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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

盛月 寿美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/28/2020

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 o ウイズコロナ、アフターコロナの時代における新ビジョ
 ンの推進
2 新型コロナウイルス感染症対策について
(1) 総合防災アプリ「静岡県防災」の今後の活用
(2) 今後の医療提供体制
(3) 雇用人材のマッチング支援
(4) 観光産業への支援
(5) コロナ禍における高校生の就職支援
3 リニア中央新幹線について
4 県営住宅における連帯保証人について
5 清水港における次世代型エネルギーの推進と地域づくりに
 ついて
6 消防力の強化について
7 公文書管理・保存・公開のための体制強化について
8 静岡県文化プログラムについて
9 ゲーム依存症対策について
10 女性活躍促進を踏まえた事業承継への支援について
11 企業局の水道事業の取組について
12 人権教育について
13 直轄警察犬の導入について


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三号から第百三十二号まで及び令和元年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十七番 盛月寿美君。
       (二十七番 盛月寿美君登壇 拍手)
○二十七番(盛月寿美君) 私は、公明党静岡県議団を代表して県政の諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長、教育部長、警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢について、ウイズコロナ、アフターコロナの時代における新ビジョンの推進について伺います。
 知事は、人口減少、高齢化、環境問題、持続的経済成長など直面する課題を克服し、静岡県こそが誰もが平和で安心して暮らせる新しい日本のロールモデルとなるべく地域自立の先頭に立ち本県の強みや特色を生かした施策展開による県民幸福度の最大化を新ビジョンの理念に掲げ、これまで県政運営に取り組んでこられました。そうした中で新型コロナウイルス感染症が一月中旬に国内初の感染者が確認されて以降いまだ収束の見通しの立たない状況であります。感染拡大が進む中、県では医療提供体制、経済活動、観光振興、教育などの各分野において対策に取り組む中で明らかになった課題を踏まえ、年度当初に予定していた様々な施策についてウイズコロナの観点から見直しを行い将来を見据えた取組を着実に進める必要があると考えます。
 そして、収束した後もコロナ以前の元の社会に戻るのではなく、感染防止と社会経済活動を両立させていく新たな日常の定着が重要との認識に立って県政運営に取り組んでいかなければなりません。またコロナ禍の影響により社会全体で多様な暮らし方、働き方へと意識の変化が見られ地方移住への関心が高まり、企業においても在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務などテレワーク導入の動きが活発化しています。
 総務省が八月二十七日に公表した令和二年七月の人口移動報告では東京圏の人口が転出超過となりました。これは知事がこれまで一貫して訴えてこられた東京一極集中の是正にこれまで以上に力を入れて取り組む契機と捉えるべきではないでしょうか。
 このような状況下にある今こそ、ふじのくにづくりの基本指針である新ビジョンについて、これまでの取組の評価やコロナ禍を踏まえた将来像の実現に向けた課題などに基づき見直しを行い施策展開を図っていくことが求められています。
 そして、知事の任期は一年を切っている状況にあり御自身としては節目と言える時を迎えつつあるわけですが、新たな社会の構築に向けて大きな改革に取り組んでいくためには知事のリーダーシップも不可欠であります。
 そこで、ウイズコロナ、アフターコロナの時代の新しい静岡県の姿を見据えながら、来年度基本計画の最終年度を迎える新ビジョンをどのように推進していくのか、知事の見解を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について、感染防止対策と経済社会活動の両立の観点から各分野における具体的な取組について質問いたします。
 初めに、総合防災アプリ「静岡県防災」の今後の活用について伺います。
 我が会派は、防災対策を県民に分かりやすく周知するために冊子「東京防災」を参考に静岡県も準備する必要がある、また一歩先を行きスマホなどで気軽に見ることができ内容の更新や機能の追加が行いやすい専用アプリを作成し運用すべきと訴えてきました。
 県は総合防災アプリ「静岡県防災」を作成し昨年六月一日より運用を開始。さらに各自主防災組織に配布された改訂版避難所運営マニュアル、避難生活の手引を防災アプリに盛り込み、自主防災組織や住民がいつでも確認できるようにすべきと提案し、今年二月に学習コンテンツに追加掲載されました。また県内の外国人の方々が活用できるように多言語での対応が必要と訴え、今年四月一日から十一か国語での運用が始まりました。
 コロナ禍において、豪雨や地震などの大規模災害が重ねて襲う複合災害が既に全国各地で発生しています。また各地で避難方法の再検討や新たな視点による訓練が行われています。三密をどう回避するかなど大きな課題が迫っています。県はその対応策として今年七月に新型コロナウイルス感染症を踏まえた避難所運営ガイドラインを策定するとともに、防災アプリに避難所運営での接触機会を低減するための機能を追加すると伺っています。いつ起こるか分からない災害への備えとして一刻も早い現場への普及が期待されます。
 そこで、県の防災アプリに追加される機能の概要と想定される効果、運用開始の時期について伺います。また新たな機能が効果を発揮するためには自主防災組織や高齢者を含む地域住民の方々への普及啓発が重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか併せて伺います。
 次に、今後の医療提供体制について伺います。
 感染状況について、先月国の専門家組織では全国の発症日ベースの流行曲線からは緩やかな下降が見られるが重症者は増加傾向にあり再拡大に向けた警戒が必要との見解を示しました。県内では職場内クラスターも発生し、接待を伴う飲食店やスポーツクラブなどハイリスクとされていたエリア以外の身近な場所での感染拡大に予断を許さない状況が続いております。感染拡大で一番心配されるのはクラスター発生による医療への過剰負担が医療崩壊につながることです。県では感染者軽度患者受入れ施設整備等を順次行い医療機関の負担軽減を図り、ようやく東部地域も裾野市のホテルに決まり安堵しましたが、予定される四百五十室に向け引き続き調整努力を求めます。
 さらに、既存の病床を感染者病床に切り替えることで従来治療に当たっていた患者への対応に制限がかかり医療の逼迫が懸念されます。また感染を心配して適切な受診を控え、結果として症状が悪化してから受診する患者が増え医療機関の負担が増す事例もあると聞いております。今後インフルエンザの蔓延時期を迎え発熱者が病院の中で混在することが予想され、今以上に混乱や負担がかかると懸念されます。
 厚生労働省では、発熱などの症状がある人の相談先を十月からかかりつけ医など身近な医療機関が担うという新しい医療体制を発表し、発熱患者が地域の医療機関で迅速に検査を受けられるよう体制整備を求める通知を都道府県に発出しました。今後インフルエンザの蔓延時期を迎えるに当たり、国の通知を受けどのように医療提供体制を整備し医療機関の負担軽減を図っていくのか、県の考えを伺います。
 次に、雇用人材のマッチング支援について伺います。
 厚生労働省の発表によると、九月二十三日時点で全国の新型コロナウイルス感染症の影響による解雇や雇い止めが見込みを含めて六万人を超えたとのことです。多くの事業者が雇用の確保や事業存続の危機に直面している状況です。本県においても本年七月の有効求人倍率は〇・九〇で、コロナ禍の影響で前年同時期から〇・六六ポイント下回る状況です。また本年四月から六月期の本県の完全失業者数は四万五千人と本年一月から三月期に比べ五千人増加するなど雇用環境は厳しさを増し、コロナ失業という言葉が生まれるほどになっています。
 建設や介護などの分野では恒常的に人手不足が深刻である一方、需要増加で仕事が増え人手が足りない企業もあります。こうした雇用の維持が難しい企業と人材不足の企業などをつないで雇用を維持することが、雇用環境の悪化に歯止めをかけ地域経済の停滞を防ぐために重要と考えます。
 そこで、コロナの影響で雇用の維持が難しくなった企業と人手不足の業種を結びつけていく雇用人材のマッチング支援に県は今後どのように取り組むのか伺います。
 次に、観光産業への支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染拡大により全ての産業で影響が出ておりますが、特に本県東部の伊豆地域、浜名湖周辺の西部地域など観光への依存度が高い地域は瀕死の状況に陥っています。四月以降伊豆地域の観光関係者からヒアリングを重ねてきましたが、異口同音に観光産業の置かれている厳しい状況を伺い、県に対しても国の地方創生臨時交付金を活用して観光産業に対する支援を求めてきたところです。
 国も七月二十二日からゴー・トゥー・トラベルキャンペーンを実施、八月末までの間に延べ一千三百三十九万人が宿泊したことを発表いたしました。これまで本県においてもバイ・シズオカの宿泊、周遊促進策等を展開してきましたが、先の見えない状況の中、観光産業は厳しさの度合いを増しております。特に観光を基幹産業とする地域では、観光産業が衰退すれば金融面で支援してきた地銀や信用金庫の経営悪化や公共交通、農水産業、関連のサービス業の連鎖倒産という最悪の状況も予想されます。外出の自粛ムードは払拭されつつあるものの、観光産業が元気を取り戻すまでには相当な時間がかかることが想定されます。
 また、この感染症の影響により旅行者の三密の回避やソーシャルディスタンスの確保といった新たな視点が加わり、旅行形態も団体から個人、家族といった傾向がより強くなり県内の観光関係事業者もこうした変化に対応していかなければ生き残れません。まずは県はウイズコロナ時代の新たな価値観に対応しながら、瀕死の状態にあるとも言える県内観光産業の本格回復を図っていくとの力強いメッセージを発信する必要があると考えます。
 ウイズコロナ時代における本県の新たな観光地域づくりをどのように進めていくのか、知事の決意を伺います。
 次に、コロナ禍における高校生の就職支援について伺います。
 九月一日に静岡労働局が発表した令和三年三月の高校新規卒業予定者に対する七月末時点の求人は前年同期と比べて約三割減の状況であり、産業別で見ても全てにおいて減少しております。中でも宿泊や飲食などのサービス業の求人が大きく減少しています。
 今年の夏、何校かの県立高校の進路指導担当教諭と懇談する機会を持ち、こうした状況における様々な課題をお聞きしました。従来高校生が就職先を決めるための企業見学は夏休み期間を利用して行われます。しかしながら今年はコロナ禍で夏休み期間が短縮された結果、新学期に入ってから授業を休んで企業見学をしなければならないという生徒も存在します。
 また、企業側が直接の受入れを避けオンラインによる企業訪問説明会も実施していますが、参加した生徒からはオンラインでは実際の会社の雰囲気や仕事内容が実感しづらいという声も聞かれます。何よりも企業の業績が落ち込み求人数を減らしたり採用を控える企業が多いことから、学校によっては希望する業種の枠が少なく就職から進学に方向転換する生徒もいるそうです。
 このような状況において、生徒が希望する職業に就けるよう県教育委員会としてどのように支援をしていくのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線について伺います。
 リニア中央新幹線工事を巡り、六月二十六日川勝知事とJR東海金子社長の初会談が行われました。大井川の水量が減少するとされている課題については決着を見ることができず、丁寧な説明を求める静岡県と工事を急ぐJR東海の姿勢から違いが明確となる一方、二〇二七年工事完成が間に合わない原因が、あたかも静岡県にあるかのような誤解が全国に発信され静岡問題とまで称されたことは静岡県民として複雑な思いを抱いています。
 水問題は関係流域住民にとって生活に密着した重要案件で、仮に問題が起こったら補償すると言われても一旦破壊された自然は戻すことができず仮では済まされない話であり、こうした発言がなされたことには驚いています。水問題については国の有識者会議で議論されることになっておりますが、その後二回行われた会議の内容を伺っても国の有識者会議の議論の方向性と県の認識が違い過ぎていると言わざるを得ません。
 これまで静岡県とJR東海は対話を進めてきましたが、昨年九月十二日、十三日に専門部会合同会議を国土交通省立会いの下、科学的な根拠に基づき進められ残る疑問については四十七項目の引き続き対話を要する事項として静岡県からJR東海に提出されています。この点が解決されなくては静岡県としての合意はあり得ず、丁寧な対話で解決していく姿勢を明確に示していく必要があると考えます。
 そこで、まずこの四十七項目の事項に対しJR東海からの回答はどのように出されてきているのか伺います。また県はこの回答についてどのように考え、今後どのように進めていくつもりなのか伺います。
 次に、県営住宅の連帯保証人について伺います。
 住宅セーフティーネットの中核として機能している県営住宅は今後も誰もが安心して暮らせる住宅であること、必要とする人にスムーズに提供できる住宅であることが重要なことは言うまでもありません。またコロナ禍において解雇や雇い止めなどにより生活困窮者が増えることが予想されることを踏まえると、住宅セーフティーネットをさらに強化していく必要があると考えます。
 今後、さらなる高齢化の進展により身寄りのない単身高齢者等が確実に増えていくと、入居に際して連帯保証人を求めることが一層困難となることが想定されます。既に入居している方でも、名義人の死亡などにより入居名義を引き継ぐ場合に連帯保証人を確保することが大変困難であるという御相談が寄せられています。また同居していたお子さんが六十歳未満だと承継の承認を得られず退去しなければならないといった入居承継承認に関する御相談もあり、この点も今後改善が必要と考えます。
 平成三十年三月、国土交通省は全国の自治体に保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことが必要であり、保証人の確保を公営住宅への入居に際しての前提とすることから転換すべきであると考えると通知しています。本年二月には日本弁護士連合会から、公営住宅に入居を希望する際に連帯保証人、保証人を求めている地方公共団体は関連する条例を改正し連帯保証人、保証人を不要とするべきであるという趣旨の意見書が提出されています。
 我が会派は、令和元年十二月定例会の代表質問で県営住宅の連帯保証人の要件をなくすことについて取り上げました。県は、連帯保証人がいないことを理由に入居できない事態を生じさせないため、連帯保証人の確保が難しい方に対して家賃債務保証業者等の活用を検討すると答弁されました。具体的にどのような取組を進めているのか伺います。
 次に、清水港における次世代型エネルギーの推進と地域づくりについて伺います。
 本年七月十六日に県はENEOS株式会社と静岡市清水区袖師地区を中心とした次世代型エネルギーの推進と地域づくりについての基本合意書を締結しました。この基本合意書は県とENEOSが相互に連携してENEOSの所有する清水製油所跡地を中心に次世代型エネルギー供給拠点並びにネットワークを構築するとともに、魅力的かつ持続可能な地域づくりに貢献することを目的としたものであると承知しています。
 また、昨年夏に県が策定した清水港長期構想では、このエリアはエネルギー産業の次世代的発展に供されるエリアとして位置づけられており、基本合意書の締結により長期構想の実現に加え低炭素・循環型社会への移行の加速化が図られることに大きな期待を寄せています。
 一方で、袖師地区はJR清水駅に隣接し富士山や駿河湾を望む清水の玄関口です。日本三大美港の一つである清水港は地球深部探査船「ちきゅう」の母港でもあり、現在も停泊中で勇壮な姿を富士山とともに眺めることができます。
 今回県とENEOSが連携して、この袖師地区を中心とした地域づくりを進めると合意されたことは地域の人々にとって喜ばしいことであり、清水の今後にとっても非常に大きな希望が広がる話であります。具現化に向けては当然地元静岡市、民間企業や地域住民との連携も重要です。
 そこで、まず県はどのようなことを期待してこの基本合意書の締結に至ったのかを伺います。また所在地である静岡市との連携はどのように行うのか。さらには地域の人々の声をどのように取り入れ、今後清水港における次世代エネルギーの推進と地域づくりを進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、消防力の強化について伺います。
 県内でも工場火災や住宅火災が後を絶たず、貴重な人命や財産を守るために日夜消防活動に従事されている皆様に改めて感謝申し上げます。七月に吉田町で発生した倉庫火災では、消防職員三名と警察官一名の貴い命が失われるという痛ましい事態となりました。八月二十七日の静岡市消防局消防葬に参列させていただき、殉職された消防隊員の崇高な消防精神、正義感、使命感で職務を全うされていたお姿が浮かばれ心からの敬意と言葉にならない無念さが込み上げました。改めてお亡くなりになられた四名の方々の御冥福をお祈り申し上げます。
 火災の現場ではどのようなことが起こるか予想できないことも多く、特に倉庫などでは取り扱っている薬品や製品の内容、建物の構造、防火設備などが異なり消火に対して細心の注意が必要な点が数多くあります。消防庁や日本火災学会などでは最新の火災に対する研究が行われ、消防職員に対する研修などで現場の消防力の向上に生かされていると承知していますが、建築物の高層化、複雑化や建物内にある製品によって火災の発生状況は多様化しております。
 県は今回の事態を重く受け止めて教訓として、二度と貴い命が失われる悲惨な事故を起こさないよう各消防機関と連携して対応していくべきと考えます。貴い命を守るためにも最新の火災発生のメカニズムや消火技術等に関する最新の情報を生かした技術習得を行い、消防力の強化に取り組む必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、公文書管理・保存・公開のための体制強化について伺います。
 近年、公文書の管理を巡っては国における決裁文書の改ざん問題など公文書管理の在り方や情報公開に関わる不透明な取扱いが続いており、行政への信頼が損なわれるようなことが起きています。このような状況を受け国では、本年度行政機関が作成する公文書、資料について歴史的な価値などを勘案し保存する必要があるかどうかを判断するための専門家の確保・育成を進めるため、公文書を管理する専門家――アーキビストの公的な認証制度を創設しました。
 本県では、国における公文書の改ざん問題の発覚などを契機に平成三十年度から公文書管理の在り方の検討を行い公文書管理制度の見直しなどに着手しており、平成三十一年二月議会での我が会派の代表質問に対する答弁では、公文書を適切に保存管理していくためには専門的な知識を持った職員の養成も必要との認識が示されました。不適切な公文書の管理は行政への信頼を著しく失墜させることにつながるものであることから、公文書を県民共有の財産として位置づけ適切な管理と情報公開を通じて県民への説明責任を果たすとともに、後世に伝えていくことが県の責務であると考えます。
 また、公文書を適切に管理していくためには現在検討を進めている制度の見直しや環境面の整備とともに、専門的な知識を持った職員の養成などの体制強化も重要であると考えます。
 そこで、本県における公文書管理・保存・公開の体制についてどのように考え、今後体制強化にどのように取り組んでいくのか、県の見解を伺います。
 次に、静岡県文化プログラムについて伺います。
 静岡県文化プログラムは、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向けて年々プログラムを充実させ、昨年九月にはラグビーワールドカップの開催に合わせて伝統芸能や大茶会などのプログラムを展開するなど盛り上げが図られてきました。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは来年夏に延期となり、文化プログラムについても来年に向けてこれまでの集大成として魅力ある事業を展開されることを期待しています。
 文化プログラムの中でも地域住民が主体となり実施するプログラムでは、県内各地で多彩な取組が生まれ地域に根づき発展しつつあると感じています。
 静岡市、富士市、富士宮市の有志が二〇一四年から二年に一度開催している富士の山ビエンナーレは今年が第四回目で、「私たちの愛するこの街が止まらないように、」をテーマに来月十月二十四日からの一か月間開催されます。この芸術祭でアーティストの作品を展示する会場の一つとなっている私の地元清水区の旧五十嵐邸は国の有形文化財にも登録されている歴史的構造物ですが、富士の山ビエンナーレの会場となったことでこのようにすばらしい施設があることを初めて知ったという人も多いと聞いています。
 地域住民による文化プログラムは、アーティストの作品を展示するだけではなく作品を通じて地域の魅力そのものを訪れる人に伝えるとともに、地域住民がその魅力を再認識するきっかけとなる活動であり今後も支援を継続していくべきと考えます。
 県は、文化プログラムのレガシーとして恒久的な組織である静岡版アーツカウンシルを来年一月を目途に静岡県文化財団内に設置すると承知しています。
 そこで、これまでの文化プログラムの成果についてどう評価し文化活動を支える仕組みをどのように構築していくのか伺います。
 次に、ゲーム依存症対策について伺います。
 インターネットを通じたオンラインゲームなどのやり過ぎにより健康や生活に支障を来すゲーム依存症。WHOが昨年五月ゲーム障害を新たな疾病として認識したことで日本国内でも関心が急速に高まりました。香川県では今年四月にネット・ゲーム依存症対策条例を施行し一日のコンピューターゲームの利用時間などを規制していますが、この条例に対して廃止や一部項目の削除を求める声明が出ていることからも、ゲーム依存症の問題は単純ではなく根が深いと言えます。
 そもそも何時間ゲームをしたら依存症だという定義があるわけではありません。高校生で棋士の藤井聡太二冠のように将棋のゲームソフトで何万回と対局を重ね、高みを目指している方もいます。日常人と接することが苦手で控え目でもオンラインによって友達とチームを組んで対戦し、ゲームの中で勝利や成果を上げることで仲間から一目置かれることによって自分のアイデンティティーを確立する人もいます。
 しかし、様々な依存症は当事者本人が自覚しづらい傾向にあります。ゲーム依存症も同様でゲームのやり過ぎにより仕事や学業よりゲームを優先し不登校やひきこもりになったり、ゲーム内で多額の課金をし、それに対して注意をする家族に暴言や暴力を振るうようになってしまうと家族だけでは解決できなくなります。ゲーム依存症の当事者を抱える家族は治療法が確立されておらず対応できる医療機関も少ないためどこに相談したらよいか分からない状態にあります。
 そこで、当事者と家族に対する相談支援について、県の取組状況と今後の対応を伺います。
 次に、女性活躍促進を踏まえた事業承継への支援について伺います。
 中小企業の事業承継の課題はこれまで継続して議会で取り上げてまいりましたが、コロナ禍において中小企業は一段と厳しい経営環境に追い込まれており、さらに深刻さは増しています。後継者不在による廃業に加え感染収束の見通しが立たない中、事業の計画を立てることが難しくこれ以上の業績悪化を招く前に廃業を選択するという動きが広がっています。こうした中、本県経済を支えている中小企業の後継者不在問題の解決に今後も全力で取り組むべきです。
 親族内承継では息子が継がないから後継者がいない、これは少し前までは当たり前のことでしたが、娘さんが会社を継ぐというケースが徐々に増えてきました。しかしながら民間調査会社のデータによりますと二〇二〇年四月末における女性社長の割合は全国で八・〇%、静岡県は六・五%でこれはなんと全国第四十二位です。
 本年四月、次世代経営者を応援したいという志の下、県内の女性経営者で構成される静岡県女性経営者団体A・NE・GOが設立されたということで、先日代表の株式会社山崎製作所、山崎かおり社長からお話を伺ってまいりました。
 事業承継を模索する女性や継がせたいと考えている経営者の相談に乗ったり、経営していく上での様々な課題や悩みを聞いたりと、前向きに取り組める女性を増やしていこうという思いで活動されています。会社を継ぎたい、起業したいという志を抱いたときに同じ悩みを共有して課題を解決できるきっかけになる、このような場所が必要ではないでしょうか。事業承継支援として跡取り娘を後継者問題解決の切り札に、こうした女性経営者団体との連携を深めていくことも重要と考えます。
 近年、女性活躍推進法や一億総活躍社会の実現に向け女性の活躍推進が重要施策の柱となるなど女性の社会進出が求められ、中小企業における後継者難対策としても新たな目線や発想で新規事業や改革を実践する女性社長がクローズアップされ始めています。
 そこで、県として女性活躍促進を踏まえた事業承継支援に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、企業局の水道事業の取組について伺います。
 企業局の水道事業は、昭和十六年の静清工業用水の給水を皮切りに現在までに七つの工業用水道事業と三つの水道用水供給事業を展開し、産業活動や県民生活を支える公共インフラとして常に良質な水を供給する使命を担っています。しかし近年人口減少や産業構造の変化などにより水需要が減少し、特に工業用水道事業については経営が苦境に陥っているとの報道も耳にしました。
 令和元年度の決算を見ますと、工業用水道事業については黒字を確保しているものの給水収益はこの十年間で一五%近くも減少し、直近では県内最大の工業用水である東駿河湾工業用水が二年連続で赤字を計上するなど厳しい経営状況となっています。また水道用水供給事業については今のところ収益は安定しているものの使用水量は十年前と比べて約七%減少しており、将来的な収益悪化が懸念されます。さらには高度経済成長期に整備した設備は老朽化が進んでおり、設備の大規模な更新が間近に迫っていることから、今後両事業ともに経費の大幅な増加が見込まれています。
 企業局では、平成二十八年度から二十九年度に企業局経営戦略や水道施設更新マスタープランを策定しています。老朽化した設備の改築費用が大きくかさむことや産業構造の変化など現状の非常に厳しい状況下において、計画どおりに健全な経営の確保と着実な設備の更新を進めるためにさらなる経費削減と収益確保が必要であると考えますが、企業局は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、人権教育について伺います。
 新型コロナウイルス感染症という未知なるウイルスとの戦いはいつ収束するか分からず誰もが不安に駆られています。いつ自分が感染するかもしれないという不安、自粛や行動制限によりストレスを抱える人も多く、その矛先が感染者に向きインターネットやSNS上で心ない発言や差別的な書き込みが広がっていることを非常に深刻な事態と捉えています。
 感染者、濃厚接触者とその御家族、対策や治療に当たってくださっている医療従事者とその御家族の方々などに対する偏見や差別、いじめなどは断じて許されるものではありません。情報があふれる社会の中で報道の影響や不確かな情報により子供たちが根拠なく偏見や差別的な発言、いじめなどの行動を取ることも心配されます。
 八月二十五日、新型コロナウイルス感染症に関する差別、偏見の防止に向けて文部科学大臣がメッセージを発表しました。本県においても八月二十八日に木苗教育長が児童生徒に向けてメッセージを発信し、新型コロナウイルスをSTOP!そして誹謗中傷もSTOP!と呼びかけておられます。「新型コロナウイルスは人類にとって大きな試練であり人間性を問われるテストとも言える」これは人権教育啓発推進センター専務理事の田南氏の言葉ですが、とても胸に響きました。
 これからのウイズコロナ社会においては子供たちの感性や人権意識を育む人権教育にこれまで以上に力を入れていくべきと考えますが、今後人権教育をどのように推進していくのか教育長に伺います。
 最後に、直轄警察犬の導入について伺います。
 県警察の皆様には、日夜昼夜を分かたず治安維持、県民の命、生活を守るために職務に当たってくださり心から感謝いたします。
 警察活動に全国では約一千三百頭の警察犬が活躍しています。そのうち九割が民間で飼育や訓練が行われている嘱託警察犬です。あとの一割が警察が所有する警察犬で直轄警察犬と呼ばれています。本県には現在直轄警察犬はいません。四十二頭の嘱託警察犬が犯罪捜査や行方不明者の捜査などで活躍しています。
 私は、昨年十二月に菊川市内の警察犬訓練所で二頭の警察犬、結夏とウィルの訓練を視察させていただきました。私自身も行方不明者役となって訓練に参加。暗いところに閉じ込められているときの不安と恐怖感、だんだんと近づいてくる鼻息、探し当ててもらってワンワンとほえる声が聞こえたときの安堵感を今でも鮮明に覚えています。
 命を守るために懸命にけなげに働く警察犬の活動を大変頼もしく感じたのと同時に、今後も事件や事案に積極的かつ効果的に警察犬を活用していくためには直轄警察犬も導入して嘱託警察犬と共に運用する体制が必要と実感しました。
 しかしながら、直轄警察犬導入に向けては新しく犬舎や訓練施設などを建設する必要があり、経費の問題や周辺の環境など様々な課題があります。訓練士――ハンドラーの養成も重要です。簡単に実現できるものではないことも承知しています。
 我が会派では平成三十年の大阪府警警察犬訓練センターの視察結果を踏まえ、その後の十二月定例会の代表質問で取り上げ予算要望でも継続して導入に向けての検討を求めてまいりました。新しく静岡県警察本部長に就任された山本和毅本部長は、前職が大阪府警察副本部長であられましたので直轄警察犬の活躍についてはよく御存じではないでしょうか。
 これからは静岡県のことを様々掌握されていかれると思いますが、その一つに本県が人と動物が共生する社会を積極的に進めている県であることをぜひ御認識いただけたらありがたく思います。その意味においても静岡県のさらなる治安向上に向け直轄警察犬を導入するべきと考えますが、警察本部長の御所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 盛月議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 ウイズコロナ、アフターコロナ時代における新ビジョンの推進につきましては、静岡県の新ビジョン富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりにおきまして、誰もが努力すれば人生の夢を実現し幸せを実感できる地域の実現を目指しております。新ビジョンに掲げる八つの政策ごとの目標達成に向けてPDCAサイクルにより常に施策の改善や新たな展開を図っております。
 これまで外部評価となる総合計画審議会や県議会などの場におきまして御議論を賜り、全体として着実に進捗しているという評価を頂いております。しかしいまだ収束の見通せない新型コロナウイルス感染症の影響は広範囲に及んでおり、計画全体の進捗にとって予断を許さない状況であります。
 一方、議員御指摘のように新型コロナウイルス感染症がもたらした社会、経済、人々の価値観の大きな変革は東京一極集中から分散型社会への転機に向けた好機と捉えることができますし好機と捉えております。静岡県としてウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据え新たな価値観を前提とした社会を築いていく覚悟でございます。
 来年度は新ビジョンの基本計画が最終年度を迎えます。このため今年度の評価におきましては、これまでの評価と分析に基づき強化を図る施策を検討することに加え、新型コロナウイルス感染症や社会経済の変化を踏まえた対応につきまして現状分析を徹底的に行い今後の方向性を明示いたします。その上で将来を見据えた重点事項を明確にいたしまして来年度以降の施策に反映してまいります。
 私は知事就任以来、ポスト東京時代の新しい日本づくりの先導役を本県が担い、多彩なライフスタイルに根差した地方創生のモデルとなるように地域づくりを進めてまいりました。地方回帰のフロントランナーになりますように帰りなんいざふるさとふじのくにへをキャッチフレーズにいたしまして、ウイズコロナ、アフターコロナ時代においても持続可能な地域社会の実現に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、観光産業への支援についてであります。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、本年二月から六月までの本県の延べ宿泊者数は前年同期の九百三十八万人から対前年比で約四割となる四百五万人へと大きく落ち込みました。宿泊施設をはじめ観光産業を支える多くの事業者はかつてない厳しい状況の下に置かれています。観光は平和と安定の象徴です。観光産業が復活することこそ新型コロナウイルス感染症を世界が克服し安全で豊かな暮らしを取り戻すあかしとなると考えております。
 世界に誇る多くの観光資源を持つ本県でございますから、その先頭に立って観光産業の復活への支援を進めます。観光産業の復活にはまず各事業者が感染防止対策を確実に実践することが重要です。そして来訪者が安心して旅行を楽しめる環境づくりが必要であります。その上で誘客の対象地域として、まずは安心できる県内、続いて近隣県というように広げていきながら県産材の御購入を促し、また県が提供するサービス産業を応援するという形でのフジノミクスと名づけた経済政策によりまして地域経済の活性化を図り、さらに感染症状況を踏まえながら静岡県、山梨県を含めたふじのくに、それから長野県、新潟県を含めた山の洲(くに)、続いて全国、さらに海外へと順次拡大してまいりまして県内の観光事業者に広くその経済効果を波及させていくことが重要です。
 このため、県では感染防止対策指針の策定や研修動画の配信、各地域や団体が実施する感染防止対策への支援を実施し安心して旅行できる環境を順次整えてまいりました。これを機に観光需要の早期回復を図るため、十月からは全国の皆様を対象とした宿泊促進キャンペーン「今こそ!しずおか!!元気旅!!!」を展開いたします。
 さらに、ウイズコロナ時代におきまして旅行者の価値観も変化しておりますことから、本県の特徴を生かしたキャンプあるいはサイクリングなどをテーマに開放感のある旅行商品の企画、販売の促進や決済サービスなどデジタル技術の導入の促進、観光地のワーケーションモデル事業の実施等々新たな旅行スタイルを創出し県内外からの観光需要を確実に取り込んでまいります。
 県といたしましては、感染防止対策と社会経済活動の両立による好循環を生み出し、旅行者と地域の皆様が互いに心の豊かさとそして経済的豊かさを実感できる観光地域づくりを進めることで、本県観光産業の早期回復と持続的発展を実現してまいる所存であります。
 次に、清水港における次世代型エネルギーの推進と地域づくりについてであります。
 静岡市清水区袖師地区の清水製油所跡地は、JR清水駅に隣接した一等地でありながら長い間遊休地になっております。昨年八月に策定した清水港長期構想におきましてもエリアとして次世代エネルギー産業の拠点という方向性はお示しいたしましたが、具体的な施策をお示しすることはできませんでした。
 こうした中、土地所有者であるENEOS株式会社から次世代型エネルギーの推進と地域づくりに関する申出を頂きまして、本県が進めるエネルギーの地産地消や市民と企業と行政が協働して取り組むみなとまちづくりと方向性が一致しておりますことから基本合意書の締結に至ったということでございます。今後構築される次世代型エネルギーの供給拠点には、例えば最新の蓄電池技術を活用して災害時の電力供給によるレジリエンス――回復力の向上や電気自動車によるモビリティーサービスの提供などの新たな価値が創出されることを期待しております。
 また、当地区におきましてはかねてより地域住民の皆様から新しいサッカースタジアム建設への強い要望があることをよく承知しておりまして、私はこの要望にというかこのプロジェクトに賛成をしております。
 先般合意に至りました後ENEOSのトップは、この点について理解を示していただいたことはありがたいことでございました。今回の合意によりまして土地所有者の御理解の下で夢のある将来像を議論していくことが可能となったわけでございます。今後は県、市、地元企業六社による清水みなとまちづくり公民連携協議会にENEOS株式会社さんにも御参画頂きまして、市民参加のワークショップ等を通じ地域住民の皆様の御意見を伺いながら具体的な土地利用や施設などにつきまして検討を進めます。現在当地区へは駿河湾フェリーのターミナルを移転する計画を進めております。
 県といたしましては、霊峰富士を仰ぎ駿河湾を望む清水港の中でも、この地域はJR清水駅の目の前でございますしフェリーとも結節することになり、まちづくりにおいて極めて高い可能性を持っております。そこで、この地域におきまして魅力的で持続可能な地域づくりを力強く推進できるように官民一体となって取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) リニア中央新幹線についてお答えをいたします。
 県の専門部会での対話を踏まえ昨年九月三十日付で県がJR東海に送付した四十七項目にわたる引き続き対話を要する事項につきましては、県から正式な回答を求めました。これに対して昨年十月から十二月の三回に分けて県への正式な回答に先立って、JR東海の考え方を示した見解の提出がありました。しかしその内容は直ちに専門部会を開けるレベルにはなかったことから見解に対する県の意見を提出し、改めて本年一月から二月に二回に分け再見解の提出がありました。
 しかしながら、この見解、再見解では、重金属を含む発生土の処分方法や南アルプスの特殊性を考慮した放流水の水質管理基準が示されていないなど専門部会での指摘に応えていない内容でした。
 県といたしましてはJR東海に速やかな回答を促しておりますが、いまだに正式な回答の提出はありません。なおこの見解、再見解及び県の意見は全て公表するとともに、県のホームページにも掲載をしておりますので、どなたでも御覧頂けます。
 四月に入りまして国土交通省が設置した有識者会議での議論が開始されました。有識者会議は、専門部会における対話が促進されるよう国土交通省がJR東海を指導する目的で設置されたものです。四月二十七日が第一回、八月二十五日が第五回と、これまでに五回の会議が開催されました。いまだ四十七項目のうちの全量の戻し方や中下流域の地下水への影響に関する六項目を議論している段階であり、この六項目についても現時点では結論がまとまる状況ではありません。
 第四回の有識者会議におきまして、JR東海から南アルプス国立公園の区域を含むトンネルルート周辺では地下水位が三百メートル以上低下する可能性があるとの予測値が初めて示されました。これは、環境影響評価書の中でも示されておらず県の専門部会でも全く説明のなかった内容です。JR東海が精度が高いと言い続けてきた水収支解析につきましても、解析目的や計算条件の設定についての課題が明らかになるなど議論が進むにつれ新たな課題が次々と出てきております。
 一方で、様々なデータが開示され議論を深める資料も整いつつあります。今後県におきましては、状況に応じて専門部会委員の皆様や水利用関係者の皆様との意見交換会を開催し有識者会議の内容について認識を共有いたします。県民の皆様へ有識者会議の検討状況などを分かりやすく情報発信をしてまいります。
 また、生物多様性につきましては国の有識者会議においては議論は始まっておりません。県の専門部会においては引き続きJR東海に対し生物多様性への影響等に関する対話を要する事項について資料の提出を促し、有識者会議の議論に資するよう専門部会の開催に向けJR東海に要請してまいります。
 県といたしましては、利水者や地域住民の皆様が将来に不安を残すことのないよう大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全に向け全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、総合防災アプリ「静岡県防災」の今後の活用についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症を踏まえた安全な避難所運営を行うため、県防災アプリに受付時と避難生活中の接触リスクを軽減する機能を追加し、今年度中の運用に向け取り組んでおります。具体的には、避難所での受付時に避難者の氏名や体調などの情報を簡易に登録できる機能を追加いたします。あわせて避難生活中に運営者側からの食事や物資配給等に関する情報を一斉配信により共有できるほか、避難者の健康状態の確認等を双方向通信により運営者側と共有できる機能も追加いたします。
 住民の方々への普及啓発につきましては、地域で行う防災訓練におきまして参加者の皆様にアプリをダウンロードしていただき実際に活用していただくこととしております。また高齢者を含む多くの皆様にお使い頂けるよう、県のホームページで操作を分かりやすく紹介する動画を御覧頂くなど操作の習熟を図ってまいります。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症を踏まえた安全な避難所運営を行うことができるよう県防災アプリの機能の充実と普及を図り新しい生活様式に対応した避難所運営を支援してまいります。
 次に、消防力の強化についてであります。
 吉田町の倉庫火災では消防隊員三名及び警察官一名が殉職されたことから、県といたしましては重大な事態として重く受け止めております。県内の消防職員等の育成を担う消防学校ではこれまでも安全管理教育を重視してまいりましたが、今回の教訓を踏まえ初任科教育をはじめ各層の教育課程におきまして安全管理教育の充実を図ってまいります。
 さらに、今回の倉庫火災につきましては現在静岡市の事故調査委員会におきまして検証が進められておりますが、その検証結果を踏まえ火災のメカニズムや倉庫火災についての最新の知見、事例等を学ぶため専門研修を開催することとしております。また近年の火災件数の減少に伴い消防隊員が実火災を経験する機会も少なくなっており、現場での危険予知能力の向上が課題とされております。このため消防学校では関係機関の協力を得て火災の状況を体験できる施設を利用した実践的な訓練の実施も計画しております。
 県といたしましては、今回の倉庫火災の教訓を生かし消防職員の安全管理能力の向上と火災に関する最新の専門知識や技能の習得を図り本県の消防力の強化に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
       (健康福祉部長 藤原 学君登壇)
○健康福祉部長(藤原 学君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、今後の医療提供体制についてお答えいたします。
 本県の新型コロナウイルス新規感染者数から見ますと、現在医療提供体制は逼迫しているという状況にはございませんが、今後のインフルエンザの流行を見据え地域における医療機関の役割分担を踏まえた万全の体制整備が必要であります。
 県では、県民の皆様に対しまして新しい生活様式の徹底とインフルエンザの予防接種を勧奨いたしますとともに、国の方針を踏まえ発熱等の症状のある方が身近な医療機関で速やかに受診できるよう、関係団体等と連携し新型コロナウイルス感染症の検査を行うことができる県内五百か所以上の病院・診療所を中心として地域ごとに必要な診療、検査を提供する体制を整備してまいります。
 中等症以上の患者などに対して入院治療を行う病床につきましては、専用病棟で患者を受け入れる重点医療機関を指定し必要数の確保を進めております。あわせて重症化のおそれがないと判断された軽症者や無症状者につきましては、県が確保いたしました宿泊療養施設を活用することで医療機関の負担軽減と病床の効率的な運用につなげてまいります。
 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症への対応と通常の医療との両立を念頭に県民の皆様が安心して医療を受けられるよう本県の実情に合った医療提供体制を整備してまいります。
 次に、ゲーム依存症対策についてであります。
 ゲーム依存症は健康への支障だけでなく日常生活や対人関係に深刻な影響を及ぼすことから、正しい理解と本人や御家族に対する充実した支援が必要であると認識しております。このため昨年度は県内の中学生、高校生に対しましてゲーム依存症に関する基本的な知識やチェックリストを記載したリーフレットを配付いたしました。本年度は県民の皆様を対象としたワークショップを県内八か所で開催し病気の特徴や具体的な影響などを分かりやすく説明し、ゲーム依存症の正しい知識の普及啓発に取り組んでおります。
 また、県精神保健福祉センターにおきましてゲーム依存症に関する相談に応じており、治療が必要な場合には専門の医療機関を紹介しているほか、県が実施する回復支援プログラムにおきまして専門家により本人や御家族に対しましてゲームとの付き合い方やゲーム依存症の対応について助言するなど相談から医療まで切れ目のない支援をしております。
 国では、ゲーム依存症に適切に対応できる人材を育成するための相談従事者研修を実施するとともに相談に対応する職員向けのマニュアルを作成する予定でありますので、本県におきましては国の研修に職員を派遣し本人や御家族からの相談対応の質の向上に努めてまいります。さらに本県独自の取組といたしまして、医療従事者に対する専門的な研修を行うことにより地域における医学的な支援体制を充実してまいります。
 県といたしましては、ゲームへの依存に対する不安を抱える本人や御家族への支援を一層充実し県内の教育機関、医療機関とも連携してゲーム依存症対策を推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、雇用人材のマッチング支援についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によりまして厳しい雇用情勢が続く中、一時的に人材過剰となっている企業がある一方で、巣籠もり需要などによりまして人材不足の企業もございます。こうした企業間における雇用シェア、異業種間のマッチングによる雇用維持の取組は失業者の増加を抑制するために極めて重要であります。
 このため、県では在籍型出向に重点的に取り組む公益財団法人産業雇用安定センターと連携し、こうした人材過剰の企業と人材不足に悩む企業とを結びつける企業間のマッチング促進に取り組んでおります。具体的には、県と商工団体が協力し人材が過剰となっている企業と人材が不足している企業双方のニーズを把握する調査を実施しその結果を産業雇用安定センターにつなげております。これまでに産業雇用安定センターには七十社を超える企業からマッチング希望が寄せられ、同センターが独自に収集したニーズも加えまして八月末までに九十一人のマッチングにつながり着実に成果が上がりつつあります。
 新型コロナウイルスの感染拡大によりまして経済活動の先行きが見通せない中、雇用環境も引き続き楽観を許さない厳しい局面が続くものと考えられます。
 このため、県といたしましては産業雇用安定センターや商工団体などと密接に連携し雇用の維持が難しい企業と人材不足の企業を結びつけていく人材のマッチング支援に一層注力し雇用の維持に全力で取り組んでまいります。
 次に、女性活躍促進を踏まえた事業承継への支援についてであります。
 新型コロナウイルスの感染拡大によりまして先行きの不透明感が広がる中、廃業を検討する経営者も増えており、事業承継の問題は地域経済の持続的な発展にとってこれまで以上に重要な課題となりつつあります。
 議員御指摘のとおり、近年女性が会社を継ぐケースが増えてまいりました。しかし事業を承継した女性経営者は経営や労務管理上の様々な悩みや不安を抱えております。
 県は、本年一月県経営者協会主催の新産業創出懇談会におきまして県内中小企業の女性経営者の皆様と意見交換を行いました。その中で参加者からは、男性技術者中心の製造業の職場を女性が引き継ぐことに不安がある、女性も十年以上の計画を立て後継者としてしっかりと教育していくべきといった意見が聞かれました。
 県では、女性が事業を承継する場合にこうした先輩女性経営者の経験が一歩を踏み出す勇気を与えられるものと考え、女性の後継者支援を目的とした女性経営者団体A・NE・GO――アシスト・ネクスト・ゴーの略称でございまして――A・NE・GOと連携した事業承継支援に取り組んでおります。
 具体的には、商工団体等が開催する事業承継の個別相談会におきまして、相談者が女性の場合にはA・NE・GOのメンバーに助言を頂くこととしております。また円滑な事業承継を進めるため、商工団体等が実施いたします後継者養成塾などに講師としての参加を依頼しております。加えて県では現在具体的な事業承継の時期や手順を定めた事業承継計画の策定を支援しているところでありますが、この中で女性の後継者教育につきましても計画策定の視点に加え、女性が経営の第一線でその能力を十分に発揮し大いに活躍できるよう支援してまいります。
 県といたしましては、こうした取組を通じまして女性が安心して事業承継できる環境を整え多くの女性経営者が誕生し活躍できる社会となるよう力を注いでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長澤教育部長。
       (教育部長 長澤由哉君登壇)
○教育部長(長澤由哉君) 新型コロナウイルス感染症対策についてのうち、コロナ禍における高校生の就職支援についてお答えいたします。
 県内の高校生の求人状況は、議員御指摘のとおり新型コロナウイルス感染症の影響により求人数が減少しており、宿泊などのサービス業のほか近年五割を超える生徒の就職先となっている製造業からの求人も前年と比べて大きく減少しております。また従業員千人以上の事業所からの求人が前年同期と比べて三割以上減少するなど昨年度の状況と大きく異なっております。
 さらに、採用選考の時期が従来の九月から十月に急遽変更されたことやオンラインによる企業見学など例年と異なる状況に戸惑う生徒も多く就職活動に大きな影響が出ております。今後就職活動の長期化が見込まれることや希望する就職先を生徒自身で見つけることが難しい状況も考えられますことから、生徒との進路相談をこれまで以上に丁寧に行うなどきめ細かな指導が必要であると考えております。
 現在県内東・中・西の各地区にキャリアコンサルタントなどの資格を有する就職コーディネーターを六人配置し、就業意識を醸成するためのセミナーの開催や面接指導などに取り組んでおります。今後さらに就職支援を強化するため就職コーディネーターを大幅に増員してまいります。進路担当教員と連携しながら生徒一人一人のニーズを詳細に聞き取り、それぞれの適性に応じたマッチング支援や企業開拓などをより充実させることとしており、そのための補正予算案を本議会にお諮りしているところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後の経済状況が見通せないコロナ禍の中、全ての生徒が希望を持って就職活動に臨み、それぞれの適性に合った職業に就くことができるよう労働局やハローワークともより一層連携し高校生の就職支援に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 市川敏之君登壇)
○くらし・環境部長(市川敏之君) 県営住宅における連帯保証人についてお答えいたします。
 県営住宅の連帯保証人には入居者への家賃の納付指導や滞納家賃の支払いなどの重要な役割をお願いしておりますが、連帯保証人を確保できないために入居できないといった事態が生じないようにしていくことも必要であります。連帯保証人の確保が困難な方が入居中の家賃債務等を保証し連帯保証人の役割を担う家賃債務保証業者を利用できるよう、これまで他県事例の調査、業者へのアンケート及びヒアリングを行い本県で実施する際の保証料、保証の範囲、保証業者の資格要件等を整理してまいりました。今月の十四日から十月五日までを期間として業者を募集しており、十一月中の制度運用を目指しております。
 現在でも、生活保護制度における住宅扶助の代理納付を受けている方、DV被害者、コロナ禍における離職退去者などが入居される際には連帯保証人を求めておりません。今回導入する保証制度の利用が困難な方につきましても、個別の事情に寄り添った対応をしてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、今後も経済的・社会的理由により住宅に困窮する県民の皆様が安心して暮らすことができるよう県営住宅を適切に管理運営し住宅のセーフティーネットの中核としての役割を果たすよう努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 杉山経営管理部長。
       (経営管理部長 杉山浩一君登壇)
○経営管理部長(杉山浩一君) 公文書管理・保存・公開のための体制強化についてお答えいたします。
 公文書を適正に管理し歴史的な価値のある公文書を保存し県民の皆様がいつでも利用できるようにすることは、県の重要な責務であると認識をしております。県では文書管理規則を定め適正な事務処理を行うことに努めてまいりました。現在公文書を県民共有の財産と位置づけること、公文書の管理状況の公表など県民の皆様の視点を意識した新たなルールを加えた条例案の策定を検討しているところでございます。
 公文書管理におきましては、職員一人一人の公文書管理への意識を高めルールを適切に運用することが大変重要でありますことから、研修などを通じその趣旨の理解促進を図っております。また歴史的な価値のある公文書の保存や利用につきましては、国立公文書館が実施する研修へ参加するなど専門的な知識を持つ職員の養成に努めております。
 今後は新しい制度づくりを引き続き進めていくとともに、職員がアーキビストの認証を受けることも視野に入れ認証に必要な調査研究能力を高める、そういった職場環境を整えるなど公文書の管理・保存・公開のための体制強化を図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 植田基靖君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 静岡県文化プログラムについてお答えいたします。
 平成二十九年度に開始した静岡県文化プログラムは、来年九月まで期間を延長し四年間の集大成として文化の祭典を盛り上げてまいります。このうちまちづくりや福祉など様々な分野の担い手が実施する地域密着プログラムは、四年間で延べ七十件を採択し支援を行ってまいりました。
 地域密着プログラムのうち御紹介のありました富士の山ビエンナーレでは、外部アーティストが地域に滞在し、その地域をテーマに作品を制作することで、地元の人々が地域の魅力を再発見し今まで関わりのなかった住民同士が協力して誘客に取り組むなど地域に新たな活力を生み出しております。
 また、障害福祉施設に滞在する体験ツアー、中学生の課外活動、空き店舗の活用など従来は文化芸術と関わりの薄かった分野に新たな側面から光を当てた多彩な取組が進められております。回数を重ねるごとに主催者の力も高まり参加者の増加や事業規模の拡大につながるなど地域主体の取組が着実に進展していると評価しております。いずれの取組も文化芸術分野の専門家であるプログラムコーディネーターによる支援が成果に寄与していると考えております。
 来年一月に設置予定のアーツカウンシルでは、引き続き専門家を配置して地域密着プログラムへの支援を実施してまいります。文化プログラム終了後につきましても、アーツカウンシルが主体となり地域の皆様が進める文化芸術活動はもとより、対象を産業や観光等の幅広い分野に拡大し専門家による人材の育成を進めるなど魅力豊かな本県の文化活動を支援してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 松下企業局長。
       (企業局長 松下育蔵君登壇)
○企業局長(松下育蔵君) 企業局の水道事業の取組についてお答えいたします。
 企業局では、かつてない危機感を持って今後の経営に臨み職員の覇気と使命感により現状を打破するあらゆる方策を検討し着実な経営改善に加えて抜本的改革、経営革新に取り組んでいるところであります。
 まず、抜本的改革として水道施設の更新費用を約二千八百億円削減するとしたマスタープランから、さらに一千億円の削減を目指してまいります。具体的には、管路の更新に当たり企業局初となる既設管と新設管とを併用し撤去費を抑制する最先端の手法を導入することで七百五十億円を削減するほか、収益減少の打開策として富士川、東駿河湾の二つの工業用水の統合再編など施設の効率的運用によりコストを削減してまいります。
 また、毎年度の着実な経営改善ではテーマごとに中堅、若手職員を生かすチームを編成し課題解決を図るタスクフォースの活動を推進しております。昨年度は電力契約手法の見直し、革新的な資金運用により二億円余の収支改善を実現したところであります。本年度以降は長期、包括契約による工事費の削減やこれまで困難であった浄水発生土処分費の課題を解決し年四億円の収支改善を行ってまいります。
 これらの取組を創意工夫・コスト削減事例集として発信したところ、新聞や各種メディア、官庁速報等に大きく掲載され県内外から関連施策の情報交換を求める強い反響がありました。
 企業局といたしましては、寄せられた御意見を基に施策をブラッシュアップさせるとともに職員の企画力、提案力も向上させ全国の英知を結集した経営革新へ進展できるよう全力で努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 人権教育についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い感染者や医療従事者、さらには県外からの来訪者等に対しまして心ない誹謗中傷がインターネットを通して広がるなど人権が脅かされる事例が多く見られ、学校におきましても関係児童生徒への影響が懸念されております。こうした行為は当事者を深く傷つけ平穏な社会生活を送る妨げになるなど克服すべき喫緊の課題となっております。
 県教育委員会では、人権教育の手引を全教員に配付し児童生徒への指導や保護者向け研修への活用、教員自身の人権意識の向上を図るとともに、外部有識者によるいじめ予防講座などにより学校現場における人権意識の啓発を進めております。またスクールカウンセラーの各学校への配置、SNSや電話相談窓口の周知など児童生徒に寄り添った支援に努めております。
 しかしながら、新型コロナウイルスに係る誹謗中傷が広がる状況下におきましては県教育委員会として強い意志を示す必要がありますことから、先ほど議員から御紹介頂きましたけれども、八月に私から全ての人が被害者にも加害者にもならない社会にしたいという願いを込めたメッセージを県のホームページで発信いたしました。さらにホームルームや授業の中で児童生徒一人一人に確実に呼びかけを行うよう各学校に周知したところであります。
 今後は、静岡県新型コロナウイルスに係るSTOP!誹謗中傷アクションを踏まえ引き続き人権教育の指導や相談体制の充実に努めてまいります。さらに人権に関する課題を一人一人がより身近に感じられるように人権教育の手引の改訂、人権教育の優れた指導例を共有する教職員向けオンライン研修など児童生徒の発達段階に合わせた人権意識の啓発に取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、人権に対する正しい理解の促進と人権感覚や自己肯定感の向上に向けて学校をはじめ家庭、地域、関係機関など社会総がかりで取り組み、全ての子供たちが健やかに成長し安心して生活できる環境づくりに積極的に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 山本警察本部長。
       (警察本部長 山本和毅君登壇)
○警察本部長(山本和毅君) 直轄警察犬の導入についてお答えをいたします。
 初めに、県警察におけます警察犬活用の現状についてでありますが、現在警察犬四十二頭とその訓練者二十七名を嘱託警察犬及び訓練者として嘱託し運用しております。警察犬の出動件数は令和元年中は二百五十一件、本年一月から八月末までは百四十八件でありまして、その八割以上は行方不明者の捜索に関連するものであります。
 被疑者の早期発見、検挙に結びついた事例や行方不明者の捜索において、持病を持ち安否の確認が急がれた高齢者を僅か三分で発見した事例も含まれておりまして、高齢化が進む社会において警察犬の運用はますます必要不可欠なものであると認識をしております。
 こうした警察犬の活用につきましては、近年認知症に起因する行方不明者などの捜索件数が増加をします一方で、訓練者の高齢化や警察犬頭数の減少傾向が見られております。
 前任地であります大阪府警察におきましては、議員御指摘のとおり直轄警察犬を導入しまして女児略取誘拐事件の解決や火災現場におけます御遺体の発見など犯罪捜査や行方不明者の捜索に大きな成果を上げているところであります。
 県警察といたしましては、このような警察犬の出動要請件数の増加や犯罪捜査への対応、東西に広いという本県の地理的条件などを考慮しますと、直轄警察犬を導入し既存の嘱託警察犬と併用運用することが望ましいと考えております。現在導入する場合の課題の抽出や既に導入している府県警察の視察、訓練施設の用地選定などの検討を進めているところであります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 盛月寿美君。
       (二十七番 盛月寿美君登壇)
○二十七番(盛月寿美君) それぞれ御答弁頂きありがとうございました。
 要望を二点と再質問を二点させていただきます。
 まず要望の一点目は、女性活躍の推進を踏まえた事業承継の件でありますが、地域の企業の情報を一番よく知る金融機関と県は連携協定を結んでおりますので、ぜひ今後女性経営者の養成につながる情報についてもA・NE・GOの皆さん、団体を中心とした方々にも情報が届くように連携を強化していただきたいというふうに思います。お願いします。
 それから、人権教育についてですけれども、ぜひもう既に取り組んでいる学校があると承知しておりますが、子供たちが自分たちで自分で考えて行動する、人権についてちゃんと意識を高めて行動するというカリキュラムというか、そういう内容の人権教育も、もう既にやっているところの学校の事例なども、ぜひ全県下に広げていただいて広げていくように要望させていただきます。お願いします。
 再質問の一点目は、県営住宅の連帯保証人についてであります。
 十月中に家賃債務保証業者の運用を始めるということで、これによりまして連帯保証人がいないことで入居できないという方をなくすということは大きく進むということで大変ありがたいと思っております。ただこれまで繰り返し訴えてまいりましたのは、それを運用したとしても、まずは連帯保証人を探さなければいけないんです。その連帯保証人を探すこと自体が大変だというそこの根本的な問題がありますので、ぜひ引き続きその新しく運用を始めていくことも進めていきながらになると思いますが、今後も引き続き連帯保証人をなくしていくということについても引き続き検討していただきたいと思いますが、その点についての御所見をお願いいたします。
 それから、清水港における次世代型エネルギーの推進と地域づくりについて、知事から御答弁を頂きありがとうございました。先ほど御答弁をお聞きしていまして私が思ったのは、地域づくりというところを非常に強調されて御答弁頂けたなと思っています。私も今回の合意書にこの次世代エネルギーの推進と地域づくりということが入ったことが非常に大きなポイントだなと思っております。
 その中でサッカースタジアムのことについても触れていただきまして、ENEOSのほうからも選択肢の一つというふうにおっしゃっていただけているということと、また先日の静岡市議会のほうでもそのことが議論されているということも承知をしております。また県知事も賛成しているという御答弁、先ほど頂きましたので、この点について静岡市、またENEOSさんと県と今のところどのような話合いがされているのか、何か具体的に決まっていることがあるのか、また今後の方向性というか相談をしていく予定などが決まっておりましたら、その点についてお聞きしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 県営住宅における連帯保証人についての再質問にお答えいたします。
 現状では連帯保証人の方につきましては入居されている方がもう家賃を滞納した場合に、もう既に一か月の状況からいろいろ一緒になって家賃滞納の解消の協力を求めていたり、あるいはそれが三か月以上となった場合は例えば土木事務所の呼出しとか面談への同席を求めたりとか現状では非常に重要な役割を担っていただいているというふうに考えております。
 今回導入する家賃保証制度、これにつきましてはそういうお知り合いの方で保証人になる方が見当たらないということは入居のときに御相談頂ければ、すぐその制度を御紹介するように運用してまいりますので当面はこの制度を導入しながら、さらに課題があるかどうか見極めて今後必要であれば保証人そのものについても検討してまいりたいとは考えております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 清水港に関する再質問にお答えいたします。
 七月十六日に協定をいたしました後は、コロナの影響もございましてじかに顔を合わせた協議会というのはまだ開催をしておりませんけれども、八月上旬にはENEOSそれから官民連携協議会、県、そして市と担当者の間でリモートによりまして打合せを開始しているところでございます。今後につきましては現在の所有されているENEOS様の今後の次世代エネルギー拠点としての利用計画、これが大きな影響を及ぼしてきますので、それを待つ必要はありますけれども、それと同時に今の段階から情報収集できるようなこと、意見交換できるようなこともあろうかと思いますので、公民連携協議会などを通じてできるところから進めていきたいというような予定でおります。以上でございます。
○議長(山田 誠君) 盛月寿美君。
       (二十七番 盛月寿美君登壇)
○二十七番(盛月寿美君) 御答弁ありがとうございました。
 県営住宅の連帯保証人については、今御答弁を聞きまして連帯保証人になられる方の負担も大きいなということを再確認をさせていただいたわけなんですけれども、こうした県がこういうことについて見直しを行っていくことが県内の市町の公営住宅のことの見直すことにもつながっていくので、ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
 家賃滞納の問題ですとか、あと不測の事態が起こったときなどの連帯保証人さんのことは全国共通の、どこの都道府県においても課題だと思っておりますが、そうした中で既に十八の県が連帯保証人を不要にしているということもございますので、ぜひ実態に即して、ぜひ引き続き検討を進めていただきたいということを要望させていただきます。
 それから、清水港に関しての再質問に対して御答弁ありがとうございました。コロナ禍の中でなかなか工夫が必要な部分が多いと思いますけれども、新次世代エネルギーの拠点ということと地域づくりということがしっかり融合して、また地域の皆様のお声も踏まえて魅力ある地域づくりに取り組んでいくために県としてしっかり後押ししていただくのと、私も一生懸命頑張りたいなと思っておりますので、どうか引き続きまたこの清水港を中心とした地域が発展していくようにお力添え頂くことを要望させていただきまして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(山田 誠君) これで盛月寿美君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。再開は十四時五十五分とします。

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