• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山田 誠 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/26/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 清水港長期構想への取り組みについて
2 リニア中央新幹線整備における課題について
3 プラスチックごみの処理について
4 洋上風力発電の課題について
5 TECH BEAT Shizuokaの取り組みとベン
 チャー企業の育成支援について
6 文化力の拠点整備について


○副議長(中沢公彦君) これで山ア真之輔君の質問は終わりました。
 次に、五十五番 山田 誠君。
       (五十五番 山田 誠君登壇 拍手)
○五十五番(山田 誠君) 私は、自民改革会議所属議員として通告に従い知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式で質問をいたします。
 まず初めに、清水港長期構想への取り組みについて伺いますが、先日も他の議員から質問がされておりますので重複しないように質問をいたします。
 海は日本を開き、幾多の困難な時代を乗り越えた今の日本の繁栄に大きく寄与をしてまいりました。
 さて、その海の玄関口として今後も発展の可能性を秘めている清水港は本年開港百二十周年を迎え開港記念のイベントには多数の来場者が詰めかけ大いに盛り上がったものであります。清水港に寄港する大型クルーズ客船は今年度四十隻を超える予定でありますが、ヨーロッパやアメリカ周辺などと違い乗船客が下船したときにさまざまな観光やアクティビティーができるような体制が十分にそろっているとは言いがたいのではないかと感じており、国や県、市、民間が連携した本格的な取り組みは今始まったところであり将来に期待をするものであります。
 今回まとめられた長期構想はまさにその足りない部分を補うものであり、物流や観光などを初めとする産業の発展を促しつつ災害時には緊急物資受け入れ拠点として活用もできるまちづくりを進めるものでもあります。AIやICTといった未来に向けた技術を導入し物流の効率化を図るとともに、環境問題などに対応していくことで清水港の新たな時代をつくることになり、どちらかといえば物流産業などに重点が置かれていた清水港でマリンスポーツなどの海洋レジャー産業による港づくりを進めることにより清水港の価値がより高くなるのであります。
 さらに、中部横断道や新東名などの高速道路網の充実により内陸部や首都圏等へのアクセスが改善し外国人だけでなく日本人旅行者なども今以上に取り込むことができます。
 近年、国内外を問わず海洋レジャーのための施設やアクティビティーの充実には目をみはるものがあり、物流の拠点として発展してきた清水港でも観光や海洋レジャーなどをもう一つの顔として港の発展を図ることについて今回も私、継続して伺いたいと思います。
 海に囲まれた日本にとって今までは一部の限定されたものという感じでありましたが、インバウンド客が増加するとともに働き方改革などによる日本人の余暇の過ごし方にも変化があらわれてきていることなどから、まさに今静岡県として海を活用した海洋レジャーの充実を民間と連携してより強力に進めるときであります。というのも、滞在先におけるレジャー施設などの充実は人を呼び込むことはもちろん滞在客の宿泊日数や消費額の増加にもつながり地域の活性化に大きく寄与するものと考えるからであります。
 現在、日の出地区周辺についてはゲンティン香港との旅客ターミナル施設の整備の協議の推進やMaOI―PARCのオープンなどで着実に推進をされておりますが、物流と観光などのすみ分けでいくならばやはり湾の再奥部になる折戸地区の活用が大変重要であります。この長期構想においても水面を活用したリゾートの形成がうたわれており、最奥部は静穏な水域であることや地下からのきれいな湧水もあることなどからさまざまな活用方法が考えられます。
 ただし、このエリアは以前貯木場として活用していたことから係留用の杭や海底にたまった樹皮をどうするか、こういった長年の課題ともなっており、これについてはそのまま活用する案など民間の知恵をかりるなどして今後も検討をしていく必要があります。
