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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

岡本 護 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2022

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 県民幸福度の最大化の実現に向けた取組について       
2 再犯防止に向けた取組について         
(1)刑を終えて出所した方に対する地域社会における理解の促進         
(2)ふじのくに防犯まちづくり行動計画の策定       
3 こどもの居場所を支える取組について       
4 市町と連携した違反広告物対策の推進について      
5 県立高校における金融教育の取組について


○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十二番 岡本 護君。
       (六十二番 岡本 護君登壇 拍手)
○六十二番(岡本 護君) 質問に入る前に、ロシア連邦によるウクライナ侵攻について一言申し上げます。
 私は、平成三十年七月に本議会の海外事情調査団の一員としてロシア連邦とデンマーク王国を訪問いたしました。視察地のモスクワにおいて、ロシアは攻撃的な国であると西側では思われているが実際は非常に臆病な国である、西側に策略があるのではないかという意識が強く広い国土を守ることを求められている、それで経済力は強くないのに政治力が強く見せているとの説明を聞いた記憶がございます。それにしても、いかなる理由があるにせよ人間の貴い生命と財産を奪う戦争は決して許されるものではありません。ロシアの即時停戦と撤退を強く望むものであります。
 それでは、通告に従いふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、県民幸福度の最大化の実現に向けた取組について伺います。
 川勝知事が平成二十一年に知事に就任して以来、本県の最上位計画であり県づくりの基本指針を示す総合計画におきましては一貫して県民幸福度の最大化を目指す姿に掲げ危機管理を最優先に医療福祉や子育て、産業、観光、文化など様々な分野にわたり県民の生活に直結した施策に取り組んでこられました。近年は人々の価値観の多様化が進んでおり、幸福度と一口に言っても感じ方は個人個人で全く違っていることもあると思われます。
 こうした状況ではあるものの、県民の皆様に自らが住むここ静岡県に対し誇りや愛着をより一層感じていただくことは、我々が県政に携わるに当たり念頭に置くべき基本的なことだと私は考えます。住めば都ということでしょう。本県への誇りや愛着は人口の流出を防ぐことにもつながるものと思っています。これまで取り組んできた富士山の世界文化遺産への登録をはじめとする本県の魅力の向上はこうした誇りや愛着につながるものであります。
 さらに、本県の多彩な魅力や県民の幸福感を積極的に発信していくことは県外在住者の本県への注目度を高め観光県静岡県にとってもプラスとなり、来訪者や移住希望者の増加につながるものではないかと考えます。さきに行われました本議会での集中審査を経て、現在策定の最終段階を迎えている次期総合計画後期アクションプランにおきましても県民幸福度の最大化は引き続き目指す姿に位置づけられており、この実現には私自身大いに期待しているところであります。
 今年度の県政世論調査によれば、コロナ禍での幸福感の変化を聞いたところ「不幸になった」と思う人の割合は五三・二%に及んだと伺っています。知事にはぜひとも猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で社会が大きな打撃を受けている今こそ、県民の幸せの実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、来年度からスタートする次期総合計画後期アクションプランにおきまして県民幸福度の最大化を目指してどのように取り組んでいくのか県の考えをお伺いいたします。
 次に、再犯防止に向けた取組についてのうち、刑を終えて出所した方に対する地域社会における理解の促進について伺います。
 私たちの地域社会では、罪を犯したり非行行為をした人たちが罪を償って社会復帰を目指しても、その後社会の中で必要な支援を受けられずに孤立してしまい立ち直れずにいる方々がおられます。罪を憎んで人を憎まずという言葉がありますが、残念ながらこうした問題の背景には事件に関する悪意のうわさや地域社会からの拒否的な感情、被害を受けて苦しんでいる方々への配慮などから刑を終えて出所した方に対する偏見や差別が生まれ地域での受入れが難しくなっているという心理的な課題があると思います。
 県が令和元年度に実施した人権問題に関する県民意識調査によると、刑を終えて出所した方の人権に関し特に問題があると思われるものとして「更生した人たちに対する誤った認識や偏見が存在していること」が五二・四%で最も高く、次いで「好奇の目で見られたり、避けられたりすること」が三三・六%となっていることからも刑を終えて出所した方に対する偏見や差別の解決が課題であることが分かります。
 一度犯罪を犯した方に対して犯罪者とレッテルを貼り冷たく厳しい目を向ける社会では、社会復帰がしづらく結果として居場所がなく孤立してしまいます。その結果更生意欲を持ちながらも思うようにいかず再び犯罪に手を染めることになるケースが少なくありません。たとえ罪を犯したとしてもその方が生きる権利やその力まで奪われることがあってはなりません。一般社会では生活をしていくことができずに刑務所や少年院ならば生活ができるという社会では困ります。
 このため、刑を終えて出所した方への偏見や差別をなくすよう県民一人一人の人権意識を高め更生への理解を深めていくことが、誰一人取り残さない安心・安全な地域社会の実現につながっていくものと考えます。
 そこで、刑を終えて出所した方が孤立して再び罪を犯すことのないよう地域社会における理解促進に向けた県の取組を伺います。
 次に、ふじのくに防犯まちづくり行動計画の策定について伺います。
 我が県においては、犯罪の起きにくい社会を目指し平成十五年度に防犯まちづくり行動計画を策定し、地域における自主的な防犯活動の推進や犯罪の防止に配慮した都市環境の整備など官民協働で防犯まちづくりに取り組んでおります。こうした継続的な取組の結果、県内の刑法犯認知件数は平成十四年の六万三千八件をピークに翌年の平成十五年から減少に転じ、令和三年には一万四千四百四十件と十九年連続して減少し記録が残る昭和五十二年以降の最少を更新いたしました。
 その一方で、県内で刑法犯による検挙された者のうち再犯者が占める割合は近年約五割と高い水準で推移しており、再犯を防止するため刑務所や保護観察所など国の機関だけでなく地方公共団体や民間団体を含めた社会全体での対応が求められております。
 このため、県では再犯の防止等の推進に関する法律に基づき令和元年度に静岡県再犯防止推進計画を策定し、犯罪をした人などが県民の理解と協力を得ながら孤立することなく再び社会を構成する一員となることができるよう本計画に基づき支援を行っております。
 しかし、雇用主の理解と協力を得て何とか就職することができた人が職場など周囲の目もありなかなかなじむことができずすぐに離職してしまうような非常に残念な例も少なくありません。また刑務所などの矯正施設を出所した人の中には安心して暮らすことのできる適切な住居に入居することができずに不安定な生活を強いられる中、再犯に至ってしまう人も一定数おります。
 私自身、長年出所者等が社会に受け入れられるように保護司の活動をしていますが、心が痛む思いを度々しております。更生保護の現場におけるこのような現状を考えましても、犯罪の起きにくい安全・安心なまちづくりの観点からも再犯防止の取組の重要性はますます高まっております。
 現在、県は静岡県再犯防止推進計画を次期計画における第五次ふじのくに防犯まちづくり行動計画に統合して策定し本年度中に公表予定であると伺っております。県は本年度までの静岡県再犯防止推進計画の成果や課題を踏まえ、新たなふじのくに防犯まちづくり行動計画において今後どのように再犯防止に取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 次に、子供の居場所を支える取組について伺います。
 困ったことが起きたとき一人一人が最大限努力し解決に努める自助、自助で問題が解決できない場合には地域の人など周囲が支える共助、そして共助でも問題が解決できない場合は公的な仕組みが支える公助という考えが示されて久しくなりますが、現実は勢い公助に頼ることが多く共助の考えは十分に進んでいないという印象があります。
 そうした中で近年、地域のNPO団体や住民の方が主体となり運営する子供食堂が全国的に大きな広がりを見せています。昨年十二月に認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえが公表した調査結果によりますと、令和三年の全国の子供食堂の数は六千七か所を数え過去最多を更新しています。
 また、子供食堂は困窮世帯への支援にとどまらない展開をしております。さきの調査でも全体の三分の二の子供食堂が多世代交流を促す取組を実施していると回答しており、大学生等の地域の若者の参加を促す取組を実施している子供食堂も全体の三分の一に上っていることなどから、子供食堂が幅広い年代の地域住民の交流の場として機能していることが分かります。
 他方で、高齢者の居場所の必要性も認識されている昨今こうした場を機会に高齢者との交流が生まれればつながりの創出、高齢者の生きがいにもつながるものと思います。こうしたことから地域住民相互の共助の場を創出するためにも子供食堂をはじめとする子供の居場所づくりの取組を一層促進していくことが有効であると考えます。
 また、取組の促進においては資金面からも支える必要があります。寄附文化の醸成を推進していくことが必要です。近年耳にすることの多いクラウドファンディングもこの一例です。この点県が今年度から新たに取り組んでいる子供の居場所支援はふるさと納税等の寄附金を活用したもので、県民の支援したいという気持ちを生かした取組と言えます。
 そこで、この寄附金を活用した子供の居場所への支援の取組について今年度の実績を踏まえどのように評価しているか、その上で今後どのように進めていくのか、県の見解を伺います。
 次に、市町と連携した違反広告物対策の推進について伺います。
 静岡県の美しい景観の中で競技を行っていただけるよう、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催された伊豆半島や自転車競技ロードレースのコース沿線において違反広告物対策に精力的に取り組んできた結果、伊豆半島は九割を超える是正がなされ、またロードレースのコース沿線では全ての違反広告物の是正が完了し景観の改善に着実な成果を上げており大いに評価したいと思います。
 平成二十九年十二月、取組を開始した当初は広告主や事業者の方々の理解がなかなか得られず現場の職員の皆さんは丁寧な説明を重ねながら一件一件是正につながっていったであろうと察せられます。皆さんが熱心に取り組んでくれたことで地域の方々の取組への理解も深まったのではないかと思います。目立っていた違反広告物が是正され景観が目に見えて改善した姿を県民や事業者の方々が実感することは新たな違反広告物が設置されないような環境づくりにもつながっていきますので、今後も伊豆半島での是正完了に向けて市町と連携して粘り強く取り組んでいただきたいと思います。
 また、複数の市町にまたがる同じ幹線道路上の違反広告物に対して市の区域については市が、町の区域については県の土木事務所が担当し一体となって取り組んだことは大変効果的であったと強く感じております。
 さてそこで、同様の取組を中部や西部地域においてもぜひ積極的に進めてほしいと考えます。現在、県では大井川流域・牧之原大茶園エリアや浜名湖エリアにおいて県と市町で景観協議会を組織し広域景観形成に取り組み始めたところであると聞いております。これらのエリアにおいて伊豆半島などで培った県と市町が連携した違反広告物対策を展開していくことで、さらなる静岡県の美しい景観づくりが実現していくものと期待をいたしております。また県内の豊かな自然、文化や歴史に根差した県民や国内外からの来訪者に誇れる美しい景観づくりが進められていくことは観光県静岡県にとってすばらしいことであります。
 そこで、大井川流域・牧之原大茶園エリアや浜名湖エリアにおける市町と連携した違反広告物対策の取締り状況と今後の進め方について伺います。
 次に、県立高校における金融教育の取組について伺います。
 民法改正により今年四月より成年年齢が十八歳に引き下げることになりました。今後は十八歳になった段階、すなわち高校生の段階から親の承諾なしに自分の意思で様々な契約を取り交わすことができるようになります。例えばクレジットカードをつくったり携帯電話を契約したり高額な商品を購入したりするときローンを組むといったことができるようになります。
 これまでも、高校の教育現場では消費者トラブルを防ぐための消費者教育が進められてきているところでありますが契約には様々なルールがあり、そうしたルールを理解しないまま安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。いよいよ成年年齢の引下げの執行が迫ってきますと本当に高校生が理解しているのか、犯罪に巻き込まれることはないのかと不安になります。
 そういった成年年齢引下げの流れを受けて、四月から新学習指導要領では主体的に生活設計できるようにすると記し高校の家庭科の授業においても金融商品についての学習内容が組まれております。いわゆる金融教育が本格的に始まります。積立投資などにおける少額商品も一般的となってきており、今後は投資というものがますます身近になっていくと考えています。
 一方、投資にはリスクもあるため投資について正しく理解した上で行う必要があり、場合によってはだまれてしまうこともあるのではないかと心配をしています。自分の資産を正しく管理運用するためには高校生の段階で資産形成に関する正しい知識を身につけることがとても重要であると考えています。
 県立高校において、今後金融教育にどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 以上が私の質問ですが、結びにふじのくに県民クラブを代表してこの三月末をもって退職されます職員の皆様に御礼とはなむけの言葉を申し上げます。
 本年度末で定年退職をされる予定の職員の皆様は、長谷川地域外交担当部長、藤原危機管理監、市川くらし・環境部長、石田健康福祉部長、三須経済産業部長、細谷農林水産担当部長、和田交通基盤部長、増田出納局長、前島監査委員事務局長、塚本労働委員会事務局長、鈴木収用委員会事務局長、長澤教育部長をはじめ知事部局等で二百十四名、教育委員会で六百名、警察本部で百二十五名、合わせて九百三十九名と伺っております。
 皆様の多くは昭和三十六年にお生まれのことと存じます。この頃国内では所得倍増計画がスタートし、戦後の混乱期が一段落し経済成長も進みレジャーブームが始まった頃でもあります。アメリカではケネディ大統領が誕生し四十三歳というその若さから未来への期待感に湧き、旧ソ連ではガガーリンが人類初となる宇宙飛行を成功させるなど華々しい時代の幕開けであったと思います。その後一九七〇年代は公害問題やオイルショックなどにより国内では低成長の時期を乗り越え、皆様が入庁された昭和六十年頃には再び景気が上向き始めました。
 昭和から平成に時代は変わり絶頂を迎えていた好景気もバブル崩壊で終えんを迎え、リーマンショックなどの海外の経済危機のあおりを受け経済的に厳しい状況が続きました。こうした厳しい社会情勢の変化とともに個人の価値観の変化や多様化が大きく進む中、常に県政の発展と県民の幸福を最優先に献身的に職務を遂行されました皆様の御努力に改めて御礼を申し上げます。
 ここ数年は定年を前に御自身のキャリアの集大成としてけじめをつけていこうという気持ちを持って職務に臨まれてたことでしょうが、コロナ禍が長期化し新たな課題への対応に追われその思いもままならなかった方もいらっしゃると思います。
 いまや人生百年時代です。あの渋沢栄一の言葉を借りれば六十、七十は働き盛りです。松下幸之助も志を立てるに老いも若きもない、そして志あるところ老いも若きも道は必ず開けるのであると言っています。
 皆様の人生はこれからです。これまでの思いや経験を生かし新たな可能性を求めて大いに御活躍されることを御期待申し上げます。そして折に触れ今後の県政を担う後輩の皆様に御指導も頂きたく存じます。改めて皆様のこれまでの御活躍に感謝を申し上げ、これからの人生が充実に満ちあふれたものになるようお祈りを申し上げ私の質問といたします。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 岡本議員におかれましては、昭和、平成、そして令和の時代をこの県庁で精進しこの三月末日をもって定年で退職する者たちに対しましてねぎらいの言葉と温かい励ましの言葉を頂きまして、職員に代わりまして厚く御礼を申し上げます。
 岡本議員にお答えいたします。県民幸福度の最大化の実現に向けた取組についてであります。
 私は、知事就任以来富国有徳のふじのくにづくりの基本理念の下、目指す姿に県民幸福度の最大化を掲げ県民のどなたもが誇りと希望を持って物心ともに豊かに暮らすことのできる社会の実現に取り組んでまいりました。
 議員御指摘のとおり、本県の魅力の向上は県民の皆様の誇りや愛着につながるものと思います。このため富士山の世界遺産登録や伊豆半島の世界ジオパークの認定、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功など本県の魅力を世界レベルへと磨き上げる取組も積極的に取り組んでまいりました。
 御案内のとおり、二〇一三年六月に富士山が世界文化遺産に登録され昨年の十二月まで八年と七か月の間に本県の世界クラスの地域資源と人材の数は百十八件に達しております。一か月に一件以上の割合で認定されていると、こうしたことが県土と県民への誇り、自信、また自らの人生の励ましになるということを信じてのこうした資源の人材の紹介をしてきたということでございます。
 しかしながら、現在はコロナ禍によりまして県民生活を取り巻く環境は一変いたしました。生活の基盤を支える経済活動は大きな打撃を受けており、行政のデジタル対応の脆弱性がセーフティーネットとなるべき資金の供給を遅延させる事態も発生しました。
 感染拡大から約二年が経過しましたが、いまだ感染症の終息が見通せず人々の多くが不安を抱えて生活されています。それを端的に示したものが今年度の県政世論調査であります。ここではコロナ禍での幸福感の変化に関して「不幸になった」と思う人の割合が何と五三・二%に上っており大きな危機感を持っております。
 大きな危機に直面している現在、まず最優先事項として安心・安全な県民生活が確保されることが重要であります。その上で異なる価値観が共存し多様性を尊重する開かれた社会を実現していくことが県民の幸福度の向上につながるものと考えております。幸福、幸せと感じる状況は個人個人によってもとより異なるものであります。多様性を尊ぶということは個性、また個人を尊ぶということであり、お一人お一人の夢また理想を大切にするということにつながっていると存じます。
 次期総合計画後期アクションプランでは、こうした観点に立って県民幸福度の最大化を目指してまいります。
 具体的には、命を守る安全な地域づくりに最優先で取り組みます。新型コロナ危機に打ち勝つべく疫病から県民の命を守るという防疫体制の強化はもとより生活困窮に陥った人々への支援の一層の充実などに取り組んでまいります。また地震・津波対策の充実とともに激甚化する災害対応の強化を図ってまいります。さらに社会全体のDXの推進やフジノミクスの展開により利他の精神に支えられた力強い経済の再生に注力してまいります。
 加えて、新しい生活様式や働き方に対応した豊かで広い暮らし空間の実現やテレワークやワーケーションの浸透に向けた環境整備を進め、SDGsの基本理念の柱でもある誰一人取り残さない社会の実現に全力で取り組んでまいろうと考えております。
 県といたしましては、自らが変革の主体となって市町などのステークホルダーと協力しながら、どなたも取り残さない誰もが幸せを実感できる地域社会を実現し県民幸福度の最大化を目指してまいります。
 次に、再犯防止に向けた取組についてのうち、刑を終えて出所した方に対する地域社会における理解の促進についてであります。
 人は生まれながらにして独自の個性、感性、能力、生命力を持って個人としてかけがえのない存在であります。この人間の尊厳が守られるためにはお互いの人権を尊重しながら自分らしい生き方ができることが求められます。
 しかしながら、依然として児童虐待やDVなどの身体、生命の安全に関わる事象や不当な差別が存在しており、その中には刑を終えて出所した方に対する偏見や差別も存在していることに心を痛めております。
 こうした中、県では令和三年三月に改定した静岡県人権施策推進計画におきまして刑を終えて出所した人をめぐる人権問題を新たな分野別課題として位置づけ国、市町と連携し広報啓発活動を推進するとともに、更生保護団体等と協力して地域や企業等への周知啓発に取り組んでおります。
 具体的な取組といたしましては、再犯防止や更生保護の活動に関する周知啓発を行う社会を明るくする運動を推進するとともに、地域や職場における人権意識の高揚を図る啓発リーダーを養成する人権啓発指導者養成講座におきまして再犯防止をテーマに取り上げ正しい理解の普及に取り組んでおります。
 また、罪を犯した方の立ち直り支援や地域での犯罪予防の啓発を行う保護司会連合会のほか青年ボランティアによる非行防止活動に取り組む団体等への助成を行い支援をしております。議員が保護司として長らく尽力されていることは承知しておりまして敬服しておるところでございます。
 県といたしましても、罪を償い刑を終えて出所した方が偏見や差別を受けて孤立することなく立ち直り再び社会の一員として受け入れられるよう、県民一人一人に人権尊重の意識が育まれた思いやりあふれる社会の実現を目指してまいりたいと存じます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 再犯防止に向けた取組についてのうち、ふじのくに防犯まちづくり行動計画の策定についてお答えいたします。
 県では、令和二年度に策定した静岡県再犯防止推進計画に基づき国や関係団体と連携して施策を推進し、この間保護司や協力雇用主が増加するなど一定の成果を上げていると認識しております。
 一方で、議員御指摘のとおり自ら社会復帰のために努力する人たちに対する誤った認識や偏見が依然として存在しております。また矯正施設からは住居の確保等の支援が届いていない人もいると伺っており、犯罪をした人等に対する周囲の理解不足の解消と必要な支援につなげることが再犯防止の課題であります。
 県では、再犯者を減らすことが犯罪を減らし県民の安全・安心の確保につながるとの認識により、今年度再犯防止推進計画を統合した新たな防犯まちづくり行動計画を策定し再犯防止を防犯まちづくりの視点から総合的に推進することとしております。
 この計画では、周囲の理解不足の解消のために社会を明るくする運動強調月間や再犯防止の啓発推進月間である七月を中心とした広報啓発活動により県民の皆様が社会復帰のため努力する人たちに対して関心を持っていただけるよう広く呼びかけていくこととしております。
 また、犯罪をした人等と必要な支援をつなげるためには更生を助ける保護司の役割が重要であることから、保護観察所と協力し保護司の人材確保に向けたPRや活動場所の確保に取り組んでまいります。また就職に向けた相談、支援等の充実による就労の確保や入居を拒まない民間賃貸住宅等による住居の確保に一層取り組んでまいります。
 県といたしましては、防犯まちづくり行動計画に盛り込む施策を着実に推進することにより再犯を防止して犯罪のない社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長(石田 貴君) 子供の居場所を支える取組についてお答えいたします。
 県では、子供が孤立することなく身近な地域において安心して過ごすことができる居場所を確保するため、セミナーの開催やアドバイザーの派遣などを通じて子供の居場所づくりに取り組む団体等の支援に取り組んでまいりました。
 こうした取組を一層促進するため、個人や企業からふるさと納税制度等を活用した寄附金を頂き子供食堂や学習支援などに取り組む団体等を支援する制度を今年度新たに設けたところ、二月二十二日までに目標額を上回る一千五百八十六万円余の寄附が寄せられました。今後社会福祉法人静岡県社会福祉協議会を通じて五十五団体に助成するほか、事業提案を頂いた子供の居場所づくりに取り組む四団体には県が直接助成し活動を支援してまいります。
 多くの御寄附を頂けましたことは子供を支える地域の方々を応援したいと考える皆様の温かい思いによるものであり、同時に今回の取組がその思いを形にして支援を必要とする団体に確実に届ける仕組みとして評価されたものと考えております。
 県といたしましては、今後も皆様の御寄附を活用して子供を見守り支える地域の方々の活動を引き続き支援するとともに、寄附を受けた活動の実績をPRすることにより地域住民同士が支え合う共助の気運を醸成し誰一人取り残さない社会の実現につなげてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 市町と連携した違反広告物対策の推進についてお答えいたします。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが行われた伊豆半島エリアと富士山エリアにおきましては、県が関係市町と共に組織する景観協議会に違反広告物を是正するためのワーキンググループを設置し一丸となって対策に取り組んでまいりました。県と関係市町がそれぞれが持つ是正指導のノウハウを共有し効果的な指導を行ったこと、また県民の皆様に対する広報啓発を連携して行ったことなどにより対策が進んだものと考えております。
 このため、大井川流域・牧之原大茶園エリアと浜名湖エリアの違反広告物対策におきましても昨年度ワーキンググループを設置し関係市町と連携した取組を開始しております。
 今年度は、オリンピック・パラリンピックのロードレースコース沿線で実際に是正指導を行った裾野市の職員を講師に招き、違反事業者への対応として短期間に集中して指導を行うことや違反広告物の撤去や改修方法を具体的に示し改善を促すことなど指導の実効性を高めるノウハウの習得も行いました。
 また、違反広告物対策を円滑に進めるためには地域の方々に景観が改善された姿を実感していただき対策の必要性を理解していただくことが効果的であります。このため来年度は幹線道路や主要なインターチェンジ周辺などにおきまして集中的に是正指導を実施し、美しい景観が取り戻された状況をSNS等により積極的に情報発信してまいります。
 県といたしましては、県民の皆様に愛され本県を訪れる誰もが心引かれる美しい県土づくりに向け良好な景観形成に対する意識啓発に努めるとともに、市町と連携して違反広告物対策を推進してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 県立高校における金融教育の取組についてお答えいたします。
 成年年齢が十八歳に引き下げられることに伴い、高校では二年前から家庭科の授業において金融教育を含む消費者教育を行っております。また平成十八年度からは県教育委員会、東海財務局及び日本銀行等で組織する静岡県金融広報委員会において、県立高校一校を金融教育研究校に隔年で指定し二年をかけて家庭科、公民科など教科横断的に全校を挙げて実践的な金融教育に取り組んでおります。
 近年、投資初心者でも利用しやすい少額投資非課税制度――NISAも一般的となってきており議員御指摘のとおり今後は投資がますます身近になっていくものと考えております。また高校生の段階で金融商品の特徴や将来の資産形成に関する正しい知識を身につけることは消費者トラブルを防ぐとともに、社会の変容に対応し生涯を見通して生活を設計していくためにも極めて重要であります。
 このため、金融商品の仕組みやメリット・デメリットなどの専門性が高い情報を分かりやすく指導するため銀行や証券会社などによる出前講座をさらに拡充してまいります。また教員の専門性を高めるため家庭科教員の研修会において新たに金融の専門家の講義を取り入れ研修内容を充実するとともに、金融庁が作成した基礎から学べる金融ガイドの活用を促進し授業改善を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、金融教育の充実を図り将来にわたって金融に関する知識と判断力を持ち自立的で安心かつ豊かな生活を送れる人材の育成に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) これで岡本護君の質問は終わりました。(拍手)

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