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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

藤曲 敬宏 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 住宅・建築物の地震対策について
2 県道熱海大仁線について
3 モバイルファーマシーの配備について
4 道徳教育における家族愛や命の尊さの取り扱いについて
5 平成二十九年度の組織の改編について
6 知事の発言について


○副議長(藪田宏行君) これで竹内良則君の質問は終わりました。
 次に、七番 藤曲敬宏君。
       (七番 藤曲敬宏君登壇 拍手)
○七番(藤曲敬宏君) 私は自民改革会議の所属議員として、通告に従い分割方式で知事、副知事、関係部局長並びに教育長に当面する県政の諸課題についてお伺いいたします。
 本日、昨日の先輩議員と一部重複する部分もありますが、あえて質問いたします。
 まず最初に、住宅・建築物の地震対策についてお伺いいたします。
 県では、平成十三年度から始まったプロジェクト「TOUKAI―0」事業において平成二十七年度末までに約二万戸の木造住宅の耐震補強工事に対して助成するなど積極的に住宅の耐震化を進めています。しかし県内にはいまだ耐震性が不足している住宅が約二十二万戸残っているとの推計もあり、静岡県耐震改修促進計画の目標である平成三十二年度末の耐震化率九五%を達成するためにさらなる耐震化に向けた取り組みが求められています。
 住宅の耐震化が県平均を下回り八〇%を切る私の地元の熱海市においては、さらに切実な課題であります。熱海市では昨年十一月にJRの駅舎改築とあわせて商業施設と駅ビルから周辺街路につながる歩行空間が整備され、熱海・伊豆の玄関口が生まれ変わり、誘客効果が期待されています。しかし市街地に目を移せば、昭和三十年から四十年代の耐震性が不足する住宅や建築物が多く建ち並ぶ現在の状況は癒やしを求めて訪れる観光客に安全や安心をお届けするにはほど遠く、万が一に向けて一刻も早い対応をしなければと危惧しています。
 さきの一月にはホテル・旅館などの大規模な建築物の耐震診断結果が公表され、県内三百一施設のうち一割以上の施設で耐震性が不足しているということを知りましたが、熱海を初め県内のホテル・旅館の多くは今回の公表を前向きに捉えており、安心・安全をつなぐくつろぎの空間を利用者へ提供したいとの思いから、公的補助制度の拡充もあり、ほとんどの対象建築物において耐震化に向けて動き出しているところと伺っております。
 私は、今回の公表が東日本大震災以来津波対策に向いたままの県民の関心を再び建築物の地震対策へ向けるきっかけになったとも感じています。この機を捉えて公表対象とならなかった建築物も同様に耐震化に向かうことが望ましく、地域全体で、ひいては県全体で災害に強いまちをつくるために耐震化に取り組んでいかなければならないと考えております。
 いつ起きても不思議ではない南海トラフ巨大地震、神奈川県西部地震等に備えて県民の生命や財産を守るため、住宅や建築物の地震対策をより一層加速していく必要があると考えますが、県の今後の取り組みについて伺います。
 続いて、県道熱海大仁線についてお伺いします。
 県道熱海大仁線は、伊豆東海岸を通る国道百三十五号の熱海市下多賀と伊豆半島中央部を通る国道百三十六号の伊豆の国市大仁を結ぶ重要路線としてこれまで整備が進められてきました。熱海市内では市道中張窪上土城線との交差点から伊豆の国市境までの二車線で改良が行われておりますが、市道との交差点から市街地へ向かう残りの部分につきましては道路拡幅工事を進める上でJR伊東線高架橋の高さ不足や住宅密集地において多くの土地買収を伴うなどの課題も多く、改良が進んでいない状況であります。この未改良区間は大変狭い住宅密集地の生活道路にもかかわらず、県道であることからカーナビによって誘導された多くの県外ナンバーの車両が通行し地元住民の安全が脅かされているというのが現状であります。
 そこで、県道の南側を並走する熱海市道は県道に比べ起伏も緩やかで幅員も広い区間が多いことから県道との振りかえが提案され、平成二十年度には熱海土木事務所において既存市道を県道に振りかえて進める道路ネットワークという改革案が県のひとり一改革運動の年間表彰でグランプリを受賞したと聞いております。その際に評価された点の一つが、振りかえによって二十億円超の経済削減と約十年間の工期短縮が図られるという試算でした。
 しかし、その当時から九年がたった現在、残念ながら市道と県道の振りかえは実現しておりません。昨年県は東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて夏季の伊豆半島における地域交通量の調査分析を実施しております。今後オリンピックに向けてより多くの来場者が来ることが想定され、首都圏からオリンピック会場や国道百三十六号方面へ向かう人々にとって間違いなく利便性のよさや渋滞の可能性の少なさなどから利用頻度が高まることが見込まれます。
 そこで、市道との振りかえ案の手続が現在どのような状況にあるのかお聞かせください。
 次に、モバイルファーマシーの配備についてお伺いします。
 全国的に地域包括ケアシステムの構築が推進される中にあって、今後重要になってくるものの一つが在宅医療のサポート体制です。こうした中、国は在宅患者への対応を含めた患者のための薬局ビジョンを公表し、かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能の一つとして在宅対応に積極的に関与することを掲げています。在宅医療においてチーム医療を遂行する上で、薬局の薬剤師には居宅訪問時に医薬品の効果や副作用を評価し医師や看護師等に発信する能力が必要であり、特に在宅のがん患者等には注射薬等の無菌調剤のための臨床手技の取得が求められます。
 今後、地域包括ケアシステムが進展してまいりますと注射剤の調整、服用困難薬への対応等、多様な在宅患者への調剤ニーズが求められてくることから、静岡県薬剤師会では在宅患者への調剤対応力を強化するため移動型調剤研修設備であるモバイルファーマシーを配備したいとの要望があると伺っていますが、県の対応について伺います。
 次に、道徳教育における家族愛や命のとうとさについての取り扱いについてお伺いします。
 近年、家族形態の多様化や地域社会とのつながりの希薄化など家庭を取り巻く環境が大きく変化し、放任や虐待、相対的貧困、ひきこもり、さらには親族間による殺傷事件など社会問題になる深刻なケースも年々増加しております。教育基本法十条第二項には「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」とあります。
 こうした中、静岡県では平成二十六年十月二十八日に子育てに不安を抱える親や孤立化する親、さまざまな問題を抱える家庭を社会全体で支えることを目的とした家庭教育支援条例が議員提案によって制定され、家庭教育支援員の養成や家庭教育支援サイトつながるネットの開設など徐々に支援体制が広がっております。このように社会全体の支援体制をつくるとともに、さらに必要となるのが学校教育現場における家族愛の大切さや命のとうとさを子供たちにきちんと教えることであると思います。教育基本法第二条第四項には「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと」とあります。小学校では平成三十年度、中学校では平成三十一年度から道徳の時間を特別の教科道徳に変更し、より力を入れていくこととしています。
 こうした観点から、小中学校の道徳を初めとした学校活動全体の中で、家族愛や命のとうとさについてどのような指導や取り組みがされているのかお聞きします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 藤曲議員にお答えいたします。
 住宅・建築物の地震対策についてであります。
 本県では、昨年四月、静岡県耐震改修促進計画を改定し、平成三十二年度末の耐震化率九五%の目標を達成するため今年度より耐震化の進まない高齢者世帯に対し無料で補強計画を策定する専門家の派遣やさまざまな課題に応える住宅相談員を派遣する事業に取り組んでおります。
 また、昨年四月の熊本地震において旧耐震基準の住宅・建築物が大きな被害を受けたことを踏まえまして木造住宅の耐震補強をさらに促進するため九月補正予算で助成制度を拡充し、県と市町合わせて最大三十万円とする追加助成を行うことといたしました。受け付けを開始した本年一月の補助件数は追加助成制度創設前の昨年同月比で八倍、三百二十八件となり、年間ベースでは昨年度を上回る見込みとなっております。
 ホテル・旅館など一定規模以上の建築物への耐震化支援につきましては、県制度融資における融資限度額を一億円から十億円に拡大、融資期間を十年から十五年に、据置期間を一年から五年に延長いたしますとともに、長期にわたる耐震改修工事における従業員の休業手当を貸し付けの対象といたしました。ことし一月には大規模建築物三百一棟の耐震診断結果を公表したところでありますが、この融資制度を活用して早期に建てかえや耐震補強に取り組むよう市町や業界団体、金融機関とともに働きかけを強めてまいります。
 来年度当初予算におきましては、耐震性が不足している住宅・建築物の建てかえ、住みかえを促進するため、あわせて実施する解体工事への助成制度を追加いたします。また耐震化にちゅうちょする高齢者世帯に対しましては、命を守る安全な空間を確保するために新たに寝室など家屋の一部の耐震補強工事にも助成制度を創設するなど住宅・建築物の地震対策を総合的に推進してまいります。
 さらに、東海地震説の発表以降建築基準法の想定を上回る地震に対しまして安全な構造とするため、全国に先駆け昭和五十九年に法で規定する耐震強度の一・二倍を求める独自の基準――静岡県地震地域係数を定めこれを順守するよう指導してまいりましたが、新築建築物の耐震性を確実に強化するためこれを義務化することといたしました。本議会に建築基準条例の一部改正案をお諮りしているところであります。
 県といたしましては、市町、建築関係団体等と連携をいたしまして、県民の皆様の生命と財産を守るためこれまで以上に住宅・建築物の地震対策を強力に進めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 県道熱海大仁線についてお答えいたします。
 県道熱海大仁線は伊豆半島の東海岸と内陸部を結ぶ重要な幹線道路であることから、県では改良工事を進めてきたところであります。
 このうち熱海市内では、延長五・五キロメートルのうち残り二キロメートルの市街地部については幅員が狭隘で沿道に人家が連担しており、用地取得が難航したことなどから拡幅工事が進まない状況にありました。そこで幅員が広い熱海市道を並行する県道と振りかえ、そこに通過車両を誘導するほうがより早期に事業効果を発現し地域住民の皆様と来訪者の双方にとって利用しやすい道路になると考え、平成二十年度から熱海市と具体化に向けた協議を進めてまいりました。
 振りかえを実現するため、県においては用地買収箇所の拡幅工事を実施し、市においては市道の台帳整備などを行ってまいりました。この間地元関係者などに対する説明会を実施し理解を求めてきたところ、昨年末に調整が完了し今年度内に熱海市と振りかえに向けた諸条件を定めた覚書を取り交わす運びとなりました。
 県といたしましては、来年度末の振りかえ完了を目途に県道の補修工事や道路区域の変更などの事務手続を進めてまいります。振りかえ後は確実に交通誘導できるよう案内標識の整備やカーナビ業者等への働きかけを行うとともに、必要に応じて改良を実施するなど安全で快適な交通の確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) モバイルファーマシーの配備についてお答えいたします。
 地域包括ケアシステムの構築を推進するためには、地域における医療と介護の連携を強化するとともに在宅医療の充実が重要となってきております。
 県では、在宅医療の充実には地域の医師、訪問看護師及び薬局薬剤師等の医療関係者の連携が不可欠であることから、各地域で多職種による在宅医療のサポート体制の強化に取り組んでおります。在宅医療における薬物療法の分野ではかかりつけ薬局の薬剤師が在宅患者の服薬情報を把握し、継続した服薬指導に加え、がん患者の疼痛管理に使用する注射薬等の無菌調剤などのより高度な技術にも対応することが求められております。
 このため県では、来年度県薬剤師会が行う移動型調剤研修設備であるモバイルファーマシーの配備を支援することにより、薬局薬剤師が無菌調剤等の技術の習得を進め在宅医療における薬物療法に積極的に関与し、在宅医療対応の強化に取り組むこととしております。今議会に配備に係る経費についてお諮りしているところであります。
 県といたしましては、今後も県薬剤師会など関係機関とも密接に連携をとりながら県内各地域でモバイルファーマシーを活用した調剤対応力を強化する研修などを行い、地域の薬局や薬剤師が多様な在宅患者の調剤需要に対応できる地域包括ケアシステムの構築に努め、「生まれてよし 老いてよし」のふじのくにの実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 道徳教育における家族愛や命のとうとさの取り扱いについてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、道徳教育において家族愛や命のとうとさについて学ぶことは子供たちの成長にとって大変重要なことです。本県の小中学生は全国学力学習状況調査の結果によると家庭で学校の出来事について話したり地域の行事に積極的に参加したりする割合が全国平均よりも高く、家庭や地域の方々の温かい支援のもと豊かな道徳教育を行う素地があることがうかがえます。道徳教育は人が一生を通じて追及すべき人格形成の根幹にかかわるものであり、家族愛や命のとうとさはその根源ともいうべき普遍的な価値であると考えております。
 小学校高学年では、震災を経験した中学生の論文などからかけがえのない命や家族の大切さを考える授業を通してその道徳的価値を学び、日常での実践意欲につなげております。小学校低学年で実施されている生活科の授業やあるいは総合的な学習の時間等において自分自身の生活をふり返る活動を通して周囲の人々とのかかわり方や家族の役割等を理解し、よりよく生活するための能力を培う取り組みが行われております。なお実践に際しましては児童生徒の多様な家庭環境を十分に把握し、個に応じたきめ細かな指導が行われるよう留意しております。
 県教育委員会といたしましては、引き続き家庭・地域と密接な連携を図りながら学校における指導を充実させ、子供たち一人一人の健やかな成長につなげるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 藤曲敬宏君。
       (七番 藤曲敬宏君登壇)
○七番(藤曲敬宏君) 答弁をいただきました。
 それでは要望を三点いたします。
 まず最初に、住宅・建築物の地震対策についてです。
 これは伊豆半島の中小の旅館・ホテルの観光業の方々の声として聞いてください。
 一月に耐震診断結果公表が行われました。今のところ大きな影響もなく、大変大勢のお客様が今までと変わりなく来られているという中であって、今後耐震補強工事等を行うのに当たり公的支援制度はあるものの巨額の耐震工事費用に加えて耐震工事に伴い営業を一旦停止しなければいけない。さらにその際従業員に対する休業補償もしなければなりません。現状では耐震診断結果公表の伴う風評被害によって事業活動が縮小されたと確認された場合には雇用調整助成金の対象となりますけれども、一方耐震工事期間中の従業員の休業手当はこの雇用調整助成金の対象にならないということになっております。この耐震化に向けたハードルの一つとなっています。これは厚労省の支援要件なんですけども、この緩和の働きかけ、ぜひとも県として積極的に取り組んでいただきたいと要望します。
 次に、モバイルファーマシーの配備についての要望です。
 このモバイルファーマシーとは、キャンピングカーを改造し薬局機能を備えた機動力のある災害対策医療品供給車両でもあります。ポータブル発電機、ソーラー発電機、水タンク、災害無線、保冷庫等を搭載しています。これは災害時においては臨時調剤所としても電力や水の途絶えた被災地で自立的に調剤作業と医薬品の供給に対応できる機能も有することから既に全国で六つの県では導入されており、実際にさきの熊本大地震では大分、和歌山、広島の薬剤師会のモバイルファーマシーが被災した薬局にかわり不自由な避難生活を送る被災者らを支えたという実績もあります。
 防災先進国の静岡県としては、通常のこの在宅医療の支援にあわせてこの発災時のときの想定もぜひ考えて配備に支援をしていただきたいというふうに思います。
 次に、道徳教育における家族愛や命のとうとさの取り扱いについての要望です。
 父親と母親の愛情のもとに自分自身がこの世に生を受けたという自然の摂理を理解して、その命のとうとさを実感することが自分や他人を大切にする価値観へとつながっていく。そしてそれが結果的にいじめであるとか虐待であるとか自殺、そういったものの防止につながるものだと思います。最近では原発避難いじめが社会問題となりましたが、これまで以上に家族愛や命のとうとさについて子供と一緒に考える道徳教育の必要性は高まっていくものと考えます。ぜひ教員相互の情報交換も含め、特別教科となる道徳について静岡県がモデルケースとなりますように前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。
 一方で、最近急激にいわゆるLGBTと呼ばれる性的マイノリティーに対する人権教育が全国的に義務教育の現場でも広がりを見せております。中には中学校に性的マイノリティーの当事者を呼び講演をしてもらうケースもあります。性の多様性に触れることは性的少数者に対する偏見をなくし理解を深めるために必要です。
 一方、恋愛感情や体の変化が起こり得る思春期の前後においてはその価値観を受けとめ切れず、私は男性と女性とどちらを好きなんだろうと混乱してしまう生徒さんがいるそうです。過去に義務教育の現場で過度なジェンダーフリーの推進が問題になったように、まず義務教育においては基本的に押さえるべきものは社会一般の概念であり、その延長線上に多様性の受容があるのではないかと思います。さまざまな意見があるのも承知していますが、学校現場におきましては慎重に取り組んでいただきますよう重ねて要望いたします。
 それでは、次の質問に行きます。
 平成二十九年度組織改正についてです。
 二十九年度から、これまでの知事直轄組織に知事公室を廃止し知事戦略局が設置され、総合計画課を新たに加え政策調整にかかわる企画立案機能を知事直轄組織に集約すると発表されました。これに伴い政策企画部を廃止し、一部が経営管理部に統合されるということであります。
 この組織改編の理由として、簡潔で能率的な組織体制の確立と表現し、県政の重要課題に対し迅速かつ的確に対応できるとの説明がありましたが、県政における重要施策が知事戦略室に一局集中することで知事の意向がストレートに反映する一方、知事が直接関与することにより多様で自由な職員の意見が出にくい体制となりトップダウンのみの硬直化した組織になり得る懸念があります。
 昨年十二月に県議会として研修を受けた静岡大学の舘岡康雄教授は、トップダウン型マネジメントが強く働く職場では上司と部下、先輩と後輩のコミュニケーションがさせる、させられる関係に陥りがちであり、させる側の命令で仕事をさせられる側は主体性や能力を発揮するモチベーションを失うことや機会を奪われることがある。このさせる、させられるの関係を打開し役職の上下を問わず一緒に働く人同士が支え合い、お互いを生かし合える関係づくりをしていくSHIEN学として提唱しています。
 今回の知事直轄組織への総合計画課の設置は、知事戦略課と合わせ企画立案機能の集約であり、明らかにトップダウン型の強化と捉えざるを得ません。来年度は次期総合計画を策定するタイミングであり、県民の未来の姿を描くためには県職員の全知全能を使い策定する必要があります。トップダウン型では発想が狭く独善的になる可能性が高まります。
 また、知事直轄組織に権限が集中し過ぎますと内部牽制が働かなくなるとの懸念も生じ、庁内組織からも議会からも遠ざかっていくと危惧されます。そうならないためにも双方向の関係である横のつながりのある組織、相手の力をどれだけ引き出せるのか、そして自分のよさも引き出してもらえるという、互いにSHIENし合える組織こそが今の静岡県に必要ではないでしょうか。
 これらを踏まえて、知事にとって知事直轄組織とはいかなる位置づけでどのような機能を担わせるのか、そのお考えを伺います。また政策決定に当たりトップダウンばかりが強化され風通しの非常に悪い閉鎖的な組織とならないのかという懸念に対して、知事の考えをお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 平成二十九年度の組織の改編についてお答えいたします。
 平成二十八年度当初の組織改編におきましては、社会経済情勢の刻々と変化する中で新たな行政需要や重要課題に的確かつ迅速に対応する必要がありましたことから秘書、広聴広報に加えまして、知事のリーダーシップのもと政策を迅速に検討立案し各部局に適切な指示をする知事公室、地域外交の進展に伴い生じる部局横断的な課題に対し柔軟で機動的な対応を図る地域外交局の二つの組織を知事直轄組織として設置いたしました。また知事戦略監と地域外交監をそれぞれの総合調整役として各部局長を総括する立場に位置づけたところでございます。
 この組織改編の成果として、地域外交分野では県産品の輸出拡大や観光、教育の交流拡大を通じた通商の推進などを目指す通商推進プロジェクトチームが関係部局との連携のもとに設置され、重要国や分野ごとの課題に応じた具体的な目標を設定し全庁を挙げてさまざまな取り組みを積極的に進めております。また平成二十九年度の県政方針を検討する戦略展開、平成二十九年度当初予算などにおいて新たな政策決定システムである政策調整会議や知事戦略会議を活用して施策の方向性等を議論し、迅速な政策決定を図ったところでございます。
 平成二十九年度は、後期アクションプランの最終年度としてこれを総仕上げした上で、今後の県政運営の基本方針となる新たな総合計画の策定に向けてスタートする年となります。そのためにはトップダウン型でスピード感を持って取り組む必要がありますことから、経営管理部と政策企画部の統合とあわせて全庁的な企画立案機能を担っている現在の知事公室の知事戦略課と政策企画部の企画課及び地域計画を知事直轄組織に一元化し、知事公室を知事戦略局に改めることといたしました。新たな総合計画の策定に向けましては知事戦略局で政策の大きな方向づけをした上で、各部局においてこれを実現するための施策を検討し肉づけをするなど十分な議論を重ね、オール県庁体制で進めてまいります。
 今後も、変動する時代のニーズを的確に捉え、現場の声を取り入れながら不断の検証を重ねながら簡素で能率的な組織づくりに努めることで、県民サービスの向上を図ってまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 藤曲敬宏君。
       (七番 藤曲敬宏君登壇)
○七番(藤曲敬宏君) それでは再質問します。
 四月から始まるということですので、ここでは今、硬直化しない組織というものをぜひつくっていただきたいということで懸念を伝えときます。ぜひ検証しながら一年後にはどういう形になるのか、ぜひ教えてほしいと思います。
 それから、先ほど質問の中でお話ししたこのSHIEN学という形があります。これは既にこの県内の自治体や企業でも研修等で導入してると聞いています。日本一働きやすい県庁を目指すと、経営管理部長がお話がありました。日産自動車の奇跡のV字回復の基となったこの二十一世紀のビジネスモデルがこのSHIEN学だと言われています。ぜひ前向きに検討すべきだと思いますがいかがでしょうか。その辺について部長のお考えをお聞かせください。
○副議長(藪田宏行君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 平成二十九年度の組織の改編についての再質問にお答えいたします。
 SHIEN学の考え方を取り入れた県政運営を図ったかということでございますが、私もこのSHIEN学の内容を読ませていただきまして大変参考になるものだと思っております。
 特に、若手の職員のやりがいであるとか能力を最大限に発揮するような組織づくりをしていくという視点につきましては大変参考になったと思っております。舘岡先生が提唱されているSHIEN学は御紹介がありましたとおり、もともと日産自動車の人事部に舘岡先生がいらっしゃっていわゆる債務超過に陥っていたような日産自動車をV字回復にもたらしたという背景も持っております。その中では最近社長職は退任されましたけれども、カリスマ的な経営者であるカルロス・ゴーンのもとに日産の再生を図られたということでございます。そのときの視点というのは若手の能力は最大限発揮するということと縦割り組織、いろんな組織が硬直化して結果としてはそれぞれ機能していなかったというような欠点があったと思います。
 我々もいろんな部がありまして実は縦割りに陥りがちなところもございます。そういった部分につきましては、横串を通すようなやり方をして、それを担っているのが例えば知事戦略監であったとか地域外交監であるかと思いますので、今後もこういったことにつきまして不断の見直しを進めながら、県民の幸福度の最大化に向けましてしっかりとした組織づくりをしてまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(藪田宏行君) 藤曲敬宏君。
       (七番 藤曲敬宏君登壇)
○七番(藤曲敬宏君) それでは続いて次の質問に移ります。
 知事の発言について、二〇一四年一月十四日、小学校六年生の国語Aの成績が最下位だった際に当時の教育長に対して、このまま続けていくのは困難だと思うと発言し、教育長に対する辞任勧告は当時越権行為であると問題になりました。
 二〇一六年十二月十九日の県・政令指定都市サミットの中で、静岡市は政令指定都市として失敗事例だ、また二〇一四年九月二十四日の定例会見の席上、静岡市議会はちまたの話だと三悪党、四悪党が牛耳っていてどうにもこうにも前に進まない伏魔殿だを初め、これまで県都構想や病院移転問題に絡み静岡市及び静岡市長、静岡市議会に対し侮辱的発言や過度な干渉を繰り返しています。
 先ほど竹内議員からあったように、二〇一七年一月の五日には浜松の商工会議所賀詞交歓会の席上、野球場問題についての話もありました。また第一テレビの新春対談での正月の大学生の対談の議会に対する発言もありました。これまでの川勝知事の問題発言と、これほんの一部ですけれどもいずれもそのたびに知事の発言が物議を呼び、抗議を受けているにもかかわらず発言の訂正や謝罪は一切ないため国との関係を初め県内の市町の首長、さらには二元代表制の県議会との関係は冷え切っており、これまで静岡の歴代知事が各方面と築いてきた信頼関係を失わせ根深い対立の構図を生み出しています。
 このような関係性が県政運営さらには静岡県と静岡県民にとって決してよい影響を及ぼすとは考えられません。対立の構図をみずからもたらしたこれまでの一連の発言が及ぼす影響について、県政に不利益が生じたとの認識があるのかどうかお聞きします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) お答えいたします。
 物議というふうに言われました。物議というのをマイナスのイメージで御発言なさったように思いますが物議というのは世間の人々の議論のことです。物議を醸すとは世間の人々の間に議論を引き起こすというように広辞苑には書かれておりますから、これ自体は中立的なものであります。
 来年、明治百五十年を迎えますけれども、ふり返りますと明治時代に日本が自由主義貿易体制の中でイギリスに抗して明治期に産業革命を起こした理由につきまして、マルクス主義的な価値論では説明ができないということで当時の通説を批判いたしまして物議を醸しました。私です。
 それからまた、江戸時代は鎖国というふうに学校の教科書に書かれてますけれども、これはドイツ人が言ったことでそれをオランダ語から抄訳されたものを江戸時代の末に翻訳語として入ったと。江戸時代の方たちは対外的な関係を通信と通商という言葉で捉えており、かつ国際秩序としては中国主導の華夷秩序の中にあったと言いましたところ、何とこのほどの学校の学習指導要領の中から鎖国という言葉が排除されました。鎖国再考という題名をもって日本文明と近代西洋という本を書きましたのも三十年近く前でありますが、これもその当時は大いに物議を醸したものであります。
 さらにまた、鎖国というのはおくれたイメージがあったわけでありますけれどもそうではないと、日本の鎖国は欧米に出てくる資本主義的な経済体制に匹敵するもので、近代の資本主義というのはイスラム圏から自立して出てくると、日本の資本主義はアジア地域間の競争に勝って出てきたものであるというふうに言いましてこれも大いなる物議を醸しました。しかしながらこのたびそれを論じた一つ、「文明の海洋史観」が文庫になりまして、今や古典の一つというふうに評価を受けるまでになっております。
 物議というのを別の言葉で言えば、この藤曲議員も私学の雄専修大学で社会科学を勉強せられたということですから、社会科学の必読文献の一つ「文明論之概略」をお読みになったことと存じますが、そこに自由の気風は多事争論の中にあり、あの有名な言葉は御存じでしょう。多くの事柄を争い議論すると、これがない限り自由はないということであります。
 明治十八年に、中国、朝鮮は悪友であると、悪友と交流するものは悪名を免れないので中国、朝鮮との交流を断つべしと、脱亜論と題して彼はそれをみずからの主宰する新聞に出したわけです。これも大いなる物議を醸しました。しかしながらその物議を醸した福沢諭吉翁を日本政府は一万円札という最高額紙幣に刷りまして世界に通用させているではありませんか。
 したがいまして、私は身に私を構えない。社会科学や自然科学の場合ですと実証であるとか文献の新しい解釈であるとか、自然科学でありますと実験であるとかこうしたものを通して、そして従来の理解を批判し乗り越えていくということが不可欠であります。こうした観点でいいますと我々は行政職として公人でございますから身に私を構えない。そしてうそ偽りを言わない。上にへつらわない。下に威張らない。こうした態度を持している限りにおきまして、公益のためになると信ずることは言うべきであるというふうに存じます。
 私の発言の一部を捉えられまして全体の脈略なしに言われました。もとよりこれらの発言は藤曲議員だけではなくて今回たまたま何とか先生というふうに言われましたが、先輩議員の恐らく御指示によりましてお一人ずつ割り当てられて川勝を中傷すると。なかなか大変なことでございますが、そうしたことから自立をして堂々と物議を醸すような議論を、県民のためになるような議論をここで期待したいというふうに思っております。若干物議を醸したほどの議論だったかなとは思いますが、私は何の痛痒も感じませんでした。以上でございます。ありがとうございました。
○副議長(藪田宏行君) 藤曲敬宏君。
       (七番 藤曲敬宏君登壇)
○七番(藤曲敬宏君) 物議、論議それ自体を悪いとは言いません。その根底にあるどういう心情でその言葉が出てきたかということが重要だということで、今回いろいろな知事の発言を読み返す中にそれを感じたのでちょっとそれを意見と要望として話させていただきます。
 企業において、最近ブランドイメージが重要視されています。静岡県のイメージは何でしょうか。知事は多分、富士山を初めとして世界クラスの資源群が豊富であると、ジャパニーズドリームの体現と言われるかもしれません。県民の静岡県政に対するイメージは昨日の山田議員にもありましたけれども、この静岡市長と知事の対立、子供のけんかに例えてうんざりする、いつまで続くのか、静岡県民として恥ずかしい、本当に私たちも多くの声を聞いています。そしてさらには川勝さんどうしちゃったのと、言いたい放題だね、そんな声さえ聞こえてきます。これが知事には直接届かない素直な県民の意見です。間違いなく県民は不快感を持って知事のさまざまな場面での問題発言を受けとめています。同様に静岡県のブランドイメージも知事の発言によってマイナスに働いている。不利益を生じているというふうに私は考えております。
 知事と県議会は二元代表制であり、市町と県との関係は地方分権による権限移譲によって対等な関係を目指しています。しかし一方で知事は県民三百七十万人のトップ、指導者でありますと同時に知事の言うところの有徳の人でなければなりません。その徳の中には仁義礼智信、五徳ありますけども最も大切なのは当然、仁であります。しかし残念ながらこの仁、現在の言葉で言えば父母の愛とか親の愛情ではないかと思いますけども、この仁がいろんな発言を聞いてきて決定的に知事には欠けているんではないかと言わざるを得ません。
 要は、親の心情を持って接すれば市町の首長や議会人に対してさまざまな場面であのような発言は出てこないのではないでしょうか。どんなにできが悪い子供でも親は腐ってるとは言いません。昨日も静岡市長と関係を問われて来る者は拒まずと答えていましたけども、有徳の人ならばみずから手を差し伸べる行為に出るはずです。
 知事は、二期目の当選後のインタビューで富士山のような包容力を持ってやっていくとも答えています。現実的には強いリーダーシップを発揮する半面、自分に従わないものに対する厳しい対応は年々増しているのではないでしょうか。
 つい先日、二十四日の本会議の際、知事答弁の際に私が一言口を挟みました。すると着席後にすごい形相でにらみつけられました。正直寒けがしました。少子高齢化、若者の流出等、今静岡は大変深刻な課題を抱えています。一方で将来に向けてラグビーのワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック、自転車競技の開催の目の前であって無用な摩擦や争いの絶えない県政運営をやめて、静岡復活を目指してオール静岡で何事にも取り組んでいくべき時期だと思います。
 復活のよき見本が熱海にあります。熱海は十数年ぶりに二年連続で宿泊者数が三百万人を超えて、社会増減においても昨年百六十六人の転入増でこれは県内で一位になりました。これは行政、各種団体、市民が融和的な関係を持って一つになって取り組んでいる成果です。
 融和なきところ、仁なきところに人は集まってきません。自然の道理です。父母の心情しもべの体と言います。川勝知事におかれましては、三百七十万人県民のために有徳の人、リーダーたる資質を備えていただきますよう、僭越ながら御助言申し上げまして私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(藪田宏行君) これで藤曲敬宏君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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