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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/05/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 主伐、 再造林の促進について
2 県産材の供給体制の強化について
3 定年延長を受けた幹部職員の人事異動について
4 天竜区の課題について
 国民健康保険佐久間病院への支援
 西部地域における医療体制の整備
 災害における浜松市の技術力向上に対する支援
 阿蔵ヒルズ構想の行方


○議長 (宮沢正美君)  これで中澤通訓君の質問は終わりました。 (拍手)
 次に、 六十一番 中谷多加二君。
        (六十一番 中谷多加二君登壇 拍手)
○六十一番 (中谷多加二君)  私は、 知事、 副知事、 関係部局長に一括質問方式で伺います。
 今回もまずは、 相変わらず厳しい環境に置かれている森林・林業関連のうち、 主伐、 再造林の促進について伺います。
 本県の杉、 ヒノキなどの人工林は、 九割近くが木材として利用可能な五十年生以上となりかつてないほどに森林資源が充実し続けています。 林業の成長産業化に向けてはこの森林の伐って使って植える循環利用を再構築することが不可欠であります。
 このため、 県は主伐、 再造林を促進していますが全ての森林所有者が取組を始めたわけではありません。 この理由を伺ったところ、 主伐をして木材の売払い収入があっても再度苗木を植えて育てる経費がかかってしまう、 特に植えた苗木を鹿の食害から守るための防護柵などの獣害対策の経費負担が大きく結局手元にお金が残らないため主伐を見合わせるといった声が多く聞かれます。 このままではますます高齢級の森林が増え、 今後たとえ伐採、 搬出したとしても大径木を加工することのできる設備を有する製材業者等は限られており、 買手がつかない丸太があふれることにもなりかねません。 早急に主伐、 再造林を進める必要性は理解しつつも、 森林所有者のジレンマはいかんともし難いものがあります。
 他県においては短期的な利益を追求するあまり主伐後に再造林をせず放置するという問題が増えてきていますが、 本県森林所有者はそうした考えは持ってはいないと思っています。 このような方々が、 伐って、 植えて、 育てる循環利用の中できちんと収益を上げていけるようになることこそが産業としての林業の健全な姿であると考えます。
 主伐、 再造林を進めるためには木を伐って搬出する木材生産、 苗木を植える造林作業、 下刈りや獣害対策などの保育作業、 それぞれの段階で経費を縮減し森林所有者に収益が還元されることで主伐に向けた意欲を喚起していくことが必要であると考えます。
 このため、 県は低コスト主伐、 再造林の促進に向け様々な取組を進めています。 また私が会長を務めております県森林組合連合会におきましても、 ふじのくに美しい森林づくり緑の基金を設立し再造林を行う森林所有者などへその経費を補助する制度を創設し、 県だけに頼らず林業界としても自らの取組を始めており再造林への追い風になればと思っています。 このように木材生産や造林作業においては様々な対応がなされている一方、 保育作業に関しては経費縮減の余地があると考えます。
 そこで、 県は主伐、 再造林を促進するため獣害対策等の保育作業に関する経費の縮減にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、 県産材の供給体制の強化について伺います。
 本年三月頃から、 住宅の柱やはりなどに使われる木材製品全般の供給不足が表面化し価格の高騰も生じたことで住宅メーカーなどの木材調達が困難となる、 いわゆるウッドショックと呼ばれる事態が発生しています。 この原因は世界的なコロナ禍の影響によるものでアメリカでの経済政策に伴う住宅需要の急増、 中国経済の急回復による木材需要の拡大、 さらに海上輸送コンテナの不足なども加わり外国産材製品の国内への輸入が急激に減少したことによります。 外国産材製品の不足は過去にも発生しています。 これまでは環境保護のための森林伐採の規制などが要因でしたが、 今回は世界的な木材需要の増加を主な要因とした複合的な要素が関連して発生しており、 影響が長期化することが懸念されています。
