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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鳥澤 由克 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 農業の未来を見据えた研究開発について
2 総合的ながん対策の推進について
3 新たな住民支え合いの取り組みについて
4 水道施設の老朽化への対応について
5 休日の分散化への取り組みについて
6 富士山周辺における廃棄物不法投棄対策への取り組みについて


○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八号から第百九号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、七番 鳥澤由克君。
       (七番 鳥澤由克君登壇 拍手) 
○七番(鳥澤由克君) おはようございます。
 私は自民改革会議所属議員として通告に従いまして、知事及び関係部局長、教育長並びに警察本部長にお伺いをいたします。
 初めに、農業の未来を見据えた研究開発について伺います。
 本県は、温暖な気候に恵まれお茶とみかんは本県を代表する農産物でありその樹園地の面積は日本一となっております。また平野部ではイチゴやバラ等の野菜、花卉の施設栽培が盛んで一大産地を形成しております。このような特色を持つ本県農業でありますが、東日本大震災による影響や気候変動、TPPに象徴される国際化の進展等に加え農業者の高齢化など最近の農業を取り巻く情勢は厳しさを増しております。しかしながらこのように大変な時期だからこそ、新たな視点から農業を見詰め直して農業経営に取り組むことが大切だと考えております。私の地元の裾野におきましても、耕作放棄地を利用して栽培をしたソバをあしたか山麓裾野そばと称しまして特産化することに地域の農業者や関係機関が一丸となって取り組んでおります。地域農業の振興につながることと期待されているところでございます。
 県の試験研究機関は、このような農業を活性化する取り組みを推進するため技術的課題の解決を行っていることを承知しております。私が承知している静岡発のこれまでの大きな研究成果として、植物病理分野でのメロンに発生したウイルス病の原因を世界で初めて明らかにし、また畜産分野と医療分野の連携において医療用に適した極小ミニブタの作出にも世界で初めて成功したと聞いております。最近では、イチゴのトップブランドとなっている「紅ほっペ」の品種育成や施設園芸でのヒートポンプの利用技術の開発等を行っております。また新しい取り組みとして異業種との連携を強化するための商工業者との意見交換会を毎年開催し、六次産業化を目指した商品開発に取り組み、その成果として製造コストが大幅に圧縮された新しい粉末緑茶が開発され、お菓子の材料や自動給茶機に使われ始めていると聞いております。これらの成果が農業生産性の向上、ビジネス経営体の育成につながることで本県農業の構造改革が着実に進んでいくと期待しております。しかし今後の本県農業の安定的な発展を考えると、異業種からの新規就農者や農業を志す若者が未来に夢を持って農業経営に取り組める環境を整備することが重要だと思います。そのためには革新的な農業技術や新商品の開発により生産性や品質を飛躍的に高め、産業として自立した農業を確立することが必要であります。
 先日、京都大学の山中教授がノーベル賞を受賞しましたが、教授が開発したiPS細胞は難病に苦しむ患者やその家族に病気を克服できるという大きな希望をもたらしました。これは医学での事例ですが、農業では若い農業者が夢を持てるように農業の未来を見据えた研究開発を今後どのように取り組むのか、県の所見を伺います。
 次に、総合的ながん対策の推進について伺います。
 がんは、日本では昭和五十六年から死因の第一位であり、本県においてもがん患者数は推計で約四万四千人、平成二十三年にはがんにより約一万人が亡くなられております。全国と同様に死因の第一位となっていることから、がん対策の推進は県民の生命と健康にとって大変重要な課題であります。こうした中、本県では平成十四年の県立静岡がんセンターの整備により先進的かつ高度ながん医療が提供され、平成二十年四月からは新たに策定した静岡県がん対策推進計画によりがん診療拠点病院の整備や喫煙率の半減等が図られ、がんの七十五歳未満の年齢調整死亡率は平成十七年の八六・二%から平成二十三年の七九・六%に減少するなどの成果が見られます。しかしがんは早期発見、早期治療が重要と言われる中で、本県のがん検診の受診率については少しずつ向上しているものの、現計画の目標である五〇%には届かないと聞いておりますことからがん検診の受診率向上は重要な課題の一つと考えます。また私の身近にもある日突然がんで余命半年と告げられた方がいましたが、その方はやはり最期は住みなれた自宅で家族と一緒に療養生活を送りたいと強く願っておられました。私は県内にはこのような方が多くいらっしゃると思っておりますが、実際は私の知り合いと同様に多くの方が病院で亡くなられているのが現状です。このため患者が住みなれた自宅で最期まで生活できるようみとりを含めた在宅緩和ケアの充実も今後の課題と考えております。
 一方、国においては、平成十九年に策定しましたがん対策推進基本計画が策定から五年経過したことから、がん対策基本法に基づく平成二十四年度から平成二十八年度までの五年間を計画期間とするがん対策推進基本計画が平成二十四年六月八日に閣議決定されたところであります。この国の新計画では、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施等を基本方針に働く世代や小児へのがん対策の充実などを重点的に取り組むべき課題に位置づけ、がん患者を含む国民ががんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会を目指すとしており、この基本計画に沿って都道府県においてはがん対策推進計画を見直し、来年度からはがん対策の取り組みをより一層充実強化することが求められております。
 そこで、本県においては国の新計画等を踏まえて県のがん対策推進計画をどのように見直すのか伺います。また特にがん検診の受診率及び在宅緩和ケアの課題に対して具体的にどのように推進していくのか伺います。
 次に、新たな住民支え合いの取り組みについて伺います。
 急速な少子高齢化の進行に伴う家族形態の変化やライフスタイルの多様化等により、ひとり暮らしの高齢者や障害をお持ちの方、親と同居していない子育て世帯など近隣や親族との関係が希薄で地域社会から孤立化する住民が年々増加をしております。これらの方々が孤立化するのは、地域で生活していく上でさまざまな情報や人との交流を求めているにもかかわらず、地域での交流や活動に参加誘導する環境が不足し住民相互で支え合う力が弱体化しているのが大きな要因であると私は考えます。そのような中、コミュニティー・カフェ、まちの縁側など呼び名や形態はさまざまありますが、誰もが気軽に立ち寄り自由に触れ合うことのできる場を提供する取り組みが注目をされております。
 既に県内においても幾つかの先駆的な取り組みが見られます。
 先日、私が静岡市内で見学に伺ったところでは、ふらっと訪ねてきた男性同士が囲碁を打ち始め、地域の方から寄贈された卓球台で試合を楽しまれている女性の姿が見られました。また伊豆地域には食堂や装飾品の販売もあわせて行っているところがあり、そこは観光の拠点としてまちのにぎわいを創出するにとどまらず地域の高齢者の雇用や生きがいづくりにも一役買っているとのことです。今後高齢化のさらなる進行が見込まれる中、公的な福祉サービスに頼るだけではなく住民同士、困ったときにはそれぞれが可能な範囲で手助けし合うことがますます必要になってきます。かつての地域には、映画「ALWAYS三丁目の夕日」にも描かれたように自分の家族だけでなく他の家族のことも気にかけながら時には余計なおせっかいをしつつ、困ったときには気軽に助けを求めるという持ちつ持たれつの濃密な人間関係がありました。これを現代に復活させることは無理にしても、お互いのプライバシーや個性を尊重しつつ時代に合った形で再び隣近所の人間同士が心を通い合わせる関係をつくり出すことは可能ではないでしょうか。
 こうした地域住民による支え合いの再生に向け、住民に出会いのきっかけを提供し活発な交流を誘発する場を県内に数多く生み出す必要があると考えますが、県では今後どのように取り組んでいかれるのか、所見を伺います。
 次に、水道施設の老朽化への対応について伺います。
 昨年十二月に発生しました山梨県の中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故は、老朽化した社会資本の危険性を浮き彫りにいたしました。この事故を契機に私自身もトンネルだけでなく道路、橋、上下水道など老朽化が進む社会資本に対する維持管理の重要性について再認識をしたところであります。
 そこで、私は、社会資本のうち特に私たちの日常生活に深いかかわりのある水道施設に焦点を絞って質問をしたいと思います。
 企業局では、現在駿豆水道事業を初めとする三つの水道事業により八市二町に水道用水を供給しています。また柿田川工業用水道事業を初めとする七つの工業用水道事業により三百七十余の事業所に工業用水を供給しています。言うまでもなく水道用水は私たちの飲料水等として使用され、工業用水は企業の生産活動を行う上で欠かせないものであります。その一方で企業局が管理する水道施設のほとんどは昭和三十年代から五十年代に整備されたと承知しております。管路の老朽化が進めば腐食や亀裂が生じ漏水につながることもありますし、ポンプ設備が故障すれば水を送ることができなくなるおそれもあります。
 私は、漏水等の事故を未然に防止し安定的な給水を行うためには計画的に保守点検を行う必要があると考えますが、企業局における現在の対応について伺います。
 さて、今後水道施設の老朽化がさらに進めば施設の更新が必要となります。企業局の水道施設における当初の整備時期を考慮すると、近い将来多くの水道施設が集中的に更新時期を迎えることになります。管路だけでも水道、工業用水合わせて七百キロメートル余の延長がありますし、その上ポンプ設備等のさまざまな設備を更新し整備することになれば多額の経費が必要となり、企業局の経営にも大きな影響があるものと思われます。また長引く景気低迷の影響や節水意識の高まりを受け水道及び工業用水道の使用水量が減少していることから、これまでどおりの施設規模でよいかどうか検討する必要もあるのではないでしょうか。
 こうしたことを踏まえ、企業局では水道施設の更新についてどのように対応していくのかあわせて伺います。
 次に、知事のマニフェストの中から休日の分散化への取り組みについて伺います。
 知事は、マニフェストの中で小学校学区単位で一週間程度の休暇をずらして与え休日の平準化・分散化を実施するとされておられました。このことに関して知事は平成二十一年十二月の本会議において実行困難な政策項目であると御自身が認められておりますが、いまだ実現に至っておりません。休日の分散化については国レベルでも法案化の検討がされては見送られてきた経緯があり、社会全体に大きな影響がある大変難しい課題だと感じています。休日の分散化を実現するためには、学校だけを休みにすれば済むことではなく子供たちの受け皿となる社会全体の対応が必要となります。平成二十二年に島田市が国の休暇取得・分散化実証実験として行った際でも十月の連休を利用して市全体で四日間でございました。これを一週間程度で小学校学区単位としたその実現の困難さは大変なものでしょう。休日の分散化のマニフェストは県民との約束として短期間での実現はできないまでも、児童生徒と保護者の家族とがまとまった時間を過ごすことが必要なのは理解できるところであります。とかく経済政策としての側面で語られがちな休日の分散化ですが、私は家族が一緒に過ごすことで心豊かな体験を実現できる社会を目指すべきだと思います。
 そこで、学校の休日の実情と児童生徒が家族とともに過ごす時間を確保する取り組みについて現状を伺います。
 次に、富士山周辺における廃棄物不法投棄対策への取り組みについて伺います。
 富士山の世界文化遺産登録の可否がことし六月にいよいよ決定されます。私の地元である裾野市では、この登録を目指す富士山の構成資産の一つである須山浅間神社を昭和四十一年以来四十五年ぶりに大改修し、ことし三月には記念碑の除幕式を行うなど登録決定に向けた祝賀ムードが既に盛り上がりを見せております。富士山は国民の財産また日本が世界に誇るシンボルであり、私も必ずや今回世界文化遺産に登録されるものと確信しているところでありますが、本県ではこの遺産登録に向けた準備の一つとして、これまで山梨県と連携した環境保全対策に地道に取り組んでまいりました。周知のとおり平成十年に静岡・山梨の両県で定めた富士山憲章に環境保全を盛り込むとともに、清掃活動や廃棄物パトロールなどのごみ対策、登山者へのマナー啓発及び植樹活動などにも尽力をされていると聞いております。富士山の美しい自然を守るためのさまざまな取り組みが行われてきたのであります。
 私の地元の裾野市でも、富士山関連の十団体が参加し設立された富士山世界文化遺産裾野市民協議会等が富士山及び周辺の清掃活動を行うなど市民レベルでの活動を活発に繰り広げてまいりました。
 そうした中、県警においても、地元の沼津警察署を初めとする富士山麓を管轄する五つの警察署が連携して富士山麓クリーン作戦を強力に推進し、廃棄物不法投棄への取り締まりを強化していただいていると承知をしております。しかしながら広大な敷地面積を持つ富士山麓において、警察の取り締まりを巧みにかわし、いまだ廃棄物を不法に投棄する悪質な業者等があるのも事実であります。県警には引き続き廃棄物の不法投棄には厳しい姿勢で取り組んでいただき、富士山の環境保全の一翼を担っていただきたいと思います。
 そこで、県内における環境犯罪の現状と富士山周辺における廃棄物不法投棄対策への今後の取り組みについて、警察本部長の所見を伺います。
 以上、一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鳥澤議員にお答えいたします。
 初めに、農業の未来を見据えた研究開発についてであります。
 県では、ふじのくに静岡県産業の新しい成長を目的にいたしまして人材や予算など重要な政策課題の解決に集中させる新成長戦略研究を実施しています。農業はその対象でございます。まずは休耕地の解消、また新しい品種の開発、さらにまた農業への新しい企業の参入、そして農業者の育成等多面的に取り組んでいるところでございます。
 そうした中、農林技術研究所では、本県農芸品のブランド化を推進しています。すぐれた品種の開発というのがブランド化の根本でございます。そのうちの一つ、イチゴ「紅ほっぺ」はこの一両年で皇室のお口にも届くことができました。さらにまた現在ただいま一月十五日から三月十三日、二カ月にわたりまして池袋の東武百貨店の十一階から十五階のいわゆるレストラン街を全館通しまして紅ほっぺスイーツフェアが開催されて、それが県内生産の主力品種となって高い市場評価を得ております。この間私もこの東武の社長根津さんとお目にかかりまして、根津さんによれば大体の農産物は鹿児島から来ていると。しかしながら鹿児島は農産物の数は百六十種類で、うちは百六十七でしかも近いということで、そのことを御存じなくて、それでは静岡県と、一気にやめるわけにはいかないので鹿児島県とあわせて展示する方法で検討すると。そういうお話もこの間ちょうだいしたところでございます。
 あるいは、ラベンダーの香りのするマーガレットとして世界で初めて育成した品種「風恋香」は、先月関東東海花の展覧会を開催いたしましたところそこで展示することができまして、御臨席賜りました秋篠宮殿下また同妃殿下が直接にその香りを嗅がれて高い御関心をいただいた次第でございます。マーガレットというのは全品種が全国で六十六ほどあります。そのうちの二十七品種は本県にございます。
 さらに、日本酒製造用の酒米として開発した「誉富士」というのは、このたび統計をとりますと県内二十三の酒造メーカーで採用されるに至っております。生産者とメーカーとが連携して育てる地酒として期待されているところでございます。ちなみに「誉富士」のブランドのマークは静岡文化芸術大学の学生がつくったものでございます。
 現在、農林技術研究所では、農業の将来を見据えた研究開発にこれまで以上に力を入れて取り組んでおります。先ほどのイチゴにおきましては、「紅ほっぺ」に続く新しい品種の育成やそのほかクリスマス時期の出荷を見据えた開花調整技術や果肉を傷めない箱詰めロボットの開発などを進めているところでございます。またメロン栽培におきましては、これまでのヒートポンプを活用した冬場の省エネルギー対策技術に加えまして、現在では夏場の対策として夜間の温度管理による品質向上技術の開発を行ってそれなりの成果を上げております。夜間に二度下げる、しかし品質に異常を来さないというそういう結果を得ております。
 さらにまた、本年度茶業研究センター内に発酵茶の製造研究施設を整備いたしまして、茶農家の皆さんとの連携によりまして今までにない豊かな香りと健康効果を持つ静岡型発酵茶の開発も進めています。
 先日、農業分野の研究員など十二名をその功績によって表彰いたしました。今後とも職員の能力を結集するとともに連携協定を締結している静岡大学などとの産学官連携研究を活用いたしまして、若い農業者が夢を持てるように農業の未来を見据えた研究開発に取り組んでおります。
 農業もものづくりです。通常ものづくりというと二次産業、工業製品ということでございますが、工業製品におきましては品質を高く、価格を安くというそういう形で製品をつくり上げます。しかし農産物につきましては、低コストで品質を高くし高価格でお売りするという戦略です。コストを下げる、品質を上げる、品質を上げることによってブランド化を図る、ブランド化が図られた農芸品は高価格で売れると、こういう戦略で取り組んでおります。まさに六次産業化でございまして、つくってよし、売ってよし、食べて幸福ということで、この農芸品につきましては食と農の改革につきましては極めて大きなうねりが出てきておりまして、吉林経済産業部長ほかチーム一体となって取り組んでいるところでございます。
 次に、総合的ながん対策の推進についてであります。
 本県では、全国トップクラスの医療水準を誇る静岡がんセンターと県内の十八のがん拠点病院が連携いたしまして、高度ながん医療体制を整えております。特に静岡がんセンターにおきましては国のモデルになったよろず相談というのがございます。これは全国一の表彰をいただきました。また地元法人会と連携したがん患者の就労支援、がん専門病院初のリハビリテーション科の設置、歯科医師会と連携した口腔ケアの推進など全国に先駆けて取り組んでおります。口内にがんができますとその後歯ブラシを使うのが非常に難しくなります。がんの手術をした後も痛くなく口内を健康に保てる、清潔に保てる、そうした歯ブラシをつくることに成功しているというのが先ほど申しました口腔ケアの推進でございます。
 今回の国のがん対策推進基本計画を見ますと、本県でのこうした取り組みが新しく盛り込まれているのでございます。まさに本県のがん対策の先進性を示すものであるということで、大変関係者ほか誇りに思っているところでございます。静岡県がん対策推進計画の見直しに当たりましては、国の計画に新しく盛り込まれました小児がん対策や在宅緩和ケアにつきましても盛り込みまして、県内のがん拠点病院等の協力をいただきながら今後ともがん医療の先進県としての確固たる地位を確保してまいりたいと考えております。特に緩和ケアにつきましては従来がん拠点病院などを中心に実施しておりましたが、今後は県民の住みなれた御自宅で最期まで療養生活が送れますように診療所医師等の人材育成を通じまして在宅緩和ケアの実施体制を強化してまいります。
 また、がんは早期発見、早期治療が大変重要です。全ての市町で、がん検診の未受診者の一人一人に対しまして受診を強く働きかけることによりまして受診率の向上を図ってまいります。医療の進歩によりがんは予防できます。治療ができるという病気になったと認識しております。今後も本県のがん治療が全国トップのクラスを維持すること、また県民一人一人にはみずから積極的に生活習慣の改善とがん検診を受診していただくこと、これらを目標に県と県民が一体となってがん対策に全力で取り組んでまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げますが、教育長に御質問の休暇の分散化でありますけれども、これは私自身も大臣から招かれまして休暇改革国民会議というもののメンバーとして新日鉄の当時の代表取締役会長であった三村さんほか各界の人たちとやりまして、御案内のようになかなか難しい。しかしながら先生のような県議の先生方あるいは最近の情報産業に従事されている方々などは、子供たちと接する機会を持てるそういう職業です。学校の先生も春休み、夏休み、冬休みに持てます。