• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

吉川 雄二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/03/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 関税撤廃下における本県の農業振興について
2 本県採択の歴史教科書について
 (1) 看過しがたい記述
 (2) 我が国の歴史に対する愛情の涵養
3 校長並びに教頭登用選考試験について
4 窃盗犯対策について


○副議長(渥美泰一君) これで田口章君の質問は終わりました。
 次に、六十四番 吉川雄二君。
       (六十四番 吉川雄二君登壇 拍手)
○六十四番(吉川雄二君) 私は、自由民主党所属議員として、通告に基づき質問申し上げるものであります。
 初めは、関税撤廃下における本県の農業振興についてであります。
 あれは、長い昭和も終わろうとする六十三年秋のことでございます。先帝陛下は、御病状極めてあしき折にも長雨にたたられたことしの稲の作柄はどうなっているのかと御下問なさったのであります。このお言葉は、豊葦原の瑞穂の国をしろしめすのはみずからであるといういともかしこき御宸慮であり、悠久の歴史を貫いてこの島国に定住し米づくりを続けていかねばならない我が大和民族の宿命を象徴しているのであります。我ら久米の子は、神武天皇御東征以来二千六百有余年にわたり、連綿米づくりを守護してきたのであります。そも我が万邦無比の国体とは大内山にあらせたまう上御一人であり、米づくりなのであります。よって今日TPPへの参加は、まさに瀬戸際だった我が国の米づくりの将来にわたっての問題であり、ひっきょうそれは我が大和民族の存亡の問題なのであります。
 知事は四年前、そのマニフェストにおいて静岡の有力農産物は低カロリーのお茶や野菜です。カロリーベースの食料自給率にとらわれず、生産額ベースの自給率七〇%を目指しますとおっしゃっているのであります。そこでまずかかるマニフェスト実現に向けて、今日までのその手立て、そしてその成果をお伺いするものであります。
 床屋のおやじが怒って言った。「待ってました川勝知事お得意のマニフェスト。民主党にしてもしかり。今や古色蒼然たる響きはあるが、しょせん票欲しさのポピュリズム。今度の知事選で出なかったところを見るとやはり四年前は選挙用の三百代言か。まあ我が党も目くじら立てるほどのことはなかった」。さすが床屋のおやじ、ここは座布団一枚。
 私吉川、知事の生産額ベースの食料自給率に拘泥し農業をビジネスの論理から捉える、その構えの心底に知事の国家観の欠如を看取し、まことにもって焦慮の念を禁じ得ないのであります。生産額ベースの自給率七〇%を目指すにおいては、只管より生産性の高い農作物に転換を図る以外にその方途はなく、ひっきょうそれは亡国の論以外の何物でもないのであります。
 知事、考えてもみてください。もとより農作物は売ってもうけるものではないのであります。もとより農作物は人間の生命維持のものであり、そしてそれは当然として穀物によってなされるものであります。かかる厳然たる事実を留保するなら、穀物が国家に一旦緩急あるときの戦略物資であることは、洋の東西、歴史の古今を問わず、まさに論をまたないのであります。今日の北朝鮮に徴してみよ。あるいは大東亜戦争終結時の我が国に徴してみよ。食料自給の道を断たれた国家の行く末がどうなるかは、まことにもって自明であり市井の凡夫でもわかる道理であります。それゆえ主権国家における穀物の自給は、経済の論理のらち外にあるものであり自国の安全保障のためにも国家がその国権をもって必ずやなすべきものであります。そこでより肝要なるは、穀物の自給率なのであります。
 先進諸国の穀物の自給率を俯瞰するに金融によって立つフランス、さらには工業立国ドイツでさえも、その自給は一〇〇%を確保しているのであります。翻って我が国はいかにといえば総合自給率をはるかに下回る二七%と、その数字は、欧米先進国に比肩してまことにもって度しがたい数字なのであります。さらにですよ、今日我が国の穀物の自給率が二七%の数字にとどまっているのは、米の自給率が九二%に及ぶからであります。TPPに参加し米の市場を完全に開放したならば、穀物の自給率は二七%から何と三%までに下落すると試算されているのであります。一億の民を擁するもその主食の自給率がほぼゼロに近い国家が、そも独立国家と言えるのでありましょうか。
 議員諸兄、次の言葉をよくよく御清聴いただきたい。食糧を自給できない国なんて想像できるか。それは国際的圧力とリスクにさらされた国だ。知事、これは誰の言葉かおわかりか。アメリカの前大統領ブッシュの言葉であります。穀物は全てアメリカから買え。お前たちは米をつくるな。商品作物だけをつくっていればよいのだ。これがまさに浦賀の号砲一発以来のアメリカの我が国に対する戦略であります。
 かかる現実に対する知事の御理解いかにと思うとき、私吉川まことに隔靴掻痒の感を拭えないのであります。
 そこで、米の完全自由化はまさに我が国に対する武装解除にも等しく、国家存立上極めて重大な憂患を含むものであると思慮するが、知事の御所見をお伺いするものであります。なお知事、現実を直視せず理想を追う者は知事や市長になってはいけない。思想家として立つべきである。老婆心ながら。
 現今、我が国の稲作農家は、生産費以下の米価の下落あるいは耕作放棄地の深刻化、さらには担い手不足、そしてその高齢化とまことにもって容易ならざる危機的惨状を呈しているのであります。本県もまた同様にしてしかりであり、米の完全自由化による安価な米の流入は、本県の稲作農家に壊滅的な打撃を与えるは、まさに必至にして必然なのであります。
 かかる状況下県当局は、本県の稲作農家の救済、さらには本県の稲作振興にどのように取り組んでいかれるのか。現状とその方途についてお伺いをするものであります。
 次は、本県教育行政についてであります。初めは本県採択の歴史教科書の看過しがたい記述について数点お伺いをいたします。
 まず初めに、アイヌ、沖縄の記述であります。教科書を通読するに、その記述がアイヌ、琉球に専ら偏重する余り、教科書がその全体のバランスを著しく欠いているのであります。これは抑圧者がいて被抑圧者がいたという硬直した二値的思考で歴史を裁断するものであり、そしてこの二値的思考に纏綿するのは国民国家分断の策謀であります。
 本県採択の歴史教科書の殊さらに及ぶアイヌ、琉球の特筆大写は、がんぜなき生徒をして国民としてのアイデンティティーを希釈せしめ、及ぶところ地球市民としての意識の刷り込みを専らにしているのであります。
 そして、この内容空疎にして無国籍な地球市民なる一語をよく口の端に乗せ専らにしたのが、教科書にも記述されている菅直人であります。とうに賞味期限が切れておりますが、私から向かって左翼席に陣取っておられる方々のかつてのリーダーであります。今を去る十三年前、鬼籍に入った評論家江藤淳が、菅直人をして市民運動家の仮面をかぶった立身出世主義者であると喝破したのであります。菅直人の社会主義者に特有な皮相酷薄にして支離滅裂な言動をさらには権力に対するあの飽くなき執念を思うとき、このフレーズはまさに正鵠を得て我々の意識の腑に落ちるのであります。
 よく行く床屋のおやじが怒って言った。「菅直人、あれは日本人ではない。さすが無国籍な地球市民だ。いいですか。東北の被災者が泥水すすり草をかみ天を仰ぎ慟哭血涙地に滂沱しているとき、本人は女房と東京は赤坂の高級料理店でイタ飯を食っていた。血の通った人間のすることではない。それほどまでにうまい物を食いたいのか卑しいやつだ。かしこくも先帝陛下は大東亜の聖戦の折、前線の皇軍兵士を思い四年間一汁一菜を通した。それが世をしろしめすということだ。それから菅直人、額に汗して働く労働者の組合から支援をもらっていることを忘れるな。彼らはグリーン車に乗らない。いや乗ることを知らない。彼らは女房子供を思い会社から出た旅費をいかに浮かせるかに必死だ。もちろんたまに行く外食は三百六十円の吉野家の牛丼だ。額に汗して働く労働者の組合から支援をもらっている現知事もそうだ。一言言う。高級料理店には絶対行かないこと、グリーン車には絶対に乗らないこと。偽善者でなければわかる道理だ。等しさをもってよしとする県庁の自治労諸君が見ている。気をつけたほうがよい。僭越ながら忠告しておく」。
 さすが床屋のおやじ、物事の道理がよくわかっている。かかる地球市民なる一語は、国家を悪の装置としてみなし国民国家を忌み嫌う反権力的な表現であり、そこにはマルキシズム的心性が伏在しているのであります。よって本来イデオロギーのらち外にあるべき教科書に記述するは、極めて不見識であり不適切なのであります。しかるに本県採択の歴史教科書は、その巻末においても地球市民なる一語を殊さらに記述しているのであります。
 教育基本法には国家及び社会の形成者としての資質を育成するとあり、学習指導要領にも国民としての自覚を育てると明記されているのであります。教育委員長、地球市民を称する無国籍な人間が国民としての自覚を持った国家の形成者たり得るか、よくよく考えていただきたい。我々は地球市民である前に国民としての矜持をしかと持した日本人でなければならないのであります。真にナショナルな人間こそがインターナショナルたり得るのであります。よってかかる記述は、これら本旨に明白に違背するものと思うが、教育委員長の御所見をお伺いするものであります。
 次は、近隣諸国条項のよって来るところ、中韓両国に阿諛追従する記述であります。本県の採択の歴史教科書は、人名の表記において中国語、韓国語読みを優先させているのであります。かかる特異な表記は中国語、韓国語読みの生徒への強要以外の何物でもなく、いいですか皆さん。読み方がわからなければ索引も引けないほどに悪質なのであります。教育委員長、実にこれが我が国の教科書かと私は眉に唾して聞いてみたい。
 そこで、私が指摘する表記ユワン・シーカイ、チャン・チェシー、イ・スンシンなる人物が誰であるか、教育委員長にお伺いをするものであります。かかる人物のわかる方は、この議場にあっても恐らく皆無でありましょう。それを今日何ゆえ生徒に学習させる必要があるのか、私には到底理解できないのであります。
 知事、私は生徒の学力をあげつらう前に生徒が学習するその内容を問うべきだと思うがいかがか。さらに中韓両国に卑屈にも跼?して三舎を避くがごとき記述を容認する日教組の教育に対し、憂慮の念をはるかに越えて心底怒りを覚えるのであります。
 そこで、中韓両国の歴史上の人物であっても既に日本語読みが定着している人物については、その表記において従前の日本語読みを優先すべきと思うが、あわせて教育委員長の御所見をお伺いするものであります。
 学習指導要領には、「我が国の歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てる」と明記されているのであります。しかるに卑屈にも中韓両国におもね迎合している本県採択の歴史教科書をもってして、生徒に国民としての自覚を得さしめ進んで我が国の歴史に対する愛情を涵養することができるのでありましょうか。教育長にお伺いをするものであります。
 床屋のおやじが怒って言った。「教職員組合、話は違うが一言言いたいことがある。全国学力テストにおける学校長の公表だが、四年前の知事選のときあんた方が推薦した知事が公表すると言っているんだから公表させたらどうだ。それが推薦した責任というものだろう。違うか。それなら何ゆえかくも保守反動的な川勝を推薦したのか。執行委員長、その理由を答えろ。推薦とはそんな軽いものか」。さすが床屋のおやじ、満場の議員がうなずいております。
 次は、校長並びに教頭登用選考試験についてであります。
 満場の議員諸兄、まずもって聞いていただきたい。今日の教育現場における教員と学校長の実態を赤裸々に描写した帚木蓬生著のドキュメント「安楽病棟」よりの一節であります。
 「今年八十一になる父親は、かつて校長としての評判はなかなかのものでありました。教職員にも頭が低く、逆に市や教育委員会にはずけずけ物を言うという態度で全ては現場に任せる。私も平の教諭を経験しているのでよくわかるのですが、そういう校長はまれで小言ばかり言う小人物が多いのです。下の者には小言、上の者にはぺこぺこというわけで、そのタイプの校長や教頭が蔓延しています。児童や生徒の気持を酌み取ることなぞ、もう眼中にありません。組織というものは伝統によってその質が保たれていくものです。よい校長がよい後輩を育て、校長に推薦していく。その校長もまた後継者に少なくとも自分と同程度か、それ以上の人物を指定する。この連鎖がその組織の水準を厳然として保っていくのです。
 ところが、これが別の基準で機能するようになるともういけません。おべっか使い、要領のよさ、袖の下というような、その組織の本性とは何ら関係のない要素で上に立つ者が決まり出すとみるみる組織は変質していきます。そんなふうにして選ばれた校長は、自分の後継者には自分以上の大人物を推薦することは絶対にしません。自分のばかさ加減が目立ちますから。必ず自分よりも小人物を選び出します。自分が教師になってみて、上にいる教頭や校長を眺め、父とは雲泥の差だと思うのです。父を支えたもの、それは戦争体験ではないかと、このごろになって思うのです」。
 以上、息子が語った元校長である父親に対する懐旧談であります。
 かかる一節のよるところ、一斑をもって全豹を推すものではないが、ここにも戦前の教育を受けた世代と戦後世代の学校教育に対する価値の断絶が表出しているのであります。大東亜戦争前、明治大帝より民草に下賜されたる、いともかしこき教育勅語を挙々服膺し教育を受けた世代がおおむね社会の一線から退く昭和六十年以降において、我が国の教育はまことにもって度しがたい惨状を呈するのであります。
 平成の御世に入ると戦後民主教育のよるところ、リーダーの人間力の欠如は構成する組織の劣化を現出せしめ、軌を一にして教育力の縮退は教育現場に縦横に錯綜する深浅さまざまな混乱を誘致してきたのであります。かかる混乱は事なかれ主義ともやゆされる学校や教育委員会の責任体制の曖昧さに加速されるところ、例えばいじめや不登校、校内暴力、学級崩壊、教員の不祥事や指導力不足によるところの生徒の学力低下等々を出来せしめ、今日公教育の現場の荒廃は層一層しょうけつを極めているのであります。
 議員諸兄御承知のとおり、教頭職にあって学校長に昇任する者は、校長登用選考試験を受験しなければならないのであります。よくよく聞いていただきたい。そしてこれにはまずもって在職している学校長の推薦を得なければなりません。建前上はかかる推薦が十分条件とは言わぬまでも、実態としては、これが前提である以上、学校長の推薦は絶対条件なのであります。よって既述の物語がごとき仕儀に立ち至るのが今日の校長、教頭人事の現状であり、本県もまた論をまたずしかりであります。
 皆さん考えてもみてください。学校長の推薦によって受験の可不可が決定されるとしたなら、ひっきょう評価される側に阿諛迎合するの習いが生じるは是非もないことであり、かかる事態が高じるところ双方に虚偽、あるいは偽善の心性が生じ、そのよるところ双方に不信感が醸成されるは、まことにもって必然なのであります。公平無私にして公明正大を旨とする本県教育委員会が、あるいは等しさの追求を専らにする静教組が、何ゆえかかる制度を看過するのか。まことにもって理解に苦しむものであります。
 そこで、教員にあっては教頭職に教頭にあっては学校長に――ここ大事ですよ。聞いてください――ならんと志のある教師は、全て一定の年齢をもって受験の機会を与え、さらにだれもが納得できる客観的選考基準を定め、もって選考に当たるべきと思うが、教育長の御所見をお伺いするものであります。
 及んで本県学校長、教頭登用選考試験の実態、さらには受験に当たっての学校長の推薦の条件をお尋ね申し上げるものであります。
 次は、本県警察行政わけても窃盗事犯についてであります。
 議員諸兄は御存じか、遠州は浜松生まれの石川五右衛門を。その五右衛門が金襴褞袍に百日かつらのいでたちで京都は南禅寺の山門に仁王立ち、浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじと大見えを切ったのは文禄三年春弥生のこと。時代は下って今日平成の御代。果たせるかな江戸前の浜の真砂はとうに消えましたが、泥棒の尽きる世は永遠に来ないようであります。
 そもそも泥棒は、あらゆる犯罪の中で最も原始的な悪事であります。そしてこれは人間が猿から進化して占有物を持ったときから今日まで、おおよそ何万年と気の遠くなるような歴史を誇ってきたのであります。この間泥棒は鼠小僧次郎吉や弁天小僧菊之助にその典型を見るように、金持ちから金をかすめ取るという一般ピープルの潜在的願望のもと江戸時代の講談や歌舞伎のネタとなる中、時代のヒーローにもなったのであります。
 時代は下って大正の御代、震災の余じんさめやらぬ帝都にはやるもの、それは説教強盗であります。泥棒よけには犬を飼いなさい、戸締まりは厳重にしなさいと親切にも忠告してから金を奪う。人は殺さず、傷つけずをモットーに犯行を重ねたその手口は、まさに一子相伝の趣があったのであります。このように戦争前は一子相伝の技術を身につけた職人かたぎの泥棒もいたようであります。いつぞや刑事課あがりの署長さんに聞いた話でありますが、一人前の泥棒は自分の踏んだヤマは決して忘れないそうであります。したがって勘のよいべテランのお巡りさんは、その手口でこのヤマはあいつだ、あいつの手口だと直感で目星をつけ、ほとんど外さないそうであります。これまたお巡りさんの一子相伝の勘であります。
 さて、ちまたでは物取りは泥棒と呼んでおりますが、刑法では窃盗犯であります。プロのお巡りさんたちは盗犯と呼んでいるようであります。そしてこの盗犯はその数において全ての犯罪を凌駕しておりますが、検挙率においては全犯罪中最も低いことから、刑事課のお巡りさんたちは泥棒を捕まえることに日々忙殺されているのであります。「正・強・仁」の旺盛なる士気をもって成る本県のお巡りさんたちもしかりであります。そして今日窃盗犯の検挙人数は年間十五万人にも上るのであります。したがって本県の留置所もそうでありますが、一年中泥棒であふれ返っているのであります。それはさながらハンバーガー・ヒルか二百三高地のようであります。驚くじゃありませんか。十五万人といえば、富士宮市の人口より多いのであります。ちょっとした地方の大都市の人口であります。
 さて、今日窃盗犯の留置所内における位置づけでありますが、かつて泥棒は命がけではないあるいは生活のためといった軽さから破廉恥罪などと呼ばれ、ほかの犯罪者たちから疎んぜられておりました。したがって留置所内では、トラッドの悪人たちは泥棒に対しては常に上から目線でありました。「おうおう、そこのパンツ泥棒、てえげえにしねえか。昔から盗っ人は破廉恥罪って言ってな、房の中じゃ縮こまっているもんだぜ」とよく説教を垂れたものであります。しかしながらこれはあくまでも一昔前の話であります。今では窃盗犯は留置所の中では堂々と幅をきかせているのであります。それでは何ゆえ今日皆さん窃盗犯の留置所内における社会的地位が向上したのでありましょうか。その理由はさまざま考えられますが、一つは何といっても戦後民主教育が社会の隅々まで浸透したことであります。ほかの犯罪者を圧倒するその検挙人数であります。民主主義社会においては数は力であります。マジョリティーこそがメジャーであるという社会通念のなせるところであります。さらにもう一つは自由主義市場経済が人間の欲望を解放した結果、みずからの利益を図ることは決して悪いことではないという社会通念が普遍化したことであります。したがって留置所の中で先輩に一体何をしたんでえと聞かれれば、面目ねえ、実は万引きでえと恥じらいながら人差指を曲げたのは一昔前のこと。今じゃ窃盗ですと堂々と答えるのが常のようであります。
 そこで今日、本県の窃盗事犯であります。平成九年橋本内閣の経済政策によるところ、我が国の景気は一気呵成に反転、マイナス成長に転落したのであります。かかる経済状況の悪化は失業率の上昇を現出し、しからしめるところ強盗や窃盗、詐欺などの金銭関連の犯罪件数の増加を招来せしめたのであります。
 本県においてもしかりであり、平成九年より刑法犯認知件数わけても窃盗事犯は大石急坂を下るの勢いをもって増加、平成十四年に至りてはその数六万三千八件、うち窃盗事犯五万一千六百三十九件と戦後最多を見るのであります。しかるに平成二十四年にはその数三万二千三百九十六件、うち窃盗事犯二万四千三百二十四件とほぼ半減するのであります。これは官民一体となった防犯活動、さらには本県警察官の蕩揺することなき使命感のなせるところ懸命なる検挙活動の成果であり、まさに「正・強・仁」のその旺盛なる士気を県民こぞりて了とするものであります。
 さて今日、本県における窃盗事犯を概観するにまず本県は東海道メガロポリスの中間に位置し、東京、名古屋の二大都市はまさに指呼の間にあるという地理的条件。さらには交通網を初めとした社会基盤が整備されているという社会的条件であります。かかる条件下、関東あるいは関西の集団的かつ組織的な窃盗団の出没横行を見る中、外国人の手による犯行も後を絶たないのであります。さらにIT技術やマスコミの発達がその手口を巧妙化、多様化させる中、当局の捜査も層一層の困難を来たしているのであります。かかる本県の窃盗事犯の実態を前にしても県民の財産と生命を安きにつけ、しこうしてその生活の安寧を図るは、まさに本県警察の本然の責務であります。そしてこの責務のしからしめるところ窃盗事犯の特徴をより綿密に分析研究するといった平素からの飽くことなき警察活動、そしてこれに依拠するところの検挙活動の着実な展開あるいは犯罪の抑止対策のさらなる推進は、まさに本県警察の喫緊の要務なのであります。
 今後、いかなる方途をもって窃盗犯対策に取り組んでいかれるのか、警察本部長にお伺いをするものであります。
 なお、終わりに議員諸兄にお願いであります。毎回に及ぶ議運での注意はやめていただきたい。議員の品格とは何か。それは思想であります。確たる歴史観に依拠した思想であります。よって私吉川、発する言葉はみずからの思想の発露であります。治安維持法でもあるまいに思想まで取り締まる気か。時代錯誤もいい加減にしろ。
 結びにいつもの常套句、川柳を一つ。「本会議よく寝た人ほど拍手する」。万雷の拍手をお願い申し上げて質問を終わります。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 床屋のおやじ殿――いや失礼しました。吉川議員にお答えをいたします。床屋のおやじ殿のさまざまな御高説をお伝えいただきまして、謹んで拝聴いたしました。
 関税撤廃下における本県の農業振興について、お答えを申し上げます。
 食料自給率につきましては、私はかねてより高い関心を抱いてまいりました。いや食料自給率というよりも食料の安全保障について関心を抱いてきたのでございます。こうした関心がありますがゆえに、第一次安倍内閣の赤城農水大臣から直々に食料の未来を描く戦略会議の委員に任ぜられて、大臣御出席のもとで日本の食料の未来を一緒に考えてまいりました。また続く福田内閣におきましては、若林農水大臣の同じこの戦略会議に招かれまして、常に大臣御出席のもとで日本の食料の未来を考えてきたわけです。この食料の未来を描く戦略会議は、続く麻生内閣におきましては石破農水大臣が食料自給率向上推進委員会と名前を変えられましたが、同じことでございます。
 そうした中で私は、カロリーベースで食料自給率を上げるという農水の事務次官以下のお考えの中に偽善があると。ともあれ農水事務次官以下農水省の役人の皆様方は、東京に御生活なすって一切土をいじってないわけです。ですから食料の自給率を上げるなら、みずから野に下りなさいということを私は一貫して申し上げてまいりました。
 食料自給率につきましては、私は生産額ベースを掲げました。残念ながらどうしても商品としてお売りにならないと生活に必要な物資、教科書も含めて参考書も含めて農家の人々はお子様に買うことができませんで、どうしてもしかるべき生産額というものを保障されねばならないわけでございます。そうしたことから私はむしろ生産額というのは客観的な数字でございますので、カロリーというのは、多い人、少ない人ございまして、そうしたことから生産額ベースで言ったところ、お茶はカロリーが少ないから入れないなどというふうなばかな議論をされるところがありますので、私は静岡のカロリーベースでいきますと自給率は一七・八%です。しかしながらお茶を入れますれば、生産額ベースでは平成二十一年で六五%、二十二年で六四%、二十三年で六三%です。ですから七〇%はまだ一桁のことですから十分に達成可能であるというふうに考えている次第でございます。
 こうした食料自給率を高めるためには、やはり農産物の付加価値を高めねばならないと。いわば六次産業化というような考え方も農家の人にはお持ちいただきたい。そしてもちろん生産力の強化をしなくちゃならないということで、こうした多面的な取り組みをしてきたつもりでございます。そしてそうしたことの一環として、農産物の付加価値向上すなわちブランド力をつけるためにしずおか食セレクションの認定を行いました。
 そしてまた静岡県は、文字どおり日本的な食文化、これは和食食材の購入量というのがございまして、全四十七都道府県の県庁所在地におきまして静岡市がトップです。米、緑茶、マグロ、シラス干し、干しアジ、どれにおいても一位です。こうした静岡県民の日本的な食文化を堅持しているというところから私は食の都づくりを進めることができるということで、今それを進めているわけでございます。また生産力強化のために新規農業者の確保に努めるとともに、生産性の高い農業を展開するビジネス経営体の育成にも取り組んでいるところでございます。
 議員御心配の米の関税撤廃につきましては、TPP交渉の行方はまだ十分に明らかではございません。しかし私はその結果にかかわらずさほど心配していないのであります。なぜかというと作況指数が七五になった一九九五年、細川内閣のもとでいわゆるクオーター制、割り当て輸入を国際的に約束をいたしまして一定量輸入するということになりました。どうなりましたでしょうか。それが古米、古古米、古古古米になって、そして誰も買わない。傷米になってそれが社会に流通し社会問題になったこともございます。したがって私は日本人の、いや特に静岡県民の舌、味覚、食文化。これを見るあるいは味わう力は高いというふうに思っているわけです。安けりゃ買うというものじゃない。大事な子供、大事なお父さんのためにどういうものを選ぶかというときには、価格も品質もなかんずく域内でつくられているものであれば安全だということでございますから、この地産地消をこちらでならばできると。そして欲しければ買いにいらっしゃいということで、私は外国産よりも静岡県産品を選ぶという、そういう文化さえきっちりと確立していれば、安全でないような隣国のものを買うというようなことはしないであろうというふうに思っています。特にしかし稲作振興のためには、高品質でおいしい米づくり、おいしい米を味わうことのできる人づくりというものを目指して、そうした観点からの稲作経営の体質強化を目指しているところでございます。
 本県におきましては、おいしい米づくりを進めるために、全国に先駆けましてお米日本一コンテストを開催いたしまして、稲作農家の技術向上に取り組んだ結果、有名な御殿場コシヒカリ、あるいは浜松市はやらまいか精神で有名ですが、それにかけたやら米かというブランドなど県内産のお米は全国のトップレベルに肩を並べるほど品質が向上してまいりました。さらに市町、関係団体と連携し、担い手への農地集積を進めた結果、十五ヘクタールを超える稲作農家は百十三経営体となりまして十年間で約二倍に増加するなど規模拡大が進みつつあります。
 今後は、一層の水田の集積や省力技術の開発、普及を促進いたしまして、六十キログラム当たりの米の生産量を全国平均の半分程度の七千円台にすることを目標に低コスト生産に取り組む大規模経営体を育成してまいります。減反政策はやめていただきたいというふうに国には申し上げたいと存じます。
 一方、米の消費量は年々減少しております。とはいえ本県の米の自給率は四割です。ですから本県産のものをまだこちらでつくる余裕は十分にあるということでございます。そしてお米はお米だけで食べるのではなくおかずとともに食べますので、お米とともにお茶、あるいはお魚など本県の豊富な食材を楽しむ、静岡らしいあるいはふじのくにらしい和食文化というものを広げてまいりたいというふうに思っております。
 本県といたしましては、今後とも市町や関係団体と連携をいたしまして、高品質で生産性の高い米づくりができるように稲作農家を支援するなど、競争力のある力強い農業の振興に取り組んでまいります。
 ぜひ床屋のおやじ殿にくれぐれもよろしく御伝達を願えればと存じます。私はあまり床屋はかえないほうの主義ではございますけれども、吉川先生ごひいきの床屋のおやじ殿にぜひお目にかかる機会をいただきたく、御紹介くださるようにお願い申し上げます。
 なお、その他の御質問につきましては、教育委員長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 橋教育委員会委員長。
       (教育委員会委員長 橋尚子君登壇)
○教育委員会委員長(橋尚子君) 本県採択の歴史教科書についてのうち、看過しがたい記述についてお答えいたします。
 教育基本法や学習指導要領に明記されている「国家及び社会の形成者としての資質や国民としての自覚」は、我が国と郷土を愛する態度と他国を尊重する態度を養う中で育成されるものであると考えております。私個人といたしましても議員御指摘のとおり、それにはまず我が国を愛し我が郷土を愛し誇りに思う気持ち、この心を育てなければいけないというふうに思っておるところであります。
 また、三人の歴史上の人物、ユワン・シーカイは袁世凱。チャン・チェシーは蒋介石。イ・スンシンは李舜臣であると理解いたしました。が私も議員の御案内にありましたとおり、日本語の読み方で学んでまいりました世代でございますので、違和感があるなというところが個人的な正直な感想ではあります。
 人名につきましては、近年の研究に基づく学術的な読み方、あるいは慣用的な読み方などに配慮したものと認識しておりますが、いずれの表記も文部科学省の検定に合格した教科書に用いられている読み方であると捉えております。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 本県採択の歴史教科書についてのうち、我が国の歴史に対する愛情の涵養についてお答えいたします。
 我が国の歴史に対する愛情を涵養するためには、教科書の内容そのものを理解することのみならず、我が国や郷土の伝統と文化の特色を広い視野に立って考え、生徒みずからが歴史に対する見方や考え方を培っていくことが重要であると考えております。そのためには新聞や郷土の資料を活用して、歴史的な経緯や将来への展望など広く社会の変化に注目しながら学習を進めることも大切であると考えております。
 本県の中学校では、静岡県ならではを生かした歴史教材を取り上げ、身近な歴史や文化に目を向けることによって自分たちを育んでくれた郷土への愛着や我が国の歴史に対する愛情を育んでおります。今後も中学校社会科の歴史学習においては、教科書を主たる教材として我が国の歴史に対する多面的、多角的な理解を深め我が国の歴史への愛情を涵養し国民としての自覚を育ててまいります。
 次に、校長並びに教頭登用選考試験についてであります。
 公立の小中学校について申し上げますと校長からの推薦を受けて市町教育委員会が審査し、県教育委員会に推薦した者が管理職登用選考試験を受験しております。推薦する際の基準は、学校教育法施行規則に規定する資格を有しており、心身ともに健康で教育者として高い使命感と倫理観を持ち、すぐれた勤務実績を上げていること。管理職としてふさわしい識見と指導力に富み、マネジメント能力に秀でていることなどであります。登用選考試験におきましては、これらの基準を満たす者であることに加え、本県の教育施策を具現化するための確固たる教育理念や学校教育活動等に対するすぐれた実践力があるかどうかについて、筆記試験や面接試験により判断をしているところであります。
 これまでは、教職員の最も身近な管理職である校長の推薦のもとに受験者を決定してまいりましたが、今後は学校が抱えるさまざまな教育課題に適切に対応する能力や学校経営に対して強い意欲を持った人材を登用し、学校を一層活性化させるために校長の推薦を要しない制度についても検討してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 窃盗犯対策についてお答えいたします。
 窃盗犯は、刑法犯認知件数の八割近くを占める犯罪でありその抑止及び検挙は犯罪対策上大きな課題でありますが、犯罪の急増に対処するため平成十五年から始めた街頭犯罪及び侵入犯罪抑止総合対策において、自転車盗やひったくりなどの街頭犯罪及び空き巣や忍び込みなどの侵入犯罪を重点に地域住民、関係機関、団体からも御支援をいただきまして諸対策を推進してきた結果、昨年はピーク時に比べ刑法犯全体でほぼ半減、窃盗犯ではそれ以上の減という状況であります。
 このように、相当の成果は上がってきておりますが、地域住民の方々に安全・安心をさらに実感していただけるよう、本年一月から新たに地域の犯罪情勢に即した効果的な犯罪抑止対策を立ち上げ、地域の発生実態に応じた個別、具体的な対策を強化しているところであります。
 中でも、多発している自転車盗対策として被害者層の多くを占める中高校生の防犯意識向上のため、学生自身による広報活動や駐輪場点検を支援するほか、自治体と連携し防犯カメラ設置などの環境整備を促進しております。また窃盗犯の一五%ほどを占める万引きの対策では、被害多発店舗との会議を始め、防犯ボランティアとのパトロールを行うなど関係機関・団体と相互に情報の共有を図り、地域住民等と連携協働した窃盗犯防止対策を推進しているところであります。
 一方、侵入盗やひったくりなど凶悪事件に発展するおそれのある窃盗につきましては、警察本部主管課に情報集約や手口分析等を専門とする専従捜査員を配置し、第一線への支援体制を強化しているほか窃盗常習者、あるいは不良外国人などによって敢行される広域的、連続的な犯行に対しては、関係部署及び他県警との合・共同捜査を積極的に推進し、早期解決を図っているところであります。
 今後も防犯と検挙を両輪として、日々変化する犯行形態に柔軟かつ積極的に対応した窃盗犯対策を強力に推進してまいる所存であります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) これで吉川雄二君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十月四日午前十時三十分、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp