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ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

土屋 源由 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/29/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
 (1) 統一地方選の結果を踏まえた知事の姿勢  
 (2) 残り二年間の県政運営  
 (3) 静岡型県都構想を含む県の将来像  
 (4) 教育における地方創生と総合教育会議  
2 地方創生について  
 (1) 市町の地方版総合戦略策定における地域との連携  
 (2) 移住・定住の促進  
3 観光振興について  
 (1) 韮山反射炉の世界文化遺産登録後の伊豆の観光振興の役割
 (2) 富士山静岡空港を利用する外国人旅行者の滞在促進  
 (3) スポーツを活用した交流促進  
4 産業振興について  
  小規模企業に対する支援  
5 健康福祉行政について  
 (1) 地域医療体制の充実  
 (2) 介護保険制度の信頼確保  
6 国の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」への対応について  
7 社会資本整備における長寿命化の取り組みについて  
8 教育行政のあり方について  
 (1) 教育長の教育理念  
 (2) 教育課題に対する取り組み  
9 多様化する犯罪への対策について


○議長(吉川雄二君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第九十二号から第百十一号までを一括して議題とします。
 なお、議案第九十三号について人事委員会の意見を求めたところ、お手元に配付したとおり回答を得ていますので御承知おき願います。

                                        人委給第4号
                                      平成27年6月25日
静岡県議会議長 吉 川 雄 二 様
                           静岡県人事委員会委員長 小 川 良 昭
            地方公務員法第5条第2項に基づく意見について
 平成27年6月24日付け静議議第21号により意見を求められた下記議案について、異議はありません。
                      記
議案名
第93号議案 静岡県職員の退職手当に関する条例及び静岡県定年退職者等の再任用に関する条例の一
部を改正する条例

○議長(吉川雄二君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十二番 土屋源由君。
       (十二番 土屋源由君登壇 拍手)
○十二番(土屋源由君) 皆さんおはようございます。
 質問に先立ちまして、最近国内における火山活動が非常に活発になっております。五月六日箱根山の噴火警戒レベル2への引き上げや大涌谷周辺の住民に対する避難指示の発令、口永良部島の噴火による全島民の避難など先の見えない状況は大変不安なものとなっております。一刻も早い状況の終息を心よりお祈り申し上げます。
 それでは質問に入ります。私は自民改革会議を代表して当面する県の諸課題に対し知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、統一地方選の結果を踏まえた知事の姿勢について伺います。
 去る四月十二日の県議会議員選挙の結果、我々自民改革会議の議員は三十九名となりました。改選前から議席をふやし、引き続き県議会で過半数を占める最大会派となったところであります。県民の皆様からこれまでの我々の実績を評価していただき、大変多くの負託を受け身が引き締まる思いであります。今後の四年間、県議会の最大会派として責任ある議会運営を心がけていくつもりであります。
 さて、議会運営に当たりまして我々会派の合い言葉、基本理念は是々非々であります。いいものはいい、だめなものはだめと常に県民、県のためになるかどうかで判断し議会のチェック機能を果たしていきたいと考えております。またその姿勢こそ今回の県議会議員選挙を通じて県民が我々に託したものだと思っているところであります。
 一方、川勝知事は選挙期間中ノーサイド、オールサイドを貫かれ、選挙後の記者会見でも誰が県議になっても姿勢は変わらず、党派にこだわらず従来どおりの県政運営を続ける。また党派を超えて信頼関係が着実に増してきた。話せばわかるはずとも発言されております。しかし選挙戦では、知事与党を自負する会派の方々は政党色を薄め県民知名度の高い川勝知事との太いパイプを前面に押し立てて戦われ、とりわけ一人区ではその傾向が顕著でありました。その選挙結果が今回の議席数となっております。
 そこで知事は今回の県議会議員選挙の結果をどのように受けとめ、また今後議会とのかかわりをどのように持っていかれるつもりなのか、所見を伺います。
 次に、残り二年間の県政運営について伺います。
 ことしは平成二十九年度までを計画期間とする静岡県総合計画後期アクションプランの折り返しの年であり、知事の任期のちょうど中間にも当たり、県政にとってもそれをあずかる川勝知事にとっても非常に重要な年であると考えます。後期アクションプランは知事の言葉を借りれば県民の県民による県民のためのマニフェストであり、その実現が県民との約束とも言える重要な計画であります。
 昨年度の後期アクションプランの進捗評価では、九つの戦略ごとの具体的取り組みの数値目標二百六十一のうち四十の指標が期待値よりマイナス三〇%以下、五十一の指標が基準値以下でした。リーマンショック以降、本県産業の牽引役である製造業を中心にいま一つ力強さが戻っていないことや低い水準で推移した景況感等を反映し、経済関係分野を初め生活や暮らし、環境等の分野に関する指標を中心におくれているものが多く見られます。これは平成二十五年度の数値の推移であり後期アクションプランの取り組みを反映したものではありませんが、目標の実現に向けより一層取り組みを推進していく必要があると考えます。
 また、内陸のフロンティアを拓く取り組みについても、内陸高台部と比べ沿岸都市部の対策はまだまだといった感もあり、今後二年の間での達成が困難と思われる取り組みもあると感じられます。
 知事の任期の折り返し地点にある今、県民との約束とも言える後期アクションプランの実現に向けて今後の県政運営をどのように進めていこうとしているのか、知事の決意を伺います。
 次に、静岡型県都構想を含む県の将来像について伺います。
 県が策定作業を進めている本県の人口ビジョンでは、本県の人口は二〇六〇年には二百三十九万人に減少するという推計も示されており、その対策となる地方版総合戦略の策定作業も同時に進められております。少子化対策や産業政策などの施策はもちろん重要でありますが、こうした社会構造の変化に対応し、持続的な行政のあり方についても私は議論が必要だと考えております。
 地方自治法が制定されてから六十年以上が経過しましたが、この間我が国の社会構造は大きく変化しており、東京を初めとして大都市への人口集中が進む一方で地方では人口減少の流れが加速しています。これまでも地方分権の観点からさまざまな改革や議論がされてきましたが、我が国の行政の姿は大きく変化してきたとは思えません。去る五月十八日大阪市で大阪都構想の住民投票が行われ、その結果は否決となりました。しかし我が国の行政のあり方について一石を投じるものであったと感じております。
 一方で、川勝知事は県と静岡市を一体的に運営する静岡型県都構想を唐突に提案されました。六月八日の記者会見では県内を五つの圏域に分けて県庁の機能を分割して市町を下支えするという私案が表明され、市町を初め大きな反響を呼んでおります。また今後県が策定する地方版総合戦略を協議する各圏域の地域会議で提案し、議論していくとしています。川勝知事は富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政の理念として掲げておりますが、人口減少社会の本格化など我が国の社会構造が大きく変化していく中で将来的に安定した行政運営を行っていくために、今後、私案としている静岡型県都構想をどのように県政に反映させようとしているのでしょうか。
 そこで、静岡型県都構想を含め知事が描く県の将来像、その実現に向けて、知事の所見を伺います。
 次に、教育における地方創生と総合教育会議について伺います。
 地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正され、四月から新しい教育行政の幕が上がりました。新しい制度では地方公共団体の長と教育委員会の意思疎通を図る場として総合教育会議の設置が定められ、本県でもこれまでに二回総合教育会議が開催されました。また教育委員会では従来の教育長と教育委員長を一本化した新教育長を設置することになり、さまざまな経緯はございましたが五月に木苗直秀新教育長が就任されたところであります。このように本県でも新しい体制が整い、子供たちにとってよりよい教育環境が実現されることを期待しております。
 そうした中、知事は常々教育における地方創生と言われております。五月臨時会の知事提案説明においても、私が総合教育会議の場で発言し、有徳の人づくりに向けた議論を深め、教育における地方創生を実現していくと述べられました。このほかにもさまざまな場で同様の発言をされています。こうした発言からは知事の強い思いを感じますが、本県の教育が具体的にどのように変わるのか、また知事はどのように変えていこうとしているのか、県民にとってはいま一つわかりにくいのではないかと思います。
 そこで、知事の考える教育における地方創生とはどのようなものか伺います。
 また、総合教育会議は知事と教育委員会がよりよい教育環境の実現を目指し協議調整を行う重要な場でありますが、知事は総合教育会議にどのような姿勢で臨むのか伺います。
 次に、地方創生についてのうち、市町の地方版総合戦略策定における地域との連携について伺います。
 市町の地方版総合戦略は、各自治体の人口の現状や将来の展望を提示する地方人口ビジョンを踏まえつつ政策分野ごとに基本目標などを設定し、産業の実態など地域の実情に対応する具体的な施策を盛り込んで策定するものであります。県内では既に地方人口ビジョンや総合戦略を策定した市もありますが、一方で今まさに策定作業を行っているところやこれから取りかかろうとしているところがあるなど、市町によってスピード感が異なっています。
 本県には政令指定都市から町までさまざな規模の市町が存在し、人的資源やこれまでの行政経験などに差異がある中、市町によっては総合戦略を迅速かつ的確に策定していくことができるのか不安を覚えてしまいます。特に中部地域や西部地域に比べ市町村合併が進まなかった東部地域や伊豆半島地域など、人口減少に歯どめがかからず高齢化が急速に進んでいる地域においてどのような総合戦略が策定されるのか、危惧の念を抱いております。
 本県は、世界レベルの魅力を生かした観光業の盛んな伊豆半島地域から光技術を初めとする世界トップクラスの技術で最先端を行く西部地域まで、それぞれの地域圏の有する特性は大いに異なっています。市町の総合戦略はそれぞれ独自の検討のもとで策定されるものの、各地域圏が持っている特色ある資源やポテンシャルの活用を図ることは重要なことであり、そういう意味でも県に対する期待は大きなものがあると言えます。
 このように、いずれの市町も確実に時機を捉え目指すべき将来の方向となる総合戦略を策定するためには、県の強力なリーダーシップときめ細かな対応が必要と考えます。
 そこで、県の所見と対応方針を伺います。
 次に、移住・定住の促進について伺います。
 本格的な人口減少時代を迎え、本県においては人口の転出超過が二年連続全国ワースト二位の深刻な状況を受け、人口減少への対応が急務であることは誰もが感じているところであります。とりわけ県東部からの都会への進学・就職による転出は、就職先のない故郷に戻りようもなく、若者の雇用の確保や就職先のあっせんなどの強化を図り若い人にターゲットを絞った対応など他県にない取り組みもすべきではないかと考えています。
 それに対し、県は移住・定住を促進するため四月にふじのくにに住みかえる推進本部を設置するとともに、東京都内に“ふじのくにに住みかえる”静岡県移住相談センターを設け本格的な取り組みを始めたと承知しております。
 移住・定住施策の展開は移住者を争奪する地域間の競争という一面もあります。したがって移住しようとする人をただ待つのではなく、静岡県への移住希望者を市町と連携して積極的に掘り起こしていく攻めの姿勢をとり県内に住んでもらうことが重要であり、他県と取り組み状況が同じでは都市間競争の激化の中、転出超過の解消にはつながりません。またその数をふやすことだけを目的とした取り組みでは移住者が思い描いていた生活とのミスマッチが生じかねません。市町と連携した受け入れ体制の充実は欠かせない対策であり、きめ細やかな対応をしていく必要があります。
 そこで、全国ワースト二位の汚名返上の本気度を見せるためにも、静岡県への移住・定住の実現に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、観光振興についてのうち、韮山反射炉の世界文化遺産登録後の伊豆の観光振興の役割について伺います。
 韮山反射炉を含む明治日本の産業革命遺産がイコモスの勧告を受けて、世界遺産登録が目前に迫っております。今後は保全もさることながら、登録で盛り上がった機運を一過性のものにせず観光振興、地域振興につなげていくことが必要であります。
 五月五日のイコモス勧告以降韮山反射炉の入場者数は急増しており、勧告後の一カ月の入場者数はおよそ四万八千人となり前年の五倍を超える観光客が訪れ近年にない混雑ぶりでありました。地元ではうれしい悲鳴を上げた一方、韮山反射炉に続く県道は渋滞し駐車場や案内ガイドが不足するなど受け入れ体制の不備も明らかになりました。とにかく世界遺産登録を間近に控え観光客の受け入れ体制の整備が急務であります。また増加が見込まれる観光客の宿泊、誘導、案内等の諸課題について地元市町が努力するのはもちろんでありますが、市町の枠組みを超え伊豆半島全体で取り組むべき問題でもあり、県の積極的な支援も期待されるところであります。
 そこで、県では諸課題をどのように捉え、今後どのようにかかわり支援をしていくのか伺います。
 また、過日伊豆半島ジオパークの世界ネットワーク加盟に向けた現地審査も行われ、九月には加盟の可否が決定する予定と伺っております。
 そこで、韮山反射炉に加え伊豆半島ジオパークの世界ダブル登録が見込まれるこの絶好の機会を捉え、伊豆半島全体の観光振興をどのように図るのか、県の方針について所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港を利用する外国人旅行者の滞在促進について伺います。
 六月四日の静岡新聞に、「県内一泊すぐ県外へ」との見出しがあり、内容は、「静岡空港を利用して中国から本県に入る訪日客が急増している。そのほとんどがツアーで国内をめぐる観光客。県内の滞在は初日の宿泊と帰りの飛行機に乗る静岡空港だけ」とあります。「現在の就航路線は国内線が四路線・週四十二便、国際線が八路線・週三十便。中国から乗り入れる定期便は五路線がことしに入ってから就航した。六月にも二路線ふえる。このほか連続チャーター便も運航」とあり、「ただ空港管理運営の収支は十三年度まで毎年四億から五億円程度の赤字で十四年度以降も県税投入が見込まれる。好調な利用を県内経済に幅広く波及させる方策が問われる」と結んでいます。
 報道にあるように、富士山静岡空港ではことしに入ってから天津や寧波便が相次いで就航するなど活況を呈しています。こうしたこともあり運用時間についても七月二十三日から延長を目指して今議会において条例の改正案が提出されております。一方でせっかく富士山静岡空港を利用して来日した外国人旅行者が県内での宿泊が空港利用上の一泊程度でしかない事例が目につき、これでは世界とつながる空港を設置した効果が十分に発揮できていないと思われます。近年では外国人旅行者の消費効果にも注目が集まっており、特に中国人旅行者の買い物は爆買いなどと言われ、その旺盛な購買意欲は日本にとって旅行収支の五十五年ぶりの黒字要因にもなっています。我が県でもこうした旅行者が県内観光地に滞在し宿泊や飲食を通してお金を使うことで地域に大きな経済効果を発揮することを期待せざるを得ないものとなっています。
 言うまでもなく本県は世界文化遺産富士山、私の地元が誇る韮山反射炉や温泉、食、美しい自然等、多くの人を魅了してやまない観光資源が多彩で豊富にある観光立県でもあります。本県を訪れた外国人旅行者の購買力を取り込むためにも、本県のすぐれた観光資源を十分に活用するなど県内を広域周遊し観光の目的地として一泊だけでなく二泊、三泊と連泊してもらう工夫が必要だと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、スポーツを活用した交流促進について伺います。
 我が国のスポーツ界は、二〇一九年のラクビーワールドカップや二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催など大規模な国際スポーツイベントの誘致に力を注いできました。本県はこれに呼応し、ラグビーワールドカップにおいて昨年開催都市に立候補し、本年三月二日に全国十二の開催会場の一つに選ばれました。東京オリンピック・パラリンピックでは一昨年の東京開催決定以降、他県に先駆けて市町や競技団体等と連携し事前合宿誘致の取り組みを進め、五月にはモンゴル国保健・スポーツ省副大臣が来静し知事と事前合宿地として優先的に選定する内容を盛り込んだ確認書を締結するとともに、伊豆の国市や焼津市を訪問され今後の交流について協議されたと伺っています。
 ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックはまだ四年先、五年先のことと悠長に考えるのではなく、開催機運の盛り上げを含め国内外の観戦客の受け入れ、交通アクセスの改善などの環境整備に全力を傾けるなどソフト及びハード両面を含めた総合的な検討を進め、準備に万全を期す必要があります。そしてスポーツが盛んな本県としてすぐれた観光資源も活用しながら、国内外へ発信力のある取り組みを地に足をつけながら育んでいくことが将来の本県のスポーツ交流にとって大変重要であると痛感しているところであります。今年度は伊豆市のベロドロームでアジア自転車競技選手権大会が開催されます。また最近の報道によれば伊豆市のサイクルスポーツセンターが東京オリンピック・パラリンピック自転車競技会場の候補地として検討されるなど、自転車を取り巻く環境は大きな変化の兆しを見せております。自転車は裾野が広いスポーツで県民が参加しながら進めていくスポーツ交流の一つとして期待が大きく、さまざまな地域でサイクリング大会が開催され県外からの参加者も多いと聞きます。先日の知事提案説明でも県はイタリアとのスポーツ交流を進めていくとの説明がありましたが、静岡県が自転車競技の聖地となるようアジア自転車競技選手権を契機にスポーツ交流を促進していくことも検討すべきではないかと思います。
 県では本年度スポーツ交流を所管する組織を設置しスポーツイベントの誘致等の取り組みを推進していますが、今後自転車を初めとしたスポーツ交流をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、産業振興についてのうち、小規模企業に対する支援について伺います。
 県では、本県経済を本格的な回復軌道に乗せ持続的に発展させていくため、本年二月に取りまとめた静岡県産業成長戦略に基づき中小企業はもとより中堅、大企業も含めた地域企業全体の事業活動を活発化し次世代産業の創出を加速する取り組みを産業界、金融界と一体となって推進しており、今後の成果に期待しているところであります。
 しかし、本格的な人口減少時代を迎えた今、地方創生の重要な担い手となるのは地域経済を支えている中小企業の中でも特にその九〇%近くを占めている小規模企業ではないかと思います。ところが地域の実情に目を向けてみますと小規模な工務店や工場、商店や飲食店など多くの企業が今後の経済状況の好転やみずからの将来像を見出すことができずに廃業に追い込まれております。小規模企業とはいえ地域にとっては重要な雇用の担い手であり、地域から企業が消えていくということはとりもなおさず雇用の場が減少することであり、それに伴って貴重な人材が他地域へ流出し、さらには優秀な基盤技術やノウハウまでもが失われてしまうなど地域経済の衰退に歯どめがかからない事態に陥ってしまいます。私はこのような負の連鎖を何とか食いとめ地域経済に明るい未来が訪れるようにしなければならないと考えております。
 そこで、このような小規模企業の実態を踏まえ、県はどのような対策や支援を考えているのか伺います。
 次に、健康福祉行政についてのうち、地域医療体制の充実について伺います。
 本県の四月一日現在の高齢者人口は初めて百万人を超え百一万千六百九十一人となり、高齢化率は前年度比で〇・九ポイント上昇し過去最高の二六・八%であると発表されました。特に伊豆地域の高齢化が目立ち十位までに九市町が入る状況で、事の深刻さが際立つ結果となっています。このように人口減少を伴う超高齢化社会の到来は社会全体にはかり知れない影響を及ぼすものと思われ、中でも医療や介護の分野では急速に増加する需要に対して十分なサービスが提供できなくなることが懸念されております。
 とりわけ医師を初めとした医療従事者の不足は重大な課題であり、県東部地域は診療所や規模が小さい病院が多く医師や看護職員の確保に大変苦労しており、県立静岡がんセンターや順天堂大学附属静岡病院のような大病院でも例外ではありません。県全体を見渡してみても医師は西部医療圏を除き、また看護職員は全県で人口十万人当たりの従事者数が全国平均を下回っている状況にあります。富士山に続き韮山反射炉の世界遺産認定に向けた動きなど明るい話題がある一方で、安心・安全の医療の確保は道半ばであり喫緊の課題であることに変わりありません。
 私は、これまでも幾度となく地域医療確保について伺ってきていますが、高齢化の進行による医療需要の変化や増大と医師不足の現状を踏まえ、改めて地域医療体制の充実に向けて県はどのように考え、進めていくつもりなのか伺います。
 次に、介護保険制度の信頼確保について伺います。
 県内で介護サービスを利用している方は十四万人を超え、制度の施行当初から大きく増加し高齢者やその家族を支える制度として県民生活の中に定着してきています。それに伴い介護サービスを提供する指定事業所数も毎年増加しています。そのような中で過日、本県が過去三年間に不正請求等により処分した介護サービス事業所数が全国最多の四十五件に上るとのテレビ報道があり、これらの不正にはケアマネジャーと介護サービス事業所が深くかかわっていた事例についても大きく取り上げていました。全国最多の処分件数を上げている県の努力は評価に値するものですが、このような不正の実態があったことは県民の介護保険制度に対する信頼を失わせる深刻な問題であります。
 不正事業者を処分すれば全て解決できるという問題ではなく、今後団塊の世代が全て後期高齢者となる二〇二五年に向けて、介護ニーズとともに事業者が年々ふえ続けると考えます。より有効な対策が講じられなければ不正もさらに増加していくおそれがあり、県民の介護保険制度への不信感はますます募るばかりではないかと危惧しております。不正防止のためには不正事業者に対する行政処分のみならず介護サービスに携わる全ての事業者の法令順守意識の徹底や運営上の問題に対応する的確な是正・改善指導等、きめ細やかな対応が重要であると考えます。
 そこで、介護サービス事業者の不正に対する県の現状認識と、今後どのような方針で事業者の指導監督などを行い県民に対して介護保険制度の信頼確保に取り組んでいくのか伺います。
 次に、国の南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画への対応について伺います。
 県の第四次地震被害想定では、南海トラフ地震において最悪の場合で十万人を超える犠牲者が想定されています。この甚大な被害への対策として県では地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定し、取り組みを進めているところであります。このアクションプログラムでは自助、共助、公助の観点から県が実施主体となるアクションはもとより県民、事業所、市町などが実施主体となるアクションについても盛り込み、県全体での取り組みを進めています。南海トラフ地震では被害が広範囲に及ぶことが予想され県外からの応援が十分に来ない可能性がある上、県内への進出に時間がかかることも考えられます。
 このため、まずみずからの命はみずから守る自助とみずからの地域は皆で守る共助が必要であり、本県では自助と共助の向上による地域防災力の強化に取り組んでいます。しかしそれでも対応できないことについては公助で対応することとなり、その役割は重要であります。
 国では、本年三月に南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画を策定し公表しました。この計画では大規模な広域防災拠点として静岡空港を初め名古屋飛行場や名古屋港、熊本空港、大分スポーツ公園の五カ所が記載されています。また重点受援県に静岡県を含む十県が指定されました。派遣規模は重点受援県以外の広域応援部隊が全て出動可能な場合、警察災害派遣隊が約一万六千人、緊急消防援助隊が約一万六千六百人、自衛隊災害派遣隊は重点受援県に所在する部隊を含め約十一万人で、合計で約十四万人となります。このうちおおむね四割を中部地方に派遣することと想定しています。ほかにも医療活動、物資調達や燃料供給などが決定し、国全体の応援スキームが明らかにされております。
 本県では、東海地震を想定し以前から県外からの応援部隊等の受け入れ体制を整備していますが、今回の国の応援計画を踏まえ迅速かつ円滑に応援を受け入れる体制を見直し、再整備をしていく必要があると考えます。
 そこで、今回の国の計画に対し県としてどのように対応していくのか伺います。
 次に、社会資本整備における長寿命化の取り組みについて伺います。
 本年二月に焼津市の県道において道路照明灯が強風にあおられて倒壊したとの報道がありました。幸いにも人的な被害はなく、県は直ちに管理する全ての道路照明灯九千九百三十一基を緊急点検して倒壊の危険性のある照明灯三十八基を撤去するなど必要な対応をされたと伺っております。点検では設置から三十年から四十年が経過した照明灯も目立つことから、老朽化が倒壊の一つの原因ではないかと思われます。これは道路照明灯に限ったことではなく社会資本全体にわたって進んでいるのではないかと心配しているところであります。
 平成二十四年十二月の中央自動車道笹子トンネルでの天井板崩落による大惨事において社会資本の老朽化や点検などの整備のあり方が社会的にも大きな問題となり、国民の意識も高まりました。県においては平成十五年度に土木施設長寿命化行動方針を策定してインフラの老朽化対策等を進めてきたと伺っています。笹子トンネルの事故から二年半がたち、私たちは改めてその重要性を認識する必要があるのではないでしょうか。
 本県では、高度成長期に建設された多くの社会資本が今後一斉に更新の時期を迎えます。例えば県民生活や産業活動に影響が大きな橋梁では、架設後五十年以上経過している施設が十五年後には七割を超えると伺っています。もはや待ったなしの状況であります。生活の基盤となる社会資本はどの一つが欠けても県民生活に多大な影響を与えてしまうことから、社会資本の老朽化に対して施設の更新時期を迎える前の早い段階から長寿命化に向けた取り組みを進める必要があると考えます。今後も厳しい財政状況が続くことが見込まれる中で、近い将来に大量に更新する時期を迎える社会資本に対していかにして適時的確に補修や更新に取り組むかが課題解決に向けた鍵になると思われます。
 そこで、県における社会資本の長寿命化対策はどこまで進んでいるのか、また今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、教育行政のあり方についてのうち、教育長の教育理念について伺います。
 教育長の人事につきましては本年四月一日から教育長が空席という異例の事態となり、本県の教育行政に多大な影響が出るのではないかと心配しておりました。しかしながら約二カ月間にわたって教育長職務代理者をお務めいただいた加藤委員を初め学校現場の教職員の皆様、あるいは県・市町教育委員会の皆様の御尽力により滞ることなく教育行政を進められ、このたび五月二十一日付で木苗教育長をお迎えすることができましたことは、自民改革会議の一人として大変うれしく思います。と同時に今後の活躍を御期待申し上げるところであります。
 ところで、本県の教育は特に幼稚園、小学校、中学校、高等学校といった初等中等教育に関しては、学校におけるいじめや不登校、親の所得格差の拡大による子供の貧困、少子化による学校統合の問題など課題が山積しております。またこの四月から地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により新しい教育委員会制度がスタートするなど教育を取り巻く環境が劇的に変化する中、まさに県民の教育への期待を一身に担う形で木苗教育長が就任されたわけであります。
 そこで、これまでの教育委員長と教育長の権限をあわせ持つ新教育長としてどのような決意で教育行政に取り組まれていかれるのか、教育長の教育に関する理念について伺います。
 次に、教育課題に対する取り組みについて伺います。
 ここ数年の本県の教育における課題として、全国学力・学習状況調査と補助教材の作成、選定方法に係る課題があります。
 全国学力・学習状況調査については平成二十五年度に小学校国語の成績が全国で最下位となり、本県児童の学力並びに本調査の公表のあり方について議論となりました。全国学力・学習状況調査の目的は、「全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。さらに、そのような取り組みを通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する」とされています。また調査結果の公表に関しては実施要領に、教育委員会や学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たすことが重要である一方、序列化や過度な競争が生じないようにするなど教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要であると明示されています。こうした目的を達成するための学力向上策や結果公表のあり方が県民にとっても大きな関心になっているのではないかと思われます。
 また、補助教材の作成、選定方法については行財政改革推進委員会において議論が行われ、本年三月に意見書として取りまとめられ知事に提出されたところであります。意見書では改革意見として大きく二点挙げられています。一点目は校長、教員と教材会社等とのかかわり方、二点目は教材の選定・評価、保護者説明の方法であります。これらの改革意見の背景には、本県の補助教材の供給の現状として教材選定の直接的な権限を有している校長や教材選定にかかわる教員が教材の作成側と選定側の両方に携わっていることや退職校長や退職教員が補助教材の営業に携わっていることが根本にあります。さらに意見書では、県内の義務教育を牽引する県教育委員会がリーダーシップを発揮し、市町教育委員会に対する的確な指導助言により一連の改革について周知徹底を図っていくことを求めています。
 そこで教育長に伺います。近年特に県民の関心も高くなっている本県の重要な教育課題である学力問題や学力調査結果の公表のあり方、また補助教材の作成、選定のあり方について教育長として今後どのように取り組まれていくのか、所見を伺います。
 次に、多様化する犯罪への対策について伺います。
 県警では、平成二十六年一月に静岡県警察安全・安心推進プログラム二〇一四を策定、公表し、平成二十九年末までの四年間をめどとして治安回復に努めてきたものと承知しております。
 その結果、安全・安心推進プログラム二〇一四で策定した抑止数値目標である年間の刑法犯認知件数は目標とした平成二十九年末から三年早い平成二十六年中に抑止数値目標を達成。これを受け県警では年間の抑止目標を二万七千件以下から二万三千件以下に修正し発表したところです。また刑法犯認知件数では平成十四年の六万三千件から実に十二年連続で減少し、平成二十六年には二万五千六百件に半減させたことは県民の治安回復に大きな成果として県民の安全・安心に多大な功績を上げていると言えます。西川本部長を初めとした県警全職員と関係者に深く感謝申し上げるところであります。
 ところで、最近の新聞報道等では女性や子供などが被害を受け重大な犯罪に発展するおそれの強いストーカー、DV、児童虐待等の人身を侵害する事件が発生しているほか、インターネットの高い匿名性を利用したサイバー犯罪さらには高齢者を狙った悪質な特殊詐欺事件などが刻々と手口や方法を変化させて発生するなど犯罪自体の多様化が認められ、被害者が後を絶たないイタチごっことなっています。
 我が静岡県を日本一安全なものとするためにも、県警にはこうした課題を克服し現状から一層高い治安水準に引き上げ、安全・安心な暮らしを願う県民の期待に応えていただきたいと強く願っているところであります。
 県警では、犯罪の多様化への対策として今年度当初に人身安全対策課とサイバー犯罪対策課を新設したと承知しております。
 そこで、新設された課を最大限に生かし今後どのように多様化する犯罪に取り組んでいくのか、警察本部長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○議長(吉川雄二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 土屋議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、統一地方選の結果を踏まえた私の姿勢についてであります。
 私は、六年前の七月五日に知事に選ばれまして開口一番、ノーサイドを貫きますというふうに申し上げました。以来その姿勢に全く変わりはありません。県民お一人お一人がそれぞれのお立場からそれぞれ主体的に県政にかかわる県民の県民による県民のための県政を実現するため、いずれの政党あるいは県議会会派に対しても一貫してノーサイドあるいはオールサイドの姿勢で県政を推進してまいりました。
 今回の選挙結果は、日本同様、本県におきましても人口減少の克服、真の地方創生の実現が最大の課題となったと認識しております。そうした中で当選せられた方々は、その主張が評価せられたものと考えております。今後とも党派を超えて、県議会議員の皆様とはともに二元代表制を担う立場としての緊張関係を保ちながら、互いの意見を尊重しつつ議論するべきことは堂々と議論を交わし、県民の皆様にとって最善の結論を導き出してまいりたいと考えております。
 また、県民全体の負託を受けた知事として公平無私の立場に立つように常にみずからに言い聞かせておりまして、その上で県民の幸福度の最大化を第一義に考えているものであります。来るものは拒まず、助力は惜しまず、見返りは求めずというこの原則をみずからに課しております。社会には強い立場の方とそうでない方がいらっしゃいます。強い方は放っておいても自立していかれますけれども、弱い立場の方というのは人の助けが必要であるということでございまして、私は弱い立場の人のことに配慮しながら県政を進めるという姿勢をあわせて持っております。
 今後とも県議会議員の皆様と力を合わせ、常に県民本意の立場を堅持し、本県が国に先駆けて取り組む静岡型地方創生ふじのくに富国有徳の理想郷づくりを推進してまいります。
 次に、残り二年間の県政運営についてであります。
 現在、総合計画後期アクションプランを実施中であります。後期アクションプランといいますように、前期アクションプランがございました。この総合計画は平成二十二年度から平成三十一年度、十年間の計画でございます。それを前期と後期に分け、前期は既に前倒しで、結果的には国からマニフェスト大賞グランプリという評価を得るような形で実現したわけでございます。
 この後期アクションプランを県民の県民による県民のためのマニフェストと言っているゆえんは、私は言うまでもなく、選挙に立つときにはマニフェストを皆様方に公表しなくちゃなりません。それをベースにいたしまして県議会の皆様、また県の各界各層の方々と徹底的に御議論いたしましてこの総合計画をまとめたのでございます。したがってこれは県民の県民による県民のためのマニフェストであるというわけでございます。ちなみに二期目のときにはこの総合計画これ自体をマニフェストとして掲げたのはそういう理由によります。
 折り返しの年に当たる本年度に臨みまして、このプランが目指す県民幸福度の最大化を実現することが私に課せられた使命であると思い定め、計画は前倒しをすると、善は急げであると、この強い気概を持って八つの重点取り組みを初めとした施策に積極果敢に取り組んでまいります。
 アクションプランにつきましては、ことし二月に公表した“ふじのくに”づくり白書にお示ししたとおり全ての施策が着実にスタートしており、前倒しのものもかなりありますけれども、議員御指摘のとおり経済、暮らし・環境関係を初め数値目標の確実な達成に向けてまだ一層の努力が必要な分野もございますから、施策の改善や重点化に努めているところであります。
 経済関係分野につきましては、昨年度取りまとめました産業成長戦略に基づき産業戦略推進センターオープンイノベーション静岡というものを設置いたしまして、多極的な産業構造への転換や成長産業、例えばCNF――セルロースナノファイバーでございますね――これは日本一になろうと思っておりますけれども、こうしたものの育成に官民を挙げて取り組んでいるところであります。
 また、暮らし・環境分野につきましては、豊かな暮らし空間創生事業による生活と自然が調和する住まいづくりの推進や環境に配慮したライフスタイルの定着のためのスマートコミュニティ形成促進事業、分散自立型エネルギー推進事業等に新たに取り組んでいるところであります。
 アクションプランの重点取り組みである内陸のフロンティアを拓く取り組みにつきましては、その字面から内陸を優先するかのごとくにとられたわけでございますが、実際は内陸側は今まで中山間地としてどちらかというと放っておかれたのでフロンティアであると。一方、沿岸都市部というのは危険がございますのでそこをリノベーションすると。そして両者を連携されるというこの三つの柱から成っているものでありまして、決して沿岸都市部を無視しているのではなくて、むしろ沿岸都市部の安全性を高めるための内陸のフロンティアを拓く取り組みであるという御理解をぜひしていただきたいと存じますし、また私どももそういう方針でこれまでやってまいりましたが、少しずつではありますけれども御理解が進んでいるものと感じております。全県的な展開による沿岸都市部と内陸高台部の均衡ある発展を目指すということでございます。
 今後とも、県民の皆様と手を携え一層のスピード感を持って、富士山を仰ぐこの静岡の地に「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、また「生まれてよし 老いてよし」という日本の理想郷を築くべく邁進してまいりますので、引き続き県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げるものであります。
 次に、県の将来像並びに静岡型県都構想についてであります。
 私どもは、総合計画富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザインにおきまして、世界レベルの特色ある魅力を備えた五つの地域圏の形成を目指しておるのは御案内のとおりであります。これは、さかのぼりますと平成十五年、時の石川知事さんのもとで政令県構想というものがございまして、これは石川知事のもとで六回総務省に届けられ、私はそれを受けて二回総務省のほうに届けたものでございますけれども、そこで掲げられている五つの地域を継承しているものであります。現在、人口が減少する中で将来にわたって安全で快適な地域を維持していくためには県と市町の行政運営の効率化を図っていく必要があります。
 現在、政令県構想というのは八回提出して八回とも蹴られたわけですね。門前払いを食わされたということです。旧自治省のエリートが自分の母体のところに申し出て門前払いですから、七転び八起きというのがありますが、八転び九起きというのは聞いたことがありませんので八回やってやめたわけです。しかし九死に一生を得るというのがございまして、そこでこの計画を今日の状況に照らしながら考えるということが、この今我々が進めている五つの地域圏の形成ということになるわけでございます。このため五つの地域圏の特性や実情に応じまして県が有する権限、人材、財源を効果的に活用し市町の取り組みを下支えすることにより地方分権の一層の推進を図り、効果的で最適な地域経営を実現しようと考えています。
 例えば、本年度新たに設置いたしました賀茂振興局。お気づきかと存じますけれども経営管理部長、経済産業部長を務めた県のエリートの一人をそこに配しているわけでございますが、今、賀茂振興局と一市五町の間では消費生活センターや指導主事の共同設置など広域連携の仕組みの具体的な検討が始まりました。それを喜んでおります。今後、伊豆半島地域、東部地域、志太榛原・中東遠地域におきましては連携協約という手法がございまして、こうした手法を活用した圏域全体の経済成長や住民サービスの向上に資する広域的な連携について、美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生県民会議の地域会議で市町を初め地域の皆様に議論していただく予定であります。
 また、政令指定都市との関係につきまして、政令市は二つございます。浜松市、御公約に特別自治市を掲げられ、また静岡市長さん。新しく田辺さんになられてから、お二人とも特別自治市を目指されて、過去五年間、丸四年間その方向で議論をしてきたわけでございますが、浜松市のほうは特別自治市、着実にその実現に向けて動かれておりますけれども、静岡市のほうはそれが極めて厳しい状況にあるというふうに認識しております。
 そもそも政令指定都市というのは運用基準が七十万人です。実際は今は百万人に戻されています。七十万人に引き下げられたのは、平成の大合併の折に合併を促すということで当時の片山虎之助担当大臣がわざわざ静岡市と清水市の名前を挙げられまして、この両市は発展性があるのでこの二つが合併すれば人口がふえるというふうに言われ、一気に七十万まで特例で運用基準を下げられたわけです。法令的には五十万人ですけれども実質の運用基準はそのときに七十万人に下げられました。この基準で最後に政令指定都市になったのは熊本市です。しかし川端総務大臣は、これをもって七十万人の基準はやめて元に戻すというふうに明言されておられます。
 そうした中で今七十万人を切るということは、これは中核都市に格下げになると人口的には言わざるを得ません。しかしそうしたことは恐らく法律的に命令されることはないと思いますが。しかし人口が少ないということはその分財政力が弱いということです。静岡市の財政力は、例えば横浜市と比べますと横浜市は一兆五千億ありますから。静岡市は三千億にも達しません。五分の一以下です。一方、横浜市は人口は三百七十万以上あります。ほとんど県と一緒ですね。しかし市域は静岡市の三分の一以下です。静岡市というのは一千四百平方キロメートル以上あります。一方、横浜市は約四百三十平方キロメートルです。そこに札幌市を足してようやく静岡市の面積になると。横浜市プラス札幌市の面積を三千億円弱のものでやっていかなくちゃいけないというのが静岡市の実態です。そんなところで、県は出ていきなさいと、ここは自分たちでやりますと言うことは、現実を見ればこれは絵そらごとであることは明瞭であります。
 そうしたにもかかわらず、ここは静岡県の顔です。県都です。このことは静岡市が、この静岡という名前ができたときに、県庁前の交差点のところに石碑が建っておりますけれども、当時の藩の校長先生、学頭と言われる方が賤ヶ丘というのにしようというふうになったわけですが、賤という字がいやしいというように訓読みされるので、これを静かの静に変えられて静岡と命名されて満場一致、これに衆議一決したと書かれています。そして公式名称「駿州府中静岡」と命名し、これを町ぶれしたというふうにあるわけですね。そして、以来県都として発展してきたというふうに石碑に書かれております。ですから県都としての自負というのがありますので、中核市でしかないじゃないかと言われるようなことではなくて、大切なことは県と市が一体的に行政をすることが住民のためになるという、そうしたことから県都構想というのを提言したわけでございます。
 県庁所在地にある政令指定都市におきましては、既にその政令指定都市という格に応じた形で県の権限をほとんど移譲しております。したがってその権限を我々は行使するだけの力があります。そうした力を行使することを通して、例えばそこの御幸通りから井川湖までの道路、新東名まで拡幅工事していますけれども一向に進まないでしょう。かつてここは県がやっておりました。沼津土木事務所と同じくらいの予算を投じてやっていたんですが、それが全然進まないのは人材も財源も技術もいろんな意味で限界があるということがあります。こうしたことは住民にすごく不利益を与えているというふうに考えるわけです。
 そこで、県都にふさわしい求心力のある風格を備えたまちづくり、県都として一元的に推進することが住民の皆様のためになると考えまして、静岡型県都構想として抜本的な行政運営の改革について問題提起をしたものであります。今後、県・政令指定都市サミットや来年四月から法定設置されることになった指定都市都道府県調整会議というのがございます。そうしたものを通じて議論を深めてまいるということであります。
 人口減少社会の本格化により社会構造が大きく変化する中で、地域の特性を生かした自律的、持続的な地域経営を行うことによって、世界に誇る魅力ある地域圏の実現と、この各地域圏が相互に機能を分担、補完、連携し県全体として多様な地域性が調和したふじのくにづくりに全力を傾注してまいりますので、県議会の皆様の御理解、御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、教育における地方創生と総合教育会議についてであります。
 私は、知事就任以来一貫いたしましてふじのくにづくり。これはポスト東京時代を開くと。東京のまねをする時代ではないと。ミニ東京をもって理想とする時代は終わったという、そういう観点から進めてまいりましたが、その基礎は、礎は何と言っても人材であると。人材を育成し、その人材を育成するための柱が教育です。
 そこで、教育における地方創生というのは、一言で言えば地域の子供は地域の大人が育てるということです。その決意のもと静岡県が目指す富士山のような立派な人、有徳の人をつくる教育を学校だけでなく家庭、職場、地域が連携し地域総ぐるみ、社会総がかりで進めていこうと。これが基本的な姿勢です。こうした社会総がかりの教育を実現するため、本年四月静岡県総合教育会議が設置され、その総合教育会議では本県教育の大きな方向性や重点的に取り組むべき施策等について協議することから、政治的中立性はきちんと担保し、そして社会全体の意見を反映していくということが重要です。
 そのために私どもは、ふじのくにづくり支援センター理事長の矢野弘典氏、元東芝ヨーロッパの社長、また中日本のトップです。こうした社会人として立派な方ですね、この方を委員長とし、さまざまな分野、スポーツ、芸術、農業、さまざな分野の方々から成る地域自立のための「人づくり・学校づくり」実践委員会を設置いたしました。これは、その前に地域とともにある学校づくり検討委員会として昨年一年間六回の会議を開いていただき、その報告書も賜ったわけですが、それを受けて今度は実践するという委員会に名称を変更し中身も若干充実させたということでございます。この実践委員会から幅広い御意見をいただいた上で、私はその意見をもとに総合教育会議に出ることを通して私の恣意が入らないように、偏見が入らないようにするという歯どめを総合教育会議、この実践委員会にお願いをしているところでございます。今月十七日に第二回総合教育会議を開催いたしましたが、この実践委員会の意見を参考とし、教職員及び高校生の国際化について協議を行いました。出席者全員がよりよい教育の実現に向けて熱心に御発言をされまして、時間が足りないと感じたぐらい充実したものとなりました。
 会議では海外修学旅行の充実のための方策等、建設的で具体化につながる提案が出されましたので、できるところから速やかに取り組みます。
 今後も、引き続き教育委員会と十分な意思の疎通を図り、ふじのくにの未来を担う有徳の人づくりを進め、教育における地方創生を実現してまいります。
 次に、地方創生についてのうち、移住・定住の促進についてです。
 リタイアしてのんびりと田舎暮らしをしたい、ストレスのたまる東京の生活に疲れ農業などでもっとスローな生き方をしたいというような方、今の仕事は続けたいけれども子育ては緑豊かな環境でしたい等々、移住を希望される方のニーズはまことに多種多様でございます。全国各地で移住の取り組みが今活発になっていますけれども、静岡県の強みは首都圏に近いということです。こうした多様なニーズに対応した多彩なライフスタイルが可能な住環境も、また雇用の場もあるということです。とりわけ都心ではもはや手に入れることが難しい豊かな暮らし空間と――広いということですね――それを今内陸のフロンティアなどで展開しているわけでございますけれども、さらに充実した医療、教育などの都市的サービスの双方が提供できるということで、東京時代を過去のものにするポスト東京時代の理想郷とも言えるふじのくに型の暮らしのあり方、ウエー・オブ・ライフ――暮らし方ですね――の実現を提案し、市町とも連携して本県への人の流れをつくってまいります。
 また、移住を希望する方が思い描く生活とのミスマッチを回避するには、移住相談センターなどの相談員が移住希望者の気持ちに寄り添うとともに、そのニーズを丁寧に聞き取りまして御希望のライフスタイルに合った的確な情報を提供することが重要です。加えて、移住前に地域を知り現地の雰囲気を肌で感じてもらうことも大切ですので、現地ツアーを開催したり移住後もさまざまな相談に乗るなど地域における移住者のサポート体制の整備も進めてまいります。
 近く東京から小山町に移住される御夫婦は相談を受けた町の担当者の熱意に感動して移住をお決めになったとのことです。住まいや生活を変えることは人生の大きな決断です。その背中を押すのは地域の魅力であり受け入れ側の熱意と的確なケアです。一人でも多くの方がふじのくにに住みかえるよう、市町や関係団体など官民一体となって全力で取り組んでまいります。
 次に、観光振興についてのうち、韮山反射炉の世界文化遺産登録後の伊豆観光振興の役割についてであります。
 韮山反射炉、まず確実に入るでしょう。当初は「九州・山口地方とその関連地域」と、我々は関連地域でしかなかったんですね。しかしながらイコモスが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」と、こういうように変えていただいたので、何となく九州の外れと、あるいは山口から遠い僻地と、つまり中心部から離れているというイメージがなくなった形での勧告が出たことを喜んでおります。しかしながら一方でこれはもともとは鹿児島からスタートした運動でありました。鹿児島県と静岡県との深い友情があります。そうしたことから韮山を我々の産業革命遺産の中に入れるというふうにしていただき、そのことが機縁になって釜石が入ったわけですね。ですから我々はあまり自分たちだけということではなくて、この明治産業革命の、日本の産業革命の遺産それ全体を見る目を失ってはならないというふうに思っております。
 韮山反射炉につきましては、議員御指摘のとおり急増する来訪者への対策が急務になりました。このため、県としましては伊豆の国市が平成二十八年度にかけて整備されるガイダンス施設、駐車場等に対して助成いたします。またアクセスする県道の歩道設置または道路拡幅にも取り組みます。来訪者が世界文化遺産となる韮山反射炉の魅力を十分に感じてもらえるように環境づくりを進めます。
 また、韮山反射炉を訪れる観光客に伊豆半島のほかの地域の魅力にも触れていただくために、「伊豆を一つに」、これを合い言葉に七市六町により美しい伊豆創造センターが設立されました。このセンターと連携し広域モデルルートの情報を提供するとともに、伊豆ならではの深い体験や新鮮な感動を味わえる着地型・体験型商品を提供するツアーセンターへの支援も行います。さらに伊豆ブランドとしての魅力を全国に発信するため、国の交付金を活用し韮山反射炉や伊豆半島ジオパーク等をテーマとする旅行商品の割引販売を県外で開始いたしました。またリピーター客に新たな魅力を提供するため、賀茂地域における着地型・体験型商品の割引チケットを全国のコンビニエンスストアで販売していく予定であります。
 今後は、ラグビーワールドカップ二〇一九や東京オリンピック・パラリンピックさらにはソフトボールの女子の国際大会等々、サイクリングのアジアのカップもございます。そうしたことを念頭に置きながら、外国人の観光客を伊豆に呼び込むためにWiFiスポットの整備や外国語への対応など旅館、民宿などの宿泊施設における外国人受け入れ体制を整えるとともに、日本らしい、また伊豆らしい文化や食事を体験してもらうためのおもてなしの体制づくりにも取り組んでまいります。
 私どもといたしましては、この好機を生かしまして観光事業者だけでなく商工業、農林水産業等の地元事業者や地域づくり団体など幅広い分野の関係者の皆様と連携し、韮山反射炉、伊豆半島ジオパーク、これを中心に世界水準の観光地づくりを進めてまいります。
 次に、スポーツを活用した交流促進についてです。
 本県は、世界遺産富士山を初め風光明媚な景観、温泉、豊富な食材等、観光資源に恵まれています。さらに世界標準仕様の伊豆ベロドロームなどすぐれた競技施設や宿泊施設を東京よりも多く備えているわけです。本年三月に策定した誘致戦略に基づきまして東京オリンピック・パラリンピックの合宿誘致に取り組んできたところであります。
 こうした中、イタリア大使館の御仲介で、ツール・ド・フランスと並ぶ世界最高峰の自転車レース、ジロ・デ・イタリアの最高の見せ場となるゾンコラン山。これはフリウリ・ベネチア・ジュリア州の最高峰で、富士山と向こうの方たちは並べる形で認識されている山でございますが、このゾンコラン山があるこのフリウリ・ベネチア・ジュリア州からサイクリング大会を通じたスポーツ交流を進めたいという申し出がありまして、またドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使がじきじきに会いたいということでお目にかかってまいりました。今月の九日のことでありました。これについての御協力を要請されましたので二つ返事で快諾いたしまして、現在このフリウリ・ベネチア・ジュリア州と大使の御提案を受けまして、ことし八月三十日に開催されるサイクリング大会カルニア・クラシックへの本県自転車愛好者の皆様の参加を呼びかけております。この大会に合わせて難波副知事が現地を訪問し本県をPRするとともに、今後の交流の進め方について州政府関係者と協議してまいります。一方私どももオリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致とあわせてこのフリウリ・ベネチア・ジュリア州とのスポーツ交流促進について協力をお願いしましたところ、御快諾をいただきました。
 私どもとしましては、こうした取り組みを着実に推進して国内外からさらに多くの来訪者をお迎えいたし、本県のすばらしい景観や長い歴史に培われた地域の文化、豊富な食材、おもてなし等々を体感していただくなどスポーツを通じた交流がさらに進むよう全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(吉川雄二君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 地方創生についてのうち、市町の地方版総合戦略策定における地域との連携についてお答えいたします。
 地方版総合戦略の策定に当たりましては、地域の実情に応じた個性ある施策を盛り込むことが重要となりますが、市町の規模によっては迅速で的確な策定が難しい場合も考えられますので、議員御指摘のとおり県としてしっかりと市町を支援していく必要があると考えております。
 このため県では、去る四月に五つの地域圏ごとに地域会議を設置し、圏域ごとの課題や特性を踏まえた県としての施策の方向性の素案をお示ししました。会議では伊豆のブランド化による情報発信の重要性や隠れた地域資源を磨き上げることによる地域の誇りの醸成など多くの御意見をいただき、参加する市町の策定する総合戦略の充実に向け意識の共有を図ることができました。
 また、庁内の関係課及び地域振興局・政策局が連携をした市町村まち・ひと・しごと創生支援総合窓口や県と市町の企画担当課長による意見交換会などを通じて地方創生に関する市町の疑問にきめ細かく答え、総合戦略の策定を支援しております。
 七月から八月にかけて行う第二回目の地域会議におきましては、現在策定中の県の人口ビジョンと総合戦略の素案を踏まえた圏域ごとの目指す姿と主要な施策の案をお示しするとともに、人口減少社会においても効率的で最適な行政運営のあり方について、市町を初め地域を代表する各界各層の皆様との議論を深めてまいります。
 地方創生の成否の鍵を握るのは基礎自治体である市町の積極的かつ効果的な取り組みの推進でありますことから、県といたしましては今後とも市町との一層の連携を図り、総合戦略の策定を積極的かつきめ細かく支援してまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 観光振興についてのうち、富士山静岡空港を利用する外国人旅行者の滞在促進についてお答えいたします。
 観光庁の宿泊統計では、平成二十六年の本県の外国人宿泊者数は前年比一・五倍の約七十六万人であり、直近の本年一月から三月では前年同期比二・六倍の約三十三万人で、うち六割が中国人旅行者となっております。このまま推移すれば年間で百万人の大台超えも期待されます。こうした中、外国人旅行者の購買力は中国人旅行者に代表されますように地域経済にもたらす効果が大きいことから、小売事業者等に向けて説明会を開くなど免税店の資格取得を促進しており、本年四月時点では県内で三百五十二店舗と昨年同月と比べ三・七倍となっております。
 県では、外国人旅行者の県内宿泊を促進するため、これまでも旅行者に影響力のある海外のブロガーやメディアを県内取材に誘致し富士山を初めとする世界水準の地域資源や温泉、豊かな食材等、本県の誇る観光資源の魅力発信を依頼するとともに、現地旅行社に対しても継続的に本県の観光情報を提供してまいりました。
 これに加え今後は県内を周遊し連泊していただけるよう、中国に関しては温泉、食、テーマパーク等、台湾についてはサイクリング、マラソンといったスポーツ等、それぞれ国・地域のニーズに即したテーマ設定と旅行行程を企画するとともに、旅行商品の造成に影響力を有する国内ランドオペレーターを本県に招聘し、リピーター客をターゲットとした商品造成を積極的に働きかけてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 産業振興についてお答えいたします。
 小規模企業に対する支援につきましては、県は小規模企業が抱える資金繰りや販路開拓などの課題に対して県制度融資による金融支援や商工会、商工会議所に配置した経営指導員の巡回指導や窓口相談により幅広く支援しております。加えて今年度からは商工会や商工会議所と企業の経営状況を把握している金融機関が連携し、中小企業診断士、税理士といった専門家を事業継続や事業転換等の課題に直面している小規模企業に早い段階から派遣してきめ細かな支援を実施しております。
 さらに、静岡、浜松、沼津商工会議所と商工会連合会に配置した大手メーカーのOBが小規模企業を訪問してその企業が持つ技術やノウハウを新商品、新技術の開発に導くものづくり専門支援員設置モデル事業を創設し、企業の経営革新を促進しているところであります。
 本県経済の回復のためには小規模企業の活性化を図ることが極めて重要でありますことから、引き続き商工会や商工会議所などの産業支援機関や金融機関と連携して地域経済の振興を図ってまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 健康福祉行政についてのうち、地域医療体制の充実についてお答えいたします。
 県では、高齢化の進行に伴う医療需要の変化や増大に適切に対応していくためには医師及び看護職員を確保し地域の実情に応じたさまざまな医療が提供できる地域医療体制の充実を図ることが重要であると考えております。
 医師確保につきましては、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジの取り組みにより医学修学研修資金の貸与を受けた医学生等は昨年度までに六百五十八人に上り、本年度も百二十人の新規貸付枠を設けております。現在貸し付けを受けた百九人が県内の公立病院等で勤務しており、今後は毎年新たに四十人以上が勤務予定であるなど着実に成果を上げております。本年二月には聖マリアンナ医科大学と協定を締結し若手医師の確保と指導体制の充実を図り、東部地域の医師確保の偏在解消にも努めております。
 看護職員の確保につきましては、養成施設への運営費助成や修学資金の貸与などを行い新規看護職員の着実な増加を進めております。また医療機関へのアドバイザー派遣による医療従事者の勤務環境改善に向けた取り組み支援や県ナースセンターによる未就業の看護職員の方々の再就業支援の強化を図るなど、幅広くきめ細かな取り組みを行っております。
 また、本年度地域医療構想を策定し、今後医療関係者の協力を得て地域の医療機関の機能分担と連携をより一層進め、将来の地域における医療需要に応じた提供体制を構築してまいります。
 県といたしましては、引き続き医師や看護職員の確保と偏在の解消に努め、住む人が必要とする医療が提供できる体制をつくり、誰もが住みなれた地域で安心して生活できるふじのくにづくりを目指してまいります。
 次に、介護保険制度の信頼確保についてであります。
 本県におきましては多くの介護サービス事業者が利用者への支援に真摯に取り組んでおりますが、一部の事業者におきましては人員等の基準違反や提供したサービスと異なる介護報酬の不正請求などが見られる状況にあります。
 良質な介護サービスを確保するため、県では事業者を的確に指導し法令遵守の徹底に努め、不正事案に対しては厳正に対処することとしております。また指導監督業務を本庁に集約し担当職員の専門性の向上や指導内容の標準化なども図り、たび重なる制度改正等により複雑化した介護保険制度にも対処できるようにしたところでございます。
 事業者の育成や支援の視点から全国一の頻度で事業所に出向く実地指導や講習による集団指導を行うなど、介護サービスの質の向上と誤った介護報酬の請求防止等に向けたきめ細かな取り組みも行っております。
 今後とも、指導監督業務の徹底による不正防止に努めるほか、介護サービスの質の向上セミナーやケアフェスタなどの開催を通じて県内事業所の好事例を紹介するなど質の高い介護サービスの実現を図り、介護保険制度に対する県民の皆様の高い信頼が得られるよう努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 国の南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画への対応についてお答えいたします。
 南海トラフ地震が発生した際に一人でも多くの県民の皆様の命を守るためには、全国からの応援部隊や緊急物資を迅速かつ効率的に受け入れる体制を整えておくことが重要であります。
 このため、県では従前から新たなインフラである新東名高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの活用や今回の国の計画で大規模な広域防災拠点として位置づけられた富士山静岡空港の機能向上等を図ってきたところであります。
 現在、国の計画を踏まえ救助・消火活動や物資調達など五つの分野で庁内検討会を立ち上げ広域応援部隊との情報共有のあり方や防災拠点の機能や配置の実効性について検証しているほか、被災地からの要請を待たずに必要な物資を送り込むプッシュ型輸送への対応、重要施設への燃料供給体制の確保などについて検討しております。
 県といたしましては、今回の国の計画との整合性を十分に図りつつ、より実効性の高い受援計画を本年度をめどに策定し、さまざまな訓練を通じて検証しながら南海トラフ地震への備えをさらに強化してまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 社会資本整備における長寿命化の取り組みについてお答えいたします。
 県では、老朽化が進む社会資本の長寿命化を推進し限られた予算のもとで最適な維持管理を行うため、平成十五年度に土木施設長寿命化行動方針を策定して長寿命化対策に本格着手し、さらに平成二十五年三月には、劣化予測手法などにおいて新たな知見を取り入れた上で対象施設を拡充した社会資本長寿命化行動方針を策定いたしました。
 この行動方針に基づき、予防保全の対象となる県民生活や産業活動に影響の大きい優先的取り組み対象十二施設のうち七施設については施設の点検やデータの蓄積を踏まえ昨年度までに個別の中長期管理計画を策定し、まずは長寿命化に向けての緊急的な補修を実施しているところであり、例えば劣化の著しい百七の橋梁や三百七十八キロメートルに及ぶ舗装について平成二十八年度完了を目途に補修等を実施しております。ダムや下水道などの残る五施設については平成二十八年度までに中長期管理計画を策定して、既に策定済みの七施設とともに速やかに予防的維持修繕に移行してまいります。
 今後は、本年二月に県全体の行動方針として取りまとめた静岡県公共施設等総合管理計画において新たに平成三十二年度までに中長期管理計画を策定することとした港湾や砂防施設などの十五施設も含め、庁内関係各課で組織する社会資本長寿命化推進委員会において計画的な進捗管理を図ってまいります。
 県といたしましては、職員の技術研修や施設台帳の電子化など老朽化対策のための環境を整備しつつ社会資本の長寿命化を着実に進め、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。以上であります。
○議長(吉川雄二君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育行政のあり方についてのうち、私の教育理念についてお答えいたします。
 本県の教育を取り巻く環境は、いじめや不登校の問題に加え少子高齢化による児童や生徒の減少、家庭環境の格差の拡大など学校教育だけでは解決できない多くの課題が山積しており、責任の重さを感じるとともに身が引き締まる思いでございます。私は、これまでの教育に関する経験と知識を積極的に活用し、これらの課題解決を目指し、有徳の人の育成とともに、若い人たちの夢を育むことができる教育に邁進したいと、このように考えております。
 そのためには、みずからが積極的に学校現場に出向き、子供たちや先生方さらには保護者や地域の方々と見る、聞く、話すことを通じて具体的な施策やアイデアを提案していこうと考えております。
 教育長を拝命して一カ月余りが過ぎましたが、既に七校の小学校、中学校、高校、特別支援学校を訪問することができました。
 現在、国を挙げて地方創生が叫ばれております。私は、将来を託す子供たちが静岡の歴史、文化、産業を学ぶこと、実際に地域の農林水産業あるいは商工業の現場を見てプロの方々と接することができるキャリア教育が重要であると考えております。
 他県や海外に出向いた折、改めて静岡のよさ、すばらしさを感じ、いずれは静岡で頑張ろうと、そういうような気持ちが持てる教育と仕組みづくり。これが次世代へつながる教育であると、このように考えております。そのためには新たに設置された総合教育会議において川勝知事と積極的に意見交換し、共通の理念を持って教育行政を推進したいと考えております。
 静岡県の子供たちが夢多き未来に向かって大きく羽ばたくことができる教育環境をつくっていきたい。これが私の願いです。皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
 次に、教育課題に対する取り組みについてであります。
 子供たちの確かな学力の育成は学校教育において最も重要であり、これまでも県教育委員会が示した授業改善の視点の浸透を図りながら各市町教育委員会との連携によるオール静岡の体制で取り組んできたところであります。今後もさらなる授業改善と一人一人の子供へのきめ細かな学習指導を行うとともに、家庭における学習習慣の確立に向け学校から家庭への学びの連結に努めてまいります。
 また、全国学力・学習状況調査結果の公表につきましては県民への説明責任を果たすとともに、子供たちの学力と学習の状況を保護者や地域と共有することが重要であると考えております。今後県教育委員会といたしましては、早期対応策による分析結果や公表のモデルを示すとともに、市町教育委員会に対して主体的かつ速やかな公表を促してまいります。
 補助教材の作成、選定につきましては、公平性、公正性、透明性、競争性がより高まるよう取り組む必要があると考えております。このため県行財政改革推進委員会の意見書も踏まえまして、現在、現役教員が補助教材の作成にかかわる場合の許可基準の明確化や教材会社との接触のあり方などについては根本的に見直しを進めているところであります。あわせて本年中を目途に現行の補助教材取り扱いガイドラインの見直しを進め、市町教育委員会に示してまいりたいと考えております。以上です。
○議長(吉川雄二君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 多様化する犯罪への対策についてお答え申し上げます。
 近年の治安情勢は、刑法犯認知件数が減少するなど数値的には改善が見られる一方で、男女間や家庭内、またサイバー空間で行われる犯罪が増加している現状にございます。こうした犯罪情勢に的確に対応するため本年四月、生活安全部に人身安全対策課とサイバー犯罪対策課を新設し組織体制の整備を図ったところでございます。
 このうち、人身安全対策課では二十四時間体制で県下のストーカーやドメスティックバイオレンス、児童虐待等の人身安全に関する事案について迅速かつ一元的に統括、対処し、警察に寄せられる多くの事案や相談に的確に対応しているところでございます。本年五月には元交際相手の殺害を企図し包丁を隠し持っていたストーカーの男を逮捕するなど重大事案の未然防止にも大きな成果を上げているところであり、今後も被害者の安全確保を第一に迅速的確な対応を推進していく所存でございます。
 また、サイバー犯罪対策課ではインターネットバンキングやオークションサイトを悪用したサイバー犯罪捜査を推進し、本年五月にはオークションサイトを利用してにせものの自動車部品を販売していた男を商標法違反で逮捕するなど前年同期を上回る実績を上げているところでございます。
 そのほか、捜査員に対するサイバー犯罪捜査の指導に当たり捜査力の向上を図っておりますほか、県民を対象としたサイバーセキュリティー講演を行い被害防止対策にも取り組んでおり、今後も悪質巧妙化が予想されるこの種の事案に対しまして専門機関やボランティアの方々との連携も充実させつつ検挙活動と被害防止対策に取り組んでまいる所存であります。
 県警察といたしましては、引き続き日々変化しつつある社会情勢を踏まえまして多様化と変化の一途をたどる犯罪に的確に対応すべく捜査手法の高度化等に不断の努力を払い、安全で安心して暮らせる静岡県の実現に向けて静岡県警察安全・安心推進プログラム二〇一四に掲げる各施策を強力に推進してまいります。以上でございます。
○議長(吉川雄二君) 土屋源由君。
       (十二番 土屋源由君登壇)
○十二番(土屋源由君) 答弁ありがとうございました。
 二点の要望と一点再質問させていただきます。
 一点目の要望につきましては、一の三番になります静岡型県都構想と県の将来像についてということでありますけれども、石川前知事のときに政令県構想というのは自分も見させていただきました。そのときには時代がまだ合併が進んでいない時代であったりとか、道州制が進むんじゃないかというような話もあった時代じゃないかなというふうに自分は勝手に感じているところなんですが、そういう中で今やはり、そのときにもやはり必要だというふうに感じられたことですから、それならばそれでしっかりと、いきなり話として県都構想というような話で出てくる話ではなくて、やはり皆様にというか、県民であり、当然議会にしっかりとその辺の説明をしっかりしていただいた後で、地域会議であり、いろんなところで話をしていただくことも必要じゃないかなというふうに私は思いましたので、ぜひともそういうことをしっかりやっていただきたいという要望をさせていただきます。
 二点目につきましては、教育長のところになりますけれども、教育課題に対する取り組み、先ほど説明をいただきました。その中でやはり私たち会派としても重要な問題であるというふうに感じたさまざまな課題であります。これらにつきましては先ほど説明がありましたけれども、やはりしっかりと県民にもわかるような形で進めていただきたい。それとやはり新教育長として木苗教育長という形になりましたので、教育長としてのこれからの進め方というのをやはりみんなが一番関心を持っているんではないかなというふうに思いますので、その辺をしっかりと自分らしさというのを出していただいて教育長に活躍をしていただきたいというふうに思っています。それを要望させていただきます。
 再質問させていただきますのは、健康福祉行政のうちの地域医療体制の充実で先ほど説明をいただきました。その中で地域医療構想という言葉が、ことし策定をされるという話をされましたけれども、六月の半ばごろの新聞の中で、病床を本県は七千五百削減をするというような新聞の報道がありました。その中で地域医療構想ということになりますと、お医者さんが、看護師さんが少ないということで今困っているという話の中で、ベッドを少なくするという話がストレートにそのまま目標としてベッド数を少なくしたいということの中で、医療の部分でいうお医者さんや看護師さんたちが少なくなるような数字になってしまうのか、これが反映されてしまうのか。地域医療構想という部分でその辺はどうなるのかという部分を一点お聞きしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(吉川雄二君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 地域医療構想についてお答えいたします。
 先ほど、新聞に掲載されました病床数、静岡県は七千五百床削減という、この政府が公表しました数字は国が一定の条件のもとで設定した数字だと聞いております。一定の条件というのは都道府県間の患者の移動などは考慮しないとか、非常にいろんなさまざまな条件を外した上での数字と聞いております。
 今、県でも検討しております地域医療構想につきましては、これは各都道府県みずからが二〇二五年に必要な医療機能を推計し将来の医療提供体制の確保を図るため策定するものでございます。今回公表された数字がそのまま地域医療構想の必要病床数になるわけではございません。
 県としましては今、圏域ごとに関係者、市町や医療機関や医師会等との協力を得ながら地域医療構想を策定しております。この地域医療構想におきましては、将来にわたって県民が必要とする医療を提供できるよう医療機関の機能分担と連携について関係者との検討をより一層進めているところでございます。その中で適正な病床数を含め検討しまして地域におけるしっかりした医療提供体制の確保と充実に取り組んでいく次第でございます。以上です。
○議長(吉川雄二君) これで土屋源由君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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