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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会

中谷 多加二 議員(自民改革会議)の 一般質問 に対する答弁

(質問日:07/21/2017番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答えいたします。
 森林資源の循環利用についてであります。
 もう今は遠い昔になったようにも思いますけれども、昭和二十五年春、天竜に元気な男の子が生まれました。この子は足柄山の金太郎よりももっと元気になるだろうという期待を持って生まれた子が二歳になったとき、昭和二十七年、戦争により荒廃した森林を復興するために天皇陛下が静岡県下に行幸あそばされまして、第三回全国植樹祭が開催されたのでございます。このとき先人たちが県内各地にお植えになった苗木は今、六十年余りを経て立派な森林となりまして木材資源として十分に成熟しております。こうした恵みを最大限に生かし次世代に引き継いでいくには、議員御指摘のとおり切って植えて育てるという森林資源の循環の輪を構築することが重要であります。
 本県におきまして、この循環の輪を構築していくには杉、ヒノキ人工林における年間の成長量から見まして、五十万立方メートルの丸太生産が適正であると考えます。このことからこの五十万立方メートルを目標とした安定生産と需要を実現させる施策を進めているところであります。需要につきましては関係者の御協力によりほぼめどが立ちました。一方生産におきましては議員御指摘のとおり偏った林齢構成の平準化を進めなければなりません。主伐、間伐のうち、これまでの利用間伐からより生産性の高い主伐、再造林による木材生産へ転換していくことが必要であります。今後主伐を主体とした木材生産を進めるには、林業関係者の主伐への意欲が高まる環境と再造林に必要なすぐれた苗木の確保が不可欠であります。
 そこで、林道や作業道などの基盤整備を進めることにより主伐の生産性をさらに向上させ収益性を高めてまいります。また再造林に必要なすぐれた苗木を確保するために森林・林業研究センターが選抜した、成長が早く伐採までの期間を三分の二に短縮でき育林コストの低いエリートツリー品種の実用化を進めております。この品種の数は六品種ございますけれども、国の研究機関以外では全国初のものであります。このエリートツリー品種の安定供給体制を早急につくり上げてまいります。
 県といたしましては、これまでの取り組みに加え東京オリンピック・パラリンピック関連施設での木材利用を契機とした新たな需要を確実につかむことにより森林資源の循環利用の流れを構築し、経済、社会、環境が調和した世界に誇れるもりの都づくりを実現してまいる決意であります。
 次に、過疎地域の活性化に向けた取り組みについてであります。
 過疎地域、これは四季折々に変化する美しい自然、景観、地域固有の歴史、文化を有し水源の涵養や県土の保全など公益的機能を担う重要な役割を果たしております。一方過疎地域は若者を中心とした人口流出や高齢化が加速し、雇用の場も減少するといった深刻な課題に直面しております。
 県はこれまで、過疎地域自立促進計画に基づきまして市町とともに都市と過疎地域がともに支える地域づくりを目指し社会基盤整備や産業の担い手確保等の施策を総合的に進めてまいりました。一方本格的な人口減少社会への突入、ヒト・モノ・カネが東京圏に一極集中する中、課題解決には関係者が知恵や各種の施策を結集して取り組んでいく必要がございます。
 このような中、三遠南信自動車道などの交通ネットワークの整備の進展、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催、二〇一九年を目途といたしますJR六社による静岡デスティネーションキャンペーンの展開など民間の投資意欲が喚起される環境が県内に整いつつありまして、これを地域活性化の大きなチャンスと捉えております。今回の条例案はこうした状況を踏まえまして県の事業税や不動産取得税等の特例制度を創設し、国の法人税や市町の固定資産税の特例制度との一体的運用により過疎地域における旅館業や製造業、農林水産物販売業等の活性化並びに雇用の創出、ひいては人口流出の抑制を図るものでございます。積極的な活用を促しまして制度の効果が発現されるよう商工団体や金融機関など関係者に広く周知することとしております。
 また、県産品の販路開拓、六次産業化の支援といった施策を今展開しておりますが、一方でいい動きもございます。川根本町におきまして世界的IT企業のサテライトオフィスの設置がなされました。またきょうの新聞にも紹介されておりましたが、伊豆地域に豪華観光列車が運行されます。こうした新しい動きがございますので、これらを地域活性化の推進力として取り込み過疎地域に住む方々の住み続けたいとの思いを実現し、一方で都市部に住む方々からは住んでみたいと憧れられるように施策を進めてまいります。県としましては、過疎地域における産業の創出や地域のブランド力を強化し新たな価値の創造と発信に努めなければならないと思っております。
 これまでの価値は都市に置かれていたのではないでしょうか。近代日本の発展の先にあるのは都市であるというふうに思われてきました。私はこの前提が今見直されなければならないと思っております。本来、明治の元勲たちが二年余りをかけましてイギリス、ヨーロッパをめぐったわけでございますが、特に当時の最先進国であったイギリスにおきまして、マンチェスターやロンドンにおける煙をもうもうと上げる工業地帯こそが発展のシンボルであるというふうに即断したわけです。しかしそこで働いている人たちにとっては、そこで産をなした後農村地帯に戻ってそこで緑に囲まれきれいな自然に恵まれた中で生活をする、そのことを目的のために都市で働いたということでございます。
 そうした中で今、東京都も私どもが青年時代には文字どおりビルディングフォレスト、それ自体でございましたけれども、丸の内をごらんになりましても緑が極めて豊かになってまいりました。また都市における山村留学という、そういう動きも出てまいりました。これは都市化からいわばその反対、どういうふうに言ったらいいのかわかりませんが、農芸化といいますか緑への回帰が起こっているというふうに思っております。こうした動きは新しい価値をはらんでいると思っておりまして、そうした農芸化あるいは緑に手入れをしていながらそこで生きている、そのような地域がまさに天竜であり、あるいは静岡県下さまざまに今、カモシカとともに生活をしていると言うとちょっと語弊がありますが、そうした野趣あふれる生活景観ではないかと思います。我々は動物ともすみ分けをしなければなりませんけれども、こうした自然界と接触できるというのはやはり静岡県はぜいたくな環境に恵まれているという見方もとることが大事かと存じます。
 これからは、市町や民間と連携してこうした新しい価値の創造と発信に取り組み地域の人口減少に少しでも歯どめをかけるとともに、東京は決して人生のついの住みかになるところではないといったようなPRもいたしまして交流人口の拡大も図り、過疎地域の自立促進に全力で取り組んでまいります。
 姿勢は仏の川勝です。では仏の川勝の前は何であったのかと。仏の前にある境遇は菩薩というそうです。菩薩より低い境遇は修羅、それより低いのが畜生、さらに一番低いところにあるのは餓鬼と、さすがに餓鬼とか畜生からは卒業していたと存じますが、賢治は「春と修羅」の中で俺は一人の修羅なのだと言っております。しかしそれを恥じていたのでしょう。何としてでも人のために働きたいというその思いが、人のために書いたのではなくて死の床にいながら書きつづった、後に黒い手帳と言われるものの中にあの「雨ニモマケズ」の詩が書かれていたわけでございます。それは菩薩の生き方ではなかったかと思います。
 しかし私は、さらにその上があると。つまり仏だと。仏になることは死ぬことかとも思いますけれども生き仏という言葉もございますので、何とか少なくとも修羅の身から菩薩の行、菩薩の道というものを常にこの詩に感化されながら県政のために向こう四年間尽くしてまいりたいと存じます。
 最後に、励ましの言葉をいただきましてまことにありがとうございました。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

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メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp