本会議会議録

質問文書

平成28年６月静岡県議会定例会 質問

質問者：
髙田　泰久 議員

質問分類
一般質問

質問日：
06/30/2016

会派名：
ふじのくに県民クラブ

質疑・質問事項：
　　　　　　　
１　知事の現場主義について
２　跨道橋及び跨線橋の耐震対策について
３　地球温暖化対策とエネルギー対策について
　(1)　地球温暖化対策の推進
　(2)　エネルギーの地産地消の促進
４　障害のある方への在宅支援について
５　県東部地域における工業用地の造成について

○議長（鈴木洋佑君）　ただいまから会議を再開します。
　質疑及び一般質問を続けます。
　通告により、三十五番　髙田泰久君。
　　　　　　　（三十五番　髙田泰久君登壇　拍手）
○三十五番（髙田泰久君）　六月定例会も質問最終日となりました。あと二人ということで議員の皆さんも大分お疲れだと思いますけども、ぜひ御清聴をお願いをいたします。
　それでは、ふじのくに県民クラブ所属議員として知事の政治姿勢並びに県政の諸課題について、通告に基づき分割方式で質問をいたします。
　初めに、知事の現場主義について伺います。
　知事は、平成二十一年の就任以来みずから県下全ての市町に出向き地域住民と意見交換を行いそれを県政に反映させる知事広聴「平太さんと語ろう」を、また平成二十三年度からは執務室である知事室を地域に移し各分野の関係者との意見交換や重点的な取り組みに関する現場視察などの移動知事室を実施しておられます。
　去る六月六日から七日にかけては今年度初めての移動知事室が実施され、私の地元である長泉町、清水町において航空機の部品を手がける先端企業の視察や子育て支援団体のリーダーとの話し合いが持たれました。またさまざまな分野で活躍されている方との意見交換を行う知事公聴も開催をされ、多くの町民が傍聴をされました。長泉ママラッチや親子コミュニティ「なごみカフェ」などの子育て支援団体のリーダーとの話し合いは、孤独な子育てがきっかけで団体を設立されたお母さん方が積極的に情報を発信し、また母親同士のコミュニティーづくりを通じて地域の子育て環境のさらなる向上を目指そうとする熱い思いを感じました。また知事広聴では限られた時間の中で発言者の皆さんがみずからの活動を熱く語る姿に感銘を受けました。やはり現場の声を直接伺う機会というのはとても重要であると改めて認識したところであります。
　今回のような知事広聴会や視察等を通じて地域住民の意見を聞きそれを県政に反映させていくことは、知事の政治姿勢の原点とも言うべき現場主義にほかなりません。
　そのためには、知事広聴の発言者や移動知事室の視察先の選定が重要なポイントとなると考えております。既に各地域で話題となっている方のみでなく、人目につきにくい分野で地道に活動をしている方々の意見を伺うことも川勝知事の富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに生かされることと思います。
　そこで、こうしたことを踏まえ、さまざまな分野の幅広い県民の意見や要望をどのように把握し県政に生かされていくのか、知事の所見をお伺いをいたします。
　次に、跨道橋及び跨線橋の耐震対策について伺います。
　本年四月に発生した熊本地震では、相次いで起きた強い揺れにより住宅や公共施設を初め道路施設にも多くの被害が発生し、熊本県内の交通網も寸断され人命救助や早期の避難活動支援の妨げとなるなど住民生活に大きな影響が出ました。
　中でも、十六日の本震による九州自動車道をまたぐ県道の府領第一橋の落橋は、十四日の前震により通行どめになっていたことから大惨事は避けられたものの九州自動車道が長期間にわたり機能不全に陥りました。府領第一橋は、阪神・淡路大震災を教訓として落橋防止装置を設置してありましたが、橋桁を橋台と二基のロッキング橋脚で支える特殊な構造であったことから大きな地震力の作用により橋脚の支柱が外れたことが落橋の原因と推測されるとの報道がありました。
　そのため、同じ構造を持つ橋梁が県内の高速道路の上にあるのであれば早急に対策を実施する必要があります。南海トラフ巨大地震の発生が想定される本県において、復旧・復興活動に欠かせない緊急輸送路の中でも最も重要な役割を担う東名、新東名高速道路をまたぐ橋梁や大惨事につながる可能性の高いＪＲ東海道本線、東海道新幹線をまたぐ橋梁が数多くありますが、これら跨道橋、跨線橋の落橋は何としても避けなければなりません。
　そこで、緊急輸送路をまたぐ跨道橋及び跨線橋の耐震対策について、県及び県内市町のこれまでの取り組みと今後の対応についてお伺いをいたします。以上について答弁を求めます。
○議長（鈴木洋佑君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　髙田泰久議員にお答えいたします。
　私の現場主義についてであります。
　私は、知事就任以来富国有徳の理想郷の実現に向け柔軟な対応とスピード感を持って県政運営に全力を傾注してまいりました。県政に対する県民ニーズとその解決方法は時々刻々と変化する現場にありますことから、現場に赴き現場の声を直接伺い現場に即した政策を機動的に展開するという現場主義を政治姿勢として実践しております。
　思えば丸七年たちまして、二千回を超えるそれぞれの三十市町全てでありますけれども赴くという数字が出ております。また広聴会も全市町で行いまして二カ月に一回という割合で四十六回を数えたということでございます。
　しかし、こうしたこの現場重視というのが私一人であれば全く力になりませんのでそれぞれの部局が共有することがとても大切であります。交通基盤部であるとか危機管理部というのはその仕事の性質上現場を知らないと仕事になりません。しかしながら就任当時は、例えば予算は大きいながら現場感覚がないと思ったのが例えば健康福祉部です。しかしながら今御案内のように健康福祉部、きょう新聞に週刊誌で宣伝が載ってましたけれどもあれも健康福祉部にかかわることでございますが、テレビや雑誌などにも取り上げられることになりまして内閣府にも届くぐらい健康福祉部の現場への関心というのは部長以下ですね、すごく高まってきたと思います。
　さらに、企業局というのも潰してしまおうかと思ったぐらい水道のことだけしかやってなかったというところでございますが、今や企業局は経済産業部と相並ぶぐらいにもう現場それ自体が仕事の中心になっておりましてこれも飛躍的に現場主義がきちっとしたところであるというふうに思います。
　これから伸び代が期待されるのは、かつて県民部といったところでありますが、これはくらし・環境部と文化・観光部ということになっております。くらし・環境部、どうでしょうね、ちょっと首をかしげるようなところはまだあります。経営管理部と、かつての総務でございますけどここは仕事柄ですね、財政あるいは人事ということなので机の前に座ってふんぞり返っていることさえできたわけです。しかし、そこはエリートコースでありました。そういう方がトップになってこの人たちを、例えば経済産業部に行っていただいて現場感覚をつけていただくと。今やある地域を任せられるだけになりまして服装まで変わってきました。ですから現場感覚が明らかに出てきているというふうに思います。
　政策企画とかあるいは文化・観光というのは、もっと勉強しないといけないというふうに思いまして、文化・観光部、政策企画部、なかんずく文化・観光部というのは大学や研究やそうした芸術を含めた学術などについてそれなりに通暁といわなくても知っているということが必要です。その意味ではですね、いずれ誰かが順番で文化・観光とか政策企画に行くかもしれませんのでもっともっと勉強することが必要だというふうに思っているところであります。
　こうした中で、県を挙げて現場のことをよく知っている人たちがふえていくということが大切で、現場におきまして懸命に活動を続けられている方々のお考えに触れたり現地で意見交換を進めることで私は県政における重要な政策ヒントもいただいておりますし、それが県庁の職員全体に広まることが望ましいというふうにも思っております。
　知事広聴や移動知事室における発言者や視察先の選定に当たりましては、各地域で人的ネットワークを構築している県下四カ所の振興局、地域政策局が地元の情報を収集し幅広い分野で地道な活動を続けられている方々も丁寧に把握するように努めておりますが、先ほどの鈴木議員の御指摘にもありましたようにかつてほどこの地域政策局や振興局が地元と密着していないという、そういう面もまだあるとすればですね、これはもうぜひ改めなくちゃならないというふうに言い聞かせているところであります。
　また、こういう移動知事室なり知事広聴におきまして県議の皆様方が御同行いただくと、地元の声を聞きながらそれを県政に反映させるために県議のお立場、我々行政の立場から両方で共有できるのでそのことも大変ありがたく、前回長泉、清水に参りましたときには先生にはずっと同行していただきましたことを大変ありがたく思っている次第であります。
　そして、これは強調したいことなんですけれども、知事広聴や移動知事室におきましては知事戦略監とそして現在の政策企画部ですね、必ず部長を同席させます。そして知事公室長も同席させます。したがってもう全部聞くわけです。移動知事室のときも一緒ですし、それから広聴のときも一緒です。いろいろな意見が出ます。それを聞いてるわけです。聞いてその場で決められることは即実行するということをお約束すると。そして持ち帰る場合であっても後日必ず御報告申し上げて、一つとして例外はありません。ですからただただお聞きして、はい、それで終わるというのは一つもありません。そうすると現場感覚が上がりますから、かつて戦略監だった人が今は副知事になられたり、企画部長だった方が戦略監になったりですね、公室長だった者がくらし・環境部長になったりするのはそうした現場感覚とそれと政策とが結びつきまして伸びるからなんですね。能力が発揮されるということが間違いなくあるからだと思っております。
　決して、聞きおくだけにはとどまらないで各部局にフィードバックをいたしまして着実に施策に反映しております。チーム川勝としてこの現場主義を徹底するために、幹部職員の方々に対しましても地域に出向き県民の皆様と直接意見を交換し、できない理由は言わないと。どうしたらできるかという方法を考えるという、そういう態度で臨むということです。あらゆることを自分を勘定に入れずに、よく見聞きし、わかり、そして忘れずというこの精神をもって、今後とも地域の生の声を政策に反映いたしまして具体的成果につなげる現場主義を貫き、県民幸福度の最大化を目指す富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを全力で推進してまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　村松交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　村松　篤君登壇）
○交通基盤部長（村松　篤君）　跨道橋及び跨線橋の耐震対策についてお答えいたします。
　県では、阪神・淡路大震災を教訓として鉄道または緊急輸送路をまたぐ橋梁の落橋等による重大な被害を防ぐため平成八年に見直された橋梁の耐震基準より古い基準で設計された県管理の四十六橋について耐震対策を最優先で実施してきており、昨年度までに四十五橋で対策を完了しました。残る一橋につきましては現在平成二十九年度末の完了を目指し対策を進めております。
　また、対策を完了した橋梁の中に議員御指摘の府領第一橋と同じロッキング橋脚を有する橋梁が一橋あることから、同種の橋梁を管理する国や中日本高速道路株式会社等と連携しながら効果的な対策の手法について検討を始めたところであります。
　一方、市町が管理する耐震対策の必要な橋梁は二百橋あり、昨年度までに重要度の高い東海道新幹線、東名をまたぐ全ての橋梁など百五十九橋で対策が完了しております。現在、残る四十一橋のうち九橋で対策が進められており、それ以外の三十二橋についても早急に対策を行うよう強く働きかけているところであります。
　県といたしましては、巨大地震の発生時に落橋による大惨事を防ぎ緊急輸送路の機能を確保するため、引き続き関係市町に対して助言や支援を行い、緊急輸送路をまたぐ跨道橋及び跨線橋の耐震対策の早期完了に努めてまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　髙田泰久君。
　　　　　　　（三十五番　髙田泰久君登壇）
○三十五番（髙田泰久君）　御答弁ありがとうございました。要望と再質問をさせていただきます。
　知事の現場主義についての要望ですけども、どこへと視察に行かれるか、どこのどなたと意見交換を行うのか、その情報を幅広く、やっぱり事前に確保していただくということが重要だし必要ではないのかなというふうに思います。
　知事は、より幅広く県内隅々までさらにこうした現場主義を貫いていただいて、まさに県民幸福度最大化を目指す富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりに磨きをかけていただくということを期待をし、要望とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
　次に、再質問、跨道橋、跨線橋の耐震対策についてですけども、建築物の耐震基準については建築基準法によって地域係数というものが定められていて地域によって設計地震力というものを低減させるということがあるようですけども、橋梁についても同じように地域によって基準が異なることがあるのかどうか。また熊本県と本県によって違いがあるのかどうか。その点についてお伺いをいたします。以上、答弁を求めます。
○議長（鈴木洋佑君）　村松交通基盤部長。
○交通基盤部長（村松　篤君）　跨道橋及び跨線橋の耐震対策についての再質問についてお答えいたします。
　橋梁の耐震設計におきましても建築と同様でございます。道路橋の技術基準であります道路橋示方書におきまして規模の大きい地震が発生する可能性に応じて地域を五つに区分し、基準となる地震動に対して補正を行うこととしております。
　橋の耐震設計におきましては、レベルワンの地震動、レベルツーの内陸直下型の地震動、レベルツーのプレート境界型の地震動の三種類で計算しますが、例えばレベルツーの内陸直下型地震動につきましては静岡県の補正係数が一・〇であるのに対して熊本県で今回震度七を観測した地域の補正係数は〇・八五となっています。
　一例を申し上げただけでございますが、静岡県の橋梁については最も地震動が大きくなる地域別補正係数により耐震計算をしていることになります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　髙田泰久君。
　　　　　　　（三十五番　髙田泰久君登壇）
○三十五番（髙田泰久君）　御答弁ありがとうございます。
　熊本県と静岡県と違いがあるということですけども、やはり地震動の揺れの違いというのは、その大きさだけではなくてその状況によっても大きく変わるということもあるようですので、こうした耐震基準というものだけではなくて早く残っている橋梁等々の耐震化というものを進めていただくようによろしくお願いいたします。
　次の質問に移ります。
　地球温暖化対策とエネルギー対策についてのうち、初めに地球温暖化対策の推進について伺います。
　気候変動に関する政府間パネル――ＩＰＣＣは、産業革命以降の気温上昇を二度未満にとどめるためには二酸化炭素――ＣＯ２濃度を四二〇ｐｐｍに抑える必要があるとしておりますけども、先日気象庁は国内で観測しているＣＯ２濃度が昨年の平均値で四〇〇ｐｐｍを超え過去最高を記録したと発表し専門家は危険領域に突入したと警告をしております。
　また、昨年十二月に開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議――ＣＯＰ21では、パリ協定が採択をされ産業革命以降の世界の平均気温の上昇を二度未満に抑えることを目標として明記されました。途上国を含めた全ての国が参加する地球温暖化対策の新たな国際的枠組みが整い、今後化石燃料の消費を大きく減らすエネルギー戦略を世界全体で展開していくこととなりました。
　我が国では、新たな地球温暖化対策計画を先月に閣議決定し、温室効果ガスの排出量を二〇三〇年度、平成では四十二年度までに平成二十五年度比で二六％削減するという新たな目標を設定しております。
　本県においては、国の動きに先立ち昨年三月に改定版ふじのくに地球温暖化対策実行計画を策定し、平成三十二年度の温室効果ガス排出量を平成十七年度比で二〇％削減するという平成三十二年度時点の削減率では国よりも高い目標を掲げて取り組んでいると伺っております。
　本県の温室効果ガス排出量はこれまで比較的順調に削減が進んできましたけども、今後景気の回復に伴う事業活動の活発化など温室効果ガス排出量の増加要因が強くなっております。特に平成二十四年度における産業部門の温室効果ガス排出量の割合は全国が三〇％であるのに対し本県は四一％と高く、企業の化石燃料の使用を減らす取り組みを一層促進する必要があります。
　そこで、経済発展との両立を図りつつ経済社会活動のあらゆる局面で環境への負荷を減らし地球温暖化対策を進めていくため、県は事業者の取り組みをどのように促進させていくのかお伺いいたします。
　次に、エネルギーの地産地消の促進について伺います。
　化石燃料の消費などによる温室効果ガス排出量を大幅に削減し持続可能な社会を構築するためには、太陽光発電など再生可能エネルギーの最大限の導入拡大を図るとともに、一極集中型から小規模分散型エネルギー供給体系への転換によるエネルギーの地産地消の促進が不可欠であります。
　ことし三月に策定された静岡県エネルギー地産地消推進計画では、平成二十四年度におよそ四分の一であった地産エネルギーによるエネルギーの自立化率、これを平成三十二年度までに二分の一まで引き上げることを目標として設定をしております。
　確かに、太陽光発電については、固定買い取り制度が導入されたことによりその後の三年間で五倍に増加するなど急速に拡大をしました。しかしながら十キロワット以上の太陽光発電の調達価格はその後大きく値下がりしていることから、今後は大幅な導入拡大が困難と見込まれます。
　また、小水力やバイオマス、温泉熱利用などにつきましてもさまざまな試行が行われているものの、設備導入費の負担に加え関係者との調整や経済性評価等に相当の時間とコストを要するなどの課題があり導入量の大幅な拡大には至っていないのが実態であります。なお本県には、再生可能エネルギーによる発電設備の設置を進めるための大きな市民ファンドが余りない状況にあります。
　このような状況の中で、平成三十二年度までに地産エネルギーによるエネルギー自立化率を二分の一に引き上げるためには、どのようなエネルギーを中心に導入拡大を図っていくのか疑問であります。
　そこで、今年度エネルギー施策の所管を経済産業部へ移管したのは、エネルギーの地産地消の推進を強力に進めていくためと理解してよろしいのか。また静岡県エネルギー地産地消推進計画の目標である地産エネルギーによるエネルギー自立化率を二分の一まで引き上げる目標達成に向け、県はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
　次に、障害のある方への在宅支援について伺います。
　障害のある方もない方も、誰もが住みなれた地域で相互に人格と個性を尊重し合いながら安心して暮らせる社会の実現を目的とする障害者総合支援法が施行されてから三年が経過をいたしました。そしてこの六月には障害福祉サービスのさらなる充実を盛り込んだ改正法が成立をいたしました。
　国会の法案審議をめぐっては、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のＡＬＳ患者で日本ＡＬＳ協会副会長の岡部さんの参考人招致が報道で大きく扱われたこともあり、御承知の方も多いのではないでしょうか。
　さかのぼれば平成十八年四月に施行されました障害者自立支援法以降、障害のある方を取り巻く福祉制度は大きく変化し、国は施設中心のサービスから家庭や身近な地域の中での生活を実現するための在宅支援へ大きくかじを切りました。
　私は、身体や知的などさまざまな障害のある方やその御家族の方々から話を伺う機会が多くありますが、将来親が年老いてもこのまま子供が自宅で生活をし続けることができるのだろうか、自宅で家族を介護しているが生活に余裕がない、家族の一人でも健康を害したらどうなるだろうかと切実な声を聞かされます。制度は整いサービスも手厚くなってきておりますが、親の高齢化などにより障害のある方の地域生活を支える御家族の力は年々弱まっており、地域で十分に支えることができなくなっているのではないかと危惧しております。
　そこで、県は障害のある方々が住みなれた地域で必要なサービスを利用して安心して生活を送ることができるよう在宅支援の推進に向けて今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
　最後に、県東部地域における工業用地の造成事業について伺います。
　企業局は、平成十四年度以降進出企業が決定してから造成工事に着手するいわゆるオーダーメード方式による造成事業を進めてきましたが、平成二十六年度に内陸のフロンティアを拓く取り組みのモデル事業として十三年ぶりの用地先行造成すなわちレディーメード方式による小山湯船原工業団地造成事業に着手をし、これまで順調に事業が進んでいると伺っております。
　今後は、この企業誘致取り組みが重要な課題であると考えますけども、早期の完売に向けどのように取り組んでいかれるのかをお伺いをいたします。
　一方、本県東部地域の状況を見ますと、富士宮市の富士山南稜工業団地においては残る二区画への企業進出が確実となり分譲募集が終了したとのことであり、御殿場舟久保工業用地においても企業からの引き合いが多い状況と聞いております。本県東部地域への企業の進出意欲が非常に高まっていることが伺えます。
　これは、首都圏に近接しているという地理的な利点に加え、今後新東名高速道路の御殿場以東への延伸や伊豆縦貫自動車道の開通など交通アクセスのさらなる向上への期待によるものと考えております。
　今後は、企業ニーズに応える工業団地をスピード感を持って供給することが企業局の重大な使命でもあります。既に企業局においては平成二十四年度に工業用地等開発可能性基本調査費助成制度を創設し造成計画や用地の区画割りの策定、分譲予定価格の算出等の調査を行う市町を支援しております。
　そこで、この助成制度を活用した本県東部地域の市町の現在の状況と企業局による造成の見通しについてお伺いをいたします。以上について答弁を求めます。
○議長（鈴木洋佑君）　川勝知事。
○知事（川勝平太君）　地球温暖化対策とエネルギー対策についてのうち、エネルギーの地産地消の促進についてお答えいたします。
　平成二十三年の東日本大震災とそれに伴う原子力発電所の大事故によりまして、従来の大規模集中型のエネルギー供給体系の脆弱性が明らかになりました。これを受けまして、議員御指摘のとおり本県は小規模分散型のエネルギー供給体系への転換を図ることといたしましてエネルギーの地産地消を進めているところであります。八つの重点領域の中の一つがエネルギーの地産地消であることも御承知のことと存じます。
　昨年度策定いたしました静岡県エネルギー地産地消推進計画では、電力、熱、蒸気といった二次エネルギーの消費量に対する地産エネルギーの導入割合を、議員御指摘のとおり平成三十二年度までに二分の一とする目標を定めておりまして、原油換算で約二百万キロリットルのエネルギーを地産エネルギーで賄うこととしております。その内訳といたしましては新エネルギーで四一％、ガスコージェネレーションで三七％を確保する計画となっております。
　新エネルギーの最近の導入状況を見ますと太陽光発電は平成二十二年度におきましては十三万キロワットだったわけですが、平成二十七年度にこれが約百二十万キロワットになりましたので五年間で十倍になったということでございます。一方太陽光発電は、固定価格買い取り制度の買い取り単価が年々低下する一方で設置費用も低減しておりまして新築住宅での設置率も四割を超えてきております。
　小水力発電、これは私は可能性があると思っているんですが、先般菊川市の西方発電所と掛川市の伊達方発電所が先月の二十三日ですけれども本格稼働を開始いたしましてそのオープニングに立ち会いましたが、新しい発電の技術が導入されておりまして水量に応じて水車を回す、垂直に水車がこう並んでいるんですね。こうしたものもやっぱり技術開発が進んでいるんだなというのを実感したわけでございます。これは大井川の右岸でございますがこれで二つできたわけですね。ですから農業用水として使われているものがまた農業用水に戻りますので、こうしたちょっとした落差があることが、最初に初期費用はかかりますけれども水の豊かな静岡県でございますから小水力発電というのは非常に重要であるというふうに思っておりまして、着実に進めていきたいというふうに思っております。
　また、バイオマスによる発電と熱量につきましては、たくさん木材がございます小山町におきまして要はペレットを使っての発電を開始されることになっておりましてこれも次世代施設園芸への活用が図られることになり、これも何度もそちらをお邪魔いたしまして小山町長さん、また関係者、うちの企業局などが一丸となってこれに取り組んでいるということで、小山町はかつては御殿場だったと思いますけれども今や小山町のダイナミズムというのは驚くほどでございます。池谷先生ようございました。これは企業局もかなりの、かつて企業局長でいた篠原とそれから天野とこの二人のコンビが上手に信頼を勝ち得てやっているということで、確実にこれは伸びていくということでございます。
　さて、今年度、エネルギー政策の所管を経済産業部へ移管しております。これはエネルギー政策の基本でございます三つのバランス、エネルギーの安定供給、環境への適合、経済性。この三つのバランスをとることを強力に進めることが狙いです。
　具体的には、地域で新たにエネルギー事業に取り組む方々への御支援、片や企業における新しいエネルギーの導入促進、企業が行う効率的な機器の研究開発への支援などに積極的に取り組みます。エネルギーは県民の生活や産業にとって最も必要なものの一つであります。経済活動の現場で一つ一つの課題解決を図り、静岡県が日本のエネルギーの地産地消のモデルとなるように全力を傾注してまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　髙木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（髙木利夫君）　地球温暖化対策とエネルギー対策についてのうち、地球温暖化対策の推進についてお答えいたします。
　本県では、従来から事業者における環境への配慮の意識が高いことなどにより、省エネルギーや廃棄物削減などの取り組みを推進する環境マネジメントシステムエコアクション21の認証件数が昨年度末九百六十件と十年連続全国第一位を維持しております。この取り組みは温室効果ガス排出量の削減に大きく貢献し事業所の経費の削減、生産性や社会的信頼の向上も期待できることから、引き続き幅広い業種における新規の認証取得を一層促進してまいります。
　また、エネルギー使用量が多い事業所等は、静岡県地球温暖化防止条例に基づき温室効果ガス排出削減計画書及び報告書の提出が義務づけられておりますが、目標の達成率を高めるため記載事項を見直し手法や実績の的確な自己評価を可能にし、その成果を広く公表、顕彰するなど事業者の取り組み努力の見える化を進め、さらなる排出量の削減につなげてまいります。
　一方、店舗やオフィス等の業務部門においては、平成二十五年度の排出量が基準年度であります平成十七年度から約一五％増加しておりますので、環境省が新たに創設した高効率の空調や給湯、照明などの設備の導入に対するゼロエネルギービル補助制度を活用して建築物の省エネルギー化を推進してまいります。
　県といたしましては、さまざまな事業者の温室効果ガスの削減に向けた取り組みを一層促進するとともに、県民や関係団体とも連携しふじのくに地球温暖化対策実行計画の目標達成に向け積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　山口健康福祉部長。
○健康福祉部長（山口重則君）　障害のある方への在宅支援についてお答えいたします。
　障害のある方が住みなれた地域で豊かに安心して暮らしていくためには、必要なときに必要とする福祉サービスを身近で確実に利用できることが重要であります。
　このため県では、障害福祉計画に基づき市町と連携しながら日常的な介護を自宅で提供するホームヘルプサービスや一時的に入所施設などを利用するショートステイなど在宅生活を支える基本的なサービスの拡充に努めております。
　また、障害のある方の世帯も高齢化が進んでおり、高齢の親との同居世帯や障害のある方の単身世帯が増加しております。こうした状況は日常の介護の多くを家族など親しい方々の支援に頼ってきました在宅での生活を困難にしてきております。それを補完する役割として、グループホームやデイサービスなどの在宅支援サービスを必要に応じて地域で提供できる体制が求められております。
　県では、今年度から複数の事業所が連携協力してホームヘルプやデイサービスなどさまざまなサービスを切れ目なく提供できるようにするとともに、緊急時に備えたショートステイの体験利用を実施するなど包括的な在宅支援を行う環境の整備を進め、障害のある方を地域全体で支える体制を強化することとしております。
　今後とも、市町や福祉関係者等で構成する圏域自立支援協議会におきまして圏域ごとの課題等について協議を進め在宅支援サービスのさらなる充実を図り、将来にわたって安心して暮らせることのできる社会の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　望月企業局長。
○企業局長（望月　誠君）　県東部地域における工業用地の造成についてお答えいたします。
　小山湯船原工業団地は、ふじのくにの東の玄関口に位置し富士山を借景にした森にたたずむ工業団地として本年四月に分譲価格を公表し進出企業の募集を開始いたしました。既に食品関連企業など数社から引き合いがございまして、各社を訪問して具体的な商談を進めております。七月には東京事務所と連携いたしまして首都圏の金融機関や建設会社等を対象とした現地見学会を開催いたします。
　さらに、中京圏、山梨、長野県などを視野に入れた誘致活動を強化するため政策企画部や経済産業部などと連携いたしまして、中部ロジスティックスソリューションフェアを初め山梨テクノＩＣＴメッセ、諏訪圏工業メッセなどの展示会で工業団地のＰＲを行ってまいります。
　また、工業用地の開発可能性調査事業の東部地域での活用についてでありますが、平成二十四年度から平成二十七年度までに三市町で八件の調査を実施しており、このうち小山湯船原工業団地のほか長泉町南一色地区で物流施設の用地造成を企業局が受注しております。
　さらに、今月二十三日には企業局と清水町及び航空機・宇宙関連部品等製造企業であります株式会社エステックと三者で工業用地造成事業に関する協定を締結いたしまして、第五次の内陸フロンティア推進区域に指定されました清水町久米田地区におきまして工業用地造成に着手することとなりました。
　最近は、工業用地造成の具体的な相談が全県においてふえてきておりますことから、企業局におきましては市町に調査事業の活用を促すとともに、企業のニーズをワンストップで伺い早期の事業化及び受注につなげられるよう努めてまいります。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　髙田泰久君。
　　　　　　　（三十五番　髙田泰久君登壇）
○三十五番（髙田泰久君）　御答弁ありがとうございました。何点か要望と再質問をさせていただきます。
　まず、地球温暖化対策の推進について再質問をいたします。
　本県の温室効果ガスの排出量の部門別構成比からしても、この産業部門というものが四〇％以上と最も高くなっておりまして排出量の多い産業部門を重視して運営をしていくということはよく理解をできますけども、事業者へのヒアリングを行ったところこれまでの取り組みの中で大幅な削減というのは非常に難しいという意見が多かったとも伺ってます。
　そういう中でエコアクション21のさらなる拡大とか、あるいは計画書の提出、削減計画書の提出制度等々を重点施策としておりますけども、この削減計画書制度というものをどの程度の事業所まで拡大を、展開をしていこうとされているのか。そして進行管理というものを、進行管理を行う推進体制というものはどのようにされるのかをお伺いをいたします。
　次に、エネルギー地産地消の促進について再質問いたします。
　エネルギーの地産地消を進めるためには、再生可能エネルギーの活用というものが極めて重要です。しかしながら再生可能エネルギーというのは非常に不安定でありまして、発電効率も低いものが多くあります。
　そこで、自立化二分の一達成に向けてこれから多くの再生可能エネルギーの設備を設置がされていくと思いますけども、設置された設備、エネルギーの数値管理というものを、数値計数というものを、数値集計というものをどのような数値を使うのかお伺いをいたします。
　また、全国各地では再生可能エネルギーの発電設備を建設をする規模の大きな市民ファンドの設置が広がっておりますけども、本県には大きな市民ファンドがないということもありますので本県にも地産エネルギー拡大のための市民ファンド設置を後押しする仕組みづくりが必要だと考えますけども、県の所見を伺います。
　次に、要望ですけども、障害のある方への在宅支援についてぜひ必要になったとき直ちにサービスが受けることができる体制づくりをしていただきたい。よろしくお願いいたします。市町と連携の中でよろしくお願いいたします。
　次に、県東部地域における工業用地造成について再質問をいたします。
　先ほど、企業局長から清水町久米田地区においての新たな用地造成、受注したよとの答弁がありましたけども、この事業所、先日知事も視察をしていただいた航空機部品を手がける企業であって将来本県の航空機関連産業を牽引をする企業に育つことも大きく期待をしているところでありまして、こうした進出企業のニーズに合った用地を確実にそして迅速に供給するためにどのような取り組みを具体的にしているのか、その点についてお伺いをいたします。今後の対応についてもお伺いをいたします。
　それから、内陸フロンティアを拓く取り組みのモデルとして小山町にレディーメード方式を導入しましたけども、企業局、今後また同じようなモデルとなる地域があり得るならばこのレディーメード方式による工業団地の造成の可能性があるのかどうか、考え方についてお伺いをいたします。以上について答弁を求めます。
○議長（鈴木洋佑君）　髙木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（髙木利夫君）　地球温暖化対策の推進に関する再質問にお答えいたします。
　現在、条例に基づきまして排出ガス削減の計画書の提出を義務づけられておりますけども、現在議員の御質問のとおり全体の四割を産業部門が占めておりまして、そのうちの六割が大規模事業所でございます。現在この対象になっている事業所の数は全部で六百を超えております。
　現在、私どもがこういう形の計画書の見直しを考えたのは、なかなか実効性が伴っていないということでございまして、まず実際にこの計画書に対しての実効性を高めるということで計画に対する目標達成をまず徹底しようということをまず進めてまいりたいと考えております。
　現在、この条例に基づきまして対象となる分野、事業所が限定されております。まずはこの報告書の実効性を高めることを第一としまして、次のステップで今度は対象事業所をふやそうということを検討したいというふうに考えております。
　進捗管理につきましては、まずこの計画書、報告書の実効性を高めることを第一として、次のステップで対象となる事業所をふやすというそういった進捗管理を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長（鈴木洋佑君）　篠原経済産業部長。
○経済産業部長（篠原清志君）　エネルギーの地産地消の促進についての二点の再質問にお答えいたします。
　まず、第一点目の地産エネルギーの導入目標値につきましては、設備容量ではありませんで想定供給量で算定をしております。
　具体的に算定のことを御説明いたしますと、太陽光発電で見ますと太陽光発電の設備容量、合計の設備容量、キロワットに年間時間数、三百六十五掛ける二十四時間掛けまして、さらにそれに今御指摘のありました発電効率――設備利用率と言っておりますけども今現在一二％になっています。ですから〇・一二を掛けたものが想定発電量であり、そこからそれをまた原油換算で計算をして原油の量を算定をしているということになります。
　また、もう一つの市民ファンドの関係であります。地産エネルギーの導入に関しましては、その支援制度につきましては電力につきましては固定価格買い取り制度、それから県もいろんな導入のための補助制度や中小企業に対する県融資制度などを定めております。
　また、初期の大きな投資、資金確保につきましては、御紹介のありましたファンドの制度があるというふうに理解をしております。ファンドにつきましてもいわゆる専門家がその収益性を判断して行うファンドと、現在インターネットを活用して投資家自体がその収益性を判断するような、市民といいますか広くやるようなファンドの制度もできているというふうに承知をしております。
　ただ、今現在の金融状況、金融市場の状況、低金利で進んでいることから、県内も含めてですけども地産エネルギーの導入で収益性のある高いものについては現在金融機関が積極的な融資を行っているのが現状であるというふうに認識しております。
　今後につきましては、県といたしましては、地産エネルギーの導入を検討する事業者へ適切な活用の情報提供をして進めていくとともに、ファンドにつきましてもその有効性や中心となる金融機関あるいはそういう方々との情報交換等も含めて研究を進めていきたいというふうに考えています。以上であります。
○議長（鈴木洋佑君）　望月企業局長。
○企業局長（望月　誠君）　県東部地域における工業用地の造成についての再質問にお答えいたします。
　清水町の久米田地区における今後の対応についてでありますが、オーダーメード方式の用地造成についてはですね、企業のオーダーに沿った仕様に基づく造成を求められた工期の中で確実かつ迅速に行うことが求められます。このため株式会社エステックさんと十分に打ち合わせを行いまして求められます仕様に応える設計とか工法をですね、コストまた工期を考慮しながら複数提案をしていきたいというふうに考えております。その上で造成に着手をしていきたいということでございます。
　また、こうした打ち合わせの際には、例えば国とか県、市町が持つ支援制度などを情報提供いたしまして企業の行政に対するニーズをワンストップで伺った上で経済産業部など関係部署につなぐことによって円滑に事業が進捗できるように努めてまいりたいと考えております。
　二点目のレディーメード、今後どうされるのかという質問でございます。
　まずは、小山湯船原工業団地の販売を優先をして早く売り切るということに精力を費やすつもりですが、また今後県内における立地の需要こういったものもあわせて考えて、まとまった大規模な工業団地の開発ができるそういった可能性があるような地域を――これは東部地域に限らないんですけど――県内でそういった場所がないかというようなことは現在でも事務的には検討しております。
　また、具体的にそういった場所が絞られてきましたら、また御報告をさせていただきたいと思います。以上でございます。
○議長（鈴木洋佑君）　髙田泰久君。
　　　　　　　（三十五番　髙田泰久君登壇）
○三十五番（髙田泰久君）　全てについて確実に進めてもらうことをお願いを申し上げまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。（拍手）

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	質問者：	髙田　泰久議員
	質問分類	一般質問
	質問日：	06/30/2016
	会派名：	ふじのくに県民クラブ
	質疑・質問事項：	１　知事の現場主義について２　跨道橋及び跨線橋の耐震対策について３　地球温暖化対策とエネルギー対策について　(1)　地球温暖化対策の推進　(2)　エネルギーの地産地消の促進４　障害のある方への在宅支援について５　県東部地域における工業用地の造成について