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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野崎 正蔵 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 地震・津波対策について
 (1) 静岡モデルの整備方針
 (2) 津波災害警戒区域の指定
2 新成長戦略研究の取り組みについて
3 民生委員・児童委員の活動支援について
4 教育行政について
 (1) 教育振興基本計画の策定
 (2) 発達通級指導教室の現状と今後の取り組み


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百五十六号から第百七十七号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、七番 野崎正蔵君。
       (七番 野崎正蔵君登壇 拍手)
○七番(野崎正蔵君) おはようございます。私は自民改革会議所属議員の野崎正蔵です。きょうは十二月十一日、東日本大震災から二年九カ月が過ぎようとしています。この間のいろいろな出来事に思いをはせながら県議会の初登壇でございます。一般質問も最終日。議員としてのモチベーションを上げてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして一括質問方式で知事及び関係部局長、教育長にお伺いいたします。
 初めに、地震・津波対策のうち、静岡モデルの整備方針について伺います。
 「それじゃ、おまえも住んでみりゃいいじゃん」。これは私が沿岸地域を訪ねたときに聞かされた、そこに住まわれる皆様の率直な声でした。海はいにしえより我々に数多くの恩恵を与えてくれました。しかしある日を境にまるで厄介者のような扱いをされるようになってしまいました。海と仲よく手をつなぎながら安心して暮らせる日々を一日でも早く実現させる。このことは我々に課せられた重大な責務であると日々痛感しております。
 さて、県は六月に第四次地震被害想定と地震・津波対策アクションプログラム二〇一三、また十一月にはライフラインや交通施設などの被害想定や想定される犠牲者を十年間で八割減少させることを目指すとの減災目標を公表しました。第四次地震被害想定は、県民の喉もとに不安というやいばを突きつけましたが、アクションプログラムに位置づけられたこの静岡モデルの推進という響きが、私たちに一筋の明かりをともしたのは紛れもない事実であったと思います。
 県民の意識は、レベルワンはもとよりレベルツーでの対応を求める声がより強くなっております。静岡モデルの整備は、レベルワンを超える津波に対して不安を持つ県民にとって大変有効な対策であると大いに期待をしております。アクションプログラムでは、静岡モデルの実現に向けて本年度末を目途に沿岸二十一の市町で検討会を設置するとの目標を掲げています。
 そのような中で磐田市、掛川市、袋井市、御前崎市の中東遠四市では、合同で検討会を設置しこれまで二回の検討会を開催しました。私自身も検討会に出席し、静岡モデルの推進に向けた議論の様子を見させていただいております。静岡モデルの実現については、事業主体や財源、実施に向けた手法の確立など課題も多く存在すると伺っております。しかし早期の事業着手は、冒頭に述べたように我々の重大な責務であります。静岡モデルについては検討に終わることなく必ず実現し、安全・安心を提供するとの県の強い決意表明とその道筋を示すことは、多くの県民の皆様の不安を和らげることにつながるでしょう。
 そこで、磐田市を含む四市における静岡モデルの整備推進について今後どのように取り組んでいくのか、御所見を伺います。
 次に、津波災害警戒区域の指定について伺います。
 本年六月に県が公表した第四次地震被害想定では、レベルツーの津波による犠牲者が県全域で最大約九万六千人、私の住む磐田市では約九百人と甚大な被害が発生することが想定されています。レベルツーの津波に対して県民の安全・安心を確保するためには、アクションプログラムに位置づけたハード対策とあわせて、警戒避難体制の整備などソフト対策の充実が重要であると考えます。
 このような中、県は十一月五日に津波防災地域づくりに関する法律に基づき、最大クラスの津波による想定浸水区域図である津波浸水想定を公表しました。この津波浸水想定は、津波被害警戒区域や津波災害特別警戒区域の指定の基礎となるものです。津波災害警戒区域とは、津波から住民が円滑かつ迅速に逃げることができるよう津波災害を防止するために警戒避難体制を特に整備する区域で、津波災害特別警戒区域は、警戒区域のうち津波から逃げることが困難な住民が建物の中にいても津波を避けることができるよう一定の建築や開発行為に制限を加える区域であり、津波防災地域づくりに関する法律で都道府県知事が指定できるとされています。
 私は、県がこの施策を進める意味は、津波被害を軽減するソフト対策の充実を図るためだと認識しております。しかし県が九月十九日に平成二十五年七月一日を基準日とした県内六百十地点の地価調査を公表した翌日の新聞には、基準地価、県内五年連続下落、沿岸部歯どめかからず、磐田、須恵新田が下落率全国一と、気持ちのよくない見出しが新聞紙上を躍りました。磐田市の須恵新田は、昨年工業地で全国一。そしてことしは工業地や商業地などの全用途を通じた下落率が全国一になってしまいました。
 こうしたことから、区域が指定されることでこれまで以上に住民や企業の流出が加速することや沿岸地域の資産価値がさらに下がるなどの懸念もございます。また津波災害特別警戒区域は、一定の建築や開発行為に制限を加える区域であり、今後建物の建て替えや改築などにも影響が出るのではないかと心配もしております。
 そこで、県は津波災害に強い地域づくりを推進するため、この津波災害警戒区域と津波災害特別警戒区域の指定についてメリット、デメリットをどのように考えておられるのか、そして今後どのような方針で進めていくのか御所見を伺います。
 次に、新成長戦略研究の取り組みについて伺います。
 本県の景気は、第二次安倍内閣の発足を機に為替の円安傾向や株価の上昇などにより、輸出の一部持ち直しや高額商品を中心とした個人消費の盛り上がりが見られ、今後回復へ向かうことが期待されています。しかしながら本県の強みである製造業いわゆるものづくり産業においては、人口減少による国内需要の縮小、製造拠点の海外への移転に加え、欧州市場の不調、中国の経済成長率の鈍化の影響など予断を許さない状況となっております。農林水産業においても担い手の高齢化や後継者不足、市場価格の低迷による所得の減少、さらには消費者ニーズの変化などの課題を抱えています。
 このような中、本県のものづくり産業を持続的に発展させていくためには、これまで本県経済をリードしてきた輸送用機械や電気機械産業の新たな発展に加え、環境や医療、健康などの成長が期待される分野への中小企業の参入を促進するなど産業構造の再構築を図る必要があります。また本県の農林水産業の発展を図るためには、高収益を生む高品質な生産物の育成やブランド力の強化、高収益経営を実現する省力機械化技術、低コスト・省エネ生産技術の開発、豊かな地域資源を活用した六次産業化の推進など新たな展開を促進する必要があります。
 こうした状況の中、県では農林水産業、工業、環境、衛生に関係する五つの研究所において、県内産業の振興などにかかわる政策課題の解決に技術的な側面から取り組む新成長戦略研究を平成二十三年度から開始し、県の単独費で毎年三億円の事業費をつけております。新成長戦略研究の本旨は、試験研究の戦略基本指針に基づき、本県の新たな成長に貢献することであります。そして今その研究成果の産業界への迅速な還元が求められているところです。
 そこで、これまでこの研究の成果が産業界に貢献してきた具体的事例と今後の取り組みについて、御所見を伺います。
 次に、民生委員・児童委員の活動支援について伺います。
 民生委員制度は、富士市出身で本県第十三代知事を初め岩手県や岡山県の知事を歴任された故笠井信一氏によって、大正六年に済世顧問制度として創設されたのが始まりとされ、本県に大変縁のある制度であると伺いました。静岡県の民生委員・児童委員の定数は、平成元年は四千九百六十九人、そして本年は六千八百五十四人と年々増加傾向にあります。しかし現在の民生委員・児童委員の活動は、ひとり暮らしの高齢者の見守りや児童虐待の発見、障害のある方や子育て世帯への支援、防災・防犯の対応、生活困窮者の相談など広範囲に及んでおり、業務の多忙化を背景に、なり手が不足する事態が続いています。さらには昨今のプライバシー意識の高まりにより支援が必要な方との関係づくりが難しくなっているのが実態です。
 今月の一日には、任期が三年である民生委員・児童委員の一斉改選が行われたところですが、県内の委員の定数六千八百五十四人に対して、実際に委嘱を受けた委員数は六千六百六十三人と充足率は九七・二%にとどまっています。また再任率は五九・二%と資料が残る範囲では初めて上昇に転じたようですが、約四割の方が新任の委員となられるわけです。現在の地域社会は価値観の多様化とともに家庭や地域社会の支え合い機能が弱体化し、高齢者の孤独死や虐待に代表されるさまざまな生活課題が顕在化しています。さらに東日本大震災を初め全国で頻発する自然災害の脅威に対する不安も高まっており、防災面における地域社会の果たす役割が改めて注目されています。
