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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大岡 敏孝 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/29/2011

会派名:

志士の会


質疑・質問事項:

1 防災対策について
 (1) 避難地・避難所の住民周知
 (2) 本県における仮設住宅対策
 (3) 災害に強いまちづくりの推進
2 浜岡原子力発電所の安全対策について
3 お茶の放射能問題への対応について
  消費者目線、顧客目線の徹底
4 県の今後のエネルギー政策について
 (1) 太陽光発電のメリットの生かし方
 (2) 電力自給率の向上対策



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、二十六番 大岡敏孝君。
           (二十六番 大岡敏孝君登壇 拍手)
    ○二十六番(大岡敏孝君) まず、志士の会の堀江県議にかわりまして、津波などで犠牲になられたとうとい御霊の御冥福をお祈りするとともに被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
     急に皆さんの服装が変わって驚いておりますが、私は当てつけで上着、ネクタイ着用で質問させていただきたいと思います。
     さて、当面する県政の諸課題について知事及び関係部局長に質問をいたします。いつもと違う縦書きの原稿なので、ちょっと読みにくいですけれども……。
     初めに、防災対策のうち、避難地・避難所の住民周知について伺います。
     東海地震が迫る我が県ですが、我が県は防災先進県と言われていながら当日の大津波警報で避難した人は対象の約二%にとどまりました。もし本当に大津波が来ていたらどうなっただろうかと肝を冷やします。先進的だったのはハード面と防災関連部門だけで、多くの県民が油断をしソフト面での対応はおくれていたと言うことができます。私も含め多くの方々が今回の震災から多くのことを学んだのではないでしょうか。今回気づいたことは防潮堤、防波堤のようなハード面の整備だけでは十分な機能を果たせない可能性があり、むしろソフト面、各県民がどう対応できるかということが被害を最小限に抑えるためのかぎであるということがわかりました。大災害を回避するためには県民が常に危機意識を持って冷静に行動する訓練をしておかなければならないということです。しかし現状は自分の指定避難地を知らない県民も多いし、外出中に地震に遭った場合どう避難していいのかわからないで混乱するという場合も多いかと思います。各市町において避難地や避難施設を指定し自主防災組織などを通じて津波避難訓練などを行っているものの、一〇〇%の住民に周知することは困難です。このことは共通する課題であると思われます。また地域において指定されている避難所の多くは学校ですが、学校はいずれ本来の教育施設として再開をしなければなりません。未来を担う子供たちのために長期間に及ぶ避難所の使用は教育の支障になりかねません。したがって避難所の設定や使用方針について日ごろから住民の十分な理解を得るとともに、周知徹底しておく必要があります。
     そこで、東海地震の発生を踏まえ避難地や避難所の場所、利用方針を住民にどのように周知をし、徹底を図るのか、また地域防災活動の主体である市町へ県としてどのように指導、支援していくのか、お考えを伺います。
     次に、本県における仮設住宅対策についてであります。
     今回の東日本大震災で国は八月中旬までに希望者を全員仮設住宅に入居させることを目標としておりますが、現時点で仮設住宅用地が確保できていない自治体もあり目標達成は不透明と言われています。津波による被害を受けない平野部は非常に少ない上に瓦れき置き場などに必要な用地も確保しなければならず、また高台は住宅の建設適地が少なく、一方被災者は自宅、勤め先、学校などから近い住みなれた場所での生活再建を希望するため、仮設住宅の建設場所を探す自治体を悩ませております。
     本県の静岡県地域防災計画によりますと震災発生後に県内の被害状況を把握した上で仮設住宅の建設戸数を定めるということになっており、市町が被害状況から必要とみられる仮設住宅の戸数を試算し用地を選定し、県が市町の選定した用地に必要とされる戸数の仮設住宅を建設することになっております。県内の市町は阪神大震災後、東海地震に備え仮設住宅の建設予定地の洗い出しを進め建設可能な公園やグラウンドなどの公有地をリストアップしているそうですが、仮設住宅を建設するのは県の役割であり、仮設住宅をいち早く建設するためにも今からライフラインなど建設地の状況を確認をして工事計画を立てておくべきではないかと考えておりますが、このことについて県の所見を伺います。
     また、被災した自治体によっては従来型の仮設住宅では潤いのある生活ができないという問題に対応して、仮設住宅の設計にちょっとした工夫をしていると聞いております。住民間のコミュニケーションを円滑にするための工夫、居住空間の快適性を向上させるような取り組みなど今回の震災での経験を工事計画に反映させるべきだと思いますが、県のお考えを伺います。
     次に、災害に強いまちづくりの推進についてであります。
     今回の大地震の被災地においては、市街地のほとんどが壊滅的な被害を受け、まち全体の高台移転を検討せざるを得ない地域も数多くあります。本県においては土地区画整理事業を初めとする都市計画事業や建築物の耐震化の推進等により、東海地震等に備えたまちづくりが進められてまいりましたが、沿岸部では低地に多くの住宅が立地してる地域もあり、また区画整理事業などが行われていないため道が狭く消防車も入れないような地域も依然として数多く見受けられます。今回の大地震を踏まえますと、このような地域においては古きよき町並みやコミュニティーを生かしながら災害に強いまちに順次更新するなど、今まで以上に防災の観点を重視したまちづくりを積極的に進める必要があるとともに、三十年以内に八七%の確率で震度六以上の地震が発生すると言われていることを考えれば、今のうちから被災後の復興計画、つまりシャドーの都市計画を準備しておく必要があるのではないでしょうか。しかしながら既に土地利用が進んでいる市街地において各個人が自分の土地の所有権にこだわっていては、災害に強い都市構造に改良していくことは全くできません。互助、さらには互譲という精神でみんなで少しずつ譲り合わなければ、地域住民全体の命を守ることが困難だという認識を共有することが大変重要であると考えます。
     そこで、今後都市計画を進めるに当たっては、災害に強いまちづくりを進めることや住民が協力しなければそれも進まないのだという意識啓発を図ること、そして今のうちから被災後の都市計画を議論し用意することなど、県として市町に対し何らかの指針を示すべきだと思いますが県の所見を伺います。
     次に、浜岡原子力発電所の安全対策についてであります。
     東京電力福島第一原子力発電所の大事故は津波災害と並び、大変衝撃的でした。いまだに原子炉は安定させることができず多量の放射能をまき散らしております。安全であるとしてきた原子力発電所がこれほど危険なものだとは多くの県民も驚いたことだと思います。
     一方、中部電力浜岡原子力発電所の安全性はどうなのでしょうか。現在すべての原子炉の運転をとめたといっても核燃料を入れたまま冷却しているだけという状態です。地震に襲われ冷却水が減少したり冷却システムそのものがふぐあいを来せば再び熱を持ち、福島第一と同じ状況になる可能性はあります。また発電所の中には多数の使用済み核燃料が保管されており、その安全性が保証されているわけではありません。またこれまでは立地そのものの是非や原子炉建屋の耐震性などが問題になりましたが、実際はそれだけが安全性を担保しているわけではなく小さな部品や装置、配管や配線などの中で、たった一つの部品がふぐあいを起こしても発電所全体を危機に陥れる可能性があるということを認識しておかなければなりません。これまで絶対的に安全であると信じてきたこと、あるいはそれを疑わなかったことが運転を認めてきた大前提であります。しかしそれが絶対に安全とは言えないとなった今、運転再開を認めるのかどうかは重要な政治判断となります。
     そこで、現時点において県として先日中部電力が行った緊急安全対策、そして今後行うとしている計画をどのように評価しているのか、また今後どう対処していくのか。昨日の知事の答弁では「全く認められる状態ではない」とのことですが、その理由、内容等を具体的に教えていただければと思います。
     次に、お茶の放射能問題への対応について伺います。
     県庁一丸となって食の都づくりを進めようという矢先にお茶の放射能汚染が明らかになり私も残念を通り越して憤りを感じており、この点につきまして知事と思いを全く同じくしております。しかし問題発覚後の知事及び県の対応は多くの課題があったのではないでしょうか。それは六月二日に「荒茶の放射能検査はしない」という発言があり、それが先行報道されてしまいました。またその後も「荒茶の放射能は基準値を超えていても飲用時点では大丈夫だ」と発言されたことが、消費者の誤解を生む原因になったことは否めません。これらは、これまで消費者視点で食の都づくりを進めてきたという知事の路線とは異にするものであると感じております。安全かどうかは国がある一定の基準で定めるものですが、安心かどうかを決めるのは消費者であるということを忘れてはなりません。知事のおっしゃる食の都づくりというのは静岡の農水産物に対する消費者の絶対的な安全・安心を築き上げるということと同義語であると私は考えます。この姿勢によって、これまでとかくつくる側の視点だった県政を消費者視線に大きく転換してきた。このことは多くの県民は高く評価をし、私たちも高く評価をしているものであります。しかし今回知事が「荒茶は基準を上回っても飲用にすれば大丈夫だ、国の基準がおかしい」と言い続けたことに私は驚きました。確かにそうかもしれない。しかし知事や県庁が言うべきことではない。まして食の都づくりの旗振り役は絶対に言ってはならない。謙虚に受けとめて、絶対的な安全・安心のために県内の茶葉の総点検、そして疑われたものの早期の回収が先だというふうに思いました。
     知事の思いはよくわかりますし思い余って発言したことであろうと思いますが、残念ながらそうすることが消費者の不安感を高め消費を減らし、ひいては生産者のためにもならないということをぜひ御理解をいただいて、もう一度知事がこれまで進めてこられた食の都づくり、農芸品、こうした消費者視点に立ち戻っていただくことこそ、この地域にとって地域の農林水産業にとってベストの答えだったというふうに考えております。
     そこで、ここでもう一度冷静に対応を見直して食の都づくり以来徹底してきた消費者中心、お客様中心の考え方、供給サイドよりも需要サイドを重視する考え方を再認識して徹底し姿勢を見直すべきだと考えます。こうした食品の危機事案への対応は今回で終わるものではなく、いつO―157に襲われるかわかりませんし、また県内で口蹄疫が発生するかわかりません。今後の対応に生かす意味でも知事はどう認識しておられるのかお伺いをいたします。
     次に、県の今後のエネルギー政策についてのうち、太陽光発電のメリットの生かし方について伺います。
     知事は神奈川県の黒岩知事の呼びかけに応じ、県としてメガソーラーの建設に協力するとの発表がありました。太陽光発電のメリットは幾つかあり、その一つは暑いときに多くの発電をするということからピークカットに効果が高く有効であると考えます。しかし問題は二点あります。まず耕作放棄地にソーラーパネルを設置するということを知事は想定しておられるようですが、ここで太陽光発電のメリットの二つ目は、メンテナンスがほとんど不要で一回設置をすると二十年、三十年、あるいはそれ以上発電し続けるということであります。とすれば耕作放棄地に設置をした場合、二十年、三十年あるいはそれ以上そこは耕作放棄をし続けるということになりますので、したがって食と農の改革に逆行することになってしまうのではないでしょうか。それよりも知恵を生かし食と農の改革を進め、静岡ならではの農産物を生産する土地に変えるということを第一に考えていかなければならないと考えます。したがって耕作放棄地へのソーラー設置については再考いただきたいというふうに考えております。
     それから、中部電力が清水港の用地約十七万平米にメガソーラーを設置するとのことですが、これはもちろん電力会社の総合的な判断であろうと思いますが、ソーラーの特徴やメリットを生かせないと考えております。ソーラーのメリットの三つ目、これは小分けができるということでございます。つまり原発だとか火力発電所、水力発電所は小分けにすることはできません。しかしソーラーの場合は小分けしても大きくしても単位面積当たりの発電量は変わらない。これが三つ目のソーラー発電のメリットであります。したがって各家庭の屋根を初め利用用途のない場所、あるいは形が整っていない場所に設置をできるということがメリットの三つ目であります。これを生かして例えば宮崎県などは使用することがなくなってしまったリニアモーターカーの試験線路の上に細長くソーラーを設置しまして、全部足したらメガというメガソーラーをつくるとのことであります。
     静岡県は道路や鉄道が東西にわたっていると。したがって東名高速の南側の土手あるいは新幹線の土手、あるいは鉄橋の南側の面などが南向きの斜面としてあいております。また河川が南北に流れているということはダムの斜面は南を向いているということであります。さらには海岸線が東西ということであれば堤防は南に向いて設置をされるということでありますので、これらを足してメガという静岡方式のメガソーラーをつくれるのではないでしょうか。こうしたことを踏まえて、今後、太陽光発電を推進するに当たっては、あるいはメガソーラーを建設するに当たっては太陽光発電のメリットを最大限に生かす方向で進めるべきだと考えますが、知事のお考えを伺いたいと思います。
     次に、電力自給率の向上対策について伺います。
     三月十一日の東日本大震災後、東部の五十ヘルツ地域は県民生活、観光、産業などで大きな影響を受けましたが、その原因は計画停電であります。とりわけ東京電力については震災からの復興・復旧がすぐに終わることは考えにくく、東部地域は県民及び経済界が今後常に電力の不安を持ち続けることになります。またもし仮に東海地震あるいは三連動が発生するとすれば現在多くの電気を静岡に送っている愛知県や三重県の発電所も被災する可能性があり、その場合は西部、中部地域の電力が不足します。全国を見ても両周波数の混在地域はあるものの県が五十ヘルツと六十ヘルツで真っ二つになっているのは静岡県だけであります。ですから他県にはない独自の電力面での危機管理、電力危機から県民を守る政策が今後重要であると考えています。
     今現在、浜岡原子力発電所の停止によって静岡県では、消費電力の約一四%しか県内の発電では賄えていないという現状です。そうした中で県として電力会社と協議をし、計画停電の回避を条件として電力自給率を向上させるという政策を進められないでしょうか。県と電力会社がウイン・ウインの関係になるように交渉し、県としては県民と県内企業が最も困難に直面するような計画停電を回避する。で、電力会社は電力の供給を受ける。こうしたことができれば大いに県民生活に貢献できることでしょう。こうしたことを念頭に、県内の食料自給と似た考え方の一つとして電力の自給ということも意識すべきだと考えます。
     当面浜岡原発がとまるとすれば、例えば県として両周波数に対応した火力発電所や水力発電所の建設など他県にはない政策を進める方法があると考えますが、知事の電力自給に対する考え方を伺います。以上で私からの質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 大岡議員の御質問にお答えする前にお昼休みの時間に議長先生と各派の代表の方々がお集まりいただき、この暑い中で服装の自由度を高めるという御決定をいただきまして、行政側、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
     大岡議員にお答えいたします。
     初めに、浜岡原子力発電所の安全対策についてでございます。
     福島第一原子力発電所の事故原因につきましては、まだその全容が解明されておりません。ただこれまで国が明らかにしたところ、また報道等によって明らかなのは、津波の浸入によってすべての交流電源が喪失したと、そして原子炉等の冷却機能が失われたということが報じられているところで私もそのように理解をしております。それを受けまして原子力安全・保安院のほうから各電気事業者に対しまして、全交流電源が喪失した、海水冷却機能がすべて喪失した、使用済み燃料貯蔵プール冷却機能がすべて失われた、こうした状況になっても炉心損傷等が防止できるように緊急安全対策をなさいという指示がございましたのが三月三十日のことでございました。これを受けて中部電力は、それに対する対応をしているということでございます。
     それから、五月五日の原子力安全・保安院、そして経済産業大臣、そして細野首相補佐官による現場視察がございまして津波対策ができていないということを中部電力も認め、かつ視察された方々もそれを確認せられて、その結果、翌日、三、四、五と、すべて停止の要請がなされて、それを中部電力が受けて現在全部が停止して目下津波の対策に全力を投じているというのが現状かと存じます。この津波対策につきましては、それが福島第一原発の事故の最大の原因と目されていることから、その対策がなされていない中部電力が、これに全力を挙げられるということが筋であるということは言うまでもありません。
     しかしながら、今回の福島第一原発の事故原因につきましては、すべてが津波に帰せられるものでもないということがございます。そして地震による議員御指摘のさまざまなパイプが破損いたしますと、これも大事故につながりかねないということでございます。そして浜岡原発では最も最新式の五号機におきまして細管二万本以上ございますけれども、そのうちの数十本が破損し、そこに海水が四百トン余り流入し、その一部が原子炉にまで入ったと。その原因が直径約二十センチの配管の鉄製のふたが何らかの原因で外れて、配管からの噴流により細管が壊れたらしいというような状況でございます。問題は、そうしたことが津波対策が終わった後起こらないかどうかということについてのチェックがいるというふうに存じます。チェックをする機能は、差し当たっては現在、津波対策において対応策が講じられておりますけれども、たくさんあるというふうに考えております。それを本県における防災・原子力学術会議におきましてチェックしていただき我々もそれを確認し、安全であることが地元の方を含めて共有されない限り再開はできないだろうと思います。
     それにまた、仮に事故が起こった場合にそれをどのようにコントロールし復旧するかという、この復旧技術についても不安がございましょう。それは現在百日以上たって、まだ福島原発の事故収拾の見込みがつかないという状況が物語っております。そしてさらに言えば原子力発電のコストが安いと言われていたわけでございますが、今回明らかになったのは既に知られていたこととはいえ使用済み核燃料をどのように処置するかということについてのコストが考慮されていないばかりか、使用済み核燃料をどこに持っていくかということについても明確でないと。つまりリサイクル、リユースということができないような状況でごみを出すと。そのごみの処理が確実になっていない中でそれを進めているということも明らかになりました。さらに言えばコストが安いと言われていたのでございますが、そのコストについてのチェックもしなければならないということが明らかになっております。
     ですから私は、安全性というのは文字どおりのハードの面の安全性、それから今回突然の停止によって二百万キロワット以上が――四号機、五号機分ですけれども――失われるということになった経済的な面での不安を醸成したということがございまして、これがコスト面で全体として見て本当に安全といいますか、安心してこれに頼れるものかどうかということの検証も必要だと思っておりまして、この検証は私は現在明らかになっている事故の現状から引き出された論点をすべて洗い出して、全部それを浜岡原発に適用して、そして百点満点を取らない限り九十九点でもこれを動かすことはできないというのが私の今の認識でございます。
