本会議会議録

質問文書

平成29年９月静岡県議会定例会 質問

質問者：
山﨑　真之輔 議員

質問分類
代表質問

質問日：
09/25/2017

会派名：
ふじのくに県民クラブ

質疑・質問事項：
１　次期総合計画について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1) 知事マニフェストの具体化　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2) 隣県・他県との連携　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
２　静岡県の情報戦略について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
３　ＮＰＯ施策の推進について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
４　「命を守る」危機管理について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　九州北部豪雨を踏まえた今後の河川整備のあり方　　　　　　　　　　　
５　「暮らしを豊かに」について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1) 新産業の創造　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2) 中小企業支援　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3) マーケティング戦略　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
６　「福祉の充実」について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1) 子供を産み育てやすい環境の整備　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2) 児童虐待への対応　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(3) ヘルスケア対策の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
７　本県観光の将来像について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1) 今後のＤＭＯの方向性　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2) マリンスポーツを初めとする地域資源を生かした浜松・
　　浜名湖地域の観光地域づくり　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
８　グリーンインフラの概念を取り入れた今後の公共事業の推
　進について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
９　教育行政について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(1) これからの静岡県の教育　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　(2) 時代を見据えた教員の育成　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
10　運転中のながらスマホへの対策について

○副議長（山田　誠君）　ただいまから会議を再開します。
　質疑及び一般質問を続けます。
　通告により、二十三番　山﨑真之輔君。
　　　　　　　（二十三番　山﨑真之輔君登壇　拍手）
○二十三番（山﨑真之輔君）　私はふじのくに県民クラブを代表し、当面する県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事及び関係部局長並びに教育長、警察本部長に一括質問方式にて質問いたします。
　初めに、次期総合計画についてのうち、知事マニフェストの具体化について伺います。
　知事は、六月の選挙期間中県内各地の現場をくまなく訪れ命を守る安全な地域づくりを第一とし福祉の充実や暮らしを豊かになどを柱とする政策ビジョンを広く県民に訴えかけ、多くの皆様からの支持により再任を果たされました。それから約三カ月が経過し、先月二十三日の総合計画審議会では現在の後期アクションプランの総括評価とあわせ次の十年間に向けた次期総合計画の基本構想の概要（案）が提示されたところであります。次期総合計画については本年度中に策定を進めていくこととされていますが、マニフェストは県民との約束でありその重要性は過去にマニフェスト大賞を受賞された川勝知事だからこそ深く認識されているはずです。
　そこで、知事選で掲げた政策ビジョンを今後どのように反映させていくのか伺います。
　また、知事は富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを県政の基本理念に掲げ特に文化や教育、地域外交など特色ある地域づくりを進めてこられました。こうした取り組みにより世界クラスの資源、人材群が次々と明らかになるなどこの八年間の実績は確かなものと評価していますが、それを踏まえ選挙後の記者会見では経済政策に軸足を移すと述べられ次期総合計画（案）の表題は人づくり・富づくりとされています。
　また、六月議会における我が会派の代表質問に対しては「今後の県政運営に当たっては、富をつくる経済政策に力を入れたい」とも答弁されました。景気は緩やかな回復基調が続いている一方、県内企業の七割以上が人手不足に直面するなど本県を取り巻く社会経済環境は刻々と変化しています。
　こうした状況を踏まえ、政策ビジョンで掲げた暮らしを豊かには今後次期総合計画を策定していく中でどのように具体化していくのかあわせて伺います。
　次に、隣県、他県との連携について伺います。
　こちらも、六月議会の我が会派の代表質問において次期総合計画における県の中の圏域づくりの方向性について質問したところ「各地域の特色や課題を踏まえた地域の将来像などについてさまざまな御意見をいただきながら議論を深めていく」との御答弁をいただきました。
　そして、先日示された次期総合計画の基本構想の概要（案）の中では県内の地域づくりの方向性については四つの圏域が設定され、また県境を越えた地域との連携も促進するとして環相模湾、環富士山、環南アルプス、三遠南信が例示されています。
　一方で、隣県、他県などの県境を越えた地域との連携については六月の知事選の折、三遠南信道路、新東名高速道路で本県とつながる愛知県の大村秀章知事が川勝知事の応援演説に駆けつけ「スクラムを組んで東海連合で日本を引っ張る」と本県との連携を大きくアピールされました。
　また、小池百合子東京都知事も応援演説で二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックでの協力を確認するとともに、その際の小池都知事の提案に基づき先月二十八日から東京都庁職員食堂で本県など八道県の御当地食材を使ったランチメニューの提供が始まったところでもあります。
　このように、隣県、他県とウイン・ウインの関係を築くことやそれぞれが連携することで、さまざまな場面での本県の存在感を高めていくことは極めて重要であると考えます。
　そこで、隣県、他県などの県境を越えた地域との連携を県として今後どのように進めていこうと考えているのか伺います。
　次に、静岡県の情報戦略について伺います。
　本県では、平成二十五年度に静岡県情報化基本計画新ふじのくにＩＣＴ戦略を策定し平成二十六年度から平成二十九年度まで総合計画のＩＣＴ分野の計画として県の情報化を推進してきたと承知しています。一方国では平成二十八年十二月に官民データ活用推進基本法が制定、施行され、同法に基づく世界最先端ＩＴ国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画では全ての国民がＩＴ利活用やデータ利活用の便益を享受し真に豊かさを実感できる社会の実現を目標としています。
　最近では、人工知能やビッグデータ、ＩｏＴといった最新のＩＣＴが毎日のように報道されこれらの技術が病気の診断や農産物の管理などにも活用され始めたと聞いています。さらに急速な少子高齢化への対応、多発する自然災害対策、エネルギーのあり方等将来的かつ中長期的な課題の解決のためにこれらのＩＣＴを活用することは非常に重要であり、それを官民挙げて推進していこうとする国の考えには大きく賛同するところであります。
　県では、こうした状況を踏まえ新たな総合計画の策定に合わせ今年度中に高度情報化基本計画の見直しを行うと聞いていますが、本県の情報戦略の今後の方向性をどのように考えているのか、県の所見を伺います。
　次に、ＮＰＯ施策の推進について伺います。
　かつて、民主党政権時代に新しい公共という概念が打ち出されました。これにより市民、ＮＰＯ、企業などが積極的に財、サービスの提案、提供主体となり、教育や子育て、まちづくり、介護や福祉などの身近な分野において共助の精神で活動を行う新しい公共を支援するため、国の公共支援事業交付金を活用した新しい公共の担い手となるＮＰＯ等の基盤強化のための事業が全国で展開をされ多くの関係者に好意的に受けとめられていたことを思い出します。
　その後、政権交代に伴い国の事業は継続されませんでしたが、近年人口減少、少子高齢化、子供の貧困など社会課題がますます多様化、複雑化する中で行政だけでなくＮＰＯ法人や企業、地域住民等が積極的に地域で公共的サービスの担い手となり持続可能な地域づくりをしていくことがますます重要となってきています。
　そのような中、現行の総合計画後期アクシヨンプランにおいても県は地域が自立できる行政体制の整備や民間事業者の創意工夫、多様な主体との協働を進めることにより県民サービスの向上を図り市町や民間と連携した行政運営を推進することとしています。
　とりわけ、行政の手の届かない課題に着目し住民目線で地域のさまざまな活動を行うＮＰＯ法人の存在意義は極めて大きいものであり、またそのＮＰＯの活動を支援する県内の東・中・西で活動されているふじのくにＮＰＯ活動センターは中間支援組織として重要な役割を担っているとともに行政からも頼られる存在となっているようであります。しかし今年度のＮＰＯ関係予算は縮小されており今後もそうした傾向が続けばＮＰＯ法人の活動に影響がないか懸念されるところであります。
　そこで、ＮＰＯを取り巻く社会環境の変化やその役割の重要性に鑑み、県は今後ＮＰＯ活動への支援をどのように推進していこうと考えているのか伺います。
　次に、命を守る危機管理についてのうち、九州北部豪雨を踏まえた今後の河川整備のあり方について伺います。
　近年、全国各地で豪雨による水害が発生しているのは周知のとおりで、テレビや新聞でも数十年に一度の豪雨や時間雨量百ミリといった報道を頻繁に目にするようになりました。
　本年も、七月五日から六日にかけての九州北部豪雨では線状降水帯による局地的な集中豪雨が発生し福岡・大分両県で甚大な被害が報告されました。気象庁によると福岡県朝倉市では最大で一時間に約百三十ミリの豪雨が観測され二十四時間の雨量は約五百四十五ミリにも達し観測史上一位を更新したとのことであります。この豪雨による被害は甚大で、特に朝倉市、添田町、東峰村、大分県日田市などでは河川の氾濫に加え押し寄せた流木によって水流だけの場合よりも破壊力が増し家屋等にとてつもない被害をもたらすとともに多くの犠牲者、行方不明者を出す大惨事となりました。また一昨年九月の関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊も記憶に新しいところであります。
　そうした中、昨年の私の一般質問で馬込川を引き合いに出しながらソフト対策の重要性を指摘したところ、県では河川の氾濫から人命を守るため最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域の指定や家屋倒壊等氾濫想定区域の公表などのソフト対策に力を入れていくとの力強い答弁をいただきました。しかし今回の九州北部の状況に鑑みれば大規模な自然災害にも耐え得る強靭な河川整備、すなわちハード対策も万全に行っておくことが今後ますます重要になるであろうという認識を強くしたところであります。
　そこで、九州北部豪雨の教訓を踏まえ今後起こり得る大規模自然災害に備えるため今後の河川整備をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
　次に、暮らしを豊かにについてのうち、新産業の創造について伺います。
　冒頭の質問でも触れた経済対策ですが、やはり県民の富をふやしていくには産業が必要であり、さらに言えば時代に応じたリーディング産業の存在が不可欠であります。そのような中、県東部では昨年九月にファルマバレーセンターがオープンしことし八月には新法人が設立しました。また沼津にはＡＯＩ―ＰＡＲＣもオープンし農業の先端技術開発と新事業創出を進めていますし、県西部ではことし四月にフォトンバレーセンターが設置され光・電子産業を基盤とした産業振興に力を入れているとのことでこれらの動きを私も大いに評価しているところではあります。
　ただ、これにもう一つ本県の新成長産業の有望株を加えるとすればそれはやはり航空産業だろうと考えます。一昨年の十二月議会で私は浜松航空教育都市構想を御紹介しました。これは人材育成を切り口に愛知県などにおくれをとっている航空産業を県の成長産業に引き上げようという提案でしたが知事にも大いに賛同していただき、またちょうどそのころは知事が初めてブラジルのエンブラエル社を訪問したころでもありました。
　その後、昨年はブラジル航空技術大学――ＩＴＡと静岡理工科大学及び東海大学間で覚書が調印されました。先月には知事をトップとする訪問団が再びエンブラエル社を訪問し今後の協力関係について協議をしたと聞いており、ここまでの着実な歩みをうれしく思っております。先日も静岡理工科大学の方にお越しいただきＩＴＡとの人材育成と共同研究に向けた大学間交流を続けていきたいとの意向を確認いたしました。
　そこで、ブラジルＩＴＡとの覚書締結後一年が経過したこのタイミングで知事がエンブラエル社を訪問したことの目的と成果、また今後の航空産業を初めとする本県の新産業創造の方向性について伺います。
　次に、中小企業支援について伺います。
　中小企業は、本県経済の発展に寄与するとともに地域社会の担い手や雇用の受け皿として県民生活の向上に重要な役割を果たしていますが、本県の開業率は全国平均を下回る状態が続いており県内の中小企業数も年々減少している状況にあります。しかし依然として日本の九九・七％は中小企業でありここを元気にしなければ日本、特に地方が元気になるわけがありません。
　我が会派では、昨年富士市にある富士市産業支援センター「エフビス」を訪問しました。同センターは創業や経営相談にワンストップで対応しこれまでに千三百件以上の新規ビジネスを手がけるなど大きな成果を挙げているとともに、国の産業支援拠点「よろず支援拠点」や各地の地方自治体が展開する○○ビズの原点となるモデルでもあります。
　私も個人的に何度か訪問し、また先月は私の所属する青年会議所の公開例会にも講師としてセンター長の小出様にお越しいただいたのですが、小出センター長の主張は明快です。それは産業支援機関にプロの人材がいないということです。どんな会社にもセールスポイントが必ずあります。それを発見し生かして売り上げを伸ばす。これをできる人材がいれば会社からの相談は途切れることはなく産業支援機関は存在意義を全うし地域経済に貢献できることになるというわけです。少々刺激的な話ではありましたが、本県経済の発展には間違いなく元気な中小企業の存在と新たな起業家の活躍が不可欠です。
　そこで、中小企業に対する起業・創業支援や経営コンサルティング支援について、県として今後どのように取り組むのか伺います。
　次に、マーケティング戦略について伺います。
　本年二月十六日に、本県農林水産物のブランド力を高め国内外へ販路拡大を図るためのふじのくにマーケティング戦略が取りまとめられました。従来のプロダクトアウトの視点を変え、どこの誰にどのように売るかを明確にして商品供給するマーケットインの概念を新たに打ち出し各種取り組みを進めていくとされています。ぜひ言葉倒れにならぬよう実のある施策を展開していただきたいと期待しますが、その戦略の中で多彩で高品質な農林水産物の認知度を高めるだけでなく本県が誇るさまざまな魅力を情報発信するショールームなる新たなマーケティング拠点を首都圏に整備していくべきとの方向性が示されています。
　確かに、現在の県のアンテナショップは規模も小さいですし分散していて十分に機能が発揮されていません。また他の多くの自治体もアンテナショップを設置しており自治体間競争が激しくなる中で、今のままの希薄なコンセプトで継続することは厳しいという見方があるのが現実です。だからこその新たなマーケティング拠点ということだと思いますが課題はたくさんあります。どのようにして効果的に本県の魅力を売り込んでいくのか。またショールームに訪れた方々をどのように本県に誘導していくのか。さらに首都圏でそれなりの拠点を構えるには相当なコストを必要とします。本当に設置に見合う効果が得られるのかなどなどです。
　そこで、県はこのようなマーケティングの拠点についてどのように整備、活用していこうと考えているのか所見を伺います。
　次に、福祉の充実についてのうち、子供を産み育てやすい環境の整備について伺います。
　知事はマニフェストで福祉の充実を掲げました。その中でも今後ますます進行するであろう人口減少社会において、子育て支援を含めた少子化対策は喫緊かつ最重要の課題であると考えます。従来から県は合計特殊出生率の目標二を強く掲げ、全庁、官民を挙げての取り組みをされているのは承知しています。もちろんこうした目標は大事でありぶち上げた以上はその達成に向けて突き進むのは当然だと思いますが、ただそれがために産めよ育てよではいけません。子供を産んだ人が仕事や趣味、社会活動などさまざまな場面で人生の喜びを感じられる環境をつくることこそが重要であり、そうした環境をつくれて初めて本当の意味で出生率も上昇していくものと思われます。
　そして、そのための一つの方策が保育施策の充実でありますが、県が五月に公表したことし四月の保育所待機児童は定義変更の影響も受け四百五十六人と前年から七人増加しています。この解消に向け今年度は約四千人の受け入れ枠を確保する予定と聞いておりその効果には期待するところではありますが、子供が健やかに育ち、また安心して子供を預けられるためには単に受け皿を確保するだけでなく保育人材の確保や質の向上が非常に大切であります。
　そこで、子どもを産み育てやすい環境の整備のため県としてどのように保育施策の充実に取り組むのか伺います。
　次に、児童虐待への対応について伺います。
　本年八月十七日に公表された平成二十八年度の全国の児童虐待相談件数は十二万二千五百七十八件と過去最多を更新しており、平成十二年度に児童虐待の防止等に関する法律が制定されたものの増加の一途をたどっています。
　また、本県においても平成二十八年度の数字で二千四百九十六件と過去最多を更新しており、平成十二年度との比較では実に五・六倍を記録しているのが残念ながら事実であります。ただ相談件数増加の要因としては、子供のＤＶの目撃情報を得た警察また子供の泣き声を心配した近隣住民からの通告がふえており、警察と児童相談所との連携の進展や通告先としての児童相談所の存在の周知が図られた結果とも言える側面は少なからずあると思われます。しかし相談だけでなく実際に痛ましい事件は後を絶っていません。当然のごとく児童虐待を根絶していく責務が私たちにはあります。
　国においては、こうしたことを受け昨年児童を権利の主体として位置づけ国や地方公共団体の責務を明確にした児童福祉法の改正を行い本年四月一日に施行しました。今回の法改正では児童虐待の発生予防から自立支援に至るまでの一連の対策のさらなる強化を図るべく児童相談所の体制強化、里親委託の推進、施設入所児童等の自立支援の推進等が規定されています。
　そこで、このような法改正を受け県として児童虐待にどのように対応していくのか伺います。
　次に、ヘルスケア対策の推進について伺います。
　日本の医療費の増大がとまりません。現在は約四十兆円の医療費も団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になる二〇二五年には六十兆円を超えると予想されています。これはこれまでマスの医療を推進し重症化しないための技術を高めてきた日本の医療制度からすれば当然の成り行きではありますが、今後この医療費を抑えていくためには健康・予防政策を初めとする幅広いヘルスケア対策に本格的に力を入れていく必要があります。病気になる前に施策を施せば全体の医療費は削減できます。また元気なお年寄りの方がふえれば労働力の確保にもつながります。さらにこれを若い世代のうちから講じておけばその効果は何倍にもなって返ってくるでしょう。もちろんそれらはこれまでも指摘されてきたことではあります。しかしＩＣＴが発達しＩｏＴやＡＩが身近で実用できる段階にある今日だからこそ、より効果的なヘルスケア対策を行えるチャンスが到来していると言えます。
　本県の健康寿命は全国トップクラスで、県民の健康に対する意識も決して低いものではありません。ただお隣の神奈川県では未病対策に相当な力を入れており、ヘルスケアに対する県民意識を向上させるためユーチューバーや未病女子などを活用したり約五百社が加盟する未病産業研究会で未病ブランドを構築したりとその動きには目を見張るものがあります。
　そこで、逼迫する財政状況の中、県として今後ふえ続ける医療費の増大に対応するとともに、健康寿命の延伸や高齢者の活力、生きがいの創出に寄与するヘルスケア対策にどのように取り組んでいくのか伺います。またあわせてヘルスケア産業の振興を今後どう進めていくのか伺います。
　次に、本県観光の将来像についてのうち、今後のＤＭＯの方向性について伺います。
　県では、平成二十六年に策定したふじのくに観光躍進基本計画の中で多彩で魅力あふれる地域資源を活用した観光地づくりを掲げ戦略の柱として重点的に取り組んできました。その中で現地でしか得られない観光資源や人々の暮らし、文化に触れ合うことよる深い体験や新鮮な感動の重要性、観光関連事業者だけでなく農林水産、商工業などの観光以外の事業者、地域団体、一般市民、学校などの多様な主体が関係する本来的な魅力ある地域づくりの必要性そして高品質な地域資源を一元的に提供する組織の必要性などを提唱し、あわせてそれらを具現化するためのＤＭＯ形成支援をメニュー化した補助制度を創設しました。
　その結果、現在では伊豆半島や浜名湖地域、中部・志太榛原地域において地域連携ＤＭＯが育ちつつありますし、またことし一月にはインバウンド向けのマーケティングとマネジメントを担う全県ＤＭＯ、ＴＳＪ――静岡ツーリズムビューローが発足したところです。このように国に先駆けてＤＭＯに関する施策を実施し関係者の努力により本県ＤＭＯが一つ一つ形になってきていることはすばらしいことであり、今後とも力を入れてほしいと願っております。
　しかしながら、ＤＭＯに関してはまだ課題もあると考えます。一例を挙げればＤＭＯは観光に関する地域経営組織であることから地域の観光資源のサービス提供主体であると同時にエリア全体のマーケティングとマネジメントを担う組織であるべきですが、ＴＳＪも各地域のＤＭＯもそうした地域マネジメント力は未知数であります。また平成二十八年二月議会において答弁があったように、ＤＭＯの安定的、継続的な活動のためには可能な限り自主財源を確保することが望ましいと考えております。
　もちろん、ＤＭＯの形成には多くの時間と労力がかかります。しかし今の形をさらに発展させ本来あるべきＤＭＯに近づける努力を積極的に行うことが本県観光の将来にとって必ずプラスになると私は考えますが、県として今後の県全体のＤＭＯの方向性をどのように考えているか伺います。
　次に、マリンスポーツを初めとする地域資源を生かした浜松・浜名湖地域の観光地域づくりについて伺います。
　私の地元である浜松・浜名湖地域では、ウエイクボードやウインドサーフィン、パラセーリング、水上バイクなどのマリンスポーツが盛んであるほか昨年八月には浜名湖と共通した観光資源を持つ台湾の湖、日月潭との間で友好協定が締結されるなどアウトドアスポーツをテーマとした観光交流が高まりを見せています。また当初名古屋市で開催される予定だった二〇二六年に行われる夏季アジア大会のシンクロナイズドスイミング会場が、水深不足を理由に浜松市総合水泳場トビオに変更決定されるなど同地域に強い追い風が吹きつつあります。
　そんな折、浜松市長は浜松の海をマリンスポーツ、サンドスポーツのメッカにしたいと意気込んでおられ、知事も先般の知事選においてビーチラグビーの大会挨拶で市長と同席されたときに大いに同調されていました。私が市長に具体的にその方策について尋ねたところ、浜松市としては今後現在築堤中の浜松地域沿岸域防潮堤が完成する二〇二〇年までにマリンスポーツ等に関わる多くの方々の意向を取りまとめた上で防潮堤完成後の周辺地域の活用のあり方を検討し進めていきたいとのことでした。
　防潮堤が完成すれば、浜松の海岸エリアの安全性は大きく向上します。それに加え現在調査中の篠原地区野球場を含む遠州灘海浜公園整備が着実に進捗すれば確かに浜松の海はマリン・サンドスポーツのメッカに近づくことになるでしょう。
　先日県が公表した平成二十八年度静岡県の観光交流の動向によると、浜松市と湖西市二市の延べ宿泊客数は二百五十二万五千人と平成二十七年度から八・四％減少しているようです。しかし浜松・浜名湖地域の有する美しい景観や食、歴史、文化といった資源に磨きをかけることに加えマリンスポーツなどアクティビティーを好む層を開拓することができれば、この数字は必ず伸びていくと思われます。
　そこで、マリンスポーツを初めとする地域の観光資源を活用した今後の浜松・浜名湖地域の観光地としてのプレゼンス向上策について、県の所見を伺います。
　次に、グリーンインフラの概念を取り入れた今後の公共事業の推進について伺います。
　知事は、さきの知事選マニフェストで高度成長期に失われた自然との調和を取り戻し心身ともに健康でゆとりある生活ができる静岡県ふじのくにづくりを進めるためグリーンインフラという概念を掲げ、自然が持つ多様な機能を積極的かつ有効に活用する社会資本整備や土地利用、防災等の取り組みを提唱されました。ただこれは全く新しい考えということではなく国土交通省の社会資本整備重点計画にも多自然川づくりや緑の防潮堤、延焼防止などの機能を有する公園緑地の整備などの取り組みにより自然環境の保全、再生、管理とその活用を推進することが盛り込まれており、今後その価値が徐々に認識されていくことと思われます。
　実際に、県内においても県が二級河川巴川の総合治水対策として進めている麻機遊水地において、地域の方々と多様性のある湿地環境を再生したことにより洪水被害の防止に加え自然環境が有する生物の生息・生育の場、環境教育の場の提供、福祉農園等の整備などが行われています。これは防災・減災だけでなく地域振興、生物多様性保全、環境などさまざまな地域課題に対応した取り組みだと言えるでしょう。これからの社会資本整備は地震・津波対策、気候変動による災害リスクの増加、ふえ続けるインフラの更新費用、建設産業の将来の担い手不足などさまざまな課題を抱えています。であるならば限られた予算の中でこれらの問題に対応するために公共事業の進め方に新たな工夫やチャレンジが必要であると考えます。
　そこで、グリーンインフラの概念を取り入れた公共事業を進めていくこともその一つと考えられますが、今後の社会資本整備をどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
　次に、教育行政についてのうち、これからの静岡県の教育について伺います。
　私も必死で勉強した思い出のある大学入試センター試験ですが、御案内のように二〇二〇年一月の実施を最後に廃止されその後は大学入学共通テストが始まることになりました。大きな変更点としては国語と数学で記述式問題が導入されることと、英語では民間試験を活用することが挙げられていますが、基本的な考えとして新テストでは知識、技能だけでなく思考力、判断力、表現力を中心に評価していくとのことであります。
　この大学入試改革の狙いは、正答に対する知識の再生偏重を改め新たな時代を見据えた生きる力を育む教育改革を目指すものであり、今後生徒は基礎的な学力だけでなく高校教育までに身につけた生きる力や確かな学力が多面的、総合的に評価されることになっていきます。
　そして、これは当然義務教育段階からの対応にもつながります。特に二〇二〇年度から小学校においてプログラミング教育が必修化されることも踏まえたとき、県としても幼少期から高等教育までのトータルな教育行政のあり方を考えていくことが求められています。
　そこで、このような大きな教育改革に適切に対応していくためには数年先を見据えた戦略的な対応が必要になると思いますが、県教育委員会としてどのように対応していくのか伺います。
　次に、時代を見据えた教員の育成について伺います。
　先ほどの質問の背景と重複しますが、変化の激しい時代を乗り越え他者と協働しながら未来を開いていく子供たちを育てていくために二〇二〇年度に小学校から新しい学習指導要領が全面実施されることとなりました。この動きとも関連し、また教員の大量退職、大量採用の影響により今後は経験の浅い教員が増加する中で教育課程や授業方法の改革に的確に対応できる教員の育成が求められています。
　そんな折、教員の資質向上を図るために平成二十八年十一月に教育公務員特例法の一部改正が行われ教員の養成、採用、研修の接続を強化し一体性を確保するために教員育成協議会の設置、教員育成指標及び指標に基づいた研修計画の策定が任命権者に義務づけられました。本県においても教員の資質向上に係る新たな体制としてことし六月に静岡県教員育成協議会が設置され、現在までに開催した二回の協議会において大学や学校関係者とともに教員育成指標を策定するための協議を行ったと聞いております。教員育成指標については国が示した指針を参酌して策定することは理解していますが、重要なことはこの育成指標にいかに静岡らしさを盛り込んでいくのかという点です。つまり静岡県としてどのような教員を育成していくのかがこれからの本県の教育を支える鍵になると私は捉えています。
　また、指標を踏まえた教員研修計画を策定するとのことですが、教員の資質向上を図るべく今まで以上に体系的な価値ある研修が構築されることを望む一方で研修をふやすことで教員の多忙化につながり子供と向き合う時間が減少することだけは避けていただきたいとも思っております。
　そこでまずは、県教育委員会としてどのような教員を育成していくのか教育長に伺います。また時代を見据えた上でどのようにして教員の資質向上を図っていくのか、あわせて教育長の見解を伺います。
　最後に、運転中のながらスマホへの対策について伺います。
　スマートフォンや携帯電話は、通話機能に加えインターネット、メール、ゲーム等ができる大変便利な機能を有し今や生活に欠かすことのできないツールであります。しかしその一方で運転中にスマートフォンの画面を注視していたことに起因する交通事故が増加傾向にあると言われ、いわゆる運転中のながらスマホが社会問題となっています。
　こうした中、先月四日島田市内の新東名高速道路トンネル内において大型トラックがオートバイや乗用車などに衝突しオートバイの女性が亡くなったり多数の方が負傷したりする痛ましい交通事故が発生しました。新聞報道等によるとこの運転手は運転中にスマートフォンでメールを見ていたとのことであり命を奪われた被害者、御遺族のことを思うと言葉も出ません。私もほぼ毎日車を運転していますが、依然として運転中にスマートフォンを操作したり携帯電話で通話したりするなどの行為を頻繁に目にします。痛ましい交通事故がいつ繰り返されるのではないかと強く懸念をしております。
　現在は秋の全国交通安全運動が展開されています。県民一人一人がみずからの交通安全に関する意識を高め交通ルールの遵守と交通マナーの実践にしっかりと努める必要があることはもちろんのこと、社会全体で運転中のながらスマホを許さないという機運を醸成すべきであり、そのためにも県警察にはさまざまな取り組みを効果的に実施することが肝要です。
　そこで、運転中におけるスマートフォンや携帯電話の取り締まり状況、また交通事故の発生状況とそれを踏まえた交通事故防止対策について警察本部長にお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長（山田　誠君）　川勝知事。
　　　　　　　（知事　川勝平太君登壇）
○知事（川勝平太君）　山﨑議員にお答えいたします。
　次期総合計画についてのうち、知事マニフェストの具体化についてであります。
　私は、今回の選挙におきましてみんなで創ろう、世界に誇れる“ふじのくに”を表題とする政策ビジョンを掲げました。一番大切なのは人づくりです。さらに人づくりとあわせて富づくりというのが大切であります。集団として人を見れば日本全体として人口減少、超高齢化が進行しており静岡県も例外ではありません。少子化、超高齢化という現実があっても、しかしなお人は幸福に生きることができるはずであります。
　そうしたことのために、静岡県としては県民お一人お一人の命を守る、福祉を充実させる、そして暮らしを豊かにするということを三本柱に掲げてこれに全力で取り組むことを県民の皆様にお約束いたしました。命を守ると福祉の充実というのは人にかかわり、暮らしを豊かにするというのは富づくりにかかわります。次期総合計画の策定に当たりこのマニフェストの実現を確実に県の政策に盛り込んでまいります。
　八月に開催した第一回総合計画審議会では、誰もが平和で安心して暮らすことのできることが極めて大切でそのような日本のロールモデルを目指すという考えのもと命を守る安全な地域づくり、安心して暮らせる医療・福祉の充実、豊かさをつくる産業の展開など八つの政策をお示ししました。今後これをもとに県議会を初め総合計画審議会、パブリックコメントなどを通じ幅広く県民の皆様から御意見を頂戴し具体的な施策を盛り込んでまいります。
　中でも、人口減少と高齢化が急速に進む中で暮らしの豊かさの実現が極めて大切な課題であります。労働力人口の減少から人手不足に悩む中小企業等が増加する一方で、ＩｏＴ、ビッグデータ、ＡＩなどの技術革新が急激に進展しております。将来に向けて持続的な発展が可能な力強い本県経済の構築が必要であります。
　そのために基づくべき理論としてマルキシズムはもはや論外であります。一方ケインズの政策もアベノミクスの三本の矢の異次元の金融緩和、財政政策も投資を誘発することができない現状を呈しており限界を露呈しております。
　そうした中で、残されているのはシュンペーターの経済の発展理論であろうということで経済は均衡に発展するのではない、不均衡に新産業、新商品、あるいは新市場等こうしたものをいわば風穴として不均衡に発展するという経済発展の理論を念頭に置きながら本県としましては本県の特色ある産業集積を生かしたファルマバレーやフォトンバレーなどの新しい産業集積クラスターの一層の推進、医療・健康、食品、セルロースナノファイバーいわゆるＣＮＦ、航空宇宙など成長が見込まれる産業分野への地域企業の参入支援、ＡＯＩ―ＰＡＲＣなどのような先端技術を活用した農林水産業の成長産業化、マーケットインの考え方に立った農芸品等の海外展開など豊かさをつくる産業の展開に向けた施策を体系的につくり上げそれを政策化してまいりたいと考えております。
　また、今議会に緊急対策として補正予算案をお諮りしております産業人材の確保を初めシュンペーターの言うところのイノベーションを牽引する産業人材の育成、誰もが生き生きと活躍できる働き方改革、さらに増加する外国人観光客等に対応した魅力ある観光地域づくりなどにつきましても効果的な取り組みを計画に位置づけてまいります。
　県民の皆様が、未来に明るい希望を持って幸せを実感できる「生まれてよし　老いてよし」、「産んでよし　育ててよし」、「学んでよし　働いてよし」、「住んでよし　訪れてよし」の理想郷づくりに全力で取り組んでまいりますので県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
　次に、隣県、他県との連携についてであります。
　行政課題が広域化する中、隣県、他県と情報を共有し県境にとらわれることなく連携して取り組みを進めることが重要な課題になっています。
　本県では、これまで神奈川県、山梨県と山静神サミットを開催し、観光振興や防災対策、環境対策などに取り組んでまいりました。長野県、愛知県とは三遠南信地域連携ビジョン推進会議に参加しておりまして、三遠南信自動車道などの地域の基盤整備促進や産業振興などに連携して取り組んでいるところであります。
　また、中部横断自動車道の開通を見据え南北軸の広域的な交流を一層促進するため平成二十六年度から本県と山梨県、長野県、新潟県の四県知事で中央日本四県サミットを構成いたしました。これ以来開催しております。来る十二月には第四回中央日本四県サミットを本県で開催いたします。共有する山岳資源を生かした連携方策について意見を交換し、本州中央部のフォッサマグナ山岳連合と私は提言しているのでありますが、これをアピールして一体感を強めてまいりたいと思っております。
　さらに、相模湾を取り囲む環相模湾の連携では本県と神奈川県、横浜銀行、静岡銀行等官と民が一体となりまして外国人旅行者向けに県境のない観光地図を作成いたしまして観光振興に取り組むなど、県境にとらわれなく多様な連携を積極的に推進しているところであります。こうした取り組みに加えましてさきの知事選の際に御来静いただきました小池東京都知事、大村愛知県知事、上田埼玉県知事には私が言うところの県民本位の政治姿勢に共感をいただいております。
　小池都知事とは、オリンピック・パラリンピックを通じた具体的な取り組みとして都庁の食堂での本県の食材の利用を始めていただいておりますし、またこれから観光のＰＲなどにおきましても協力が見込まれております。
　また、大村愛知県知事とはものづくりを基礎とする東海連合として積極的にさらに連携を深める取り組みが進められるものと考えており協力を惜しまない考えでございます。
　私は、我が国の将来像として明治以来の中央集権の制度的なシンボルであります府県制はいずれ廃止をしなくてはならないというふうに見込んでおります。
　そうした中での最終的な着地点といたしましては、やはり東京都という人口一千三百万人また九十兆円余りのＧＤＰを持つところが一つの地域的まとまりの基準になるであろうと思っておりまして、同時に経済力、人口力プラスこれからの時代は環境でありまして環境は景観として見ることができますものでありますからそれらを合わせまして、地域単位を北海道、東北は森の洲、関東平野は野の洲、本県のような山岳地域は山の洲、そして西日本、近畿、中国、四国、九州は海の洲として四洲にすることが均衡ある国土になるのに望ましいと考えそれを二十年近く提唱してまいりました。こうした着地点を見ながら広域連携を進めていくことが重要でありまして、それが東京時代に続く新しいポスト東京時代、地域分権型ないし地域主権型の国づくり、地域づくりにつながっていくものと確信しております。
　私は、現在国会議員の選挙が取りざたされておりますけれども最終的にこの国の形をどうしていくかについて十分な議論がないまま憲法論議もなされているというふうに見ております。現在国家的な危機が国際的にも共通認識になっているところでございますけれども、一方で国が役割を持つべき事柄と国以外の自治体が持つべき役割というのはおのずと考えればできることでございまして安全保障、防衛、外交、通貨の管理その他全体の調整などにおきましてはこれは国がやらねばなりません。これは国家主権にかかわることであります。それ以外の事柄はかつて江戸時代に藩でやっておりましたようにこれは地域で担うことができるのであります。
　そうしたことを踏まえて、現在国がなさっておられる主権行使としてなさっておられる事柄の一端を地域が担う。そういう意味では地域主権と言っていいと存じますけれども、そういうポスト東京時代の十分にその行使力、住民の意思が反映されるような自治体をつくることがこれからの国づくりとして希望を与えるというふうに存じております。
　今後とも、本県が新しい国づくりの先導役を理論的には担うという気概を持ちまして、さまざまな機会を捉えまして広域的な課題解決や地域振興などに資する隣県、他県との連携、交流を積極的に進めてまいります。それが国のためになると確信しているからであります。
　次に、暮らしを豊かにについてのうち、新産業の創造についてであります。
　県民の皆様が豊かに暮らしていくためには、富をふやしていく原動力となる産業を持続的に発展させていくことが必要です。県は今後成長が見込まれる次世代産業の創出に積極的に取り組んでいるところであります。
　議員御指摘のとおり、次世代産業の中でも航空機産業は今後世界のジェット旅客機の運航機数の大幅な増加が見込まれますので将来の成長が大いに期待されている産業分野であります。これまでも静岡県は大手重工メーカーからの部品等の共同受注を目指す中小企業グループＳＯＬＡＥ、通称ソラエを中心に新規参入に必要な品質保証認証の取得や設備投資に対する助成、航空宇宙コーディネーターによる県内中小企業と大手重工メーカーとのビジネスマッチングなどの支援を行ってきたところであります。
　さらに一昨年から、富士山静岡空港におきましてエンブラエル社製の飛行機が運航されている本県ならではの環境を生かし、エンブラエル社などに優秀な人材を輩出しているブラジル航空技術大学、通称ＩＴＡと静岡理工科大学及び東海大学との人材交流と本県企業とエンブラエル社との取引創出を視野に連携を強化しているところであります。
　先月のブラジル訪問では、ＩＴＡのコヘイア学長とお目にかかり親しくお話をいたしました。そして静岡理工科大学からの留学生派遣を快諾していただきました。またエンブラエル社の創業社長であるオジーレス・シルバ氏からはエンブラエル社と本県企業とのビジネスマッチングを進めていきたいという大変ありがたい申し出をじきじきに受けてまいりました。今後もＩＴＡ等との大学間の交流をさらに深めるとともに、エンブラエル社と県内企業とのビジネスマッチングも視野に入れつつこの航空機産業の支援を積極的に進めてまいりたいと考えております。
　県といたしましては、航空機産業は言うまでもありませんが、そのほか次世代自動車、ＣＮＦ、先端農業などの分野につきましてもこれまで以上に積極的に取り組むとともに、ファルマ、フーズ、フォトンの三つの産業集積プロジェクトをさらに推進することで本県経済の持続的発展を図り県民の富の創出につなげてまいります。
　その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長（山田　誠君）　吉林副知事。
　　　　　　　（副知事　吉林章仁君登壇）
○副知事（吉林章仁君）　福祉の充実についてのうち、ヘルスケア対策の推進についてお答えいたします。
　全ての県民が、みずからの健康に関心を持ち健康増進に努めることによりまして健康寿命を延ばし、年齢を重ねてもさまざまな場面で元気で活躍できる社会を築くことは本県における重要な取り組みであり増大する医療費の削減にもつながるものと考えております。
　本県では、健康寿命の延伸を図るため六十五万人分の健診データの活用によりまして地域の健康課題を明らかにすることで県民の健康への関心を高めることや、健康長寿の三要素を実践いたしまして生活習慣の改善を促すふじ三三プログラムによる県民みずからの主体的な健康づくりを推進してまいりました。
　また、健康を維持して高齢になってもいつまでも元気に活躍することを促したふじのくに型人生区分を提示するなど高齢者の活力や生きがいの創出にも努めております。
　今年度からは、新たに健康経営の視点を取り入れまして地域、事業所、家庭など県内のあらゆる場所におきまして健康づくりに取り組み全ての県民の健康増進を図りまして、医療費負担の軽減にもつながるしずおかまるごと健康経営プロジェクトを推進しております。また社会健康医学の考え方を取り入れまして化学的な知見から本県の健康長寿の要因を分析いたしまして、疫学や予防医学の研究への反映、医療ビッグデータを活用した健康増進施策の推進を図るなど新たな視点に基づくヘルスケア対策の推進にも取り組んでまいります。
　一方、ヘルスケア産業は健康意識の高まりなどに伴いましてさらなる市場の拡大が見込まれております。本県の新たな成長産業として期待されておりその育成や支援に積極的に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
　県では、静岡県ヘルスケア産業振興協議会を中心に運動、食事等実施プログラムの作成、実践によります県内企業の従業員への健康管理サポートをするビジネスへの支援などを通じまして、民間事業者によるヘルスケアビジネスの創出に取り組んでおります。
　今後はさらにＩｏＴやＡＩ等を活用いたしまして、より正確に個人ごとの健康アドバイスができる健康・予防ビジネスなどの創出を促進いたしまして本県の健康寿命の延伸を産業面から後押しをしてまいります。
　県といたしましては、ヘルスケア産業の振興を含めたヘルスケア対策を積極的に推進していくことによりまして世界から憧れを呼ぶ健康長寿ふじのくにを実現してまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　難波副知事。
　　　　　　　（副知事　難波喬司君登壇）
○副知事（難波喬司君）　本県観光の将来像についてのうち、今後のＤＭＯの方向性についてお答えいたします。
　本県は、今後の観光施策を従来の観光事業者を中心とした観光地づくりから地域ぐるみ、社会総がかりによる観光地域づくりに転換をいたしました。
　この観光地域づくりにおいては、地域づくりのマーケティングやマネジメントの導入などによる取り組みが不可欠でありその取り組みにおいてＤＭＯの役割は極めて重要であります。
　このため、県では本県のインバウンド施策の司令塔として本年一月に県域ＤＭＯ静岡ツーリズムビューロー、通称ＴＳＪを設置いたしました。
　また、県内の各地域で地域ＤＭＯの設立が進んでいます。ＤＭＯの目指す姿は観光事業者だけでなく農林水産商工事業者、住民など地域のさまざまな主体と連携しながら地域の魅力を高め観光資源を発掘し商品化して旅行者に提供し地域の稼ぐ力を生み出す観光地域経営を行っていくことです。そして持続性、自立性の点でＤＭＯはある程度の自主財源を確保することが必要です。しかし設立されたばかりのＴＳＪそして県内各地域のＤＭＯが観光地域経営を行うに至るまでには幾つかの課題があります。まずはこれらのＤＭＯが誘客力を高める組織として実績を積み地域からの信頼を集めることが必要です。
　このため県は、先月九日県内ＤＭＯが一堂に会す静岡県ＤＭＯ会議を設置しＤＭＯ間の連携強化を図っております。またＴＳＪは海外の市場特性に応じた地域の魅力づくり、商品の磨き上げについての助言等を行い、また県内ＤＭＯ関係者等を対象にツーリズムマーケティング講座を開催し各地域のＤＭＯのマーケティング力とマネジメント力の向上を図っております。
　県といたしましては、こうした取り組みを通じてＤＭＯの成長発展を支援しこれらＤＭＯと連携をして県内くまなくその地域ならではの資源を生かした魅力ある観光地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　伊藤経営管理部長。
　　　　　　　（経営管理部長　伊藤篤志君登壇）
○経営管理部長（伊藤篤志君）　静岡県の情報戦略についてお答えいたします。
　議員御指摘のとおり、本県では総合計画の分野別計画として情報化基本計画新ふじのくにＩＣＴ戦略を策定しＩＣＴの利活用推進による安全・安心で快適なくらしの実現、地域、産業の活性化など四つの戦略を掲げて各種の施策を進めております。またこの計画は平成二十九年度が最終年度となりますので、現在進めている次期総合計画の策定に合わせ平成三十年度からの四年間の情報戦略として本年度末までに新たな計画をまとめることとしております。
　近年の情報通信技術、いわゆるＩＣＴの発展は目覚ましく特にＩｏＴや人工知能など新世代のＩＣＴは人々の暮らしや産業の分野で利活用されるなど社会経済に大きなメリットをもたらすとともに、地域課題の解決にも役立つものと期待されております。次期計画におきましてはこのような新世代のＩＣＴの効果的な利活用に着目した戦略を展開してまいります。またＩｏＴなどによるデータ収集能力の飛躍的な高まりによりビックデータを初めとする多様なデータが蓄積され流通し始めており、今後データの利活用が経済を牽引し主導する本格的なデータ大流通時代の到来が見込まれております。このことから次期計画はデータの流通や利活用にも重点を置きその具体的な取り組みを盛り込むとともに、これを官民データ活用推進基本法により策定が義務づけられました官民データ活用推進計画としても位置づけてまいりたいと考えております。
　今後、県議会を初め外部有識者、県民の皆様の御意見も伺いながら富国有徳の美しい富士の国づくりの一翼を担う新たな情報化基本計画を策定し、本県の情報戦略を推進してまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　髙木くらし・環境部長。
　　　　　　　（くらし・環境部長　髙木利夫君登壇）
○くらし・環境部長（髙木利夫君）　ＮＰＯ施策の推進についてお答えいたします。
　県では、東部、中部、西部の三カ所のふじのくにＮＰＯ活動センターを中心にＮＰＯに対して直接的な支援を行うとともに市町に対して打ち合わせスペースの提供や運営に関する相談業務などを行う拠点を設置するよう促したところであります。その結果、現時点で十九市町二十四カ所のいわゆる市民活動センターが設置をされました。こうした状況と多様化、複雑化する社会課題の解決のためＮＰＯの存在意義が高まっていることから、有識者会議の意見も踏まえＮＰＯへの直接的な支援は市民活動センターが担い県は市民活動センターの機能の底上げを図ることによりＮＰＯへのきめ細やかな支援を行うことといたしました。
　具体的には、市民活動センタースタッフの人材育成を進めていくこととし今年度から新任スタッフのＯＪＴ研修や認定ＮＰＯ法人の資格取得や会計事務に関する研修を充実しているところでございます。また三カ所のふじのくにＮＰＯ活動センターを中部に統合いたしまして県全体の市民活動センターを支援する総合拠点として、伊豆地域においては市民活動センターが未設置の市町が多いことから当分の間現在の東部のセンターを伊豆地域のＮＰＯ支援を行う拠点としたところでございます。
　県といたしましては、引き続き市町と連携の上、市民活動センターの設置促進と機能の底上げを図るとともに、今後は企業や大学等への積極的なＮＰＯ活動の情報提供やＮＰＯと企業をつなぐコーディネーターを育成し協働を推進するなどＮＰＯ活動がより活発化するよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　鈴木交通基盤部長。
　　　　　　　（交通基盤部長　鈴木克英君登壇）
○交通基盤部長（鈴木克英君）　命を守る危機管理についてお答えいたします。
　九州北部豪雨を踏まえた今後の河川整備のあり方についてでありますが、九州北部豪雨など近年全国各地で激甚化する洪水に対して、国は施設では守り切れない大洪水は必ず発生するとの考えに立ち社会全体で洪水に備える水防災意識社会再構築ビジョンに基づき減災対策を進めております。
　県におきましても、土木事務所ごとに豪雨災害減災協議会を立ち上げ逃げおくれによる人的被害をなくすこと及び氾濫発生後の社会機能を早期に回復することを減災目標とし市町や関係機関と連携してハード・ソフト対策の一体的、計画的な推進に取り組んでおります。このうちハード対策につきましては被害の想定に応じて河道の拡幅や遊水地の新設など計画的な河川整備を引き続き着実に進めるとともに、堆積土砂の排除など適正な河川管理により水害の未然防止に努めているところであり、今回の九州北部豪雨を教訓に河川や砂防堰堤の緊急防災対策等の経費を盛り込んだ補正予算を本議会にお諮りしているところであります。
　また、市街地に近接し堤防が決壊した場合に甚大な被害が予想される区間におきましては、定期的な堤防巡視に加え洪水による決壊を少しでもおくらせる堤防天端の舗装など堤防の万全な管理に努めてまいります。
　県といたしましては、河川断面の拡幅や堤防の強化などのハード対策に加え市町と連携した実効性の高いソフト対策に積極的に取り組み大規模氾濫から命を守る災害に強い地域づくりを強力に推進してまいります。
　次に、グリーンインフラの概念を取り入れた今後の公共事業の推進についてであります。
　安全・安心で魅力ある県土づくりを実現するためには、自然環境を保全し地域の持つポテンシャルを最大限活用しながら効果的に社会資本を整備していくことが重要であります。
　県では、これまでも麻機遊水地の自然再生のほかふじのくに森の防潮堤づくりや各地区で行われている多自然型川づくりなど地形や環境を生かした社会資本整備を進めており、こうした取り組みはインフラの建設費用の縮減や自然との共生、景観の保全等に対し有効な手法であると評価しております。
　このため、自然環境が有する多様な機能を積極的に活用するグリーンインフラを本年度策定する次期社会資本重点計画の中で社会資本のあるべき重要な一つの姿として明確に位置づけ、持続可能で地域の活性化に寄与するインフラ整備を推進し将来にわたり地域の財産となるよう多様な主体との協働に努めてまいります。
　県といたしましては、本県が有する豊かな自然を賢く活用し美しく質の高い環境に配慮した社会資本の充実により県民が生き生きと生活できる魅力ある地域づくりに積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　渡辺経済産業部長。
　　　　　　　（経済産業部長　渡辺吉章君登壇）
○経済産業部長（渡辺吉章君）　暮らしを豊かにについてのうち、中小企業支援についてお答えいたします。
　本県産業が将来にわたり活力を維持し持続的に発展していくためには、意欲ある起業家、創業者の輩出を促進するとともに、中小企業が競争力のある事業を展開していくことが極めて重要であります。起業・創業支援につきましては、平成二十六年度に制定された産業競争力強化法に基づき市町が中心となって商工会等と連携してワンストップ相談窓口を設置し地域に密着した創業者を支援する体制づくりを進めております。
　県では、地域にとどまらず広域に事業を展開しようとする成長志向の高い創業者を対象に事業プランを先輩創業者がアドバイスし成長軌道に乗せる取り組みを今年度から開始したところであります。また経営コンサルティング支援につきましては、商工会等が取り組む中小企業に寄り添ったワンストップでの経営改善事業を支援するとともに、広域性や専門性の高い案件については静岡県産業振興財団が行う専門家派遣制度を活用して中小企業が抱える経営上のさまざまな課題に対応しているところであります。
　県といたしましては、引き続き市町や商工団体、産業振興財団、国の「よろず支援拠点」などとの連携を強化し各機関の持つ強みを有効に活用して創業から企業の成長までを総合的にバックアップすることで地域経済を支える中小企業の活力の向上に取り組んでまいります。
　次に、マーケティング戦略についてであります。
　議員御指摘のとおり、現在の県のアンテナショップでは情報発信力が弱く首都圏の需要を十分に取り込めていない、施設が分散されているためＰＲ効果が弱いといった課題を有しています。そのため県といたしましては二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催を絶好のチャンスとして捉え、すぐれた県産品を国内外へ発信し首都圏や海外の方々を県内へ誘客するとともに、人口減少が進む中、県内に移住・定住を促進するための拠点を整備したいと考えております。
　新たな拠点には、多彩で高品質な農芸品などの販売に加えてふじのくにのブランドイメージを向上させるため世界遺産の富士山やお茶の文化など本県が誇るさまざまな魅力を国内外に発信するとともに、本県へのＵ・Ｉターンや移住相談の機能を盛り込みたいと考えております。
　具体的には、県産品の販売に関しては首都圏のバイヤーとの商談の場を創出するとともに、マーケット情報の収集、蓄積を図り生産現場にその情報をフィードバックすることで生産拡大につなげてまいります。また情報発信では施設内にイベントスペースを設け食、文化、観光などのイベントを開催し静岡のファンを創出するとともに、Ｕ・Ｉターンの相談や移住に関する情報を提供し静岡に行ってみたい、住んでみたい、働きたいと思っていただいた首都圏や海外の方々を県内に呼び込みたいと考えております。
　今後、庁内関係課で構成するふじのくにショールームタスクフォースにおいてショールームの具体的な機能や活用方法などについて検討を進め、ふじのくにへのゲートウエーにふさわしい施設となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　山口健康福祉部長。
　　　　　　　（健康福祉部長　山口重則君登壇）
○健康福祉部長（山口重則君）　福祉の充実についてのうち、子供を産み育てやすい環境の整備についてお答えいたします。
　全ての子供が健やかに育ち子供を持つことに喜びを感じられる環境とするためには、子育て家庭の抱える不安の解消に努め子育てに必要となるさまざまな保育サービスを充実させるなど子供を産み育てやすい環境の整備が重要であります。
　県では、保育所や認定こども園など保育施設の整備による受け入れ枠の拡大に努め保育を必要とする全ての家庭が保育施設を利用できるように待機児童の解消に取り組んでおります。また待機児童の九割以上を占める三歳未満の低年齢児の受け入れ支援に加え、一時保育や延長保育など多様な保育需要に対応するさまざまなサービス提供への支援を充実し安心して子供を産み育てられる環境を整備しているところであります。
　保育施設における多様な保育サービスを充実するためには、保育人材の確保と質の向上が重要となります。保育人材の確保につきましては、修学資金の貸与等による保育士を目指す学生の支援や保育士・保育所支援センターにおけるコーディネーター機能の活用、充実により潜在保育士の保育現場への復帰を一層図ってまいります。保育現場からは即戦力となる保育士が求められているため、潜在保育士と保育所との調整を行うコーディネーターを新たに配置し再就職支援の強化に努めることとしております。
　保育人材の質の向上につきましては、保育士の専門的知識や技術を向上させるための研修の実施に加え、保育士がやりがいを持ち職場に定着しその経験と能力が評価されるキャリアアップの仕組みづくりにも取り組んでおります。今後県内全ての保育施設ヘのキャリアアップ制度の導入を行い、保育士の専門性を高め魅力ある職場となるように努めてまいります。
　県といたしましては、今後も市町と連携して受け入れ枠の拡大や保育人材の確保、質の向上に努め全ての家庭が最良のサービスが受けられるように保育施策の充実を図り子供を産み育てやすいふじのくにづくりに取り組んでまいります。
　次に、児童虐待への対応についてであります。
　児童虐待は子供の心身の正常な発達や人格の形成に非常によくない影響を及ぼす行為であります。極めて重要な課題として受けとめております。県では平成二十八年の児童福祉法等の改正を受け、児童虐待の発生予防から発生時までの迅速で的確な対応と被虐待児童の自立支援まで切れ目のない支援の一層の強化を図ることとしております。
　このため、県の児童相談所におきましては、児童福祉司の任用前と任用後の研修を新たに行い資質の向上を図るほか今年度は四名増員するなど計画的な配置に努め児童虐待への適切な対応を図ることとしております。昨年度からは弁護士による定期相談や家庭裁判所への審判請求をするための法定代理人契約を行い法的機能の強化を図るなど、児童相談所の機能と体制の強化に努めております。また虐待を受けたことにより社会的養護が必要となった子供に対しまして里親への委託を推進し、家庭的な環境の中で子供の自立を促すこととしております。
　市町に対しましては、妊娠期から子育て期にわたるまでのさまざまな相談に応じる子育て世代包括支援センターの保健師や看護師を対象に、虐待の発生予防や早期発見に関する研修などを実施することで地域において児童虐待のおそれのある家庭への支援を的確に行っております。
　県といたしましては、児童相談所の機能と体制の強化を図るほか市町等の関係機関との連携を深め児童虐待の防止に社会総ぐるみで取り組み全ての子供が健やかに成長できるふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　西田文化・観光部長。
　　　　　　　（文化・観光部長　西田郁夫君登壇）
○文化・観光部長（西田郁夫君）　本県観光の将来像についてのうち、マリンスポーツを初めとする地域資源を生かした浜松・浜名湖地域の観光地域づくりについてお答えいたします。
　近年、消費者のニーズがモノからコトへと変化する中、観光においても単に観光スポットをめぐるだけの観光ではなくその土地ならではの資源を生かした体験型観光をこれまで以上に推進していく必要があります。
　このため、県は年間二千万人が訪れ静岡県を代表する観光地である浜松・浜名湖地域において、平成二十六年度からの三年間当地域のぐるっと浜名湖ツーリズムセンターが行う体験型旅行商品を一元的に管理、提供する取り組みを支援しＤＭＯの体制確立を図ってまいりました。その結果食や歴史、文化の体験のほかパラセーリングやフライボードを初めとしたマリンスポーツの体験などが三十四本商品化され気軽に予約、決済ができる体制のもとで販売されております。
　平成三十一年春には、本県でデスティネーションキャンペーンが開催されますことから、現在浜松・浜名湖地域におきましては自治体、観光協会、民間事業者が一体となり四季折々の美しい景観や食、歴史、文化などの資源に加えマリンスポーツを初めとするさらなる観光素材の掘り起こしや磨き上げに取り組んでいるところであります。
　県といたしましては、今年度創設した魅力ある観光地域づくりを推進する補助制度により体験型旅行商品の造成など地元の取り組みを強力に支援するとともに、浜松・浜名湖地域の魅力を全国に向け積極的に発信していくことにより多くの人でにぎわう観光地としての存在感を一層高めてまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　木苗教育長。
　　　　　　　（教育長　木苗直秀君登壇）
○教育長（木苗直秀君）　教育行政についてのうち、これからの静岡県の教育についてお答えいたします。
　少子化の進行やグローバル化の進展など社会情勢が大きく変化する中で教育行政に求められるのは、未来において自立的に生き社会の形成に参画できるよう子供たちに生きる力を育むことであります。
　県教育委員会では、本年度知事部局と連携して平成三十年度から三十三年度までを計画期間とする次期教育振興基本計画を策定し重点的な取り組みについて取りまとめることとしております。
　具体的には、確かな学力の育成や誰もが学ぶことができる場づくりなどを着実に進める一方で、ＩＣＴ教育やキャリア教育の推進、グローバル人材の育成など新しい時代を展望した教育行政の推進も重要であると考えております。また学校と家庭、地域、企業との連携や地域資源を活用した学習など地域ぐるみ、社会総がかりでの教育を一層進めることは子供たちの主体的、対話的で深い学びに大きく資するものであると考えております。
　県教育委員会といたしましては、就学前教育から大学教育まで子供たちの学ぶ場を広く視野に入れ次期教育振興基本計画に位置づける戦略的な取り組みを着実に進めることにより子供たちが夢と自信を持ち可能性に挑戦する力が育まれるよう取り組んでまいります。
　次に、時代を見据えた教員の育成についてであります。
　議員御指摘のとおり、教員育成指標は教員の資質の向上を図るために任命権者が定めることとされ教員が職責や経験、適性に応じて身につけるべき資質を明確化するものであることから、学校現場にとって使いやすいものであると同時に広く周知して活用していくことが極めて重要であると考えております。このため本県の指標は大学での養成時から退職までを四つに区分し授業力や生徒指導力、組織運営力などで求められる到達目標を掲げております。さらに児童生徒の模範となるよう行動する総合的人間力を求めており、この指標を活用して有徳の人を育むため学び続ける教員の育成を目指します。
　具体的な活用につきましては、教員自身の成長の確認や管理職が個々の教員への指導助言の際の参考とするほか教員採用試験や人事異動方針への反映、大学の教員養成カリキュラムの改善などを想定しております。また指標に基づく新たな研修計画については教員の多忙化に拍車をかけない効率的な研修を企画、実施することとし、こうした取り組みにより教員の資質の向上を図ってまいります。
　今後は、この指標を教員や学校に周知し全ての教員が自己の成長に向かって活用するよう取り組むとともに、教育を取り巻く環境やニーズの変化などに対応した研修の充実を図ることにより新しい時代に対応できる教員の育成に努めてまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　筋警察本部長。
　　　　　　　（警察本部長　筋　伊知朗君登壇）
○警察本部長（筋　伊知朗君）　運転中のながらスマホへの対策についてお答えいたします。
　初めに、平成二十八年中の携帯電話使用等違反の取り締まり状況についてでありますが、運転中に携帯電話等を使用したり画像を注視したことにより約四万四百件を告知するなどしており、これは全取り締まり件数の約一六％を占めております。
　次に、交通事故の発生状況とそれを踏まえた交通事故防止対策についてであります。平成二十八年中、携帯電話使用等に係る交通事故については百九十二件発生し二人の方が亡くなり、発生件数は五年前と比較すると約二・三倍となっています。このうちスマートフォンなどの画像を注視したり操作したことによる交通事故は五十七件で五年前の約二・四倍となっております。
　議員御指摘のとおり、自動車運転中にスマートフォン等の画像を注視したり通話したりすることは重大な交通事故に直結する極めて危険な行為であります。このため県警察では携帯電話使用等違反の指導取り締まりを推進することはもちろんのこと、関係機関・団体と連携して運転中の携帯電話使用等の危険性を広く周知するとともに運転免許更新時の講習の機会などを通じた交通安全教育の徹底を図っております。また八月に新東名高速道路において事業用貨物自動車による携帯電話使用等が原因となった死亡事故が発生したことを受け、運転中における携帯電話等の使用禁止の再徹底を運送事業者団体等に要請したところであります。
　県警察といたしましては、引き続き携帯電話使用等違反の取り締まりを推進するとともに関係機関・団体と連携を密にし携帯電話使用等違反を許さないという機運の醸成に努めてまいります。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　山﨑真之輔君。
　　　　　　　（二十三番　山﨑真之輔君登壇）
○二十三番（山﨑真之輔君）　それぞれに御答弁ありがとうございました。幾つか意見と、それから質問をさせていただきたいと思います。
　まず意見なんですが、一番初めの次期総合計画についてでございます。
　知事が、二期八年間いろいろな種をまいてくださいまして、それがこの三期目に萌芽されることを期待をしております。特に人づくり・富づくり、ここに力を入れていただくことなんですが、人づくりを土台にしながらさらに県民の目に見える形で富をつくっていく、これを大いに期待して今お話を聞いておったんですが、ただそういったさまざまな施策を体系的に行っていくには当然財源の裏打ちも必要になってまいります。そしてその財源を確保するには行財政改革が不断の努力として欠かせません。ところがその現在上げられている次期総合計画の骨子案、政策体系の中にはこれまであった行革、行政経営の柱が政策の柱として抜けてしまっているんですね。確かに政策推進の基本姿勢というところには記載があるにはありますけども、私たちの会派としてはその位置づけはどうしても低いというような解釈を現時点ではしております。ですからまだ骨子の段階ですからこれをしっかりと全庁挙げて意識をさせるためにやはり政策の柱に戻したほうがいいのではないかなというふうに思いますが、ぜひここは再考をしていただきたいというふうに思います。意見です。
　続きまして、意見の二点目といたしましては教育のほうですが、教員の養成、育成に関してでございます。
　先ほど、教員育成指標に基づいた研修、これを行っていくが多忙化に拍車をかけないようにあり方を検討していくということでございました。多分それは、恐らく新しい研修を入れますともう既に教員の皆様には十年研修であったりあるいは免許更新であったり大きな負担があるわけなんですね。三つ大きなものがもし重なってしまえば相当な教員にとっての混乱と負担になると思いますのでそこを何とかするべきだと思います。全国的には本県においても例えば浜松市などではその辺の交通整理がうまくできていますので、ぜひ県といたしましてはそういう市町教育委員会に対して交通整理をうまくしてくださいますように御指導をよろしくお願いしたいと思います。
　それから、県警察本部に関しても一点要望なんですが、ながらスマホ本当に危険なことだと思います。一件でも多くそういったことがなくなるように取り締まりの強化であったり機運の醸成をしていただきたいんですが、ただ車の運転にとどまらず自転車運転中のながらスマホそれから歩行中のながらスマホ、これもまた非常に危険だと思うんですね。その辺に関しましても今後しっかりと状況等を把握した上で対策を進めていただきますようによろしくお願いしたいと思います。
　意見は以上でございまして、再質問を何点かさせていただきたいと思います。
　まず、ＮＰＯ施策の推進に関してお伺いしたいと思います。
　いろいろ前向きな言葉で今後の方針をお話ししていただきましたが、ただ指摘しましたように現実に例えば中間支援組織に対する予算は削られていて来年度も多分減っていくんでしょう。私はその県の基本的な役割というのはその市町に対する仕事、つまりビー・ツー・ビーにあると思ってまして、これはＮＰＯ施策に関しても一緒だと思います。県がＮＰＯの中間支援組織にしっかり支援することによって単位ＮＰＯが活性化する、その役割を放棄してはならないと思うんですが、いろいろ統合して強化していくっていう御答弁ではあるんですが確認させてください。額面どおり予算が縮小されるということはＮＰＯ施策のこれ縮小または軽視と見ていいのか、それとも違うのか。違うのであればその意気込みをぜひお話ししていただきたいと思います。
　次にマーケティング戦略についてでございます。
　今、いろいろと検討を庁内で重ねていただいているということなんですがこれ相当高い買い物になると思います。突っ走って大丈夫かという気持ちがありまして特に変化の激しい時代ですよね。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてっていうとその前後はまた物すごく環境の変化があると思うんです。その中で箱をつくってしまって拠点が動かせないということは取り返しのつかないことになりますので、例えば東京の百貨店などで静岡物産展を工夫して何回か行った上で実績と検証を重ねてから実際拠点整備に移るということでもいいんではないかなと思いますが、今後の方向性についていま一度お答えいただきたいと思います。
　最後に、ヘルスケア対策の推進なんですが健康経営等を事業所とか家庭を巻き込んでやっていきたいというようなことだったと思いますが、ただそこの働きかけ、そこの意識を喚起させることが一番難しくてインセンティブをどう与えるかっていうところが課題だと思うんですね。昔だったらそれを個人でやれって話なんですが今はやることによって絶対医療費が削減できますから、そこに関して県の御所見がございましたらお答えいただきたいと思います。以上お願いします。
○副議長（山田　誠君）　髙木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長（髙木利夫君）　ＮＰＯ施策の推進についての再質問についてお答えをいたします。
　現在、県は基本指針を定めまして平成二十八年から三十二年の五カ年計画ということで今このＮＰＯ政策を推進しております。先ほど答弁させていただきましたように、身近なところは市町の市民活動センターで実施していただくということでそれに対しての支援を県が行うと、こういうスタンスは変えないでいきたいと思っております。先ほど県内十九市町にセンターができておりますけれども残った十六市町というのは、やはりどうしても伊豆半島に偏っておりますので、シフトとしては、市民活動センターの仕事としては、ＮＦＣセンターとしてはやはり東部地区に中心にやっていきたいと考えております。そのためにはやはりシフトしなければいけないということでございますし先ほど山﨑議員のお話があったように予算の問題も出てまいります。その中でうまく工面をしながらやっていくというのはやはり行政マンの仕事でございますのでその中でしっかりとした効果を出すように頑張っていきたいと思っています。
　また、県は二十七年度まで基金を持っておりましたけれどもこれを民間に移しました。二十七年度までは年平均七百万円ぐらいでございましたけども、それが二十八年度は約九百万円にふえてきておりますので、こういった民間の力をかりながら財政的な面におきましても支援を進めたいと思っておりますので引き続き御支援いただくようにお願い申し上げます。以上でございます。
○副議長（山田　誠君）　渡辺経済産業部長。
○経済産業部長（渡辺吉章君）　新たなアンテナショップについての再質問にお答えします。
　現在、新たなショールームについての物件を検討しているところでございますが、議員御指摘のとおり我々目指すところは二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでにという形で考えているところでございますが、御指摘どおり幾つかの物件をいろいろ今時点で調査しているところでございますけど非常にそういった時期も控えていることもありまして、計画的には他県のアンテナショップの家賃というところと比較しながら検討しているところでございますが、今後またそのコストに見合うだけの機能というのは検討しながらこれについてまた庁内の中にかけながら検討してまいりたいというふうに考えています。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　山口健康福祉部長。
○健康福祉部長（山口重則君）　ヘルスケア対策のさらなる一層の推進についての啓発関係と聞いております。
　まず、私たちは健康づくり事業をさらに県内に普及させるためにしずおかまるごと健康経営プロジェクト、この事業をやってるわけでございまして、こちらの事業の県民への浸透につきましては現在静岡県で暮らす、働く、育つと元気になれる「働いてよし　住んでよし」をコンセプトにいたしましてこの健康経営の考えを視点に入れた健康づくりを企業、地域、学校、家庭において進めることにしております。
　今後、これらこのコンセプトを皆さんに浸透するようにさまざまな場を活用しましてしっかり地域、さらに言うんでしたら社会全体で健康づくりに参画するように取り組みを推進していくところでございます。以上であります。
○副議長（山田　誠君）　これで山﨑真之輔君の質問は終わりました。（拍手）
　以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

○副議長（山田　誠君）　報告します。書記に朗読させます。
　　　　　　　（書　記　朗　読）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　監査第　56　号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成29年９月21日
　静岡県議会議長　杉　山　盛　雄　様
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　静岡県代表監査委員　　青　木　清　高　　
　　　　　　　　　　　　　　　　住民監査請求の要旨について（通知）
　このことについて、平成29年９月15日付けで請求があったので、地方自治法第242条第３項の規
定により、別紙のとおり通知します。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（別紙　登載省略）　　

○副議長（山田　誠君）　次会の議事日程を申し上げます。
　九月二十六日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
　本日はこれで散会します。

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	質問者：	山﨑　真之輔議員
	質問分類	代表質問
	質問日：	09/25/2017
	会派名：	ふじのくに県民クラブ
	質疑・質問事項：	１　次期総合計画について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1) 知事マニフェストの具体化　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2) 隣県・他県との連携　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２　静岡県の情報戦略について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３　ＮＰＯ施策の推進について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　４　「命を守る」危機管理について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　九州北部豪雨を踏まえた今後の河川整備のあり方　　　　　　　　　　　５　「暮らしを豊かに」について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1) 新産業の創造　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2) 中小企業支援　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3) マーケティング戦略　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　６　「福祉の充実」について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1) 子供を産み育てやすい環境の整備　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2) 児童虐待への対応　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(3) ヘルスケア対策の推進　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　７　本県観光の将来像について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1) 今後のＤＭＯの方向性　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2) マリンスポーツを初めとする地域資源を生かした浜松・　　浜名湖地域の観光地域づくり　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　８　グリーンインフラの概念を取り入れた今後の公共事業の推　進について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　９　教育行政について　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(1) これからの静岡県の教育　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(2) 時代を見据えた教員の育成　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 10　運転中のながらスマホへの対策について