本会議会議録

答弁文書

平成28年６月静岡県議会定例会

山﨑　真之輔議員(ふじのくに県民クラブ)の一般質問に対する答弁

（質問日:06/28/2016番目）

答弁者

：

知事

○知事（川勝平太君）　山﨑真之輔議員にお答えいたします。
　グローバル人材を育む環境整備についてであります。
　この点につきましては、問題意識を山﨑議員と私は共有しております。
　現在、県内には留学生二千三百人を含む七万六千人の外国人県民が地域の一員として生活されています。本県人口に占める外国人の割合は全国七位です。その国籍は百二十カ国に上っております。日常的に外国籍の人々と接する機会に恵まれた多文化社会になっているわけでございます。この多文化社会であることの特色を生かしてさまざまな外国人県民と触れ合うことにより異文化を理解するグローバル人材の育成につなげていくことが重要です。
　昨日の中澤通訓議員からの御提言もありましたけれども、小さいときから外国人と接していることが重要なのですがそのためには学校の先生が外国人の方と交流経験を持っているということがとても大切です。初めて見る外国人が教室の外国人の子供であるとしますとどこかに偏見を持ちかねないということでその偏見はあっという間にクラス全体に行き渡ります。ですから学校の先生の英語のみならず外国経験というものが、極めてこれからのグローバル人材の育成に重要な条件になってくるというふうに思っております。
　私ども昨年度設置しました総合教育会議におきましても、本県の文化や風土をよく学びその魅力を世界へ発信することができる国際人の育成などについて活発な議論が行われました。グローバル人材育成基金というのを、これは木苗教育長の肝いりで民間からの御寄附も賜りましてこれを活用した高校生の国際化の支援に加え本県在住の外国人との交流促進についても取り組んでいくこととしたところであります。
　県内には日本に憧れて来日している留学生が多数おられます。留学生というのは国に憧れて留学してくるわけです。山﨑議員はどうでしょうか。憧れている国はありますか。かつてはイギリスやフランス、ドイツ、戦後はアメリカという人が多かったと思いますけれども、実はもう日本人の留学生というのが平成十六年――二〇〇四年をピークといたしましてそのときに八万人台だったんですが今はもう五万人台にまで落ちています。しかもアメリカ、中国、台湾などが並んでいるということでかつて憧れていた国が必ずしもそうでなくなっていると。一方日本にお越しになる留学生、外国人の方々の数は、いわば急速に激増しているといっていいと思います。二十一世紀になりまして十万人台になりまして今は何と二十万人を超えております。年間五千人ずつふえているというそれほどの勢いで外国人の方が日本に来られていると。私はこれは日本のグローバル化の一端であると。彼らが最も望んでいることは日本語をしゃべることです。日本人と対等につき合える力を育むことでございます。
　したがって、英語を話すこともさることながら実は日本語が国際語になる条件が今生まれつつあるということで、英語を話せないことについて劣等感を持つ、そういう劣等感は今や払拭するべきであるとすら思っております。イギリス人はほかの言語をしゃべれないことに何の引け目も感じておりません。私どもも実はイギリスにも増して多くの外国人が来る時代を迎えつつあります。間もなく数千万、昨年で二千万人弱、これからは三千万、四千万さらには五千万を超える人々がこの十年ほどの間に日本にお越しになる。留学生ももっとふえていくでしょう。すなわち日本語あるいは日本文化に憧れる外国人がこれからふえるということで、私どもは英語のみならず日本語それ自体を国際化する方法を真剣に考えるときが来ているというふうに思います。
　そのためには、外国人に対して引け目を感じないというそうした堂々たるというか人種や肌の色や宗教やその他もろもろのことに対して同じ人間として見るというそうした環境をつくることが大切であります。
　さて、留学生の中から私どもは、国際交流活動に意欲のある留学生の方をふじのくに留学生親善大使に委嘱しまして、身近に住んでいる外国人と話そうをテーマにした多文化共生フェアの開催や学校訪問等を通じて地域住民との交流活動を進めています。委嘱した親善大使は既に三十八カ国、地域も入っておりますが延べ四百八十七人を数えるまでになりまして中には帰国後本県との交流のかけ橋となっている方もおられるわけです。もちろん日本語がしゃべれるということがすごい大きなメリットになっております。
　また、ブラジル、フィリピン、アメリカなどの各国出身の県国際交流員を小学校や中学校さらに高等学校へ派遣する世界の文化と暮らし出前講座を実施しております。昨年度は三十七回、二千三百人の児童生徒などに対し授業を行ってもらいました。学校からは子供が外国文化に興味を持つきっかけとなった、これからも継続してほしいなど前向きな感想をいただいております。
　さらに、日本国政府が行っておりますＪＥＴプログラム――ジャパン・エクスチェンジ・アンド・ティーチング・プログラムというものがございまして、それによるＡＬＴと称されるアシスタント・ランゲージ・ティーチャー、要するに英語をしゃべる外国人です。英語をしゃべるというか授業で本物のネーティブに英語をしゃべっていただくということで授業の手助けをするということですが、こうした外国語指導助手を全ての県立高校に配置し外国語授業の補助にとどまらず実は外国人に接することが大切なんですね。部活動や外国語スピーチコンテストへの協力も一応プログラムの重要な中身でございますのでいたしまして、地域が主催する英語教室に講師として出席するなど国際交流活動を積極的に行っております。
　県内には、留学生だけでなくて日本で育ち複数の言語、文化を理解するグローバル人材もいます。こうした方も含めた外国人県民と日本人県民との交流活動を地域、学校などさまざまな場においてさらに促進する必要があります。
　特に、外国人留学生のための留学生会館を建てるということは慎まねばなりません。外国人だからといっていわば出島のように隔離するということと等しいわけです。ですから学生として同じであるということで日本人学生と一緒に共同生活をするということが、外国人にとっても早く日本語をマスターすることになりますし日本人もさまざまな国の外国人と交流することを通して国際的な感覚というものが身につくわけです。特に学校におきましては、学問もそうでありますけれども普遍的でございますので国籍や人種や宗教と関係ありません。数学は数学、物理は物理で国籍と関係ない。そういうところの場において留学生が国内日本人と日常触れ合うという場をつくることが私は極めて重要であると。これを今東静岡の文化力の拠点のところで最終的には今詰めを行っておりますが、これまでことしになって四回会議を行いまして八月にはまとまる可能性がありますが、そこでもそういう御意見を頂戴しこれを形にしたいと思っております。異文化を理解、尊重する意識を持つグローバル人材を育む環境整備を進めてまいります。以上でございます。

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