 こうした中、奉仕の精神により新たに委員になられることを決意された皆様が、なるべく早期に地域福祉のかなめとして円滑に活動ができるよう、またその活動を通じてやりがいを見つけ、ひいてはより長きにわたって委員を務めていただけるよう、県としても積極的な支援が必要と考えますが御所見を伺います。
 次に、教育行政のうち、教育振興基本計画の策定について伺います。
 「多くの大国が衰退のプロセスをたどりつつあるとき、その時代を生きた知識人の多くが既に早くから『衰退』の進行を指摘して、後世から見て適正な処方箋を提起していた場合は決して珍しくない。それにもかかわらず現実にはわかっていながらどうすることもできないまま坂道を転げ落ちていく。これが歴史上最もポピュラーな大国の衰退のプロセスなのである」。これは歴史学者中西輝政さんの「大英帝国衰亡史」の冒頭の一節です。今日の我が国の教育が大変困難な状況に陥っていることは、各方面からさまざまな指摘がされています。しかしこれをわかっていながらどうすることもできないままにしておくことは許されません。教育の地域の教育力再生は、まさに喫緊の課題であります。今我々がなすべきことは、それぞれの立場や責任において未来の担い手たちに最善の教育を興すことであり、またそれが我々に課せられた根本的な使命であると考えています。
 子供たちの教育に関心がありますかという問いに対して、ほとんどの方はあると答えるでしょう。しかし子供たちがどのような指針のもと、どのような計画に沿って教育を受けているのかについては、あまり知られていないのが実態です。現に「教育委員会事務の管理・執行に関する点検評価(平成二十四年度対象報告書)」によれば、県教育委員会の取り組みに関心のある人の割合は、平成二十二年度の七四・四%から平成二十四年度では六〇%と落ち込んでいます。県教育委員会では、今年度総合計画の次期計画に合わせて第二期教育振興基本計画を策定すると聞いています。この基本計画は、さまざまな社会的、教育的課題を克服するのはもとより県が掲げる有徳の人づくりの基礎となるものだと認識しております。
 そこで、県教育委員会として第二期教育振興基本計画の策定に当たってどのようなことに重点を置いていくのか、教育長の御所見を伺います。
 次に、発達通級指導教室の現状と今後の取り組みについて伺います。
 知的発達におくれはないものの、聞く、話す、読む、書くなどの能力のうち特定の能力に著しい困難を示す学習障害や、注意欠陥、多動性障害などから突然教室を飛び出してしまう、集団の行動になじめないなど小中学校の通常学級では、発達障害による個別の支援が必要な児童生徒がふえてきています。静岡式三十五人学級編制により少人数学級になっているとはいえ発達障害のある児童生徒は、学習や生活の中でも不適応を起こすことがあり、学校の運営面においても課題になっているとも聞いています。
 こうした児童生徒を支援するために、義務教育における特別支援制度の一つで通常の学級に在籍しながら個別的な特別支援教育を受けることができる制度として発達通級指導教室があります。通級指導教室では、障害がある児童生徒が保護者とともに、自分の学校から近くに開設されている教室に週一、二回程度通い、専門の教員から個別の指導を受け障害の改善を図っていくものです。児童生徒の障害の程度に応じた支援計画のもと在籍している学校とも連携を図って障害の改善に努めていくことは、障害のある児童生徒の保護者からも大きな期待が寄せられています。しかし教育現場からは、対象の児童生徒が増加していく一方、指導する側の人数が限られてしまうため必要な指導時間が確保できない、入級希望者の全てを受け入れることが困難である、市や町には担当者の相談相手がなく、自分の指導方法に不安を抱いているなどの課題も聞かれます。県内では少しずつ通級指導教室がふえているようですが、まだ未設置の市や町もあるなど充足しているとは言えない状況です。
 そこで、県内の通級指導教室の現状と今後の見通しについて御所見を伺い、私の一般質問とさせていただきます。どうも御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 野崎議員にお答えいたします。
 地震・津波対策についてのうち、静岡モデルの整備方針についてであります。
 第四次地震被害想定の公表をいたしました後、県民の皆様方からレベルツーの津波への対応を求める声が大変多く寄せられております。レベルワンというのは、百年ないし百五十年に一回起こるという津波ですね。レベルツーというのは、滅多に起こらないと。しかし起これば甚大な被害を及ぼすということで、しかもあらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波をレベルツーというふうに言っているわけです。そしてそれがあり得るということなので、どういうふうに対処するかということでございますが、私どもはまずレベルワンの津波を確実に防ぐと。これは今までもいわゆる東海地震説というのが昭和五十三年に天下公認の学説になりまして、そして津波が襲ってきた場合にはどうするかということで、五百五キロの海岸線のうち二百八十キロばかりのところに人がお住まいでございますので、そこのところの防潮堤、防波堤の整備をしてまいりました。それは九〇%終わっております。しかしこれはレベルツーを想定したものではなかったのでレベルツーのものが来ますとひょっとするとその破壊力に耐え得ないかもしれないということで、レベルツーが襲ってきても壊れないようなものにしなくてはならんということが大切です。レベルワンのものに対しましては、その高さは十分に確保できるようにかさ上げもすると。防波・防潮堤も耐震性をしっかりするということで、まずはレベルワンのものに対してしっかりやると。しかしレベルツーのものが来た場合でも施設が壊れない。そしてそれを粘り強く効果を発揮する構造というふうに言うんですけれども、そういうものとしてさらに既存の防災林、砂丘、道路等のかさ上げをしたり補強をしたりするということ。これを我々は静岡モデルというふうに言っております。
 この静岡モデルにつきましては、地域の状況に応じた整備が求められますので、同じ課題を抱える市町ごとに検討会を順次設置いたしまして、具体的な検討に着手したところであります。県議の地元である磐田市を含む掛川、袋井、御前崎の四市合同で二回検討会をいたしまして、そのうちの検討会に出られたとのことでございますけれども、それ以外にも牧之原市、吉田町、さらにまた湖西市などにおいて検討会を開催しております。津波対策における地域の課題がございますので、沿岸域の現状を踏まえた上で各市のお考えになっている防護の方法を承って整備していこうという、それが方法でございます。
 今後も市の提案を基本にいたしまして、目指すべき整備の姿の検討を行ってまいりますが、事業主体、財源確保などさまざまな課題もございますので、市や関係機関と十分調整を行い早期に具体的な整備手法を決定してまいらねばなりません。この静岡モデルを適用するにつきましても範囲は広く、関係市を初め多くの機関が力を合わせて整備することが必要であります。私どもとしましては、それらの機関と連携をいたしまして我々の静岡モデル方式でもって整備を進め、安心して暮らせる津波に強い地域づくりの実現に向け全力で取り組んでまいります。
 そうした中で、例えばもう本年度末には、既存海岸堤防二十二カ所への避難用階段及び避難誘導看板の設置率は一〇〇%で終わっています。あるいは来年度に関しましては、耐震水門――今六水門ございますけれども――への避難用階段の設置率、これも来年度末には一〇〇%になるといったような近々にできるものから、これから十年かけて被害が八割減るような方法でやっていくと。これは順次していく以外にないわけでございます。なるべく早く市町との共同の検討会の結論を得まして工事に着手をするということ以外にありません。
 地価についてではありますけれども御心配の趣はよくわかっております。今まで日本全体がそうですけれども特に太平洋に面している地域におきましては、臨海部のほうが地価が高い。そして中山間地に入れば入るほど地価は安いという構造でした。それで過密地域と過疎地域が出てきたわけですね。今臨海部は、そうした集積のメリットにも増して危険というデメリットもあるので地価が下がっております。
 しかし一方で、今まで地価が安いところがございますので、そこに移れるということもございますので、ですから全体として私はバランスのある方向に均衡のある形での地域づくりが進んでいるというふうにも見ております。ですから自分の土地の価格が下がるというのはまことにつらいことではありますけれども、それは逆に中山間地域において需要が高まっているから、そちらにおいてやや地価が高くなるといいますか、本来のそのような地域の有用性が見直されているということでもありますので、ぜひ県議におかれましても磐田全体、沿岸部から内陸部のほうもごらんいただきまして、どういうふうにすれば心配しないで生活ができるかという地域全体の中で今都市計画といいますか、地域づくりを見直す時期に来ているのではないかというふうに思います。
 そして向こう十年間で八割減らすという目標は、大きなデザインはできておりますので、それに対して個別の市町の方法をこちらに入れ込みまして事業に着手していくということでございます。ぜひ磐田市におきまして、例えば遠州浜松で行われているような地元の方たちが寄附をなさって、そしてその工事をするといったようなことも――一部磐田でも行われていると思いますけれども――そうした形でそこが安全であるということがわかりますと地価が下がっているから、今度はそれに応じた形での新しい産業なりが進出するいい機会にもなると思っておりますので、危機意識だけではなくて危機の後ろの機のほうの字はオポチュニティ――機会ということでもありますから、そういう目でも見ていただきたいというふうに存じます。いたずらにおびえるということだけでは解決にはならないということであります。今までももちろんそういう危機はあったわけです。しかしそれに気づいていなかっただけだということでございますので。
 さて、次に新成長戦略研究の取り組みについてであります。
 県では、平成二十三年度から本県産業の新しい成長に貢献することを目的にいたしまして、産学民官の連携によりまして、重点的に研究開発を進める新成長戦略研究を実施しております。主な成果といたしましては、例えば工業技術研究所におきまして金型の表面を特殊コーティング加工で強化して寿命を三倍に向上させる技術をこのたび開発をなさいました。この共同研究先の企業が、既にこの技術を事業化されて、これまでに何と約二億二千万円もの売り上げを計上されております。さらにこのコーティングは、非粘着性の特徴を持っておりまして他分野への応用が期待できますので、地域企業と共同で食品製造機器など新しい用途の開発にも取り組んでいるところです。
 また、茶業研究センターにおきましては、二番茶、三番茶の値段が下がると。それに対してどのように付加価値をつけるかということで緑茶のうまみを残しながらお花とかあるいは果実のような甘い香りを引き出す静岡型発酵茶の製法を開発なさいました。この発酵茶は既に販売が開始されておりまして、ことしの世界お茶まつりにも出品されました。これからはこうした製法によりまして、県内の各産地におきましても、品種の特性等を生かしたオリジナルな発酵茶の商品化が広がるものと期待しております。このように新成長戦略の成果が出てきております。
 このほか、ものづくりの技術をさらに高度化していくと。これが本県の持っている独自性であります。また新しい成長分野として、医療・介護分野というのが明らかに出てきました。ですからこちらの分野は、今日本一を生産額を見ると誇っておりますけれども、さらにこれを支援いたしまして新しい企業の参入を促進したい。またエネルギー関係につきましては、省力、低コストの技術を開発することにも支援をしております。そして何よりも農林水産物の新しい品種であるとか、また六次産業化の推進など県内の持っております産業のさまざまなポテンシャルを生かしました技術支援に取り組んでいるところであります。
 今後とも時代を先取りした研究ニーズを的確に捉えるとともに、地域の人、人の持っている技、また地域の持っているモノ。これを生かしまして大学といたしましては、例えばお近くの静岡理工科大学。そしてまた東部には沼津工業高等専門学校などがございます。こうしたところと連携協定を締結いたしまして、そのほかにも県内大学の幾つかと連携協定をいたしました。そうした県内大学や企業等と共同研究を進めて、その成果を速やかに社会に還元するということで、我々の持っている新しい産業の創出力、また持っている競争力というものを高めてまいりたいと。特に農林水産業の展開には特段の支援をしてまいりたいというふうに思っております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 地震・津波対策についてのうち、津波災害警戒区域の指定についてお答えいたします。
 津波防災地域づくりに関する法律では、最大クラスの津波災害の防止、軽減のため、ハードとソフトの施策を組み合わせた多重防御による地域づくりを推進することとしております。この法律で規定されている津波災害警戒区域と津波災害特別警戒区域の指定は、津波から地域の住民を守る対策を進める上で大変有効であると考えております。津波災害警戒区域の指定により、市町には津波ハザードマップの作成や避難施設の確保などが義務化され避難の実効性が高まるとともに、津波に対する安全な高さを明記することで避難施設の効率的な整備が可能となります。また津波災害特別警戒区域では、一定の建築や開発行為に制限をかけることなどにより建築物の中にいても津波を避けることができるより安全なまちづくりの推進が期待できますが、市町の将来的なまちづくりのビジョンとの整合性を図るなどの課題もございます。
 今後は、防災や都市計画の有識者で構成する検討会を設置し、指定の基準や手続に関する手引を今年度中に作成する予定であります。来年度からは調整が調った市町からまずは警戒避難体制の整備に効果がある津波災害警戒区域の指定を進めてまいります。