そうした産業がふえているというふうに認識しております。一億総サラリーマン化の時代から、職業によってだんだんとお父さん、お母さんが家庭にいられるそういう職業もふえているということで、私は大事なことは休暇を分散化してそれを上から押しつけるということではなくて、お父さん、お母さんと子供たちがなるべく多くいられるようにすると。それが大切なのでそういう方向性を目指して、この休暇の分散化を実質上県の中でそれが進んでいくように心してそれを推進してまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 新たな住民支え合いの取り組みについてお答えをいたします。
 平成二十二年夏の高齢者所在不明問題及び一昨年三月の東日本大震災以来家族や地域のコミュニティーにおける人々のきずなやつながりの重要性が再認識され、全国各地で支え合いの体制づくりが広まっています。
 県では、自治会、老人クラブ、民生委員などを加えまして民間事業者等とも連携しふじのくに安心地域支え合い体制づくり県民会議を立ち上げるとともに、各地域の実情に合わせた体制づくりを促進するため市町に対する助成制度も設けたところであります。
 こうした中、議員から御紹介のありました地域の住民が主体となって運営し、誰もがいつでも立ち寄り交流できる場――居場所と呼んでおりますが――この居場所は、人と人とのつながりのみならずひきこもりの防止や子育て支援さらにはまちのにぎわい創出などにもつながる取り組みとして大きな期待を寄せています。こうしたことから昨年は居場所の持つ役割や必要性を県民に広く知っていただくためのシンポジウムを開催しその普及啓発を図るとともに、このシンポジウムで関心を持っていただいた方々を中心に居場所づくりを推進するための人材養成研修会を現在県内二カ所で実施しています。
 今後は、これらの研修会修了者と実際に居場所を運営している方々との交流会を開催することとしており、県といたしましては多くの社会的効果の期待できる居場所づくりがさらに広まるよう推進してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 前田企業局長。
       (企業局長 前田幹夫君登壇)
○企業局長(前田幹夫君) 水道施設の老朽化への対応についてお答えいたします。
 水道用水及び工業用水を供給している企業局にとりまして、顧客の市町及び企業の皆様に安定的に用水を供給していくことが責務であると考えております。そのため電気、機械等の設備については電流、電圧、動作状況を常時監視するとともに、専門業者による法定点検等を行っております。また配水池等の構造物については年に二回点検表に基づく施設総合点検を行い、管路については週一回の巡視パトロールによる漏水調査のほか埋設箇所の土質等に応じて抽出し掘削して腐食状況を直接診断する管体調査を行っております。こうした点検調査により腐食等支障のある箇所につきましては随時修繕補修を行い、事故の未然防止に努めております。
 一方、議員御指摘の膨大な更新費用を要する管路でございますけれども、平成二十三年度末時点で七百六キロメートルのうち二百一キロメートルが法定耐用年数の四十年を経過し、ポンプ等の設備を含めました全面的な更新が大きな課題となっております。更新に当たりましては建設物価の上昇や管路敷地の市街化により施工費用の増加が予想されますとともに、用水型産業の縮小や人口の減少によります給水収益の低下などによりまして財源の確保が極めて困難になることが見込まれております。
 このため、将来の水需要に適した水の運用のあり方、施設規模、維持管理費等を考慮した整備費や事業経営への諸影響を分析いたしますとともに、受水者など関係する皆様方の御意見を伺いながら来年度から水道施設更新マスタープランを策定し、効率的な更新整備を行いまして受水者負担の抑制と健全経営を両立させながら安全・安心な水を安定的に供給してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 休日の分散化への取り組みについてお答えいたします。
 小学校の休暇の状況は、土曜日、日曜日の週休日や祝日に加え夏季休業等の長期休暇を合わせますと年間で百六十日程度ありますが、特に週休日や祝日以外は仕事の関係から休暇をとることができない保護者も多く、子供は家族とともに過ごす時間が十分確保されているとは言えない状況も見受けられます。議員御指摘のとおり家族が一緒に過ごすことで心豊かな体験を実現できる社会を目指すといった取り組みは大切であり、またそのために企業等の御理解、御協力も必要であると考えております。
 現在、県内八市町三十五校の小学校では、週休日の前後に休業日を設定し三連休または四連休にすることで地域で家族がともに過ごす時間づくりを推進しております。特に島田市、川根本町、南伊豆町にあっては市町全体で休業日を統一し、地域が一体となった取り組みに努めております。
 県教育委員会といたしましては、家族が一緒に過ごす時間の大切さを実感する取り組みとして現在月に一度は家庭の日をそれぞれの家庭で設定するなどの啓発に努めているところであり、今後も親子の触れ合いやコミュニケーションを大切にする社会づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 富士山周辺における廃棄物不法投棄対策への取り組みについてお答えいたします。
 初めに、県内における環境犯罪の現状についてであります。
 平成二十四年中は県下で不法投棄や不法焼却の廃棄物処理法違反事件で百七十七件、二百二人を検挙しておりますが、このうち富士山麓におきます検挙は五月に建築廃材約一・三トン、八月には廃冷蔵庫合計百二十七台の不法投棄など合計十九件二十二人を検挙しております。また平成十八年六月の富士山麓クリーン作戦開始から数えますと、平成二十四年末までに不法投棄等での事案で合計百十六事件、百六十人を検挙いたしたことになります。
 不法投棄事案は、廃棄物の処分料金が近年高騰していることなどを背景に悪質業者による大量の産業廃棄物の不法投棄のほか一般人による家庭ごみ等の不法投棄も目立ち、件数ではむしろ一般人のほうが毎年約七割を占めております。また夜間や早朝に人けのない山間部や空き地等に廃棄物を運び込む、あるいは穴を掘り投棄後直ちに埋め立て隠蔽工作を行うことなどから、事案の発見がおくれるだけでなく不法投棄者を特定する物証も少ないため約四分の一は検挙が困難となっております。
 このような中、平成二十四年中富士山麓の民間パトロールの活動により富士宮市内の山林にタイル等約四百八十キログラムが投棄された現場を発見、警察に通報したことで、不法投棄事案の摘発につながった事例があります。
 次に、富士山周辺における廃棄物不法投棄対策への今後の警察の取り組みについてであります。
 本年四月に、富士山麓を管轄する裾野警察署を新設することにより富士山麓クリーン作戦の取り締まり体制を強化するほか、県警ヘリコプターを活用したスカイパトロールによる発見活動や富士山麓に出入りする廃棄物運搬車両に対する検問を強化いたします。また県が富士山麓に設置した不法投棄自動監視カメラによる事案の発見にも努めるなど不法投棄事案の早期発見と検挙活動を推進し、あわせて未然防止のための交番速報等による広報啓発活動にも取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 七番 鳥澤由克君。
       (七番 鳥澤由克君登壇)
○七番(鳥澤由克君) それぞれに御答弁をいただきまして大変ありがとうございました。では要望と再質問を若干させていただきます。
 先ほど企業局長さんからお話ございました水道施設の老朽化への対応でございますが、水道、工業用水、まさに私たち県民のライフラインをつなぐ大切なことであるというふうに思っております。そのようなことで、事故の未然防止につきましては日常管理の中で的確な管理をしていただきたいというふうに思っているところでございます。
 また、特に来年度からお話の中に出ております水道施設のマスタープランを新たに策定をしまして更新整備を行うというお話がございましたので、その点につきましても一旦水道施設は埋設をしますと三十年、四十年長期にかかりますので、その点については計画的に費用を特に抑える面からもコンパクトな効率的な施設を検討の上、お願いをしたいというふうに思っております。特にマスタープランの策定については、将来の水需要を考慮に入れながらやはり企業局でございますので企業経営等の視点からあるいはコストの面、それであと工事が伴いますのでコンプライアンス、透明性を持って対応していただければというふうに、これは要望でございます。よろしくどうぞお願いをいたします。
 再質問の一つ目でございますけれども、先ほど知事からも御答弁をいただきました総合的ながん対策のことについてお伺いをいたします。
 これは、県がん対策の推進計画を見直すということでございまして、そのうち二つが大事だよということで申し上げたところでございまして、まず一つはがん検診の受診率の向上、そしてもう一つが在宅緩和ケアということでございまして、特に在宅緩和ケアをするということは、特に広めるためにはその実施体制をしっかりするということが私は大切だというふうに思っております。地域の医療の体制整備、これが伴うことでございますのでしっかりとやっていただく。
 特に、私の沼津の近くの医師会におきましても、これは重要課題でありますということで検討が進められているというふうに聞いております。その中では情報の共有化、特にカルテ、診療報酬をどのようにしていくかという、個人情報のやり取りをどのようにしていくかということでございまして、また地域ごとの支援診療所のグループ化によりまして点から面の整備を支え合う基軸としていきたいというようなお話もありますので、ぜひその辺を留意をされて患者の皆様が身近な診療所で医師に緩和ケアをしてもらう。またがん診療の連携拠点病院と診療所との連携が大変重要だと思いますので、より具体的に御答弁のほうをお願いをしたいというふうに思っています。
 二つ目でございますが、先ほど県警本部長からお話ございました環境犯罪についてのことでございまして、不法投棄に関しましては取り締まりや警戒、それぞれのことを日常の中で防止活動に努めていただいているところでございますが、県警だけではなく行政関係または市民団体の皆さんと一体となったさらなる取り組みが必要だと思いますので、現状におきます県や市町との具体的なかかわり合いを再度具体的に御答弁をいただけたらというふうに思っております。以上でございます。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 総合的ながん対策の推進についてのうち、地域の医療機関の連携を具体的にどのように進めていくかということについてお答えをいたします。
 要は、拠点病院と診療所の連携をしっかりしていくというのが大事なんですが、昨年度県医師会が設置した静岡県在宅医療推進センターというのがございまして、そこでは地域で一人の患者さんに対して複数のお医者さんとか看護師さん、介護の方々も含めて多くの方々が一人の患者さんの情報を共有して支えるネットワークづくりを昨年度から進めていただいておりますので、がんの治療につきましてもこれらのネットワークを活用しながらがん拠点病院と地域の診療所の連携を充実していくように図ってまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(大石哲司君) 繁田警察本部長。
       (警察本部長 繁田 誠君登壇)
○警察本部長(繁田 誠君) 県警では、県廃棄物リサイクル課に三人の警察官を派遣しているほか県東部健康福祉センターに二人、静岡市と浜松市の廃棄物担当課に各一人ずつの警察OBを非常勤嘱託員として配置し、連携の強化を図っております。また関係行政機関が参加する静岡県産業廃棄物不法処理防止連絡協議会及び富士山麓周辺の不法投棄防止ネットワーク推進会議において情報交換を行うとともに、未然防止のための広報の強化や県や市町の廃棄物担当課が委託する民間ボランティアとの合同パトロールを行うなど連携を密にしております。
 さらに、不法投棄の未然防止、早期発見を目的として、毎年六月と十二月の二回、県や市町、海上保安本部、富士山麓不法投棄防止ネットワーク推進会議の会員、住民監視組織等の協力により陸・海・空から県下全域の不法投棄防止統一パトロールを実施しております。以上であります。

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静岡県議会事務局議事課

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