 林野庁が六月に公表した森林・林業白書によると、 我が国の木造住宅の建築に使用される柱材の約六割、 はりや桁などの横架材の約九割が外国産材製品に依存しています。 このため今回のウッドショックで発生した外国産材製品の不足は住宅着工に影響を及ぼしています。 住宅の建築には多くの産業が関連しており、 ウッドショックによる住宅の着工控えや施工の遅延の発生は林業・木材産業だけでなくコロナ禍から立ち直ろうとする景気の足かせにもなりかねません。
 一方で、 県産材を扱う林業・木材産業にとってこれまで進んでこなかった外国産材製品から県産材製品への転換のチャンスが到来をしています。 しかしこのチャンスを生かすには柱材などの原材料となる県産材丸太の確保が必要です。
 本県では、 ウッドショックの発生を受け多くの林業経営体が県産材丸太の増産に取り組もうとしたものの、 直ちには増産にはつながらず地域の製材工場や合板工場に十分な丸太を供給できない状況になっております。 特に合板工場がコロナによる需要減を見越して受け取る県産材丸太の量を制限したため、 それまで供給していた林業経営体が売り先に困り市場等に出荷先を変更しました。 さらに追い打ちをかけるように原木の市場取引価格が高騰し市場と合板工場との売払い収入の格差が広がり、 ますます合板工場に供給できない状態が現在も続いているということです。
 全体的に見れば県産材丸太の供給体制の弱さが改めて顕在化したとも言えます。 今後安定供給に向けて供給構造の転換も必要で、 価格及び供給のダム機能としてのストックヤードの設置も重要であります。
 今回のウッドショックが収束しても、 これを契機に外国産材製品に依存する住宅産業の材料調達のリスクを回避する観点から今後外国産を県産材に転換する動きが強まると考えますが、 これに応えるためには市場に求める県産材丸太の安定供給が不可欠であると考えます。
 そこで、 県は県産材丸太の供給体制の強化にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、 定年延長を受けた幹部職員の人事異動についてであります。
 さきの六月定例会において藤曲県議が再任用制度についての質問をされましたが、 私はさきに成立した地方公務員の定年退職の延長に絡めて幹部職員の人事異動の考え方について伺いたいと思います。
 さて、 毎年三月に行われる定期人事異動において平成三十年以降部長級職員をはじめとして再任用職員の拡大を県は進めてきました。 これらの人事異動について、 知事は会見で毎回のようにこう述べられてきました。 幹部職員の再任用は将来の定年延長に備えてのものであると。
 しかし、 さきに成立した国家公務員及び地方公務員の定年延長の法律では原則役職定年が定められています。 役職定年とは難しい言葉では管理監督職勤務上限年齢制と言うようですが、 簡単に言えば定年延長の際には管理職から外れ役職を下げたところで延長した期間職務に就くこととなります。 あわせて国家公務員については六十歳を超える職員の給与をそれまでの七割程度に抑えることとし、 地方公務員についてはこれを考慮し適切な措置を講じるように国は自治体に求めています。
 なぜ役職定年を導入したかといえばおのずと知れたところであり、 後進にしっかりとその職を譲り組織の活性化や人材登用を進めるためです。 法の趣旨からいけば、 これまでの本県の再任用を幹部職員に多用するというのは方向性が全く逆であったことになります。 確かに安定さはあるでしょう。 しかし結果として再任用で同一の部長職を長期間にわたり在職したとか、 再任用になってから部長職を二度経験する、 部長になれば再任用が当たり前という状況を生み出し人事は停滞し、 結果として部の理事職の増加を招いています。 本来部長になるべく人材が部長になることなく退職して県から去って行くことになっていないでしょうか。 また妙な忖度が県庁内にはびこっていないか心配をしています。
 組織は常に活性化させなくてはならず、 そのためには動物の細胞と同じく新陳代謝が必要でそれは人事異動という手法で行われるべきものです。 令和六年三月末の退職者から役職定年制を導入するとなれば、 今まで数年にわたって行われてきた幹部級への再任用の多用を今年度末の人事異動から改めていかなければ人材の登用が進まないのではないでしょうか。
