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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/01/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 ICTを活用した林業の効率化の推進について
2 県産材の需要拡大について
3 八十年目を迎えた天竜浜名湖鉄道について
4 県と浜松市との基本協定の更新について
5 新型コロナウイルス感染症への対応について
(1) 新しい生活様式の提案
(2) 職員の在宅勤務
(3) 児童生徒のモチベーションの維持


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開いたします。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、六十一番 中谷多加二君。
       (六十一番 中谷多加二君登壇 拍手)
○六十一番(中谷多加二君) 六月定例会の最終質問者として登壇をさせていただきました。今定例会は新型コロナウイルス感染症の感染拡大後初の定例会ということもあり代表質問、一般質問と、この話題が中心となりました。コロナウイルス対策は県政の緊急の課題ではありますが喫緊の課題もありますので、私はライフワークの林業、そして地元浜松市天竜区の話題を中心としつつコロナウイルス関係も含め一括質問方式で知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長に幾つかお尋ねをいたします。
 初めに、ICTを活用した林業の効率化の推進について伺います。
 近年、ICT、AI等を活用した技術開発が進み無人自動運転による移動や物流サービス、オンライン医療、IoTを活用した見守りサービスなどが現実的になるなどこうした技術の導入が社会や経済を変えつつあります。本県の一次産業においても、農業における飛躍的な生産性向上などを目的として産学官などの連携によるAOIプロジェクトなどが始まっています。
 さて、林業の分野に目を転じるとどうでしょうか。本県林業は山間部の広大な林地を対象としている上に、小規模な山林所有者が多いことに起因して施工地が散在し路網整備が十分に進んでいない場合があります。また木材生産計画策定のための森林調査や植栽した苗木を鹿の食害から防ぐ柵の定期的な見回りなどにも大変な時間と労力を要しています。さらに急峻な地形や人力による作業が多いことから労働災害の発生率は他産業に比べて高い状況にあります。つまりコスト縮減や労力の軽減、安全の確保などに課題があります。
 このような課題を解決するにはICT等の先端技術の活用が効果的と考えますが、残念ながら他産業に比べてその導入が遅れていると言わざるを得ないのが現状です。これまで導入が進んでこなかったのは、戦後に一斉に植林した人工林の下刈りや間伐といった育成が中心であったことから主伐やそれに伴う再造林等について低コスト化に向けた技術開発への投資意欲が低かったことが大きな要因と考えられます。しかし現在ではこの人工林が全国的に収穫期に移行しつつあることから、林業の分野でもICTを活用した高精度な森林情報の取得、活用や先進的な林業機械などの技術開発、実証が始まっております。
 本県においてもこれまでの利用間伐に加え主伐、再造林により木材生産を促進する取組が進められています。この機に効率化や省力化に資するICT等の先端技術を導入し木材生産の収益性を一段と高めることで森林所有者の収入が増え伐採意欲の向上にもつながります。また林業経営体の経営が安定し、さらにはそこで働いている方々が急斜面での危険を伴う作業から解放され若者が将来に展望を持って安心して働ける産業になると考えます。
 そこで、本県の成熟した森林資源を活用し林業の持続的な発展と中山間地域の活性化のためICTを活用した林業の効率化を推進すべきと考えますが、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、県産材の需要拡大について伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で様々な分野に過去に経験がないほど大きな影響を及ぼしており、林業、木材産業においても今後木材の需要低迷によって丸太の販売量減少や価格低下が懸念されます。このような状況にありますが、感染症対策に十分留意しつつ地域の事業者の取組を支援していくことが大事だと考えます。
