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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤曲 敬宏 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 衆議院議員総選挙結果を踏まえた今後の川勝県政  
 (2) 次期総合計画の策定方針             
2 平成三十年度当初予算編成について         
3 今後の地域外交の展開について        
4 今後の観光政策について                  
 (1) 次期観光躍進基本計画                    
 (2) デスティネーションキャンペーン及び鉄道事業者との連携    
5 伊豆半島における津波対策の推進について            
6 将来を見据えた企業誘致戦略について              
7 住宅宿泊事業法施行に伴う県民生活への影響について       
8 成年後見制度の利用促進について                
9 県立高等学校の次期長期計画について              
10 インターネット社会の抱える諸問題について           
 (1) 自殺防止対策                       
 (2) 子供の性被害根絶に向けた取り組み


○議長(杉山盛雄君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、八番 藤曲敬宏君。
       (八番 藤曲敬宏君登壇 拍手)
○八番(藤曲敬宏君) 皆さんおはようございます。私は自民改革会議を代表して、当面する県の諸課題に対し知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、衆議院議員総選挙結果を踏まえた今後の川勝県政について伺います。
 知事は、七月の都議会選挙の後、知事会見において「地域が自立していくのに際し、政権の周りの人たちが優遇されている現状への不満、国と地方のあり方に対する不満が国中に充満しているように感じる。今回の都民ファーストの会の圧勝は、明らかに現在の自民党政権に対する厳しい批判であるというのが大方の見方で私もそう思っている」と述べられました。しかしながら知事のこのような見方に反して十月に行われた第四十八回衆議院議員総選挙では、自公政権が定数の三分の二の議数を占めて圧勝する結果となりました。この結果について国民の消極的選択、野党の敵失による勝利などといった偏った見方をする方もいますが、国民が安全安心を守る自公政権継続の訴えを支持したことは厳然たる事実であり、そのような国民の大きな期待を思うと身の引き締まる思いであります。
 一方、知事は六月の知事選挙において民進党県連の支援を受けて当選されましたが、前回の当選から二十万票以上得票を減らしました。また知事の支持基盤であった民進党は今回の衆院選で分裂し、躍進した立憲民主党に野党第一党の座を明け渡しました。今回の選挙戦直前の民進党候補の離党、合流、排除、分裂に振り回された県内地方議員や支援者はいまだにしこりと混乱が生じているように見受けられます。
 川勝知事におかれましては、そうした御自身の支持基盤の現状を踏まえつつ、結果として最大多数を占めた国民の声にも真摯に耳を傾けながらバランスのとれた県政運営に当たっていただきたいと思います。
 今後、安倍政権は安全保障、外交問題ほか結党以来の党是である憲法改正に向けた論議を加速化させていく考えを示しています。地方議会における我が会派としても安倍首相が第四次安倍内閣発足時の所信で述べられた、責任の重さを胸に刻み謙虚な姿勢で真摯に当たることを基本的な政治姿勢として国民の信託を得た政策の実現に向けて全力で取り組む所存でございます。
 そこで、知事に伺います。知事は今回の衆議院選における自公政権への信任という結果をどのように受けとめ、今後我が会派とどのような良好な関係を築きながら県政運営を進めていこうと考えておられるのかお伺いします。
 次に、次期総合計画の策定方針について伺います。
 次期総合計画静岡県新ビジョン、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりの基本構想及び基本計画案について、我が自民改革会議では去る十一月八日に川勝知事に提言書を提出しました。提言は今年二月に我が会派が総合計画に記載された事業、政策の柱を中心に評価を行った県政検証で指摘した事項や我が会派の江間議員が九月定例会の代表質問において指摘した四つの事項を盛り込んだものとなっています。
 基本構想に関しては、富士の国という表記の適否、静岡という言葉の持つブランド力の重要性、ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンなどの表現の適否、合計特殊出生率数値目標二などに象徴される将来の目指すべき姿と現実的な施策の成果目標の認識の違い、また地域の特性や政令市の権限に配慮した適切な圏域の設定などについて指摘しました。
 また、基本計画に対しては八つの政策体系ごとに津波対策施設の整備率などの目標設定のあり方、地域で支え合う長寿社会づくりの充実、少子化対策における新たな目標設定の必要性、若年層の県内労働力の確保、産業施策の成果指標の充実、再生可能エネルギー政策の将来ビジョンの必要性、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック後のレガシーの展望、世界に開かれた通商の実践に対する数値目標の明確化などについて指摘しました。次期総合計画の策定に当たっては、県民が静岡県の輝かしい未来の夢を描ける総合計画にしていただきたいと切に願っております。
 そこで、以上のような我が会派からの提案に対する反映状況と次期総合計画の今後の策定方針について伺います。
 次に、平成三十年度当初予算編成について伺います。
 県は、来年度当初予算編成に向けて去る十月十三日、次期総合計画の推進と健全財政の枠組みの堅持を基本方針とする編成要領を各部局に通知しました。あわせて公表された財政収支によりますと、財源不足は五百三十億円にも上り前年度から七十四億円拡大しているとともに、現時点で活用可能な基金残高は昨年の六百十七億円を大きく下回る百八十一億円となっています。このことから県財政は二〇%削減のシーリングを設定した前年度に増して危機的状況と言わざるを得ません。歳入確保努力に加えて大胆に歳出も削減しなければ、今後財政破綻を引き起こしかねないと考えます。
 一方で、編成方針では来年度が次期総合計画のスタートの年に当たることから重点施策を推進する経費等については各部局は所要額を要求することが認められています。またその他の経費においても徹底的な見直しを条件とはしているものの二十九年度の当初予算の部局総額を上限に要求可能としており、施策優先の姿勢が鮮明であるのは評価するものの一方で県財政に対する危機感を感じざるを得ません。
 現在、県政には人口減少、少子高齢化、地震・津波対策や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック等への対応など重要な課題が山積していますが、全ての分野で次期総合計画を着実に推進することは現在の財政状況を踏まえれば大変厳しいものではないかと思います。これから大変厳しい予算編成作業になると思いますが、地方財政運営を行う上で財政の健全化は大前提であります。今後この財源不足に対し昨年同様基金を活用し、不足分については政策的経費を中心とした事業見直しにより予算編成作業の中で捻出するという方針なのか、県民の貴重な税金を使う上でより県民の立場に立った選択と集中が求められていきます。
 そこで知事は、来年度の当初予算編成に当たり本県の財政状況についてどのように認識しているのか、また今後どのような方針で次期総合計画の推進と財政健全化の両立に取り組んでいくのか所見をお伺いします。
 次に、今後の地域外交の展開について伺います。
 知事は、平成二十一年の就任以来従来の国際交流から友好的互恵・互助を基本とする地域外交を県政の主要施策の一つに据え積極的に推進してこられました。その結果最近では、先月二日にインドネシア西ジャワ州との間で人材育成、経済分野に関する覚書が締結されたほか、これまでさまざまな国や地域との間で四十一もの覚書や協定が結ばれております。先月当会派でも重点相手国の一つである韓国を訪問してまいりました。その中で四年前に県と友好協定を締結した忠清南道を訪れ忠清南道議会議長を表敬訪問し、今後の両県道議会の交流についての意見交換を行うとともに静岡県産業振興財団と経済の分野で連携をしている韓国の国家食品クラスターであるフードポリスへの視察を行ってまいりました。
 結論として、忠清南道との地域外交の意義を改めて認識したと言いたいところですが、今回の韓国訪問で感じられたのは忠清南道議会との交流においては先方から今後の交流についての意見等があったものの余り本県との交流について積極的な姿勢が感じられませんでした。その他の視察等においても相互のメリットが見出せなく、このまま本県と忠清南道との交流を深化させていくべきかどうかよくよく検討すべき時期であると感じました。
 このように、本県の地域外交において覚書や協定の締結により交流地域の数は徐々に広がるものの、市町が行っている国際交流、姉妹提携のようにそれぞれが持つ歴史的背景や民間交流によって親善が深まりかたいきずなが結ばれるのに対し、県が行う地域外交は具体的成果が見えにくく県民が享受できる利益がわかりづらいという意見が上がっています。
 このため、今後の地域外交推進に当たっては県内企業の取引先の増加、観光交流客数や空港の就航路線の増加、留学生数の増加、県民の国際感覚の向上など具体的なゴールイメージを年次計画や成果指標などのわかりやすい形で県民に示すとともに評価、検証していく必要があると考えます。
 県では、今年度新しい総合計画の策定に合わせて地域外交基本方針を見直すと聞いております。
 そこで、今後の地域外交を交流を超えた外交と標榜するにふさわしいものとするためにはどのような基本姿勢の転換が必要と考えているのか伺います。また地域外交により県民が享受できる具体的な利益を今後どのように見える化していくかあわせて伺います。
 次に、今後の観光政策についてのうち、次期観光躍進基本計画について伺います。
 県では、次期総合計画の分野別計画として二〇一八年度から二〇二一年度までの四年間を計画期間とする次期静岡県観光躍進基本計画の策定を進めていると伺っています。今回策定する次期計画はその期間中にラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック、デスティネーションキャンペーンなど国内外から注目を集めるメガイベントがあることなどから、当然計画もそうした動きを踏まえたものになるであろうと期待しております。
 また、現在の観光基本計画となるふじのくに観光躍進基本計画が策定された平成二十六年から今日までの間において、アジアを中心としたビザ発給要件の緩和や中間所得者層の増加に伴う訪日外国人旅行者の急増、団体旅行から個人旅行への旅行形態の変化、体験型を求める旅行者のニーズの変化など観光の潮流は大きく変わってきています。さらにICTの進展やソーシャルメディアの普及などにより観光に関する情報の収集方法にも大きな変化が見られており、例えばスマートフォンで旅行関連の検索サイトを利用した検索数はいまや全体の七割にも及び過去五年で二・三倍に伸びています。
 また、訪日旅行客の六三%はインターネットで情報を収集しているとの調査結果が出ており、海外ではインバウンド事業におけるデジタルマーケティングの活用は当たり前となっております。次期計画ではこうした変化に的確に対応していく必要があると考えます。
 今後四年間にわたる県の観光施策の基本方針を示す具体的な素案が今月公表され、今後パブリックコメントなどを経て今年度中には計画が策定されると聞いております。
 そこで、県は次期観光躍進基本計画によってこれからの静岡県の観光施策をどのように変えていこうとしているのか伺います。
 次に、デスティネーションキャンペーン及び鉄道事業者との連携について伺います。
 平成三十一年四月から六月の間、静岡県、県内全ての市町、地元観光関連事業者及びJR六社が協働して我が国最大級の観光キャンペーンであるデスティネーションキャンペーン、いわゆるDCが開催されます。県ではDCの前後各一年を含めた平成三十年度から平成三十二年度の三年間をDC開催期間としており、この期間は期待をされる伊豆半島ジオパークの世界ジオパーク認定、ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催と重なることからこれまでのDCより、より誘客効果が大きく期待できるものと考えております。そうした中DC本番の成功に向けては来年度のプレDCでどれだけ本県への観光需要を掘り起こせるかが重要になってくるのではないでしょうか。
 また、このキャンペーンの特徴は何といってもJR各社と協働で取り組む点にあります。現在JR各社においてはJR九州の豪華クルーズトレイン「ななつぼし」など国内複数の鉄道事業者が豪華クルーズトレインの運行を始め非常に人気を集めています。伊豆半島においてもJR東日本の「伊豆クレイル」や東急電鉄、伊豆急行の「ザ・ロイヤルエクスプレス」が運転を開始しました。これが伊豆の観光、そして伊豆全体が発展していく起爆剤になるのではと地元では期待しています。こうしたクルーズトレインや季節の増発列車などは、今後国内の利用者だけではなくインバウンド需要を掘り起こすための魅力的なツールとしても活用できるのではないでしょうか。
 また、来年早々よりJR東日本では千葉県各地を中心とした、サイクルトレインと題しサイクルラックを常備した列車をJRの旅行商品としてスタートすると伺っており、将来的には自転車の聖地を目指す伊豆半島にも登場することが期待できます。
 以上のように、来年から始まるDCを機にJRを初めとする鉄道事業者としっかりと連携し観光誘客に取り組むべきであると考えます。
 そこで、デスティネーションキャンペーンに向けた機運醸成や準備にどのように取り組んでいるのか伺います。あわせてデスティネーションキャンペーンを契機とした鉄道事業者との連携について県の取り組みを伺います。
 次に、伊豆半島における津波対策の推進について伺います。
 いまや、ジオパークとして世界に誇る美しく変化に富んだ海岸景観や豊富な海産資源に恵まれ観光業や漁業をなりわいとしている伊豆半島沿岸では景観、観光、漁業との調和に最大限配慮した津波対策が求められることから、ハードとソフトの両面から地区の実情に応じた対策のあり方について合意形成を図るため、現在伊豆半島沿岸五市五町を五十の地区に分け県と市町と地元による地区協議会を設置しこれまで幾度となく丁寧に検討を重ねていることは十分承知しております。
 このような中、新聞等の報道にもありましたとおり先陣を切って本年十月十九日、熱海市の六地区のうち五地区で合意形成が図られ取りまとめられた津波対策の方針が公表され、翌月の十一月八日には伊東市の全十地区の方針が続いて公表されました。
 私も、地元である熱海市で開催された地区協議会に何度もお邪魔させていただきましたが、県や市の担当者や町内会関係者を初めとする地元の代表者の皆さんが改めてまちの将来を見詰め、さまざまな立場から現在の日常生活を守ることといつ来るかわからない津波から命を守るという非常に難しい選択に頭を悩ませながら意見を出し合っていました。そうして提案された多くの意見を集約し地区の実情に応じた津波対策として取りまとめ合意に至るまでには並々ならぬ御苦労があったことと、携わった関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
 そこで、このように合意形成を経て津波対策の方針が決定された地区においては今後どのように県として取り組んでいくのか伺います。
 また、残りの地区はこれまで長い時間をかけて協議会を開催してきたにもかかわらず方針決定ができないままです。それぞれの地区ごとにさまざまな事情があることが思料されるところでありますが、公表に至っていない地区の現在の状況と今後の見込みについて伺います。
 次に、将来を見据えた企業誘致戦略について伺います。
 経済産業省が十月三十日に発表した平成二十九年一月から六月――上期の製造業等の工場立地動向調査によると、企業が工場を新増設するために静岡県内の用地を取得した件数は前年同期比十一件増の四十件で都道府県別で二年連続一位になったとのことであります。内訳として県と市町が開発を進める内陸フロンティア推進区域内の用地への立地が七件と前年同期比六件ふえたほか静岡県外に本社を置く企業の立地も全国三位の十三社と増加が目立っています。東名や新東名などを活用できるアクセスの優位性や防災先進県の取り組みの浸透に加え、昨年春から県東京事務所の企業誘致担当職員を倍増して対応した企業訪問などが功を奏したと考えられます。
 今後は、雇用の拡大を期待するのは当然ですが、いかに新たに誘致した企業と県内中小企業を結びつけ結果的に地域に経済波及効果があらわれるように誘導できるかが鍵であると考えます。その意味では新たな企業が進出したエリアにおいて地元中小企業との取引状況を県としても十分に把握し評価すべきであります。また今後の本県の経済発展のためには、成長が期待される医療機器製造や環境関連などの企業を積極的に誘致することも必要であると考えます。
 そこでお伺いします。県は新たな投資を呼び込むため企業立地補助金制度を改正したと聞いていますが、本県の経済を持続的に発展させていくためには地元企業との連携、技術革新による産業構造の変化などを意識した将来を見据えた企業誘致戦略を立て、さらなる誘致を進めていくべきと考えますが県の所見を伺います。
 次に、住宅宿泊事業法施行に伴う県民生活への影響について伺います。
 二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けて急増する訪日外国人の受け皿として、一般住宅に有料で客を泊めることを許可する住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が今年六月十六日に国会で可決成立し来年六月十五日より施行されます。民泊をめぐってはこれまでも無許可でマンション等を使い外国人観光客の受け入れを行い騒音やごみの管理など周辺住民へのトラブルが発生したこともあり、市民生活への悪影響を懸念して北海道や京都市などが条例による営業制限を検討していると聞いています。
 政府は、民泊普及のために自治体による規制を最小限に抑える方針のようですが、条例等で規制を行わない場合、地元住民への事前説明の義務や営業者が施設に在住しなくても営業ができるため住居専用地域などでの民泊が可能になり県民の生活環境を脅かす懸念を含んでいます。実際国会でも施行に当たり民泊の実態についてはさまざまな問題を含んでいることが認識されており、適正な運用がされるよう宿泊日数等の実態把握を行い違法民泊の取り締まりに努めること、周辺住民の不安を取り除くため安全、衛生管理、防火、騒音等の対策について万全を図ることなど幾つかの懸念事項に対して附帯決議の中で求めています。
 現在、条例制定を目指している京都市の場合、こうした不安を払拭するため緊急時でも宿泊施設に迅速に駆けつけられるよう客室からおおむね八百メートル以内、かつおおむね十分以内の範囲に事業者か管理者が駐在するように求めています。また住居専用地域では生活環境を守る目的で営業は閑散期の一月から二月に制限する、また独自の規制として民泊施設にも旅館業法に基づく宿泊施設と同程度の衛生設備基準を適用するなど厳しく規制する方向で検討していると聞いています。
 同様に、北海道においても条例素案では地域の生活や子供たちに影響があると考え民泊が制限できる地域を住宅専用地域、ホテルなどがない小中学校の周囲百メートル、別荘地、道路事情がよくない地域の四つに分類し市町村の意向を聞いた上で区域を定めるとしています。また家主居住型については条例の規制対象に含めないとも聞いています。
 本県においても、地域住民の生活環境を守る観点から住居専用地域での民泊事業の実施は極力制限することが望ましく条例で制限を加えることが必要であると考えます。また法施行まで残り半年と時間は限られていますが、既に京都市や北海道などのように条例の素案を作成し準備を進めている自治体もある中、県として万全を期す必要があります。
 そこで、来年六月の法施行に向け観光立県としての対応のおくれに懸念を持っておりますが、今後の進め方について県の所見を伺います。
 次に、成年後見制度の利用促進について伺います。
 認知症や障害により判断能力が十分でない方について、後見人が本人の意思を尊重し心身の状態や生活の状況に配慮しながら財産管理や身の上の監護などを行う成年後見制度の利用の促進は、高齢化が進行する我が国において大変重要であります。また障害のある方を子供に持つ親御さんにとっても、親亡き後の支援体制を整えるために有効な制度であります。しかし本県の同制度の利用者数は平成二十六年が五千四百三十九人、平成二十七年が五千六百八十八人、平成二十八年が六千三十七人と年々増加しているものの、認知症の高齢者数は約十万人と推計されることから成年後見制度を利用されていない方が多く存在していると考えられます。
 このような中、判断能力が十分ではない方を社会全体で支え合うことが喫緊の課題であることから昨年成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行され、同法に基づいて成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。その計画の中で都道府県においては都道府県下の各地域の連携ネットワーク、中核機関の整備やその取り組み状況を継続的に把握するとあり、さらにとりわけ市町村独自で利用促進が難しい市町村に対する広域連携の推進、家庭裁判所や弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等の専門職団体との連携等において都道府県は役割を果たすことが求められているとうたわれています。
 既に、県内においては七つの市町において司法書士の一部が行政からのサポートもない中で相談事業を開始していたり、静岡市では社会福祉協議会において今後司法書士、弁護士、社会福祉士の専門職による相談事業の準備をしていると伺っています。相談に関する事業は一番簡易に実現でき、かつ今後の後見制度利用促進に当たり核となるものと言えます。このように後見人のなり手不足に備えた市民後見人の育成やその後の活動の支援、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築など、どの地域に住んでいても成年後見制度を必要とする人が円滑に利用できるような体制を整えることが求められています。しかし県内市町の取り組み状況には既に差が生じ始めています。
 そこで、県の役割は広域的な見地から市町を支援することにあると考えますが、成年後見制度の利用促進を図るためどのような取り組みを進めているのか伺います。また利用を促進するためには制度の利用を必要とする方やその家族、関係者などに対する十分な普及啓発が必要だと思われますが、県の所見をお伺いします。
 次に、県立高等学校の次期長期計画について伺います。
 人口減少、少子高齢化の進行やグローバル化、情報化の進展など社会が大きく変化する中で大学入試改革、新学習指導要領の施行、いじめ、不登校の増加など教育においても激動の波が寄せています。
 このような中で、県教育委員会では今後十年間程度を見通した次期の長期計画である県立高等学校第三次長期計画を策定していると伺っています。先般の新聞報道などでもこのことは大きく取り上げられ、県民の関心の高さや高校改編に対するさまざまな声も聞かれました。賛否の大きく分かれる高校の統廃合に関してはそれぞれの地域の特性もあり、ぜひ今後の地域関係者との協議を十分に行い地域の合意形成を図っていただきたいと思います。
 高等学校の三年間は、その後の進路、人生を決めるに当たり大きな影響を与える大事な時期であります。また将来的に生徒を受け入れる産業界、経済界は特に最近の人手不足の中では有能な人材を輩出していただきたいと切に願っており県立高校に対しては大きな期待を寄せています。これからの変化の大きな時代においては、県下に数ある県立高校がそれぞれの特色を打ち出し魅力あふれるものとなっていくようにすることが高校生にとっても地域にとっても必要であると考えます。
 先進的な例を挙げますと、私の地元の県立熱海高校ではホテルのフロント業務や客室の準備などを高校生だけで行う高校生ホテルという取り組みがあります。この取り組みは高校生が実際の宿泊客に対してサービスを提供することで本物の体験をし、そこから多くのものを学び成長する大変意義のあるものだと思います。こういった取り組みこそが魅力的な特色となり地域社会の求めていく学校像になっていくのではないでしょうか。
 このように、生徒や地域社会の多様性に応えるような高校にしていくためには、まず今後を見通した計画が必要であります。計画策定に当たっては県民意見を募集したとも聞いておりますので、ぜひとも県民の声もよく聞いた上で計画を策定していただきたいと思います。
 そこで、現在策定中の次期の長期計画においてはどのような方向性を掲げていくのか、またそれに基づいて今後どのように取り組んでいくのか教育長に伺います。
 次に、インターネット社会の抱える諸問題についてのうち、自殺防止対策について伺います。
 先般、神奈川県内のアパートで九人の遺体が発見されるという事件が起こりました。殺害の容疑で逮捕された犯人はソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSを通じて自殺に関心を持ったとされる被害者に近づき知り合った被害者を殺害したと見られ、その中には複数の高校生が含まれていたとの報道がありました。大変痛ましい事件であり、改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。
 このような折、県は本年十一月八日に自殺対策について有識者や関係機関が話し合う静岡県自殺対策連絡協議会を開催し、平成二十九年度から平成三十三年度までの五カ年の第二次静岡県自殺総合対策行動計画の素案について協議したと伺っております。この会議で、神奈川県内で起こりました殺人事件においてSNSで自殺願望をほのめかす内容の書き込みをした若者が狙われたことについて委員から意見が出たとのことであります。
 新聞報道では、事件に巻き込まれた若者は自殺をほのめかしたり自殺関連のサイトにアクセスした形跡があったとのことですが、一方で自分の気持ちを真剣に受けとめてくれる人を探し悩みを吐き出すためツイッターで発信したのではないかとも言われています。委員からはSNSなどの時代に沿った自殺防止の取り組みの必要性やインターネットを活用した相談窓口の周知の必要性など、ICTを活用した自殺対策の強化に対して指摘があったとのことであります。
 県では、現在計画を策定しているところであるとのことですが、委員から指摘のあったICTの活用について次期計画にどのように反映される見込みなのか伺います。
 また、政府も十一月十日には、座間市の事件を受け年内をめどに再発防止策を取りまとめる方針で徹底した捜査による全容解明と関係省庁による情報共有、自殺に関する不適切なサイトや書き込みの削除や制限の強化、自殺願望を発信する若者の心のケアの対策の充実の三点を指示したとのことであります。またツイッターの規制なども検討し、直ちに実施できる対策があれば防止策の取りまとめを待たずに採用するとのことでありました。
 県におきましても、早急に現在の時点で行える再発防止策について関係部局連携のもと対応していただきたいと考えますが、その意思はあるのか伺います。
 次に、子供の性被害根絶に向けた取り組みについて伺います。
 近年、コミュニティーサイトが入り口となり犯罪に巻き込まれる子供が急増しています。座間の事件においても、自殺に関心を示した被害者に対しこうしたSNSを通じて言葉巧みに近づいたと言われています。警察庁によれば、全国でコミュニティーサイトを利用して犯罪に巻き込まれた十八歳未満の子供は本年上半期で過去最高となる九百十九人を記録しその被害者の九五%が少女であり、また児童買春や児童ポルノなどの性犯罪が被害の大半を占めているということであります。
 子供の性被害防止については、これまで関係機関が連携しさまざまな取り組みを推進してきたと承知していますが、コミュニティーサイト等の利用に起因して性的被害に遭う子供の増加、児童ポルノ画像の流出、都市部を中心として子供の性に着目した、いわゆるJKビジネスと呼ばれる営業が次々とその形態を変えて出現し県内でもその進出が認められていると聞いています。さらに子供の日常生活にインターネット利用が深く浸透している中、保護者からの自立傾向が高まる思春期に重なることなどから保護者による管理が難しく、またインターネット利用における危険性の判断が児童自身に委ねられているケースが多々認められるなど子供の性的被害をめぐる情勢は大変深刻な状況です。
 こうした状況を踏まえ、本年四月犯罪対策閣僚会議では子供の性被害防止プランを決定、これを受け警察庁が都道府県警察に対して対策の強化を指示したと承知しています。児童つまり子供の性被害をめぐる環境が大変厳しい現状にある中、その性被害の根絶を図るためには県警察の取り締まりはもちろんではありますが、児童の性的搾取などが貧困、児童虐待等の児童を取り巻くさまざまな要因が絡み合って発生していることを鑑みると教育関係機関を初め各種団体等と連携した被害児童の早期発見や支援が重要であると考えます。
 県警察では、このたび子供の性被害根絶プログラムを策定したとのことであり、ぜひともその主導的な役割に期待をしております。
 そこで、本県における児童買春や児童ポルノを初めとする子供の性的搾取等に係る現状及び子供の性被害の根絶を図るための県警察の取り組みについて警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 藤曲議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、衆議院議員総選挙結果を踏まえた今後の県政についてであります。
 さきの衆議院議員総選挙の結果は、多くの国民が現状を追認したものであると受けとめております。野党勢力が総選挙期間中に分裂するなど混乱をきわめました。政権交代の受け皿とはなり得ないという状況の中で与党の自民・公明両党が三分の二の議席を獲得して勝利し引き続き政権を担うこととなったわけであります。
 安倍政権の中枢、安倍晋三総理は政治家としてまた党是としても憲法改正を使命とされていることは御承知のとおりであります。憲法改正には第九章第九十六条によりまして国会議員の三分の二以上の賛成を得て国会で発議して、そして国民に提案し国民の意見を国民投票を通して二分の一以上の過半数を得て初めて改正ができるというふうになっております。その条件が整ったということじゃないでしょうか。目下のところ一番の関心は第二章第九条の戦争放棄の条項にあります。しかしながらこのたび天皇陛下の御退位、また新天皇の御即位の日程も報道されるようになりまして第一章第一条の条項も極めて重要であると存じます。すなわち天皇は日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であってこの地位は主権の存する国民の総意に基づくと書かれておりますが、その象徴について考えるべきときが来ているということではないかと思います。
 さらに、第八章地方自治に関しましては私ども地方自治をあずかる者にとって抜き差しならぬ問題です。第八章はこれ九十二条から九十五条、四条でございますがすけすけの条文でありまして、地方自治の本旨についても書かれておりませんしほとんど中央集権の中での地方自治という条項ではないかと思います。
 こうした中で、今後私どもは憲法の改正が視野に入った中で国の形について考えるべきときを迎えているというふうに考えております。安倍政権には謙虚な姿勢で政権運営に努めていただくとともに、安全保障、外交問題や国民誰もが真の豊かさを実感できる経済、社会保障制度など我が国が直面する重要課題に全力で取り組んでいただき着実に成果を上げていただくことを期待いたします。
 私は、知事就任以来これまで九年あずかってまいりましたけれども、県議会の各会派はもとよりいずれの政党に対してもノーサイドあるいはオールサイドの姿勢を貫いてまいりました。先月二十一日には議員会館におきまして本県選出の国会議員の皆様との意見交換会を開催いたしました。次期総合計画の策定や本県の重点施策の進捗状況と今後の展開につきまして意見を交わし、お互いの信頼関係を深めることができたと思います。今後とも政権与党の皆様とも連携し国の御支援、御協力もいただきながら全国のモデルとなるふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 また、自民改革会議の皆様を初め県議会の皆様とはともに二元代表制を担う立場としての緊張関係を保ちながら、互いの意見の違いを尊重し党派を超えて堂々と政策論を展開し県民にとって最善の結論を導き出せるようこれまで以上に建設的な関係を築いてまいりたいと考えております。
 今後とも、主役は主権在民ですからオール県民であるとの視点に立ちまして県民の安全・安心、福祉の向上、県民幸福度の最大化に向けまして県議会議員の皆様と力を合わせ誰もが努力をすればみずからの夢を実現し幸せを実感できるドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点づくりに取り組んでまいりたいと考えておりますので、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、次期総合計画の策定方針についてであります。
 総合計画は、県づくりの基本方針を提示することによって将来に向けて目指す姿を県民の皆様と共有しともに地域づくりを進めていく基礎となるものであります。今後十年を展望いたしますれば、本県は人口減少、超高齢社会の到来、地震災害への備えなどさまざまな課題に直面する一方、グローバル化の一層の進展や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催に伴い世界との交流も拡大してまいります。
 次期総合計画では、直面する課題を克服し世界から見た静岡県という視点に立ちます。静岡というローカルな大地を見失うことなく常に目は世界を見ている、グローバルとローカルとを一緒にしたグローカルという言葉がございますがそうしたグローカルな視点に立って県民の皆様の豊かな暮らしを実現する、世界の中の静岡県と言われるようなそうした県づくりの羅針盤を今考えているところであります
 自民改革会議の皆様から計画案に関して七十項目に及ぶ貴重な御意見をいただきました。感謝申し上げます。いただいた御意見は傾聴に値します。その全てを反映するべく計画の策定を進めているところであります。
 基本理念は、富国有徳の美しい“ふじのくに”づくり、静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にというものであります。静岡県を明記した上でふじのくには県民の皆様にもう既に定着している平仮名といたします。そして誰もが努力をすれば人生の夢を実現し幸せを実感できる地域をつくるという考え方を県民の皆様と共有できるようわかりやすい記載に努めてまいります。
 また、基本構想におきまして目指す将来の姿を思い描けるよう自分が望む数の子供を産み育てられる社会になど理想の姿の具体的イメージを掲げ続ける一方、基本計画では当初の四年間における施策の効果をはかる成果指標を設定し将来の目指すべき姿と現実的な施策の成果目標をそれぞれ明確に区別してまいります。
 地域圏につきましては、人口減少、少子高齢化が進む中におきましても自立可能な一定の人口規模を備え自然的、社会的条件から一体感のある地域形成が期待できる四つの地域といたします。地域づくりを進めるに当たりましては政令指定都市が二つございます。政令指定都市とも権限の配分を踏まえた適切な役割分担をしながら地域全体の発展につながるように大都市制度のあり方についても協議を続けつつ連携、協働してまいります。
 さらに、基本計画につきまして数多くの具体的な御意見をいただいております。地域で支え合う長寿社会づくりにおける活動指標や次世代産業の創出と展開における成果指標の充実など、御意見を反映いたしまして施策や数値目標の改善を目下行っているところであります。
 今後とも、県議会や総合計画審議会の皆様を初め県内各界各層の皆様方から御意見を賜り県民の皆様が輝かしい未来の夢を描けるような総合計画を策定してまいりたいと考えておりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、平成三十年度当初予算編成についてであります。
 来年度の当初予算編成に当たり試算した財政収支では、地方の一般財源総額が前年度と同額に据え置かれる中、社会保障関連経費等の義務的経費が増加することなどによりましてこのまま平成二十九年度当初予算並みの予算編成を行った場合には前年度を七十四億円上回る五百三十億円の財源不足額が生ずるものと試算をしております。
 また、現時点で財源不足を補うために活用できる基金の額は百八十一億円であります。財源不足額に対して大幅に不足している状況にございます。議員御指摘のとおり、例年にも増して厳しい状況下での予算編成になるものと認識をしております。
 このような状況の中で、来年度から次期総合計画、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりがスタートいたします。私は将来を見据え、財源が限られた今こそ勇猛果敢に人づくり・富づくりに向けて取り組んでいくべきであると考えております。特に将来の財源の涵養に資する富を創出する施策に積極的な展開を図るよう各部局長に強く指示を出したところであります。
 具体的には、新成長産業の育成、農林水産業のルネッサンス、その競争力の強化、グローバル人材の育成など本県経済の持続的な成長を促し富を創出する分野に注力することに加え、中小企業の経営力向上に対する支援など弱いところ、小さいところにもしっかりと目を行き届かせてきめ細かな対策をとることで企業収益や県民所得の向上を実現し県税収入の増加につなげてまいります。
 一方、厳しい予算編成になることは疑いありませんので既存の事業の大胆なスクラップによる歳出の見直しや財源の確保にこれまで以上に取り組んでまいります。
 次期総合計画の着実な推進によって、本県の人と物の豊かさが富を生み、ひいては将来にわたり安定的な財政基盤の確保につながるよう富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりと財政健全化の両立を実現してまいります。
 次に、今後の地域外交の展開についてであります。
 本県が進める地域外交は、友好的互恵・互助、善隣外交の精神に基づく地域レベルでの国際交流、国際協力であります。これまで中国浙江省を初めモンゴル国ドルノゴビ県、韓国忠清南道などの友好協定締結先を中心に経済、教育、文化、観光等幅広い分野において交流を進めてまいりました。
 先月は、友好提携三十五周年の記念事業の一環として総勢四百六十五人の代表団で浙江省を訪問いたしました。交流深化に関する共同宣言を行った記念式典、また華やかな交流会などを通じ長年にわたる交流の広がりが両県省の人々の心を一つにしていると実感する機会でありました。それとともに、こうした友好の積み重ねが本県の地域外交をより深めてきたのだと考えております。
 韓国との交流では、来年忠清南道との友好協定締結が五周年を迎えます。幅広い分野で着実な自治体間交流を進め浙江省のような成功事例に結びつけていきたいと考えております。韓国全体とは韓国の国家食品クラスターであるフードポリスとの連携などを通じまして本県食品産業の通商拡大を図るとともに、日韓の平和外交の象徴としてさきにユネスコ世界の記憶に登録されました朝鮮通信使に縁のある興津清見寺などの文化資源を生かして本県の魅力ある情報発信などを進めてまいります。
 これらの友好交流締結先を核といたしまして、その交流の輪が国全体に広がることにより交流人口の拡大、また平和の確保につなげてまいります。県民の皆様には地域外交の成果をより実感していただき見える化をしていくために、通商推進プロジェクトチームにおきまして県産品の販路拡大や観光交流の拡大など分野ごとに部局を超えた関係各課によるタスクフォースを設置いたしました。県が一体となって幅広く通商の推進に取り組もうということでございます。
 こうした取り組みの成果もあらわれつつありまして、例えば韓国では駐在員事務所による現地食品展、商談の支援を通じ茶そばやワサビ等の県産品の輸出に結びつきました。そのほか台湾では災害用トイレ、長期保存食などの防災用品の商談が成立いたしました。こうした成果が着実にあらわれてきていると考えております。
 現在、次期総合計画の策定に合わせまして重点的に取り組む分野や交流を進める国・地域など地域外交基本方針の見直しを進めております。これまで本県が進めてきた海外の自治体との相互の信頼関係に基づく揺るぎのない交流は地域の、ひいては国民、国家の利益につながるなど非常に大きな意義があるものと考えております。地域外交の基礎となる友好的互恵・互助に基づく善隣外交などの基本理念は見直し後の基本方針におきましても継承してまいります。
 加えて、新たに国・地域ごとの成果目標をお示し申し上げるとともに、地域外交の取り組みや成果等につきましては県民だよりや県のホームページなどを通じまして引き続き広く県民の皆様にお知らせをしてまいります。
 今後とも、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受し実感できますように積極的に地域外交を推進し、国際的に一層存在感のある世界の中の静岡県、地域づくりを目指してまいります。
 次に、今後の観光政策についてのうち、次期観光躍進基本計画についてお答えいたします。
 本県は、今後デスティネーションキャンペーンの展開に加えラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックが開催されるなど世界に向けて本県の魅力を発信する絶好の機会が到来をしております。このため次期観光躍進基本計画の策定に当たりましては、議員御指摘のさまざまな状況変化も踏まえ三つの基本方針を立てております。
 第一、国際競争力の高い観光地域づくり、第二、観光客の来訪の促進、第三、観光人材の育成と来訪者の受け入れ環境の整備であります。これらの基本方針のもとに本県が国内外から選ばれる旅行目的地となるための施策を推進してまいります。
 若干具体的に申し上げますれば、第一の国際競争力の高い観光地域づくりにつきましては県内各地において設立が進むDMOを核といたしまして農林水産業者、商工業者、住民などさまざまな地域の主体と連携し社会総がかりによる観光地域づくりを推進してまいります。また近年人気の高いアウトドアツーリズムなどの自然を生かした体験型観光を推進し、旅行目的地としての魅力の向上や来訪者の滞在期間の長期化を図ってまいります。
 第二の基本方針、観光客の来訪促進につきましてはこのたび日本版DMOに登録された静岡ツーリズムビューローが本県のインバウンド施策の司令塔となりまして、マーケティング戦略に基づきながら中国、台湾、韓国など現在の主要市場を伸ばしつつ新たに欧州、米州、豪州などからの誘客に取り組んでまいります。
 また、観光客の個人旅行化が進んでおります。またニーズも変化しております。これらに対応しSNSによる本県の魅力の発信やビッグデータのアクセス分析を生かした商品づくり、さらに外国人向け体験型旅行商品サイトでの情報提供などにより国内外から質の高い旅行者の来訪を促進いたします。
 第三の基本方針、観光人材の育成と来訪者の受け入れ環境の整備につきましては静岡ツーリズムビューローや県立大学と連携し観光地域づくりを担う中核人材を育成するとともに、ユニバーサルツーリズムの推進や景観に配慮した観光施設整備、無料WiFi環境の整備、地域の魅力や防災関連の情報提供等々を行うことで誰もが安全・安心で快適に旅行を楽しめる受け入れ環境の整備を進めまして観光地域として持続的な発展を目指してまいります。
 以上申し上げましたようなこれらの施策を通じ、住民も来訪者も地域に愛着と魅力を感じ国内外との活発な交流がにぎわいを生み出す「住んでよし 訪れてよし」を実現いたしまして、本県が誰もが幸せを感じることのできる地域となるように取り組んでまいる所存であります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長、警察本部長から御答弁を申し上げます。
○議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 今後の観光政策についてのうち、デスティネーションキャンペーン及び鉄道事業者との連携についてお答えいたします。
 平成三十一年春のデスティネーションキャンペーン、いわゆるDCは実に十九年ぶり三度目の本県開催となります。従来のイベント中心の観光キャンペーンから転じ、今回は観光事業者に加え商工業者、農林水産業者など幅広い多様な関係者が連携し地域が一体となって世界水準の観光地域をつくり上げ新たな観光需要を創出してまいります。
 来年五月には、DCの成功の鍵を握ると言われております全国宣伝販売促進会議を静岡市内で開催し、全国から参加した八百名以上の観光関係者に対して観光商談会、レセプション、エクスカーション等により本県の魅力を大々的にアピールし翌年の本番年に向けて旅行商品の造成を促進します。あわせてJRグループの広報媒体をフルに活用した宣伝により旅行者の本県への旅行意欲を喚起してまいります。
 今議会において補正予算案をお諮りしておりますが、JR東海及びJR東日本管内主要駅へのプレDC用パンフレットの配架の前倒しなど開催準備業務を加速させるとともに、特設ホームページやキャッチフレーズとロゴマークを活用した情報発信により県民への機運醸成を図ってまいります。
 さらに、DC開催を通じ観光地へのアクセス交通の充実を図るため県内の鉄道、バスなどの交通事業者と連携したフリーきっぷや周遊プランの造成を促進するとともに、訪れる旅行者が魅力的で個性豊かな鉄道の旅を楽しめるようDC期間中の特別列車の運行についても鉄道事業者に対して働きかけてまいります。
 このような、DCを契機とした鉄道事業者との連携やDMOを核とした観光地域づくりの取り組みをDC終了後も継続しレガシーとすることにより観光誘客を通じた本県の交流人口の一層の拡大を図るとともに、持続的な発展や真に豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指してまいります。
 次に、住宅宿泊事業法施行に伴う県民生活への影響についてであります。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催を控え、急増する訪日外国人旅行者の宿泊需要や多様化するニーズに対応するため国は住宅において宿泊営業を行う、いわゆる民泊について一定のルールを定めた住宅宿泊事業法を本年六月に制定いたしました。この法律では住宅宿泊事業に起因する騒音の発生等による生活環境の悪化を防止するため、特に必要があるときは合理的に必要と認められる限度において区域ごとに住宅宿泊事業を実施してはならない期間を条例で定めることによりその実施を制限することができるとされております。
 このため、県は市町に対して法律の制定趣旨や内容等についての説明会を開催するとともに、庁内関係各課から成る条例制定等検討会を設置するなど庁内体制を整えたところであります。今後国が示すガイドラインなども踏まえ、地域の実情などを把握している市町や関係者からの意見を伺いながら条例の制定についてその必要性も含め早急に内容を検討してまいります。
 また、来年六月十五日の法施行に向け県民に対して住宅宿泊事業の仕組みを周知するほか、民泊サービスの適正な運営に必要となる事業者の届け出の受け付けや指導監督の体制確保などにスピード感を持って的確に取り組んでまいります。
 県といたしましては、国内外からの観光客の多様化する宿泊ニーズに対応し誘客の促進と滞在の長期化を図るとともに、県民の生活環境の悪化を招くことがないよう市町や関係団体と連携して健全な民泊の普及に努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 伊豆半島における津波対策の推進についてお答えいたします。
 伊豆半島沿岸では、津波防災と景観、観光、漁業等日々の暮らしが調和した津波対策のあり方について各地区で議論を重ねてまいりました。このうち熱海市の五地区と伊東市の十地区では地元の皆様の御尽力により基本方針について合意形成が整ったことから、県と市で津波対策の方針を決定いたしました。
 この方針では、想定される大規模地震に伴う津波被害を可能な限り減らすため県や市が取り組む防潮堤、水門等のハード整備と避難路、避難施設の充実や避難訓練などのソフト対策を短期、中期、長期に分けて整理し、防潮堤の整備を選択しない地区でもソフト対策を充実させることにより地域住民の安全・安心を確保することとしております。
 県では、まず短期計画に位置づけたハード対策の早期実現に向け既に事業化されているものを着実に進めるとともに、新たに事業化するものについてはより事業効果の高い箇所から設計等に着手してまいります。また市が取り組む対策についても避難体制の充実のため関係部局と連携して支援してまいります。
 その他の地区の現状につきましては、現在新たに下田市や東伊豆町、南伊豆町における八地区で合意形成が整い津波対策の方針の取りまとめ作業を進めております。さまざまな立場から多様な意見が出され議論がまとまっていない地区もありますが、こういった地区につきましては市町等と連携し地区の将来像を考えるまちづくりワークショップを新たに立ち上げ、その中であるべき津波対策を考えるなど議論の幅を広げる工夫をし早期の合意形成を目指してまいります。
 県といたしましては、津波対策の方針に位置づけたハードやソフト対策に必要な予算の確保に努め、減災目標の達成に向けスピード感を持って伊豆半島の津波対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 天野経済産業部長事務代理者。
       (経済産業部長事務代理者 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長事務代理者(天野朗彦君) 将来を見据えた企業誘致戦略についてお答えをいたします。
 県では、静岡県産業成長戦略の柱といたしまして企業誘致・定着の推進を位置づけ、市町や関係機関と連携して成長性の高い企業の誘致に取り組んでおります。平成二十九年上期の企業立地件数は前年に続き日本一となるなど本県の企業立地状況は好転しており企業の設備投資が活発化してきております。
 こうした動きをより確かなものとするため、この十一月に企業の設備投資を支援する助成制度の抜本的な見直しを行いました。具体的には中小・中堅企業の県内再投資をより一層支援するため複数回助成する場合の要件を緩和したほか、地域への経済波及効果が期待される拠点化工場やマザー工場に対する支援を拡充したところであります。
 今後とも、医療機器や次世代自動車、航空宇宙、新素材などの成長分野を初めグローバルな視点で事業を展開する企業を対象に本県への企業立地の働きかけを一層強め地域全体で産業の高度化を図ってまいります。また新たに誘致した企業につきましては、操業後に定期的に行っている企業訪問活動等におきまして進出企業の要望事項等を聞き取る中で地元企業の情報を伝え、新たな取引につながるよう努めてまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを産業成長戦略の中に位置づけ将来を見据えた企業誘致・定着の推進を図るとともに、新たな立地企業と地元企業との連携を促進し本県経済の持続的な発展を目指してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 成年後見制度の利用促進についてお答えいたします。
 成年後見制度は、判断能力が十分ではない方の権利を擁護し生活や財産を守る重要な制度であります。認知症や障害により支援が必要な方を社会全体で支えていくため、成年後見制度の利用促進を図っていかなくてはなりません。
 県では、成年後見業務や市民後見人の育成を行う成年後見実施機関が全ての市町に設置され身近な地域で信頼のおける後見人の支援が受けられるようにするための取り組みを進めております。その上で、単独では設置の難しい地域に対しましては幾つかの市町の連携による取り組みを提案するなど早期の体制づくりを行っております。また利用促進を図るため成年後見制度利用促進協議会や成年後見制度利用促進セミナーを開催するとともに、家庭裁判所や弁護士、司法書士など専門職の方の意見も伺い成年後見制度の対象となる方の把握から支援までを行う地域連携ネットワークの構築を進めどの地域に住んでいても制度が利用できる環境を整備しております。
 成年後見制度の普及啓発につきましては、成年後見制度の情報が制度の対象となる方や関係する方に確実に伝わるように市町や福祉関係者に対して制度の活用についての研修を行っております。関係団体と連携した広報により広く一般の方々への周知を図り、制度の利用を必要とする方に加え御家族や支援する福祉関係者への理解の促進を図ってまいります。
 今後も、成年後見制度の周知の徹底と利用促進を図り利用者の意思を尊重して寄り添った支援ができる後見人を育成いたしまして、見守り体制を整えることによりまして住みなれた地域で安心して暮らし続ける地域社会の実現を行ってまいります。
 次に、インターネット社会の抱える諸問題についてのうち、自殺防止対策についてであります。
 本県の自殺者数は全体的に減少傾向にありますが、若年層の占める割合が増加しております。また本県におきましても若者がSNSやインターネット上で自殺をほのめかしたり自殺の手段等を検索したりする事例がありますことから、インターネット社会に対処できる自殺防止対策が求められているところでございます。
 県では、第二次静岡県自殺総合対策行動計画におきまして社会全体の自殺リスクを低下させることや子供、若者の自殺対策をさらに推進することを重要施策として位置づけております。その中でICTを活用した自殺防止対策の強化に向けて、SNSやインターネットによる相談窓口の周知や学校におけるICTの適切な利用方法を学ぶ講座の開催などの取り組みを積極的に進めることとしております。
 今回のような事件が二度と生じないように、県内の若者が交流サイトで自殺に関する情報を発信しますと検索連動広告を活用いたしまして県が設置している若者こころの相談窓口の案内を表示するシステムの導入を実施することとしております。また教育委員会や県私学協会と連携し、県内の高校生に対しまして相談窓口の利用を促す啓発カードを配布するなど自殺防止のための相談体制を強化し若者の心のケア対策に早急に取り組むことといたしました。
 今後も、若者が日常利用しているSNSやインターネットなどICTを活用した自殺防止対策の強化を図り、関係部局が連携しいつでも相談できる体制の整備に努め若者が自殺に追い込まれることのない社会の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 県立高等学校の次期長期計画についてお答えいたします。
 次期長期計画は、社会情勢や時代のニーズを踏まえ県立高校の今後のあり方を定めるものであり、ふじのくに魅力ある学校づくり推進計画と題し未来を見据え発展的に改善、充実を図っていくための計画であります。計画案の主な内容といたしましては魅力あふれる高校の実現に向け普通科や専門学科の基本的な方向性を示した上で、スポーツ振興に貢献できる人材育成のための学科の設置やグローバル人材の育成のための教育プログラムの導入など文武芸三道の鼎立を具現化し技芸を磨く実学の奨励にも取り組むこととしております。
 また、地域の実情等を踏まえた高校のあり方につきましては、中山間地域等の学校において地域の資源や人材の活用、遠隔教育システムの導入、生徒の全国募集の実施など特色ある高校の取り組みに加え新たな魅力を備えた新構想高校への発展的な改編を行うことにより教育環境のさらなる充実に努めていくこととしております。
 さらに、誰もが学びやすい高校の実現に向けましては共生・共育の基本方向として特別支援学校高等部分校の設置や通級指導等の実施を検討していくとともに、教職員の資質の向上や学校施設の整備などを進めることとしております。今後はパブリックコメントの結果を踏まえまして計画案の修正等を行い成案とする予定であり、個々の計画内容につきましては引き続き関係者から幅広く御意見をいただきながら具現化を図ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、次代を担う人材を育成する高校教育がその役割を十分に果たしていけるよう魅力ある学校づくりを積極的に進めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) インターネット社会の抱える諸問題についてのうち、子供の性被害根絶に向けた取り組みについてお答えいたします。
 まず、本県における子供の性的搾取の現状についてであります。
 本年十月末現在、児童買春や児童ポルノの製造を初めとする性的搾取の被害に遭った児童は五十四人で前年同期に比べ十一人の増加となっております。このうち児童ポルノに関する事件の被害児童は二十四人で前年同期の十三人から大幅に増加しており、自分の裸体を自画撮りし画像をメールなどで他人に送ってしまった被害児童は九人に上っています。また性的搾取の被害に遭った児童の約六割がインターネットのコミュニティーサイトにアクセスして被害に遭っており、その手段はスマートフォンが約八割を占めております。
 スマートフォンの急速な普及に伴い、このように子供がインターネットの利用に起因して性的搾取の被害に遭うケースが増加しているほか、JKビジネスと呼ばれる子供の性に着目した新たな営業が出現するなど子供の性被害をめぐる情勢は深刻な状況にあるものと認識しております。
 次に、子供の性被害の根絶を図るための取り組みについてであります。
 以上のような情勢を踏まえ、県警察では本年十月に子供の性被害根絶プログラムを策定し子供の性的搾取等に係る取り締まりの推進、被害児童の早期発見と支援、啓発活動の推進などの取り組みを強化しているところです。具体的にはあらゆる警察活動において情報の収集に努め、児童ポルノ事犯などの子供の性被害に係る事犯に対する取り締まりを徹底しております。またインターネットに不適切な書き込みを行った児童をサイバーパトロールによって発見し接触の上直接注意、助言するサイバー補導に努めているほか教育委員会を初めとする関係機関・団体と連携して学校での非行・被害防止教室や保護者に対する啓発活動などを強化しているところであります。
 県警察といたしましては、今後もこうした取り組みを強化し子供の性被害の根絶を目指してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 藤曲敬宏君。
       (八番 藤曲敬宏君登壇)
○八番(藤曲敬宏君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、再質問を三点、それから要望を三点させていただきたいと思います。
 まず、最初に再質問ですけれども次期総合計画策定方針についてです。
 次期の総合計画の中でですね、やはり一番の静岡県が克服しなければいけないテーマの一つがこの人口減少社会克服であるということでは認識しております。これまでも県を挙げて人口減少社会の克服に取り組んでおりまして、人口ビジョン、総合戦略等でこの合計特殊出生率の二を数値目標に掲げてきました。ただこれに関してはこれまでも議会でも論議がありましたとおり他の都道府県に比べて突出して高い目標設定であり、この県内の各市町の人口ビジョン、総合計画との整合性と、また実現の可能性から疑問視される点もありました。これに関して今回の次期総合計画に対して会派から提言があったのに対してですね、今回反映された部分として現実可能な成果目標なのかどうかあれなんですけれども、会派の提言に対して合計特殊出生率の向上という表現をもって反映したようです。
 この合計特殊出生率の向上ということで、これまでのように数値目標というものがないんですけれども、この現実的な施策の成果目標として合計特殊出生率の向上という表現にした点において、将来の目指すべき姿というのでこの合計特殊出生率二というのは残していくのか、それとも一旦この二は白紙に戻していくのか、その辺のところどういうお考えがこの合計特殊出生率の向上という言葉の表現にあるのかお聞かせください。
 それから次に、次期の観光躍進計画、基本計画についてお伺いします。
 新たなる観光戦略の潮流というのは、先ほど私がお話ししたとおりICTを活用したプロモーションと言われております。現在旅行者はタブレット、スマホ、パソコンといったデジタル媒体が圧倒的に情報源となっています。情報発信の手段もムービーが主体となっています。ドイツの観光局では既に二〇一六年の十一月の三十日、紙媒体での宣伝を終了しており、先進国の中で最低水準の日本もようやく観光庁が今年度からデジタルマーケティングの本格参入を表明したそうです。答弁の中でICTにかかわる観光戦略について余り触れられていなかったのかなというふうに思います。もう一度その点について詳しくお聞かせください。
 それから次に、民泊新法施行に関する再質問をさせていただきます。
 民泊に関しては、宿泊施設が慢性的に不足している首都圏とは異なること、観光立県としての地域の重要な産業、雇用の場である既存宿泊施設との公正公平な競争条件の確保、産業育成の点からもさまざまな意見が今現在この民泊についてはあるということを伺っております。
 しかし今、最も県民生活において懸念されることの一つが分譲マンションにおける民泊の活用です。この法律が来年六月十五日に施行されると、例えばある日突然マンションの隣の部屋のオーナーが民泊の届け出を出して営利目的で外国人を宿泊させることが可能になります。しかしこのマンションの管理組合が決議によって管理規約に民泊の禁止、利用禁止を明記するとこのマンションの規約上、条例の制定がなくても分譲マンションというのは民泊が認められないというふうになっています。
 しかし、こうした現状を理解しているマンションの管理組合はほとんどない状況です。このままでは法律の施行後にトラブルが起こる可能性が予測されます。住民の生活環境を守るため一日も早い条例制定を望みますが、同時に事前に分譲マンションにおいては管理組合に民泊というものを受け入れるのか、あるいは禁止するのか、いずれかマンションの管理組合で規約改正の必要があることをまずは周知させる必要があると思います。
 もう一度お伺いしますが、市町への周知を含めて関係機関の速やかな対応をしていただけるのかお聞かせください。
 以上、三点再質問をさせていただきます。
 続いて、要望を三点させていただきます。
 先ほど、デスティネーションキャンペーン及び鉄道事業者との連携という話をさせていただきましたけれども、なかなかこれまで静岡県、JRとの関係を振り返ったとき新幹線の静岡空港駅建設問題であったり、リニアの中央新幹線工事に伴う大井川流量の問題などいささかしこりが残っているのではないかというふうに感じます。
 来年からスタートするDCを通して、静岡県の観光振興に関してはお互い手を携えて成功に向けて協力しなければならないということがあります。地域からですね、それぞれの鉄道事業者に対し要望の出ている課題も山積しております。
 例えば、電子カードの共通利用であるとかバリアフリー化など長年の懸案でもあって、これを機に信頼関係の構築に努めていただいて問題解決の糸口を見つけていただくとともに、将来的にはリニアの新幹線開通以降東海道新幹線のですね、のぞみやひかりを初めとする新幹線の停車増などぜひ夢のある話ができるよう、間柄をJRとの関係において川勝知事につくっていただきたいというふうに要望いたします。
 次に、自殺防止対策です。
 昨年一年間、先ほど答弁にありましたように静岡県内の自殺者は六〇二人で十年間で最少になったとございました。具体的にですね、自殺の悩み相談における自殺予防につながる傾聴ボランティア、いわゆるゲートキーパーの育成、また啓蒙活動の成果があらわれているというふうに思います。
 しかし、いじめのいきさつや過労自殺は今も問題になっています。ぜひツイッター、フェイスブック、ライン等こうしたものもこれからぜひ活用次第では自殺を防ぐこともできると思います。ゲートキーパーなどというものが地上戦とするならば、SNSなどの空中戦双方からの自殺防止をしっかりと計画に落とし込んでいただきたいと思います。
 最後にもう一点、要望です。
 企業誘致戦略ですけれども、ぜひ地元の中小企業との連携を強化させる、そこがまず一番大事だと思いますので中小企業を大事に、大きく衰退することがないようにですね、企業誘致を図る上で県の姿勢として取り組んでいただきたいと要望して終わりにします。
○議長(杉山盛雄君) 佐藤静岡県理事。
○静岡県理事(佐藤典生君) 次期総合計画の策定方針についての再質問にお答えいたします。
 人口減少を克服するために、やはり「生んでよし 育ててよし」の環境をつくることが非常に重要でございます。そのため我々は県民幸福度の最大化を目指す中でその具体的なイメージといたしまして、その「生んでよし 育ててよし」の観点から言いますと自分の望む数の子供を産み育てられる社会にすることが非常に重要であります。それが我々の目指す姿でございます。その達成のために四年間の具体的な成果目標は掲げ政策の効果を図り推進をしてまいる所存でございます。
 そういった中で、合計特殊出生率二という数値目標でございます。これまでこれを掲げてまいりました。今回は先ほど言いましたように、目指す姿といたしまして自分の望む数の子供を産み育てる社会にすることを目指すことといたしました。
 そして、二につきましては数値目標とはせず、将来にわたり人口を維持するために必要な合計特殊出生率は二・〇七であるということをですね、これは非常に重要なことでございますので基本構想に明記することにしております。ですから、そういう意味では二につきましては数値目標ではなくてあくまでも望む姿を目指すための一つのメルクマールというような形で合計特殊出生率の向上という表現にしてございます。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 今後の観光政策についてのうち、次期観光躍進基本計画の再質問についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、旅行者の観光意欲の喚起に始まり情報収集、宿泊の予約、観光地でのブログの作成、発信に至るまで観光客にとってICTは欠くことができないものとなっておりますのでICTを活用した観光戦略は重要であると認識しております。このため次期静岡県観光躍進基本計画におきましては静岡県の魅力の情報発信として紙媒体等の従来型の情報発信に加えて、スマートフォンの普及やソーシャルメディアの利用者の増加を踏まえましてインスタグラム等のSNSやユーチューブ等の動画共有サイトで写真や動画を掲載し情報の拡散を図るとともに、インターネット上の本県の観光情報サイトのアクセス解析によりまして訪問者の属性等を把握し個人観光客向けのコンテンツの充実や広報の強化を図ってまいります。
 こうした活用方法につきまして、次期観光躍進基本計画に盛り込むことでICTの進展など観光客を取り巻く環境に的確に対応するとともに、利用者目線に立った効果的な情報発信を行ってまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(木利夫君) 住宅宿泊事業法の関係につきましての再質問にお答えいたします。
 分譲マンションにつきましては、くらし・環境部が所管しておりますので私のほうからお答え申し上げたいと思います。
 議員の御指摘のとおり、分譲マンションにおきましても民泊が始まりますと、やはり宿泊ができます。ただし御指摘のとおりマンションの住民がトラブルに巻き込まれるという状態がございますので、マンションの管理組合におきまして住民同士がしっかり議論していただきまして管理規約を修正するということが必要だと思います。それに向けまして県といたしましてはですね、関係する市町、それからマンション管理士の団体がございますので、こういったところと研修会、勉強会をいたしまして民泊についての周知を図っております。
 また、分譲マンションの管理組合におきましてはですね、この管理規約の改定を行うように県のホームページに周知をしたところでございますし、また関係市町やマンション管理士の共催によりますマンション管理セミナーというのを開催しておりまして、これにつきましてはことしも熱海市など県内七市九会場で開催しておりますので、こういった手続を通しまして周知を図ってまいりたいと思います。以上でございます。
○議長(杉山盛雄君) これで藤曲敬宏君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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