• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和5年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

田口 章 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/17/2023

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
(1)令和5年度当初予算編成
(2)保育環境の体制整備
(3)東アジア文化都市の推進
2 水道事業の広域化による経営基盤の強化について
3 新型コロナウイルス感染症の5類移行への備えについて
4 新たな地震・津波対策アクションプログラムの推進について
5 ボランティア団体との連携による被災者支援の充実について
6 リニア中央新幹線への対応について
7 静岡県水循環保全条例における水源保全地域の指定案について
8 第4次静岡県地球温暖化対策実行計画の実践について
9 次世代モビリティーへの転換に向けた取組について
(1)中小企業支援の強化
(2)電動キックボードの交通安全対策
10 アリモドキゾウムシ対策について
11 遠州灘海浜公園(篠原地区)野球場の活用促進について
12 外国人高度人材の県内企業への就労促進について
13 アフターコロナを見据えたグローバル人材の育成について


○副議長(和田篤夫君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十一番 田口 章君。
       (三十一番 田口 章君登壇 拍手)
○三十一番(田口 章君) 私は、ふじのくに県民クラブを代表して県政の諸課題につきまして知事、副知事、関係部局長、教育長、警察本部長に一括質問方式で質問をさせていただきます。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、令和五年度当初予算編成についてお伺いいたします。
 疫病や戦争、そしてテクノロジーの進化は社会を変えます。このことは歴史が物語っていますけれども、まさに今、時代は大きく動いていると言えます。またグローバリゼーション、地球温暖化という世界の動きや人口減少、少子高齢化、厳しい財政状況という構造的な問題も避けて通れない課題となっています。
 こうした背景の中、提案された令和五年度当初予算案は一般会計の予算総額が一兆三千七百飛んで三億円と前年度を約六十億円上回り過去最大規模となりました。一方で財源不足額も五百三十八億円に拡大し、財政調整用基金の残高は百八十九億円まで減少するなど厳しい環境下での編成であったことがうかがわれます。
 私たちふじのくに県民クラブは、従来から掲げる四つのキーワード、命、豊、人、礎に新たに環境の環――つなぐを加え五本柱の新たな政策集未来共創を策定しこれに沿って昨年十二月、四十六項目の政策を提言させていただきました。まずこの会派要望に対する県の対応をお伺いいたします。
 また、今後の社会情勢については物価高は収束の見通しが立たず金融政策も不透明な中、厳しい経済環境が続くと見込まれます。人口減少が進む中、引き続き財政健全化に向けた不断の取組が必要となります。
 我が会派は、ここ数年事業の見直しや歳入確保を提言してきました。当初予算では七十三億円の行革効果をうたっていますけれども、予算総額に占める割合は僅か〇・五%でありさらにドラスチックな財政改革が必要と思います。厳しい財政状況の中、今回もシーリングをかけたようですが部局での事業の選択と集中は必ずしも十分ではなく、それぞれの事業を一律カットしたところもあるように聞いております。
 数年前導入した枠配分予算は、部局に裁量権を持たせるものですがまだ十分活用できていないように感じます。これは部局の財政リテラシーが不足しているからにほかなりません。各部局でその事業が上位目標に沿って効果を上げているか事業効果をしっかり検証するとともに、新地方公会計制度を活用し保有資産や行政コストなどの財政状況を部局ごとにしっかりと把握する必要があります。
 また、歳入確保について寄附金の活用は徐々に進んできたと評価しますが以前から提案しているネーミングライツは全く進んでおりません。ネーミングライツをはじめ部局が保有する物品や資産を売却して歳入を確保した際に一般会計で収受するのではなく、一定割合を翌年度予算に反映するなど当該部局にインセンティブを与えてはいかがでしょうか。今後の財政健全化に向けた取組についてお伺いをいたします。
 次に、保育環境の体制整備について伺います。
 昨年、牧之原市と裾野市の保育施設で発生した不適切な保育に係る事件は全国に大きな衝撃を与えました。不適切保育の発生要因は保育従事者の資質や管理者のマネジメント能力にもよるとは思いますが保育現場の多忙化も課題の一つと考えられます。保育士は子供たち一人一人への対応に加え保護者への対応、年間行事の準備などなど日々多忙に仕事をしております。こうした状況を見ると保育の質の確保が重要と考えます。
 保育現場の多忙化は国が定める保育士配置基準の低さによるものと指摘されており、保育現場や団体からはこれまでも改善を求める声が届けられていました。特に四、五歳児の保育士配置基準は子供三十人に対し保育士一人となっており、一九四八年の制定以来七十四年間一度も変わっておりません。諸外国と比較をしても著しく低い状況となっております。
 国は、二〇一五年の子ども・子育て支援新制度の開始に伴い三千億円分の財源を確保して配置基準を改善することになっていましたが、四、五歳児についてはいまだに実行されていません。実際の保育現場は三十対一では対応できません。各施設では保育の質を維持するため基準以上の保育士を配置をしており、直近の本県の四、五歳児の配置状況はおよそ子供十七人程度に対し保育士一人と聞いています。
 県内全ての保育施設でこの実態である十七対一の配置基準を実現するためには、会派で試算したところ約二十六億円の財源が必要という結果になりました。規定の給付費の範囲で保育士を確保するということはこの約二十六億円分を保育施設が負担をしているということであり、これが保育士の処遇面につながっているとも考えられます。
 一義的にはまず国が配置基準の改善を実行すべきでありますけれども、昨年十二月会派としても県に対しこの国に対する強い要望を求めましたけれども、国の動きが遅々として進まない状況を考えますと県としてできることを率先して実施していく必要があると考えます。
 保育の質の確保に向けて保育士の処遇改善や負担の軽減にどのように取り組んでいくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、東アジア文化都市の推進について伺います。
 今年の本県にとって地域活性化につながる事業として期待されるのが東アジア文化都市の開催です。東アジア文化都市は本年日本では静岡県で、中国では成都、梅州、そして韓国では全州で開催されます。本県では二月二十三日の東アジア文化都市宣言を皮切りに年間を通して文化芸術をはじめスポーツ文化、食文化、ファッションを含む本県独自の文化プログラムが県内各地で開催される予定です。本年六月には富士山が世界文化遺産登録十周年を迎え、十月には浜松市を舞台に三年に一度の静岡国際オペラコンクールも開催されます。また先日開催されたガストロノミーツーリズムフォーラムでは東アジア文化都市におけるコラボレーションへの期待も強く感じられました。
 このように、東アジア文化都市の開催は本県が世界に誇る文化芸術の魅力や文化資源を改めて国内外にアピールをする絶好の機会であります。他の開催都市と連携交流を図るとともに、国や県内市町をはじめ教育、学術、文化、スポーツなど県が有する人や施設などの文化資源を最大限に活用し大いに盛り上げていただくことを期待しております。
 過去の開催都市では、来訪者が三百万人を超えた都市もあります。コロナ禍からの経済回復が期待される中、本県にも国内外から多くの来訪者が予想されます。これらのお客様に対して万全の準備を整えお迎えすることがコロナ禍からの反転攻勢のきっかけとして大切になります。
 東アジア文化都市の開催に当たって、今後事業全体をどのように組み立て地域経済への影響などを含め開催効果を高めていくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、水道事業の広域化による経営基盤の強化について伺います。
 水道事業は人口減少により収入が減る一方、施設の老朽化や管路の耐震化など更新投資の増加が不可欠となっており経営環境は厳しさを増しております。こうした中、課題解決に向けた水道事業の広域化は各地で進んでいます。
 香川県では、平成三十年度香川県広域水道企業団を設立し一部の島を除く県内一水道を実現しております。また奈良県も一部の市を除くものの二十六市町村が参加を見込む広域連携事業の検討が進んでいると聞いています。
 本県では静岡県水道広域化推進プランの検討を進めており今年度中の策定に向け最終段階を迎えています。今回のプランは県内を五圏域に分け、ヒト、モノ、カネの観点から課題を整理しそれに対応するために圏域ごとの推進方針を示しています。どんなプランが描かれているか楽しみに拝見をしましたが、残念ながら将来を見据えた大きな動きは計画されておりませんでした。
 水道事業の広域化について、私はこれまでも何回かこの場で取り上げ管路老朽化の課題をはじめ技術系職員の確保など警鐘を鳴らしてまいりました。関係者の御努力により県企業局の榛南水道と大井川広域水道企業団の大井川広域水道の事業統合が進められているほか、事務の共同化を進めている地域も出てきております。これらの動きは評価できますがその他の地域では今後の経営環境を考えるといささか楽観的ではないかと感じております。
 プランの検討は、各市町が策定をしております水道事業の経営戦略、これがベースになっています。経営戦略は計画期間を十年程度と想定をして今後の市町ごとの水道事業の経営状況をシミュレーションしたものであります。今回幾つかの市町の経営戦略を拝見いたしました。数年後赤字が見込まれるため料金引上げを検討するとか、投資に必要な財源が不足するとか厳しい状況は認識をしている自治体もあるようですが、市町では解決のための有効な手だてを見いだせずにいると感じております。
 水道事業の経営基盤を強化するために、経営戦略の見直しなどさらに一歩踏み込んだ広域化の対応などを進める必要があると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症の五類移行への備えについて伺います。
 新型コロナウイルス感染症の流行は四年目を迎えました。現時点では第八波も終息に向かいつつあるようでありますが、まだこの先を見通すことはできません。
 こうした中、国は本年五月八日をもって感染症法上の位置づけを二類相当から五類感染症に変更する方針を決定いたしました。感染症法上の位置づけ変更を受けた国の対応方針では、今後各種対策、措置内容について段階的な見直しを行っていくとしています。
 例えば、患者等については急激な負担増にならないよう医療費の公費負担を一定期間継続すること、また医療提供体制については幅広い医療機関での受診体制への移行や診療報酬上の特例措置や病床確保料の取扱い、重症者に対する入院調整の在り方など様々な見直しの項目が挙げられております。また基本的な感染対策のうちマスクの着用については三月十三日からは個人の判断に委ねることを基本とするとされております。このように国は大きな方針は示しておりますが、残念ながらまだ具体的な内容については示されておりません。
 しかしながらこれまでも流行を繰り返す中で特に医療提供体制が迫をしたことを考えますと、県として課題の整理をしっかりと行いこれまでの知見を生かし円滑な移行に備えるべきと考えます。現時点で県はどのようなことを重視をして五類への移行の体制を作っていこうとしているのかお伺いいたします。
 また、当初予算では新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制確保等関連事業として約六百一億円を計上しておりますが、五類に移行した場合にこの予算執行についてどう考えているのかお伺いいたします。
 次に、新たな地震・津波対策アクションプログラムの推進について伺います。
 現在策定が進められている新たな地震・津波対策アクションプログラムでは、二〇二五年までの三年間で想定犠牲者の九割減災を達成しその後も九割以上の減災を維持することが掲げられています。この目標はこれまでの計画から継続する基本的なものであり、想定される犠牲者の最小化に向けて防潮堤や津波避難施設の整備などハード対策と住民の早期避難などソフト対策の両輪を一層推進していくことが必要となります。新たなアクションプログラムでは、地震・津波の直接的な被害から着実に命を守ることに加えて被災後の避難場所における生活の質的向上により健康被害等の最小化を図ることが目標に加えられております。
 現在、本県の津波避難施設は階段や手すりなど避難するための最低限の設備しか備えられていない施設がほとんどであります。実際には大津波警報の発表から解除までに一日以上かかることも想定されます。こうした中で被災後の命と健康を守るためには、防雨・防風・防寒機能やトイレなど避難後に一定期間の滞在を想定した機能を備えることも必要であります。
 実際に、他県では居室部分を備えた津波避難タワーや平時も集会等に活用できる避難施設を整備している例もございます。避難施設の整備や改修は市町の役割ではありますが、県は市町と課題を共有し、目標達成のため一体となって取り組んでいくことが不可欠と思います。
 こうした状況を踏まえ、被災者の避難時、被災後の命と健康を守るためどのように取り組んでいくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、ボランティア団体との連携による被災者支援の充実について伺います。
 我が会派では、被災者支援の在り方に重点を置いてプロジェクトチームを設置をし調査研究をしてまいりました。被災者支援は行政、社会福祉協議会、ボランティア団体等の支援関係者それぞれが持つ役割により主体的に行われていますが、それぞれが独自に活動するだけでは不十分であります。そのため平時から支援関係者の連携促進に取り組み、災害時はその連携を生かして被災者のニーズと支援の全体像を把握、共有し被災者と支援関係者とをつないできめ細かな支援を行うことが必要と考えます。
 日本における被災者支援研究の第一人者である関西学院大学の山泰幸教授からは、被災者支援に関連する各法律にはちぐはぐさが目立ち被災者目線の法律になっていないという指摘も頂いております。被災者支援は被災者の目線で行うことが何よりも大切であり、将来的には国に対して法改正を求めていくことも必要と考えます。また事前復興という思想も大切です。これを県も取り入れ被害の最小化を図っていくことも重要な観点だと考えます。
 熱海市伊豆山地区での土石流災害において、県は過去の被災地でボランティアコーディネーターとして活躍した方を静岡県被災者支援コーディネーターとして委嘱、派遣し、このコーディネーターの下で様々な支援関係者が連携して活動してまいりました。今後災害が発生した場合にもきめ細かな支援が行われるよう平時から支援関係者の連携体制を構築するとともに、経験豊かなコーディネーターを育成し、いざというときにはコーディネーターや支援関係者が最大限に能力を発揮できるスキームをつくっておくことが肝心です。
 そのためには、いかに被災者に寄り添った支援ができるか、まちと生活の復興支援ができるかをしっかり検討した上でいざというときに被災者支援関係者が最大限に力を発揮できる体制を事前に整えるべきであり、その具体策としてボランティア団体との連携による被災者支援の充実や支援関係者をコーディネートできる人材の育成を行うべきと考えます。
 防災先進県を自負する本県としてどのように対応していくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線への対応について伺います。
 一月二十五日に静岡県中央新幹線環境保全連絡会議地質構造・水資源専門部会が開催され、リニア中央新幹線南アルプストンネル工事における県外流出量と同量を大井川に戻す方策、いわゆる田代ダム取水抑制案と山梨県側から県境を越えて行う高速長尺先進ボーリングの計画についての対話が行われました。今回の専門部会では田代ダム取水抑制案について森下部会長から、東京電力リニューアブルパワーとの協議を進めるべきとの意見があり、それを受けてJR東海は専門部会の中で協議に入る旨を表明いたしました。
 これまでJR東海は、東京電力リニューアブルパワーとの具体的協議は流域関係者の理解を得られた後に行うと説明をしておりました。しかし幾ら専門部会で議論をしたとしても実際に取水を抑制する東京電力リニューアブルパワーの意向、認識が不明のままでは机上の空論になりかねません。そもそも田代ダム取水抑制案は昨年四月の第七回の専門部会でJR東海が提案したものであり、この間意向、認識を確認していないのはなぜか、私には不思議な感じがいたします。
 JR東海は国の有識者会議の中間報告で、県外流出量を大井川に戻す方策については今後静岡県や流域市町等の水資源に対する不安や懸念を真摯に受け止めた上で関係者の納得が得られるよう具体的方策などを協議すべきであると指導されています。JR静岡駅に配架をしてあるJR東海のパンフレットを拝見しましたが、地域の皆様の御心配の声を受け止め御不安を払拭できるよう真摯に取り組んでまいりますと記載がありました。
 JR東海の姿勢は有識者会議の指導のとおり真摯な対応に変わってきたでしょうか。今後JR東海に対し県はどのような姿勢で対話に臨んでいくかお伺いをいたします。
 次に、静岡県水循環保全条例における水源保全地域の指定案について伺います。
 近年、地球温暖化に伴う気候変動や開発行為等の社会経済活動など様々な要因が水循環に変化を生じさせており、洪水、渇水、生態系への影響など様々な問題が顕著になっています。集中豪雨の発生回数は三十年前に比べ約一・五倍に増加しており、とりわけ昨年九月の台風十五号による豪雨は県内に甚大な被害をもたらしたところであります。
 その一方で、降水量一ミリ以下となった無降雨の日数は百年単位で見ると増加傾向にあります。天竜川では現在も取水制限を行っていますがここ十年間で十一回四百六十日、大井川でも八回四百六日の渇水対策を行っており水不足への対応も喫緊の課題となっています。
 水循環の大きな変化は豊かな県土を損なうとともに、県民の生命、財産、暮らしを脅かすことにもつながります。このため健全な水循環を保全していくことは今後一層重要になってまいります。
 県は昨年七月静岡県水循環保全条例を施行いたしました。本条例では、知事は水源保全のために特に適正な土地利用の確保を図る必要があると認める地域を水源保全地域に指定することと定め、条例に基づき県は一月二十日に開催した水循環保全本部会議において地域森林計画の対象とする区域を水源保全地域として指定する案を決定いたしました。
 今回指定する水源保全地域は約四千平方キロメートル、県土の五一%を超える広大な面積となっております。県はどのような考え方によりこの区域を指定しようとしているのか、所見を伺います。
 また、水源保全地域の指定地域内で土地取引や土地の形質変更、設備の設置等の開発行為を行うためには事前届出が必要となりますが、事前届出制度についてどのように運用し導入することでどのような効果が期待されるのか伺います。
 次に、第四次静岡県地球温暖化対策実行計画の実践についてお伺いいたします。
 我が会派は、先ほどお話ししたとおり新たな政策集で環つなぐをキーワードに掲げました。SDGsの推進が世界的に求められる中、環境と経済の両立は県政にとって最重要課題の一つとなっており、美しいふるさと静岡を後世につなぐためには改めて環境政策を強化する必要があると感じております。とりわけ気候変動による災害の頻発など脱炭素社会の推進は喫緊の課題です。
 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向け本県においても温室効果ガスの削減目標を設定し取組を開始しています。まずは中間目標となる二〇三〇年度に目標である二〇一三年度比四六・六%削減の達成に向けて、計画に盛り込んだ取組を着実に進めていくことが求められます。
 この実行計画には四つの重点施策、すなわち中小企業の脱炭素化推進、建築物や住宅の省エネ化の推進、脱炭素型ライフスタイルへの転換、再生可能エネルギーの導入拡大が掲げられています。
 この重点施策の三つ目、脱炭素型ライフスタイルへの転換の一環として県では県民運動ふじのくにCOOLチャレンジなどを進めていますが、脱炭素社会の実現のためには県民のさらなる行動変容につなげていくことが必要であります。そのためには次の世代の担い手となる子供たちや多くの県民が、地球環境問題について理解を深め問題意識を持って環境を守る行動ができるよう環境教育の充実を図ることが大切です。
 県内では若者も活発に活動しています。二〇二一年度の気候変動アクション大賞を浜松開誠館中学校高等学校が受賞したほか、続く二十二年度には同じく気候変動アクション大賞をオイスカ浜松国際高校が、また同年の環境大臣表彰を浜松城北工業高校が受賞するなど若い皆さんが自分事として行動しているのはうれしく頼もしい限りです。
 こうした動きをさらに広げていくために、県として次代を担う若者に対する環境教育をさらに充実させることが重要と考えますが、県の取組と今後の展開についてお伺いをいたします。
 次に、次世代モビリティーへの転換に向けた取組についてのうち、中小企業支援の強化について伺います。
 自動車産業は大きな変革期にあり、電動化、自動運転、コネクティッド機能、さらに空飛ぶクルマなど幅広い分野で技術革新が進んでいます。こうした中にあって県内の中小企業は自らの固有技術が次世代モビリティーにどのように生かせるか、まさに生き残りをかけた取組を進めています。
 先日、ジェトロ浜松主催のセミナーでドイツ南部における次世代モビリティー産業の取組をオンラインで視聴しましたが、サプライチェーン全体での取組が積極的に進められておりました。こうした世界の動きを見ますと、本県においても県内だけでなく愛知県など隣県やモビリティー産業を抱える他県を巻き込んでサプライチェーン全体の持続可能性を探っていく必要があると感じました。
 このような背景を踏まえると、EV化、デジタル化、そしてカーボンニュートラルへの対応が当面の大きな課題と考えます。
 EV化は今後スピードを増して進むと思われます。二〇二二年のEVの世界の販売台数は約七百八十万台となっており、アメリカのテスラが百三十一万台、中国のBYDはPHEVを含めて百八十五万台を販売したとのことでした。日本では電力供給におけるCO2排出量が大きいためEV化が必ずしもCO2削減に直結しません。したがってハイブリッドが主流ですけれども、国際市場ではEV化の流れを止めることはできない状況になっております。
 二〇一七年の静岡経済研究所の調査によりますと、本県はEV化が中小企業に与える影響が群馬県に次いで大きいとされておりました。EV化によるサプライチェーンの再編で県内中小企業の経営状況は大きく変わる可能性があります。低コストかつスピード感を持って次世代モビリティーの部品開発を進めるためには、コンピュータ上で製品性能などをシミュレーションするCAE――コンピューター・エイディット・エンジニアリングと言いますが――この導入などが必要になることからデジタルものづくりへの支援も重要になります。
 県内の産業と雇用を守るためには中小企業の電動化やデジタルものづくりへの対応を強力に支援することが必要と考えますが、この点についての県の所見をお伺いいたします。
 また、カーボンニュートラル対応も重要です。世界市場で戦うためにはサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルが求められています。県内中小企業においても自ら排出する温暖化ガスや調達した電力等にかかる温暖化ガスを把握し削減していく必要があります。そのためには中小企業への適切な情報提供や専門家のアドバイスが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、電動キックボードの交通安全対策について伺います。
 次世代モビリティーの中で近距離の移動手段として期待されているのが電動キックボードです。既に様々な地域で実証実験が行われておりますが、都市部を中心に利用者が増加する傾向にあり若年層など幅広い世代での利用拡大が見込まれています。このような新たなモビリティーは生活に必要な移動手段の確保や渋滞緩和、脱炭素化といった社会問題の解決、さらに新たなビジネスの創出や地域活性化など様々な効果が期待できます。
 その一方で、利用者が増えるにつれて交通マナーが問題となっており、電動キックボードの交通事故も度々報道に取り上げられるようになってまいりました。
 電動キックボードは原則として現行の法律では原動機付自転車に分類されますが、本年七月施行見込みの改正道路交通法では特定小型原動機付自転車という新たな区分に分類されます。この改正に伴い、十六歳以上であれば原動機付自転車の運転免許を持っていなくても運転することができるようになります。
 運転免許保持者は基本的に免許取得時に交通ルールを身につけておりますが、新たな法の下ではこうした知識を十分に有していない若者も利用できることとなり、電動キックボードに関連する交通トラブルが今後急増する懸念があります。また高校生も制度上は利用できることとなり、通学時における利用の可否や交通ルールの浸透などについて学校と連携をして対策に取り組むことも必要となってまいります。
 電動キックボードが幅広い世代の移動手段として普及していくためには、その前提として正しいルールを浸透させることが不可欠です。電動キックボードの交通安全対策についてどのような方針で取り組むのか、警察本部の所見をお伺いいたします。
 次に、アリモドキゾウムシ対策について伺います。
 昨年十月浜松市西区においてアリモドキゾウムシの発生が確認されました。本州では初めての事例でもあることから関係者にとっては大事件と言えます。アリモドキゾウムシはサツマイモなどの害虫で植物防疫法に規定される緊急防除の対象害虫に指定されています。日本では沖縄県全域と奄美群島、トカラ列島、小笠原諸島に生息をし鹿児島県指宿市や高知県室戸市で発生が確認されたことがあります。指宿市、室戸市とも現在は根絶されていますが根絶に数年を要した地域もあるとのことでした。我が会派では指宿市や島嶼部での駆除や防疫体制について鹿児島県で調査を行いましたが、本県と鹿児島県では農業の状況が異なることからアリモドキゾウムシの生息環境や防疫対象などについて違いがあることが分かりました。以下、数点お尋ねいたします。
 まず、駆除や根絶作業は植物防疫法に基づき国の植物防疫所が主導するとのことですが、農業者の不安を一刻も早く解決するためには県としても県農林技術研究所の病害虫防除所など関係機関を挙げて最大限の方策を講じるべきと考えます。まず県の体制について伺います。
 また、今回アリモドキゾウムシの侵入ルートや経緯、原因はよく分かっていないようですが、今後の再発防止、リスク拡大を避けるためには可能な限り究明すべきであります。また鹿児島県ではサツマイモが中心ですが、本県の場合はサツマイモ以外に空心菜やアサガオなどへの影響も懸念されます。多様な生産品目を誇る本県の農芸品に影響がないか精査が必要と考えます。
 今後、緊急防除が行われる区域には野生のヒルガオ植生なども見られます。また家庭菜園を楽しむ地域住民やアサガオを栽培する学校もあります。農家だけでなく関係各所への駆除、防除のための啓発活動を進めるとともに、マスコミ等を通じた情報発信も強化すべきと考えます。さらに県内のサツマイモ産地に拡大をしないよう、生産地などでのトラップ設置作業を考えるべきです。
 以上、本州初の事例となった本県としてアリモドキゾウムシ対策に慎重に取り組むべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、遠州灘海浜公園篠原地区野球場の活用促進について伺います。
 遠州灘海浜公園篠原地区野球場については、二〇一九年に基本計画の検討を開始し途中コロナ禍により中断が余儀なくされる事態はあったものの、二〇二一年度に検討が再開され基本計画策定まであと少しという段階まで進んでまいりました。昨年十二月には浜松市、浜松市議会、浜松商工会議所、浜松市自治会連合会から成る新野球場建設促進期成同盟会が二万二千人規模の全天候型ドーム球場の早期整備を川勝知事に要望するなど地元の機運の高まりを実感しております。
 アカウミガメの生態に対する配慮から浮上したドーム球場案ですが、これまでの県の調査によると大きな事業費を必要とする一方で、他の案に比べ多目的な利用が可能となることなどから大きな経済波及効果が期待できることが分かりました。浜松市も近隣に道の駅を新設するための調査費を来年度予算に計上するとのことで、この地域全体のまちづくりに積極的に取り組む姿勢を示しております。
 私は、お金には無駄とコストと投資があると考えています。無駄はなくす、コストは減らすことが必要ですが、将来のために必要な投資は効果をしっかり見極めた上でやるときはやるという姿勢が必要です。この事業は地域振興への投資であり我が会派としてまちづくりの観点からも地域経営の観点からも二万二千人以上のドーム球場の整備が必要だと考えます。また最大限の経済波及効果を得るためには施設を効果的に利活用することが重要であり、県がその方法について民間活力の導入をはじめ様々な手法を検討すべきと考えます。
 また、二〇一六年に策定された基本構想でこの公園は沿岸部のリノベーションモデルと位置づけられましたが、県が進める地域循環共生圏の取組、この地域ではレイクハマナ未来都市と呼ばれていますけれども、この新たな動きを考えるとこの公園整備を通してエネルギー循環やカーボンニュートラル対応などSDGsの実現につなげていくことも必要と考えます。
 今後二十年、三十年を見据えて遠州灘海浜公園篠原地区野球場を地域に愛され地域活性化に資する施設としていくために、県としてどのように取り組んでいくかお伺いいたします。
 次に、外国人高度人材の県内企業への就労促進について伺います。
 近年、大企業だけでなく中小企業においても外国人高度人材の採用意欲が高まっています。背景としては日本人の特に技術者がなかなか採用できないことがありますが、近年そういう消極的な理由ではなく海外展開企業における進出先とのパイプ役やAIやロボット工学など専門技術の活用といった積極的な採用を進める動きも出てきています。県西部では民間団体が学生と企業のマッチングから双方へのサポートに積極的に取り組み、徐々に成果が表れています。
 現在県では、県内に住む外国人留学生についてスポーツ・文化観光部大学課がふじのくに地域・大学コンソーシアムを通じて就労支援を進めているほか、留学生受入れ拡大のためインドネシア、ベトナム、スリランカで静岡留学説明会を進めています。また海外在住の高度人材とのマッチング事業は三つの課で行っています。地域外交課はインド、そして労働雇用政策課はインドネシア、ベトナム、モンゴルをターゲットにしているほか、企業立地推進課はタイのタイ西工業大学が行う就職フェアに県内企業がブースを出す際の出展支援を行っています。
 このように各課で外国人材の活躍支援事業を行っておりますが、お互いの連携が必ずしも十分でないように感じております。特に留学生については令和三年度に本県の大学を卒業した留学生三百二人中、県内就職は六十八人、県外就職五十三人、母国への帰国者が九十六人などとなっておりました。本県に来てくれた留学生が百人近くも帰国するのはせっかくの宝物を手放すようなものであります。
 ここはやはり事業者に近い経済産業部が中心となって、まず事業者のニーズを酌み取って地域・大学コンソーシアムとの連携を強くして外国人材と事業者とのマッチングの場づくりやインターンシップ制度などを構築または支援すべきと考えます。また企業側には言葉の壁を乗り越えて採用するメリットを伝え、企業の成長につなげるダイバーシティーマネジメントの啓発セミナーの実施なども検討すべきと考えます。
 生産年齢人口がますます減っていく中、企業が求める能力を持つ外国人高度人材を県内中小企業につないでいくことは産業振興、地域活性化にもつながります。積極的な支援を進めるべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 最後に、アフターコロナを見据えたグローバル人材の育成について伺います。
 我が会派は、二〇一五年のマニフェストでグローバル人材育成に向けた取組の推進を掲げ、これまで県が取り組んできた様々な事業を支援してまいりました。県は現在ふじのくに「有徳の人」づくり大綱において重点取組の一つとしてグローバル・グローカル人材の育成を挙げており、教育振興基本計画においても未来を切り開く多様な人材を育む教育の実現の一環として取り組んでおります。
 グローバル人材とは、語学力だけでなくコミュニケーション能力やチャレンジ精神、異文化に対する理解さらに日本人としてのアイデンティティーなど多くの要素があると考えます。これらを若いうちに身につけた未来を切り開く人材を私は本県から一人でも多く輩出したいと願っております。
 この三年間はコロナ禍もあり、高校における海外修学旅行の実施や海外留学は実施できずオンラインでの交流が主となっておりました。もちろん私もオンライン交流の効果を否定するわけではありませんが、経済成長を続ける新興国のまちの様子を自らの目で見て肌で感じることや他国の若者が持つポジティブでチャレンジングな考え方に直接触れることは高校生たちにとって重要な意味を持つと考えます。五月には新型コロナの類型見直しが行われます。教育委員会としてもアフターコロナを見据えて改めてリアルな体験ができる体制を立て直すべきと考えます。
 池上教育長は、自らインドネシアでフィールドワークに携わられ国内の多文化共生の第一人者でもあります。まさにトップクラスのグローバル人材だと私は思っております。教育長が昨今よく使われる探求という言葉も、覚えるだけの勉強から自ら調べ体験し考えるというまさにグローバル人材に必要な要素と考えます。
 教育長の考えるグローバル人材とは、またグローバル人材への期待、県内の若者をグローバル人材に育てるために必要な施策、そしてアフターコロナを見据えた実際の事業推進などについて教育長の所見をお伺いいたします。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 田口議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、令和五年度当初予算編成についてであります。
 令和五年度当初予算は、社会経済の大きな転換期を迎える中、後期アクションプランに掲げる富国有徳の美しいふじのくにを着実に実現していくための予算として編成いたしました。ふじのくに県民クラブの皆様から頂きました五つの柱からなる御要望を真摯に受け止め、厳しい財政状況の中で可能な限りお応えしたものと考えております。
 第一の柱、命につきましては、昨年の台風十五号による浸水被害が生じた地域を中心にして流域治水の考え方に基づきハード・ソフト両面の対策を講じてまいります。また新たな感染症への備えとして三島市内に感染症管理センターを設置し防疫体制を一層強化いたします。この四月にオープンいたします。さらに子供の安全につきましては保育施設等に対する指導体制の強化や大規模保育所への――百二十一人以上というところでございますが――保育士の追加配置の支援などにより安心して子供が預けられる保育体制を確保いたします。
 第二の柱、環つなぐにつきましては、産業分野におけるカーボンクレジットの導入促進を図るため事業者への普及啓発や認証登録などの支援に取り組みます。また地域循環共生圏における再生可能エネルギー導入の強化など循環型経済の創出に取り組むほか、南アルプスの生態系の保全や魅力の発信を進めてまいります。
 第三の柱、豊ないし豊かさにつきましては、イノベーション拠点SHIPを活用して経済成長の新たな原動力となる県内スタートアップ企業等の交流を促進いたします。そのほかリーディング産業の育成、情報通信、またデザインなど若年層に魅力のある企業の誘致などを通して本県の豊かさのさらなる拡大を図ってまいります。
 第四の柱、人につきましては、多忙な教員の負担軽減を図るため部活動指導員等を増員するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員し児童生徒に対する相談体制を強化いたします。また国際バカロレアや演劇などの特色ある教育を通して県立学校の魅力向上を図ってまいります。
 第五の柱、礎につきましては、業務の効率化や手法の見直しなどによる歳出のスリム化と寄附金やふるさと納税の拡大等による歳入の確保を進めまして七十三億円の財源を捻出いたしました。厳しい財政状況の中でめり張りの利いた予算となるよう抑えるべき経費は抑え必要な政策には思い切った財源の集中を図ったところであります。
 今後の財政健全化に向けましては、職員による業務アプリの開発を可能とするノーコードツールの試験導入などデジタル技術を活用したさらなる業務の効率化やファシリティーマネジメントの観点から県有施設の総量適正化や有効活用の取組を一層進めるなど選択と集中のさらなる徹底を図ります。
 また、新しい産業の育成を通じた税源涵養を強化するとともに、クラウドファンディングやネーミングライツの積極的な導入を図るなど各部局の財源確保努力を促すインセンティブを拡充しながら歳入確保に向けた取組をさらに強化してまいります。
 新ビジョンに掲げた県民幸福度の最大化を達成するためには安定した財政基盤が不可欠です。人づくり・富づくりの着実な推進と健全な財政運営の堅持を両立し富国有徳の美しいふじのくにの実現に向けて全力を尽くしてまいります。
 次に、東アジア文化都市の推進についてであります。
 本年は、東アジア文化都市のブランドの下、本県が言わば日本の文化首都として世界に向けて文化の魅力を発信する絶好の機会であります。県内全域をオープンガーデンシアターという舞台とし、一年を通じて切れ目なく多彩な文化事業を展開することで文化活動の活性化や交流人口の拡大による経済効果、国際的な相互理解の促進等々様々な面で大きな開催効果が発揮されるよう取り組んでまいります。
 まず、選定都市である中国の成都市、梅州市、韓国の全州市の関係者を招いた式典やアーティストの相互派遣を通じて文化交流を進めます。それとともにSPACのふじのくにせかい演劇祭、あるいは静岡国際オペラコンクール、富士山世界遺産十周年記念シンポジウム、伊豆半島を舞台にした伊豆文学祭など本県を代表する文化芸術事業を実施いたしまして本県が持つ魅力を国内外に発信いたします。
 また、本県は富士山をはじめユネスコ世界ジオパークの伊豆半島、世界農業遺産のワサビあるいは茶草場農法など世界クラスの資源や人材を数多く有しておりますことから、これらを生かし浜名湖花博二十周年プレイベント、温泉文化サミット、食文化フォーラム等をはじめスポーツ、ファッション、旅、花、庭等々様々な分野にわたるイベントを通じまして本県の多彩な文化を発信してまいります。
 さらに、開催効果を全県に波及させるため市町や民間団体が実施なさる文化事業を支援いたします。それとともに地域のお祭り、花火大会、産業展示会など様々なイベントを東アジア文化都市事業として認証することで事業の裾野を拡大し、県民総がかりの取組として重層的に展開してまいります。
 あわせて、ロゴマークやノベルティーグッズの活用、動画を通じたプロモーションなど東アジア文化都市ブランドを国内外の多くの皆様に認識していただくための積極的な広報を推進いたします。東アジア文化都市は発足して十年目であります。しかし全国的にも認知度が低く、文部科学省のほうからこの認知度を高めるためにも強い期待を寄せられているという事業であります。
 今後アフターコロナ時代の到来とともに、インバウンドの増加をはじめ交流人口の拡大が見込まれます。東アジア文化都市開催は本県の魅力をいち早くアピールする最大のチャンスでありますので、国内外から多くの皆様に足を運んでいただき過去の開催都市の中で最大規模の経済効果が上がるよう、国、市町、民間団体等と一丸となりまして幅広い文化事業の展開に取り組み、観光交流人口の拡大につなげてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症の五類移行への備えについてであります。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染症法上二類感染症相当から季節性インフルエンザと同等である五類となる方針が示されましたが今後も流行を繰り返すことが想定されます。これまで流行のたびに医療提供体制が迫してまいりました。そのことから五類に位置づけられた後におきましても流行の兆候を捉え県民の皆様に適切な感染対策を呼びかけることが大切です。また希望する患者さんが円滑に外来診療を受けられるとともに、入院が必要な重症患者さんなどを受け入れる医療提供体制を整えておくことが必要不可欠であると考えております。
 県民の皆様への適切な感染対策の呼びかけにつきましては、感染者数の報告が全ての医療機関から一部の医療機関に変わります。そのため感染動向を的確に把握しその動向を見極めた上で必要な場面でのマスクの着用等状況に応じた迅速かつ効果的な情報提供を行ってまいります。
 医療提供体制につきましては、コロナ患者を特定の医療機関が診察する体制から一般の医療機関で広く受け入れる体制への円滑な移行や重症患者さんなどの病床確保の在り方、行政による入院調整から医療機関同士で入院調整を行う体制への移行などが重要になってまいります。そのため今後示される国の方針を踏まえつつではありますが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議や県医師会、県病院協会などの関係団体と協議をし地域の実情に応じたよりよい体制を構築してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症関連の予算につきましてはこれまでの対策が継続することを前提にして空床補償やワクチン接種など基本的な対策について本議会にお諮りしているところでございます。位置づけが変更となる五月以降は国は各種対策を段階的に見直していくと伺っておりますので、本県も財源を含めその内容が判明した時点で適切に対応してまいります。
 私たちといたしましては、社会経済活動がより活発になる中、県民の皆様に安心して暮らしていただけるようウイズコロナの体制構築に取り組んでまいります。
 次に、第四次静岡県地球温暖化対策実行計画の実践についてであります。
 持続可能な社会を築いていくためには、全世代にわたって地球環境問題についての理解が不可欠であります。とりわけ次世代を担う若者への環境教育は大変重要であり、議員御指摘のとおりでございます。最近では小中学校での総合的な学習の時間、高校における課外活動をはじめ地球温暖化防止活動推進員による地域での学習会などにおいて特色のある環境学習も行われております。
 また、今月初め地球温暖化対策アプリ「クルポ」をリニューアルし公開しましたが、アプリの開発に大学生や高校生に参加頂きましてこのアプリの若者の利用も広がるようコンテンツの充実を図ったところであります。さらに県では、多くの子供たちが地球環境問題に対する関心を高め自発的に学べるよう、県教育委員会との連携による環境学習ポータルサイトを今年三月末に公開いたしまして小中学校の授業や家庭における環境学習の機会を拡充してまいります。
 来年度は高校生を対象に、大学生等をメンターとして、先生としてワークショップを重ねながら脱炭素の取組を学ぶ講座の開設など将来の脱炭素社会を担う人材育成も見据えた取組を進めてまいります。静岡大学とは、県内の脱炭素化の推進のため連携協定を締結し、人材育成はもとより共同研究や技術開発に緊密に連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 将来を担う若者世代が脱炭素社会の実現に向けて自ら考え行動できるよう、教育機関との連携を強化し地球温暖化に関する環境教育の充実を進めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(和田篤夫君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) リニア中央新幹線への対応についてお答えいたします。
 田代ダム取水抑制案については、JR東海が昨年四月の第七回地質構造・水資源専門部会で提案し既に十か月がたとうとしています。しかし実際に取水を抑制する東京電力リニューアブルパワーの意向、認識が具体的にJR東海から示されておらず実現可能性がいまだに確認できていない状況です。
 また、JR東海が山梨県側から県境付近に向けて行う高速長尺先進ボーリングによる削孔についても、国土交通省が設置した大井川水資源問題に関する有識者会議で山梨県側から行うことについての議論もされないまま突然計画が示されました。その後専門部会における対話を経て、流出する湧水と同量を大井川に戻す方法が定まらなければ県境を越えないと計画は修正されました。しかしそれまでに県境付近で静岡県の水が流出する可能性への懸念があることから、先月三十一日JR東海に対し本県の水資源に影響のある範囲を科学的に定めた上で実行するよう要請しました。
 これらのことは国の有識者会議の中間報告が求めている真摯な対応とは思われず、流域住民の皆様の水資源への不安や懸念に対するJR東海の姿勢に疑問を抱かざるを得ません。JR東海には、改めて流域住民の皆様の不安や懸念、南アルプスの持つ特殊性を常に意識していただき、問題の解決に取り組んでいただくことを強く望みます。
 県といたしましては、リニア中央新幹線の早期実現と大井川の水資源及び南アルプス自然環境の保全との両立を図るため、流域住民の皆様の納得が得られるまでJR東海との対話を尽くしてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 八木健康福祉部長。
○健康福祉部長(八木敏裕君) 知事の政治姿勢についてのうち、保育環境の体制整備についてお答えをいたします。
 保育士の処遇改善を図り職場への定着を促進するとともに、業務負担を軽減し子供と向き合う時間を確保していくことは保育の質の向上を図る上で不可欠であると考えております。
 保育士の処遇につきましては、まず配置基準についてあらゆる機会を通じて国に改善を要望してきたところ、このたび大規模な保育所の四、五歳児クラスにおいて保育士一人が担当する子供の数を三十人から二十五人に改善するよう人件費加算が拡充されました。一、二歳児クラスを対象とした保育士配置への県独自の補助と合わせ、改善に向け一歩前進できたものと認識しており、引き続き国へ配置基準の改善を強く働きかけてまいります。
 また、昨年二月から収入の三%程度の賃金改善策に対応するとともに、保育所のリーダー的職員の育成を目的としたキャリアアップ研修を実施し受講した保育士に対して月額最大四万円の給与の上乗せを行っております。今後もこうした保育士の専門性に見合う処遇の改善に引き続き取り組んでまいります。
 保育士の負担軽減につきましては、園外活動の見守りなど周辺業務に従事する保育支援者の雇い上げ助成制度を拡充し活用を促すとともに、保育現場のICT化を促進し業務の効率化を図ってまいります。
 県といたしましては、保育士の処遇改善や負担軽減を進め保育の質を確保することで子育て家庭が安心して子供を預け、育てることのできる保育体制の構築に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) 水道事業の広域化による経営基盤の強化についてお答えいたします。
 県内各市町等の水道事業は、水資源や水利用をはじめ施設、料金など経営環境や状況が様々であることから、水道広域化推進プランは県内を五圏域に分け国が要請する本年三月までの策定に向け検討を進めてまいりました。
 市町等とは、先進事例を研究し今後一層厳しさを増す経営環境に関する認識を共有しながら事務や施設の共同化や事業統合等の広域化の可能性について議論を重ね現段階で合意頂ける目指す方向性を広域化の推進方針としてまとめました。
 各圏域の広域化の方針は、大井川圏域では二つの水道用水供給事業を統合するなどの方針を示しておりますが、事務の共同化の検討から進めるとしている圏域もあります。例えば遠州圏域では来年度から共同調達など事務の共同化の議論を進め、並行して施設の共同化についての検討も行います。
 広域化の議論を進めるに当たっては、現在水道事業者である市町等が令和七年度までに経営戦略の見直しを行うよう求められておりますことから、その中で必要な経営改革として料金改定、効率化などとともに広域化について積極的に検討するよう働きかけてまいります。
 プラン策定を通じ、広域化について具体的に検討、協議を行う体制が整ってまいりました。今後は先行する地域の知見も踏まえ、このプランを起点に広域化を一層促進し経営基盤の強化に取り組んでまいります。
 次に、静岡県水循環保全条例における水源保全地域の指定案についてであります。
 健全な水循環の保全を図るためには、森林地域等が有する水源涵養機能が十分に発揮されることが重要です。水源保全地域につきましては、森林のうち適正な管理が行われる国有林を除き森林法第五条の地域森林計画の対象となる森林区域を指定案といたしました。水田等が広がる農村地域も水源涵養機能を有しますが、農地法等により土地取引や開発に係る規制があることから指定を要しないものといたしました。
 水源保全地域内で行われる土地取引に関する届出では、取引の二か月前までに買主や土地の利用目的等の情報が提供されるようになります。土地取引に係る情報を早期に関係部局が共有し市町からも意見を求め、健全な水循環の保全のために必要がある場合には早い段階から指導を行ってまいります。
 また、適正な土地利用のための規制がかかっていない開発行為について健全な水循環を保全するための措置計画等の届出が行われるようになります。市町からの意見も踏まえ、状況に応じ実効性のある措置が確実に行われるよう指導してまいります。
 県といたしましては、水源保全地域における適正な土地利用の確保を通じて健全な水循環を保全し県民の共有財産である水資源を守ってまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 黒田危機管理監。
○危機管理監(黒田健嗣君) 新たな地震・津波対策アクションプログラムの推進についてお答えいたします。
 県ではこれまで、南海トラフ地震で想定されるリスクから一人でも多くの県民の命を守ることを第一として、特に津波被害に対しては防潮堤等の整備とともに津波避難タワーや避難ビルなどの避難施設の整備に取り組んでまいりました。その結果昨年度末までに避難施設を千五百か所以上確保し避難対象者の九八%以上がカバーされるなど、まずは施設の量的確保を最優先で取り組んでまいりました。
 一方で、昨今の災害では被災後の厳しい環境による健康被害や災害関連死の課題が顕在化したことから、新たなプログラムではこうしたリスクを未然に防ぐため滞在環境の改善を図る機能や設備など質の確保を重点的に取り組んでまいります。
 まず津波避難施設については、滞在性能の高い施設の先例や法的、技術的な留意事項などを取りまとめた事例集を作成して施設ごとの実情に応じた個別の相談に対応していくとともに、市町における避難施設の環境改善を地震・津波対策等減災交付金の重点項目に位置づけ補助率を三分の一から二分の一にかさ上げして積極的に財政支援を行ってまいります。また避難所につきましては、避難所運営マニュアルを七年ぶりに更新し、避難後の健康被害を防ぐための環境整備や運営上の留意事項などを盛り込み自主防災組織との意識の共有を図ってまいります。
 今後も、被災後の県民の皆様の命と健康を守るため避難施設の質的向上に向けハード・ソフトの両面にわたり市町と緊密に連携し着実に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 石野危機管理部長。
○危機管理部長(石野好彦君) ボランティア団体との連携による被災者支援の充実についてお答えいたします。
 県では、これまで災害時のボランティア活動を支援するため県災害ボランティア本部・情報センターにおけるボランティアの受入れ体制の構築や県内外のボランティア団体との顔の見える関係づくりに取り組んでまいりました。
 一昨年の熱海市の土石流災害においては、これまでの取組で培った人脈を生かして被災者支援コーディネーターを委嘱し行政や社会福祉協議会等と連携した支援活動に従事していただきました。その結果地元町内会と民生委員・児童委員の協力や支援関係者間の情報共有などによりきめ細かな支援が可能となり、災害関連死を最小限にとどめることができました。改めて支援関係者間の連携とそれを調整するコーディネーターの重要性を認識したところであります。
 被災者支援は多様な要望に対し様々な機関が関与し被災者に寄り添った支援を行う必要があることから、県や市町、社会福祉協議会、ボランティア団体等との間で被災者支援の全体像を共有するとともに、地域や分野により支援の漏れや偏りがないよう連携体制のさらなる強化に努めてまいります。またコーディネーターは被災者支援の経験と高い専門性を有するとともに、支援に関わる様々な方々との信頼関係の構築が必要であることから、国やボランティア団体と協力してコーディネーション能力を有する人材の育成に取り組んでまいります。
 県といたしましては、これらの取組を通じてボランティア団体との連携を強化し被災者支援の充実を図ってまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 次世代モビリティーへの転換に向けた取組についてのうち、中小企業支援の強化についてお答えいたします。
 県では、電動化、デジタル化、脱炭素化などの課題に対応するため昨年度から大手サプライヤーと中小企業等をメンバーとした企業連携ワークショップを継続しております。来年度はワークショップでの議論も踏まえこれまで以上に踏み込んだ施策を展開してまいります。
 まず、電動化への支援につきましては次世代自動車センター浜松のコーディネーターを増員し相談体制の充実を図ります。また国内外の最新EVの分解部品の展示、貸出しをしているベンチマークルームを二倍に拡張し様々な分野の企業が多くの部品に触れる機会を提供することで国際的に競争力のあるEV部品の開発を後押しいたします。
 次に、デジタル化への対応ですが来年度浜松工業技術支援センターに仮称デジタルものづくりセンターを新設いたします。金属3Dプリンターなど最新鋭の設備や設計シミュレーションソフトを導入し中小企業の開発現場でのデジタル技術の活用を促進してまいります。
 脱炭素化への対応につきましては、補助率のかさ上げなど助成制度を拡充し省エネルギー機器と再生可能エネルギー導入の両面から取り組むほか、企業脱炭素化支援センターなどと連携してアドバイザーによる相談対応、普及啓発・人材育成セミナーの開催、企業のCO2削減計画の策定支援などに取り組み中小企業の脱炭素化を進めてまいります。
 県といたしましては、サプライチェーンを構成する中小企業全体の製品開発力や競争力の底上げを図り本県自動車産業の持続的な発展に向けて官民が一体となってスピード感を持って取り組んでまいります。
 次に、外国人高度人材の県内企業への就労促進についてであります。
 ポストコロナにおける本県経済の成長の実現に向けて、高度な技術・技能や加速度的に変化する社会への対応力を持った人材の確保・育成を強化する必要があります。このため経済産業部では県内産業の成長を担う人材の確保等を政策の柱とし関係部局と共に外国人の活躍支援を行っているところです。具体的には定住外国人の正社員化のほか、県内企業における外国人高度人材への関心の高まりからモンゴル国等において面接会を開催し現在までに四十人を超える若者が基幹人材として活躍しております。
 一方県内大学の留学生については、ふじのくに地域・大学コンソーシアムが実施する企業交流会やインターンシップ等の就職支援事業を通じ就職した卒業生のおおむね四割を県内就職につなげております。今後は県としても県内就職者を増やす取組を強化していく必要があります。
 このため、企業に留学生の採用への関心を持っていただけるよう経済産業部が中心となって高度人材採用の優良事例やインターンシップを紹介するセミナーを開催するとともに、具体的な事業者ニーズを把握するための企業訪問を積極的に実施してまいります。さらに把握した事業者のニーズや就職面接会の情報を大学コンソーシアムを通じて留学生のもとに確実に届け企業とのマッチング機会を増やしてまいります。
 県といたしましては、外国人高度人材の県内中小企業への就労を促進しその能力を十分に発揮し活躍頂くことで県内経済の成長につなげてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 次世代モビリティーへの転換に向けた取組についてのうち、電動キックボードの交通安全対策についてお答えいたします。
 電動キックボードは、本年七月に施行見込みの改正道路交通法の下では十六歳以上であれば運転免許を持っていなくとも運転できることとなるため高校生などの若年層への利用拡大が見込まれる中、その安全対策として広く交通ルールを周知することが重要となります。
 県警察といたしましては、教育委員会及び交通安全協会と連携し高校生をはじめ学生対象の自転車教室における交通安全教育や通学路における街頭指導のほかSNSなどの各種媒体を活用し若年層に訴求する情報発信を行ってまいります。
 また、法改正に伴い電動キックボードの事業者による交通安全教育が努力義務として設けられることを踏まえ、事業者に対する働きかけを含め交通ルールの周知に向けた取組を進めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) アリモドキゾウムシ対策についてお答えいたします。
 浜松市で発生したサツマイモなどの害虫で国の重要病害虫に指定されているアリモドキゾウムシの蔓延を防止し産地の生産者の不安を一刻も早く払拭するためには、関係者と一体となって慎重かつ迅速な対策を講じることが重要であります。
 このため、県では本害虫の根絶に向けて昨年十二月に県や浜松市、JA、農業者等で構成する協議会を設置し関係者の協力体制を強化するとともに、害虫の発生状況調査や農業者への防疫対策の周知、寄生するおそれのある植物の処分などに取り組んでおります。またサツマイモに加え空心菜やアサガオなど本害虫が寄生するヒルガオ科の植物については緊急防除開始後、規制区域内での作付が禁止されることから、被害額などの地域農業への影響を調査し生産者やJA等に情報提供を行っております。
 これらの植物は野生植生のほか一般家庭や学校でも多く見られることから、自治会を通じたチラシの全戸配布に加え販売店や教育機関等への個別訪問、ホームページへの掲載や報道提供など様々な手段を講じて注意喚起や協力を呼びかけてまいります。
 さらに、再発防止と被害の拡大を防ぐため国と連携して侵入ルートや原因を究明する調査を継続するとともに、トラップによる調査を本害虫が未発生の地域にも拡大できるよう国と協議を進めてまいります。
 県といたしましては、サツマイモ等の生産者や地域住民、関連団体の皆様の御理解と御協力を得ながらアリモドキゾウムシの根絶に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 遠州灘海浜公園篠原地区野球場の活用促進についてお答えいたします。
 遠州灘海浜公園篠原地区に計画している野球場につきましては、アカウミガメへの影響を考慮し照明のある屋外タイプは候補から除外することといたしました。
 御質問にありましたドームタイプにつきましては、天候に左右されず利用できる上に人工芝のため芝生の養生期間等が不要となることから屋外型と比べ利用可能時間が大幅に増加するメリットがあります。野球に加え様々なイベントにおいても利活用が進めば地元のみならず周辺地域にも大きな経済効果をもたらす可能性があるものの、一方コストや利用料金に課題があると考えております。
 今後、ドームタイプ、照明のない屋外タイプの両タイプの野球場につきまして、一般利用のほか学生から社会人までの大会や合宿での利用、プロ野球の試合やトライアウトなどサブ球場や屋内練習場など関連施設とともに多くの方々に利用していただける方策について検討を進めてまいります。
 また、コンサートや展示会などイベントの開催につきましても、来年度地元企業や県西部地域でイベント開催実績のある民間事業者等の御意見を伺うなど詳細な需要調査を実施し野球利用が少ないと見込まれる平日や冬季期間などの利活用について検討を行ってまいります。
 県といたしましては、浜松市が進める周辺地域のまちづくりと連携し遠州灘海浜公園篠原地区野球場が皆様に愛され地域の振興に資する施設となるよう利活用促進に向けた取組の検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 池上教育長。
○教育長(池上重弘君) アフターコロナを見据えたグローバル人材の育成についてお答えいたします。
 グローバル人材とは、大きく変化する世界の動きをしっかりと捉え自らのルーツや育った国と地域社会に誇りを持ちながらSDGsや多文化共生の理念をよく理解した上で探求的なアプローチにより課題を解決していける人であると考えております。
 こうした人材には、海外市場を見据えて活動する地元企業において世界と地域を結び国際的なコミュニケーションを担うことや地域コミュニティーの中で外国人と日本人の橋渡しを行うといった草の根レベルで文化的多様性をつなぐことなど、異なる言語や文化、価値観の違いを乗り越え国内外で活躍されることを期待しております。
 グローバル人材育成のためには、学生時代から実際に外国を訪問し多様な文化、考え方を持つ人たちと交流する異文化体験は非常に重要であります。本県ではコロナ禍にあってもオンラインを活用した海外大学との英会話プログラムなど交流を継続してきたところですが、議員御指摘のとおりいま一度リアルな海外体験をできる環境を整備していくことは大変有効であると考えております。
 今後はコロナの影響を見定めながら、安全・安心を第一に現地を訪問しての海外留学や教職員の海外研修を再開してまいります。また海外大学と連携したフィールドワークなどを実施するグローバルハイスクール事業や県内企業の海外工場等において就労を体験する海外インターンシップ事業など現地への渡航とオンラインを組み合わせた取組を実施してまいります。
 さらに、体験学習や現地の人々との相互交流を目的としたスタディーツアーの実施や本県にいながら異文化交流ができるようアジアをはじめとした多様な地域からの高校生の受入れなど新たな交流についても検討していきたいと考えております。
 アフターコロナを見据え子供たちが改めて世界へと目を向けることができるような機運を再醸成するとともに、本県ならではの国際交流の形を構築し県教育委員会を挙げてグローバル人材の育成に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 三十一番 田口 章君。
       (三十一番 田口 章君登壇)
○三十一番(田口 章君) それでは、再質問を二つさせていただきます。
 最初にですね、当初予算編成について再質問させていただきます。
 事業見直しなどで七十三億円の行革効果を出したと、これはこれで評価をするんですけれども、やっぱりちょっと十分じゃないなというふうに感じています。と申しますのが、当初予算編成後の基金残高が百八十九億円ということでこれは公表されているんですけれども、先日十四日の日に公表された令和四年度の補正予算を見ておりましたら、この中で行革推進債を九十億円、調整債を二十億円、臨財債の追加を七十九億円計上していました。これ合計するとちょうど百八十九億円なんですね。
 私は以前からその資金対策債なるものはできるだけ発行すべきでないという話をしているんですけれども、やはり肥大化した財政をこれから抑えていかなくちゃいけないという局面になってきているもんですから、もっとその行革をしっかりやるというのをやらなきゃいかんと思うんですよね。私からするとこれ借金で基金を積み立てているものだと思っていますので、そのあたりについてですね、こういう財政運営一体いつまで続けるのか、このあたりをぜひちょっとお尋ねしたいと思います。
 それから二点目は、野球場についてです。
 以前ですね、委員会で、官民連携調査をする際には案を一つに絞り込まないと民間が乗ってこないと、こういうお話があったわけなんですけれども、今の御答弁を聞いておりますとどうも絞り込みが少し遅れてしまうのかなという気がしていますが官民連携大丈夫でしょうか。官民連携調査できるかどうか。それからもともと官民連携調査には一年から二年ぐらいかかるというふうに言われていたんですけれども、それ終わった後に今度設計とかに入っていくんですがその設計から先のスケジュールに影響はないのか、これを聞きたいと思います。
 最後もう一点。ちょっとこれは答弁なかったんですが、私はレイクハマナ未来都市という話をしましたが、どうせ造るならば利活用においてはそのSDGsに配慮をしたというようなことも少し含めてお伺いをしたつもりなんですけれどもそのあたり答弁なかったもんですから、ぜひお考えがあればお聞かせ頂きたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) 財政健全化に関する再質問についてお答えいたします。
 臨時財政対策債は償還財源が後年度に全額地方交付税として措置されるのでこちらは異なると思いますが、財源措置のない行政改革等推進債や調整債につきましては将来への過度な負担を避けるため、議員御指摘のとおり発行を極力抑制すべきものと考えております。
 こうした資金手当債の発行に頼らない財政運営を実現するためには歳出のスリム化と歳入の確保を徹底することが不可欠です。現在の厳しい財政状況について財政当局だけではなく全部局で改めて認識を共有するとともに、強い決意を持って財政健全化に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 太田交通基盤部長。
○交通基盤部長(太田博文君) 遠州灘海浜公園野球場の活用促進の再質問についてお答えいたします。
 まず、官民連携導入可能性調査が一案に絞り込まない状況で実施して構わないかという点についてでございますが、官民連携についてはこれまでに民間事業者との対話において、官民連携をやる場合選択の幅が広すぎると、発注者の意図がつかめないと提案がしにくいという意見、一方逆に狭すぎても自由な発想が生かせず提案が難しいと、そのような御意見を頂いているところでございます。
 本議会においては、まず公園としてのプランは一応一つに選定し、野球場タイプについてはドームと照明のない屋外の二種類にまでは絞ってございますので官民連携導入可能性調査の実施は十分可能であると考えております。
 また、全体的なスケジュールに及ぼす影響についてでございますが、このように幅を持った官民連携導入調査を実施する、また需要調査についても丁寧に実施するということでその分時間はかかるものと思いますが、丁寧に進める一方でスピード感を持って取り組んでまいりますので全体工程に大きく遅れることのないようにですね、取り組んでまいる所存でございます。以上でございます。
○副議長(和田篤夫君) 太田部長、SDGs関連の答弁をお願いします。
○交通基盤部長(太田博文君) SDGsに関しては、野球場についてですが、再生可能エネルギーの活用であるとか、いわゆる有効な隣の隣接する浜松市のごみ焼却場の熱エネルギーの活用とかそういった新技術を活用するなどして環境に優しく持続可能な野球場に資するような施策を導入しながらですね、全体として自然にも優しい野球場利用と公園利用が可能となるようにSDGsに配慮した持続可能な球場運営に資するような取組も実施してまいります。以上でございます。
○副議長(和田篤夫君) 三十一番 田口 章君。
       (三十一番 田口 章君登壇)
○三十一番(田口 章君) 財政健全化のところにつきましては部長の決意を伺いましたので、ぜひ事業運営をしっかりやってほしいなと思っています。
 私、バランスシートをよく見るんですけれども、臨財債はどうしてもその資産の形成を伴わないので、後年度国のほうからという話をされますが借金は借金であることに変わりありませんから、私からするとバランスシートは悪化しますので資産の形成を伴わない借金というのはできるだけすべきでないというのはちょっと申し上げておきたいと思います。
 野球場のほうは、これ、もう私は性能発注でいいと思うんですよ。ですからあんまりがちがちにしなくてやはりその導入、その利活用の可能性をしっかりと探っていただくというような観点で進めていただきたいと要望し私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(和田篤夫君) これで田口章君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 二月二十日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp