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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 進吾 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/05/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 医療・福祉バレーの創造について                 
2 静岡県の創薬力の強化について                  
3 静岡県の防災対策に対する外部の評価について           
4 清水港の国際旅客船拠点の形成に向けた取り組みについて      
5 日本平における統合型リゾート施設(IR)について        


○議長(杉山盛雄君) これで三ツ谷金秋君の質問は終わりました。
 次に、六十二番 天野進吾君。
       (六十二番 天野進吾君登壇 拍手)
○六十二番(天野進吾君) さて、今議会も時宜に合った格好の質疑と答弁が展開されてまいりましたが、いよいよ年長のゆえをもって私が最後の質問者になりますのでいましばらくおつき合いのほどをお願いいたします。
 それでは、自民改革会議所属議員として、以下五つのテーマを取り上げお伺いいたします。それでは順次、通告に従って一括質問方式にてお尋ねをいたします。
 まずは、医療・福祉バレーの創造についてお伺いいたします。
 数年前、私自身がこの壇上から一般質問の題材として取り上げましたが、いま一度声高に麻機の遊水地の活用を、そしてドイツのベーテルの精神をと訴えるものであります。実はその際の川勝知事の答弁では、私の提案した趣旨については同感と前向きな御答弁はいただきましたが、残念ながらいまだその兆候が見えてこないさなかにあれば、あえていま一度ここに取り上げさせていただきました。
 本年度の厚生委員会の県外視察先は大阪と京都でしたが、その視察先で特段に関心を覚えた場所が大阪吹田市にある公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウスでありました。マネージャーの情熱あふれる説明を聞きながら、さらには決して大規模ではありませんが心の行き届いた施設とその運営には鈍感な私にも正直感慨を新たにしたところであります。このドナルド・マクドナルド・ハウスはさまざまな障害や病気に苦しむ子供とその家族を支援する施設としておおさか・すいたハウスが運営しているのでありますが、その説明を聞きながら私の脳裏に浮かんだ風景はかつてこの一般質問の中で川勝知事に提言した医療・福祉の町ベーテルの実現方であります。
 御案内のように、麻機遊水地は広大にして江戸時代よりレンコンの栽培が盛んな場所で季節ともなれば一面に蓮の花が咲き乱れ、また一方では各種の野鳥が飛び交うバードウオッチングの絶好地でもあります。この水と緑に囲まれ騒音もない医療適地に、そろそろ本格的に県と市が手を携えて開発してみてはいかがでしょう。御案内のようにこの麻機遊水地の脇には県立こども病院並びに国立病院機構静岡てんかん・神経医療センターがあり、この両病院の業績は日本の医学界においても高く評価をされ全国に誇れる病院であります。さらに周辺は手つかずのままに広がる遊水地を利用して、ドイツの福祉の町ベーテルを創設することこそこの時宜に合った川勝県政の施策ではないかと思うものであります。
 そこでまず、医療と福祉の町ベーテル構想についていま一度、知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに今、早急に期待される環境整備について提言を申し上げます。
 御案内のように、この地は市街地から相当離れ周辺には宿舎もなければ日常品すら購入する商店もありません。そのために両病院にはささやかな宿泊施設と売店は備えられているものの、残念ながら利用者には極めて不便な施設と言えるものであります。いかがでしょう、この際、両病院の利用者に満足いただける施設としてドナルド・マクドナルド・ハウスのシステムを導入してみてはいかがでしょうか。再度ベーテルに倣っての温かな配慮に期待をしてお尋ねをいたします。