 本県関係者がオール静岡の体制を組んで県産森林認証材製品を納材した選手村ビレッジプラザの完成後、今年一月に行われた内覧会の際には施設の設計監理を担った建築関係者から本県が提供した木材の品質を称賛され高く評価されたことで納材に携わった関係者からは喜びの声が上がり自信につながっております。
 本県産材を扱う地域に根差した製材、加工業者は集成材や合板のように接着加工をしていない無垢材の製材品の生産を主力としており、柱や土台のほか木本来の質感、見た目の美しさを生かした内装材など地域の住宅建築に必要な部材の供給を担ってきました。選手村ビレッジプラザに納材した木材はこの無垢材の製材品であり、品質と供給力を示したことで評価を得た今回の経験を契機として製材、加工業者等の販路拡大に向けた意欲がより一層高まったのではないかと考えています。
 CLTは長いスパンの木材製品の製造も可能で広い空間づくりができるメリットがある一方、加工工程が複雑で接着剤を使用することなどにより価格が割高になるなどの弱点も見られることから、木材利用に当たっては木材製品それぞれの特徴を生かして適材適所で使うことが重要であります。CLTは万能製材品ではありません。何でもかんでもCLTを使っていると言えばいかにも先進的な取組と思われがちですが、本来の木のよさを知らない方々なのです。無垢材の製材品の原料となる丸太は曲がりが少ない、いわゆるA材であることから無垢材の製材品の利用拡大は結果としてA材の丸太の需要を喚起し森林所有者の所得の向上にもつながります。
 そこで、地域に根差した製材、加工業等の事業者の意欲ある取組を後押しするため県産材の需要拡大についてどのように取り組むのか伺います。
 次に、八十年目を迎えた天竜浜名湖鉄道について伺います。
 昭和十五年――一九四〇年に東海道本線の迂回路線として全線開通した国鉄二俣線、現在の天竜浜名湖鉄道が本年六月開通八十年を迎えました。戦中の迂回路線としての役割から戦後は地域住民の足として活躍し、車社会の進展とともに徐々に乗客数が減少し国鉄の経営改善の流れにも飲み込まれ、県と沿線市町が中心となり運営する第三セクター天竜浜名湖鉄道として昭和六十二年に再出発を果たしました。
 国鉄二俣線から始まり天竜浜名湖鉄道に引き継がれる間、多くの地域の皆様に支えられてここまでやってこられたことに天竜浜名湖鉄道議連の会長としてお礼を申し上げるとともに、地域の足としての自覚を持ち日々安全運行に取り組まれてきた多くの社員の皆様にも感謝を申し上げます。
 八十周年というお祝いの年ではありますが、現在大変厳しい状況に置かれています。今定例会で多くの議員の皆さんが取り上げた新型コロナウイルス感染症の影響が天竜浜名湖鉄道にも及んでいます。
 三月の突然の学校休業要請に始まり四月には緊急事態宣言に伴い不要不急の外出が抑制され、さらには様々な業種に対する休業要請が出されたことで旅客数が激減しています。本年三月が昨年比三万五千人の減、四月が七万九千人減となってしまいました。この結果、旅客収入は昨年四月の四割程度まで落ち込んでしまいました。
 このような中でも、○○結石というお腹に抱えた石と闘っていた長谷川社長をはじめ社員一同は少しでも収入を増やすための取組を始めていました。結石にヒントを得たわけではないと思いますが、新潟のえちごトキめき鉄道とのコラボレーションによる線路の玉砂利を缶詰にして売り出す取組も行われるなど鉄道ファンの心をつかみ成功することを期待しています。また国鉄二俣線全線開通八十周年記念入場券セットを販売したところ二千セットがほぼ完売したと社長は言っております。
 しかし、これらの取組だけでは根本的な旅客収入の回復は望めません。今こそ県、沿線市町が一体となって地域の足として地域の活性化に寄与する公共交通機関としての天竜浜名湖鉄道を活用し支えなくてはなりません。
 私が高校生時代、掛川で下宿生活、土曜日には自宅に帰り月曜日に自宅から登校するという生活を送っていました。当時の二俣線は通勤通学ラッシュで二両編成の車両はすし詰め状態、三密の極みで現在の天浜線と比較すれば隔世の感があります。高校生という多感な時代であり、甘酸っぱい青春の思い出の一ページを飾るこの路線をぜひとも存続させていただきたいと思います。
 しかしながら、万が一大きな赤字となれば自然災害のために県と沿線市町で積み立てた基金を活用するということも考えなければならないでしょう。また国においても地域の交通インフラを守るための財政支援措置が制度化されたと聞いております。
 県として、八十年目を迎えた天竜浜名湖鉄道の現在の状況に対してどのようにして沿線市町と共に支えていくのか伺います。
 次に、県と浜松市との基本協定の更新について伺います。
 政令市である浜松市が誕生し十数年がたちました。政令市との基本協定は三年ごとに更新を重ねてきており今年度は過疎六事業の更新のときを迎えています。過疎六事業は政令市に移行する際に政令市に移譲するのが原則ですが、過疎地域を抱える浜松市の事情を鑑み特別に継続してきたものです。
 しかし、政令市移行直後には僅かな事業量がありましたがその後は低迷しています。せっかくの財源措置も宝の持ち腐れとなっているのが現状です。そもそも過疎法自体が今年度で期限を迎える状況となっています。
 過疎地域は現在全国で八百十七市町村あり全市町村の四八%、全国の面積の五九・七%を占め新たな過疎対策に向けて国の議論も進んでいますが過疎法の延長があるのかという大本の話もあり、中には一定程度の規模の市町内の過疎対策は市町に委ねたらどうかという議論もあると聞いています。そのような結論になったときには過疎六事業を継続する意味はなくなってしまうと考えられます。議論の行方は注視していかなければなりません。このような状況の中ではあるものの、県もこれから浜松市との間で過疎六事業の議論を始めていくと思います。
 そこで、浜松市との基本協定の更新に当たり県がこれまでの過疎六事業を継続してきた意義、そして過疎地域支援として得られた成果をどのように受け止めているのかお伺いをいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対策についてのうち、まず新しい生活様式の提案について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の流行による最大の影響は、私たちの生活スタイルを一変させなければならないことだと感じています。
 マスクの着用は別として、いわゆる三密と言われる気密性の高いコンクリートの建物が林立した都会的生活スタイルがしみ込んでいる現代の人間においてはある意味避けることのできないものであります。しかし私の住む天竜区ではコンクリートの建物は数えるほどで通気性のよい天竜材で建てた家があり、面積が比較的大きな敷地により人と人、それぞれの生活空間の間隔も適度であるなど三密とは縁のない生活を送ることができます。
 これは余談ですが、川勝知事は就任間もない頃よく家・庭一体、三百坪の住宅地などと発言され、一部からはライフスタイルの押しつけ、そんな夢物語は県民が等しく享受できるわけがないなどの批判を浴びたものですが、昨今の状況を思えば偶然の出来事か、はたまたと妙な感心をしてしまいます。
 話は戻りまして、そういう意味では北遠地域や川根地域などの山間地における生活を見直すよいきっかけなのかもしれません。三月からこの方、様々な会合などが全て中止となり時間ができたことを幸いに私も山の境も見回り畑の手入れをし、わなによるニホンジカ猟を行い、いい汗を流した後に鹿肉のたたきや焼いた鹿の心臓、行者ニンニクしょうゆで下味をつけた鹿肉の竜田揚げをつまみに県内の酒蔵で醸造された日本酒などで晩酌をするという、これぞ田舎暮らしの見本という生活をしてきました。御注意申し上げておきますが、夏鹿の肉を食べ過ぎるとおなかを壊します。
 まさしく地産地消の生活であり獣害対策にも一役買っております。加えて鮎の友釣りも解禁され私の得意とする投網漁も八月から始まります。またウナギ、モクズガニもいます。このような生活ができることを地元浜松市や県は県民にPRしてもらいたいものです。使い古されてきましたが田舎の魅力の再発見とはこのことだと痛感しています。
 さて、私の新しい生活様式の提案は田舎暮らしの再発見であります。田舎に移り住むという選択もありますし都市部の人が週末を過ごすといった楽しみ方もあるでしょう。このような生活を推し進めることはSDGsにかなうことなのです。ただ、いずれにしてもライフスタイルを変えることは簡単なことではありませんから、まずはその入り口としてより多くの人に気軽に観光で訪れ数日でも滞在してもらうことで田舎暮らしのよさを体感してもらいたいものです。
 そうすることで県内交流人口の拡大にもつながっていくと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、職員の在宅勤務についてであります。
 政府の緊急事態宣言の発出に合わせ、県は東京、神奈川、愛知などの都県から通勤している職員に対し四月十三日から在宅勤務を急遽開始しました。また職場の三密解消や接触機会の低減に取り組むということで、職員の出勤を二割から五割削減するとして在宅勤務や休暇の取得の促進を図ったと聞いています。
 しかし、あまりに急に事態を進めたため在宅勤務を命じられた職員に対する準備がほとんどできていなかったのではないでしょうか。在宅勤務については本年二月から育児や介護などを想定し在宅勤務用のパソコンを二十台ほど導入し試行をしていると思いますが、出勤五割などという想定ではないことから在宅勤務用パソコンは足りず職員が自ら所有しているパソコンを使用するしかなかったようです。
 在宅勤務用パソコンは県庁内のSDOと呼ばれるシステムにアクセスできますが、私用のパソコンはそのシステムにつなぐことはできないとか自宅ではプリンターで書類を打ち出してはいけないとかいろいろ制約があったと聞いています。
 こういう状況では在宅勤務中に実際にどの程度仕事ができていたのか疑問が生じますし、また課長など管理職が仕事の進み具合を把握できていたのか疑問です。また県は人事評価制度を導入しており勤勉手当等への反映をしていますが、在宅勤務での評価の仕組みなどはできているのでしょうか。
 国が言う新しい生活様式の中に在宅勤務も含まれており、新型コロナウイルス感染症が下火になったとしても在宅勤務を進めていく方向は変わらないのではないかと考えます。
 さきに議決された六月補正予算には全職員にモバイルパソコンを配付するという予算十三億円が組まれていましたが、物は買っても仕組みが整っていなければ効果は発揮されません。ちなみに情報通信網の整備が遅れている北遠地域では残念ながら在宅勤務はかなりハードルが高いことを申し添えておきます。
 さて、効果が発揮されないことのないようこれまでの在宅勤務における様々な課題点を既に洗われていると思いますので、まずはそれらの課題をどのようにして解決していくのか伺います。
 その上で、恒久的に在宅勤務を進める方針があるとすれば具体的にどのような方針で進めていくのか伺います。
 最後に、児童生徒のモチベーションの維持について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により県内の学校は三月上旬から一斉休校となり、春休みを挟んで再び緊急事態宣言を受けて休校となり、五月中旬以降地域の実情に応じて順次登校できるようになりました。この二か月半余りの間に学校をめぐる環境は大きく変わりつつあります。
 まずは学習です。例年よりも大きく後れを取っているのは間違いなく、これをどう取り戻していくのかが大きな課題です。また密を回避するための学校の環境をどう整えていくのか、国が打ち出したGIGAスクール構想にどう対応するのかなど課題は山積みです。
 また部活動も深刻です。全国大会などの大イベントも中止となり様々な大会の中止が続きました。また大会ばかりではなく日々の練習にも様々な影響が出ています。特に選手同士の接触がある競技などは感染予防対策をどう講じるのか課題となっています。
 私はこういう状況の中、児童生徒一人一人が学校生活でのモチベーションを失ってしまわないか心配をしています。例えば本県の高校生活では三年初頭まで勉強と部活動に打ち込み夏前から勉強にシフトして進学、就職に備えるという生活サイクルがあり、生徒はこの流れの中で研さんをしていくのです。しかし今、部活動の部分が中途半端な状況になり目標を見失った高校生たちが気持ちの切替えができず日々を無為に過ごしていないか心配をしています。
 これは高校生の例ですが、全ての子供たちが生活態度の乱れや学習意欲の低下につながらなければよいがと案じています。学校も教育環境を整えるように取り組み教員も授業の遅れを取り戻そうと一生懸命に取り組んでいることと思いますが、何より大事なことは児童生徒の学校生活におけるモチベーションを維持することです。
 そこで、コロナ禍による逆境に向き合い学習や部活、学校行事などに励んでいく子供たちに対して教育長から伝えたい思いを伺い、私の質問を終わります。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 ICTを活用した林業の効率化の推進についてであります。
 林業は、自然と調和しながら長い年月で培った豊富な知識経験に基づく森林管理手法や研さんを積んだ高度な立木伐採技術などが求められる産業であります。一方厳しい地形条件に起因する危険で人手のかかる作業からの脱却、また人手不足の解消などといった課題がございます。
 こうした課題を解決し収益性を高め若者が魅力を感じる林業を実現していくためには、作業現場の安全を確保しつつ林業の生産性向上や作業の省力化に向けICT等を活用した林業技術の早期普及と新しい技術開発を進める必要がございます。
 昨年度から県は、木材生産の計画策定におきまして広大な森林からの生産適地の選定、路網計画の策定等に際し航空レーザー計測による高精度な森林資源情報等を活用して効率化を図っているところでございます。また、植林地の管理におきましては鹿被害の防護柵の点検等に際しドローンに搭載したカメラを用いて省力化を図っております。このように計画から施工及び施設の点検の各工程において、ICT等を活用した林業技術につきまして現地検証会の開催等を通じ早期普及に取り組んでまいります。
 一方、林業の現場は地形が急峻な上、電波が届きにくいなど他の産業と異なる特殊性を有しておりますことから一般的に普及している技術をそのまま適用できないといった課題がございます。そのためこれらの解決に有効な技術を有する機械メーカー、情報システム開発企業、研究機関、また現場を担う林業経営体によるフォーラムを創設いたします。
 このフォーラムでは、ウェブ上や技術展示会を通じて先端技術情報の共有を図るだけでなく林業現場が抱える課題の把握、分析や実証フィールドの形成により現場ニーズに応じた技術の改良や開発を促進いたします。さらに県が航空レーザー計測で取得した三次元点群データから解析した高精度な森林資源情報等をオープンデータ化することにより、これを活用した新たなスマート管理技術等の開発を行う企業の参画も促してまいります。
 以上、林業の効率化について申しました。しかしこれは森林、森に手入れをする、この手入れの仕方の高度化を図ろうということでございまして、私はこの林業産業と森の生活がいかに調和するかということが最終目的であります。そのほか帰去来の辞というのがございまして、これを菅原道真さんがいざ帰りなん田園へというふうに訳しました。田園というのはふるさとという意味合いです。ですからこのいざ帰りなんふるさと、そのふるさと創生のために技術を最新システムに変えていこうということで目的は技術の効率化それ自体ではありませんでそれは手段で、森の生活が豊かであるということを示すための新しい段階へこれから進もうということでございます。
 私は、森の中の生活と、これは手が入っているところは野生の自然ではありませんから言わばガーデンですから、フォレストガーデンと言えるのではないかと思います。と同時にそこには自然が息づいておりますので野生の動物とも共生しながら時々はその肉も感謝しながら頂くということで、感謝すればするほど五臓六腑においしい酒が染み渡るという、こういう好循環もございます。
 県といたしましては、ICT等を活用した林業技術の早期普及と新たな技術開発による林業イノベーションを推進し林業の効率的な生産体制を強化することにより、まずは林業の成長産業化に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 次に、八十年目を迎えた天竜浜名湖鉄道についてであります。
 重要な社会インフラである天竜浜名湖鉄道は、地域住民の通勤通学や地域を訪れる観光客の足として八十年間極めて大きな役割を担ってまいりました。しかし存亡の危機に直面したこともございました。天竜川の船下りで悲惨な事故がございまして、株主の間では天浜線を廃止するべきという意見が大勢を占めかけたところ頑強に反対した人間がいました。私であります。これをいかに存続させるかということで、以後厳しいながらも天浜線の発展のために尽くしているというところでございます。
 県と沿線市町は、上下分離の考え方を基に鉄道施設の整備に対して助成することによりましてその経営を支えてきております。今年度は施設の老朽化対策などに約三億円を拠出いたしますとともに、台風や大規模災害など突発的な事象に対応する経営助成基金に一億二千万円を積み増すこととしております。
 今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う支援といたしましては、大幅に運行収入が減少した交通事業者に対しまして運行経費の一部助成を行います。そのほか制度融資などの様々な支援策を用意いたしました。天竜浜名湖鉄道につきましても、緊急事態宣言期間中、県民の皆様の日常生活に支障のないよう運行を継続していただいたことから速やかに運行経費の助成を行ってまいります。
 現在、学校や企業活動の再開に伴いまして利用者が戻りつつありますが、経営状況を回復させていくためには観光客を呼び込む大規模な誘客対策が必要となります。県が社長を送り出して今は三代目であります。初代の鈴木社長が何とか歳入と歳出がバランスするところまで持っていきました。次に名社長が出ました。そうです、現在スポーツ・文化観光部長を務めている植田君です。地元から戻したくないというふうに言いましたけれども、戻ってきたらいきなり部長になられましていかに実力が高かったかということでありますが、今は天竜浜名湖、この鉄道ではお名前をお出ししていただきました長谷川社長、二代目社長とも勝るとも劣らないサービス精神と、この革新的な様々なプロジェクトを出しましてリーダーシップを発揮しながら沿線市町や観光関係団体等と連携して周遊促進キャンペーンなどの誘客施策を実施しているところであります。今後も小学生を対象とした一日無料切符の配付などを計画しております。
 県といたしましては、これらの取組を積極的に支援してまいります。
 初めて知りましたけれども、中谷議員の青春時代の思い出の鉄道ということでございますが、実はこのほど観光甲子園という全国高等学校グローバル観光コンテストというのがございまして、浜松学芸高等学校の天浜線並びに沿線をPRする天浜線のメモリー  ございますでしょうか  その天浜線のメモリーがインバウンドでグランプリを取りました。このようにこの青春のメモリーは引き継がれているということでございます。
 日本の原風景とも言えるこういう魅力のある沿線地域をつなぎまして文化財としての価値を持つ天竜浜名湖線、その風景もまた文化でございます。こうした地域の皆様に愛されて今後も持続し運行できるように沿線市町と連携し、また議員連盟会長並びに議員の皆様方及び地域の皆様のさらなる御協力を賜りながら天竜浜湖鉄道を支えてまいる決意であります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 県産材の需要拡大についてお答えいたします。
 無垢材には木の持つ美しさやぬくもりを実感できる特徴があります。日本平夢テラスは無垢材によるシンボリックな屋根部が多くの来訪者を魅了しております。こうした本県製材加工業者の生産の主力であります無垢材をはじめとした県産材の需要拡大を図るためには、様々な分野で木材利用を掘り起こすとともに県内外の販路を開拓することが重要であります。
 様々な分野での木材利用につきましては、これまでの住宅の新築等に対する助成に加えまして建築基準法の改正などにより利用拡大が期待できる店舗や福祉施設といった非住宅分野の木造化、木質化につきましても本年度から助成対象といたしました。販路を開拓するためには木材利用の多様なニーズに応える製品開発や新たな販売先の確保などが効果的でありますことから、意欲ある事業者とデザイナーなどの異業種とのマッチングを図るアドバイザーを本年度から静岡県木材協同組合連合会に配置いたしました。また構築されたネットワークによるアイデアの具体化に対しまして支援をしてまいります。
 県といたしましては、無垢材をはじめとした県産材の特徴を生かすことにより様々な分野において需要拡大を進め林業、木材産業の活性化を図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
       (経営管理部長 杉山浩一君登壇)
○経営管理部長(杉山浩一君) 県と浜松市の基本協定の更新についてお答えいたします。
 県が浜松市に対して単独助成してまいりました事業のうち、過疎地域を対象とする六事業につきましては過疎地域自立促進特別措置法における県の役割や法律が延長されてきた趣旨を踏まえて、政令市移行後も基本協定の経過措置を延長して助成してきたところでございます。これまでの助成金額は政令市移行から令和元年度までの十二年間で累計約二十億円となっており、農道、林道の改良・舗装、治山や農業基盤施設の整備など国庫補助の対象とならない地元からの要望にきめ細かく迅速に対応して市の施策を後押ししてまいりました。
 この結果、地域住民の皆様の生活環境の整備や災害の未然防止が図られるなど県の支援が有効に活用され、過疎法の目的であるところの地域の自立促進を図り地域格差の是正や美しく風格のある国土を形成することに寄与してきたものと考えております。
 また、現在国におきましては新たな過疎法の制定に向け合併前に過疎指定されていた旧市町村を過疎地域とみなす一部過疎の在り方など過疎指定要件の見直しについて議論が行われております。
 県といたしましては、今後の浜松市との基本協定の見直しに当たり新法における新たな過疎対策の枠組みを見据えながら経過措置の取扱いを丁寧に検討してまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてのうち、職員の在宅勤務についてでございます。
 職員の在宅勤務をはじめとしたテレワークの導入につきましては、モバイルパソコンを配付するのみならず効果的な実施に向けたルール作りや利用する職員の意識づけが必要であるというふうに認識しております。本年四月以降の職員の出勤削減に伴い五月末時点で対象職員の六四%に当たる約三千人の職員が在宅勤務を経験いたしましたが、アンケートの結果多くの職員から在宅での業務に必要な資料やデータが手元に不足することが課題として挙げられております。
 今回、さきに御議決頂きましたモバイルパソコンの整備によりましてこうした技術的な課題は解決可能となります。一方適切な労務管理やコミュニケーションの確保、電子申請や電子決裁の拡大、新しいワークスタイルに対応した執務室などにつきまして部内に検討チームを設けたところであり他部局の意見も取り入れながら早急に見直しを進めてまいります。
 今後、在宅勤務やモバイルワークといったテレワークを推進し全ての職員が多様な働き方を実現できる環境を整えるとともに行政サービスの一層の向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 植田基靖君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 新型コロナウイルス感染症への対応についてのうち、新しい生活様式の提案についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い新しい生活様式への対応が求められる中、議員から御紹介がありました開放的で豊かな自然に囲まれながらその地域ならではの生活や郷土料理などを楽しむことができる旅行はますます需要が高まってくるものと考えております。
 このため、さきに御議決頂きました六月補正予算を活用し、田舎暮らしやサイクリングなどを通じて開放感を味わう旅行プランの企画をはじめ観光地でテレワークを行うワーケーションを取り入れたモニターツアーの実施などへの補助制度を新たに創設したところであります。
 また、今年五月に策定した新型コロナウイルス感染症に関する対応指針に基づく予防対策を講じたイベントや三つの密の不安がない田舎暮らしの魅力を楽しむツアーなど安全・安心な本県の旅行を掲載するポータルサイトを新たに開設し、新しい生活様式の下での旅の魅力を積極的に発信することで多くの方々の来訪につなげてまいります。
 県といたしましては、様々な感動体験ができる田舎暮らしの魅力を最大限に活用しウイズコロナ時代の新たな旅のスタイルを確立することで多くの来訪者の皆様に満足していただける観光地域づくりを進め県内交流人口の拡大を目指してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 新型コロナウイルス感染症への対応についてのうち、児童生徒のモチベーションの維持についてお答えいたします。
 長期にわたる学校の臨時休業、またインターハイをはじめ多くの大会が中止となり子供たちが不安や寂しさを抱えて過ごしてきたことを思うと大変胸が痛みます。学校生活や部活動を一日も早く通常の状態に戻すことができるよう教職員とともに全力で取り組んでまいります。御家族の皆様には子供たちの家庭学習の支援や健康管理などいろいろと御尽力頂きましてありがとうございます。心から感謝申し上げます。
 子供たちは授業日数の確保や感染症への対応など、これまでとは異なる環境で学校生活を送っております。こうした中でも授業や学校行事に集中できるようカリキュラムの工夫やきめ細かな指導を行うための学習支援員の配置、熱中症や三つの密の対策などさらなる環境整備を進め学校で過ごす仲間との時間がかけがえのないものとなるよう努めてまいります。
 私の学生時代の経験を申し上げますと、子供の頃は茶摘みや田植の手伝いを通じて化学や食物などそれらに関心を持ちその分野を極めたいと懸命に学んでまいりました。また中学校では軟式テニス部、高校では体操部、大学では野球部と、私何でも好きだったもんですからこういうようなことでそれぞれ部活をやりましたが、学生生活全般を通じて数多くの友人を得ました。今でもメールや年賀状で交流しております。
 勉学とスポーツに打ち込んだこと、そして大学、大学院生活では九年間沼津から静岡まで通い家庭教師のアルバイトをした思い出など様々な光景がよみがえってまいります。それら全てが今の私をつくっているものと考えております。
 子供たちはどんな経験をも自分の糧にして成長しておりますし無限の可能性を持っております。児童生徒の皆さんには困難にくじけることなく勉学や部活動などに励み仲間や先生方と大いに語り合ってほしいと思っております。全ての子供たちが常に前を向き夢と希望を持って歩んでいくことができるよう、教職員とともに私も精いっぱい力を尽くしてまいります。以上であります。どうぞよろしくお願いします。
○議長(山田 誠君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。
 以上で質疑及び一般質問を終わります。
 議事の都合により休憩します。再開は午後二時二十五分といたします。

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静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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