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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

西原 明美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/19/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 令和三年七月大雨災害への対応について  
        (1)危機管理体制の見直し  
         ア 盛土に関する県の責任  
         イ 危機管理体制の検証  
         ウ 報道発表の混乱  
        (2)類似災害防止策  
       2 知事の政治姿勢について  
        (1)政治姿勢  
        (2)今後の財政運営
       3 医師確保対策について  
        (1)県外から医師を呼び込む取組  
        (2)(仮称)総合医科系大学院大学  
       4 今後のワクチン接種の課題と対応について  
       5 感染症により打撃を受ける中小企業への支援について  
       6 大井川の水の保全について  
        (1)大井川水量の現状認識  
        (2)田代ダムの水利権更新  
       7 お茶振興対策について  
       8 女性の活躍推進について  
       9 富士山における来訪者施設の整備について  
       10 突風被害に対する支援について  
       11 特殊詐欺撲滅について  


○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 議事日程により、知事提出議案第八十三号、第八十四号、第八十六号から第九十号まで、第九十四号及び第九十五号を一括して議題といたします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十四番 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇 拍手)
○十四番(西原明美君) 質問に入る前に、今月三日の熱海市の大規模土砂災害におきましてお亡くなりになられました方に心からお悔やみを申し上げますとともに、今なお被災され不便な生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。
 県におかれましては、一日も早い行方不明者の捜索と併せて復旧・復興に向けての力強い支援をお願い申し上げます。
 私は、自民改革会議を代表して県知事四期目に向けての政治姿勢、また選挙戦を通して公約に掲げられた内容を含め当面の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事、関係部局長及び警察本部長に一括質問方式で伺います。
 初めに、令和三年七月大雨災害への対応についてであります。
 令和三年七月一日からの大雨は本県東部地域を中心に大きな被害をもたらしました。特に熱海市伊豆山地区において発生した土石流は、本日朝の時点で死者十八名、行方不明者十二名、被害棟数百二十二棟という甚大な被害となってしまいました。行方不明者の方の一刻も早い発見に全力を尽くすとともに、被災者の皆様の安全確保と一日も早い生活再建、被災地の復旧復興に取り組むことが求められており、国、県、市が連携して全力で対応することが必要であります。
 我が会派では、今回の土石流災害に際し今月五日、知事に対して緊急要請を行いました。要請の中では二次被害防止のための応急対策に加え、交通及び生活インフラの早期復旧と避難所における新型コロナ感染症対策の支援や被災者の健康確保、心理的ケアの実施などをはじめとするソフト対策など八項目からなる諸課題への取組を求めています。
 また、長期的な視点での要請として本災害を契機とした危機管理行政や防災体制などについて抜本的な見直しと災害発生の原因解明と類似災害の発生防止、観光業をはじめとする被災地域の復興に向けた支援についても併せて要請しているところであります。
 知事には要請内容に基づき迅速に対策を実行していただくとともに、まずは被災地である熱海市に対して絶対的に不足しているマンパワーへの支援や財政的支援について県から早急に手当をすべきであると考えます。
 それでは質問に入ります。
 危機管理体制の見直しのうち、盛土に関する行政の責任について伺います。
 今回の熱海市伊豆山地区の土石流災害に関して、県は不適正な盛土の工法が被害を拡大させたとして原因究明と行政手続を検証するためのチームを立ち上げると発表しました。その崩落現場付近は過去に県が許可違反や産業廃棄物の撤去等について指導していたほか、熱海市が条例に基づき工事完了届の提出と土砂搬入の中止を要請していましたが、土地所有者が変更した平成二十三年以降指導がなされていなかったとされます。
 今回の問題となっている土採取等規制条例は、隣の神奈川県や山梨県では条例の違反者には罰金百万円に加え懲役二年の刑が科せられるようになっているのに対し、本県は罰金二十万円で懲役刑はなしとなっています。これでは悪質な業者に静岡県は狙われて当然です。
 過去においても本会議の場で何度かこの問題点を指摘しており、県としても神奈川県、山梨県が本県より厳しい条例のため県外からの残土の搬入が行われていると認識しておりましたが、条例の制定が施行された昭和五十一年からこれまで、平成四年に罰金を現在の金額に変更した以外は主な見直しがされてこなかったこと、これは行政の怠慢と言わざるを得ません。
 これを踏まえて三点伺います。
 一点目は、本来指導すべき事案について県や熱海市がなぜ指導しなかったのか、またそれに伴う危険性をどのように認識していたのかについて。
 二点目は、現在の条例の問題点を認識しながら改正してこなかった経緯について。
 三点目は、七月十三日の定例記者会見において知事は結果的に違反が続けられ被害になってしまった、ざんきに堪えないとおっしゃっていますが、この発言は県の行政責任を認めたということかについてそれぞれ伺います。
 次に、危機管理体制の検証について伺います。
 沼津市を流れる黄瀬川では、橋桁が崩落する被害が発生しました。先日現場に赴き住民の方に話を伺うと、橋桁が崩落した際には交通規制がかかっておらず、橋を渡ろうとしたバスの運転手が崩落に気づき機転を利かし交通整理を行ってくださったとのことでした。幸いなことに負傷者は出なかったものの一歩間違えれば大事故につながりかねない重大な問題があったと考えます。
 当日黄瀬川が氾濫危険水位を超えていたこと、日頃からの土砂の堆積問題、平成二十五年に耐震工事をしたものの建設から七十年を経過し老朽化が進んでいることなど、様々な危険性を勘案し橋桁の崩落が起こる前に通行止めなどの措置が取られるべきであり、通行規制などが取られないままに橋桁が落下した事実についてはしっかりと検証をすべきであります。
 知事は、県民の命を守る危機管理が全てに優先すると常々口にし防災先進県を標榜してこられましたが、今回の黄瀬川大橋のケースでは出水時の道路管理の分野で本県の危機意識の低さが図らずも露呈することとなりました。
 そこで、黄瀬川大橋の崩落を教訓に災害の発生が見込まれる場合及び災害発生時の危機管理体制について改めて検証すべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、今回の災害における報道発表の混乱について伺います。
 今回の災害情報については、知事、副知事、危機管理監、危機管理部長など様々な人が記者会見などにより情報発信を行っていますが、発表内容が人によって異なるように感じるケースも散見され県民の混乱を招いています。
 崩落現場付近の盛土にかかる開発行為について、発災当初知事が盛土が崩れ被害が大規模化したとの認識を示したのに対して危機管理部長は盛土の危険性の認識を否定するとともに、盛土を災害の原因として認識していない旨の発言をされました。その後難波副知事は災害を甚大化させた要因は盛土でありその工法自体も不適切と述べるなど県の説明は二転三転し、誰が言っていることが正しいのか全く分かりませんでした。
 まして、人命救助が最優先であるべき発災の翌日に知事は被害は山に人が手を加えたことによる災害、被害の拡大は盛土にあったなどとこの段階では確証のないまま発言をされました。この発言により現場は動揺し職員は発言内容の検証に忙殺されることとなります。その発言はあまりに唐突かつ無計画であります。
 また、土石流で安否不明となっている方の名簿発表の際には危機管理監が当日中の公表ができないとして記者発表している最中に難波副知事が会見を中断させ、その後一転して公表することになり県庁内の認識のずれや情報共有のなさも露呈しました。災害発生初期は情報が錯綜し、正確な情報をつかむことが難しいことは理解できますが、一方で被災者に対して時期に応じた適切な情報を正確かつ速やかに伝えることが災害発生時の情報管理の基本であります。
 今回の県の報道発表を見ていると、その都度説明者が入れ替わり誰が指揮官なのかも見えてきません。災害時の情報発信については情報を一元化し関係者間でしっかりと共有するとともに、説明者を統一することも検討が必要ではないかと考えます。
 そこで、今回の報道発表の混乱を教訓に災害発生時の情報発信についてどのように対応するのか、県の見解を伺います。
 次に、類似災害防止策について伺います。
 県は、盛土造成行為に係る緊急点検を実施すると承知しておりますが、類似災害を防ぎ県民の皆様の命を守るためには緊急点検を速やかに完了し、台風シーズン前に危険のある箇所に対して対策を講じておくことが必要であります。特に今回のケースと同様に法令に違反し現時点で指導を行っている箇所について優先的に現地調査を実施し、その是正状況を確認し、崩落の危険性がある箇所の対策を進めることが急務であります。
 そこで、緊急点検の結果危険と判断された箇所について具体的にどのように対応し、いつまでに対策を行うのかを伺います。
 また、全県的な対応を行うため県は市町にも同様の点検を要請しておりますが、マンパワーの不足などにより点検と対策に時間がかかることも想定されます。県として市町に緊急点検を要請するのであれば、市や町への支援を併せて行うことが不可欠です。
 次なる大雨に備え一日も早い全県的な対策を講じるためにも、市町の緊急点検だけでなくその後の対策を含めた県の支援が必要と考えますが、県の見解を伺います。
 四期目を迎える川勝知事の政治姿勢について伺います。
 知事は、当選後に「今回はノーサイドと言うわけにはいかない」との発言をされ、初当選から前回選挙までの三回においてノーサイドだと発言してこられただけに、これまでとは明確に姿勢の違いを示していらっしゃいます。
 今回、岩井候補を応援した二十一の市町の首長や同じく岩井候補に推薦を出した三百を超える団体の皆さんは、ノーサイドではないということは何らかの報復や嫌がらせを受けるのではと不安に思われています。それほどまでに知事の権限は強く、その言葉には責任が伴います。
 知事が繰り返してこられた問題発言は数知れず、最近では熱海の土石流災害の視察に訪れた菅総理と知事が同席した際にも、「学問をされた人ではない。単位を取るために大学を出た」との屈辱発言が思い出され、大変はらはらしながらテレビでその様子を拝見しました。人格をも否定した発言が県政に致命的な悪影響を与えないかいつも心配しています。
 さて、先日我が会派で二〇二〇東京オリンピックの有観客での開催に関し新型コロナウイルス感染症対策の徹底を求める緊急要請を取りまとめ、知事室へ赴き直接お伝えしようとしたところ、驚くべきことに知事室への立入りと要請文の受け取りを拒否されました。常に開かれていると標榜していた知事室の扉も閉ざされ秘書課を通じて、オリンピック組織委員会を通じて出してくれと、にべもなく追い返されました。そのような考えをお持ちであるならば直接お伝えくださればよいものを会ってもいただけない。これがノーサイドではないということの現れで、今後知事を応援しなかった人の意見には耳を傾けることすらなさらないことを表明したと理解すればよいでしょうか。
 別の解釈もできます。
 その後の定例記者会見の中で、知事は有観客での開催を決断した経緯として組織委員会と一体の判断であることを殊さら強調しておられました。我々の要請文を受け取らなかったことを正当化しつつ御自身の責任を曖昧にする見事な言い回しで、静岡県と同じく有観客での開催を決断した宮城県の村井知事は賛否両論ある中で総合的に判断するのが私の仕事だと述べられているのとは対照的です。要請文の受け取りを拒否する理由が御自身の責任を曖昧にしたかったからだとすれば評価はできませんが理解はできます。
 結局、我が会派の要請文受け取りを拒否された理由はノーサイドではないからなのでしょうか。それとも御自身の責任を曖昧にしたかったからなのでしょうか。知事の権限と言葉の重さを御理解の上、明確にお答えください。
 次に、財政健全化に向けた取組について伺います。
 川勝知事の三期十二年の県政運営により、残念なことに本県財政は大幅に悪化しました。これは財政の健全度を示す様々な指標で明らかになっています。
 例えば、総合計画における財政健全化目標として定める実質公債費比率は川勝知事就任前の平成二十年度の一一・七%から令和元年度は一三・八%と二・一%悪化し、全国の順位も十位から四十位と大きく順位を落としたほか県財政の柔軟度を示す経常収支比率も平成二十年度の九二・五%から令和元年度は九七・一%と四・六%悪化し、全国順位も七位から三十五位に転落しております。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により令和三年度当初予算編成後の活用可能基金残高は過去最低水準にまで落ち込むなど本県財政はこれまでにない大変厳しい状況となっております。
 一方で、災害に強い県土づくりや県内経済の再生、人口減少対策、医療福祉体制の充実など喫緊の課題に対応するためにはその財源確保が必要であります。本県はこれまで財政健全化の堅持を財政運営の柱に掲げてきましたが、これらの今後の財政需要を考えれば今やこれも風前のともしびであります。何とかここで踏みとどまらなければなりません。そのためには理念先行の不要不急の事業を一切廃止し、今やらなければならない県民の安心と安全と生活を守るための事業に特化していくことが必要であります。
 そこで、これまでの財政運営への評価と財政健全化に向けた取組方針について伺います。
 次に、医師確保対策についてのうち、県外から医師を呼び込む取組について伺います。
 県は、長らく医師確保を最重要施策の一つに掲げ医学修学研修資金貸与事業や県内外の大学への地域枠の設置に取り組んでいますが、静岡県の人口十万人当たりの医師数は平成三十年十二月末現在で全国四十位にとどまるなど依然として医師不足の状況は解消に至っておりません。今後地域医療を安定的に確保するとともに適切な医療を提供するためには、医師の絶対数を増やすことが必要です。
 一方で、県が現在取組の柱としている医学修学研修資金貸与事業や地域枠の設置による県内勤務医師の養成には大学入学から研修終了まで長い年月が必要であり、短期間での医師の確保は難しいものがあります。またこれらの取組は全国都道府県が実施しており、いわば少ないパイを奪い合っている状況と言えます。
 さらに、地域枠制度については現在国において医学部定員総数を減らす議論の中で地域枠を定員の増員ではなく定員内で設定する方向で検討がなされており、県が進める医師確保の取組への影響も危惧されるところであります。
 こうした状況を踏まえますと、県内の各病院の研修環境を向上するなどにより県外から医師を呼び込む取組が今後より重要になると考えます。
 そこで、県は今後医学修学研修資金の貸与や地域枠の設置などによる医師の養成と併せて県外からの医師の呼び込みにどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、仮称総合医科系大学院大学について伺います。
 川勝知事は、今回の知事選挙や当選直後の記者会見で医師不足対策として本年四月に開学した静岡社会健康医学大学院大学を総合医科系大学院大学に育てていくと突如として公言されました。社会健康医学大学院大学は県民の健康寿命のさらなる延伸に向けた人材の育成や研究成果の地域への還元などを目的に設置されたものと認識しております。その大学院大学の開学直後に知事が総合医科系大学院大学について公言されたことに違和感を感じざるを得ません。社会健康医学大学院大学の設置に当たっては県議会でも十分に議論を行いましたが、その際には総合医科系大学院大学を将来的に設置する旨の説明はなく、これまでの議会においての設置の必要性についての議論は何だったのかと一種のむなしさも覚えました。
 総合医科系大学院大学は当然ながら医師確保につながることを想定されていると考えますが、国が医師の養成に係る大学の設置を認めていない中で設置実現への道筋は極めて厳しいと思われます。一方でその状況を知った上で知事は総合医科系大学院大学の設置を知事選における公約として打ち出した以上、当然実現に向けた道筋が描けていることと思います。
 そこで総合医科系大学院大学はどのような大学であるか、またその実現に向けた具体的な道筋について伺います。
 次に、今後のワクチン接種の課題と対応について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の蔓延防止を図る上で有効な手段であるワクチンの接種については、六十五歳以上の高齢者の二回目接種が最終の段階を迎えています。本県の接種率は全国の下位を低迷しつつも十五日時点で一回目の接種率が約七八%となり、希望する高齢者の皆さんへの接種は満たす状況となってきました。
 知事は、選挙戦のさなか接種率が他県に比べて低いことについて医師不足を理由としてきましたが、接種スピードの推移を見る限りいかに接種体制を構築するのかが重要であったかが分かります。五月末に一日一万回に満たなかった接種回数が七月初旬には三万七千回に近づくこととなり、医師不足だけが原因ならば接種回数の増加にはつながらず、接種回数が約三・七倍まで上昇したのは市町が地域の診療所、病院などの協力を得て効率のよい体制を整えたからだと言えます。知事には正確な分析をして御発言頂くべきであったのではと思います。
 さて、市や町はここまで整えてきた接種体制で今の接種回数を維持し六十四歳以下の接種に臨んでいくところでありましたが、このままのスピードではワクチンが不足してしまう事態となり一部市町では予約を一時停止しているところもあります。今後の六十四歳以下の接種に向けワクチン供給の課題とその対応、そして接種主体である市町への支援について県はどのようにしていくのか伺います。
 次に、感染症により打撃を受ける中小企業への支援について伺います。
 静岡県は、これまで新型コロナウイルス感染症で打撃を受ける企業への支援に関し直接給付について一貫して消極的な態度をとってきました。第一回目の緊急事態宣言が発出された際、我が県の中小企業が大きな打撃を受ける中、県は休業要請協力金に関しても非常に消極的でした。我が会派や市長会の強い要望によりようやく重い腰を上げましたが、急な対応に追われた県内の多くの首長がいまだに不満を抱えています。
 また、緊急事態宣言が発出されていない地域での一日四万円の時短要請への協力金制度を国が提示した際にも、静岡県よりはるかに感染者の少ない隣の山梨県などでも国の制度を活用した支援を行う中、市長会からの要望や我が会派を通じた業界の皆さんの悲鳴を聞きながら全く対応していただけませんでした。
 県は、制度融資や国連携の実質無利子、無担保の貸付けなどを軸に新型コロナウイルス感染症に関する経済支援を行ってきましたが、無利子期間の三年間、据置期間の五年間が経過すれば返済開始時に資金繰りに窮する中小・零細企業も多くなることが予想されますが、そもそも今月、来月を越えるのに精いっぱいな事業者への県の支援は非常に限られています。
 県は、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などを用いて、特に大きな打撃を受けた飲食・宿泊業に対して、ふじのくに安全・安心認証制度取得に向けたインセンティブとなる補助制度や県民による県内観光促進事業を再開するなど需要喚起に向けた対策を行っておりますが、多くの都道府県で主流となっているのは全国三十五の都道府県が行う月次支援金への横出し、上乗せといった直接給付制度です。
 月次支援金は緊急事態宣言発出等による影響を受けた事業者へ直接給付する制度です。国の制度では受給要件によりカバーされない程度の売上減となった事業者へのいわゆる横出しや、国の制度を利用した事業者への加算を行う上乗せが実際に影響を受けた事業者への直接給付として一番効果が明確で県民ニーズに沿っていると考えますが、感染拡大第四波に伴う緊急事態宣言発出等に伴い県としてどのような支援が考えられるのか伺います。
 次に、大井川の水の保全についてのうち、大井川水量の現状認識について伺います。
 近年大井川は渇水になることが多く、そのたびに利水者による取水制限を伴う節水対策が行われております。平成三十年十二月から令和元年五月には延べ百四十七日間にも及ぶ節水対策が行われました。この渇水では地元農家から節水対策が春先の田植えの時期を迎えても続いたことは初めてで田植えができなくなるのではと大変心配したとの声を聞いたことを鮮明に記憶しています。
 一方、地球温暖化等による気候変動で集中豪雨の頻発など大井川を取り巻く自然環境も大きく変化をしてきており、大井川の水に頼っている私たちとしては今後も安定して継続していくことができることを望んでいます。
 そこで、これまでの取水制限の状況を踏まえた大井川水量に対する認識、また取水制限による県民生活への具体的な影響について、さらに取水制限を行うに当たっての考え方はどのようになっているのか、県の見解を伺います。
 次に、田代ダムの水利権更新について伺います。
 知事は、従来から大井川の水を重要視し命の水としてその保全を訴えてこられました。私も水を大切に思う気持ちは大井川の水の恩恵を受ける地元住民の一人として知事より強い思いがあります。
 一方で、渇水により取水制限が頻発している近年の状況は先ほど述べたとおりであり、速やかな対策が必要であります。
 このような中で、大井川の最上流部である東京電力の田代ダムではダムが完成した大正十三年以降発電のために取水した水が山梨県の早川に放流されています。その量は最大で毎秒四・九九トンであります。
 平成十七年以前はこの全量を取水した場合、大井川上流部の川かれが生じることもありました。県は水利権の更新に合わせて水利権者である東京電力と粘り強く交渉を進め、当時の石川前知事が東京電力本社を訪問し社長に直談判した結果、取水に先立って放流が義務づけられる河川維持流量の放流が定められ大井川への放流が行われることとなったのです。まさに大井川の河川環境保全のため知事が先頭に立って交渉した結果であります。
 一方で、その十年後の平成二十七年、川勝知事の下で行った田代ダムの水利権更新においては現状の取水量が維持されました。今思えばこれは驚きであります。命の水である大井川の水を県外には一滴たりとも流出させないと主張してきた知事が、県外への水の流出量がリニア工事で発生が見込まれる湧水量を大きく上回る田代ダムの水利権の更新を何の補足をすることもなくなぜ認めたのでしょうか。
 田代ダムに関する水利権は国の許可でありますが、この許可の更新に関しては大井川水利流量調整協議会において国土交通省、県、市町、東京電力が議論してきたと承知しています。平成二十七年の水利権更新時には知事の大井川の水問題に対する問題意識が薄く、大井川水利流量調整協議会の幹事会においてはリニアによる流量減少に対する問題提起が何度か委員からあったにもかかわらず協議会の場において命の水の県外流出という視点での議論は行われておらず、国土交通省からの意見照会についても意見なしとして水利権の更新を認めています。
 令和七年十二月には田代ダムの水利権が更新を迎えます。近年渇水が頻発する大井川の命の水を守るのであれば、田代ダムにおける県外への水の流出に対する問題意識を持ち協議会において議論することが必要であります。
 既に取得された水利権を変更することは容易なことではありません。困難なことであるからこそ、かつての歴代の知事が血のにじむような思いで行ったように東京電力との交渉を県のトップである知事自身が先頭に立って行うべきではないでしょうか。
 これらを踏まえ、田代ダムの水利権の更新に向けた県の対応方針と知事の決意を伺います。
 次に、お茶振興対策について伺います。
 先般農林水産省が発表した二〇一九年の農業産出額によりますと、本県のお茶は前年比一九%減の二百五十一億円とライバルである鹿児島県に初めて抜かれ、記録が残る一九七〇年から続いた首位の座から陥落をしました。この事実は業界に大きなショックを与え、本県茶業の再生に向けた振興策はいよいよ待ったなしの状況となっています。
 これまで、県は茶の生産拡大や販路拡大、茶産地構造改革など様々な対策に事業費を投入してきましたが生産者や茶園面積の減少に歯止めがかかっておらず、成果が出たとは言い難いものがあります。昨年度から取り組んでいるChaOIプロジェクトにつきましても末端の生産者まで支援が行き届いているのでしょうか。生産現場の状況は非常に厳しく、現場からは農業収益の改善に直結し茶産業の持続的な発展につながる施策の構築を求める声が寄せられております。生産者の皆様も高齢化が進んでおり、中には茶の生産を諦め他の作物に転換する方も出てきております。
 このように本県の茶業の縮小に歯止めがかからない中、茶業の回復に向けて今後どのような取組を進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、女性の活躍推進について伺います。
 少子高齢化による人口減少が深刻化する中で将来にわたって持続可能な社会を維持していくためには、SDGsに掲げるジェンダー平等の実現が不可欠であり、女性があらゆる分野で活躍できるようその機会を拡大していくことが重要です。
 知事はこれまで本県をSDGsのモデル県にすると繰り返し主張されてきましたが、本県においても女性が活躍できる社会を実現するためにはまず県が能力のある女性職員を積極的に登用し、あるべき姿を示す必要があると考えます。
 一方、県では管理職に占める女性職員の割合を令和四年四月までに一五%とする目標を設定していますが本年四月時点での割合は一二・八%にとどまり、部長級職員の六十六人のうち女性はたった一人と女性活躍には程遠い状況であります。
 その要因の一つは、本年三月、人事に関する記者会見の場において女性管理職の割合に対し入庁してくる職員の女性の割合が上がってきているから時間が解決すると述べられたとおり、目標に向けた積極的な取組を否定している知事御自身の姿勢にあると思います。また過去の議会の場において女性職員の得意分野は健康福祉と女性の能力を限定的に発言されたこともあり、女性の活躍推進に対して消極的な姿勢も表れています。
 行政分野における管理職への女性登用は、男女間の実質的な機会の平等を担保し政策方針の決定過程において女性職員が参画するという観点から極めて意義が大きいと考えます。
 そこで、SDGsのフロントランナーを目指す本県において、女性職員の管理職への登用について現時点での進状況と登用に当たっての県の考え方や課題、女性活躍推進に向けた取組について、知事の考えを伺います。
 次に、富士山における来訪者施設の整備について伺います。
 本年三月、富士宮口五合目レストハウスが火災により焼失するという大変残念な事態が起こりました。今月十日の開山に当たっては県と富士宮市が協力し、応急的に仮設施設を建設し間に合わせたところであります。
 富士宮口五合目レストハウスはこれまで観光施設としての機能を有し、約五十年にわたって富士宮口登山道の顔として登山者を受け入れてまいりました。富士宮口五合目は例年五万人を超える登山者が訪れる本県の富士登山の中心であり、また宝永山散策など自然を体験する人々や登山期間以外でもその眺望を楽しむため多くの人々が訪れる拠点でもあり、いつまでも仮設施設しかない状態ではいよいよ本県側への来訪者も減少の一途をたどってしまうのではないでしょうか。
 表富士の玄関口ともいえる富士宮口五合目において落石や噴火などの自然災害に対応し、本県が世界に誇る富士山における交流拠点として誰もが安全安心に富士山を楽しむことができる施設の整備が急務であると考えますが、県の見解を伺います。
 次に、突風被害に対する支援について伺います。
 五月一日に発生した竜巻とみられる突風により、牧之原市を中心として家屋や事業所、農業用ハウスなどに大きな被害が発生しました。今回の突風は短時間で帯状の範囲に被害をもたらしたため狭い範囲に被害が集中していることが特徴でありました。
 このため、我が会派として五月六日に突風被害に関する緊急要望を行い、一部損壊扱いの家屋への支援拡充などの生活再建支援や農産物や農林業などの生産設備の生産活動再開に向けた支援などを要望いたしました。このうち半壊以上の被害を受けた住宅に対する住宅再建支援については既存制度に基づき五月補正予算において予算措置され、対象となる被災者の皆様の生活再建に向けた支援を行ったところであります。
 一方で、半壊には至らないまでも実際には屋根などが大きく破損し補修が必要な家屋も発生しており、被害の実態に応じた支援が必要ではないでしょうか。
 また、農業についてはイチゴやトマトを生産する農業用ハウスが倒壊する被害が発生しましたが災害の規模や範囲によって復旧への支援が異なっており、今回のような国の災害復旧制度の発動されない局所的な災害の復旧に向けた支援が必要であると考えます。
 地球温暖化の影響によりこれまででは想定し得ない気象災害が頻発する中で、今回の突風被害を教訓に局所的な被害に対応した新たな支援策の創設が必要であると考えますが、県の考えをお伺いします。
 次に、特殊詐欺撲滅について伺います。
 特殊詐欺の被害が後を絶ちません。全国的には新型コロナウイルスワクチン接種に関連した特殊詐欺も発生するなどその手口は日々悪質・巧妙化しています。
 特殊詐欺は被害者の約九割が六十五歳以上の高齢者であり、今後ますます高齢者人口の割合が増えていく中、解決しなければならない重要な問題であります。
 こうした特殊詐欺被害から県民を守るため、県警察ではしずおか関所作戦など特殊詐欺撲滅に向けた様々な取組を実施していることは承知しています。また私の地元藤枝市では、近々県警察の支援の下AIを活用して電話中に特殊詐欺関連の疑わしい言葉を検知した際に家族や親族に通知するなどの機能がついた特殊詐欺対策サービスを全国に先駆けて展開いたします。
 日々悪質・巧妙化する特殊詐欺に対抗しこれを撲滅するためには、これまでの取組を粘り強く継続していくとともに新たな対策にも柔軟に取り組んでいただくことが重要であると考えます。
 そこで、特殊詐欺の現状とその撲滅に向けた今後の取組について伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 西原議員にお答えいたします。
 令和三年七月大雨災害への対応についてのうち、危機管理体制の見直しについてであります。
 盛土に関する県の責任についてでありますが、今回熱海市の伊豆山地内において発生しました土石流災害の直接の原因は長雨蓄積型の豪雨でありますが、上流部で施工されていた盛土の崩壊が被害を拡大させたと推測しております。県内で二度と同じような災害を発生させないために、県として盛土に関する条例を厳しく改めることが必要であると考えており、発生原因究明作業チームと行政手続確認作業チームを立ち上げ事実関係の調査等を進めております。また三重県等の他県の条例を参考に速やかに抜本的な条例の見直しを行います。
 御質問の一点目、県と熱海市の指導と危険性の認識につきましては、届出面積を超える土地の改変や施工期間を超えた土砂の搬入等の行為に対し県並びに熱海市が再三にわたり法令等に基づく行政指導を平成二十二年十月まで行っていたという事実を確認しておりまして、土地所有者変更後の経緯につきましては現在調査を進めております。
 今後、現在に至るまでの事実関係が明らかになった段階で情報を全て公開し第三者による検証を行う予定であります。この検証の結果行政側の危険性の認識や対応につきましても明らかになるものと考えております。
 二点目、現在の条例の問題点の認識につきましては、今回の災害発生を真摯に受け止めると現在の条例は十分なものではなかったと考えております。
 三点目、県の行政責任につきましては、行政手続確認作業チームによる一連の作業の結果を踏まえ条例改正に反映してまいります。
 県といたしましては、盛土に対する県民の皆様の不安を払拭するため一刻も早く必要な調査を行い実態に即して条例がより厳しいものとなるよう、改正の手続を速やかに進めてまいります。
 次に、私の政治姿勢についての二つの御質問のうち、最初の政治姿勢についてであります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに関しましては、県はこれまでも常に国や大会組織委員会と緊密な連携を取り一体となって準備を進めてまいりました。またこれまでも国際オリンピック委員会  IOC、国際パラリンピック委員会  IPC、大会組織委員会、東京都、国による五者協議での決定について県は全面的に協力してまいりました。このたびの有観客での開催の判断は大会組織委員会が五者協議を経て有観客で実施できると判断したことでございますから、今回の自民改革会議の皆様からの要請は直接大会組織委員会に対してなされるべきと考えたものでございます。
 地元である伊豆市の菊地市長あるいは医療関係者からも県の対応を支持するお声が寄せられておりますので、今後も関係する皆様としっかり協力して安全・安心な大会運営に取り組んでまいります。
 次に、医師確保対策についてのうち、仮称総合医科系大学院大学についてであります。
 静岡社会健康医学大学院大学は、県民の皆様の健康寿命のさらなる延伸と県内医療水準の向上、医師をはじめとする有為な人材を確保していくことなどを目的に開学いたしました。今年度は十三名の医師を含む十九名の方々が入学され、学位の取得に向けて勉学に励んでおられます。
 一方、本県は人口十万人当たりの医師数が全国四十位という医師少数県であり、医師確保対策は県政の最重要課題の一つであります。これまで本庶佑先生を名誉学長とするふじのくにバーチャルメディカルカレッジにより全国最大規模の医学修学研修資金の貸与を進めてまいりました。この結果、県内医療機関に勤務する医師が令和三年四月一日現在五百七十八人となるなど成果を上げておりますけれどもいまだ十分とは言えません。さらなる医師確保と医療水準の向上に向け、優秀な医師を全国から呼び込み県内に定着していただくためには、医師にとってより魅力のある教育研究環境を整えていくことが重要であります。
 こうした観点から、県では医科系の博士課程を持つ大学院大学の設置が必要であると考えております。
 県といたしましては、引き続き静岡社会健康医学大学院大学の運営を支援するとともに、今後仮称総合医科系大学院大学につきまして設置に必要な条件や課題の洗い出し等を行った上で医療・教育機関などの皆様から御意見を伺う準備委員会のような場を設け検討を進めてまいります。
 次に、富士山における来訪者施設の整備についてであります。
 富士山は、世界の人々に愛され多くの来訪者が訪れる名峰であると同時に今なお息づく活火山でもあります。平成二十六年の御嶽山の噴火を教訓に、国内外から来訪される方々の命を守りながら富士山の美しい自然を守り、その価値を後世に継承していかなければなりません。
 本県側の代表的な玄関口である富士宮口五合目のレストハウスにつきましては、来訪者の安全確保や環境保全の拠点としての機能が十分ではありませんでした。そのため県では単なる既存施設の建替えではなく噴火時の一時避難や登山者の安全確保、自然環境の保全や文化的価値の情報提供などこれまでの施設にない新しいコンセプトによる施設の実現に向け落石や雪崩の影響を受けにくい候補地の選定や必要な機能等について検討を続けてまいりました。
 こうした中、本年三月に発生したレストハウスの火災を受け急遽富士宮市と連携し仮設トイレと休憩所を設置いたしましたが、議員御指摘のとおり国内外から来訪される大勢の方々をお迎えするためにも来訪者施設の一刻も早い整備が必要です。本県は山梨県とともに富士山の世界遺産登録を実現し、両県それぞれが制定した世界遺産富士山基本条例において富士山の保全に関する県の責務を明確にした上で登録後の保全や後世への継承の取組について中心的な役割を担ってまいりました。来訪者の安全確保や富士山の環境保全の拠点となる新たな施設につきましても県が主体となって国や地元自治体等と連携し整備を進めてまいりたいと考えております。
 現在、候補地の地質調査等の準備を進めているところであります。今後安全確保のためのシェルター機能や高度順応のための休憩スペース、五合目周辺の自然体験の活動拠点機能等々必要な機能を精査の上、国の交付金等の活用を図りながら落石や噴石等に耐えられる来訪者施設の早期実現を目指してまいります。
 世界遺産富士山は、その美しさや荘厳な姿からこれまでも世界中の人々を引きつけてまいりました。世界の宝である富士山にふさわしい安全で快適な拠点施設を整備することで富士山の保全を推進するとともに、富士山を拠点とした国内外からの交流の一層の拡大を目指してまいります。
 次に、突風被害に対する支援についてであります。
 牧之原市を中心として五月一日に発生した突風による被害は、狭い範囲に被害が集中した局所的なものでありましたことから国の支援制度が適用されず、大規模災害を前提とした既存の被災者救済制度が抱える課題を顕在化させました。住宅再建支援につきましては被害の程度によって支援の区分が決定されますことから、実態を正確に把握するため牧之原市と協力し詳細な現地調査を実施いたしましたところ、準半壊と判定された家屋におきましても公的支援が必要な相当程度の被害を受けていることが判明いたしました。
 このため、牧之原市を中心とした突風による家屋被害につきましては半壊及び準半壊家屋の補修や賃貸住宅への住み替えを支援の対象とする制度を創設いたします。
 また、農業用ハウスの被害につきましても国の支援対象とならない災害において被害を受けた農家にとって再建は大きな課題となっております。このためこれまで進めてきた施設園芸産地の強化の視点を踏まえ、産地の復旧、強靱化を図る新たな助成制度を創設し市町と協調いたしまして被災農家の再建を支援してまいります。
 県といたしましては、既存の制度に加え実態に即した制度の創設により被災者の皆様が早期に生活再建や生産活動の再開を図られますように全力で支援をしてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 令和三年七月大雨災害への対応についてのうち、類似災害防止策についてお答えをいたします。
 午前中の全員協議会において一時間の時間を頂き説明をする機会を頂いたこと、本当に感謝申し上げます。その際に申し上げましたが、ある一点だけ、例えば知事がだとか現場の職員がだとかそういうことを言って問題が解決するわけではありませんとはっきり申し上げました。そのことを踏まえて答弁をさせていただきます。
 土地の改変行為に伴う盛土につきましては、一般的には許可が必要で法令等の基準が定められ、それについて技術的に適切な審査がされ適切に施工されていれば基準で想定されている雨に対しては、例えば三十年に一回の降雨に対しては安全が確保されていると考えられます。
 しかし、基準を超える雨に対しては安全が確保されているとは言えません。ですから基準は守ってもらえば安全が確保できるのだとか、法令を守っていれば安全が確保できるのだとかそういうことはありません。今回の問題は法令を守っていない、しかも非常に厳しい雨が降ったということそれが現状であります。
 県では、類似災害を防止する観点から山間部で盛土高が十五メートルを超える大規模な盛土箇所や法令違反で現在指導を継続している箇所を対象としまして職員の目視による緊急点検に着手しており、県内の市町にも点検を要請したところであります。
 しかし、台風シーズン前に危険のある箇所に対して対策を講じておくことが必要という御指摘ですがそのとおりです。しかし現場には三現  現場、現物、現実があります。人海戦術は通用しません。
 従って、今回の災害を踏まえ今どうやったら現場が回って実効性のあることができるか、それを考えているところです。そういったことを踏まえてこれから取り組んでまいります。
 また、市町への技術系支援をせよ、技術的なアドバイスや人的支援が大事だということです。そのとおりです。県もやります。では技術的支援やアドバイスをやれば問題が解決するんでしょうか。現場はできないものはできないんです。