 次に、静岡県の創薬力の強化についてお伺いいたします。
 御案内のように、政府は本年度より高い創薬力を持つ産業構造への転換を図るために創薬大国への強化プランを大々的に打ち出したところであります。
 さて、本県は平成二十年に県内の三つのクラスター、すなわち東部のファルマバレー、中部のフーズ・サイエンスヒルズ、そして西部のフォトンバレーを静岡新産業集積クラスターとして位置づけ、それぞれの地域に密着した産業の育成を目指して今日に至っているのであります。そしてこの三つのクラスターはそれぞれが時宜を得てすばらしい実績を伴って着実に進展し、いまや本県産業のバックボーンとなっていることは御案内のところであります。
 こうした折、本年度厚生労働省は創薬大国、すなわち薬産業の育成を図るためにまずは環境の整備を本格化し国際競争力の強化を柱とする新たな施策を打ち出したのであります。それが国の言う創薬力大国への転換であります。
 ところで、本県のファルマバレープロジェクトは県立静岡がんセンターを中心に着実に地域産業として成長・発展していることも私もまた高く評価するところであります。
 そこでお尋ねいたします。国が創薬力の振興を看板とするならいかがでしょう、この際薬業大国と言われるシンガポールの歴史を想起してみてはいかがかと存じます。
 議員諸氏にはいささか奇異に映るかもしれませんが、まずはお聞きください。御案内のことでしょうが、シンガポールという国はおよそ半世紀前マレーシアから切り捨てられた貧しい小さな島国でありました。その面積は静岡市の半分にも満たず、さらに資源はもとより水もない貧しい国家にもかかわらずその後の努力によって驚異の発展を見、御案内のようにいまや世界で最も豊かな国の一つに成長したのであります。その原動力は建国の父と言われた、マレーシアから独立後三十一年間初代首相を務めたリー・クアンユー氏の努力によるものでありますが、ある朝そのリー首相は新聞にカナダの製薬学界で活躍するシンガポール出身の薬学者の記事を見たときその場でカナダに電話を入れ、必要な資金は幾らでも用意する。設備はもちろん希望するもの全てのものを準備するから仲間と一緒にシンガポールへ戻って薬事国家を築いてほしい。このクアンユー氏のずば抜けた炯眼と知見、そして戦略的な発想が数年後にはシンガポールをして世界有数の製薬大国へと導いたのであります。
 翻って、私たちは今このリー・クアンユー氏の英知と行動力に学んでファルマバレーに新たな息吹を注入する絶好機と考え、もって国の言う創薬大国に寄与してみてはいかがでしょう、川勝知事の御所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 申すまでもなく、本県のファルマバレー周辺には国の言う創薬大国に挑戦するだけの基礎的要件は既に整備されていると考えます。本県の創薬力大国への挑戦はまことにもって時宜を得たものと考えますがいかがでしょう、お尋ねをいたします。
 次に、静岡県の防災対策に対する外部の評価について伺います。
 この件は、本県危機管理部にとりましては納得しがたいテレビ番組を題材としてお尋ねいたします。
 つい先ごろ、静岡あさひテレビ開局四十周年の記念番組として「池上彰の発掘!静岡のチカラ」という番組が放映され、これを見た友人から私のもとに驚きと疑問の声が届けられたところであります。あるいは議員各位にも同様のお尋ねがあったかと存じます。ありがたいことに危機管理部の担当課でもこの番組を収録し後にそのビデオをいただき一人つぶさに検証してまいりましたが、あえてこのたびの一般質問を機に私と同様の疑問を抱く多くの県民にそれが何なのかを理解するチャンスとして捉え、おっ取り刀ではありましたが急遽質問の一項目に加えさせていただきました。
 このテレビ放送の言わんとするところは、簡潔に言えば静岡県が長い間英知と情熱はもとより法外とも言える県費を注入し、山本敬三郎県知事以来県政の最重要課題として対峙してきたこの地震対策事業を完膚なきまでに否定した番組であったと私は理解をいたしております。なるほど行政側にとって自然災害の対策には限界はありません。また為政者としても警鐘を鳴らさずして対処できるものではありません。しかしこの番組は行政に携わる私たちにとって、単に娯楽番組として看過できない主張を視聴者に訴えていたのであります。