 私は、このエリアの水質を高めた上で海上アスレチック施設、スタンドアップパドル、いわゆるSUPの拠点、再奥部の入り口に車の道路と津波時に避難場所として兼用になる防潮堤、またその防潮堤の外側に海釣りのできるエリア、以前にも提案したランドマークの一つとなる展望施設としても活用できるはね橋などさまざまなアイデアを出しより大きな広がりを持つエリアに変貌する可能性を秘めていると考えております。
 そのためにも折戸地区での海洋レジャー産業を振興していく必要がありますが、県として今後どのような取り組みをしていくのか伺います。
 さらに、清水港の価値をより高めるための取り組みとして必要なのはクルーズ船の誘致活動の拡大であります。世界的にここ十年余りでクルーズ客船の大型化が進み、昨年総トン数二十二万八千トン、乗船客数も五千五百人を超える大型客船が就航をし大型化に拍車がかかっております。それだけに接岸すると一気に乗船客が下船することから地域経済に与える恩恵は大であります。長期構想の中にも触れられておりますが、新たに整備を進めようとするターミナルも含めゲンティン香港との協議も加速させる必要があると考えます。
 今、国内の各港もクルーズ客船の誘致に力を入れてきておりますが、静岡県としてクルーズ船社に誘致活動を行うに当たり他の都道府県と連携して誘致を進めることを考えたらどうか。というのも最終的な寄港地はクルーズ船社が決定することとはいえ誘致については共同していくことにより大きな成果が出せるのではないか、この点についても当局の考えを伺います。
 次に、リニア中央新幹線整備における課題について伺います。
 リニア中央新幹線整備についても、他の議員から質問がされておりますので重複しないように質問をいたします。
 リニア中央新幹線南アルプストンネルの場所は中央構造線、糸魚川―静岡構造線を横切ることから通常のトンネル工事よりも難工事になることが予想をされております。既に山梨県、長野県両側からの掘削は進められておりますが、静岡工区では西俣及び千石からの二本の斜坑掘削、そしてそこから東西へ向けて先進坑と本坑の掘削が行われることになります。またトンネル湧水を大井川に戻すための導水路トンネルが西俣から椹島間に掘削をされます。
 これまでに新東名高速や中部横断道の建設工事においても自然由来の重金属類が見つかったことなどによる工事のおくれなどがあるなど、今回のトンネル工事においてもどのようなトラブルが発生するのかはわかりません。現状においては細かな地質調査がされるという話は聞いておりませんので、難工事が予想されるだけにトンネル周辺の地層や地質についてしっかりとした地質調査などを行った上で工事を進めていく必要があると考えます。
 リニア中央新幹線の開業は八年後の二〇二七年の予定でありますが、JR東海からは工事全体の大まかな工程表などが明示されているのか、もしされていないとしたらそのような状況で水の問題も含めJR東海との間で協定締結に向けた議論ができるのか心配であり、この点について当局の考えを伺います。
 また、このような難工事であるトンネル工事を進めるに当たって県として想定される具体的な課題をどのように捉えているのかあわせて伺います。
 三点目は、プラスチックごみの処理についてであります。
 現在世界中でプラスチックごみについての関心は非常に高くなっており、海洋プラスチックごみについては今議会においても他の議員から取り上げられております。日本国内ではプラスチックごみの処理については焼却による熱回収が六割近くを占めており、実質的なリサイクルは三割弱と先進国の中でも低い水準であります。また使い捨てプラスチックの国民一人当たりの使用量がアメリカに次いで世界で二番目に多い日本は今後急速に対策をしていくことが必要であります。
 環境省の発表では廃プラスチックの国内排出量は年間およそ九百万トンであり、そのうち百万トン以上を海外に輸出してきました。皆様も御存じのとおり世界中のプラスチックごみの処理をほぼ一手に引き受けていた中国が二〇一七年十二月に輸入停止に踏み切り、その他の国も相次いで受け入れを停止しました。これらのことにより国内で排出される廃プラスチックの輸出量が大幅に減り、そのほとんどを国内で処理することになるわけでありますから本県にとっても大きな課題となるのであります。
 産業廃棄物である廃プラスチックは、原則一般ごみの焼却場での焼却ができないことから本年五月に急遽環境省より各都道府県や市町村に対して廃プラスチックごみの焼却に関する通達が出されております。これは国の補助金を投入した自治体や事務組合等が管理するごみ焼却場での焼却処理について検討するよう依頼するものでありますが、焼却料金の設定などの条例改正や地元の理解を得る必要もあることから実際にはなかなか進んでおりません。
 さらに、環境省は優良産業廃棄物処分業者に限って廃プラスチック類の保管量の上限を現行の一日当たり処理能力の十四日分から二倍の二十八日分までに緩和する省令を九月四日に施行したところであります。
 全国の自治体のうち一二%余りが管内での保管量の上限を超えた処理業者を抱えていることもあり、このままでは不法投棄を助長するリスクもあることからやむを得ずこのような緊急避難的措置をしなければならないのではないかと考えます。しかしながら受け入れ先の保管スペースの問題などもあり簡単に解決できる問題ではないと考えております。
 県内においては、既存の民間の焼却場での受け入れや新たな民間の焼却施設の建設計画がありますが、施設稼働までには時間を要することから今後の需要に十分に応えることができるのかといったことも懸念をされます。またこの問題が提起されてから焼却費用も上昇をしており、さらに影響が広がるのではという懸念もあります。
 そこで当局に伺いますが、諸外国が日本からの廃プラスチックの受け入れを中止した中、今後排出される廃プラスチックの処理に対して県として現状をどのように把握しているのか、また今後の処理についてどのように捉えているのか伺います。
 四点目は、洋上風力発電の課題についてであります。
 欧州における洋上風力発電は現在一万六千メガワットになっております。これに対して日本は二十メガワットと八百分の一であり、それらは全て国の実証実験事業であります。二〇一八年十一月末の段階では一般海域と港湾区域を合わせて十三カ所、五千三百七十メガワットの洋上風力発電の環境アセスメントの手続が進められております。そしてことしに入り静岡県と和歌山県の沖合の三カ所、計千九百メガワットの計画のアセスメントが新たに始まっております。
 昨年十一月末に国会において、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律、いわゆる再エネ海域利用法が可決をされました。この法律について大まかに説明すると利害関係者などから構成される協議会の設置、知事や協議会などから意見聴取を経た上で促進区域の指定、事業者の公募、最大三十年間の占有許可を与えることなどであり、これに基づいて事業が進められることになります。静岡県内においても民間事業者による計画が浮上しておりますが、日本における洋上風力発電については幾つもの課題があると考えております。
 先行している欧州とは気象条件や海象条件が異なっていることや洋上における風の特性が明らかでないこと、建設コストや保守管理コストが陸上と異なることなどが挙げられます。また沿岸漁業に与える影響や船舶の航行に与える影響、風光明媚な景観に与える影響などを初め近年大型化している台風による影響などを考えると洋上風力発電の導入については慎重に考える必要があると考えます。一たび船舶の座礁や衝突といった事故が起これば重油の流出など環境や漁業、観光などに与える影響は過去の例を見てもはかり知れないものがあります。
 まさに、この原稿を書いているときに台風十五号が日本列島を襲い本県を初め関東地方に大きな被害が出ました。被害の詳細は省かせていただきますが、千葉県では電信柱や高圧送電線の鉄塔の倒壊、電線の切断などにより六十万戸を超える停電が発生したことや首都圏の鉄道などの交通網が大きく麻痺したことが大きく報道されていたことは記憶に新しいかと思いますし、昨年の台風で静岡県内でも大規模停電が発生したことも教訓としなければなりません。
 風速五十メートルを超える強風による倒壊などはまさに自然の猛威を我々に見せつけたものであり、洋上風力発電システムにとってこのような強力な暴風圏を持つ大型の台風は大きな脅威となるのではないでしょうか。地球温暖化が進む中、今後もこのような大型の台風が頻繁に日本列島を襲うことは十分に考えられます。
 そこで当局に伺いますが、現在民間事業者により御前崎市周辺の遠州灘沖と伊豆半島の下田市と南伊豆町の沖合で洋上風力発電事業を行うことが表明をされており、この計画に対して送電用の海底ケーブルの敷設されるエリアも含めた関係地域の漁業協同組合も大きな不安を持っている状況を聞き及ぶ中、静岡県として洋上風力発電に対してどのように考えているのか伺います。
 また、陸上とは異なり海洋生物や漁業、船舶の航行などといった環境などへ与える影響についてはどのように考えているのかあわせて伺います。
 五点目は、TECH BEAT Shizuokaの取り組みとベンチャー企業の育成支援について伺います。
 日本の人口構成などの社会構造が大きく変化をする中、働き方改革や生産年齢人口の減少など一昔前では考えられなかったような時代となり、日本全体が今までとは大きく考え方を変えていかねばならなくなっているのは周知の事実であります。十年後の二〇三〇年日本の人口は約一億一千九百万人とピークであった二〇〇八年よりも八百万人、これからの十年でおよそ七百万人近く減少すると推計をされており、静岡県においてもこれからの二十年で生産年齢人口が六十万人減少すると言われております。
 こういった要因による労働力不足を補っていくためにはAIやIoT、ICTなどの先端技術を導入することなどで生産性の向上と労働力確保を図っていかなければなりません。ICT人材の不足は深刻なものとなることが予想をされており、地方における人材の育成を進めていく必要があることは先ほどの他の質問の中でも取り上げられておりました。
 最近のテレビの報道などでは、小学生などの子供たちがプログラミングの勉強をしたりその勉強の成果として簡単なロボットを動かしてみせるなど楽しみながら学んでいくという姿が映し出されております。日進月歩の技術革新が進む中、ICTの活用により国と国の垣根がどんどん低くなり今以上にグローバル化が加速することで大企業のみならず中小企業においても技術革新に取り組むことで大きく飛躍するチャンスが生まれる可能性があります。
 去る七月二十四日から二十五日に、グランシップにおいてスタートアップ・ベンチャー企業と県内企業を結びつけることなどを中核として開催された、TECH BEAT Shizuokaは首都圏での開催ではない新たなイノベーションの流れをつくるものとして来場者が三千三百人、商談件数三百二十八件と初めての開催としては大きな反響があったと聞いております。参加者の中には静岡には初めて来たという方も多くいたという話もあり、首都圏から一時間余りで来れる静岡もまだまだアピールが不足しているのかもしれません。
 そこで伺いますが、TECH BEAT Shizuokaの成果と今後に向けた考え方、また県内のベンチャー企業の育成支援に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、文化力の拠点整備について伺います。
 東静岡駅南口前に整備が検討されている文化力の拠点でありますが、昨年度末に施設の大まかな概要は示されたもののなかなか具体的な内容が見えておりません。県立中央図書館の全面移転については新県立中央図書館基本計画が策定されおおよその規模や機能といったものが明らかになってきておりますが、その他の施設についても早急に具体化していかなければ中央図書館の移転整備におくれが出ることになります。
 中央図書館については、県内の市町にある図書館の中心的な存在としていくことが方針として出されており、県立図書館ならではの豊富で多彩な蔵書を子供から高齢者までのさまざまな年代の方々にも身近に利用していただけるようになると伺っており早期の整備が待たれるところであります。
 さて、一方の民間活力を活用した施設については昨年度末に施設整備に係る県方針を取りまとめ事業計画案の公募を行い四者から提案があったと伺っております。今後これらの提案をもとに具体的な事業推進に向けて進むこととなっておりますが、実現に向けてはまだまだ不透明な部分もあります。
 先日の我が会派の議員の質問の中でも大学コンソーシアムの拠点としていくことなど大学間連携の推進についての質問がありましたが、私は日本人学生や留学生との交わり、地域住民との交わりなど大学だけではなくグローバル社会の進展にあわせた多文化共生推進や今後も大きく成長していく産業であるAIやICT等の拠点など多くの可能性があると考えております。
 そこで、県として今後この施設の未来に向けた計画をどのように進めていくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 山田議員には六つの御質問をいただきました。いずれも重要な御質問であったと承った次第でございますが、最も時間を割かれたのが清水港に対する質問でございます。議員の清水港に寄せる関心の深さが拝察されたところでありますが、清水港はふじのくに静岡県の海に開かれた玄関口であります。私は日本を形容するときに多くの場合海に囲まれた日本という言い方をしますけれども、むしろ清水港の実態に即し、またこれからの地球というものを相手にした時代に立ち向かう日本としましては海に開かれた日本という形容をむしろ使うべきではないかというふうに存じます。
 私は、六つの質問のうち清水港長期構想への取り組みについて御答弁をさせていただきます。
 清水港は明治三十二年の開港から大正、昭和、平成の時代を経て令和の時代の幕があけたことし八月四日、ちょうど八月四日に開港百二十周年を迎えたところであります。霊峰富士を仰ぎ世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾に抱かれた日本三大美港の一つとして広く知られているところであり、また今や東名に加えて新東名などの道路網と結ばれた地理的な優位性も持っており、これらの長所を生かしてものづくり県静岡県の産業や経済を支える海の玄関口として発展を遂げてまいりました。
 清水港には類いまれなる場の力が宿っております。そこにまだ潜在している力を開発するべく、おおむね二十年後の長期的視点から港湾空間利用のあるべき姿と実現のための方向性を取りまとめ本年八月に清水港長期構想を公表したところであります。
 この長期構想では、清水港の湾奥部に位置する折戸地区につきまして水面の利活用並びに沿岸部への民間開発を促すことにより人々の訪れる良質なリゾートを形成することを目指しております。折戸地区の開発につきましては、地元の方の関心が非常に高いことは御案内のとおりであります。先月地元の民間団体、地権者の皆様が知事室にお見えになりまして地域の活性化について皆さんで御議論され、また取りまとめられた提言書をお渡しいただきました。
 この提言書によりますと、折戸地区が持つ美しい富士山の景観、穏やかな海、まさに絶景とも言うべきこの高いポテンシャルを生かしマリンスポーツの体験、世界に誇る食材を活用した飲食、宿泊などの提供、そうした環境整備を進める内容が盛り込まれておりまして皆様の熱意が伝わってまいったところであります。
 県といたしましては、こうした提言などを踏まえながら引き続き地権者や関係各位に御参加いただいて合意形成を進めまして目指す姿を共有し、そして実現を図ってまいりたいと考えております。
 また、クルーズ船の誘致拡大につきましては議員御指摘のとおり日本海側の複数の港の連携によるセールスが寄港につながっているという事例もございます。今年度国の制度を活用し太平洋側の本県、和歌山県、高知県の三県が連携して海外でのセミナー開催や海外船会社の寄港先を決定するキーパーソンに対するファムトリップを共同で行うなどより効果的な誘致活動を実施してまいる予定です。
 県としましては、三保半島に抱かれ富士山曼荼羅にも描かれている折戸湾の魅力にスポットライトを当てマリンスポーツや海洋レジャーの振興により清水港の魅力を高めるとともに、太平洋沿岸の港湾が連携したクルーズ船誘致活動を展開し世界の人々に訪れていただける港となるよう官民一体となって取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) リニア中央新幹線整備における課題についてお答えをいたします。
 ユネスコエコパークに登録されている南アルプスは、その地質構造が他に類を見ないほど複雑で生態系も極めて脆弱であります。このような南アルプスにおいて行われる大深度のトンネル工事には大きなリスクが伴います。
 このため、現在トンネル湧水の全量を大井川水系に戻すことを前提に中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会におきまして工事に伴うリスクの明示とその回避、低減に向けて科学的根拠に基づきJR東海と対話を重ねているところであります。協定締結に向けた議論を行うためには工程表が示されることが望ましいと考えております。
 先月八月二十日ですが、その専門部会の委員との意見交換におきまして工事の進展に伴ってどのように湧水が大井川に戻されるのかという一種の工程が示されました。またこの中で山梨県境付近のトンネル掘削の工程が明らかにされました。この工程ではトンネルを山梨県側から県境を越えて静岡県側に掘ることになります。掘削の速度から考えるとトンネル湧水が山梨県側に十カ月間程度流出する。トンネル湧水  これは静岡県側のトンネル湧水ですが  それが山梨県側に十カ月間程度流出するという問題が判明いたしました。