 点検の結果、問題があった箇所のうち工事を実施中の箇所につきましては法令等に基づき行為者に対して是正指導を行います。それ以外の箇所につきましては土地所有者や行為者に対して情報を提供し自主的な改善を速やかに行うよう促してまいります。
 しかし、現場は従っていただけるかどうか分かりません。したがってこのように現場で指導しても従っていただけないような場合も含めどういうふうにこれからやっていったらいいのか、行政が取り得る最大限の対応は何か、そこには限界があります。足りない部分については国とも連携しつつ法令から現場までシステム全体を考えることが必要です。
 なぜ今回の大惨事を防げなかったのか、システム全体を見直しシステムの再設計が必要だと考えています。そのために検証チームを置いているところです。早急に対応を検討してまいります。
 まず、この点については以上であります。
 次に、田代ダムの水利権の更新についてであります。
 田代ダムでは、水利権更新の機会を捉え関係者間で協議を行い、ダムからの放流量の設定をしております。平成十七年度の更新では国、県、流域市町、発電事業者が参加する大井川のこの協議会を重ねて取水に優先して放流される河川維持流量について科学的根拠に基づき算定し関係者の相互理解の精神で合意しております。平成二十七年度の更新では河川維持流量の放流による効果について五年間にわたり河川環境などのモニタリング調査を行い、協議会において平成十七年度の河川維持流量を踏襲することで合意をしております。
 調整には現場があります。先日、東京電力の田代ダムに伺いました。そのときに東京電力の水力部門の担当者はこう言っておりました。私たちは水力発電の水は血の一滴ですとはっきり言いました。先方は血の一滴なんです。我々静岡県にとっては命の水なんです。その命の水と血の一滴の中でお互いに協議をしながら合意形成をしているわけです。
 そういう認識の中で、県といたしましては関係者の努力の積み重ねにより成り立っている大井川の水利用が将来にわたって持続可能となるよう、大井川の水の適正な利用や保全に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 令和三年七月大雨災害への対応についてのうち、危機管理体制の見直しについてお答えいたします。
 危機管理体制の検証についてでありますが、黄瀬川大橋の崩落におきましては地域住民からの通報により警察が初期の交通整理に当たり、警察からの連絡を受けた土木事務所職員が約三十分後に現地でバリケードの設置を開始するなど初動対応を行ったところであります。
 県では、河川をまたぐ橋梁で水位が桁下に迫るなど道路利用者に危険が及ぶおそれがある場合に現地を確認の上通行規制を行っておりますが、今回の黄瀬川大橋の崩落時には現地を確認するまでには至りませんでした。今回の教訓を踏まえ黄瀬川大橋の崩落原因を究明することにより他の橋梁の安全確保につなげるとともに、河川の特性や橋の建設時期等を踏まえ事前の通行規制が必要な橋梁を抽出し、その規制の基準について検討してまいります。
 県といたしましては、異常気象時における道路利用者の安全確保が図られるよう日常の道路パトロールにおきましてこれらの橋梁を点検するとともに、交通規制などの初動対応を行うための連絡体制を改めて確認、徹底することにより危機管理体制の強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 太田危機管理部長。
○危機管理部長(太田博文君) 令和三年七月大雨災害への対応についてのうち、危機管理体制の見直しについてお答えいたします。
 報道発表の混乱についてでありますが、災害時の報道発表は初動時の救出救助活動から被災者支援、災害復旧に至るまで時々刻々と変わる現場の状況を踏まえ被害状況やその対応について適時適切に情報提供する重要な役割があると認識しております。
 災害時は、災害対策の指揮命令業務と対外的な情報発信、報道対応が両輪とも言える重要任務でありますので、本県では情報発信、報道対応を担う危機報道官を配置しております。なお県民への重要な発表については、知事が直接呼びかけ等を行うこととしております。
 現在のコロナ禍にあっては、防疫と防災の多忙な業務に対処するため危機管理監と危機管理部長の兼務を解消し分担して指揮命令に当たっております。このたびの土砂災害では対策に必要不可欠な技術的な分析について卓越した知見を有する難波副知事が特命的に陣頭指揮と技術的な情報提供を担っております。
 今後も災害時には現場の混乱や情報の錯綜が起こり得ますことから、情報の分析や共有を徹底し迅速かつ正確な情報提供に努めますとともに、危機管理体制の役割分担が災害時に十分機能しますよう、このたびの災害を教訓として検証や改善の検討も併せて進めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 天野政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(天野朗彦君) 知事の政治姿勢についてのうち、今後の財政運営についてお答えをいたします。
 県では、総合計画や行政経営革新プログラムの目標に実質公債費比率等の財政指標を掲げ、毎年度この指標で表される数値を評価、分析しながら健全な財政運営に努めてまいりました。
 実質公債費比率は、標準的な財政規模における公債費の割合を示し、この数値が一八%を上回ると県債の発行に当たり国の許可が必要となります。本県の令和元年度の実質公債費比率は一三・八%であり基準の範囲内で推移しております。
 経常収支比率は財政構造の弾力性を示す指標で、数値が高いほど財政の硬直度合いを示しますが本県と比較的産業特性の似た神奈川県、愛知県と令和元年度の数値を比較いたしますと本県が九七・一%に対し神奈川県では九九・六%、愛知県では九九・八%となっております。
 平成二十年のリーマンショックやその後の超円高などで県内経済が大きな打撃を受ける中、本県は積極的な財政出動や経済対策などで危機を乗り越えてまいりました。こうした中、実質公債費比率や経常収支比率などの財政指標は確かに厳しさを増してまいりましたが、数値そのものを分析してみますと必ずしも財政の健全性を損なうというところにまでは至ってはいないものと判断しております。
 実際、本県は平成十九年から複数の格付機関から格付を取得し毎年審査を受けておりますが、一貫して地方自治体の中で最上位の格付水準を維持しており、本県財政の健全性は第三者機関からも評価されているものと考えております。しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大により県税収入が大幅に減少する一方で災害対応、感染防止対策、医療福祉体制の充実、経済の再生などの行政需要は増大しており、本県財政は大変厳しい状況に置かれております。財政の健全化指標を中心に今後悪化が予想される財政状況を危機感を持って注視してまいります。
 財源確保に向けましては、県では地域主導型の経済政策フジノミクスの展開による個人消費の喚起やリーディング産業の育成などにより企業収益と県民所得の向上に重点的に取り組み、歳入の根幹である県税収入の増加につなげてまいります。また政策評価に基づく事業のビルド・アンド・スクラップにより歳出の抜本的な見直しを図るなど、引き続き財政健全化を示す指標等の推移に十分留意をしながら、歳入歳出の両面から徹底した財政改革に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長(石田 貴君) 医師確保対策についてのうち、県外から医師を呼び込む取組についてお答えをいたします。
 本県の医学修学研修資金の貸与につきましては本年四月一日現在で県内勤務の利用者が五百七十八名おりますが、そのうち県外出身者及び県外大学を卒業した県内出身者は合わせて三百二十七名に上っております。また地域枠につきましても県外大学に設置することにより十年後には三百五十名を超える県外大学卒業医師が県内で勤務することが見込まれております。この制度は本県にとって大きな意味を持つものでありますので、制度の見直しに対しては他県と連携し存続を国に強く働きかけているところであります。
 一方、若手医師は自身のキャリア形成を重視し優れた指導医が在籍する医療機関を選択する傾向が顕著なため、本県では令和元年度から指導医の招聘に取り組む病院への支援を行い、これまでに二病院三診療科で指導医の招聘ができ医師の確保につなげております。
 さらに、県医師会と連携して県内の就業を希望する医師と医療機関を結びつける静岡県医師バンクを本年一月から開始し六月末までに県外を含む五十名の方から相談を受けており、今後マッチングに向けた調整を進めてまいります。
 県といたしましては、引き続き県外から一人でも多くの医師を呼び込み、県民の皆様が安心して住み続けることのできる医療提供体制を構築するため医師確保を県の最重要課題の一つとして取り組んでまいります。
 次に、今後のワクチン接種の課題と対応についてであります。
 六十五歳以上の高齢者へのワクチン接種につきましては、今般被災した熱海市を除き七月末までに希望する高齢者への接種が完了する見込みとなっております。
 一方、六十四歳以下の接種を進めるに当たり市町の接種スピードに国からのワクチン供給が追いついていないことから、県内市町におきましては予約の一時停止や計画の見直しをせざるを得ない状況となっております。
 このため、今後の県の重要な役割は市町の接種計画へ可能な限り支障が生じないようワクチンを配付することであると考えております。
 現在、県では市町間でのワクチンを融通することができるよう各市町の接種計画や在庫量を調査しており、八月の国の配分計画で新たに都道府県調整分が設けられたことからこれを活用して市町と連携し効率的なワクチン接種に努めてまいります。なお接種終了まで数箇月程度かかることが想定され市町の集団接種会場において従事する医師、看護師等の不足が生じることも考えられますので、必要に応じて接種チームを派遣するなど円滑に接種が進むよう市町を支援してまいります。
 県といたしましては、希望される方への接種が滞りなく進められるよう引き続き市町を支援してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 三須経済産業部長。
○経済産業部長(三須敏郎君) 感染症により打撃を受ける中小企業への支援についてお答えいたします。
 県では、東西に県域が広くそれぞれの地域の感染リスクも一様ではない本県の特性を踏まえ、中小企業対策として県内一律の支援金よりも各市町の実情に応じた独自対策のほうが実効性が高いとの考えの下、昨年五月市町による独自の休業要請への支援として約三十億円の交付金を支給しました。本年に入ってからも多様な業種を対象とする支援を含めた地域経済対策として市町に対して三十億円の交付金を交付することとし、この取組を後押ししてきたところです。
 今般全国各地で断続的に感染の再拡大が続いていますが、感染収束が見通せない中この環境下においても売上を維持して事業を継続していただけるようそれぞれの企業に応じた本業への支援が重要と考えております。
 県では、既に昨年度企業の取組を後押しする補助制度を創設し、本年六月までに飲食店のテイクアウト事業や宿泊施設のワーケーション向けへの改修など約八百件、総額十三億円の申請を採択しました。事業者からの評価も高くこの八月から第六次の募集を開始いたします。小規模事業者向けの補助金も予算枠を大幅に拡大してこの二年間で約七億円とし、金融機関や商工団体と連携して幅広い業種と規模の企業を支援しております。これらの補助金につきましては例外的に補助金の大部分を前払いし、企業の資金繰りに配慮しているところであります。
 現在首都圏を中心に感染拡大が懸念されておりますが、県といたしましてはこうした補助制度を活用して引き続き多くの中小企業の本業支援を通じて事業継続を支えるとともに、今後とも地域の実情把握に努め必要な対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 大井川の水の保全についてのうち、大井川水量の現状認識についてお答えいたします。
 大井川では直近の五年間で八回、延べ日数で三百四十六日、最長で百四十七日もの取水制限が実施されており、水量につきまして足りているとは言えない状況にあると認識しております。また近年は集中豪雨が頻発する一方で雨の降らない日も増加していることからダムの貯水量の調整が難しくなっており、渇水リスクが増大しております。
 取水制限は、利水者と国、県などで構成する大井川水利調整協議会において決定しており、制限の初期段階では県民生活や経済活動に影響を及ぼさないようバルブ操作などの配水管理の徹底により対応しておりますが、さらに水不足が深刻化し節水率を高める場合には水道の節水や断水、工場の生産調整、かん水不足による農作物の収量減や品質低下などの影響が生じるおそれがあります。
 こうしたことから、協議会では井川ダムや長島ダムなどの貯水状況、降雨予報等を総合的に検証し、利水者の御理解の下、県民生活等への影響をできる限り軽減するため早めの取水制限を行うことを基本的な考え方としております。
 県といたしましては、日頃から利水者との信頼関係を構築し十分に連携を図るとともに、渇水リスクも考慮しながら適切な水利調整を行ってまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(細谷勝彦君) お茶振興対策についてお答えいたします。
 本年の新茶は四年ぶりに取引価格が上昇したものの生産量は低迷しており、茶生産者の経営は大変厳しい状況が続いております。
 こうした中、県では昨年度オープンイノベーションの手法で新たな需要の創出と生産構造の転換を目指すChaOIプロジェクトを立ち上げ生産者の所得の向上に取り組んでいるところであります。
 例えば、川根本町の茶農家ではツーリズム施設と連携し茶園景観を生かした新たな体験価値を提供するため、荒廃茶園を梅園に転換するプロジェクトに取り組んでおります。こうしたプロジェクトが既に五十六件立ち上がっており、今後は茶業研究センターに配置したコーディネーターを活用して優良事例を県内の茶産地に広め、生産者の収益改善につなげてまいります。
 また、コロナ禍におきましても緑茶の輸出は拡大しており、本県では海外に販路を持つ茶商工業者が県内の緑茶輸出の大半を担っていることから、こうした事業者と新たに有機栽培や農薬の低減に取り組む生産者とのマッチングを強化し、輸出に向けた緑茶の生産を拡大してまいります。
 県といたしましては、ChaOIプロジェクトを官民挙げて推進し生産者の経営安定と持続可能な茶業の発展に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 女性の活躍推進についてお答えいたします。
 本県における管理職に占める女性職員の割合は、直近の十年間で六・八%から一二・八%へと着実に上昇しているもののジェンダー平等を実現するためには女性の登用のさらなる推進が必要であると考えています。
 職員の管理職への登用に当たりましては、性別による区別なく管理職としてふさわしい職員を登用することを基本としておりますが、女性は出産や育児等により二十歳代後半から四十歳代前半の能力開発期に職場を一旦離れてしまう職員が多い状況にあります。こうした点をしっかりと踏まえ女性登用のための施策を講じていく必要があります。
 具体的には、勤務時間の弾力的な運用やテレワーク推進など家庭と両立しやすい職務環境の整備、女性職員に特化した研修による能力発揮支援やネットワークづくりの促進、部長級や局長級をはじめとする主要ポストへの積極的な登用を通じたロールモデルの明示、加えて若手女性職員に将来のキャリアアップに必要となる重要な職務経験を早期に積ませていくなど各種取組を進めてまいります。
 今後、多様な視点で施策展開を図り持続可能な発展に貢献する行政組織を構築するとともに、世界の共通の目標であるSDGsのフロントランナーを目指し幅広く女性活躍を推進する取組を一層加速してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 特殊詐欺撲滅についてお答えいたします。
 初めに、特殊詐欺被害の現状ですが本年六月末の暫定値で被害件数が百六十六件、被害額が約二億二千万円であります。前年同期と比べて二十一件、約一億一千五百万円減少しているものの高齢者の被害が約九割を占め依然として後を絶たない状況であります。
 手口の特徴は、本年に入りキャッシュカードをだまし取る預貯金詐欺が減少傾向にある一方、息子や孫をかたったオレオレ詐欺や保険料などの還付をかたった還付金詐欺が増加傾向にあります。
 県警察では、平成二十九年から電話機対策の推進、高齢者自らの警戒心・防衛心の醸成、現役世代へのアプローチを対策の三本柱としたしずおか関所作戦を展開しておりますが、本年度からはさらに特殊詐欺分析係を新設しまして日々変遷する手口や詐欺電話がかかってきた御家庭の場所や時間帯、被疑者が使用する金融機関情報など様々な情報を集約し、犯罪の傾向を多角的に分析して被害抑止を図っているところでございます。
 これまでの分析の結果、詐欺被害が多発する地域の傾向やテレビ媒体を通じた呼びかけの有効性が明らかになったことから、今後は関係機関と連携しまして新規CMの制作や詐欺電話多発時における注意喚起などメディアを通じた広報啓発活動にも重点的に取り組んでまいりたいと思います。
 また、議員御指摘の藤枝市と連携しました市民が主役の特殊詐欺撲滅作戦ではAI解析を用いた特殊詐欺対策サービスの実証実験を実施する予定でございます。これは電話通話中に特殊詐欺の疑わしい言葉を検出した場合、AIサーバーが判定をし親族などに対してメールや自動音声による通知を行うことで注意喚起を図るものでありまして、全国初の取組であると承知をしております。
 このほか、詐欺電話多発地域において被疑者に直接警告するためのインパクトあるプレート看板を設置するなど強力な対策を実施をし、効果を検証しまして他の自治体への普及も検討してまいりたいと考えております。
 県警察では、今後とも日々悪質・巧妙化する特殊詐欺の撲滅を目指し、県民・行政・警察が一体となった効果的な抑止対策を推進してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇)
○十四番(西原明美君) 御答弁を頂きまして、ありがとうございます。
 要望を一点、再質問を二点させていただきたいと思います。
 まず一点目、要望の件ですが大井川の水の保全についてのうちの田代ダムの水利権更新についてでございます。
 難波副知事から力のこもった御答弁を頂きましたが、多分この件は私が最初の質問ではなく、かつてもこの質問に対しての御答弁とさほど御返事が変わっていなかったように思えます。
 私の前段の質問の中に大井川の水量が足りているか、足りていないかという認識の中で県では大井川の水量は足りていないと思っている、その上でこの田代ダムの水利権に対して何か力強いメッセージが出せるのではないかと思っていたのですが、そのまま異議ありませんという言葉だけで更新をされている。それが平成二十八年度の水利権の更新でしたが、調べてみますと実はこの意見聴取に対して静岡県は異議ありませんですが、山梨県も同様にこの意見聴取がありまして、そこには異存ありませんとしながらもなおとして今後河川環境をより良好な状況に保つためにも水利用については地域の理解が深まるよう次の事項に配慮願いますと取水、日流量の厳守など二項目の要望を上げています。山梨と静岡の知事の大井川の水に対する思いの違いがこういったところで鮮明になっているのではないかなと私は思いました。
 知事は、選挙戦で命の水として戦ってこられたのであればリニアに対する水問題だけではなく同じ大井川の水に対して困っている流域の住民に真に寄り添った行動を取っていただきたい。次回更新が令和七年にございます。しっかりと協議を重ね、東電に対しても河川維持流量についてもしっかりと維持していただけるように取り組んでいただくことを強く要望させていただきます。
 当然、既に取得している水利権を変更することは大変簡単なことではないと分かっております。しかし、県の県民の意見をも含めた、そういった意見聴取に対する対応をしていただきたい、それを要望しておきます。
 再質問に移ります。
 知事の政治姿勢についての政治姿勢、私の質問に対して結局のところ若干責任逃れのような御答弁であったかと思います。
 そこで質問ですが、今回組織委員会と一体となっての判断だという御答弁でしたが、静岡県における自転車競技の開催においての有観客は七月八日のIOC、JOC、組織委員会、東京都、国の五者会議で採択された共同ステートメント、それぞれの地域の状況を踏まえ首長と協議の上、具体的な措置を決めるとされた方針に基づいて関係自治体連絡協議会において県より有観客での方針を表明したものと理解しております。
 ここで改めて伺いますが、今回の有観客の最終的な判断に県としての協議はなかったのか、また県の判断はなかったということなのか、それでよろしいのか伺いたいと思います。
 もう一点の質問でございます。
 医師確保対策についての、仮称総合医科系大学院大学について質問させていただきます。
 具体的な道筋が示されなかったわけですが、これまで知事は二〇〇九年に県東部地域に医大誘致を公約に掲げて初当選して以来二期連続で選挙公約に医大誘致を肝煎りで上げていらっしゃいました。今思えばそれから十二年間は据え置かれ、今回の十三年目に対して今の段階でこの状況を分かりながら必要な条件、課題の洗い出しということでおっしゃいました。これから検討を始めるということですけれども、実際国が医師の養成にかかる大学の設置を今認めていない中で大変難しいことだと思います。
 その上で掲げる仮称総合医科系大学院大学ができるまでには、最短何年かかると想定しているのか、またそれは知事の任期の中で達成されるものなのか、その点を伺っておきたいと思います。
○議長(宮沢正美君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 知事の政治姿勢について、お答えいたします。
 七月八日の大会組織委員会からの方針なんですが、これ開催方針ということで開催のですね、自治体が集まった  ウェブで開催したんですが  、そちらの協議会のほうに示されました。それでその内容が一都三県では無観客、それ以外のところでは有観客で開催するということでした。それに対して各都道府県の意見がありまして、それに基づいて最終的に組織委員会のほうが一都三県では無観客と、そのときは北海道は保留ということでそれ以外の県については有観客ということで決定したところでございます。
 その後どういったいきさつか分かりませんけれども、北海道と福島県が無観客になったという経緯で決定したところでございます。
 以上でございます。
○議長(宮沢正美君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長(石田 貴君) 仮称総合医科大学院大学についての再質問にお答えいたします。
 何年かかるかということでございますけれども、社会健康医学大学院大学につきまして平成二十八年度以降、五年間の歳月を要して今開学に至ったところでございます。
 今回の総合医科大学院大学につきましては、全国にまだ例を見ない施設でございます。初めての施設になりますので、今後、有識者等の意見も伺いながら検討を重ねていくと、その中で設置の時期についても具現化していければいいなというふうに考えております。以上です。
○議長(宮沢正美君) 西原明美君。
       (十四番 西原明美君登壇)
○十四番(西原明美君) ここで一点、要望をさせていただきます。
 ただいまの知事の政治姿勢の件ですけれども、今の御答弁ですと県との協議はなく、また県の判断はなかったということで御答弁頂いたかと思いますが、県の判断がなかったとしても県民を守るためには県が取るべき行動に対する要請、これを知事が受け取らない理由が見つかりません。静岡県民の生命、財産、そして安心・安全を守ることが県知事の使命であり、ノーサイドではないなどといった自らの評価を下げるような言葉を口に出し無用な対立姿勢を示すのではなく、この四年間を知事として県民の負託を得た以上は真摯にその使命に取り組んでいただくことを期待し要望といたします。以上です。
○議長(宮沢正美君) これで、西原明美君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩をいたします。
 なお、再開は午後二時四十分といたします。

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