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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 哲司(牧之原市・榛原郡南部) 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/02/2008

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 富士山静岡空港について                      
 (1) 隣接地域振興事業費助成の今後の方針               
 (2) 榛原・吉田インターチェンジルート南原工区の整備         
 (3) 空港周辺部の管理                        
 (4) 路線確保への取り組み                      
 (5) ローコストキャリアの誘致                    
 (6) 空港機能の強化                         
2 次世代につなげる茶業の育成について                
 (1) 茶園基盤整備                          
 (2) 新たなお茶づくり                        
 (3) 次世代の静岡県茶業への取り組み



    ○議長 (天野 一君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百七号から第百三十九号まで及び平成十九年度静岡県一般会計、 特別会計、 公営企業会計決算全部を一括して議題といたします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 五十番 大石哲司君。
            (五十番 大石哲司君登壇 拍手)
    ○五十番 (大石哲司君)  おはようございます。 私は富士山静岡空港及び茶業振興策について、 知事及び関係部長に質問いたします。
     冒頭より私ごとで恐縮ですが、 この夏私は愛犬を亡くしました。 愛犬の名は 「ひらり」、 別名 「捨て犬・ふらり」 であります。 春先から体調を崩し、 暑さが殊のほかきつかった夏の盛りの七月二十九日、 彼女は十六年半の我が家での生活に別れを告げ旅立っていきました。
     平成四年二月、 牧之原台地に通じる山道の草むらで寒さに震える生後間もない子犬を見つけ、 私は家に連れ帰りました。 柴犬系の雌の雑種ですが、 飼い主によく似て性格温厚、 行動活発で、 子育ての終わった中高年夫婦の格好の友人となり、 長じて十歳くらいまでは飼い主夫婦の山歩きの供をし、 県内外、 各地の山々を駆けめぐりました。 晩年は動きが緩慢になり一日じゅう寝ていることが多くなりましたが、 仕事で遅くなった主人を見つけると、 激しくしっぽを振って出迎える愛犬に、 私はどれほどいやされたことでしょう。
     一方、 この犬の生きた十六年は、 空港建設に向けての試練の歳月と重なります。 候補地決定後の激しい反対運動、 気象観測開始、 空域の決定、 地権者会との覚書及び確約書の調印、 用地交渉の開始、 空港工事のスタート、 住民投票条例問題、 土地収用問題等、 一歩間違えば今日の富士山静岡空港はあり得ない瀬戸際の出来事の連続でした。
     また、 ここに来て制限表面内の立ち木の存在が問題となっていますが、 しかし今までもこうした幾多の難関を石川知事を初め関係者の努力で克服しましたし、 今回も県民の力を結集してでも乗り越えなければなりません。 そしていよいよ五カ月後に一番機が飛び立つ現実に、 私は大きな感慨を持つものであります。
     しかし、 前述のとおり、 ここに至るまでの過程は順調ではなく、 空港の先行きに絶望を感じることも何度もありました。 不肖私は、 建設地にあって静岡空港問題に当初からかかわる中で、 その停滞に焦りを感じ愛犬の口をかりて空港啓発本を何冊か出版させていただきました。 本の内容がいまいちであることは申すまでもありませんが、 空港建設地に生をうけ、 主人の供をして地元を駆けめぐった 「空港犬・ふらり」 の訴えは、 県民各位に幾ばくかの評価を受けたことも事実であります。
     愛犬の戒名は友人がつけてくれましたが   「おおぞらいん」 と書いて 「大空院・ひらり大姉」 であります。 七月末日、 私は、 家族、 そしてきょうも傍聴席に大勢見えていただいておりますが、 友人たちとともに 「千の風になって」 を合唱して愛犬を埋葬いたしました。 犬のことゆえ、 もちろんフィクションの世界ではありますが、 長年苦楽をともにした愛犬が昇天し、 ふるさと静岡の大空を千の風になって駆けめぐりながら、 「富士山静岡空港、 あと一息だ。 頑張れ」 とエールを送っているかと思うと、 目頭に熱いものが込み上げてまいります。
     では、 通告に従い質問に入ります。
     質問の第一は地元対策、 特に隣接地域振興事業費補助金についてであります。
     地元地権者の理解と協力なくしては、 今日の富士山静岡空港はあり得なかったわけですが、 開港を前にして、 ともすると地元との約束事が先送りされ、 「のど元過ぎれば熱さを忘れる」 の例えどおり消滅してしまうのではないかという事業化を危惧する声が聞こえてまいります。
     空港建設の是非をめぐる激論が交わされていました平成七年度に創設された隣接地域振興事業費補助金は、 環境影響を避けられない地元対策の一環として機能し、 地元市町が進める道路、 河川、 集会施設等の整備や農業振興事業等に活用されてまいりました。 臨空地域の生活の安定と振興に大きな役割を果たしてきたことを率直に認めるところでありますが、 その補助対象期間が開港後五年までということについて制度的な疑問を持たざるを得ず、 私は昨年の九月議会でも同様の質問をしましたが、 そのときは 「今後の事業執行状況を勘案しつつ、 地元要望を踏まえながら制度見直し等の検討をする必要がある」 との答弁でありました。
     あれから一年、 地元空港対策協議会や自治体から再度の要望を受け情報交換をしていることは聞いていますが、 具体的な進のないままに開港を迎えようとしております。 推測の範囲を超えませんが、 開港後、 必然的に空港関係部局の再編がある場合、 地元との約束事はどのような形でどの部局に引き継がれていくのでしょうか。 また昨今の地方財政迫の折、 地元市町において事業費の財源手当てができないとしたら、 事業化の先行きは極めてあいまいなものになると思います。
     ちなみに、 周辺二市一町の二十年度予算までの執行率は五七・七%となっており、 中でも牧之原市を例にとると執行率はわずか二五・二%であります。 直近五年間の年平均助成額のペースで開港後に助成枠約二十億円の計画事業を実施するには、 単純計算しましても実に五十年という気の遠くなるような年月が必要となります。 本来、 臨空地域の生活の安定と振興のための制度であり、 これらの事業が確実に実施されることが不可欠でありますが、 余りにも時間が不足しております。
     そこで、 空港直近地域及び周辺自治体との信頼関係を築いた当該制度の目的、 役割を考えて、 改めて事業の弾力的運用、 とりわけ補助率の改定や適用期間の延長といった制度の見直しについて、 開港前の最後の機会である今回、 明確な方針を示していただきたく御答弁をお願いいたします。
     次に、 公共事業の事業見直しの結果、 空港アクセス道路のうち榛原・吉田インターチェンジルートの南原工区が、 開港までの整備対象から除外されたまま現在に至っております。 現在、 着々と整備が進められている牧之原・金谷ルートを初め三ルートが完成すれば、 新空港のアクセス道路として機能することは私も十分承知しております。
     しかし、 空港完成後を見込んで周辺地域で新たな交通アクセス設置の動きが進む中で、 東名焼津―吉田インターチェンジ間の新スマートインターチェンジから大井川新橋を経由して南原工区を通過するルートは、 県中東部地域からの空港利用者にとって有効かつ魅力的なルートとなり、 空港の利便性向上にも大きく寄与するものと私は確信いたします。 またこの南原工区の建設は、 県が地元地域地権者と交わした確約事項でもあります。 こうした趣旨や経緯を考えたとき、 私は南原工区の整備は空港開港後の喫緊の課題であると思いますが、 今後どのように進めていくのか、 当局の考えをお伺いいたします。
     次に、 空港周辺部の管理について伺います。
     県所有の空港敷地は全体で五百ヘクタールと広大な面積となっておりますが、 このうち空港本体部を除いた緩衝緑地帯の面積が三百十ヘクタールと、 空港を取り囲むように緑が広がっております。
     県では、 空港整備の計画段階から環境に配慮した人と自然にやさしい静岡空港をコンセプトとし、 県民参加による空港の森ルネッサンス作戦を実施し、 また水辺環境の整備、 貴重動植物の保全など一貫して環境への配慮に取り組み、 注目すべき成果が出ていることは、 緑に包まれた空港としての富士山静岡空港のすばらしさを際立たせるところとなっております。
     また、 近接地には榛原ふるさとの森というこれまた自然環境保全のモデルがあり、 空港緑地帯とあわせて管理すれば、 非常に意味ある環境教育の拠点となると思いますし、 石川知事もこれを進めたいという趣旨の発言を本会議においてされております。 そういう中、 この緑地帯やふるさとの森の所在する牧之原市では、 官民一体となってこれらの整備保全に努め、 自然観察や野外活動の場として活用しようというエアポートエコミュージアム構想を打ち出し、 また島田市側からも緑地帯の有効活用の動きが出ていると聞いております。
     そこで、 今までの県の取り組みに加えて、 地元のこれらの構想と協働すれば、 さらにすばらしい緑に包まれた空港となることは間違いないと思います。 今後の空港周辺部の管理について、 県はどのように進めていくのかをお伺いいたします。
     次に、 質問が他の議員の方と重複するかもしれませんが、 就航路線について私なりの視点からお伺いいたします。
     開港まで五カ月となり、 国内路線はほぼ出そろったかなと思っております。 地元FDAのリージョナル航空路線を含めますと、 国内六都市、 一日十便が確保されたことになります。 私は、 昨年の九月議会でナイトステイ等航空会社への支援策の必要について質問いたしましたが、 今回のJALの就航計画のうち福岡便にナイトステイが実現し、 運用時間帯をフルに活用したダイヤが組まれたことは利用者にとって非常に便利であり、 他の路線についてもさまざまな支援策を期待するところであります。
     ところで、 御案内のとおり大手航空会社においては、 厳しい経営環境の中、 国内地方路線を中心に路線の廃止や減便が行われています。 この状況から富士山静岡空港の路線開設に悪影響があるのではと懸念する声が聞こえますが、 私は別の視点からこれを受けとめております。 すなわち本年度内にJAL、 ANA合わせて国内外で三十二路線が廃止、 減便されるということは、 一方では機体や人材に余裕が出て増便や路線新設もあり得るわけで、 本県の卓越した産業力、 経済力をもってすれば、 我が富士山静岡空港には逆にチャンスになるのではないかと考えております。
     既に大手両航空会社からは開港時の運航計画が発表されておりますが、 開港時はともかく開港後のさらなる便数の確保、 機材の充実に向けて、 企業、 団体等における出張利用や修学旅行での利用を働きかけるなど、 十分な利用者が確保できるように取り組むとともに、 その情報を提供するなど、 開港前であっても航空会社への要請の手を緩めることなく進めるべきだと思いますが、 今後の取り組みについてお伺いいたします。
     また、 破格の低運賃で運航するローコストキャリアについて、 アジアにおける航空の自由化が進展する中で、 台頭が著しいエアアジアXなど日本への運航を検討していると聞きます。 機内でのサービスは余り期待できませんが、 この魅力ある運賃を武器として利用者拡大に寄与することから、 その就航の働きかけをすべきではないかとの声が聞こえますが、 この点についての所見をお伺いいたします。
     また、 つい最近私は、 大手航空会社のジェットパイロットとして国内、 海外路線に搭乗している牧之原市出身の若者と対談する機会がありました。 彼いわく、 「ナイトステイはもちろんだが、 本格的な燃料給油所や機体整備場、 特に機体格納庫は絶対につくるべきである」 とか、 「将来に備えて大型機用の牽引車も整備してほしい。 そうすれば、 富士山静岡空港の立地条件の優位性からも、 国際ビジネスジェットの就航も可能だろう」 というような、 実際に航空機を運航する立場からの貴重な意見を聞くことができました。
     開港に向けての準備が最終段階を迎える中、 空港としてのすべての要件を静岡空港に求めることの難しさは理解しますが、 静岡県が将来にわたって発展し続け地域間競争に打ち勝つためには、 空港の利便性、 特に空港機能の強化充実に向けての投資は必要不可欠なことと思いますが、 この点について当局の所見を求めます。
     次に、 質問の第二でございますが、 次世代につなげる茶業の育成についてお伺いします。
     ここ数年、 茶価の下落傾向が続き、 ことしの一番茶は例年を上回る高品質にもかかわらず、 静岡茶市場の取引価格を見ると前年対比九一%、 また二番茶についても九三%と極めて厳しい状況となりました。 私の周りには茶の生産者が多く、 茶価の低迷による収益の減少に加え燃料や肥料等の生産コストの上昇により、 これでは茶業経営は継続できないという意見が聞かれるようになりました。 本県茶業の担い手育成機関である農林大学校の茶業学科への入学者数は前年度の半数以下のわずか六名と伺っております。 茶農家の、 息子にはもう茶業を継がせられないとの切実な悩みがうかがえます。 このような状況が今後も続けば、 本県茶業の担い手はいなくなり、 衰退の一途をたどるものと思われます。
     そういう中、 私たち自由民主党茶業振興議員連盟有志は、 去る七月、 牧之原台地の茶生産、 製造現場を視察した後、 牧之原市の茶業青壮年有志と静岡茶の将来について約三時間真剣な話し合いの場を持ちました。
     若手生産者の意見としては、 「後継者不足が深刻で、 このままでは生産農家は減少し、 放任茶園により生産環境が悪化してしまう」、 「機械化を導入できる大規模基盤整備の必要性は痛感しているが、 地域内の生産意識に格差がありその合意がとれない。 したがって現状としては、 お金のかかる大規模な圃場整備より、 茶畑の流動化と乗用型機械の使える畑への改植の必要性を感じるので、 既存茶園の改植への公的支援が欲しい」、 「『やぶきた』 以外の新品種への改植が奨励されているが、 品種転換は多額な運転資金を必要とし、 また生産量が少ないと価格が伸びないため余り魅力を感じない」、 「静岡茶を発展させるための生産者と茶商との連携関係がない」、 「茶業界は若手のリーダーの登用と育成が必要である」 等々、 お茶で生きる若者たちの真摯な意見を聞くことができました。
     なお、 これらを踏まえ、 茶業振興議員連盟有志は、 去る八月下旬、 鹿児島県の茶業実情調査に行ってまいりました。 そして限られた時間ではありましたが、 徹底した機械化による生産体制、 新品種を導入した特徴ある産地づくり、 国内外に向けた鹿児島茶の積極的な販売促進などの実態に触れ、 静岡茶に対する強い危機感を募らせて帰ってまいりました。
     私たちは、 過般の茶業青年の意見を脳裏に置いて視察をしたわけですが、 霧島市で六十三ヘクタールの茶畑を有する自園自製の茶生産者が言うには、 「いわゆる大規模基盤整備の必要性は感ずるが、 無駄なお金をかけ過ぎていると思う。 私は里山を開墾し、 十アール当たり十万円で乗用型機械の入る茶園を自力で造成したが、 そこでは実にうまいお茶ができ、 茶商からも引く手あまたで、 いつもこちらの言い値でお茶を売っている。 お金をかけて見ばえのする茶園をつくるだけがよいとは思っていない。 さらに栽培している品種は十五品種で、 すべてそれぞれの適期に別もみし、 工場の稼働時間は二十四時間換算で年間九十日と本県の三倍にも達している」 とのことでありました。
     南九州市知覧の大規模生産法人は、 加入農家七十二戸、 摘採面積百六十二ヘクタール、 幼木園十六ヘクタールを有し、 すべての茶園が整備された平たん地で、 所有する乗用型摘採機は十九台、 品種は 「やぶきた」 が二〇%で、 あとは 「ゆたかみどり」、 「あさつゆ」、 「さえみどり」 等であり、 栽培技術研修、 生産資材の共同購入、 施肥の統一、 茶園管理機械の共同利用、 共同摘採等をパソコンで一元管理し、 すべてを共同作業で行うことで茶生産者が個々に茶園管理を行うことはないとのことでありました。 ことしの農家への生葉代は、 平均十アール当たり五十万円を支払ったとのことで、 本県をはるかに上回る収益性となっていました。
     最終日に訪問した大手茶問屋においては、 「お茶の外見でもうまさでも、 鹿児島茶は静岡茶のレベルに達していると思う。 また国内での茶の消費が頭打ちになるのを見越して、 十数年前からドイツを初めとしたヨーロッパにおける日本茶の販売拡大に取り組んでおり、 健康志向が強いヨーロッパに対応した有機農法栽培茶の生産に取り組んでいる」 とのことでした。 「今、 茶業界は厳しい状況にあり、 実は静岡だ鹿児島だと競い合ったり、 生産者と茶商が駆け引きをしているようなときではないと思う。 全国の茶業関係者が危機感を共有し、 一大改革をしなければ茶業界は衰退してしまう。 静岡がリーダーシップをとって頑張ってください」 と逆に励まされて帰ってまいりました。
     そこで、 今回の二度の研修視察を踏まえて、 以下の三点について県の考え、 また対策などについてお伺いします。
     まず第一に、 茶園基盤整備についてであります。
     鹿児島では、 地形的、 コスト的な優位性もあり、 生産基盤の大規模化が飛躍的に進んでいますが、 一方、 本県においては静岡空港周辺部を除くと大規模化はなかなか進まず、 若手生産者は地域の同意が得にくい大規模基盤整備より既存茶園の流動化と簡易基盤整備が望ましいと考えております。 県はこれらを踏まえ、 今後、 茶園の流動化と基盤整備をどのように進めていくのか、 またこれらの指導及び支援策についてお伺いいたします。
     第二に、 新たなお茶づくりについてお伺いします。
     鹿児島茶の現状、 また静岡茶のさらなる発展を考えたとき、 新たなうまみと多彩な生産体系を築く新品種茶の本格的な導入が喫緊の課題と認識しますが、 この点について、 県の考え方と生産者及び生産団体への支援策についてお伺いいたします。
     また、 鹿児島においては有機栽培茶の導入が見られました。 本県でも当然進められていることですが、 その実態と今後の取り組みについてお伺いいたします。
     また、 これらの新たなお茶づくりについては、 生産者を初め茶業界全体が取り組むべき問題だと思いますが、 業界挙げての体制づくりについて、 県はどのようなリーダーシップを発揮するのかをお伺いいたします。
     第三に、 次世代の静岡県茶業への取り組みについてお伺いします。
     今日まで静岡県が日本の茶業界をリードしてきたことは偽らざる事実でありますが、 ここに来て鹿児島等後発県に比べ生産・流通など茶業に係る組織が複雑多岐、 かつばらばらであるということを指摘する方がおります。 当面する厳しい茶業環境を克服し、 静岡茶が今後とも日本の茶業界をリードしていくためには、 茶づくりは生産者、 流通販売は茶商ではなくて、 茶業関係者が一丸となり、 官民一体となって静岡茶の振興発展に取り組まなければならないと思います。 それには大胆な組織改革と改革の先頭に立つ指導者の育成が最大の課題であると私は思いますが、 この点について石川知事のお考えをお伺いいたします。
     さらに、 鹿児島での視察中に言われたことですが、 「農家が最初から補助金を頼りにするようではだめだ。 このおもらい根性を捨てて、 まず自分たちでやろうという気概で取り組まなければ事業は成功しない」 と言われたことが、 すごく耳に残っております。 日本一の茶どころ静岡県の誇りにかけても、 自主自立の気概あふれる茶業関係者を育成していかなければなりません。 そうした次世代を背負って立とうという生産者や茶商が我が県で育ちつつあると聞いておりますので、 その先進事例を一、 二御紹介いただき、 元気をもらって質問を終わりたいと思います。 よろしく御答弁をお願いします。
     御清聴ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (天野 一君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  大石哲司議員にお答えをいたします。
     初めに、 富士山静岡空港についてのうち空港周辺部の管理についてであります。
     富士山静岡空港の建設に当たっては、 周辺の地域環境との共存を図るために、 建設地にある里山の多様な自然環境、 貴重な動植物の保全に努めているところであります。 これまで専門家の提言や助言をいただいて、 工事区域から周囲部の適地への貴重種の移植や増殖、 造成のり面の郷土種による緑化、 ビオトープの整備による生息環境の復元、 四千ヘクタールの保護区域を設定してのオオタカ保護対策などを行ってまいりました。
     これらの取り組みは、 計画構想当初から発表し、 多くの関係者の協力をいただきながら進めてまいりましたが、 幸か不幸か建設期間が非常に長かったということもあって、 我々の構想を進めてきたものが現実に結果が出てきております。 そのために今日では大型建設事業の際の環境対策のモデル事業ではないかと言われるように、 有識者からも高い評価をいただくようになってきておりますし、 空港に訪れる多くの見学者から大変感嘆の声もいただいておるような状態になってまいりました。
     また、 空港の隣接地域に整備した榛原ふるさとの森におきましては、 小学生を対象とした環境学習プログラムなどを実施しております。 今後も現地の自然を解説し案内していただくことのできる人材養成などにも取り組んで、 環境学習の拠点づくりに努めてまいります。 さらに周囲部においても、 地元住民の皆様のさまざまな活動の中で、 グループ活動によってビオトープとか、 あるいは盛り土のり面の植樹地等で、 下草刈りとか、 あるいは竹炭づくりなどを行っていただいております。 地元との協働の取り組みも進行しているところであります。
     富士山静岡空港は環境に配慮した自然豊かな空港として、 今後も整備、 維持管理に努めることはもとより、 地元から周囲部の管理や活用についての積極的な参加の提案もいただいておりますので、 今後、 地元自治体との連携や地元の皆様との協働による取り組みを進めまして、 全国にも誇れる緑に包まれた空港を実現してまいりたいと考えております。
     次に、 次世代につなげる茶業の育成についてのうち次世代の静岡県茶業への取り組みについてであります。
     本県の茶業関係の組織的な取り組みでありますけれども、 昭和三十三年に静岡県茶業会議所が設立をされております。 これは生産者、 流通加工、 関係する分野の方々が集う場所としてスタートをし、 これまでにも本県の茶業振興に大きな役割を果たすと同時に、 全国をリードする、 そういう面でも大変大きな機能を果たしてまいりました。 その結果、 現在では全国における茶の生産量の面では約四割、 流通量の約六割を占める日本一の茶産地を形成することにもつながってまいりました。
     しかし、 近年、 リーフ茶の消費減少や茶価の低迷、 生産者の高齢化など、 茶業を取り巻く環境が大きく変化しておりますことから、 このような茶業情勢に的確に対応できる茶業団体の組織体制や流通システムのあり方について、 県は今年度から関係者と検討を始めたところでございます。 いい結論を得たいと期待しておるところであります。
     こうした中で、 地域の特徴を生かして茶業の維持発展に取り組む新たな動きが、 県内各地で見られるようになってまいりました。 大石議員の強調されました自主自立、 あるいは茶業者そのものが、 生産者であれ、 あるいは流通業者であれ、 自分のやる気といいましょうか、 やる気と、 それから自分の才覚の発揮について全力を傾けるという、 直接関係する人間の自主自立の精神に基づく活動が何より大事だと思うのであります。
     そういう面で見ますと、 いわゆる生産者団体とか、 あるいは流通加工も含めた茶業会議所という団体も、 スタート当初は大変それなりの意味はあったと思うのでありますが、 だんだんだんだん、 ともするとそのような団体の存続そのものが自己目的化していく、 そこに集まってきた人のそれぞれの事業の発展に寄与するというよりも、 団体そのものの存続とか、 団体の活動の活発化といいましょうか、 それが自己目的化してきたというふうに見られる面もあると思うんですね。
     それに飽き足らないで、 みずからの道をみずから切り開こうという、 そういう一種の創業家精神にあふれた方々もあちらこちらに散見するわけであります。 そういう人たちは、 あらゆる事業に共通する、 いろいろの好不況の波といいましょうか、 あるいは意図したことがうまく当たるかどうかという、 そういう事業につきものの浮き沈みみたいなものは避けられませんけれども、 しかしそれをいろいろな努力、 工夫によって乗り越えて、 大きく事業を展開しつつある人も随分あちらこちらに出てまいっております。
     こういう人たちの力をいかに伸ばしていくかというのが、 私はこれからの県の役割ではないかというふうに思うんですね。 人材の育成というのは、 あるいは輩出は県ではできません。 それを応援するということはできますね。 あるいはそういう人たちがうまく出るようないろんな障害を取り除くと、 こういうことはできても、 人材そのものは、 ちょうど植物のように自生していただかなければ出てこないわけであります。
     そういう県の限界も踏まえながら取り組んでいきたいと思っているんですが、 そういう観点から言うと、 具体例としては、 例えば静岡の中山間地域では強いリーダーがうまくそこに存在して、 そのリーダーシップのもとに従来の地域に四つありました茶工場を再編して農業生産法人も設立され、 これが県内に先駆けて機能性を有する新品種の 「べにふうき」、 これを導入して、 新たな製法による商品開発を行って、 インターネット販売やスーパーへの直販など積極的な販路開拓に取り組んで、 非常にいい展開を始めてる、 こういう事例もあります。
     この人たちに会ってみますと、 これから新東名の開通に対しても大変期待をしていると。 というのは、 ちょうど静岡市内の中山間地というのは、 新東名が通って間近にインターチェンジができると。 そうすると名古屋圏、 東京圏ですね、 都会のお客さんをそのまま呼び込んで、 一種の農業観光ですね、 こういうものも期待をすると。 実は、 それの本格的な展開に向けて、 既にもうその種のいろいろ試みをやってるわけですね。 非常にそういう意味では、 ある程度長い目で見ながら、 なおかついろんな市場の動向の変化に機敏に対応する、 そういう取り組みをしております。
     こういうところは、 後継者がいないなんていうぼやきは聞こえません。 後継者も、 先ほどの県が何かやって育てるというんじゃ、 これは実現しないというのは、 戦後の農政を見れば明らかですね。 可能性のあるところは自然に後継者が育ってきてるわけでありまして、 この静岡市の中山間地域のこの農業法人の場合は、 実はそれを少なくとも証明してくれてるんじゃないかというふうに私は感じて、 大変意を強くしているところであります。
     また、 島田市では、 大手の茶商の方が地域の農家とともに農業生産法人を設立をいたしまして、 大規模に整備された茶園で、 みずからお茶の生産に取り組んで加工販売まで一貫して行っております。 このことによってお茶から上がる利益を生産者、 流通加工の方々が、 信頼感のもとにうまく分け合うような体系ができ上がりつつあると、 こういうことも見えるわけであります。
     県といたしましては、 今後ともこのような取り組みが県内各地で行われるよう支援するとともに、 本県茶業を取り巻く厳しい情勢に対応できるように茶業団体と一体となって取り組んでいきたいと思います。
     この際、 キーワードといいましょうか、 視点としては、 今日のインターネットを初めとするITをいかにうまく活用して、 生産者といえども流通の分野に乗り出して価値を獲得するようにするか、 あるいはそれが得手でなければ、 それをもともと商売としている流通の方と組んで、 流通の方もいいお茶が入ってこなければ幾ら宣伝とか販路拡大しようと思ったって限界があるわけですから、 当然、 いい生産者と組みたいと思っているわけですね。 したがってそういう人と連携をして、 協同してともに歩んでいくか、 こういう両方の方向があると思います。
     それと、 お茶はリーフでなければいけないという、 抜きがたい固定観念、 私はこれからいかに脱却できるかっていうことが、 今後の茶業振興の決め手じゃないかと思います。 しかもそのリーフもですね、 従来の 「やぶきた」 をベースにしたいわゆる煎茶、 これでなければだめだと言わんばかりの非常にかたくなな考えから抜け出得ない人がいるようにも思えるんですね。 ところが、 さっきの 「べにふうき」 に取り組んだ例もそうですし、 あるいはその他さまざまな新品種が出てきております。 先ほど大石議員の例に挙げられました鹿児島の茶農家も、 随分たくさんの品種をつくっておられるわけですね。 そういう意味では、 特定の観念に凝り固まるということは、 これは茶業に限らずあらゆる分野で結果的には衰退を招くことになると思うんですね。
     そういう中で、 最近の健康志向の中で、 私はもう年来、 お茶の健康増進機能、 これは医学的な観点からの証明がまだされませんので医薬品として売ることはできませんけども、 少なくとも特定保健用食品  特保と言われるもののレベルまでは、 お茶のいろいろな成分について証明がされるようにはなってきておりますので、 特保として売るとか、 あるいは特保でなくても、 古来からの健康療法としてこれをアピールする方法は幾らでもあるわけであります。
     そうすると、 今の時代で考えれば、 サプリメントばやりでありますから、 そういう分野を切り開くとか、 いろいろ道はあると思うんです。 特にこのサプリメントについては食味とかうまみとかいうことは問題にならないわけですね、 安全性が唯一問題でありまして、 それさえ保証できれば、 それさえ信頼があればいいわけであります。 そうすると今の茶市場ではほとんど大した価値を見出されていない二番茶、 三番茶、 四番茶の出番が出てくるわけであります。 そうするとちょうどそこのところで、 例えば必要最低限の収益を確保、 収益分岐点に至るそこのところを確保すれば、 もう一番茶の段階で得られる収益が丸々上乗せになるというような茶業の展開だって不可能ではないわけですね。
     そうすると、 いかにサプリメント市場に切り込んでいくか、 こういうのも今までの既存の茶業分野とは違った分野で新たなマーケットとして出てるわけですね。 しかも海外で考えると、 リーフ茶がおいしいよと、 これはいいよということを売り込むために必要とする労力と比べると、 サプリメント市場というのは既に海外でもあるわけでありますから、 そこに切り込んでいくということはリーフ茶の普及よりももっと容易ではないかと私は思うんですね。
     したがって、 そういうところにも目を開いて、 今までの既存のルートでどうしたらいいかっていうふうに、 その中で悪戦苦闘する以外にもっと目をいろんな方面に広げていくと、 そういう点で県とか、 あるいはジェトロとか国際経済振興会とかいろんな活用できるチャンネル、 機能がありますので、 ぜひそういうところも活用していこうという気概、 気持ちですよね、 こういうものを持っていただけるとありがたいと思っているんです。
     そういう観点から言うと、 本県内にも、 例えば毎年パリで開かれるモンドセレクションに積極的に打って出てる、 そういう茶商の方も出てきておりますね。 あるいは茶商と農家が組んでそういうところへ出ていってるというケースも見られますので、 こういう面での応援は県は幾らでもできると思うんです。 ただ行くか行かないかっていう意思はそれぞれの人が持ってもらわないといけないわけで、 そういう面での自主自立の機運が盛り上がってくることも期待するわけでありますし、 それを促進する意味でも、 何と言うか、 完全な成功事例とは言えないかもしれませんが、 非常に見るべき展開はされてるケースの広報ですね、 これも重要だと思いますので、 これにも取り組んでいく考えであります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁申し上げます。
    ○議長 (天野 一君)  岩ア空港部長。
            (空港部長 岩ア俊一君登壇)
    ○空港部長 (岩ア俊一君)  富士山静岡空港についてのうち、 初めに隣接地域振興事業費助成の今後の方針についてお答えいたします。
     隣接地域振興事業費補助金制度は、 空港の建設により予想される周辺地域の生活環境等へのさまざまな影響を考慮し、 周辺地域の振興と生活の安定を図るために平成七年度に設けたものであります。
     補助事業の実施に当たりましては、 地元市町との連携のもとに、 これまで地元要望がきめ細かく反映されるよう、 道路、 河川事業を初め、 集会所や公園、 図書館や観光施設の整備など幅広い事業に助成してまいりました。 この制度は開港後五年までを補助対象期間としておりますが、 一方、 議員御指摘のとおり、 制度創設から十三年余が経過した中で、 関係自治体の財政状況などの変化に伴い、 事業の実績や今後の事業の執行見込みに差が生じていることも事実であります。
     県といたしましては、 こうした点を踏まえるとともに、 また現在地元において検討中と伺っている今後の具体的な事業内容等を勘案し、 さらには関係自治体の御意見も十分伺った上で、 議員から御指摘のあった適用期間の延長を含めて制度の見直しを検討していく考えであります。
     次に、 路線確保への取り組みについてであります。
     地方路線の運休や減便が相次ぐにもかかわらず、 富士山静岡空港ではフジドリームエアラインズの路線を合わせると国内六都市、 一日十便が就航することとなっております。 これまでに運休、 減便がなされた路線は、 需要や収益率の低迷などが原因と想定され、 こうしたことからも路線の維持拡大を図るためには、 十分な需要を確保し収益性を高めていくことが重要であると考えます。 このため就航先との間にビジネス往来がある県内企業約六百五十社に対する訪問活動等を行い利用を働きかけるとともに、 富士山静岡空港就航促進協議会と協働し、 学校に対して教育旅行における利用についても要請を続けているところであります。
     議員御指摘のとおり、 本県の卓越した産業力、 経済力をもってすれば、 地方空港を取り巻く厳しい環境を大きなチャンスに変えていくことも可能と考えますことから、 今後ともこうした取り組みを強化するとともに、 教育旅行における空港利用に対する支援策につきましても、 他空港の例を参考として検討を進めるなど航空需要の拡大に努め、 路線・便数の一層の充実につなげてまいりたいと考えております。
     次に、 ローコストキャリアの誘致についてであります。
     近年アジアでも急速に台頭してきているローコストキャリアは、 大都市圏から近く着陸料や使用料が低廉な地方空港に就航するという経営戦略をとる場合が多いとされているため、 首都圏に近い富士山静岡空港はローコストキャリアにとって魅力ある空港と考えられます。 去る六月にはマレーシアのローコストキャリアであるエアアジアXの路線担当者が富士山静岡空港を視察し、 「日本への就航を目指して候補先の空港を調査中であり、 富士山静岡空港も候補の一つである」 との発言がありました。
     ローコストキャリアは低運賃でのサービス提供がなされることから、 富士山静岡空港に就航した場合には、 旅客の利便性向上に資するとともに、 新たな需要喚起につながる可能性がある反面、 空港における諸経費の縮減のため、 県にとっては厳しい就航条件を求めてくることも予想されます。 県といたしましては、 大手航空会社との関係や就航の条件などを念頭に置きながら、 マレーシアを初めとするアジアのローコストキャリアへの働きかけに取り組んでまいります。
     次に、 空港機能の強化についてであります。
     県民共有の財産であり重要な社会資本である富士山静岡空港を将来にわたって生かし、 県勢の発展と地域の振興を図るためには、 空港機能の強化を図り利便性の高い空港としていくことが重要であります。 このため県におきましても、 議員御指摘のとおり、 広く一般に利用いただける航空機給油施設を設置することとし、 本議会に静岡空港の設置、 管理及び使用料に関する条例の関係事項の改正をお諮りしているところであります。
     また、 開港後も引き続き定期便やチャーター便の就航や便数の拡大に努めてまいりますが、 一方で、 将来的に国内外において利用の拡大が予想されるビジネスジェットの受け入れについても、 対応を検討していくことが必要であると考えております。 県といたしましては、 今後、 開港後の状況も踏まえながら、 富士山静岡空港を拠点とするリージョナルジェットやビジネスジェットの受け入れに必要な専用駐機場等につきましても、 整備を検討してまいりたいと考えております。
    ○議長 (天野 一君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  富士山静岡空港についてのうち、 榛原・吉田インターチェンジルート南原工区の整備についてお答えいたします。
     空港南側で榛原地区と島田・吉田地区を新たに結ぶ南原工区は、 吉田インターチェンジから空港へのアクセス性をさらに向上させるとともに、 空港周辺の産業振興や地域の活性化にも資する重要な道路であります。 本工区は技術的に難易度の高い三本のトンネルや二カ所の橋梁があり、 その整備には多大な建設費が見込まれますことから、 コスト縮減や施工性の向上に向けて今年度から道路構造の見直しなどの調査に着手したところであります。
     県といたしましては、 空港開港後のさらなるアクセス性の向上を目指し、 現在改良工事中のアクセス道路や県道島田吉田線の船木工区、 大井川新橋など空港周辺の道路の整備促進を図るとともに、 本工区につきましても引き続き測量や構造物の設計など事業の具体化に向けて必要な調査を進めてまいります。
    ○議長 (天野 一君)  杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長 (杉山栄一君)  次世代につなげる茶業の育成についてのうち、 初めに茶園基盤整備についてお答えいたします。
     茶園基盤整備については、 県はこれまで大規模な園地整備から小規模な改植まで、 地域の状況に合わせて茶園の流動化と一体的に進めてまいりました。 この結果、 現在認定農業者等担い手への茶園の集積は二三%となり、 また三五%の茶園で乗用型摘採機等の大型機械が導入されるようになりましたが、 生産効率のさらなる向上を図るためには、 茶園の流動化と一体となった整備を一層進めていく必要があります。
     このため、 県といたしましては、 今後とも県農業振興公社や農協の農地保有合理化機能を活用し、 茶園の共同管理の機能を持つ茶工場や認定農業者などへの茶園の集積を促進してまいります。 また大規模な園地整備やかん水施設の整備とあわせ、 今後は生産者個々の負担の軽減を図るため、 茶園の畝方向の修正や小規模な改植など低コストで早期に収入の確保が期待できる簡易な整備についても市町村や関係団体と連携し、 積極的に推進してまいります。
     次に、 新たなお茶づくりについてであります。
     お茶に対する消費者の嗜好の多様化に対応するためには、 新品種の導入のほか地域や品種の特性を生かした栽培技術や製造方法の導入など、 新たなお茶づくりに取り組むことが重要であると考えております。 このため県では、 新品種への改植に対し、 茶改植等生産基盤整備事業により助成を行うとともに、 品種の特性を生かした新たな栽培技術や製造方法の開発と現地に普及するための技術指導を行っております。
     また、 有機栽培茶については、 現在浜松市春野地区などの中山間地域を中心に百四十九ヘクタールで栽培されておりますが、 品質の安定や販売先の確保などが課題になっていることから、 本年度、 静岡県有機農業推進計画を策定するとともに島田市倉平地区をモデル地区に選定し、 有機栽培茶の生産技術の確立や販路の拡大に対して支援することとしております。
     さらに、 新たなお茶づくりには生産から流通まで一体となって進めていくことが重要であることから、 昨年度から県内五地区で生産者や茶商、 農協などから構成される協議会を設置し、 売れるしずおか新銘茶づくり推進事業に取り組んでおり、 牧之原市における被覆茶 「望」 など新たなお茶づくりによる産地の活性化が見られるようになってまいりました。
     県といたしましては、 このような生産から流通までが一体となった新たなお茶づくりへの取り組みが県内各地で行われるよう、 今後とも積極的に支援してまいります。

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