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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

和田 篤夫 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 総合計画の進捗状況について
2 平成二十九年度当初予算編成について               
3 地域外交の意義と県民生活への貢献について            
4 命を守る危機管理について                    
 (1) 防災対策に係る県のイニシアチブの強化             
 (2) 学校における津波対策を初めとした防災教育           
 (3) 大規模災害時におけるオスプレイの運用             
5 人口減少歯どめ対策について                   
6 中小企業に対する支援について                  
7 世界的スポーツイベントの開催に向けた取り組みについて      
8 富士山静岡空港への公共施設等運営権導入について         
9 がん患者の治療と就労の両立に向けた取り組みについて       
10 補助教材取扱いガイドラインの実効性について           
11 静岡県警察みらい創造計画について


○議長(鈴木洋佑君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十四番 和田篤夫君。
       (四十四番 和田篤夫君登壇 拍手)
○四十四番(和田篤夫君) 質問を始めます前に、一言御発言をお許し願いたいと思います。
 去る十一月二十六日、自民改革会議に所属しておられました大石哲司先生が御逝去をされました。大石先生は、旧榛原町長を四期、県議会議員を四期務められ、この間、県議会の副議長も歴任をされた、郷土を愛し、静岡県を愛し、そして富士山静岡空港の開港に心血を注がれた熱血漢あふれる偉大な政治家でございました。ここに改めて県議会の壇上から大石先生の御功績をたたえ、心から哀悼の意を表します。
 質問に移りたいと思います。私は自民改革会議を代表して当面する県の諸課題に対し、知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねをいたします。
 初めに、総合計画の進捗状況について伺います。
 総合計画後期アクションプランの計画期間も残すところ一年四カ月となり、いよいよふじのくにづくりの総仕上げの時期が目前に迫ってまいりました。後期アクションプランの評価につきましては、これまで毎年施策の進捗状況を県がみずから評価し、それを行政評価の専門家等で組織する評価部会において審議をするという手法で行われてまいりました。こうした評価結果の審議とともに、県議会や総合計画審議会、パブリックコメントなどの意見を踏まえ施策の見直しや重点化、新規施策の打ち出しなど翌年度の施策展開に向けた検討が行われ、それを盛り込んだものを“ふじのくに”づくり白書として公表していると承知をしております。
 さて、先月行われた総合計画審議会に提出された資料を見ますと、本年度の基本構想で示す項目の進捗状況は成果指標三十二項目のうち十八項目がC評価や基準値以下となっており、進捗におくれが見られております。具体的には富士山に関心のある人の割合は目標値一〇〇%に対して七二%、一人当たり県民所得は三百六十万円以上の目標に対して三百二十七万八千円、日ごろ生活を営んでいる範囲において都市機能が充足していると感じている人の割合は六〇%の目標に対して五〇%といったぐあいであり、これらの数値目標を残り一年間で達成できるとは到底思えません。平成二十八年度の県政世論調査でも約四〇%弱の人は暮らし向きが苦しくなっていると訴えております。
 知事は就任当時、一期四年で全部をやり切るという姿勢で臨まないと結局四年たってもできないという持論をお持ちでしたが、総合計画の基本構想に掲げる三十二の指標を見る限り四年どころか八年たっても達成できそうにない成果指標が実に半数もございます。知事はこうした事実をどう受けとめておられるのかお伺いをいたします。
 次に、平成二十九年度当初予算編成について伺います。
 先日、平成二十九年度当初予算の編成方針が示されました。あわせて公表されている財政収支を見ますと六百億円もの巨額の財源不足が見込まれていますことから、部局調整案の提出に当たっては義務的経費を除いた一部の経費について対前年度二〇%削減のシーリングを設定をしております。一方で本県の置かれた状況を見ますと、中小企業の人手不足や産業構造の転換も十分には進まないことなどから県内経済はいまだに力強い回復が感じられず、また人口流出もとまらない状況でございます。
 本県は今まさに、今後の施策、事業について県職員一人一人が必死になって知恵を絞り、その総力を結集して諸課題に立ち向かっていく必要があると感じております。そのような状況のもと、基本方針としてふじのくにづくりの総仕上げに必要不可欠な施策の推進とジャパニーズドリームの実現に向けた新たな施策の展開が掲げられております。
 そこで、まずお伺いをいたします。後期アクションプランの最終年度にふじのくにづくりの総仕上げは理解できるところですが、ジャパニーズドリームの実現に向けた新たな施策の展開とは一体どういうものなのでしょうか。
 知事が言われるジャパニーズドリームということについて私はよく理解ができません。県民の皆様も同様ではないでしょうか。非常に抽象的で、県の職員は果たしてこのジャパニーズドリームの実現という県の姿を理解しているのでしょうか。単に特徴あるネーミングを用いて目新しさを表現しているだけで、職員にイメージが共有されていないのではないかと私は心配をしておりますが、知事の所見を伺います。
 また、これらの経費についてはシーリングの対象外となっていると伺っております。これまで実施してきた県民の生活に直結した地に足のついた事業が見直される一方で、ジャパニーズドリームといったよくわからない概念に基づく事業が推し進められる。このようなことで現在の本県に真に必要な施策である経済対策、雇用対策等を着実に実施していくことができるのでしょうか。東京にオリンピック・パラリンピック開催が決定以来建築費用が高騰を続けている今、浜松の野球場建設や東静岡の文化力の拠点をも前倒しで進めようとしているのか、その姿勢を果たして県民は納得しているのでしょうか。私は六百億円もの財源不足が想定される中であっても、今後の静岡県の発展のためには地に足をつけた地道な施策、やらなくてはいけない施策にまずはしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
 そこで、平成二十九年度当初予算の編成に当たり、示された方針はどのように取り組んでいくのか、あわせて具体的にお伺いをいたします。
 次に、地域外交の意義と県民生活への貢献についてお伺いをいたします。
 知事は、平成二十一年の就任以来、従来の国際交流から、友好的互恵・互助を基本とする地域外交を県政の主要施策の一つに据え、平成二十三年度には地域外交局を設置、翌二十四年度には地域外交の展開先として六つの重点国・地域を定め、今年度から地域外交局を知事の直轄組織とするとともに、全庁的な総合調整を担う地域外交監が設置されるなど地域外交を推進する体制がさらに強化をされております。
 ちなみに、この間の知事の海外出張を紹介しますと、中国九回、韓国七回、台湾及びモンゴルはそれぞれ五回、アメリカ及び東南アジアがそれぞれ三回、その他の国・地域が三回の計三十五回であります。知事は地域外交を標榜しておりますけども、地域外交などとあたかも静岡県が国と同等の存在であるかのような背伸びをした物言いをせず、身の丈に合った言葉で地方自治体として分相応のおつき合いをすればよいと私は考えております。確かに知事が常々おっしゃっておられますように、国家間の関係がぎくしゃくしている中においては地方レベルでの国際的な交流が国の外交に補完的な役割を果たす面がないわけではありませんが、県が海外と交流をする以上は具体的にどう県民に利益が還元されているか示す必要があると考えております。
 先ごろ発表された平成二十八年度県政世論調査では、日常生活に悩みや不安を感じていると答えた人が七割を超えております。このことからも県民生活に本当に役に立っているかどうかわからない地域外交を主要施策に掲げるより、日常生活に悩みや不安を感じている県民に心からありがたいと思っていただける施策を推進することこそが、三百七十万県民の負託を受けた知事の最大の責務ではないでしょうか。
 特に昨年四月には、交流が深まった国に対して経済交流から通商へと一段レベルを上げて相互に実のある関係づくりに積極的に取り組んでいくこととしております。つまり経済面での成果を期待しての方針と理解をしておりますけども、地域外交と実際の県民生活への寄与度との直接な因果関係を示すデータは県の生産額、県の輸出額、交流人口等、私の調べた限り判然といたしません。少なくとも実際の県民生活に直結する、目に見える成果を県民にしっかりと示す必要があるのではないでしょうか。
 そこで、知事の言う地域外交の意義と県民の生活にもたらされる具体的なメリットについてお伺いをいたします。
 次に、命を守る危機管理のうち、防災対策に係る県のイニシアチブの強化についてお伺いをいたします。
 本県の総合計画後期アクションプランでは、県政の八つの重点領域の筆頭に命を守る危機管理を掲げるとともに、昨年度策定した美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、戦略の第一番目に命を守り日本一安全・安心な県土を築くを打ち出し、防災先進県としての国土強靱化の推進などの施策をこの計画に盛り込んでいます。南海トラフ巨大地震がいつ起きても不思議ではない本県において、県民の命を守ることを県政の最重要課題とし、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を基本としてさまざまな施策を推進していることは、私としても評価をしているところであります。
 しかし、防災対策に関する実情を細かく見ていくと本県の防災対策は決して万全とは言えない面もあり、防災先進県を標榜していることに違和感を覚える点もあります。その一例として県下全域で展開している静岡方式による津波対策があります。静岡方式はその地域にふさわしい対策について住民の合意形成を図りながら進めていく手法とされておりますが、本年一月現在の防潮堤の整備率は要整備箇所百六キロメートルのうちの一%と進捗が大幅におくれております。
 特に伊豆半島十市町では、地区協議会を開催し住民や関係団体等との協議を進めているものの住民の合意形成が進まない地域も多く、防潮堤の整備はほとんど進んでいない状況にあると聞いております。観光や漁業などの基幹産業を抱える地域ではその地域の景観に配慮したいという意見も出るのは当然であり、このような地域のさまざまな声を尊重することは大切ではありますが、その結果意見のまとめ役となる地域の代表者が大変苦労をしております。津波対策の責任を行政側が地域に押しつけているのではないかという疑念も湧いてまいります。
 第四次地震被害想定では、推計される犠牲者の約九割は津波に起因されるとされていることからも、津波対策についてはスピード感を持って推進していくことが何より重要と考えておりますが、現状では平成三十四年度までに想定される犠牲者を八割減らすとの減災目標を果たして達成できるのか率直な疑問を持たざるを得ず、総じて県の本気度が私には感じられません。
 県が減災目標を達成していくためには、さきの津波対策に限らず防災対策全般に対し県がこれまで以上にイニシアチブを発揮し、市町を初め関係機関に対する指導力を発揮していくことが重要ではないかと考えますが、県の所見をお伺いをいたします。
 次に、学校における津波対策を初めとした防災教育について伺います。
 東日本大震災の津波により犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の児童二十三人の遺族が県と市に対し損害賠償を求めた訴訟で、十月二十六日仙台地裁から市と県に対して総額十四億二千六百万円の支払いを命ずる判決が出されました。この判決は東日本大震災のような想定外の事態であっても、教員は児童生徒の安全を確保し命を守る義務があるとし、学校の責任の重さを改めて示したものと言えます。
 本県においても東海地震や南海トラフ巨大地震の切迫性が指摘されていることから、東日本大震災等の大規模災害時の対応状況を踏まえ、学校の津波対策には万全を期さなければなりません。東日本大震災を受け県教育委員会では学校の防災計画の見直しを行うために津波対策マニュアルを作成したほか、津波浸水域の学校に屋上階段を整備したり、津波を想定した避難訓練や高校生が被災地を訪問して被災地の現状を知り防災に対する意識を高めたりする事業などを実施していると聞いております。
 さきの東日本大震災では、多くの方が津波の犠牲者となった一方で、素早い避難行動により釜石市内の小中学生の九九・八%が津波から助かった釜石の奇跡と呼ばれる事例もあり、日ごろの防災教育の積み重ねこそが自分や周りの人々の命を守るために最も重要であると言えます。そのため本県においても命を守る教育の一層の推進が求められていると考えております。
 そこで、県教育委員会として、津波対策を初めとした学校の防災教育についてこれまでどのような対策をしてきたのか、また今後はどのような取り組みをすべきと考えているのか、教育長の所見をお伺いをいたします。
 次に、大規模災害時におけるオスプレイの運用についてお伺いをいたします。
 平成二十三年に発生した東日本大震災では、警察、消防など関係行政機関や隊員の約半数を派遣した自衛隊による災害派遣活動とともに、世界各国からの応援による被災者の救助、捜索、支援物資の輸送等の支援活動が行われました。中でも米軍はトモダチ作戦として大規模な支援活動を行い、被災者の大きな希望となりました。このような教訓を踏まえ本県では全国に先駆けて米軍と連携した防災訓練を重ねるなど、在日米軍による迅速かつ的確な支援を可能とするための体制づくりに努めているところであり、私はその取り組みを高く評価しているところであります。
 本年四月に発生した熊本地震においても、米海兵隊による水や食料、毛布など約三十五トンの救援物資の輸送がオスプレイ二機により行われ熊本県南阿蘇村に届けられました。想定される南海トラフ巨大地震が発生した場合、国内の応援部隊を補うために在日米軍の救援活動が期待をされ、この際米軍はすぐれた利点を持つオスプレイの活用も検討するものと思われます。しかしながら知事は記者会見などの公の場で、オスプレイは日本人がみずから操縦し安全性を確認すべきであると発言をしております。
 さらに、熊本地震で米軍がオスプレイを使用して支援活動を行ったことについて「こういうこそくな手段をもってオスプレイを使うと、使わせた人間のですね、後ろにある考え方がこそくであるというふうに思っております」とまで発言しているなど県内での米軍によるオスプレイの活用については消極的な見解を示されており、私は効果的な救援活動の実施の観点から大変危惧しているところであります。
 そこで、米軍のオスプレイの運用に関する知事の認識についてお伺いをいたします。
 また、万一南海トラフ巨大地震のような大規模な災害が発生した場合、米軍がオスプレイによる救援活動を県内で展開しようとした際に、県はオスプレイを受け入れる意向があるかどうか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、人口減少歯どめ対策について伺います。
 我が国は、急速に進む少子高齢化を背景に本格的な人口減少社会に突入しており、東京圏への一極集中が加速をしております。県では、人口減少を克服し地方創生に向けた中期的な展望を示す美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョンと今後五年間の具体的な取り組みを掲げる総合戦略を昨年十月に策定し、オール静岡で取り組みを進めるとしております。
 そんな中、先日発表された十一月一日現在の本県の推計人口は三百六十八万六千六百七十九人で、国勢調査の結果を見ても本県はこの五年間で六万四千七百二人もの人口が減少をしており、減少数は全国で五番目に多いという結果でございました。こうした数字を見る限り人口減少に歯どめがかかっていると言える状況にはなく、施策の結果があらわれているようには思えません。
 美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョンでは、目標とする合計特殊出生率を二〇二〇年に二・〇七としております。県内では裾野市と長泉町が一・八二で最も高く、目標までもう一頑張りというところでありますが、県全体で見てみますと昨年の本県の合計特殊出生率は一・五四であり、県が掲げる二・〇七にはほど遠い状況にあります。合計特殊出生率二・〇七という目標は同じく二〇二〇年の目標値を設定している他の都道府県と比べても突出して高い目標設定であり、とても現実的な数値とは思えず、我が会派でも常任委員会等の場でその目標達成の可能性について大きな疑問を投げかけ続けているところであります。
 また、移住に関する施策につきましては、東京有楽町に開設をした静岡県移住相談センターでの相談件数が着実にふえ、本県への移住につながっているということですが、県外から人を呼び込む人数には限界があるのではないかと私は思っております。美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生長期人口ビジョンを初めとする一連の合計特殊出生率の目標設置については遠からず見直しを余儀なくされると私は思っております。
 そこで、知事は今後どのように人口減少を克服し、地方創生を実現していこうと考えておられるのかお伺いをいたします。
 次に、中小企業に対する支援について伺います。
 本県は、製造品出荷額が全国の上位の規模を誇るものづくり県として発展してまいりましたが、リーマンショック以降製造業の空洞化が進み、その結果として首都圏や中京圏への労働人口の流出による人手不足感を強めている現状であります。本県の現在の経済情勢は生産や消費は一部に弱さが見られるものの、総じて見れば穏やかに回復しつつあるとされ、中でも中小企業の状況は経常利益が過去最高水準に達し、倒産件数は二十五年ぶりの低水準にあるなど改善傾向にあるとされています。
 しかしながら、その経常利益の増加の実態は、企業数や従業員数の落ち込みを背景とする人件費の減少や原油、原材料費等の低下によるところが大きく、売り上げの拡大を伴ってはおりません。加えて人口減少やグローバル化に伴う生産性の向上、人手不足への対応、多極的な産業構造への転換など課題は多くありそうです。
 県は、本県の経済回復に向けた動きを確実なものとするため産官学金の連携による産業成長戦略を推進するとしておりますが、中小企業の元気回復のテンポは進んでいるようには感じられません。静岡県が元気になるためには、なお厳しさが残る中小零細企業に焦点を当てた施策を積極的に実施して、ものづくり県として本県経済を支えてきた中小企業の成長を強力に促すことが本格的な景気回復につながり、このことによって人口流出にも歯どめがかかるのではないでしょうか。
 そこで、県として中小企業に対する支援にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
 次に、世界的スポーツイベントの開催に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 本県で開催されますラグビーワールドカップ二〇一九及び東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会は、国の威信をかけて開催される大会であると同時に、静岡県にとっては世界に向けて本県の魅力を発信する絶好の機会であり、観光誘客はもちろんのことお茶を初めとする県産品のPRを通じて今後の本県の持続的発展につなげることが期待されるビッグプロジェクトであります。
 ことしの五月に県議会に設置されましたスポーツ振興等特別委員会では、大会に向けた取り組みを調査する中でキャンプ候補地である市町への支援や大会会場の改修、大会成功に向けた各種計画の策定など早期に取り組むべきであるとの意見で一致したと聞いております。
 その上で、特別委員会においては新たな試みとして中間提言を取りまとめ、先月四日に県議会議長に報告したところでありますが、言うまでもなく両大会の円滑な開催と成功のためには周到な準備が必要であり、時間の制約がある中で果たして大会開催までに間に合うのか危惧する意見もございます。
 そこで、ラグビーワールドカップ及び東京オリンピック・パラリンピック大会の成功に向け、現状を踏まえ今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港への公共施設等運営権導入についてお伺いをいたします。
 県は、平成二十五年度当初に富士山静岡空港の新たな運営体制構築に向けた県の取り組み方針を決定し、施設保有の一体化、管理運営の一元化、新たな運営体制の構築の三点を当面の具体的な取り組みとして進めております。
 現在、指定管理者制度により空港基本施設と旅客ターミナルビルを一元的に運営管理していると承知をしております。そんな中、県は平成二十八年県議会六月定例会における我が会派の代表質問において、最終的な空港運営体制については「長期にわたって民間事業者に空港基本施設や旅客ターミナルビル等に係る空港運営業務を一体的に委ねる」と答弁をしております。私は、長期にわたって空港の将来を託すためには設置者である県がどのような思いを持って空港運営を託すのか、そして運営権を譲渡するほうもされるほうも双方にメリットが出るように最も有効な期間や条件をしっかり設定する必要があると思っております。
 そこで、空港の公共施設等運営権導入に向け、現状を踏まえて今後どのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、がん患者の治療と就労の両立に向けた取り組みについて伺います。
 がんは、今や日本人の二人に一人が生涯のうちに経験すると言われており、誰もが無関係ではいられない身近な疾病となっております。平成二十四年の地域がん登録の集計結果によりますと、本県のがん罹患者数は二万六千人で、そのうち二十から六十四歳までのいわゆる働く世代の方々が七千人強と約三割を占めております。
 医療技術の進歩により入院期間は短縮され、治療と仕事の両立が可能なケースがふえているにもかかわらず、平成二十五年度に県立静岡がんセンターが行った調査ではがんと診断された時点で勤めていた方々の三分の一が依願退職または解雇によって仕事をやめており、この状況は十年前に行った調査結果とほとんど変わっておりません。ただでさえ治療について大きな不安を抱える中で、仕事をやめ収入を失ってしまう生活への不安は、本人にとっても家族にとってもはかり知れないものがあります。こうした現状を受けて、県ではことし一月にがん患者就労支援協議会を設置し、がん患者の就労支援について検討が行われ、このほどその検討結果が提言としてまとめられたと聞いております。
 そこで、この提言を踏まえて、今後県はどのようにがん患者の治療と就労の両立に向けた支援を進めていくのかお伺いをいたします。
 次に、補助教材取り扱いガイドラインの実効性について伺います。
 本県の補助教材の供給については、長い間、教材選定の直接的な権限を有している校長や教材選定にかかわる教員が教材の作成側と選定側の両方に携わってきたことや、静岡教育出版社や地区学校生活協同組合に再就職をした退職校長や退職教員が補助教材の営業に携わってきたことなどの問題があり、平成二十七年三月県行財政改革推進委員会で、特に校長、教員と教材会社等とのかかわり方などについては県民の疑念や不信を解消し多くの県民の理解を得られる仕組みへと再構築すべきとした意見書が出されました。
 この意見書を受け、本年三月県教育委員会においては教材選定の公平性、公正性をより高めるために、改訂版補助教材取り扱いガイドラインを作成をいたしました。このガイドラインでは全ての教材会社が同等の競争条件下で教材づくりや教材販売を行う、また補助教材の作成、選定等にかかわる教職員の服務の取り扱いなどを盛り込んでおり、県はこれに沿った的確な実態把握、適切な指導助言に努めていると伺っております。しかしながら全国図書教材協議会の県内下部組織の調査では、一部市町においては依然特定の教材会社のシェアが異常に高いとの指摘もされているところであります。
 そこで、教育委員会においては、このような実態についてどのように認識をされておられるのでしょうか。また学校現場における補助教材取り扱いガイドラインの実効性をどのように評価されておられますか。県教育長にお伺いをいたします。
 最後に、静岡県警察みらい創造計画についてお伺いをいたします。
 県警察では、ストーカーやドメステック・バイオレンス事案における女性被害者等への対応、子供の安全確保のための各種対策等に関して女性の視点を反映させた警察運営を促進するため、平成二十六年度に女性チャレンジ支援推進係を設置したのを皮切りに、この四月には機動捜査隊内に女性警察官のみで構成する捜査班「桜」を、さらに御殿場警察署に県警初の女性の山岳救助隊員を配置するなど女性の職域拡大が進んでおります。
 警察に限ることなく、いかなる組織においても女性視点の業務への反映と職域拡大は大変有益であり、大いに期待されているところでありますが、妊娠、出産、育児などとの両立は女性のキャリア形成にとり大変大きな課題として存在していることもまた現実であります。こうした中、県警察では本年度から五カ年計画で女性の活躍を迅速かつ重点的に推進するため静岡県警察みらい創造計画を策定されたと聞き及んでおります。
 そこで、静岡県警察みらい創造計画の主な施策の進捗状況と、女性の視点を一層反映した警察運営に向けた今後の取り組みについて、警察本部長に所見をお伺いいたします。以上、答弁を求めます。(拍手)
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 和田議員にお答えいたします。
 総合計画の進捗状況についてであります。
 私は、平成二十一年知事に就任して以来、与えられた任期内にやると決めたことはやり切るという気概を持って仕事に取り組んでおります。そのためにスピード感と現場主義を徹底してまいりました。目標は静岡県を日本一の県にすることであります。そのスローガンが富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりであります。
 しかし、それ自体は政策にはなりません。静岡県を日本一にすると言ってもスローガンにならない。しかしながらその理想をおろしてはならないということです。基本構想というのはその理想に当たります。ですから県議が三十二の数値目標と言われましたが、その三十二の中には行政透明度日本一と書いてあります。それから県から市町への権限移譲対象法律数日本一と書かれています。環境保全活動を実践している県民の割合一〇〇%と掲げています。あるいは先ほど御紹介ありました富士山に関心のある人の割合一〇〇%と言っております。さらに大規模災害時に必要不可欠な情報の共有化一〇〇%というふうに書いているわけです。
 この構想は、言ってみれば国語の成績をクラスで一番にしたいということに当たります。それをどうしたらいいかと、そうすると計画をつくらなければいけません。例えば予習復習を毎日するとか、あるいは一週間に一冊本を読むとか、さらに本の読書感想文を書くとか、それを先生に提出するとかそうしたことですね。したがってこの構想は基本計画に落とし込まねばならない。それが二百六十八の本数になっています。
 しかし、これもまだそこにそのまま予算を投入するというわけにはいきません。これをさらに細かくここで議論をしていただいて予算を投入するためにおろしているのがアクションプランと言われるものでありまして、それが全部で幾つだったでしょうか、五百一本の政策になっているわけですね。ですからこの後期アクションの戦略体系は五百一ありまして、その主な取り組みにつきましては九九・二%が前倒し、または順調に推進が図られているということなんです。それが基本計画どおりにいっているのか、さらにまた今取り上げられましたこの理想にどのぐらい近づいているのかということですので、できればこの基本構想とそれから基本計画、なかんずく実際ここで予算を措置をしていただいておりますこの後期アクションプラン、そこをごらんいただければというふうに思います。
 特にですね、この平成三十一年度までの十年間で目指すのがこの基本構想で書かれている大きな目標ですけれども、その目標年次を二年前倒しをいたしまして平成二十九年度とし、実質は平成二十三年二月二十三日からですからそれを平成二十二年度と捉えていますので、七年と一カ月でやってしまおうということで、それが後期アクションプランにかかわる限りにおきまして一〇〇%近い実施、進捗状況だということでございます。
 ただし、この基本構想と言われるものは、つまり理想郷という姿にふさわしい中身、これは非常に高い水準でありまして、残念ながら県の一存で決められるものでなく国の政策や社会経済情勢にも大きく左右されるものがあります。そうした中にもおきまして、例えば東日本大震災とかリーマンショック、円高不況などは、これは外から降ってくるものです。しかしそうした厳しい情勢の変化に対しましても、地震・津波対策アクションプログラム、雇用創造アクションプラン、産業成長戦略の推進などを取り組んだ結果、命を守る危機管理や雇用・就業環境の分野では目標数値以上の成果があらわれているということであります。
 県民所得とか県内総生産といった指標におきましては世界規模の景気の影響で低迷を余儀なくされる場合があります。また社会情勢による心理的な要素が強い、例えば暮らし向きに関する県民意識の指標というのもありまして、こうしたものが伸び悩んでいるということはよく承知しております。経済、社会の情勢によって影響を受ける指標でありますが、しかしながらその指標に掲げられている数値は数値でございますから、その結果を真摯に受けとめ施策の改善等を徹底し、県民幸福度の最大化に向けて高い目標は維持すると。今後も全力で取り組んで挑んでまいりたいと考えております。
 おかげさまでオール静岡で施策に取り組んでまいりました結果、平成二十五年六月の富士山の世界遺産登録を皮切りにこの三年半ほどで四十件を超える世界クラスの資源が備わるなどふじのくにの立ち姿があらわれてきておりまして、いよいよ総合計画の総仕上げの段階を迎え理想郷づくりに着実な成果が見られると期待しております。
 平成二十九年度は後期アクションプランの最終年度です。今議会で進捗評価の御審議をいただきまして、総括の仕方が新しい出発の仕方を決めるという認識のもとでふじのくにづくりの総仕上げを着実に行いますので、御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、平成二十九年度当初予算についてであります。
 富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに向けたラストスパートの段階を迎えています。これまでポスト東京時代の新しい国づくりの先導役を担うという気概を持って地域づくりに取り組んでまいりました。平成二十五年の六月というのは、ちょうど私の第一期目の最後の月に当たります。私はその第一期におきまして日本一の県にしてみせると、一緒にやろうということでですね、やってまいりました。ありがたいことに第三者マニフェスト大賞グランプリ、つまり日本一に輝きました。そのお祝いのように富士山が世界文化遺産になり、お茶が世界農業遺産になって一期を終えました。これは大変ありがたいことだと思っておりましたが、この次の目標は何でしょうか。東京との比較ではありません。四十七都道府県との背比べではありません。世界クラスの県にするという、そういう目標を立てております。ポスト東京時代を静岡県で御一緒に開こうではないかということでございます。
 そうした中で、平成二十五年六月から今月まで全部で四十三カ月です。四十三カ月で世界クラスの地域資源、人材が四十三件になりました。したがって一カ月に一件の割合で世界クラスの認定が外からおりてくるという、したがってこの県は世界クラスと言っていいんじゃないでしょうか。
 和田議員はチャイナドリームについてお聞きになったことありますか。アメリカンドリームはいかがでしょうか。それとの比較でジャパニーズドリームをお考えいただけるとわかりやすいんではないかというふうに思います。チャイナドリームは突然習近平国家主席が言い出されたことです。中国を中華民族の栄光を取り戻すために強くなろうという、そういうのが中華ドリームの中身です。一方アメリカンドリームはどうでしょう。今回のトランプ次期大統領もアメリカンドリームを言われています。しかしアメリカンドリームというのは、ヒスパニックの方もムスリムの方も黄色人種の我々も、そこに誰もが歓迎されて努力をすれば、アメリカで歓迎されてヒーロー、ヒロインになれるということではないでしょうか。しかしヒスパニックの方々やイスラム教徒の方々に対して門戸を閉じるような姿勢がかいま見られます。
 そうした中で、ハラール食の準備をしましょう、場合によってはユダヤ人の食生活でございますコーシャについても考えましょうと。ムスリムの方であり、イスラムの方であれ、あるいは肌の色がかわろうと文化、習慣、宗教が異なろうと、どなたも来るものは御歓迎申し上げますというのが我々です。そうした中で、もしここは本当にすばらしいというふうに言っていただけるとするならば、これはアメリカンドリームに対して日本こそがこの差別のない誰もが自由に平等に扱われて活躍できる地域だと言われれば、これはジャパニーズドリームという言葉として定着するということで、それならばそれを先取りしようと。TPPも同じです。アメリカさんが引くなら安倍総理はうちが主導してやろうじゃないかと。アメリカに引きずられてTPP交渉に入って、アメリカがはしごを外しまして一人残されたらどうするか。それでもやると。そういうところにこの微妙な日本のスタンスというものが見えるように思いますが、どちらが立派でしょうか。一旦決めたことをしっかり守るということのほうが立派だと思います。アメリカンドリームに陰りが見えているというふうに誰もが見ております。みんな心配しております。
 そうした中で、世界クラスの魅力に満ちあふれたと言っていい本県が、その先頭に立って日本を代表する地にふさわしい県にしようではないかという強い思いを持って、いわばジャパニーズドリームの実現と表現したわけです。これは確かに目新しいのです。かつて内陸のフロンティアを拓くとか食の都を開くということも目新しく感じられましたが、今内陸フロンティアは完全にと言っていいほど地域の中に浸透しております。あるいは食の都づくりもこれも確実に地についてまいりました。
 そのように理想を掲げ、その理念を政策におろしていくということをしてきているわけです。ジャパニーズドリームもその一環であります。その実現に向けまして本年の夏、来年度予算や組織編成などに向けた戦略的な取り組み事項として、全部局長に対しふじのくにづくりの総仕上げに向けた取り組みに加え、世界から憧れを呼ぶ、いわばジャパニーズドリームの理想郷の実現に向けた取り組みの検討を指示いたしました。全庁を挙げて議論を深めて今いるところでありますが、やがて職員とイメージの共有が図られていくと確信しております。
 平成二十九年度当初予算編成に当たりまして、ふじのくにづくりの総仕上げに向けましては、県内経済を回復基調から発展基調に乗せるため産業成長戦略の着実な推進、中小企業、小規模企業の経営力向上に対する支援、労働力人口が減少する中、産業人材の確保と育成などに取り組むほか、待機児童ゼロを目指した保育施設の整備促進など県民生活にかかわる県政の喫緊の課題に対しまして重点的に予算を配分してまいります。
 また、施設整備に関しましては、厳しい財政状況ではございますけれどもそれゆえに投資の優先化、重点化を図ります。現在検討を進めております浜松市篠原地区への野球場整備、東静岡の文化力の拠点整備などにつきましては、県議会や地域の皆様の御意見を伺いながら最小の費用で最大の効果を生むように内容を精査しコスト縮減にも努めてまいります。
 ジャパニーズドリームとして一番わかりやすいのは何か。健康寿命日本一、いや世界一ということじゃないでしょうか。健康でかつ長寿であるということは人類の理想であります。それが目下のところ数字であらわれているわけでございますが、そうしたものに象徴されるジャパニーズドリームの理想郷の実現につきましては、これまでの施策を新しいステージへ進める意欲的な取り組みなどを当初予算案に反映してまいる予定であります。
 十月に公表いたしました財政収支試算では、議員御指摘のとおり六百億円の財源不足が見込まれておりますけれども、しかしながら戦略的な重点事業、部局重点事業、こうしたものをまずしっかりと押さえると。そしてまたこの義務的経費ですね、こうしたものを除きました残りについて二〇%、六十五億円下げてくださいと。ですから全体の予算は一兆円を超えますけれども、それの二〇%ではもちろんありません。最終的に重点領域、戦略領域を、義務的経費を全部引いて、残りについて二〇%、六十五億円下げてくださいということでございます。
 税収の収入率の向上、基金の活用など歳入をしっかりと確保するとともに、事務事業の見直しを徹底いたしまして、財政の健全性を確保した上で富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げとジャパニーズドリームの理想郷の実現に向けた取り組みを力強く進める予算を編成してまいります。
 次に、地域外交の意義と県民生活への貢献についてであります。
 静岡県が進めております地域外交は、国や地域の文化の違いを理解し、友好的互恵・互助、善隣外交の精神に基づき自立した相互の信頼関係を築く地域レベルでの国際交流、国際協力であります。
 これまで産業、教育、文化、観光、防災等幅広い分野におきましてさまざまな取り組みを進めてまいりました。その結果、総合計画がスタートした平成二十二年と比較いたしますと、観光分野では海外でのプロモーション等により県内の外国人延べ宿泊者数が当時六十万人から百六十三万人――これは間違ってるんではないか。百七十四万人のはずであります。百六十三万人というのは従業員十人以上の宿泊施設の場合ですね。これは国が決めておられる宿泊所における規定では百六十三万人。しかし九人以下の施設を入れますと百七十四万人へと増加いたしました。トップクラスです。
 経済分野では、海外ビジネスサポートデスクの設置等によりまして県内企業の海外展開企業数が三百七十三社から四百四十九社に増加いたしました。確実に成果が上がっているものと考えております。
 教育・文化分野では高校生の海外への修学旅行の促進を初め中国浙江省との青年交流や友好交流卓球大会、モンゴルや台湾の高校生との相互交流、民間外交支援事業などを通じて青少年の国際化――これはとても大切でありますが――その青少年の国際化や県民の皆様方の異文化への理解の促進にこれがつながっているというふうに認識しております。
 こうしたさまざまな取り組みの結果、平成二十二年には中国政府から長年にわたる浙江省との交流が高く評価されまして対中友好都市交流提携賞を頂戴いたしました。この提携賞につきましては今回十月に中国を訪問した際にも中国の要人から褒めていただきました。評価されているわけです。そしてまた平成二十五年には台湾交通部観光局から日本の自治体としては初めてとなる台湾観光貢献賞をも受賞をいたしました。またことし八月のモンゴル訪問の際にはエルベグドルジ大統領から静岡県が進めてきた五年間の交流を高く評価している、さらに発展させてくださいとのお言葉をいただきました。また清水在モンゴル日本大使からはオールジャパンの外交が大事なときに静岡県のように地域間交流を積極的に進めてもらえて大変助かっておりますとの御評価をいただきました。
 さらに、東京五輪の事前キャンプ誘致のため本県とモンゴル保健・スポーツ省との確認書の調印を行いましたほか、伊豆の国市や焼津市におきましても保健・スポーツ省との覚書調印が実現するなど交流の着実な成果があらわれております。このように各方面から本県の進める地域外交について評価をしていただいていることは静岡県の存在感や知名度の向上につながることでもあり、県民の皆様が享受するメリットは大きいと考えています。
 昨日、日中韓の賢人会議でも自治体間の交流は大事であるということで、全体会議でもそんな話が出、私は分科会で静岡県の交流について御紹介申し上げ、高く評価されたばかりであります。こうして積み重ねてきた成果によりまして、本県の地域外交は新たなステージに進んだという手応えを感じております。県民の皆様がその成果をより実感していただけますようにこれまでの人的交流等から通商により重点を置くこととし、幅広く通商の推進に取り組むため先月地域外交推進本部会議のもとに難波副知事をリーダーとする通商推進プロジェクトチームを設置いたしました。県産品の販路拡大、観光交流の拡大等々分野ごとに部局を超えた関係各課でタスクフォースを設置し、県が一体となって通商の推進に取り組んでまいります。
 今後とも、県民の皆様や県内企業が多くの恩恵を享受できるように、積極的に地域外交を推進してまいります。
 次に、人口減少歯どめ対策についてであります。
 静岡県では、人口減少の克服に向け昨年度県議会を初め幅広い県民の皆様から御意見をいただき、合計特殊出生率二・〇七、転出入の均衡という将来にわたって活力あるふじのくにの実現を目指す意欲的な目標を掲げた総合戦略を策定し、その実現に向けオール静岡で取り組みを進めているところであります。
 県民意識調査によりますと、静岡県の若者が理想とする子供の数は二・四三人――二、三人ということでございます。この青年たちの希望――二人以上の子供が欲しいという若者の希望をかなえるためにも、議員御指摘の合計特殊出生率二・〇七は非常に高い目標ではありますけれども実現しなければならない。それが大人の責任ではないかと考えております。この二・〇七の目標を掲げ意欲的な取り組みを進めている市町も見られまして、御紹介がありましたように裾野市と長泉町におきましては既に国の目標一・八〇を超えて一・八二を達成しているわけでありますから、まずこのあたりから二・〇七への突破口が開かれるのだというふうに期待しております。
 目標の実現に向けて、県では若い世代の結婚機運の醸成や就業支援による若者が安心して家庭を築ける環境整備を初め、不妊治療や産科医開設への支援、子育てはとうとい仕事という理念をもとに社会全体で子育てを応援する取り組みの推進など、結婚、出産、子育ての切れ目のない支援に積極的に取り組んでいるところであります。また市町の意識を高めるため合計特殊出生率に影響を与える……取り組んでいるところであります。
 次に、中小企業に対する支援であります。
 県内の企業の九九・八%を占める中小企業は本県経済の活力の源であります。地域の産業や雇用等を支える重要な役割を担っておりますから、地域社会になくてはならない本県の宝であります。これまでもさまざまな支援に取り組んできたところでありますが、しかし人口減少、高齢化などを背景に本県の中小企業は事業者数が最近の十五年間で三万四千減少しました。特に小規模企業が十四万三千から十一万一千へと大きく減少しています。こうした中、多くの商工団体や関係者の皆様方から県に対して中小企業の活性化のための独自の条例制定を求める希望が寄せられております。
 これらを踏まえまして、県は新たに静岡県中小企業・小規模企業振興基本条例を制定することとしまして今議会にお諮りしているところであります。条例案には基本理念や県の責務を定めるとともに支援機関の役割や振興のための施策の実施を定めているほか、特に小規模企業が事業を継続し地域を支え続けていけるようにきめ細かな支援に取り組むことを明記しております。
 今後につきましては、新たな条例を基本にいたしましてこれまで取り組んできた経営革新計画の策定などの新たなビジネスへの挑戦や金融対策、人材の確保などの支援に加え商工会、商工会議所などの機能が一層強化されるように支援いたします。その中でも資金や人材といった経営資源に制約のある小規模企業につきましては、新しいチャレンジにつながる支援策を具体化し実施することで本県経済の活性化につなげてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 命を守る危機管理についてのうち、防災対策に係る県のイニシアチブの強化についてお答えいたします。
 県では東海地震説が発表されて以来、防災対策を着実に進めてきた結果、建築物の耐震化や河川、海岸の整備、防災訓練など全国的に見ても高いレベルにあると認識しております。現在も南海トラフの巨大地震に対し平成三十四年度までに想定される犠牲者を八割減らすとの減災目標を定め、引き続きさまざまな施策を推進しているところであります。
 この目標の実現に向け、平成二十五年度に創設した緊急地震・津波対策交付金により市町の行う津波ハザードマップや津波避難計画の策定、津波避難路や命山の整備等への支援を行ってきました。本年度はさらに三年間補助率のかさ上げを継続し、市町の行う津波対策等の推進を支援しております。また東日本大震災に続き熊本地震の被災地である嘉島町に県職員とともに市町職員を派遣し災害の現場において貴重な実務経験を積ませるなど、職員の災害対応能力の向上も図っているところであります。さらに市町災害対策本部が十分な機能を発揮できるよう、各危機管理局等が中心となり市町の災害対策本部設置体制の整備や本部運営訓練に対する支援を行っております。
 県といたしましては、市町ごとの災害に対する強みや弱みを把握し防災対策全般についてきめ細かな指導を行うなどイニシアチブを一層発揮するとともに、関係機関と連携した各種訓練を主導的に行うなど県全体の防災力をさらに向上させていくよう努めてまいります。
 次に、大規模災害時におけるオスプレイの運用についてであります。
 米軍のオスプレイは平成二十四年に沖縄県の普天間飛行場に配備され、平成二十六年からは本県の東富士演習場においても訓練が行われておりますが、運航に当たっては安全面への配慮が十分に行われていることが重要であると認識しております。陸上自衛隊においても平成三十年度からのオスプレイ導入に向けて今年度からパイロットや整備士の養成が始まっておりますが、一日も早く日本人操縦士による安全性の確認と操縦経験に基づいた情報が県民に提供される必要があると考えております。
 大規模災害に備え、本県では九月の総合防災訓練や十二月の地域防災訓練などに応援部隊として派遣される自衛隊や米軍の参加も得て、被災状況の把握や部隊、機材等の搬送、住民に対する支援物資の提供などを連携して実施しているところであります。大規模災害時における米軍の支援活動は、自衛隊の統合任務部隊を通じ支援内容や部隊などの調整が行われ、自衛隊と米軍のそれぞれの災害派遣部隊の対応能力に基づき適切な割り当てが行われることになっております。
 こうした調整のもと、必要に応じオスプレイが投入されることも今後あり得ると考えておりますが、その際は十分な安全管理を求めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 命を守る危機管理についてのうち、学校における津波対策を初めとした防災教育についてお答えいたします。
 県教育委員会では、議員御指摘の津波対策に加えさまざまな災害に対応できるよう防災対策マニュアルの充実に取り組んでまいりましたが、災害から子供たちの命を守る上では防災教育が重要であると考えております。このため東日本大震災の被災地である岩手県や熊本県との交流活動を通じて本県中高校生の防災意識の啓発に努めているほか、地域防災の担い手としてジュニア防災士の育成に取り組んでおります。
 また、防災教育の推進に向けて毎年指定している協力校では、小学生と幼稚園児がともに実施する避難訓練や地域の自主防災組織と連携した防災訓練を行っております。さらに小学生が学年を超えて共同生活をする通学合宿では、地域住民と連携して避難所体験を行うなど地域と一体となった取り組みも実施しております。
 今後、教育委員会といたしましては、熊本県や福島県沖で発生した地震や津波への対応状況の分析評価等、最新の知識も参考に児童生徒の安否状況の確認や避難方法、さらに学校再開までの計画を視野に入れて学校の防災計画を再検証してまいります。こうした取り組みを通じて発災時に落ちついて避難ができるよう、防災教育を推進してまいります。
 次に、補助教材取り扱いガイドラインの実効性についてであります。
 県教育委員会では、本年三月に補助教材の選定における公平性、公正性をより高めるため補助教材取り扱いガイドラインを改訂し周知徹底に取り組んでおります。本年七月にはその実効性を確認するため各市町教育委員会を通じて学校における選定状況の調査を実施いたしました。その結果、複数の教材見本による比較検討や選択基準に基づいた選択など、ほぼ全ての学校でガイドラインに沿った選択が行われていることを確認したところであります。
 しかしながら、これまで長年にわたり慣習的に行われた部分もあるため、管理職だけでなく一人一人の教職員にまでガイドラインの趣旨が徹底されているかという点について依然として課題があると認識しております。このため来年度の補助教材の選定に向けて各種会議、研修会、指導主事訪問等の機会を捉えて引き続きガイドラインの周知徹底に取り組んでまいります。特に補助教材の購入費用は保護者が負担することから、補助教材を選定するまでのプロセスや基準などについて保護者に十分に説明していくことが重要だと考えております。
 今後も、教職員一人一人がガイドラインの内容を認識した上で全ての学校においてガイドラインに沿った補助教材の選択が行われるよう、各市町教育委員会と連携し学校現場への周知徹底を行ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 世界的スポーツイベントの開催に向けた取り組みについてお答えいたします。
 県議会スポーツ振興等特別委員会の中間提言では、大会の円滑な開催と成功のため幅広く多様な準備を進めるとともに、早期に取り組むべき事項について適切な予算確保を図るべきとの御意見をいただきました。
 ラグビーワールドカップにつきましては、九月補正予算によるエコパスタジアムの電光掲示板の更新等に続き、今議会ではピッチを大会用に拡張するための人工芝の整備費用をお諮りしております。今後は開催都市が担う交通輸送、ファンゾーン、ボランティア等の運営計画の策定を着実に進め円滑な大会運営の実現に努めてまいります。東京オリンピック・パラリンピックにつきましては競技会場へのアクセス道路について当初予算に加えて九月補正予算で整備費用を認めていただき、現在早期完成に努めているところであります。また大会が開催される夏に伊豆を訪れる観光客や地元住民の交通に支障を来さないよう、この夏に実施した交通量調査の結果をもとに現在交通量の分散方法等の検討を進めております。
 今後は、リオ大会での調査結果も踏まえて、ボランティアの育成、高齢者や障害者に配慮した環境整備にも取り組んでまいります。また県内の多くの市町で両大会の事前キャンプが実現するよう、リオ大会で行った誘致活動と同様に海外現地連絡員を活用して情報収集と本県の情報発信に努めるなど市町の取り組みを積極的に支援してまいります。さらに文化プログラムにつきましては来年度から本プログラムの募集、実施を予定するなど県内各地で魅力的な事業が展開されるよう取り組みを進めることで両大会の機運醸成を図ってまいります。
 県といたしましては、二年連続して世界的なスポーツイベントが開催され、本県の魅力を世界に発信できるこの絶好の機会を生かし、スポーツの振興、観光誘客や交流の推進を図ることにより本県の持続的な発展につなげていくことを視野に入れながらスピード感を持って大会の成功に向けた準備を進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 林静岡県理事。
       (静岡県理事 林 正尚君登壇)
○静岡県理事(林 正尚君) 富士山静岡空港への公共施設等運営権制度導入についてお答えします。
 県では、開港以来の利用者が四百万人を超えた富士山静岡空港のさらなる発展を目指し、民間による一体的かつ機動的な空港運営を実現するべく公共施設等運営権制度の導入に向けた検討を進めております。運営権制度導入により民間の経営力や創意工夫を十分に生かすことで訪日外国人等の交流人口の増加を着実に取り込み、本県経済のさらなる発展につなげたいと考えております。さらに航空機の安全運航、利用者の安全確保を前提として民間による自立的な空港経営を促すことで収入の増加と一層のコスト縮減による県民負担の軽減が図られるものと考えております。
 導入に当たりましては、民間事業者の意見において新会社設立より開港以来指定管理者として実績を重ねた富士山静岡空港株式会社の人材やノウハウを生かした運営方式に賛意を示した者が多数であったことから、公募選定された者が同社の株式を取得して空港経営を担う方式を採用することが最も適切であると考え、現在同社及び株主と鋭意調整を進めております。また公募に当たっての条件設定が重要でありますので、県内外の民間事業者と十分な意見交換を行い最適な事業内容や期間等を速やかに設定するとともに、制度導入に必要な空港設置管理条例の改正案を来年二月県議会にお諮りするなど平成三十一年度からの制度導入に向けた具体的な取り組みを進めてまいります。
 県といたしましては、運営権制度導入により空港の価値を最大限に高め、首都圏空港の一翼を担う日本の空の玄関口として、また県内経済の発展に大きく貢献できる社会資本として活力と魅力にあふれる空港の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) がん患者の治療と就労の両立に向けた取り組みについてお答えいたします。
 県では、静岡県がん対策推進条例に基づき、がん患者の方々が離職せずに安心して治療が受けられるように治療と就労の両立に向けた支援をがん対策の重要な施策として位置づけ、さまざまな取り組みを進めております。この十月には静岡県がん患者就労支援協議会より、がん患者の方々に対する相談支援の一層の充実に加え、経営者の患者の方々への理解の促進と就業上の配慮を行うための動機づけの実施や地域の関係者が連携してがん患者を支援するためのネットワークの構築などの提言をいただきました。
 県では、この提言を踏まえ、がん患者の方々の就労継続に取り組む事業所への支援といたしまして経営者の方々を対象とした就労支援セミナーの開催を全県で行うなど、事業所における治療と就労の両立の重要性について一層の理解の促進を図ることといたしました。また今後がん患者の方々の就労継続に積極的に取り組んでいる事業所に対する表彰制度や女性のがん患者のための職場づくりに向けたガイドブックの作成を検討するなど、患者の方々に就業上の配慮が行える環境となるよう支援してまいります。
 地域が行うがん患者の方々への支援といたしましては、医療従事者や事業主など地域の関係者から成る治療と就労の両立を支援するネットワークを整備し、病院と事業所が連携して効果的で継続的な支援を行う仕組みをつくり患者の方々を地域で支える体制を構築することとし、本議会に関連予算をお諮りしております。
 県といたしましては、今後もがんと診断されながらも治療をしながら就労している方々に対し治療と就労の両立に必要な支援を行い、がんにかかっても安心して働くことができる社会の構築に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 人口減少歯どめ対策の具体的な取り組みについてであります。
 目標の実現に向けて市町の意識を高めるため、合計特殊出生率に影響を与える各市町の地域特性を見える化したふじのくに少子化突破戦略の羅針盤を作成し効果的な施策を行う市町の取り組みの浸透を図るなど、全県一丸となって実現を目指す体制づくりを進めております。転出入の均衡に向けては若い世代の県外流出に対応するため、就職サポートセンターの充実や県外大学との就職協定の締結など県外に進学した学生の本県へのU・Iターン就職を促進しております。
 さらに、都内の移住相談センターの機能充実、新成長産業やクリエーティブ産業などの多彩な産業の振興による雇用の場の創出、大都会では体験できない自然と調和した暮らし空間の創出などにより、人を呼び込み、定着を図る取り組みを進めております。こうした取り組みにより平成二十七年の転入者数は四年ぶりに増加に転じ、本県の対策の効果が徐々にではありますが着実にあらわれております。
 人口減少を克服するためには、高い目標の達成を目指して、これまでの施策のより一層の充実と新たな戦略の構築に努め県民総ぐるみの取り組みを強力に展開していく必要があります。本県の未来を切り開くため県民の皆様とともに英知を結集し、実効性の高い戦略をオール静岡で推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 静岡県警察みらい創造計画についてお答えいたします。
 初めに、静岡県警察みらい創造計画の主な施策の進捗状況でありますが、職員が職業生活と家庭生活を両立させることができ、働きやすい職場環境を整備するためには、業務の合理化、効率化を初めとした働き方改革の実践やワーク・ライフ・バランスの向上に関する意識の醸成がまずもって必要です。
 そこで、大手化粧品メーカーの女性顧問による講演会を開催するなど県警察幹部を中心とした職員の意識改革を継続的に推進しております。また育児のため短時間勤務を行っている女性警察官の業務を補完するための制度の一つとして任期付短時間勤務警察官制度を導入し、元警察官二人を任用いたしました。このように育児中の職員が周囲に気兼ねすることなく働き続けるために必要な支援を行い、現場執行力の維持を図っているところであります。そのほか女性職員のキャリア形成のため、若手が先輩からアドバイスを受けることができるメンター制度を導入したほか、女性警察官の年代や階級に応じたきめ細やかな支援や教養を行っているところであります。
 次に、女性の視点を一層反映した警察運営に向けた今後の取り組みについてでありますが、本年四月現在八・八%である女性警察官の割合を平成三十三年四月までにおおむね一〇%にすることを目標に採用に努めます。また女性警察官の個々の適性、能力を見きわめつつ登用ポストの拡大を進めてまいります。
 これらにより女性の視点を一層反映した警察運営を進め、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいる所存であります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 和田篤夫君。
       (四十四番 和田篤夫君登壇)
○四十四番(和田篤夫君) それぞれに御答弁、ちょっと変則的になったみたいですけどありがとうございました。
 再質問をさせていただきます。
 三点、地域外交の意義と県民への貢献と、防災対策に係る県のイニシアチブの強化と、人口減少歯どめ対策について再質問をさせていただきます。
 まず、地域外交の意義と貢献についてであります。
 地域外交の意義ということで友好的互恵・互助、善隣外交しっかり進めていくんだという御答弁でございましたけども、私は互恵・互助というのは言いかえればギブ・アンド・テークだと、その結果として県と交流先がウイン・ウインになると、こういうことだと思うんですけども、私がもともとこの質問をさせていただいたのはそのメリットが数値的に見えてこないと。だから具体的にどういう効果があったのかということを聞きたかったんですね。先ほど答弁の中で青少年での交流は確かに深まったと、これは私も評価をいたすところであります。
 ところが、どこかの国から褒められたとかですね、よかったとか、そういう評価をいただいたと。つまりその評価をいただくことによって県民が享受するメリットが大きくなるということではよくわからない。例えばですね、モンゴル国ドルノゴビ県と交流をしている。ドルノゴビ県の人口は約六万人弱でございます。三百七十万の静岡県が六万人弱のドルノゴビ県とどのような関係になれば、あるいはどのような成果を上げればお互いにウイン・ウインになるのか。私はこのことについてはもう一回お聞かせを願いたいというふうに思います。
 答弁の中でもう一つ、通商推進プロジェクトチームということを難波副知事のもとでつくられるということのようですが、今後どのようにやろうとしてるのか、どういうふうに進めるのか、このことについてお聞きをいたします。
 二点目は、防災対策に係る県のイニシアチブの強化でございます。
 東海地震説から三十年以上たちました。国は二兆円を超える予算を本県に投入をしてくださいまして、他県に比べて防災関係の整備が進んでいる。これは当たり前のことで当然のことだと私は思っております。防災対策にこれでよしというレベルは私はないというふうに思っております。ことしの頭からずっと新聞報道を見ておりますといろんなことがまだ不備があるというふうにされております。例えば静岡県下の自治体の避難行動の要支援者の避難支援計画、これは未完成の自治体が十六市町もございます。あるいは飲料水や食料の備蓄、これを七日分というのを県は指導しておりますけど、その達成率は食料については六・三%、飲料水は九・六%。とても意識が上がっているとも思えないし、そのことに対する県がしっかり指導してるかというところも私は不足してるんじゃないかというふうに思っております。企業のBCPの策定の状況、これも予定なしと答えた企業が二六%もございます。等々まだたくさん不備がございます。
 質問の中でも言いましたけども、伊豆半島のある地区では防潮堤の整備は行わない、こういうふうに言っております。私はこの決定を県は尊重して本当に防潮堤は整備しなくていいのかという疑問を持っております。県が命を守る危機管理と言うのであれば、私は少々の反対があっても県民の命を守るためには県の職員さんが現地に赴いて一人でも命を守るためにどうするかというのをもっともっと話し合って実行すべきだと。地域の決定事項を尊重することが県のイニシアチブをとった指導になるということになるのか、そのことについては危機管理監にもう一度御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、三問目は人口減少歯どめ対策でございます。
 先ほどの答弁では、転入者がふえたというふうな答弁がございました。これ総務省が公表した昨年の人口移動報告によりますと、県は実は転出者が転入者を上回る転出超過が平成二十七年度は六千二百六人でワースト五、その前年が七千二百四十人でワースト二位、さらにその前年が六千八百九十二名、この三年間だけでも二万人を超えております。これが現状でございます。東京に静岡県の移住相談センターができましたけども、昨年この窓口を利用して移住した人はわずか二百二十三人にすぎません。私はこのことのほうが、人口流出を抑制するほうが優先順位が高いというふうに思いますけども、県のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 もう一点、合計特殊出生率、実はこの十年間で県は〇・一五ポイントしか上がってません。五年間で〇・〇五ポイント、つまりあと四年で〇・五ポイント近く上がるというのは、とっても私は思えません。ちなみに二・〇七を目標としてるのは二〇四〇年が一番多いですね、二十九の都道府県がございます。そういうことを考えると二・〇七というのは達成しなければならない目標と言いましたけども、つまり目標設定は見直さないということなのでしょう。本当に見直す必要がない、必ず達成できるということと同じでございますけどもその根拠をお聞かせを願いたいと思います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 増井地域外交監。
○地域外交監(増井浩二君) 地域外交についての再質問についてお答えをいたします。
 まず最初に、モンゴルとの交流における互恵・互助ということでございます。
 地域間の交流というのは、相手国の経済状況、あるいは交流の分野によってはすぐに具体的な数値が出るというようなことばかりではなくて、長年の地道な交流というものが必要になってくるというようなことがあるというふうに思っております。
 モンゴルの例でいきますと、ドルノゴビ県との友好交流を始めましたけれども、それが数年たってモンゴル国全体の工業・農牧業省、あるいは経済関係のいろんな国の省庁との交流につながってきているというようなことになっているわけでございます。その結果東京五輪のキャンプ地の誘致に際しましてもいち早くモンゴルとのそれまでの関係が功を奏したといいますか、すぐにキャンプの誘致が決まったというようなことがあったかというふうに思っております。
 例えば、中国の浙江省も来年三十五周年を迎えますけれども、この交流を始めた当初、浙江省から研修員を本県のほうに受け入れたというようなことがございまして、浙江省側の経済発展が進むにつれまして相互の交流にだんだんつながっていったというようなことがございます。その研修員として本県に派遣された浙江省の職員の方、この方が中心となりましてだんだんその幹部にもなっていくわけでございますけれども、本県との交流の中心的な役割を担ってきたというようなことがございます。企業との交流につきましても、当初は本県の企業が浙江省のほうに行って事業を展開するというようなことがございましたけれども、近年は浙江省の企業が静岡県への投資をするというような案件にもつながってきているというようなことになっておりまして、互恵・互助の関係が築かれているというふうに思っております。
 したがいまして、ドルノゴビ県やモンゴル国政府の間でこれまでに築いてきた関係、これを非常に大事にいたしましてその友好のかけ橋といいますか、お互いをつなぐ人材の育成を中心に今交流を進めておりますけれども、将来的にはその県民の皆様、あるいは県内の企業がより恩恵を受けるように努力を進めていきたいというふうに考えております。
 次に、通商の関係でどのように通商のプロジェクトチームを進めていくかということでございますけれども、現在テーマを幾つか設けましてタスクフォースを立ち上げております。例えば県産品の輸出拡大、あるいは企業の海外ビジネスを展開をどのように支援をしていくのか、対外投資をどのように進めていくのかというようなタスクフォース。それから観光・スポーツ交流の拡大、あるいは県内の水産物、水産加工品を輸出拡大をどのように進めていいかというようなことを、それぞれタスクフォースを立ち上げまして、関係する県庁内の各課がその中に入りまして議論を積み重ねているところでございます。
 いずれにしましても、この通商推進プロジェクトチームは具体的なビジネスをいかに支援をしていくかというようなことに念頭に置いておりますので、これからも一生懸命これは進めていきたいというふうに思っております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 防災対策についての再質問にお答えいたします。
 防潮堤等の整備に当たりましては、自然や景観、人々の暮らしや文化に配慮しつつ地域住民の方々の意向を踏まえた上で、県がリーダーシップをとって着実に推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
○政策企画部長(森 貴志君) 人口減少の歯どめ対策のうち、人口流出を抑制する事業が重要ではないかという再質問にお答えいたします。
 県の総合戦略でも、人口流出を抑制するための戦略を掲げているわけでございますけれども、まずは日本一安全・安心な県土づくり、これは安心感を踏まえるということです。それから安定した雇用の創出、それから働き方改革によります就業環境の向上、これも一つ戦略に挙げてございます。それから教育環境の充実、それから自然と調和した暮らしの空間の創出、それから社会総がかりでの子育て支援の充実、それから人口が減少しても快適な生活ができる地域づくり等々の戦略を掲げてございまして、これらは人口流出を抑制するものでございますけれども、実はこれが人口流出を抑える施策と同様によそから来る人の移住・定住の促進の施策でもございます。
 そういった両面のものがございまして、その両面の施策を推進していき、県内に住んでいる人はそれを感じ取っていただいて定住の意向を示していただく。そして県外に対してはそれらのものをしっかり伝えることによって来ていただくと。そのための相談センターというように我々考えてございます。
 ですので、人口流出の抑制、移住・定住の促進、その両面からの施策をですね、まず一本ではありますけれども、そういった施策を着実に進めていって人口流出に歯どめをかけたいというふうに考えてございます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 合計特殊出生率の目標数値の設定についてお答えいたします。
 県では、調査の結果、若い世代が子供を二人以上持ちたいとする希望をかなえるということが非常に大事なことから、合計特殊出生率の目標数値においてはそこに基準を置いています。また政府の方針では一・八というのがこの合計特殊出生率の目標値と定めてますが、本県におきましては既にもう御案内のとおり裾野市、長泉町では一・八二と一・八より大きな数値を持っておりますのでそれ以下の数値ということは考えられないと思います。また一・八までは届きませんが一・七以上の市町が六市町ある状況でございます。
 そういうようなことから考えまして、静岡県におきましては合計特殊出生率二というものを――二・〇七を定めましてしっかり取り組んでいくことにしております。先ほどまた議員のほうからもありましたように、他県の状況を見てみますと全てのほとんどの県におきまして二・〇七という数値は目標数値として挙げていることから、県のこの数値を挙げてしっかり取り組むことは県民の希望にもかなうことであると思っております。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 和田篤夫君。
       (四十四番 和田篤夫君登壇)
○四十四番(和田篤夫君) 再々質問の時間もちょっとございませんので、最後に地域外交というのを本当に私は大事だと思っております。知事には足元の静岡市との善隣もよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(鈴木洋佑君) これで和田篤夫君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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