高度急性期と急性期病床が千九十九床も減らされました。必要な手だては医療体制を支える医師、看護師のマンパワー確保の具体化に着手し地域医療構想推進を中止し地域に必要な医療体制を構築することです。
第三は、必要性が問われる大型公共事業費です。
その一つが沼津駅周辺総合整備関連事業費です。道路と鉄道を立体交差化し交通混雑や南北市街地の分断を解消するという説明です。しかし本事業はバブル期の構想で、その後社会経済環境が激変し人口減少社会を迎える中、地域のまちづくりに逆行することは明らかです。
二つ目は、遠州灘海浜公園篠原地区に大規模な野球場を選定し公園基本計画策定と環境影響予測調査が実施されたことです。県民はプロ野球を呼べる球場を要望する一方で、少年野球やアマチュア野球、中高生が使える野球場を望み大きな野球場は不要との声もあります。この地域は南海トラフ大地震が発生すれば巨大な津波が押し寄せる津波浸水地域です。防波堤を乗り越えて津波が押し寄せ数万人規模の観客が無事に避難できる保障はない地域です。立地上の問題に加え財政が迫する中、大規模野球場建設が果たして必要か再検討すべきです。
続いて、国民健康保険事業特別会計について述べます。
国民健康保険の都道府県単位化から四年目となり国保の効率化、標準化、広域化の指導がより強化されました。国の指導の下で給付費削減を一体的に進めることが狙いです。その下で一般会計からの繰入れ解消、収納率向上、医療費削減が強引に進められました。さらに二〇二〇年度から法定外繰入れ削減や保険料収納率、給付費適正化の努力に応じ交付金を増減するペナルティー措置が加わりました。改定された国民健康保険運営方針は保険料水準について医療費水準の平準化、賦課方式の統一、収納率引上げ、一般会計からの繰入れ解消を強め二〇二七年度までに保険料水準を統一することを決めました。統一されれば国保料が高いほうに引き上げられるおそれがあります。都道府県単位化からこの間、既に県内の六割の自治体が国保料が引き上げられています。大幅、連続値上げとなれば住民の暮らしを一層脅かすことになる国保運営は容認できません。
以上、二〇二一年度歳入歳出決算認定に当たり認められない理由を申し上げ討論といたします。
○議長(藪田宏行君) 以上で討論は終わりました。
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