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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

宮沢 正美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/27/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
2 菅内閣退陣と野田新内閣について  
3 平成二十四年度当初予算編成に向けた考え方について  
 (1) 基本方針  
 (2) 財源確保の見通し  
4 県内経済活性化への取り組みについて  
 (1) 厳しい経済環境における県内中小企業への支援  
 (2) 雇用情勢の回復に向けた取り組み  
5 浜岡原子力発電所について  
 (1) 安全対策に対する評価  
 (2) 運転再開への考え方  
6 東日本大震災を踏まえた津波対策への対応について  
7 食の安全確保のための取り組みについて  
8 運航支援金訴訟に関する和解について  
9 児童虐待防止対策について  
10 新東名高速道路を活用した地域活性化について  
11 農地基盤整備について  
12 発達障害者の支援について  
 (1) 東部地域の体制整備の推進
 (2) 高等学校における特別支援教育  
13 交番・駐在所の再編整備について



    ○議長(植田 徹君) 質疑及び一般質問を行います。
     通告により、四十五番 宮沢正美君。
           (四十五番 宮沢正美君登壇 拍手)
    ○四十五番(宮沢正美君) おはようございます。
     私は、自民改革会議を代表し、当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     質問に入ります前に、去る八月十七日、天竜舟下りの転覆事故が起き、五名の方々が亡くなられました。大変痛ましい事故であり、御遺族の皆様には心から哀悼の意を表します。また、過日の台風十二号及び十五号により、浸水や河川のはんらん、土砂災害等、被害が全県各地に発生をし、被災された皆様には心よりお見舞いを申し上げ、また県当局におきましては、復旧に向け迅速な対応をしていただきますようにお願いをいたします。
     それでは質問に入ります。
     初めに、知事の政治姿勢についてであります。
     新しい総合計画は本年度が実質的な初年度でありますが、川勝知事就任後二年が経過をするとともに、計画期間は当面、平成二十五年度までとされており、計画達成まであと二年半と迫ってきております。こうしたことから知事は、この計画の項目ごとに示されている工程表にとらわれず、進められるものは加速度的に実現をすると語られてきました。しかし知事のはっきりとした言動や迅速な行動力はニューリーダーとして評価をする声がある一方で、事業の進捗という意味ではリップサービス先行とも思われる劇場型のパフォーマンスが目を引き、最近では実績を伴っていないのではと危惧をする声も聞かれるところであります。
     そこでまず、知事は、初動が先行し実質的な成果が十分についてきていないのではないかという意見がある中で、みずからのリーダーとしての施策の推進力について、どのように評価をしているか、所見を伺います。
     また、総合計画の確実な推進のために、進捗状況について評価を行うということであります。まず県庁内の各部局で数値目標の達成状況や取り組みの進捗状況等について自己評価を行い、この結果を専門家などから成る評価部会において評価をしていただき、十月に開催をされる総合計画審議会で審議する段取りと承知をしています。
     既に評価部会は八月に開催され第三者の視点から厳しい評価がなされたと思いますが、大切なことは、その評価結果を今後の対策にどう生かしていくかであります。知事が初めて策定し、みずからのマニフェストの達成をも包含する、この新総合計画の真の実現に向けて、この評価をどのように受けとめ、今後、二十四年度以降の施策に反映をしていくのか、その決意も含め所見を伺います。
     次に、菅内閣退陣と野田新内閣について伺います。
     民主党政権になって、わずか二年で三人目の総理にかわるという事態となりました。菅前内閣は政治主導を大方針に掲げ、民主党マニフェストの実現を声高に唱えてきましたが、二年前の総選挙での民主党マニフェストはもともと財源確保に大きな問題があることが露見をいたしました。予算組み替えにより可能とした十六・八兆円の財源捻出もままならず、すべてが何の根拠もない空手形となり、民主党マニフェストは破綻したのであります。
     一方、東日本大震災対応や福島原子力発電所事故においては内閣の危機管理能力の脆弱さを露呈し、指導力を発揮できない政府に国民全体が憤りさえ覚え、人災とまで酷評されてきました。また浜岡原子力発電所の発電停止に至る政治手法は、いたずらに国民の不安をあおり、本県にも多大な混乱をもたらす結果となったのであります。「自分の国や自分の国民の命を守れない国家は、やがて滅びる」という格言がありますが、日本の国益を大きく損ねた菅前内閣に対する知事の評価をまずお伺いいたします。
     九月二日には野田新政権がスタートしました。これに先立つ民主党代表選挙は事実上総理大臣を決めるという重要な選挙であったにもかかわらず、政策論争が全く深まらない中での親小沢対反小沢という数合わせでしかありませんでした。野田総理はマニフェストの見直しを確認した三党合意を誠実に守ると言いながらも、今こそマニフェストを含め政権交代の原点に立ち戻るときと政権構想で示すなど、新政権の目指すべき政治理念が不明確のままであります。また政権発足後わずか九日目にして鉢呂経済産業大臣が辞任するなど、閣僚の力量不足、不規則発言が露呈し、国民に大きな不安を抱かせる心もとないスタートとなっています。
     そこで知事は、野田新内閣をどう評価し政権運営に何を期待しているのか、所見を伺います。
     次に、平成二十四年度当初予算編成に向けた考え方についてのうち、まず基本方針についてであります。
     本年三月に発生した東日本大震災を受け、本県においては東海・東南海・南海の三地震が連動した巨大地震を想定した東海地震対策の充実を初め、新たな総合計画の確実な推進など県政の課題が山積をしております。とりわけ東日本大震災の発生により、多くの県民が改めてその重要性を強く感じることとなった地震・津波対策や、昨今の厳しい雇用情勢に機動的に対応するための雇用創出に向けた取り組みなど、県民の安全・安心を確保するための対策、さらには県民生活を支える経済や産業が元気を取り戻すための対策など、思い切って予算を投入していくことが極めて重要であります。県は五月、六月補正予算に加え、九月補正予算を今議会に提案をされておりますが、本格的な対策としては十分ではなく、現在の社会経済情勢を踏まえれば今後もさらなる対策が必要不可欠であると考えます。
     一方で、本県の財政状況は引き続き厳しい状態が続いており、毎年度多額の財源不足額が見込まれている中では、一方的に歳出だけを拡大することは現実的には困難であると考えます。このため来年度の予算編成に当たっては必要なところにはしっかりと予算をつけるとともに、その一方でさらなる歳入確保の努力などにより財政の健全化をも両立させることが求められています。
     知事は、来年度の当初予算編成に向けてどのような基本方針で臨もうとしているのか、所見を伺います。
     次に、財源確保の見通しについてであります。
     今年度当初予算にあわせて公表された財政の中期見通しにおいては、平成二十四年度の当初予算で四百億円を超える財源不足額が示されているところであります。しかしながら、この中期見通しは東日本大震災が発生をする前の時点での見込みであり、当然のことながら震災後の経済動向は見込まれておりません。東日本大震災による我が国経済や社会における影響ははかり知れないものがあり、震災直後には本県でも製造業を中心に多くの企業で生産活動等に重大な影響が発生しました。加えて福島第一原子力発電所の事故に端を発した全国的な原子力発電所の停止に伴う安定的な電力供給への不安が重なり、今後の企業活動への影響が懸念をされるところであります。さらにこのところの歴史的な円高の進行により輸出産業を多く抱える本県の企業への影響は大きく、リーマンショック以降回復傾向にあった本県経済の先行きに不透明感が漂っております。今後の景気動向によっては、企業の業績悪化や個人消費の低迷等により来年度の税収見込みもかなり厳しくなるのではないかと危惧をされます。
     また、国においても東日本大震災からの復興や社会保障と税の一体改革など課題が山積をしている中で、財源を確保するために子ども手当など主要施策の見直しや増税の議論が避けられないなど国の財政も非常に厳しい状況にあります。さらに来年度の国の概算要求に当たっては、財務省から各省庁に対し義務的経費や人件費を除いた政策的経費については本年度当初予算比で一律一割の削減が要請をされており、今後、年末に向けて厳しい折衝が展開されることが想定をされます。
     このような中で、本県の来年度当初予算を編成するに当たり、県税収入や地方交付税などの財源確保について、現時点でどのような見通しを持っているのか、知事の所見を伺います。
     次に、県内経済活性化への取り組みについてのうち、厳しい経済環境における県内中小企業への支援について伺います。
     昨年後半から一ドル八十円台前半で推移をしていた為替レートは、ここに来てアメリカや欧州経済の不透明感の高まりなどから一時七十五円台に突入するなど、歴史的な円高の局面を迎えております。この円高が震災からほぼ五カ月、本県産業の主力である自動車関連企業などにおいて、サプライチェーンがようやく回復し、生産が震災前の八割までに戻りつつあったタイミングで起こったことは、本県経済の回復に大きな影響を与えることは間違いないところであると思われます。
     そこで、まず知事は、このような円高が本県経済に及ぼす影響についてどのように認識をしているか、所見を伺います。
     また、経済産業省が製造業を中心に現下の円高が産業に与える影響について調査をした結果、中小企業の七三%が減益、半年以上現在の円高水準が継続した場合は八四%が減益になり、そのうち三三%は深刻な減益になると回答しております。特に中小企業においては、震災後、真っ先に売上減少に対応するための運転資金を借り入れたところが多く、今回の円高が今後もたらすであろう大手企業からの受注減やコストダウン要請などにより、ますます資金繰りが苦しくなることが容易に予想されるところであります。
     そこで、このような厳しい経済状況の中で苦境に立たされている中小企業に対し、県としてどのように支援をしていくか伺います。
     次に、雇用情勢の回復に向けた取り組みについて伺います。
     平成二十年のリーマンショックや震災、急激な円高により、依然として厳しい雇用状況にあります本県の七月の有効求人倍率は〇・五八倍であり、震災前の水準にすら戻っておらず、全国順位も三十五位と低迷をしております。また平成二十一年二月以降、三十カ月連続で全国平均を下回るなど長引く不況の影響を極めて強く受けております。
     以前の本県は、就業率は全国一、完全失業率も二%台と全国上位を保ち、有効求人倍率も全国十位程度と雇用情勢については優良県でありました。ものづくり県として、製造業中心の産業構造が多くの雇用を生み出してきたのであります。しかし景気が冷え込むと真っ先に影響を受けたのが、消費活動に支えられた製造業であり、急激な円高は輸出関連企業を直撃いたしました。求職者の二人に一人しか就職できない就職環境が三年近くも続いており、失業者の方々には、もはや限界であると思われます。県としては、これまでの本県の産業構造が影響した雇用情勢の悪化を教訓に、不況になっても我慢のできる底力のある静岡県の労働市場が築けるよう積極的にリードしていくことが必要と考えます。
     そこで、今後県として、雇用情勢の回復に向けどのように取り組まれていくのか、お伺いをいたします。
     次に、浜岡原子力発電所のうち、まず安全対策に対する評価について伺います。
     未曾有の大震災と言われている東日本大震災から半年、被災地では仮設住宅も完成し避難所もすべて閉鎖され、あの膨大な量の瓦れきもかなり除去されました。少しずつではありますが、平穏を取り戻しつつある状況と聞いております。
     しかし、依然として国民に恐怖や不安を与え続けている事態が、福島第一原子力発電所の事故であります。メルトダウンや水素爆発等の大事故は国内はもとより世界をも震憾させました。原子力発電所事故による放射能漏れは、未知の恐怖、目に見えない恐怖があります。福島第一原子力発電所周辺の皆様の心境はいかばかりでしょうか。現在も避難生活を余儀なくされている八万人余の方々の多くが原発事故によるもので、故郷を離れるつらさ、二度と帰れないかもしれないという絶望感はまことにお気の毒であり、実に厳しい現実であります。
     さて、原子力発電に対する信頼が崩壊し、発電所の存在が危険とまで言われるようになった今日、我が静岡県にも中部電力浜岡原子力発電所が立地をしています。ちょうど東海地震の震源域の真上にあり強い地震動に見舞われることが予想される上、遠州灘に面した海岸付近にあることから、津波の心配もあるところです。浜岡原発は五月以降すべての原子炉の運転が停止をされました。一時的に安全が確保されているように見えますが、原子炉建屋内には使用済みも含めて核燃料体が六千体余も存在する以上、福島第一原子力発電所の二の舞になる可能性は否定できません。
     しかし、中部電力は電力需要に対応するため、浜岡原子力発電所の早期運転再開を目指し、さまざまな津波対策を進めています。去る八月十八日、私が委員長を務める総務委員会で浜岡原子力発電所を視察し中部電力が進める津波対策の説明を受けました。敷地海岸側の砂丘のかさ上げや非常用発電機の高所設置、原子炉建屋の防水扉構造など複数の対策が講じられていましたが、とりわけ着目したのが高さ十八メートルとされる防波壁の建設であります。当初十二メートルで計画されましたが、最終的には十八メートルにするとのことでありました。海岸の砂丘十五メートルと、この防波壁の二重防御で津波の浸水を食いとめる方針であるとのことです。
     前回の六月議会でも質問がありましたが、改めて中部電力が打ち出す津波対策に対し現時点で県がどのような評価をしているのか、県の所見を伺います。
     次に、運転再開への考え方について伺います。
     福島第一原子力発電所の津波事故以来、全国で脱原発が叫ばれ、運転停止や廃炉を訴える世論が高まっていますが、電力の安定供給や産業振興の観点からは直ちに原子力発電を否定することはできません。中部電力管内の電力供給も決して安泰ではなく、臨時的に稼働している老朽火力発電所からの供給がなければ大停電もあり得るとの見解であります。中部電力管内の立地企業を見れば電力の安定供給は非常に重要であることは言うまでもありません。したがって安全が高度に保障された状態で稼働することは現時点では必要と思われます。この安全性を専門的な視野で監督する役割が国の原子力安全・保安院であり、県や地元市町もこの安全・保安院を重んじて原子力発電に協力をしてきました。しかし今回の福島での事故対応のまずさに加え、過去に行われたシンポジウム等で安全対策を担うべき保安院が電力会社に対し、やらせ質問や参加動員などの圧力をかけたという不祥事が発覚し、国の原子力政策そのものに不信感が高まっています。これらの事態を受け、国は来春を目途に、環境省に原子力安全委員会と安全・保安院を統廃合した新しい原子力安全庁を設置することとしています。このような状況の中で、浜岡原子力発電所の再稼働について県はどのような方法、どのような基準で是非を決めるつもりか、知事の所見を伺います。
     次に、東日本大震災を踏まえた津波対策への対応についてであります。
     県はこれまで、予想される東海地震に備え、四月十五日に津波対策検討会議を設置し全庁を挙げて現在の津波対策をハード・ソフトの両面から総点検を行い、必要な対策の見直しを実施をしています。また外部の有識者で構成している防災・原子力学術会議に新たに津波対策分科会を設置し、八月二日には第一回の分科会が行われたところであります。一方、国では中央防災会議において東海・東南海・南海の三連動地震を想定した被害想定の見直しを現在行っており、最終的に予想される震源や地震動、それに伴う津波の高さ等の検討結果を来年夏過ぎまでに公表するとしています。しかし本県の津波想定の見直しは、それを受けてからということになりますと防波堤などのハード施設の本格的な見直しや整備はさらにその先ということになってしまいます。また現行の第三次被害想定に基づく整備は未着手の箇所もまだ多く存在し、東海地震はいつ発生してもおかしくないと言われている中で、一刻の猶予も許されない状況にあります。東日本大震災の想像を超えた津波被害を見ている多くの県民からは、万全な津波対策施設の整備を早急に進めてほしいとの声が聞こえてきます。
     そこで、県民の安全・安心を図る上で津波対策施設の整備はスピード感を持って一刻も早く進めるべきであり、予算の重点配分をしていく必要があると考えますが、県は東日本大震災の教訓を踏まえどのように進めていくつもりなのかお伺いをいたします。
     次に、食の安全確保のための取り組みについてであります。
     本年三月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により、原発周辺地域より出荷をされる農産物、畜産物及び水産物については当該地域の自治体が放射性物質のモニタリング検査を実施し、その検査の結果、暫定規制値を超える食品が広域的に見つかった場合には、国が出荷停止等の措置をとるということになっています。しかしながら、我が国で前例のない規模の放射性物質の広域飛散は国の予想をはるかに超えたものとなっています。汚染された稲わらを食べた牛の肉から暫定規制値を大幅に超える放射性セシウムが検出をされた事例では、汚染の疑いのある牛肉が全国に出荷、流通するなど食品の安全を脅かす事態に発展し、食の安全に関する県民の不安は高まっております。また国立環境研究所が実施をしたシミュレーションでは、福島第一原発の事故で外部に放出された放射性セシウム一三七の約二割が国内の陸地に降下し、その範囲は東北地方を初めとして本県を含む十五都県の広範囲にわたっている可能性があるとの分析結果を先月発表いたしました。
     このような状況の中で、県では放射性物質の飛散による農産物など食品の汚染状況の把握や食に関する適切な情報提供など、放射性物質に対して食の安全を確保し、県民の不安を解消するため、どのような施策を進めていくか伺います。
     次に、運航支援金訴訟に関する和解についてであります。
     平成二十一年度の静岡空港の福岡線に係る運航支援金の支払いをめぐっては、昨年十一月十日、日本航空に提訴されて以来、川勝知事は議会答弁や記者会見等を通じて、日本航空の撤退が一方的で覚書の協議義務に違反し、信義則に反するものであると繰り返し訴えてきました。一方、日本航空は路線維持の可否は独自の判断で決定できるということになっており、撤退の理由は運航支援金制度の廃止見込みにあると主張し、両者は真っ向から対立をしてまいりました。こうした経緯を経て今月八日には東京地方裁判所から、県、日本航空双方に和解勧告がありました。その主な内容は和解金として県が日本航空に一億四千万円余を支払うとともに、両者は互いに静岡空港の発展に向けて協力をすべきであるというものであります。和解金の金額だけをとらえると、原告請求額から減額されたのは全体の二%程度、三百万円余に過ぎず、県としては実質敗訴に等しいではないかと評する有識者もおり、多くの県民も同様の認識を持っております。
     川勝知事は昨年十月二十一日、「こうした要求をすることがいかに理不尽か。その違約金どころか、おわび金をいただくぐらいのものではないかと思う」、また同年十一月十二日には、「かつてナショナルフラッグという名を飛行機に冠して世界の空をかけめぐったJALのすることか。お金をよこせというのは、もう何ということか。これはもうナショナルフラッグではない、エゴイスティックフラッグだ」とも述べています。このような趣旨の発言を一貫してされてきた知事が和解を受け入れると判断をされたことについては、県民にも議会にも納得できるような丁寧な説明が必要不可欠だと思います。そこで県は今般の和解勧告の内容をどのようにとらえ、また和解することにした理由についてどのようにお考えか、知事にお伺いをいたします。
     次に、児童虐待防止対策について伺います。
     新聞によると、平成二十二年度全国の児童相談所に寄せられた相談件数は初めて五万件を超え、過去最多とのことであります。本県においても、静岡、浜松両政令市を含む県内の七カ所の児童相談所に寄せられた相談件数は千三百八十三件で過去最多となっています。このように本県を含め全国的に児童虐待の相談件数が年々増加している中、県においては昨年度富士児童相談所を新たに設置し、東部地区の相談体制の充実を図ったところでありますが、いまだ東部児童相談所の相談件数は他の児童相談所と比べてかなり多いのが現状であります。平成十九年に国の児童相談所運営指針の見直しにより、本県においても児童相談所に虐待通告がなされた際の安全確認を行う時間ルールについて四十八時間以内と定められている中、住民からの通報の増加は児童虐待の早期発見につながり歓迎すべき面もありますが、かといって、通報を受けたはよいが職員の人手不足など、迅速な対応がなければ意味がありません。
     知事は、「生んでよし 育ててよし」の施策の中で、とりわけ出生率向上を最重要課題と認識をしているようでありますが、生まれた子どもたちが虐待により命の危険にさらされている現実に対しても、しっかりとした対策を打つべきではないかと思います。児童や家庭の抱える問題は多様化、複雑化し、児童相談所においては、これまで以上にきめ細かな対応をすることが求められるとともに、市町との連携や市町に対する技術的援助など担うべき役割はますます増加をしています。
     そこで、虐待を未然に防ぎ、また不幸にして発生した新たな虐待については直ちに対応できるようにするために、県としてさらなる児童相談所の相談体制の強化を図っていく必要があり、とりわけ東部地域の相談体制の充実が急務であると考えますが、県の所見を伺います。
     次に、新東名高速道路を活用した地域活性化について伺います。
     三月十一日の東日本大震災では社会基盤が甚大な被害を受けた中、東北自動車道などの高速道路はいち早く復旧し緊急輸送路として多大な機能を発揮するなど、高速道路ネットワークの重要性が実証されたところです。本県においては大震災における大津波警報や七月の台風六号による高波、八月の駿河湾を震源とする地震、今月の台風十二号、十五号による波浪と、自然災害に伴う東名高速道路の通行どめが続き、そのたびに周辺道路や経済活動に大きな混乱を引き起こしています。建設中の新東名高速道路は東名高速道路の通過するルートよりも山側を通過するため津波等の被害を受けにくく、東名高速道路の薩f峠付近などのウイークポイントに対し代替路として機能することから、本県にとって防災上非常に大きな機能を果たすものと期待するところであります。
     このような中、先月、中日本高速道路株式会社から新東名高速道路の開通時期が平成二十四年初夏と公表になり、半年以上も前倒しされたことは大いに歓迎をすべきことであり、東海地震等の発生の切迫性が指摘される本県にとって、さらに一日でも早く開通させることが切望されています。御殿場ジャンクションから三ヶ日ジャンクションまでの百六十二キロの開通は、本県にとって防災力向上への貢献はもとより産業や観光の振興に大きく寄与することが期待をされます。
     このため、新東名高速道路の開通に向けて地域社会と連携して、地域の産業、観光、防災等に貢献する利活用方策を検討していくことが必要であると考えます。
     そこで、本県における新東名高速道路を活用した地域活性化に向けた取り組みについて伺います。
     次に、農地基盤整備について伺います。
     世界的に食料需給がH迫する中、我が国の平成二十二年度の食料自給率はカロリーベースで昨年度から一ポイント低下し、三九%と昭和三十五年度以降二番目の低い水準となり、先進国の中でも極めて低い水準にあります。昨年度、大幅に縮減された国の土地改良事業予算は本県を初め各県議会等からの意見書をもっても復活することは果たせず、民主党政権が掲げた戸別所得補償制度の導入による自給率向上の政策目標である、平成三十二年度の五〇%の達成は大変困難な状況であると考えます。
     本県においては必要最低限の農業農村整備予算を確保できたと認識をしていますが、来年度も政策的経費の一割削減などが示されており、大変厳しい状況が見込まれる中、地域農業者からは予算削減により整備がおくれ、農業経営への支障を心配する声や局所豪雨が多発しているのに排水施設の増強が進まないことへの懸念の声等が聞こえてまいります。農業経営は個人の努力で改善できますが、農地や農業用水等の地域資源は県民共有の財産であり、社会資本として県がしっかり整備すべきものであると考えます。農業者が安心して生活でき安定的に営農できる農業政策を確立し、農業生産の基礎となる農地の基盤整備は必要不可欠であります。
     そこで、国の制度が大きく変わろうとも、本県農業をしっかりと支えていく農地基盤整備の戦略的な推進は本県にとって極めて重要と考えますが、今後の県の取り組みについてお伺いいたします。
     次に、発達障害者の支援についてのうち、東部地域の体制整備の推進について伺います。
     平成十七年に施行された発達障害者支援法により、国や県、市町村が責任を持って発達障害者を支援することが明確となり、本県でも発達障害者支援センターの設置などの取り組みがされているところであります。発達障害者支援センターは、発達障害者支援法に基づき都道府県及び政令指定都市に設置をされている公的な相談専門機関であり、当センターでは発達障害者及びその家族に対する相談支援、発達支援、人材養成などを行っております。当センターへの相談件数は年々増加しておりセンター事業への需要は年々高まりを見せ、発達障害者支援センターの果たす役割は今後ますます大きくなるものと思われます。特に相談件数の約半分は東部地域からということからわかるとおり、東部地域には自閉症などの発達障害の相談支援機関がないこともあり、発達障害者の支援に対するニーズはかなり高いといえます。現に静岡県手をつなぐ育成会や静岡県自閉症協会は県に対して、東部地域に発達障害者支援センターの設置を要望しているところであります。
     そこで、発達障害者支援センターの体制を見直し、東部地域の支援強化を図る必要があると考えますが、県の所見を伺います。
     次に、高等学校における特別支援教育についてであります。
     平成十九年四月に学校教育法等が改正され特別支援教育が始まりました。特別支援教育では、障害のある児童生徒に対し、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育を実施することや、異なる学校種間、福祉、医療、労働等の関係機関との連携がこれまで以上に求められています。平成二十一年に文科省の特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校ワーキング・グループがまとめた報告によれば、高等学校進学者の約二%が発達障害等により学習面や生活面等で特別な教育的支援が必要とのことであり、本県の高校にも相当数特別な教育的支援の必要な生徒が在籍をしていると考えられます。
     現在、県教育委員会においては、すべての県立高等学校に特別支援教育コーディネーターを配置し、特別支援教育の充実、体制整備を図っていますが、小学校・中学校に比べると整備がおくれているという指摘があり、実際、特別な支援が必要な児童生徒のための個別の指導計画を作成している学校の割合は小・中学校に比べ非常に低い状況にあります。今後、高等学校における特別支援教育の体制整備を図るには、当該高等学校だけではなく中学校や特別支援学校、さらには専門家等との連携を図ることが大切であり、そのことにより一層効果的な対応が可能になると考えます。
     そこで、高等学校における特別支援教育の体制整備に向けた取り組みの現状と今後のあり方について、教育長の所見を伺います。
     次に、交番・駐在所の再編整備についてであります。
     県警は、人口増や事件事故が増加する地域を対象に警察署の新設を計画するなど、組織の最適化を進めていると伺っています。警察署の統廃合が進み袋井警察署の新設、裾野警察署の建設等が進められている一方で、水窪、森、蒲原警察署の分庁舎化が行われました。このような警察署統廃合に伴い、警察署の交番・駐在所が実際の住民実態とそぐわない状況が出てきているともお聞きをいたしております。地域の都市化に伴い住民が急増したり、逆に都市のドーナツ化により住民が激減したりして交番・駐在所のそれぞれの負担に格差が生じているのであります。また警察署の再編により、交番が警察署から遠隔地に位置するようになっている現状もあります。それに加えて現在の東海地震第三次被害想定を上回る津波が発生した場合には、現在の交番・駐在所の中には津波の被害を受けるところもあり、老朽化に伴い建てかえ時期に来ている交番・駐在所も数多く存在をしています。交番・駐在所は地域に密着をした日本独自の世界に誇れる警察制度であります。震災時はもちろん、平時においても地域住民の安全の拠点として重要な位置づけとなっているのであります。
     そこで、本部長として、交番・駐在所の位置づけをどのように考えているのか、このような状況の中、県警としては、今後交番・駐在所をどのように地域の実情に合った形で再編をしていくのか、県警としての方針をお伺いをいたします。
     以上で、ひとまず私の質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 答弁に入ります前に、去る九月二十一日、本県に上陸いたしました台風十五号により県内各地で多大な被害が発生いたしました。今回の台風でお亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また、被災された皆様にお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧と生活・生業安定のため全力を挙げて取り組んでまいります。
     さて、宮沢議員にお答え申し上げます。
     初めに、私の政治姿勢についてであります。
     私は、この静岡県が富士山を仰ぐふじのくにとして、日本の理想郷をつくり得る場の力を持っていると確信しております。その場の力を引き出すために常に現場に行って、その現場に学び、現場で解決できるものはその場で行い、あるいは解決案を皆様方と御一緒に考えるという、いわゆる現場主義をしてまいりました。こうした県政の課題に対する対処の仕方が結果的にはスピード感を上げているというふうに思っております。これが成果に結びついているかどうかということは、これは厳正な御批判、また御評価をいただかねばなりません。
     ふじのくにづくりのグランドデザインでございます、十年かけての総合計画というものでございますが、その進捗状況や成果に関しましては、県が行う自己評価と同時に有識者等の第三者による評価をいただかねばなりません。より客観性の高い評価を実施することにしています。評価に当たりましては、県議会を初め県民の皆様からも御意見をちょうだいすることにしています。これらの結果を真摯に受けとめまして、計画策定後の社会情勢の変化にも柔軟に対応してまいりたいと。そして施策の改善や重点化等を、その時々におきまして図りまして、来年度以降の施策の展開に反映させていこうと考えております。
     加えまして、評価結果を、仮称でございますが“ふじのくに”づくり白書として公表いたします。私の施策の推進力につきましても、実績やその実績に対する評価結果をいただきまして、それらを反省材料として県政に打ち込んでまいりたいと考えております。今後とも県民の皆様を初め県議会の御意見を十分に拝聴いたしながら、チーム川勝一丸となりまして総合計画の実現に向けまして、前倒しをみずからにまたチーム川勝に言い聞かせておりまして、総力を挙げて十カ年計画を前倒しして、その課題をどこが担うかということが明確に書かれておりますので、その競争をそれぞれの部局でしていただいて、そうした評価を内部でいたしながら、十カ年計画を、十年かけないで実現してまいりたいという所存でございます。
     次に、菅内閣退陣と野田新内閣についてであります。
     菅内閣の実績といたしますれば、これはやはり原子力発電所に依存してきたこれまでのエネルギー政策に対して、非常に深刻な、また正面からの問題提起をなさったということに尽きるかと思います。これは国内において、電力の安定供給もさることながらやはり安全であるかどうかということがもっと大切だという、そうした意識をつくり上げた。さらにこれは国際的に波及いたしまして、ドイツの脱原発という動きを明確にしたり、あるいはイタリアにおきまして原発の新設を認めないという国民投票の結果があらわれたり、そうした動きにもつながりました。そうした意味での実績はあったと存じます。
     一方、新エネルギーにつきましてはまだ十分にそれが整っていないだけに、電力の安定供給をどうするかという新しい課題を我々に今突きつけていると存じます。その他、民主党が本来掲げていた内政における地域主権ないし地方分権ということにつきましては、前進はしなかったと見ています。
     また、外交につきましても、鳩山内閣で挫折した普天間の移設問題につきまして、これも全く進展はしなかったということでありましょう。しかし三月十一日のあの大震災によって各国から多大の御援助を賜りましたけれども、その中で突出しておりましたのがアメリカ合衆国のいわゆるトモダチオペレーションでございます。その中で結果的に日米の同盟関係の重要性というものを確認するという、そういう果実は招いたのではないかと思っております。
     野田新内閣についてでございますけれども、まだ発足して間もないということで評価ができる段階ではないと存じますけれども、しかしいわゆる民主党が政権を握ったときのトロイカ体制――小沢、鳩山、菅という三人のリーダーから成るトロイカ体制が一応の役割を終えたと、その後に登場した内閣であるというふうに理解しております。鳩山さん、菅さんがもう一度首相になられるという可能性は非常に少なくなりましたし、小沢さんも今厳しい状況に立たされていると。しかしそれら三人の領袖の御協力を得た上で、ポストトロイカ体制として発足をしたと。その意味で古い体質からは自由である一方で、十分に経験を積まれた方が要職につかれていないという面もあって、新鮮でありますけれども、しかしやや不安な中に、我々はこれを期待を持って、バランスのとれたところがこの野田新内閣の真骨頂だと存じますので、それがいわゆる低位安定ではなくて発展的なバランスの拡大というふうになるように期待しているところでございます。
     次に、平成二十四年度当初予算編成に向けた考え方についてのうち、基本方針についてでございます。
     私は、県民の皆様一人一人が、安全でかつ安心して暮らすことのできる社会を実現することが、ふじのくにづくりの重点の取り組みの根本であると考えております。さはさりながら財政の中期見通しにおきまして、四百六億円の財源不足に対しまして現時点で活用可能な基金残高は三百三億円にとどまっておりまして、まことに厳しい財政状況にございます。それゆえ歳出のスリム化、歳入確保を徹底いたしまして、ふじのくにづくりと財政の健全化との両立を図ってまいります。
     去る三月十一日に発生いたしました東日本大震災を受けまして、本県は地震津波対策を緊急的に実施するために、五十八年ぶりとなる五月臨時会での補正予算を編成いたしました。また六月議会では新エネルギーの導入促進を中心に補正予算を編成したところでございます。本議会では急激な円高や低迷する雇用情勢を踏まえて、雇用・経済対策を中心とする補正予算をお諮りしております。言いかえますと、五月では日本の国難と言われることに対して震災関係の補正予算を組んだ。そして、これはエネルギーの不足という事態を生みましたので、六月の補正では新エネ、代替エネルギー、これに向けての起爆剤になるような予算を組みました。そして今の議会におきましては現下、多くの失業者がいらっしゃるので、この方たちに雇用を創出するという、そうした特徴を持たせて、社会情勢の変化も踏まえつつ、切れ目なく対応してきたところでございます。
     来年度の当初予算編成に当たりましては、特にこのたび骨子をお示しいたしました雇用創造アクションプランに基づく雇用対策や、今月とりまとめましたふじのくに津波対策アクションプログラムに基づく津波対策など、県民の安全・安心につながる取り組みの本格的な実施に向けて各部局に創意工夫を求めているところでございます。
     総合計画の目指す姿を早期に実現するために、少なくとも三つ大事なことがございます。少子化対策、新エネルギー対策、それから雇用創出でございます。こうした対策を盛り込んだ、その富国有徳の理想郷“ふじのくにづくり”に、これまで以上のスピードをもって取り組むための各種施策につきまして、来年度当初予算に反映するつもりでございます。
     次に、県内経済活性化への取り組みについてのうち、雇用情勢の回復に向けた取り組みについてであります。
     議員御指摘のとおり、本県の雇用情勢は有効求人倍率が三十カ月連続して全国平均を下回っております。先行きの予断を許しません。このため県といたしましては、来年一月をめどとして静岡県雇用創造アクションプランを策定いたします。先ごろ平成二十五年度までに三万人の新たな雇用を創造することを目標とするプランの骨子を公表いたしました。この三万人という数字は、平成十九年度いわゆるリーマンショックに襲われる直前における失業者数が五万五千人、平成二十二年度にはそれが八万二千人にふえました。差し引き二万七千人の方々が新たに失業者として加わったということでございます。この分をなくすというのが目標です。平成十九年度における完全失業率は二・六%。完全失業率というのはやはりあるんですね、完全雇用をしていても、病気になったり職種を変更したりという人がいらっしゃいますから、二・五%前後ですと、これは完全雇用に近いと。そこのところに持っていくというのが三万人という数字です。これはただに経済産業部だけでなくて、全部局においてどのような仕事があり得るかということで、全方位的に雇用の創出の可能性をそれぞれ出していただいているという状況でございます。また緊急に実施すべき雇用・経済対策につきましては、このたびの九月補正予算に盛り込みまして、今議会でお諮りしております。
     雇用の創造は、国や県だけでなく産業界、労働界、教育界、そして市町の皆様と力を合わせて取り組むことが必要不可欠でございますので、各界各層の御意見や御協力をいただくために、新しく、仮称ですけれども静岡県雇用創造県民会議を設置いたしまして、県民一丸となって取り組む体制づくりを進めてまいります。今後、本県の雇用・産業構造の分析を踏まえた上で、経済情勢の変化にも対応できますように、新エネルギーなどの成長産業の振興や製造業などの地域基幹産業の活性化、介護・福祉サービスの充実、雇用のミスマッチの解消など具体的に取り組む分野を定めます。さまざまな知恵を出し合うことによりアクションプランをとりまとめまして、三万人という新しい雇用創造の目標達成に向けまして、全県を挙げて取り組んでまいる覚悟でございます。
     次に、浜岡原子力発電所についてのうち、まず安全対策に対する評価についてであります。
     中部電力の津波対策につきましては、福島第一原子力発電所の事故直後から数回にわたって発表されてまいりました。七月になりまして中央政府から全号機停止要請の際の運転再開の条件とされた防波壁の設置などの七項目を含めた三十項目の対策が取りまとめられました。七月に発表された対策では、マグニチュード九規模の仮想地震による津波の高さを独自に想定して、中部電力は防波壁の高さを十二メートルから十八メートルにかさ上げをなさいました。しかし津波が防波壁を乗り越えてくることがあり得ます。そうしたことをも想定し、冷却機能を維持する上で重要な海水取水ポンプを防水構造の建屋の中に設置するなどの新しい取り組みも示されています。これらの対策につきましては、これを要請した国がしっかりと評価をなさらなければなりません。一方私どもは、去る八月に開催いたしました県防災・原子力学術会議津波対策分科会におきまして、今回の事故の原因調査や津波の発生メカニズムの研究などによって得られる新しい知見を反映していく必要があるということも、その会議で指摘されているところでございます。津波があの砂丘をせり上がってくる可能性がありますから。したがって、岩盤のところから砂丘がございますけれども、その上に数メートル防波壁が、十八メートルでもですね、十八メートルというのは岩盤から数えての十八メートルですから、せり上がってくると、それを超える可能性もあるわけですね。そうしたいろいろな指摘もなされていますので、現在におきましては評価ができるという段階ではないと。差し当たって、今、国から求められている施策をきちっとなさって、国が評価するという段階ではないかというふうに思っております。ただ、中部電力は安全対策に対しまして私は真摯に取り組まれているという、そういう評価は持っております。
     次に、運転再開への考え方についてです。
     浜岡原発の運転再開の是非を考える上での大前提は、福島第一原子力発電所のような事故を絶対に起こさせてはならないということです。一〇〇%の安全性を追求していかなければなりません。一〇〇%安全であると言われていたんです。とめる、冷やす、閉じ込めるで一〇〇%放射能は漏れることはありませんというふうに言われておりました。したがってこの安全性はより一層追求しなければならないということでございます。そのためには、中央政府が運転再開の条件とされました防波壁の設置などの津波対策はもとより、去る七月に中央政府が各事業者に実施を指示なさいました原子力発電所の安全性に関する総合的評価、いわゆるストレステストですね、そしてまた平成十八年の耐震設計審査指針の改定に伴う耐震安全性の再評価、いわゆる耐震バックチェックでございますが、これら浜岡原子力発電所の安全上の課題を一つずつ克服していくことが求められているところです。
     県といたしましては、これらの安全上の問題につきまして、中央政府に対し中部電力の対応を厳正に評価、確認していただくように求めてまいります。中央政府が評価、確認したことについて、我々は県防災・原子力学術会議を中心にいたしまして二重、三重のチェックを行い、県としての検証を行う必要があるというふうに考えております。
     さらに、発電コストなど原子力発電の経済合理性についても、今は検証が求められるという、そういう社会情勢になっていると存じます。従来言われてきた原子力発電所の低コストというのは厳しい見直しが各所でなされているのは御案内のとおりでございます。さらに浜岡原子力発電所の三十キロメートル圏内には約七十万人の人口集積があります。そして本県の基幹的な産業が集積しております。加えて東海道新幹線や東名高速道路があります。こうしたことを考慮した地政学的なリスクについても評価が必要です。
     したがって、永久停止を宣言して安全になるというものではありません。安全性は高めねばならない。危険性を低めなければなりません。そのためには宣言ではなくて、厳しく一つ一つチェックする以外にないのです。そうしたチェック、また安全性への指摘に対する対応におきまして、中部電力は最大限の努力をしているというふうに思っておりまして、そうした中部電力のしていることについての評価する能力を我々は持たねばならないと。これは中長期的な問題です。御指摘がございました使用済みの核燃料が一万体近くございます。今とまっているものを含めてですね。そうしたものを最終的にどう処理するのか。六ヶ所村はもう場所がございません。これをどう処理するかについては、やはり我々の県の、あるいは県内外の、特に県の、青少年も含めた科学する力、理科の力、こうしたものを持っていただいて、県のためになる、人のためになる、社会のためになるという、そういう力をつけていただくということがとても大事で、国任せあるいは中部電力任せということであってはならないということでございます。
     浜岡原子力発電所の運転再開の是非につきましては、こうした検証結果を一つ一つ丁寧に解きほぐして、安全であるということが科学的にわかる、それがわかりますと安心感が出てまいりますから、安全・安心はひとくくりにしてはならないと思っているわけです。停止宣言で思考停止になったらば、これは知的な鎖国です。そういうことにならないように県民の皆様の御意向も踏まえた上で、再開については判断すべきものと考えております。
     次に、運航支援金訴訟に関する和解についてであります。
     私どもはこれまで、訴訟手続の中で日本航空が一方的に撤退を表明してきたことや覚書に定める協議義務に違反していること、信義則に違反していることなどを繰り返し主張してきたところです。和解勧告が出た翌日、私は訴訟代理人に直接お目にかかりました。代理人は三人いらっしゃいますが、そのうち二人の方が、もう一人の方はその二人と同意見であるということで、訴訟代理人全体の御意見をお伺いする機会を得まして、和解勧告に関する説明を求めたわけでございます。代理人からは、和解金について平成二十一年十月二十九日以降分を求めないということは、同日すなわち十月二十九日の日本航空からの撤退通告が一方的であるという主張、私どもの主張を裁判所が認めたということですという説明を受けました。そして遅延損害金が免除されましたことは、県の主張に裁判所が評価をしたことですという説明を受けました。そしていわゆる協力条項というのは、前向きな協力関係をJALと県とが構築するのが、お互いにとって恐らく日本にとってということもございましょうけれども、いいという裁判所の御判断ですので、この和解勧告は受け入れるべきであるという、そういうお話を伺った次第でございます。そして勧告後、各方面から早期に裁判を終結させて空港の利活用に関係者が一丸となって向かってくださいという御意見もたくさんちょうだいいたしました。
     こうした状況を踏まえまして、熟慮をしている最中でもございますけれども、まだ終わっておりませんので、熟慮を重ねる中で、目下のところ今回裁判所から和解勧告という形で早期解決を強く促す司法の判断がなされ、この裁判所におきまして本県の主張が基本的にお認めいただいたということでもありますところから、勧告どおり和解するのが一番いいという判断に今なっておりまして、関係議案を本議会にお諮りしているところでございます。
     同時に、こうした和解に関する考え方につきまして、私は何をしてきたのかということもございますので、裁判所に提出しました私の陳述書というのを、もう裁判の最終段階になりまして、八月の下旬だったと存じますけれども、自分の文章でまとめました。それを全文、十月二日の県民だよりに掲載いたします。当初はそのまとめだけでいいという御意見もこのあたりからあったんですけれども、全文出すということで、何を言ってきたのかということを御理解いただきたいというふうに思います。
     ともあれ、今後は日本航空を含めまして、すべての関係者との間で空港発展に向けた協力関係が構築できるように取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 須藤経営管理部長。
           (経営管理部長 須藤明裕君登壇)
    ○経営管理部長(須藤明裕君) 平成二十四年度当初予算編成に向けた考え方についてのうち、財源確保の見通しについてお答えいたします。
     本年度の県税収入につきましては、八月末の調定額が対前年度比九八・三%となっており、税目別ではばらつきがあるものの、全体としてはおおむね当初予算の見込みどおりに推移しております。
     来年度につきましては、景気の持ち直しの動きが見られるものの、東日本大震災の影響や低迷する雇用情勢、急激な円高、回復力の弱まっている海外景気など先行きについて不透明な要因が多く、楽観できる状況にないと考えております。
     地方交付税につきましては、現時点では来年度の地方財政対策が未確定であり見通しをお示しすることはできませんが、今後、概算要求提出時に国から示される予定である来年度の地方財政収支の仮試算を参考とするなど情報収集を図り的確に対応してまいります。
     現在、来年度の当初予算の編成に向けまして、経営管理部において平成二十四年度の県の財政収支の試算を行っており、来月中にはお示しできる予定であります。この試算に基づきまして予算の編成方針を決定いたしますが、歳出のスリム化、歳入確保を徹底して進め必要な施策の財源を確保してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 県内経済活性化への取り組みについてのうち、厳しい経済環境における県内中小企業への支援についてお答えいたします。
     本県経済は、長期にわたるデフレや景気後退、東日本大震災と原発事故の影響に加えまして、ヨーロッパの債務危機などに端を発する歴史的な円高により、大変厳しい状況にあると認識しております。商工団体や金融機関を訪問し調査いたしましたところ、取引先からのコスト削減要求や受注減、海外移転の検討、資源価格高騰による円高メリットの相殺など県内中小企業は大変厳しい環境に置かれており、今回の円高が構造的な問題でありますことから、今後の県経済の先行きについて懸念をしているところであります。
     県内中小企業の支援につきましては、県制度融資の緊急経済対策枠に新たに円高の影響による売上減少を要件に加え、融資限度額の引き上げを行いますとともに、今議会に百億円の融資枠の拡大をお諮りし、急激な円高に対する金融支援を講じたところであります。
     また、販路開拓や新商品の開発などを行うための助成枠三千万円の増額を今議会にお諮りし、経営革新に積極的に取り組む地域企業の支援を強化いたします。さらに受注機会の拡大を図る商談会の開催や経営相談に対応する専門家の派遣などに取り組むなど、厳しい経済環境に置かれております県内中小企業に対しましてきめ細かな支援を実施してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 初めに、東日本大震災を踏まえた津波対策への対応についてお答えいたします。
     東日本大震災を教訓とした今後の津波対策の基本的な考え方といたしまして、中央防災会議の専門調査会では、比較的頻度が高い、数十年、百数十年間隔で発生する津波に対しては、施設の効果が粘り強く発揮できるような構造物の技術開発を進めつつ、引き続き海岸保全施設の整備を推進すべきとの提言が示されております。県では、五月から実施した津波対策の総点検や、この提言を踏まえ、ハード・ソフト両面から成る新たな短期対策として、具体的な数値目標や達成時期を明確にしたふじのくに津波対策アクションプログラムを取りまとめました。具体的には漁港の堤防整備や河川の護岸整備等の前倒し実施を初め、新たに緊急整備が必要とされました既存公共土木施設への津波避難用階段の設置などを着実に実施することとしております。また既存の施設が発災時に防災機能を十分発揮できるよう河川海岸堤防の計画的な修繕や、水門操作の自動化など施設の維持改良にも努めてまいります。
     県といたしましては、国の第三次補正予算の積極的な活用などより一層の予算確保に努め、津波対策施設の早期整備に万全を期してまいります。
     次に、新東名高速道路を活用した地域活性化についてであります。
     新東名高速道路は、史上最長となる百六十二キロメートルに及ぶ規模で来年初夏までには開通する予定となっており、本県の産業や暮らしに極めて大きなインパクトを与え、非常に幅広い活用が期待されております。
     このため県では、この機会をとらえて昨年度から横断的な部局構成による静岡県高速道路利活用推進会議を設置し、本県の産業や観光の振興、生活の利便性や防災機能の向上につながるよう利活用方策を検討しております。これまでに、産業、観光、防災など六分野におきまして約五十項目の利活用案をとりまとめ、中日本高速道路株式会社と実施に向けた調整を進めております。例えばすべてのサービスエリアやパーキングエリアへのヘリポートの設置やサービスエリアへの電気自動車充電設備の設置など、約三十項目につきましては新東名の開通に合わせた実現が可能となってきております。また新東名に設置されるすべてのサービスエリア、パーキングエリアでは一般道路から利用できる駐車施設が併設されることになっており、この施設の利活用につきましても地元の市町や産業団体等に検討を働きかけているところであります。
     県といたしましては、東海道新時代の幕あけとなる新東名の開通を本県のさらなる発展につなげていけるよう今後とも関係者への情報提供や働きかけを行うとともに、今年中に策定するふじのくに交通ネットワークビジョンにあわせまして新東名高速道路利活用プランをとりまとめ、これらを通じまして新時代のモデルとなるような魅力ある地域づくりを進めてまいります。
     次に、農地基盤整備についてであります。
     全国一の品目数を誇る食材の王国であります本県の農業が産業として力強く発展していくためには、それぞれの産地が地域の持つ豊かな資源を生かした新たなビジネスを創出し、収益性の高い農業を展開していくことが重要であると考えております。そのためには消費スタイルの提案等による新たな消費の創出と人材、基盤、技術面からの生産力の強化が不可欠であります。とりわけ農地につきましては、生産性の向上が図られております全体の七割に及ぶ優良農地を着実に保全しつつ、ビジネスとしての農業を可能とする整備水準へと高めていく必要があります。
     本年三月に策定しました農山村整備の指針である静岡県農山村整備みらいプランでは、最重点戦略としまして、産地の核となるビジネス経営体等を育成し、多彩で質の高い農産物や交通インフラ、景観等の地域の強みを生かした新たな産業や雇用の創出を位置づけ、その実現に必要となる農地基盤整備を総合的かつ集中的に推進していくこととしております。
     こうした取り組みによりまして、産地みずからが地域で生産したものを地域でおいしく食べる食文化の創造に加え、来年初夏までには開通予定の新東名高速道路と連携した新たな物流戦略により国内外への販路の拡大を図り、競争力のある力強い農業への展開に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 初めに、食の安全確保のための取り組みについてお答えをいたします。
     本県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生後、関係部局が連携のもと県内産の農畜水産物の放射性物質検査を行い、これまでにもお茶の県内十九産地のモニタリング調査の結果、全産地で健康への影響を心配するレベルでないことを確認し、安全性をアピールしたところであります。
     さらに、国の方針に基づきまして放射性物質に関する検査計画を策定し、県民の摂取量の多い主要産品や県の特産物を対象に、来年三月までに県の東部・中部・西部の三地域それぞれで合計三十六品目百十六検体を検査することとしており、これまでに暫定規制値を超えるものはないことから県内産の農畜水産物は安全であることを確認しております。その一方で放射性物質に汚染された稲わら等の事案のように、放射性物質の広域飛散による食品汚染がこれまで以上に懸念されていることから、県内に流入する農畜水産物やその加工食品の検査をより一層強化する必要があるため、放射性物質の検査機器を整備する補正予算案を今議会にお諮りしているところであります。
     また、食品の放射性物質に関する適切な情報提供につきましては、検査結果情報等を随時、報道提供や県のホームページに掲載するとともに、県内各地で関係部局、団体が連携して開催するタウンミーティングや試食会並びに、新たに始めました大型食品店舗などでの掲示板による消費者への情報提供により積極的に安全性をアピールし、県民の不安解消に努めてまいります。
     今後とも、このような取り組みを通じまして食の安全確保を図り、県民に安全で安心できる食品を提供してまいります。
     次に、児童虐待防止対策についてであります。
     「生んでよし 育ててよし」のふじのくにの実現に向けましては、すべての子供が安心して成長できる環境づくりが何よりも大切であり、全国的に大きな問題となっている児童虐待への対応は本県でも重点的に取り組むべき課題ととらえております。こうしたことから児童相談所の体制強化のため、本年度、東部児童相談所と富士児童相談所に児童福祉司の増員を行うとともに、児童福祉司の業務をサポートする非常勤職員をすべての児童相談所に配置をいたしました。また県全体の児童相談体制の充実のためには、児童虐待への対応を一義的に行う市町の体制強化が重要でありますことから、東部児童相談所及び富士児童相談所の管内市町に児童相談所の職員を重点的に派遣し、実践を通じた支援を行うなどの取り組みを行っています。こうした中、今月十二日には昨年五月に函南町で発生した児童虐待による死亡事例について、県社会福祉審議会児童虐待検証部会から事案の検証結果を踏まえた提言がなされ、市町における要保護児童対策地域協議会の調整機能の充実などが盛り込まれたところであります。
     県といたしましては、提言内容を踏まえまして児童相談所職員や県の保健師が各市町へ出向き、市町が抱える個別事例への対応方法などについて実践的な助言を行うほか、市町職員が活用できる児童相談対応マニュアルや母子保健における虐待対応能力育成のためのマニュアルの作成など、児童虐待対応体制を充実するための具体的な取り組みを早急に実施いたします。
     今後とも、こうした市町支援の充実と県としての児童相談体制の強化のため、児童相談所における職員体制の充実を図ってまいります。
     次に、発達障害者の支援のうち、東部地域の体制整備の推進についてであります。
     発達障害のある方への支援は乳幼児期からの早期発見、早期療育が有効であり、市町の乳幼児健診における保健師や保育所の保育士などに重要な役割を担っていただいております。このため県の発達障害者支援センターでは平成十七年度からそれらの人たちに対する専門研修を実施し、まず地域の支援体制の充実に努めてまいりました。しかしながらセンターに寄せられる相談件数が年々増加し、特に東部地域のウエートが増加しておりますことから、平成二十年度より県の東部総合庁舎にセンター支援員が毎月出向いて相談会を開催し、この九月からは専用の相談室を確保し、医師や臨床心理士などの専門職による相談を毎週実施するなど、支援の充実を図っているところであります。
     県といたしましては、身近な地域で継続して相談や支援を受けたいという県民の皆様からの強い要望にこたえるため、東部地域において常時相談が受けられる体制の整備を目指しまして、早急に関係機関との調整を進めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 発達障害者の支援についてのうち、高等学校における特別支援教育についてお答えいたします。
     県教育委員会では、高等学校における特別支援教育の体制整備を図るためには、議員御指摘のとおり、高等学校が中学校、特別支援学校、さらには専門家等と連携を図ることが大切であると考えております。このため県内を七地区に分け地区ごとに特別支援教育を推進する母体として協議会を設けております。この協議会に各高等学校の特別支援教育コーディネーターが出席し、各学校の実情を踏まえた研究や情報交換を行っております。さらに地区ごとに任命した臨床心理士の資格を持つ学校支援心理アドバイザーや各地区内にあります特別支援学校の教員がこの協議会に参加するほか、高等学校からの訪問要請に応じて専門的な指導助言を行っております。
     また、来月十月からは旧周智高等学校の校舎を活用して、発達障害等があり特別な教育的支援が必要な高校生を対象とした実習講座や教育相談を医療、福祉、就労の専門家と連携しながら、モデル事業として実施いたします。今後はその成果等も踏まえ、高等学校における特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 交番・駐在所の再編整備についてお答えいたします。
     初めに、交番・駐在所の位置づけについてでありますが、警察署の下部組織として設置され、そこに勤務する警察官は地域を活動の場とし、直接市民と接しながらすべての警察事象に即応する活動を行っております。これまでも人口動態や世帯数、事件・事故の発生状況などを総合的に勘案して、主に都市部に交番、郊外に駐在所を設置し整備を推進してきたところであります。交番・駐在所は治安の最前線に位置し、いわば警察の顔、地域の安全センターとして親しまれており、将来にわたり本県の治安を確保する上で大きな役割を果たすものであって、適正に配置することが極めて重要であると考えております。
     次に、今後の再編についてでありますが、現在の配置状況につきましては治安情勢の変化などにより、一部に業務負担の格差が生じているところであります。県下における警戒力がバランスよく保たれるように位置や体制を検討していくことは大前提でありますが、議員御指摘のように、これまでの想定を超えた災害に対する備えは決してゆるがせにできないものであります。そのような観点から、災害時における被害予想、活動拠点としての必要性などを総合的に勘案し、将来を見据えた適正配置を推進していきたいと考えております。
     適地の選定、確保や、予算、人員上の問題など困難が伴うものではありますが、地域の実態に応じた整備を進めてまいりたいと考えております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 宮沢君。
           (四十五番 宮沢正美君登壇)
    ○四十五番(宮沢正美君) 時間がありませんので、二点について再質問させていただきます。
     まず、浜岡原発の再開への考え方についてであります。
     この問題、非常に難しい問題で、これからもいろいろさまざまな議論をして結論を出していこうかということになっていくのかと思っております。そうした中で去る七月二十五日ですが、浜岡原発の環境安全協議会というのがありまして、その席上、知事はですね、浜岡原子力発電所は日本一安全な原子力発電所だということをあいさつの中で申しておりました。そうした発言というのは非常にこう、知事の発言というのは重いもので、再開に向けてという発言なのかなというようなとり方をされた方もあったように思います。そうした意味でですね、知事、常々現場主義ということを言っておられるわけですので、安全対策等、浜岡原発に、現場に立ってですね、さまざまな観点から評価をして判断をしていただくようにお願いしたいと思いますが、知事の公務出張等の記録も見させていただきましたけど、確かに五月五日には経済産業大臣との会見、意見交換をされているようでありますけど、現場に立ってですね、しっかりと安全対策等の評価を行っていただきたいと思いますが、そのことについて知事の所見を伺いたいと思います。
     次に、運航支援金のことであります。知事は先ほどの答弁の中で、和解勧告後、直ちに訴訟代理人と意見交換をして判断をし、訴訟代理人はおおむね県の主張が認められたというようなことであったという答弁をいただきましたけど、私にはなかなかそういうことが理解できないわけであります。そもそも、この搭乗率保証、議会としても路線確保のためには苦渋の選択として附帯決議をつけて認めたことであります。そうしたことから、その裏にはですね、長年にわたって空港建設に努力をされて苦労をされてきた皆さんの思いも込めて何とか静岡空港を発展させていこうという、そういうことでわざわざ附帯決議までつけて議会で認めた搭乗率保証であると私は理解をしております。そうした意味で、今回の訴訟に至ったということは非常に静岡空港のイメージダウンにもつながり、あるいはまた日本航空の路線撤退はもとよりですね、最近の動きを見ていますと、FDAも何か近い将来名古屋のほうに行ってしまうかなというような、そんな心配さえもしているところであります。知事は現在まだ熟慮中というようなことも先ほど答えられておりましたけど、そういうことじゃなくて、一刻も早くこの問題にけじめをつけて払うべきものはしっかり払って、和解の勧告の趣旨にもあるとおり、静岡空港発展のためにしっかりと努力をしていくという姿勢こそが今求められていることだと思いますが、知事の考えをお伺いさせていただきたいと思います。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) まず、浜岡原発の安全性についてでございますが、五月五日の日に海江田大臣と御一緒に現場を見たわけではありませんけれども、所長と御一緒にその現場を見まして、そして砂丘という七千年前からあるものに加えて、そこに海によって削られている砂浜を回復するために、砂を中部電力はつけ足していたんです。こうしたものは、その上に草木が生えているわけでもありませんので、それはそのまま海水と一緒に降って来かねませんねと言ったところ、答えがありませんでした。すなわち津波対策というのはまことに喫緊であって、そうした現場の認識は海江田大臣も共有され、また同席された細野豪志氏――当時内閣補佐官も認識されたと思っております。したがって津波対策を講ずるということをしなくてはなりません。その時点で四号機、五号機は稼働しておりましたが、これもとまりました。そして政府がその当時、三月三十日に要求した電源がすべて得られない、あるいは冷却機能がすべて失われた、そうしたことに対応するための幾つかの項目がございましたが、それを全部していたわけですね。そしてとめたと、五月十四日にすべてとまりました。それゆえ、すべての安全対策が講じ切られないうちは稼働できないのですから、その意味で迷っているところと比べますと、最も安全だということなんですね。安全であるから動かせるということではありません。今動かせない状況になっていて、その縛りというものは非常に厳しいものであるということから、そうした目で、あの安全対策を誠心誠意なさっておられる中部電力の、その安全対策をすることが、安全性をさらに高めることになりますね。そうした方向性を私は、今安全を高めるためにやっている、日本の中で最も精力的になさっている原子力発電所であるという、そういう脈絡で申し上げたものでございまして、安全であるから稼働してよろしいという脈絡は、恐らくそのときお聞きになった方で、そういう脈絡でとられた人は一人もいないと存じます。
     第二の運航支援金に関してですけれども、今議員が御指摘のように、六月三日に覚書が結ばれたわけですが、それを三カ月さかのぼること三月三日に企画空港委員会におかれまして、先生方が議決されたわけですね。その第一条は最大限の努力をすると、本県ももとより、JALにもそれを求めるという決議でした。
     第二点は、もし搭乗率七割に達しないと見込まれることがわかった時点におきましては、常にJALと交渉に臨むべしと。そして第三項、これは最終項ですが、これは異常なる覚書であるので、この覚書は単年度、すなわち当時の三月三十一日までというふうに努めるように、そういう決議がなされているわけです。
     しからば、それらはどのように覚書に反映されたかといいますと、覚書は全部で十条になっています。この覚書それ自体についての道義的な、倫理的なことは、私は知事に立候補したときにキャンペーンで申し上げました。しかし、一たん覚書を結んだ当事者になったということでございますので、その三項がどのように覚書に反映されているかといいますと、覚書全十条のうち、第三条はJALとそして県とは最大限のサービスに努めることということで、第三条にうたわれているわけです。
     それから第八条三項に、もし搭乗率が七割に満たない場合にはこれを協議することができるというふうに書かれているのですね。私はこの条項に基づいて、八月にまた十月に西松社長とお目にかかっていたのです。ですから搭乗率廃止を言ったからJALが撤退を決めたという、後からつけられた議論がございましたけれども、そうした議論は八月にも十月にもありません。私は第八条三項に基づいて、いかにこの七割に満たないものの搭乗率を上げるかということで、西松さんと限られた時間ではありますけれども議論をいたしまして、そして共通の認識にまで至ったのです。
     あにはからんや、その直後、十月二十九日に選択と集中によって不採算路線から撤退するという、全くそれまでお互いに話したこともないような理由が書かれた手紙が送りつけられてきて、加えて搭乗率保証の廃止を強硬に求めたから、したがって、これを言わないけれども、知事の面目をおもんぱかって言わなかったけれども、その理由によって撤退すると書いてあったので、それは偽りですということで怒ったのです。
     そして、それがどのように、しからば判断されたのかといいますと、もし私が覚書があるにもかかわらず、それにものっとらずに交渉していたとなれば、これは第二条に搭乗率保証七割、三条にそれの向上に努めると、第四条に搭乗率保証の決定の仕方、満たないものは第五条にこれこれのものを払うというふうに書かれていますから、これはもう、こういういわば証文ですから、そのとおり払わなくちゃいけないことは、これはもう当たり前の話で十分にわかってやっているわけですね。
     しかしながら、そのような中身と異なることを言われてきたので、それで怒った。結果的に十月二十九日以降撤退したことについては、これは合理性がないということで、裁判所はそのときにかかわる搭乗率に満たない部分については請求しない。それからまた、もしこちらの言ってることに間違いがあれば、これは遅延損害金を払わなくちゃなりません。払わなくていいとおっしゃった。
     さらに私は、陳述書におきまして、選択と集中について話したことはないと、さらにまた、当時の西松社長との関係におきましては和気あいあいとしたもので、両方が搭乗率を上げるために話したその中身について、極めて友好的で、ほぼ同意にまで至ったということを書いたわけです。それに対する反論はありません。選択と集中で不採算路線だったならばどのように不採算だったのですかという、求めたことについての回答もありません。それは代理人によれば、これは向こうが反論できないからですという中身だったのです。
     ですから我々は皆様方がお決めになられました議決――三月三日の企画空港委員会における三つの議決にのっとったもの、これにのっとって私は県のために闘いました。しかしながら、十月二十八日まではお互いに搭乗率を上げるためにそれなりの努力をいたしました。そこのところにおける関係は、やはり条文のとおり、足りないところについて払えと、それが結果的に一億四千数百万という高いお金になったということについて、私はまことに県民に対して申しわけないと思っております。そもそもこういう契約を結んだということがその原因にあるわけですが、非常に申しわけないと思っております。
     しかし、約束は守らねばなりません。そして裁判所の御判断というものは、私はよくバランスの取れた公平な、両方に対して言い分を、一方は契約を結んでるんだからその金を払え、損害遅延金も含めて払えということでございましたんですから、そうしたことに対して、留保をつけられ、我々の主張につきましてもお認めになられて、そして、これから仲よく富士山空港の発展のために尽くしなさいと言われているのでですね、これはもっともだと。ただ、もし私が熟慮ということを、さらに今考えるとするならば、この一億五千万円もというお金を本当に払うべきものであるかどうかについて、まだ腹の底まで私は合点がいかないのです。(発言する者あり)そういうことでございます。それは私の……。契約上もそれはもう当然のことなんです。(発言する者あり)そういうわけでですね、最後に腹に落ちるまでに少し時間がかかると思いますが、その気持ちは、県民に対してこのような負担を強いる結果になった、そのことに対する反省があるからです。そうした原因をつくったことに対する県政への反省も含めてです。以上で御答弁を終わります。
    ○議長(植田 徹君) これで、宮沢正美君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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