 このような工法は静岡県として容認できるものではありません。よって現時点ではこの工法を前提とした全体工程について意見交換を行う段階にはないと考えております。
 現在は、専門部会において事業着手前に必ず行わなければならないリスク管理に関する対話を行っているところです。この会話が適切に進めば協定締結につながると考えております。
 想定されるリスクとしてですが、大きく分けると四つあります。
 一つ目は、トンネル湧水の大井川流域外への流出に伴う河川流量や地下水量の減少です。
 二つ目は、地下水脈の変化による地下水位の低下です。
 三番目は、重金属等の有害物質を含む湧水、あるいは水温等の水質が河川とは異なるトンネル内の湧水が河川へ放水、流入することによる河川の水質の悪化、変化です。
 四つ目は、沢がれによる生態系への壊滅的影響です。
 これらにより引き起こされる大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境への著しい影響をいかに回避、低減することができるか、これが課題であると考えております。
 今後、この課題解決と県民の皆様の不安の払拭に向けまして現地調査で得られたデータに基づく解析結果、あるいは環境保全計画について具体的な資料をJR東海から提出を求めます。それをもとに水量、水質の確保、自然環境の保全について科学的根拠に基づき粘り強く対話を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) プラスチックごみの処理についてお答えいたします。
 中国による二〇一七年度のプラスチックごみの輸入規制以降、国内での廃プラスチック類の処理が課題となっております。
 このため、県では昨年度約四百の産業廃棄物処分業者に対し延べ約八百回の立入検査を行い廃プラスチック類の保管状況を調査いたしました。一部の事業者において保管量が増大しているものの、保管上限を超過している業者はありませんでした。
 また、静岡県産業廃棄物協会の報告によりましても大都市圏では保管上限を超過して保管されている状況があるものの本県においてはこのような状況にはないとのことであり、現状では問題ないと考えております。
 今後、首都圏からの流入等によりまして廃プラスチック類の処理が滞留することも考えられますことから、民間事業者に対する廃プラスチック類のリサイクル処理向上に向けた相談事業を開始するとともに国のリサイクル設備導入補助金の積極的な活用を働きかけております。市町の一般廃棄物処理施設での受け入れにつきましては緊急避難措置としての検討をお願いしているところであります。
 県といたしましては、引き続き廃プラスチック類の処理が円滑に進むよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 洋上風力発電の課題についてお答えをいたします。
 国は、陸上よりも風力が安定し効率的な発電が見込まれる洋上風力発電を有望な再生可能エネルギーの一つに位置づけ、一般海域における洋上風力発電のルールを盛り込んだ関係法令を四月に施行いたしました。
 現在、国内では地元都道府県から国に洋上風力発電の候補地として情報提供があった案件のうち、秋田県能代市沖など四カ所が最大三十年間の事業実施が可能となる促進区域の有望区域として選定されております。今後国は法律に基づき、関係自治体や漁業団体を初めとする利害関係者等を構成員とした協議会での意見聴取や海域の詳細調査を経た上で促進区域を指定することとなります。
 一方、県内では促進区域の候補地は存在しませんが民間事業者から環境影響評価法に基づき遠州灘沖と南伊豆沖での洋上風力発電の計画が示されております。洋上風力発電による環境等への影響といたしまして、海流等の変化により動植物の生態系が崩れるおそれや発電設備や海底ケーブルが漁業や船舶の航行の障害となるおそれ、また洋上に林立する発電設備が景観に悪影響を及ぼすおそれなどが挙げられます。これらに加えまして、南海トラフ地震による被害が想定される本県におきましては発電設備が倒壊し津波により陸域に流入した場合に海岸堤防や住居等の損壊を招くおそれも挙げられるところであります。
