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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

望月 香世子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/30/2023

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 水災害に関する防災・減災対策について
(1)わたしの避難計画の効果的普及
(2)巴川流域の治水対策強化
2 農山漁村地域の持続可能性について
3 社会情勢の変化に対応した消費者被害の防止について
4 誰ひとり取り残さない福祉の仕組みづくりについて
5 清水港カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組について


○議長(中沢公彦君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第七十八号から第八十一号まで及び第八十三号から第百三号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十三番 望月香世子君。
       (十三番 望月香世子君登壇 拍手)
○十三番(望月香世子君) おはようございます。
 私は、自民改革会議所属議員として通告に従い知事、副知事、関係部局長に当面する県政の諸課題について分割質問方式にて質問いたします。
 県民の命と暮らしを守るという気概が私たちにはなければならないという点から、まず初めに水災害に関する防災・減災対策についてのうち、わたしの避難計画の効果的普及について伺います。
 振り返りまして、昨年九月の大雨による災害によって今もって生活再建、事業再建に苦慮されている方がいることを御存じでしょうか。また先般の台風二号の大雨の予測から眠れない不安な日々を過ごす県民が多く存在したことを御存じでしょうか。
 静岡市では、昨年九月の大雨による被災を受け六月二日午前十一時の時点で既に台風二号風水害に対し緊急避難場所を開設、十一時二十分には警戒レベル三高齢者等避難が発表され土砂災害警戒区域等に早めの避難を呼びかけています。そのような大変緊迫する中において静岡県の公式LINEでは十一時に、県内の一部で大雨警報が発令されています、地域の防災情報を随時確認してください、昨日発行の県民だよりでは土砂災害への備えや避難などの情報を特集していますとアナウンスがありました。それを見て私は、その情報は予測できた雨の降る前に配信するものではないか、このタイミングで配信する内容としては危機感が欠如してはいないかと感じました。
 この時点で地域の情報を確認してくださいと書くならば、県内各市町の防災情報はこちらのようにページを用意してお住まいの市町の防災情報を提供しているページにつなぐ、土砂災害等の危機が迫っている状況においてはさらに具体的な案内、例えば河川、海岸や低い場所には近づかないでください、土砂災害の危険性がある地域は早めに避難、緊急時は一一九番、土砂災害一一〇番の活用もなどお知らせすることは幾らでもあるように思うのです。
 県民の命を救うためにはやるべきときにやるべきことをする、緊急時はもとより事前に住民一人一人が命を守る避難行動について対策を立てる必要があるのです。
 ところで、県内各市町においてはハザードマップを各戸配布、オンライン上でも公開していますが、いざおのおの自宅や地域のリスクを読み取るとなると難しく、そのため県では、地震や津波だけではなく風水害や土砂災害も含めた総合的な避難対策として住民一人一人にお住まいの地域の災害リスクを理解していただき、市町からどのような避難情報が発表されたタイミングでどこへ避難することが身を守るために必要であるかを一枚の紙に取りまとめ、ふだん目にする場所に貼っておくというわたしの避難計画の取組を進めていると承知しています。
 県は、わたしの避難計画の事業化に際し令和三年度に県内八地区で住民から意見を伺うワークショップを開催し、わたしの避難計画の作成ガイドを見ながら誰でも簡単に自力で避難計画を作成することができるよう設計したと聞いています。しかしながらわたしの避難計画を各戸へ配布しただけでは作成頂けないことが想定されます。県の本気度が伝わらなければ市町も住民も取り組むことはありません。自力での作成が困難な高齢者等、電子媒体に慣れ親しんだ若者等がわたしの避難計画を活用するためには、例えば学校で子供たちに取り組んでもらい子から御家庭へ普及していくことも有効な手段の一つであると考えます。
 県民の命を守るために、住民一人一人の避難行動の助けとしてわたしの避難計画の普及に県としてどのように取り組むのか伺います。
 次に、巴川流域の治水対策強化について伺います。
 静岡市には清水港を河口に市街地を巴川が流れていますが、これまでも幾度となく大雨のたびに流域は浸水被害を受けてきました。昨年九月の台風十五号の大雨の際に浸水被害に遭われた方の中には床上への浸水に気がつき二階へ上がり命が助かった方もいます。また何軒もの浸水宅で見られたのが七夕豪雨での水位跡を上回る高さの浸水痕跡です。
 確かに、昭和四十九年七月の七夕豪雨以降に実施してきた総合的な治水対策、大谷川放水路の建設や麻機遊水地の整備、雨水貯留浸透施設の設置などは大雨による浸水被害の軽減に一定の効果を現してきたと承知しています。しかしながら線状降水帯のようにこれまで見られなかった雨の降り方が頻発しており、豪雨災害の激甚化、頻発化により水害リスクはますます高まっており、今回のような治水施設の整備水準を大きく上回る豪雨はいつどこで発生してもおかしくない状況にあり、流域住民の浸水被害に対する不安は拭うことができません。
 これまで県は三次元点群データを活用し早期状況把握に努めており、昨年十二月補正予算においても河川堆積土砂緊急調査事業費が計上されレーザー測量が実施されていると承知しています。こうした中、今年三月には県と静岡市で構成する巴川流域総合治水対策協議会において昨年の台風十五号の浸水要因の考察や治水対策の現状と課題について協議するとともに、浸水被害を踏まえた取組の具体化、細分化を進めていくことになったと聞いています。
 そこで、昨年の台風十五号による浸水被害を踏まえた巴川流域の治水対策の進捗状況と今後の取組について伺います。加えて激甚化、頻発化する豪雨災害に対する流域住民の不安を少しでも和らげるための住民への情報発信についても伺います。
 次に、農山漁村地域の持続可能性について伺います。
 少子高齢化の進行により日本の人口は減少しており、本県においても総務省の国勢調査によれば平成十七年の約三百七十九万人から令和二年には約三百六十三万人とこの十五年間で約十六万人も減少しています。特に農山漁村地域では少子高齢化と人口減少が著しく、集落機能は弱まり地域集落がどこまで機能しているか実態把握すら難しくなってきています。農業、農村は防災や環境保全といった多面的機能を有していますが、集落機能の弱体化により困難となる保全管理が私たちの生活に大きく関わることは言うまでもありません。
 県では、平成二十四年に県内三十五市町と連携したふじのくに美しく品格のある邑づくり連合を設立し、農山漁村地域の課題解決に向けて広報や協働、人づくりなどを推進してきたと承知しています。もちろん多様な人々の参画により活動が継続されている地区もあると思いますが、私の地元では登録はしたものの何をしたらいいか分からない地区、住んでいる以上地域を守らなければいけないが管理で手いっぱいでコミュニティーが希薄になってしまっているという地区、登録当初は商品開発など力を注いだものの従事者の高齢化によりまたコロナ禍での制限により活動が衰退しているといった地区など課題が多く存在しました。
 一方、おのおのの地域には魅力があり登録されていない地域においても例えば、今月地元の漁港で行われた桜えびまつりは地域の各種団体が集まり地域振興行事を担っていますが、五年ぶりの開催にもかかわらず県内外から多くの方が訪れにぎわいを見せていました。また茶畑が荒廃、協同製茶工場が閉鎖した地域では地元企業がブルーベリーの苗を提供し、皆でブルーベリー狩り園を始めたり里の駅を始めたりと活力ある地域づくりをしています。しかしやはり参画する人が足りないなど課題はあります。
 地域ごと多様で複雑な課題に直面する農山漁村の現状を踏まえれば、地域の人々の生活の質を向上するためにも地域資源、地場産業に息吹を与え地域にない知識や技術を持ち込み新たな価値を与える人材や企業等とのつながりを展開するとともに、一時的、単発的ではなく関係者が協力し継続すること、成功体験を積み重ねていくことが重要です。
 清水区小河内では、NEXCO中日本が管理する新東名高速道路のネオパーサ清水で地域農産物の直売を定期的に行うなど地域と企業のつながりがある取組が行われています。地方自治体が任命する地域おこし協力隊は、平成二十一年度に制度が始まり令和四年度には全国で六千四百四十七人の方々が活躍しています。うち四割が女性、七割が二十代から三十代となっている中もちろんシニア層も含めて情報発信、商品開発、一次産業への従事、地域コミュニティー活動など多様な課題にアプローチしていると聞いています。また令和三年度末までに任期を終えた方の半数が同一市町村に近隣も含めると六五%が定着しており、四割が起業し地域に新しい動きを生み、また産業の担い手となっているそうです。
 地域と関わりたいという個人、企業が増えている中で、頑張りたいけれど行き詰まっているという地域に対しサポートするには熱意が必要です。しっかりと話をして人と人をつなぐことが求められていると考えます。
 そこで、農山漁村地域における持続可能性について県のこれまでの邑づくりの取組の成果と今後どのように取り組むのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 出野副知事。
       (副知事 出野 勉君登壇)
○副知事(出野 勉君) 望月議員にお答えいたします。
 水災害に関する防災・減災対策についてのうち、わたしの避難計画の効果的普及についてであります。
 相次ぐ風水害等から県民の皆様の命を守るためには県民自らがあらゆる災害に対して早期避難意識を高めることが重要であることから、県では令和四年度に沿岸地区でわたしの避難計画の普及展開を進めてまいりました。今年度は、危機管理監や危機管理部長が各市町長と直接面会し積極的な取組をお願いするなど内陸地域を含めた県内全域への普及を目指して取り組んでいるところであります。
 また、電子媒体に慣れ親しんでいる若年層などの県民に対しては、スマートフォンなどでわたしの避難計画を作成することができるよう、インターネットの県ホームページ上に作成サイトを設けるなど県民各層が手軽に取り組むことができる環境を整備しているところであります。
 一方で、わたしの避難計画を普及展開している現場からは高齢者の中には自力で作成が難しい方がいらっしゃる、一人一人丁寧に作成を補助するためにはノウハウを持った人材が足りないといった声があり、全ての県民の皆様に計画を作成していただくためには自主防災組織等地域と連携して丁寧に普及展開をしていくことが必要であると考えております。
 このため県では、地域防災士等を計画の作成や活用等を推進するわたひな普及員として養成し、地域の防災訓練や講習会などにおいて市町や自主防災組織とも連携して県民の皆様の計画作成を支援することとしております。また地震・津波対策等減災交付金にわたしの避難計画がんばる市町制度を創設し、地域での普及に継続的に取り組む市町に対し自主防災組織の活動経費などへの補助率を三分の二に引き上げ財政支援してまいります。
 また、議員御指摘のとおり子供から家庭への普及を図ることも非常に有効であると考えることから、学校現場との連携により家庭への普及を図るため今年度からジュニア防災士養成講座においてわたしの避難計画の作成に取り組むことといたしました。
 県といたしましては、様々な普及方法を展開することで全ての県民の皆様にわたしの避難計画を作成していただけるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
       (交通基盤部長 勝又泰宏君登壇)
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 水災害に関する防災・減災対策についてのうち、巴川流域の治水対策強化についてお答えいたします。
 巴川流域では昭和四十九年の七夕豪雨を契機に総合治水対策に着手し、巴川流域水害対策計画に基づき巴川本川の河口から六・六キロメートル区間の河道掘削や麻機遊水地の二の一工区五十一ヘクタールの整備に加え、校庭や公園等を活用した雨水貯留施設約百二十か所の設置などを進めております。
 こうした中、昨年九月の台風十五号に伴う豪雨により七夕豪雨以来最大の浸水被害が発生したことから、今年度から五年間の国の浸水対策重点地域緊急事業に採択されました。これにより麻機遊水地の整備や巴川本川の河道掘削、堤防のかさ上げ、雨水貯留施設の設置など即効性の高い対策を重点的かつ緊急的に実施してまいります。また静岡市が進める施策との連携により総合治水対策の充実強化を図ってまいります。
 さらに、これら対策の内容や効果などが流域住民の皆様に分かりやすく伝わるよう、出前講座の開催やSNSの活用などにより流域住民の皆様に対する丁寧な情報発信に努めてまいります。
 県といたしましては、静岡市と緊密に連携して総合治水対策のさらなる進を図るとともに、流域治水の先進事例として県内他流域に展開し水災害に強い巴川流域及び県土づくりを推進してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 櫻井農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 櫻井正陽君登壇)
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 農山漁村地域の持続可能性についてお答えいたします。
 農山漁村地域では、人口減少や高齢化が加速し集落機能が低下する中、美しい景観や環境、文化などの地域資源を未来に継承するためには地域と多様な関わりを持つ関係人口の拡大が重要であります。
 県ではこれまで、地域資源の保全、継承に取り組む百五十三の地区をふじのくに美しく品格のある邑として登録し、企業や大学など様々な主体が参画した地域ぐるみの保全活動を推進してまいりました。登録した邑では、静岡市西里地区の地域資源を堪能するマイクロツーリズムや南伊豆町伊浜地区での地域おこし協力隊員が主体となった荒廃農地の再生などにより、邑づくりへの参画者は年間約七万八千人にまで増加し県内全域の取組へと発展してきております。
 一方、近年は脆弱化する集落機能のレベルに応じて地域ごとの課題も多様化しており、保全活動を継続的に発展させるためには地域住民と企業等の外部人材の双方が地域の実情を共有できるようきめ細かに対応する必要があります。
 このため、県では今年度農山漁村地域と企業等のニーズをオンライン上で共有し情報交換できるむらマッチを開設したところであり、地域の実情に応じた専門アドバイザーの派遣などによりマッチングを支援し関係人口を拡大してまいります。
 県といたしましては、農山漁村地域と専門的ノウハウを持った企業等のニーズが調和した取組を拡大し持続可能な地域づくりを実現してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 望月香世子君。
       (十三番 望月香世子君登壇)
○十三番(望月香世子君) 再質問を一点お願いいたします。
 巴川流域治水対策強化についてです。
 私、質問では台風十五号による浸水被害を踏まえた進捗と今後の取組ということで先ほど事業採択によって緊急的に実施する項目ということで御紹介をいただいたんですけれども、それはこれまでも計画していたものをさらに加速させて対応するという考え、スピードアップするということで考えがよろしいのでしょうか。またそれ、その関連として河川の整備の基本方針、整備計画等の見直しについてもお考えであるということでしょうか。お願いいたします。
○議長(中沢公彦君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) 巴川流域の治水対策強化についての再質問にお答えいたします。
 スピードアップをするのかという御質問ですが、国のこの事業をもちまして、頂きましてですね、例えば巴川の下流域の河道掘削を行ってまいります。ただそうするとですね、下流域にはやっぱり橋梁がやはりかかっておりますのでその橋梁のですね、架け替えも含めながらですね、河道掘削をしていくということになります。今までの事業にですね、プラスまた今の事業を頂きましてスピードアップを図っていくと、そういう所存でございます。
 それともう一つのですね、整備計画等のですね、見直しにつきましてはやはり今後ですね、必要な部分はですね、見直しをしながらですね、図っていくというそういう所存でございますので、またそれにつきましてはですね、進捗状況を図りながら考えていきたいと思います。以上でございます。
○議長(中沢公彦君) 望月香世子君。
       (十三番 望月香世子君登壇)
○十三番(望月香世子君) 要望を述べさせていただきます。
 河川の整備の計画についても必要な部分の見直しをということですが、ぜひ見直しをお願いしたいと思っております。
 県民が豪雨災害に遭った後に言われてがっかりするのがですね、想定外だったからって言われることだと思うんですよ。先般、先日知事も我が会派の代表質問にこれまでの想定を超える災害は新たなステージに入ったものと危機感を強くしたところだと発言されました。県民の皆さんもこれから必ず同じような雨の降り方が起きるって皆さん感じてらっしゃるところだと思うんです。そして不安を抱えていらっしゃいます。国でも令和に入ってから気候変動を踏まえた降雨量増大を考慮した基本高水ピーク流量を検討し、県内だと狩野川については基本高水ピーク流量を四千立米毎秒から四千六百立米毎秒にと設定して国は一級河川について検討小委員会で変更に着手をし始めたと聞いております。
 また同じように県においてもですね、今回台風の被災、被害に遭われた方だとか、住民だとかからですね、私自身も同じような被害に遭ったら住む人いなくなっちゃうよっていう自治会長さんのお話なども聞いておりますけれども、豪雨災害の後、例えば河川のライブカメラの位置はここでいいかとかですね、地域聞き取りをしていただいてるのかどうかそういったところも気になるところです。
 県は、施設整備上耐え得る災害ではなかったとしても想定し得ることであると念頭に置いた上で、当然雨を重ねるごとにシミュレーションの見直しは精度が増すものであると思っておりますので、県民の皆さんの命を守る避難行動につながる対策を早急に少し推し進めていただくことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 社会情勢の変化に対応した消費者被害の防止について伺います。
 六月に公表された令和四年度県内の消費生活センターや消費生活相談窓口に寄せられた相談件数は、二万六千百九件と令和三年度に比べると一二%の増加となっています。その内容を見るとインターネット上の取引に関する相談が約三割を占め、副業、投資などのもうけ話等SNSを介した消費トラブルの相談が二千七十四件と平成三十年度に比べ約三倍となっています。また年代別に見てみると、改正民法の施行により昨年四月から新たに成年となった十八歳、十九歳の相談件数や二十歳代の相談件数が直近五年間で最も多くなるなど若者からの相談が増加傾向にあるほか、全体の約半数が六十歳代、七十歳代の高齢世代からの相談となっています。
 全世代へのインターネットの普及に伴い情報ネットワークを利用した犯罪、特に詐欺については県民の身近なトラブルとして増加しています。今年五月に新型コロナウイルス感染症二類から五類に分類されたことに伴い社会経済活動が活発になり、人々の消費意欲の高まりに伴う消費者被害の増加も考えられます。また被災後の住宅の修理や車の引上げ、移動など悪質な事業者によるトラブルも耳にしています。
 昨年の豪雨災害により私の地元の河川が越水した流域地域では、耐水住宅一件を除き地域一帯の家屋に土砂が流れ込んだため多くの人が住宅の修理を余儀なくされました。そのような中で不当な勧誘や取引から消費者の権益を守ることも重要です。
 私も浸水のあった住宅の泥をかき出し、清掃し、心が押しつぶされるようなつらさを共有しましたが、弱者に追い打ちをかけるような悪質な勧誘や取引は許されるものではありません。高齢者や弱者は特に被害を受けやすい傾向があるため適切なサポートや助言が必要であると考えます。
 このような状況を踏まえ消費者トラブルの相談や被害が増えてきた要因の検証、社会情勢の変化に対応した消費者被害の防止について、県としてどのように対応していくのか伺います。
 次に、誰一人取り残さない福祉の仕組みづくりについて伺います。
 新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが五類に移行されました。皆さんは今体調を崩されたとして相談できる方はいますか。物価高騰が続く中、生活水準を落として心や体の健康を損ない孤独に陥ることはありませんか。
 社会環境の変化が著しい中、コロナ禍において人と人との接触機会が減り若年層から高齢者までのあらゆる年代、分野において人間関係構築が希薄になっています。コミュニティーの継続という点において危機感を唱える地域自治会も多く、三年ぶり、四年ぶりに地区運動会など開催しようとしても以前のように人が集まらない、隣近所の付き合いが年々希薄になっているという声を聞きます。
 内閣府の調査ではひきこもりの状態にある人は全国約百四十六万人と推計されており、コロナ禍において女性の増加が浮き彫りとなっています。女性はおしゃべりによって不安を解消することが多い中、感染の不安から子育て施設の利用が減りママ友同士の集まりも減り産後鬱状態になる母親が増加したという調査結果も上がっています。
 孤立する育児世帯の切実な声、介護を抱える世帯の声、孤独・孤立の問題は全く他人事ではなく身近な人生のあらゆる場面で自分や家族、御近所で誰にでも起きている事柄であり、多様で複雑な問題を抱えることから横断的な支援が必要なことはこれまで幾度となく話し合われてきたとおりです。
 私の地元の居住支援NPO団体には住むところの問題、働き口の問題、DV問題、たくさんの課題を抱える方が最後のとりでとして駆け込むと話を聞いており、横断的対策は急務であることは言うまでもありません。
 近年の社会環境の変化を踏まえ、今国会において孤独・孤立対策推進法が成立しました。県では令和四年度より丸ごと受け止めること、断らないことを掲げて、横断的支援に取り組むためのアウトリーチ型事業を予算計上し市町における包括的相談支援体制の強化を試みており、モデル事業として富士宮市において福祉関係者が訪問等に出向く中で支援が届いていない人を把握し、つなげていく支援体制の構築を目指していると承知しています。課題として支援の手が十分届いていない方、孤独・孤立の問題を抱える方の複雑化、複合化した問題に応えていくための人員不足が挙げられる中、一方では困難を抱える方を助けたい一助になりたいと活躍している団体、NPOの存在があり、行政との連携に加えてNPO同士のつながりを作ることは急務であると言えます。
 NPOに所属する方のお話を聞いても、個々に頑張ってはいるものの、それぞれに得意分野もある中で一団体が背負わずに横連携ができたら助かるという話があるものの現状ではそういう機会がないとも言います。
 これら課題の見える中で県は、誰一人取り残さない福祉の仕組みづくりに向けて各種団体の参画をどのように試み、つなげていくのか今後の取組について伺います。
 次に、清水港カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組について伺います。
 清水港は、これまで選ばれる港として先人が努力を重ね整備し発展を続けてきました。令和二年には開港百二十周年を迎えましたがその歴史は古く、にぎわいのみなとまちとして栄える一方で近年は国際貿易港として貨物輸送のコンテナ化や船舶の大型化などあらゆる貨物を取り扱う港湾として変遷を遂げてきました。そしてまた現在、継続した誘致活動により客船が年間を通し絶えず訪れる港として、人々の交流の場として新たなステージにあると言えます。
 時代とともに変化する港の持続可能性を追求することは、豊かな県民生活を支えるために大変重要です。国では、港湾における脱炭素化を官民連携により進めるための仕組みの整備や災害時等における港湾機能の確実な維持等を図るため、港湾法一部を昨年十二月に改正、港湾の開発、利用及び保全並びに開発保全航路の開発に関する基本方針についても港湾の脱炭素化の促進としてカーボンニュートラルポートの形成の推進等を盛り込むなどの変更を行いました。
 このような中、本県における重要な国際拠点港湾の役割を担う清水港では、港湾地域全体を対象とし水素、燃料アンモニア等の大量、安定、安価な製造、調達、貯蔵等を可能とする受け入れ環境の整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業と港湾の脱炭素化に向けた連携等の取組について具体的に定めた清水港カーボンニュートラルポート形成計画が、今年三月に策定されたと承知しています。
 この計画を策定するに当たっては、行政と民間事業者が加わった協議会を立ち上げ民間の取組、行政の施策の双方で密に情報交換し現状を把握した上で削減目標や具体の取組を共に議論してきたと聞いています。本県ではこの計画の中で清水港臨港地区及び港湾区域内における二酸化炭素排出量を二〇一三年度に比べ二〇五〇年一〇〇%、二十七・九万トンを削減するという目標を掲げていますが、脱炭素化社会の実現には行政と民間がそれぞれ個別に取り組むのではなく、この計画策定のように双方でしっかりと連携した取組を進めていくことが効果的と考えます。
 気候変動の影響が私たちの暮らしや経済に影響を与える中で、清水港は市街地と臨港地区が隣り合い物流、産業、商業、観光、くらしが混在しカーボンニュートラルポートが地域において身近で重要な施策であること、津々浦々多くの港がある中で清水港が地球に優しい未来港湾として歩むことが県民にとって有益であることを知ってもらうことも大切です。
 そこで、計画を策定した清水港において計画策定時における現状の検証結果と今後の具体的な取組について伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 清水港カーボンニュートラルポートの形成に向けた取組についてお答えいたします。
 清水港は世界に開かれた貿易港でございます。ものづくり県静岡の産業や経済を支える重要な物流拠点でもあります。また地元経済界が中心となって進めていただいた継続的な誘致活動により多くのクルーズ船が寄港するなど国内外から観光客が訪れるにぎわいの拠点でもあります。
 清水港は人流、物流の結節点であります。この清水港で脱炭素化に向けた先導的な取組を進めることは、本県が二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする脱炭素社会を実現していくために極めて重要であります。
 県では清水港とその周辺で事業活動を行う企業、団体、行政から成る協議会を設置し、クリーンエネルギーでつながる地域の未来を支えるスマートガーデンポートを目指して本年三月に議員御案内のとおり清水港カーボンニュートラルポート形成計画を策定、公表いたしました。
 清水港周辺では、計画策定以前から省エネルギー設備の導入など脱炭素化に向けた取組が進められておりまして、二酸化炭素の排出量は二〇一三年度の二十七・九万トンから二〇二一年度には二十六・二万トンとなりました。一・七万トンの削減が図られております。
 しかしながら、二〇五〇年に向けて排出量実質ゼロという高い目標を実現していくためには大胆に取組を進めることが重要です。そこでまずは二〇三〇年度に二酸化炭素排出量を二〇一三年度比で四七%削減する中間目標を設定し、この目標に向かって官民が連携して取り組んでまいります。
 具体的には、新興津地区における門型のコンテナクレーンの電動化や袖師地区における太陽光発電を利用したグリーン水素の供給、また清水港内における県営施設や民間施設の屋根を活用した太陽光発電施設の導入などを進めてまいります。
 排出量実質ゼロに向けましては、さらにMaOI機構等の海洋研究機関とも連携いたしまして新たな二酸化炭素吸収源となる藻場の造成や水素等をはじめとする次世代エネルギーの受入れ供給拠点の整備などにも取り組んでまいります。こうした清水港での取組を県民の皆様に理解を深めていただけますよう県内外に広く情報発信をいたしてまいります。
 県といたしましては、清水港が世界に誇る選ばれるスマートガーデンポートとして官民一丸となって力強く脱炭素化に向けた取組を実践し、先導的モデルとなることで、持続可能な地域社会の実現につなげてまいる所存でございます。以上でございます。
○議長(中沢公彦君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 社会情勢の変化に対応した消費者被害の防止についてお答えいたします。
 最近五年間の県内消費生活相談件数は、おおむね二万三千件から二万八千件の間で推移し年齢層が高いほど相談件数が多くなる傾向にあり、五十歳以上からの相談件数が全体の六割以上を占めています。令和四年度は前年度から約二千八百件増加していますが、五十歳以上の相談で約千九百件、二十九歳以下で約五百件の増加となっています。
 独り暮らしの高齢世帯などが増え社会のデジタル化が進む中、インターネット通販の定期購入に係る相談などが高齢者を中心に増加しています。訪問販売に関するトラブル防止などとともに、デジタル機器やサービスに不慣れな方に向けた出前講座を市町や消費者団体等と連携して実施してまいります。
 若年層につきましては、成年年齢引下げに伴う被害の増加が懸念されることから契約の基礎知識やSNSに関連するトラブル事例等を学ぶ機会を拡充してまいります。令和二年度から実施しています高校生消費者教育出前講座を今年度は百五校で実施する予定であります。
 被災者などを狙った悪質商法に対しましては、市町とも連携した迅速な注意喚起とともに状況に応じ事業者指導などを行ってまいります。
 県といたしましては、今後も社会情勢の変化に応じた対策を講じることで消費者が被害に遭うことのない県民の安全・安心で豊かな生活の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 誰一人取り残さない福祉の仕組みづくりについてお答えいたします。
 県では、これまで福祉関係者が業務の中で把握した要支援者を市町に報告し支援につなげるモデル事業を富士宮市で行ってまいりましたが、事例の多くが複数の問題を抱えておりまた半数が公的支援を拒否するという課題が明らかになってきたところであります。
 このため今年度は、これらの課題の解決に向け要支援者と接する様々なNPO等に参画頂き支援のための個別検討会や現場における課題解決のワークショップを開催し、支援を必要とする方を確実に福祉サービスにつなげる具体的な手法を確立するためのモデル事業を新たに焼津市、長泉町を対象として実施してまいります。あわせてNPO等の多様な団体同士の協働を促進するため、相互理解や成功事例の共有などを行い団体間のネットワークづくりを進めます。これにより活動分野や地域の枠にとらわれない緩やかなつながりを創出し、それぞれの得意分野を生かした多面的な支援につなげてまいります。
 県といたしましては、孤立している方の支援に取り組むNPO等多様な団体と市町との連携を促進しながら、誰一人取り残さない福祉の仕組みづくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 望月香世子君。
       (十三番 望月香世子君登壇)
○十三番(望月香世子君) 要望を二点申し上げます。
 まず、カーボンニュートラルポート形成に向けた取組についてですが、知事も御存じのとおりですね、清水港は非常にリードタイムの短いコンパクトな港ということで温室効果ガス等も非常に排出がこれまでも他港に比べると少ないというところではあったんですけれども、ただ今回いろいろな見直しを図る中でですね、コンテナリゼーションによってコンテナ化した物流革命が起きたといったときからこの五十年たって、今まさに私はまた、港湾関係者以外民間だとか後背地も巻き込んだ新たな港の時代に入ってきているところだとすごく期待をしているものですから、このロードマップは適宜見直しを図っていくと聞いてはいるんですが、将来のポテンシャルもぜひ視野に入れながら柔軟な対応をお願いしたいと考えております。
 もう一点、誰一人取り残さない福祉の仕組みづくりについてですけれども、NPO等の支援連携ぜひお願いいたします。NPOの中間支援団体さんもですね、ちょっとコロナ禍で声をかけないうちに何か継続できなくてなくなってしまったNPOさんとか非常に苦慮しているところが多いものですから、ぜひ団体さんのそういった御意見も丁寧に拝聴していただけたらと思います。以上、質問を終わります。(拍手)
○議長(中沢公彦君) これで望月香世子君の質問は終わりました。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

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