 率直に言えば、一九七七年石橋克彦教授が警鐘した駿河湾沖地震以来私たちは大自然の驚異に幾度となく脅され、しかし幸いにしてそのほとんどが空振りになって今日に至っております。しかしこのテレビ番組が主張するところ、ひっきょう防災を担当する行政サイドにはふんまんやる方ないところでありましょう。確かにこの半世紀の間、地震であれ津波であれ噴火であれ大自然の驚異に幾たびか警鐘は打ち鳴らされ脅かされてまいりましたが、そのほとんどは幸い空振りに終わったのでした。正直言ってこのテレビ番組は地球物理学を専門にする方々にも、さらには防災を担当する行政側にも納得しがたい番組であったと私は思います。
 翻ってお尋ねします。日本一の地震対策を自負する本県の危機管理部として、このテレビ放映をどのように理解しただろうか、さらには本県の防災に何らかの糧になっただろうか御所見を伺いたいと存じます。
 次に、清水港の国際旅客船拠点の形成に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 我が清水港が国際クルーズの拠点に選定されたことは、私にとっては有頂天の喜びでありますが、以下これにかかわる事項数点についてお尋ねをいたします。
 さて、過去の私の一般質問には必ずと言っていいほどカジノあるいはIRという言葉をテーマにしてこの壇上からただしてきたことはつとに御存じのとおりであります。率直に言って県都静岡の持つエネルギーは年々歳々衰微し、その将来にはみじんも明るい未来を想起させるものはありませんでした。
 そうしたさなか、私には全く想定外のことでしたが昨年七月、港湾法に基づいて国土交通省から清水港が国際旅客船拠点形成港湾に指定され、さらに本年はクルーズ業界の大御所ゲンティン香港と連携して官民連携による国際クルーズ拠点を形成することに決まったのであります。国土交通省のこの計らいは、県及び静岡市にとってはまさに夜明けの明星とも表現できるこの上ない喜びであります。
 さらに、その後も連携するクルーズ船会社ゲンティン香港と協議をされ、このたび清水港クルーズ拠点形成協定を締結すると聞いております。ゲンティン香港にとっては国際レベルの景観を持つ霊峰富士はもとより世界で最も美しい湾クラブにも加盟できた駿河湾、さらには近郊に富士山静岡空港が控え、またこの地が本州のど真ん中ゆえに東海道を初め縦横に結ばれた高速道路網などその立地環境はすばらしく、ゲンティン社としてもその将来を十二分に計算した上の選択であったと考えます。
 そこでまず知事にお伺いいたします。このゲンティン香港が企画する拠点形成に対し、本県はどう応えていこうとするのかその決意についてまずお伺いいたします。
 次に、近い将来年間数百隻が入港する清水港の環境に気がかりとなる問題点があり、この際ストレートに披瀝し知事の御意見を賜りたくお尋ねをいたします。
 すなわち、新装となったJR清水駅からごく近郊にLNG火力発電所の建設が準備をされております。オーバーな表現で言うならば清水駅の陸橋から手を差し伸べれば届いてしまうような、ごく近郊にその発電所は計画されているのであります。当然のことながら既に当該地区に住む方々からは公害に対する心配、自分たちの生活圏の問題として激しい反対運動が展開されております。考えてみてください。近い将来年間百五十隻もの豪華客船がこの美しい駿河湾に入港し、いよいよ清水港を目前にした途端目の前に百メートルになんなんとする火力発電所の煙突の林立はどう見ても美しい霊峰富士や羽衣の景観にはそぐわないのではありませんか。さらに言えばこの港の救世主たるゲンティン香港社にどんな弁明をするというのでしょうか。
 御案内のことでしょう。平成の初めこの答弁席から玄関先にかまどをつくる愚か者はいないだろうと三保に予定された中部電力火力発電所の建設計画に頑と言い放った斎藤滋与史知事の言葉を、当時静岡市長であった私ははるかに懐かしくも思い出すところであります。それは単に清水地区の住民だけではなく、本県の将来を担う国際クルーズの拠点化を前にして県政の最重要課題に対する姿勢としてどうあるべきか、川勝知事に御所見をお聞かせいただきたいと思います。勇気ある御決断を期待をいたします。
 最後に、日本平における統合型リゾート施設――IRについてお尋ねをいたします。
 日本平については、その将来においてはマレーシアにあるゲンティンハイランドの再現はもとより東京ディズニーランドや大阪のユニバーサルスタジオをも凌駕するアミューズメント施設の立地の可能性を秘めた県内屈指の地域であります。もとより我田引水とのそしりは覚悟の上、霊峰富士を真正面にいただく景勝の地、日本平は必ずや新時代を代表するアミューズメントパークに衣がえするときが来ると信じこの壇上から獅子吼してきたところであります。当然のことながらIR施設はゲンティン香港社のメーン事業であればまさに言わずもがなのところであります。
 実は、この質問原稿をまとめているさなか二月二十二日、某参議院議員からIR実施に向けた制度・対策に関する検討プロジェクトチームの議事録が送られてきました。世情とかく非難をされるIR実施の問題点についてきょうも国会では真剣に討論されていることを議員の皆様にも御理解いただきたいと存じます。もちろんIRが静岡県政の主要な行政課題になる時代ははるかに遠い未来であります。それゆえに後顧の憂いのないように、あえて今回も質問の一端に取り上げました。日本平における統合型リゾート施設に対する知事の所見をお聞かせください。
 以上で質問は終了しますが、先ほど三ツ谷議員からもこの三月で退職される皆さんにお礼の言葉と激励を申し上げましたが、私からも退職される皆さんに自民改革会議を代表して感謝とお別れの言葉を申し上げます。
 退職される皆さんの多くが昭和三十二、三年の誕生と伺いました。昭和三十二年と言えば本県選出の石橋湛山総理が健康上の理由をもって就任後わずか二カ月余りで内閣総辞職され、その一方十月には草薙競技場で静岡国体秋季大会が開催され、オレンジ旋風の名のもとに静岡県は天皇杯を受賞し喜びに沸いたところでありました。しかし翌年の昭和三十三年は御案内のように、九月の狩野川台風の来襲によって死者・行方不明者が八百五十三人、全半壊・流出家屋千五百軒以上という大惨事を記録したのであります。
 そんな皆さんが県の職員になられた昭和五十五年に入るや、静岡駅前ゴールデン地下街でのガス爆発が、不幸にして消防職員など公務で携わった十五人が死亡するという痛ましい事故がありました。
 さて、そんな激動の時代をくぐり抜けてきた皆さんですが、退職後は第二の人生とひそかにそろばんを弾いておられるかもわかりませんが日本人の平均寿命は八十歳をはるかに超え、精神的にも肉体的にもゆとりあふれる皆様であればこれまで蓄えた知識と見識を後進の範となっていただくためにそれを切に期待するものであります。どうぞお体を大切にしてこれからも充実した日々をお過ごしくださること切にお願い申し上げ、もって私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 天野進吾議員におかれましては、先ほどの三ツ谷議員に引き続き自民改革会議を代表されましてこの三月末をもって規則による定年で退職する者に対しまして温かい激励の言葉を賜りまして、まことにありがとうございました。天野進吾議員におかれましては最年長のゆえに最後の質問者と言われましたが、政治家になられて恐らく半世紀余を過ごされてこられたと存じます。この間名市長、また本県議会の議長もお務めになられまして高い見識をお持ちで、人は無駄に年を重ねないということのモデルではないかと思っております。私は記憶力、計算力、体力等衰えても総合的な判断力というものは熟成していくものであると思っておりましたが、きょうはそれを五つの御質問に交えたさまざまな御識見に感じた次第でございました。
 さて、天野進吾議員にお答えいたします。
 清水港の国際旅客船拠点の形成に向けた取り組みについてであります。
