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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

四本 康久 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 富士山について                         
 (1) 登山者の安全対策                       
 (2) 富士山の理解を深める取り組み                 
 (3) 世界遺産富士山の保全に向けた取り組み
2 本県の酪農・肉牛振興について                  
3 富士山南麓地域と山梨県との連携を強化する道路整備について                               
4 商店街の振興について                      
5 スポーツを通じた人づくりについて


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十四番 四本康久君。
       (三十四番 四本康久君登壇 拍手)
○三十四番(四本康久君) 私はふじのくに県議団所属議員として県政の諸課題について通告に従い、分割方式により知事、関係部局長及び教育長にお伺いいたします。
 初めに、富士山についてのうち登山者の安全対策について伺います。
 昨年の夏季における富士山の傷病者発生状況は、警察本部の資料によりますと全体で八十一人となっております。傷病者の態様別内訳を見ますと高山病などの発病が四十三人と半数以上を占めております。また発生場所は、山頂や九合五勺付近が非常に多い状況であると聞いております。昨年から警察本部が山頂に山岳遭難救助隊員を常駐させることで遭難者等の早期救助に大変大きな成果を上げていると伺っておりますが、発病の件数が多いことを考えると本来の遭難救助業務とは異なった対応を迫られ、山岳遭難救助隊の負担が大きくなっているのではないかと思われます。今後も富士山への来訪者の増加が見込まれる中で医療救護体制の充実が必要になってくるのではないかと考えます。
 静岡県側においては、富士宮口八合目において富士山衛生センターが開設され昨年は七月二十六日から八月十九日までの二十五日間、医師と補助者が各一名常駐し登山者の医療救護に当たったと聞いております。私は、静岡県側には富士宮口のほか二つの登山道があることに加え、冒頭で紹介したとおり山頂付近など高所において高山病を発症している方が多いことなどから、今後登山者の安全・安心を確保するためには、山頂に新たな救護施設を増設することが有効であると考えます。
 かつて富士山頂には救護施設等があったと聞いております。しかし現在ではその記録もはっきりとしたものが残されていないとのことです。昭和三十二年から昭和四十九年にかけて山頂の所有権等についての裁判があり、その記録によると昭和十二年、十三年ごろ元陸軍軍医学校衛生学教室富士山分業室として設置。終戦後、気象庁がこれを引き継ぎ昭和三十一年厚生省に所管が移り、昭和三十二年夏に富士山頂管理休憩所として管理、救急の施設として運営がされました。その後環境庁に所管が変わり、平成二年から取り壊しが行われ平成十七年には跡形もなくなり現在に至っております。
 これまでも、県が登山者の安全対策としてさまざまな取り組みを進めてきていることは承知をしておりますが、医療救護体制の充実も含め今後どのように登山者の安全対策を進めていくのか伺います。
 次に、富士山の理解を深める取り組みについて伺います。
 富士山が世界遺産として登録されたことを受け、私たちは今後美しい富士山を後世に継承していく大きな責任を果たさなくてはなりません。そのためには行政はもとより私たち県民の一人一人が富士山について学び、知り、その文化的価値について理解を深めていく必要があります。例えば富士宮市では、富士山を心に夢をもって生きる子どもを目指して、平成九年度から市内全小中学校において総合的な学習の時間を富士山学習として実施しております。また富士山を学ぶことによって私たちはより健康で豊かな生活を送ることができるものと考えております。私は富士山にはこうしたパワーがあると思っております。世界遺産委員会からの勧告、要請は、保存管理の観点から大きな課題を与えられたと思っていますが、富士山を後世に向けて継承していくことは多くの皆さんの理解と協力がなくては、なし得ないものであります。
 そこで、県は子供から大人まで幅広く富士山の理解を深めるための取り組みについて、今後どのように進めていこうとしているのか伺います。
 次に、世界遺産富士山の保全に向けた取り組みについて伺います。
 富士山は、信仰の対象及び芸術の源泉としての価値が認められ世界遺産として登録されましたが、今後ますます保全への対策が求められていると考えております。私はかねてより世界遺産富士山にとって最も重要なことは、保全であると考えております。一昨年七月から再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたことに伴い、民間企業による大規模な太陽光発電設備の設置に向けた動きが加速しており、富士山における保全状況の悪化が懸念されております。私はこうした大規模な太陽光発電設備の設置に係る問題のみならず富士山における開発が無秩序に進められることは、富士山の顕著な普遍的価値に多大な負の影響を与えることになりかねないと考えています。イコモスによる勧告や世界遺産委員会の決議の内容を私なりに判断すると富士山の顕著な普遍的価値は認められたものの、富士山のより適切な保全への取り組みが必要であると認識をしております。
 そこで、県では世界遺産富士山の保全に向け今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 四本議員にお答えいたします。
 富士山についてのうち、富士山の理解を深める取り組みについてであります。
 富士山を人類共通の財産として後世に継承していくためには、より多くの人が信仰と芸術の一体的な存在としての富士山の価値を理解して、一人一人が世界遺産を守る担い手となることが何より重要でございます。こうした中、本県は遺産登録に先立ちまして富士山の日を定め、また富士山の日に公刊する形で和歌は富士山百人一首、それを引き継ぐ富士山万葉集、俳句については富士山百人一句、さらにそれを引き継ぐ形で富士山歳時記、富士山百画、今年は富士山漢詩百選などを編さんしております。また出前講座の開催、世界遺産ガイドの養成、認定NPO法人富士山を世界遺産にする国民会議がございますので、そことも連携をいたしまして、県内全ての小学校に教材を配布いたしまして、富士山教育プログラムを活用していただくなど後世に継承していくために意識を醸成するさまざまな取り組みをしてまいりました。
 こうした取り組みに加えまして、建設に向け準備を進めております富士山世界遺産センター――仮称――におきましては、国内外からの来訪者に対しまして富士山の価値を正しくかつ楽しく伝えていくとともに、学校教育と連携した学習支援を行うなど富士山の理解を深める取り組みを進めてまいります。富士山の日の協賛事業も今年は過去最高の四百十八件に達しました。最初は百件台だったんですが、翌年には二百件台、それが三百件台と、ついに四百件を超すまでになったわけでございます。そのように裾野が広がっているということで喜んでおります。
 このように富士山について思い、考え、学ぶことが着実に定着しております。これを日本全国に広めていくために――といいますのも日本全体にふるさと富士、見立て富士、おらが富士と称される山々が四百山以上あることがわかっておりまして、こうしたいわば富士を抱く富士の国としてのアイデンティティーというのが、日本のアイデンティティーでもあると思います。本県にとっては、それがローカルなアイデンティティーであると同時に国全体のアイデンティティーでもあるという、そうした特徴的な存在の形を持っているわけでございますが、こうして富士山の保全を通じながら富士の姿、富士の名に恥じない人づくり、地域づくりを国民運動として展開してまいります。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 下山文化・観光部長。
       (文化・観光部長 下山晃司君登壇)
○文化・観光部長(下山晃司君) 富士山についてのうち、登山者の安全対策についてお答えいたします。
 登山者の増加が予想された昨年は、国や山梨県などと連携し富士登山オフィシャルサイトなどにより富士山の気象、装備、高山病の危険性、弾丸登山の自粛について事前の啓発を徹底するとともに、各登山口では富士山ナビゲーターが直接アドバイスを行いました。加えて国、関係機関と連携した登山道パトロールの拡充や誘導・安全指導員の増員配置を行うとともに、警察本部では新たに山岳遭難救助隊を山頂に常駐させるなど安全対策の強化に取り組んだところであります。昨年の傷病者発生状況を検証した結果、体調に異変を感じた場合には直ちに登山を中止し速やかに下山することなど登山者への周知啓発が改めて重要な課題となっており、今後も関係者と一体となった取り組みを強化してまいります。なお山頂への救護施設の設置につきましては、医師確保や富士山の厳しい気象条件などの課題もありますが、関係者の御意見も伺いながら登山者の安心・安全を図る救護体制の整備について検討してまいります。
 次に、世界遺産富士山の保全に向けた取り組みについてであります。
 世界遺産富士山を人類共通の財産として後世に確実に継承していくためには、自然環境や景観に配慮した保全対策が重要であり、包括的保存管理計画に呼応した静岡県行動計画に基づき全庁を挙げて富士山の適切な保存管理に取り組んでいるところであります。
 富士山とその周辺は、我が国の風景を代表する傑出した自然の風景地として富士箱根伊豆国立公園に指定されており、公園区域内の自然環境を維持するため自然公園法に基づき各種行為を規制することにより乱開発の防止や動植物の保護保全などに確実に取り組んでまいります。また構成資産周辺の無電柱化を推進し市町の景観計画の策定、見直しを支援するとともに、富士山周辺の六市三町と県から成る富士山地域景観協議会が策定した富士山周辺景観形成保全行動計画に基づき、建築物や工作物の規制誘導など景観保全の取り組みを進めてまいります。さらに太陽光発電設備の設置などの新たな課題につきましては、富士山世界文化遺産学術委員会の学術的な助言をいただきながら富士山の保全に向け庁内はもとより地元市町や国などの関係機関と連携し、一体となって対処してまいります。
 なお、三保松原につきましては、イコモスから指摘のあった海岸の景観保全に加え静岡市などと連携を図りながら松枯れ対策や無電柱化を進め世界遺産富士山の構成資産としてふさわしい白砂青松の保全について、ユネスコ世界遺産センターへ提出する保全状況報告書に盛り込むことができるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 四本康久君。
       (三十四番 四本康久君登壇)
○三十四番(四本康久君) 答弁ありがとうございました。要望を一つと再質問を二つ行います。
 まず要望はですね、富士山の理解を深める取り組みの部分でございますけれども、知事からは国民運動的なものにしていきたいというようなお話がありました。それは当然そうですし私はやっぱりその前に県民運動として県民一人一人にもっと身近になってもらいたいなと。私はまだまだ温度差がかなりあるのではないのかなと思っておりますので。やはり私たちの身近である富士山、これをどういうふうに思いを寄せるか。県民運動的なものでもっと啓発をしていただきたいなと思っております。
 それでは再質問でございます。
 登山者の安全対策についての部分でございますけれども、特に山頂に救護施設をというような私は御提案をさせていただきました。今年度は富士山保全・活用特別委員会も行われております。その中でも五人、今回特別委員会で参考人がお見えになりました。その五人のうちお二人の方が、それぞれの立場の中で多少視点は違いますけれども山頂に救護所の必要性というようなことが、その参考人陳述の中でも述べられております。それを受けて二月の二十一日に議長のほうに提出がされた富士山保全・活用特別委員会の報告書の中にも、やはり山頂での救護施設の必要性、こういうようなものの設置に関して検討すべきというようなものが行われております。
 私はこれはですね、登山者の方が安全に登るには山梨県側には二カ所あるんですね。そしてそれは人数が多い登山者が多いからなのかもしれませんけれども、我が静岡県側は申し上げたとおり三つの登り口があります。現在一つの登り口にしか設置がされておりません。これはなかなかですね、その一つが全部の登り口に対応するというのは、なかなか厳しい状況だと思います。私はもう一カ所少なくとももう一カ所つくっていく必要性が大変重要であると思っております。それがやはり一番可能性が強いところが、病人も多く出るというのがやっぱり頂上付近だということでございますので、ぜひこれはもっと積極的に研究をしていく必要性があると考えますけれども、その辺の御見解をお尋ねをいたします。
 次の再質問は、保全に向けた取り組みについてのところを伺います。
 特に太陽光発電――メガソーラーですね。メガソーラーに対する対策でございますけれども、昨年山梨県側では、やはりメガソーラーの設置というようなことでですね、これを何とかしていかなきゃいけないというようなことで山梨県はかなり積極的に動いたと聞いております。その中で山梨県の自然環境保全条例を改正をして対策をしていくということで、この二月の議会に諮られているというようなことを聞いておるところでございます。本県も同じ名称の条例を持っておりますけれども山梨県の条例と同一のものではないと聞いておりますけれども、しかし何らかの形で対策をしていかないと、このメガソーラーに対しての対策が打てません。現在では最終的には設置者が望めばできてしまうというような状況がやはり危険性をはらんでおります。
 ぜひともこういったものに対してしっかりと対応していく必要性があると思いますけれども、その辺の見解をお尋ねをいたします。以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 富士山の登山者の安全対策のうちで山頂に救護所を設けるべきではないか。そして登山口が三つあるのに一カ所でよろしいのかというふうな内容の再質問についてお答えしたいと思います。
 登山者の安全対策につきましては、まず登山前から体調を整える、弾丸登山を控える、途中で体調不良になった場合は無理をしないというふうなことが原則であります。しかしながら実際こういった体調を崩される方が多いことも事実でございます。ただ山頂に救護所を設けるとなりますと、今の救護所が三千二百五十メートル、大変高いところにございますけれども、もっと高いところに救護所を設けたとするとそこに従事する医療従事者が本当に体調を崩さずに働けるかどうか。実際に富士登山に何回も行かれる方も山頂では体調を崩すというふうなことを聞いておりますので、二十四時間体制、四、五日交代でやるという医療の関係者が、本当にそういった勤務ができるかどうかというふうなこと。そういったさまざまな課題もございます。ただ委員おっしゃるとおり三カ所で登山口に一カ所しかないということも事実ですので、この医療体制に従事されています浜松医大の意見もお伺いしながら今後検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(伊熊元則君) 再質問の二つ目でございます。山梨県で自然環境保全条例を改正しているが、県ではその条例改正をしないかということでございますが、大規模太陽光の発電設備につきましては、大きいもので数十ヘクタールもの土地にパネルの設置をされるということになりますので、そうなれば土地の改変あるいは特別な高圧送電線へ接続するというために鉄塔の建設も必要になるということになると思います。富士山の景観に大きな影響があるということで認識してございます。
 現行の自然公園法では、すぐれた自然の風景地の保護のために公園区域内における一定の行為を制限をしておりまして、特別区域では許可制、普通地域では届出制ということで規制を行ってございます。山梨県におけるその条例改正の動きは承知してございますが、設置計画の背景、設備の規模、あるいは条例の制定経緯等を見ますと本県と事情が異なる部分がございますので、まずは現行の自然公園法による規制で対応するのが適切だというふうに考えてございます。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 四本康久君。
       (三十四番 四本康久君登壇)
○三十四番(四本康久君) 答弁ありがとうございました。ちょっと再々質問をいたします。
 まず、山頂の救護所の件でございますけれども確かに山頂での業務、大変厳しいです。私も山頂で寝たことがありますけれど、なかなか寝るのにも息苦しかった。そういう経験もあります。しかし今までもですね、山頂に医療救護施設はありました。そして現在でも例えば山頂の浅間大社奥宮、あるいは郵便局。これも今、職員がそこに常駐をして交代で勤務をしておるところでございます。警察もそうですね。そんな状況でございますから過酷な部分は承知をしておりますけれど、ですからやはり一般の方も救護施設というものがあることによって、大変安心をして来るというようなことがあると思います。そんなことを受けてもう一度、設置についてお尋ねをします。
 あとは、もう一つはメガソーラーについてでございます。今の自然公園法の普通地域でそういうものが守れるのであるならば、私は本当に、ああそうですか、安心しましたということで承知をするところでございますけれども、そうでない部分があるのではないのかなと思っております。今回もこの二月二十六日に富士山世界文化遺産学術委員会が開かれました。この中でも開発の制御というようなことが大きな話題になったと聞いております。この中で山梨県のこの条例改正のことも話題になったと聞いております。山梨県がしっかりと対応をしているのに本県はこのままでいいのか。もう一度お尋ねをいたします。以上、答弁をお願いします。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 再々質問についてお答えいたします。
 やはりそこで従事する医師の確保というのが大変大きな課題ではないかと思っています。本当にそこで健康状態を保ちながら医療に従事できるのかというふうなことが課題だと思いますので、やはり医療に協力していただいております浜松医大のほうと相談しながら検討してまいりたいと思っております。以上でございます。
○副議長(渥美泰一君) 伊熊くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(伊熊元則君) メガソーラーに関連します再々質問にお答えさせていただきます。
 御指摘の点、十分私どももわかっておりますので、いかに富士山の自然環境保全をしていくかということは、そのためにいかなる手法をとって保全をしていくか、条例化等を含めてやっていくかということは、私どもも今後早急に関係市町あるいは庁内の関係課などと調整を図りまして検討をさせていただきます。よろしくお願いします。
○副議長(渥美泰一君) 四本康久君。
       (三十四番 四本康久君登壇)
○三十四番(四本康久君) それでは次の質問に移ります。
 まず、本県の酪農・肉牛振興について伺います。
 本県の酪農・肉牛などの畜産は、恵まれた気候的、地理的条件により発展し、近年では蓄積された生産技術などを生かした多彩な展開により県内各地域でブランド化の取り組みが進められております。特に肉牛においては、十五以上のブランドがあるとされ、「特選和牛静岡そだち」、「遠州夢咲牛」など高級牛肉として品質に定評のあるものも多くあります。私の地元の富士宮地域においても畜産が盛んで戦後入植した開拓団によって切り開かれて以来、牛を中心に畜産を地域の重要な産業として発展してまいりました。特に酪農においては、雄大な富士山をバックに広々とした牧草地で牛が草をはむ風景は、その開拓、開墾の歴史とともに、まさに静岡県が後世に伝えるべき世界遺産の一部と言えるのではないかと私は考えております。
 そのような歴史、景観を持つ富士宮市は、乳牛及び肉用牛を合計すると農家戸数約百戸、飼養頭数約一万二千七百頭と、ともに県内市町の中で第一位であり、現在も県内最大の酪農・肉牛産地であります。また規模拡大にとどまらない生産者のたゆまない努力により生産者各人によるプライベートブランド化の取り組みもなされてきているところであります。
 しかし、酪農・肉牛などの畜産を取り巻く経営環境は、後継者不足による生産者の高齢化、飼料価格の高騰、食のグローバル化に伴うブランド化競争など大変厳しい状況が続いており、これらの現状は、今後の本県の畜産業の振興において深刻な課題と認識しております。富士宮地域でも廃業や耕作放棄により空き家となった牛舎や荒れた草地を目にするようになり、かつての人、自然、牛がつながる命に満ちあふれた風景が失われつつあることに焦燥感を感じております。そしてこれは富士宮地域のみならず本県全体に見られる現象なのではないかと容易に想像されるものであり、空き牛舎や草地いわゆる経営資源は、そのまま放置せず活用すべきものと考えます。
 そこで、本県の酪農・肉牛を振興するために、今後酪農における経営資源の継続活用や今ある肉牛ブランドの競争力強化について、どのように対応していくのか伺います。
 次に、富士山南麓地域と山梨県との連携を強化する道路整備について伺います。昨年六月に富士山が世界文化遺産に登録されて以降、富士山南麓地域に国内外から多くの方が訪れ本県に大きな効果をもたらしています。富士山の登山者数を例に挙げると昨年夏の登山期間における本県の登山者数は十四万人を数え一昨年同時期から約一万七千人、率にして約一四%増加し、富士山本宮浅間大社を初めとした富士山の構成資産や周辺の主な観光施設等においても入り込み客数が軒並み前年より増加しております。これは単に富士山が世界文化遺産に登録されたことのみならず、一昨年開通した新東名高速道路や関連して整備された道路による各施設へのアクセス性の向上が少なからず貢献していると考えます。
 平成二十九年度には、新たな南北軸となる中部横断自動車道が新東名から中央自動車道まで開通する予定であり、中部横断自動車道の仮称富沢インターチェンジが長野、山梨方面から富士山南麓地域への玄関口となって、本県への来訪者がさらに増加すると期待されます。一方南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、地震による揺れや最近では雪害また巨大津波により広域的な緊急輸送を担う東西の幹線道路が寸断された場合には、中央自動車道から中部横断自動車道を経由して本県に至るルートが救援活動や復旧・復興の鍵を握ると考えます。今年度の総合防災訓練では、このような観点に立ち山梨県南部町と富士宮市との間で県境を越えた相互支援訓練が初めて実施されました。災害発生時に命の道として緊急輸送や救援活動を支えるとともに、県境を越えた地域の経済や産業の活性化を図るためには、富士山南麓地域と山梨県との連携を強化する道路整備が不可欠と考えます。
 これまで県において国道四百六十九号や県道清水富士宮線などの現道の拡幅に取り組んできたことは承知しておりますが、地元では国道四百六十九号について国道百三十九号から山梨県側の国道五十二号までの間を直接結ぶ構想道路の実現を望む声もあります。予算状況も厳しい中、多額な事業費が想定される当構想道路の実現は難しいと考えますが、中部横断自動車道の開通を見据えると仮称富沢インターチェンジから富士山南麓地域にアクセスするルートの整備が重要と考えます。
 そこで、当構想道路に関する考えとアクセスルートの整備について伺います。
 次に、商店街の振興について伺います。
 平成二十四年度に国が実施した全国の商店街実態調査によりますと三年前の調査と同様に、「衰退している」と答えた商店街が最も多く、全体の四三・二%に上っています。また最近の商店街への来街者数についても前回と同じく「減った」と答えた商店街が最も多い結果となっており、商店街の衰退に歯どめがかからない状況がうかがえます。こうした状況の中、昨年四月商業者等が地域の商店街活動に積極的に参加し、協力する機運を高めることにより商店街の振興及び活性化を図り、県民生活の向上に寄与することを目的とする静岡県商店街振興及び活性化条例が施行されました。
 私の地元富士宮市においても県内有数の大型ショッピングセンターが近くにあり、商店街は大変厳しい状況に置かれておりますが、その中でもまちなかアートギャラリーや駅前十六市など活発な活動を展開しております。また条例が施行されたことをきっかけに昨年五月からは、商店街と地域住民、行政、金融機関が集まり、まちづくり勉強会が始まっており県が育成しているタウンマネジャーも研修を兼ねて参加するなどさらに積極的に取り組んでいるところであります。商店街は地域コミュニティーの中心の役割を担っており、その振興策は市町が中心になって進めておりますが、市町だけの取り組みでは限界があると思われます。
 そこで、県内の商店街の振興について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、スポーツを通じた人づくりについて伺います。
 先日までソチで開催されていた冬季オリンピックでは、日本選手が活躍し多くの国民に夢と感動を与えてくれました。選手は勝利を目指し集中力を極限まで高め、自己の限界に挑戦するそのひたむきな姿が多くの人の心に響いたものと思います。このようにスポーツ選手が純粋な気持ちでスポーツに取り組むことができるのは、お互い公平な条件のもとで競い合う共通理解が図られ信頼関係の中で競技が実施されているからこそであります。スポーツマンシップという言葉がありますが、それは勝敗を厳しく争うトップスポーツの場合だけではなくスポーツを安全に楽しむためにも必要となります。このためスポーツの体験は、勝利を目指し継続的な努力を重ねる中で強い忍耐力や精神力を習得することだけではなく、自然とルールを守る姿勢が身につき規範意識の向上が期待でき青少年の健全育成につながると考えます。例えば相撲や柔道を初めとする長い歴史を重ねる武道では、日々の厳しい稽古により頑強な体をつくり上げどんな状況であっても冷静で的確な判断ができる強い精神力を身につけることを目指している中で礼儀を重んじ、互いに尊重し合う精神から他者との協同や規律を遵守する態度を育むことができると考えます。このようにスポーツは体を動かすという人間の根源的な欲求に応え、精神的充足や楽しさ、喜びをもたらすだけではなく、青少年の心身両面における健全育成の役割を担っております。
 そこで、積極的に子供がスポーツを体験し生涯にわたってスポーツに親しむ資質を身につけスポーツ習得を身につけることが重要と考えますが、そのお考えを伺います。以上について答弁を求めます。これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本県の酪農・肉牛振興についてお答えいたします。
 静岡県では、恵まれた自然条件と先人の御努力により高品質の畜産物が生産されています。まず酪農についてですけれども、昨年十一月の中部十県による乳牛の共進会におきまして農林水産大臣賞を独占いたしました。全国的に高い評価を受けているのが本県の酪農・乳牛でございます。このようなレベルの高い酪農が持続的に発展するためには、意欲のある担い手が後継者のいない農家などの牛舎や牧草地の経営資源を円滑に継承することが必要です。これまで市町や農協等と連携をいたしまして、移譲希望者と継承希望者のマッチングや就農計画の策定支援を行っているところです。また経営継承を一層進めるために新規就農希望者が酪農ヘルパーとして働きながら技術を習得するための支援などを行うとともに、県や農協、市町を構成員とする支援組織を立ち上げまして空き牛舎等の情報バンクの整備や当事者間の仲介、調整機能の強化を図ってまいります。
 次に、肉牛についてでございますが、神戸牛、近江牛など有名ブランド牛が出品される近畿東海北陸連合肉牛共進会というのがございますが、そこにおきまして平成二十二年度から四年連続本県産の肉牛が最優秀賞を受賞いたしました。この共進会は平成二十五年度で第六十回を迎える伝統のある大会でございます。四年連続最優秀賞を受賞したのは共進会史上初めてです。かつ平成二十二年、二十三年には去勢の部でも最優秀賞を受賞してダブル受賞をしているというわけでございます。このような最高品質のレベルである本県の肉牛でございますが、その中で「特選和牛静岡そだち」などをしずおか食セレクションとしてブランド化を推進するとともに、マカオで開催される静岡レストランフェアや新宿の有名百貨店で行う静岡フェアで県産牛肉を提供するなど情報発信に努めております。
 今後、一層県産牛肉の競争力を強化するために来年度、生産者や生産者団体、食肉流通業者などから成る協議会を設立いたしまして、輸出を視野に入れた県内統一ブランド化などの販売戦略を検討してまいります。
 もちろん、このような高品質の本県の牛肉を内外に売り込んでいくことは大事なんですけれどもやはり本県の皆様方が、最高品質のものを気軽に味わえることが大切です。この間、静岡市の江川町に静岡そだちの牛肉をサービスする店が開かれました。ここは成功するかどうか危ぶまれたのでございますが、やはりおいしゅうございますので、並みのいわゆる焼肉屋と天と地の差があるくらいレベルの高いものであります。ここはたまたま県議と御一緒に生産者とともに、この牛肉を味わいましたが、その感動といいますかやはり本県産のものがすごいということが、食それ自体を楽しくするということがございます。したがってこのような六次産業化というのもあわせてですね、本県内でそれぞれの地域に応じた形で、例えば京都「三嶋亭」に勝るとも劣らない、そういう牛肉屋が――牛肉屋といいますか焼肉レストラン、あるいは牛肉を活用した料理屋、レストランがですね、もっとふえるということが望ましいというふうにも思っている次第でございます。
 県といたしましては、このような外に向けた取り組み、また内を充実していく取り組みなどによりまして、生産者や関係団体と一体になって酪農・肉牛の振興を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山南麓地域と山梨県との連携を強化する道路整備についてお答えいたします。
 国道百三十九号から国道五十二号までの間を直接結ぶ構想道路につきましては、富士山南麓地域と山梨県とのヒト、モノの活発な交流を促進し地域振興を図る交流促進型の広域道路として、平成十年に静岡県広域道路整備基本計画に位置づけられています。
 県では、これまで必要性や緊急性等を検討してまいりましたが、少子高齢化の進展などにより将来交通量の伸びが鈍化したことや新東名が開通したことなどから現在では整備優先度は高くないと考えております。このため、仮称富沢インターチェンジから富士山南麓地域にアクセスするルートにつきましては、国道五十二号県道塩出尾崎線、富士川身延線及び清水富士宮線を経由して国道四百六十九号に至るルートを考えており、現在特に未改良区間の多い県道清水富士宮線の富士宮市西山地内や大久保地内におきまして、新合併支援重点道路整備事業等により道路拡幅等を重点的に実施しております。
 県といたしましては、中部横断自動車道の整備効果を最大限に生かし、富士山南麓地域のさらなる観光振興と県境地域の交流促進及び災害時の確実な相互支援の実現に向け、引き続き富士山南麓地域と山梨県との連携を強化する道路整備を推進してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 商店街の振興についてお答えいたします。
 県では、平成二十三年度から商店街の活性化を担うタウンマネジャーを育成してまいりました。今年度からは、タウンマネジャーの配置に対する助成制度を設け小山町の取り組みを支援するなど魅力ある商店街づくりを進めているところであります。また商店街の振興には個店の魅力向上が不可欠であることから、現在四百六店舗が登録しているふじのくに魅力ある個店を対象に個店同士の勉強会や店主が講師となってプロの技を参加者に伝える個店塾を開催するほか、後継者がいない商店と開業希望者とのマッチングにも取り組み始めているところであります。
 さらに来年度は、商店街の取り組みを支援する市町に対し、県が補助する地域商業パワーアップ事業費助成において補助の対象となる事業費を引き下げることで、例えば商店街のホームページの作成や中山間地域と商店街とを結ぶ買い物バスの運行など地域の実情に合わせた小規模な事業にも対応できるようにしてまいります。
 県といたしましても、商店街は買い物の場であるとともに、地域コミュニティーの場としても重要であることから今後とも、市町や商工団体と連携して商店街の振興を図ってまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) スポーツを通じた人づくりについてお答えいたします。
 スポーツは、生涯にわたってたくましく生きるための健康や体力の基礎を養うとともに、公正さと規律を身につける大切な役割を果たすものであり、議員御指摘のとおりスポーツの習慣を身につけることが重要であります。しかしながら近年、小学生の早い段階から積極的にスポーツをする子供とそうでない子供の二極化が進んでおり、乳幼児期から体を動かす習慣が必要であると考えております。県教育委員会では、乳幼児期から手軽に遊び感覚で運動に触れることができるようふじのくにファミリー・プレイ・プログラムやファミリー・チャレンジ・プログラムといった親子運動遊びプログラムを策定し、その普及に努めております。また小学生を対象に仲間とかかわり合いながら運動する楽しさ、達成感を味わい、運動する習慣や人間関係を育むことを目的として長縄跳びやドッジボールなどを行う体力アップコンテストしずおかを実施しております。
 今後も引き続きこれらの取り組みを通して、子供が積極的にスポーツを体験し親しむ習慣を身につけることができるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 四本康久君。
       (三十四番 四本康久君登壇)
○三十四番(四本康久君) ありがとうございました。それでは要望を一つと再質問を一つ行います。
 酪農と肉牛振興のところでございますけれども、これからの経営をどういうふうに継続していくのか。この中で御答弁の中で第三者機関の重要性というようなことのお答えをいただきました。これは大変重要なことだと思っております。公平な公正な人たちが仲介することによって、酪農ってすごくお金がかかるんですね。大変投資がかかっております。ですからなかなかその仲介が相対ですとなかなか難しい。やっぱり第三者機関が重要なものを担うと思いますので、そこのところをさらに進めていただければなと思います。
 再質問は、肉牛のブランド化のところでございますけれども、ブランド化をするのは大事ですけれども餌なんかをもう少し工夫をして静岡らしい特徴のある肉牛を目指していく必要性があると思いますけれども、飼料の統一化、いきなりはできないと思いますけれどもその辺のお考えをお尋ねします。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 本県の酪農・肉牛振興についての再質問にお答えいたします。餌――飼料につきましては、肉質に大きな影響を与えることから、その原料、成分などにつきまして協議会とともに検討してまいりますが、本県の畜産技術研究所におきましても少し本県らしい牛肉にしたいということで来年度から、お茶やミカンなど本県の特産物を飼料に利用した味に特徴ある牛肉生産技術を少し研究開発していきたいと思っています。
 このような静岡ならではの牛肉ブランド化を検討してまいりたいと思っています。以上でございます。

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