     続きまして、お茶の放射能問題への対応についてでございます。
     本県では南足柄茶におけるキログラム当たり生葉における五百ベクレル以上のセシウムが発見されて、またそれが荒茶になった場合に三千ベクレルを超えるということになり、それを受けて本県としましても全県下で生葉のチェックと、それから飲用茶におけるセシウムの検査をいたしまして、すべてクリアしたと。これは何のためにしたかというと消費者のためにしたのであります。ところが突然六月三日になって、荒茶の検査をするようにという厚労大臣からの指示がありました。その前日まで私はする必要がないと。なぜかというと荒茶というものと飲用茶というものとは違うと。しかも荒茶と番茶、荒茶とてん茶の区別さえ、例えば厚生労働省の安全担当のU部長も知らない、というような方が基準を決めていられるわけです。そうした方の基準設定に乗ってやる必要はないというのが基本的に私の考えでございました。
     ところが、六月三日になりまして厚労大臣の依頼に加えてお茶農家並びに茶商の方々の代表が知事室に来られて、そして私の意見を聞くと同時に消費者の観点から、「荒茶の検査をしないことが、かえって消費者がひょっとすると危ないということがあるから検査をしないのではないかと思われるという懸念が出てきているので、何とか荒茶の検査をしてください」と。それは一人の例外もなかったのです。「消費者の観点から言われるのですか」と。「そうということであれば私は皆さん方と同じく荒茶の検査をする」と。「厚労省からもその依頼が来ているのでやりましょう」ということだったわけです。そして検査を即日からやりました。御承知のように一番茶について、県内十九産地すべてで規制値五百ベクレルを下回りました。自主検査等で一部に上回る茶工場地区もありましたけれども、これも飲用茶にした場合には暫定規制値の準用値二百ベクレルを大幅に下回っていたのは御案内のとおりでございます。
     さらに、二番茶につきましては、荒茶を昨日まで県内十七産地を検査し終えました。あと二地域残っておりますが、その二地域のうちの一つは御殿場ですけれども、これはあまり二番茶をとるというこれまでの習慣がなかったそうで、ひょっとすると二番茶における荒茶の検査をする必要はないかもしれませんけれども、基本的に私どもはまだ摘み取りが終わっていない二地域について検査をする予定でございますが、これまで検査をしたすべてにおきまして暫定規制値の五百ベクレルを下回っており問題はないのです。
     さて、これは一方で五百ベクレルというのがひとり歩きをしたということが明らかになっておりましたので、飲用茶と食用茶の区別を少なくとも量的にした場合に九五%が飲用茶で、いわゆる抹茶であるとか、ふりかけであるとか、そうした口にするものという食用茶というものの割合は五%を切っていると。したがって食用にするものをそのまま九五%のものに当てはめるということは正しくないと思うということを厚労省に申し上げたところ、「今その見直しを行っている」と。農水省に言ったところ、農水大臣は「そのとおりだ」とおっしゃっているわけです。そして原子力安全委員会のほうは、「これを適用しろと言った覚えはない」と言っているんです。今新しい規制値をつくり上げるように助言していると言っているわけです。ですからもともと風評となった原因が五百ベクレルで、それに消費者の方々が不安を覚えられる原因になったということで、ここはたださないといけないと。何のためか。消費者に不安を与えたということのためです。消費者の観点に立ってその経緯と根拠、これをただしていくと。
     ただし、わかっております、ある程度のことは。例えば根拠は足柄茶だけですから……。五百ベクレルが三千ベクレルになったので、五百数十ベクレルが大体五倍になると。たった一つの事例から、生葉から荒茶にすればセシウムがキログラム当たり五倍ぐらいになるというふうなことで言われた。それも根拠はありません。通常はやっぱり複数のものを見てそこから帰納をして、そして一般化して、そしてこれを演繹して、立論して政策を立てるということでございますから。基本的な科学的、つまり帰納をして一般化して、そして演繹をして皆様方に理屈をしっかりと立てていくということの作業が不十分なのです。ですからこれはしっかり攻めます。ただしやはり国がお決めになったことですので、これをやれと言われ、こちらもやらないと消費者に不安を覚えられるということでやりました。その結果自主回収であるとか販売の規制をなさいましたですね。その損害が出ていますから、これはだれのせいですか。それをもたらした原因に対して言ったところ農水省は全面的に協力すると。今回食品安全の担当大臣である細野豪志氏も、この方面において「消費者の側に立って全面的に協力し応援をしたい」というふうに言われておりますので、どうか消費者の方々は御安心いただきたいと。一貫して生産者もまた消費者ですから。ですから生産者か消費者かという二者択一ではありませんで、生産したものは使うためにつくられているわけです。したがってそれを抜きにした生産者だけの擁護というのはありませんで、私はその視点を一度として失ったことはありません。ただもし誤解を与えたとするならば、これは謝らねばならないと。特に二日から三日にかけて劇的な大きな変化がありましたのは、今申しましたような事情によりまして十分な説明がなかったというふうに言われれば、その点は謝らねばなりません。しかしそれが基本的に消費者の立場に立ったものであるということは、ぜひ御理解賜りたいと存じます。
     次に、県のエネルギー政策についてのうち、太陽光発電のメリットの生かし方についてでございます。
     太陽光発電のメリットとしては議員御指摘のように、エネルギー源が無尽蔵で環境にやさしいこと、設置する場所の広さに合わせて自由に規模が決められること、構造的にシンプルで他の発電システムよりメンテナンスが簡単であること、電力消費のピークカット効果が期待できること、一般家庭でも比較的導入しやすく、災害時における非常用電源としても活用できることなどが挙げられるわけでございます。このため私どもは新エネルギーの中でも太陽光発電を重点施策と位置づけまして、住宅用太陽光発電設備の導入を支援する新しい補助制度の創設や、小笠山総合運動公園や県立高等学校などの県有施設への率先導入等を実施することにし、関連予算案を本議会でお諮り申し上げているところでございます。太陽光発電のメリットを生かし農地への復元が困難な耕作放棄地や未利用となっている公有地等への導入を促進しているわけでございます。耕作放棄地は一万二千ヘクタールございます。そのうち実際にもとに戻せるところというのは半分以下です。つまり六千ヘクタール以下なわけです。一方はもうやぶになっているといいますか、実際上、荒蕪地になってそれ自体をすぐに農地に転用するというには相当のインフラ整備が必要であるということが実態なわけです。そうしたところは、しかしながらなぜいわば荒れ放題になっているかといいますと、これは太陽がさんさんと照り雨が降って大地を潤しているからなわけですね。ですからそういうところは使えるわけですね。ですから私どもは、一方で耕作放棄地を、文字どおり大地の恵みを人間の手を加えていただくために、それを解消するいろいろな努力をしておりますし目標値も立てております。それと同時に簡単にできない耕地に変えられないようなところにつきまして、それも相当に広い面積がございますので、これをどうせ太陽がさんさんと当たっているところがもともとの大地の性格でしたので、その特質を生かした太陽光発電をしていこうということです。
