本会議会議録
質問文書
令和2年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 森 竹治郎 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 12/10/2020 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 伊豆縦貫自動車道の建設促進について 2 伊豆半島の観光振興について 3 漁業と林業の連携について (1) 「森は海の恋人」の理念を踏まえた取組 (2) 森林の適正な管理と整備、沿岸漁業の経営環境の保全 4 水産漁業の振興について (1) 新型コロナウイルス禍における魚介類の販路拡大 (2) 新しい技術を活用した漁業資源の増殖 |
○議長(山田 誠君) 次に、六十番 森 竹治郎君。
(六十番 森 竹治郎君登壇 拍手)
○六十番(森 竹治郎君) 令和二年十二月定例県議会も私が最後の質問登壇者となりました。知事並びに副知事、関係部局長の皆様におかれましては簡潔にして明解な御答弁をお願い申し上げます。
それでは、通告順序に従いまして一括質問方式により質問をいたします。
まず最初に、伊豆縦貫自動車道の建設促進についてであります。
伊豆縦貫自動車道は、新東名や東名高速道路から伊豆半島南部の下田市までを結ぶ全長六十キロメーターの高規格幹線道路であります。日常生活や観光をはじめとする産業活動の交通手段を自動車に依存せざるを得ない伊豆地域において経済の好循環や台風、集中豪雨、震災などの災害時の救援活動の支援、そして救急搬送等の医療活動の支援など様々な効果を生み出す極めて重要な社会基盤であります。
今年の初めから、中国武漢発の新型コロナウイルスの影響により観光関連産業をはじめ伊豆地域は誠に大きな打撃を受けており、経済の回復に貢献する伊豆縦貫自動車道の建設促進はまさに焦眉の急を要する重要課題であります。
このような状況の中で、昨年度の伊豆縦貫自動車道路の建設予算は七十八億円という巨額のものでありました。そして本年令和二年度の当初予算につきまして昨年度の何と一・二倍、九十六億五千万円の破格の予算でありました。
このことは、永年にわたり伊豆縦貫自動車道建設促進期成同盟会会長として国土交通省や各方面に八面六臂の活躍を頂いております川勝知事や難波副知事、県当局の皆様が私たち地元関係者の先頭に立って要望活動を展開してくれている誠に大きな成果であると感謝しているところでもあります。私たちも引き続いて要望活動を続けてまいります。去る九月にも静岡県庁や沼津市の国土交通省沼津河川国道事務所に要望活動を行ったところであります。またさらに十月の下旬には岩井茂樹国土交通副大臣や中部地方整備局長をはじめ幹部の皆様を下田市にお招きし意見交換会や要望活動、そして現場の視察を行っていただいたところでもあります。副大臣や国交省幹部の皆様から丁寧な説明や対応を頂きまして、これまた感謝をしておるところであります。
そこで、伊豆市月ケ瀬から河津町梨本までの天城峠越えの区間であります。この区間は私たちが全国に誇る山紫水明の浄蓮の滝、昭和の森、そして河津七滝があります。国の内外の皆様にぜひとも観光に来ていただきたい場所でもあります。
現在、環境影響評価の方法書の次の段階である準備書を国が作成していると伺っております。この進の状況はいかがでしょうか、お伺いする次第であります。さらに準備書の完成後都市計画決定の手続を進めるとのことであります。今後事業化までにどれくらいの日時を要するのか、その見通しをお尋ねする次第であります。
次は、河津下田道路U期区間であります。仮称河津インターチェンジから仮称逆川インターチェンジの間で計画されておる全延長一・九キロメーターの長大トンネルも、下田側から掘削が一・四キロメートル完了し河津側からも作業が進んでいると伺っております。四つの橋梁も順調に進んでいると伺っております。
そこで、この河津インターチェンジから逆川インターチェンジの間の工事完了、そして供用開始はいつ頃となるのかその見通しをお聞かせください。あわせて下田北インターチェンジまでの河津下田道路U期区間六・八キロメーターの供用開始の見通しについてお聞かせください。
次は、河津下田道路T期区間五・七キロメーターであります。この区間には途中、伊豆急行の蓮台寺駅前に蓮台寺インターチェンジと伊豆急行下田駅近くの高台であり賀茂地域局や下田中学校の近くに敷根インターチェンジが予定されており、ここは将来の下田市まちづくりの拠点となる場所でもあります。
河津下田道路T期区間は、下田市民の私たちにとりまして日常の生活上でも非常に身近な区間でありますから勢い関心も高い区間であります。その後の用地取得の状況や工事に向けての作業の状況の見通しについてお尋ねをする次第であります。
次に、伊豆半島の観光振興についてお尋ねをいたします。
現在の伊豆半島は全国の観光地と全く同様に未曽有の危機に陥っております。平成三年の伊豆半島の宿泊客は千九百九十三万人でありましたが、その後失われた経済の二十年と言われましたとおり長い観光低迷が続き、あの東日本大震災により平成二十三年は九百八十三万人と激減してしまいました。その後令和元年までには少しずつ回復し一千七十七万人となりましたが、それでも平成三年の半分であります。
本年二月頃からは新型コロナウイルス禍が始まりました。静岡県の本年二月の宿泊者は前年対比八八・六%でした。三月は前年対比五四%、四月が二一%、五月は一八%、六月は三八%、七月四六%、八月は四八%、前年との比較は激減しておると言うことができます。それでも七月と八月の宿泊数では静岡県は全国よりも五%から八%も高い実績であり、これは静岡県がいち早く宿泊支援に乗り出した成果であると思います。
国のゴー・トゥー・トラベル、ゴー・トゥー・イート等の政策もあって九月以降少しずつ回復してきたところであります。十一月後半に第三の波が発生し再び観光不安が生じてまいりました。観光業者は、今年の春以降今日まで国の経済支援制度や県の金融支援制度によって厳しい経営環境を耐え忍んでまいりました。
そこで、ウイズコロナとアフターコロナの観光振興についてお伺いをいたします。
観光業者の皆さんは、家族や従業員の皆さんの生活がありますから仕事をやめてしまうわけにもいかず懸命に頑張るしかありません。現在の観光客の価値観は受入れ施設の衛生面や安心・安全な観光地であるのか等々にあります。県は感染防止対策指針を策定し宿泊施設などには戸別訪問まで行って安心・安全な観光地域づくりを推進し、本県への観光旅行の安心感を提供していると伺っております。今後も着実な取組を期待するところでもあります。
さらに、静岡県観光促進キャンペーン「今こそ!しずおか元気旅」の全国に向けた取組についてであります。厳しい経営環境にある観光業者からは、やはり静岡県の元気な観光誘客事業に大変大きな期待を寄せておるところでもあります。一昨年、昨年そして本年の春にわたって三か年継続したDCキャンペーンでは数多くの旅行商品を作り実行してくれました。このDCキャンペーンの観光施策、その成果これを危機に落ち込んだ観光業界に元気を取り戻し奮起を起こす取組として進めることが必要だと思います。
近年、県の観光施設整備事業が毎年十一億円の予算で執り行われております。市町などが行う観光施設の整備に対し助成するとともに県有観光施設の整備を行うものでありますが、アフターコロナを見据えてこれから進めていく必要があります。感染症の終息が見通せない中ではあります。美しい伊豆半島に元気を取り戻しウイズコロナ、アフターコロナの時代に合った観光を創出していくためには将来を見据えたハード・ソフトの両面からの的確な観光政策を展開していく必要があります。
ウイズコロナとアフターコロナにおける伊豆半島の観光振興を今後どのように進めていくのかお尋ねをいたします。
次に、漁業と林業の連携についてのうち、森は海の恋人の理念を踏まえた取組についてお尋ねをいたします。
その前に地球学について触れてみたいと思います。あの「はやぶさ2」のカプセルが見事に帰還をし、これからその内容が、中身が期待されるところでもあります。川勝知事は「日本の中の地球史」の中で「地球が誕生するまでには宏遠な歴史があります」と述べております。約百三十八億年前に時間、空間、重力のない無のような空のゆらぎからビッグバンとインフレーション――大膨張が起きて宇宙が誕生しました、膨張しながら冷えていく過程で星や星雲が生まれました、誕生したての原始地球は微惑星が衝突して岩石が溶けマグマのオーシャンで覆われた火の玉でした、そこに火星ほどの大きな原始惑星が衝突、原始地球は融解したまま飛び散り粉々になったものが再び合体をして地球と月に分かれました、そして地球は次第に冷えて大気中の水蒸気が雨となって降り注ぎ海ができマグマオーシャンの表面は冷却をし固定化してプレートとなりました、生命の誕生は三十八億年前と言われております、生物は地球の物質圏の中に独自の生物圏をつくり上げ人類は生物圏の一部として食物連鎖の中で生存し、我々の祖先であるホモサピエンスは三十万年前頃の誕生と言われております、ホモサピエンスは生物圏から出て人間圏を形成したと述べておられます。
また、知事は哲学書「ベルク『風土学』とは何か」の中で本県と関わりの深いフランス人地理学者であり哲学者であるオギュスタン・ベルク氏との対談で、悠久の歴史ある地球が人類の行動で病んできていると地球環境保全の大切さを語り合っております。さらにお二人の共通の友人である宮城県気仙沼市のカキ・ホタテ養殖業の漁師であり、京都大学教授にまでなった畠山重篤さんの「森は海の恋人」について語り合っております。
漁師である畠山さんは、一九七〇年代頃から海水の汚れや赤潮プランクトンの増加などでカキの育ちが悪くなったと感じ始めました。一九八四年にカキ養殖の盛んなフランスを視察されたそうであります。気づいたことは河口から上流に登ると広葉樹の大森林が広がっていたことでした。帰国後に地元の河川の上流を調べると、杉の植林地帯は手入れが行き届かず荒廃しダムの建設も予定されていたとのことであります。問題は海でなく人間が生活している山だと直感をし、仲間の漁師と植樹を始めました。その後は広葉樹の落ち葉が腐葉土となり山の保水力を高め鉄分が海に供給されることでカキの餌となるプランクトンを育むことが分かってまいりました。
畠山さんは植樹活動と並行して子供たちに自然環境の保全の大切さを教える毎日です。畠山さんはさらに、森と川と海のつながりを守り自然環境を大事にしていけば地域は高齢化し過疎化に見舞われても生活者として世代が続いていく、日本の過疎や一次産業の課題解決のモデルケースを示していきたいと述べられております。この考えと行動は国連のSDGs――持続可能な開発目標の考えや、東欧の詩人ゲオルグが、たとえ明日この地球が滅びるとも私は今日この手でリンゴの木を植えるとうたっております。いずれも地球環境の保全の大切さを訴えていることは共通であります。
また先日、未着工のリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区をめぐり県農業協同組合中央会青山会長や県森林組合連合会会長中谷多加二県議、そして県漁業協同組合連合会薮田国之会長が大井川の水量確保と水質の保全を求める要望書を知事に提出されたと伺っております。三団体の代表の皆様は、リニア工事による河川の水量の減少や水質の悪化が農林水産業の事業の継続に影響を及ぼすことを心配されております。県漁連の薮田会長は、川の肥沃な水が海に流れ海の魚介類が育まれている、この水を絶対にからしてはいけないと述べられております。全くそのとおりであります。
サクラエビ不漁の原因の可能性の一つとして富士川上流の汚染源が、知事の積極的行動や静岡新聞の報道特集で分かってまいりました。自然というのは宇宙の歴史が書かれている古文書にたとえられると言われております。あの信長が辞世に詠んだ、人間五十年下天のうちに比ぶれば夢幻の如くなりのように、人生は短く一回きりであるように宇宙も悠久の一回きりの歴史の流れの中にあると言われております。五十年とか八十年の短い人生の中で後世の皆さんのために、そして地球のために一人一人が今こそ地球環境問題を考え行動する必要があると思います。
知事は、地球学は宇宙の誕生から太陽系の誕生、地球システムの誕生、生物圏、人間圏の誕生に至る過程を歴史という観点から一貫して説明をする知的体系ですと述べられ、地球の大切さ、その中の生物圏や人間圏の大切なことを強く考えられている様子であります。この思想や哲学によって大井川の水量、南アルプスの自然環境の保全、そして富士川の汚染問題などに迷うことなく一貫して行動している政治姿勢には敬意を表する次第であります。
そこで、改めて知事に、森は海の恋人の理念と事業について県政の中でどのように考え、どのように取り組んでおられるのかをお尋ねいたす次第であります。
次に、漁業と林業の連携についてのうち、森林の適正な管理と整備、沿岸漁業の経営環境の保全についてであります。
近年、台風や集中豪雨のたびに港湾、漁港、海岸には河川からの大量の流木やごみが打ち寄せ、防波堤、船揚げ施設、船着場の施設や定置網、畜養施設、生けす等に大きな被害が発生いたしております。さらに加えて河口の漁港には土砂がたまり漁船の航行に支障が生じてしまいます。そこで漁業者の毎年の悩みや苦しみを少しでも軽減していただきたいと先般県漁連の薮田会長、信漁連の宮原会長をはじめ関係役員の皆様が知事、難波副知事、担当部局長の皆様に要望活動を行いました。
このことを考えますと、河川の中流や上流域での砂防や治山事業、林道整備、十二月定例県議会に提案されております森の力再生事業等を活発に推進するならば林業も大いに活性化されるものと思います。知事のお考えをお聞かせください。
次に、水産漁業の振興についてのうち、新型コロナウイルス禍における魚介類の販路拡大についてお尋ねをいたします。
春からの感染拡大に伴い、かつて水産王国として君臨した静岡の水産業でありますが漁獲から加工、流通に至るまで広範囲にわたって影響が生じております。イセエビやキンメダイ、これらも首都圏や観光地の需要減により単価が半値に落ち込むなど大きな打撃を受けました。
また、養殖業においても漁種によっては出荷量が通常の一割に落ち込むなど価格面での影響に加え、養殖場に魚が残ることにより追加で餌代が必要になったり搬入予定の稚魚を受け入れる場所が確保できなくなり需要減の影響が生産の隅々にまで及んでしまいました。第二波、第三波が発生しなかなか従前のような水産物需要の状況には回復していないのが現状であります。
一方、相対販売や外食での需要が減少する中で巣籠もりの需要によりインターネットの販売等の通信販売の分野においては大分人気ができてきておると伺っております。しかし規模の小さな事業者や個人で操業している漁業者にとってネット通販等はなかなかハードルが高く、支援が必要であると感じております。
県として、これらの状況の中で水産業への支援状況と今後の魚介類の販路拡大の支援の方針についてお伺いをする次第であります。
次に、新しい技術を活用した漁業資源の増殖についてお尋ねをいたします。
近年、キンメダイやアサリ、サクラエビ、スルメイカ、ゴマサバなど多くの魚種において水揚げ量や資源量の著しい減少が見られます。これは地球規模の気候の変動、海水温の上昇、黒潮の大蛇行などが原因と思われております。しばらくはこの漁場環境は好転しない可能性があります。国は資源回復に向けて、この十二月一日をもって改正漁業法を施行してくれました。静岡県においては新しい技術も活用をしながら資源の回復を図っていくことができないでしょうか。例えば最近では天然資源に依存しない完全養殖に向けた技術も開発されてきております。
県として、沿岸漁業への支援と併せ新しい技術も活用しながらどのように水産増殖にこれから取り組んでいくのかお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本議会のトリを飾るにふさわしい誠に力強く、かつ名調子の森竹治郎議員の質問を謹んで拝聴をいたしました。地元下田の、また伊豆への愛情があふれ、またそれがしっかりとした統計、エビデンスに基づいての御質問であり説得力のものであり、感じた次第でございます。さらにまた決して読みやすいとはいえない私の書物も拝読賜りまして誠に恐縮でございますと同時に感謝を申し上げる次第でございます。御理解頂きまして誠にありがとうございました。
まず、伊豆半島の観光振興についてお答えを申し上げます。
ノーベル賞作家の川端康成さんが「伊豆序説」において、伊豆は詩の国である、伊豆は日本の歴史の縮図である、伊豆は南海の贈物である、伊豆は海と山の風景の画廊である、伊豆はそれ自体として一つの公園であると言われました。私はこの伊豆序説を知る前にいろいろな機会に外国を訪れる機会があって、そうした中で伊豆半島を改めて見直して伊豆半島は世界で最も美しい半島であるという確信をもって今日に至っております。いまや伊豆半島は、ユネスコ世界ジオパークの認定も受けた美しい自然、歴史、文化、景観に恵まれたまさに世界に誇る観光地域であります。地域を支える観光産業の早期回復に向けて感染防止対策の徹底と経済活動の活性化の両立を図っていく必要があります。
このため、県では旅行者の皆様に安心して来訪していただけるように宿泊施設等が行う感染防止対策やその情報発信を支援するとともに、宿泊施設等の対策状況を県職員が直接確認する個別訪問を実施いたしました。その中で経営に関する不安の声を多数頂いたところであります。そこで希望する宿泊事業者に対し感染防止対策や経営に関する助言を行う専門家を派遣する事業を始めたところであります。今後も地域の皆様と協力しながら徹底した感染防止対策を行ってまいります。
また、六月からは県独自の観光促進キャンペーン「今こそ!しずおか元気旅」を感染状況を踏まえ対象地域を段階的に拡大しながら展開してまいりました。十月に実施した県内宿泊施設へのアンケートでは、伊豆地域の約五割の施設が十月の売上見込みが前年を上回ると回答するなど本キャンペーンが伊豆半島の観光需要の回復に効果を上げたものと考えております。
ウイズコロナ、アフターコロナの時代におきましては美しい自然環境や歴史的な古い町並みなど景観を生かした観光地域づくりが一層重要となります。それぞれの家や店はそれぞれ私的所有物でございますけれども、それは訪れる人にとっては公共財であります。そうしたことを意識したまちづくりが下田あるいは松崎で行われているのを、その地域の人々のレベルの高さというふうに敬服しているところでございます。周囲の景観と調和した質の高い観光施設の整備に市町と連携をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
また、DCキャンペーンの成果を踏まえた効果的な誘客に努めるなど旅行者の価値観の変化に対応し、アウトドアスポーツをはじめとした伊豆半島の豊かな自然を生かした開放感のある周遊型旅行商品の提供や新たな旅行形態として期待されている、いわゆるワーケーションを促進してまいります。
さらに、観光分野におけるデジタル化を進め、現在開発中の観光デジタル情報プラットフォームを活用し旅行者のニーズに即した伊豆地域の観光情報を効果的に発信することで県内外の観光需要を確実に取り込んでまいります。
引き続き地域の皆様と連携し、世界クラスの観光資源に恵まれた伊豆半島の美しい景観の中で多くの観光客をお迎えできるようハード・ソフトの両面から観光振興を図り、本県観光を牽引する伊豆半島の観光産業の早期回復と持続的な発展を実現してまいります。
次に、漁業と林業の連携についてのうち、森は海の恋人の理念を踏まえた取組についてであります。
古来、漁師の間では魚付林という言葉がございますように森と海とが深い結びつきにあることが経験的に知られております。森に雨が降り注ぎ陸上の物質が川などを通じて海に流れ出ることが海の生物の生産に影響していると言われております。
畠山重篤さんは、自らその何が海の栄養分を作るか独学で極められてあの「森は海の恋人」を書かれました。反転させれば、実は海は森の恋人でもあります。相思相愛の関係になるということでございますが、畠山重篤さんの「森は海の恋人」という著書は宮城県気仙沼での経験をつづったものですがこれは森と山を結ぶ川、この関係があるところ全てに成り立つ原理を発見しておられます。したがって県議が言われましたように大井川についても、また富士川についてもこれは妥当する見解ということでございます。その考え方は森と海のつながりを考える上で大変貴重なものです。
このため、本県の富士山や南アルプスから駿河湾に至る森から海におきましても同様のつながりがあると考えまして昨年七月、森林と海の生態系の関係を科学的に分析する「森は海の恋人」水の循環研究会を設置したところでございます。畠山さんには当研究会の初回に御出席を頂きまして、山と川と海の関係をきちんと形にすることは国土を形成する上で大変重要であり、日本の中心静岡からその取組を発信することは有意義であるという心強い御意見を頂きました。彼の発信力にも期待をしております。
この研究会には、県内外の大学や研究機関において森林、海洋、水質などを専門に研究をされている委員に加え顧問として山梨県立富士山世界遺産センターの所長である秋道智彌先生にも御参加頂いております。駿河湾とそこに水が流入する富士川等の流域をケーススタディーとして、現在陸から海への栄養分などの物質移動と海での生物の生産との関係を解明するためのシミュレーションモデルの構築に取り組んでいるところです。
来年度は、シミュレーションモデルを活用し森林など陸上の変化が海の生物の生産にどのように影響するかを分析するとともに、本県の豊かな環境を守り生態系の保全と持続可能な利用を図るための様々な施策につなげていく予定であります。環境、水産、森林、河川の関係部局が一体となりまして森は海の恋人の理念を具現化し、美しく豊かな静岡の海を後世に継承できるように取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
○交通基盤部長(長繩知行君) 伊豆縦貫自動車道の建設促進についてお答えいたします。
伊豆縦貫自動車道のうち天城峠を越える区間につきましては、現在国が環境影響評価準備書の作成を進めているところであります。本区間は延長が約二十キロメートルと長く、周辺には温泉やワサビ田、貴重な動植物の生息地などが存在することから地下水、景観、生態系など環境への影響評価を慎重に行っていると伺っております。県では準備書が完成次第、二年程度と見込まれる都市計画決定手続を速やかに進めるとともに早期の事業着手を国に働きかけてまいります。
河津下田道路U期区間につきましては、河津インターチェンジから逆川インターチェンジ間においてトンネルや橋梁などの工事が全面的に展開されており、河津川の深い谷をまたぐ高架橋では各所でコンクリート打設が本格化し目に見える形で工事が進しております。
逆川インターチェンジから下田北インターチェンジ間につきましては、用地取得率が昨年度末までに九八%に達し本年八月からはこの区間で初めての工事に着手されております。供用開始につきましては、整備効果が高く工事が先行している河津インターチェンジから逆川インターチェンジ間の早期の供用開始を期待しているところであります。
河津下田道路T期区間につきましては、用地取得率が昨年度末時点で二一%となり今年度も静岡県土地開発公社を活用して着実に取得が進められております。また工事に向けた準備につきましては橋梁一橋、トンネル二本の設計が完了をし、引き続き橋梁六橋とトンネル四本の設計が進められております。
県といたしましては、天城峠を越える区間の早期事業化と河津下田道路の事業推進に向けた様々な調整を国や関係市町と連携して進めるとともに、引き続き関係団体とも連携して伊豆縦貫自動車道の早期全線開通を国に強く働きかけ伊豆の発展と安全・安心に寄与する道路ネットワークの構築に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) 漁業と林業の連携についてのうち、森林の適正な管理と整備、沿岸漁業の経営環境の保全についてお答えいたします。
近年、台風や集中豪雨により森林における山腹の崩壊や渓岸の侵食等に起因して発生した流木などが漁港や漁場に滞留し漁業に被害を及ぼす一因となっておりますことから、これを防ぐためにも森林の適正な管理と森林整備の促進が重要であると認識しております。
このため、森林の適正な管理につきましては、県は治山や砂防事業により渓岸侵食の防止や山腹崩壊の復旧を行うとともに、流木の発生防止対策として渓流に堆積した倒木の除去や流木を捕捉する機能を有する治山ダムなどを施工しております。
また、森林整備の促進につきましては、林業経営体が行う利用間伐や低コスト主伐、再造林、さらにこれを進めるための林道や作業道の整備などを支援しております。加えまして手入れが行き届かず荒廃した森林は崩壊の危険性が高いことから、健全な森林へ再生するため引き続き県民の皆様にもりづくり県民税の御負担をお願いし森の力再生事業により整備を進めてまいります。
本事業の実施に当たりましては、間伐した木を放置せず現場で丸太柵などとして活用しております。また農林事務所ごとに県、市町、林業経営体などで構成する森の力再生調整会議におきまして漁港等に流木被害を及ぼす可能性の高い上流域の荒廃森林の情報を共有し、こうした地域の森林が優先的に整備されるよう働きかけてまいります。
県といたしましては、こうした取組により健全で豊かな森林づくりと林業の振興を図るとともに、沿岸漁業の経営環境の保全に努めてまいります。
次に、水産漁業の振興についてのうち、新型コロナウイルス禍における魚介類の販路拡大についてであります。
新型コロナウイルス感染症拡大による外食や観光産業における消費低迷に伴い、水産業界におきましてもキンメダイやイセエビ等の高級魚やマダイ等の養殖魚の需要が減少するなど大きな影響を受けております。
夏から秋にかけては、経済活動の再開に伴い高級魚や養殖魚を中心に需要の回復傾向が見られましたが、県内での感染の再拡大等により観光施設の集客が再び減少するなど影響の長期化が危惧されております。
こうした中、県ではまずは巣籠もり需要に対応するため五月八日からJA静岡経済連の通販サイトにおきまして県産農水産物や加工品の消費喚起に向けてバイ・シズオカ緊急企画を実施するとともに、水産イノベーション対策支援推進事業におきましてコロナ禍を乗り切るための販路の開拓や新商品開発等への支援を行ってまいりました。
また、飲食店等の営業自粛に伴い養殖魚のマダイやマアジ、ウナギ、ニジマスに滞留在庫が発生したことに対応するため、国の支援策を活用しながら県内四百八十一の小中学校などを対象に学校給食約六十万食の提供に取り組んでいるところであります。
今後の販路拡大に向けましては、従来の首都圏需要に加えて中部横断自動車道の開通を見据えた新たな地域経済圏の形成を図るため、まずは山梨県や長野県向けの鮮魚流通実験を実施しJAや民間企業等と連携した新たな需要先の確保に取り組んでまいります。
県といたしましては、外食や観光産業における消費の低迷が続く中、引き続き関係団体とも連携しながら水産関連業者が個人消費を取り込み新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えていけるよう支援してまいります。
次に、新しい技術を活用した漁業資源の増殖についてであります。
本県の沿岸漁業におきましては、近年キンメダイ、サクラエビをはじめ主要魚種で資源の減少が見られます。このような厳しい状況の中で県内の漁業経営体の九割以上が携わる沿岸漁業を持続的に発展させていくためには、IT等の新しい技術も活用しながら資源の管理、増殖の一層の推進を図っていくことが重要であると認識しております。
資源管理につきましては、従来から県水産・海洋技術研究所におきまして資源調査、評価等を実施し漁業者への情報提供や助言等を行ってきたところでありますが、さらに精度を高めるため近年ではIT技術等の活用を進めております。
例えば、サクラエビ漁業におきましては位置情報であるGPSデータと魚群探知機のデータを収集できる先端機器を導入しまして、陸上のサーバーに送信、分析することで資源量の推定が可能となるネットワークシステムの構築に取り組んでおります。
また、資源増殖につきましては、県内二か所でマダイやヒラメなどの放流用稚魚の生産に取り組み資源水準の維持に大きく貢献してきたところでありますが、魚病の発生等による種苗生産量の変動や消費者ニーズの変化等に伴う魚価の低迷が課題となっております。
このため、老朽化が進んでいる温水利用研究センター沼津分場の再整備に当たりましては、養殖ビジネスの展開など新産業の創出を目指すマリンオープンイノベーションプロジェクトとも連携して閉鎖型循環環境を備えた最先端の設備を導入することにより魚病の発生を抑制するとともに、新魚種生産技術の開発を進めてまいります。これにより市場ニーズの高いクエ等の魚種について完全養殖技術が確立され大量生産が可能になるものと期待しております。
県といたしましては、今後ともこうした新しい技術を活用し漁業資源の適切な管理はもとより積極的に増殖を推進することにより資源の回復に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) これで森竹治郎君の質問は終わりました。(拍手)
以上で質疑及び一般質問を終わります。
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