 県といたしましては、市町の意向を十分に踏まえて津波災害警戒区域の指定を進め沿岸部の住民や企業の不安を早期に軽減するとともに、将来にわたって県民の皆様が安心して暮らすことができる津波災害に強い地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 民生委員・児童委員の活動支援について、お答えいたします。
 民生委員・児童委員の活動は、誰もが安心して暮らせる地域づくりに欠かせないものであり、今回の一斉改選におきまして社会奉仕の精神をもって委員をお引き受けいただいた皆様方に対し、深く敬意を表するものであります。
 県といたしましては、新たに委員となられた皆様が一日も早く地域福祉のかなめとして活動できるよう委員の役割や活動の基礎となる各種施策・制度のあらまし、相談、支援のポイント、関係機関との連携方法などをまとめた民生委員・児童委員活動の手引きや民生委員・児童委員手帳を作成し、活用いただくこととしております。
 また、去る十二月四日には、委員としての基本的な知識や技術の習得を目的とする新任委員全体研修会を開催したほか、本日十二月十一日から県内十八カ所において、委員の役割を具体的に理解していただくための参加体験型の研修を実施することとしており、次年度以降につきましても経験年数に応じた実践的な研修を企画しております。
 さらに、県民の皆様へ民生委員・児童委員の活動内容や職務の重要性を広く周知し、委員の皆様が活動のしやすい環境づくりにも努めるなどやりがいを持ってより長く活動いただけるよう、今後とも市町と一体となって支援してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、まず教育振興基本計画の策定について、お答えいたします。
 県教育委員会では議員御指摘のとおり、最善の教育により本県の将来を担う子供たちを育むことを使命とし、第二期静岡県教育振興基本計画の策定を知事部局と一体となって進めているところであります。策定に当たりましては、生涯学習審議会の答申や有識者からの各種提言、意見、国の第二期教育振興基本計画を踏まえるとともに、市町教育委員会や学校から聴取した意見も反映するなど教育の諸課題を的確に捉え、実効性のある対応策を計画してまいります。
 重点項目といたしましては、東日本大震災の教訓に学ぶ防災教育やいじめ対策などの命を守る教育、勤労観、職業観を育むキャリア教育、就学前の幼児教育などを充実してまいります。また全国学力・学習状況調査の結果を受けた確かな学力の育成、専門高校等における実学の奨励、さらには富士山を初めとする地域資源を活用した学習の充実など本県が直面している課題にも対応してまいります。
 今後は、副知事を本部長とし、各部局長で構成いたします教育振興基本計画策定プロジェクト推進本部において、全庁的な視点で取りまとめを行い、本年度末までに策定できるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、発達通級指導教室の現状と今後の取り組みについてであります。
 平成二十四年度の文部科学省の調査によりますと集団になじめなかったり、読み、書き、計算のうち特定の分野が極端に苦手だったりする発達障害の可能性のある子供は、公立小中学校の通常学級に六・五%程度在籍するという結果が出ております。
 県教育委員会では、これまで発達障害のある子供の指導をより適切に行うため、発達通級指導教室を開設してまいりました。本年度は新たに八人の教員を増員し、県内の小中学校四十校に五十六人の教員及び二人の非常勤講師を配置しており、九百三十人の児童生徒が通っております。発達通級指導教室を開設している学校からは、障害に応じた個別の支援計画のもと教員が粘り強く丁寧に指導していくことで、落ち着いた行動がとれるようになった、書けない漢字が書けるようになったことなどが成果として報告されております。
 県教育委員会といたしましては、発達通級指導教室を増設するために担当教員の増員を国に対して要望していくとともに、教員の専門性を高めるために特別支援学校との計画的な人事異動を一層進めるなど児童生徒一人一人の個に応じた教育環境の充実に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 野崎正蔵君。
       (七番 野崎正蔵君登壇)
○七番(野崎正蔵君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
 要望を二点、再質問を二点させていただきたいと思います。
 まず、津波災害警戒区域の指定についてでございますが、先ほど知事のお話の中にも沿岸地域と山と全体のバランスがとれてきているのではないかという御答弁もございましたけれども、これについては何事も自分の身に降りかかってきて初めてショックというですか、いろんなものがわかるということもありますのでぜひ有識者の検討委員会も設置されるということでありますし、また市町の意向もしっかりと聞いていくという御答弁もございましたけれども、ぜひ慎重に対応していただきたいということを要望させていただきます。
 続いて、通級指導教室についてですけれども、これにつきましては増員を図っているということと、また国に増員の要望も積極的にしていくというような御答弁もございました。このやっぱり課題というのは自分の磐田市に中部小学校というのがございまして、そこに二クラス通級指導教室があるんですけれども、そこの先生方ともお話をさせていただきまして課題が二つあると思うんです。一つは先ほど言った増員という人手の問題。もう一つは特別支援ということですので特殊な研修というものが必要だと思うんです。担当教員のスキルアップをどう図っていくかということだと思うんですけれども、これは伺いましたら県のほうでは研修会は年一回ということで、今現場では指導者を育てる仕組みというのがなかなか確立されていないということもありますので、その辺をしっかり対応していただきたいと思います。実際現場では、前向きな教員の方は実費で研修会に参加しているというような実例もありますので、ぜひその辺の対応、仕組みづくりも含めて対応を要望したいと思います。
 新成長戦略研究の取り組みについては、平成二十六年度に試験研究の戦略基本指針の見直しを行っていくというようなことを後期アクションプランで書かれておりますので、その辺の見直しの方向等を再質問させていただきます。
 静岡モデルの整備方針についてですけれども、これは本当に今まで二年間どういうふうなことを地域で説明してきたかというと、県の第四次被害想定を待ってから対策を打ち出しますというような話をしてきたんですね。その中で静岡モデルという言葉が出たときに大変皆さん期待したんですね。実際に今回アクションプログラムができまして、検討委員会も立ち上がりました。だけどもそこから先がなかなか見えてこないという戸惑いがあると思うんです。実際検討委員会の中で掛川市の担当の職員の方でしたけれども、とにかく何か手をつけさせてほしい。例えば砂を盛って後でコアみたいのを入れて、それでも強度がとれるのであればそういったこともやりたい。もう現場サイドにいる方というのは、大変な思いでこの整備の状況を説明されているんですね。ですのでその辺の認識をしっかり持っていただきたいのと私が示してほしいのは、要するに工法だとかいろんなものというのは、県の中でも技術的なものは指導できるというような答弁も六月にございましたので、沿岸線の断面図なんかもかなりいろんな形で示してありますので、工法はもうわかってくると思うんですよ。それをいつまでに決めるのかという時期の設定をしていただきたいと思うんです。それと着工の目途。いつ着工していくのか。この辺を目途にやっていくということをぜひ明言していただきたいなと思っているんです。それが検討委員会を設置されたけど、ただ検討しています、検討していますというのでは、本当に地域の皆さんの安心は得られないというふうに思っております。本当に大変な状況の中で皆さんがこの対策について説明をしている。そうした気持ちも酌んでいただいて、ぜひその辺のお答えを願いたい思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 新成長戦略研究の取り組みについての再質問にお答えいたします。
 二十三年に私ども試験研究の戦略基本指針というのを定めておりますが、現在見直しを進めておりますが、やはり早く試験のニーズを把握するとともに、産学官民連携をして取り組む必要がございますので外部評価委員の評価を踏まえながら指導を進めてまいりたいと思っております。特に私ども県の施策重要課題を十分そしゃくをして、それをもとに試験研究機関で研究課題を設定して研究するという中、そしてその中に民間からの御意見、御要望、あるいは外部評価委員の意見を参考にしながら、スムーズな円滑な研究を進めてまいりたいというふうに考えておりますので、そういう観点で今現在指針を見直しているところでございます。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 地震・津波対策についてのうちの静岡モデルの整備方針ということでの再質問について、お答えいたします。
 今、中遠地域につきましては、第二回目の検討会までのうちに津波避難計画の現状、それから津波防災計画の課題、防災の基本的な考え方等について議論をしてきたところであり、ここの地域については、海岸堤防の背後のかさ上げなどそれらがモデルとしてそういうものを使ってやっていったらいいんじゃないかというようなことも議論をされてきました。
 それで、来週になりますけれども第三回目の検討会を開くことになっておりまして、前回各市からのある程度こんな考え方というのが提示されましたものですから、それに対して議論してその議論の結果をまた持ち帰って検討したものを来週またそれを課題とかについて議論をすることになっています。
 それから引き続き、そこで対策案を工法をこういう形でやっていこうというのを決めた上で対策工法が決まれば、それに対してじゃどういう形でこの工事をやっていくか、当然どういう事業でやっていくのか。これは基本的に国庫補助事業ではレベルワンのところまでが補助対象になっているというのが国の方針ですので、それは国からの補助ではできないものですから、あとどういった事業で考えられる工法、静岡モデルの案をやっていくかということを決めていくわけですけれども、その財源確保の状況とかそれらを検討した上で進めることになります。
 どちらにしましても、整備手法のほうが決まり次第すぐに着手できるような準備は進めていく考えでございます。そういうことを進めることによって地域の安全・安心が図れるように努めていきたいと思います。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 野崎正蔵君。
       (七番 野崎正蔵君登壇)
○七番(野崎正蔵君) 一点再々質問をさせていただきます。
 私が伺っているのは、いつまでの目標でその工法とかを決めていくのかということなんです。行政ですからやっぱり目標を定めてしっかりやっていくというのは、これは当然のことだと思いますので、その時期を示していただきたいということで質問しています。もしそれが示せないとしたらその理由もあわせてお伺いをしまして、答弁を求めます。以上です。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 再々質問に対してお答えいたします。
 どちらにしても各市町の出してきました議論した工法、これが一番いいだろうという工法がまだ、なるべく早く決めたいという気持ちは持ってございます。ですのでそれが実現できる、もちろん市町さんの考え、提案。それが今、四市、遠州灘の地域については皆さんでやろうとしている考えの中で当然ある程度統一性を持っているものができなければならないと思いますし、それらの調整を図った上でしっかり地域の計画を決めてやっていくということがありますので、できるだけ早く決めてやっていきたいというのがうちの考えでございます。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 野崎議員の御心配の趣は、もう当然です。
 ただ静岡型と言ったときには、各市町の主体性を生かすということがあります。そして浜松市の場合は、十三メートルまでにして上をいわば命の丘のようにつくるということがすぐに決まりました。一方、今四市――御前崎それから袋井そして磐田がございますね。掛川ですと自然林を上手に使った防波堤にしたいと。御前崎は避難タワーだけでしょうと。袋井は命山でしょうと。本当に違うんですよ。しかし遠州灘は、ずっと天竜から御前崎まで一体ですから一体的にやるのが一番いいんですね。我々にやらせてくれるならできますよ。しかし命山方式がいいのか、もう避難タワーだけたくさんつくると。例えば焼津のように十数個つくられましたね。さらに多くしたいとおっしゃっている。それが本当にいいですかね。
 私はもしこれが上からやっていいということであれば、県として決めやすいんですよ。しかしやっぱりそこで生活している方たちがいらっしゃるし、都市計画もあるし、どうしても今の四市、あるいは例えば吉田町などはもう自分でやっていますね。公園に丘をつくると。そして避難タワーを歩道橋として使うと。非常に独自ですよ。我々はすぐそれに乗っていけます。ただこの四市が磐田を含めてなかなか決まらないというのが、実は切歯扼腕しているところがあるんです。だから両方に原因がありますので今、野崎議員の御心配の趣は明確にわかりましたので、そして例えば浜松方式でやっていくんだということであれば、その合意ができればすぐにその方向で工事に着手できるということなんですね。あくまで地元の方々の主体性を生かした形で工事の方法を決めてからやるというのがこの静岡型でありますので、その方式についてだけは御理解を賜りまして、そして今長島部長が言いましたようにそれで決まればすぐに着手するという方針でございます。一応つけ足しました。

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