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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

須藤 秀忠 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/02/2008

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 医療の充実について                        
 (1) 医師不足対策としての医科大学の新設               
 (2) 周産期医療充実のための対策と医療機関への支援          
2 魅力ある富士山観光について                    
 (1) 富士山総合文化センターの整備                  
 (2) 富士山周辺の桜を活用した景観づくり               
3 日本ジャンボリー開催の準備状況について              
4 岳南地域の広域的な道路網の整備について              
 (1) 岳南北部幹線の整備方針                     
 (2) 県営農免農道安居山第二地区の早期開通              
5 畜産堆肥の利用促進について



    ○副議長 (込山正秀君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 五十二番 須藤秀忠君。
            (五十二番 須藤秀忠君登壇 拍手)
    ○五十二番 (須藤秀忠君)  私は自由民主党所属議員として当面する県政の諸課題について、 知事及び関係部局長、 教育長にお伺いいたします。
     私は、 静岡県の二十一世紀の最大の課題は医療の充実であると認識しております。 そこで初めに、 医療の充実についてのうち、 医師不足対策としての医科大学の新設について伺います。
     最近、 新聞やテレビを見ていますと、 県内の自治体病院からの医師の引き揚げのニュースが目に飛び込んでまいります。 富士市立中央病院、 藤枝市立総合病院などで医師の引き揚げが問題化し、 産婦人科などの休止が現実の問題となってきております。 それぞれの地域の住民にとっては、 お産もできない、 病気になっても診療してもらうことができないという命にかかわる切実な問題です。
     富士市では、 市民が富士市立中央病院産婦人科を守る会をつくり、 産婦人科の存続を求める約十三万七千人分の署名を市長に提出しました。 安心して暮らせるよう身近に医師にいてほしいという住民の方々の切実な声、 要望が新聞などにも寄せられておりますし、 私たちのところにも届いております。
     本当にこのように医師がいなくなってしまって大丈夫なのでしょうか。 我々も昨年、 静岡県医療水準向上推進議員連盟を立ち上げ、 本県の医療水準の向上を目指して取り組んでおります。 先月の十八、 十九日にも和歌山県立医科大学及び奈良県立医科大学を訪問し、 医師養成や医師供給の状況などを調査してまいりました。 お話を伺ったところ、 和歌山県立医科大の学長から県民の医療は県立医科大学が責任を持って背負っていくとの熱烈な郷土愛に燃えた思いをお聞きするとともに、 それぞれの医科大学が県内の医師養成、 医師供給に大きな役割を果たしており、 医師不足もそれほど顕著になっていないとのことでした。
     御承知のとおり、 本県にある医科大学は浜松医科大学の一校のみです。 人口当たりの医科大学の定員数で比べてみますと、 本県は全国平均より著しく低い状況にあります。 もちろん県では奨学金の貸与などのさまざまな医師確保対策を講じておられますが、 それだけでは十分とは言えないのではないでしょうか。 他の県では、 医科大学が複数設置されている県もありますし、 調査した和歌山や奈良のように県立の医科大学を設置している県もあります。
     私は、 人口の多い本県の場合には、 県内に医科大学が三校ぐらいは必要ではないかと思います。 西部地域には既に浜松医科大があります。 中部地域においては薬学部や看護学部を有する静岡県立大学がありますので、 新たに医学部を設置し県立総合病院と連携していけばいいのではないでしょうか。 また東部地域においては県立静岡がんセンターがありますので、 新たに医科大学を設置しがんセンターと連携することが可能ではないでしょうか。
     医科大学の県内への設置につきましては誘致という方法もあります。 私は、 浜松医大のみに依存するのではなく、 県が主体的に県内の医師供給ができる医科大学の設置が必要と思います。
     これまで国は、 平成九年の閣議決定により医師養成数について抑制策をとってきましたが、 今般この閣議決定を見直し、 医師養成数の大幅な増加を検討していると聞いています。 知事は、 すべての県民が安心して健康で生き生きとした生活を送ることができる県民暮らし満足度日本一の達成を目指しておられます。 そこで医師不足が大きな課題となっている今こそ、 健康で心触れ合う安心社会実現のため、 県が関与できる医科大学の新設が求められるのではないかと思いますが、 県の考えを伺います。
     次に、 周産期医療充実のための対策と医療機関への支援について伺います。
     少子化対策の強化が叫ばれる中、 産婦人科や小児科医師の不足による出産への不安、 特に妊娠二十二週から出産後一週までの周産期医療への不安は社会問題化しています。 厚生労働省の調査によれば、 静岡県は人口十万人当たりの医師数が全国第四十四位という低さにあり、 また地域によって医師数に格差があります。 例えばハイリスク分娩を担う医療機関の医師数で比較しますと、 人口約八十七万人の西部地域では浜松医科大学附属病院等の五病院に六十七人の産科、 新生児科医師が確保されているのに対し、 人口約三十九万人の富士地域では富士市立中央病院と富士宮市立病院で十六人と、 人口比率から見ても格差があります。