 そこで、 役職定年制度の導入を前提とし令和四年度に向けた幹部職員の人事異動をどのように行うつもりなのか知事に伺います。
 さて、 ここからは私の地元の天竜区に関わる質問をいたします。
 浜松市においては、 特別委員会において天竜区単独案を採用することが決定されています。 地元としても単独区案を支持し、 また担当の副市長を置くことを要望しているところであります。
 以前、 私がこの場で発言した天竜区独立構想が頭をよぎります。 政令指定都市浜松市の中にある過疎地域を含む天竜区はその在り方の大きな転機となっています。 新しい過疎法では県内において一部みなし過疎はなくなることとなりました。 六年間の経過措置はあるというものの、 浜松市という大きな枠の中に含まれたことにより天竜区への支援はさらに減少していってしまいます。
 前石川嘉延知事が推し進めてきた県内の政令市の在り方は、 人口減少社会の中で変化を余儀なくされてきていると思います。 県と政令市は対等と言いながらも財政力、 職員の能力などからその差は広がってきているのではないかとも思われます。 静岡県として新しい形での政令市との関係の在り方を議論すべき時が来ていると私は思っています。
 そのような課題があることを訴えつつ、 四点質問します。
 まずは、 天竜区の課題についてのうち、 国民健康保険佐久間病院への支援についてであります。
 私がこの質問をするのは令和元年以来二年ぶりですので、 その間の進み具合も含め伺います。
 佐久間病院は、 御承知のとおり長らく北遠地域の医療を担ってきた基幹病院です。 平成十年代の初めに建て替えを行い県からも大きな支援を頂きました。 佐久間病院の現在の院長先生は三枝先生であり、 院長に就任してから既に二十五年を経過しています。 旧佐久間町の頃から医師などの人材確保は大変厳しく、 病院を支えてきたのは自治医科大学卒業の医師の皆さんでした。 しかし自治医科大学卒業の医師の皆さんも徐々に減り、 ここ数年では一人しか派遣されていない状況になっています。
 そして最も重要なのは院長の後継をどうするかという問題です。 三枝先生もいずれは引退の時期を迎えます。 このことは佐久間病院の存続にも影響を与えることにもなりかねません。 佐久間病院の医師の確保については、 一昨年度から浜松市が中心となり浜松市中山間地域医療検討会議を設置し人材確保方法の議論を進めてきました。 県もオブザーバーのような形で参画をしていたはずです。 しかしその会議では県に対する自治医科大学卒業医師の継続的な派遣を要望することが決められただけで根本的な課題の解決に対する策は何も出てきていません。
 先月浜松市長の県に対する来年度予算要望があったようですが、 昨年度入っていた佐久間病院への支援は項目になかったようです。 昨年度と比べ今年度の状況が改善したわけではないのに要望しないというのは残念至極です。
 佐久間病院は浜松市立病院であり、 浜松市がそもそもどうするのかをはっきりさせなければならないことは自明の理です。 浜松市も医師の派遣を約束したという話も聞きますが、 そのような事実は一向に聞こえてきません。 いわば出がらしのお茶、 つまり湯だけなのです。
 住民の命を守るという問題は県と政令市という枠組みの外の問題であり、 また知事は再選後、 誰も取り残さない県政運営を目指すと所信を表明されました。 県として国民健康保険佐久間病院の現状をどう捉え、 浜松市などと連携し支援していくつもりなのか伺います。
 次に、 佐久間病院の課題に関連して西部地域における医療体制の整備について伺います。
 天竜区においては医師や医療機関が不足、 診療科の偏在が生じており、 佐久間病院も先ほど述べたとおり住民の医療ニーズに十分に応えられていないのが実情です。
 こうした地域医療の状況を解消するため、 国では医師不足が深刻な二次医療圏を医師少数区域として地域の実情に応じて県が医師確保対策を進めることとしております。 また医師だけでなく看護師や医療機関数の少ない地域を医療資源の少ない地域として診療報酬上、 人員配置基準をはじめ病床数や夜勤の要件等の緩和などが認められ必要な医療の提供が効果的にできる環境を整えることとしております。
 本県において令和二年三月に策定された静岡県医師確保計画にも記載されておりますが、 天竜区を含む浜松市と湖西市から成る西部医療圏は国が示す医師偏在指標で医師多数区域に区分されておりますが、 天竜区の状況から見ると違和感を覚えます。 一方他県の医師確保計画を見てみますと医師多数区域においても局所的に医師の少ない地域については、 医師少数区域と同様の効果のある医師少数スポットを設定して確保を図るなど地域の実情に合った医療提供体制の整備を行い効果を上げています。
 私は、 本県が医師少数スポットを設定しないと医師確保計画で決定をしたと認識をしていますが、 手遅れにならないうちに天竜区をはじめ医師不足などの課題を抱えた地域を医師少数スポットに設定し、 医師の確保や地域の医療環境の改善を図り、 住民の医療ニーズに十分に応える体制をつくるべきではないかと考えますがいかがでしょうか。 特に天竜区については地域における医療機関数や病床数をはじめ医師数、 看護師数など重要な医療資源が県内でも極めて低位にあり大変厳しい状況にあることから、 医療資源の少ない地域の制度を活用し診療報酬上の要件緩和を認めてもらい適切な医療の提供ができるように国に働きかける必要があると考えますがいかがでしょうか。
 次に、 災害における浜松市の技術力向上に対する支援について伺います。
 今年の梅雨時の長雨によりまたも県道大輪天竜線において道路崩壊が発生し通行止めとなりました。 昨年にはこの大輪天竜線と国道百五十二号が同時期に通行止めとなり龍山町、 佐久間町、 水窪町の住民の生活に長期間にわたり大きな影響を与えました。 迂回路が山あいの林道しかなく、 車同士のすれ違いが困難な道を二時間以上かけて生活道路として使用せざるを得なかった集落もありました。
 この災害は道路災害と林地災害が一体となったものでありましたが、 私が痛感したのは復旧まで時間がかかり過ぎたということです。 佐久間町浦川における原田橋の復旧についても崩落から足かけ五年以上の歳月をかけて新しい橋の完成を迎え、 その間大雨により迂回路がたびたび通行止めになるなど住民の苦労は絶えることはありませんでした。
 旧浜松市と周辺市町村が合併して十数年となります。 旧浜松市においては山間部と言えば都田町などに限られてきましたが、 合併後には天竜区や北区を抱えることになり急峻な地形や天竜川などの大河川をまたぐ橋梁の管理を引き受けることとなったわけですが、 まだまだ災害復旧等の土木的な技術の蓄積が足りないのではないかと感じざるを得ません。 天竜区の人たちは昔を懐かしく語っています。 県がやっていてくれた頃にはすぐに工事を始めて直してくれた。 対応も早く事業費も相当投入してくれたと。
 この六月に道路法が改正され都道府県による市町村管理道路の災害復旧等を代行する制度が創設されたとのことではありますが、 政令指定都市は対象外であるとのことであります。 政令指定都市は県道の管理も移管されていることからその技術的な蓄積があると思いますが、 浜松市のレベルはいかがなものでしょうか。 先月の長雨のように線状降水帯による長時間かつ多量の雨が降ることが今後増えていくことを想像すると、 災害への備えはハード対策もそうですがソフト対策として技術力の向上も欠かせないところです。
 県として浜松市の技術力向上に対する支援が欠かせないと思いますが、 所見を伺います。
 さて、 川勝知事が四選され二度目の定例会の最後の質問となる予定でありましたが後ろにいました。
 知事は、 選挙期間中にレイクハマナ未来都市構想、 遠州灘の野球場など浜松市に関わる構想を公約として述べられてきましたがその中に欠けているものがありました。 それは昨年三月に完成した、 いわゆる一条堤の土台となった土を提供した天竜区に所在する阿蔵山のことであります。 内陸フロンティア構想から派生したガーデンシティー構想、 つまり阿蔵山の土を防潮堤に提供した後ここに大区画の借地を主体としたガーデンシティーをつくり出すという構想でした。
 知事が最初に当選されたときには家・庭一体とよく言われたものであり、 三百坪の大区画に家と庭を配置し暮らしの質の向上をしていくものでした。 また所有から利用へという我が国ではまだ主流にはなり得ない形の提言でもありました。
 三期十二年の間での実現はまだ土砂の搬出中でしたので困難でありましたが、 いよいよ防潮堤への土砂の搬出も終了したところであり、 そろそろ構想の再起動があってもよいかと思っておりました。 しかし先ほど申し上げたとおり四期目のスタートに当たり阿蔵ヒルズの言葉は出ず残念であります。
 阿蔵山は天竜区から浜北区そして浜松市中心部に向けた玄関口であり、 また国道百五十二号のバイパスルートにもなっているところです。 天竜浜名湖鉄道本社のある天竜二俣駅からも徒歩六分程度の近さでもあります。 縮みゆくことしかない天竜区においては成長の糧として残っている僅かな財産なのかもしれません。
 土地の所有は浜松市でありますが、 浜松市からは残念ながら阿蔵山の在り方について阿蔵山のあの字も出てくることはありません。 ただ政治家である知事がこれまでも幾度となく本会議の場でその実現に向けた構想を答弁されており、 またこれを取り消した発言も一切ないことからまだ継続しているものと思っています。
 阿蔵ヒルズの構想はどこに行ってしまったのでしょうか。 まだ知事の胸の中にあるのか、 それとももうどこかに行ってしまったのか伺い、 私の質問を終わります。
○議長 (宮沢正美君)  川勝知事。
○知事 (川勝平太君)  中谷議員にお答えいたします。
 静岡県、 政令指定都市は二つございますけれどもその政令指定都市の、 静岡県における政令指定都市の抱える問題、 すなわち大きな過疎地域をはらんだ政令市であるということ。 その中で今回は天竜区を中心にした深刻な問題、 医師不足の問題また森林の問題について解説を頂きながら御質問頂きました。 問題意識は共有しております。
 そうした中で、 まず県産材の供給体制の強化についてお答えをいたします。
 外国産材が調達困難になったと、 いわゆるウッドショックと言われるものですが、 このウッドショックと呼ばれる外国産材の調達難に伴う木材価格の高騰がございましたが、 これを契機に県内の住宅産業ではこれまで使用していた部材の県産材への転換が見られ、 外国産の供給リスクを軽減する動き、 これは恐らくウッドショックが収束した後も継続するものというふうに考えております。
 こうした動きを県産材の需要拡大に確実につなげていかねばならないと。 そのためには県内の丸太の生産体制と在庫調整機能の強化をしなければなりません。 そうしないと生産工場や合板工場のニーズに応じて丸太を安定的に供給することができないからです。
 そこで、 本県の森林所有を見ますと小規模、 分散の形態が多いという特徴があります。 そのことから通常丸太を生産するには多数の森林所有者の御承諾を取りまとめて路網を開設した後に伐採を開始するということになると。 言わば部分最適、 短期的最適という生産体制というのが現実であります。 その結果ですね、 こういうウッドショックという今回のような急激な需要の増大に対して速やかに増産することが困難であるという、 そういう課題に今我々は直面していると。 これを改めなくてはならないということであります。
 そのために、 県では需要の変化への即応と生産コストを削減するために次の二つの取組を開始いたしました。
 まず第一の取組は、 一定規模のエリア、 地区において本年度からレーザー計測による高精度な森林情報等を基に丸太生産に適した森林認証林等を抽出して取りまとめて全体最適、 中期的最適の生産計画を策定してまいります。 現在二十五の地区で丸太の生産拠点づくりを進めております。 これら丸太の生産拠点づくり、 二十五の生産拠点におきましてまず中長期的な丸太の生産計画や地区全体の路網配備等の最適化の視点による整備計画を作成いたします。 この計画に基づきまして大型トラックで丸太を効率的に運搬する路網と架線集材施設を先行的に整備することによって、 需要の増大に応じていつでも伐採に着手でき、 また丸太を搬出して利用することができるであろうと考えております。
 二つ目の取組は丸太の在庫調整機能の確保のための取組です。 伐採地と加工地の間に丸太の集積場を設けようということでございます。 複数の木材生産現場から搬出された丸太をこうした集積場に集めて大きさや長さなどの規格で仕分けてストックしておくことで、 ニーズに応じて丸太の市場や合板工場へ大型トレーラーで効率的に運搬することが可能になると考えます。
 これまで浜松市、 また小山町などでこれら集積場の整備を支援してまいりました。 今後は県内の丸太の需給状況に合わせましてそれぞれの地域の核となる集積場の配置を検討いたしまして、 県内全域で効率的な丸太の流通網の整備を促進してまいりたいと考えております。
 県としましては、 このような生産効率の向上と需給変動への対応力の強化によりまして県内の丸太の供給体制を強化し外国産材から県産材への転換を確実なものにし、 かつそれを促進していきたいと、 そしてそれを県内林業の成長産業化につなげていきたいと考えております。
 次に、 天竜区の課題についてのうち、 西部地域における医療体制の整備についてであります。
 二次医療圏というのは医師少数区域ではないという、 そういう定義なんですけれども、 それに対して議員御指摘のいわゆる医師少数スポットというのはこの二次医療圏内にありながら局所的に医師が少ない地域として私ども県が設定できるものであります。 これを、 この医師少数スポットをこの二次医療圏内に設定した場合地域枠制度を利用した医師の配置が可能になります。 したがっていわゆる医師少数区域と同じ効果が得られるということになるわけです。
 設定に当たりましては具体的要件は示されておりませんが、 国のガイドラインでは継続的に医師の確保が困難で医療機関へのアクセスが制限される場合などとされております。 したがって当てはまるのではないかというふうに私は考えます。 天竜区の場合ですね。
 令和元年度に策定した静岡県医師確保計画では、 天竜区を含む西部保健医療圏内の基幹病院である佐久間病院につきまして開設者の浜松市による継続的な医師確保の対応を待つことにすると。 政令市ですから待つことにするというのが基本的な我々の姿勢でございました。 そういうことで同圏域でのこの医師少数スポットの設定を見送ったということなんです。 その後浜松市による検討会での協議にもかかわらず依然として御指摘のように医師確保が困難な状況にございます。
 このため、 私どもとしましては今年度の保健医療計画の中間見直しに合わせまして地域の医療提供体制を維持するという観点から改めて医師少数スポットの設定について、 もちろん県医療対策協議会等の御意見を伺いながらではございますけれども検討していこうというふうにしております。
 今後は、 ほかの地域でも地域の状況をきめ細かに把握して医学修学研修資金を利用したお医者さんや地域枠医師の活用をいたしまして地域において必要な医師の確保を進めてまいりたいと考えております。
 また、 この医療資源の少ない地域での診療報酬の特例でございますけれども、 これは国が二次医療圏を単位として対象地域を設定するものだということでございます。 残念ながらといいますか、 浜松市を含む西部保健医療圏は全体として残念ながらこの特例の対象外ということでございます。 しかしながら今後国の動向を注視しつつ関係者の御意見も伺いながら対応について検討せねばならないというふうに思います。
 県としましては、 今後も県内各地域の医療体制の確保に取り組んで誰もが健やかに安心して暮らし続けることができるふじのくにの実現を目指してまいります。
 阿蔵ヒルズにつきましては担当者が答えますけれども、 一度として忘れたことはありません。 そもそも一条堤、 これを造るのに阿蔵山を潰さないといけませんので、 したがってそこの神社の神様に山を潰すけれどもこれは人助けのためだと、 その後ここにビバリーヒルズを抜く――チバリーヒルズというのは造られたんですけど――阿蔵ヒルズを造りますと言ったら、 声なき声でそれはいい考えであるということでございました。
 なるほど一条堤十七キロできましたが、 実はまだ馬込川の水門ができておりませんで、 そしてそこにもまだ土を積まねばなりません。 したがってそれちょっと遅れているんですけれども、 一条堤全部終わったわけではないということです。
 しかし、 あそこは議員御指摘のような地域でございますし、 言ってみれば天竜区への入り口だということもございます。 しかも歴史的にも重要なところであるし、 天浜線の、 言わば社長がすぐそばにいるところでございますのでそこはしっかりと支えねばならないと。 そのためにはやはり阿蔵ヒルズをというか阿蔵山を整備しなくてはいけないと。 これは浜松市との協議が重要で向こうから、 市長さんから任せてくだされば一番ありがたいというふうにも思っているところでございますが、 一度としてそこを忘れたことはありません。 神様との約束でございますものですから。
 その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長 (宮沢正美君)  細谷農林水産担当部長。
○農林水産担当部長 (細谷勝彦君)  主伐、 再造林の促進についてお答えいたします。
 林業の現場では林業機械による伐採や搬出が進む一方、 雑草木の下刈りや鹿に対する防護柵の設置、 保守点検などの獣害対策には依然として多くの労力が必要であります。 下刈りや獣害対策の経費は植栽や保育作業に要する経費の約五割を占めており、 主伐、 再造林の促進には経費の削減に向けた機械化、 省力化が不可欠であります。
 このため、 県では下刈りが必要な期間を五年から三年に短縮できる成長の早いエリートツリーの苗木の供給体制を構築し導入を推進しております。 また鹿の防護柵の破損状況を定期的に徒歩で見回る作業を省くため、 ドローンによる空撮画像をAIで解析し柵の破損箇所を発見する手法や鹿の侵入をセンサーで感知し造林地から離れた事務所に通報するシステムなどを実証しているところであります。
 さらに、 産学官が連携して先端技術の実装により林業現場の課題解決を目指すふじのくに林業イノベーションフォーラムを昨年度設置したところであり、 今後は林業経営体と企業のマッチングを図りドローンを活用した防護柵の運搬など省力化技術の実証を進めてまいります。
 県といたしましては、 こうした先端技術の活用により保育作業の一層の経費節減を図り森林所有者の意欲を喚起して主伐、 再造林を促進してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  杉山経営管理部長。
○経営管理部長 (杉山浩一君)  定年延長を受けた幹部職員の人事異動についてお答えいたします。
 国家公務員及び地方公務員の定年引上げにつきましては、 少子高齢化が進み生産年齢人口が減少する状況下において複雑高度化する行政課題への的確な対応などの観点から能力と意欲のある高齢期の職員を最大限活用しつつ次世代にその知識、 技術、 経験などを継承していく必要性から職員の定年を段階的に引き上げるものであります。 あわせて組織の新陳代謝を計画的に行うため役職定年制を導入し、 管理監督職の立場にある職員については職務や職責の特殊性により困難な場合などを除き原則として下位への職位の降任を行うものであります。
 本県におきましても、 再任用職員の配置に当たりましては役職定年制の考え方と同じく組織の新陳代謝を図るため定年退職時よりも下位の職での配置を基本としておりますが、 新型コロナウイルス感染症対策や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの開催、 リニア中央新幹線関係などの懸案への対処を考慮し特に事務事業の継続性を重視した適材適所の人事配置を行った結果として部長級に再任用職員が配置されているところであります。
 県といたしましては、 令和五年度からの定年引上げの施行に向けて役職定年制の対象範囲やその年齢など具体的な取扱いを条例で規定するため必要な準備を進めてまいります。 また令和四年度に向けた幹部職員級の人事異動に当たりましては、 法改正の趣旨をしっかりと踏まえつつ組織活性化や持続可能な組織運営などの観点を十分に考慮し適材適所の人事配置に努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  石田健康福祉部長。
○健康福祉部長 (石田 貴君)  天竜区の課題についてのうち、 国民健康保険佐久間病院への支援についてお答えいたします。
 佐久間病院は北遠地区の基幹病院であり、 一般診療や救急医療、 代診医派遣など地域にとって重要な役割を担っていると認識しております。
 一方で、 国が示す医師偏在指標では当該病院のある西部保健医療圏は医師多数区域に位置づけられ圏域内での融通により医師の確保を図ることとされております。 そこで昨年度、 県の働きかけにより佐久間病院の開設者である浜松市が医師の継続的な確保などについて地域の関係者による検討会議を開催しましたが具体的な解決には至っていない状況にあります。
 このため、 県では昨年九月の浜松市による自治医科大学卒業医師一名の派遣要望に応え僻地医療の確保の観点から現在も医師一名を継続して派遣しております。 今後も引き続き浜松市と連携を図り、 市による医師の確保を働きかけながら自治医科大学卒業医師の派遣や医師少数スポットの設定による地域枠医師の活用など佐久間病院への支援について検討してまいります。
 県といたしましては、 県民の皆様が安心して住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう地域の基幹病院への支援に努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  和田交通基盤部長。
○交通基盤部長 (和田直隆君)  天竜区の課題についてのうち、 災害における浜松市の技術力向上に対する支援についてお答えいたします。
 北遠地域などの山間地では、 急峻な地形や脆弱な地質特性により大雨などの異常気象時に災害が生じやすい状況にあります。 また道路の災害発生時には迂回路が限定されるなどの理由から地域の方々の生活に大きな影響が生じることになります。 このような課題に対し住民の皆様の安全・安心な生活を確保するためには着実な社会資本の整備や災害への迅速な対応が重要であり、 それを担う県や市町職員の技術力向上が求められます。
 このため、 県や市町の職員に対し道路や河川、 砂防等の実務研修を行うとともに、 特に災害への対応につきましては災害査定や初動対応等の講座を開講するなど必要な知識と技術の習得、 向上に努めております。 また昨年度からウェブ研修にも取り組むなど職員が参加しやすい環境づくりに取り組んでおり、 昨年度は浜松市からも延べ百七名が参加したところであります。
 また、 北遠地域におきましては昨年七月の国道百五十二号等の災害を契機として本年三月に防災・減災及び災害対応について国、 県、 市が緊密に連携する情報共有の場が浜松市により設置されたところであります。 今後はこの場を積極的に活用し平常時から北遠地域の防災事業に関する情報共有を行うとともに、 災害発生時には迅速な対応が図れるよう関係機関との調整を行ってまいります。
 県といたしましては、 引き続き県が実施する研修への浜松市職員の積極的な参加を呼びかけるとともに、 防災・減災の取組における国、 県、 市の連携を一層強化し北遠地域の安全・安心の向上に努めてまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長 (市川敏之君)  天竜区の課題についてのうち、 阿蔵ヒルズ構想の行方についてお答えいたします。
 阿蔵山の開発に当たって、 新東名高速道路浜松浜北インターへの近接性や開発面積約三十四ヘクタールという広大な敷地のポテンシャルを生かし、 県は定期借地制度等による居住者の初期投資の軽減や災害時の住宅用地とすることなどにも配慮した一区画百坪から三百坪程度のゆとりある自然豊かな住宅地として活用する阿蔵ヒルズ構想を土地所有者である浜松市に提案しております。
 現地の状況は、 令和元年度までに防潮堤への約百六十一万立方メートルの土砂の搬出を完了したものの具体的な土地利用や造成の高さが決まっておらず、 さらなる土砂の搬出も見込まれています。 また阿蔵ヒルズの開発に必要な敷地を南北に通る国道百五十二号バイパスについては一部の用地取得が完了していないため完成のめどが立っておりません。
 浜松市では、 この用地について周辺の工業団地や住宅地の需要なども踏まえてより地域の発展に寄与すると見込まれる工業団地等の産業用地としての活用を主体に検討されていると伺っております。
 県といたしましては、 県西部地域におけるレイクハマナ未来都市構想の推進のため天竜区の玄関口に位置する阿蔵山は大変重要な場所だと認識しております。 今後は天竜区の発展のため浜松市の地域経営の意向を尊重しつつ、 研究施設や工業団地などに近接する良好な環境を生かした住宅地であるガーデンシティーの実現に向け引き続き浜松市に提案してまいります。 以上であります。
○議長 (宮沢正美君)  これで中谷多加二君の質問は終わりました。 (拍手)

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