本会議会議録
質問文書
令和元年6月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 田 好浩 議員 | |
質問分類 | 代表質問 | |
質問日: | 06/25/2019 | |
会派名: | 公明党静岡県議団 | |
質疑・質問事項: | 1 知事の政治姿勢について (1) 子どもの命を守る対策 (2) 人口減少対策 2 防災・減災対策の推進について (1) 総合防災アプリ「静岡県防災」の運用 (2) 新たな地域避難拠点の活用 (3) 津波避難ビルの耐浪性の確認 (4) 南海トラフ地震への対応 (5) マイ・タイムラインの作成 (6) 災害時要配慮者支援 3 救急安心センター事業#七一一九の導入について 4 県庁における障害者雇用の取り組みについて 5 多文化共生社会の構築について 6 文化資源を活用した観光の取り組みについて 7 富士山静岡空港の運営について 8 次代の担い手の就農促進について 9 建設産業の課題克服策について 10 高校における通級指導制度の推進について 11 高齢ドライバーの自動車運転事故防止対策について |
午前十時三十分 開議
○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第百五号から第百二十六号までを一括して議題といたします。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、六十八番 田好浩君。
(六十八番 田好浩君登壇 拍手)
○六十八番(田好浩君) 皆さん、おはようございます。
質問に入る前に、一言申し上げます。
六月十八日に新潟県村上市を震源とした震度六強の地震により、多くの方が負傷され多数の住宅などの建物に被害が発生しました。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈りいたします。
また昨夜は、熱海市網代で震度四を観測する地震が発生しました。今のところ被害は確認されておりませんが、より具体的な防災・減災対策を推進すべきと訴えさせていただきます。
それでは通告に従い、公明党静岡県議団を代表し当面する県政の諸課題について知事、副知事並びに関係部局長、教育長、教育部長、警察本部長に一括質問方式で質問をいたします。
初めに、知事の政治姿勢について伺います。
今から十年前、平成二十一年七月五日に行われた静岡県知事選において川勝知事は初当選され知事に就任。その後六月定例会の冒頭に所信表明を発表されました。県民三百八十万人の知事としての決意を述べられ、常に地域に根差した県政に努め「住んでよし 働いてよし 訪れてよし」の日本の理想郷をともにつくっていくと宣言されました。あれから十年。元号が令和にかわり、まさに新時代の幕があけ新たな希望を抱いて日本は出発いたしました。
知事が就任された時の有効求人倍率は〇・四〇倍、現在は一・六一倍に回復し社会全体の活力が上向きにはなってきたものの迫りくる地震や豪雨による災害、人口減少・少子高齢化、地域における事故や犯罪の多発化など当時に比べさまざまな課題が顕在化し、その対応を具体的な政策や事業で加速度的に行い今まで以上に県民の命と財産を確実に守り安全・安心な静岡県をつくることが全県民から求められております。
そこで、特に二つの課題に対し知事が進めようとされている政策について伺います。
初めに、子供の命を守る対策について伺います。
五月八日に滋賀県大津市で信号待ちをしていた保育園児らの列に乗用車が飛び込み、園児二人が亡くなり十四人が重軽傷を負う交通事故が発生しました。五月二十八日には神奈川県川崎市において通学途中の児童、保護者が襲われ、二人が亡くなり十七人が重軽傷を負うという悲惨な事件が発生しました。お亡くなりになられた方々、御遺族の皆様に哀悼の意を表します。また、けがを負われた方々にお見舞いを申し上げますとともに一日も早い回復をお祈り申し上げます。
子供たちが相次いで事故や事件に巻き込まれとうとい命が失われることに、多くの県民が子供の安全対策に危機感を抱いております。我が会派は、知事、教育長、警察本部長に対し五月二十九日に子供の安全対策強化に対する緊急要望を行い、現在行われている子供の安全対策を一層強化するように要望いたしました。その内容は庁内に子供の安全対策推進本部を立ち上げるといった組織的な面、ガードレールや鋼製進入防止ポールの設置などのハード面、子供がみずから自分の身を守るための護身教育の実施といったソフト面など多面的な視点で子供の命を守るための対策が重要であると訴えましたが、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の所見を伺います。
次に、人口減少対策について伺います。
時代が本格的な少子高齢、人口減少社会に突入し静岡県においても顕著な人口減少が見られる中、それに対応した社会を築いていくことが喫緊の課題です。世界の潮流はSDGs 持続可能な開発目標の実現に向けて動きを加速し誰一人として取り残さない社会の実現を目指しており、我が会派の政策ビジョンの柱にも掲げました。本県がこれからも持続的に成長発展していくためには、意欲のある人が社会の担い手として活躍できる社会を構築していくことが必要です。
去る五月二十三日に開催された国の第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略策定に関する有識者会議の中間取りまとめでは誰もが活躍する社会の実現として女性や高齢者、外国人など一人一人の個性と多様性を尊重し、それぞれの能力が発揮でき生きがいを感じながら暮らすことができる社会の実現を目指すと報告され、我が会派と考え方を同じくすることを確認いたしました。総務省は人口減少対策の一環として関係人口という考え方をあらわしました。それは移住した定住人口や観光に来た交流人口ではなく地域や地域の人々と多様にかかわる人々のことです。地域における地域づくりの担い手不足という課題を克服するために、若者を中心に地域に入る地域外の人材、すなわち関係人口が地域づくりの担い手となることが期待されております。
本年度は本県の総合戦略の最終年度を迎え、これまでの取り組みを総括し新たな戦略を策定することが求められます。そこで、今後確実に進行する人口減少や人口構造の変化に的確に対応し地域の活力の維持、活性化を図るため、多様な人材の活躍の促進に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
次に、防災・減災対策の推進についてのうち、まず初めに総合防災アプリ「静岡県防災」の運用について伺います。
今年一日から、スマートフォン向けの総合防災アプリ「静岡県防災」の運用が開始されました。我が会派は最新の技術を生かしたスマートフォンで防災関連情報が受信、検索できる情報発信のツールを作成、運用すべきと訴えてきましたが、このアプリによりその第一歩が踏み出されました。
アプリの内容は緊急防災情報の受信、ハザードマップや避難先などの表示、現在地に発表されている防災情報の確認、AR技術を活用した浸水危険度の体験、各種災害からの避難トレーニング、防災基礎知識の学習の六つの機能から構成されています。平時における防災学習はその分野が広く、できるだけ内容を充実し例えば避難所運営マニュアルなどをわかりやすく構成して公開し日常的に県民が自助、共助の重要性を理解することができ、結果として日常に防災を意識できる環境をつくっていくことが重要と考えます。運用が開始されたばかりではありますが、現在の内容を今後どのように充実させていくのか伺います。
また、さらに重要なことは活用していただく方をふやしその効果を発揮していくことです。県内に居住している外国人や静岡県を訪れる国内外の観光客も確実に活用できるようにするべきで、多言語での表示や目につきやすいところやさまざまな書面にアプリダウンロード用のQRコードを表示していくことも必要です。本年はラグビーワールドカップ二〇一九、そして来年は東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催され、世界から訪れてくる人たちに的確に情報提供できる準備をする必要があります。競技会場や駅などに大型パネル等を設置してアプリを周知することも必要と考えます。これからどのように県民や来訪者に対してアプリの利用を促進させていくのか伺います。
次に、新たな地域避難拠点の活用について伺います。
静岡県においては避難所や福祉避難所の指定が進められ、さらに避難所運営マニュアルも改定、その実効性を図るために今年度は避難所運営の研修や人材育成のための予算を計上し、防災対策を推進しております。一方、地区防災計画、要支援者個別計画など地域や個人の防災計画の作成を国が訴え続けていますが、その進捗にはおくれがあり課題となっております。危惧されるのはたとえ計画が策定されても各市町の防災計画において避難所に来る人を限定していないため、避難の大前提となる避難所の収容人数が不足する可能性や避難所環境の悪化等が懸念されます。
地域には公民館などの身近な施設が多くあります。公共の施設は既に発災後の使用目的が決められ避難場所にはなりませんが、これらの施設はフリーな状態にあります。公民館などを地域のサブ避難所としてあらかじめ指定し、活用すべき人、活用方法を地域で明確にすることにより地域のコミュニティーが確保できる安全な避難所にすることができます。その実効性を確実にするために、運営マニュアルを作成し目的に沿って活用することでメーンの避難所の運営も計画どおりに行われる可能性が拡大されると考えます。また、自宅やサブ避難所での避難を重要視し確度をつけた避難の分散とその掌握をする必要があり、支援物資も自宅避難者やサブ避難所に対しても的確に配布されるよう計画を作成していくことが必要と考えます。
以上のことから、想定される避難者数をもとに避難所の環境改善を図る観点からも、各地域で身近にある公民館や集会所などの活用を考慮した避難所設置を進めていくべきと考えますが、県の所見を伺います。
次に、津波避難ビルの耐浪性の確認について伺います。
津波による被害が想定される地域において、命をつなぐための最重要の準備は言うまでもなく、津波より高い場所を多く確保し短時間で確実に逃げられる訓練を行うことです。そのためには、津波避難ビル、避難タワー、津波避難マウンドなどの確保、裏山への安全な避難路の確保が必要で、最も短時間でその場所を確保できるのは既存の建物の津波避難ビルへの指定です。静岡県内には昨年度までに一千三百十七の津波避難ビルが指定されていますが、その使命を果たすためには波に対する強さ、いわゆる耐浪性の確保が必須条件になります。
私は平成二十五年七月二十三日に津波避難ビルの安全性の確保について危機管理部に質問し、結果として緊急地震・津波対策等交付金の対象メニューに津波避難ビルの耐浪性確認のための補助を県が市町に対して交付することになりました。その後、県有施設の耐浪性の確認は進みましたけれども市町や民間が所有する避難ビルの耐浪性の確認が進んでおりません。静岡県は多くの避難ビルを指定していると言っているだけでは意味がなく、東日本大震災における女川町で起きたビルの横倒しで生じた惨事を繰り返すことは絶対に避けるべきです。
国は東日本大震災で起こった避難ビルの横倒しや崩壊を教訓として、安全な場所を避難所として提供するよう避難ビルの指定の際の技術基準を示しました。国の方針を踏まえ既に指定されている津波避難ビルの安全性の確認を確実に行う必要があり、またその際には所有者の負担を最小限にすべきです。今後、確認作業をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
次に、南海トラフ地震への対応について伺います。
日本地震学会が地震予知は不可能と公表した二〇一一年の静岡市での全国大会以降、国においてはさまざまな検討を行い、国民の命を最大限に守るため新たな政策を立案しつつあります。南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドラインによれば突発的な地震発生に備えて対策を進めていくことが基本ではあるが、国が南海トラフ沿いの地域において地震の発生可能性が高まっている旨の情報を発表した場合にはその情報を活用し被害軽減につなげていくことが重要としております。
具体的には南海トラフの想定震源域またはその周辺でマグニチュード六・八程度以上の地震が発生したりプレート境界面で通常と異なるゆっくりすべりが発生した場合、気象庁は評価検討会を開催し起こった現象を評価し南海トラフ地震臨時情報を発令し日ごろの備えを再確認するとともに、津波の危険性が高い地域では一週間避難を継続する旨などを発表し割れ残り後に本震が来るまで待機、避難するという計画です。しかしながらその期間設定に科学的根拠はあるのか、その対象地域がどのようになるのか、その間の医療、教育、企業活動、物流、交通、観光など社会全般に与える影響ははかり知れず、日常生活はどうなるのかと想像すると本当に実効性があるのか、またこの考え方を実行することにより震災から救われる人命がどう変化するのか、さらにあやふやな想定をもとにややこしく不安な対応を住民に行わせる必要があるのかなど多くの疑問を持ちます。防災・減災対策を確実に実施して地震発生時の準備を万全にしておくことが全てで、準備が不足していた個人、地域、自治体、国は必ず被災してしまいます。今大切なことは、突発的な地震の発生に集中して備えることが現実的ではないかと考えますが、県の所見を伺います。
次に、マイ・タイムラインの作成について伺います。
災害は豪雨など被害が発生する可能性がある日時や地域がある程度想定ができ、注意報や警報、勧告など順次的確に発令され、住民に避難を促すことを計画的に発信できる進行形災害と地震のようにその予知ができず一気に襲ってくる突発的災害に分かれます。二〇一二年アメリカで発生したハリケーン「サンディ」の被害が最小限になるようニュージャージー州において最悪の事態になる前に事前に取るべき対策を時系列でまとめ、いつ、誰が、どう行動するかを定めたいわゆるタイムラインを実施し、被害を最小限にとどめることができたのは進行形災害への確実な対応ができた模範の防災・減災対策であり、日本でも二〇一六年に国土交通省が指針をまとめ静岡県においても現在その活用が進んでいます。
平成二十七年九月九日から十一日にかけて関東・東北地方豪雨災害が発生し十日早朝より常総市の鬼怒川の数カ所で堤防の破堤や越水が発生、多くの市民が逃げおくれ死者二名災害関連死十二名という甚大な被害を受けました。常総市においてはその後、住民一人一人がそれぞれの環境、地域特性に合わせた行動計画、タイムラインをみずから検討するマイ・タイムラインの作成に着目し事業としてその作成を開始しました。静岡県は、新年度予算にマイ・タイムライン作成関連予算を計上しましたが、作業の工程や進捗管理をどのように行うのか、具体的にどのように県民にこの考え方の重要性を訴え作成を促していくのか、県の取り組みを伺います。
次に、災害時要配慮者支援について伺います。
災害が発生するたびに、高齢者や子供、障害のある方などいわゆる災害弱者と言われる方々が犠牲になることが多く心が痛くなります。事前に支援が必要な人に対し、その特性を把握した早期の対応や支援を受ける側と支援する側の連携は欠くことができません。静岡県では平成十九年十二月に災害時要援護者マニュアルを作成し、関係者に配付、周知したと聞いていますが、実際には活用されておらず平成十九年以降発生した東日本大震災を初めとした未曽有の災害からの教訓を生かして大幅に改定する必要があります。
みずからの命はみずから守る、地域は地域みんなで守る、いわゆる自助、共助を推進するためにも、災害時要援護と言われる高齢者や障害のある方、妊産婦さんなどの支援を受ける側と地域の防災担当者など支援する側にも周知し事前の訓練や避難所運営にも役立てられるよう関係団体、要援護者への配付と活用を推進すべきと考えますが、県の取り組みを伺います。
また国では平成十八年三月、災害時要援護者の避難対策に関する委員会による災害時要援護者の避難支援ガイドラインを発表し、さらに平成二十五年八月には避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針により改定いたしました。これにより防災対策部門と福祉部門の連携がより強固となり要配慮者の特性に配慮した個別の避難支援計画作成が実施されることになりましたが、個人情報を関係者に公表することに抵抗がある方も多くどの市町も進んでいないのが現状です。
そこで、要配慮者の避難支援計画作成が推進されるよう市町を支援すべきと考えますが、県の取り組みを伺います。
次に、救急安心センター事業#七一一九の導入について伺います。
平成二十六年十月一日の代表質問で私は健康福祉部に対し子ども医療電話相談事業#八〇〇〇の対象者を全ての年齢に拡大することを求め、当局からは先行事例の実施体制や実績等の検証も行いながら緊急時に安心できる救急相談体制のあり方について検討してまいりますとの答弁をいただきました。その後さまざまなシステムを使い事業を開始する都道府県や市町がふえ、昨今では国が救急車の運用効率化を狙って総務省消防庁が救急安心センター事業#七一一九の導入を地方に呼びかけております。出動が減る効果とともに、相談した結果速やかに治療が受けられたケースが多く導入の効果が大きいことが確認されています。
しかし、緊急度判定の正確さの向上や相談員の待遇改善など課題もあるとのことです。横浜市で#七一一九を受信する救急相談センターでは、昨年十七万件余りの相談を受けその応答率は九八%を維持しております。統括責任者は、救急車を呼ぶべきか、夜間診療所に行くべきか、翌日の受診でいいのかだけを答えると話されています。現在この相談体制を導入しているのは九都府県、#七一一九以外で導入しているのが四県あり、静岡県においても国が推進する#七一一九の運用を開始し県民の命を守る体制を強化すべきと考えます。
東京大学の森村教授は「制度の目的は単に救急車利用を減らすことではない。真の目的は、患者をなるべく早く、緊急度に応じた適切な医療へとつなぐことだ」と強調されています。現在も高齢化、核家族化などに伴いこのシステムのニーズは高く、今後さらに高まることは間違いないと考えます。県民の不安を払拭し緊急性のある状況を優先的に救うことができるようにするためにも、#七一一九の運用を開始する必要があると考えますが、県の所見を伺います。
次に、県庁における障害者雇用の取り組みについて伺います。
昨年全国の官公庁で障害者雇用率の算定で誤りが判明し、本県でも再調査の結果二・六一%と報告された障害者雇用率が実際は二・二八%で達成すべき二・五%を下回っていました。公明党静岡県議団はこれまで議会を初めさまざまな機会に県が積極的に障害者雇用を推進すべきであると訴え、法定雇用率の達成、積極的な障害者雇用の取り組みの強化、障害のある職員への適切な配慮を強く求めてきました。特に採用時の障害者枠を拡大し県が率先して障害のある方を採用すべきであると強く要望してきました。昨年度の本会議でもこの問題を取り上げ県庁における障害者の雇用の拡大と障害のある職員が働く職場の環境整備について質問をしたところ、今後障害者の採用拡大に全力で取り組み、障害の特性に応じた配慮を行い働きやすい職場環境の整備に努めていくと答弁がありました。
昨年十月に公明党の行政機関における障害者雇用対策本部の現地視察として県庁内のワークステーションの取り組み状況についての視察を行った際には、障害のある職員が庁内各課から依頼を受けて文書の発送準備やパソコン入力などの業務を行っているという説明を現地で受けました。茨城県では知的障害者の方々の職場をいばらきステップアップオフィスと位置づけ、本県と同様の業務のほかに会議場のセッティング業務も行っており、今年度からは業務委託を庁内インターネットを通じて行えるようにし庁内への周知を進めていると聞いております。民間も含め他の行政機関等における障害のある方の働き方の取り組みは、本県における職域の拡大を検討する際に非常に参考になると思います。
そこで、改めて県庁における障害のある方の雇用についてその後の取り組みと今後の対応を伺います。
次に、多文化共生社会の構築について伺います。
本年四月一日に改正入管難民認定法が施行され、現時点において外国人住民が少ない市町も今後増加することが想定され、県内全域において受け入れ体制を整備し安全・安心な共生社会を実現する必要があります。外国人の受け入れに当たっては本人の日本語能力の向上、雇用形態、労働環境の改善、地域社会への参加、教育環境の充実、医療通訳の確保などさまざまな課題があり、その一つ一つを検証し解決、充実する体制づくりが急務です。
現在県内に居住する外国人は約九万人で県内の各市町において多文化共生の取り組みが進められていますが、外国人の居住地域には偏りがあります。例えば人口に占める外国人比率が最も高い菊川市が六・八六%なのに対し松崎町は〇・四〇%で、人口も最多の浜松市が約二万四千人であるのに対し数十人の市町もあります。さらに、国籍構成や在留資格が異なることから結果として各市町の多文化共生の取り組みに差異が生じています。県内全域の外国人住民が安心して暮らし、そこに住む誰もが互いを尊重し合うことができる地域の構築、そして居住しているだけではなく地域コミュニティーの一員として活躍できる多文化共生社会を実現させることで地域の発展がさらに推進できると考えます。
多文化共生の取り組みが十分でない市町も含め県内全域にわたってその取り組みの水準を引き上げていくことが不可欠であると考えますが、県は引き続き市町と連携しどのように多文化共生施策を推進していくのか伺います。
次に、文化資源を活用した観光の取り組みについて伺います。
本県には、世界遺産である富士山やその構成資産、その価値を来訪者に紹介するための富士山世界遺産センターを初めとした文化施設や徳川家康公など歴史上有名な人物にゆかりのある歴史的建造物や史跡、名勝などの文化財も含め多くの文化資源が県内各地にあります。この春の静岡デスティネーションキャンペーンでは久能山東照宮や願成就院の特別拝観が多くの来訪者でにぎわっていたように、文化的、歴史的に価値がある文化資源は人々を引きつける魅力がある観光資源でもあります。
この四月から、文化財を観光やまちづくりにより積極的に活用するため文化財行政に関する業務が教育委員会から文化・観光部に移管されました。国では、観光庁が観光誘致を推進するために今までになかった視点で歴史的建造物や文化施設の活用を拡大しそれらの施設で会議やレセプションを開催するユニークベニューという手法の利用促進に取り組んでおり、本県の観光施策にもこのような視点に立った取り組みが待たれているところです。
折しも本県はラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催地となっており、国内外から多くの来訪者が期待されます。本県の有する歴史的、文化的価値を広く知らしめる絶好の契機であり、文化資源を活用することで観光誘客の拡大につなげていくことができるようにすべきです。
そこで、本県の有する文化資源をより積極的に観光に活用し静岡県への交流人口の拡大を図るべきと考えますが、県の取り組みについて伺います。
次に、富士山静岡空港の運営について伺います。
本年六月四日、富士山静岡空港は開港十年を迎えました。さまざまな課題や困難な出来事もありましたが、関係各位の御努力もあって喜びあふれる盛大な式典となりました。立ち木問題で開港時期がおくれたことや、暫定二千二百メートル供用での開港などさまざまな困難を乗り越えての船出でした。開港前の県議会における議論は新しく生まれる空の玄関口に対して地域振興、観光振興、海外との交流、地域間交流など期待を大きく膨らませての活発な中身でした。百三十八万人としていた当初の需要予測は航空会社の撤退や世界的な経済状況などの影響で達成が見通せていませんが、去年ようやく搭乗者七十万人を達成いたしました。県は空港利用者百三十八万人を前提として開港年の経済波及効果を五百五十六億円と試算していましたが、空港設置によるさまざまな波及効果をどのように評価しているのか十年間の総括を伺います。
本年四月からは空港は民間経営という新しいステージへと進みました。運営権譲渡先となった三菱地所・東急電鉄グループは搭乗者数の目標を二〇二三年に百一万人、二十年後の二〇三八年には路線数を現行の十一路線から十七路線にふやし百三十五万人へと倍増する目標を掲げました。民間のスピード感とノウハウに大いに期待するところではありますが、一方で就航路線や搭乗者数の増加は離発着に伴う騒音問題や周辺の交通状況の変化など地域の理解や協力なくして実現できません。トップセールスや地域外交を通じた海外路線の新規就航促進、地域経済の活性化、周辺地域への継続的な支援など富士山静岡空港における今後の県の役割について伺います。
次に、次代の担い手の就農促進について伺います。
農林業センサスによれば二〇一五年の県内の販売農家数は三万一千八百六十四戸でこの五年間で一八%減少するとともに、農業就業人口五万七千三百二十二人のうち六十歳以上の割合が七七%に達するなど農業の担い手の減少と高齢化が急速に進んでいます。また県内の販売農家のうち農業後継者がいる農家の割合は四三%と五年間で一〇・四ポイントも減少し、農家後継者であっても農業に従事しない傾向がより強まっております。担い手の高齢化や後継者不足がこれ以上進展すれば、地域農業や農村景観の維持に支障を来しかねない状況にあります。
近年では農業に関心がある非農家出身の若者が移住し就農を目指したり、地元の一般企業が農業に参入するなど新たな担い手として活躍することが報じられています。しかし農業経営を開始するには農地の準備に始まり、機械や施設、栽培技術の習得や販路の確保などさまざまな支援が必要になります。
JAしみずでは地元企業や静岡県事業引き継ぎ支援センターと連携した共同プロジェクト清水みかん共和国を立ち上げ、農業者が所有する農地や施設等を承継する後継者候補の紹介や新規農業者の受け入れサポートを行う取り組みを始めました。将来の本県農業を見据え県内農業が今後も持続的に発展していくためには、次代の農業の担い手として農家後継者にとどまらず意欲のある若者が新たに農業経営に取り組めるよう行政や関係機関が効果的に施策を展開していくことが必要です。
そこで、次代の農業の担い手を確保するためにどのように就農促進を図っていくのか、県の取り組みについて伺います。
次に、建設産業の課題克服策について伺います。
建設産業を取り巻く環境は、少子高齢化の進展に伴い年々若年層の就業者の割合が減少し高齢化が進行しています。総務省の国勢調査によると昭和六十年には二十九歳以下の就業者の割合が全体の約一七%、五十歳以上が約二八%と一〇ポイント程度の違いしかありませんでしたが、平成二十七年には二十九歳以下が約一〇%、五十歳以上が約四六%と約三六ポイントの差が生じています。総務省の経済センサスによると、建設業従業者数自体も減少しており平成二十八年の本県の従業者数は約十万五千人でピーク時の平成八年と比べ約三割以上の減少となっており、十年後には現在約半数を占める五十歳以上の従業者の大量離職が見込まれるため従業者数はさらに減少することが見込まれます。
また、県内の建設投資額は平成三年度をピークに減少し平成二十四年度にはピーク時の五割を下回るまで減少し、その後微増とはなっているものの平成二十九年度は約一兆四千億円とピーク時の約五割強の状況になっております。一方、建設産業は社会資本の整備、維持管理の担い手であると同時に災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手であり、自然災害が増加する中その役割は年々増大しております。
そうした中、平成三十年六月に働き方改革関連法が成立し建設業においても罰則つきの残業上限規制が二〇二四年から導入されることになりました。地域の守り手としての役割が増大している一方で、担い手不足の深刻化など大きな課題を抱える建設産業は魅力ある姿を県民、特に若者に示していく必要があります。
これらのさまざまな建設産業の課題克服に向け、担い手の確保・育成や生産性の向上について具体的な対応策を講じる必要があると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、高校における通級指導制度の推進について伺います。
小中学校では発達障害のある児童生徒に対し通常の学級に在籍しながら個々の障害の特性に合った個別の指導が受けられる通級指導が行われていますが、高校においてもようやく昨年六月より県立静岡中央高校通信制の三キャンパスで実施されることになりました。これまでも県教育委員会ではコミュニケーションスキル講座の開催等発達障害のある生徒への指導を進めてきました。我が会派は高校における通級指導の必要性を強く求めてきましたので一定の評価はできますが実際に静岡中央高校を視察しお話を伺ったところ、個別指導室の確保やエアコンの設置などハードの面に加え教員の確保、障害の理解や指導力の強化、専門家との連携など課題が山積していることも明確になりました。さらに保護者からは通信制での対応しかないので選択肢が少な過ぎる、もっと身近で通学できる高校に開設してほしいとの要望がありました。
知的障害のない発達障害の生徒の中学卒業後の進路は現在深刻な課題になっています。静岡県の通級指導を受ける中学生の高校進学率は低い現状であり、進路指導の先生からは進路先の選択肢が少な過ぎて苦慮しているとのお話を伺いました。これでは小中学校でせっかく個別に受けた指導が途切れてしまうのではないでしょうか。すぐれた能力を生かし切れずにいる生徒やコミュニケーション能力を欠くために人間関係で行き詰まってしまう生徒も多く見られます。適切な教育を受けることにより生きる力を養い社会的に自立できる生徒は数多く存在するはずです。
そこで、高校における通級指導制度をさらに拡充し推進すべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
最後に、高齢ドライバーの自動車運転事故防止対策について伺います。
池袋で乗用車が暴走し母子二人が死亡した事故や大阪市此花区で乗用車が歩道に乗り上げ四人の歩行者がけがをした事故、さらに福岡市早良区で交差点に猛スピードで突っ込み運転していた夫と同乗者の妻がとうとい命を亡くすなど高齢ドライバーが引き起こす痛ましい事故が多発しております。静岡県は高齢ドライバーの運転免許証の自主返納数が全国的にも高く県警のサポート事業が効果を出していると思いますが、今後もサポートの輪を広げ官民一体となって自主返納しやすい環境づくりを進めていくべきです。
その反面公共交通機関が限られている地域では生活の足として車が欠かせない高齢者は多く、内閣府の調査によれば八十代の四人に一人が運転していることがわかり現実問題として運転免許証を自主返納できない高齢ドライバーが多くいらっしゃるという現実があります。また高齢者の雇用拡大が進めば通勤や業務で車に乗る機会が増加し、そのような状況において高齢ドライバーの方々がいかに安全に自動車を運転できるかは喫緊の課題です。
事故を減少させるためにはさまざまな対策を同時進行で行う必要がありますが、例えば横断歩道や停止線の路面標示の劣化箇所の改善や自動ブレーキやペダルの踏み間違い時の急加速を防ぐ機能などを搭載した先進安全自動車 ASVの導入などは高齢ドライバーの事故抑止に有効的であると考えます。
そこで、県警ではわかりやすい路面標示を維持するための保守点検や新技術活用の普及など高齢ドライバーの事故抑止に向け今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 田議員にお答えいたします。
私の政治姿勢についてのうち、子供の命を守る対策についてであります。
先月の大津市での未就学児の交通死亡事故、川崎市における児童等殺傷事件を受けまして子供の安全確保に向けて市町や民間団体の皆様とともに危機感を共有しオール静岡で取り組むことといたしました。貴会派の五月二十九日の緊急要望を踏まえ翌五月三十日に県、県教育委員会、警察で構成する静岡県子どもの安全確保緊急対策会議を設立いたしました。さらに、六月十一日には地域や事業者の団体及び行政機関等で構成するしずおか防犯まちづくり県民会議におきまして市町や民間の皆様にそれぞれのお立場で緊急的に行う対策を依頼するとともに、市町や民間とともに取り組むオール静岡の体制を整えたところであります。
今後、しずおか防犯まちづくり県民会議等からの御提案をもとに県が取り組むべき対策、県や市町と民間との協働による対策等々を七月末を目途に一緒に検討し、できることから実施してまいります。さらに、緊急的な取り組みといたしまして県民会議に間に合わせる形で県庁版静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションを取りまとめました。歩道への車両の進入を抑制するポストコーン等の設置、歩道と車道を明確に分ける路肩のカラー舗装、さらには子供の体験型防犯講座の拡充、保育所等の職員や保護者向け防犯講座を新たに実施することといたしまして必要となる経費を補正予算案に盛り込んだところでございます。
県といたしましては、次世代を担う子供のかけがえのない命を守らなくてはなりません。ワン・フォー・オール・チルドレン、オール・フォー・エブリ・チャイルドの精神によりまして、これまで以上に幅広い視点に立った対策を全力でスピード感を持って取り組んでまいります。
次に、人口減少対策についてであります。
私は知事就任以来県政運営の基本理念に富国有徳を掲げ、誰がどこから見ても崇高な霊峰富士の姿が体現する多様性の和に立脚した地域づくりに全力で取り組んでまいりました。これは人口減少、少子高齢化が進行する中、活力ある地域を維持していくため女性、高齢者、外国人県民等々多様な人材が生き生きと活躍できる社会を実現しようとするものであります。
本県ではこうした認識に立ちまして、国に先駆けて設置いたしました人口減少問題に関する有識者会議の御提言をベースとする美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略に誰もが活躍できる安定した雇用の創出を位置づけております。また昨年度スタートさせました静岡県新ビジョンにおきましても政策の柱として誰もが活躍できる社会の実現を掲げ、オール静岡で取り組みを推進しているところであります。
具体的には、女性や高齢者の活躍に向けまして女性が復職時に必要なスキルを習得できる講座や高齢者が働き方を再発見するための面接会などを実施しております。また新しい取り組みとして女性活躍の輪を広げる企業向けセミナーの開催や高齢者雇用推進コーディネーターによる就業支援、テレワークの導入促進などを推進してまいります。
さらに、外国人の新たな受け入れ制度がスタートいたしました。ますます重要となる外国人県民の活躍に向けまして、本年四月に多文化共生を全庁的に推進するプロジェクトチームを設置いたしました。七月一日には静岡県多文化共生総合相談センター――通称かめりあで十一言語以上に対応した一元的な相談を開始するほか、地域での日本語教育の充実、定住外国人の正社員化の促進など新たな施策を積極的に展開してまいります。
男女共同参画というふうに言いますけれども性別、国別の隔てなく共同参画する、そこには高齢者とか障害者だとかいわゆるLGTBと言われるレズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、バイセクシャルなど十三人に一人いらっしゃるそうです。ですから、性別とか国別の隔てなく誰もが共同参画できるそういう社会をつくってまいりたいと考えております。
議員御指摘の関係人口につきましては、地方創生の視点として大変重要であると認識しております。サポーター会員による棚田、里地の維持やボランティアによる富士山の環境保全など他の地域に居住する方々の参画を促すさまざまな取り組みを進めております。また、ふじのくにパスポートの配付など進学等で県外へ転出してもふるさととつながる新しい取り組みも進めているところであります。この間、この取り組みには韓国からお越しになられました大学の学長先生も大変関心を示して活用させてほしいと言われましたので、どうぞと申し上げたところであります。より一層地域を応援したいという思いを行動へ高める施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
今年度はこれまでの五年間の取り組みを総括し、県民の英知を結集して次期総合戦略を策定する重要な年に当たっております。男女、国籍の別なく、また年齢、障害の有無などにかかわらず多様性を尊重し、お一人お一人の理想を大切にしながらこの地で夢をかなえたいという意欲のある誰もが活躍できる社会を構築するべく全力を傾注してまいります。
次に、富士山静岡空港の運営についてであります。
富士山静岡空港は国内外の地域と本県を直接結び、観光、ビジネス、教育など多様な県民の交流を支える重要な社会資本であります。開港以来地元を初め多くの皆様に支えられまして五百七十万人を超える方々に御利用をいただきました。外国人出入国者数も地方管理空港で九年連続第一位を維持しております。県の推計では開港から平成二十九年度までの経済波及効果は累計二千三百七十二億円余りとなっております。地域の活性化に大きく寄与しているものと考えます。今後その果たすべき役割はさらに大きくなると確信しております。
もう今や海の玄関口清水港、空の玄関口富士山空港というのはふじのくにの奥座敷山梨県にとっても自分たちの空港であり、また自分たちの港であるという意識が高まっております。それゆえ、今や空港は県民だけのものではないという意識も持たねばならないと考えております。
本年四月からは新しい空港運営体制がスタートいたしました。運営権者である富士山静岡空港株式会社がみずからの経営判断と創意工夫で運営されることになった次第であります。
県といたしましても県民の皆様の利便性の向上、地域経済の活性化に向けまして航空ネットワークの拡充とそれによる波及効果の拡大に努める必要がありますので、去る六月二十一日、県、運営権者、富士山静岡空港利用促進協議会の三者で構成する富士静岡空港航空営業戦略会議を新たに立ち上げました。意識の共有化を図っているところであります。今後この会議を活用いたしまして三者が緊密に連携し、就航促進や利用拡大はもとより観光振興にも取り組んでまいります。
また、空港や空港周辺地域の発展には地元の皆様の御理解、御協力が不可欠であります。そこから、県としまして環境保全対策など必要な取り組みを進めます。加えて、空港周辺は広大な茶園に囲まれ世界農業遺産であります。また世界遺産富士山を望む美しい自然景観を有する地域でもあります。この魅力を生かした空港ティーガーデンシティの実現に向けたまちづくりを市町とともに進めてまいります。
県といたしましては、交流人口の拡大や本県経済の発展に向けまして運営権者との連携を深めながら、地域や関係団体などとも御協力をいたしまして国内外の皆様に選ばれる美しいふじのくにの空の玄関口にふさわしい空港となるよう全力で取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
(副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 防災・減災対策の推進についてのうち、南海トラフ地震への対応についてお答えをいたします。
議員御指摘のとおり想定を疑いもなく信じることは危険です。とはいえ、避難訓練等の際にはまず地震発生時に起こり得る一つの状態、条件を想定しそのもとで模擬避難をし避難力を高めるなどによりまして突然発生する地震に対して平時から万全の備えをすることが重要です。その上で想定とは異なる事態が起こり得ること、すなわち想定外の想定を認識することが重要です。
本県では東海地震説が発表されて以来被害想定を行った上で必要な対策を検討し、これまで約四十年にわたり建物の耐震化の促進や防潮堤、津波避難タワーの整備など二兆四千億円に及ぶ地震・津波対策を推進してまいりました。これらの取り組みにより地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標である犠牲者の八割減少につきましては二〇一七年度末現在で約四割の減災効果が認められるまでになっております。
なお、先月から運用が始まった南海トラフ地震臨時情報は不確かな要素を含んだ情報ではありますが、これまで進めてきた突然発生する地震への備えとあわせて活用することでより多くの犠牲者を減らすことができると考えております。このため、臨時情報に基づく対応につきまして市町と連携した検討を進め、地域の実情を踏まえた事前避難対象地域の設定などについて今年度中に取りまとめてまいります。
県といたしましては、南海トラフ地震等の巨大地震が突然発生することに備え地域の実情に応じた防潮堤などのハード対策と津波避難訓練の実施などのソフト対策を効果的に組み合わせて推進するとともに、南海トラフ地震臨時情報も活用してさらなる犠牲者の減少に取り組み命を守る安全な地域づくりの実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
(危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 防災・減災対策の推進についてのうち、総合防災アプリ「静岡県防災」の運用についてお答えいたします。
アプリの利用促進につきましては県民だよりや各種広報媒体を通じて積極的にPRを行ってまいりましたが、さらに多くの方々の利用を促進するため出前講座や各種イベント等を活用して利用者の拡大を図ることとしております。アプリの内容の充実につきましては、運用開始後間もないことから機会を捉えてさまざまな御意見を伺っていくことが重要であると考えております。
先日湖西市で行ったアプリを利用した津波避難訓練では、避難先までの経路が地図上で確認できてよかった、文字が小さく見づらかったなどの御意見をいただきました。引き続き、各地域の訓練や出前講座などで利用者の御意見を伺いアプリの充実を図ってまいります。
また、外国人の利用につきましては文化的背景が異なる外国の方々にも理解しやすく使い勝手のよいアプリとなることが重要ですので、国際交流団体などの御意見を伺いながら今後検討を進めていきたいと考えております。
次に、新たな地域避難拠点の活用についてであります。
南海トラフ地震が発生した場合、災害の状況によっては避難所に避難者が殺到して避難スペースが不足するとともに避難所の生活環境の悪化も懸念されます。議員御提案の公民館等の活用につきましては、例えば掛川市では日ごろから地域住民に活用され一定の生活環境も確保されている公民館等を避難所として活用し、避難スペース等が不足した場合には周辺の小中学校の体育館を避難所として活用するといった取り組みを行っております。このような取り組みは避難スペースや良好な避難所の環境を確保する上で有効な手法と考えられますので、県が実施する避難所運営研修等の場を活用して市町や自主防災組織に対し先進的な取り組み事例として紹介しているところであります。
県といたしましては、避難所の生活環境を改善する観点から地域の公民館等を避難所として活用する市町に対し、地震・津波対策等減災交付金により耐震補強工事や防災資機材の整備等について支援を行うこととしております。
次に、津波避難ビルの耐浪性の確認についてであります。
津波からの緊急避難のためには津波避難ビルの活用が有効な手段の一つとなりますが、その指定に当たりまして津波に対する安全性を備えていることが重要となります。津波避難ビルの安全性につきましては、県では国の指針等を踏まえ平成二十五年に関係市町に対し津波避難ビルの指定基準を示し当該方法により確認を行うよう通知しております。
しかしながら、市町が指定したビルの中には通知に基づく耐浪性の確認が行われていないものも見受けられますことから、関係市町を対象とした説明会を開催し耐浪性が未確認の津波避難ビルについては早期に安全性の確認を行うよう働きかけてまいります。
次に、マイ・タイムラインの作成についてであります。
多発する豪雨災害から逃げおくれによる犠牲者をなくすため、本年度藤枝市をモデル地区としてワークショップを開催し参加者の方々に地域の災害リスクを踏まえたマイ・タイムラインを作成していただくこととしております。また、その作成過程で得られた知見などを取りまとめた市町向けの作業手引書も年内を目途に作成してまいります。
さらに県内の八地域に設置されております大規模氾濫減災協議会におきまして、市町向けの手引書を活用してマイ・タイムライン作成の必要性を説明するとともにワークショップの開催等により普及促進を図るよう市町に対し働きかけてまいります。あわせて各市町で開催される出前講座や洪水ハザードマップ説明会などさまざまな機会を捉えて、災害映像資料などを活用した啓発を行い県民の皆様が災害を人ごとではなく自分のこととして認識していただけるよう防災意識の醸成を図りマイ・タイムラインの作成を促進してまいります。
次に、救急安心センター事業#七一一九の導入についてであります。
救急自動車の出動件数は高齢化の進展等により全国的に増加が続いており、本県におきましても十年前と比べて約二〇%増加しております。このため、将来的には救急需要のさらなる増加により緊急を要する傷病者への対応に支障を来すことも懸念されております。
このような背景から、議員御指摘のとおり国が推奨する救急安心センター事業#七一一九の導入につきましては、限られた救急自動車の有効活用や住民が緊急度に応じて適切に医療機関を受診できるようにする観点からも有効な対策の一つと考えております。
県では昨年度県内全域での導入に向けて消防本部と検討を行いましたが、救急需要の実情がさまざまであることに加え少なくとも年間一億円を超える事業費負担が生じることから合意には至っておりません。当該事業が全域で実施されている都道府県は九団体にとどまり、未実施の団体では財政負担の軽減が課題とされていると聞いております。
県といたしましては、国の財政支援につきまして全国知事会等の場を活用して積極的に働きかけるとともに国の動向を踏まえ引き続き県内消防本部と検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
(健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 防災・減災対策の推進についてのうち、災害時要配慮者支援についてお答えいたします。
災害時、特に配慮や支援が必要となる要配慮者は障害のある方、高齢者、妊産婦や乳幼児などさまざまで、災害時に円滑に避難し安心して避難所生活を送るためには支援を受ける側が平時から備えをしておく必要があると同時に支援する側が受ける側のことを知っておくことが重要であります。このため県では、平成十九年に災害時要援護者マニュアルを作成し災害時要援護者の特徴や注意事項を取りまとめました。議員御指摘のとおり策定から十年以上経過し新たな知見もございますことから本マニュアルの検証を行い、関係団体等の意見も伺いながら見直しを行ってまいります。また、その際には広く県民の皆様に周知するとともに市町における避難所運営にも活用してもらえるよう働きかけてまいります。
また避難行動要支援者の個別支援計画につきましては、市町から自主防災組織等に提供される避難行動要支援者名簿に個人情報が掲載されることへの不安感が要支援者側にあることや支援する側の人員確保などの課題があると認識しております。このため、県といたしましては名簿提供の同意につきまして本人の同意を前提としつつも、市町が災害対策条例等で特別に定めることにより本人の同意がなくても平常時から名簿を関係者に提供できるという国の指針に示された手法の検討を市町に促してまいります。
また、市町が個別支援計画策定に必要とする経費につきましては地震・津波等減災交付金を活用して支援するほか、支援する側の人員確保につきましても個別支援計画の重要性を県民だよりなどの媒体により広く県民の皆様に呼びかけ市町の避難行動要支援者の避難支援体制づくりを促進してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木経営管理部長。
(経営管理部長 鈴木宙志君登壇)
○経営管理部長(鈴木宙志君) 県庁における障害者雇用の取り組みについてお答えいたします。
障害のある方の雇用につきましては、昨年度実施いたしました障害者採用試験の結果知事部局の正規職員として本年度新たに四人採用したほか、県庁内のワークステーションにおける資料印刷、発送準備、不要文書の廃棄や出先機関における清掃業務等を担当する非常勤職員として四月以降八人を順次任用いたしました。また障害のある職員が働く職場環境の整備として、大型モニターや聴覚障害者用電話機の設置などに加え日々の業務を支援するジョブコーチを三人増員いたしました。さらに、精神障害のある新規採用職員が配属される職場の職員を対象に障害への理解を深めるための事前研修を新たに実施するなどの取り組みを進めております。
今後は民間事業者における職域拡大の取り組みも参考にしながら会議室の設営、会議資料の製本、名刺の印刷といった庁内の業務につきまして集中的に請け負う仕組みを設けることや本庁に設置したワークステーションを主要な総合庁舎に拡充することに取り組んでまいります。
県といたしましては、引き続き障害のある方の積極的な採用に努めるとともに、障害のある職員が十二分に能力を発揮できるよう、働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 多文化共生社会の構築についてお答えいたします。
県内全域での多文化共生社会の実現を目指すため、県では市町間の情報交換の機会を設け先進事例を紹介することなどにより市町の取り組みを促進しております。また外国人の子供の不就学への対応や防災訓練などを市町と連携して実施しております。
本年四月の改正入管法の施行により外国人県民の増加や多国籍化が予想されるため、来月一日には多文化共生総合相談センター「かめりあ」を開設し市町とも連携してきめ細やかな相談対応を図ってまいります。また市町の日本語教育の実態を調査し県内各地域での日本語教育を推進していくための方針も策定してまいります。
さらに、今年度設置した部局横断のプロジェクトチームにより災害時に外国人への情報発信を強化する施策や外国人県民の子供の将来を見据えた小中学校等での教育支援などの施策を立案しているところであります。今後、市町の協力も得ながら外国人県民を雇用する事業所に医療機関を受診する際の課題などを調査し外国人県民が安心して受診できる支援策を検討してまいります。
県といたしましては、県内全域で外国人県民の皆様が安心して暮らし地域コミュニティーで活躍できる多文化共生社会の実現に向け市町とともに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
(文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 文化資源を活用した観光の取り組みについてお答えいたします。
本県は世界遺産富士山を初めとする美しい自然景観や歴史的建造物、伝統的な祭礼行事、有形無形の文化財など多彩で魅力的な文化資源に満ちあふれております。こうした文化資源を確実に後世に継承していくとともにより積極的に観光に活用することは大変重要であります。
このため県では、市町等と連携し県内各地の魅力ある文化資源の情報を集約した文化資源データベースを構築し積極的に発信しているところでございます。またオリンピック・パラリンピックを文化の祭典として盛り上げるため、ことしから来年にかけて県内各地の団体が参加する伝統芸能、大茶会などの本県ならではの県域プログラムや地域の有形文化財等を活用したアートフェスティバル 富士の山ビエンナーレを初めとする地域密着型のプログラムなど本県の文化資源を活用した多彩な事業を県内各地で重層的に展開してまいります。
さらに、現在開催中の静岡デスティネーションキャンペーンでは、国宝久能山東照宮での夜間特別拝観やライトアップした世界遺産韮山反射炉における狂言の特別公演など個性豊かな観光プログラムを提供し多くの皆様に好評いただいております。引き続き地域のDMOと連携し、文化資源を活用した誘客の取り組みを展開してまいります。
加えまして、日本らしい情緒豊かな歴史的建造物や文化施設をユニークベニューとして活用し会議や企業研修、レセプションなどの誘致に積極的に取り組んでまいります。今後ラグビーワールドカップ二〇一九や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックなど国内外から注目される国際的スポーツイベントの開催に合わせ、多彩な文化資源に恵まれた本県の魅力を国内外に向けて発信し交流人口の拡大を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
(農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 次代の担い手の就農促進についてお答えいたします。
担い手の高齢化や後継者不足が進む中、農業が今後も持続的に発展していくためには農業の新たな担い手を確保することが重要であります。現在県では、静岡県農業振興公社や農林事務所に就農相談窓口を設置し市町やJAと連携して新規就農を支援しているところでありますが、農業経営を新たに開始するには栽培技術の習得のほか農地や機械、施設等を確保する必要があり、新規就農を目指す方にとってこれらを整えていくことは大きな課題となっております。
このため県では、意欲ある若者が本県で農業を開始できるよう伊豆の国市のミニトマトや掛川市のイチゴなど県内十一地域におきまして、篤農家のもと長期の実践研修を行う制度を設け栽培技術の習得に加えて中古ハウスのあっせんを行うなど地域が一体となって新規就農者の育成に取り組んでいるところであります。引き続き就農希望者や受け入れ地域の要望も踏まえ受け入れ先の拡大や研修内容の充実を図ってまいります。
さらに、研修生が就農するための農地の確保につきましては就農時期に合わせて計画的に農地が利用できるようあらかじめ農地中間管理機構が農地を保有する仕組みづくりにも取り組んでまいります。
また、後継者がいない経営体の事業を第三者が継続していくことは担い手確保のための有効な手段でありますことから、静岡県農業振興公社に設置している農業経営相談所におきまして経営の移譲に関する相談にもきめ細かく対応し次代の担い手への円滑な事業承継に取り組んでまいります。
県といたしましては、今後も市町やJA等関係団体と連携して新規就農者の総合的な支援に積極的に取り組みより多くの意欲のある担い手の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
(交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 建設産業の課題克服策についてお答えいたします。
建設産業はインフラ整備や災害時の応急対応など重要な役割が期待されており、担い手の確保・育成や生産性の向上は喫緊の課題であり官民が連携して取り組むことが重要であります。
県ではこれまで建設団体や教育関係者等と連携し小中高校生を対象とした現場見学会や出前講座など建設産業の魅力を伝え担い手確保につなげる事業を実施するとともに、工期やコストの縮減に効果のあるICT活用工事に積極的に取り組んでまいりました。さらに建設産業の諸課題とその対応を明確にした静岡県建設産業ビジョン二〇一九を本年三月に策定し、五つの施策を柱に具体的な方策と数値目標を定め官民が連携し取り組んでいくことといたしました。
このうち、柱の一つである担い手の確保・育成につきましては週休二日を条件とする入札の拡大や適正な工期設定の徹底により就労環境の改善を図りさらに若手技術者の育成に配慮した入札にも取り組んでまいります。
また建設現場における生産性の向上につきましては、ICTの工種拡大や新技術の活用を推進するとともに債務負担行為等の活用による発注や施工時期の平準化などを強化してまいります。
県といたしましては、静岡どぼくらぶを活用した戦略的PRに努めるとともに先般改正されました公共工事の品質確保の促進に関する法律などいわゆる新担い手三法の趣旨も踏まえ、夢や誇りの持てる魅力ある建設産業への転換に向けて積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
(教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 高校における通級指導制度の推進についてお答えいたします。
通級による指導を受けている中学生の数は年々増加しており、小中学校からの学びの継続性を確保しつつ一人一人の状況に応じた教育の機会を確保するためには高校における通級指導は大変重要であると考えております。
本県では平成二十九年度まで対人関係の構築を困難とする生徒を対象にコミュニケーションスキル講座を実施し、その成果を踏まえ昨年度から静岡中央高校の通信制三キャンパスにおいて通級指導を実施しております。専門的スキルを持つ講師が教員と協力し個々の状況に即した指導等を行っており、生徒とのコミュニケーションが円滑になり学習上、生活上の困難さが改善されるなどの成果が出ております。
しかしながら、特別の支援が必要な生徒は県内の高校に広く在籍しており身近な場所での支援体制の構築とそれに伴う教員の専門性の確保や負担軽減が求められております。このため、今年度から県内十一校におきまして専門的な講師が定期的に巡回し担当教員と協力して通級指導に取り組むこととし、現在準備を進めているところであります。
また、新たに担当する教員向けに通級指導教室のスタートブックを作成し配付したほか、静岡中央高校におきましては精神科医が学校のケース会議等で医学的な見地から助言を行う取り組みを始めたところであります。
県教育委員会といたしましては、これらの取り組みを検証しながら学校教育に課された使命を十分に自覚し、全ての生徒が生きる力を身につけ人とかかわりながら社会の一員として自立していけるよう通級指導の充実に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小嶋警察本部長。
(警察本部長 小嶋典明君登壇)
○警察本部長(小嶋典明君) 高齢ドライバーの自動車運転事故防止対策についてお答えします。
停止線等の道路標示につきましては日常の警察活動を通じて摩耗等の点検を行っているほか、県民の皆様から寄せられる御意見や道路標示の補修委託業者からの通報などにより補修必要箇所の把握に努め、幹線道路や通学路、高齢者の方が多く利用する施設の周辺などを中心に順次塗りかえを行っております。また高齢ドライバー事故の多くが安全不確認や運転操作ミスに起因していることから、自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などを搭載した安全運転サポート車の有効性を各種講習会やイベントを通じて高齢ドライバーの方々に体感していただき先進安全自動車の普及促進を図るとともに、参加体験実践型の交通安全教室を開催し加齢に伴う身体機能の低下を自覚していただく機会を設けることなどにより高齢ドライバーの方々の安全意識の底上げを図っております。
県警察では、今後ともこれらの施策を充実強化することなどにより高齢ドライバーの事故の抑止に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田好浩君。
(六十八番 田好浩君登壇)
○六十八番(田好浩君) 御答弁ありがとうございます。
要望を三つ、再質問を五つさせていただきます。
まず要望ですけれども、人口減少対策で知事のほうから関係人口ということで取り組みを始めているということであります。これは可能性を探していきますと大きく広がっていくことがあると思いますので、さらにこれについては力を入れていっていただきたいなと思います。
それから災害時の要配慮者支援については、マニュアルを見直していくということでぜひよろしくお願いをしたいと思います。小さな声をしっかり聞いていただいてその声をしっかり反映をさせて、なおかつそれをしっかり今度は活用をしていくというところまでしっかりやっていただきたいと思っております。
それから三つ目、建設産業の課題克服でありますがしっかりした骨太のこのビジョン二〇一九、これをつくっていただきました。五つの柱をということで目標設定もされておりますのでこの進捗管理についてしっかりしていただいて、現実的に建設産業の課題が目に見える形で克服ができるようなそういう施策をしっかり打っていただきたいと思います。
再質問でありますけれども子供の命を守る対策、知事からございました。そのお話の中にもありましたけれども静岡県子どもの安全確保緊急対策アクション、これでございますが、その文中にですね本年度末までを当面の実施期間とするとこのように書かれております。この当面の実施期間の捉え方どのようなことで当面の期間を決めているのか、またその進捗を見てどのようにさらなる対策を講じていくのか、そのところをお聞かせいただきたいと思います。
それから総合防災アプリ「静岡県防災」でありますが、今もお話がありましたが多言語化やはり今世界の潮流は全てこの多言語化ということでございまして、表示にしてもそういう説明にしても多言語をしていかないとなかなかこの使いにくい、多文化共生を質問させていただきましたけれどもそういう方々にとっても使いやすいようにしていただきたいと思います。していくという話は伺いましたが、どのような工程あるいはどのような期間を目指して多言語化というものを可能にしていくのかその点をお聞かせいただきたいと思います。
それから新たな地域避難拠点の活用でありますが、これは二つ側面がありまして物理的に確保する、これ一番大事です。
二つ目の観点は地域の皆さんで主体的にその公民館の使い方、集会所の使い方を考えてもらう、今までは県からおりてきたマニュアルでやってきましたけれども地域で考える、これが非常に大事だなと思います。その地域で考えたことによる運営をしっかりやっていただくためにも、今お話がありましたけれども模範になっているところをまず示していただいて、そして交付金等もよく説明をしていただいて、こういうものも使えますぜひチャレンジしてくださいということを市町にしっかり訴えていただきたいと思いますが、この点についてもう一度お伺いをしたいと思います。
それから津波避難ビルの耐浪性の確認ですが、私はこれは非常に重要なことだと思います。私は地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の目標設定、あるいは期間設定にこれを入れるべきだと思います。指定しっ放しではなくて、それをいかに安全性を担保していくかというのはこれは行政の役目であります。指定した以上は逃げ込んで安心な避難ビル、当たり前のことでありますがそれを確認する、その工程をしっかりアクションプログラム二〇一三に目標指針として書き込んでいただきたいと思いますけれどもいかがでしょうか。御答弁をお願いします。
それから五つ目でありますが、救急安心センター事業♯七一一九の導入についてできない理由はわかりました。今できない理由はわかりました。でもそれだけやっているところもあるわけでありまして、実はもう県民からこの声は私のところにも多く届いております。なぜ静岡県はできませんかと。そういう今言ったような背景はあるのはわかりますが、やはり各市町や消防本部の御理解あるいは積極性ここにもうかけるしかないかなと思います。それをどれだけアピールしていただいているのか。この救急車の出動が減るというのはこれは結果論でありまして、やはりそれは入り口、結果論というか入り口でありまして結果は命を救うということであります。間に合わない命が救われたということであります。そのことをもっと真剣に捉えていただいて、本当に県が積極的にですね本当に説き伏せると言うと申しわけないんですが、本当に御理解いただけるまで積極的にお話をしていただいてこれからまたより一層の御努力をお願いしたいと思いますけれどもいかがでしょうか。
以上五点について、御答弁をお願いをいたします。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 子供の命を守る対策の再質問についてお答えいたします。
このたび取りまとめました子どもの安全確保緊急対策アクション、こちらはできることから着手しスピード感を持って取り組むというところを一つの方針として策定したものでございます。そのために今すぐできることから各部局が取り組むという前提のもとにやれるものということで、おおむね一年程度今年度いっぱいぐらいのものを想定しながらやっていこうということで始めました。今現在県民の皆様とか市町の皆様に新たな対策等を御依頼申し上げております。こういうものを県のほうに返していただく中で緊急的に対応できないもの、長期的にわたるもの等がもし出てくればそういうものも含めながらまた対策を考えていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 総合防災アプリ「静岡県防災」の運用についての再質問にまずお答えいたします。
多言語化にどのように取り組み目指すのかということでございますが、外国人来訪者の利用につきましては先ほど答弁いたしましたがそれぞれの文化的背景が異なる外国の方々を対象としております。それで外国人来訪者に対する防災関連情報の提供につきましては観光庁の開発したアプリ「セーフティーチップス」というものがございまして、地震関連情報のほか気象情報あるいは交通機関情報とか医療機関情報などの生活関連情報もあわせて提供するアプリがございます。これは英語、中国語など多言語で言語を提供しているアプリが現にありまして、なお昨年の大阪北部地震あるいは北海道胆振東部地震では外国人観光客の方がこのアプリを非常に使われて助かったというお話も聞いてございます。
このため、本県を訪れました外国人来訪者の方々が本県来訪時にどのような防災関連情報が必要かというのを関係団体等の意見を伺ってその辺必要な情報をユーザーの利用者側の視点からどういう情報が必要かというのを調整した上で役割分担を含めて静岡県防災にどのように活用できるか検討していきたいと考えております。
二つ目の再質問、新たな地域避難拠点の活用についての再質問についてお答えいたします。
先ほど答弁で掛川市の優良事例御紹介いたしましたけれども、このような優良事例や地震・津波対策等減災交付金の説明はどの程度市町等に行っているのかということでございますが、優良事例等につきましては県が実施する避難所運営研修あるいは実際に各市町の防災担当を集めた会議でも積極的に紹介しております。また交付金を活用したこういった地域の公民館を指定避難所にした場合の耐震補強とか防災資機材の購入、整備につきましては、今年度になりまして私、各市や町を訪問しまして市長さん、町長さんに直接活用を働きかけてございます。今後もぜひこのような優良事例が県内に広まるように進めていきたいと考えております。
それから、津波避難ビルの耐浪性の確認についての再質問でございます。
アクションプログラムの目標に入れるべきではないかということです。先ほども申しましたように、答弁いたしましたがまだ県内津波避難ビルを指定した市町において津波への安全性が確認されていないものもまだ見受けられますことから、早急に関係市町の担当者を集めて説明会を行い国の基準に基づいて県のほうでお示しした基準で耐浪性についての安全性を早急に確認するように働きかけてまいりますので、このアクションプログラムを目標に入れるべきについてはちょっとその辺を進捗を見て検討したいと思っております。
それから最後に、救急安心センター事業♯七一一九の導入についての再質問でございます。
各消防本部への働きかけをもっと積極的に行うべきではないかということでございます。私どももこの事業の有効性は非常に認めて国も推奨しておりますが、私どもも事業の必要性を認めておりまして昨年度も県内の全ての消防本部を集めて消防長会等の場を使って、これを全県的に導入しようということでお話、調整を行いました。ただ各消防本部においてそれぞれの救急需要、要は救急車両の利用状況等、救急需要にいろいろ地域間の状況にばらつきもあります。それと一番大きい問題が先ほども答弁いたしましたが年間約一億円を超える事業費がかかるということでその事業費負担の問題等がまだまだ調整に時間を要しますので、県といたしましても県内の消防本部と調整を進めてできるだけ国の支援も働きかけてこの事業を実施できるように努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 田好浩君。
(六十八番 田好浩君登壇)
○六十八番(田好浩君) ありがとうございました。
危機管理部長のほうからいろいろ御答弁いただきましたけれども、やっぱり危機感というものをもう一重ですね、訴えてはくれていただいていると思いますけれども本当に県としての危機感、切迫している地震・津波あるいは豪雨災害に対しましての危機感を本当に持っていただいてしっかりまた対応していただきたいと思います。
津波避難ビルの耐浪性の確認、やっぱり私はそういう指標としてしっかり入れていくべきではないかなと。いつまでにその耐浪性を確認する期間を設けてどういう動かしていくかということをやっぱり考えていかないと今はほとんどこれやっておりませんのでいざというときに、本当に心配でなりません。
そういうことでこれはもう要望にさせていただきますけれども、ぜひまたそういうことで働きかけたお考えをぜひしていただければと思いますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢公彦君) これで田好浩君の質問は終わりました。
議事の都合により休憩します。
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