 清水港は、全国屈指の海の玄関口であります。とりわけものづくり静岡県の海の玄関口であります。本県のみならず東名高速道路、新東名、中部横断自動車道という高規格幹線道路でつながれた地域の産業、地域の経済を支える国内有数の国際物流拠点として発展してまいりました。さらに世界遺産である霊峰富士を仰ぎ見、世界で最も美しい湾クラブに加盟する駿河湾に抱かれた日本三大美港の一つとして広く知られ、まさに海と山の風景の画廊を代表する景観を形成しております。
 清水港の美しい景観は、港湾管理者や地元経済界などが一体となり全国に先駆けて策定した清水港みなと色彩計画に基づき港周辺の施設を自然と調和する色彩に統一するなど、保全に向けた取り組みによりその魅力は一層高められてまいりました。四半世紀以上にわたるこのような活動もあり、富士山の世界遺産登録を契機としてクルーズ船の寄港回数は年々増加し昨年は前年の二倍以上の三十八回となるなど飛躍的に伸びたところであります。
 県は、世界的クルーズ船社であるゲンティン香港と清水港での国際旅客船の拠点形成に関する合意を受けまして同社の投資やクルーズ船社としての豊富な知見を活用した旅客ターミナルの整備等に関する協定をこの三月末に締結することといたしました。この協定ではゲンティン香港は二〇二〇年四月の供用開始を目標にし日の出埠頭の六号上屋を改修、増築し、CIQ施設を備えた旅客ターミナルを整備するということにしております。これに合わせまして県はゲンティン香港に向こう十五年間、旅客ターミナル前面の岸壁を年百五日間、優先的な利用を認めることとしております。これらの取り組みを着実に推進することで清水港がクルーズ船社ゲンティン香港の日本における母港となるように取り組んでまいります。
 この四月には、静岡県と静岡市並びに清水の民間事業者等の参加した常設の事務局を持つ清水みなとまちづくり公民連携協議会を設立する予定であります。この協議会におきまして清水港が目指すべき姿が議論され、その実現に向け官民を挙げてみなとまちづくりに取り組んでいくことになります。
 このような中、JXTG、エネルギー会社が進めております火力発電所計画がございますが、この公民連携協議会などにお加わりになられるかどうかなと存じます。この火力発電所計画につきましては昨年七月、八月と三度にわたりまして立派な人格者である小野弁護士を代表とする有志の方々が新聞で火力発電所とサッカー場のどちらがふさわしいのかを問う意見広告を出されました。いたく感銘を受けたものであります。さらに地元の市民の方々からも環境や景観に対する悪影響を懸念するさまざまな意見が表明されているところであります。
 ストレートに言えということでございますが、私はこの地にLNG火力発電所は清水港の目指すべき姿としてふさわしくないという認識を持っております。いわばパステルカラーの美しい水彩画に墨をかけるようなものであります。
 県といたしましては、ゲンティン香港が整備する旅客ターミナルに隣接する緑地の整備などを進めつつ県内全域、隣県まで含めた広域の魅力向上等によりみなととまちを一つの資産として清水港全体へ最大限に生かすことでクルーズ船で清水におりたいと思って港を訪れる人々にとって快適な空間を創出し、清水港が世界の憧れを呼ぶみなととなるように取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(杉山盛雄君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 静岡県の創薬力の強化についてお答えをいたします。
 国の日本創薬力強化プランは、医薬品産業におきまして魅力ある研究開発、事業環境の整備や薬事規制改革を推進することで日本発の創薬産業拠点の創出に向けた動きを加速し創薬大国の実現を目指すものであります。
 本県は、製薬企業等の製造、研究拠点が集積し平成二十七年の医薬品、医療機器合計生産金額は八千二百五十億円で六年連続全国一位となっております。この特性を生かし県は静岡がんセンターを中心にファルマバレープロジェクトを推進しており、国が目指す創薬大国におきまして本県独自の重要な役割を果たすことができるものと考えております。