     このような中、 富士地域唯一の地域周産期母子医療センターである富士市立中央病院の産婦人科医師全員の引き揚げが発表され、 このままでは来年四月以降、 富士地域における周産期のハイリスク妊婦等は富士宮市立病院に集中することが予想されます。 富士宮市立病院ではハイリスク妊婦等の増加に備え、 通常分娩の受け入れを制限するとともに病院の施設整備や産科医師との連携に必要な小児科医師の確保を図り、 地域周産期母子医療センターとしての機能を備える方針を打ち出しました。 このことは富士地域における喫緊の課題となっています。
     そこで、 私自身も以前県医療審議会の会長として県保健医療計画の取りまとめ役を務めてきましたが、 適切な医療提供体制を整備実現していくために、 県として産婦人科や小児科の医師不足が顕在化している中、 周産期医療を確保するためどのような対策を講じていくのか伺います。
     また、 病院経営上大きな負担となる地域周産期母子医療センター等の整備に対して、 県としての財政的な支援を求めるものでありますが、 この点についての県のお考えをあわせて伺います。
     次に、 魅力ある富士山観光についてのうち、 富士山総合文化センターの整備について伺います。
     古今東西に比類なき美しさと神々しさ、 哲学的気高さを誇る霊峰富士の姿は、 世界から訪れる観光客を魅了しております。 しかしはるばる海外から富士山を目指して訪れたものの、 偶然にも訪れた日が曇りや雨天であったとすれば、 その姿を目にすることはできず楽しい思い出は残せません。
     幕末の偉人、 山岡鐵舟翁は、 「晴れてよし 曇りてもよし富士の山 元の姿は変わらざりけり」 と歌に詠まれましたが、 未練を残して帰国された方にすれば、 「晴れてよし 曇りてはむなし富士の山 姿見ざればなきに等しき」 と詠みたくなるのではないでしょうか。
     富士山静岡空港の開港を来年三月に控え、 本県にとって国際的な観光の拠点として富士山が重要な価値を持つものであることは疑いもなく、 富士山のふもとに住まう者の一人として、 この地を訪れた方にはぜひとも最高の富士山を堪能していただきたい。 そしてこの地を訪れた方があいにくと富士山を見れなかったとしても、 何か富士山を実感していただける施設があればそのような思いをすることはないと考えてまいりました。
     富士山に関しては、 その自然環境だけでなく長い歴史の中で制作された多彩な美術工芸品、 絵画、 写真などさまざまな文化資産からも富士山のすばらしい姿をうかがい知ることができるものであり、 県においては、 富士山にかかわる文献や資料等を調査、 収集されてきていると思います。 こうした各種の資料や収集物を世界文化遺産の登録に生かすことはもとよりですが、 そのような資料を展示などしてその有効な活用を図っていくことが重要であります。
     また、 世界から富士山を訪れる方々に対して地域の伝統文化に触れながらおもてなしをできる施設が、 現在当地域にないことも踏まえつつ、 この施設に来れば、 仮に富士山を見ることができなくとも富士山を実感できる映像機能なども備えた新たな施設を考えていくことが必要です。 富士山静岡空港の開港が目前に迫っている中で、 「富士山、 富士山」 と声高のかけ声だけでなく真の富士山観光を展開していくために、 来訪者に満足いただける施設を整備することが喫緊の課題であります。
     私は、 今まで二回にわたり、 この本会議場で富士山の研究調査も含めた学術の拠点である富士山博物館の建設を提言してまいりましたが、 この際博物館法にのっとった学芸員の設置などをしなくてもよい、 「晴れてよし 曇りてもよし富士の山 総合文化センターありしなば」 と言える世界文化遺産にふさわしい富士山総合文化センターの整備に、 今すぐにでも取り組む必要があると思いますが、 知事の御所見を伺います。
     次に、 富士山周辺の桜を活用した景観づくりについて伺います。
     富士山静岡空港では来年三月の開港に向け、 定期便の就航を決めている航空各社から具体的な運航計画が発表されるなど、 開港へ向けて着々と準備が進められております。 富士山静岡空港開港後は、 本県に国内外からこれまで以上に多くの来訪者が見込まれております。
     静岡県には、 日本の象徴である富士山という来訪者を魅了する資源があります。 富士山は、 いにしえより霊峰富士として聞こえ、 富士山信仰やその秀麗な姿から日本人の信仰や美意識などと深く関連し、 日本の文化の創造において重要な役割を担っております。 一方、 富士山の山ろくから伊豆半島にかけては、 富士霊園、 河津桜など全国的に有名な桜の名所のほか数多くの桜の名所があります。 桜は咲いた美しさもさることながら、 その散りゆく姿にも魅せられ、 日本の国花  国の花、 日本人の心として世界にも知られています。 私は、 富士山静岡空港を活用し交流人口の拡大を図る上で、 日本を象徴する富士山と桜を一緒に見る眺望こそ来訪者に多くの感動を与えるものと思います。
     こうした中、 県では、 元東京大学教授で富士宮市在住の渡邊定元先生を初めとする有識者から意見を聞き、 富士山に桜で彩りを添える景観づくりの基本方針を策定したと聞いておりますが、 富士山周辺を来訪者に魅力ある地域とするため、 桜を活用しどのように景観づくりを進めていく考えなのか伺います。
     なお、 富士宮市上井出には、 この地域の桜の名所で県が管理している天神山自然観察の森がありますが、 桜景観づくりの中でこの施設をどのように活用していくのかあわせて伺います。
     次に、 日本ジャンボリー開催の準備状況について伺います。
     平成二十二年八月に富士宮市の朝霧で開催予定の第十五回大会まで二年を切りました。 既に昨年度から県及び富士宮市が協力し、 また主催者とも連携を図りながら大会開催に向けた受け入れ準備に当たっていることと思います。 そこで、 初めにボーイスカウト組織と行政との連携について伺います。
     日本ジャンボリーは、 全国から二万人余にわたる青少年が富士宮市の朝霧高原に集うボーイスカウトの祭典であるのみならず、 将来を担う若人が全国から集い静岡県を知ってもらう絶好の機会でもあります。 ついてはボーイスカウトと県及び富士宮市が連携して成功に向け進める必要がありますが、 連携状況について伺います。
     次に、 主催者と行政の役割分担について伺います。 開催準備としてあらゆる面からまだまだ解決していかなければならない課題があると考えますが、 両者の役割分担についてどのように整理し作業を進めていくのか、 具体的な項目も含めてその考え方を伺います。
     次に、 地元への支援と連携について伺います。 石川県珠洲市で開催された前回の第十四回大会では、 開催用地の確保や造成、 飲料水の確保、 アクセス道路の整備等に多額の経費を要したと伺っています。 国も地方も財政状況が厳しい中、 その対応も十分検討していかなければならない課題であります。 特に富士宮市は職員の給与もカットしており、 財政状況も大変厳しいと聞いております。 そこで、 地元への支援策についてどのようにお考えか伺います。
     また、 本大会では、 自然豊かなこの地に日本のみならず世界各地から二万人余の青少年が集まり、 集団での野外活動を繰り広げます。 会場予定地から東の方向には、 日本の象徴富士山の雄大な姿を間近に見ることができます。 私は、 今大会の開催を機に、 県として霊峰富士のふもとであるこの地を恒久的な青少年の健全育成の場として強く位置づけ、 対外的なアピールも含めてより一層利活用のために積極的な取り組みをしていく必要があると考えますがいかがでしょうか。 見解を伺います。
     以上、 日本ジャンボリー開催の準備状況について、 教育長の所見を伺います。
     次に、 岳南地域の広域的な道路網の整備について伺います。
     静岡県の道路網の整備は、 平成二十一年三月の富士山静岡空港の開港や平成二十四年度の新東名の一部供用開始、 あるいは富士山の世界文化遺産への広域的な取り組みを受けて、 これらを生かした富士山観光への支援となる整備が特に必要となるなど、 新たな展開期に差しかかっていると考えます。 また岳南地域においては、 今後広域的な合併に向けた動きも想定されます。 そこで、 岳南地域の広域的な道路網の整備に関し、 以下二項目について当局の考えをお伺いいたします。
     初めに、 岳南北部幹線の整備方針についてであります。
     現在の富士市と富士宮市の交通量は、 幹線道路では一日当たりで六万台以上あると聞いております。 わけても朝夕の通勤通学時、 観光シーズンにおける渋滞はいまだ解消されていない状況であります。 加えて今後、 富士山静岡空港の開港や新東名の一部供用開始及び西富士道路の無料化を迎えれば、 ますます交通需要がふえることが予測され、 現状の道路網では交通の受け皿としての容量がさらに不足する結果となります。 さらに富士市の富士山フロント工業団地が平成二十一年六月完成、 そして富士宮市の富士山南陵工業団地が平成二十二年二月に完成予定であり、 産業に関連する交通量の増加も想定されます。
     この解決策として岳南北部幹線が重要と考えますが、 既に都市計画決定され、 第二東名自動車道関連アクセス道路建設促進期成同盟会等において幾度となく要望されているものの、 依然として整備が進んでいない状況であります。 そこで、 岳南北部幹線の整備方針についてどのように考えておられるのか、 当局の考えをお伺いいたします。
     また、 岳南北部幹線は規模の大きい計画道路であり、 全体の整備には長い時間が必要であると考えております。 このため富士宮市内から新東名インターチェンジへのアクセスは、 当面、 西富士道路と主要地方道富士富士宮由比線になります。 しかしながら主要地方道富士富士宮由比線の国道百三十九号から富士市境の間には、 杉田地区などにいまだ未整備区間が存在しており、 今後の交通量の増加を考えますと、 この未整備区間の整備を早期に実施すべきと考えますが、 あわせて当局の考えを伺います。
     次に、 芝川町、 富士川町と富士市を富士宮市南部方面で連結させる道路のうち、 現在富士宮市で事業実施されております農林漁業用揮発油税財源身替農道整備事業  略称県営農免農道、 安居山第二地区の早期開通についてお伺いします。
     近年、 農業を取り巻く環境は原油価格や飼料作物の高騰により非常に厳しい状況にあり、 食の安全・安心が求められる一方で、 地産地消など農業への関心は高まっております。 しかし食料自給率は依然として低迷を続けており、 今後農業の振興にさらなる力を傾注していかなければならないときであると考えます。
     農業の振興には、 農業基盤整備や農産物の流通ルートの整備、 特に近隣市町を広域に連結する農道の整備は農業施策の根幹をなすものとその必要性を痛感しております。 富士宮市の南部地域  安居山・星山・山本地区に計画されております農免農道は、 県道富士宮芝川線安居山地先から県道富士富士宮由比線沼久保地先までを団体営安居山農免事業で千五百九十二メートル、 貫戸地先から山本地先の富士市までを県営山本農免事業で三千五百八十五メートルが整備され開通しております。
     現在、 富士農林事務所で実施しております安居山第二地区三千九十八メートルはこの二つの農免農道を連結するもので、 本農道が整備されますと芝川町や富士川町松野地域から富士宮市の南部農村地域を通り富士市へ抜ける農産物の重要な流通ルートとなり、 生産性の向上、 営農経費の節減等による農村地域の活性化につながるものと大いに期待されております。
     当局も同様に、 整備済みの農道への早期接続は最大の効果を発揮するとお考えになっていることと思います。 ついてはこの事業の必要性を勘案いたしまして、 どのような難問題があろうと途中で中断することなく早期開通するよう効率的な事業の推進をお願いしたく、 当局の考えをお伺いいたします。
     次に、 畜産堆肥の利用促進について伺います。
     私の住んでいる富士地域は、 雄大な富士山のすそ野に位置し、 その高低差と豊かな自然を生かしたさまざまな農業が展開されています。 比較的標高の低い地域では、 イチゴやナシ、 ミカンといった果樹類、 中高度地域では米や茶などの栽培が盛んであります。 また富士西ろくには千ヘクタールを超える牧草地が広がり、 春から秋にかけて富士山を背景に緑の草を食べる牛の姿を見ることができます。 ここでは県内で飼育されている乳牛の四割に当たる七千頭の乳牛から、 毎日新鮮でおいしい牛乳が生産されています。 酪農以外の畜産も盛んで富士宮市だけでも畜産物の産出額は県全体の五分の一を超えています。
     しかし最近では、 アメリカにおけるバイオエタノールの増産や中国、 インド等新興国における穀物需要の増加及び投機資金の流入による国際穀物相場の急激な上昇が、 家畜のえさである配合飼料価格を二年前の一・五倍まで高騰させ、 畜産農家の経営を危機的な状況に追い込んでいます。 経営が苦しいのは畜産農家だけではありません。 海外における穀物増産が肥料の国際的な需要増を生み出し、 肥料原料である尿素や燐などの輸入価格が急上昇しました。 この結果、 肥料の国内販売価格は平均一・五倍程度まで高騰し、 耕種農家の経営も圧迫しています。
     このような厳しい状況の中、 経営努力によって収益の向上に取り組んでいる農家の方がいます。 畜産農家では、 家畜を飼育する傍らで良質堆肥の生産販売を経営に取り入れ収益を上げている方がいます。 耕種農家では、 畜産堆肥を利用することで化成肥料の減量を図り、 肥料コストを低減しようとする取り組みが始まっているようです。 畜産農家が生産した堆肥を耕種農家が利用する、 このような畜産農家と耕種農家の連携を推進し、 堆肥などの有機資源を活用した資源循環型社会を構築していくことが重要であると私は考えます。
     私たち議員の提案により、 平成十七年十二月に制定された静岡県民の豊かな暮らしを支える食と農の基本条例では、 「環境に配慮した農業の推進」 の中で、 「環境への負荷低減の推進」 と 「自然循環機能の維持増進」 を図ることを定めています。 堆肥の利用促進はこの目標を実現するためにも重要な施策であると考えます。
     そこで、 県内の堆肥の需給状況について考えてみたいと思います。 平成十一年に施行された家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律では、 家畜排せつ物の管理基準を定め、 堆肥舎等の施設の整備を計画的に実施することで家畜排せつ物の利用促進を図っています。 これにより県内には多くの良質堆肥生産施設が整備されたと聞いています。
     また、 肥料取締法では、 堆肥を販売する場合に原料や主要な成分の含有量などを表示することが義務づけられているところです。 耕種農家は堆肥を購入する際に自分の経営に合ったものを選ぶことができます。 つまり県内には、 耕種農家が利用しやすい良質な堆肥を生産する体制が整っているものと考えます。 しかし富士西ろくを初めとした畜産の盛んな地域では大量の堆肥が生産されているため、 堆肥の流通に苦慮している畜産農家がいる一方、 畜産農家の少ない地域では堆肥が不足する傾向にあると聞いています。 せっかく良質な堆肥が生産されても、 それが利用されないのでは意味がありません。
     そこで、 畜産農家と耕種農家の連携を推進し堆肥の利用を促進するために、 県としてどのような取り組みを行っていくのか伺います。
     以上で私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (込山正秀君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  須藤議員にお答えいたします。
     初めに、 医療の充実についてのうち、 医師不足対策としての医科大学の新設の問題であります。
     和歌山県、 奈良県、 御視察いただいて、 和歌山、 奈良で医科大学持っておるのに何で本県にできないんだと、 けちるのはけしからんと、 そういうお怒りの気持ちを持たれたのも、 憤りの気持ちを持たれたのもごもっともだと思います。 まあそういう気持ちで取り組めば実現できるものなら簡単なわけです。 それができないところに非常に悩ましい点があるわけですね。
     すなわち、 長い間、 これまで我が国では、 医大の新設あるいは医学部の入学定員の増、 これは認められてこなかったわけです。 やっとここ三、 四年、 各地域での医師不足騒動を背景に、 ことしの六月に内閣の経済財政改革の基本方針二〇〇八、 いわゆる骨太方針の中で医師養成数を早急に過去最大限度まで増員すると、 そういう方針が打ち出されたわけであります。
     しかし、 今後必要数については検討するということでありますし、 その医師養成数の増加は既設の大学の定員増なのか、 新設も認めることを含んだ養成数の増なのか、 これも定かではないわけであります。 いろいろ我々が情報収集に当たってる限りでは、 当初は医大の新設も見込めるんじゃないかという、 そういう情報もなかったわけじゃありませんけれども、 その後の情報によりますと、 医師養成数の増大を図るためのコストをできるだけ低く抑えたいということから、 既設の大学の入学定員増、 これが主流になって検討が進んでいるという情報もあるわけでありますが、 しかしこれも確定したという段階でもないわけでありますので、 今後来年度の予算編成の中で何らかの方針が具体化してくるんじゃないかと、 情報収集に抜かりがないようにしていきたいと。 それに伴って、 ある意味では本県としていかようにでも対応できるようにしていきたい。 その中で特に、 本県として可能性のあるのは、 既存の医大の分校なり静岡キャンパスの設置、 こういう方向が一番妥当性があるかなという考えで、 それらに焦点を合わせながら、 今取り組んでいるところでございます。
     そもそもこの医師不足問題が急速な大きなテーマになってまいりましたのは、 ごくごく三、 四年前からなんですね、 本県はもとより全国的にも。 実はそれまでの間は、 むしろ今日一番問題になっております、 公的病院などを中心とした大きな病院ですね、 病院勤務医になりたがるお医者さんばかりで開業医がいないと、 開業する人がいなくなってる。 静岡県内でも開業医の後継ぎがいなくて、 今後どうなるだかということが専ら話題だったんですね、 病院勤務医はどんどんなり手がいると。
     ところが、 医師の例の研修制度が始まった途端に、 今度は急速に開業する人がどんどんふえる一方で病院の勤務医が不足してきた。 こういう現象が起こってきたわけです。 これはもう三、 四年前の、 もう近々の現象なんですね。 これは例の研修医制度のもたらした一つの医師の偏在現象、 これが副作用として発生してきてるということであります。
     それから開業医の不足の問題でありますけれども、 これは開業医、 病院勤務医通じて、 これもやはり四、 五年前から大きな話題になっておりましたが、 まず各種の診療分科がありますけども、 専門科目というか診療のお医者さんの分野において、 まず麻酔医が足りないという話が出てまいります。 それから小児科が足りないと。 最近、 急速に産婦人科があちらこちらで急速に不足してきてるという状態であります。
     実は、 これは例えば産科のお医者さんとしてやれる人がいないかっていうとそうじゃなくて、 産科として開業しないという現状なんですね。 これは実は、 つい先ごろ福島県のお医者さんで刑事事件に問われた方が福島地裁で無罪になりましたけども、 これがたしか最初に事件化して逮捕されたのは三年ぐらい前だったと思うんです。 病院の御本人の勤務場所から、 白昼、 みんなにさらされるような形で現場逮捕されたんですね。 白衣を着た当該医師が手錠をかけられて逮捕されたと。 こういう報道がされるや否や、 既に医療関係者の間からは、 「これからは産科医の間で、 精神的サボタージュが起こるんじゃないか」 と、 もうそのとき言われたわけですね。 結果はもうそのとおりになってきてるわけです。
     したがって、 これは今日のいろんな医師不足問題とか診療科によって非常に偏りが出てくるとか、 いろいろな問題を探ってみますと、 専門家の中には本当に医師の養成数が足りないのかと、 医者が少な過ぎるのかという議論さえ、 今一方であるわけであります。 そういう中で、 しかし政治の問題にすると放置できないということで医師の養成数の増大は打ち出されましたけれども、 先ほど申し上げましたように具体的な方針がまだ外に出てまいっておりませんので、 我々もある意味では苦慮しているというところでございます。
     しかも、 医師の養成をふやしても実際に戦力として役に立つのは、 お医者さんの修了年が六年で研修医が二年ですよね。 そうすると八年。 来年からやっても、 ことしから起算すると九年先に戦力として出てくるということでありますので、 目下の医師不足対策には役に立たないということになりますね。 したがってこの医師不足対策は、 当面の問題とそれからそういう中長期的な問題と両方、 二兎を追っていかざるを得ないということであります。
     当面の問題としては、 幸い本県の場合、 県立総合病院の場合に、 研修医、 あるいは研修医から実際の医師としての活動をする場合に、 両方とも比較的獲得しやすい状態になっておりますので、 そこにできるだけ医師を確保して県内の足らざるところに派遣をすると、 そういうような仕組みを講じて、 少しずつでありますけれどもその機能を果たしつつあるわけであります。 これをさらにもっともっと拡充していくということが重要であります。
     それから、 周産期対策として東・中・西三カ所に周産期医療センターを完備をいたしまして、 いざというときの備え、 最後の安心・安全のとりでをつくるということで、 これは県内の産科医の方々からも大変評価されておるし、 また頼られているわけでありますけども、 そういう状態で今、 推移してきてるところでございます。
     そういう中で、 本県の場合、 実は浜松医科大学がありますけれども、 須藤議員お話しのように、 本県の人口規模で考えれば、 あの規模の大学があと二つぐらいあってもおかしくないっていうのは私も全く同感ですし、 それが実現できるならばそういう方向へ行きたいと思うんですけども、 できもしないことを公言するっていうのもこれは政治家としていかがかと思って、 そういうことを今まで言ってこなかったわけであります。 そういう点では、 非常に県民の皆様も心配しておるしやきもきもされてると思うんですけども、 今のような事情があるということを御理解もいただかなければいけないかなというふうに思うわけでございます。 少なくとも既存の大学の分校もしくはキャンパスの増設が認められるようになった場合には、 機を逸せず、 本県でも誘致できるようにいろいろ努力を重ねていきたいと、 こう考えているところであります。
     次に、 魅力ある富士山観光についてのうち、 富士山周辺の桜を活用した景観づくりであります。
     県では、 伊豆半島を含む富士山周辺地域を全国的な新しい桜の名所に育て、 日本を象徴する景観を創出をしたいと。 特に富士山をバックに、 富士と桜というのはまことに組み合わせがいいわけであります。 そういう意味で、 桜の名所づくりに取り組もうということで、 昨年とそれからことし二年にわたって桜で彩る富士の景観づくり構想、 この策定に取り組んでいるところでございます。 須藤議員から御紹介いただきました渡邊定元元東大教授以下十四名の関係者で、 今、 構想を練っていただいております。
     また、 その構想の前提として基本構想、 これはことしの二月に定めていただきまして、 実はこの構想に基づく計画の策定を待たずに今年度から財団法人グリーンバンクと県が連携をいたしまして、 既に富士山ろくでの桜の名所づくりの事業にも取り組んできておるところであります。 直接的に名所づくりにかかわる事業以外に、 各種桜を育てて増強していただくさまざまなNPOがありますので、 そういうところの活動支援なども含めて名所づくりに取り組んで、 もうスタートしているところでございます。
     須藤議員の御紹介いただきました富士宮の天神山自然観察の森、 これも当然、 桜の名所の一つとして位置づけたいと考えております。 計画の中では当然入ってくる候補の一つだというふうに承知をしております。 今後、 具体的な事業展開に当たりましては、 地元の市町村はもとより関係団体や企業と協働して、 桜で彩る富士の景観づくり、 これを積極的に展開したいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (込山正秀君)  大須賀厚生部長。
            (厚生部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○厚生部長 (大須賀淑郎君)  医療の充実についてのうち、 周産期医療充実のための対策と医療機関への支援についてお答えいたします。
     周産期医療につきましては、 分娩のリスクにより一次から三次までの段階を設け、 医療機関の機能に応じた役割分担と連携による体制を整備してまいりましたが、 現在産科や小児科の医師不足により、 周産期医療体制の維持が難しい地域も出てきております。
     このため、 県といたしましては、 地域の病院、 医師会、 産科診療所などの関係者が、 分娩医療機関の調整や緊急母体搬送時の受け入れ体制の整備などの具体的な対策を協議する場を設け、 安心して出産できる体制を確保するよう努めているところであります。 またハイリスクの妊婦や新生児を受け入れる地域周産期母子医療センター等の医療クラークの雇用や、 助産師外来の設置に対する助成を通じまして医師の負担軽減に努めることとしており、 これらにより地域の周産期医療の確保を図ってまいる考えであります。
     次に、 地域周産期母子医療センターへの財政的支援についてでありますが、 公立病院につきましては、 施設等の整備費へ一般会計から繰り出しを行う場合には一定の基準により交付税措置される仕組みとなっておりますことから、 この制度を活用して施設整備を図っていただきたいと考えております。
    ○副議長 (込山正秀君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  魅力ある富士山観光についてのうち、 富士山総合文化センターの整備についてお答えいたします。
     富士山は、 世界文化遺産の暫定リスト登載による関心の高まりなどもあり、 その眺望を楽しむため、 本年七月、 八月に静岡県側の新五合目を訪れた方は前年比一四%増の約五十六万人、 そのうち山頂を目指した登山者は前年比二一%増の約十八万人と平成に入り最高を記録いたしました。 富士山周辺地域への来訪者につきましても年々増加してきており、 富士山静岡空港開港を契機として、 さらに一層増加することが予想されます。
     遠方から訪れる方々は、 雄大な富士山の姿を目にすることを楽しみにして来るわけですが、 実際に富士山の山頂からすそ野まで全体の美しい姿を見ることができるのは、 年平均百三十日前後、 年間でおよそ三分の一程度であります。 曇りや雨の日など富士山が見えない場合であっても、 四季折々の富士山や周辺地域の歴史・文化などに関する情報を映像や展示等により提供することは大きな意義があります。 そのための手法として、 それぞれの地域ごとにさまざまな情報や映像に接することができるスポットを設けることも一つの案だと考えており、 そうした仕組みづくりについて関係者の御意見も伺いながら検討してまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  日本ジャンボリー開催の準備状況についてお答えいたします。
     初めに、 ボーイスカウト組織と行政との連携についてでありますが、 本年度に入り、 主催者であるボーイスカウト日本連盟の関係者と県教育委員会及び富士宮市は、 おおむね月一回の割合で連絡調整会議を行ってきております。 その中で主催者に対し、 環境に配慮した大会、 国際性豊かな大会、 地産地消を実践する大会等にしてほしいと要望しており、 主催者では近々これらを踏まえた上で大会基本構想を取りまとめ実行委員会を立ち上げると伺っておりますので、 十分連携をとり準備を進めてまいります。
     次に、 主催者と行政の役割分担でありますが、 主催者から行政への要請の主なものとしては、 参加者二万人規模での開催が可能な用地と飲料水の確保であります。 用地につきましては、 主として牧草地を地権者の方からお借りする方向で話を進め、 現段階においておおむね内諾をいただいているところであり御協力に感謝する次第です。 飲料水の確保につきましては、 一日当たり千五百トンの供給の要望にこたえるべく、 富士宮市が主体となって、 私どもを含め地元の用水管理組合と協議中であります。
     次に、 地元への支援と連携でありますが、 県教育委員会では、 従来の慣例にとらわれず、 会場の借地等に要する経費の一部負担を主催者である日本連盟に対し強く要請し、 地元負担額が少なくなるよう協議をしており、 また県と富士宮市との全体的な経費負担割合につきましても現在検討中であります。
     最後に、 恒久的な青少年の健全育成の場への提言についてでありますが、 本大会開催地である朝霧高原には朝霧野外活動センターがあり、 年間六万人余の青少年が体験活動を実践しております。 来年の富士山静岡空港の開港を控え、 富士山を満喫したいという期待は国内外の旅行者共通の思いに違いなく、 特に東アジア地域においては学生の教育旅行に関心が高いと伺っております。
     こうしたことから、 県教育委員会といたしましては、 関係機関と協力し、 豊かな自然の中で多様な活動が可能な朝霧野外活動センターを含めたこの地域を、 青少年の健全育成の場として積極的にPRしてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (込山正秀君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  岳南地域の広域的な道路網の整備についてのうち、 初めに岳南北部幹線の整備方針についてお答えいたします。
     岳南北部幹線は富士市と富士宮市を結び、 県道富士根停車場線の混雑緩和や将来の両市の経済活動、 住民の生活の向上を図るため都市計画決定されました四車線の道路であります。 本路線の整備につきましては、 県と富士宮市で構成する岳南北部幹線整備検討会などで調整した結果、 本路線と重複する県道富士根停車場線の富士宮市大岩地内の約二百六十メートルの区間で、 混雑緩和のための改良工事に取り組んでおります。
     一方、 平成十八年度に完了した岳南都市圏総合都市交通体系調査では、 将来の交通需要予測の結果、 本路線の二車線整備が提案されましたことから、 今後関係自治体と連携して車線数や構造などを調査検討する中で整備の優先区間についても検討してまいります。 また県道富士富士宮由比線の国道百三十九号から富士市境までの延長約二・四キロメートルの区間のうち、 未整備区間約五百メートルにつきましては、 現在地元の協力が得られております富士宮市小泉地内の約四百メートルで歩道整備等を進めており、 その他の区間につきましても順次整備を進めてまいります。
     次に、 県営農免農道安居山第二地区の早期開通についてであります。
     県営農免農道安居山第二地区は、 沼久保地先から黒田地先までの三千九十八メートルを整備するものであり、 富士宮市南部地域の水稲、 野菜などの地域農産物の流通の効率化による営農効果に加えまして、 地域住民の皆さんの生活利便性の向上を図る地域の基幹的道路の役割を担うものであります。 県では本農道を三つの地区に分割し、 既に整備が済んでいる第一期地区一千九十六メートルに引き続き、 第二期地区八百四十八メートルについて平成二十二年度の完成を目指し整備を進めているところであります。
     県といたしましては、 岳南地域の農業の活性化と交通の円滑化を図るため富士宮市と連携して、 安居山第二地区の早期完成を目指し引き続き事業の円滑な推進に努めてまいります。
    ○副議長 (込山正秀君)  杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長 (杉山栄一君)  畜産堆肥の利用促進についてお答えいたします。
     県内各地で生産される畜産堆肥の利用を促進するためには、 畜産農家が良質な堆肥を生産することはもとより、 各地で生産される堆肥の特徴について耕種農家の理解を深めていくことが重要であります。 このため県では、 平成十一年度から耕種農家の参加も得て品質向上を目的とした畜産堆肥の品評会を開催し、 利用者の意向を反映した良質堆肥の生産を促すとともに、 優良堆肥生産者やその堆肥の特徴を紹介した冊子を作成配布しているところであります。
     こうした中、 森町では、 平成十六年度耕種農家と近隣の畜産農家が共同で堆肥生産利用組合を設立し、 現在では六戸の畜産農家が生産した年間約千五百トンの堆肥を利用して、 百三十八戸の耕種農家が百ヘクタールの農地で高品質なレタスを生産しております。
     県といたしましては、 例えば畜産の盛んな富士西ろく地域で生産される堆肥を耕種農家が多い志太榛原地域や中遠地域等で利用するなど、 畜産農家と耕種農家がより広域で連携できるよう、 引き続き畜産堆肥の情報を広く耕種農家に提供するとともに、 今後は堆肥のペレット化など耕種農家が一層利用しやすい畜産堆肥の生産方法についても研究を進めてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (込山正秀君)  五十二番 須藤秀忠君。
            (五十二番 須藤秀忠君登壇)
    ○五十二番 (須藤秀忠君)  再質問いたします。
     知事は、 医大のことについて既存の医大の分校、 キャンパスということでありますけども、 何か当てはあるのか、 何か含みのある答弁のように感じます。
     それから、 和歌山では、 十年ほど前に四百五十億をかけて八百床の附属病院を併設していますけど、 毎年四十億ぐらいの交付金を出しております。 静岡県よりも財政力が乏しい和歌山でもそれだけのことをやっておりますが、 静岡県の財政力では県立医大を一校つくるということについて困難なのか、 その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
     以上であります。
    ○副議長 (込山正秀君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  医大の問題でありますけれども、 既存の大学の分校もしくはキャンパス、 今、 具体的に当てがあるわけではありませんけれども、 いろいろ可能性があるところが取りざたをされております。 そういうものの中で実現可能なものがないか、 これは今後いろいろ検討し実現を期してまいりたいと考えていると、 そういう胸のうちの段階ですのでね、 まだ具体的なことを言えるような状態ではありません。
     というのも、 要するに既存の大学そのものが、 政府の方針がどういうふうになってくるかということについて皆目見当がついてないわけですね。 ですから医学教育を拡充しようといういろいろな考えを持っている方々もどういう方式でいくのか、 ある意味では、 要するに医科大学といえども、 医学部教育といえども十八歳年齢人口を主として対象として取り合いになる。 あるいはまた巷間取りざたされてるメディカルスクールもですね、 本当にそういうことで投げかけたときに、 ちゃんと学生が確保できるのかどうか、 こういうこともまだ定かでないわけですね。 ですからまだいろいろと案が模索されてる段階であります。 そういうものを我々も注意深く見守りながら、 政府のほうの方針が改定されて、 どういう方向でいくのかっていう方向性が定かになった段階でいろいろな動きが具体化してくると思いますので、 言うなればバッティングセンターのバッターボックスに立つか立たないかという段階で、 どういう球が出てくるか皆目わからないわけですね。 しかしどういう球が来ても打てるようにしようと、 心の準備をしてると、 こういうことですね。
     それから、 和歌山が四百五十億ですか、 八百床ですか、 そういう病院を建てて毎年四十億も交付金出してると。 和歌山県がやれるんだから静岡でやれないっていうはずはないじゃないかと、 そういうお気持ちだと思うんですけども、 お金の面とか財政支出をどこに焦点を当ててやるか、 そういう観点で言えば、 これは須藤議員のお考えのように、 静岡県でやれないなんていう話ではないわけですけども、 ただ、 それを実現できるかどうか。
     例えば病院の開設についても、 現在地域医療計画で、 どこに病院をつくるかによってできない場所があるんですね。 できる場所はあるんですけども、 じゃ、 そんなところへ大学をつくっていいのかっていう、 これは恐らく県内のコンセンサスが成り立たないような場所で病院の設置の可能性があります。 しかしそれが果たしていいのか。 いろいろ考えていくと、 仮に大学が設置できたっていう場合に、 病院ができないところへ立地してもしょうがないし、 じゃあ病院ができるところへ立地したら、 それでみんなのコンセンサスが得られるかっていうと、 そんなところへ何でつくるんだという話にもなりかねないんで、 非常にそういう意味では何ていうか、 選択肢が非常に狭いわけですね。
     そういう中で、 分校、 キャンパス方式だと新たに附属病院をつくらないでもいけるんじゃないかということが取りざたされてるわけです。 したがってそういうことも考えて、 それがもしそういう条件が出てくれば、 今、 そういうものを設置するにふさわしい場所は、 想定される場所がそうたくさんではなくてありますので、 そういうところへ誘致するということもあり得るかなと、 こう思うわけであります。
     それからそういう中で、 例えばがんセンターの話がありましたけども、 非常にすぐれた機能を発揮しつつあって、 あれが直、 附属病院化できればいいんですけども、 附属病院にするためにはあれが総合病院になっていなけりゃいけないと。 ところががんセンターは、 何でがんセンターにしたかっていうと、 今後の医療動向とか病気の動向を考えれば、 本県にあの種の病気の専門病院がないということもあって、 がんに特化した病院をつくるということを考えたわけでありますが、 あわせて立地場所をいろいろ考えたときに、 要するに特定の分野に専門特化した病院でないとあの地域では認められないと。 総合病院はもう満床でむしろ過剰状態だと。 したがって仮にあの地区に、 じゃ医大を県立でつくってがんセンターを附属病院にしたらいいじゃないかというと、 今度は大学の附属病院としての資格が欠けてくると。 じゃ、 総合病院化したらいいんじゃないかというんだけども、 これは医療計画上、 認められないと。
     要するに、 せっちん詰めまでは行ってないんですけども、 要するにあちらこちらに隘路があるということでありますので、 いろんな条件の組み合わせの中から考えていくと、 仮に分校、 キャンパス方式も認められるということになった場合には、 それが一番本県として最適の選択肢ではないかなと、 想定問答で考えていくと、 こういうことでございますので御理解をいただきたいと思います。

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