• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

西原 明美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/30/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東京一極集中の是正に向けた本県の活性化について
(1) 移住・定住施策の取組
(2) 活力を生む企業の誘致、定着
2 新型コロナウイルス感染症対策について
(1) PCR検査等の増加と療養施設の確保
(2) 患者の減少した県内の医療機関に対する支援
3 教育の充実と円滑化について
(1) 県教育委員会の果たす役割
(2) 県立高校等におけるICTを取り入れた教育環境の整備
4 リニア中央新幹線整備への県の対応について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三号から第百三十二号まで及び令和元年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、十二番 西原明美君。
       (十二番 西原明美君登壇 拍手)
○十二番(西原明美君) 皆様おはようございます。藤枝市選出の自民改革会議所属、西原明美でございます。昨年初当選を果たし、ちょうど一年前の九月に引き続きまして二回目の質問をさせていただきます。
 突如として世界を襲った新型コロナウイルスの災禍により、私たちの身近な暮らしをはじめとして取り巻く環境が一年前とは一変してしまいました。その間それらに対応した様々な施策を行ってきた県当局に対しまして敬意を表するところではありますが、今後も状況の変化に即座に対応した部局の枠組みにとらわれない取組がなお一層求められることと思います。今回そのような観点から、また喫緊の課題であるリニア中央新幹線整備の問題について住民、中小企業者、農業者ほか関係する方々の訴え、願いといったものを併せて知事に届けたく通告に従い一括質問方式で知事、副知事及び関係部局長並びに教育長、教育部長に伺います。
 まず初めに、東京一極集中の是正に向けた本県の活性化についてのうち、移住・定住施策の取組について伺います。
 本年一月三十一日に公表された総務省の住民基本台帳人口移動報告二〇一九年結果によれば、本県は若い世代を中心とする転出超過に歯止めがかかっていない状況にあります。県はその是正のため昨年度第二期美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、施策の一つとして移住促進施策を進めていると承知しています。
 本年六月に公表された内閣府の意識調査によれば、新型コロナウイルスを機に東京二十三区に住む二十代の三五・四%が地方移住に関心が高まったと回答するなど若者の地方暮らしへの意識が高まっており、また急速に拡大したテレワーク経験者の四分の一が地方移住への関心が高まったと回答しています。
 静岡県は交通アクセスがよいのが強みであり、それに加えて大都市圏に隣接していながら富士山や駿河湾などの豊かな自然に加え温暖な気候や豊富な農林水産物に恵まれており、移住先としての大きなポテンシャルを秘めた地域であると考えます。新型コロナウイルス感染拡大に伴い人口密度の高さに懸念が広がったこと、首都圏では通勤に膨大に無駄な時間を使っていること、家賃や物価の高い東京で暮らす必然性が低下するなど東京一極集中から地方回帰への機運が高まっていることに加え、これまで移住に際して最も高いハードルであった新たな職探しについてもテレワークの拡大により仕事を辞めることなく移住が可能となるなど、東京などの大都市圏から静岡県への移住をこれまで以上に加速させる大きなチャンスであり今こそ積極的に移住施策を展開すべきであると考えます。
 そこで、移住施策における県の役割と今後の具体的な取組についてお伺いいたします。
 次に、活力を生む企業の誘致、定着について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い国内の経済や国民の生活に様々な影響が生じ、東京圏への一極集中の是正、危機に強い地域経済の構築と活性化が今後の地方創生の大きな政策の方向になると考えております。
 本県は全国有数のものづくり県であり、これまで製造業を中心とした企業誘致を積極的に展開してまいりました。その結果企業立地件数は常に全国トップクラスを維持するなど誇るべき成果を上げています。こうしたことから、この地方創生の政策の方向に向けては第一に製造業をはじめとする工場や研究所等の企業誘致を引き続き進める必要があると認識しております。
 しかし一方で、製造業やサービス業などでサプライチェーンの混乱などの影響が生じ部品生産などの国内回帰が進んだほか、接触リスクを低下するため対面によらない生活様式への取組が一気に拡大しリモートワークやテレワークの定着が進みました。また第五世代移動通信システム――5Gをはじめとするデジタル基盤やIoT、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の活用が進むなど社会経済情勢は大きく変わりました。
 こうした変化に対応するため、大規模な企業誘致と並行していわゆるアフターコロナ時代に持続可能なビジネスモデルを持つ企業や新たな成長産業を生み出す高度人材を首都圏から積極的に呼び込み県内定着を進めることも必要と考えます。
 そこで、本県の産業の活性化に向けて県は今後どのような戦略で活力を生む様々な企業の誘致、定着を進めていくのかお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、PCR検査等の増加と療養施設の確保について伺います。
 新型コロナウイルスの感染は一度は終息したかのように思えましたが、七月以降再び猛威を振るい第二波を思わせる感染拡大をいたしました。患者数はここに来てやや落ち着いてきた様子も見られますが、この先終息をするのか、また新たな局面を迎えることになるのか専門家の間でも意見が分かれ予測できない現状です。
 現在、発熱などの症状があり新型コロナウイルスへの感染が疑われる人のPCR検査は、帰国者・接触者相談センターに連絡をし専門外来で検査を受けるケースと地域の診療所を受診し医師の判断の下、地域外来・検査センターで検査を受けるケースが中心となっております。
 一方で、今後秋から冬にかけてインフルエンザが流行したときには新型コロナウイルスの症状に似た発熱の患者が相次ぎ検査を希望する人が急増するおそれがあることから、厚生労働省は新型ウイルスの検査体制を強化し都道府県に登録した診療所で主に短時間で結果が出る抗原検査の簡易キットを使用し診察から検査までを一括して行う仕組みを整えると発表いたしました。しかしこれは症状を伴う人に対しての対応であることや診療所での感染対策などの課題が残されています。
 このことに先立ち、知事は八月の全国知事会ウェブ会議の場においてPCR検査体制の充実を訴え、また本定例会の知事提案説明においても唾液抗原定量検査を活用しいつでも誰でも何度でも検査を受けられる体制の構築について言及されておりましたが、今後どのように実施していくのかお伺いいたします。
 検査体制が充実して検査件数が増えれば軽症者や無症状の感染者数の増加が考えられますが、検査体制充実のメリットは何なのか伺います。
 あわせて、検査で陽性となった人に向けて感染拡大防止の観点から入院または宿泊施設の早急な確保が求められます。県では今後の感染拡大を踏まえて本県のピーク時の感染症患者数の推計を行いこれまで示していた入院病床と宿泊療養施設の確保の目標を見直したようですが、現在までの入院病床の確保状況、また宿泊療養施設を含めて必要数を充足していくための対応についてお伺いいたします。
 次に、患者の減少した県内の医療機関に対する支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、陽性患者の受入れのあるなしにかかわらず医療機関の経営状況が悪化しています。日本病院会等が全国の病院の本年四月から六月の経営状況を調査した結果六割以上が赤字であり、これは患者の受診控えや手術や検査など急を要さない診療の一部を先送りしたことなどにより入院・外来患者数が減少したことが主な要因に上げられています。
 六月定例会の一般質問で我が会派の佐地県議が同様の質問をされていますが、それから三か月が経過した現在本県の感染患者数が増加を続けていることから今後より一層経営が厳しくなることが予想され、中には耐え切れず医療体制が崩壊してしまう地域が出かねないことを踏まえ再度質問をさせていただきます。
 全国知事会では、医療機関に経営に資するため診療報酬の引上げや無利子、無担保貸付の拡充、公立病院に対する税制支援など医療機関の経営悪化へ歯止めをかけるよう要望しています。また県においても患者減少を防ぐため患者の皆様が安心して受診できる環境を整備するための助成など様々な経営支援策を講じているところです。しかしこうした支援は有効ではあるものの、まだ十分とは言えずさらなる支援の拡充が必要と考えます。
 地域医療の中核的な医療を担っている病院への新型コロナウイルス感染症の影響を可能な限り軽減することに対し、県はどのように考えるのか、所見をお伺いいたします。
 次に、教育の充実と円滑化についてのうち、県教育委員会の果たす役割について伺います。
 教育分野、とりわけ義務教育の実施においては国、県、市町それぞれに役割分担があり小中学校の設置及びその教育内容については市町が責任を負い、また県においてはその教育水準の維持向上を図るため市町の自主性を尊重しつつも市町間の格差が生じないよう支援をする立場にあります。教育施策を円滑に執行していくためには、市町教育委員会に対して県教育委員会が県としての意思や方向性を示し支援を行っていく必要があるのではないかと考えます。
 しかしながら、例えば市町が取り組む小中一貫教育に対して現行の静岡県教育振興基本計画を見ても県の方針が見えてきません。
 昨年九月定例会での伊藤議員の一般質問に対する御答弁では、児童生徒の人間関係の固定化や教職員の多忙化の課題を挙げ市町が判断すべきとしており、要望があれば市町の取組を支援するというスタンスにとどまっています。県教育委員会に確認したところ、実際のところは小中一貫教育は各市町が地域の実態に応じて導入していくものであり県として一律に推進するものではないとのことでしたが、現在県内多くの市町において前向きに小中一貫教育に取り組んでいるところです。小中一貫教育の肝となる中学校教員が小学校に乗り入れる乗り入れ授業も、小学校教諭の免許状を有していない中学校教員は小学生の学習指導に対して戸惑いを感じることも予想されます。専科教員の配置に対しても各市町においては県の理解と協力が必要となってきます。
 また、今回の新型コロナウイルス感染症に関わり国が打ち出した休校措置の対応についても期間、登校日の設定、教職員の在宅勤務の取扱いなどの服務に関する様々な判断が設置者に委ねられたため各市町は対応に苦慮し、結果的に隣り合わせの市町でさえ差が生じることになり地域や保護者の理解が得られませんでした。最終的に設置者である市町にその判断は任せるとしても、県教育委員会としては市町間の格差が生じないよう早期にガイドラインのモデルを示すなどの支援をする必要があったのではないかと考えます。
 国の中央教育審議会において、これまで市町の教育委員会に対して指摘されている問題点として学校は設置者である市町ではなく国や都道府県の方針を重視する傾向が強い、また教職員の市町に対する帰属意識が弱いことも挙げられています。こういった問題点を踏まえても義務教育の実施に当たり県の果たす役割は大変大きいものと考えます。
 そこで、県教育委員会の果たすべき役割をどのように考えているのか。また市町との連携についての必要性について、県教育委員会の所見をお伺いいたします。
 次に、県立高校などにおけるICTを取り入れた教育環境の整備について伺います。
 県教育委員会では、新たにICT教育戦略室を設置し環境整備などのICT教育に係る諸課題に対応していくと伺っております。ICT教育環境の整備として実施される国のGIGAスクール構想は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受けて、当初令和五年度までの予定を本年度中に前倒しして小中学校において一人一台の端末と高速大容量の通信ネットワークが一体的に整備されることになります。
 しかし、高等学校でも同様の環境を整えておかなければ小中学校において日常的に端末を使用してきた生徒が高等学校に進学した際に教育の継続性が担保できるのか。また学習意欲の衰退につながらないかが危惧されるところであります。また県内の約六万人の高校生が同時にインターネットに接続した場合、現在の学校のネットワークなどの整備で快適に教材動画などを視聴し有効に活用することが可能か疑問に思うところであります。
 そこでまず一点目、GIGAスクール構想を踏まえて県立高校におけるICTを取り入れた教育環境についてどのように整備していくのか、県教育委員会の考えをお伺いします。
 二点目として、現在ICT環境整備が各市町において進められていますがPC機器は一度整備したら終わりではありません。次期の更新時において県もしくは希望した市で端末、使用ソフトを統一の仕様にすることにより調達費用の削減、教員の人事異動によるICTに関わる負担減につながると考えます。またこのことは整備格差による教育の質に差が生じないためにも必要なことです。本年度の第一回総合教育会議においても義務教育とか高等学校でも個々の学校で整備するというのは難しい、共通のベースを準備して利用していく、組織的に準備をしておかなくては無駄が多いとの御意見が出されており、知事も市町との連携が不可欠だとおっしゃっています。
 この点について、県教育委員会の所見をお伺いいたします。
 最後に、リニア中央新幹線整備への県の対応についてお伺いします。
 六月二十六日、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題をめぐりJR東海の金子社長と知事の初のトップ会談が行われました。この会談は全国から注目され、この問題の解決に一歩前進することを誰もが期待したのですが話合いは平行線に終わりました。
 その後、七月十日には国土交通省の事務方トップの藤田事務次官との会談においても互いに抱く不信感を解消できるのではとの期待もありましたが、流域住民にとって、恐らく知事にとってもトンネル工事問題の進展のなさにもどかしさを感じる結果となったのではないかと思います。
 リニア中央新幹線整備に伴う大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全については、平成三十一年一月以降県の専門部会で議論がなされ、今年に入り国が設置する有識者会議でも議論がなされています。私も大井川の流域市町の一つである藤枝市選出議員としてリニア中央新幹線整備に関する議論を注視してまいりましたが、率直な感想として議論は解決に向けて順調に進んでいるとは言い難いのではと感じています。
 この最大の要因は、JR東海が水問題をめぐるこれまでの協議で調査データの開示不足や県内で詳細なボーリング調査が行われていないことなど県民が十分に納得し得る解決策が示されないことだと考えます。
 一方で、知事は七月に行われた自民党の超電導リニア鉄道に関する特別委員会において私は一貫してリニアの大推進論者だと発言されたようです。であるならば県も科学的データと証拠に基づく解決策を求め、県民が納得いく答えを導く努力をすべきでないかと考えます。
 これまで、県民にとって理解し難い分かりづらい議論が繰り返されてきました。県は解決すべき項目を挙げ一つ一つ解決していく道筋をもっと明確にすべきであり、双方が意見を言い合うばかりではなく双方の対立を解消して歩み寄る姿勢も必要であったかのように思います。もちろん流域六十二万人の生活用水や事業者の利水に影響を及ぶ水量を維持することは大変重要であると考えています。
 そのことを踏まえ、JR東海に意見、要求をするばかりではなく問題解決に向けて県からも具体的にどのように対策を取ればよいかJR東海に積極的に示していくべきと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。以上について答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 皆様おはようございます。西原議員にお答えいたします。
 東京一極集中の是正に向けた本県の活性化についてのうち、活力を生む企業の誘致、定着についてであります。
 新型コロナ危機というのは、大都市構造、大都市の構造が持つ過密、これに対して正面からの問題提起を突きつけております。東京一極集中問題というのは過密問題であり、言い換えるとそれは過疎問題でもございました。
 しかしながら、議員が御紹介されましたように今二十代ですら三五・四%、すなわち三人に一人以上が地方移住に御関心を持たれているということでございます。またテレワークに従事された方たちのうち四人にお一人が、これは地方でも仕事ができるということで地方移住を考えていらっしゃると。この数字は極めて大きい問題提起をしていると。これは過疎地域、言い換えるならば東京以外のところにとって大きなチャンスでございまして、これが我々が今進めている帰りなんいざふるさとふじのくにへと。このふじのくにというのは二十一世紀の日本国民の第二のまほろばにしようという運動でございます。
 議員の御質問は、こうしたことと関連するもので企業の誘致に関わるものでございました。まずは足元をしっかり整えなくちゃなりません。そこで新型コロナウイルス感染拡大により県内経済も大きな打撃を受けている中でございますのでいち早く県内企業の資金繰り支援並びに雇用対策など緊急対策に全面的に取り組んでまいりました。
 一方、将来を見据えなければなりません。ウイズコロナ、アフターコロナの時代を見据えなくちゃならない。そこで新型コロナ危機で顕在化した、こうしたここで出てきた課題を踏まえまして感染防止対策との調和を図りながら早期の経済回復を実現するための新しい経済対策、これが県が今展開をしておりますフジノミクスでございます。
 感染リスクの低い地域、これが静岡のみならず山梨県また長野県さらに新潟県でございます。こうしたところは感染リスクが低いということは数字で示されているところでございますが、この四県から成る新たな地域経済圏を形成するということ、そしてそこにおけるこれは九百万人です。GDPはオーストリアに匹敵するものでございますがそこの消費を喚起するということ、同時に供給面からリーディング産業を育成していこうと、こういうことでございまして、企業立地に関しましてはこの消費サイド、デマンドサイドではなくて供給サイド、サプライサイドに係るものでございますけれども供給面での経済活動の活性化を図る、この重要な取組が企業立地であると考えております。
 現状を見ますと、感染拡大により自動車をはじめ製造業のサプライチェーンが大きく棄損されております。現在世界的規模でその見直し等が進んでおります。
 県では、東京事務所や大阪事務所を通じましてこうした企業の生産体制再編の動きをしっかりと注視しているところであります。また企業の設備投資は目下減退傾向にありますけれども、本県進出を希望したいところもございましてそれを仲介する金融機関、デベロッパー等に本県の立地優位性また支援制度の情報提供をきめ細かく行うなど的を絞った誘致活動を展開しております。キーワードはデジタル化でございますが、このデジタル対応の加速化が進む中でICT関連企業の誘致をこれまで以上に進めていこうと考えております。
 このため、県では高度情報処理人材を擁するICT企業への助成等によりまして進出支援を強化しているところであります。加えて昨年テックビートというのを行いました。これは首都圏のスタートアップ企業と本県の中小企業とのマッチングを図るということでございますけれども、これが大成功になりましてまた開催してほしいということでございました。
 そうした中、コロナが蔓延するということになりまして、そこでオンラインでこのテックビートをしたところこれがまた意外な成功を収めましてこれからはオンラインでできるというところにまでなりました。さらにこれを続けてほしいということで、これを企業一般ではなくて医療分野でやりましょうと、次は農業分野でやりましょうということでこれからテックビート、農業分野、医療分野においてこのオンラインを中心にした形でやっていくことになっております。
 AIやICTに精通した高度人材を首都圏から県内に積極的に呼び込む、これがテックビートでございます。また緊急事態宣言で多くの企業がリモートワークで業務遂行が可能であるということを今は知るに及びました。今皆、認識されているところでございます。
 そこで、人とともに企業の地方移転の流れが起きております。この流れにさおを差すと、これを呼び込むということが今静岡県がやるべき極めて重要な仕事でございます。
 そこで、東京事務所がTECH BEAT Shizuokaなどの参加した企業に対しまして県や市町の誘致支援制度やサテライトオフィス情報などを提供したところ何と即レスポンスがございまして十八件の照会があり、うち二件が既に本県進出を決定いたしました。
 県といたしましては、こうした取組あるいは実績を通じましてウイズコロナまたアフターコロナを踏まえた本県経済の持続的な発展を担う企業の誘致と定着を着実に推進してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) リニア中央新幹線整備への県の対応についてお答えをいたします。
 平成三十年十月、JR東海がトンネル湧水の全量を大井川に流すと表明したことによりトンネル湧水の全量を大井川に戻すことの必要性について県とJRの間で基本認識が一致しました。このため地質構造・水資源及び生物多様性の二つの専門部会を設置し、昨年一月からJR東海との対話を開始しました。
 JR東海に意見、要求をするばかりではなく問題解決に向けて県からも具体的にどのような対策をとればよいかJR東海に積極的に示すべきという議員のお考えについて県の考えを述べるに当たっては、まず対話におけるJR東海と県あるいは県民の皆様の立場を整理してみることが重要です。
 JR東海は事業により影響を与える側、工事に関し詳細な情報を有している側です。県あるいは県民は事業により影響を受ける側、工事に関しては詳細な情報を有していない側であり水利用など地域の実情の情報を有しています。
 一般に、影響を受ける側、情報を有していない側はどのようなリスクが発生するのか分からず不安なため影響を与える側に対して地域の実情を伝えるとともにリスクに関する情報提供と対応を求めます。影響を与える側は工事に関し有する多くの情報を基に地域の実情を踏まえリスクを評価し、それを分かりやすく説明するとともに影響を回避、低減する義務があります。
 このことを踏まえ、県は影響を与える側であるJR東海に対し命の水の大切さや南アルプスの自然の脆弱性を伝えた上で分かりやすい説明をするよう求めてきました。例えばJR東海からは本坑トンネル、先進坑、導水路、非常口などの位置関係が標高を入れた形で視覚的に分かるような資料が提出されていないため県がこの資料を作成をしました。分かりにくいのでJR東海へも同様の資料の作成を求めました。しかしJR東海は県の専門部会に対しいまだにそのような基礎的な資料の提出もありません。
 また、生態系に関してはJR東海に対し南アルプスの自然の希少性と脆弱性を説明し、JR東海には日本を代表する企業として、また巨大プロジェクトの実施者として生物の多様性の問題は単に配慮する事項とするのではなく正面から取り組んでいただきたいということを要請をしてきました。
 また、JR東海が影響予測のよりどころとしている水収支解析についてもトンネル湧水量や地下水の動きを推定するには精度が低いので、これをよりどころにするのはやめてほしいとの提案を何度もしてまいりました。
 しかしながら、JR東海は精度が高いとの主張を変えませんでした。この根底にはJR東海に、環境影響評価法に基づく手続は終わっており県からあまりにも高い要求を課されているとの考えがあると思われます。このため県や専門部会から追加の調査の必要性や解析データの開示を求めているものの、JR東海の対応は不十分で対話を進める状況が整っておりません。これが実情であり、この点は議員の御指摘のとおりです。
 このような中、国はJR東海を指導する目的で本年四月に有識者会議を設置しました。県は第二回の有識者会議で十五分程度の短時間説明する機会を得ましたので、県のホームページで公表している資料を基に説明をしました。座長からは、JR東海の説明は分かりにくく県の説明で初めて分かったことがあるとの言葉がありました。これ以降、国の有識者会議においてはこれまで県が求めても出てこなかった資料が提出されるようになりました。それでも委員からは流域住民の皆様が何を不安に思っているかということを理解していただくことが大事であるという指摘があり、会議終了後の記者会見で座長からはJR東海は専門性の高い分かりづらい資料を示し正当性を主張し過ぎているとの指摘がありました。
 このように、JR東海は自らの考えを相手方に理解させようとする説得型になっており流域住民の皆様に寄り添った説明になっておりません。これまで有識者会議は会議の第一回目から五か月で五回開催されていますが、多くの方の予想に反して現時点では結論が出せるという状況になっておらずその時期も分かりません。
 県からも具体的にどのように対策をとればよいかJR東海に示すべきという議員のお考えについてですが、どのような対策をとればよいかの前に行うべきはどのような影響が出るおそれ、リスクがあるかを明らかにすることです。このリスクの評価方法について県はJR東海に何度も提案をしてまいりました。しかしJR東海はこの提案に対して十分応えていません。
 国の有識者会議においてリスク評価についての検討が進み、JR東海への指導によって事業によって影響を与える側であるJR東海から県民の皆様が納得できるような説明を行っていただくことを期待をしております。そのような適切なリスク評価が行われた後、対策について県からも提案できるような状況に至ればその時点で議員御指摘のような提案も行ってまいりたいと考えております。以上であります
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 市川敏之君登壇)
○くらし・環境部長(市川敏之君) 東京一極集中の是正に向けた本県の活性化についてのうち、移住・定住施策の取組についてお答えいたします。
 移住促進施策における県の役割につきましては、移住希望地として人気の高い本県の魅力を首都圏等で情報発信すること、本県への移住に関心がある方の最初の相談窓口として移住に当たっての課題の解消を支援しつつ移住検討者が希望するライフスタイルを実現できる市町や地域等へつなげること、移住者を受け入れ住み続けられるよう取り組む市町、地域団体等の体制を強化することであると認識しております。
 緊急事態宣言が解除された翌月の六月から八月までの東京の県移住相談センターにおける相談件数は対前年同期比約一・四倍と増加しており、テレワークなどによる新しい働き方を選択し地方に移り住む動きは今後加速するものと考えられますことから、移住施策の柱であります情報発信、相談体制、受入れ体制を充実強化してまいります。
 具体的には、情報発信につきましてはテレワークをしながら本県で多彩なライフスタイルを実現していらっしゃる移住者の暮らし等を紹介する動画を今月中旬から配信しております。地方暮らしやテレワークに関心のある若者をターゲットとしたウェブ広告を実施しております。また民間企業の御協力を頂いて東京日本橋の大画面屋外ビジョンでの動画配信なども行っております。
 相談体制につきましては、対面での相談に加え今年度からオンラインを活用した個別相談やセミナーを実施して充実を図るとともに、十一月からはオンラインによる全県規模の移住相談会、移住希望者と県内企業を結ぶ説明会の開催も予定しております。
 受入れ体制につきましては、ウイズコロナ時代の移住促進の取組をテーマにふじのくにに住みかえる推進本部全体会を開催し市町、地域団体、企業等と情報共有を行ったほか、移住して在宅でテレワークをされる方を支援するためテレワークスペースの確保を含む既存住宅の改修に三十五万円を上限に助成する経費を先ほどの企業の説明会経費とともに補正予算案として本議会でお諮りしているところであります。
 県といたしましては、将来にわたって活力が維持される地域づくりのため美しく豊かな自然や温暖な気候、大都市圏との近接性などを背景に多彩なライフスタイルが実現でき安心して過ごせる本県の強みを生かし、より一層の移住・定住の促進に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、PCR検査等の増加と療養施設の確保についてお答えいたします。
 PCR検査や唾液抗原定量検査の増加につきましては、医療機関等に対して検査機器の整備助成を行うとともに県環境衛生科学研究所等への抗原定量検査機器の設置などにより検査体制を拡充してまいります。特に唾液を用いた検査は、鼻咽頭拭い液の採取に比べ飛沫が飛びにくいため医療従事者の感染防御に係る負担が軽減できるだけでなく検体の採取が容易であることから検査可能件数を増やすことにもつながり、インフルエンザ流行期に増加が想定される発熱患者等の検査に対応することができます。
 さらに、短い時間で大量に検査ができる抗原定量検査の特徴を生かし高齢者や基礎疾患を有する方と日常的に接する高齢者施設や医療機関の従事者に対しまして一斉検査を実施することにより高齢者施設等での罹患防止を図るほか、県民が必要なときに検査を受けられる体制を構築してまいります。
 入院病床と療養宿泊施設の確保につきましては、厚生労働省の患者推計ツールによる試算結果に基づき従来の計画を見直して最大四百五十床の入院病床と四百五十人分の宿泊施設を確保することといたしました。現在入院病床につきましては重点医療機関の指定などにより目標である四百五十床を確保するめどが立っております。宿泊療養施設につきましては東部地域での受入れが可能となり三百七十九室を確保いたしました。今後市町の御協力を頂きながら引き続き目標である四百五十人分の確保に向け施設の選定を進めてまいります。
 県といたしましては、PCR検査等の増加と入院病床及び療養施設の確保などにより医療提供体制の充実を図り、市町や関係団体と協力して県民の皆様の命を守れるよう取り組んでまいります。
 次に、患者の減少した県内の医療機関に対する支援についてであります。
 県内の医療機関の経営状況につきましては、静岡県病院協会が本年六月に実施した調査によりますと六割以上の病院で入院、外来ともに患者が減少し医業収支が悪化しております。
 県では、六月補正予算におきまして重点医療機関や救急医療機関などの機器整備のほか医療機関等の感染防止策に対する補助制度の創設に加え、感染患者の受入れ病床の確保に伴う空床補償に県独自の上乗せをするなど医療機関の経営を支援する様々な方策を講じております。また全国知事会を通じて国に対しさらなる支援を求めてきたところ、今月十五日に診療報酬の引上げに加え重点医療機関の受入病床の確保に伴う補償のさらなる拡充が決定されましたので、県ではこれに速やかに対応し医療機関への支援を充実してまいります。
 さらに、患者減少の一因と言われる感染を懸念しての受診控えにつきましては行き過ぎると症状の悪化や病気への罹患につながるおそれがありますことから、持病の治療や予防接種、健診等の健康管理の大切さとともに医療機関では適切な感染防止対策が行われ安全であることを市町や関係団体と連携して県民に呼びかけ適切な受診等を促してまいります。
 県といたしましては、全ての医療機関がその役割を将来にわたって十分に発揮頂けるよう支援し県民の皆様がいつでも安心して医療を受けることができる体制を確保してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育の充実と円滑化についてのうち、県教育委員会の果たす役割についてお答えいたします。
 教育基本法等におきまして、地方公共団体はその地域における教育の振興を図るため実情に応じた教育に関する施策を策定し実施しなければならないとされております。このうち県教育委員会は教職員の任命、教職員の給与費負担、教育内容や学校運営に関する指導、助言といった役割を担い、市町教育委員会は学校等の設置管理や教育の実施等が役割とされており地域の特色を生かして主体的に取り組んでおります。
 これまで、県教育委員会では市町間の格差が生じないよう加配教員や非常勤講師などの配置、学習指導上の助言や指導、部活動ガイドラインの提供など全県的な施策の推進に努めてまいりました。市町立学校の設置管理など市町が担うこととされている施策につきましては各市町が方向性を定め実施していくことが重要であると考えており、一律に市町教育委員会に意思や方向性を示すものではないと考えております。
 このため、県と市町が教育施策に関して認識を共有できるよう市長、町長、市や町の教育長との意見交換の場などの機会を捉えまして幅広く意見を伺ってまいります。また引き続き県教育事務所が市町教育委員会を訪問して学校運営における課題など現場の意見を丁寧に聞き指導、助言を行ってまいります。
 県教育委員会といたしましては、今後も市町教育委員会と連携して必要な情報提供や人的支援に努め、教育施策の実施に必要な方針を示しながら市町教育委員会の主体性を損なうことなく地域の実情を反映した教育を推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
       (教育部長 長澤由哉君登壇)
○教育部長(長澤由哉君) 教育の充実と円滑化についてのうち、県立高校等におけるICTを取り入れた教育環境の整備についてお答えいたします。
 ICT教育環境を速やかに整えるため、県立学校におきましては来年度までに整備することとしていたタブレット端末を前倒しして整備するための補正予算案を本議会でお諮りしております。これによりクラス単位で日常的に使用できる環境が全ての県立高校において整うことになります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり義務教育段階の全学年の児童生徒に一人一台端末が整備されることから、県立高校におきましても小中学校と同様に一人一台端末やそれに対応した回線環境を整備していくことが課題だと認識しております。
 高校での生徒一人一台端末の実現に当たりましては、生徒が自己所有する端末を学校の授業等で利用する方法や公費による整備などそれぞれの手法を比較するとともに、他県の導入事例を参考にしながら整備方針を検討してまいります。あわせて教材動画等が安定的に閲覧できるよう今年度中に回線を増強してまいります。
 ICT機器の更新につきましては、共同調達がコスト縮減に有効でありますことから静岡県ICT教育推進協議会におきまして共同調達について検討する専門部会を立ち上げております。今後各市町の整備内容や整備後のサポート体制などを踏まえ共同調達に必要な仕様を作成するなど、機器更新が効率的に行える仕組みを構築してまいります。
 県教育委員会といたしましては、児童生徒の学びを止めることなく小中学校から高等学校までICT教育が継続的に実施されるよう各市町教育委員会と連携してICT教育環境の整備を進め学びの質の向上に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 西原明美君。
       (十二番 西原明美君登壇)
○十二番(西原明美君) それぞれ御答弁を頂きましてありがとうございます。
 最後に、要望を一点申し上げたいと思います。
 リニア中央新幹線整備への県の対応についてでありますが、水問題への認識がなかなか広まらずSNSなどで誤解に基づく情報が絶えないということでこのたび、十月二日に難波副知事が東京都にあります日本記者クラブで水問題に対する県の対応や協議の状況を記者会見すると伺っております。
 本来であれば全国にお話を頂く前に、先に県民に分かりやすく納得のいく説明をしていただきたいとも思いました。今日は大変長く御答弁を頂きまして、るるその流れ等は理解できましたけれども、多くの情報のSNSの中にはリニア解決の着地点を探してほしいという声や大井川の水は一滴たりとも渡さないという強弁な知事の姿が頼もしく見える反面知事のけんか腰の交渉も気になりますといったようなものもあります。そういう意味では、問題解決の道筋を積極的に静岡県が示す姿勢こそが県民をはじめ全国の人に静岡県を理解していただけることにつながると思います。
 この十月二日の記者会見に向けて最善の御努力を頂き、全国の皆様に静岡県の立場それぞれが理解していただけるように強く要望いたしまして一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田 誠君) これで西原明美君の質問は終わりました。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp