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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

山本 貴史 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2016

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 県政運営の成果                        
 (2) 平成二十九年度当初予算編成方針                
 (3) 地域外交におけるアメリカへの対応               
2 伊豆半島地域の活性化について                  
3 医療健康産業の振興について                   
4 働き方改革と労務負担の軽減について               
 (1) 企業における働き方改革の推進                 
 (2) いい仕事のための県職員の負担軽減               
5 内陸のフロンティアを拓く取り組みについて            
  推進区域の早期具体化                     
6 健康寿命のさらなる延伸について                 
7 ラグビーワールドカップ二〇一九の本県開催に向けた取り組みについて            
8 危機管理行政について                      
 (1) 活断層により発生する地震への対策               
 (2) 被災者の生活再建支援体制の確立に向けた県の取り組み      
9 ラウンドアバウト交差点について                 
10 教育行政について                        
 (1) 静岡式三十五人学級編制                    
 (2) 社会総がかりのいじめ防止                   
11 認知症等にある高齢運転者の交通事故防止対策について


○副議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十一番 山本貴史君。
       (二十一番 山本貴史君登壇 拍手)
○二十一番(山本貴史君) 私はふじのくに県民クラブを代表し当面する県政の諸課題につきまして通告に従い、知事、副知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に一括質問方式にて質問をいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、県政運営の成果について伺います。
 平成二十一年七月に就任された川勝知事は、これまで本県の直面する諸課題に対応するため多くの苦労や工夫をされてきたことと思います。平成二十一年八月に発生した駿河湾を震源とする地震への対応や前年のリーマンショックの影響で打撃を受けた県内経済の立て直し、経済状況の悪化に伴う失業者の増加など就任直後から大きな課題に対応してこられました。また平成二十五年七月に多くの県民の期待を背負って再任された後も、我が国の喫緊の課題である人口減少、超高齢社会への対応など、今もって困難な課題が山積する中で県政運営のかじ取りという重責を務められております。
 知事は、こうした課題に対して行動力を持ってみずから積極的に県内各地域に出向き多くの県民の声に耳を傾けながら県民幸福度の最大化を目指して取り組んでこられました。地方みずからが知恵を出して地方創生を実現していくことが求められている中、静岡県が将来にわたって発展していくためには先見性のある政策の実現と知事のリーダーシップが不可欠であります。
 そこで、約七年半にわたるこれまでの県政運営を振り返ってみて、将来の静岡県にどのような遺産――レガシーを残せたと考えているのか、みずからの県政運営の成果に対する所感について伺います。
 次に、平成二十九年度当初予算編成方針について伺います。
 来年度当初予算の財政収支の試算では六百億円の財源が不足するとの見込みが示されました。本県経済も右肩上がりとは言わないまでも緩やかに回復しつつあるとされている中、正直なところこの財源不足額については驚きであり、改めて本県の財政状況が大変厳しいものであると認識させられたところであります。
 この財源不足に対し、基金を三百六十億円活用し残りの二百四十億円については部局の事業見直しにより六十五億円を捻出、残りの百七十五億円を予算編成作業の中で捻出するという方針が示されております。これから大変厳しい予算編成作業になると思いますが、地方財政運営を行う上で財政の健全性の確保は大前提であります。職員一丸となって全力で取り組み、この難局を乗り越えていただきたいと思います。
 このように大変厳しい財政状況ではありますが、来年度はいよいよ富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げの年であります。静岡県の将来を見据え、ポスト東京時代の日本の理想郷をつくるという高い理念のもと、川勝知事が就任以来掲げてきた富国有徳の理想郷ふじのくにの実現を目指し、これまで全力を挙げて取り組んでこられた努力が結実する年でもあります。
 このような中、知事御自身も来年度当初予算に対する思い、決意は並々ならぬものがあると存じますが、知事が掲げるふじのくにづくりを着実に進めるために、どのような方針で当初予算編成に臨まれようとしているのか所見を伺います。
 次に、地域外交におけるアメリカへの対応について伺います。
 世界が多極化している中で、米国の影響力の大きさは低下しつつあるという議論もありますが、現在も世界第一位のGDPと世界最強の軍事力を有しているなど米国の持つ力は我が国にとりましても依然無視できないものがあります。その国のトップである大統領が示す政策も当然のことながら世界の情勢や経済に大きな影響を与えます。こうした中、先月行われたアメリカ大統領選挙では最終的には接戦の末、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利し全世界に衝撃を与えました。大統領交代後の日米関係は県としても注視していく必要があると考えます。
 また、県の地域外交基本方針では、中国、韓国、モンゴル、台湾、東南アジアといったアジア諸国に加え、米国を地域外交の重点国と位置づけております。現在米国と姉妹都市提携を結んでいる市町は県内に十三市町あります。静岡市や浜松市のように米国の複数の都市と姉妹都市提携を行っているところもあるため県内十三市町に対し二十の提携先が存在しており、国別の提携先数では米国が最も多くなっております。
 一方で、近年アジアとの交流意識が高くなっており、姉妹都市の提携や交流に関する協定等を締結するケースが増加しているほか、米国に留学する日本人学生がピーク時と比べて大きく減少しているのに対し中国やインド、韓国ではアメリカへの留学生が増加傾向にあります。特に米国への中国人留学生の急増ぶりは近年すさまじいものがあり、米国内にいる外国人留学生の三〇%以上が中国人とのデータもあります。約二%程度の日本人留学生とは大変な開きが出ております。
 大統領がかわってもアメリカとの関係は依然として重要であります。県としても米国との交流には力を入れて取り組んでいくべきであり、市町レベルの交流も活性化していく必要があると考えております。
 そこで、知事は今回のアメリカ大統領選挙の結果をどのように認識されているのか、また県としてアメリカに対する今後の地域外交をどのように進めていくのか所見を伺います。
 次に、伊豆半島地域の活性化について伺います。
 伊豆半島地域は、国内有数の観光地として知名度が高く、伊豆半島ジオパークや世界文化遺産である韮山反射炉など県内の他の地域もうらやむ世界レベルの地域資源に恵まれている地域であります。さらに念願の伊豆縦貫自動車道についても国は天城峠区間の計画段階評価に着手し、いよいよ全線開通への道筋が見えてまいりました。
 伊豆半島を区域別に概観しますと、東伊豆地域ではにぎわいが復活しつつある熱海において伊豆半島東海岸地域の玄関口となるJR熱海駅がリニューアルオープンし、華やぎが感じられるようになってまいりました。伊豆急行が新たな列車の投入計画を明らかにするなど伊豆東海岸の投資に期待が膨らむような話も聞こえてきております。中伊豆地域では東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の開催が決定し、これを契機とした地域活性化への期待感が高まっておりますし、西伊豆地域では駿河湾の世界で最も美しい湾クラブへの加盟が決定し、伊豆半島の国際的な認知度がさらに高まっていくことが期待されております。
 しかしながら、県内の他の地域を上回る急速な人口減少や少子高齢化、主力産業である観光産業の低迷など、いまだ将来に対する不安は拭い切れません。とりわけ伊豆半島の南部地域は深刻な状況であるとの指摘もあります。
 そうした厳しい状況から、地域が本来持っている潜在能力を引き出し世界から憧れられる伊豆半島にするとの川勝知事の御英断により、昨年八月に土屋副知事が県政史上で初めて特定の地域圏を担当する副知事に就任されました。
 就任から一年が過ぎた今、改めて現場に入って感じられている伊豆半島地域の現状と課題、県が担っていくべき役割について、土屋副知事の所見を伺います。
 次に、医療健康産業の振興について伺います。
 静岡県は、医薬品、医療機器の合計生産金額は五年連続で全国一位、関連産業の化粧品生産金額も二年連続で全国一位となっております。本県の主要産業である輸送用機器や電気機械の製造品出荷額の回復が鈍い中、医療健康産業は今後静岡県経済を牽引する産業分野として大いに期待されております。
 特に東部地域には医薬品・医療機器関連企業の研究所や生産工場が数多く立地しております。これらの産業基盤と静岡がんセンターとを結びつけ本県の地域経済の活性化と産業集積を目指すファルマバレープロジェクトは、ライフサイエンス分野のクラスター政策として全国的にも高い評価を得ていると聞いております。このほか浜松医科大学等が中心となってメディカルイノベーションの創出を目指すはままつ医工連携拠点も活動を活発化しており、本県全体において地域企業の持つ高い技術力を生かした多くの製品が生まれております。一方で我が国の医薬品、医療機器は海外企業の製品が多く使われているのも現実であり、また世界に目を転じればアジアの急進など医療健康産業の世界市場が大きく拡大していく中で、欧米主要メーカーはますますグローバルに展開しアジア等への攻勢を強めていくものと思われます。
 今後、ファルマバレープロジェクトなどの推進を通じて本県の医療健康産業のさらなる振興を図るためには、こうした世界的な動向の中で進めていかなければならないことを認識し、製品開発、販路開拓の支援、企業誘致などに取り組む場合においても国内にとらわれずグローバルな視点の中で情報収集や分析を行い、戦略的に進めることが重要になると考えます。
 そこで、県は成長産業として期待が高い医療健康産業の振興に当たり、海外へのアプローチを中心として戦略展開をどのように進めていくのか所見を伺います。
 次に、働き方改革と労務負担の軽減についてのうち、企業における働き方改革の推進について伺います。
 大手広告代理店の女性新入社員の自殺の原因が、長時間の過重労働だったと労災認定されたことにより、長時間労働やサービス残業などの働き方の問題に改めて社会の注目が集まっております。労働基準法により事業主は労働時間を適切に管理する責務を有しておりますが、日本の労働環境をあらわす言葉として過労死が国際語になってから二十年以上が経過しても一般労働者の年間総実労働時間は二千時間前後で高どまりし、一週間の就業時間が週六十時間以上の雇用者の割合は平成十五年、十六年をピークに緩やかに減少しているものの、働き盛りと言われる三十代及び四十歳代の男性で週六十時間以上就業する者の割合が高くなっております。
 また、年次有給休暇の状況は、付与日数はふえておりますが取得率は五割を下回る水準で推移するなど依然として長時間労働が常態化しております。長時間にわたる過重な労働が続くと労働者の心身の健康を害するだけでなく、職場に対する満足度が低下することにもつながります。また家事や育児、介護等への参加時間が短くなり、仕事と生活の両立が困難になります。一方企業は時間外手当などの経費負担が増加するだけでなく、優秀な人材を離職させてしまったり、一度ブラック企業というレッテルを張られてしまえば社会的信用を失墜させてしまうことにもなりかねません。
 企業の経営資源と言われるものには人、物、金、情報の四つがありますが、そのうち人は企業にとって最も重要な経営資源であります。優秀な人材が活躍できる環境づくりに取り組むことは今や企業の経営課題になっております。
 誰もが生き生きと働くことができる安全・安心な労働環境を実現するためには、これまでの働き方を改め、仕事と生活の調和のとれた職場づくりを進める必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、いい仕事のための県職員の負担軽減について伺います。
 先ごろ議会に対して報告のあった本年の人事委員会勧告によりますと、勤務条件等に関する諸課題として、職員の特に過度な時間外労働について時間外勤務が年間一千時間を超えた職員数は平成二十七年度には二十二人を数え、中には千四百時間を超える職員も存在するなど看過できない深刻な状況が続いていると報告されています。
 県では、定時退庁日や時間外勤務縮減月間などさまざまな取り組みを進めているようですが、日々ふえ続ける新たな行政需要に対応するため一部の職場では職員が非常に遅い時間まで職場に残らざるを得ない状況が慢性化していると聞いております。過度な時間外労働は職員を肉体的、精神的にも疲弊させるだけでなく業務の生産性をも低下させ、県全体の組織力の低下を招くことが危惧されます。こうした中、県では労働安全衛生法の改正によって今年度から導入されたストレスチェック制度を活用することでメンタル疾患の発症の未然防止に努めるなど、心の健康づくりに取り組んでいると伺っております。
 武田信玄の言葉に「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、あだは敵なり」とあります。組織を支える職員は貴重な財産であり、職員が意欲を持って業務に取り組むことで新たな行政課題への適切な対応など行政サービスの向上が図られると考えますが、県では職員の負担軽減に向け、今後どのように取り組んでいくつもりか所見を伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、推進区域の早期具体化について伺います。
 全国的に人口の社会減がとまらない中、国は東京一極集中を是正し地方に活力を取り戻すべく、雇用の場をつくり人の流れを呼び起こすという大きな課題の克服に向け地方創生に取り組んでおります。一方で東日本大震災を初め本年四月に発生した熊本地震や十月に発生した鳥取県中部地震など規模の大きな地震が全国各地で発生しており、改めて地震対策の重要性を痛感しているところであります。
 本県を見てみますと、まさに国が進める国土強靱化や地方創生に先駆け、防災・減災と地域成長を両立させる内陸のフロンティアを拓く取り組みが推進されてきたところであります。私の地元の袋井市では沿岸域に防潮堤を整備するため市内の山を切り崩した土砂を運び出しておりますが、津波対策の実施とともに、土砂を取った跡地の活用策として工業団地の造成が同時に進められております。
 内陸のフロンティアを拓く取り組みは、内陸高台部の新東名高速道路周辺における工業団地の造成や沿岸都市部における地域資源を活用したにぎわいの創出など、平時の産業振興策だけでなく有事の防災対策を同時に実現させていくものであり、その取り組みが県内各地で計画され実行に移されていくことは私だけでなく地域住民も大変心強く感じているところであります。特に本県の沿岸都市部は太平洋ベルト地帯としてその地域のみならず日本の発展を担ってきた場所であり、企業活動の場であるとともに暮らしの場でもあり、経済面だけでなく生活面においてもより充実させ住民の満足を引き出すことが必要であります。
 今後、県はこれまでの成果を踏まえ、各推進区域の早期具体化に向けてどのように進めていくのか伺います。
 次に、健康寿命のさらなる延伸について伺います。
 本県の健康寿命は全国でもトップクラスでありますが、県では健康寿命のさらなる延伸のため平成二十四年度から特定健診データの分析による見える化、健康マイレージ事業、ふじ三三プログラムの開発、普及などふじのくに健康長寿プロジェクト事業を推進しております。また昨年度は七十六歳までを壮年とする新たな年齢区分の考え方であるふじのくに型人生区分を発信し、一般的に高齢者と定義される六十五歳以上の方も健康であれば支えられる側ではなく地域を支える側の世代であることを提示するなどさまざまな取り組みを行ってきました。
 さらに健康寿命を延ばすためには、高齢者の健康問題であるロコモティブシンドロームを予防することが大切であると私は考えます。ロコモティブシンドロームとは、体を支えたり動かすための骨や関節、筋肉などの運動器の機能が低下することにより要介護となる危険性が高い状態のことであります。
 その対策としてシニア版ふじ三三プログラムを行っておりますが、残念ながら全県には余り広まっていないのが現実です。ロコモ対策には働き盛りの世代から運動を日常生活に取り入れるなどの意識づけが必要ですが、働き盛りの年代には健康づくりに関心が薄かったり仕事の忙しさなどで取り組む時間がないなどの理由から運動から遠ざかってしまうことが少なくありません。
 そこで、働き盛り世代にターゲットを絞った対策を強化していくため、企業の経営者にも健康づくりの大切さを理解していただく取り組みなどが必要であると考えますが、今後どのように働き盛り世代に働きかけていくのか、県の考えを伺います。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九の本県開催に向けた取り組みについて伺います。
 ラグビー日本代表の活躍により日本列島が熱狂したラグビーワールドカップ・イングランド大会の開催から早いもので一年が経過しました。ラグビー日本代表もジョセフヘッドコーチが就任し、先月には強化試合を四試合行うなど三年後に向けたチームづくりがスタートしたところであります。開催地である本県におきましては、各国代表とそのサポーター、大会関係者、世界から訪れる多くの観戦客をお迎えしなければなりません。私の地元袋井市には小笠山総合運動公園エコパスタジアムがあることから、大会を間近で開催できる喜びや期待に加え、成功に向けた地元の責任も痛切に感じているところであります。
 既に県では、ラグビーワールドカップ二〇一九静岡県開催推進委員会を本年三月に組織し全県一丸となって取り組む体制を構築しており、ラグビーの魅力発信や大会開催の周知に御尽力いただいているところでありますが、ラグビーファンの拡大や機運の醸成のためには一層の努力が必要だと感じております。私は、二〇一九年まであと三年もあるというよりもう三年しかないという危機感を持っております。世界中の人たちに注目される大会であるからこそ、大会終了後には多くの皆様から称賛されるよう大会の開催準備に今から万全を期していく必要があります。
 そこで、ラグビーワールドカップの成功に向け、現状を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、危機管理行政についてのうち、活断層により発生する地震への対策について伺います。
 本県では、昭和五十一年の東海地震説の発表から今日まで四十年にわたり、東海地震や南海トラフ地震に備えるためハード・ソフトの両面においてさまざまな防災対策や観測体制の強化に取り組んでまいりました。東海地震や南海トラフ地震は地球を覆うプレートの境界で発生するもので海溝型地震と呼ばれており、数百年程度の周期性を持って発生することや発生した場合の規模が大きいことが特徴とされます。
 しかし、国内ではこのような海溝型地震のほか活断層により発生する地震もあり、代表的なものとして平成七年の阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震、平成十六年の新潟県中越地震があります。最近では関連死を含め百人を超える犠牲者が発生した熊本地震や十月の鳥取県中部を震源とする地震もこれに該当いたします。
 これら活断層により発生する地震は、地震の規模はマグニチュード七程度と海溝型地震よりも規模は小さくなりますが都市や住宅地の直下で発生することがあり、本年四月の熊本地震では布田川断層帯と日奈久断層が活動し熊本県の益城町などで大きな被害が生じました。熊本地震の被災者の中には「近くに活断層があることは知っていたのに十分な備えをしていなかった」と語る方もおり、新聞の論評では活断層による地震への備えが十分ではなかったことを指摘するとともに、六千人を超える犠牲者が出た平成七年の阪神・淡路大震災の教訓が生かされなかったとも報じております。
 また、十月の鳥取県中部地域で発生した地震では、地表にあらわれていない未知の活断層が動いたとされています。国土地理院によれば国内で二千以上もの活断層が見つかっているとされ、鳥取地震のように地表に明瞭にあらわれない活断層も含めれば備えるべき地震の対象はさらに多くなると思われます。
 本県では、富士川河口断層帯や北伊豆断層帯など幾つかの活断層が存在することが指摘されています。一般的に個々の活断層が引き起こす地震の発生間隔は海溝型地震に比べ高いものではありませんが、活断層によって一度地震が引き起こされればこれまでの相次ぐ震災から明らかなように活断層の周辺を中心に大きな被害が予想されます。
 既に徳島県では、活断層周辺区域での多数の者が利用する建築物の建設計画について届け出を義務づけるとともに活断層直上での建築を制限する条例を制定するなど活断層によって発生する地震を見据えた対策を講じる自治体も出始めております。地震学の専門家は大きな地震は国内のどこでも起きると指摘しており、本県としても海溝型地震だけでなく活断層によって発生する地震に対しても真摯に向き合う必要があると考えます。
 熊本地震などを踏まえ、活断層により発生する地震への対応をさらに進めていく必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、被災者の生活再建支援体制の確立に向けた県の取り組みについて伺います。
 本年四月には観測史上初めて同じ地域で二回の震度七を観測した熊本地震が発生し、十月には鳥取県中部を震源とするマグニチュード六・六の地震に見舞われました。全国で相次ぐ地震は、これまでの地震・津波対策のあり方に対してさまざまな課題が浮き彫りになってきております。
 そうした中、私は七月の県議会総務委員会の視察において新装された静岡銀行本部タワーを見学する機会を得ました。非常事態対策室には二十七面マルチディスプレーが設置され、テレビ会議システムにより本部と全店舗との間でリアルタイムの情報収集、指示伝達が可能となっておりました。熊本地震では県と市町村の情報共有のあり方が課題とされたことから、本県でも県と市町を結ぶテレビ会議システムの必要性を感じたところであります。
 また、熊本地震では避難所運営のあり方を初め住宅の耐震化や水・食料の備蓄の問題など家庭内対策の重要性も再認識させられました。平成二十七年度に行った県民意識調査では、県が目標とする七日間の備蓄を達成している人は食料では六・三%、飲料水は九・六%にとどまっており、本県でも耐震化を含めさらなる家庭内対策に取り組むことの重要性が指摘されております。
 過去に発生したさまざまな大規模地震災害等から得た教訓や課題の中で私が特に注目しているのは、罹災証明書の発行や応急仮設住宅の整備など被災者の生活再建支援に関する行政のあり方についてであります。罹災証明書は被災者生活再建支援金等の給付や税金、保険料、公共料金の減免や猶予、応急仮設住宅への入居や住宅の応急修理など被災者が支援を受けるために必要になります。一部損壊を含め十七万棟を超える被害が出た熊本地震においては罹災証明の交付が進まず、被災者からは一日も早く交付してほしいと切実な声が上がったことは周知のとおりであります。被災市町村では他県等からの職員の応援を受け、罹災証明の基礎となる家屋の被害認定調査を実施したところがあったものの、殺到する罹災証明書の申請に業務が追いつかなかったところが大半であったと聞いております。
 また、生活再建の第一歩となる仮設住宅の建設についても、幾つかの市町村では候補地を事前に計画しておかなかったため予定地選定に手間取り、東日本大震災や新潟県中越地震よりも整備時期が大幅に遅くなったとされております。このような被災者の生活再建にかかわる行政の支援業務は罹災証明書の発行や応急仮設住宅の整備に限らず非常に多岐にわたり、平時から県と市町が一体となって備えを講じていくことが欠かせません。
 県は、発災前の段階から市町の準備状況を適切に把握するとともに、相互の連携体制を確認するなどこれまでよりも一歩踏み込んだ対策が重要だと考えますが、被災者の生活再建支援体制の確立に向けた今後の県の取り組みについて伺います。
 次に、ラウンドアバウト交差点について伺います。
 昨年六月定例会で我が会派の曳田議員の代表質問でも取り上げられたラウンドアバウトですが、一般的には環状交差点と呼ばれ海外では欧米を中心に広く普及しており、我が国では東日本大震災直後やその後の計画停電時に交通混乱が発生したことを踏まえ非常時の有用性が脚光を浴びつつある交差点形状で、既に皆様もよく御存じかと思います。
 一昨年九月の道路交通法の改正とともにその通行方法が規定され、県内では浜松市、菊川市、焼津市における三カ所で運用が開始されました。信号機が不要なことから停電時にも機能することに加え、機器の維持管理費が余りかからず、出会い頭の事故が起きにくく、交差点内の環道は徐行となっているため重大事故が発生しにくいなど多くの利点があります。実際に運用を開始した全国のラウンドアバウトでは重大事故の発生が減っているとの効果を耳にしており、こうした交差点がふえていくことが望ましいと考えます。
 しかしながら、導入の初期段階であることから通行にふなれなドライバーが多くいるのではないかと思われ、導入効果を十分に発揮させるためには利用者に正しい通行方法を知っていただくことも不可欠であります。県では本年五月県道富士富士宮線の交差点で県管理道路として初めてとなる試験導入を開始しており、先月十一日には静岡県ラウンドアバウト検討委員会が開催され当該箇所における本格導入の方針が決定したと聞いております。
 そこで、県道富士富士宮線における試験導入の結果と、これを踏まえた県の取り組みについて伺います。
 次に、教育行政についてのうち、静岡式三十五人学級編制について伺います。
 国は、平成二十三年度に義務標準法を改正し小学校一年生の学級編制基準を三十五人としました。翌年には国の方針として小学校二年生も三十五人としましたが、それ以降国による少人数教育の定数改善は凍結されております。静岡県では、国に先駆け少人数学級制度である静岡式三十五人学級編制を平成二十一年度から段階的に導入し、平成二十五年度に全学年への拡充を完了いたしました。担任となる教員の必要数を補うため四十五人の県単独措置教員を四年連続で配置し、制度への人的支援を継続しております。
 一方で、静岡式三十五人学級編制には下限が二十五人と設定されているため実際には三十六人以上学級が存在していることも事実であります。第三回総合教育会議において川勝知事もこの問題に触れられ、下限の見直しについて言及しているところであります。
 県教育委員会としては、三十六人以上学級に対してどのような対応をしていくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、社会総がかりのいじめ防止について伺います。
 十月二十七日に文部科学省から児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の結果が公表され、公表内容は平成二十七年度における暴力行為、いじめ、不登校等の状況であり、そのうちいじめの認知件数を見てみると奈良県の三倍の増加を筆頭に四十七都道府県中三十七都道府県で昨年度よりも認知件数が増加している状況にあります。
 皆さんも御承知のこととは思いますが、いじめとは児童生徒に対して当該児童生徒が在籍する学校に在籍しているなど当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものといじめ防止対策推進法に定義されております。これにはインターネットを通じて行われるものも含まれるわけですがその捉え方はまちまちで、都道府県の状況を一千人当たりの認知件数で見ると最も多いのが京都で九十・六人、最も少ないのが佐賀県で三・五人となっております。いじめはどの学校でも起こり得るものであり、誰もが被害者にも加害者にもなり得るという現在の基本的な捉え方からするとこれだけの差が生じることは考えにくく、むしろ認知件数が少ないといじめの捉え方が甘いのではないかと心配してしまう状況であります。
 そうした状況を見ると、改めて私はいじめを積極的に認知し、学校・家庭・地域が一体となって社会総がかりでいじめに立ち向かう姿勢が重要であると考えます。こうした考えのもと、私たちは現在県いじめ防止条例の設置を進めているところであり、設置する条例については本県のいじめの現状や県が進めている取り組み等を踏まえ条例を整備する必要があると考えています。
 そこで、県の問題行動調査からわかる現在の県内のいじめ問題の現状と、いじめ問題に対し県教育委員会として社会総がかりでどのように対応していくのか教育長に伺います。
 次に、認知症等にある高齢運転者の交通事故防止対策について伺います。
 平成二十八年十月末における県内の人身交通事故は、発生二万五千七百三十四件、死者数は百十四人、負傷者は三万三千七百七十四人であり、件数で約九百件、死者数で十一人、負傷者では約一千二百人といずれも前年同時期から減少にあります。官民が協働した交通事故抑止対策を推進されてきた成果であり、関係する皆様には感謝申し上げる次第であります。
 しかしながら、全事故に占める高齢者事故の割合はいずれも増加傾向にあり、全国を初め本県においても高齢運転者の逆走等認知機能の低下の影響と思われる痛ましい交通事故が発生しております。
 高齢者の交通事故防止対策はまさに喫緊の課題であります。警察では高齢運転者への対策として平成十年から運転免許証の自主返納制度をスタートさせ、平成二十一年六月からは七十五歳以上の高齢運転者が免許更新を行う際に認知機能検査を義務化するなどの取り組みを進めてきたと承知しております。
 来年三月十二日には、他の年代に比べ人身交通事故を起こす割合の高い七十五歳以上の高齢運転者が逆走や信号無視など認知機能の低下により引き起こしやすいとされる交通違反をした場合に臨時の認知機能検査を義務づけることなどを内容とする改正道路交通法が施行されます。運転者の症状の進行に合わせてタイムリーに検査を行うことにより重大事故を未然に防ぐ効果が期待できる半面、この施行により臨時の認知機能検査を受ける高齢運転者が急増すること、不安を持つ高齢運転者やその家族などからの相談、要望が増加することが見込まれるほか、運転免許証を失った場合の高齢者の交通手段の確保も課題として挙げられております。
 高齢運転者に係る交通事故事情は極めて厳しく、今後さらに高齢の免許保有者が増加していく現状からも県警察には本制度が適切に行われるよう、環境の整備や県民への周知の徹底に努めていただきたいと考えます。
 そこで、改正道路交通法の施行に向け、認知症等にある高齢運転者の交通事故防止対策をどのように進めていくのか警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 山本議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、県政運営の成果についてであります。
 私は、平成二十一年の七月に知事就任以来、富士山を擁する静岡の地に日本の理想郷を築くべく、ふじのくにづくりを進めてまいりました。これまで七年半余り全力を傾注して施策に取り組んできたところでございます。第一期目のレガシーと言えるかどうか、県政がマニフェスト大賞グランプリと、日本一だというふうに評価されたのは私個人にとりましても、またチーム川勝にとりましても大変な励みになりました。そして第一期からこの第二期に移る中で富士山の世界遺産登録を皮切りにいたしましてユネスコエコパークの南アルプス、世界文化遺産の韮山反射炉など、この今月まで四十三カ月でありますが、四十三件を数える本県の資源が世界的評価を得ることとなりました。まさに世界に羽ばたくふじのくにの立ち姿があらわれてきております。将来へのかけがえのないレガシーではないかというふうに考えております。これらは場の力を引き出すことによって可能となったものであります。
 私は二十年ほど前に小さな本を出しました。「文明の海洋史観」というものですが、これがこのほど文庫版に入ることになり、後書きを書けと言われましてその後書きの一節に次のように記しました。
 小生は現職の知事です。ポスト東京時代の富国有徳のふじのくにを実現するために精励しています。新しい国づくりには新しい学問が要ります。現場をよく知る学問、フィールドワークが不可欠です。政治の目的は現実の社会を平和にし、人々の暮らしをよくすることです。フィールドワークは地域の現状を把握するための作業です。地域の現状がわかると改善策が出せます。改善策を実施するのは政治の役割です。フィールドワークは現状分析、現状改革の方法です。現場に身を置き、現場の課題を当事者と共有し、問題の解決に一緒に取り組むと「動中の工夫は静中に勝ること百千億倍」という白隠禅師の教えのとおり解決は早まります。それを小生は現場主義と呼び、過去七年余りの在職中に知事室から出て県下各地を優に二千回以上駆けずり回ってきました。現場主義はフィールドワークの別名です。ですから県土と県民が学びの対象であるということであります。よく職業としての学問と職業としての政治は両立しがたいように言われます。誘惑、自己顕示、権力エゴ、金銭エゴを抱える多くの職業政治家と真理に仕える職業学者とは異質であり両立しない面が現実にはあります。しかし政治と学問はフィールドワークにおいては一体です。ただし条件があります。政治家の身辺には誘惑が常在しており、それを身辺に寄せつけないためにはあらゆることを自分を勘定に入れずに、よく見聞きしわかり、そして忘れず、現場を常に道場と心得る姿勢が要ります。常在戦場にあらず、常在道場を旨とし、来る者を拒まず、助力を惜しまず、見返りを求めぬことを心がけなければなりません。知は力です。では、真に力となる知は何か。それがフィールドワークから得られる知であります。小生は、知事とは知に事(つか)えると我流に読んでこれまで現場主義に精進してまいりました。みずから現場に赴き、実際に見て県民の皆様の声を直接お聞きするフィールドワークをもとに必要な施策を立てる現場主義を政治姿勢として県政運営に邁進してきたところであります。
 この現場主義やスピード感ある対応、情報をオープンにする姿勢は、この七年間余りで副知事を初め幹部以下全ての職員に浸透し、今やチームとして定着しているという感触を持っております。振り返りますと、知事就任直後に駿河湾を震源とする地震が発生しました。県民の皆様の命を守る危機管理が全てに優先するという認識を強く持つきっかけになりました。その後、さまざまな現実、状況の変化に直面する都度、特に東日本大震災、南海トラフの巨大地震の想定など、こうしたものに備える地震・津波対策アクションプログラム、これを二〇一三年から実施しておりますけれども、これも南海トラフの巨大地震に直面している所見の中での先進的取り組みではないかと思っています。またリーマンショック後の経済状況の悪化に対応しまして、雇用創造アクションプラン、これは三万人の雇用を創造するということで実はひそかに職を賭してこれに取り組んだわけですがこれも前倒しで実現することができまして、これは今や産業成長戦略というものに姿を変えてこれを今推進しておりますが、常に県民幸福度の最大化を図ることを念頭に課題の克服に努めてまいりました。
 さらに、静岡県のためのみならず日本のため、ポスト東京時代の先導役を担うという気概を持ちまして新しい県土づくりに取り組んでまいりました。国土強靱化、これこそ今は誰もが使っておりますけれどもその先駆けが内陸のフロンティアを拓く取り組みであったと思っております。美しく、強く、しなやかな静岡型地方創生の推進、日本一多彩な地域資源を生かしたふじのくにの食の都づくり、茶の都づくり、花の都づくりなど、静岡県の中心性を高め全国のモデルとなる取り組みは現在進行中であります。世界の人々を引きつけてきたアメリカンドリームが陰りを見せている中、クールジャパンという言葉が聞かれるようになりました。日本はすてきという意味であります。これがもう一皮むきますと、これはジャパニーズドリームとして、憧れられる国というふうになるという認識を持っております。世界クラスの魅力に満ちあふれた静岡県がその先頭に立つことができるというふうに感じております。またそういう意思を持っております。国土の象徴富士山を仰ぎ見るこの美しい静岡の地に県民誰もが幸せに暮らす、国内外から憧れを呼ぶ理想郷、人がジャパニーズドリームを実現できるところだという地域を築くべく全力で邁進してまいりますので、山本先生初め県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、平成二十九年度当初予算編成方針についてであります。
 当初予算編成に当たりましては、後期アクションプランの最終年度となることを踏まえ、富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げを着実に推進するとともに、ポスト東京時代の理想郷づくりに向けた取り組みを進化させ、県内外はもとより国内外から憧れを呼ぶ理想郷をつくるジャパニーズドリームという言葉を聞ける時代を開くために新たな施策を展開することを基本方針としております。
 一方、来年度の財政収支試算を見通しますと、六百億円もの財源不足が見込まれていることに加えまして本県経済の回復の足取りの鈍さにより県税収入の見通しの不透明さがございます。このような厳しい財政状況下での予算編成ではありますが、これまで恵まれた財政状況で予算編成をしたことはありません。このため廃止等の見直しが可能な経費につきましては厳しい予算案の提出基準を設けるなど事務事業の徹底した見直しを行います。
 ふじのくにづくりの総仕上げに向けましては、これまでの施策の進捗状況や新たに生じた課題への対応等を踏まえ、後期アクションプランの重点取り組みのラストスパートをかけます。具体的には熊本地震等の教訓を踏まえた地震・津波対策の充実強化、待機児童解消を目指した保育施設の整備促進、グローバル化による産業構造の変化等を踏まえた航空関連産業やCNF等の新産業の創出などに取り組みます。
 これまで前倒しで進めてきた取り組みの成果を基礎として、日本の理想郷から海外からも憧れるような理想郷にしていくというステージを一段上げていく覚悟でおります。具体的には各国・地域との交流の成果を踏まえた食、健康長寿、スポーツなど新たな分野や通商分野への地域外交の展開、世界標準との評価を得た資源のブランド力等を活用した訪日外国人観光客の受け入れ促進、東京オリンピック・パラリンピックの県内開催を契機とした美しい景観づくりやサイクルスポーツの振興、先端技術を応用した農業の生産性の飛躍的な向上など取り組みたいプロジェクトでございます。
 後期アクションプランの最終年度となる来年度に向けまして、総括の仕方が新しい出発の仕方を決めるという認識のもとでふじのくにづくりの総仕上げを行いつつ、理想郷の実現に向けて一歩を踏み出す夢のある予算としたいと考えております。
 次に、地域外交におけるアメリカへの対応についてであります。
 先月アメリカの大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ氏が勝利なさいました。トランプ氏は米国の利益を最優先するアメリカ・ファースト――米国第一主義を掲げられています。選挙戦を通じて日本という重要な同盟国に対して米軍駐留経費の負担増を訴えられまして、米軍撤退まで示唆されました。環太平洋戦略的経済連携協定いわゆるTPP、この批准の審議を日本がしている真っただ中で、そこからそれには反対すると明確に言われました。日米関係に大きな影響を及ぼす御発言が繰り返されているところであります。
 昨日、一昨日と日中韓賢人会議が第十一回目を迎えました。福田元総理、李洪九韓国元総理、曽培炎元中国副総理、いずれもアメリカの動きに対しまして不安を表明されました。しかしこのことについて動揺しないでおこうという申し合わせがなされました。日中韓いずれもアメリカに大きく依存しております。アメリカは自由と民主主義、自由は自由貿易というそうした貿易の形をとっておりますが、それが保護主義に傾くという懸念がなされております。日中韓におきましては自由貿易を柱にしていこうという申し合わせもなされたところであります。私は、このような保護主義、いわゆる昔ございましたモンロー主義、アメリカ孤立主義、いわば鎖国主義という動きは常にアメリカの中には内在化しているわけでございますが、そのことにも増して、例えばケネディ大統領やオバマ大統領がお持ちになっていた自由や民主主義やこの人権などに対する理想主義というものが今失われていくのを目の当たりにしているのではないかと思います。新しい大統領は来年宣誓式を行われます。私はアメリカとの関係は日本にとって極めて重要であると。それはいずれ日系人がアメリカ大統領になる可能性すらないとは言えないからです。そのときに、しかし条件があると思います。アメリカ歴代大統領は常に聖書に手を置いてそして宣誓をなさり、最後はゴッド・ブレス・アメリカ、神よアメリカをよみしてくださいという言葉で結ばれます。非キリスト教徒には目下の制度では大統領になることができません。そこに限界があるかというふうに思っています。
 しかし、日本はさまざまな宗教が共生しているという国であります。この点では、これを自覚的に考えれば一歩先んじていると、あるいは文明の衝突、これは宗教間のあつれきというものが背景にありますが、こうしたあつれきを生む原因の一つは内にはないというふうにも思っております。まだこれを実現するためには幾つもの取り組みをしなければならないとは思っておりますが、理想主義の衰退という認識を持っております。
 一方、地道な努力はこれまでしてまいりました同様、これからも続けていかねばなりません。米国との地域外交につきましては、日米の地域間交流による両国間の友好関係構築を目的に設立された日米カウンシルが主催する知事会議への参加を通じて主に経済面での交流を深めてまいりました。今年度は知事会議は開催されませんでした。しかし先月にシリコンバレーで開催された日米カウンシルの年次総会に合わせてビジネスマッチングが実施され、県内からも四社が参加し米国企業との商談や企業訪問等が行われました。シリコンバレーには世界中から医療、バイオ、ITなどさまざまな分野の優秀な人材が集まり新しいビジネスが次々に生み出されております。こうしたシリコンバレーの活力を取り込むために引き続き県内企業とのビジネスマッチングの機会を提供してまいります。
 アメリカでは、日本茶の需要が拡大しておりますことから、平成二十七年五月ロサンゼルスに現地での販売活動を支援するサポートデスクを設置しました。商談会への出展などとあわせお茶の一層の輸出拡大にも努めます。
 市町が取り組む姉妹都市交流は、市民訪問団や高校生等青少年の相互訪問、留学生の受け入れなどに多くの県民が参加することで国際理解を深めるとともに、静岡県が持つ魅力を発信するよい機会です。中でも日米交流の原点の地とも言える下田市は、日本開国の端緒となった黒船艦隊のペリー提督の出身地であるニューポート市と両市において開催される黒船祭――ブラック・シップ・フェスティバルへの相互参加を通じて多くの交流を長く交流を続けております。
 在日米軍は、平成二十二年度から県の総合防災訓練に参加しておりますが、東日本大震災でのトモダチ作戦を契機に参加する訓練の範囲や陣容を拡大するなど協力体制を強化し、防災分野でのより緊密な関係構築を図っております。
 県としましては、日米カウンシルの知事会議を軸とした経済交流を進めるとともに、市町レベルの交流を活性化させることにより県全体として米国とのネットワークを強固にし、経済や防災を初め幅広い分野で相互にメリットのある地域外交を展開してまいります。地域外交監の増井氏はアメリカ滞在が長いので、この点でも期待がされます。
 次に、医療健康産業の振興についてであります。
 静岡県は、医薬品、医療機器の合計生産金額がほぼ一兆円規模と全国第一位です。あわせて化粧品生産金額も約四千億円と全国第一位であります。県は、こうした地域特性を踏まえますとまさに美と健康の都と言うべき状態になっております。その中心はファルマバレーでございますが、ファルマバレープロジェクトを中心に地域企業の医療健康産業への参入、患者や臨床現場のニーズに応える製品開発の支援など今取り組んでいるところであります。これらの取り組みは順調に成果を上げています。国からふじのくに先端医療総合特区が指定を受けました。全国のライフ・イノベーション分野の特区の中での最高の評価を得たところであります。
 また、ファルマバレープロジェクト第三次戦略計画の四つの柱の一つとして世界展開を掲げています。ものづくり、ひとづくり、まちづくり、そして世界展開です。この四つ目の世界展開をベースに世界標準の製品づくりを支援しているところであります。具体的には静岡がんセンターが企業と開発した肺がんなどの診断を支援する類似症例検索システムのフィリピンへの展開がございます。フィリピン国立大学附属病院への医療機器の導入を目指すとともに、医師同士の交流を通じて静岡がんセンターの診療の仕組みや患者・家族を支援するおもてなしの精神の輸出もあわせて進めるなど単なる製品の販売にとどまらない形での海外展開を進めております。このおもてなしの精神が具現化しているのがいわゆるよろず相談というもので、これが日本トップの朝日がん大賞というのを受けた理由になっております。
 これらの取り組みに加えまして地域外交で培った人的ネットワークを活用しまして、台湾の工業技術研究院――ITRI、通常イトリと呼ばれますが、このイトリと県内企業との連携による医療機器の開発を進めているほか、アメリカ合衆国シリコンバレーにある研究機関と医療健康産業における連携についても取り組みを始めたところであります。
