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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/12/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 教育現場の危機的状況について
(1)現場の声に応える教員の配置
(2)不登校児童生徒のための居場所づくり
2 困難を抱えた県民への支援充実について
(1)予期しない妊娠により不安を抱えた女性への支援
(2)子供や家庭のための組織の充実
3 企業におけるダイバーシティー経営の促進について
4 豊かな農山漁村の継承について
 o ガストロノミーツーリズムの推進
5 住宅断熱化の促進について


○議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により六十五番 佐野愛子君。
       (六十五番 佐野愛子君登壇 拍手)
○六十五番(佐野愛子君) 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として一括質問方式にて伺います。よろしくお願いします。
 まず、教育現場の危機的状況について二点伺います。
 初めに、現場の声に応える教員の配置について伺います。
 もっともっと子供たちと向き合いたい、分かる楽しさを子供たちと共有したい、若い教職員からの声です。さらに憧れの先生になったのにこの状態ではもう無理、将来が見えない、先生で居続けられない、助けてと言いたくても言えない、ほかの先生たちもみんな追い詰められているからなどの悲痛な声をたくさん聞きました。描いていた教師像と現実とのギャップに失望している若い先生たち。あまりにも残念です。
 教育現場は危機的状態にあるという認識が社会全体に広がっています。まさに社会全体でこの危機の解決に立ち向かっていかなければ日本の教育の未来はないというところまで追い詰められています。教育現場の悲痛な叫びは人が欲しい、人が足りないということに尽きています。
 今年度初め、県内小中学校では七十六人の教員が欠員のままスタートしました。その後も途中で体調を崩し休職する先生などが相次いでいます。それを補完する教員が来ないので校内の教員で授業等を回します。大規模校の教務主任が学級担任を兼任している、また教頭なのに毎日授業を四時間するなど考えられない働き方を強いられています。
 定数が足りていない現状は、中学校では年度当初二十人の不足であったのに十一月は四十二人の不足と倍以上になっています。県教委は年度当初からこの事態をどのように捉え対策を打ったのでしょうか。
 周知のとおり、教職員は四%の教職調整額が支給されており残業代はありません。どんなに仕事が増えようと時間が遅くまでかかろうと給料は変わりません。定額働かせ放題とやゆされています。ただただ使命感と情熱だけで頑張るにはもう限度です。
 また、教育が困難になっている要因としてどのクラスにも座っていられない子や教室を飛び出す子が数人いて、担任一人ではとても授業ができない状態です。支援を要する子のためのファイルの記入も大変な負担となっています。また特別支援学級においても特性も学年も様々である現在の一クラス八人という定員のままでは授業も成り立ちません。定数の見直しや級外の配置が必要です。
 こうした現状を根本的に解決するためには国の定数改善を待っていたのでは間に合いません。山梨県は県独自の二十五人学級を段階的に進めています。様々な先々の見通しはあるかとは思いますが、現状の学校がここまで疲弊していては取り返しがつかないことになってしまいます。教育現場が持続可能でさらに魅力あるものになるために改善していくことが急務であると思います。
 県の教育全体の経営陣とも言える教育委員の方々は、このような義務教育の現場の危機的状況についてどのような認識を持ち議論されているのでしょうか。教職員の人員配置の拡充について県の公教育をつかさどるトップである教育長に伺います。
 次に、不登校児童生徒のための居場所づくりについて伺います。
 小中学校で二〇二二年度に三十日以上欠席した不登校の児童生徒数は、全国で過去最高の二十九万九千四十八人に達しているとの調査結果が示されました。静岡県においても九千四百四十七人と過去最高となっています。こういった不登校の児童生徒のうち約四割が外部的な支援を受けておらず孤立状態であり、不登校は日本の未来を左右しかねない大きな社会問題であると言っても過言ではありません。
 そういった子供たちの居場所の一つとしてフリースクールが存在します。これら民間のフリースクールに対してこれまで行政の支援や連携は全くと言ってほど足りていませんでしたが、県教委では今年度フリースクール等との連携強化を進めるための協議会を立ち上げました。子供たちの多様な学びの場を確保するためには、こうした連携を強化する取組はとても必要なことであります。
 さらに私は、教育委員会ができることで一番効果的なのは全小中学校内へ不登校支援のためのスペースを設置し、そこへ専従の指導員を配置することではないかと考えます。
 藤枝市では昨年から市内の全中学校に登校支援室を設置し専任支援員を配置しています。その結果不登校生徒の三割が自分のペースで支援室に通学できるようになり支援室に登録している生徒のうち二割、百二人中二十人の生徒が教室復帰できました。学校復帰だけが全てではありませんが、このように居住する学区内にそうした学びの場があれば保護者は学費も交通費も負担しなくて済むことになります。
 愛知県岡崎市でも市内の全小中学校に不登校のための教室を設置し、生徒指導の理解の深い学校の核となる教員を担任としています。岡崎市教育長の主張のように不登校児童生徒の選択肢はいろいろあっていい、しかし地域の学校は子供たちにとって重要な居場所であり続けたい。子供が地域の絆を保ちながら周囲も支援できる本来通うべき学校に居場所があることが本人にとっても保護者にとっても安心できる一つの選択肢であると思われます。さらに学校内の目が行き届く場所にそういった子供の居場所があれば教員が学級づくりを見直すきっかけにもなります。
 不登校児童生徒のための学校での居場所づくりについて、この課題をどう捉え対応していくのか、市や町に働きかけるというだけではなく県でやるべきことは何なのか、教育委員会の所見を伺います。
 次に、困難を抱えた県民への支援充実について二点伺います。
 初めに、予期しない妊娠により不安を抱えた女性への支援について伺います。
 子供は未来の宝として大切に育てられるべきものであると誰もが認識している一方で、子供への虐待が後を絶たないことも事実です。さらに虐待による痛ましい死亡事例もあります。
 厚生労働省の検証結果によりますと、虐待死の現状はゼロ歳児が全体の四八%と最多でそのうち生後ゼロか月が二五%を占めており、望まない予期しない妊娠が母親による虐待死の主な原因になっています。
 生まれて間もない乳児が遺棄される事件は全国各地で発生しており、本県でも二〇一七年に二十歳の女子大生が生まれたばかりの嬰児を茶畑に遺棄したという衝撃的な事件や今年五月の沼津市での海岸の乳児の遺体遺棄事件も記憶に新しいところであります。
 このような事件が起こるたびになぜ誰かに相談しなかったのか、家族や友達は気がつかなかったのかと誰もが思います。しかし本人は周囲と孤立した状態で思い悩んでいるうちに日ばかり過ぎてしまったという本当につらい状況であったと思います。妊娠の責任は女性だけにあるのではないはずなのに交際していた相手に打ち明けると突然連絡が取れなくなった、経済的に頼ることなどできないというケースも多く女性ばかりが自分を責め、悩み、心も体も傷つくというのはどう考えても理不尽です。
 埼玉県のクリニックによりますと、予期しない妊娠をして病院に駆け込む女性の三割は中学生と高校生ということです。身近な家族ですら妊娠に気づかないほど孤立しています。
 本県では、予期しない妊娠により悩みを抱えている女性が相談できるしずおか妊娠SOS相談窓口を平成二十四年十月より開設し、一名の助産師が週に二回四時間の相談に応じています。これまでの相談内容は年代としては十代が一番多く四百八十六件、続いて二十代が四百二十九件となっており内容は妊娠判定、中絶、出産、費用とのことで若い世代には重い内容です。このように悩み苦しみ追い詰められた女性の相談支援として今の体制はどう考えても十分であるとは言えません。
 また、本県で設置している性暴力被害者センターSORAと連携を図っていくことも必要ではないでしょうか。福岡県では二十四時間受け付ける相談窓口を開設し、必要に応じてスタッフが本人に会いに行って病院等への同行支援もしています。そして出産や産後に適した居場所を提供し、生活や育児の支援をしながら自立へと結びつけていくシステムも構築しています。必要に応じて特別養子縁組等もされています。
 ついては、予期しない妊娠により不安を抱えた女性への支援に県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、子供や家庭のための組織の充実について伺います。
 困難を抱えている子供や家庭を支援するために、さらに少子化対策にも対応するために国は今年四月にこども家庭庁を立ち上げました。教育や福祉などの縦割り行政では立ち行かない実態に沿った方向であります。
 しかしながら、地方自治体はまだその改革に追いついてはおらず、困難な課題に対して組織をまたいで対応することができていません。認定こども園ができたことにより保育と幼児教育が少し歩み寄りつつありますが、学校と放課後児童クラブなどにはまだ壁があります。
 学校現場においても、外国籍の子供たちへの指導、家庭での虐待や貧困による弊害、自閉症や発達障害への対応など全て教育委員会下で教職員が対応するには限度があります。県内では焼津市では教育委員会に属してはいますが昨年から学校福祉部という組織を立ち上げたり、藤枝市でもこども・若者支援課を教育委員会と同じフロアに立ち上げたりして子供の問題に対応する組織の改革が行われているところです。
 県においては、困難を抱える子供たちや家庭が増える中その対応に当たる部署の業務が肥大化しているようにも見受けられます。県はこども計画の策定も進めるということですが子供や家庭の問題解決を図るための部署の見直し、人員の充実が必要であると思われますが見解を伺います。
 次に、企業におけるダイバーシティー経営の促進について伺います。
 現在の産業界において大きな課題は、少子高齢化による労働力不足と顧客の価値観の多様化に伴うニーズの多様化であると言えます。これらの課題に対応するためには企業も大きな発想の転換を求められています。ダイバーシティー、多様性を理念に据えることがその解決につながると考えます。
 私は平成二十八年の十二月議会で多様性のある県土ダイバーシティーふじのくにの構築についての大項目の下、企業のダイバーシティー経営の促進について一般質問をさせていただきました。あれから七年、時は流れましたが改めて質問をさせていただきます。
 ダイバーシティーとは簡単に多様性と訳されます。組織やグループなど多様な人材を登用し声を取り入れたりそれぞれが持つ違った能力を生かしたりすることで、多様なニーズに応え対応し組織の競争力を高めていくという取組です。具体的には年齢や性別、国籍、人種、民族、障害のあるなし、LGBTQなどの性自認などそれぞれの違いを単に保護するだけではなく、ひとしく認めてお互いの違いを受け入れ生かし合いながらそれぞれに実力を発揮できる職場の在り方を指しています。
 県内の企業でも、ヤマハグループでは会社の運営方針にダイバーシティー、エクイティー&インクルージョンを掲げています。社内では無意識バイアス研修  無意識の偏見ですね  を行ったり、同性のパートナーでも配偶者や家族と認めていたりするなどの方策が組み込まれています。そんな職場環境の整備を促進することは住んでよし働いてよしの理想のふじのくにの構築には必須の取組です。
 茨城県は、ダイバーシティー経営促進のために具体的なダイバーシティースコアを県が作成しており、それぞれの項目を示し達成しているか見える化しているそうです。静岡県においても取組企業の裾野拡大を図るとともに、企業のダイバーシティー推進の取組を支援し県内企業の人材確保にもつなげていくことが重要だと思います。県の所見を伺います。
 次に、豊かな農山漁村の継承についてガストロノミーツーリズムの推進について伺います。
 食は文化であり静岡県には多くの食材に恵まれた豊かな食文化が根づいています。フードツーリズムも大変人気となっています。
 一方、本県で推進しているガストロノミーツーリズムとは何なのでしょう。聞き慣れない発音しにくい単語であり、なじみがありません。本来は古来ギリシャ語でありフランスルイ王朝を引き継ぐ一部階級だけのものでした。美食美味と訳されぜいたくなうまいものだけを食べることとも理解されていますが、それでは意味がありません。
 さて、各地では道の駅や農家の直営物産市などが大変な人気です。地元で取れた新鮮な野菜や物産品が並べられ見ているだけでも楽しくその土地の特徴をつかむこともできます。この秋も収穫の秋でいろいろなイベントが開催されました。私の地元のイベントせとやまるかじりでは、特産のコロッケや串焼きやヤマメの塩焼きなどに大きな行列ができていました。
 そんな食の魅力の中でも手作りの伝統食品や漬物は人気です。農家のお年寄りが自宅で取れた白菜や大根、漬物にしたり梅干しやラッキョウ、みそなどを漬け込んだりして販売しています。発酵おばあさんや笹餅ばあさんなどもテレビで放映されブームです。
 しかしながら、来年六月からは漬物を販売するにも衛生管理の許可が要ることになり、直売所の存続や農村の活性化に大きな影響が出ることが危惧されています。また農家民宿では自分で収穫した野菜を調理して楽しむことなどを勧めています。このような取組は在来種の作物を守ることにもつながります。
 これらのことから、ガストロノミーツーリズムでも一部の高級レストランのシェフが活躍するだけではなく、県内の農村漁村とつながり地域の活性化に寄与することが重要だと思います。ローカルガストロノミーの視点です。県内全域に増えたふじのくに食の都づくり仕事人を活用して地方のノウハウを盛り込んだ伝統的な調理方法と料理の実践を広めて環境を大切にした持続可能な地元の製品を作り出していく、このような取組が広がれば豊かな農村の継承にも役立ち県の食文化全体に貢献し観光の裾野を広げるものとなると思います。
 そこで、ガストロノミーツーリズムの推進についてこれまでの取組の状況と今後の取組の方向性について伺います。
 最後に住宅断熱化の促進について伺います。
 地球温暖化の進行は、豪雨や干ばつなど近年の異常気象による災害の要因と一つとされており、未来に対する大きな脅威となっています。県が策定した第四次地球温暖化対策実行計画の目標の達成に向けては各部門での徹底した省エネ対策の推進が不可欠です。温室効果ガスのうち二酸化炭素の排出量に着目してみますと家庭部門が全体の一八%を占めています。住宅の省エネの推進は他の部門の省エネと比べ効果的な対策であります。
 さらに、断熱性を高める住宅の省エネは光熱水費の節約にもなりますし、結露防止によって住宅の耐久性も高めます。また健康面にも大きな効果があることが注目されています。最近の研究では室温の低下が血圧の上昇を引き起こすという結果が出ており、WHOのガイドラインでは血圧対策として室温を十八度以上にすることが推奨されており、これまで注目されていたヒートショック対策だけでなく室温の安定も健康寿命の延伸につながるのです。
 しかしながら、元来日本の住宅は夏を旨として造られており、風通しがよく開放的な空間となっている反面隙間風だらけです。冬の暖房は五八%の割合で熱が流出して、夏の冷房は七三%の割合で熱が入ってくることが分かっており室温一八度を保つことは難しいようです。
 このような中、藤枝市では本年度から国、県と協調して住宅の断熱化など省エネに向けた無料診断、設計、改修の助成を行う事業に取り組んでいます。無料診断を実施しているのは県内でも藤枝市のみとなっており、設計、改修助成を含めても県内で取り組んでいるのは四市にとどまっているのが現状です。
 本県では、周知のとおり木造住宅の耐震化を促進する「TOUKAI 0」が総仕上げの段階です。今後も県民の命を守る取組が求められる中、県は新たな重点施策として住宅の断熱化の促進にスピードを上げて取り組むべきと考えます。県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答えいたします。
 企業におけるダイバーシティー経営の促進についてであります。
 企業が持続的に成長を続けていくためには、深刻化が予想される人手不足への対応に加えて市場のグローバル化や消費者意識の変化に対応する必要があります。そのためには多様な人材が生き生きと働くことができる職場環境づくりが不可欠であります。
 県では、様々な人材が活躍しやすい職場環境づくりを推進するため企業に対し経営者向けセミナーの開催やアドバイザー派遣などの支援をしております。また女性、高齢者、障害のある方、外国人など様々な背景を有する方に対し、その能力を十分に発揮していただくためのきめ細かな就業支援や職場定着支援を併せて行っているところであります。
 しかし、今後市場のグローバル化が加速する中、企業を継続的に成長させていくためにはダイバーシティー経営の実践が必要であります。今まさに経営者には自社の経営課題の解決に向けて多様な人材の活躍を経営戦略として位置づけ、ビジネス上の成果につなげていくことが求められています。
 国がこうした成果に結びつけた企業を表彰したダイバーシティ経営企業百選には、本県からも富士市のジヤトコ、吉田町の大川原製作所、静岡市のアクタガワの三社が選ばれております。この三社はいずれも経営戦略として女性や外国人などの積極的な登用に取り組んでおります。それにより業績や企業イメージが向上し従来から働いている社員にも好影響を与え事業の拡大等に結びつくなど、幅広い波及効果が現れております。
 こうしたダイバーシティー経営の実践がイノベーションの創出等を促し、それが多様な人材の確保につながっていくという好循環の創出の第一歩として、これらの先進的な取組企業を積極的に広報することにより経営者の理解を深めてまいります。
 加えて、ダイバーシティー経営の実践を支援するアドバイザーの派遣や外国人雇用に関する相談体制の整備などにより取組企業の裾野の拡大に努めてまいります。
 次に、豊かな農山漁村の継承についてであります。
 ガストロノミーツーリズム、ガストロノミー、食文化と訳され、ツーリズムはもちろん観光であります。この食文化と観光を一体にするガストロノミーツーリズムの推奨、推進についてでありますが、本県では四百三十九品目の多彩で高品質な農林水産物を生かした食の都づくりに自然景観、歴史、文化などの魅力ある観光資源を融合し、食文化をテーマに、来訪者に感動体験を提供する取組に注力しているところであります。
 SAVOR JAPANという食と景観をともに味わうそういう試み、農水省が指導しておりますが、これまで浜松・浜名湖地域と大井川地域が認定されていました。そこに去る十月二十六日に富士山麓・伊豆半島の地域が食と景観の魅力を海外に発信しインバウンド需要を農山漁村に呼び込むSAVOR JAPANとして認定されました。これによりまして西部、中部、東部と本県全域の食と食文化のすばらしさが認められたことになります。
 ちなみにこの東部の認定につきましては、当時農林水産副大臣を務めておられた勝俣議員の御活躍があったことを申し添えておきます。
 また、県内の二十地域が国から地域ぐるみで滞在型グリーンツーリズムに取り組む農泊地域、農家民宿への宿泊、縮めて農泊でございますが、農泊地域の認定を受けております。議員のお膝元である藤枝地域活性化推進協議会が昨年度農泊地域の認定を受け、天空の有機茶畑ツアーなどを実施されています。また川根路農泊推進協議会は、地元食材のユズを活用した調理体験プログラムや特産品を開発し、七戸の農家民宿が開業するなど着実に成果が上がっております。こうした個々の成功事例を県内全域へと拡大していくため、本年度県内の農泊地域、農林環境専門職大学や県観光協会等で構成する農泊ネットワーク組織を設立いたしまして地域間の連携や情報発信の強化に努めてまいります。
 さらに、本県の食文化の価値を一層磨き上げていくためには料理人と生産者の相互の理解と連携を深めることが重要です。このため、ふじのくに食の都づくり仕事人によるレストランフェアのほか仕事人が生産現場を訪問するマッチングツアー、調理専門学校生を対象とした食の都の授業を通じて地域ならではの食の魅力を創出してまいります。
 生産者、料理人、観光事業者、市町などと連携し地域の伝統的な特産品や料理の提供、農山漁村の体験ツアーなどを取り入れたガストロノミーツーリズムを県内各地で、したがってローカルガストロノミーツーリズムというふうにおっしゃいましたが、その言葉のほうがいいかもしれませんが、これを県内各地で展開し食を生かした地域の活性化を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 教育現場の危機的状況についてのうち、現場の声に応える教員の配置についてお答えいたします。
 子供は社会に希望と活力をもたらす大切な宝であり、その育成は県政の理念を富国有徳とする本県にとって何より重要であります。私を含め教育委員会の委員は移動教育委員会として年に数回学校を訪問し児童生徒が学ぶ姿に接するとともに、現場が抱える課題の把握に努めております。使命感を持ち教育に心血を注ぐ教師の姿を誇らしく思うと同時に多忙や疲弊の状況も感じており、その対策を思慮しているところであります。
 これまで、県教育委員会は定数改善を本来行うべき国に対して改善を強く要望する一方で、静岡式三十五人学級編制実現のための県単独措置による教員配置のほかスクール・サポート・スタッフの全校配置や支援の時間拡充、共同学校事務室の全市町設置などによる教員サポート体制の充実に努めてまいりました。最近ではICTの活用や文書削減、部活動の地域移行など教員の負担を軽減する取組を市町教育委員会と協力して進めております。
 産育休等の欠員につきましては、これまで教職員人材バンクなどを活用しながら補充に努めてまいりました。現在も教職員OBが非常勤講師等として活躍していることから、今後関係団体の御協力を頂きながら柔軟な働き方が可能な六十代の登録者の掘り起こしを進めてまいります。
 また、特別支援教育につきましては、現在通常学級で特別な支援を要する子供への支援員と多人数の特別支援学級を有する学校への非常勤講師を配置しており、本年度は新たに集団生活等への適応を支援する養護教諭をモデル的に配置いたしました。引き続き効果的な教職員の人員配置について検討してまいります。
 県教育委員会といたしましては、定数改善などにつながる国の予算の動向に注視するとともに、これまで以上に現場の声に耳を傾け市町など組織の枠を超えた様々な主体と連携協力し、教員の働く環境の整備や教職員の人員配置の工夫と拡充に努めてまいります。
 次に、不登校児童生徒のための居場所づくりについてであります。
 児童生徒の学びに対する考え方が多様化する中、教育機会確保法の理念の下増加する不登校児童生徒の居場所をつくり学びを保障していくことが教育における極めて重要な課題となっております。
 校内の教育支援センターや保健室、市町が運営する校外の教育支援センターや民間が運営するフリースクールなど様々な場所で不登校児童生徒は学んでおり、どれも欠くことのできない重要な居場所です。各市町が自らの責務として校内や校外に教育支援センターの設置を進めている中で、県教育委員会では誰一人取り残さないとの認識の下、不登校児童生徒の受皿となるフリースクールへの支援を検討するとともに、運営主体同士の連携を深め児童生徒が安心して必要となる学びを選択できる環境整備や体制づくりを進めております。
 本年九月には、フリースクール等の民間団体や市町教育支援センターなどに呼びかけ現状や課題の把握と今後の対策について協議する連携協議会を設置したところであります。児童生徒が安心できる学びの場の創出に向け官民が一体となり取り組んでまいります。
 議員から御紹介のありました校内教育支援センターは、教室に近い学びの場として大変重要です。本県でも藤枝市をはじめ七割を超える市町で設置され、新規の不登校児童生徒が減るなど効果が確認されております。設置市町は会計年度任用職員の配置や複数の教職員の分担など様々な工夫の下で運営しており、さらなる設置促進に向けて市町からは人員配置などの面で課題があると聞いております。現在国において人的配置も含めた支援制度の拡充が検討されており、その確実な実行を要望してまいります。
 県教育委員会といたしましては、不登校児童生徒が個々の状況に応じた場において学ぶことができるよう、引き続き市町教育委員会や民間団体と連携しながら多様な学びの場を確保していくことで誰一人取り残さない教育を実現してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 困難を抱えた県民への支援充実についてのうち、予期しない妊娠により不安を抱えた女性への支援についてお答えいたします。
 県では、予期しない妊娠により不安を抱えている方が相談できるしずおか妊娠SOS相談窓口を開設し、年間百件を超える電話やメールによる相談に寄り添った対応をしております。
 身近な人に妊娠を打ち明けるのが難しく医療機関を受診していない相談者に対しては、健康福祉センター職員による医療機関への同行支援や初診時の費用助成を行っております。加えて経済的な困窮や若年妊娠などの理由で保護が必要な場合は、本人や保護者の意向を踏まえ出産に至るまでの日常生活の支援が可能な婦人保護施設で受け入れております。
 一方で、母子が健康で安定した生活を送るためには出産後の子供の養育や自立に向けた支援も必要になることから、今後は児童福祉法の改正に伴い新たに制度化されることとなった相談支援から生活支援、さらに自立支援まで一元的に担う妊産婦等生活援助事業所の設置に向けて関係機関と共に検討してまいります。
 さらに、性暴力被害に関係する相談については専門相談窓口である静岡県性暴力被害者支援センターSORAを紹介し連携して対応しております。また中絶可能時期や出産予定日が差し迫るなど緊急性が高い相談につきましては、県を通じて市町や医療機関に連絡し本人の状況確認や必要な対応をすることとしておりますが、今後相談者の利便性の向上や相談対応の迅速化に向け窓口の運用時間や受付体制の見直しを検討してまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 京極経営管理部長。
○経営管理部長(京極仁志君) 困難を抱えた県民への支援充実についてのうち、子供や家庭のための組織の充実についてお答えいたします。
 困難を抱える子供や家庭の支援は近年課題が増加するとともに、福祉や教育など様々な視点からのアプローチが求められており既存の組織の枠組みを超えた対応が必要となっております。
 このため、知事部局では健康福祉部を中心に関係する八部長と教育部長、警務部長で構成するふじさんっこ応援推進本部を、教育委員会でも同様に関係部長等を構成員とする静岡県青少年対策本部を設置し庁内の関係部局が連携していじめや虐待の防止、障害のある子供への対応、外国にルーツを持つ子供の支援等に取り組んでおります。
 さらに来年度は、策定が進められている国のこども大綱を踏まえ全庁一丸となった取組を加速するため、二つの本部で進めている計画を一元化し新たなこども計画を策定することにより少子化対策、子育て支援、子供の貧困対策など多分野にわたる子供、家庭の問題解決に向けた具体的な施策を総合的に推進することとしております。
 今後、新たなこども計画の策定と合わせこれらの施策の効果的な推進にふさわしい組織の在り方を検討するとともに、必要な業務を着実に行うことのできる適正な人員配置に努めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 住宅断熱化の促進についてお答えいたします。
 住宅の脱炭素化を進めるためには、高い断熱性能を持つ新築住宅の普及とともに既存住宅の省エネ、断熱改修の加速が必要となります。
 このため、県では県内の中小工務店が建築するZEH水準の新築住宅について国の補助対象とならない世帯を対象に県独自の補助制度を実施し、既存住宅については市町と協調して専門家の派遣による無料の省エネ診断とともに改修工事、設計への補助を行っております。
 今後は、省エネ診断において新たに改修に係るコストや冷暖房の削減額等のメリットも分かりやすくお伝えし、藤枝市の実施例を紹介しながら市町の支援制度の導入も加速することにより改修の促進に取り組んでまいります。また中小工務店を対象とした省エネ計算やZEHの設計、施工に係る技術研修会や一般の方向けのセミナーを開催し、物価高騰対策としても有効な住宅の脱炭素化への理解を促進してまいります。
 県といたしましては、住宅の省エネ化、断熱化が経済性や快適性、健康面からも効果があることを情報発信するとともに、支援制度の活用を促進し脱炭素社会の実現に向けて高い断熱性能を持つ住宅ストックの形成を進めてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 佐野愛子君。
       (六十五番 佐野愛子君登壇)
○六十五番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を一点、再質問を二項目お願いします。
 まず、ダイバーシティーですがお互いの違いを認め合って高めていくという大変すばらしい理念だと思います。労働局におきましてはただの人材、労働力確保というだけではなくて県全体にその理念を広めていく、そのような心得にお願いしたいと思います。お互いの違いを認めれば争いもなくなりますし、しいては平和につながるという大事な事業だと思います。よろしくお願いします。
 さて、妊娠についての再質問。性暴力被害者センターはその緊急性も踏まえて病院連携型として健康福祉部で所管したらと思いますが、いかがでしょうか。
 また今度、教育委員会にお願いします。私はあくまでも定数のことを言っているのであって、様々なスクール・サポート・スタッフとかありがたいんですけれども、授業ができてしっかりと分掌が持てる定数のことについてお答えしていただきたいと思います。県の人材バンクではどの程度機能したのでしょうか。そして県の三十五人学級では立ち行かなくなっているので今のような状態が起こっているわけです。
 本年度は定年延長で退職する教職員がいないわけですよね。そうなると新採はどの程度採用する見込みでしょうか。計画そして不足がないような見込みを立てる必要があると思います。ぜひとも子供たちが困らないような対策を望みます。
 そして、不登校支援ですがやはり国を待っているとか国とか市町ではなくて、やはり県として何ができるかということをもう一度お答えしていただきたいと思います。以上答弁を求めます。
○議長(中沢公彦君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 再質問、SORAが健康福祉部でやったらどうかというお話でございます。
 答弁の中では、SORAにつきましても連携してというふうに御答弁をさせていただきました。当部が所管しております妊娠SOS相談窓口、こちらについては不安や悩みを抱えた妊婦本人の体とか精神的なケア、出産後の子供の支援等々で母子保健ですとか児童福祉を所管するという意味で、健康福祉部でやっております。
 一方、お尋ねがありましたSORAにつきましては、性暴力被害の身体的・精神的ケアこれもございますが警察等との連携が必要であることから、性暴力者被害者支援を含めた犯罪被害者支援の一翼を担うという意味でくらし・環境部で今担当しております。それぞれ相談対応につきまして特徴がございますのでそうした特徴も今後もさらに生かしながら、両部、両機関がですね連携しながら取り組んでいきたいと思います。
 しかしながら、他県の状況等も把握をいたしまして、効果的な相談体制の事例等があればですね、改めて検討もしていきたいというふうに考えております。以上です。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 教育現場の危機的状況についてのうち、現場の声に応える教員の配置に関する再質問についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、現在定数上で大きな問題を抱えているということは私どもも十分にその認識を共有しております。
 一方で、今これから数年の間で定年延長があったり新たな文部科学省の予算措置等の見込みもあったりということで少し先行きの不透明な部分もございますので、それを見越して定数の改善について私どもでできることをやっていきつつ、一方スクール・サポート・スタッフあるいは非常勤講師等の手当てをもって学校現場の混乱を少しでも抑えていくような措置を取っていきたいと思っております。
 教職員人材バンクにつきましては、十一月現在で約千六百人の登録がございます。また採用試験終了後の学生等の登録も約二百人増加している状況ですので、そういった人材の活用を意図しながら学校現場に我々のできる範囲で対応していきたいと考えております。
 また、不登校の対策について県としてできることでありますが、これは基本的には先ほど申し上げたように県として大きな枠組みでの協議会を立ち上げそれを実質的に運営していくというところに私ども県教育委員会のイニシアチブが発揮されると考えております。研究協議会で現状を把握し課題を明示し、連携協議会において県内の様々な主体とその課題これを共有して新たな政策上の必要性をまた研究協議会で検討していくと、こういった現場との連携が私ども県教委のイニシアチブでやるべきことと考えております。以上であります。
○議長(中沢公彦君) 佐野愛子君。
       (六十五番 佐野愛子君登壇)
○六十五番(佐野愛子君) ありがとうございました。
 性被害と妊娠SOSにつきましては、愛知県は日赤で総括している病院連携型の支援センターと警察部門の支援センターと両方持っています。そのようなことも参考にしてまた御検討をお願いしたいと思います。
 教育長ですが、やはり人材バンクは何人マッチングしたかと聞いていました。登録数は聞いていません。そして不登校支援につきましても協議会とかのことを聞いているのではなくて、あくまでも校内に設置している不登校支援室について、県は何をできるかということをお伺いしました。
 あと、先行き不透明というのも分かるんですけれども、定数その採用控えで現状の現在の子供たちに影響が出ているということは納得がいかないと思います。子供たちにとって当然いるべき先生がいないこと来るべき先生がいないことがどんなに不幸であるか、そして学ぶ権利を侵害させるかということを認識していただきたいと思います。来年度の当初は定数を不足を出さないということを教育長の答弁をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。教育長、御答弁をお願いします。
○議長(中沢公彦君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) 再質問についてお答えいたします。
 来年度当初、議員の強い御要望のある欠員のない状態でスタートできるように我々としても最大限の努力をしてまいります。以上であります。
○議長(中沢公彦君) これで佐野愛子君の質問は終わりました。(拍手)

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