 本プロジェクトの創薬分野では、創薬探索から動物試験、臨床試験に至る各フェーズごとに大学や研究機関、製薬企業などが共同で研究開発を行うためのプラットホームが構築されており、自治体のプロジェクトとしては全国的にも注目される体制と言えます。このプラットホームにおきましては、県立大学創薬探索センターがファルマバレーセンター保有の十二万を超える化合物を活用して全国の大学や製薬企業等と共同して新薬につながる候補化合物の探索研究を行っております。またファルマバレーセンターが県内二十八病院をネットワーク化し、製薬企業等の求める条件に的確に対応できる治験受託体制を整えております。
 議員御指摘のシンガポールにおける研究開発拠点形成、産業集積の促進とファルマバレープロジェクトのネットワーク強化による拠点形成とでは手法など異なるところがありますが、目指す地域づくりの方向は一致しておりますので今後の展開においては大いに学ぶところがあります。しっかりと研究をしてまいりたいと思います。
 県といたしましては、創薬探索や治験受託の体制整備などこれまでの取り組みに加え静岡がんセンターが進めるがんゲノム研究の成果を大手製薬企業等による治療薬、診断薬の開発につなげていくなどにより創薬力を強化し医薬品産業のさらなる集積を図り医療城下町の形成を進めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 医療・福祉バレーの創造についてお答えいたします。
 麻機地域には、県立こども病院と静岡てんかん・神経医療センターという全国に誇れる医療機関があり、これらを中心に周辺には特別支援学校や特別養護老人ホームが立地しております。この地域でドイツのベーテルのような医療と福祉が機能的に連携し中核となった地域づくりが行われ、障害のある方や高齢の方々が就労を通して自立し共生できるまちづくりを進めることは県の次期総合計画の重要な政策である安心して暮らせる医療・福祉の充実にもつながる大変すばらしいことであります。
 現在、県や静岡市などが構成員となった麻機遊水地保全活用推進協議会では、医療・福祉などを通じた障害のある方などの自立支援の場を麻機地域で創出するためベーテル麻機部会が設けられ検討が進められております。医療・福祉が一体となったまちづくりを行うためには、まずは土地利用などを含めさまざまな権限を有する静岡市が主体的にこの地域の将来像を描く必要があります。
 県といたしましては、この構想を実現できるように市を応援してまいります。
 次に、ドナルド・マクドナルド・ハウスでございます。
 ドナルド・マクドナルド・ハウスが目指している親子が触れ合いながら治療を受けることを支援するという考えにつきましては、病気を患う小児にとって大きな心の支えとなるものであり、小児病院の満足度の向上につながるものであります。
 県立こども病院におきましては、患者の家族が宿泊できる施設であるコアラの家や企業と協定を締結し市内のホテルに低廉な料金で宿泊できる制度を設け患者の近くで家族が滞在できる環境を整備しております。今後も県では患者が家族とともに過ごし、安心して治療に専念できるようにドナルド・マクドナルド・ハウスの取り組みなども踏まえ患者と家族が安心して治療が受けられる環境の整備の一層の向上を支援してまいります。
 県といたしましては、新東名のインターチェンジに隣接し豊かな自然環境にも恵まれ今後ますます発展が期待される麻機地域を、医療と福祉が一体となり医療を必要とする方とその家族を支え障害のある方や高齢の方などが安心して暮らせる医療と福祉の町となることの実現に向けて、静岡市と連携ししっかりと取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 静岡県の防災対策に対する外部の評価についてお答えをいたします。
 議員から御紹介のありましたテレビ番組、静岡のチカラは地震予知を前提とした大規模地震対策特別措置法の制定と本県のかかわり、それに伴う防災の取り組み状況及び地震予知の現状などについて放送されたもので番組を通じて静岡県の防災対策に対する客観的な評価をいただいたものと考えております。