 昨今、オプジーボが話題になっております。小野薬品が販売をしているわけですが、これを開発されたのは御案内のように本庶佑先生――静岡県立大学の理事長であります。その小野薬品がオプジーボを製造しているのは静岡県下にあります。二月一日から製品額が半額になることを閣議決定なさいましたので、恐らく販売額がさらにふえるものというふうに期待しているところであります。
 今や富士山の麓のファルマバレーは文字どおり富士山麓の医療城下町と言われる存在になりました。医療城下町というのは平成六年に構想が一番最初に立ち上がったときに山口建――現在の総長が理想とされたもので、このイメージが今形になったのを喜んでおります。そしてこの九月にファルマバレーセンターが開所をいたしました。静岡がんセンターとファルマバレーセンターとが二つの拠点となりまして、その拠点を最大限に活用して世界にこのバレーから、この谷合いからプロジェクトが生まれるメード・イン・マウントフジバレー、メード・イン・シリコンバレーじゃなくてメード・イン・マウントフジバレー、箱根山麓の麓、富士山の麓ということからバレーと言っているんですが写真は全て富士山麓です。そこに立つ美しいがんセンター、今やそこにファルマバレーセンターが加わりましたが。ですからメード・イン・マウントフジバレーと言うのがわかりやすいんじゃないかというふうに思っておりますがそうした製品をここから製品を送り出すとともに、海外の研究機関や企業との連携を一層図りまして、世界展開をこれまで以上に進めアジアの医療健康産業をリードするクラスターに育てていくよう取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(藪田宏行君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 伊豆半島地域の活性化についてお答えいたします。
 私は、昨年の就任以来伊豆半島地域の現状と課題を現場で身をもって体験しながら、地域活性化に取り組むさまざまな方との意見交換を通じ現場に即した施策の展開に全力で取り組んでまいりました。伊豆半島は恵まれた自然景観や温泉、歴史・文化、豊かな食材など多彩な魅力にあふれる一方で、深刻な人口減少や急速な高齢化に直面し主要産業の観光業の落ち込みも顕著であります。こうした中でも現状を打開し地域を再生したいという強い気概を持ったホテル・旅館の若手経営者の皆様方、NPOの方々などから県内外から人の流れを呼び込む意欲的な取り組みが出始めております。
 また、いち早く県と市町との広域連携による行政運営体制の構築を進めました伊豆半島南部に位置します賀茂地域におきましても、地域が一体となった海岸清掃、食の祭典などの官民連携に取り組んだ結果、下田青年会議所が「賀茂はひとつ」をテーマに若者の参画を募り主体的な地域活性化策の企画立案に取り組む動きも始まっております。
 伊豆半島が輝きを取り戻すためには、市町や民間の皆様が目的を共有し一体となって魅力づくりに取り組むことが重要であり、県はその牽引役を担ってまいりたいと考えております。特に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催という絶好の機会を迎え、世界遺産の韮山反射炉や伊豆半島ジオパーク、世界で最も美しい湾クラブに加盟した駿河湾など世界水準の魅力を磨き上げていく必要があります。このため半島全体の道路整備計画の策定や屋外広告物の是正による美しい景観づくりに官民一体となって取り組むとともに、現場から提案をいただきました観光人材の確保、サイクルスポーツの聖地を目指す取り組みなどそれら政策の具体化を支援してまいります。
 また、静岡銀行と横浜銀行による富士箱根伊豆地域の観光振興など民間企業の皆様方が主体となった地方創生の取り組みの効果の最大化に向け、隣県神奈川県とともに協力体制を構築し県境を越えた観光誘客を強力に推進してまいります。
 今後とも、美しい伊豆創造センターや市町、各界各層の皆様と地域づくりの方向性について意識の共有化を図り、県の有する広域調整機能を最大限に活用し既存の行政の枠組みを超えた広域連携、官民連携を進め、世界一美しい半島伊豆の実現に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 篠原経済産業部長。
       (経済産業部長 篠原清志君登壇)
○経済産業部長(篠原清志君) 働き方改革と労務負担の軽減についてのうち、企業における働き方改革の推進についてお答えいたします。
 平成二十七年の県内の正規労働者の年間総実労働時間は二千時間を超え、平成二十二年以降全国平均を上回る状況にあります。これは労働者の心身の健康を害するばかりでなく、生産性の低下につながるおそれもあるため、県は県内企業の経営者が集う県経営者協会や県中小企業団体中央会と連携して有給休暇の取得促進策や長時間労働のない職場づくりの実践例を学ぶセミナーを実施しております。また現在県内企業三千社に対して女性の活躍や働き方改革の内容などを問うアンケート調査を実施するとともに、今後担当職員が県内企業の現場に赴き働き方改革の具体的内容や労務負担の軽減状況などを聞き取り調査することとしております。
 これらを踏まえ来年八月には働き方改革を盛り込んだ人材確保・育成プランを策定してまいります。さらに今月一日には県と静岡労働局は雇用対策協定を締結いたしました。国も現在長時間労働の改善を含む働き方改革に取り組んでおり、この協定締結を生かし国の施策を迅速に活用して県の施策に反映させてまいります。企業が働き方改革を進めていく上では生産性の向上を図ることも重要であります。
 県といたしましては、今後とも企業における経営革新の取り組みや情報通信技術の活用などを支援するとともに、関係機関と連携し企業における労働時間の短縮や有給休暇の取得を促進して、一人一人が生き生きと働き、能力を最大限に発揮できる職場環境の実現に向け取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 働き方改革と労務負担の軽減についてのうち、いい仕事のための県職員の負担軽減についてお答えいたします。
 職員の業務負担につながる時間外勤務につきましては、これまでも定時退庁日の設定や定期的な点検に基づく業務分担の見直しなどその縮減に向けたさまざまな取り組みを進めてきたものの、ここ数年右肩上がりで増加してまいりました。限られた人員の中で重要な課題に迅速かつ的確に対応していくためには、全ての職員の能力を十分に発揮できる職場環境づくりが重要であると認識しております。
 このため、今年度は全庁を挙げて「生産性の向上に向けた取組〜やめて・へらして・かえて・つくる〜」を進めており、局長を中心として管理業務を含め全ての業務について廃止を含めた見直しを行っております。こうした取り組みにより今年度の上半期の時間外勤務は前年度比で三・一%の減と徐々にではありますが効果があらわれてきており、引き続き生産性の向上に向けた取り組みを徹底していくことでさらに職員の負担軽減を図ってまいります。
 また、介護を行う職員の時間外勤務免除や介護休暇の見直しなどを内容とした条例改正案を本議会にお諮りするなど、個々の職員の実情に配慮した働きやすい職場環境づくりを進めております。
 あわせて、職員が能力を十分発揮するためには体の健康はもちろんですが心の健康も不可欠でありますので、今年度スタートしたストレスチェック事業により全ての職員のストレス状況を調査した上で必要な職員に対しましては産業医による助言等の支援をきめ細かく行っております。また組織面からの分析を行いその結果を管理監督者を対象とする研修会で活用するとともに、職場環境の問題点を整理し改善を図ってまいります。
 今後も、職員の負担に配慮し、業務量に応じた柔軟な人員配置やワーク・ライフ・バランスの推進など働きやすい職場環境づくりに取り組み、職員一人一人の能力を十分に引き出すことで組織力を高め行政サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 森政策企画部長。
       (政策企画部長 森 貴志君登壇)
○政策企画部長(森 貴志君) 内陸フロンティアを拓く取り組みについてお答えいたします。
 推進区域の早期具体化についてでありますが、内陸フロンティア推進区域はこの秋の第六次指定において新たに下田市、御前崎市を加え、その結果県内三十五全ての市町、七十八区域まで拡大し、まさに県内全域にわたって先導的取り組みが広がりを見せているところであります。
 内陸フロンティアを拓く取り組みは、沿岸都市部と内陸高台部の均衡ある発展を目指すものであり、議員御指摘のとおり沿岸都市部は本県の発展の一翼を担う重要な地域であります。そのため防災・減災対策を最優先として地域資源を生かした新たな産業の活性化はもちろんのこと、ゆとりある住宅地や景観に配慮した美しい都市空間の整備など新しいライフスタイルの実現に取り組んでおります。
 県といたしましては、推進区域内の事業の早期具体化のため、進出企業の用地取得費への助成や設備投資に対する融資、本社機能の移転拡充に関する税制の優遇措置などの財政面の支援、部局横断による土地利用調整の助言指導などの人的支援などきめ細かな対応を図ってまいります。さらに開発事業者の参入の促進に向けた事業説明会の開催や企業誘致に向けた首都圏等の展示会への出展など、各地の取り組みの認知と浸透を目的に県内外での情報発信を強化してまいります。
 今後も、市町と一層の連携を図り、静岡ならではの豊かな自然、美しい景観と調和した多様なライフスタイルを選択できる先導的な取り組みの早期具体化に努め、安全・安心で魅力あるふじのくにづくりの実現を図ってまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 健康寿命のさらなる延伸についてお答えいたします。
 本県の健康寿命は男女とも全国トップクラスであります。健康寿命を今後もさらに延伸するためには、働き盛り世代の方々が日常生活の中でロコモティブシンドロームの予防も含め健康づくりに取り組める仕組みとしていくことが重要であります。
 県では、働き盛り世代の健康づくりの促進として、企業の経営者に対して健康づくりを促進する研修会の開催や健康づくりを展開している事業所を表彰しそのすぐれた取り組みの普及を行うなど経営者の方々に健康づくりの大切さを理解していただき、職場への導入を積極的に行うよう働きかけております。
 また、健康長寿の三要素から成るふじ三三プログラムの実施をそれぞれの職場や家庭で取り入れるように、経済団体とも連携して経営者と従業者に働きかけるなど職場や日常生活の中で行える健康づくりの普及にも努めております。
 本年度からは、県が健康づくり推進事業所として認定する制度を新たに開始し、健康づくりに取り組む企業をふやしていくこととしております。また年度内には県内事業所六千社の取り組みの実態や課題の調査を行い、医療保険者や経済団体と連携した健康づくりの支援体制を構築し、必要とする支援策を講じ課題に対応するなど関係者が一体となって働き盛り世代への健康づくりの対策強化を図ることとしております。
 今後も、事業所を初め市町、関係機関とも連携し、県民総ぐるみで健康づくりに取り組む環境を整備し、健康寿命のさらなる延伸を目指してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) ラグビーワールドカップ二〇一九の本県開催に向けた取り組みについてお答えいたします。
 大会の機運醸成につきましては、市町、競技団体等で組織する県推進委員会が中心となり、学校体育や地域スポーツ活動において小学生世代のタグラグビーの普及を推進するとともに、今月三日にエコパで行われたラグビーのトップリーグの試合での小中高校生及び特別支援学校生の無料招待や“ふじのくに”応援団総決起集会の実施などを通じて多くの県民の皆様のラグビーへの関心とワールドカップへの期待を高める取り組みを積極的に進めております。
 大会の開催準備につきましては、大会組織委員会から提示されたワールドカップ仕様に沿ってエコパスタジアムの改修を計画的に進めてまいります。具体的には電光掲示板の更新、ゴールポストの改修に続き、現在のピッチで不足する部分に人工芝を整備するための補正予算案を今議会にお諮りしております。またワールドカップのテストイベントとなる日本代表戦の開催を日本ラグビーフットボール協会に働きかけております。
 さらに、今後は開催都市が担う役割として観客の交通手段の確保や交通案内等に関する交通管理計画の策定や市街地等に設置するファンゾーンの会場の選定、ボランティアの募集や研修等の準備を迅速かつ着実に進めてまいります。
 県といたしましては、ラグビーワールドカップリミテッドや大会組織委員会と連携して大会の準備、運営に万全を期すとともに、大会に向けた機運醸成や国内外からの観戦客へのおもてなし、さらには大会後もラグビーを核とした交流が継続するような取り組みを全県を挙げて積極的に推進してまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 外岡危機管理監。
       (危機管理監 外岡達朗君登壇)
○危機管理監(外岡達朗君) 危機管理行政についてのうち、活断層により発生する地震への対策についてお答えいたします。
 熊本地震では、特に活断層付近において震度七の揺れによる建物の被害が発生しました。このため地震の揺れに対する対策の重要性が再認識されたところであり、県では先月の地震防災強化月間においても住宅の耐震化や家具の固定など自助の推進を重点項目として取り組みました。また住宅の耐震化では平成二十九年度までの緊急措置として木造住宅の耐震化の必要性をPRしていただける耐震補強工事に対し、現行の助成額に市町の助成も合わせ最大三十万円を上乗せすることとしております。
 国においては、地震調査研究推進本部が国内の主要な活断層等について活動等の評価を行っております。県内では富士川河口断層帯などが評価されておりますが、地表の変位が出現する場所や地震の発生頻度等については解明されていない部分が多い状況となっております。このため国に対し活断層の位置や活動頻度に関するより詳細な調査の実施や活断層の将来の活動に対する対策方針の確立を提案しております。
 県といたしましては、パンフレットやホームページで県内の活断層の状況について紹介し、むやみに活断層を恐れるのではなく正しく捉え、地震に備えるよう呼びかけているところであり、引き続き今必要とされる備えとして住宅の耐震化の促進などの取り組みを進めてまいります。
 次に、被災者の生活再建支援体制の確立に向けた県の取り組みについてであります。
 熊本地震におきましては、多数の家屋被害の発生により被害調査に多くの人員、日数を要し、罹災証明書の発行、仮設住宅の設置、被災者生活再建支援金の支給などの一連の業務におくれが生じました。
 本県では、家屋被害認定調査の円滑な実施のため平成二十一年に静岡県土地家屋調査士会と協定を締結し、毎年度同会会員及び市町職員向けに研修会を実施しているほか、避難所運営や応急仮設住宅等に係る災害救助法に基づく業務、生活再建資金や家屋公費解体等の被災者生活再建支援業務についての市町職員向け研修会も実施しております。
 熊本地震における嘉島町への支援に当たってはこの研修会の資料を参考に実務を行いましたが、実際の運用ではワンストップサービスを行うための総合窓口の設置や住民周知用資料の作成、ニーズの変化に対応した適切な人員配置などさまざまな課題が生じ、事前の準備をさらに充実させる必要があると認識いたしました。このため、今後熊本県の被災市町への調査等を行い災害時特有の緊急業務の整理と業務量の算定を行った上で、被災地外からの応援職員の効果的な受け入れを含めた被災者生活再建支援のガイドラインの作成に取り組んでまいります。
 県といたしましては、県内市町の業務を行う人員体制など準備状況を把握するとともに、県と市町の連携を強化するための連絡会議を開催するなど、このガイドラインを踏まえた市町の実施体制の構築を支援し、被災者の生活再建支援が迅速かつ円滑に実施できますよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) ラウンドアバウト交差点についてお答えいたします。
 県では、県道富士富士宮線の白糸の滝交差点においてラウンドアバウトの試験導入を本年五月から実施し、これまでに通過速度の低減による安全性の向上や信号待ちの解消による通過時間の短縮等の効果を確認できた一方、通行方法の認識不足に伴いラウンドアバウト内の通行帯いわゆる環道内の逆走といった課題も判明いたしました。こうした結果を踏まえて先月開催した静岡県ラウンドアバウト検討委員会において有識者等から御意見をいただき、逆走防止や流入速度の低下対策等を講じた上で今年度内を目途に試験導入から本格導入に移行することといたしました。
 また、今回の試験導入において有効性が確認されたことから県内への普及を図ることとし、県、市町の担当者を対象とする研修会を今年度内に開催して当該交差点や他の事例から得られた知見を報告するとともに、導入検討箇所における設計上の留意点等について専門家と意見交換する場を設けラウンドアバウトに関する理解促進及び普及を図ってまいります。
 県といたしましては、関係市町や公安委員会等と連携し、複雑な形状や事故の多発が課題となっている交差点等において安全・安心で災害時にも機能するラウンドアバウトの導入を進めてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 教育行政についてのうち、静岡式三十五人学級編制についてお答えいたします。
 静岡県は、平成二十一年度より国に先駆け静岡式三十五人学級編制を導入してまいりました。この制度によってきめ細かな指導や支援のもと子供たちの発表回数や表現する機会がふえ学習意欲が向上したという事例や全国学力・学習状況調査に見られるような学力の向上が図られ、県内の教育水準の向上に寄与していると認識しております。しかし議員御指摘のとおり一学級二十五人を下限とする基準があるため県内には三十六人以上の学級が存在しており、現在五千人を超える児童生徒が三十六人以上の学級で教育を受けている現状であります。
 県教育委員会といたしましては、社会が急激に変化し将来の予測が困難な状況の中においても志高く未来をつくり出していくための資質能力を子供たち一人一人に確実に育んでいかなければならないと考えております。
 また、子供たちの暴力行為、不登校、いじめといった生徒指導上の問題や特別な支援を要する子供たちの増加等教育現場が直面する課題はますます複雑化、多様化していることが指摘されております。これまで以上に一人一人の児童生徒に対してきめ細かな指導や支援が必要不可欠であると考えております。
 このため、来年度以降二十五人という下限を撤廃することで三十五人学級編制の完全実施が望ましいと考えております。しかし必要となる教員の採用、将来の財政負担等の課題があることから、現在実施のための方策について検討しているところであります。
 次に、社会総がかりのいじめ防止についてであります。
 本県のいじめの認知件数は、小中高等学校では増加、特別支援学校では減少しております。認知件数の増加については、冷やかしやからかいなどであっても本人が心身に苦痛を感じているものについては見逃さないという学校の捉え方が進んできていることが挙げられますが、主たる要因は希薄な人間関係や社会性の不足等が考えられております。
 こうした状況の中で、県教育委員会では子供同士が温かな接し方を身につけ思いやりの心を育む人間関係づくりプログラムを推進するとともに、臨床心理の専門家であるスクールカウンセラーと社会福祉や精神保健福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーを配置しいじめの未然防止、早期対応に取り組んでおります。また相談窓口や支援機関を紹介したいじめ・悩みごと相談マップを今年度中に全ての学校及び公民館等に配布し、子供や保護者が相談しやすい環境をつくってまいります。
 県教育委員会といたしましては、静岡県いじめの防止等のための基本的な方針に基づき子供一人一人の自尊感情を高め規範意識や人権感覚を十分に育成するとともに、地域の子供は地域で育てるという考えのもと、学校、家庭、地域さらには警察、児童相談所などの関係機関とより一層の連携を図り、いじめ防止に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 認知症等にある高齢運転者の交通事故防止対策についてお答えいたします。
 県警察では、平成二十九年三月十二日の改正道路交通法施行に伴い同年中に新たな検査である臨時認知機能検査の対象となる方を約一万人、新たな講習である臨時高齢者講習の対象となる方を約三千六百人と見込んでおります。また医師の診断書の提出または臨時適性検査の対象者も平成二十七年の二百四十人から約三千人に増加するものと見込んでおります。
 こうした状況に的確に対応するため、現在運転免許更新時の高齢者講習等を行っている自動車教習所等に対して新たな制度の導入に向けた協議を進めるとともに、臨時認知機能検査を県内三カ所の運転免許センターでも実施することを検討しております。また県医師会や関係機関に対し診断書提出命令等の対象者が円滑に受診できるよう、制度の説明とともに協力をお願いしているところであります。
 次に、新たな制度の運用開始に伴い運転に不安のある本人や家族等からの運転免許自主返納等に関する相談の増加が見込まれることから、運転免許センターや警察署における相談体制の強化についても検討を進めております。また運転免許の自主返納を一層促進するために自主返納後の交通手段の確保が重要であることから、今後とも各市町やバス、タクシー等の交通機関に対して交通手段の拡充等に引き続き理解を求めてまいります。
 最後に、県民への制度の周知についてでありますが、県警ホームページへの掲載、警察施設、関係機関等におけるポスターの掲示、リーフレットの配布に加え、地域の各種会合で改正内容等を説明しているところでありますが、今後もあらゆる機会を通じて県民の皆様に正しく理解していただけるよう周知の徹底を図ってまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 山本貴史君。
       (二十一番 山本貴史君登壇)
○二十一番(山本貴史君) それぞれに御答弁ありがとうございました。
 一点再質問、四点の要望をさせていただきます。
 質問につきましては、活断層により発生する地震への対策についてでありますけれども、御答弁を伺いますと現状その断層についてはホームページの公開を行っているということに加え、これまで行ってきた耐震対策をされているということで完結されておりましたけれども、徳島県の事例も御紹介させていただきましたとおりやはり断層の直上また周辺の被害というのが非常に大きいことが現在わかっている中で、やはり今後その断層の真上に何かを建てようというような自治体であるとか個人の住宅等につきましてもやはりある程度行政としてはそうした情報提供をしていくとかあるいは先進地の取り組みを参考にして今後研究していくと、そういう姿勢がまず基本的に必要だと思うんですけれども、そうした言葉が聞かれませんでしたので再度その点につきましてどのようなお考えがあるのかを質問させていただきます。
 要望事項ですけれども、地域外交におけるアメリカへの対応につきまして知事から日米の関係の重要性と今後についての御所見を伺ったところであります。私も地元の袋井市とオレゴン州のヒルズボロ市との姉妹都市を結んでおります関係でたびたび訪れることがございます。そこで出てくるのは、やはり一時期と比べて日本の影響力が非常に米国内で薄くなっていると。その影響で地元の高校でかつては日本語を教えていたんだけれども今はもう中国語に取ってかわられてしまっているという現状があったりとか、あるいはカリフォルニアに行けば慰安婦像が設置されている某市なんかでおきますとやはりそこでも在住の日本人から日本の姉妹都市交流であるとか民間交流の重要性を指摘する声がございました。
 私も先日ヒルズボロ市へ行った中でニューヨークにもちょっと足を伸ばしましてジェトロ・ニューヨークのほうに訪問させていただいた折に、経済交流をする上でも今ジェトロのほうでも非常に体制を整えておりまして小規模の中小企業さんやそうした一般の個人商店レベルの御相談にも乗っていくような体制づくりをされているということで京都などでも非常によい効果が出ているような取り組みを伺ってまいりましたし、ニューヨークの五番街には新潟県のアンテナショップが小さいながらももう既に出ているというようなことで積極的にやはりアメリカへのブランドづくりですね、日本の物のブランドづくりをアメリカで行うことによってアジアや世界にその認知がむしろ近道であるというようなことも伺ってまいりましたので、市町の姉妹都市交流を県でも後ろ支えしていただきながらこの地域外交のアメリカへのかかわりを少し検討していただきたいと思います。
 次に、働き方改革と労務負担の軽減につきましては、先ほど来非常に県の職員の皆さんのお仕事の量が非常にかつての状況と比べるとふえているという御指摘がございました。やはり時代の要請に応える形で、いわば透明性を確保するとかいろいろな説明責任が求められる中ではやはり昔とは違った形での仕事量がふえているのかなということを感じているわけですが、やはり御答弁を伺っておりますと若干ちょっと抽象的な感覚もしないでもございません。
 非常に県の中でも総合計画の下に百本を超える計画があったりとか、あるいはいろいろな仕事量の中でピンポイントで仕事が偏っているような部署も見受けられますので、こうしたことを解消していく中では単純に考えれば仕事を減らすか人をふやすしかないのかなという感じを持っておりますけれども、内部からなかなかそういうことが言えないということであればやはり第三者的な部署を設けてそういった部分からの調査と指摘をしながら庁内の改善に努めていくことも必要なのかなというふうに個人的には感じましたので、今後とも一日も早い形での改善ができますよう取り組んでいただきたいと思います。
 三点目のラグビーワールドカップにつきましては、九月に地元の袋井青年会議所がギネスに挑戦ということでギネス記録を達成したわけですが、これにおいても県の皆さんの非常な御尽力をいただいたということで青年会議所の皆さんも感謝をしておりました。今後もぜひそうした地元のイベントや周辺自治体のそうした取り組みにつきましても県のほうから全面的な形での御支援をいただきながら、県が進めるラグビーワールドカップに向けての取り組みもぜひ成功に向かって頑張っていただきたいと思います。
 最後に、認知症等にある高齢運転者の交通事故防止対策につきましては、ニュースでも非常にその認知症のある高齢者の事故が取り沙汰されておりますが、やはりこれを解決していくには高齢者の皆さんが一番不安を感じて運転をしながら本当に私大丈夫だろうかと、そろそろ返したほうがいいのかなと思いつつも、返したことによって生活の支障が出てくるということが一番やはり懸念をされるわけです。自主返納していただければ一番いいわけですが、この自主返納をするについてもやはり自治体やあるいはNPO団体などがその免許を返した後の例えば足のかわりに何かをやってもらうとかタクシー券などのインセンティブを与えるとかそうした形でのやはり支援も必要だと思いますので、これは県警というよりは全体的なものにかかわりますので県の全体におかれましては市町とも連携していただきたいと思います。以上で質問を終わります。
○副議長(藪田宏行君) 外岡危機管理監。
○危機管理監(外岡達朗君) 活断層により発生する地震への対策についての再質問にお答えいたします。
 徳島県では、活断層上で多くの方が利用するような建物を建築することを条例で規制しておりますが、この規制には活断層の位置の特定が必要となります。本県の場合富士川河口断層帯などがありますが、地表のずれの痕跡が判明していないため国に詳細な調査の実施を提案しているところであり、県としても研究機関等による活断層の最新の調査結果等の把握に努めてまいります。以上であります。

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