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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小野 登志子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/21/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東部、伊豆地域の基礎自治体の広域連携について          
2 伊豆半島地域の振興について                   
 (1) ファルマバレープロジェクトの推進               
 (2) スポーツを核とした観光振興                  
 (3) 伊豆の地域特性を生かした農業振興               
3 県東部地域における発達障害児の支援体制の強化について      
 (1) 県発達障害者支援センターの設置                
 (2) 就学前の早期療育施設への支援                 
4 狩野川中流域災害対策の強化について               
5 公立学校における臨時講師の待遇について             
6 江川文庫に係る文化財公開のための環境整備について 



    ○議長(天野進吾君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第一号から第八十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十九番 小野登志子君。
           (十九番 小野登志子君登壇 拍手)
    ○十九番(小野登志子君) 皆様おはようございます。
     私は会派自民改革会議を代表しまして当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長にお伺いいたします。
     川勝知事におかれましては、御就任以来たびたび伊豆にお運びいただき、私ども伊豆の抱えている諸事情に深く理解をお示しくださっておられることに地元では感激するとともに、知事の一挙手一投足を大きな期待を持って見詰めております。
     世界の構造的変化の中で、一時的にせよ方向を見失った感を呈している伊豆半島地域、いろいろな角度から振興策が取りざたされていますが、いま一歩強い力が必要と思われます。本日は伊豆半島地域に特化して質問させていただきます。
     初めに、東部、伊豆地域の基礎自治体の広域連携について伺います。
     県が毎年度取りまとめている市町財政の状況を見ておりますと、静岡、浜松という両政令市の財政規模が突出している一方で、伊豆半島地域の苦しさが際立っているように思われます。報告によると伊豆半島地域の自治体の自主財源比率はおおむね五〇%未満、四〇%未満も五自治体あるということで、住民の望むような行政活動の実現は困難なことがうかがえます。
     さて、東部の拠点はどこかという観点で眺めますと、静岡・浜松両市に続くような市や町を見出すことは難しいのではないかと感じます。東部地域では、今後新東名高速道路、東駿河湾環状道路の整備が着実に進むことが期待されるとともに、伊豆地域においても伊豆縦貫自動車道の整備が見込まれ、両地域においては課題であった交通基盤が改善されていくものと思われます。さらに伊豆半島においては、伊豆がその誕生の歴史から一つであることを証明するジオパーク構想があり、この地域が一つになって観光交流圏の形成を目指す取り組みを進めていけば、地域の広域連携が飛躍的に進むことが期待されるところであると思います。
     一方、こうしたハード、ソフト両面での条件が整いつつある中で、東部、伊豆地域は、沼津、三島を中心とした都市集積エリアの市や町と、南伊豆に代表される小さな入り江が連なるエリアの市や町で自治体の規模がさまざまであり、多様化する住民ニーズへの対応に大小それぞれの自治体が共通あるいは異なる課題を抱え、地域一体の発展に結びついていない状況にあります。特に小さな町では、少人数の職員が一人で多くの業務を抱え専門化する住民ニーズへの対応に苦慮しており、自治体が細分化されていることで非効率な状況が生じているのではないかと考えます。
     知事は、今後の地域主権改革の推進に当たり、基礎自治体である市町の体制整備の重要性を繰り返し述べておられますが、東部、伊豆地域においては大小さまざまな市や町があり、このままでは総合的な力の発揮を望める状態にはないと考えます。 
     そこで、今後東部、伊豆地域の市や町においては、行政事務の連携、広域化を強く推進し、こうした結びつきを積み上げる中で、将来は自主的な合併も視野に入れられるような体制の整備に取り組むべきと考えますが知事の所見を伺います。
     次に、伊豆半島地域の振興についてのうち、ファルマバレープロジェクトの推進についてであります。
     ファルマバレープロジェクト――富士山麓先端医療健康産業集積構想は、平成十四年度の静岡がんセンターの開院を契機に、第一次及び第二次の各戦略計画に基づき県東部地域を中心に進められてきました。プロジェクト開始からの九年間、世界最先端レベルの医療を提供する静岡がんセンターを中心に、世界的な研究機関である国立遺伝学研究所を初めとする大学、研究機関とのネットワークの構築による高度な研究開発が行われ、またファルマバレーセンターのコーディネートにより多くの地元企業が医療・健康産業へ参入するなど具体的な成果があらわれており、このプロジェクトの推進が地域医療の高度化と経済の活性化に寄与してきたと考えております。
     また、東部地域の市や町も、ファルマバレープロジェクトによるさまざまな成果が見えてきたことによって、このプロジェクトを活用したまちづくりや産業振興、県と連携した企業誘致に取り組むなどプロジェクトに積極的に参画しており、地域の期待はますます高まっております。
     しかしながら、これらの効果は主として静岡がんセンター周辺の市や町に及ぶものであり、同じ東部地域とはいっても伊豆半島には十分に及んでいないのが現状ではないかと感じております。伊豆半島地域では豊富な温泉に着目、かかりつけ湯がファルマバレープロジェクトのモデル事業となりましたが、その第二弾健康保養都市への展開が急がれるところであります。
     先ほども述べさせていただきましたが、これまで伊豆半島は東海道の主要交通網とつながる幹線道路などの交通アクセスが不首尾で、ヒト、モノ、情報の交流が進みにくかったのは事実です。特に伊豆半島の入り口部分――ここらあたりを口伊豆と言いますが――ここの交通アクセス向上は伊豆の住民にとって長年の願いであります。
     現在、整備が進んでいる東駿河湾環状道路が平成二十五年度中には伊豆中央道と接続することによって、東名高速道路沼津インターチェンジから伊豆市の大平インターチェンジまでのアクセスが飛躍的に向上すると思いますから、これを契機にファルマバレープロジェクトを伊豆半島にさらに波及させ、さまざまな取り組みを展開していくべきと考えますが県の所見を伺います。
     次に、スポーツを核とした伊豆地域の観光振興について伺います。
     平成二十一年度の伊豆地域の宿泊者数は一千七十五万八千人で前年度比九%、百万人を超える減少を記録するとともに、最も多かった昭和六十三年度に比べて四三%、八百十万人の減少――およそ半分になってしまったのですが――となるなど、観光を主たる産業とする伊豆地域にとりまして非常に厳しい状況となっております。
     二十一年度の大幅な減少は、伊豆半島東方沖地震の影響や高速道路のETC休日特別割引の実施により、首都圏からの観光客がより遠方の旅行先に足を延ばしたことによるなどの特殊要因も考えられますが、その逆もあってよいわけで、全体的な傾向として首都圏に近いという伊豆の優位性が交通機関の発達等によって小さくなり、観光客の選択の幅が広がったことなどにより、宿泊客が減少していると考えられます。
     伊豆地域の発展のためには観光振興が不可欠ですが、地域間における観光誘客の競争が激しさを増す中で、伊豆地域を元気にしより多くの方に来訪していただくためには、既存の観光資源の活用だけではなく、新しい切り口での観光誘客に取り組む必要があると考えます。
     そこで私は、この新しい切り口としてスポーツを核とした観光振興に積極的に取り組んでいく必要があると考えます。伊豆地域において、野球やバレー、サッカー等のさまざまなスポーツを振興し、全国的なスポーツ大会等を誘致することにより、大会期間中の大規模な宿泊が見込めるとともに、スポーツのメッカとすることで、大会期間中だけでなくキャンプや練習のために多くの方が訪れることが見込まれます。さらにファルマバレープロジェクトと連携して伊豆地域の豊富な温泉とスポーツを核とした取り組みを行うことで、伊豆地域の特色を打ち出すことができます。
     先ごろ伊豆の国市で、第六回伊豆の国いちご紅ほっぺカップバレーボール大会が開催されました。バレーホールに興じ温泉で心身をいやしイチゴ狩りを楽しむという企画でしたが、参加者は県内外各地から六百余名、毎年遠方よりの参加者がふえているということです。ほかにも長寿野球大会、還暦野球大会、高校生ソフトボールナイター、ペタンク大会などスポーツ団体や連盟、老人会等が主催し、スポーツ誘客を図る努力を重ねています。そして昨日行われた富士山といっしょに走ろう・第四回伊豆マラソン大会。伊豆市修善寺をスタート、三島大社までの二十一・七キロのハーフマラソンは、まさに歴史史跡めぐりの頼朝街道マラソンとも言うべきもの。十キロ、三キロマラソンとあわせおよそ三千名がエントリーして行われました。
     地域の市や町が主管、日本大学国際関係学部や地元企業協賛のもと、大会関係者千五百名の御尽力によって成功裏に終了しましたが、マラソン大会を開催するということは並大抵のことではなく、これにはおよそ十年も前からの準備を要したのでした。「この大会は地域おこし。先が見えた」と大会副会長の日本大学国際関係学部佐藤三武朗学部長さん。「行け行け伊豆」、「押せ押せ伊豆」、「頑張れ伊豆」、チアリーダーたちの熱いエールにこたえ伊豆は頑張らなくてはならないと思います。
     スポーツを核とした新たな観光誘客への取り組みは、伊豆半島を元気にするために大きな効果が期待できると思いますが県の所見を伺います。
     次に、伊豆の地域特性を生かした農業振興について伺います。
     川勝知事は「静岡県は二百十九品目が産出される日本一の食材王国、四季折々しゅんなるものを食すまれなる国」と発言されています。私はこの「四季折々しゅんなるものを食すまれなる国」という表現はいいなあと思っています。事実静岡県では、農業に携わる方々の飽くなき御努力のもとに多彩な農業が行われ立派な農産物が多種生産されていて、いつでも何らかの食材のしゅんを味わうことができます。
     伊豆地域においても、温暖な気候を生かしイチゴの「紅ほっぺ」やトマト、ワサビ、シイタケなど全国に誇る超一流の農産物が生産されており、これらは農芸品と称されるにふさわしいものでありますが、伊豆地域は耕地面積が西部や中部に比べ極端に少なく、山間部や狭隘な地形のもと発展してきた農業であることを御認識いただきたい。原木シイタケ栽培は全国の発祥の地でもあるのです。
     ところで知事は、ブドウの王様「ピオーネ」がどこで生まれたか御存じですか。伊豆です。伊豆の国市――旧伊豆長岡町の井川秀雄さんという方が交配・育種に成功したものなのです。井川さんは「巨峰」――これも伊豆で生まれたものなのですが――「巨峰」を生み出した中伊豆の大井上康さんに学び育種家となって努力を重ね、千九十九種類の新品種のブドウを発表しました。その中で「巨峰」を母に、ヨーロッパ系の「カノンホールマスカット」を父として交配した品種が「ピオーネ」で、昭和三十二年に誕生したのです。それらは井川系ブドウと総称され、アメリカ、ヨーロッパ、そして中国にも普及しております。
     私は、井川秀雄さんがブドウの交配にいそしんでいる姿を実際に拝見したことがあります。「ピオーネ」とはイタリア語で開拓者という意味。一つの新品種が生まれてもさらによいものを目指して、生涯交配に挑戦し続けた井川さんの姿そのものと思いました。
     また、伊豆の国市ではニューファーマーの育成にも力を入れ成果を上げています。伊豆は進取の気風に富んだ地域であり有数の農業の達人を生み出しています。新規就農者の方々のためにも、農業経営基盤の確立を図り本県農業をもうかる農業に転換していく必要があると考えます。よく言われることですが、国の農業産出額約八兆円が加工、流通、飲食業の生産額となると実に八十兆円を超える金額になります。この生産額は農業産出額の十倍の金額に相当するわけですから、この加工、販売分野に農業者が進出すれば、まだまだ伸びていくことは可能であると考えます。
     そこで、このような伊豆の地域特性を生かした農業振興について県の考え方を伺います。
     次に、県東部地域における発達障害児の支援体制強化についてのうち、県発達障害者支援センターの設置について伺います。
     一般的に発達障害と聞いてもよくわからないという方が多いようですが、私は多くの方が発達障害について学習していただくことが望ましいと思っています。発達障害については、乳幼児健診等で早期に発見し専門医である児童精神科の医師の診断を受け、障害の特性に合った療育を早い段階から開始することにより、充実した学校生活や自立した社会生活を送ることも可能であると聞いています。
     静岡市内に設置されている県発達障害者支援センターでは、専門医が配置され臨床心理士などの専門スタッフによる相談や個別の支援計画の作成など、発達障害に関する包括的な支援が行われておりますが、東部地域には発達障害者支援センターがないため、発達障害を持つお子さんを育てている家庭では、不安を抱えながら子育てを行っているという切実な声が寄せられています。
     また、県では今年度から、児童精神科の医師を養成するため、浜松医科大学に児童青年期精神医学講座を設け専門医の養成や県内定着を目指していますが、東部地域は専門の医療や福祉施設が少なく、専門医が養成されてもその受け皿となる発達障害者支援センターなどの専門機関がないため、派遣がなされないのではないかと危惧しております。
     そこで、東部地域にも県発達障害者支援センターを設置することが急務と考えますが、県の所見をお伺いします。
     次に、就学前の早期療育施設への支援についてであります。
     三島・田方地域には、発達障害のある児童のための就学前の早期療育施設がなく、御殿場市の富岳学園という通園施設を利用している方がおられます。通園に大変時間がかかるということで、私も体験のため行ってまいりました。午後で交通量の少ない時間でしたから比較的スムーズに行けたのですが、約一時間かかりました。朝夕の時間帯では三十分から一時間増しになると思います。助手席に幼児を座らせてのこの時間はとても長いしつらいものがあるなと思いました。
     しかしながら、もっとつらいことには、こちらの施設は入園希望者が多く障害の程度によっては入園できないこともあるということ。幸い入園できても週に二、三日しか利用できないなど、専門的な持続的療育を受けることが大切なのにそれが大変難しい状況にあるということで、保護者の中には通園施設のある市へ引っ越した方もいるそうです。
     また、仕事や弟妹などの子育てのために地元の保育所や幼稚園を利用したくても、なかなか受け入れてもらえないという声もあります。これもつらいことであります。保護者の方々は就学前の早期療育施設の設置を地元の市や町へ要望していますが、市町だけでは発達障害児の支援をどのように進めていったらよいのか、そのノウハウがないなどの理由で現状では要望への対応は進んでいないようです。
     このような課題を解決するためには県の積極的な支援が必要と考えますが、県の所見を伺います。
     次に、狩野川中流域災害対策の強化について伺います。
     伊豆は天城の山々に源を発し渓谷を流れ下る狩野川は、美しいたたずまいとともに天下の暴れ川という顔も持っています。それはジオパーク構想に取り上げられる要因ともなっている伊豆半島の成り立ちによるものでもあります。
     山を下り田方平野を蛇行しながら北に流れ駿河湾に注ぐ狩野川中流域は、豊かな水と緑の自然環境を有する農業地帯を形成、大きな恵みをもたらしていますが、上流域に雨量の多い天城山系を抱え、長い歴史の中、幾度となく洪水、はんらんを繰り返し、地域住民を悩ませてもきました。
     言うまでもなく、昭和三十三年の狩野川台風による未曾有の災害を機に進められた狩野川本川の堤防整備や昭和四十年の狩野川放水路の完成により、流域の治水安全度は飛躍的に向上し、最近では、平成十四年十月の洪水を契機とし今年度完了した韮山古川の床上浸水対策や平成十六年の台風二十二号の被害対策として現在も集中的に実施されている戸沢川の整備などにより、被災を繰り返すごとに住民が安心して暮らせる基盤整備が確実に進められております。災害はないにこしたことはありませんが、それを契機に住みやすい安全なまちをつくっていくことも人間の英知と言えるかもしれません。
     このごろ、地球温暖化に起因すると言われる集中豪雨が多発している中で、狩野川中流域においても、そもそも短時間に河川水位が上昇する中小河川、すなわち支川の危険性が増しており、さらに狩野川や大きな支川の堤防に囲まれ地形的に雨水が集まりやすい地区などでは、洪水時の排水不良による浸水被害が依然として発生している状況です。このような地区では、河川や排水路の整備とあわせ排水機場のポンプによる強制排水に頼らざるを得ないことから、ポンプ能力の増強といざというとき確実に作動するための維持管理が重要と考えております。
     そこで、狩野川本川、支川及び排水機場の整備や維持管理など多岐にわたる整備の必要性や被害形態を踏まえ、狩野川中流域全体としてどのように災害対策を強化していくのか伺います。
     次に、公立学校における臨時講師の待遇について伺います。
     私の地元に、出産育児のために教師を離職し、子育て期間を経てお子さんの手も離れたことから、近くの小学校に臨時講師として復帰した先生がおられます。退職当時は育児休業制度はあったとはいえ現在ほどは整っておらず、育児休業を取ることなく退職されたと聞いています。自分の子供は自分の手で育てたいと潔く退職されたことはなかなかできることではありませんが、そういうお母さんに育てられたお子さんは幸せだったと思いますし、お母さんとの豊かな時間を共有したことは将来的に大きな意味を持つのではないかと思います。
     さて、再就職に当たり教育熱心な彼女は小学校の臨時講師の道を選びました。教員として優秀な彼女はその意欲や人柄から早速クラス担任となり、子供たちからも慕われ校長先生や保護者からも信頼を得てその職責を全うしています。しかしながら仕事熱心な彼女の日常生活は、毎日仕事を持ち帰り十二時前に就寝することはほとんどない忙しさと聞いています。さらに給料はどうかといえば、同年代の正規の職員と比べ十万円もの格差があるとのことです。職務内容が違うならやむを得ませんが、正規教員とほとんど変わらぬ職務でこの格差はいかがなものでしょうか。
     臨時講師の制度自体は、産休、育休や特休、休職した教員の代替としてその必要性は認めますが、いい人材を確保するためには待遇面で見直すべきではないでしょうか。待遇が改善されれば子育て期間を終えた優秀な元教員が教育現場に戻ってきてくれると思いますがいかがでしょうか、教育長の所見を伺います。
     最後に、江川文庫に係る文化財公開のための環境整備についてであります。
     現在、県教育委員会では江川文庫の調査事業を実施していると聞いております。江川家は中世から近代に至るまで伊豆韮山を拠点として活躍した名門であり、その邸宅は国の重要指定文化財に指定されており、江戸時代には幕府の代官を世襲し、特に幕末にはペリー来航後の海防政策を主導した江川太郎左衛門英龍を生み出しました。また江川家には中世以来の膨大な資料が残されており、これらは江川文庫として現在財団法人江川文庫が管理しておりますが、その点数が余りに膨大であるため、その全容は長く明らかにされてこなかった経緯があります。
     学識経験者によれば、江川文庫は本県の歴史を解明する上で重要であるばかりでなく、江戸幕府の政治の実態や我が国の近代化のプロセスを明らかにする上で不可欠な資料とのことです。調査の終了に見通しの立った現在、私はこの県民、国民の宝とも言える江川文庫資料を後世のために大切に保管し、多くの方に公開し活用してもらうことが喫緊の課題であると考えます。
     昨年八月に県知事、教育長に現地にお越しいただき現状を確認していただいたところですが、残念ながら現在の資料の保管、公開、活用のための環境は甚だ不十分と言えます。私は、ぜひ県においても江川文庫資料の保管、公開、活用のための環境整備に尽力いただきたいと思いますが、県教育長の見解を伺い、ひとまず私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(天野進吾君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 小野議員にお答えいたします。
     初めに、東部、伊豆地域の基礎自治体の広域連携についてであります。
     東部は富士山のふもとの地域、伊豆半島は南の国からやってきた島ということで、この地域は健康と観光ということで共通した魅力を持っていると存じます。また首都圏にも近い、そして豊かな自然がございます。ただ地域の生活圏、観光を中心にした経済圏、そして行政圏という区域が必ずしも一致していないように思います。言いかえますと地域資源が、こうした連携が不十分であるために十分に生かし切れていないという印象を強く持っているところでございます。これらの課題は、議員御指摘のように地域でも認識されています。これまでも合併協議会や研究会が設置されるなど合併に向けた取り組みが行われてきましたが、実現に至ったのは少数です。中部、西部地域に比べまして行政の体制整備が進んでいない状況でございます。 
     平成の大合併は一段落したところですけれども、合併した場合に財政的に不利にならないような措置は引き続き合併特例法で講じられているところでございます。今後地域財政が厳しさを増し少子高齢化の進行など社会構造が変化する中で、地域の課題に的確に対応しこの地域の発展を実現していくためには、基礎自治体である市町が、住民に身近な住民サービスを安定的に提供するとともに、地域の実情に合った総合的なまちづくりを実施できる能力を備えていく必要があります。
     そのためには、これまで必ずしも十分でなかったと思います市町間の信頼関係、あるいはネットワークの構築が進められねばなりません。私は伊豆半島は世界で最も美しい半島であると存じます。ジオパークとしてこれを一つのキーワードとしながら伊豆半島は一つである、あるいは伊豆は一つであるというそういう共通認識が育っていくことを強く願っております。
     議員御指摘の江川文庫も、そういう文書資料だけでなくて韮山の反射炉の遺跡がございます。これは近代日本の産業考古学的遺跡として、九州は鹿児島にございます集成館の遺跡、あるいは長崎の高島炭鉱の遺跡、あるいは山口県の萩の遺跡などと連携をいたしますと、この江川文庫は、文書的な文化財だけでなくて、世界文化遺産としての産業考古学的な近代日本の遺産ネットワークの中に入る可能性もあります。そのようなことを通して、私は、現在必ずしも十分に伊豆は一つとしての運動が起こっているとは思っておりませんので、ジオパークや江川文庫、あるいは韮山の反射炉の遺跡等を活用して、この地域の場の力をさらに上げてまいりたいというふうに強く思っております。
     さらに、事務の共同処理や定住自立圏の形成など広域連携に取り組みまして、最終的には合併や政令指定都市化を目指すことが望ましいというふうに考えています。これから中長期的には、県というものの力が県をさらに大きくした広域連携の中で存在感を薄めてまいります。そうしたときに基礎自治体がしっかりと力をつけることが大事であって、東部と伊豆半島地域におきましてはそうした面において、ネットワークにおきましても一体感においてもまだまだ不十分であるということなので、地域の人々と協働して一体感の醸成に努めてまいりたいと思っております。
     次に、伊豆半島の振興についてのうち、伊豆の地域特性を生かした農業振興についてであります。
     伊豆半島地域は、ワサビ、イチゴ、キンメダイ、イセエビなど何と百八十品目もの農林水産物を生み出すことが知られています。二百十九品目のうち百八十品目ですから、およそ八〇%が伊豆半島地域のみで占められているということで、これはまことに誇るに足る数字でございます。それを狭隘な山間農地で栽培されているということでございますから、これはもうほとんど人々の手入れ、心が入り込んだ芸術的な試みであるというふうに思っております。今担い手の不足がございますけれども、こうしたところにもっと温かい目を向けまして、農の理想郷、いわば日本で一番美しい、あるいはふじのくにで最も美しい地域コミュニティーとして顕彰してもまいりたいというふうに思っております。
     古くから農業が盛んな田方地域では、平成五年度から全国に先駆けて新たに農業に取り組もうとする若者たちを受け入れて、経験豊富な農業者が指導者となって作物の栽培技術と経営手腕を徹底的に鍛えるとともに、地元の市、また農協が連携をして農地のあっせんや施設整備の支援をすることによって、これまでに二十五人のミニトマトのニューファーマーが育ち、彼らが中心となって新しいミニトマト産地が形成されるまでになっているということを大変喜ばしく思っております。
     また、県が今年度から始めました耕作放棄地を活用した一校一農園のモデル事業を、県内の四団体が開始いたしました。豊岡南小学校とそして静岡市内の小学校、それに伊豆半島では伊東市とそして伊豆の国市において、小学校五、六年生たちが中心になって農園活動をしているということでございます。伊豆においては、複数の学校の少年少女たちが加わっているということが他のところと違うところでございます。
     私は、豊岡南の収穫の折に参りまして、その枝豆を子供たちと一緒に食した経験がありますが、伊豆半島はこのようにすばらしい農作物に恵まれているということなので、そうしたことを小さいときから子供たちが親しむ、そのさまを実際に見たいと思っております。次回機会がありましたらば伊豆半島のほうにも出向いて、子供たちとその収穫の喜び、あるいは栽培の喜びをともにする機会を得たいと思っております。
     さらに、来年度は生産者とふじのくに食の都づくり仕事人との連携によりまして、新しい料理と食材の開発に取り組む、仮称ですが食文化学会を伊豆地域において開催します。また今年度に引き続きまして、六次産業化の可能性を探るシンポジウムを伊豆地域において実施いたします。こうしたことを通じて、伊豆地域の場の力を生かした農業振興に私は積極的に取り組んでまいりたいと決意しているところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(天野進吾君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 伊豆半島地域の振興についてのうち、ファルマバレープロジェクトの推進についてお答えをいたします。
     ファルマバレープロジェクトにつきましては、平成十四年度から静岡がんセンターを中心に高度な研究開発、新産業の創出、人材の育成、まちづくりなどに取り組んでおり、特に伊豆半島地域においては、温泉や食材など地域資源を活用した健康サービスの提供、地元企業の医療健康産業への参入などに取り組んでまいりました。
     具体的には、伊豆半島地域にわき出す温泉を利用し、人が持つ治癒力を最大限に引き出す新しい湯治法と地元でとれた四季折々の食材を使った健康食を組み合わせるなど、それぞれの宿が開発した特徴ある健康プログラムを提供するかかりつけ湯、この取り組みが五十三施設にまで拡大しております。また歩行能力の向上や日常生活動作の改善などに役立つ新しい健康づくりトレーニングシステムを伊東市の温泉旅館が導入しトレーニングジムを開設するなど、健康増進や観光振興を目指した取り組みや、伊豆にある工場を拠点にして自動車部品製造業から医療機器分野へ参入する企業もあらわれてきております。
     県といたしましては、温泉や食材など地域資源を組み合わせた健康サービスといやしの提供による地域づくりの推進や、地元企業の医療健康産業への参入の促進、交通ネットワークを生かした企業誘致など、市町との連携によりまして伊豆半島地域間の場の力を活用したファルマバレープロジェクトの推進を図ってまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 伊豆半島地域の振興についてのうち、スポーツを核とした観光振興についてお答えいたします。
     年間を通じて温暖な気候に恵まれた本県は、プロ、アマを問わず各種スポーツ大会やキャンプが実施されており、国内外から多くのチームや選手が滞在することにより、一部の地域ではスポーツ・ツーリズムとして育ってきております。
     伊豆地域におきましても、昨年十月には南伊豆町で第一回南伊豆・弓ヶ浜アクアスロン大会、これはトライアスロンから自転車――バイクを除いた二種目で競う競技でございますけれども、また昨日は議員の質問の中にもございましたように、伊豆の国市や三島市などで第四回伊豆マラソン大会が開催され、その際には大会に参加する選手を対象といたしました宿泊を伴う旅行商品も販売されております。
     現在、国におきましては、観光庁が観光立国を目指してスポーツ・ツーリズムを推進すべく、スポーツ・ツーリズム推進連絡会議を立ち上げまして検討を行っております。本県といたしましても、この会議に積極的に参加いたしますとともに、新総合計画の中におきましてもスポーツを活用した交流促進をスポーツ振興の目的の一つとして掲げるなど、スポーツを核とした地域づくりを推進していくこととしております。 
     今後とも、ファルマバレープロジェクトのモデル事業でございますかかりつけ湯とも連携いたしまして、豊富な温泉とスポーツを組み合わせた旅行商品の開発やさまざまなスポーツ大会の誘致を行いますとともに、地域のおもてなしの向上や訪日外国人への多言語対応等の受け入れ体制の整備を市町やスポーツ関係団体と協力して積極的に進めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 県東部地域における発達障害児の支援体制の強化についてのうち、初めに県発達障害者支援センターの設置についてお答えをいたします。
     発達障害者支援センターは、平成十七年度に全県をカバーする目的で静岡市内に設置をいたしましたが、相談件数が年々増加をしている中で東部地域のウエートが増加しており、より一層の強化が必要であると認識をしております。
     強化のためには、まず専門医の十分な確保が必要でありますことから、本年度から浜松医科大学に寄附講座を設置し継続的な医師養成に努めております。当面県では東部総合庁舎において開催している発達障害者支援センターによる定期相談会を拡充するほか、地域で子供を診断する機会が多い小児科医等に対する研修会を開催するなど、県東部地域の支援体制の向上に努めてまいります。
     県といたしましては、相談会の実施状況などを見きわめながら、東部地域への支援方法を初め発達障害者支援センターの機能強化について、外部の有識者から成る障害児・者支援連携協議会などの場で検討してまいります。
     次に、就学前の早期療育施設への支援についてであります。
     発達障害と診断された児童には、できるだけ早い段階からの相談や療育支援が有効でありますことから、県ではこれまで保育士や保健師など身近な地域で発達障害を支援できる人材の養成に努めてまいりました。さらに来年度から新たに、発達障害の専門家を定期的に早期療育施設に対して派遣し機能強化を図るとともに、指導を受けた施設から保育所等へ巡回相談を行うことで保育士等への理解を深めることにより、発達障害のある児童の保育所等への受け入れを広げてまいります。
     早期療育施設は、その多くは市町が事業主体となって設置されておりますが、財源的に単独での施設整備が困難であることや臨床心理士などの人材確保、定員を満たすだけの利用者の確保など、新たな施設を設置するためにはさまざまな課題がございます。議員御指摘のとおり、三島・田方地域には早期療育施設が設置されておりませんが、本年度中に地域の課題を協議する場でございます障害者地域自立支援協議会が三島市など三市三町により新たに設置されると伺っておりますことから、県もこの会議に参画し発達障害のある児童の早期療育施設の設置の実現に向け、積極的に働きかけてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 狩野川中流域災害対策の強化についてお答えいたします。
     当地域では、狩野川本川及び支川への排水不良に起因します内水被害が多発していることから、国、県、伊豆の国市、函南町が連携しまして、平成二十年度から五カ年で床上浸水被害解消を目指す緊急対策としまして狩野川中流域豪雨災害対策アクションプランを策定し、集中的な整備を進めております。具体的にはこれまで国による狩野川の掘削や四日町排水機場、小坂排水機場の増強、県による韮山古川や戸沢川の河川改修、柿沢川流域の排水機場整備、そして市町による雨水貯留施設の整備や洪水ハザードマップの策定を進めてまいりました。
     さらに、近年集中豪雨が頻発する中、整備されました排水機場等の機能が洪水時に確実に発揮されますよう、定期的な巡視や構造物の一斉点検による適切な維持管理を行うとともに、地域と一体となりまして集中豪雨により内水被害を受けた場合の避難訓練を推進することとしております。
     県といたしましては、今後とも国や市町とより緊密に連携しまして、治水対策の進捗管理と効果検証を行いながら当アクションプランの着実な進捗確保を図るとともに、地域防災力の向上に有効なソフト対策もあわせて推進し、流域全体で狩野川中流域の災害対策を強化してまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 公立学校における臨時講師の待遇についてお答えいたします。
     公立小中学校におきましては、産休者や育休者、特休者等の代替として臨時講師が任用され、学級担任や部活動の顧問、校内の各種分掌を担当するなど、臨時講師は学校運営上不可欠な存在となっております。
     議員御指摘のとおり、臨時講師の給与につきましては若年者におきましては正規の教員と同程度でありますが、経験年数がふえるに従いその差が広がるという状況にあります。なお静岡県の教員採用試験では年齢制限を設けていないため、子育てや配偶者の転勤等さまざまな理由で若くして退職した元教員が採用試験を再度受験し、過去五年間で二十四人が正規教員として採用されているという状況もございます。
     県教育委員会といたしましては、今後も経験豊かで優秀な教員の確保に努めるとともに、臨時講師の待遇につきましては、臨時講師の勤務実態の把握を行い、業務内容とそれに伴う責任の程度や勤務形態の正規教員との違い、さらには臨時講師の職務区分などについて、他県の状況も参考にしながら給料や手当なども含めて研究してまいります。
     次に、江川文庫に係る文化財公開のための環境整備についてであります。
     県民の歴史的、文化的遺産である文化財は、適切な管理保存を行うとともに積極的に公開、展示に努めることが大変重要であると考えております。
     県教育委員会におきましては、所有者である財団法人江川文庫からの依頼に基づき、平成十四年度から学識経験者による調査委員会を組織し資料調査を進めてまいりました。現在四万点を超える古文書のほか、書画、染織、典籍、工芸品、写真資料など、価値のある多様な資料が確認されており、来年度は十年にわたった調査を終了し調査結果を収録した資料目録を刊行する予定であります。
     この歴史的価値の高い資料を後世に伝え県民が活用できる環境づくりには、何よりも公開・活用機能を伴う新たな収蔵施設の整備が必要となるため、今後は文化庁、伊豆の国市とも連携しながら、江川文庫の支援に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(天野進吾君) 十九番 小野登志子君。
           (十九番 小野登志子君登壇)
    ○十九番(小野登志子君) 江川文庫の展開につきましては、知事から新たな切り口を提示していただき大変感動しました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。伊豆がバーデン・バーデンのような国際保養都市へ脱皮していくためには、ファルマバレープロジェクト、ほんとに必要です。お願いします。
     それから、道路なんですけれども、一言で伊豆とわかる愛称が必要です。伊豆の道路、いろんな名前がついています。川端康成の伊豆の踊子ライン、あるいは井上靖のしろばんばライン、ジオパークライン。二十五年供用開始。何かいいお名前をつけるために公募。知事どうぞ審査委員長よろしくお願いします。ありがとうございました。
    ○議長(天野進吾君) ただいまのは御要望でよろしいですね。
     小野議員、要望と解させていただきます。どうぞよろしくお願いします。
     これで小野登志子君の質問は終わりました。

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