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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

蓮池 章平 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/28/2012

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 一期四年の総仕上げ                      
 (2) エネルギー政策の認識                     
2 本県の情報戦略について                     
3 障がいのある方の一般就労に向けた支援について          
4 発達障がい児・者に対する一貫的な支援のあり方について      
 (1) 発達障がい児の早期発見体制の充実               
 (2) 学校現場における対応                     
 (3) ライフステージに応じた支援体制                
5 社会的養護の必要な児童に対する自立支援について         
6 がん対策について                        
 (1) 在宅緩和ケアの取り組み                    
 (2) 総合的な小児がん対策                     
7 県営施設の運営に係る課題について                
 (1) グランシップのスレート安全対策                
 (2) ふじのくに千本松フォーラムの運営               
8 本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについて        
 (1) 建物の耐震補強の促進                     
 (2) 男女共同参画の視点からの防災対策の推進            
 (3) 防災士の活用                         
 (4) 学校における防災・救命教育                  
 (5) 防災・減災ニューディール政策                 
9 地産地消の取り組みの推進について                
10 文化芸術振興のさらなる推進について               
11 総合的な交通事故抑止対策について



    ○議長(小楠和男君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第九十七号から第百十一号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、二十九番 蓮池章平君。
           (二十九番 蓮池章平君登壇 拍手)
    ○二十九番(蓮池章平君) 私は公明党を代表して、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に通告に従い質問をいたします。
     初めに、知事の政治姿勢、一期四年の総仕上げについて伺います。
     三年前、多くの県民から負託を得て静岡県知事となられた川勝知事は、一期四年間でできないものは八年でもできないと四年間でみずから掲げられたマニフェストを実現されるために政治家としてのスタートを切られたと思います。さてその四年間もあと一年となりました。この三年間、世界的なリーマンショックやEUの金融危機、国内においても、就任早々の地震、昨年の三・一一の東日本大震災等、予想しなかった出来事もあり、激動の三年であったと思います。
     就任一年目の記者会見では、九五%マニフェストで約束したことはでき上がった、優、良、可、不可で言えば優の上の秀という評価もいただいたと上々の自己評価をされました。また二年目の記者会見では、現場主義の浸透とスピード感が上がってきたが、子供を地域で育てる環境づくりの面では、県内の地域ごとで課題があるとの認識を示されました。
     三年目の評価はいかがでしょうか。また残された一年、知事として何を最重点にして県政運営をし一期四年の総仕上げをされようとしているのか、みずからの自己評価も踏まえ伺います。
     次に、知事のエネルギー政策の認識について伺います。
     現在、国においてはすべての原子力発電所が停止中であります。六月十六日、政府は福井県の大飯原子力発電所の再稼働を正式に決定いたしました。本県中部電力浜岡原子力発電所も国の要請による自主的な停止をしております。
     このような中、県内では、浜岡原子力発電所の再稼働の是非を問う住民投票条例の制定を目指して署名運動が展開されております。住民投票条例の制定については現在署名活動中ですので、知事にその対応について問うのは時期尚早であろうと思いますが、民主党政権は、当初、地球温暖化対策として二酸化炭素排出削減の目標を二五%にするという大きな目標を国際公約し、公約実現のための手段として原子力発電所の増設を掲げておりました。東京電力福島第一原子力発電所での事故が起こったのですから、その旗をおろさざるを得ないことは論をまちません。一方、原子力発電所の事故以降、地球温暖化の議論が消えてしまったことは残念でなりません。現実に、私たちの生活を脅かす竜巻や突風の発生、局地的な豪雨の被害が年々増加しており、地球温暖化の影響はその要因とも言われております。
     今回の原子力発電所の事故は、少なからず原子力発電によって支えられてきたこれまでの経済発展や生活の便利さを今後どのようにしていくのか。引き続き地球環境に負荷をふやしながらも続けていくのか、それとも原子力発電にかわる自然エネルギーを得られるまでは、生活の仕方や仕事のやり方を変えていくのか。そのどちらかを選択するか決断を迫られていると思います。
     知事は、ハワイでエネルギー政策の意見交換をされてこられるとのことですが、ものづくり静岡の経済基盤や自然の恵み豊かな生活を支えるため、本県また日本のエネルギー政策の根本課題について、どのように考えておられるか伺います。
     次に、本県の情報戦略について伺います。
     情報を制する者国を制す。民間にあっても行政においても同様に、情報の発信、収集、活用の力を強固にしたところが発展していくと考えております。
     しかしながら、本県のみならず他府県の情報戦略を見ても残念ながら情報戦略で県政の発展を進めようとする姿勢は余り見えません。そのことは、とりもなおさず本県が発展するチャンスでもあります。SNS――ソーシャル・ネットワーキング・サービスに代表される双方向の情報技術のスピードが一層早まる中、防災・危機管理情報や産業振興、観光振興など情報技術の活用により地域間競争を勝ち抜ける可能性が高まっていると確信をいたします。また情報技術の活用によって県税収入を上げていくという発想で戦略を構築する必要があるのではないでしょうか。情報戦略の展開により県民が潤い、結果として税収の増加につながる。また情報で命を守るという発想も大切であります。
     例えば観光面では、観光客に携帯端末を持っていただき自由に歩いたり乗り物に乗って観光地を移動、観光スポットに近づくと、近づく方向と季節に合わせた音声ガイドが聞こえてくるシステムを活用して観光誘客を図っている地域もあります。このようなシステムを活用すれば、富士山の世界文化遺産登録、またジオパークの認定後、県下各地域でスマホなどの携帯端末を活用して外国語対応のガイドなどもできれば、多くの観光客の誘客につながるのではないでしょうか。伊豆大島観光協会が、携帯アプリ「ジオパークガイド」を無料で配信しており、先を越された感はありますが、参考になると思います。
     産業面においては、県のファルマバレー、フォトンバレー、フーズ・サイエンスヒルズ構想推進により県内産業の競争力の強化に取り組んでいるものの、個々の企業の情報発信力がやや弱いように思います。発信力の強化により強固な産業基盤を築くことが可能ではないでしょうか。また大阪府では、中小企業と若者の雇用のミスマッチを解消するために、フェイスブックを活用した事業化を行っており、多様な活用法が考えられます。
     また、防災・危機管理の面では、県民にとって緊急性と重要性の両面を備えておりますので、県民に情報を発信するという発想から県民に届けるという発想への転換が必要であると思います。昨年の三・一一東日本大震災の際も情報が必要なところに届かなかったことによる大混乱が、被災地のみならず各地で起こりました。そのような中でも、携帯の通話、メール回線に依存しないツイッターのサーバーは一度も落ちることなく、震災の影響を受けなかった地域のツイッター・ユーザーが情報のバックアップ要員になり、パニックになっているユーザーを助けるような動きが見られました。緊急時には、的確な情報をツイッターなどを活用して流すことや携帯電話の回線が使用できなくなったとき、コンビニなどが無線LANの情報基地になることを想定してネット情報の携帯対応の充実と災害に強いシステム構築が必要ではないでしょうか。
     まず、県全体として情報をフルに活用して人の命を守り県勢の発展を目指す。結果として県税収入を上げていけるよう情報戦略の方針を打ち出すとともに、柔軟な発想でスピードある対応がとれる体制が必要と考えますが、県の所見を伺います。
     次に、障害のある方の一般就労に向けた支援について伺います。
     自立とは働くこと。福祉の原点もまた働くことにあるのではないかと考えます。
     県では、障害のある方の自立に向けた取り組みとして、地域で働くことに関する情報提供やサポート、福祉と企業をつなぐ拠点となる障害者働く幸せ創出センターを平成二十二年五月に開設し、県内三カ所の授産製品の販売所「とも」とあわせてスタートいたしました。その成果を見ると授産製品の販売や下請受注の仲介は、件数、金額ともに対前年の約一・三倍と伸びており一定の成果が出ているとは思いますが、一方、作業所で働く障害のある方の一人当たりの工賃は平成十八年に比べると減っており県が示した工賃倍増計画も極めて困難な状況であります。 
     障害のある方の一般就労については、ハローワークを通じた就労件数が対前年比一八・七%増と過去最高となっているものの、長引く景気の低迷や雇用状況の悪化により厳しい状況が依然続いております。作業所で働きながら一般企業や事業所への就労を希望しても、なかなか難しいのが現実であります。全国では、障害のある方の一般就労を積極的に支援し実績を上げている例が数多くあります。例えば西日本で展開されている就労移行支援ネットワークに加盟されている事業所では、雇用環境が厳しい中でも企業の雇用開拓やマッチング、就労のための訓練等に力を入れて一般就労への道を開いております。
     作業所で働く障害のある方が一人でも多く自立するためには、一般就労の可能性のある方を積極的に企業につなげるなどとともに、その就労を定着させる支援を積極的に進める必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。
     次に、発達障害児・者に対する一貫的な支援のあり方について伺います。
     県として、本年度から県東部における発達障害者の相談会を毎日開くなど拡充を行っておりますが、多様でふえ続けている発達障害児・者に対する体制は、決して十分とは言えない状況です。
     そこでまず、発達障害児の早期発見体制の充実について伺います。
     一概に発達障害と言っても、そのあらわれや生活の中での困り事については多様であります。一人一人の子供の状況に応じ、療育の工夫や適切なかかわりにより、発達障害の特徴である社会性の弱さを補っていくことができると言われていることから、可能な限り早期に発見し療育などの支援を行っていくことが必要となります。
     そこで、発達障害児をいち早く発見するためには、ほとんどの子供が受診する市町の幼児健診などにおいて兆候を発見できることが望まれます。大半の市町においては独自に問診票を作成するなど健診での発見に取り組んでおりますが、実際には発見できないケースも多く見受けられることから、有効性を高めるための問診票の見直しなども必要ではないかと考えます。大阪府では、府が主体となり医師や専門家の協力のもと問診票を工夫して作成し、市町と連携して早期発見に取り組んでいると聞いております。
     県として、発達障害児の早期発見体制の充実に向け、どのように市町を支援していくのか伺います。
     次に、学校現場における対応についてであります。
     現在、小中学校や高校に在籍している児童生徒のうち、学習や生活面での特別な支援がいる発達障害児を含む児童生徒は約六%程度おり、年々ふえる傾向にあると言われております。しかし学校現場からは、個別指導のできるマンツーマンの先生が不足しているため十分な対応をすることができないという声も聞こえてまいります。学校現場において、発達障害のある児童生徒に対応するためには、支援員等の配置による支援の充実が欠かせないほか発達障害に対する先生の共通の理解と教師自身の質の向上が必要であります。
     学校全体で見守り育てていく風土をつくるためにも、研修などによる全教員の資質の向上を図るべきと考えますが、所見を伺います。
     また、特別支援教育とは、情報を次につなげ移行していくという意味から移行支援であると言われております。
     幼稚園・保育園から小学校、小学校から中学校までは、比較的支援情報の伝達がうまくいき始めておりますが、課題は中学から高校への伝達であります。高校入学後にトラブルが起こり、初めて発達障害とわかるケースがあるのも事実であります。
     これは、個人情報保護の観点から、医療情報と同様に扱われる発達障害という個人情報は中学側が本人の同意を得ないで高校に伝えることも高校から中学に照会することもできないことがあり、今後、中学から高校への円滑な接続に一層期待をするところであります。
     また、保護者の中には、発達障害ということが高校進学や大学受験に不利益になるという誤解もあり、これらの課題を解決するためには、県立高校では積極的に個別支援をするという教育長の強いメッセージが必要ではないかと考えます。またそのメッセージを伝えるためには、学校間だけではなく、健康福祉部と連携して直接保護者にも伝わるようにすることも重要であります。
     静岡県教育委員会の発達障害のある児童を他部局とも連携して、徹底して支援する体制について、教育長の強い思いを伺います。
     次に、ライフステージに応じた支援体制であります。
     支援が必要な発達障害のある子供は、成長していく段階で就学、卒業、就労といったそれぞれのライフステージにより異なった分野からの支援を受けることが必要です。それぞれの分野に移行していく際に、確実に必要で的確な支援が引き継がれていくことが何よりも重要であり、支援のはざまをつくり出してはならないと考えます。
     障害があっても困らない社会を構築するため、これまでも障害のある人個々に対する総合的な支援体制を構築すべきと訴えてまいりました。そのために求められる支援は、一つ、本人の将来の自立を見据えた発達支援、二つ、家族も含めた総合支援、三つ、子供のライフステージに応じた一貫支援、四つ、身近な地域での支援であり、障害のある子供の療育を行う市町や学校等の現場、家族を支援する県の担う役割は非常に重要であります。
     発達障害が発見された幼児期から成人するまで、成長段階に応じたワンフェースの相談体制も含め、部局間を横断した支援体制について県の所見を伺います。
     次に、社会的養護の必要な児童に対する自立支援について伺います。
     静岡県児童養護施設協議会では、平成二十三年度に県の委託を受け、児童養護施設退所後の実態調査を実施いたしました。県下の施設を対象にしたこのような調査は初めての試みであり、その結果は、養護施設を退所した子供たちが厳しい現実と立ち向かっている状況が明らかとなりました。家庭環境の改善により再び家族と生活できる子供もいますが、多くは中学や高校卒業後、施設を退所し自立した生活を送ることになります。児童養護施設では、さまざまな取り組みを行っているものの、限界があると言えます。
     今回の調査では、特に退所時の就職先から中卒で一年以内に五七・二%、三年以内に一〇〇%全員がやめております。高卒では、退所した人のうち約半数の五六・三%が一年以内に職場をやめ、三年以内では九三・八%がやめております。特に学歴が低いほど継続期間が短いことが明らかになりました。職から離れることは、経済的困窮状況を引き起こし、その後の人間関係の喪失、大きな危機へとつながっていく可能性があります。一カ月の収入では「十万から十五万円以下」が三八・七%で最も多く、「十万円以下」が一六・一%おり、社会生活を営む上で困難を抱えていることがわかります。また二名が生活保護を受給しておりました。現在困っていることはとの問いに、生活費等経済的な問題に関することに半数が不安を抱えて生活していることが明らかとなり、生活全般の不安や将来のことについても同様でありました。
     また、施設退所後にまず困ったことは、炊事、保健医療の知識や健康保険、年金の手続、金銭管理等現実的な問題に加え孤独感や職場での人間関係等も挙げられておりました。
     施設退所後の困ったときにだれに相談したかの問いに、「施設長、施設職員」合わせて五〇%、「職場の上司や同僚」が三五・三%。一方で「だれにも相談しなかった」が一四・七%で、対人関係の希薄さなど周囲との人間関係が築けていないと心配されております。
     このような結果を受け総括と課題として、退所した人たちは施設の職員を頼りにしており、特に退所後の最初の一年間が支援の最重要時期であり、退所後三年間は特に見守りが必要。入所中における職員との信頼関係があってこそ退所後の支援につなぐことができると言えます。入所児童の半数近くが虐待を経験しており、何らかの心のケアが必要。生い立ちの整理やリービングケアの必要性、進学を希望する児童への経済的支援、自立支援担当職員の配置を必要としております。また同様に里親のもとで養育されてる里子についても類似した課題が存在いたします。
     社会的養護の必要な子供に対する支援のあり方を総合的に見直す必要があると考えますが、県として社会的養護の必要な児童に対する自立支援について伺います。
     次に、がん対策について伺います。
     今年度変更されたがん対策推進基本計画の中で指摘されているがん対策の課題として、さまざまな点が挙げられておりますが、以下二点について県の取り組みを伺います。
     まず、在宅緩和ケアの取り組みについてであります。
     緩和ケアは、終末期だけではなく、苦痛に対する早期介入・予防により、すべての経過にわたって生活の質を向上させることを目指して、現在ではがん患者とその家族が可能な限り質の高い生活を送れるようがんの初期段階から診断や治療、在宅医療など、さまざまな場面で切れ目なく実施することが望ましいという考え方に変わりつつあります。静岡がんセンターにおける緩和ケアの状況は、ベッド数五十に対して入院希望者の増大に追いついていかない状況となっております。
     日本においては、医療用の麻薬を使用すると中毒になるというイメージもあり、痛みを我慢する傾向にあるとされております。しかし専門医からは、モルヒネを適切に使って痛みを取り除いた患者のほうが長生きする傾向があると指摘もあります。緩和ケアに対する正しい理解や周知徹底、在宅緩和ケアを含め、在宅医療・介護を提供していく体制について県の取り組みを伺います。
     次に、総合的な小児がん対策について伺います。
     小児がんとは、一般に十五歳未満の子供にできる悪性腫瘍をいい、子供の病死原因の一位となっております。一九六〇年代には不治の病とされていた小児がんは、今や治る病となっておりますが、その数は、大人のがんの発症数と比べて極端に少なく、専門医の育成も不十分な状況であります。本県においては、県立こども病院が小児がんの拠点病院となっておりますが、さらなる専門医の育成が必要と考えます。 
     小児がんは、治療成績が向上して七割以上が治癒する状況にありますが、治療の後遺症で背が伸びないとか、二次がんの発症などの晩期合併症に苦しむ人も多く、みずから命を絶つケースもあります。多くの親子がPTSDになるなど心理的問題を抱えており総合的な緩和ケアが必要です。治療後の長い人生で治療による後遺症や合併症に苦しみ、復学、社会復帰など、さまざまな生活課題が横たわっており治癒後に自立した人生を歩めるような長期的な支援体制が求められております。
     そこで、県の総合的な小児がん対策について伺います。
     次に、県営施設の運営に係る課題について、二点伺います。
     初めに、グランシップのスレート安全対策についてであります。
     平成二十一年に、グランシップの外壁である粘板岩の破断、表面剥離による落下が明らかになりました。原因の究明と今後の対策を抜本対策検討委員会にゆだね答申を受けました。抜本対策検討委員会の答申に基づき、メッシュを使用して外壁スレートをカバーする工法で安全対策をすることを決定し、本年度、安全対策を実施するための設計を五千四十万円で委託し設計業務を進めていると承知をしております。ぜひとも、しっかりとした安全対策を講じ施設を安心して使用できるよう強く要望いたします。
     一方で、昨年三月十一日に発生した東日本大震災においてもスレートの剥落が見られ、今後も発生が懸念される東海地震や南海トラフを震源とする大規模地震のほか、強風時などにスレートの表面剥離や石目の破断による剥落が発生すると考えられます。
     このため、メッシュ張りによりスレートの安全対策を実施した後も適正な点検や維持管理が必要であると考えますが、県として、どのように維持管理し、維持管理にどの程度の経費が必要となると想定しているのか伺います。
     また、建築の関係者にヒアリングをしたところ、天然スレートを屋根や外壁に使用することは一般的であるものの、グランシップのような大規模な建築物に粘板岩の天然スレートを外壁仕上げ材として使うこと自体、建築の常識を逸脱しているとの声が多く聞かれました。
     昨年七月二十一日、最高裁で各方面から注目されていた別府マンション事件の判決が下されました。この裁判は、賃貸マンションを丸ごと購入した原告がひび割れなどの瑕疵があることを理由に、設計・監理者と施工者を被告として訴えた事件であります。最高裁の判決は差し戻しでありましたけれども、その理由は建築業界に衝撃を与えるものでありました。この裁判では、瑕疵の定義についても争われており、瑕疵に関する部分の判決理由を引用いたしますと、このようになります。
     「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵とは、居住者等の生命、身体または財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が、居住者等の生命、身体または財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質にかんがみ、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体または財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である」。さらに具体的に、「これを放置した場合に、例えば外壁が剥落して通行人の上に落下したり」と、瑕疵を具体的に例示をしております。つまり剥落が生じると、設計・監理者と施工者は、その補修費、落下による人身事故の場合のけがの治療費、慰謝料、あるいは物損事故の場合の弁済費用など一切の費用を損害賠償する責任があると判断したのであります。
     この判断に照らして、グランシップのスレート問題は、設計・監理者の瑕疵による責任が問えるのではないでしょうか。設計者の責任を訴訟という方法で問うことが必要と考えますが、設計・監理者の責任を明らかにするための所見を伺います。
     次に、ふじのくに千本松フォーラムの運営について伺います。
     昨年九月議会で、平成二十六年に開設するふじのくに千本松フォーラム、愛称「プラサ ヴェルデ」の運営については、沼津市の設置する展示場施設との一体運営ができるよう提案をいたしました。その考えのもと、一年早くオープンする沼津市の展示場施設「キラメッセぬまづ」との一体運営のため、今議会に第九十八号議案として、指定管理者制度の導入を規定する施設の設置及び管理に関する条例を制定する議案が上程されました。展示場施設と一体運営できることでMICEの誘致にも強みを発揮できると期待しております。
     そこで、ふじのくに千本松フォーラムの施設の運営について、どのような方針で進めようとされているのか確認しておきたいと思います。
     地元の県東部を中心とする県民の皆様に多く利用していただくことはもちろんでありますが、この拠点施設を核として県東部の発展、地域経済の発展を目指していくとすれば、単に施設の利用客数や稼働率を上げることを目標とすべきではないと考えます。一人当たりの消費単価の高い国際会議や全国規模の学会、大会をいかに誘致できるかが、かぎであります。宿泊や飲食、お土産やアフターコンベンションとしての観光、さらにはリピーターとしての家族旅行まで広く県全体に経済波及効果の大きい学術会議や国際会議、文化・スポーツイベントの誘致が求められております。
     コンベンション誘致も地域間競争であり、「この競争に勝ち抜き、地域経済発展を目指す」を目標に運営することを目指すべきと考えますがいかがでしょうか。県の所見を伺います。
     次に、本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについて、人の命を守る観点から以下五項目について伺います。
     初めに、建物の耐震補強の促進についてであります。
     想定される東海地震は、震源が近く強く長い揺れの後に、もしくは揺れの途中で津波の襲来を受けることが予想されます。みずからの命を守るためには、自助の力を向上させなければならず、建物の耐震性の向上が欠かせません。
     そのため県は、プロジェクト「TOUKAI―0」により、耐震性の低い旧耐震基準でつくられた木造住宅の耐震化を促進してまいりました。 
     本事業は、専門家による無料の耐震診断に始まり補強計画の策定、そして補強工事という流れで行われておりますが、平成十八年度から昨年度までの六年間の実績では、専門家診断を受けた方が補強計画へ進んだ割合は約五割、補強計画の策定を行った方が補強工事を実施した割合は約八割となっており、専門家診断を受けた方のうち約四割しか補強工事に至ってない状況であります。
     木造住宅の専門家診断と補強計画、補強工事の件数が大きく乖離していることから、県として少なくとも補強計画策定までの無料化を図り建物の耐震補強を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。県の所見を伺います。
     二つ目は、男女共同参画の視点からの防災対策の推進についてであります。
     阪神・淡路大震災では、防災対策、被災後の避難所運営や復興への道筋の中に男女共同参画の視点での対策が欠如していたことが指摘されております。防災計画等の見直しがなされてまいりましたけれども、このたびの東日本大震災で男女共同参画の観点から十分教訓が生かされたかは疑問が残ります。
     こうしたことから、公明党では女性防災会議を設置し女性の視点での防災対策を進めてまいりました。先日、会派の代表が大阪府豊中市の男女共同参画センターすてっぷを訪問し、その取り組みを視察してまいりました。
     豊中市では、内閣府平成二十三年度地域における男女共同参画連携支援事業として、とよなか女性防災プロジェクトを立ち上げ、大阪府豊中市が被災した場合を想定し、豊中市役所、消防本部、教育機関、公共施設、民間団体、市民団体がネットワークを構築し、男女共同参画の観点から連携を取り合うための研修や話し合いを重ね、「とよなか女性防災ノート」を作成いたしました。プロジェクトに参加した職員から話を伺う中で、女性の視点は生活者の視点との指摘があり、女性だけでなく乳幼児から高齢者までいわゆる災害弱者と言われる人たちも含めた防災対策の必要性や、災害が起きてからではなく平時から男女共同参画の観点で防災対策マニュアルを作成し、常に運用できるよう関係機関との連携をとっていく必要性を痛感をいたしました。このような取り組みは、横浜市や大分県でも行われております。
     そこで、静岡県におきましては、例えば「あざれあ」を男女共同参画の観点からの防災対策拠点とし、関係団体との防災ネットワークを構築するとともに、静岡県版の女性防災ノートの作成を推進すべきと考えますが、県の取り組みを伺います。
     三点目は、防災士の活用についてであります。
     本県独自の認定防災士や日本防災士機構の認定を受けた防災士が、少なくとも千人を超えております。防災士の役割は、地域や職場における防災意識の醸成や防災訓練などの場面における主導的な役割を担っておりますが、日常的に地域の安心安全を守るための活動に従事することも必要ではないでしょうか。
     例えば、事業者や福祉などの施設、団体の防災対策の検討などにおいても、防災士が助言、連携して活躍することにより、事業所や地域の防災対策の推進が図れると考えますが、いかがでしょうか。防災士の活用についての考えを伺います。
     四点目は、学校における防災・救命教育についてであります。
     昨年六月議会において、我が会派の前林議員から東日本大震災における釜石市の防災教育によって釜石市の小中学校ほぼ全員の命が救われたことを通し、東海地震が想定される本県においても、防災先進県の名に恥じない学校における防災教育の取り組みをすべきと提案いたしましたが、その後の取り組み状況について、まず伺います。
     群馬大学大学院の片田敏孝教授は、防災で最優先すべきことは、災害ごときで人が死なないことであり、犠牲者を出さないことに最大限力を注ぐべきと指摘されております。知識の防災教育だけでは、いざというときに行動できるかは疑問であります。防災に対して主体的な姿勢を醸成する姿勢の防災教育が重要であります。
     また、先日私も消防署で行われる普通救命救急講習を受講いたしましたが、六年前に受講したときと、AEDの操作方法や胸骨圧迫法による心臓マッサージの方法も変わっており、改めて人の命を救うためには継続した実践的な訓練が必要と痛感いたしました。過去に学校現場でAEDにより高校生の命が救われた例があり、本県高校生も、いざという現場に居合わせたときに救命行動がとれる知識と経験が必要であります。
     ロングホームルームや総合学習の時間を活用し、みずからの命を守り主体的に行動を起こせる防災・救命教育に取り組むべきと考えますが、教育長の所見を伺います。
     五点目は、防災・減災ニューディール政策についてであります。
     公明党は、社会資本の老朽化のスピードを先取りした対応により地域の防災・減災力を高めながら、経済の再生、雇用を創出する防災・減災ニューディール政策が必要であると訴えております。二〇二九年問題と言われる高度経済成長期に整備した道路、橋梁や護岸、港湾、下水道などの社会基盤の多くが、コンクリートの耐用年数と言われる五十年を迎えます。特に橋梁においては、全国では五〇%、本県では七四%の橋梁が建築後五十年を迎えることになります。急速に整備した社会資本の整備は老朽化のスピードも急速であり、コンクリートも人もセットで防災力を強化していかなければなりません。
     本県においても、長期修繕計画を策定し計画的に点検、補強、修繕を行っていることは承知をしておりますが、三十年以内に八八%の確率で東海地震の発生を懸念されていることを考えるとハード、ソフト面の総点検が必要ですし、計画の前倒しも必要ではないかと考えます。
     今後の県の社会資本をどのように維持管理し、県民の命を守ろうとしているのか、県の所見を伺います。
     次に、地産地消の取り組みの推進について伺います。
     県は、消費者の農産物に対する安全・安心志向の高まりや生産者の多様化が進む中で、消費者と生産者を結びつける地産地消への取り組みを進めてきているものの、県民の意識の中で地元の農畜産物を地元で購入消費するという意識は広がりを見せていないように思います。
     全国にもさまざまな取り組みをしているところがあり、例えば富山県では、十月、十一月のとやま地産地消推進月間に合わせて、県産品購入ポイント制度を実施して地産地消を推進しております。県産の米や野菜、肉、魚、加工食品の商品についている地産地消シール、もしくは県産表示ラベルなどを十枚集めて応募すると抽選で県の特産品が当たるという制度であります。このような特色ある取り組みは、生産者にとってはみずから生産した農産物を広く地元の消費者に購入していただける機会の拡大につながり、流通業者にとってもキャンペーンによる売り上げの拡大につながり、消費者にとっても安心・安全な生産者の顔が見える農産物の購入ができる等のメリットをそれぞれが享受できることになっています。
     このような先進的な取り組みを参考に、さらに本県の農産物などの地産地消を推進すべきと考えますが、認知度の向上策とあわせて、今後の取り組みを伺います。
     次に、文化芸術振興のさらなる推進について伺います。
     二〇〇一年、国の文化芸術振興基本法が成立して昨年で十年が経過いたしました。基本法成立以降、国の文化予算額は一千億円を超え年々増加しておりますが、それでもなお、国家予算に占める文化予算の割合は、フランスや韓国に比べると圧倒的に低いと言わざるを得ません。
     本県においても、公明党が長年主張してきました文化芸術振興のための条例制定は静岡県文化振興基本条例として平成十八年十月十八日に施行され、目的、基本理念、県の役割等が明記をされました。
     グランシップに田村館長を迎え、「だれもが身近に、上質な芸術体験を」の理念のもとに、地方にいても上質な文化や芸術に触れる機会をふやしていく努力をされていることは大いに評価するところでありますが、広域な面積を有する本県を見ると、だれもが身近に上質な文化に触れるには地域的にも年齢階層をとっても大きなギャップがあると言わざるを得ません。川勝知事は、就任以降、芸術回廊創出事業としてソフト面での事業の充実を図られておりますが、県の一般会計予算に占める文化関係の予算の比率は決して大きいとは言えません。文化振興条例に、「文化振興施策の策定及び実施のために必要な体制を整備するよう努めるとともに、財政上の措置を講ずるよう努める」と規定している県の役割から見ても、さらなる努力が求められると思います。
     県は今後、本県の多様な文化資源を生かし発展させ、個性豊かで創意と活力あふれる地域社会を実現し県民の文化芸術に触れる機会をふやしていくために、どのような方針で進んでいくのか。財政上の裏づけや知事の文化芸術の振興に対する思いも含めて伺います。
     最後に、総合的な交通事故抑止対策について警察本部長に伺います。
     本年四月二十九日、群馬県藤岡市の関越自動車道でツアーバスが防音壁に衝突して、七人もの乗客が死亡、三十九人が重軽傷。三月には、京都府亀岡市で集団登校中の児童の列に乗用車が突っ込み十人が死傷。翌四月には、千葉県館山市と愛知県岡崎市で同じく登校中の小学生が車にはねられる悲惨な事故が相次いで発生をいたしました。
     県内でも、一歩間違えば大惨事につながりかねない事故が頻発しております。新東名高速道路では、山間部を走る地理的特性から、イノシシやシカなどの大型獣に衝突する事故や山の斜面から落ちてきた落石に大型トラックなどが乗り上げる事故が発生。一般道では、五月に熱海市内でトラックが暴走し追突されたバスの乗客やワゴン車の運転手七人が重軽傷を負い、静岡市内では軽トラックが歩道を三十メートルも走りながら自転車等に衝突し、三人に重軽傷を負わせた事故が立て続けに発生しております。
     さらに、今年一月から五月までの県下における交通事故は、死者数、負傷者数、発生件数ともに前年を上回るトリプル増となっている厳しい状況であり、県民の交通事故に対する不安は一段と高まっております。
     県警は、千葉と京都で発生した事故を受けて県内二十七署に対して、交通安全施設の設置や道路規制の現状について点検するよう指示をしたと伺っております。本県の交通行政はこの四月の新東名高速道路の開通によりその周辺地域を含めた交通環境が大きく変化するなど、ある意味過渡期を迎えており交通秩序の維持は喫緊の課題であり、極めて重要であります。
     そこで、交通事故への県民の不安を解消するために、県警として今後交通事故抑止対策についてどのように取り組んでいくのか伺います。
     以上で一たん質問を終えますが、それぞれ前向きな答弁をお願いいたします。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 蓮池議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、一期四年の総仕上げについてでございます。
     私は、経済成長を図りながら文化力を高める物心ともに豊かな富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政の基本理念に据えました。それを具体化するためのマニフェストをお示し申し上げ、これを盛り込んだ総合計画を策定したところでございます。この計画の前倒しの達成に向けて施策を鋭意実行中でございます。
     振り返りますと、この三年間はまことに激動の三年間でごさいました。特に申し上げれば就任当初の駿河湾沖を震源とする地震。これを経験いたしまして県民の命を守る危機管理が何よりも重要であると強く感じ、全力で対応を図ってまいりましたが、三年目になりまして最大の激震とも言うべきは東日本大震災でございました。これを踏まえまして地震・津波対策、台風等による災害の復旧、放射能に対する食の安全対策などに取り組んでおりますけれども、何よりも防災力を高めることが重要であるということでございまして、東海地震などに襲われる前に東日本大震災復興においてつくられている、その地域づくりを先行的にこの地域でつくり上げるという、そういう姿勢で臨んでおります。
     こうした危機管理対策を初め、県が推進いたします各種施策の進捗状況や成果などの評価につきましては、県議会の皆様を初め有識者や県民の皆様など第三者の視点からの御意見を反映した“ふじのくに”づくり白書をつくりました。そしてこれを毎年度取りまとめることにしております。この結果をみずからの県政運営に対する評価として真摯に受けとめまして、総合計画の着実な実現につなげてまいりたいと決意しております。
     この総合計画の基本計画は、昨年の二月二十三日に御発表申し上げ稼働したわけでございますけれども、それは平成二十二年度に当たります。そしてこの平成二十三年度が終えまして、この基本計画は四年計画でございますので、平成二十五年度は基本計画の最終年度ということになります。今年度、すなわち平成二十四年度、既に着手している計画の評価に基づきまして、これまでの実績を踏まえた施策の改善や重点化を図り、計画の確実な実現に向けた取り組みをより一層加速してまいりたいと思っております。
     そうした中で、今年度は特に重点領域、津波対策。それとの関連で防災力を前提にした内陸フロンティアの開発、そして雇用の三万人創出、そして少子化対策、エネルギーの地産地消。これらを重点五領域といたしまして、将来の県勢発展の礎となる施策として重点的に推進していくつもりでございます。
     私は、基本的な姿勢として、「来る者は拒まず」、「助力は惜しまず」、「報いは求めず」という三原則でいこうというふうに決めて、この職責を預かったわけでございますが、すぐに気がつきましたことは来る者はそう簡単に来ないと。敷居が高いと見えてなかなかお越しにならないので、こちらから出かけるということで、現場に出向き、現場で学び、現場で解決するという現場主義に、これはむしろ変わったと言っていいと存じます。過去三年弱の間に、公式訪問は県内外を含めて千回を超えますが、県内だけで今年の五月で九百回近くになっております。したがって一年に三百回ぐらいというふうになっているわけですが、ともかく出かけて現場主義で解決するというこれが第一の姿勢です。
     第二の「助力は惜しまず」という姿勢でございますが、助力だけをいただかれてもこれは一方的に依存体質になりかねないので、やはり自助力――セルフヘルプの力をつけると。自助自立ということを県民の方々が共通認識にすることが大事だと。そうした方向での助力を惜しまないでいこうという姿勢に変わっております。
     「報いを求めず」というのは当然のことではありますが、これは欲を出さないということです。しかし一方で、しかるべき安定した、しかも社会的に尊敬されるお立場にある方々の中に、万引きとか、盗みとか、あるいはふらちなる暴力行為に及ぶ。すなわち物欲とか性欲とか、そうした者が出てきておりまして、こうしたことに対しましては大変な危機感を持っておりまして、やはり社会的な倫理規範の確立をしっかり図っていかないといかんというように心しております。いわば徳を積む、徳を磨くということが大事であるというふうになりまして、この冒頭における三原則も、こうした形で具体化しているということでございます。
     それからさらに言えば、ある課題が突きつけられますと、それに対して難しいのでやることのできない理由を挙げるのは簡単です。特にお役所の場合は、前例にないからということでやらない場合が非常に慣例化しているという現実がございまして、やれない、やらない理由ではなくて、どうしたらできるかという方法を提示すると。方法を考えるという姿勢に大転換するべきであると。理由をあげつらうのではなくて方法を考える。理由から方法へということで、自分が何かやらない理由、やれない理由を言いかけたときには、それは一たん反省して、どうしたらこの課題に対して立ち向かうことができるか、方法を考える姿勢に変えてくださいということを新しく入られた方、あるいはまた今度幹部になられた方々に対しまして申し上げているところでございます。
     身に私を構えず、正直であること。それから上にへつらわず、下に威張らずと。こうした基本的な姿勢を我々県庁のチーム川勝の姿勢として、これからも県民幸福度の最大化に向けて全庁を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
     次に、エネルギー政策の認識についてでございます。
     福島第一原子力発電所の事故への深い反省に立ちまして、「安全」、「安定」、「効率」、「環境」というこの四つのキーコンセプトが調和した持続可能なエネルギー構造を早期に構築することが時代の要請であると考えております。そしてまた一極依存型の、特に原子力発電のみに大きく依存するというそうしたエネルギー政策を改めて、地産地消に変えねばならないと考えております。環境に負荷を与えないように配慮し、化石燃料をなるべくクリーン化する。そして効率を上げる。こうした革新的な技術開発に取り組みつつ、環境に優しい再生可能エネルギーの比率を最大限高めるために、導入スピードを飛躍的に加速していく必要があると感じております。
     あわせて、ふじのくにの士民の意識改革が不可欠でございます。省エネ、あるいは新エネルギーを目指した取り組みが新しい産業を興し雇用を生み、快適で安全な生活をもたらす社会をつくり上げていくと考えております。そのために住宅用の太陽光発電、これの導入をさらに促進する。メガソーラーの導入を支援する。中小の水力発電の新しい技術開発や導入をも支援いたします。地域内で電気や熱を有効利用する仕組みづくりなどふじのくにが有するエネルギーの潜在力を、つまり場の力を最大限生かしたエネルギーの地産地消というものを推進してまいろうと思っております。
     衣食住におきましても、食にかかわる遊休農地というものを太陽光発電の場に変える。あるいは衣につきましては、こうした遠州織物を初めとする夏服によって涼しさをつくり上げると。あるいは省エネ住宅の普及、住の改革というのも、これも本格的に取り組まねばなりません。夏には緑風を入れやすい、また冬には太陽光の恵みをさんさんと受けるというような形での住の改革、これが今重要であると思っております。県全体としてのライフスタイルの変革による省エネルギー社会の形成に取り組みます。
     東日本大震災の後の重要な課題となっております新しいエネルギー体系は、これはエネルギーの地産地消を原則として、我が国の先駆けとして構築してまいりたいと考えております。小さなものから大きなものまで動かす力はエネルギーです。小さなエネルギーから大きなエネルギーまで、これを節約するための知恵蔵を全開したいというように思っております。小さなものは安全が確保しやすうございますけれども、大きなものになりますと安全の確保は極めて難しくなります。
     そうした中で、最大なものは原子力発電でございますが、原子力発電における地産地消とは何かといえば、使用済み核燃料というものをふやさないことでございます。再稼働するということは使用済み核燃料をふやし、また新しい燃料をそこに入れ込むことでございますから、使用済み核燃料をふやすということはエネルギーの地産はしても地消ができないことになりますので、これは原則として認めることができないということでこざいます。したがって使用済み核燃料を処理する技術を、我々はこの最も原子力発電に依存する割合の低い中部電力管内において、内外の知恵を結集して高めていかねばならないというように考えております。言ってみれば、美しい島にすばらしいリゾートホテルがつくられると。だけど最終処分場といいますか、廃棄物の処理場がないということになれば島を汚すことになりますから、これはしないという、そういう原則を立てねばならないということで、これを多くの県民の方々に周知徹底してまいりたいというふうに思っております。それは決して脱原発とか、あるいは永久廃炉ということではございません。そうではなくて、どのようにして危険をなくすかという、そういうスタンスに変えねばならない。使用済み核燃料がある限りにおきまして、停止していてもこれは危険なんです。この認識をしっかり持たないことには安全が確保できないという、そうした認識を私はエネルギーについて、一番大きなエネルギー源でございます原子力発電に対して持っております。
     次に、社会的養護の必要な児童に対する自立支援についてでございます。
     さまざまな困難を抱えて児童養護施設や里親等に措置されたお子さんたちは、家族などの支援を受けることが難しく、しっかりと自立した生活を送れるようになるには子供たち一人一人の状況に応じたきめ細やかな支援を行わねばなりません。
     県では、これまで高等学校に進学する際に必要な費用を含め、授業料あるいは通学費、学用品費などを初め、就職あるいは大学等への進学のための支度費の支給も行ってまいりました。そして就職に役立つ自動車運転免許取得や就業支援を行う自立援助ホームの運営にも支援をしているところでございます。
     今回初めて、県内の児童養護施設等を対象といたしまして、退所者への実態調査を行った結果、まだ多くの課題があるということで一層の取り組みが必要であると痛感しています。
     このため今年度から、就職や大学等、進学にかかわる支度費の増額をいたします。また英語検定、簿記検定など資格取得経費の支給もいたします。措置期間の二十歳までの延長などの制度改善も行ってまいります。こうして積極的な支援に努めることにいたしました。
     また、虐待などによってさまざまな問題を抱え養育が難しい子供が増えておりますので、県立吉原林間学校を拠点といたしまして施設や里親の支援を強化するほか、児童養護施設等におきましては、家庭的な環境でよりきめ細かな養育が図られる小規模グループケア化を推進してまいります。
     今後とも、施設を退所した子供たちが自立した生活を送れるよう児童養護施設や里親など、関係者の方々と一体となりまして支援の充実を図ってまいります。
     次に、県営施設の運営に係る課題についてのうち、ふじのくに千本松フォーラムの運営についてでございます。
     コンベンションの開催が地域経済に及ぼす効果は極めて大きいものがございます。全国各地で地域経済の活性化や交流人口拡大のため新しい施設の整備計画が進むとともに、国際会議や全国大会などの誘致活動が競争激化しております。
     県東部におきましては、これまで中核となるコンベンション施設がございませんでした。そうしたことから本県経済の活性化や観光交流の振興を図るため、何よりも東部地域の活性化を図るために、ふじのくに千本松フォーラム「プラサ ヴェルデ」の整備を進めているところでございます。これができ上がりますと、西部のアクト、中部のグランシップに匹敵する施設になるであろうというように考えております。「プラサ ヴェルデ」は、国際的な会議が開催できる会議場施設に加え、展示イベント施設、ホテルが一体となった全国でも数少ない総合的なコンベンション施設でございます。それからまた首都圏から約一時間という交通の利便性も有しています。
     沼津は、近辺に富士山、伊豆半島など豊富な観光資源がございます。そしてまた富士山は世界文化遺産登録を間近に控えておりますし、伊豆半島もジオパークの認定が間近でございます。こうした好機を生かしてまいりたいと思っております。県内五カ所にございますコンベンションビューローや地域の観光関係者などと連携いたしまして、温泉や豊かな自然、多彩で豊富な食材などを生かした魅力あるプログラムを提供するなど来場者の宿泊やアフターコンベンションを促してまいりたいというように思います。
     特に、新東名が開通いたしまして、SAの中で大きく沼津と清水それから浜松と比べますと沼津が圧倒的に優位に立っております。それはやはり食の都大路――五街道ございますけれども――北大路と南大路と東大路、これの結節点に当たっているということが大きいというふうに存じます。すなわち北大路――新東名、南大路――東名、そして東大路――東駿河湾環状道路、つまり伊豆縦貫につながる道路、この結節点に当たっているのが風光明媚な、そして食材の豊かな、そして文化の香りのある沼津であるということでございます。そうした可能性がございますので、これらを生かして地域経済の活性化につながるように努めてまいります。
     なお、施設の運営は、沼津市の設置する展示イベント施設と一体で指定管理者が行うことになります。県といたしましては、コンベンション誘致能力やすぐれた企画力を持った民間事業者を選定することによって、経済波及効果の高いコンベンションの誘致を積極的に推進していこうと考えております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長のほうから御答弁を申し上げます。
    ○議長(小楠和男君) 出野知事戦略監。
           (知事戦略監 出野 勉君登壇)
    ○知事戦略監(出野 勉君) 本県の情報戦略についてお答えいたします。
     本県では、昨年三月に静岡県高度情報化基本計画ふじのくにICT戦略を策定いたしまして、「誰もが、いつでも、どこでも、情報でつながる“ふじのくに”づくり」を目標に、情報化の基盤となる光ファイバー網の整備や情報通信技術の利活用促進に取り組んでいるところであります。
     このふじのくにICT戦略では、安心・安全、快適社会の実現の手段といたしまして、災害対策における情報通信技術の利活用推進、産業や地域の活性化の手段として、農林水産物や伝統工芸品、観光情報発信の取り組みなどを掲げ、その実践といたしまして、電子地図を利用いたしました防災情報やフェイスブックを利用した観光などの情報、アイフォンでめぐるふじのくに文化探訪「すごめぐり223(ふじさん)」など多くの情報を県民の皆様にお届けいたしております。またICTの専門家を市町や商工会等に派遣し現場で情報通信技術の利活用などに関するアドバイスや相談に対応しており、昨年度は二十四回実施したところであります。
     革新著しい情報通信技術を活用した情報の発信、収集は、議員御指摘のとおり、産業活力や県民生活の利便性の向上などに寄与し、本県の競争力を高めるものと考えております。全庁で組織する高度情報化推進本部を中心に、こうした観点で社会情勢の変化に合わせた戦略の見直しを弾力的に行ってまいります。最新技術の活用や先進事例の導入などの具体的な課題に対しましても、民間の専門家を活用し情報戦略の推進体制を強化するとともに、情報通信技術の利活用を一層促進することにより積極的に対応してまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 障害のある方の一般就労に向けた支援についてお答えをいたします。
     障害のある人が企業へ就職しそこで働き続けることは、経済的な安定の確保はもとより、社会の一員としてより自立した生活を営んでいく上で大変重要なことだと考えております。 
     そのため県では、障害者働く幸せ創出センターにおける就労相談に加え、各地域の作業所へも訪問し就労ニーズの把握を行っています。また各企業に対しましては、障害者雇用を働きかけるとともに、企業から集めた求人情報を作業所へ提供することにより一人でも多く一般就労につなげる取り組みを行っております。一方、就職した人に対しましては、障害者就業・生活支援センターによる職場訪問やジョブコーチの派遣により、きめ細やかな対応を通して離職の防止と職場定着に努めています。こうした取り組みによりまして、福祉施設から一般就労へ移行した障害のある人は、平成十八年度の百十九人から平成二十三年度には二百二十二人と、およそ二倍に増加をしております。
     さらに県では、昨年度から四カ所の事業所が共同作業チームをつくり利用者十五人を施設外就労として企業へ派遣し、実践的な業務と高い工賃を得る体験を通じて就労意識の高揚と自信を深めるモデル事業を実施しています。
     県といたしましては、これまでの成果を踏まえ今後とも障害者働く幸せ創出センターを中心に企業や作業所への働きかけを強化し、福祉施設から一般就労への移行支援の充実に努めてまいります。
     次に、発達障害児・者に対する一貫的な支援のあり方についてのうち、まず発達障害児の早期発見体制の充実についてであります。
     発達障害の早期発見のためには、市町の行う一歳六カ月、三歳の幼児健診が大きな役割を担っております。幼児健診の問診項目については国が一定の基準を示しておりますが、市町では独自の項目を追加したり的確な問診を行うための研修に努めるほか、心理判定員を健診スタッフに加えるなど健診の精度を高める工夫をしております。
     しかしながら、一日の健診だけでは発見することが困難な子供もいることから、いわゆる気になる子供に対する個別相談や集団指導など、その後の見守りを含めた継続的な観察をより一層充実させることが重要であると考えております。
     このため、県におきましては県内外の先進的な事例についての情報提供、健診スタッフの資質向上のための研修を強化するほか、健診後の相談や親子教室などへ心理判定員や保健師などの専門的職員を派遣し支援することで、市町における発達障害児の早期発見体制のさらなる充実を図ってまいります。
     次に、ライフステージに応じた支援体制についてであります。
     発達障害のある方へは、できるだけ早い段階からの相談や成人期まで継続した支援が必要でありますことから、保健、福祉、教育及び労働等の関係機関の連携とともに、必要な支援が確実に引き継がれるための情報の共有化が重要であります。こうした連携体制は、市町の相談窓口を中心として保健所、保育所及び学校などの関係機関で構築されつつありますが、相談体制の脆弱な地域もありますことから、県では窓口の充実と機能強化が図られるよう相談体制の広域化や民間事業者の活用などについて関係市町に働きかけるとともに、県発達障害者支援センターによる人材養成事業を通じて、相談体制の強化に努めています。
     また、情報の共有化の取り組みにつきましては、教育委員会や親の会と協力して支援を行うだれもが、個人の生育歴や相談、支援の記録などを共有できるしずおかサポートファイルを作成いたしました。今後はこのファイルも参考にしていただきながら、各地域や利用者の実情に応じた支援ツールの作成により、本人、家族及び支援者間の情報の共有化が一層進みますよう努めてまいります。
     平成二十年度に行われました県教育委員会の調査では、県内小中学校の生徒の三・五%が発達障害と思われるとの結果が出ており、できるだけ早期に発見し継続的に支援を行えばスムーズな社会適応が可能となると言われています。
     県といたしましては、市町に対して相談支援体制の整備、充実を積極的に促すとともに、乳幼児期から成人期まで、関係部局が一体となって切れ目のない支援が実現できるよう取り組んでまいります。
     次に、がん対策についてのうち、まず在宅緩和ケアの取り組みについてであります。
     議員の御指摘のとおり、がんと診断されたときから切れ目なく緩和ケアを提供していくことは、がん患者やその家族の療養生活の質の維持の向上を図る上で非常に重要であります。このため本県では、平成二十年度から県立静岡がんセンターを中心としたがん診療連携拠点病院等において医師を対象とした研修会を開催し、緩和ケアを担う人材を養成をしています。
     しかし、この研修会の受講者の大多数が病院勤務医で在宅緩和ケアの担い手である診療所医師の受講者が少ないという状況にあったため、本年度から県医師会等と協力し診療所医師の受講者をふやす取り組みを進めています。年内にはこの研修会の受講者をもとに、在宅緩和ケアを行っている医療機関リストを公表し病院から診療所へスムーズに患者を紹介できるよう努めてまいります。
     さらに、県といたしましては、本年度の県のがん対策推進計画の見直しの中で新たに介護サービス事業所と医療機関が連携し、がん患者の日常生活をサポートする方策について検討し、がん患者が安心して在宅療養できる在宅緩和ケアシステムを構築してまいります。
     次に、総合的な小児がん対策についてであります。
     小児がんは、適切に治療すれば七〇%が治癒すると言われていますが、治癒後に成長障害や内分泌障害等が出現する可能性があることから、医療体制の整備に加え、患者の復学教育や自立に向けた長期的な支援が大変重要であると考えています。
     このような中、国に先駆けて県独自に県立こども病院を小児がん拠点病院に指定し、医療機能の強化を図るとともに、県立こども病院を中心に専門的な知識の習得を目的とする症例検討会を開催し県内の専門医の育成にも努めています。また県立こども病院では、小児がん経験者が安心して健やかな生活ができるよう長期フォローアップ外来を設置し、退院後の成長障害等の予防や早期発見に努めるとともに、長期入院患者がいる病院においては、教育委員会の協力を得てスムーズな復学のための院内学級などを設けているところであります。
     今後は、県立こども病院だけではなく、より身近な地域においても適切な長期フォローアップが受けられますよう専門医療機関の連携や相談支援センターの充実等に努めてまいります。さらに今年度国において小児がん拠点病院制度が新たに創設されました。本県の小児がん対策のさらなる充実を図るため、県立こども病院が国の指定を受けられますよう国に強く働きかけてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 発達障害児・者に対する一貫的な支援のあり方についてのうち、学校現場における対応についてお答えいたします。
     発達障害のある児童生徒に対する理解を深めるため総合教育センターにおきましては、子供の特性を生かした指導方法等について、初任者、新任教頭、教職十年経験者などを対象に研修を実施しているところであります。
     小中学校におきましては、一人一人の児童生徒に適切な支援を行うため市町教育委員会から派遣される臨床心理士などの専門家の助言に基づき具体的な支援方法を確認するとともに、校内研修を通して教職員の共通理解を図っております。
     また、高等学校におきましては、県が任命した学校支援心理アドバイザーである臨床心理士が要請に応じて助言を行っております。また現在、発達障害等の特別な支援を必要とする生徒の理解及び支援をより適切に行っていくため、高等学校教員用リーフレットを作成しております。今後とも総合教育センター及び校内の研修をより一層充実させるとともに、作成中のリーフレットの活用を十分に図り、すべての教職員が発達障害についての理解を深めるよう努めてまいります。また発達障害等で高等学校進学が不利益にならないよう受験上の配慮を行うとともに、中学校から高等学校への支援の円滑な接続を行うために、高等学校に合格した後に保護者の同意を得た上で個別の教育支援計画や指導記録などの情報の共有化を図っているところであります。
     県教育委員会といたしましては、健康福祉部が主催する相談会等の機会をとらえ保護者に正確な情報を伝えるなど、関係部局との連携を一層強化し発達障害のある子供たちの支援に努めてまいります。
     次に、本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについてのうち、学校における防災・救命教育についてであります。 
     県教育委員会では、昨年度、生命の尊重や助け合い、ボランティア精神等を養うことを目的として、岩手県を中心に派遣した高校生三十人の活動報告書をもとに、高校生のための防災ノートを本県独自で作成し、今年度、防災教育の教材として活用することとしております。
     この防災ノートの活用例としましては、静岡商業高校ではロングホームルームの時間に通学路における避難場所チェックシートへ生徒みずからが避難する場所を書き込み、命の連絡帳を作成し、保護者と確認した上で学校に提出するという取り組みを行っております。
     また、保健の授業では、実習を交えながら応急手当の方法を理解させていますが、津波から救助された住民を高校生が介抱したという東日本大震災の実例を踏まえ、議員からも御提案のありましたより実践的な技術を身につけさせるため、医療・消防関係機関との連携を図るよう学校を指導してまいります。
     今後とも、総合的な学習の時間やロングホームルーム等を活用して、いつどこで災害に遭ってもみずからの命を守るとともに、他者にも目を向けて行動できる生徒の育成を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) 県営施設の運営に係る課題についてのうち、グランシップのスレート安全対策についてお答えいたします。
     県では、平成二十二年度に外壁化粧石材剥落抜本対策検討委員会の提言を受け、剥落防止の確実性や工事費など、さまざまな観点からメッシュ張りにより安全対策を行うことを決定し、昨年度実施した設計プロポーザルでは、メッシュ張り構法や各種性能の検証とあわせて工事完了後における維持管理の方法についても技術提案を求めております。選定された設計者の提案は部分的なメッシュの取り外しや剥離したスレートの撤去が可能な提案であり、今年度中に完了する設計業務においては極力経費をかけることなく点検や維持管理ができるよう具体的なメッシュ張りの構法や使用材料などを検討し、外部有識者の助言をいただきながら設計を進めてまいります。
     また、設計者の責任についてでありますが、議員御指摘の別府マンション事件の最高裁判例では、建物の基本的な安全性を損なう瑕疵について具体的に例示するなど踏み込んだ内容となっておりますが、被告の過失を原告が立証しなくてはならないという前提は変わっておりません。スレートの剥落が発生した時点で瑕疵担保期間は既に経過しており、また不法行為責任についても、原因究明調査の結果から判断すると設計者の過失の立証は難しいとの弁護士の意見もあり、訴訟という形で責任を問うことは困難であると考えております。設計者からは、遺憾の意の表明と今後の安全対策工事への協力を約束する旨の回答を得ているところであります。その上で安全対策に係る費用負担への協力については交渉を継続しております。
     議員に御指摘をいただいた別府マンション事件につきましては、現在最高裁で係争中でありますことから、訴訟の動向について今後も引き続き注視するとともに、県民の皆様にグランシップを安心して利用していただけるようスレート安全対策を着実に実施してまいります。
     次に、文化芸術振興のさらなる推進についてであります。
     文化・芸術の振興は、人々に心の豊かさをもたらすだけでなく、教育や福祉、まちづくり、観光などあらゆる分野の基盤となり人々の暮らしを形づくる重要な地域政策であります。各地に存在する多彩な文化資源の価値を認識し、その魅力を発信し、さまざまな交流に結びつけていくことが重要であると考えております。
     県では、これまでもSPACや静岡国際オペラコンクールなど世界的な創造活動を発信するとともに、グランシップや県立美術館による上質な文化・芸術に触れる機会の提供と、ふじのくに芸術祭の開催など県民みずからが文化を創造、発表する機会の充実に努めてまいりました。
     昨年度からは、子供が本物の文化に触れる機会の一層の充実を図るため、音楽、演劇、美術から伝統芸能に至るまで多様な分野を対象に、第一線で活躍する芸術家が指導する体験・創造講座ふじのくに子ども芸術大学を実施しております。またふじのくに文化資源データベースの整備や冊子「静岡県のすごい産業遺産」の発行などにより、県内の多彩な文化資源の再認識やその魅力を生かした交流の拡大に取り組んでいるところであり、県民の皆様からも大きな反響をいただいております。
     今後も文化振興基本条例の基本理念にのっとり、県として質の高い鑑賞機会の提供や住む人の誇りとなる文化資源の情報発信などに積極的に取り組むとともに、市町や団体が推進する地域の歴史や食文化などを核とした事業とも連携することで、県民の皆様が主体となる活動を呼び起こして、いつでもどこでも多彩で魅力的な文化の花が咲き、国内外からあこがれられるふじのくに芸術回廊の実現を目指してまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについてのうち、建物の耐震補強の促進についてお答えいたします。
     本年五月末までに、「TOUKAI―0」の助成制度を活用して耐震補強工事を実施した木造住宅は、累計で一万五千九十三戸と目標の二万戸に対して約七五%に達したところですが、東海地震による住宅の倒壊や地震後の津波から速やかに避難するためには、一層の促進を図ることが重要であります。木造住宅の耐震化に当たっては、無料の耐震診断で補強が必要と判断された場合は補強計画を策定することになりますが、その策定費用については補助率が三分の二のため、五万円程度の自己負担が必要となっております。近年の実績では耐震診断を受けた方のうち約五二%の方が補強計画の策定に進んでおりますが、一方でどのような補強工事が必要となるのか、また補強工事に幾らかかるのかなどの不安感により、約半数の方が補強計画にまで進んでおりません。このためそのような方に対しては、耐震診断補強相談士から補強工事の内容や概算の工事費とともに、住宅リフォーム支援事業などの併用可能な助成制度により耐震化に係る費用負担が軽減されることなどきめ細かな説明を行い、一戸でも多くの住宅が補強計画や補強工事につながるよう努めております。
     御提案の補強計画の策定の無料化につきましては、市町にも負担を求めることとなりますので、今後策定予定である第四次地震被害想定も踏まえ、助成すべき地域や対象者の重点化などについて市町と十分な意見調整を行っていく必要があると考えております。
     次に、男女共同参画の視点からの防災対策の推進についてであります。
     平成二十三年度にスタートした第二次静岡県男女共同参画基本計画の推進に当たっては、当初三年間で取り組む四つの重点テーマを設定したところでありますが、東日本大震災を受けて、テーマの一つである「男女共同参画推進による地域力強化」の中に男女共同参画の推進による地域防災力の強化を明確に位置づけております。その具体的な取り組みとしては、防災をテーマとした各種セミナーの開催、県内女性団体による被災地支援活動のパネル展示、男女共同参画ポータルサイト「あざれあナビ」による女性のための防災関連情報の発信等を行ってきたところでございます。こうした中、国では東日本大震災時の状況調査をもとに避難所、仮設住宅、復旧・復興段階での男女共同参画の視点からの必要な対応をまとめることとしており、県内でも自主防災組織の活性化のための推進母体である県地域防災活動推進委員会が、今年度「女性の視点に立った地域の防災」をテーマに研究を行うと聞いております。
     県では、こうした動きも参考にしながら、防災関係機関、「あざれあ」を拠点とする男女共同参画団体、さらに県内の男女共同参画推進のネットワーク組織であるしずおか男女共同参画推進会議等と連携して、災害時における女性リーダーの役割や女性に配慮した避難所づくりのヒントなどを盛り込んだ市町の指針となる防災手引書を作成してまいります。また「あざれあ」が、災害時に全国の男女共同参画センターや県内関係機関と情報を共有し、被災女性等に対する相談窓口の開設など支援者と被災者をつなぐ連携の拠点となるよう検討を進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 小川危機管理監。
           (危機管理監 小川英雄君登壇)
    ○危機管理監(小川英雄君) 本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについてのうち、防災士の活用についてお答えをいたします。
     地域の防災力向上に資する貴重な人材といたしまして、本県が平成八年度から養成してきた防災士を積極的に活用していただくため、毎年それぞれの市町に在住する防災士の名簿を各市町に提供してまいりました。その結果、独自に防災講座を開催するなど大変熱心に取り組んでいただいている防災士もいらっしゃる反面、まだ十分な活躍に至ってない例も数多く見られますことから、防災士の活躍の機会をふやす取り組みを進めてまいります。まずは静岡県ふじのくに防災士の称号を受けている千二百五十人の方については、改めて意向を確認し地域貢献を希望する方を新たにつくります防災人材バンクに登録していだたき、市町や学校、自主防災組織の防災訓練や研修会などで活躍できる仕組みをつくってまいります。また広く県民の皆様に周知したい東日本大震災の教訓や第四次地震被害想定の内容などについて、より多くの県民の皆様にお伝えすることができるよう防災士を活用した啓発を進めてまいります。さらには毎年防災士のスキルアップを図る研修を実施しておりますので、その中で最新の防災関係情報や防災訓練手法などを習得していただくことにより、県内それぞれの地域の特性を考慮した正しい情報を伝えることができる力を備えた防災士を育ててまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 長島交通基盤部長。
           (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
    ○交通基盤部長(長島郁夫君) 本県の防災・減災力の向上に向けた取り組みについてのうち、防災・減災ニューディール政策についてお答えいたします。
     高度成長期に建設された多くの社会資本の老朽化に限られた予算の中で対応するためには、計画的かつ効率的な維持管理が必要であります。本県では、平成十五年度に全国に先駆けて策定した土木施設長寿命化行動方針及び長寿命化計画に基づき事業を推進しているところであります。また昨年の東日本大震災を受け、地震対策の重要性はさらに高まっており、防災上重要な土木施設の耐震対策を長寿命化計画の実施とあわせて早急に行う必要があると考えております。このため震災時の生命線となる緊急輸送路の橋梁につきましては、落橋のおそれが高い橋梁の耐震対策を平成二十五年度までに、けたや塗装の傷みが著しい橋梁の長寿命化緊急対策を平成二十八年度までに完了するように、重点的な整備を行っているところであります。今後も社会資本の長寿命化計画を着実に進めていく中で防災対策上で重要な施設につきましては、スピード感を持って耐震対策や補修を行い、県民の安全・安心に寄与するよう社会資本の維持管理に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 地産地消の取り組みの推進についてお答えいたします。
     県では、毎月二十三日をふじのくに地産地消の日、十九日から二十三日を地産地消週間、さらに二月と八月を強化月間とし、量販店や直売所など延べ五百店舗において、ポスターやのぼり旗等によるフェアを開催いたしますとともに、学校給食におきましても地産地消の日に合わせたメニューの提供に取り組むなど県民の皆様に対する認知度の向上に努めております。またふじのくに食の都づくり仕事人や野菜に関する知識が豊富な野菜ソムリエ等地産地消に積極的にかかわっている方々と連携して、県産食材の魅力やおいしい食べ方などの情報を発信しております。さらに食品メーカーなどによる県産の夏野菜を使ったカレーレシピの提案や、食の都大路である新東名の開通に合わせて実施された新東名・東名スタンプラリーでの県産品のプレゼントなど、企業が主体となった企画も始まっております。今後とも生産者とともに企業に対し農芸品等の紹介を行うなど、民間における地産地消の取り組みのより一層の浸透を図ってまいります。こうした取り組みに加えまして、本県が年間を通して新鮮で安全な食材が豊富に産出される食材の王国であることを県民の皆様が実感し、安心して購入いただけますよう新たに農林水産業の関係団体が一堂に会して本県が誇る農芸品の紹介、販売を行うふじのくに農芸品フェアを開催するなど地産地消の一層の推進を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 繁田警察本部長。
           (警察本部長 繁田 誠君登壇)
    ○警察本部長(繁田 誠君) 総合的な交通事故抑止対策についてお答えいたします。
     初めに、県下の交通事故の特徴でありますが、一月から五月の死者件数及び負傷者件数等いずれも増加、トリプル増の状態にありましたが、各位の御支援、御協力もあり、六月下旬になりようやくマイナスとなる日々も見られるようになりました。ほぼ昨年並みまで戻ってきたと言える状態にあります。しかし現在は、最も日照時間が長く交通環境は非常によい状態とも言え、今後はより厳しい状況を念頭に置かねばならぬと考えております。本年は特に高齢者が被害者となる死亡事故が増加していること、二輪車による死亡事故が増加していること及び追突、出会い頭事故の発生割合が高いことなどが特徴として挙げられます。なお本年四月に供用開始した新東名では動物の侵入事案や落石事故が発生しておりますが、幸いにもいまだ死亡事故など重大事故の発生はありません。また議員御指摘のとおり本県におきましても幸い軽傷ではありましたが、静岡市における小学生が被害に遭う軽トラックの暴走事故や熱海市内におけるトラック暴走事故が発生しているところであります。
     県民の不安を解消するための取り組みでありますが、本年の交通事故抑止重点対策であります高齢者事故防止、飲酒運転根絶、シートベルト着用及び自転車安全利用の四大対策を引き続き効果的に推進し、交通事故の総量削減を図ることとしております。特に課題であります高齢歩行者の事故防止としては、日の入り時間が早まる秋口までに高齢者の道路横断中の交通事故抑止効果が極めて高いと見られる自発光式反射材の着用の促進など、見える対策を徹底して推進してまいります。また新東名では徐々に速度を超過する事案も見られようになってきており、今後重大事故の発生が懸念されることから速度違反を、また一般道においては、横断中の歩行者妨害等の悪質、危険な交通違反に重点を置いた取り締まりを強化してまいります。
     次に、過日熱海市内において発生したトラック暴走事故への対応としましては、過積載違反に対する取り締まりを強化するとともに、運輸事業者に対する安全対策に関する申し入れ及び道路管理者等との再発防止検討会を実施しております。また通学路の対策としましては、京都府内における集団登校中の児童が被害に遭った重大事故の発生直後から、全国に先駆けて安全点検を実施し通学時間帯における通学路規制に伴う通行禁止違反や横断歩行者妨害違反などの取り締まりを強化し、重大事故の抑止に努めておるところであります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 蓮池章平君。
           (二十九番 蓮池章平君登壇)
    ○二十九番(蓮池章平君) まず、知事から御答弁いただきました社会的養護の必要な児童に対する支援についてでありますが、これは協議会の報告書では、自立支援担当員、子供たちに直接対応する支援とあわせて、自立支援担当職員の配置といったことが求められておりますが、この点について県の考えを伺いたいと思います。
     それから二点目は、教育長、発達障害のある子供たちに対する特に中学から高校、ここはかなりハードルというか壁がある。事実、合格後もなかなか発達障害という情報が上がってこないということは、やはり何か問題があるというふうに思うんですね。これはやはり先ほど申し上げましたように、高校、県教委としては、発達障害があっても全面的に一人一人きちんと見ていくということを、やはり教育長が強いメッセージを発することが必要だと思いますので、その点再度決意を伺いたいと思います。
     三点目、グランシップでありますが、先ほどの質問で、今後の維持管理の経費については具体的な答弁がなかったんですが、その点については今試算はどのぐらいですか。私はこのグランシップの問題は、今のままでいけば今後いろいろな維持補修にお金がかかってもだれも責任をとらない。つまり県も、それから設計者も責任をとらない。だれが責任をとるかといったら県民の皆さんが県民の税金で補償をするということになりかねないということで、今回のこの最高裁の判決は、外壁の剥落が生じれば設計・監理者、これは損害賠償責任がある。つまり剥落が生じただけでそれがあるという判断だと。つまり先ほど弁護士さんの見解を示されましたが、私は建物の所有者というのは、損害賠償請求に当たって設計・監理者などの不法行為の立証の必要がないという最高裁の判例だというふうに解釈をしております。法解釈ですからどういうふうに県が解釈されるかはわかりませんが、しかしきちんとした、この訴訟という、裁判という場で、責任はどこにあったのかということをやはりきちんと証明しない限りは、恐らく何十年後、この議会でまた補修の予算が出てきてそれに対して議会承認を得るということになりかねないので、これはきちんとやるべきだというふうに思います。この点についてどうでしょうか。
     それから耐震補強でありますけれども、これは平成二十七年末までに九〇%の目標ですね。この目標が今の施策で達成できますか。先ほど知事は、やれない理由じゃなくてどうしたらできるか方法を考えるというふうに言われましたけれども、今の方法で本当にこの目標が達成できるんでしょうか。その点を伺います。
    ○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 再質問のございました自立支援担当職員の配置についてお答えをいたします。
     施設を退所した子供たちを常に心配をして相談や援助をしていただいている職員の方々には、大変ありがたく思っています。そういう中で、今年度その状況を踏まえられて施設に配置される職員の人員配置の基準が緩和され、さらにいろいろな加算制度も充実がなされました。私としたら、施設のその状況も施設に伺いながら、自立支援専門員を施設に置くのがいいのか、別に置き場所がないのか、企業にもうちょっと応援をしてもらえないのかということも含めまして、施設と関係者の方々と、特に職員の方々と十分に研究をしてまいりたいと思っております。以上です。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 中学校から高等学校に入学する子供たち、特に発達障害を持っている子供たちへの指導ということについて再質問にお答えしたいと思います。
     先ほどの答弁とも重なるかもしれませんけれども、私としては、大きく本年度三つのことを重点的にやっていきたいなというふうに思っております。
     その一つは、リーフレットが全高等学校の教職員に、今の予定では八月末に作成配付予定でありますので、このリーフレットを使いまして、発達障害についての理解を一層促進するというのが一点目であります。
     二点目は、先ほどの答弁にもございましたように、何といってもやはり入り口の部分で、高校の入学の部分で不利益にならないということの共通理解というのが必要だと思いますので、これは健康福祉部が主催する相談会等、あるいはいろんな場面を活用しまして、この理解浸透にも努めていきたいなと思っております。
     最後、三点目は、各地区で高等学校と中学校の進路関係の校長会が開かれますので、そういう場を有効に活用しまして、まずは中学、高等学校の校長同士の共通理解というものも図ってまいりたいなというふうに思っております。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 下山文化・観光部長。
           (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
    ○文化・観光部長(下山晃司君) グランシップのスレートの安全対策についての再質問にお答えをいたします。
     県民の皆様に御利用いただく公の施設が現在の状況にあることについては、大変申しわけなく思っております。その上ででございますが、工事完了後の維持管理に係る経費ということでございますが、現在基本設計を検討している段階ということで額は出ておりませんが、この基本設計の方針といたしましては、各種の取りつけ部材をできるだけ耐久性の高い材料を使用して維持管理経費を圧縮する、あるいはメッシュ張りの内側に落ちたスレートの撤去は通常の点検や維持修繕に合わせて実施する、こういったさまざまな工夫をしながら、その維持管理経費、先ほど御答弁いたしましたように極力経費をかけることなく、点検・維持管理ができるようにしてまいりたいと考えております。
     それから二点目の不法行為についての考え方でごさいますが、不法行為の損害賠償を問えるケースでございますが、一つには建物に瑕疵があるということでございます。この点につきましては、今回かなり踏み込んだ判決が出たということは議員の御指摘のとおりでございます。この建物に瑕疵があるということに加えまして、加害者に故意または過失があるということが重要になってまいります。この点の判断におきまして、弁護士の意見を伺いますと、現在の原因の究明のレベルではなかなか難しいのではないかという御指摘を受けております。
     先ほど申し上げましたが、現在最高裁で係争中の事案でもございますので、先生に御指摘いただきましたように、この推移については十分注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
    ○議長(小楠和男君) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 建物耐震補強の促進につきましての再質問についてお答えさせていただきます。
     平成十八年十月に策定をいたしました県の耐震改修促進計画では、平成二十七年度までに住宅の耐震化率を九〇%にするということを目標にしてございます。平成二十年度末現在の住宅の耐震化率は七九・三%ということで、まだ若干差がございますが、先ほど御答弁申し上げたとおり耐震診断を耐震の補強計画につなげ工事までつなぐということなどを通じまして、私どもとしては、あらゆる手法を使いましてこの耐震化率を九〇%に向けてアップをする努力をしたいと思いますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
    ○議長(小楠和男君) これで蓮池章平君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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