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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中野 弘道 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2010

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) ふじのくにと道州制                      
 (2) 県から市町への権限移譲                    
 (3) 事業仕分け                          
2 円高に対する雇用・経済対策について               
3 企業の本社機能誘致の取り組みについて              
4 環太平洋連携協定について                    
5 農業農村整備の今後の取り組みについて              
6 富士山静岡空港の活性化対策について               
 (1) 利活用促進戦略                        
 (2) 空港周辺地域のグランドデザイン                
7 地域医療の確保について                     
8 新総合計画の推進に向けた県の体制について            
 (1) 組織改革の推進                        
 (2) 専門職員の育成                        
9 災害対策について                        
 (1) 漁港の津波対策                        
 (2) 海岸に漂着する流草木等の処理                 
10 教育行政について                        
 (1) 児童の放課後対策                       
 (2) 総合的な学習の時間の推進                   
11 科学捜査の推進について



    副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三番 中野弘道君。
           (三番 中野弘道君登壇 拍手)
    ○三番(中野弘道君) 私は自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をさせていただきます。
     まず、質問に入ります前に、このたび県の会計処理の一部で国の会計検査院の指摘や県の独自調査により不適正経理が明らかとなりましたことはまことに残念なことであり、県当局の今後の再発防止に向けた取り組みを強く要請をいたします。
     それでは質問に入ります。
     初めに、知事の政治姿勢についてのうち、ふじのくにと道州制についてであります。
     知事は、著書「美の国日本をつくる」の中で道州制について先進国並みのGDPがある四州――森の洲、野の洲、山の洲、海の洲に分け、都道府県を超えた広域の経営をするだけの人材という点から、中央政府からの権限、財源とともに人材を移譲し地域経営を行うべきと論じられております。
     一方、さきの関東知事会の席上、国の出先機関原則廃止の議論に関して「国の出先機関は県の単位を超えた広域的な行政を担ってきたわけで、この役割を今後我々がどう担っていくか、具体的には都道府県再編の議論がセットで行われるべきであり、現時点の国の出先機関の廃止を先行する考え方には原則反対の立場である」とおっしゃられました。また広域連携に関して「都道府県システムの再編も視野に入れつつ国の内政に係る省庁を解体し地域のブロック単位で行うべき、また首都圏はそういう方向性を出すべき」とし、「長野県、静岡県は外れるかもしれないが、伊豆半島は首都圏と接しているので協力できるところは協力していく」と発言されたと伺っています。
     関西広域連合や九州における仮称広域行政機構など、国の出先機関の受け皿として都道府県をまたぐ組織や協力体制の確立の動きは全国で散見されております。
     そこで、こうした全国の動きをどのように考え、これから新総合計画により推進される新しい静岡県づくりと道州制をどう見据えているのか、知事の所見をお伺いしたいと思います。
     また、神奈川県、山梨県の両知事とは定期的にサミットを開催し、富士箱根伊豆地域における観光を初めさまざまな分野で連携をしておりますが、トップ会談の先にある思いについてもあわせてお伺い申し上げます。
     次に、県から市町への権限移譲についてであります。
     県は、これまでの十年余の間、計四次にわたる権限移譲推進計画を策定し、県から市町への権限移譲を着実に進めてきましたが、その取り組みは全国でもトップクラスの実績であると評価をされております。中でも市町村合併と市町への権限移譲を一体的に推進しつつ、一方で事務の専門性と市町の事務処理体制を勘案してきたこれまでの権限移譲の進め方は、市町の自己決定の拡充や住民サービスの向上に貢献してきたものと考えております。
     一方、国の地方制度調査会の答申や地方分権改革推進委員会の勧告にある「基礎自治体優先の原則の一層の実現」、「住民に身近な行政は住民に身近な市町村へ」等の表現からも、市町村重視の姿勢は明確に見て取れます。全国的にも県から市町村への権限移譲をいかに進めていくかが課題となっており、政府は来年の通常国会において関連法案を提出し、早ければ平成二十四年度にも法制化により全国一斉に都道府県から市町村へ権限移譲されることが見込まれております。法制化に伴い業務が増加する市町村の中には、事務処理体制の構築等に不安があるという声がある一方で、住民ニーズへ対応するため法制化を待たずに積極的に移譲を求める声もあります。
     こうしたことから、県から市町への権限移譲については、国の動きにかかわらず地域の実情に応じて計画的に取り組むとともに、事務を受ける市町の意向を十分に考慮していくことが重要ではないでしょうか。
     そこで、県においては現在新たな権限移譲推進のための計画を策定中であると伺っておりますが、こうした中で市町の意向をどのように取り入れ今後の権限移譲を進めていくのかお伺い申し上げます。
     次に、事業仕分けについてであります。
     川勝知事は就任と同時に事業仕分けを導入し、昨年度、今年度と二度にわたり実施をしてまいりました。二度の事業仕分けを契機として多くの県民が行政に参加をする機会を得るなど、県政への関心が高まったことは事実であり、この点については評価をしております。
     しかし、仕分けの結果がしっかりと予算などに反映されているのかはかなり疑問があります。昨年度は「不要」と判断された事業も、改めて県の内部で検討された上でそのほとんどが別の切り口から再構築されておりました。また今年度、廃止を決めた事業の中には安全対策上、市町から継続を望む声が上がっているものもあると聞いております。
     私は、こうした対応になるのはむしろ当然なことと思っております。現在実施している事業は、担当部局の現場における調整、財政当局との調整、そして議会における審議の過程を経て十分議論を重ねながら策定されてきたものと考えております。事業の設立経緯や施策全体の中での位置づけなどもしっかりと検討していけば、簡単に廃止となるような事業があるはずがないと思っております。
     県は、短時間かつ少人数の外部評価者による多数決で判定した事業仕分けの結果を重視して、できる限り予算へ反映していくこととしておりますが、私はこの対応には違和感を持っており、むしろ施策を立案する職員の大きな負担となっているのではないかとも懸念をしております。
     そこで、二年間にわたり実施してきた事業仕分けについて、さまざまな意見がある中、知事はどのような評価をしているのか、また予算編成に事業仕分けの結果をどのように反映させていこうと考えているのかお伺いさせていただきます。さらに来年度以降も事業仕分けを継続することを表明されておりますが、今後どのような形で進めていこうと考えているのか、所見をお伺い申し上げます。
     次に、円高に対する雇用・経済対策についてであります。
     日銀静岡支店が十一月九日に発表した最近の静岡県金融経済の動向では、県内の景気は全体として持ち直しの動きが広がっているものの、先行きに対する警戒感が強まっていると判断をしております。また内閣府が十一月十五日に発表した我が国の七月から九月期の国内総生産速報では、年率三・九%増といった高い成長を示しておりますが、エコカー補助金やエコポイントといった経済対策による駆け込み需要が終了しようとしている現在、これまでの政策効果が剥落していくのではないかと多くの企業が不安や警戒感を持っていると考えます。さらに一時、史上最高値に迫った円高ドル安が長期化しており、自動車や二輪車などの輸送機械を初めとした製造業の多くが海外に拠点を移し、県内産業の空洞化が現実のものになるおそれを感じております。
     景気の回復はいまだ途上にあり経済対策は切れ目なく行っていくことが必要であると考えますが、県は県内企業の現状をどのように把握し、今後円高など景気を下押しするリスクに対してどのように対処していくのかお伺い申し上げます。
     また、このような景気動向や円高の影響は、当然雇用情勢にも及ぶことが懸念されます。十月の本県の有効求人倍率は〇・五一倍と、昨年の八月から十二月にかけて記録した過去最低の〇・三八倍と比べれば持ち直してきたとはいえ、依然として厳しい状況にあります。現時点でも職につけず年末、年度末の時期を迎える方々の心中を察すると心が痛む思いでもございます。
     そこで、県ではこうした失業者に雇用・就業機会を提供するため、今後年末、年度末に向けてどのように雇用対策を行っていくお考えなのかあわせてお伺い申し上げます。
     次に、企業の本社機能誘致の取り組みについてであります。
     長引く不況や円高の進行等の影響により、企業においては国内の製造拠点を集約したり中国を初めとするアジアなどの新興国へ進出するなどの動きが見られております。特に、企業は人件費などの製造コストや輸送コストの削減を図るため、市場の近くで生産しようとする傾向があることから、成長を続ける新興国市場への製造拠点の設置は今後ますます進むものと考えられます。
     このような状況の中で本県の経済を持続的に発展させていくためには、県外から新たな企業の工場を誘致したり、既に県内に立地している工場が県外に流出することを防ぐといった従来から行っている企業誘致の取り組みのほかに、企業戦略や新製品開発、人事、財務など企業の経営上の重要事項について多くの決定権を持つ企業のヘッドである本社機能や研究開発部門などを国内外から誘致することも必要であると考えるところです。
     このような企業の中枢部門をターゲットに、例えば国内外の企業のアジア本部を本県内に誘致することは、今後の本県の産業を考えたとき非常に的を射た戦略になるのではないかと考えております。こうした経済状況や産業界の動向等に対して、県では今後どのような戦略をもって誘致等の施策を進めていくのか、御所見をお伺い申し上げます。
     次に、環太平洋連携協定、いわゆるTPPについてであります。
     最近の我が国の国際対応につきましては、TPPに関する国の動向が注目されており国内産業への影響について関心が高まっております。TPPは、協定締結国間の貿易自由化や人的交流の促進など協力関係の構築を目的に二〇〇六年五月にブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの四カ国が参加、発効したものであり、これに加え現在までにアメリカやオーストラリアなど五カ国が参画し計九カ国で交渉が行われております。
     国におきましては、菅首相が十月に所信表明演説においてTPP交渉への参加検討を表明したほか、十一月に横浜で開催されたAPEC首脳会議においても参加、交渉に向けた環境を整えていく意向を示しております。
     一方、国内経済・産業への影響については各業界においてさまざまな見解が示されております。農業への影響については、国は影響の大きいと思われる十九品目について全世界を対象に国境措置を撤廃し、何も対策を講じなかった場合には四兆円余りの農業生産額の減という試算を公表しており、農業への影響が大変懸念されている状況であります。最近では平成三年の牛肉・オレンジ自由化、平成五年の米の部分自由化を経験し、農家としてもまたかというやり場のない気持ちだと思われます。
     このような中、知事は十一月八日の記者会見において記者の質問に対し、TPPの考え方には基本的に賛成する旨の発言をされました。知事の発言につきましては、協定の締結について政府与党内でも慎重論があり国の動向を注視する必要があったと思われ、時期尚早ではなかったかとも考えます。
     そこで、知事のTPPへの対応に関する発言の真意について改めてお伺いするとともに、本県農業への影響とその対応について、知事の御所見をお伺い申し上げます。
     次に、農業農村整備の今後の取り組みについてであります。
     本県の農業・農村は、全国に誇る多彩で高品質な農産物を生み出すとともに、農業生産活動を通じて県土の保全、良好な景観形成等の多面的機能を発揮し、豊かで潤いのある県民生活の提供に大きく貢献しているところであります。
     こうした中、国は平成二十二年度予算において戸別所得補償制度を導入する予算を確保する一方で、「コンクリートから人へ」の理念を踏まえ、農業生産の基礎的部分である農地や農業用水等の整備を行う農業農村整備事業費については、前年度から六三・一%、大幅に削減予算でした。またさきの県の事業仕分けにおいては、県営農業基盤整備事業費については目標に対する農業戦略が見えてこないため「不要」という一方的な判定を受けたところであります。
     しかしながら、本県の農業農村整備はこれまでも生産性の向上や農地の利用集積など農業振興を図る上で大変重要な役割を担ってきたものと考えております。中でも生産条件の悪い中山間地域の農地を本県の基幹産物であるお茶やミカンの優良樹園地として整備し、生産額ベースでの食料自給率を大きく向上させたことを高く評価しているところでもあります。
     こうした整備は一朝一夕にして成るものではなく、国の大幅な予算削減によって農業生産の基礎的な整備が滞ることは、食料自給率の低下や農村の疲弊など県民生活に直結する大変深刻な問題であります。将来にわたって国際競争力のある足腰の強い農業を築いていくためには、農業生産の基礎となる基盤をしっかりと整備していくことが極めて重要であると考えております。
     また、平成五年米の大不作で多くの消費者がスーパーや小売店に殺到したように、食料不足で困るのは農家ではなく消費者であります。
     そこで、県民すべてが農業・農村に明るい未来を描くことができるよう、その礎となる農業農村整備を効果的に進めていくことが大変重要と考えますが、県の描く農業農村整備の将来に向けた取り組みの方向性についてお伺い申し上げます。
     次に、富士山静岡空港の活性化対策についてのうち、利活用促進戦略についてであります。
     富士山静岡空港が開港して早くも一年半になります。富士山静岡空港は、本県の発展にとって重要な社会基盤であり、より多くの地域と空のネットワークを構築し交流を活発化することが県勢の発展につながります。企業の経済活動が広域化している現在、国内遠隔地やアジア地域と本県が短時間で結ばれることは、本県企業にとって大きなビジネスチャンスともなります。また本県の観光地としての魅力をアピールし、国内や世界各地から多くの旅行客が訪れる観光立県を実現する上で、空港が存在することは大きな意味を持っております。
     しかしながら、こうした空港の開港効果が発揮されるのには、空のネットワークすなわち航空路線の充実が不可欠です。富士山静岡空港には現在、国内七路線、国際二路線の計九路線に定期便が就航していますが、航空会社を取り巻く経営環境は大変厳しく地方空港を中心に路線の撤退が相次ぐ中で、空港間の路線誘致競争が激化しているのが現状です。
     路線の撤退や縮小は、開港効果を発揮できないばかりではなく空港には死活問題です。既に知事は九月県議会において、着陸料や空港施設使用料など就航支援策について検討を行うと明らかにされておりますが、こうした状況の中でより効果的な取り組みが求められているものと考えます。
     そこで、県として今後、航空ネットワークの維持拡充にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
     また、県政最大のプロジェクト事業として多額の予算を投入して整備された富士山静岡空港の開港年度の収支が先ごろ公表されましたが、企業会計の考え方による試算では減価償却費等を含めると十六億円ほどの赤字になったと伺っております。こうした数字に対して県民の一部からは空港運営に対する県民の負担の大きさについて疑問の声が寄せられる一方で、空港設置による空のネットワークの構築により大きな経済効果が生まれていることも事実であります。
     県には、空港の設置者としての県民への説明責任とあわせて今後一層、航空ネットワークの充実を進めていくためにも、社会資本としての空港の意義や役割、さらには空港が本県の未来を支える重要な社会基盤であることを、客観的な指標等を通じて県民に情報提供することが求められているものと考えます。
     そこで、県が調査中という空港の地域経済波及効果について現在の調査状況と今後の対応について、あわせてお伺い申し上げます。
     次に、空港周辺地域のグランドデザインについてであります。
     先月五日に開催されました富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議におきまして、空港周辺地域のグランドデザインとなります空港ティーガーデンシティ構想の提言案がまとまったと伺っております。構想の内容を見ますと、飛行機の離着陸を間近に展望できる石雲院展望デッキや空港ターミナルビルからこの展望デッキにつながる歩道橋ペデストリアンデッキ、さらには旬の農産物の直売所とカフェを兼ね備えたエアポート楽座の整備等が盛り込まれております。さらに空港を取り巻くように広がる四つの道――空の道、茶の道、風の道、海の道の振興のための取り組み例など、その内容は幅広いものになったと感じております。開港二年を迎えて引き続き航空旅客をふやしていくことを最優先に、次いで見学客などを集客し空港と空港周辺に活気をもたらすことは重要であると考えております。こうした中で空港ティーガーデンシティ構想につきましては、地元等と協働して空港及び空港周辺のにぎわいを創出することにより空港の利活用促進を図るとともに、空港周辺地域の活性化にもつながる新たな取り組みとして大いに期待されるところであります。
     そこで、空港及び空港周辺の魅力を最大限に高めるためのこの構想を受けて、今後県としてはどのようなスケジュールで具体的に進めていくのかお伺い申し上げます。また地元との連携をどのようにしていくのかあわせてお伺いいたします。
     次に、地域医療の確保についてであります。
     医師不足は全国的に大きな問題でありますが、先ごろ厚生労働省が発表した実態調査では、全国で不足する医師の数が約二万四千人にも上ることが明らかになりました。国では医学部の定員をふやすなどの対策を行っており、県においてもふじのくに地域医療支援センターを設置し医師確保対策の強化に取り組んでいるところでございます。このように国や都道府県などの行政が医師確保のための施策を展開することはもちろん重要ですが、一方で単純に医師をふやせばよいのかとの疑問の声が上がっているのも事実であります。
     ところで、地元の焼津市を含む志太榛原医療圏は人口が約四十七万人で、そこには一部事務組合を含めて市町が設置する自治体病院が四病院あります。そのベッド総数は二千床でありますが、平成二十一年度の病床利用率は平均で約七〇%であり、最も高い病院の九〇%から最も低い病院の三〇%までかなり差が出ております。医師を初め医療スタッフの人数は限られておりその限られた人的資源でいかに効果を発揮するか、そのための新たな枠組みが必要であるとする医療関係者の声もあります。
     これまで地域の基幹病院であった自治体病院が、多くの診療科を有する総合病院のまま存続してほしいという思いは住民にとって当然のことですが、昨今の医療の高度化、専門化に伴い、総合病院を維持するためには医師を初め多くの医療スタッフの確保が必要となっているのも事実であります。
     そうした中、地域の医療を守っていくためには、それぞれの病院が得意な分野に力を入れ他の病院や診療所との機能分担を明確にし連携を進めていくことが必要であり、このことが医療の質の向上につながり、住民にとっても医師を初めとする医療スタッフにとっても望ましい医療環境をつくっていくことと考えるところであります。
     そこで、地域医療を確保していくため、医療機関の機能分担を推進することについて県はどのような役割を果たしていくのかお伺いします。
     次に、新総合計画の推進に向けた県の体制についてのうち、組織改革の推進についてであります。
     地方財政危機に直面し地方行財政改革に取り組んで久しい今日、そのさまざまな効果があらわれつつある一方で、厳しい定員管理に取り組みこの十年間に職員採用を大幅に抑制した結果、官公庁は逆ピラミッド型の職員構成に陥り中堅職員はいつまでも日常的な業務に忙殺されるようになり、また職員のメンタルでの長期休暇も増加傾向にあることから、職員が疲弊し士気の低下を招いているとの指摘もあります。
     いかに迅速かつ効率的にすぐれたアイデアを考え実現し、厳しい地域間競争を勝ち抜いていけるか、まさに各地方における組織力の戦いが始まっております。少数精鋭と言われる現在の職員の能力を最大限に活用する一方、限りある人的資源を特定施策に重点化するなど施策実現に最適な組織体制をつくることが重要と考えます。
     本県にあっても、集中改革プランに基づく一般行政部門職員数の削減や国の省庁にならった業務の縦割りを改めた本庁組織の再編など、簡素で効率的な組織体制づくりに向けた見直しが行われてきたものと認識しております。しかしながら平成十九年度の本庁組織再編から三年が経過し、新しい地方の時代の到来や富士山静岡空港の開港など本県を取り巻く状況が大きく変化している中で、現在の組織体制で新しい行政課題に対し迅速かつ的確に対応することができているのか、組織のあり方を常に検証していく必要があると考えております。
     例えば、大くくり化された組織のほうが同じ部内で意思疎通がうまくいくということであったが、本当に大きな組織の弊害が出ていないのか、また空港部が解体されて一年、施設運用と利活用戦略がばらばらで別の部で行っており、本音でうまくいっていると言えるのか、また農林水産業の基盤整備と産業振興が別々で連携は大丈夫なのか、十分に分析し検討して最適な組織をつくり上げていくべきではないかと考えております。
     今後どう組織改革に取り組んでいくのか、所見をお伺い申し上げます。
     次に、専門職員の育成についてであります。
     かつて、日本の戦後の復興は、当時の通商産業省の職員が多くの中小企業を自分の足で回りさまざまな政策を立ち上げ、後の大企業への成長を縁の下で支えたと言われております。現在、我が県は厳しい産業構造の転換期を迎えており、県にあっても専門的で長い間継続的に業務に従事し精通した人材、いわゆるスペシャリストが必要であり、そうした人材を育成し配置する人事制度が必要とされるのではないかと考えております。
     現在、知事部局ではおおむね三年ないし五年で異動になり、本来専門性が大切な部分で素人化しているとの指摘も耳にします。長期に存在することで癒着が懸念されるような部門と、専門性が何より大切な部門が同じ異動ルールではおかしいのではないでしょうか。時代がより専門化、高度化、スピード化している中で、一部の都道府県では専門性の高い人材を育成するため産業、福祉など分野別人事を行っていると聞いております。
     新総合計画の推進に向けて、限られた人員で多様化、専門化する県民のニーズにこたえていくためには、県施策の各部門を将来にわたってリードしていくことができる高い能力と専門性を有したスペシャリストを育成していくことが不可欠ではないでしょうか。県の職員の人材育成について所見をお伺い申し上げます。
     次に、災害対策についてのうち、漁港の津波対策であります。
     特定第三種の焼津漁港は、水揚げ数量、水揚げ金額とも全国第二位を誇る水産拠点であり、カツオ、マグロ等を中心とした遠洋・沖合漁業の全国有数の水揚げ基地であります。遠洋カツオ一本釣り、遠洋カツオ・マグロまき網の属地生産量や遠洋マグロはえ縄の属地生産量で全国一を誇り、年間利用漁船数は四百隻以上、これら漁船の基地港は県内初め東北から九州に至る全国に及んでおります。
     このように日本の水産業の中心をなす本港について、県では現行の国の漁港漁場整備長期計画が終期を迎えることを受け、将来の整備、利活用の方向性を新たに示すマスタープランづくりを進めているとお伺いいたします。
     昨今の水産業は、少子高齢化の進行や魚価の低迷、資源数の低下などの影響を受けますます厳しさを増しております。このためマスタープランでは、将来の施設整備はもちろんのこと土地利用のあり方や東海地震発生時における津波対策という防災的な視点も加えながら、総合的な観点で焼津漁港の発展に向けた青写真として描いていくことが重要と考えております。
     中でも土地利用については、漁港だけでなく周辺のまちづくりと一体となった利用を地元市など関係者と協力してつくり上げていくことが必要だと思われます。また津波対策については、焼津港が日本の食卓を担う水産業の中心であり、大規模地震による津波の影響で水産業の受ける被害は私の試算では約三百五十億円にも上ると考えられます。これまでのように漁港背後の住民の生命財産を守るということだけではなく、漁船や漁業者を守り漁業活動そのものを継続させていくための対策、例えば津波の進入を水門方式の施設により港口で遮断してしまうような方法を計画に位置づけて、漁業労働者の安全・安心を確保していくことが不可欠ではないかと考えております。
     そこで、時代に即応し水産業を牽引できる漁港づくりを進めていくためにも、県はマスタープラン策定に向けどのように取り組んでいくのか、取り組み状況と今後の見通しについてお伺い申し上げます。
     次に、海岸に漂着する流草木等の処理についてであります。
     本県の海は変化に富んだ長い海岸線を有していることから、すばらしい景観と豊富な漁業資源に恵まれ、市民が共有できる豊かな自然環境として古来より人々の生活の場として密接にかかわり、地域の産業の発展に大変重要な役割を果たしてきております。
     一方で海岸には、台風や大雨の影響により河川上流域から流れ出た大量の流木やごみなどが漂着する被害がたびたび発生してきており、これら流木等の処理については、自治会やボランティア団体等による清掃活動のほか、県の補助事業であるなぎさ美化事業や流木等処理事業を活用し地元市町による清掃活動も行われているところであります。本年度の事業仕分けにおいては、河川や海岸の美化事業などを実施する自治会等の団体に補助する市町に対し補助金を交付する河川海岸愛護事業費助成の評価が「市町村で実施すべき」との結果でした。
     また、山と海とは密接な関係にあり、河川から流出する流木、ごみ等の発生を未然に防止し迅速かつ的確に処理するためには、河川上流域と下流域の地域がお互いに連携協力していくことが必要であります。そのために国、県、市町による出水による漂着物対策調整会議が、東部、中部、西部地域で設置されており、中部、西部については既に出水による漂着物処理に関する相互援助協定書が締結されていますが、東部地域については未締結となっております。
     本県の海岸に漂着する流草木等の処理について、事業仕分けの結果や協定の締結状況を踏まえ県として今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
     次に、教育行政についてのうち、児童の放課後対策についてであります。
     近年の少子化、核家族化の進行、また共働き等による親の就業形態の多様化等により、家庭や地域における子育て機能や教育力が低下傾向にあるなど、子供を取り巻く環境はますます深刻さを増してきていると実感しております。
     このような状況の中、国は、共働き家庭など留守家庭の小学校一年生からおおむね十歳未満の児童に対して放課後における児童の健全育成を図ることをねらいに、厚生労働省所管の放課後児童クラブの設置を進め、現在県内三十二市町で五百六カ所が設置されていると聞いております。しかし昨今の経済状況の悪化やそれに伴う共働き家庭のますますの増加、あわせて放課後児童クラブの活動場所や指導者の不足等により、放課後児童クラブに希望しても入所できなかった児童、いわゆる待機児童数は今年度三百人以上あったという実態であります。
     放課後児童クラブは、約七割が小学校の余裕教室や学校敷地内の専用施設、残りは公民館や児童センター等の公的機関、中には民間施設にも設置されているという状況にあります。このような中、国や県は大規模クラブの分割や新規クラブの設置を打ち出しておりますが、私は子供たちが安全に活動できるような新規クラブは学校やその敷地内に設置すべきだと考えております。しかし実際、学校内で運営されている放課後児童クラブでは活動場所が狭く、そこに多くの児童がひしめき合っている等恵まれない状況が多々あり、さらには学校側の理解が不十分なため活動に協力が得られなかった等の声も入ってきております。
     そこで、これら現状の課題を解決するために、教育委員会や学校はどんな協力をしていくべきだと考えているでしょうか。
     また、私は今後放課後児童クラブに入所を希望する児童はますます増加していくものと考えており、放課後等の子供たちの安全で健やかな活動場所の確保を図るさまざまな放課後対策は、一体として教育委員会が所管をし教職員の力も取り込んだ上で行うべきだと考えております。その解決策について制度改正等も含めた広い視点から見た上での教育長の所見をお伺いいたします。
     次に、総合的な学習の時間の推進についてであります。
     今回の学習指導要領の改訂により、確かな学力を確立するために必要な授業時数を確保することから、小学校低学年で週二こま、中学年から中学校では週一こま増加することになります。授業時数増の内訳を見ますと、小学校では六年間合計で算数が百四十二時間増となるのを初め、国語、社会、理科、体育でも時数が増加するとともに、新たに外国語活動が新設され五、六年生でそれぞれ七十時間の増加となります。また中学校でも三年間合計で外国語が百五時間増、その他にも国語、社会、数学、理科、保健体育で増加します。
     このように教科の時数が増加する一方、十年前の学習指導要領の改訂で生きる力の育成の目玉であった総合的な学習の時間は小中学校とも削減されることになりました。私は、総合的な学習の時間は各教科で学び身につけた知識や技能を活用しつつ、体験的な活動をしたり地域の人々とかかわり合いながら学ぶことで思考力や判断力、表現力をはぐくむとともに、コミュニケーション能力を高め子供をバランスよく成長させていくために大変効果のある学習だと思っております。
     また、総合的な学習の時間では子供たちが生活している地域をテーマとして学んでいる学校が多いと聞いています。これも総合的な学習の時間のとてもよいところだと思っております。地域を学ぶというのは、地域を愛し郷土を愛する心を育てることにつながり、さらには郷土をよりよくしていこうという態度の育成にもつながるものだと考えます。今回の学習指導要領の改訂を受け時数縮減となった総合的な学習の時間をどのように推進していくのか、教育長の所見をお伺い申し上げます。
     最後に、科学捜査の推進について警察本部長にお伺いいたします。
     県内の治安情勢は、警察を初め多くの関係者のたゆまぬ御努力により刑法犯認知件数が七年連続して減少するなど回復基調にありますが、いまだ凶悪事件の発生や振り込め詐欺等の弱者を対象とした犯罪が後を絶たないなど予断を許さない状況であります。
     こうした中、犯罪のスピード化や悪質・巧妙化が進むとともに、被疑者が犯行を認めないケースや証拠がなく犯人の特定に困難を極めるケースが少なくないと聞いております。県警では、今春県内の犯罪発生状況を勘案し警察署における鑑識体制を強化し、特に夜間等の時間帯における鑑識活動の強化を図ったとのことであり、あわせて近年ではDNA型鑑定が犯人を特定するための証拠として採用されるなど、捜査当局の大きな武器として活用されているものと承知しております。
     犯罪捜査を取り巻く状況は、個人主義、権利意識の高まりといった社会環境の大きな変化により、今後ますます困難を極めていくものと推察いたします。そんな中、警察捜査における最新の科学技術を活用した科学捜査の重要性や必要性が高まっているところではないでしょうか。
     そこで、県警は科学捜査の推進に向けてどのように取り組まれているのか、実際の検挙事例も含めて警察本部長にお伺いいたします。
     以上で質問を一たん終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中野議員にお答えいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、ふじのくにと道州制並びに将来の国の形についてでありますが、中野議員が拙著をお読みいただきまして、将来の国の形として森の洲、野の洲、山の洲、海の洲という、この構想を御紹介いただきましてありがとうございました。今もその考えに変わりはありません。
     これを実現するためには二つの大きな制度改革が求められます。一つは国の出先機関、もう一つは都道府県制度です。私は、広域行政を将来道州制としてこの国に導入していくに当たりましては、日本の国全体の経営のノウハウを蓄積してきた国の内政にかかわる省がそれを地域において活用する必要があるだろうということから、全国知事会におきまして国の出先機関の原則廃止という方針、これはまた民主党政権の御方針でもあるわけですけれども、私はこの方針に原則反対という立場をとっております。
     それからまた、全国知事会の中には広域行政を目指して地域連携を深めている地域がございます。昨今発足いたしました関西広域連合というのもございますし、また九州におきましては九州広域行政機構というものを発足させようという、そういう合意ができました。
     この広域行政にかかわる前提におきまして、府県を廃止しないという存立するという、そういう前提に立っているわけですね。私はこれはおかしいと思っているわけです。もし国の出先機関を原則廃止するということであれば、都道府県制度というのが国の出先機関ではありませんか。明治四年に廃藩置県におきまして藩が廃止されて県が設置されました。これは藩という地域分権のシステムを廃止して、国が任命する県令並びに知事というものに国の命令を実施させるためにつくったものです。つまり出先機関としてつくったものです。
     廃藩置県におきまして三府三百二県というのができました。京都府、大阪府、東京府、そして三百二の県です。府には府知事が置かれて県には県知事が置かれたわけです。三百幾つというのは多いということでその年の暮れには三府七十数県というふうに整理統合されたわけです。それ以降、現在の四十七都道府県になるには明治二十年代の初めまでかかりましたが、本県におきましては、明治九年、百三十四年前に浜松県と合併していわゆる静岡県というものが誕生したということです。そこに県令がおりてきた。この県令は内務省の命令を実施するための出先機関として存在したわけです。
     やがて、さらに整理統合が進みまして恐らく一番最後は香川県であったと思いますけれども香川県が成立して、そして国は四十七の府県として今日の原型ができました。東京府もやがてこれは戦時中に府と市との二重行政を解消するために東京都というふうになり、そして今日、戦後にはこれが引き継がれたわけであります。北海道も当初は開拓使だったわけですけれどもやがて北海道という形になってきたと。いずれもこれは中央政府の典型的な出先機関です。
     そして、戦後になりまして中央集権の中でこれを弱めるといいますか、これを反省して地方自治の趣旨にのっとって公選制になったわけですけれども、その仕事の実態は議員の先生方もよく御承知のように国から仕事をいただくと、国に陳情してその仕事をいただくということをしてきたわけですね。
     すなわち、例えば国土計画におきましては中央政府がおつくりになると。その計画に沿う形でそれを県レベルにおろしてきてそれを実施するということをしてきたわけです。これを二十一世紀の初めまでやってきました。したがいまして文字どおり陳情をするための機関として都道府県会館というような施設がつくられて、霞が関、あるいは国会議員の先生に会いやすいところで、官官接待であるとか議員の先生方に御説明をしていったということでございましょう。
     それが、自民党の小泉内閣のときに、この補助金を地方にやらせてみようということで省庁がその六千億分ぐらいだと任せられると言った。しかし補助行政は二十一兆円ですから、これじゃ余りにも少な過ぎるということで全国知事会ほか地方六団体に投げかけたところ、これは三兆円分できると言った。それを霞が関と族議員の先生と言われる国会議員の先生方が命がけで反対した。そのあとあたかも自分たちが地域主権の主役であるかのごときに国と戦うなどと言ってますよ。自分たちが立脚してる明治四年以来の百三十年以上の歴史ですね、歴史を見ると出先機関であることは明確です。ですから本来もし地域分権で国の出先機関の廃止ということを言うのであれば、都道府県制度の原則廃止を言わないとなりません。
     それから、国の内政にかかわる機関のうち出先機関を通して多くの省庁が広域行政をしています。これを敵とできますか。例えば中部地方整備局というのがあります。これが八・一一のあの大地震のときにTEC―FORCEをすぐに派遣してくれて伊豆全体を見てくれました。こうしたことは県だけではできません。広域行政やってないとできません。
     したがって、私は、国の出先機関に本県からも官僚になっている人たちがいます、東大出て官僚になってそして戻ってくる人もいるけれども、国の中で実際広域行政やってる人がいるわけです、その人たちの力を生かすことが一番大切だということで脱官僚でなくて活官僚でしょうと、官僚を生かすということが大事だというふうに申し上げているんです。
     ですから、国と戦うなんていうのは何という暴言であるかとさえ思っております。私は、国と協力をしてこの地域のため全体に、地域がよくなることを通して国全体が国力を上げていくということが、この国がすることであり地域がすることだということでありまして、出先機関に国の組織を思い切っておろすと、これはデボリューションですね――権限移譲をする、財源移譲をする、そして人材もそこにおりてくると、そして中長期的には都道府県制度をこれをなくしていくという自己否定をきっちり言わないで、おのれの身分だけを全部保証して国と戦って、権限とつまり仕事と金をよこせと言っていることの何ていいますか、厚かましさといいますか、そうしたものは目に余るというふうに思っている次第でございます。
     一方、三県サミットというのがございます。山梨県、本県、そして神奈川県。これで例えば昨年におきましては富士山がいつ噴火するかしれないということでそのための協定を結びましょう、あるいはことしの三県サミットにおきましてはEV――エレクトリック・ビークルですね、これのプロジェクトを推進しましょう、あるいはニホンジカの駆除に関しまして協力いたしましょう、あるいは国際空港として羽田に新しい滑走路ができましたのでそれを活用して観光誘致、客の誘致を図りましょうと、こうしたできることを一緒にしてまいりたいと思ってるわけです。
     しかし、これが一気に広域行政につながるかというと……。愛知県の知事はもう辞任を表明されました。長野県の知事はもう辞任されて新しい知事になってます。ですから知事がかわると全体の広域行政についての温度差も一気に変わるっていう面もありますし、例えば近畿ですら奈良県知事は参加していません。ですから知事がかわると個性が変わって、せっかく進んでいたものもぽしゃるという可能性もあるわけです。
     ですから、今のやり方につきましては余り感心はしてませんけれども、ともあれ牛歩ではあるけれども、前に――地域分権の方向に向かって進んでいるとは認識していますけれども、将来的な図について明確に言う方が周りにあまりいないので、私としましてはこのふじのくにをいわば日本の縮図と見立てて、市町と県との関係を国と都道府県の関係に見立てながら県の持っているいろいろな力を市町におろしてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
     続きまして、県から市町への権限移譲についてであります。
     基礎自治体である市町の自立性を高め、住民に身近な行政を総合的に担うことができるようにするには、権限移譲の推進が不可欠であります。今年度、新しい権限移譲推進のための計画を策定することにいたしまして現在その作業を進めております。
     計画の策定過程におきましては、特に権限を受け入れることとなる市町の意向を把握することが重要ですから、県及び県内の十の代表市町から構成される県・市町権限移譲推進協議会におきまして、権限移譲にかかわる協議を行っておりますほか、職員が県内の三十五の全市町を訪問いたしまして、権限移譲に対する考え方や受け入れ希望業務などにつきまして意見交換を行いました。
     その結果、市町から五十七法令七百二十九事務の移譲希望がありましたが、権限移譲のためには受け入れ事務の処理体制の充実が必要ですなどの意見が多く出され、来年度から県・市町の人事交流を拡大いたしまして、権限移譲に伴い新たに県職員を市町に派遣する措置を導入してまいりたいと考えています。
     県といたしましては、国における地域主権改革の一歩先を行くつもりで今後とも権限移譲とあわせて市町の自治能力の向上のための支援を行い、ふじのくににおいて地域が自立できるよう取り組んでまいります。
     次に、事業仕分けについてであります。
     事業仕分けは、県民の皆様に県の事業を広く知っていただき、県政への参加意識を高めていただく上で効果的であるというふうに思っております。皆様の御意見を直接聞くこともできますし貴重な機会であると評価しております。仕分けの議論が、効率的な予算の編成だけでなく効果的なよりよい事業へと進化させるきっかけになるとも考えておりまして、事業仕分けでいただいたさまざまな御意見も十分に踏まえた上で、それぞれの事業の見直しについて検討を現在進めているところです。
     その際には、総合計画に示された県の基本方針――政策とこれを実現するという大前提がございまして、またさまざまな意見や事実を考慮して事業化を行うために、事業仕分けでの判定結果そのものとは異なる判断をする場合も当然あるということです。
     そもそも事業仕分けは、次年度の予算編成を行う前段の作業として、さまざまな御意見をいただいて検討の参考とする手法であり、また議会という、この代表制民主主義のシステムをしっかりと維持した上で行う補完的な取り組みであるという位置づけは昨年来一貫しております。したがいまして事業仕分けの意見や結果の来年度予算案への反映に当たりましては、これまで担当部局の考え方を随時公表してまいりましたし、最終的にはチーム川勝、私が最終的責任を持って判断をした上で議会にお諮りをしてまいります。
     来年度に向けましては現在、事業仕分けの成果や議員から御指摘のありました点も含めて課題の検証を行っており、それらを踏まえて県民参加型の効果的な事務事業の見直しの手法について、新しい行財政改革大綱の策定を進める中で検討してまいりたいと思っております。
     ちなみに、余り役に立たなかったとおっしゃいましたが、昨年度三十一億円のいわば節約ができました。これが一つのプッシュ要因になりまして最終的に百八十七億円という大きな予算の節約ができたわけです。これは赤字補てんに充てずに必要なところにお金は回しましたけれども、現在のところでも十六億円余りの削減額がこの事業仕分けによって可能になっております。今後またこれを一つの弾みといたしまして、さらに節約に励んでまいりたいというふうに思っております。
     次に、環太平洋連携協定についてであります。
     このトランス・パシフィック・パートナーシップにつきましては、もちろん前史がございます。それから未来がございます。これはすぐに日本が自由化するというものではもちろんありません。向こう十年をにらみながら交渉をするということでございますから。ですから何かあしたから安い外国の農産品が市場に出回るかのごとくあおるのは、基本的に事実認識が誤っています。
     前段があると申しましたけれども、もともと環太平洋地域の共同体をつくろうと言ったのは自民党の大平さんでした。大平さんは首相であったのは一九七〇年代の末です。しかしそれを受けてこれを公式に提言したのは、御承知のように一九八九年、APECを提唱したオーストラリアのホーク首相でございました。これ以降アジア太平洋経済協力会議というのが行われるようになりまして日本もその一員であるわけです。
     そうした中で、その地域が一つの共同体、あるいは経済圏としてお互いが利益があるようにということで、それぞれできるところからFTA――フリー・トレード・アグリーメントとか、EPA――エコノミック・パートナーシップ・アグリーメントとか、こうしたものを結んでまいりました。特にそれが一番進んでいるのは御案内のようにASEANです。ASEAN六カ国、これは域内の自由貿易、それがこれで十カ国に広がっていきました。域内、ASEAN十カ国に発展していったわけです。
     さらに、そこと日本とは、例えばシンガポールとはそういう協定を結んでいます。さらにまたマレーシアとも、あるいは先ほど御紹介ありましたペルーともFTA結んでおりますね。あ、チリとですね。ペルーと今交渉中です。こうした中で全自由貿易に占める、日本がFTAつまり協定を結んでいるところとの貿易の割合は一六%です。しかし韓国にしろアメリカにしろEUにしろ、もうこれ二倍以上です。日本は自由貿易協定といいながら実際は非常に立ちおくれているということを、よく全体像をごらんくださるようにお願い申し上げたいと思います。
     それから中野議員、あれは平成三年ですか、牛肉、オレンジが自由化されたと。また細川内閣のときに米も部分開放したと。またかというふうに言われました。しかし牛肉、オレンジというものが実際に関税化されて日本に入ってきたといってどうなったでしょうか。
     牛肉は向こうのものはキログラム当たり幾らでしょうか。キログラム当たり五百二十円です。和牛の最高級は二千七百円です。並のものでもキロ当たりですが千八百五十円。一般のものでも乳牛の牛肉化したものでも千円と。つまり二倍以上なのです。それが平成二年のことでした。しかし今、輸入肉は三百三十七円、和牛はほとんど変わりません。しからば生産量、消費量は落ちてますか。これはごらんになりますと、もうそれは例えば神戸牛なりあるいは三ヶ日牛なりこうしたものと、いわゆるハンバーグにするものであるとかミンチ肉にするものと用途が違いますから、ですからこれをよくごらんになりますと消費量が減っていない。
     オレンジはどうでしょうか。あのときに入ってきたオレンジですか。そうしたものと日本の温州ミカンとは違います。ですから名前が一緒だから、即これで価格が安いものに駆逐されると思うのはこれは早計でありまして、そしてさらに米については、当初はいわゆるクオーター――数量で持ってくるというものでした。結果だれが買いましたか。古米、古々米になって最終的にだれも買わないので、飢えてる人があるのに政府はそれを倉庫に積み上げたまま、これはもう食べられなくなったからってこれはもう食べる食料米でないということで工業用として出した。それが食料に回されて事故米としてえらい大事件になりましたが、これも外米は食べると味覚という非関税障壁に遭って日本で売れないわけです。だから米においても今はそれを関税化しております。関税化しておりますけれども、それでもそういう日本の持っている、我々の持っている食文化というものとあわせて考えないと農産物についても簡単には言えない。
     ちょっと言葉が多過ぎるかもしれませんが、例えば農業が四兆円の打撃を受けるとそのうちの半分、二兆円は米だっていうことになってます。しかしその算定基準になっている米一キログラム当たり十年前の価格、今それのどのぐらいになってるでしょうかね、もう何ていいますか、三倍以上になってますよ。ですからいろいろと恣意的な数字が挙げられているということも含めて我々は実際、実態に即して十分に検証しながら、この地域の持っている農業の強さというものについてもあわせて臆病にならないでしっかりと把握して、何ができるかということを考えていくべき時期に来ていると思います。
     これは日本がアジア太平洋地域において生きていくのか、それとも鎖国をするのか、あるいは鎖国ができるのかと。私は、大平さん以来の日本が太平洋国家として生きていくという中で西太平洋津々浦々連合というのが生きる道だということで、小渕首相と御一緒にいろいろとそういう動きをお話をしたこともございました。彼が、いわゆる太平洋・島サミットですね、これを誘致して自分もその中に入ろうという動きを示されたのは、まさに日本は太平洋国家として生きるのがこの国の生きる道であると。
     我々はEEZで見ればアメリカに匹敵する、この国の今の領土の――国土の十二倍の大きさを持っているわけです。ですから我々は海のアジアだということで、海というのはこれはある意味で無主。そこは通行する、海洋資源はお魚ですから動き回ります。こうしたところに立脚した国柄を持っているので、そういう国柄に即して長い歴史の中で経済的にお互いにベネフィットが得られるような、そういうシステムを向こう十年を見ながら考えていこうと。これの交渉に参加しようというのを単に情報だけ提供するというふうに足を引っ張っている人もいますね。私は、もちろん情報収集なんて当たり前ですよそんなの、今ごろ何言ってるかっていう感じです。しかし交渉に参加するという方向に踏み出したのを評価しているということでございます。
     続きまして、富士山静岡空港の活性化対策についてのうち、まず利活用促進戦略についてであります。
     航空会社を取り巻く厳しい経営環境の中で、航空路線を維持、充実していくためには航空会社が負担する運航コストの軽減を図ることが重要ですから、着陸料や空港施設使用料などの軽減策について来年度から実施できるように検討を進めています。
     また、トップセールスを初めとする航空会社等へのプロモーション活動や旅行会社などと連携をいたしました誘客活動を強化して、台湾便を初めとするチャーター便の実績の積み重ねによる定期便化や上海路線の便数増、各路線の機材の大型化などにより、富士山静岡空港を拠点とした航空ネットワークの維持、拡充を図ってまいる予定でございます。
     空港の地域経済波及効果についての現在の調査状況と今後の対応につきましては、空港を利用した県民の利便性向上効果として、昨年六月四日の開港から本年三月末までの初年度の時間費用短縮効果が十七億九千万円と推計されています。
     また、産業連関表を用いて算出する県内の生産や雇用の誘発、税収の増加といった地域経済波及効果につきましては来年二月までに取りまとめ、その後県民だよりやホームページなどの広報媒体を初め市町の広報紙や民間団体機関誌への掲載協力を得ながら、速やかに県民にわかりやすい内容で公表し、空港に対する理解がより一層深まるよう積極的に広報に務めます。
     富士山静岡空港は、本県の将来を担う重要な社会的インフラでありますとともに今後ますます交流が進む東アジアとのかけ橋でもありますので、地域経済波及効果の一層の向上に向けて利活用の促進に全力で取り組んでまいります。
     次に、空港周辺地域のグランドデザインについてであります。
     富士山静岡空港の魅力を高める有識者会議での議論や地元検討会で出されました意見を踏まえて空港ティーガーデンシティ構想を取りまとめましたが、具体的に進めるに当たりましては、まず地元からの要望が強い石雲院展望デッキ、また空港ビルとそこを結ぶペデストリアンデッキを優先的に整備してまいりたいと考えています。
     また、エアポート楽座につきましては複数案が出ておりまして、今申しました石雲院展望デッキやペデストリアンデッキの利用状況の把握、あるいはお茶の郷などの周辺施設との連携方策を検討しながら、関係者の御理解をいただいて段階的に進めることにしております。
     これらを進めるに当たりましては、既に地元の方々と石雲院展望デッキの整備に係るワーキングを立ち上げています。富士見の会や初日の出の会の開催などにぎわいを創出するイベントの検討を始めているところでございまして、地元の皆さんの積極的な意欲を感じているところです。富士山静岡空港ならではの最高のもてなしも演出していただけるのではないかと期待を高めております。
     また、空の道、茶の道、風の道、海の道、この四つの道の周遊マップやスタンプラリーの開催、フィルムコミッションの誘致など、地元の皆様との協働により構想に位置づけられた事業につきましても、地域の魅力を旅客や見学者、そして地元の皆様に十分楽しんでいただけますように積極的な取り組みを展開して、空港周辺地域の活性化に努めてまいります。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 円高に対する雇用・経済対策についてお答えいたします。
     県では機動的な中小企業対策を実施するため、八月に続き十月にも、県内中小企業の円高への影響について、県内五十四の全商工団体と県内十六の金融機関に対して地元企業などからの相談内容の調査を実施するとともに、職員が企業等を直接訪問し円高対策状況や県や関係機関への要望等について聞き取り調査を実施いたしました。
     中小企業からは金融支援への要望が最も多かったことから、十一月十二日に開催した第二回静岡県経済産業政策会議において、資金需要が高まる年末、年度末に向けて県制度融資の経済変動対策貸し付けの融資限度額五千万円を八千万円まで拡大し、あわせて新たな融資枠として緊急円高対応枠百億円を設定することを決定しました。
     また、販路拡大への支援や専門家派遣への要望も多かったことから、今後県内や首都圏などで開催される十三の展示商談会への出展を支援するとともに、専門家派遣の要望にはできる限り対応するなど、年度末に向けて切れ目なく中小企業対策を実施するほか、十一月二十六日に成立した国の補正予算のうち関連する部分につきましては今議会に追加提案するよう、現在準備を進めているところでございます。
     雇用対策につきましては、国が補正予算に組み込んだ緊急雇用創出のための交付金を活用し、さらに年度内に民間提案の公募を実施するなど、引き続き全庁を挙げて雇用創出に取り組んでまいります。さらに年末、年度末に向けて、就職支援策や就職相談機関の情報が求職者に伝わるよう広報を集中的に実施するとともに、県の求人開拓員が引き続き毎月約四千社の県内企業を直接訪問し雇用の掘り起こしを行うなど、効果的な雇用対策を実施してまいります。
     次に、企業の本社機能誘致の取り組みについてであります。
     本県では、産業の高度化、活性化及び雇用の創出を図るためこれまでも積極的に国内外の企業の誘致に取り組んでいるところであり、リーマンショック以降企業の設備投資意欲が大きく減退する中にあっても本県の立地の優位性が評価され、平成二十二年の上半期では立地件数が全国三位と上位に位置しております。
     今年度になっても厳しい経済環境が続いており新たな産業構造の構築が求められていることから、新しく首都圏において環境関連、食品、医療用機器などの成長が見込まれる産業分野の企業を中心に企業訪問を行い、本県の産業支援策や立地の優位性を紹介し企画責任者との信頼関係をつくり、現在情報提供など積極的な誘致活動を展開しているところであります。
     議員御指摘のように、本社機能や研究開発部門などの企業の中枢部門の誘致は、地域経済の活性化に結びつく重要な産業施策であると考えております。今後も成長が期待される分野を中心に、国内外の企業が本県に立地しやすいよう進出に係る用地の紹介や事業所設立の支援をワンストップで迅速に行うとともに、国におきましても本社機能等の国内立地を促進する方針でありますのでこうした新たな施策も活用し、企業の中枢部門の誘致にも積極的に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 農業農村整備の今後の取り組みについてお答えいたします。
     本県の農山村は、地域それぞれに四季折々の美しい自然、かけがえのない固有の特性を持つ農地や水、農村景観等の資源のほか、共同活動や生産活動の中で培われてきた相互扶助の精神を伝える集落があり、「住んでよし 訪れてよし」の富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進める上で、大変重要な地域であると認識しております。
     しかしながら、この地域は農業所得の大幅な減少、担い手不足の深刻化、価値観の多様化によるコミュニティーの脆弱化等の厳しい状況に直面しております。こうした地域を再生し次世代に確実に継承していくためには、農業者が誇りと希望を持って生産活動にいそしむことができる環境を整備するとともに、人と人とのつながりを深め豊かな人間性をはぐくむことのできる地域社会を形成していくことが重要であります。
     県といたしましては、ビジネス経営体等を核とした生産構造への転換、食と農を軸とした新たな産業や雇用の創出、さらには生産活動と食材使用との一体化、そしてふじのくにの食の都づくりにつながる基盤整備を推進するとともに、多様な主体の参画を得て実施される農地や農業用水等の資源保全活動を新たなコミュニティーづくりの契機として支援し、県民全体で支える美しく品格のある農山村の実現を目指してまいります。
     次に、災害対策についてのうち、まず漁港の津波対策についてであります。
     津波対策を含めた焼津漁港の将来のあり方につきましては、本県の水産業を牽引する総合水産都市焼津の活性化を推進する上で極めて重要であることから、現在平成二十二年度中を目途に焼津漁港マスタープランの策定に取り組んでいるところであります。
     このうち、重要な検討項目の一つである土地利用につきましては、都市部と近接した内港の再開発や外港の巨大な背後地の有効利用を図り、漁業活動のさらなる発展や水産分野の六次産業化の推進はもとより、周辺のまちづくりと一体となったにぎわいづくりの実現に向け、焼津市や漁業関係者などと協議を進めております。
     また、もう一つの検討項目である津波対策につきましては、議員御指摘の漁船や漁業施設の防護の視点も大変重要ではありますが、現時点では確実性や技術的完成度などが不確定であり、必要性の検討に加え実現可能性も十分見極めつつ総合的に勘案していく必要があると考えております。
     県といたしましては、今後とも地域住民や漁業関係者等との意見交換を踏まえつつ、焼津漁港の国際競争力の強化とふじのくにの食の都づくりを支える水産物づくりに寄与するよう取り組んでまいります。
     次に、海岸に漂着する流草木等の処理についてであります。
     海岸に漂着する流草木等は、良好な景観や多様な生物の生態系などの海岸環境を悪化させるのみならず、漁業、海上交通、レクリエーション活動などに悪影響を及ぼすものでありますことから、県は海岸管理者として市町や地域住民と連携して流草木等の迅速かつ適切な処理と発生の抑制に努めております。
     本年度の事業仕分けでは、これまで流草木の処理に貢献してきました河川海岸愛護事業費助成が「市町村が実施すべき事業」と判定されましたが、県が補助することについては御理解をいただいておるため、今後も県の役割を明確にした上で引き続き事業を続けていくことにしております。
     また、東部地区におきましても中部・西部地区と同様に、大量に発生した流草木を迅速かつ適切に処理することを目的に、関係市町の理解を得つつ処理施設の相互利用を可能とする協定書の締結に向けた調整を進めてまいります。
     県といたしましては、流草木の発生源となる河川上流域から海岸までを一体の地域ととらえ、地域間の広域的な相互協力体制を強化し良好な海岸環境の保全に推進をしてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 石川健康福祉部長。
           (健康福祉部長 石川俊一君登壇)
    ○健康福祉部長(石川俊一君) 地域医療の確保についてお答えをいたします。
     医師不足が厳しい中、県といたしましても、医療機関の機能分担と連携強化は、地域医療の確保にとって、また県民にとって質の高い医療を提供するためにも必要不可欠であると認識をしております。
     県内では中東遠医療圏で、市立病院の老朽化や医師不足などの問題を抱えていた掛川市及び袋井市が地域医療の再生のため新たな拠点病院としての統合を計画する一方、志太榛原医療圏では、一部の病院の診療機能の低下から二次救急医療機関に大きな負担がかかり、救急医療体制の再構築が必要となっておりました。
     このため、県では昨年度これらの医療圏を対象といたしまして地域医療再生計画を策定し、市立病院の統合による機能強化や救急医療体制確保のための初期救急医療機関の充実による機能分担の推進など、地域医療を確保するための地域の動きを積極的に支援しているところであります。
     県といたしましては、県内の各地域医療協議会を中心とした地域の取り組みを促進し、まずはがん、脳卒中等の主要な疾病や救急医療、周産期医療など特に医療連携が重要な事業を中心に、地域のそれぞれの医療機関の専門性や得意分野を生かしながら機能分担を進め連携体制の構築を図ることにより、引き続き地域医療を確保してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 新総合計画の推進に向けた県の体制についてのうち、初めに組織改革の推進についてお答えをいたします。
     本県におきましては、平成十七年度以降本庁組織の大くくり化や出先機関の統廃合などによる組織の簡素化や能率化に努めるとともに、県政運営の基本理念である富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを戦略的に進めるため、県政の重要課題に対応した効果的な組織体制を目指し新たな総合計画も視野に入れつつ、本庁組織を八部とするなどの組織改編を行ってまいりました。
     機能別に大くくりした部につきましては、所掌事務が広範となり部長の責任もより重くなりましたが、それまで複数の部で調整してきた施策を集約したことから、業務の効率的執行や迅速な意思決定が図られているものと認識をしております。また複数部局が関係する行政課題に対しては、例えば新たな農業ビジョンについては経済産業部、交通基盤部及び文化・観光部で協力して策定作業を進めるなど、中核となる部局を中心とした全庁的連携の強化に努めているところです。
     しかしながら議員御指摘のとおり、現下の厳しい財政状況のもと厳しい地域間競争を勝ち抜いていくためには、常に機能的かつ能率的な行政運営に努めていく必要があると考えております。したがいまして今後も富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現のため、現場の声を取り入れながら不断の検証を重ねつつ、新しい総合計画に掲げる重要施策実現に最適な組織体制を目指して改善を図ってまいります。
     次に、専門職員の育成についてであります。
     行政に対する県民ニーズが多様化、専門化していく中で、限られた人員で時代の変化に即応しより質の高い行政運営を行っていくためには、職員一人一人の意欲、能力を最大限に引き出し高め、活用していくことが必要であると考えます。
     このため、本県におきましては平成十七年度から、職員が主体的なキャリア形成意識を持ってみずからの能力開発に取り組み、その自己研さんの成果や意欲を反映した人事異動を行うことを基本とする長期人材育成システムを取り入れ、専門性の高い職員の育成に努めてまいりました。
     また、特定の分野で専門的な知識を高め将来はその分野のスペシャリストとして活躍したい意欲のある職員を募る専門コース別公募制度に加え、本年度からはこれまでの業務経験やキャリアプランを踏まえ、みずからの意欲、能力を最大限に発揮できると考える配属先及び業務内容を自由に応募することのできる自己申請型の職の公募制度も新たに取り入れたところであります。
     さらに、明確なキャリア意向を表明している職員については、その意欲、勤務状況並びにその時々の組織の事情等を総合的に勘案をし五年の異動年限にかかわらず弾力的な取り扱いを行うなど、今後とも職員の意欲と能力を最大限に高める人事施策を通じて、ふじのくにづくりを担う高い専門性を有した人材の育成に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに児童の放課後対策についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、放課後児童クラブの設置場所につきましては、利用する児童が安全に活動場所まで移動できるという安全面の確保が最も重要であるため、学校敷地内への設置が最適と考えております。本年五月に実施しました国の調査によりますと、学校の余裕教室と学校敷地内専用施設を活用したいわゆる学校内実施の割合は、全国平均が約五〇%であるのに対し本県は約七〇%と高い実施率であり、また学校内実施の箇所数も年々ふえている状況であります。
     県教育委員会といたしましては、学校内での児童クラブの運営には学校の理解を得ることが必要不可欠であるため、今後市町教育委員会を通じて一層の理解を深めるとともに、施設、備品の弾力的な利用など柔軟な対応を働きかけてまいります。
     また、放課後子ども教室と健康福祉部が所管する放課後児童クラブとの連携は大変有効であるため、引き続き協働して取り組むとともに、現在国で進められております子ども・子育て新システムの検討の動向にも注視しつつ、児童の放課後対策の一層の充実に努めてまいります。
     次に、総合的な学習の時間の推進についてであります。
     総合的な学習の時間は、今回の学習指導要領改訂により時数は縮減されましたが、新たな章として独立し、各教科、道徳、特別活動と同様、大切な教育活動であることが明確に位置づけられました。
     本県における総合的な学習の時間では、地域をテーマとした学習を進めている小学校が九割以上、中学校が七割以上を占め、議員御指摘のとおり、体験活動等を通して地域の人々と触れ合い地域のよさを学ぶことにより、郷土を愛する心の育成にもつながっております。
     また、例えば昨年八月十一日に発生しました駿河湾沖を震源とする地震を教材として、そのメカニズムや防災対策を総合的な学習の時間で学ぶことも、静岡県の子供たちにとって大変意義のあるものと考えており、新総合計画の中でも地域の自然、歴史、文化、産業など特色を生かした地域学習を推進することとしております。
     県教育委員会といたしましては、子供たちが地域学習などの探求的な学習の成果として、みずから学びみずから考える姿勢を教科の学習やさらには生活場面にも発揮することができるよう、推進役となる教員を対象とした研修の実施や資料の活用などを通して、総合的な学習の時間の一層の充実を図ってまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 科学捜査の推進についてお答えいたします。
     まず、科学捜査推進に向けた取り組みでありますが、科学技術が急速に発展する一方でコンピューター、携帯電話等の電子機器があらゆる犯罪に悪用されるなど、犯罪の質、量に大きな影響を与え、また権利意識の高まりなどから県民協力の確保が困難になるなど、警察捜査を取り巻く環境は厳しさを増しております。
     このような情勢に対処するため、科学捜査力の強化は重要でありますので、最新のDNA型鑑定機器の整備、犯罪関連情報を分析する情報分析支援システムの導入、犯人像を推定するプロファイリングの実施、体制の整備や人材の育成等、従来の捜査手法に加え最先端の科学技術を活用した犯罪捜査の高度化に努めております。
     次に、実際の検挙事例についてでありますが、平成十六年に発生した沼津市宮本における殺人事件では、DNA型鑑定によって被疑者を特定し発生から四年半が経過した昨年五月に逮捕しております。また昨年から伊東市内で連続発生しておりました強盗強姦事件では、情報分析支援システムとプロファイリングの活用によって被疑者を割り出し本年五月に逮捕するなど、大きな成果を上げているところであります。
     県警察としては、捜査環境が今後ますます困難化すると思われる中、事件解決に必要不可欠な客観的証拠を収集するため、今後とも日々進歩する科学技術を捜査活動に取り込み、たゆまぬ努力を続けてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 三番。
           (三番 中野弘道君登壇)
    ○三番(中野弘道君) それでは数点、再質問及び要望をさせていただきます。
     まず、事業仕分けについてです。
     総合計画の骨格に照らして知事が最終的にチーム川勝で判断をして、不要、不要じゃないことを判断するということで多くの削減効果があるという御説明をいただきました。基本的に基本計画の骨格に照らしたり、それから細かいことはもう部局でやってなくっちゃいけないわけで、また今回新しく県民参加型にするというふうにおっしゃっていて拡大をしていきたいということでございますけども、補完的な取り組みだということで、基本的に先ほど申しましたように職員のほうがもう一度やり直すやり方ではなくって、もう最初からその前からちゃんとやるべきことではないかなっていうふうに考えているんで、やり方を根本的にどのような形がいいかもう一度議論をし検討すべきではないかと考えています。事業仕分けではなくて何か県民県政施策意見交換会で意見を取り上げていくような感じの方法に、今なっているのではないかというふうに考えています。これがどうかということです。
     それと、TPPのことに関してですけど全品目について完全撤廃が原則のTPPです。知事はもうおわかりでしょうけど、国民合意が得られるまで時間をかけて検討することが重要と考えています。先ほどの御回答ですぐにじゃなくて十年先を見てちゃんとやっていくんだよということで、知事も今度委員に選ばれたということで食と農林漁業の再生実現会議に参加するということで、地元の知事が参加するということで非常にうれしくは思っていますけど、その中の検討項目の素案の中にも、持続可能な経営実現のための農業改革のあり方をまずやろう、そして農林水産業の成長産業化のあり方をちゃんと考えてやろうっていうことの後にTPPがあるという議論をやっていこうという趣旨だというふうに考えています。
     そんな中で、知事が発言なさったのは、報道の伝え方が悪いような感じがありましたけど、非常にこの辺は農林水産業の方が敏感でありまして、そうじゃないよというふうに知事はおっしゃったんで、これで皆さんにちゃんと我々も言っていかなくてはいけないんですけれども、とにかく国民合意が得られないままの開国というですか、TPPで、とにかく全品について完全撤廃をしていくというのが軽々に行われてしまうというふうな気持ちになってしまっているということでお聞きしたわけで、その辺をまた会議に知事も参加していくわけで、じっくりと国民合意が得られる、本当に多様な形で今、農林水産業たくさんの形態がありますんでなるべくその衰退のないように、振興等を損なわない施策を、議論をお願いをしたいと思っております。
     また、津波対策ですけれども何を守るかということが一番主だと思います。総合的にいろいろ検案していくということでありましたけども、やっぱり第三種の焼津漁港をどのようにして守っていくか、何を守っていくか、もちろん市民の安全でしょうけど、その水産業を守っていくためにはきっちりとした対策を練っていただきたいというふうに思います。これは要望でございます。
     以上です。よろしくお願いいたします。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 二点御質問がございました。
     まず、事業仕分けについてですけれども、これは行財政改革の一つの手法でございまして、静岡式事業仕分けというふうに銘打っておりますけれども、進化していくものだというふうに考えております。
     しかし、これは県の施策について県民の方と意見交換するというものではなくて、特定の事業について前もって資料を担当の仕分け人に配付し、よく調べていただいた上で短時間のうちにその仕事の本来的な意味、コスト、ベネフィット等を集中的に議論をすると、しかもこれは公開でやると。そして最終的に判定までするということで、なかなか仕分けされる側としてはつらいものなんですけれども、例えば最近わかったことでは――二回目の仕分けでわかったことは、周りにいる方の意見と判定人がする意見と変わらないというようなことがわかっております。ですからせっかく参加していただいている県民の方々にも、判定人になっていただけるだけの力があるということではないかと。事業仕分けについてやりとりするのは担当者と、それを前もって資料を調べている判定人ではありますけれども、最終的判定は必ずしも判定人が――仕分け人がやる必要もないだろうというようなことですね。
     さらにまた、どうしてもいわゆる議会におけるこの予算の決定のやり方、あるいは本県から出してくる事業について、従来のもののパターンにのっとるという面がありますので、これは全く違う視点から見直すという面もあるかというふうに思いまして、公開の中でそれぞれの事業について見直すというのは大変啓蒙的な意味もあるし、実際的効果もあると思っております。
     例えば、たばこ対策推進事業というのはこれは「不要」とされたわけですが、よく考えてみるとパンフレットを配るだけだというようなことなんですね。私はともかく人に迷惑かけないことが大事だと、たばこ、喫煙にかかわらずですね。そうすると一体これは本県においてはどういうところから本当に意味のあるそういうマナーというものをつくれるかといったら、大石君という小学生が一人で始めたことです、それがWHOで表彰されるまでになったということであれば、大石君方式のようなそういう勇気ある少年少女というものが生まれるのが望ましいと。
     自分がぜんそくだと。それが周りで喫煙されたために本当に苦しい思いをして、これをほかの人たちに及ぼしたくないというところから立ち上がったわけですね。こういう経験をたばこだけでなくて、皆しなくちゃいけないと。人に迷惑かけるようなことはしないでおこうということで、大石君方式としてやるとなれば、これは健康福祉部ですかと、いやむしろ教育委員会だろうということで、そちらとあわせて今プログラムが組み直されています。そうしたことも含めて受動喫煙防止というのはよくわかっていながら、そのやり方などについて事業仕分けの結果、全く違う部局が担当するということになったものもございます。そういうわけで来年度もさらに静岡型として定着するまでやってまいりたいというふうに思っているわけです。
     それから二つ目のTPPにかかわることですけれども、第一回の食と農林水産業の再生にかかわる委員会が本会議初日に行われて、それと重なったので私は出席することができなかったわけですけれども、まさにその委員会の名称があらわしてますように、日本の食、それから農林水産業、これをどう再生するかという、文字どおりその再生を必要とされているという認識を持っております。食は食育の問題で、あるいはその自給率の問題、あるいはその自給率を支えている哲学についても、それから今日の農業における三十九万ヘクタールという遊休地がある。本県だけでも一万二千ヘクタールもあるということ、後継者がいないと。林業においてはもっとすさまじい自給率の低下が起こっているということ。これを放置しててどうするのだということがございます。
     ですから、今この時点で、ほとんどの農産品については影響を受けません。大きくは米とか乳製品ですね。大きく受けると言われているのが米です。しかしこれはよくわかりません。本当に受けるかどうか。実際、国内でやるべき施策、相当あると思います。この時点で今までの農政を一から見直して、本当にこのような形で第二種兼業農家――今そういう言葉はもう使わなくなったようですけれども――そういう第二種兼業農家的な本当に本気で農業をやってる人たちでない人たちが特定の公保護を受けているような形で、本当に日本の食は守れるのかということがございますね。
     そういう問題も含めて私は、もうこれを逃すと日本の農業は、林業は、これは衰退の道から戻れなくなるのではないかとすら思っております。ここで目を覚ますためにも食と農林水産業の再生。これは私の公約でもございました。食と農の再生というのがそうでございました。そして今これをやっているのがまさに第一次産業のルネッサンス、食材の王国。これは実は日本全体としてはそうなんです。たくさんの魚介類、あるいは農産物に恵まれております。そうしたものをもう一度見直すということを静岡県ふじのくににおけるモデル事業としてやるということですね。
     先ほど森山部長のほうからも言いましたが、農業基盤、農村基盤をしっかり支えることは、農業農村の多面的機能をしっかり認識した上で食の都づくりに結びつけるということを言いましたけれども、まさに食材の王国を食の都として皆様方に味わっていただけるような文化をつくっていけば、これはそう簡単に安いからといって入ってこれるものではありません。文化というものの持つ力というのは相当なものがございまして、日本が明治の初めに文字どおり自由貿易の真っただ中に放り出されました。明治時代すべて自由貿易です。これは関税自主権を持てなかったわけで保護関税を設ける権利を条約上奪われてたわけですね。その中で日本は発展したわけです。ですから初めてのことではありません。
     さらに言えば江戸時代、三百諸侯がいました。三百諸侯の間でお互いに保護関税がありましたか。肥後藩と薩摩藩との間に保護関税なんかありません。物は行き来します。それぞれの物品を大阪に持っていく、江戸に持っていく、そこで競争するわけです。負ければじゃあ自分のところは芋でいこう、お砂糖でいこう、陶磁器でいこう、お茶でいこう、ミカンでいこうということでそういう競争をしている経験を持っているんです。言ってみれば、日本に三百、今全世界に二百弱の国がありますけれども、ある意味で国内で国際競争をやっていたと。藩というのは国というふうに言われましたが、そういういわば大阪はアメリカみたいなものですね。江戸は国際連合みたいなものです。そうした中でそれぞれの地域が、域内において楽市楽座はもう安土桃山時代にしっかりあって、制度的にいわば関税は撤廃されたわけです。そうした中でやってきてる。そして今度は国際的に勝負されたときに、日本の米も日本の農産物も海産物も、お隣の韓国からあるいは中国から東南アジアから何が来ようと、それに耐えてといいますか、それに堂々と打ち勝ってそして発展してきたものでございます。
     そして、よくごらんになりますとほとんどのものが自由貿易になっています。関税も肉もだんだん下がってきてます。輸入品の価格が安くなっているのはそのせいです。消費量が減ってるのは一見、競争に負けているかのごとくに結びつけられやすいんですけれども、それは一方で日本の食べるものの種類が多くなっているので減っているという面もございます。
     ですから、日本の食文化という観点からそれをしっかりとつくり上げていくと。文化の基礎は食にあるというぐらいしっかりとその食の重要性を認識した上で、日本の第一次産業が世界一であるということを改めて再認識して、多くの人々にそのよさを知っていただくと。
     大体、韓国でうちの製品が食品の中で二倍、三倍の価格で買われてるんですから。ですからすべてのものは価格、品質、これで両方で勝負です。品質において私は本県は負けない、言いかえると日本は負けないと見てるわけです。負けるような地域、あるいは負けるような場所については所得補償ほか、こういうEUとかアメリカがとっているやり方があります。負けるものをそのまま放っておくということを言ってるのではありません。ですからやり方は幾らでもある。しかし本県の持っている、競争力を持っている物産について、弱いと思って見ている見方についてこれを目を覚ましていただく必要があるだろうというふうに思っている次第でございます。どうもありがとうございました。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで中野弘道君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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