     それから、太陽光発電はもちろん蓄電をしなくちゃいけません。同時にそれを送電――必要なところへ送らないといけませんので送電線とのかかわりもございます。そうした中で今議員御指摘のさまざまの場所。実はこれを我々も全県下探しておりまして、太陽光発電において最先進県になろうということで、いわゆる日照時間におきまして四十七都道府県の中で全国六位でございます。そうしたメリットを生かして日出る国、最初に日が当たるのは富士山の頂上ですから、ふじのくには最初に太陽の日を受ける、そういう国柄でもございますので、そこで太陽光発電をするというのは、土地の性格というものを生かすということになります。しかし他の代替エネルギーというものもあわせて活用することを通して本県におけるエネルギーの地産地消、そして分散自立型のエネルギー対策に変えていきたい。その柱に太陽光発電を据えたいというふうに考えております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長のほうから御答弁申し上げます。ありがとうございました。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 防災対策についてのうち、避難地・避難所の住民周知についてお答えをいたします。
     災害時の避難地や避難所につきましては、それを定めている市町が防災マップの配布やホームページ等により住民への周知を図っているところであります。県といたしましては、本年五月から県のホームページにおきまして、地図や衛星写真の表示ソフトを使いまして従来の震度分布や津波浸水域などの項目に加えまして、新たに海抜や避難所、津波避難ビルのわかりやすいデータを掲載しまして周知を図っております。なお避難地につきましても早急に掲載できるよう準備を進めております。このシステムは、平常時には第三次被害想定や防災拠点のデータベースを見える化することで住民が視覚的に把握でき、その意識啓発にも活用できるほか、災害発生時には被害の分布や避難所の開設状況などがリアルタイムで把握できるシステムとなっており、県と市町とが情報を共有化し迅速に応急対策を立案できるようになっております。今後市町においてこのシステムを情報提供に活用していただくことで、地域住民の避難地や避難所などの情報の把握に役立つものと考えております。
     また、各学校では自主防災組織や市町の防災担当課と連携をいたしまして、防災教育推進のための連絡会議を開催しておりますので、県といたしましては市町担当者の積極的な参加を呼びかけるとともに、避難所等の利用方針について十分に事前協議がなされるよう努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 防災対策についてのうち、本県における仮設住宅対策についてお答えいたします。
     東海地震が発生した場合、被災した方が生活の基盤である住宅を確保し生活を再建していくことは震災後の復旧・復興を図っていく上でも大変重要であると認識しております。このため仮設住宅につきましては、平成二十年度から平成二十二年度にかけまして市町と連携して建設地として確保された公有地に迅速に住宅を建設できるよう、敷地ごとに応急仮設住宅建設可能敷地個別台帳を整備いたしました。この台帳は工事計画に相当するものでありまして、建設場所、建設可能戸数、住棟配置図、電気・ガス・上下水道などのライフラインの引き込み方法等、工事に必要な情報が記載されております。建設予定地の状況は道路工事などにより変わることがありますので、毎年度、現地の状況と台帳の記載内容を確認し、必要な仮設住宅が着実に建設されるよう努めているところであります。また台帳整備に際し入居した方がコミュニティーを形成しやすくなるような住棟の配置や集会所の設置、快適に居住できるユニバーサルデザインへの配慮、世帯人数に応じた間取りの確保など、居住環境の向上が図られるよう努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 防災対策についてのうち、災害に強いまちづくりの推進についてお答えいたします。
     災害に強いまちづくりを進めるため県及び市町はこれまで街路、公園、土地区画整理事業などの市街地整備を推進してきたところであり、避難路、避難地の整備や延焼の遮断など地震時の災害に対する安全性は着実に向上してきております。しかしながら今回の大震災を踏まえますと、災害に強いまちづくりを進めるためにはこれまで以上に津波対策の視点を重視する必要があります。このため今後市街地整備を行う際には地域によっては地盤のかさ上げなどを考慮することが必要な場合もあり、その際には議員御指摘のとおり住民への安全に対する一層の意識啓発も必要になると考えております。今後は今国会で成立しました復興基本法や津波対策推進法の趣旨などを踏まえ、災害による被害の危険性を考慮した土地利用や計画的な市街地整備を推進し、より一層災害に強いまちづくりを進めてまいります。
     このため都市計画の検討に当たりまして、住民の皆様と意見交換を行う段階から災害への認識を深めていくよう主体となります市町に対して指導助言を行ってまいります。また想定される災害の程度や都市の成り立ち、現在の土地利用などによって災害に強いまちづくりのあり方は異なってまいります。したがいまして今後の被害想定の見直しや国の動向などを踏まえつつ、地域の個性を生かしたまちづくりに向けて、市町とともに県としても必要な役割を果たしてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 県の今後のエネルギー政策についてのうち、電力自給率の向上対策についてお答えいたします。
     国民生活や経済活動の根幹を支えているエネルギーの安定的な確保につきましては、基本的には国においてその方向性や手法を示し対処していく必要があるものと考えておりますが、各自治体や企業等におきましても、対応できるものから取り組んでいくということは大変重要なことであると考えております。全国有数のものづくり県であります本県が今後も発展していくためには安定的な電力の確保が不可欠であります。このため節電に積極的に取り組んでいくとともに、エネルギーの地産地消を目指し、まずは太陽光発電を初めとする新エネルギーの導入促進を加速し県内の電力自給率を高めてまいります。また火力発電所や水力発電所の建設につきましても電力会社から具体的な要請があれば、地元の意向を踏まえた上で相談に応じてまいりたいと考えております。さらに電力会社及び国、他県との緊密な連携を図るため、中部電力管内の連携ネットワーク体制を構築し電力需給状況に関する情報を共有するとともに広域連携による節電対策等に取り組み、県民生活や企業活動等に影響を及ぼす計画停電などの不測の事態が回避されるよう努めることとしております。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 二十六番 大岡敏孝君。
           (二十六番 大岡敏孝君登壇)(発言する者あり)
    ○二十六番(大岡敏孝君) 一枚ずつ脱いでいこうかなと思っているんですけど……。
     幾つか再質問させていただきます。
     まず、防災対策について住民周知なんですが、例えば公園に出かけているとかあるいは車に乗っている、こういう方々にもちゃんと避難地を指示するような仕組みというのはできるんでしょうか。その点教えてください。
     それから災害に強いまちづくり。森山部長、先ほど私申し上げた、例えばシャドーの都市計画といいますか、地震が来て津波に襲われた後どうするかということを今のうちに考えておけば当然復興が早いと思われますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか教えてください。
     それから、原発の安全対策について、知事に細かく御説明していただきましてありがとうございました。確認なんですが、当然、建屋の安全、津波対策、あわせて知事がおっしゃるのは細かい部品や配管の安全性もすべてチェックする。さらにはコストの再計算もちゃんと確実なものを出させる。さらには使用済み核燃料の処理が確実に行われるかどうかまで担保されない限りは運転は認められないという御理解でよろしいのでしょうか。これは確認させてください。
     それから太陽光発電のメリットの耕作放棄地についてでございますが、知事の思いは大変私もよくわかるんですけれども、これ難しいのが、太陽光に適した土地というのは南側の斜面ですね、南を向いている耕作放棄地というのは何らかの形で耕作が可能だと。恐らく使いものにならないとされているのは北向きであったり低湿地であったりする。そこは今度は太陽光発電に向かないというふうに思いますが、この点について細かい話ですので担当部長で結構ですが答弁をお願いします。
     あわせて先ほど申し上げましたとおり、太陽光発電というのは一回設置すると三十年、四十年発電し続ける。これだけの間耕作放棄地とされる土地を使うというのであれば、もうこれは耕作放棄地ではない。きっちり用途変更して農用地から除外して農地ではない形にしてやるのが、もう二十年、三十年、四十年ですから筋だと思いますが、この点についても担当部長から御答弁いただきたいと思います。
     それから電力自給率の向上対策。大須賀部長から御答弁いただきましたが、まずは太陽光ということですが、残念ながら太陽光では産業需要を満たすことはできないです。何といっても計画停電になって困るのは産業でございますので、この産業県である静岡で事業者にいかに安心を提供するかというのは産業的な安定電力の確保ということが最も必要であると考えますが、経済産業部としてこのことをどのように認識し、どう要請していくお考えなのか、経済産業部長の御認識をお伺いしたいと思います。
     最後にお茶の問題。これはぜひ知事にお話をしたいんですけれども、私も体を張ってこれはおいさめしないといけない。知事の思いは大変よくわかる、大変よくわかるんですけれども、残念ながらお茶の一連の処理をしている間というのは知事はプレーヤーなんですね。プレーヤーである知事がプレー中に「ルールがおかしい」と。確かにおかしいです。ルールがおかしいけれどもプレー中に「ルールがおかしい」と言ってしまうことは、やはりこれは消費者の誤解を招く。プレーヤーですから、プレーが完了するまでは暫定規制値であろうと何だろうと、とにかくこのルールに従ってプレーが完了するまでやる。その後試合が終了してから「このルールについては疑念がある」とおっしゃるのが、私の知っている知事でもあり期待をしている知事でもあり、まあ相当むかついたんだろうというふうにお察しはいたしますが、そうであってほしかったと願っております。
     さらに申し上げれば、あの問題が出たときに知事は全面出荷停止にすると思いました、お茶を。こんな疑念を持たれたものを食の都である静岡県、まして四〇%のシェアを持つトップ企業ともいえる静岡県がお客様の口に与えるわけにはいかない。まして静岡県の茶農家の皆さんは誇りを持っている。そんなものを消費者に提供するわけにいかないと皆さん思っている。したがって一たん全量停止にして徹底して検査をさせてもらうと。そのかわり国は責任とれよというぐらいのことを私はおっしゃっていただきたかったなというふうに思っておりますし、それが川勝知事らしいおもてなしの気持ち、茶の文化を大切にする。さすがに五百ベクレルの抹茶をお客さまに呈しておもてなしをするわけにいかないということもございますので、私としましてはせっかく食の都づくり、農芸品、私はこれらの発想というのは、本当にこれまでの考え方を百八十度転換させた大きな革命だったと思っています。やっぱりその路線でもって進めていただきたかったし、今後もそうしていただきたいと。まだプレー続行中でございます。これは当然まだプレー中でございますのでルールに関することは一連の処理が終わったら、これはきっちり片をつけていただいてですね、まずは今回の検査、消費者の安全の確保、信頼の確保、さらには生産者に対する確実な補償ということに全力を挙げていただきたいと思いますが、これについてはぜひ知事のほうから御答弁いただきたいと思います。
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 大岡議員の再質問のうち、まず原発についてですけれども、原発を持っている電力会社は沖縄を除きましてすべてでございます。そうした中で全面停止ということを決めたのは中部電力だけでございます。これは安全性をしっかりとチェックするためだということで、大変良心的な御決定であったと思っておりまして、経営陣に対して評価をしているわけです。しかし一方で、それ以前に保安院のチェックというものを終えていたんですね、三号機について。これに対する不信でもあったと。結果的に現在、原子力安全委員会、それから原子力安全・保安院、この二重のチェックがあるわけですが、そして実質上それをチェックしているのは例えば福島県の場合ですと東電と。今回の事故の処理に当たっているのも東電自体ということになっておりまして、チェックをする機関の中立性並びに能力というものも問われているというふうに思っています。そうしたことをすべて問い直せる機会を得たというふうに思っておりまして、中部電力を一つの事例といたしまして、原子力発電について日本の英知を結集して、ここで全部それを洗い出してみるという決意をしております。
     私は、他の知事さんが五月六日の内閣における中電全号停止というときに至るまで、国がどうするかということだけを見ておられたという印象を強くしております。つまり自分でしっかりとお決めになっていない。私は実はもう三月の下旬には、これは三号機において動かすことは到底できないという判断をしていました。三月十日以前は原子力発電に対する安全性を信じていましたので、擁護する立場で、しかも東日本の電力不足を補うために三号機を動かしてはどうかということすら……。それのベースになっているのは原子力圧力容器、あるいは格納容器は破損していないという、そういう保安院の、あるいは東電の御報告を受けながらでございましたけれども、しかし二十日を過ぎていきますと、どうも怪しいというような兆候が放射能漏れの兆候が明らかに出てまいりまして、これはおかしいということで、三月の下旬にはもう放射能漏れあるいは格納容器や圧力容器の破損というものが起こり得ると。二千八百度ですべて溶かしますから。結果的にはメルトダウンどころか、メルトスルーの可能性もある、最悪の事態であったということです。
     そうしたことが想定になった以上もう動かせないとは決めておりました。固く決めておったわけです。四号機、五号機も似た運命をたどるというふうには見ておりましたが、いずれにしましても今全部とまりましたので、この機会に洗いざらい見直してみると。もう既に多くの証言が出ております。そうした資料を収集しておりまして、これまでチェックに当たってこられた方々の反省の弁や、現在、班目委員長すらがこれは人災であると。しかもその人災の原因を東電に帰されています。そうしたことも含め、また事故対応ができないというその能力のレベルも含めて、これはチェックをしないことには、本当に後世に禍根を残すと思っておりまして、これを機会に――今は安全なんです、とまっていますから、どの地域よりも安全です――この機会にそれを徹底して調べ上げるというつもりでおります。
     お茶に関しましては、これは経緯がございます。六月二日にいわゆる荒茶の検査をしなさいという内閣総理大臣の御決定がされる前は、実際はその検査をしないで済むという流れだったのです。それはなぜかというと、農水省と厚労省で激論があって実際一日時点で農水省の意見が通って、そして実際は改めて検査は飲用茶にかかわらないので必要ないというようになるはずだった。ところが突然の総理大臣の一言でひっくり返りまして、そして検査になったわけです。私はそれ以前からこの荒茶の検査についての不分明性と、それから混乱を招くであろう予想される事態を想定しておりましたので、基本的に反対だったわけですね。それはもちろん、食の都とかあるいは消費者を考えてのことだったわけでございます。先ほど三日以降のことにつきましては申し上げたとおりでございまして、にもかかわらず全面出荷停止というふうに言うには、これはフランスで検査されたという、まだ届いておりませんけれども、検体は。一千ベクレル前後のもの。これすら本県に同一の検体がございますから、それで見れば十二ベクレルになるわけです、飲用茶になれば。それは飲用茶にしたときには安心で、そうしたものをばりばり食べる人はいませんから。食べた場合にどれぐらい食べれば人体に影響があるかということについて、これはだれも知らないんです。知っている人で非公式ですけれども、こんなものはまずお茶をレタスのようにばりばり食べるわけではないので健康に被害があり得ないということでございます。五百ベクレル以上になると危ないというふうに思わせた、その原因と思っているからしたがって自主回収しろと。しかし思わせている原因について相当に厳しい判断を持っていた以上、それを一番厳しい全面出荷停止というふうなことは到底できるものではなかったと思います。これは自主回収。しかし実質自主回収といっても、こちらから御指示申し上げておりますので、生産者の方々、あるいはそのお茶を楽しみにされていた消費者の方々に対しては本当に御迷惑をかけたと思っておりまして、これはその迷惑をかけた分だけ弁償をしていただくというそういう今動きでやっております。
     思いは一緒ですが、少しやり方において誤解を生むようなことがあったとすればこれは私のひとつの不十分だったところで、これは申しわけありません。これから気をつけたいと存じます。ありがとうございました。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 避難地・避難所の住民周知の再質問についてお答えいたします。
     車利用者など移動中の者への周知方策はどうするのかというお答えですが、実は私も六月の初めころ東部から西部にかけて津波対策の視察に行ったときに気づいたことは、やはり津波の到達が予想される沿岸地域において標高の表示とか避難ビルの表示、それとか避難階段の表示、そういったものがあるにはあるんですが、非常にわかりづらいということを強く感じましたので、今回五月の補正予算でもお願いしましたけれども、そういう中でそういった対策を講じていくということになっておりますので、ぜひもっと大きなわかりやすい看板を設置することによって周知できるような方法を一つは講じていきたいと。
     それからもう一つは、現在開発を進めているデータベースを中心としたシステムがありますので、その中で県民などへの情報提供の一部として、例えばカーナビとか携帯などに避難地、避難所、それから避難ビルとかの情報が提供できないかどうか、そういった方法についてもぜひ研究をしてまいりたい。そういうつもりでいます。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 大岡議員のシャドー都市計画に関する再質問について、お答えいたします。
     現在は、津波が来た場合にどうしようかということで、被災に遭わないためのハード整備をするとともに、またもし来た場合に、どういうふうに逃げるかという、そういったソフト的な面も各市町一生懸命対応しているわけでございます。しっかりそういった被災に遭わないようなまちづくりが今できているか、それは津波に限らず例えば地震があった場合の火事の問題とか延焼の問題とか、そういったことを改めて県を含め、また市町も見直ししているというような状況であるかと思います。
     そういう中で議員御指摘のとおり、あってほしくないんですけれども、もし被災に遭った場合にその復興を速やかにやるということも、十分まちづくりの上では重要なことだというふうに考えてございます。その際にはまちがどういうふうにできてきているのか、現在の土地利用がどうなのかということを踏まえながら、また一方地震ですとか津波がどういうふうな規模でどういうふうに起こり得るか、そういったことも十分想定を踏まえて考えてございます。
     このため、現在市町とともに、今後地域の特性を踏まえた整備の方法を議論する中で議員御指摘のこともどんなことが準備できるか、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 耕作放棄地への太陽光発電の導入に関してでありますけれども、耕作放棄の期間が大変長くなりますと、南向きの日当たりのよいところでも樹木が大きくなりまして大変根を張って、それを取り除くには大変な土木工事も必要になるということもありまして、そういったところはなかなか農地に復元するのは困難というようなところもありますので、そういったところの活用というのは十分考えられるというふうに考えております。
     なお、それを農地から外すということについては農地法との絡みがありますので、後ほど担当部局ともよく検討しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 耕作放棄地と太陽光発電の関係について、経済産業部のほうからお答えいたします。
     耕作放棄地につきましては、多様な形態の耕作放棄地があるということで太陽光発電をやるといたしましても、例えば県の場合施設園芸が非常に盛んでございます。施設園芸の温室のそばに耕作放棄地があれば施設園芸のために太陽光のエネルギーを使って、今まで重油で温室を暖めていたかわりに太陽光を使うというそういう耕作放棄地の形態もございますし、あるいはくらし・環境部長がおっしゃいましたように、もう完全に農地になかなか復元できにくいというところにつきましては面積にもよりますけれども、その面積に応じた形で新しいエネルギーのための太陽光発電を設置するということも考えています。
     そういった意味で耕作放棄地につきましても、原則的には私は農地に――本来は耕作できる形にするというのが基本だと思いますけれども、いろんな耕作放棄地の形態を見た中であるいは面積の大きさもあります。そういうものを具体的にいろいろ調査しながら新しいエネルギーへの導入との関係も考えてまいりたいというふうに思っております。
     それから二つ目の電力の安定的な供給と企業側からの考えでございます。
     企業側の立場からいたしますれば、安定的な電力需給というのはやっぱり原則であるというふうに考えております。しかしながら今こういった時期になっておりますので、企業側でも今までの生産形態そのものがいいかどうかということも含めまして、製造過程について見直す一つの大きな転機であるというふうにも考えております。そういった意味で計画停電というような形で一律にカットされるというやり方は私はどうかと思いますけれども、ある一定の対応をしながら節電をするという方法につきましては、当然こういう状況を考えた中では企業側もそれに対していろんな工夫をしなければいけない状況にあるというふうに考えております。その中で、例えばある自動車メーカーは土日出勤するというような形になっておりますけれども、そうしたときには、いろんな意味で保育面の問題とか社員の方のいろんな問題がありますので、そういった面につきましては県なり市町村が中心になりまして、そういったところに対して対応するということによりまして、こうした時期を乗り切るということが大切であるというふうに考えております。以上でございます。
    ○議長(植田 徹君) 大岡敏孝君。
           (二十六番 大岡敏孝君登壇)  
    ○二十六番(大岡敏孝君) 御答弁ありがとうございました。二点再質問させてください。
     まず先ほど申し上げた耕作放棄地への太陽光発電設置なんですが、私が申し上げているのはもう二十年、三十年設置するんだったら農用地から除外すべきではないかという点でございますので、それについてお答えいただきたいと思います。
     それから先ほど部長からお話しいただいた製造過程の見直し等ということなんですが、これあくまで節電の話でありまして計画停電になってしまうと、もうそういう話ではなくなるんですね。したがって先ほど大須賀部長の答弁にあった、まずは太陽光と。その程度でいいと考えておられるのか、それとも不十分だと考えておられるのか。もう計画停電そのものを回避しないといけない。これは静岡だけでできる話じゃなくて中部電力あるいは東電管内全域の話なものですから、その辺で御答弁いただきたいと思います。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇) 
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 農地法の関係の再々質問について、農地法を担当している交通基盤部のほうで答弁させていただきます。
     どれぐらいの年月違う目的に使うかというようなことは、個別に案件を見ながら、これが五年の場合どうか、二十年の場合どうか、三十年の場合どうか、そういう土地利用の永続性等を見ながら、現在の農地法の趣旨を踏まえながら、適切にかつ柔軟に対応をさせていく方向でいきたいというふうに考えてございます。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 電力需要の全体の話でございますけれども、節電といいますか、もともと節電という概念もありますけれども、電力需給の問題につきましては供給する側の電力会社が、どういう形で、またどれくらいの期間で火力発電等代替の施設を復旧するかということにかかっておりますし、今の中部電力におきましては電力需要は今のところはイーブンになっていると、東京電力は一五%となってございますので、そういったところがどのくらい続くかということもございますけれども、基本的にはその中でどういう工夫を企業側がしていくかということがまず必要でありまして、計画停電という形で一定の時間を決めて電力を切られるというようなやり方ですと、先だっての伊豆地域、それから県内の東部地域で大きな混乱が起きましたような形で、私も企業を回りましたところああいう形の計画停電というのは非常に困ると、そうでなくて一定の企業の性格、例えば製薬会社ですとか、そういった企業ごとにいろんなことを事前に御相談をいただければ、企業側としても輪番制とかいろんな形で対応ができるという話を私、聞いておりまして、それにつきましては国のほうにも申し入れを行いました。今回の東京電力の節電一五%一律カットにつきましても、例えば製薬メーカーにつきましては昨年と同様の電力を確保できるというようなことができましたので、きめ細かい、電力会社とそれぞれの企業がきっちりどういう形で電力需給がどうなっていくかというのを見ながら対応すれば、私はこの事態は切り抜けていけるのではないかというふうに考えております。

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