本会議会議録

質問文書

平成30年２月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　好浩 議員

質問分類
代表質問

質問日：
02/27/2018

会派名：
公明党静岡県議団

質疑・質問事項：
１　平成三十年度当初予算編成について　　　　　　　　　　　　　　　　
２　次期総合計画実現のための県民との協働について　　　　　　　　　　
３　職員不祥事の根絶について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
４　二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催地としての
おもてなしの推進について　　　　　　　　　　　　　　　　　
　 (1) 受動喫煙防止対策の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　 (2) 海外からの誘客促進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
５　二〇二五年問題を克服するための準備について　　　　　　　　　　　
　 (1) 高齢者に対する消費者施策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　 (2) 高齢者講習と運転適性相談窓口の充実　　　　　　　　　　　　　　
６　避難生活の衛生管理について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
７　低炭素社会の実現について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
８　伝統建築、伝統工芸に関する人材の育成について　　　　　　　　　　
９　小児がん対策について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
10　高齢者施設の安全確保について　　　　　　　　　　　　　　　　　　
11　中小企業の人材確保・育成について　　　　　　　　　　　　　　　　
12　先端技術を活用した建設現場の生産性向上について　　　　　　　　　
13　清水港の物流拠点としての魅力拡大について　　　　　　　　　　　　
14　県立高校における生徒に寄り添う教育について　　　　　　　　　　　
15　子どもと向き合う時間の確保策について　　　　　　　　　　　　　　
16　ＳＮＳを活用した相談体制の構築について　　　　　　　　　　　　　　　

○議長（杉山盛雄君）　ただいまから会議を開きます。
　議事日程により、知事提出議案第一号から第八十六号までを一括して議題といたします。
　質疑及び一般質問を行います。
　通告により、二十七番　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十七番　髙田好浩君登壇　拍手）
○二十七番（髙田好浩君）　皆さんおはようございます。
　質問に入ります前に、七年目の三月十一日を十二日後に迎えるに当たり一言申し上げます。
　復興庁の最新の調べによると、震災で亡くなられた方が一万五千八百九十四人、震災後何らかの関連で死亡された方が三千六百四十七人、行方不明の方が二千五百四十六人、避難者数は七万七千四百三十六人で、うち七百五十一人が静岡県に避難されています。犠牲になられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに今に至っても避難生活を送られている方々にお見舞いを申し上げ、一日も早く安心の日常生活を取り戻すことができるよう重ねてお祈り申し上げます。
　我が会派は、風化と風評との戦いを続け、熊本地震等も含めこれからも多くを学ばせていただき静岡県の安全・安心を築くことに全力を挙げてまいります。
　それでは公明党静岡県議団を代表して、県政の直面する諸課題について知事、副知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式で質問いたします。
　初めに、平成三十年度当初予算編成について伺います。
　本県の景気は緩やかな拡大基調にあり、企業の意欲的な設備投資計画などを背景に景気回復の動きがより確かなものとなりつつあるものの、本県の財政状況は昨年十二月に公表された部局調整案提出時点の収支見通しにおいて五百九十八億円の財源不足が見込まれるなど引き続き厳しい財政状況であり、事業の大胆なスクラップ・アンド・ビルド、歳出の重点化・効率化、歳入の確保などが必須の予算編成になりました。
　一方で、平成三十年度は富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりに向けた新しい総合計画のスタートとなる大切な年であり、当初予算では県民の安全・安心に加え持続可能な開発目標――ＳＤＧｓの理念の実現を目指し人づくり、子育て支援、医療・介護の充実、中小・小規模企業の支援策の拡充などの喫緊の課題への対応を初め健全な財政運営の堅持に取り組む必要があると考えます。
　我が会派は、昨年十二月に安全・安心な県土の構築を初め人口減少・少子化社会の克服、力強い経済・産業の実現など七つのテーマのもと二百三十二項目の予算要望をしましたが、平成三十年度当初予算編成において我が会派の要望をどのように生かしていくのか、知事の所見を伺います。
　次に、次期総合計画実現のための県民との協働について伺います。
　次期総合計画の策定に当たり、我が会派から十一月に提出した七十三項目の提言の多くを取り入れ、また県議会を初め各界各層の多様な意見が反映された総合計画ができつつあると感じております。
　しかし、残念なのは計画策定過程において県民の参加が足りず八月に行った県民アイデア募集は六人、十二月から一月に行ったパブリックコメントも五人しか意見を出してもらえませんでした。こうした状況を見ると、県民は県の総合計画にはほとんど関心がなく、県民が置き去りにされた総合計画になっていないか大変に危惧しています。
　次期総合計画は、そこに掲げる理念や将来の目指す姿を県民にしっかりと理解してもらい一緒に目指す姿を共有してこそ真の県民のための総合計画と言えるのではないでしょうか。紛れもなく総合計画は県民幸福度の最大化のために実施する県民のための政策の集大成であります。県民の理解を促進するために、十二月定例会で我が会派の代表質問で提言したこども版総合計画の策定や県民だよりにシリーズで総合計画で目指す県のあり方をテーマ別に連載するなどの施策を今後ぜひ実施していただきたいと思います。加えて策定後の計画推進に当たっては、もっと県民が主体的に参加し県民とともに計画の実現を図る取り組みが必要と考えます。
　県の総合計画は、お上が作った計画、作って満足してしまう計画などであっては絶対になりません。県が理想とする将来の姿は当然県民がこの静岡県で生きていくことに誇りが持てる姿であり、県が進もうとしている道は私たちが望んでいることと同じだと共鳴してもらい協働して静岡県を活性化していくことが重要です。
　そこで、県民が明るい未来を展望し名実ともに手を携えて将来の夢を実現できる総合計画とするために今後どのように計画を推進していこうと考えているのか知事に伺います。
　次に、職員不祥事の根絶について伺います。
　平成二十八年度の知事部局職員の懲戒処分が、過去五年間で最多だった平成二十五年度と同数の十件だったことを受けて昨年の五月二十二日に県コンプライアンス委員会を開催しました。昨年度の状況を踏まえて、不祥事防止のための職員意識の向上対策やハラスメント相談研修の拡充など平成二十九年度の法令遵守徹底の推進計画が確認されました。吉林副知事はこの席で職員の不祥事を大変深刻に受けとめていると発言され、不祥事解消に努める姿勢を示したと報道されております。
　職員不祥事根絶に向けたこのような取り組みにもかかわらず、九月には袋井土木事務所次長が県迷惑防止条例違反で懲戒免職、またことしに入ってからは危機管理部危機情報課長が無免許運転で現行犯逮捕されるという事案が発生しました。また教育委員会関係では年度当初教育総務課主任が酒気帯び運転で逮捕、十月には県立高校主任技能員がわいせつ行為で懲戒免職、警察関連でも七月に焼津署警部による万引き発覚、八月には細江署巡査による準わいせつ行為が発覚、県職員、教職員、警察官による不祥事が相次いで発生しております。特に危機管理部の事案は県民の安全・安心に最も敏感でなくてはならない立場の職員が県内自治体への出向時代を含めて数年間にわたって無免許運転を続けていたという内容のものであり、このような事態を許していた県当局のあり方が残念でなりません。
　公務員だからといって人間である以上失敗することはあり得ます。事故、違反の発生はやむを得ないと思います。しかし公務員という立場をわきまえて言動に留意することは必要と考えます。残念ながら本年度も不祥事を根絶することはできませんでした。
　コンプライアンス教育の徹底など、職員不祥事の根絶に向けたさらなる取り組みが必要と考えますが、知事の決意を伺います。
　次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催地としてのおもてなしの推進についてのうち、初めに受動喫煙防止対策の推進について伺います。
　国際オリンピック委員会――ＩＯＣは、ＷＨＯと共同でたばこのない五輪を推進し二〇〇四年のアテネ大会以降冬季を含む全ての開催地が屋内を全面禁煙とする罰則つきの法律や条例を実施し、まさに開催国のレガシーとなっています。韓国においても平昌冬季五輪開催を契機に二〇一五年一月一日から全国の公共施設、宿泊施設を全面的に禁煙にして、飲食店では喫煙室設置を可とする分煙を実施しました。同時に全国約一万カ所の医療機関で禁煙治療を無料で受けられるなどの禁煙サポートを充実させました。
　一方、我が国においては三十平米だの百五十平米だの、はたまた百平米だの本気で対策をしたくない情けない議論が繰り返されています。押しつけられて嫌々行うのではなく、本来店舗のオーナーや企業の経営者が従業員の健康管理とお客様に対するおもてなしの観点からみずから判断し積極的に受動喫煙防止の対策を実施することが重要と考えます。
　平成二十二年九月五日に行われた静岡県事業仕分け第二日目第二班、たばこ対策推進事業の検討において国が行う対策であって県で行う必要はないという仕分け人の乱暴な発言によりこの事業は廃止されました。私は納得ができず?然とし、強い憤りを覚えました。特に店舗内の全面禁煙を宣言した店舗のオーナーや企業の事業主に禁煙プレートを渡し、店先に掲げていただく事業の継続が認められなかったことには強い怒りを感じました。もう一度おもてなしを主体的に行うことが目に見える形で表現できる禁煙プレート事業を復活させ、あわせて四カ国語表記をつけ加えオリンピック・パラリンピック開催地としての受動喫煙防止対策に積極的に取り組んでいくことを強く要望いたしますが、県の所見を伺います。
　次に、海外からの誘客促進について伺います。
　オリンピック・パラリンピック開催と同時期の開催を目指しているのが、浜松のＮＰＯ法人が中心となって誘致しようとしているヘミングウェイカップです。これは「老人と海」などで知られるノーベル賞作家ヘミングウェイ自身が一九五〇年にキューバで始めた世界で最も歴史のある国際トローリング大会で、毎年世界中から数多くの参加者が集まります。昨年八月には在日キューバ大使館のペレイラ特命全権大使が浜名湖周辺を視察に訪れ、浜松市長、湖西市長などと懇談し大使は開催へ前向きな姿勢を示したと聞いております。東部を舞台として開催されるオリンピック・パラリンピックとあわせて西部でヘミングウェイカップが開催できれば世界中の人々が注目するビッグイベントが同時に開催されることとなり、二〇一九年のラグビーワールドカップも含め海外からの選手を初め大会関係者や観光客等多くの来訪者が見込まれます。さらにはオリンピック・パラリンピック文化プログラムも県内全域で開催が本格化していくことから、スポーツだけではなく文化芸術の面でも海外からの多くの方々が本県を訪れることが期待されます。
　そこで、二〇二〇年に向け海外から本県への誘客をおもてなしの観点を含めてどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
　次に、二〇二五年問題を克服するための準備について伺います。
　二〇二五年問題は、二〇二五年医療費問題とも言われ戦後のいわゆるベビーブームに生まれた年代が七十五歳の後期高齢者の年齢に達する年で、七十五歳以上の後期高齢者の全人口に対する割合が一八％を超え国や地方が医療費、社会保障などの課題にどう取り組んでいくかが大きな問題となることが指摘されています。しかし課題は医療や介護の分野にとどまることなく、日常生活においてさまざまな形で発生することが想定されます。
　そこで、二〇二五年問題を克服するために県としてどのような準備がされているか二つの角度から伺います。
　まず初めに、高齢者に対する消費者施策について伺います。
　全ての世代において、時代の変化とともに規制緩和や情報化の進展などにより新たな商品やサービスが登場し消費行動をする上で利便性が格段に向上していますが、利便性に比例して消費生活相談の内容が複雑化し消費者被害も多様化、深刻化してきており、その予防、解決がより一層困難になっております。特に高齢化の進展は認知能力の低下による被害の深刻化を招くほか情報化の進展によるインターネット、ＳＮＳ、スマートフォンなどのサービスが高齢者にも普及していることによりこれらの通信サービスを介して消費者トラブルが広がりやすくなっており、消費者被害の増大も懸念されております。
　本県の平成二十八年度の消費生活相談を見ても、六十五歳以上の方からの相談件数が全体の三割を超えているとともに平均被害額も他の世代に比べ高額になる傾向があり、老後に備えた貯蓄が消費者被害により奪われるなど非常に深刻な状況にあります。我が国の団塊の世代が全て七十五歳以上になる超高齢社会を二〇二五年に控える中、高齢者の消費者被害対策が急務となっています。
　そこで、高齢者の安全・安心な消費生活を築くために本県の消費者施策に今後どのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、高齢者講習と運転適性相談窓口の充実について伺います。
　昨年の交通事故による全国の死者数は二年連続で減少し、県内においても件数、負傷者数、死者数がいずれも減少し特に死者数は前年から九人減となる百二十八人で過去最少を更新しましたが、そのうち高齢者数は七十四人、五八％に達しており、高齢者の交通事故防止対策をさらに推進する必要があります。
　一方で、高齢者が加害者となる交通事故を減少させる対策も必要です。県警察によれば、平成二十九年には七十五歳以上の高齢運転者は約二十万人で十年前の約一・九倍に増加しております。加齢とともに認知機能や身体機能が低下することは一般的であり、運転に不安を感じる高齢者や御家族からの相談の増加や相談内容の複雑化が予想されます。二〇二〇年には団塊の世代が七十歳を迎え高齢者講習を受ける人数が増加し、さらに二〇二五年には七十五歳以上が受ける認知機能検査や臨時認知機能検査を受ける対象者が増加します。免許が失効しないように県警察には万全の準備をお願いするとともに、認知症の疑いのある方の免許の返納も適切に推進すべきであります。
　我が会派は、相談窓口への医療系専門職員の配置を以前から提言してきましたが、熊本県警察では全国で初めて運転免許センターの運転適性相談窓口に看護師を配置し認知症等の発見に大きく寄与しているとのことです。
　県警察では、高齢者等に対する参加・体験・実践型の交通安全教育の推進などとともに運転適性相談の充実強化を含めた高齢運転者対策の推進を掲げていますが、高齢者講習等の現状とこれからの運転適性相談窓口の充実に向けた取り組みついて警察本部長に伺います。
　次に、避難生活の衛生管理について伺います。
　避難所は、応急危険度判定が終わった直後に開設され一気に避難者が入ってくることが想定されます。最初に必要なのはトイレの確保と消毒液の準備、そしてこの時期ならインフルエンザ等の感染者を隔離できるスペースの確保で待ったなしの対応が迫られます。水、電気がない中でのトイレ対策は主に携帯トイレの袋を便座の上に設置し凝固剤を投入して使用を開始することが考えられますが、現在どれだけの避難所でどれだけの準備ができているのか、また小まめな手指消毒を行い衛生管理に取り組む必要がありますがその準備はどうでしょうか。防災委員が必ず最初に避難所に来るとは限らず、来た人から衛生管理の担当を決め動き出さなければなりません。しかし避難所に来る誰もがその要領を理解できるような準備が行われているでしょうか。避難所でのトイレの利用は特に注意が必要であり、一人でも水の流れない便器に排便してしまえばその後の使用ができなくなり、また手指消毒と感染者の隔離を行わなければ今までの被災地と同じような状況になることは間違いありません。
　具体的には、トイレの利用が避難者一人につき一日五回とし二百人の避難者で七日分を想定すると七千回分の携帯トイレ等の準備が必要になります。このため避難所ごとの対応を考えていくとともに、避難所だけに頼るのではなく自宅での避難のためのトイレの準備を進めていくことが必要です。
　そこで、避難所においてトイレの使用ルールの徹底や携帯用トイレの準備を進めていく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
　また、自助として今までは自宅の耐震化、家具の固定、水・食料の用意の三項目を特に訴えてきましたがそこに携帯トイレ等の準備を加えるべきと考えますが、あわせて県の所見を伺います。
　次に、低炭素社会の実現について伺います。
　アメリカ航空宇宙局は、二〇一七年の世界の平均気温が一八八〇年以降の観測史上二番目の高さだったと発表し、その原因として二酸化炭素などの排出増加があり地球の気温は急激な温暖化傾向をたどっていると警告しております。我が国の二〇一六年度の温室効果ガス排出量は速報値ベースで前年度比微減にとどまり、ＣＯ２排出量の削減ペースが以前より鈍っています。世界規模の目標が設定された時には温暖化対策の必要性が叫ばれますが、時とともにその機運がしぼんでしまっているように感じます。特に昨年六月のトランプアメリカ大統領のパリ協定離脱表明は同協定により高まった地球温暖化対策の勢いに水を差すことになりました。しかし昨年十一月に開催されたＣＯＰ23では、アメリカから連邦政府以外にトランプ大統領の離脱表明に反発するカリフォルニア州など多くの州政府や都市などが参加しました。このように最近の締約国会議においては地球温暖化対策を積極的に取り組む自治体の存在感が増しており、環境先進県を自負する本県が温暖化防止で全国をリードするためにもさらに取り組みを強化していくことが重要です。
　一方で、全世界が協力して二〇三〇年までに達成しようとするＳＤＧｓの十七の目標の七番目にエネルギーをみんなに、そしてクリーンにが、十三番目に気候変動に具体的な対策をが掲げられ既にＳＤＧｓをビジネスチャンスとして捉えた企業が注目を浴び環境や社会に配慮した優良企業というイメージアップにもつながる好循環が生まれています。
　このような中、今月公表された県内の温室効果ガス排出量削減実績の最新値では平成二十七年度速報値で平成十七年度比一三％削減とのことですが、県の平成三十二年度の目標である平成十七年度比二〇％削減に向け今まで以上に温暖化対策の必要性を県民と共有し新たな世界的な目標や動きを踏まえ低炭素社会の実現を目指していく必要があると考えますが、今後の県の取り組みについて伺います。
　次に、伝統建築、伝統工芸に関する人材の育成について伺います。
　訪日外国人の旅行形態の個人旅行化が進む中、外国人旅行客のニーズは多様化しより本物志向が強くなっています。地域に根づいた自然や歴史、伝統、地域の人々との交流などこれまで旅行商品として認識されなかった地域固有の資源や産業が新たな観光目的にもなってきております。
　本県には、国宝である久能山東照宮を初め由緒ある寺社仏閣、さらには幾つもの古民家など観光や地域振興の素材となり得る伝統建築物が各地に残っています。また国指定伝統的工芸品である駿河竹千筋細工を初めとする伝統工芸品も数多くあります。伝統建築、伝統工芸は本県が誇る大切な資源であり、県民の財産として未来に継承していくとともに本県の文化、観光、産業、地域の振興のためにもさらに発展させていく必要があります。
　しかし、伝統建築や伝統工芸の世界では継承者や職人だけでなくこうした資源を活用しながら新たな価値観を生み出していく人材も不足していると思います。
　このような中、従来の徒弟制度のような形で職人を育成することも大事ですが、高度な知識、技術を学んだり文化、観光、地域振興の視点を持った人材を育成するためには県内高等教育機関での人材育成が必要になってくると考えます。
　そこで、伝統建築や伝統工芸に関する人材の育成について、県の所見を伺います。
　次に、小児がん対策について伺います。
　小児がんは十五歳以下のお子さんがかかるさまざまながんの総称ですが、国内における年間の発症数は二千から二千五百人で静岡県内においても数十人のお子さんが新たにがんにかかっております。成人のがんとは全く異なる疾患構成でしかも初発症状は多岐にわたりますが、化学療法、放射線療法による効果が高いことが特徴で近年の医学の進歩によって治癒率は七〇から八〇％となっております。
　一方で、小児がんは症例数が少なく、また成人のがんと比較して急速に進行するものが多く診断は非常に困難な場合があり、一般の小児科などを受診したときに発見に至らないことが多いため発症から診断まで時間を要することが課題となっていることから、小児がんの診断に当たっては専門医によるアドバイスが必要とされています。
　平成二十七年一月に、東京都小児がん診療連携協議会では小児がんを発症したお子さんが地域の小児科などを受診した際に小児がん拠点病院などの小児がんに対応できる医療機関に速やかに紹介され適切な治療を受けることができるよう八つの疾患の初発症状と八人の症例が紹介されている小児がん診断ハンドブックを一般小児科医に向けて発刊しました。小児科医師はこのハンドブックを確認しながら小児がんの可能性があるか診断ができるようになっています。
　静岡県では、がんにかかったお子さんは主に県立こども病院や静岡がんセンターでがんと闘っていますが、東京都の取り組みのようにがんを発症したお子さんを適切な治療につなげていくことができるよう一般の小児科においても小児がんの発症を判断できる体制を整備していく必要があると考えます。
　加えて、幼くしてがんという病気にかかってしまったことはお子さん本人はもちろんその御家族にとっても大きなショックであり、診断から治療、さらには退院後においても抱える悩みや負担はお子さんの成長過程に応じてさまざまなものがあると考えられ、がんを治すための医療だけではなく生活全般にわたる支援にも力を入れていく必要があると考えます。
　県として、今後の小児がん対策をどのように進めていくのか伺います。
　次に、高齢者施設の安全確保について伺います。
　高齢化の進展に伴い、県内においても多くの高齢者施設が建設され多くの高齢者が日々生活を送られています。業務に携わる方々は平常時の生活の安全・安心を確保するために奮闘しながら、災害が発生したときの対応を常に念頭に置きながら職務に専念されております。高齢者施設は水害による被害が懸念される場所や土砂災害の危険性がある場所、津波が発生する危険性がある地域、さらには大きな地震動が想定される地域などにも立地している場合があり、施設の性格上誰に言われるもなく避難計画の作成や防災対策の準備に全力を期すことが求められ県内の施設も県のマニュアルに従ってその準備がされているものと思います。
　しかし先日、水害や土砂災害の危険性のある地域に建てられた施設に義務づけられた避難計画の作成が進んでいないとの報道がありました。国土交通省は二〇二一年までに全ての施設での作成を目指していますが、モデル地域の津市においても計画はつくったが、いざとなった時にそのとおりに行動できるかわからない、夜間に全員を速やかに避難させるのは難しい等の意見が出たとのことです。書面上の計画を幾ら整え提出しても実効性がなければ絵に描いた餅にすぎません。
　平成二十八年八月三十日に、岩手県岩泉町小本川が夜間に氾濫しグループホーム「楽ん楽ん」の入所者九人全員の命を奪いました。施設に一人でいた女性所長は九人のうちの誰を助けたらいいのか極限の判断に迫られ男性入所者一人を抱えながら朝まで水に浮かび頑張りましたが、男性は途中で息絶えてしまい結果として九人全員がお亡くなりになりました。
　私は、高齢者施設は単独で踏ん張ることを前提にせず日常的に地域や近隣の企業などと連携を密にして地域を巻き込んだ防災対策や避難計画を策定すべきと考えます。この施設のすぐ裏にも二階建ての立派な企業の建屋があり、地域の人が協力して入所者を運び出し企業の建屋に移動できれば命をつなげたかもしれません。ＩＴ技術の進捗に伴い早い段階での大雨の予測可能性も指摘されており、市町村長は高齢者等避難開始情報を発令するものとされました。その情報を生かして、地域、企業との連携をその都度試みることや施設ごとのタイムラインを作成することも必要と考えます。
　自然災害が発生する可能性が高まった時に、高齢者施設の安全確保をどのように行っていくのか、県の所見を伺います。
　次に、中小企業の人材確保・育成について伺います。
　本県の二〇一七年十二月の有効求人倍率は一・六倍で、一九九二年三月以来二十五年九カ月ぶりに一・六倍台となりました。また有効求人数は八万二百六十五人で、一九七四年二月以来四十三年十カ月ぶりの八万人超えという状況にあります。
　このように雇用情勢の改善が進む一方で、人材の確保に苦慮しているという企業の声が多く聞かれています。有効求人倍率の上昇は人材の獲得競争が激しくなっていることを示しており、特に中小企業を人手不足の波が直撃しています。
　経済産業省が昨年十月に発表した中小企業の雇用状況に関する調査結果によると、人手不足、人材不足を感じていると答えた企業は六六％、そのうち正社員を採用できると答えた企業は五〇％にとどまります。また経済のグローバル化やＩｏＴ、ＡＩ等の導入により産業構造だけではなく就業形態が大きく変化していくことが予想されます。このような状況下で本県経済が今後も持続的に成長していくためには時代の変化に対応できる人材の確保・育成が喫緊の課題であり、厳しい経営環境に置かれている中小企業への支援が必要と考えます。
　国は、厚生労働省と中小企業庁が連携し四十七都道府県に働き方改革推進支援センターを設置するなど中小企業に対する相談支援体制や社内環境の整備に対する強化を来年度予算で打ち出しています。
　県は、こうした現状に対応するため今後四年間の施策の方向性を示す静岡県産業人材確保・育成プランを今年度末に策定すると伺っていますが、このプランに基づき本県の産業を支える人材の確保・育成にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
　次に、先端技術を活用した建設現場の生産性向上について伺います。
　道路やトンネル、橋梁などインフラは高度経済成長期に建設されたものが多く、いよいよ補修や補強する時期が目前に迫ってきました。建設産業の関連事業所と従業員が豊富な状況にあればこの問題を乗り越えられますけれども、県内の建設関係の事業所はピーク時の一九九六年の約二万三千三百事業所から二〇一四年には約一万八千六百に減少し従業員数も約十五万九千二百人から約十万九千百人に減少し、さらに就労者の約半分が五十歳以上で三十歳未満の若年就労者の割合は約一割にとどまり、今後の新規事業の推進はもとより防災対策や老朽化対策、災害復旧など建設産業の必要性、重要性に応えていただけるか大変危惧しております。
　先日、知り合いの建設関連企業で巨大な足場をかけることなくロープを使って高所や難所での近接目視を安全、確実、低コストで行うことができるロープアクセス技術という新工法が多くの自治体から注目され、従業員を増員して対応しているとの話を聞きました。このような最先端技術は若いうちに研修を受け実務を重ねることで確実に結果を出すことができ、従業員、企業、自治体にとってそれぞれの需要と供給を満足させることができるすばらしい取り組みだと実感しました。
　県では、行政が抱える現場ニーズと企業が持つ技術のマッチングを図るふじのくに建設イノベーションの取り組みを始めたと聞いております。製造業を初め多様な産業が盛んな本県には建設分野に応用可能なすぐれた技術が潜在していることから、これらを積極的に掘り起こして導入していくことが課題克服の解決の近道になると考えます。
　県として、これから先端技術を活用して建設現場の生産性向上に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
　次に、清水港の物流拠点としての魅力拡大について伺います。
　国際拠点港湾である清水港の国際競争力の維持向上を図るため、県では高規格な港湾施設として平成十一年から清水港新興津国際海上コンテナターミナルの整備を進めてきました。背後の関連用地に整備したレベルツー津波にも浸水しない高台用地の売り払いも済み、民間企業による高度な荷さばき機能を持つ大規模物流施設が設置されることになっています。そしてこのたび国土交通省が農水産物の輸出拠点として支援する港湾に清水港を認定することが決まり、物流拠点としての清水港のさらなる発展に大きな期待が寄せられています。昨今の海運業界では合従連衡が進み港湾、海運を取り巻く環境は劇的な変化期を迎えています。加えて拡張されたパナマ運河の通航開始に伴い船舶の大型化への動きが活発化しています。
　この変革期に、清水港が本県経済を支えるものづくり産業の拠点としての存在感を高め物流面での大きな役割を果たし国際競争力を維持していくためには、清水港新興津国際海上コンテナターミナルにおける船舶大型化への対応が急務であると考えます。
　今後、県は船舶大型化にどのように対応していくのか伺います。
　また、開通が待たれている中部横断自動車道と昨年本格的に建設が始まった国道一号バイパス清水立体が完成するとアクセス道路のさらなる充実が見込まれます。
　こうした中、清水港の物流拠点としての魅力拡大に向けどのように清水港の利用促進を図っていくのか、県の今後の取り組みを伺います。
　次に、県立高校における生徒に寄り添う教育について伺います。
　発達障害などのある児童生徒が、学習や生活における困難の改善や克服をするために通常学級に通いながら別室で授業を受ける通級指導が県内の小中学校で行われ、その人数は年々増加しています。その後高校に進学してからも通級指導を実施してほしいとの御家族の声が多く聞かれていますが、いよいよ来年度から通級指導が高校の教育課程に加わります。公明党の主張を受け実施され、文科省の発表によれば初年度となる来年度は国のモデル事業で試行している全国の二十三校を含め約四十都道府県で導入が検討されております。
　県立静岡中央高校では、文科省が通級指導の実践例を積み上げるために設けた高等学校における個々の能力・才能を伸ばす特別支援教育モデル事業の研究指定校で、平成二十六年度から静岡、湖西、三島市に置く三キャンパスで対人技能を伸ばすコミュニケーションスキル講座を実施し中央キャンパスでは独自で教員有志が個別の学習支援にも取り組んでいます。
　国のモデルとして長年にわたり実施してきたコミュニケーションスキル講座の実施状況、成果と課題そして今後の取り組みについて伺います。
　また、全ての県立高校で通級指導が実施されることを強く望みますが、県立静岡中央高校における通級指導開始に向けての準備状況と開始に向けての課題と対策について伺います。
　さまざまな状況の中で、高校の教育を受け社会で活躍できる人材に成長することを目的に入学してくる生徒に対して、特に教職員が寄り添って卒業まできめ細かな手を差し伸べていく必要性が高い県立静岡中央高校では、あわせて年間のカリキュラム等にも配慮し生徒が学びやすい環境をつくり生徒との交流を深めていく姿勢が必要であると考えます。
　県立静岡中央高校における生徒の学習や確実な卒業に対する教員の取り組みについて伺います。
　次に、子供と向き合う時間の確保策について伺います。
　教員の長時間勤務は今や常態化され、心身の健康が損なわれかねない現状では次期学習指導要領の目指す社会に開かれた教育課程の実現は非常に厳しい状況にあります。学校教育の質を高め子供たちの健やかな育成のためにも、教員が子供と向き合う時間を確保するために多忙化を一刻も早く解消する必要があると考えます。
　県教育委員会は、小中学校において平成二十八年度から三年間にわたりモデル校四校で教職員の多忙化解消に向けさまざまな取り組みを試行し、県の施策に結びつけるための研究を行っています。共通実施事項として校務の洗い出しや退勤時刻の上限設定、人的措置などを行いそれぞれの成果を分析し来年度に向けてさらなる取り組みを開始しようとしています。今年度は四校全てにおいて教職員以外でもできる業務を担ってもらうアシスタントを配置した結果、長時間勤務の人数が一昨年と比べ大幅に減少したとの報告がありました。
　静岡県教育委員会として、この成果を踏まえ今後さらに教員が子供と向き合う時間を確保し本来の業務に専念するためにどのような取り組みをしていくのか教育長に伺います。
　最後に、ＳＮＳを活用した相談体制の構築について伺います。
　平成二十三年十月に大津市で中学二年生男子がいじめにより自殺し、事件前後の学校と教育委員会の隠蔽体質が発覚し問題視され、翌年にはこの事件が誘因となっていじめ防止対策推進法が国会で可決され教育現場におけるいじめによる自殺者を出さない対策が推進されることになりましたが、昨年十月には福井県で担任から厳しい指導、叱責で追い詰められた生徒が自殺した事件など児童生徒同士だけではなく学校の内外で卑劣な行為が行われかけがえのない命が失われ続けています。大変に残念なことに昨年度いじめが原因で自殺した児童生徒は全国で十人に及び、また十代、二十代、三十代の死因の第一位が自殺でここ数年間変化が見られません。
　本県では、県教育委員会を初め社会福祉法人、国、県警察等とも連携して電話相談やメール相談を十二のチャンネルで行い一人でも多くの児童生徒の声を聞き楽しく有意義な学校生活を送れるよう努力していることは承知しております。
　一方で、この世代は相談したいことがあっても周囲の人と気軽に話し合う関係を構築しづらい傾向にあります。総務省の調査によると十代が平日に携帯電話で話す時間は平均で二・七分にすぎず、ＬＩＮＥなどのＳＮＳを利用する時間は五十八・九分に及ぶことがわかりました。若者の特性を生かし、入り口の敷居が低いＳＮＳを通じた相談を実施することが求められると考えます。既に長野県が取り組みを開始し相談件数を伸ばしていることから、国もＳＮＳを活用した相談体制の構築事業を開始しました。
　県教育委員会としても、いじめを撲滅する責任を全力で果たすとともに万が一いじめに遭っても勇気を持って生きるための初めの一歩を踏み出させてあげるためにＳＮＳを活用した相談体制の構築に向け取り組みを進めていくべきと考えますが、今後の対応について伺います。以上について答弁を求めます。
○議長（杉山盛雄君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　髙田議員にお答えいたします。
　平成三十年度当初予算編成についてであります。
　公明党県議団の皆様から御要望いただきました七つのテーマ、二百三十二項目にわたる御要望をしっかりと受けとめました。次期総合計画のスタートにふさわしい予算編成ができたと考えております。
　要望テーマの一つ目は、安全・安心な県土の構築でございます。これに対応しまして、従来の木造住宅の耐震補強に対する助成制度に加え、助成額を大幅に拡充し耐震補強計画と補強工事の一体的な実施を支援する制度を創設いたしまして木造住宅の耐震化を加速してまいります。
　二つ目の人口減少・少子化社会の克服という要望テーマに対しましては、東部地域の助産師不足に対応するため東部看護専門学校に平成三十一年四月に助産師養成課程を開設いたします。また児童養護施設等で暮らす子供の就職や修学の機会を確保するため、新たに高校卒業時に就職一時金を支給するなどきめ細かな支援を行ってまいります。
　三つ目の力強い経済・産業の実現という要望項目に対しましては、県内産業を支える中小企業の振興を図るため静岡県産業振興財団内に事業承継ネットワーク事務局を設置するとともに、中小企業向けの事業承継資金の融資枠と融資限度額を拡大し円滑な事業承継を支援してまいります。また新規創業を促すため静岡県信用保証協会とともに創業資金の信用保証料を軽減し地域経済の担い手への支援を強化いたします。さらに女性や高齢者など多様な人材が活躍できる職場づくりを目指し、経営者向けのセミナーを開催いたしまして県内企業の働き方改革を進めてまいります。
　四つ目の県民の命を守る健康福祉政策の実現という要望テーマに対しましては、誰もが住みなれた地域で安心して自分らしい暮らしが続けられるように有床診療所による夜間・休日の患者受け入れの支援など在宅医療提供体制の整備を進めます。また障害のある方の社会参加を促進するため、静岡市内に障害者文化芸術活動支援センターを新たに開設いたしましてオリンピック・パラリンピック文化プログラムを初めとしたさまざまな文化芸術活動への参画を促進してまいります。
　五つ目の時代の変化に適応した人づくり・地域づくりの要望テーマに対しましては、児童生徒の抱える悩みや諸課題にきめ細かく対応するため私立学校を含め小中学校等へのスクールカウンセラーの配置を拡充いたします。また特別支援学校の老朽化や狭隘化に対応するため東部特別支援学校の改築、三島田方地区や浜松地区への新たな学校整備を進めます。
　六つ目の要望項目の大規模スポーツイベント開催の推進に対しましては、ラグビーワールドカップ二〇一九、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを目前に控え準備を加速いたします。また本県の資源を生かした文化プログラムを展開し世界クラスの魅力を国内外に発信してまいります。
　七つ目の大きな要望テーマ行財政改革への取り組みに対しましては、企業収益の改善に伴う県税収入の大幅な増加に加え予算編成過程における歳出の見直しや歳入確保の取り組みをいたしまして、平成二十九年度当初予算編成におきまして四百五十六億円でありました財源不足額を二百十八億円まで圧縮いたしました。また平成三十年度末の通常債残高につきましても、前年度に比べ約四百五十億円減となる一兆五千六百九十二億円を見込んでおりまして新ビジョンの目標とする一兆六千億円を下回る見通しであります。
　平成三十年度当初予算は、人づくり、富づくりを通じ誰もが平和で安心して物心ともに豊かに暮らせる地域の実現に取り組むものでございます。これは誰一人取り残さない社会の実現を目指し経済、社会、環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組む持続可能な開発目標いわゆるＳＤＧｓの実現にもつながるものと考えております。
　誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できるドリームズ　カム　トゥルー　イン　ジャパンの拠点を目指し、全力で取り組んでまいります。
　次に、伝統建築、伝統工芸に関する人材の育成についてであります。
　我が国の伝統建築、伝統工芸は自然と歴史、文化、風土に恵まれその芸術的価値も含めまして今日に受け継がれてまいりました。国では木造建築物を受け継ぐ伝統技術を伝統建築工匠の技、工匠という字は工業の工、たくみという字をしょうと音読みいたしまして工匠ということでございます。伝統建築工匠の技として、平成二十五年度に登録された和食と同様に本年度のユネスコ無形文化遺産の候補として提案される御予定と承知しております。その文化庁が選定保存技術として挙げているものは建造物修理、建造物木工、ひわだぶき、こけらぶき、カヤぶき、建造物装飾、建造物彩色、建造物漆塗り、屋根の本瓦ぶき、日本壁の左官、建具の製作、畳の製作、日本産の漆の生産、精製、縁付の金箔製造等でございます。今後建築を含む伝統技術の世界に向けた発信が期待されるところであります。
　本県には、霊峰富士を初め変化に富む豊かな自然景観のほか名所旧跡や伝統建築が数多くあります。議員から御案内のございました久能山東照宮御社殿は大工技術のほか建築彫刻、漆芸、絵画、工芸などものづくりの人々による粋を集めた総合的な芸術作品とされております。また駿河竹千筋細工のほか駿河ひな具、駿河ひな人形の三品目が国の伝統的工芸品として指定されているほか県が指定する郷土工芸品は駿河蒔絵、浜松注染ぞめなど十九品目に上ります。こうした伝統建築や伝統工芸を、後継者不足の中にあって魅力的な都市建築の文化の創出や景観形成、消費者ニーズに即した伝統工芸品の商品開発などを通じて観光を含めた新たな産業支援として活用していくためには新たな価値を創造する人材の育成が必要であります。
　これまで県では、静岡文化芸術大学のデザイン学部におきまして建築設計等を学び建築士などを目指す建築・環境領域を設けてまいりました。これに加えまして平成三十一年四月からは新たに匠領域を設置し日本の伝統建築や木工芸、金属工芸、染織等に関する技術・技能などを中心としたたくみのわざを深く理解し未来に誇れる建築やデザインを提案できる人材を育成することとしております。またこの文芸大の匠領域では本県の伝統建築、伝統工芸のたくみや林業や繊維など地域の各産業分野の担い手と共同して製品や商品の開発等も目指すとともに、地域の産業を支えている実学を学ぶ高等学校との連携も進めます。
　さらに、文化政策学部に同じく平成三十一年四月から新たに文明観光学コースを設置いたします。この文明観光学コースにおきましても、観光と文化芸術活動にデザインを融合させるなど既存の枠にとらわれずグローバルな視野から社会の持続的な発展に貢献する人材の育成を進めます。
　県としましては、これらの取り組みを通じまして本県のものづくり文化の継承、発展に資する人材が育成され地城資源がさらに磨き上げられるように積極的に支援をしてまいります。
　次に、中小企業の人材確保・育成についてであります。
　中小企業は本県経済の活力の源であります。産業や雇用を支える地域の宝でもあります。現在雇用情勢の改善が進む一方、人材不足が顕在化しており、本県産業の持続的成長のためには官民を挙げて対策を講じていくことが極めて重要であると認識しております。
　今年度末に策定する静岡県産業人材確保・育成プランは四つの柱から成ります。人材確保のための緊急対策を盛り込む一方、中長期的な視点で人材確保・育成策を強化し生産性の向上や就業環境の改善を進め本県経済全体の発展、成長につなげることを目指しております。
　そのプランにおきまして、第一の柱は県内産業の成長を担う人材の確保であります。具体的には人材不足への対応が喫緊の課題でありますことから、採用活動を行う余力のない中小企業を支援するために企業からの依頼を受けて企業と求職者を結びつける活動を行うコーディネーターを配置いたします。また積極的に首都圏からのＵ・Ｉターン就職を促進するため現在十九の就職支援協定締結大学をさらに拡大をいたしまして、また「三十歳になったら静岡県！」をキャッチフレーズにみずからの人生を見詰め直す三十歳前後の若者のＵ・Ｉターン就職を支援してまいります。
　第二の柱は、高度な知識と技術を持つ人づくりであります。企業ニーズに対応した在職者向けの職業訓練を拡充いたしますほか清水技術専門校、沼津技術専門校を短期大学校化いたしまして時代の変化に柔軟に対応できる高度な人材の育成に取り組みます。
　第三の柱は、誰もが生き生きと働ける環境づくりであります。働き方改革に対する経営者の意識醸成とあわせまして企業内の牽引役となるリーダーの養成や女性、高齢者などの働き手に合わせた就労モデルづくりのためのアドバイザー派遣なども進めます。
　最後の第四の柱は、郷土を担う子供たちの生きる道としての仕事を学ぶ環境づくりであります。具体的には教育委員会と連携しながら農林水産業、工業、商業等の技芸を磨く実学の大切さを知る体験やプロの職業人から直接仕事を学ぶ機会などを通じまして子供たちが将来の仕事のことを十代前後から真剣に考え地域の産業の魅力をしっかりと学ぶことのできる環境づくりを進めてまいりたいと思っております。
　県としましては、産業人材確保・育成対策県民会議におきまして皆様の御意見を伺いつつ社会総がかりで本県産業を支える人材の確保・育成に取り組み、富国有徳の美しい“ふじのくに”の人づくり・富づくりを目指してまいります。
　その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長並びに教育長から御答弁を申し上げます。
○議長（杉山盛雄君）　吉林副知事。
　　　　　　　（副知事　吉林章仁君登壇）
○副知事（吉林章仁君）　職員不祥事の根絶についてお答えいたします。
　全庁を挙げて綱紀の厳正保持に努めている中、職員の逮捕や懲戒処分が続きましたことはまことに遺憾であり、県議会を初め県民の皆様に深くおわびを申し上げます。
　職員不祥事の根絶に当たりましては、静岡県コンプライアンス委員会での外部有識者からの提言や静岡県コンプライアンス推進本部での議論に基づきこれまでも階層別研修や技術職種研修などの職員研修を初めとする取り組みを行ってまいりました。今年度は「『きずな』で高めるコンプライアンス」をスローガンとして六月のコンプライアンス推進月間における意見交換会や七月、八月及び二月に実施した五分間夕礼など全ての所属において職員に対し繰り返してコンプライアンス意識の喚起を図ってまいりました。
　議員から御指摘のありました無免許運転に係る再発防止策につきましては、直ちに全ての職員について運転免許証の原本を直接確認した上で有効期限を所属のスケジュールに記載するなど更新手続の徹底を図るとともに今後のルールとしたところであります。
　今年度発生した懲戒事案を省みますと、依然として県職員としての自覚や不祥事が県行政全体に及ぼす影響に係る認識が欠如していたものと言わざるを得ません。改めて職員一人一人に対しまして不祥事根絶に向けたコンプライアンス意識の徹底をする必要があるものと認識をしております。
　こうしたことから、来年度を初心回帰の年と位置づけまして県職員として守るべき服務に係る基本的なルールをいま一度徹底をいたします。ふとした気の緩みが事件や事故につながる可能性があることや、ささいな非行であっても重大な結果を招くことにつきまして具体的な事例を題材にいたしました自己点検や職場での話し合いを年間を通じて繰り返し実施するなど、全庁を挙げて職員不祥事の根絶を図ってまいります。
　今後とも、不祥事の未然防止に向けた風通しのよい職場づくりを進めますとともに、全ての職員が公務員としての高い使命に誇りを持ち真摯に職務に励むことで県民の皆様の県政に対する信頼回復に努めてまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　佐藤静岡県理事。
　　　　　　　（静岡県理事　佐藤典生君登壇）
○静岡県理事（佐藤典生君）　次期総合計画実現のための県民との協働についてお答えいたします。
　総合計画は県づくりの基本方針を示すものであり、将来に向けて目指す姿を県民の皆様と共有しともに地域づくりを進めていく基礎となるものであります。議員御指摘のとおり、地域づくりに取り組むさまざまな方々と連携協働することで県民のための総合計画としていくことが重要であります。
　このため、まずは県民の皆様に理解していただけるよう総合計画の周知に努めてまいります。御提案のこども版総合計画を参考に親しみやすくわかりやすい概要版を作成いたします。またホームページや県民だより、ラジオ、新聞などあらゆる媒体を活用して幅広く情報発信するとともに、県職員一人一人が広報マンとなり全庁を挙げさまざまな機会を通じて周知してまいります。
　計画の推進におきましては、県民の皆様の主体的な参画を促し御意見を伺い協働に努めてまいります。総合計画に掲げる政策の各分野において積極的に情報を発信し、県政への関心を高め参加機会の拡大を図ってまいります。また地方創生の地域会議や事業レビュー、総合計画をテーマとするタウンミーティングなどにおいて地域の産官学金労言の代表者や県民の皆様から県が進める施策や取り組みについて御意見を伺ってまいります。
　若者や女性など多くの県民の皆様に参画いただけるよう工夫しながら、施策の不断の見直しと改善を行い県民のための総合計画の着実な推進を図ってまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　山口健康福祉部長。
　　　　　　　（健康福祉部長　山口重則君登壇）
○健康福祉部長（山口重則君）　二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催地としてのおもてなしの推進についてのうち、受動喫煙防止対策の推進についてお答えいたします。
　たばこはがんや脳卒中や心疾患などの危険因子であり、喫煙者だけでなく受動喫煙によって喫煙していない方にも健康被害をもたらすなど県民の健康を守る上で喫煙対策や受動喫煙防止対策にはしっかり取り組んでいかなくてはなりません。
　県では、これまで県内の小学生に対するたばこの害について記載した文房具の配布や薬学講座などを活用してたばこが健康に与える影響について青少年に向けた啓発を行ってまいりました。また子供から大人への禁煙メッセージによる家庭内での意識啓発や健康福祉センターごとに地域特性に応じたたばこ対策に取り組み、受動喫煙の危険性を県民の皆様に知っていただけるように積極的な啓発活動にも努めてまいりました。
　東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを契機として、健康増進法の改正に向けた検討が国において行われております。受動喫煙対策として、飲食店を初め事業所におきましても現在より厳しい規制が行われることとなります。
　県では、国の動向を注視しつつ従来の取り組みに加え来年度から事業所が行う受動喫煙対策や禁煙対策を支援するアドバイザーの派遣や喫煙による健康被害がわかる機械の貸し出しによる自発的な禁煙を促していくなど、さまざまな受動喫煙防止を含めたたばこ対策に取り組むこととしております。
　県といたしましては、今後も地域に即した効果的なたばこ対策を行うことで東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催地として積極的な受動喫煙防止に取り組み、おもてなしの心で静岡県を訪れる皆様が快適な環境の中で競技などを楽しんでいただけるように努めてまいります。
　次に、小児がん対策についてであります。
　小児がんは成人と比べてがんの種類や治療後の経過などが大きく異なっております。小児がんに対応できる病院として平成二十二年度に県立こども病院を静岡県小児がん拠点病院に指定し、医療の提供を初め医療従事者向けの研修や小児がん患者とその家族への相談支援などを行い小児がんについて幅広い対策に取り組んでおります。
　現在策定を進めております第三次静岡県がん対策推進計画におきまして、小児がんの早期発見と専門医療機関への速やかな紹介やがんの治療により成人期に発症する合併症に対応するための継続的な診察などを重要な取り組みとして位置づけ、小児がんの患者一人一人に合わせた医療の実現を図ることとしております。また小児がんは症例数が少なく診療所などの通常の診察では発見が難しいと言われております。県では小児科の専門医や患者家族の意見も聞きながら、かかりつけ医が行う診療で小児がんを発見でき専門の医療機関での適切な医療が受けられるようにかかりつけ医向けのマニュアルの作成を進めております。小児がんの早期発見と早期治療につなげてまいります。
　県といたしましては、小児がん医療について専門的な知識と技術を有する県立こども病院を初め静岡がんセンターや浜松医科大学医学部附属病院などの医療機関と連携して小児がん患者への適切な医療の提供や就学と就職も含めた生活全般に対する相談支援を行うとともに、成人期におきましても継続した治療が行える医療体制の構築などを行い小児がん対策の一層の充実を図ってまいります。
　今後も、小児がん患者とその家族が不安を感じることなく病気に立ち向かい、病気を克服して希望を持って未来に向かい暮らしていけるように医療と支援の体制づくりを進めてまいります。
　次に、高齢者施設の安全確保についてであります。
　県では、高齢者施設の安全確保につきまして条例により施設基準を定め設備面での災害対策を講じることに加えまして、非常災害に対する計画の策定や地域の防災訓練への参加を促進しております。日ごろから消防団や地域住民との連携を図り災害発生時に避難や救出などを迅速かつ円滑に実施できる体制づくりを指導しております。
　また、立地状況や実施方法におきまして自治会等地域と連携した訓練ができていない施設もあります。このような施設では、安全性を確保するため災害時における地域との連携体制の整備や訓練内容の充実が急務であります。災害関連情報の迅速な入手から避難までを一貫して行う訓練を地域の防災訓練と合同で行うなど災害対策訓練の実効性を高めていくとともに、日ごろから施設と地域が顔の見える関係を築き連携を深める体制づくりにも努めることとしております。
　今後も、県といたしましては全ての高齢者施設の安全の確保を図るため施設の避難計画が地域の特性を踏まえた実効性のあるものとなるように市町と連携して支援するとともに、施設には実地指導などさまざまな機会を通して地域と連携した防災訓練に定期的に取り組むように指導を徹底することにより高齢者が安心して暮らせる施設の体制づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　西田文化・観光部長。
　　　　　　　（文化・観光部長　西田郁夫君登壇）
○文化・観光部長（西田郁夫君）　二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催地としてのおもてなしの推進についてのうち、海外からの誘客促進についてお答えいたします。
　本県では、二〇二〇年に向け世界的なイベントが連続して開催されます。加えて議員御紹介のヘミングウェイカップが浜名湖周辺で開催されることになりましたら、本県の多彩な魅力を国内外の多くの方々に知っていただき一層の来訪の促進に結びつける大きなチャンスともなります。こうした機会を捉えインバウンドによるにぎわいの創出や経済効果をさらに大きなものとしていくことが重要であります。
　このため、本県のインバウンド施策の司令塔である静岡ツーリズムビューロー――ＴＳＪではラグビーワールドカップ二〇一九に向けラグビーが国民的な人気を誇るイギリスに現地営業代行を設置し他県に先駆け広報・営業活動を行っております。来年度はさらにオーストラリアにも営業代行を設置し、ラグビーファンの観戦旅行に静岡県の観光地が盛り込まれるよう積極的な営業活動を展開してまいります。また外国人観光客が発信したＳＮＳの情報を詳細に調査し、その嗜好や満足度の分析を踏まえて観光客が真に求める体験プログラムを提供することにより滞在時間の長期化による旅行消費額の増加につなげてまいります。
　さらに、県では外国人観光客に直接対応する県内旅館の女将さんを対象に多言語対応を含めたおもてなしや異文化理解についての研修会を開催するとともに、外貨での決済システムの導入促進やＷｉＦｉの環境整備など本県を訪れる外国人観光客がストレスなく旅行を楽しめるよう受け入れ環境を整備してまいります。
　今後、本県で開催される世界的なイベントに向け訪れる人に静岡ならではの体験や深い感動を味わっていただくため、県とＴＳＪが連携しておもてなしの旅を提供することにより海外からの本県への一層の誘客拡大を図ってまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　髙木くらし・環境部長。
　　　　　　　（くらし・環境部長　髙木利夫君登壇）
○くらし・環境部長（髙木利夫君）　二〇二五年問題を克服するための準備についてのうち、高齢者に対する消費者施策についてお答えいたします。
　県では、これまでに高齢者を対象に生活情報誌「くらしのめ」や出前講座を通じ巧妙化する悪質商法の手口に関する注意喚起を行うとともに、相談窓口に直結する消費者ホットライン、電話番号一八八番、通称だまされるのいややの活用を促してまいりました。また本県独自の高齢者見守り隊としてタクシー会社や信用金庫、小売店など二百五十を超える事業所等に日ごろの業務の中で声かけを行っていただくなど消費者被害の未然防止に取り組んできたところであります。
　さらに、来年度からはインターネット関連の消費者トラブルにも対応できるよう今年度新たに養成した消費者教育の講師を活用し出前講座の充実を図ってまいります。今後ますます増加する高齢者を消費者被害から守るためには見守りの目をふやすことが重要でありますことから、市町や高齢者支援に関連する団体などで構成する見守りネットワークの構築を進めてまいります。
　県といたしましては、高齢者の安全・安心な消費生活を築くために国や市町等と連携し複雑化、多様化する消費者被害の情報を迅速に収集し提供するとともに、消費者トラブルを未然に防ぐ消費者教育の推進、被害の救済などを行う相談体制の充実、安全な商品、サービスが提供できるよう事業者に対する指導の強化を図るなど総合的に消費者施策を推進してまいります。
　次に、低炭素社会の実現についてであります。
　本県では、改定版ふじのくに地球温暖化対策実行計画におきまして温室効果ガスの排出量を平成三十二年度までに平成十七年度に比較しまして二〇％削減するという目標を掲げ、省エネルギー化とともに再生可能エネルギーの導入を進めております。現在のところ温室効果ガスの排出量は減少しておりますが、商業施設やオフィスなどの業務部門において削減がおくれております。そのため高効率の空調や照明設備などを備え再生可能エネルギーを導入したゼロエネルギービル――ＺＥＢや建築物環境配慮制度――ＣＡＳＢＥＥの普及を図るとともに、中小企業でも取り組みやすい環境マネジメントシステム――エコアクション21の業務部門における認証取得を促進してまいります。また二酸化炭素と比較して数千倍から一万倍強の温室効果がもたらされる代替フロンの対策が急務なことから、使用されている冷凍空調機器の管理者等に対し漏えい防止や廃棄時の回収を徹底するほか、国の補助金を活用して代替フロンを使用しない冷凍空調機器への更新を促してまいります。
　地球温暖化は人類共通の課題であり、私たちの未来を左右する重要な課題であります。既に起こりつつある異常気象による大雨災害や熱中症等の健康リスクの増加などが懸念されることを踏まえ国連ではＳＤＧｓが採択され、パリ協定の目標に向けて全ての国々が取り組みを始めております。
　県といたしましては、県民、事業者、行政が一体となって温暖化対策に取り組み快適な暮らしと経済成長の両立が図られた低炭素社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　筋警察本部長。
　　　　　　　（警察本部長　筋　伊知朗君登壇）
○警察本部長（筋　伊知朗君）　二〇二五年問題を克服するための準備についてのうち、高齢者講習と運転適性相談窓口の充実についてお答えいたします。
　初めに、高齢者講習等の現状についてであります。
　昨年中の県内の高齢者講習受講者は約九万五千人、免許更新に伴う認知機能検査受検者は約六万人、臨時認知機能検査受検者は約五千人でした。このように多数に上る受講・受検者に関し、警察と講習・検査実施機関である指定自動車教習所の双方が予約状況をリアルタイムで把握して受講・受検待ちの期間を短縮するためのシステムを構築いたしました。その結果昨年中における三カ月を超える受講・受検待ちはありませんでした。
　次に、運転適性相談窓口の充実に向けた取り組みについてであります。
　本県では、以前から三カ所の運転免許センターのほか分庁舎を含む全ての警察署において運転適性相談を実施しておりますが、昨年は改正法施行に合わせ警察本部運転免許課内に高齢運転者支援ホットラインを設置しより相談しやすい環境を整備しました。運転適性相談を契機に家族との話し合い、かかりつけ医のアドバイスを受けるなどして運転免許の自主返納をされた七十五歳以上の高齢運転者は昨年中約一万一千人でした。
　こうした取り組みに加え、高齢運転者の急増に対応し運転適性相談の質的向上を図るため運転免許センターへ医療専門職を配置するための必要経費を平成三十年度予算案に計上しているところであります。
　県警察といたしましては、このような取り組みを推進し運転適性相談窓口の充実に努めてまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　杉保危機管理部長。
　　　　　　　（危機管理部長　杉保聡正君登壇）
○危機管理部長（杉保聡正君）　避難生活の衛生管理についてお答えをいたします。
　避難生活の衛生管理は、いわゆる災害関連死を防ぐための重要な課題であります。中でもトイレについては不衛生なため使用を控え水分を取らずに体調を崩すこともあり、健康を維持する上でも最も重要であることから適正な備蓄と避難所開設当初からの適切な対応が求められます。
　第四次地震被害想定では、県内の避難所におけるトイレの不足量をイベント会場等で使用される仮設トイレ換算で四千九百五十二基と試算いたしました。各市町では避難所の状況を踏まえトイレの利用が確実かつ円滑に行われるよう携帯トイレやマンホールトイレ等の備蓄や整備を進めており、引き続き県も緊急地震・津波対策等交付金による財政支援を行ってまいります。
　さらに、現在改定を進めている避難所運営マニュアルにおいて避難所のトイレが使用可能か確認できるまでは携帯トイレ等を使用することや、感染症防止のため使用後に手洗いと消毒をするというルールの徹底や仮設トイレ等の設置、清潔な使い方、し尿の適切な処理の方法などについて記載しており、訓練等を通してこれらの周知を図ってまいります。
　また、議員御指摘のとおり、発災後自宅で生活を維持するためには家庭での携帯トイレ等の備蓄が非常に重要です。県ではこれまでも家庭内のトイレの備蓄について出前講座等による啓発に努めてまいりましたが、最新の県の調査によると五割を超える方が自宅に携帯トイレ等を備蓄しておりません。このため来年度は家庭内でのトイレの備蓄を地震防災強化月間における重要テーマに位置づけ、自主防災新聞で特集記事を掲載するなど県民の皆様への周知を強化してまいります。
　県といたしましては、市町や県民の皆様と協力して避難生活における衛生管理対策を進め災害に強い地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　鈴木交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　鈴木克英君登壇）
○交通基盤部長（鈴木克英君）　先端技術を活用した建設現場の生産性向上についてお答えいたします。
　県では、建設関連企業の持つすぐれた新技術を建設現場の生産性向上に活用するため登録制度を設けこれまでに五百二十七件を登録し広く情報提供を行って現場への普及に努めてまいりました。今年度はこの取り組みをさらに発展させるため、建設関連企業のみならず製造業や電気通信業を含めた多種多様な企業の参画を得て先端技術の開発、導入を進めることとし、単なる情報提供にとどまらず課題を抱える行政とそれに応え得る民間企業が情報交換を行う新技術交流イベントを初めて開催したところであります。
　その結果、これまで専用の測量船で実施していた海底の地形測量について大学と県内企業との連携により田子の浦港において漁船の魚群探知機の水深データをビッグデータとして活用するシステムの開発や、道路照明灯の支柱の劣化状況を超音波により簡易に測定する技術の実証試験を沼津市内において行うなど、産学がそれぞれ保有する技術を組み合わせることで生産性の向上に向けた課題解決を図る取り組みが具体的に始まっております。
　県といたしましては、今後も産学官の連携によりこうした取り組みを充実させ実証試験の場の提供などにより継続的な研究開発体制の構築を支援し先端技術の実用化につなげるとともに、県内の公共事業において積極的に導入を推進し生産性の向上に努めてまいります。
　次に、清水港の物流拠点としての魅力拡大についてであります。
　清水港は、現在欧州航路や北米航路など二十九の定期コンテナ航路に加え三月五日からは週六便になるＲＯＲＯ船の定期航路を有するなど本県ものづくり産業を支える重要な役割を果たしております。県を取り巻く広域交通ネットワークの充実により背後圏域が拡大する中、民間企業による新たな大規模物流施設が整備されるなど物流拠点としての役割を担う本港への期待はますます高まっております。新興津国際海上コンテナターミナルでは六基のコンテナクレーンを計画し、現在十八列に対応した五基が稼働しております。近年この能力を上回るコンテナ船が配船されたことから大型化への検討を行った結果、今後二十三列船が投入される見込みであり、これに対応したクレーンを来年度から二カ年で整備することとしその予算を本議会にお諮りしたところであります。
　また、中部横断自動車道の開通により移動時間の大幅な短縮が見込まれる山梨、長野両県に対しましては工業製品のみならず農産品の集荷が進むようセミナーを開催し、さらに関東地方の荷主に対しては混雑する都心を避け圏央道を利用した効率的な輸送を提案し地理的優位性を生かした積極的な働きかけを行ってまいります。
　県といたしましては、清水港が愛され選ばれる港となるようコンテナヤードの拡張や船舶大型化への対応など物流機能の向上を図るとともに、荷主、船社のニーズを的確に把握して高質な港湾サービスを提供するなど官民連携による利用促進に取り組んでまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　木苗教育長。
　　　　　　　（教育長　木苗直秀君登壇）
○教育長（木苗直秀君）　県立高校における生徒に寄り添う教育についてお答えいたします。
　障害のある生徒が自立し社会参加に向けて必要な力を培うためには、一人一人の教育的ニーズを把握しその可能性を最大限に伸ばす支援が必要であります。
　県立静岡中央高校におけるコミュニケーションスキル講座では、発達障害など対人関係の構築が困難と見られる生徒に対し相手の反応を見ながら話すことや会話を続けるための指導を行っております。これまでの参加者は延べ三百人を超えており、自分の障害に向き合い他人と接する方法を理解できたとの声が多く聞かれるなど成果を上げております。一方でこのような特別な支援に関するスキルを持つ教員がまだ十分にいないことが課題となっております。
　このため、来年度から特別支援学校の退職教員等を活用し今後の通級指導の実施に向けて個別指導と集団指導の研究等を行い教職員に必要な指導方法の知見を集めるとともに、引き続きコミュニケーションスキル講座を県内三カ所で実施いたします。また県立静岡中央高校における生徒の個々の状況に応じた指導として学習面では面談、電話による相談や夜間学習会を実施し、生活面ではスクールカウンセラーと協力し精神的なケアや他の機関との連携を図りながらそれぞれの進路希望に応じた支援を行ってまいります。
　県教育委員会といたしましては、これらの取り組みを検証しながら個々の状況に応じて支援を必要とする生徒に対し適切な教育、支援が受けられるよう県立高校における生徒に寄り添う教育の充実に取り組んでまいります。
　次に、子供と向き合う時間の確保策についてであります。
　教育は、子供たちの自立を促し成長を助け未来の社会の担い手を育成するという大きな役割を担っていますことから、常に教育の質を向上させる取り組みが必要であります。そのためには教員が子供と向き合う時間を確保することが何より重要であり、多忙化の解消は喫緊の課題であります。
　議員御指摘の未来の学校「夢」プロジェクトでは、モデル校において業務の整理や退勤時間の管理、外部人材の活用等の調査研究を進めながら教員の意識改革に取り組んでおります。その結果長時間勤務の教員の数が減少するとともに、一人当たりの時間外勤務が月四時間以上縮減されるなどの成果が出ており、特に事務作業を補助する校務アシスタントの配置が大変有効であったと評価されております。
　今後は、モデル校の成果を全県に広げていくため各学校が作成する学校経営書に多忙化解消の方針を明記し、モデル校での好事例を参考にしながらＩＣカードによる勤務時間の管理や留守番電話の設置などによる業務改善を促進してまいります。また来年度からは新たに教員にかわって事務作業等を行うスクール・サポート・スタッフを小中学校に配置するとともに、特に多忙化の大きな要因となっている中学校の部活動に単独で引率ができる部活動指導員の配置を進めてまいります。
　県教育委員会といたしましては、教育の質を高めるため教員が誇りとやりがいを持って業務に専念し子供たちと向き合う時間を確保できるよう職場環境の一層の充実に努めてまいります。
　次に、ＳＮＳを活用した相談体制の構築についてであります。
　いじめの認知件数は、各学校において積極的に把握するよう努めていることもあり平成二十八年度は県内の公立小中学校で約七千五百件、公立高校で約百件となっており、いずれも前年度より大幅に増加しております。
　これまで、県教育委員会ではスクールカウンセラーなど専門性を有する人材を配置し不安や悩みを抱える児童生徒の早期発見、問題解決に努めているほか昼夜を問わず相談できる二十四時間子供ＳＯＳダイヤルや民間相談窓口などさまざまな相談先について児童生徒等に周知を図ってまいりました。
　しかしながら、他府県で試行的に実施したＬＩＮＥ相談では相談件数が大幅に増加しており、議員御指摘のとおりＳＮＳを活用した相談は有効であると考えております。
　このため、県教育委員会ではプロジェクトチームを設置し実施に向けて検討しているところでありますが、ＳＮＳは相談しやすく早期の解決につながる一方で相談者の表情や声の調子がわからず応対方法や緊急時の対応が課題となっております。今後は他府県の実施状況を把握するとともに、来年度健康福祉部が若者の自殺対策として実施する夏休み明け前ＬＩＮＥ相談事業に協力しこの結果も検証しながらよりよい実施方法について検討してまいります。
　県教育委員会といたしましては、子供たちが自尊感情を有し他人を思いやる気持ちを育む教育を実践するとともに、いじめに遭っても勇気を持って相談するための第一歩を踏み出せるよう相談体制の充実に取り組んでまいります。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十七番　髙田好浩君登壇）
○二十七番（髙田好浩君）　ありがとうございました。
　要望を五つ、再質問を三つ行います。
　まず、当初予算編成でありますけれども、毎年決算特のときに不用額という話が出てまいります。本当に県民の幸福度の最大化が図れるような大事な予算編成にしていただきたいと思いますので、しっかりこの予算についてはできるだけそういうものが発生しないように最大の御努力をお願いをしたいと思います。
　それから、二点目の要望ですけれども、次期総合計画の実現のため県民との協働ということで質問しましたがやはりなかなか紙媒体とかホームページに立ち上げてあるといってもなかなか活用されていないのが現実だと思います。今、教育委員会のほうにも質問しましたが、やはりＳＮＳ等をですね、活用する時代に入ってきた。もう若者はもちろんのことですけれども。さまざまな形でまず親しめる、そういうメディアを使っての戦略をぜひ考えていただきたいなとこのように思っておりますのでよろしくお願いいたします。
　それから、職員の不祥事についてでございますけれども、来年は本当に一件も起こさずにということを願うばかりであります。子供たちの憧れの職業がやっぱり公務員の皆さんであったり、あるいは教員、警察官、小学生のなりたい職業のトップテンにこの教員と警察官が入っておりまして、また中高生では公務員、教師、そしてそこに警察官、きょう取り上げさせていただいた方々全てこの目標にしてなりたいということでトップテンに入っている職業でございますので、本当に模範になるように、起こす方は一部の方だというのはよくわかっておりますけれどもそういうこともしっかり全てパーフェクトになくなるようにぜひ御努力をお願いをしたいと思います。
　それから、海外からの誘客促進の中でヘミングウェイカップに触れていただきましたけれども、ここの事務局からも今の進捗状況について私のほうにも御案内がございました。かなりＮＰＯ法人、あるいは浜松、浜松市、それから湖西市、積極的にこれを実現しようということで今動き出しておるところでありますのでぜひ積極的に県におきましても御支援をお願いをしたいと思います。西部においての大変大事なイベントになろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
　それから、高齢者講習と運転適性相談窓口でありますが、本部長から窓口の設置というお話をいただきました。ぜひとも医療系の専門職を効果的に運用されるとともに、効果なども検証をしていただきたいと思います。今後ますます増加すると思いますのでこの増員についてもスタートするばかりでありますけれども、増員についても検討のほうもよろしくお願いをしたいと思います。
　再質問でありますけれども、一つは受動喫煙ですが禁煙対策について聞いたわけじゃなくて受動喫煙防止のために今までやってきた、より積極的なことが静岡県でやろうとしていたわけでそれも実現をしてきたわけですね。プレートは五千枚つくったうちの三千枚が既に各店舗に掲示されておりまして、あと二千枚があるはずですのでそういうことをしっかり訴えていくということをやっていただきたいという質問でありましたけれども、そこの点についてもう一度お聞きをしたいと思います。
　それから、ＳＮＳを活用した相談体制の構築についてでありますが、これも県いじめ問題対策本部会議においてもこのＳＮＳを活用した方針、これはすばらしい、大事だということで議論があったと聞いておりますのでやはりまず実行、いろんなことはもちろんありますけれどもいい症例、たくさんのもう模範的なこともございまして、また国もやろうということでなっておりますのでしっかり工程を明確にして実施していただきたいと思いますけれども、もう一度御決意を伺いたいなとこのように思っております。
　それから、県立高校における生徒に寄り添う教育について通級指導開始の準備と課題について答弁がなかったように思いますけれども、私の勘違いだったら申しわけないですがもう一度その通級指導をいよいよやるということに対する準備、またそれに対する課題はどのようなことがあるのか、これについてもう一度答弁を求めます。以上、答弁をよろしくお願いいたします。
○議長（杉山盛雄君）　山口健康福祉部長。
○健康福祉部長（山口重則君）　受動喫煙防止についての再質問についてお答えいたします。
　禁煙プレートの関係が出ましたが、受動喫煙防止を目的に多くの方々が利用する施設での禁煙化を進める上で建物内の全面禁煙としたのが、いわゆる禁煙宣言をした施設に禁煙プレートを発行するというような取り組みをやっております。議員御指摘のとおり、現在五千枚のうち三千枚を配付しておりまして、在庫が二千枚ほどありますが、そちらにつきましても今後しっかりこの禁煙宣言をしたところにつきましては配付をしていきます。
　また、この喫煙防止については喫煙、あと分煙、この表示によりまして喫煙を可能とする方向、そういうような形になっております。そのような方向で取り組む飲食店等もありますので、この禁煙プレートの活用についての環境も平成二十二年度の事業仕分け等のときよりも大分変わっております。禁煙プレートを利用しましてしっかりと受動喫煙防止に取り組むのは非常に有効な方法の一つと私たちも考えておりますので、こちら禁煙プレートのさらなる利用、取り組みにつきましてはこうした状況の変化、また受動喫煙防止の対策の進捗という面からぜひもう一度取り組みについて検討していきたいと考えております。以上であります。
○議長（杉山盛雄君）　木苗教育長。
○教育長（木苗直秀君）　再質問ありがとうございます。
　ＳＮＳのほうは相談しやすい、それから早く対応できるというようなこともありまして、これはもう前向きに考えておりまして、ただしこの辺も顔が見えない中でやるものですからその辺も十分に経験も積みながら、それからいろいろ情報を得ながら整理整頓してできるだけ早く対応していきたいとそのように考えております。
　それから、通級指導のほうも我々いろいろな形でもう既にやっておりますけれども、これについても先生が今おっしゃられるように前向きな姿勢でということはもう我々教育委員会としては常にそう思っておりますので、これは県もそうですしそれから市町とも一緒になっていろいろと対応していきたいとそのように考えております。以上です。
○議長（杉山盛雄君）　髙田好浩君。
　　　　　　　（二十七番　髙田好浩君登壇）
○二十七番（髙田好浩君）　ちょっとありがとうございましたと言えないんですが、プレートですね、本当にここ数年間微動だにしておりません。一枚も出ておりません。そういう意味でそれにやはりもう少し力を、しっかり啓発活動を含めてやっていただきたいと思います。
　それから、ＳＮＳですが、当然顔は見えないですよＳＮＳは。見えたら怖いわけで、入り口ですこれは。あくまでも入り口としてそういうツールを使う時代が来ているということですね。しっかり検討していただくことは大いに結構ですが、やる方向でしっかりまた議論を重ねていただきたいと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。以上で終わります。
○議長（杉山盛雄君）　これで髙田好浩君の質問は終わりました。（拍手）
　議事の都合により休憩します。

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	質問者：	髙田　好浩議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	02/27/2018
	会派名：	公明党静岡県議団
	質疑・質問事項：	１　平成三十年度当初予算編成について　　　　　　　　　　　　　　　　２　次期総合計画実現のための県民との協働について　　　　　　　　　　３　職員不祥事の根絶について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４　二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催地としてのおもてなしの推進について　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (1) 受動喫煙防止対策の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (2) 海外からの誘客促進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　５　二〇二五年問題を克服するための準備について　　　　　　　　　　　　 (1) 高齢者に対する消費者施策　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (2) 高齢者講習と運転適性相談窓口の充実　　　　　　　　　　　　　　６　避難生活の衛生管理について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７　低炭素社会の実現について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８　伝統建築、伝統工芸に関する人材の育成について　　　　　　　　　　９　小児がん対策について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 10　高齢者施設の安全確保について　　　　　　　　　　　　　　　　　　 11　中小企業の人材確保・育成について　　　　　　　　　　　　　　　　 12　先端技術を活用した建設現場の生産性向上について　　　　　　　　　 13　清水港の物流拠点としての魅力拡大について　　　　　　　　　　　　 14　県立高校における生徒に寄り添う教育について　　　　　　　　　　　 15　子どもと向き合う時間の確保策について　　　　　　　　　　　　　　 16　ＳＮＳを活用した相談体制の構築について