 静岡県では、本県の働きかけにより制定された大規模地震対策特別措置法に基づき東海地震対策を進めてまいりました。その結果ハード・ソフト両面のさまざまな防災対策について国の支援を得ながら四十年にわたって二兆円を超える投資を行うことにより、全国でもトップクラスの耐震化率や津波避難タワーの整備数を誇るに至っております。中でも自主防災組織の養成などを通じた自助、共助の意識の育成により総合防災訓練には県民の四人に一人が参加するなど、他県に比べ防災に対する高い意識が培われてきたものと考えております。
 今般、南海トラフの防災対応検討ワーキングにおいて現在の科学技術では確度の高い地震予測は困難とされ、新しい防災対応策定のためのモデル県として本県が指定されたところであります。番組で評価されました全国に先駆けた取り組みや県民の高い防災意識などを糧といたしまして全国の代表として新しい防災対応の検討に取り組むとともに、建物の耐震化や防潮堤の整備など突発地震対策も強力に進めてまいります。
 県といたしましては、一人でも多くの犠牲者を減らすことができるよう番組の中でも呼びかけていた平素からの県民各自の地震への備えを啓発するとともに、訓練や施設の整備などを通じて万全の対策を講じてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 篠原知事戦略監。
       (知事戦略監 篠原清志君登壇)
○知事戦略監(篠原清志君) 日本平における統合型リゾート施設――IRについてお答えいたしま
す。
 日本平は、世界遺産富士山を初め駿河湾や伊豆半島を望む我が国屈指の景勝の地であり、三保松原や久能山東照宮など神話、歴史、文化に彩られた地でもあります。日本的な景観を維持し我が国の文化を象徴するエリアとすることがこの地域が持つ場の力を最も生かすものであり、カジノを含む統合型リゾート施設がふさわしいかという点では高いハードルがあるものと考えております。
 一方、清水港はゲンティン香港のクルーズ船を初め多くの旅客船が寄港する国際旅客船の拠点となってきており、港や周辺地域の魅力を一層高め観光や地域経済の活性化を図っていくことは大変重要であります。
 このような中で、地域の将来のあり方を決めるのはそこに住む住民の皆様であります。住民の皆様の中で提議され徹底的に議論されコンセンサスが得られましたら、天野議員のお考えを推進することも一つの方向性になり得るものと考えております。
 現在、国では今国会へのIR実施法案の提出に向けギャンブル依存症対策や国内での整備箇所数などの課題について議論が行われております。
 県といたしましては、具体的な法案がどのようなものになるか注視していくとともに、県民の安心を最優先とした上で静岡市の意向や住民の方々の議論の状況を踏まえ対応してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 天野進吾君。
       (六十二番 天野進吾君登壇)
○六十二番(天野進吾君) 答弁ありがとうございました。
 本来は一回の質問で終わるつもりでありましたけれども、今知事から想定外のお答えをいただきました。そのことを大変驚くとともに喜んでおります。恐らくその言葉は多くの清水地域に住まわれる皆さんの本当に心からの喜び、そう、快なりと叫ぶ市民がたくさんいらっしゃると私は想像しております。まさに青天のへきれきと言っては失礼かもわかりませんけれども、それなりのお言葉であった、そしてそれをうれしく多くの清水地域に住まいされる方々は受け入れてくれるでありましょう。大変にありがとうございました。
 さて、カジノのことについてはもちろん先ほども申し上げましたように私たちは、私たちの時代の話ではありません。恐らくここにたくさんの議員がおられますけれども、それを具体的に目の前にするには、あるいはほんのわずかな人かもわかりません。しかしそれであっても、我々は将来のこのまちの発展というものを考えて、いつでも常にそういう心を持って対応していきたい、それが私の気持ちであります。
 新しい静岡、そして活力ある夢のある静岡をぜひこれからもつくっていっていただきたい、心から願い、お願い申し上げて私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

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