 このため、現在行われている遠州灘沖の事業計画に係る環境影響評価手続の中でこれらの想定されるおそれに対し配慮等を求める意見を述べたところであります。
 このように、漁業者などの利害関係者の抱える大きな不安や海洋生態系など環境への影響、大規模災害への備えなどに対する懸念をしっかりと解消、払拭できなければこのような計画は成り立ち得ないものと考えております。
 県といたしましては、こうした観点から今後の法令手続の中で本県に関与を求められる場面におきまして適切に対応をしてまいります。
 次に、TECH BEAT Shizuokaの取り組みとベンチャー企業の育成支援についてであります。
 AIやIoTなどの科学技術が著しく進展し、第四次産業革命により我が国の産業構造は大きく変化しつつあります。こうした中、産業を支えるAI、ICT人材は首都圏に集中し地方で人材を確保することは極めて困難な状況となっております。
 このため、県内企業と首都圏のスタートアップを結びつけることで企業の抱える技術的な隘路を突破し新たなビジネス展開や社会課題の解決につなげることを目的として、全国初となるTECH BEAT Shizuokaをこの七月に静岡市で開催いたしました。来場者は二日間で、議員から御紹介がありましたように約三千三百人、商談件数は三百二十八件に上りました。この中には既に業務の提携を進めている事例も出ていると伺っております。
 今後は、こうした成果を踏まえTECH BEAT Shizuokaを継続的に開催し協業事例を積み上げることで首都圏のスタートアップの本県進出を促進してまいります。加えて農業や医療分野などへの重点的な展開も考えており、次世代モビリティーやスマート農業などの実証フィールドを活用して県内企業との協業による革新的な技術開発を促し、本県産業の一層の高度化を図ってまいります。
 一方、県内では静岡大学や県立大学などでベンチャーの創出が続いておりますほか、光産業創成大学院大学が光技術を活用したビジネスプランコンテストを開催する等新たな動きが出てきております。こうしたことから今年度大学等と連携し、持続的に大学発ベンチャーを創出する仕組みづくりを進めているところであります。
 具体的には、ベンチャーの育成支援に実績のあるシード・アクセラレーターを活用して教員や学生の有する産業化が可能な技術を掘り起こし、起業に向けたチームづくりや事業プラン策定を支援することで潜在的なシーズを創業に結びつけてまいります。
 県といたしましては、TECH BEAT Shizuokaを契機としてスタートアップと県内企業の協業を促進することで付加価値の高い新たなビジネス創出につなげていくとともに、県内大学を中心としたベンチャーの創出に取り組み絶え間ないイノベーションを生み出す産業構造への転換を着実に進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 文化力の拠点整備についてお答えいたします。
 文化力の拠点整備につきましては、本年三月に新県立中央図書館を中心として新しい知的空間などの公的施設と本県の食、茶、花の魅力を発信するレストランやカフェ等の民間施設を設置することを県の方針として県議会及び県民の皆様にお示ししたところであります。
 現在、この方針をもとに民間事業者から御提案をいただきながら施設の内容や規模、管理運営方法などについて具体化を図っております。この中で中核施設の一つとして設置する新しい知的空間につきましては、新たな文化を創造する文化力の拠点にふさわしい施設となるよう庁内プロジェクトチームにおいて検討を進めております。
 具体的には、新県立中央図書館が所蔵を想定する約二百万冊の豊富な蔵書を活用した図書閲覧スペースや文化にかかわるさまざまな人々の交流、連携を促すための開放的な交流スペースなどの設置を想定しております。加えて若者や文化に関心を持つ県民の学びの場となるセミナールームやラボなどの機能につきましても検討を進めております。
 また、議員から御提案のありました多文化共生の推進の視点につきましては海外からの留学生や研究者、日本人大学生、地域住民など多様な文化を背景に持つ人々がさまざまな価値観を認め合いながら活発に交流する場として新しい知的空間が大いに活用できるものと考えております。
 さらに、静岡の将来を担う人材の育成に向けましてグローバル人材の育成や留学生支援を行う大学コンソーシアムの拠点機能を新しい知的空間に設置いたします。また最先端の情報通信技術に対応できる人材や企業の確保育成を図るAI、ICTの拠点機能の設置につきましてもあわせて検討を進めております。
 県といたしましては、文化力の拠点が魅力ある施設となるよう県議会の皆様の御意見も伺いながら、本年度内を目途に整備の具体的内容を施設整備計画に取りまとめるなど新県立中央図書館を中心とした文化力の拠点施設の早期実現に向けスピード感を持って取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 山田 誠君。
       (五十五番 山田 誠君登壇)
○五十五番(山田 誠君) 要望を二点、再質問を一点させていただきます。
 先ほどリニアの問題については副知事から答弁をいただきありがとうございました。まさに本当に今がちょうど正念場であると思います。しっかりと地域の声そしてまた県民の利益、そういったもの全てを含めてですね、ぜひともこれからも精力的に頑張っていただきたいと思います。
 次に、リサイクルのプラスチックの件でありますが、先ほど県内では今のところ大丈夫だということでありますが首都圏のほうでは非常にダブついてきているんじゃないかという話であります。以前から県のほうでは不法投棄等を非常に監視、取り締まりをやっていただいていますので、そういったものに今度は首都圏でダブついたものが来る可能性も十分あると思いますのでこの点についてはしっかりと監視をまた引き続き続けて不法投棄などのないようにお願いをしたいと思います。
 質問であります。
 洋上風力発電についてでありますが、先ほど部長からも非常に明快な課題等いろんな話をいただきました。環境アセスメントがこれから始まっていく中で適切に対応するということでありますが、やはりこれはですね、県としても本当に大きな課題であると思います。伊豆半島、またさまざまなところで非常に思い入れのある伊豆半島ですね、思い入れのある知事としてはやはりこの現時点における洋上風力発電というものについてどのような捉え方、考え方をしているのか伺いたいと思います。以上です。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 洋上風力発電に関する再質問についてお答えいたします。
 現時点での洋上風力発電に対する県の考え方ということでございます。
 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、洋上風力発電はですね、非常に大きな施設を水域に建てるということでございまして、先ほど言いましたように海洋への生態系を初めとする影響、それから発電設備として地下に大きなものをつけたり大きな構造物を建てますのでそれによって漁業とか船舶の航行などに重大な影響を及ぼす可能性もございます。林立する発電設備が、これから伊豆半島のほうは環境アセスの手続が進んでまいるんですけれども、この景観への影響も非常に懸念されるということがございます。
 こうしたようなところをしっかりと踏まえまして、県としてはこういったものが、こういった地元の漁業者あるいは関係者の皆さん、それから災害に対する備え、この懸念、不安が払拭されない限りはやはりこのような計画はなかなか成り立ち得ないというふうに考えております。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 山田 誠君。
       (五十五番 山田 誠君登壇)
○五十五番(山田 誠君) 知事のお答えはなかったわけでありますがしっかりとですね、本当にこの問題、大きな課題であります。みんなが心配をしている、それをしっかりと声を受けて適切に対応するということでありますが、私は先ほども話をしましたが台風大型化をしているということを考えると本当に危険であると私は思います。これについてヨーロッパとは違うんだということでですね、NEDOも実証実験するというのは非常にそれがまだわからないからでありますから早々に簡単に進めるものではない、慎重に進めていただくように私からは要望しておきます。以上です。
○副議長(中沢公彦君) これで山田誠君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十七日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp