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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

東堂 陽一 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/01/2014

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 来年度の財政運営について  
(1) 当初予算の編成方針  
(2) 核燃料税の更新  
2 再生可能エネルギーの導入について  
3 産業成長戦略の推進について  
4 茶業の振興について  
5 富士山の後世への継承について  
 世界遺産富士山基本条例の制定  
6 富士山静岡空港について  
(1) 利便性の向上策  
  ア 二次交通改善に向けた取り組み  
  イ 運用時間延長に向けた取り組み  
(2) 空港周辺地域の振興策  
7 危機管理について  
(1) 原子力防災訓練  
(2) 市町の避難勧告等  
8 健康福祉行政について  
(1) 地域医療介護総合確保基金  
(2) 危険ドラッグ対策の強化  
(3) 子ども・子育て支援新制度  
9 リニア中央新幹線の建設への対応について  
10 教育行政について  
(1) 静岡式三十五人学級編制の評価と対応  
(2) 児童生徒の歯の健康


○議長(多家一彦君) 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、二十番 東堂陽一君。
       (二十番 東堂陽一君登壇 拍手)
○二十番(東堂陽一君) 衆議院選挙の公示をあすに控え、一層慌ただしい師走を迎えることになりましたが、本日は落ちついて県政についての質問をしたいと思います。
 質問の前に、先月二十二日に発生した長野県北部の地震により被災されました皆様に対してお見舞いを申し上げます。またその前の十月六日には台風十八号に伴う豪雨が県内各地に大きな被害をもたらしました。被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
 それでは私は、自民改革会議を代表して当面する県政の諸課題に対し知事、関係部局長、教育長並びに警察本部長に一括質問方式でお尋ねいたします。
 初めに、来年度の財政運営についてのうち、当初予算の編成方針について伺います。
 県は、来年度の当初予算編成に向けて去る十月十七日、後期アクションプランの着実な推進と健全財政の堅持を基本方針とする編成要領を各部局に通知しました。これによれば、来年度の財源不足額三百四十億円に対応するため部局調整案の提出段階における事業見直しの目標値を五%削減に設定しております。これは昨年度の目標値七%削減と比べますと二%緩やかなものとなっています。また後期アクションプランの着実な推進を図るため、ふじのくにづくりの総仕上げに向けた重点取り組みに関する新規、拡充事業については特別枠を設定しており、各部局は該当する事業について所要額で提出することが可能となっています。
 私は、この編成要領には山積する県政の課題、すなわち地震・津波などの危機管理対策や県土の強靱化、新しい成長分野に挑戦する企業への支援等を初めとする地方経済の再生対策、人口減少に歯どめをかける子育て支援の充実、将来の静岡県を支える子供の学力の向上などに積極的に取り組む県の姿勢があらわれているものと受けとめています。
 また、県政の最大の課題とも言える人口減少問題の克服と地域活性化については、国も地方創生を旗印として、まち・ひと・しごと創生法をさきの国会で可決いたしました。現在、省庁間で施策の調整が進められているほか、予算面では地方が自由に使える新しい交付金制度の創設も検討されています。こうした国の施策も積極的に取り込みながら、今後具体的な事業が予算として形となることを大いに期待しているところであります。
 一方で、本県を取り巻く景気の動向や国の予算編成の見通しは不透明な部分もあります。内閣府が去る十一月十七日に公表した七月から九月の国内総生産の速報値では、実質で前期比〇・四%減、年率換算で一・六%の減となり来年十月に予定されていた消費税率の一〇%への再引き上げも平成二十九年四月に先送りとなりました。さらに円安が進み中小企業の経営を圧迫することも懸念されるなど今後の景気動向は決して楽観視することはできません。
 また、今後の地方財政を見通しますと、政府の骨太の方針においてはリーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めていくとされており、いわゆる地方交付税の別枠加算の廃止など地方にとって厳しい方針も予想されるなど年末の地方財政対策の動向を注視していく必要があります。しかしながらこうした厳しい見通しが想定される中においても、私は来年度の当初予算編成では県政の喫緊の課題に対して積極果敢にチャレンジしていく姿勢が求められていると考えています。
 そこで、来年度の当初予算編成に当たり本県の財政状況についてどのように認識し、今後どのような方針で取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 次に、核燃料税の更新について伺います。
 去る九月定例会において知事から、本年度末で課税期間が終了する核燃料税について課税方式については新たに出力割を導入し、税率については適切な水準に引き上げる方向で検討していくとの答弁があり、今定例会では次の課税期間を五年間、税率を一三%から価額割に換算して一七%に引き上げる条例案が提出されております。
 原子力発電所は、稼働しているかどうかにかかわらず使用済み核燃料を保管している以上、県及び周辺自治体は住民の安全を守るための対策を施す必要があります。これまで核燃料税は燃料の挿入を前提とした価額割による課税方式をとってきたことから、点検期間の長期化や現在のように停止した状態では課税が困難なため税収が入ってこない一方で、安全対策などに係る財政需要は毎年度生じており安定的な財源の確保が課題でありました。今回価額割に加え出力割を課税方式に採用することにより安定的な税収が見込まれることは、事業を行う上で一助となるものであります。周辺地域の住民の方々の安全・安心の確保は最重要な課題であります。
 そこで、今回の核燃料税の更新により今後五年間の税収をどの程度見込んでいるのか、また安全対策など、どのような事業を実施する予定であるのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーの導入について伺います。
 国は、再生可能エネルギーの導入促進を目的として平成二十四年七月、固定価格買い取り制度を創設いたしました。このことにより太陽光を中心として再生可能エネルギー発電設備の電力系統への接続申し込みが急速に増加し、再生可能エネルギーの導入が進みました。平成二十六年七月末現在で全国で七千二百二十一万キロワットもの再生可能エネルギーが認定されております。
 しかしながら、この急速な接続申し込みの増加などにより昨今、一部の電力会社において系統設備の容量や電力会社管内全体の需給調整力の限界等から再生可能エネルギーの発電設備をこれ以上受け入れることが困難であるとして、接続申し込みへの回答を保留するといった事態が発生しております。静岡県内でもこのような事態が起こらないか心配なところであります。こうした状況は再生可能エネルギー発電設備の設置を進めている事業者にとって今後の事業計画を見通すことが難しくなり、高まりを見せていた再生可能エネルギー普及拡大の機運の勢いを失うことにつながりかねません。
 そこで、総合計画後期アクションプランにおける重点取り組みの一つにエネルギーの地産地消を掲げる本県にあって、こうした系統接続問題が取り沙汰される中、再生可能エネルギーの導入に対する姿勢を伺います。
 次に、産業成長戦略の推進について伺います。
 我が国の景気は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減などで生産の回復がおくれていることが懸念されるところであります。一方、本県においては、個人消費や生産面など一部にやや弱めの動きが見られるものの基調としての底がたさを維持しており、引き続き緩やかに回復しつつあるとされておりますが、有効求人倍率が二十八カ月連続で全国値を下回り、直近の公表でようやく全国値に並ぶなど本県経済の回復度合いにはいまだ力強さが感じられません。
 こうした中で、本県経済を本格的な回復軌道に乗せ持続的に発展させていくため、本年三月に立ち上げた静岡県産業成長戦略会議において官民が一体となった成長戦略の検討が進められています。去る十一月十二日に開催された第四回会議においては四つの戦略から成る成長戦略案が取りまとめられ、本県産業の再生と活性化、次世代産業の創出に向けて一定の方向性が示されたところであります。
 本県経済の力強い回復のためには、この成長戦略のもとで産業界と金融界、行政が一体となって行動に移していくことが何より重要であると考えますが、知事はそれぞれの戦略について今度どのように取り組んでいくつもりなのか所見を伺います。
 また、特に次世代産業の創出を加速化するためには従来の枠にとらわれない思い切った施策が必要であります。地域企業を支援するための新たな組織も検討されているようでありますが、具体的にどのようなことを考えているのかあわせて伺います。
 次に、茶業の振興について伺います。
 本県の特産品であるお茶は、和食など食事に欠かせないものであり、心身をリラックスさせる効果のほか、お客様に対するおもてなしの心を伝える飲み物として私たちの生活に潤いを与えてくれます。
 しかしながらお茶の消費の状況を見ますと、総務省の家計調査では一人当たりの緑茶の購入量は過去十年間で二〇%程度低下しています。これは消費者の生活様式の変化、嗜好の多様化などが考えられ、年齢が若くなるほど消費が少ない傾向にあります。また新茶や贈答における需要の減少もあり、消費が伸びないことから茶価も低く生産者にとっては大変厳しい状況が続いています。
 これを打破するためには、まず消費拡大策を進めていかなければなりません。若い人たちもペットボトルのお茶はよく飲みますので、お茶の魅力をもっとPRしお茶を楽しむ生活を提案していく必要があります。人気商品の販売手法の検証なども有効かもしれません。また本県からのお茶の売り込み、情報発信だけでなく、お茶に関するすぐれた資源が産業、文化、学術など多くの分野にわたり数多くある静岡に来ていただくこともこれからは重要になると思われます。
 お茶は味、香り、色を楽しむのはもちろんですが、数多くの機能性、効用もあります。最近の科学技術や医学の進歩によってこれらの秘密が一つ一つ解き明かされつつありますが、これまでにがん予防、肥満予防、認知症予防などが報告されており、これらを積極的にPRするのが最も有効だと考えます。
 先日の新聞報道によれば、ふじのくに茶の都しずおか推進会議において島田市お茶の郷を茶の都の拠点として活用していく提案がなされたとのことですが、県はこの拠点の活用を含め、消費拡大に向け、どのように取り組み茶業の振興を図っていくのか伺います。
 次に、富士山の後世への継承についてのうち、世界遺産富士山基本条例の制定について伺います。
 富士山の世界文化遺産への登録を契機として、我々日本人はその顕著な普遍的価値を人類共通の財産として後世に継承していくことを世界に対して約束いたしました。しかし信仰の対象であり芸術の源泉でもある富士山の存在が世界中から注目される中、国内外の多くの方が日本の象徴である富士山を目指して来訪し観光の振興や交流人口の増大が期待される一方で、富士山域を初めとする構成資産への負荷が懸念されるなど依然として諸課題が山積している状況にあります。
 世界遺産登録とともに、我が国は平成二十八年二月一日までにユネスコ世界遺産センターに対し保全状況報告書を提出するよう要請されているところであり、その提出期限もあと一年ほどに迫る中で、富士山の適切な保全に当たっては行政だけでなく地元住民を初めとする多くの方々の理解と協力のもと、関係者が一体となって取り組みを進めていくことが不可欠であります。
 このような中、知事は本年九月定例会において、富士山の保全に向けた基本条例を定めることが効果的であるとの答弁をされ、さらに今議会の知事提案説明におきまして、平成二十七年二月定例会に議案を諮りたいとの意向を示されたところであります。先月二十八日からはパブリックコメント手続において条例案の骨子を公開し広く県民から意見聴取を行っていると承知しておりますが、この条例案の骨子に示されている基本的理念や基本的施策がどのような考えに基づき定められたものであるのか、知事の所見を伺います。
 次に、富士山静岡空港についての利便性の向上策のうち、二次交通改善に向けた取り組みについて伺います。
 富士山静岡空港にとって、後期アクションプランにおいて掲げた年間利用者数七十万人の達成には、路線・便数の拡大や利用促進のための利便性向上を高める施策の推進が不可欠でありますが、空港の運用時間を延長するなどの取り組みのほか、空港と鉄道駅等とのアクセスをより利用者の立場に沿ったものに改善していくことが重要であると考えます。先般、空港と県内各地の交通アクセスの改善に向けて設置した有識者会議の座長から一定の改善の方向性についてまとめられた報告書が知事に提出されましたが、その中においては航空機の到着のおくれにも対応できる静岡駅とのバス運行や県西部地域へのアクセス改善などを検討するよう提言されております。
 空港の利用者を増大させるためには、県内において利用が顕著な県中部地域のさらなる需要拡大を目指すことに加え、相対的に利用が低いと言われている西部地域や東部地域の利用客を取り込むことが必要であります。現在、これらの地域へ直接アクセスできる公共交通手段がない状況であり、とりわけ人口や産業が集積しているにもかかわらず空港利用者の多くがセントレアに流れている西部地域の需要をいかに取り込むかが特に重要であると考えます。
 知事は、今回示された改善の方向性についてなるべく早期に実現したいとのことであり、今議会に上程されている補正予算案に二次交通改善に向けた経費を盛り込んでいますが、検討会議が示した提言に対し今後どのように取り組んでいくつもりなのか伺います。
 次に、運用時間延長に向けた取り組みについて伺います。
 富士山静岡空港における現在の運用時間は朝七時半から夜八時半までの十三時間運用ですが、航空機の効率的な運航を行う航空会社にとって富士山静岡空港に早々と夜間駐機することは難しいと聞いています。その結果、富士山静岡空港から朝早く目的地に向かって出発するという県民にとって利便性の高い魅力のあるダイヤが限られており、せっかく一度利用された方がリピーターにつながらず中部国際空港や羽田空港等に県民の利用が流れることがあるなど富士山静岡空港の魅力が十分に生かされていない気がします。
 統計においてもそれを裏づけるように、静岡県と北海道、九州、沖縄など国内遠隔地との交流が多いにもかかわらず、静岡県民の国内線航空旅客流動数に対する富士山静岡空港の利用者数は四分の一程度にとどまっています。このことは必ずしも運用時間だけの問題ではないと考えますが、大きな一因となっているのではないでしょうか。
 県ではこの状況を改善すべく、既に地元住民の説明会を順次開催するなどさらなる運用時間の延長に向けて取り組んでいると聞いていますが、その取り組み状況と今後の見通しについて伺います。
 次に、空港周辺地域の振興策について伺います。
 空港の建設に伴う生活環境等への影響を考慮し周辺地域の振興と生活の安定を図るため、毎年地元市町が行う道路・河川整備を初め集会所や公園の整備などの幅広い事業に活用されてきた隣接地域振興事業費補助金制度が今年度末で期限を迎えようとしています。この制度は平成七年度の創設以来、地域の発展に役立ってきましたが、各自治体の財政状況や整備計画の変更などにより、静岡県空港建設基金に造成した百億円の助成枠に対して今年度末で三十三億円余の残額が見込まれており、地元市町及び地元空港関係団体からは昨年、事業継続への強い要望があったと聞いています。
 県ではこれを受けて、地元住民の意見や地元市町の意向を聞きながらこの助成制度のあり方を検討すると、去る二月の本会議において答弁し、さらにはさきの常任委員会においては、新たに空港周辺のにぎわいづくりを推進するための地域振興策について検討していると答弁されています。
 県として、今後の空港周辺の振興策について具体的にどのような制度設計を行っていく考えなのか伺います。
 次に、危機管理についてのうち、原子力防災訓練について伺います。
 浜岡原子力発電所は現在運転を停止しておりますが、使用済み核燃料を保有しており安全対策は依然として重要であります。県では事業者への安全対策の要請や状況の確認等、ふだんから安全性の向上に努めていると聞いております。しかしながら東日本大震災以降は原子力災害への県民の意識は一段と高くなっております。このため万一原子力災害が発生した場合に備え体制を整備しておくことは大変重要です。
 これまで県では、地域防災計画の修正を行い原子力災害が発生した場合を想定し、浜岡原子力発電所からおおむね五キロメートル内の予防的防護措置を準備する区域――PAZや、三十一キロメートル内の緊急時防護措置を準備する区域――UPZを設定したほか、原子力災害に備えた避難計画を鋭意策定しています。これらの取り組みは重要でありますが、同時に内容を検証しより実効性を高めていくことが必要であります。
 県では、昨年度に続き本年度も原子力防災訓練の実施を予定しているとのことであります。この訓練については単に従来のまま実施するのではなく、より現実に即した訓練を計画する必要があると考えます。原子力災害の発生の要因となる大規模な地震やそれに伴う津波等の複合災害を想定し、国、県、市町、関係機関との連携を確認することや住民の動きなどをリアルに考慮し、訓練をレベルアップすることも考えられます。
 このように、今回の訓練はこれまで以上に充実した内容とするべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、市町の避難勧告等について伺います。
 避難勧告等は、災害の危険性を伝え住民の生命を守るために重要なものであります。避難勧告等には対象地域の居住者等に対し避難のための立ち退きの準備をしてもらうとともに、高齢者や障害者など避難に時間を要する方には避難のための立ち退きを促す避難準備情報、居住者等全ての方に対し避難のための立ち退きを勧め促す避難勧告、さらに被害の危険が目前に切迫した場合等に出され避難勧告より拘束力が強い避難指示があります。これらは市町村長が出すことになっております。本年十月の台風十八号及び十九号の際は県内の各市町でも避難勧告等が出されましたが、特に台風十八号の翌週の十九号では、十八号の教訓を踏まえ各市町において空振りを恐れずに避難勧告等が出されたところです。
 しかし、台風十九号の際に出された避難勧告等は避難準備情報を出した市町と避難勧告を出した市町に分かれており、また出された時間にもばらつきがあったと聞いております。県民からすれば近隣の市町と出された避難勧告等の内容や時間が異なることは理解がしにくいものであり、ひいては市町が出す避難勧告等への信頼が損なわれてしまうのではないかと危惧するものであります。
 このような現状に対する県の認識と今後の対応について伺います。
 次に、健康福祉行政についてのうち、地域医療介護総合確保基金について伺います。
 我が国は高齢化が急速に進行しており、団塊の世代が七十五歳以上の高齢者になる二〇二五年には国民の三人に一人が六十五歳以上になると推計される超高齢社会を迎えようとしています。高齢化に伴い慢性疾患や医療ニーズをあわせ持つ重度の要介護者や認知症高齢者が増加していくことから、医療及び介護の連携の必要性はこれまで以上に高まっていると言えます。
 一方で、現在の医療・介護サービスの提供体制のままでは急速に変化する疾病構造等の変化などに十分対応できないおそれがあります。国は本年六月に医療介護総合確保推進法を制定し、二〇二五年を見据えて地域において医療・介護サービスの提供体制の総合的な確保を図るためさまざまな制度改革を進めることとしていますが、その中では都道府県の役割の重要性が増しています。例えば、病床の機能ごとの将来の必要量等を含む地域の医療提供体制の将来あるべき姿を示す地域医療構想の策定や、この構想の実現を図るため、構想の区域ごとに医療関係者を初めとする関係者との協議の場を設置することなどが定められています。また消費税増税分を財源として医療・介護サービスの提供体制改革を推進するための新たな財政支援制度を創設しました。
 これを受けて県は、今議会に地域医療介護総合確保基金の設置条例案と関連予算案を提出していますが、この基金をどのような趣旨で設置することとし、また医療・介護サービスの提供体制についてどのようなものに活用していくのか、県の考えを伺います。
 次に、危険ドラッグ対策の強化について伺います。
 危険ドラッグの乱用は、社会に不安感を与え全国的に大きな問題となっております。県内におきましても全国の状況と同様に危険ドラッグの使用者による交通事故が多発し、さらに意識障害などで救急搬送される健康被害や死に至る事態も発生していると聞いており、毎日のようにこの危険ドラッグがマスコミに取り上げられています。
 このような状況の中で県では、危険ドラッグ販売店の立入検査や危険ドラッグ製品の買い上げ検査、また不動産業界団体や危険ドラッグ販売店の立地する地域との連携など危険ドラッグ販売店の排除に向けての対策の強化を図っているところであります。
 さらには、危険ドラッグの規制を強化するため私どもの会派などが規制条例の制定を要請したことを受けて、本議会に静岡県薬物の濫用の防止に関する条例案が提出されています。この条例案を見ますと、運輸業者の責務や営業禁止区域の設定などの本県独自の条項を初め県民からの県への通報の責務による情報収集も含まれています。
 現在、危険ドラッグの販売者は国が法による指定薬物の指定をすると施行されるまでの間に品物を売り切ってしまうなど、法の網にかからないよう販売手口を巧妙化していると聞いています。私は条例制定の効果を最大限に発揮するためにはさらなる体制の強化も必要であると考えています。
 そこで、条例制定後の実施体制の強化とそれによりどのような効果を期待しているのか、県の所見を伺います。
 次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。
 来年四月からの施行が予定されております子ども・子育て支援新制度では、保育を必要とする子供へと保育サービスを利用できる要件が大きく緩和されます。また小学生の放課後の居場所である放課後児童クラブについても、利用対象児童がこれまでのおおむね十歳未満――小学校三年生までとされていたものが六年生までに拡大されます。このため保育所や放課後児童クラブを利用する児童の数はこれまでよりも大幅に増加することになるものと思われます。
 一方、利用者の間には現在でも待機児童が発生している中、利用申込者がふえれば、これまで以上に利用しにくくなるのではないかといった不安の声が上がっています。利用対象がいかに拡大されてもそれに見合ったサービスが提供されないのであれば、それは絵に描いた餅であります。
 県は、先ごろ開催した社会福祉審議会の子ども・子育て支援部会で、来年度から五年間の保育の需要と供給の見込みなどを盛り込んだふじさんっこ応援プランの素案を報告しています。それによれば平成三十一年度までに保育サービスの受け入れ児童数を約七万五千人、放課後児童クラブについても約三万二千人にふやすとのことであります。
 そこでお伺いいたしますが、県ではこのプランをどのように推進していくのでしょうか。また市町に対してどのような支援を行っていくのか、知事の所見をお伺いします。
 次に、リニア中央新幹線の建設への対応について伺います。
 リニア中央新幹線につきましては、十月十七日に国土交通大臣から事業者であるJR東海に対し品川―名古屋間の工事実施計画の認可がなされました。JR東海は環境影響評価法の手続の中で、何も対策を講じない場合には大井川源流部で毎秒二立方メートルの水量が減少するとの予測結果を示しましたが、毎秒二立方メートルという流量は、私の地元の掛川市を含む大井川流域の七市に水道水を供給している静岡県大井川広域水道企業団の大井川の取水量と同じ量でありますことから、大井川流域の市町の住民は大いに心配をしているところであります。
 国土交通大臣は、七月にJR東海に渡した評価書の中で、大井川を初めとする河川において精度の高い予測を行い、その結果に基づき水系への影響の回避を図ること、水利用に影響が生じた場合には適切な環境保全措置を講じることとの意見を示されました。これらを踏まえて、JR東海は環境影響評価書に専門家等による委員会を設置することを記載し、十月二十三日の知事への認可報告において名称を大井川水資源検討委員会とすることなどを報告しておりますが、JR東海が委員会を設置したことをもって流量の減少が防げるというものではありません。
 その後、先月四日に静岡県環境影響評価条例に基づきJR東海から事後調査計画書が提出され、河川流量の観測については工事開始の一年前から工事完了後三年間において九カ所の計測地点のうち四地点は常時計測とする計画などが示されました。県ではこの事後調査計画書に対して、静岡市長の意見や静岡県環境影響評価審査会からの答申を受け十二月二日までに知事意見を述べると承知しております。
 私は、南アルプスの豊かな自然や大井川の貴重な水資源に悪影響を及ぼすことは絶対に許されないことであると強く申し上げます。
 そこで、知事はこの大井川の流量減少の予測についてどのように対応していくのか伺います。
 次に、教育行政についてのうち、静岡式三十五人学級編制の評価と対応について伺います。
 本県の小中学校の少人数学級に向けての取り組みは平成二十一年度から静岡式三十五人学級編制として始まり、現在、国による小学校一年生も含め義務教育九カ年全ての学年において少人数学級が実施されています。
 さて、財務省は平成二十七年度予算編成で公立小学校の一年生の四十人学級の復活を文部科学省に求める方針を固めました。加えて少人数学級はいじめなどの抑止効果が少ないとの資料も示されており、国が少人数学級の施策に対して懐疑的かのような印象を受けます。ここ数年、文部科学省の少人数学級に向けた定数改善計画は予算編成に反映されず見送りが続いていることから、学校現場からも静岡式三十五人学級編制の未来に戸惑いと不安の声も聞かれます。
 本県の静岡式三十五人学級編制は、少人数学級化によりふえた学級担任に国の加配教員を充てています。そのため国の加配教員が減る場合は静岡式三十五人学級編制への影響は大きいと予想されます。
 そこで、国の少人数学級化の流れが停滞している状況の中、静岡式三十五人学級編制の評価と今後に向けどのように対応していくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、児童生徒の歯の健康について伺います。
 学校における歯、口の健康づくりに関しては虫歯の予防を中心として取り組みが行われており、成果を上げてきました。しかし一方ではそしゃくなど口腔機能の未発達や口腔疾患の増加、食育の重要性などが指摘されており、その指導や対策についても今後一層の充実が求められます。また成果を上げているとされる虫歯の予防についても、歯科医師会の調査報告によると家庭環境等から一部の子供たちに虫歯による健康被害が集中していることや、中学一年生の一人平均虫歯数が最少と最多の市町で四倍近くの開きがあるなど健康格差や市町格差が見られます。
 さらに、効果的な虫歯予防法の一つでもあるフッ化物洗口については、平成二十四年度の実施率は幼稚園で四〇%程度、保育所では七〇%を超えていますが、小学校での実施率は一〇%程度にとどまり多くの子供たちが永久歯に生えかわる小学校において途絶えているのが現状です。
 八十歳で二十本以上の歯を残すことを主な目的とし、厚生労働省や歯科医師会が推奨している八〇二〇運動を実現させるには、小学校や中学校といった学齢期を含め子供の時期からの効果的な虫歯予防対策が必要と言われています。また平成二十一年度には静岡県民の歯や口の健康づくり条例が制定され、その中でも学齢期の虫歯予防対策を推進するとうたわれています。
 このような状況を踏まえ、県教育委員会において学校でのフッ化物洗口の普及に向けて積極的に進めるべきと考えますが、今後どのような取り組みをしていくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、警察署再編整備計画について伺います。
 いわゆる平成の市町村大合併による行政区域と警察署の管轄区域とのねじれを解消して、行政や学校、地域住民と一体となった警察活動を行うべく、平成十七年に中長期的見地に立った警察署再編整備計画を策定いたしました。現在まで、同計画に基づく袋井警察署や裾野警察署の新設を初め旧水窪、森、蒲原警察署の分庁舎化などとあわせて警察署の耐震工事などを行って警察施設の整備を図ってきたと承知しています。
 今後も、再編整備、震災対策、庁舎の老朽化といった問題を解決し治安維持と災害対策等の拠点、時代のニーズに対応した警察署の建設と整備を計画的かつ速やかに進めていただくことを強く希望するものであります。
 その中にあって今回特に質問したいのは、仮称浜松西警察署の新設と下田警察署松崎分庁舎の移転についてです。仮称浜松西警察署構想については再編整備計画の最終段階であり、現在県警が推進する安全・安心推進プログラム二〇一四とともに、県の総合計画でも県民の安全を守るための警察活動基盤の強化として示されています。浜松市西区への警察署の新設は地域の治安維持に欠かせない存在であり、周辺住民を初め浜名湖などをめぐる観光客にとっても必要不可欠な存在となるべきものであります。
 一方、下田警察署松崎分庁舎の移転先が賀茂郡松崎町峰輪の旧中川小学校跡地に決定した旨の発表がありました。西伊豆地域において極めて重要な警察活動拠点であり、大津波の危険性を考慮すれば早期に津波浸水域外への移転、建てかえを行うことが必要でありました。今後はより具体的な作業になると思いますが、西、南伊豆地域における治安対策、防災拠点としての機能や地域住民への行政サービスなど十分に対応でき得るものであることを望むものであります。
 そこで、仮称浜松西警察署新設計画の進捗状況と移転が決定した下田警察署松崎分庁舎の整備方針について、警察本部長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。(拍手)
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 東堂議員にお答えいたします。
 来年度の財政運営についてのうち、当初予算の編成方針についてです。
 静岡県の財政状況につきましては、平成二十七年度の当初予算編成に当たり十月に試算した財政収支では三百四十億円の財源不足を見込んでおりまして、引き続き厳しい状況にあるという認識に立っています。加えて今後決着する国の地方財政対策の動向によりましては、財源不足額が拡大し本県の予算編成にもさらに厳しさを加えるものという事態も予想されます。このため歳入の確保と歳出のスリム化に徹底的に取り組みまして、県債残高の抑制や将来に向けて利用可能な基金の確保に努め、ふじのくにづくりを支える健全財政の堅持に取り組んでまいります。
 一方、後期アクションプランに掲げる八つの重点施策につきましては積極果敢に取り組みまして、総力を挙げて富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの実現を目指してまいります。具体的には、防災先進県として自然と調和した国土強靱化の先進的モデルである、強くてかつ美しいという静岡モデルの推進や富士山静岡空港を生かした防災体制の強化など大規模地震への万全の備えをしてまいります。また国の地方創生の考え方とも共通する人口減少社会への挑戦では、子育てはとうとい仕事であるという理念のもとで、次代を担う子供たちを地域が一体となって育んでいく、地域の実情に応じた少子化対策を進めるとともに、健康寿命日本一のさらなる延伸に取り組んでまいります。さらに県内経済の持続的な発展を図るために、官民一体となりまして多極的産業構造の再構築や成長産業の育成にも力を注ぎます。
 平成二十七年度は総合計画の後期アクションプランの折り返し点を迎えます。計画に定めました目標達成に向けまして、県民の皆様にも進捗が目に見える形になりますように前倒しの気概を持って予算編成に取り組んでまいる所存であります。
 次に、産業成長戦略の推進についてでございます。
 静岡県産業成長戦略会議というのは、ことしの三月に設置いたしました。そして三月、六月、九月、十一月と会議を開きまして、去る十一月十二日の第四回会議におきましては産業成長戦略の素案を取りまとめていただきました。二月には最終案をいただくことになっております。今後、来年度当初予算や組織等に反映させる予定でございます。時宜を得た取り組みにつきましては、スピード感を持って行動し実行に移しているところであります。
 この成長戦略会議というのは雇用創出三万人計画というものを官民挙げてやってきましたけれども、これを引き継いだものです。先ほど有効求人倍率が直近の数字で一・一〇ということで、ようやく国と並んだということであります。一方失業者数が五万四千人ということで、一番多いときは八万八千人でしたから三万四千人の失業者がなくなったと。その分の雇用を創出したということでございまして、この動きを加速していこうという姿勢でおります。
 企業の誘致、定着の推進につきましては、進出意欲のある企業情報を入手して今月中にも運用を開始する遊休地データベースの活用とあわせまして集中的に誘致活動を展開しております。さらに今月上旬にはシンガポールのウエブ上で静岡県特設会場を開設いたしまして、地域企業の海外取引を支援するほか、東京都内に開設しました静岡U・Iターン就職サポートセンターの相談員をふやします。こういう取り組みを通じまして販路開拓や人材確保の面からも地域企業の事業活動の活発化を支援いたします。
 議員御指摘の地域企業を支援するための新しい組織についてでありますが、国際競争力を持ち世界で戦える企業や国内でも積極的に全国展開していける企業を育てていくためには、中堅企業も対象にした新たな支援組織を設置すべきであると会議において合意したところです。新たな組織には、いわゆる目きき委員会的な機能を持たせ、例えば光技術などの成長が期待される産業分野への進出を促進するため、成長が見込まれる企業に対して産業界、金融界、産業支援機関と一体となって集中的に支援することが求められております。
 言うまでもなくお金はあるんです。しかしそれが回っていないと。基本的に日銀または政府の政策というのは、いわば輪転機を回して膨大なお金を刷ったわけですね。それが有効に使われていないということであります。でも今や国債は、金融界は買うことができません。日銀が買い占めているからです。
 一方、高齢者にはかなりのお金があります。最近の大きなニュースでは、いわゆる振り込め詐欺というのがございますが非常に巧妙になっておりまして、本県の山田誠県議のお母上のところにも巧妙な手口でですがそういう連絡があって、あわやというところで山田誠議員が入られて逮捕に至ったということがありました。その同じ犯罪グループは、もう既に二千万円もの熊本からの御老人の宅急便を受け取るところだったそうですよ。しかも一旦逮捕された後、電話がドスのきいた声でかかってきまして、よくも部下を逮捕させたなというおどしの電話がかかってきたそうです。ですからこういう狙われているところは、私は山田誠議員の御母堂も存じ上げておりますけど、非常に立派な方であってすらこういう巧妙な手口でだまし取られると。しかし一方で三十代に――東堂さんはどうでしょうかね――振り込め詐欺の誘いが来るとは思えません。やはり高齢者なんですね。ですからそういうところにお金があるという、これをいかにして回すかと。
 先ほど目ききと言いましたけれども、金融界は担保をとれればいいという安易な態度でこれまで運用してきたという面があります。そのために産業界、また行政も一体になってどこにお金が必要であるかということを探さねばならない。そして一緒に、成長産業や必要とされているベンチャー、こうしたところにお金が回るようにしていこうと。これが我々のやっている成長戦略ということであります。
 今後、関係機関との調整を進めまして、来年二月に予定されている次回会議で本県独自の産業成長戦略を取りまとめ本格的に事業展開していくことにより、本県産業の力強い再生とより一層の活性化を図ってまいります。
 次に、茶業の振興についてであります。
 本県では、長い歴史の中で先人によって培われたたくみのわざと生産者の努力により日本一の茶産地を築き、すぐれた品質のお茶が各地で生産されています。一方、消費の面では全国的に若年層を中心に急須で入れる緑茶の需要が減少しているという現状があります。急須で入れますとお茶っ葉を捨てねばなりませんが、その捨てたお茶っ葉が高層マンションなどに住む人の中で言われていることですがパイプをふさいでしまうということで、東京の高層マンションに住んでいる人たちは煎茶を飲まない傾向を見せているそうです。こうした現実があります。
 そこで、将来にわたって日常的にお茶を飲む文化を継承し茶業を振興させていくためにはまずは足元からということで、東堂議員がいらっしゃるような掛川市や近辺では給食でお茶を飲んでくださっていると思いますが、これはもう全県下、特に東部ですね。それから伊豆半島。ここの子供たちに静岡県のおいしいお茶を飲む習慣を、給食時に飲むように全県を挙げてこれに取り組んでまいりたいと。そしてミルクはもう午前中に飲んでしまうということで、カルシウムはしっかりと一時間目、二時間目、遅くとも三時間目、四時間目の間に牛乳を飲むと。ランチのときにはお茶ということでまず内需を拡大していこうということを、ぜひ県議の皆様方の御協力を得ましてやってまいりたいと。おいしいお茶を味わう舌を味覚をしっかりと根づかせていくということが大事です。これは健康寿命の増進にもつながるというふうに考えております。
 加えて、健康的な飲料として緑茶の需要が増加している海外の事情があります。海外では日本の輸出も三倍ぐらいになっておりまして、この十年間で確実に伸びているんですね。それになかなかまだうまく静岡県が乗れないという、今産みの苦しみの中にございますけれども、やはり輸出相手国の流通商品の実態や農薬の規制などの情報収集に努めることがまず先決だということで、そうしたこととあわせて多彩な静岡県のお茶の魅力、健康に関する機能性などを発信いたしまして海外での需要拡大に取り組んでまいりたいと存じます。
 このような取り組みを進めるに当たりまして、議員に御紹介いただきました推進会議における議論の中で、現在お茶の歴史や文化に関する展示等を中心に行っている島田市お茶の郷を、ふじのくにの茶の都の拠点といたしまして産業、文化、学術等のさまざまな分野で活用することを今提案されているので、これを実施してまいりたいと思っております。県内各産地の特徴のあるお茶や新たに開発された商品の販売、最新の知見に基づく茶の機能性や効用の世界に向けた情報発信など産業や学術分野での拠点の活用に向けて準備を始めることとしております。
 これからは、この推進会議における御意見を参考にしまして茶の都しずおか推進計画を取りまとめ、これに基づき関係団体と連携し幅広い世代を対象に消費拡大を進めるなど茶業の振興につなげてまいる所存であります。
 次に、富士山の後世への継承についてであります。
 世界遺産富士山基本条例の制定についてであります。この条例は、構成資産が点在し、かつ多くの関係者によって管理、利用されている富士山を一体的に保全し、世界遺産としての顕著な普遍的価値を確実に後世に継承するため富士山の保全にかかわる基本理念、基本施策などを定めるものです。この基本理念につきましては、関係者が一丸となって富士山保全に取り組むべきであるという考えに立ちまして、富士山の顕著な普遍的価値である神聖さ、そして美しさの維持と持続可能な利用との調和、そして近世から現代まで続く富士登山を初めとする文化的伝統の継承、さらに保全に向けた地域社会の連携の必要性などを盛り込むことにしております。
 また、基本的施策におきましては、富士山の保全を確実に推進するためユネスコ世界遺産センターへの提出に向けて現在策定を進めております来訪者管理戦略、また情報提供戦略等々各種戦略に基づく取り組みや富士登山の安全対策などにおきまして、県が果たすべき役割を明確に定めるということにしております。
 今後は、富士山世界文化遺産学術委員会のほかパブリックコメントの御意見も踏まえまして条例の内容の充実を図り、次の平成二十七年二月県議会定例会にお諮りをした上でこの条例を活用し、日本の国土のシンボルであり人類共通の財産となった富士山を確実に後世に継承してまいります。
 次に、富士山静岡空港についてのうち、空港周辺地域の振興策についてであります。
 富士山静岡空港は、静岡県のさらなる発展を支えていく重要な社会的資本であります。そのために平成七年度から開港後五年という時限を切りまして、すなわち今年度までを期限とする隣接地域振興事業費補助制度を設けてまいりました。これが期限が迫っているということでありますが、基本的な考え方は、空港と地域の調和のある社会の発展を目指すということと同時に空港周辺地域の振興と生活の安定を図るということで、市町が行う道路整備、河川整備などの事業をこれまでは後押ししてまいりました。こうした補助金制度が期限が迫ってまいりまして、地元市町や空港関係団体から、市町の財政事情等により事業の執行がいまだ道半ばであるので制度継続への強い要望をいただいておりまして、私もそれを前向きに受けとめました。ともあれ過去に富士山静岡空港への批判がございましたけれども、これがほぼ沈静化したということを本当に喜んでおりまして、そして富士山静岡空港の順調な発展を望む声のほうが今大きく聞こえるようになっているわけでございます。
 こうした追い風を受けまして、空港周辺地域では空港ティーガーデンシティ構想、あるいは空港西側の二十ヘクタールほどの土地、これを防災拠点として使えるというふうな、いろいろな方々の御意見も頂戴しておりますので、これを推進すると。さらに新幹線新駅建設に向けての展開など空港を核としたさまざまな地域づくりが今進行中であります。
 そこで、従来の生活環境対策に加えまして空港の利活用促進に資する集客施設の整備、空港新駅関連のにぎわい創出、さらに空港ティーガーデンシティ構想具体化のための事業等々も対象にし、また当然空港におけるいろんなイベントもございますので、こうしたものをメニューに取り込んだ新たな補助制度を創設する方向で検討を進めます。新たな制度におきましては、地元市町や空港関係団体にとってもより使いやすい仕組みとなるよう補助対象期間や補助率についても配慮したいと考えています。
 この新しい制度の活用を通しまして、すばらしい景観、またお茶に代表されるさまざまな産物、観光資源を生かして魅力あふれる自然空間と都市機能が調和する空港ティーガーデンシティとして、オリンピックのときには駅もある、世界遺産の富士山がある、お茶畑もある、南アルプスも見えると。そういうことで最高の場所にしていこうというように考えておりまして、ぜひ地域の皆様と御協力をしてそれを実現したいものであると考えております。
 次に、健康福祉行政についてのうち、危険ドラッグ対策の強化についてです。
 静岡県におきましても、ことしに入って危険ドラッグによる救急搬送や交通事故の被害が多く発生しております。こうした事故や被害が県民の皆様を不安に陥れている現実があります。危険ドラッグを根絶する体制を整備し対策を強化していくことは喫緊の課題です。静岡県では既に危険ドラッグ販売店に対しまして県警察本部と国との合同立入調査や製品の買い上げ検査を強化するなどの取り組みによって、県内全ての危険ドラッグ販売店を排除いたしました。
 今後も危険ドラッグによる被害が起きることのないよう、今議会にお諮りいたしました静岡県薬物の濫用の防止に関する条例は、知事監視店の指定や警察職員への立入権限の付与など全国的にも先駆的で厳しい規制を取り入れ、危険ドラッグ根絶のための実効性の高い条例としているところであります。
 この条例を的確に運用していくことが大切であります。そのためにまずは相談窓口を設置いたしまして県民の皆様や地域から得られる情報を整理し、県警察本部との合同立入調査につなげるなど迅速に対応できる体制を整備していこうと考えています。また規定した知事指定薬物等の検査を速やかに行い、健康被害を及ぼすおそれのある薬物を的確に検出できる検査体制を整備いたします等々、流通から販売までの取り締まりを強化いたしまして被害の廃絶に努めてまいります。
 今後とも県警察本部や業界団体と密接に連携いたしまして、県民の皆様にも御協力を賜り、全県一丸となって危険ドラッグ撲滅に全力で取り組み、県民の皆様の健康、安全を守り安心な社会を実現してまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(多家一彦君) 下山経営管理部長。
       (経営管理部長 下山晃司君登壇)
○経営管理部長(下山晃司君) 来年度の財政運営についてのうち、核燃料税の更新についてお答えいたします。
 現在、浜岡原子力発電所は運転を停止しておりますが、放射線の監視業務など原子力発電所の立地に伴う対策は確実に実施していく必要があります。このため従来の価額割に加えて稼働しているかどうかにかかわらず発電用原子炉の熱出力に対して課税する出力割を導入するとともに、税率を一七%相当に引き上げた上で課税期間を五年間延長する条例案を本会議にお諮りしているところであります。
 今後の税収でありますが、価額割については年額にして十二億四千万円程度となると考えておりますが、現時点では再稼働について判断できる状況にはないため五年間の税収見込みは立てておりません。一方、出力割については五年間で約六十二億円を見込んでおります。
 今回の更新により見込まれる税収につきましては、環境放射線監視センターの運営や避難路となる幹線道路の整備などの原子力安全対策、温水利用センターの運営や農道整備など農林漁業の振興を図る生業安定対策、海岸保全や河川整備など安全・安心に生活できるための民生安定対策として、地域の安全と振興を図るための事業に引き続き活用してまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 再生可能エネルギーの導入についてお答えいたします。
 本県では、太陽光発電の導入量が固定価格買い取り制度導入前の平成二十四年三月の十八万キロワットから本年九月末には六十九万キロワットに達し、百万キロワットの目標に向けて大きく増加するなど再生可能エネルギーの導入が進んでおります。
 このような中、一部の電力会社で系統接続の問題が生じたため、国は電力会社の接続可能量の検証を行うとともに、地域間連系線の活用、蓄電池の設置などによる接続可能量の拡大方策について審議し系統対策の基本的方向性を早急に取りまとめることとしております。
 県内では、当面再生可能エネルギーの電力系統への接続にかかわる制約が生じる心配がないことを東京電力及び中部電力に確認しておりますが、事業者の参入意欲がそがれるおそれもあります。
 県といたしましては、今後とも国の動向を注視しつつ、従前からの太陽光発電の促進策に加え小水力、バイオマス、温泉熱など地域の自然資源を生かした再生可能エネルギーの導入について、事業者が行う先導的な取り組みに対する支援を強化するなどエネルギーの地産地消の実現に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 服部静岡県理事。
       (静岡県理事 服部真樹君登壇)
○静岡県理事(服部真樹君) 富士山静岡空港についてのうち、利便性の向上策についてお答えいたします。
 二次交通改善に向けた取り組みについてでありますが、議員御指摘のとおり、富士山静岡空港の年間利用者数七十万人の目標達成のためには、二次交通を改善し空港の利便性を高めることが必要であり、本年三月に有識者等による検討会議を立ち上げ検討を重ねてまいりました。先般提出された報告書には、航空機の到着がおくれた場合にもバスが待っている連絡バス方式の導入を初め県西部地域、県内主要観光地へのアクセスなどの改善について利用者目線に立った現実的な改善の方向性が示されていると考えております。
 県といたしましては、この提言を踏まえ利用者の皆様が安心して快適に空港を御利用いただけるよう速やかに改善策を具体化することとし、現在関係事業者との調整等を進めているところであります。中でも県西部地域とのアクセス改善は喫緊の課題でありますことから、セントレアへ行くよりも安く快適な送迎を可能とする、浜松市街地と空港とを結ぶ予約制乗り合いタクシーを社会実験として来年三月から導入できるよう、所要の運行経費やPR経費を計上した補正予算案を本議会にお諮りしているところであります。
 そのほかの改善策につきましても、順次具体化を図り便利で使い勝手のよい二次交通を整備するとともに、利用促進に資するさまざまな施策を講じることにより利用者の増大に全力で取り組んでまいります。
 次に、運用時間延長に向けた取り組みについてであります。
 富士山静岡空港において、県民の皆様にとって使い勝手のよい朝出発、夜帰着ダイヤを実現するためには、航空会社が航空機を最大限に稼働できるよう運用時間を延長し夜間駐機を促進する必要があります。現在、地元市町、空港関係団体及び県の間で締結している航空機騒音協定では運用時間は七時三十分から二十時三十分までとされていることから、その延長についてはまず関係する地元の皆様の御理解をいただいた上でこの協定を改定することが必要となります。
 このため県では、本年二月から地元市町及び空港関係団体との間で運用時間延長に関する協議を進めるとともに、住民の皆様に対して町内会ごとに延べ二十四回の説明会を開催してまいりました。これまで住民の皆様からは航空機騒音の影響、空港利用の促進及び地域振興策など多岐にわたる御意見、御要望をいただいております。
 県といたしましては、これらの御意見、御要望に丁寧に対応するとともに、引き続き地元市町や空港関係団体と協議を重ねることにより今年度中に騒音協定を改定し、その後、静岡空港の設置、管理及び使用料に関する条例の改正など必要な手続を進め、来年度のできるだけ早い時期の実現を目指したいと考えております。以上であります。
○議長(多家一彦君) 岩田危機管理監。
       (危機管理監 岩田孝仁君登壇)
○危機管理監(岩田孝仁君) 危機管理についてのうち、原子力防災訓練についてお答えいたします。
 県では、これまでも静岡県地域防災計画に基づき原子力災害に備えた防災訓練を、国や関係機関の協力を得て関係十一市町とともに実施してまいりました。今年度は南海トラフ巨大地震の発生に伴い原子力災害が起こるという複合災害を想定し、より実践的な図上訓練と実動訓練を実施することとしております。
 図上訓練は、例年一月に実施しております地震対策大規模図上訓練と一体的に実施し、大規模地震で県内全域が被災しさまざまな災害応急活動を実施する中で原子力災害が発生したとの想定で災害対策本部等の全庁的な対応を検証し、対処能力の向上を図ってまいります。実動訓練につきましては、三十一キロメートル圏内の住民の方々にも参加をいただき放射性物質のスクリーニングを含めた避難訓練を実施するとともに、自衛隊車両やヘリコプターなどを使った病院、社会福祉施設からの避難、三十一キロメートル圏内全域での放射線モニタリング等の訓練を二月上旬の実施に向けて計画しているところであります。
 県といたしましては、国や関係市町、関係機関との連携を深め、より現実に即した原子力防災訓練を実施し、その成果や検証結果を広域避難計画の策定に反映するなど引き続き原子力防災体制の充実に努めてまいります。
 次に、市町の避難勧告等についてであります。
 台風や大雨などの風水害に対する脆弱性は地域の特性により異なるため、市町ではおのおのハザードマップを作成し住民の皆様に周知するとともに、防災訓練などを通じ災害対応の強化に努めております。台風の接近や大雨が予想されるときには避難所の開設や避難勧告等を適時適切に行うことができるよう、県では避難勧告等の判断・伝達マニュアルの作成を働きかけ全市町において整備されてきました。また市町の危機管理監等を対象としたセミナーを開催し、災害が懸念されるときは空振りを恐れず早目の対応を求めてきたところであります。
 本年の台風十八号や十九号の接近に際しては、総じて早目の避難勧告等が行われましたが、その一方で避難勧告等のタイミングや対象範囲にばらつきが見られたり、住民の皆様の中には避難勧告等に対し、どう対応すべきかわからなかったとの意見もありました。
 現在県では、このたびの各市町の対応について調査分析を進め個別の助言を行うほか台風接近時等の対応を時系列で整理したタイムラインの導入を促進しているところであり、今後とも市町の避難勧告等の一層の精度向上を図るとともに、防災訓練や啓発の機会を通じ住民の皆様の水害や土砂災害に対する理解を深めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 健康福祉行政についてのうち、地域医療介護総合確保基金について、お答えいたします。
 高齢化が急速に進行している現在では、誰もが必要な医療や介護を十分に受けることができ、住みなれた地域で安心して暮らし続けられることが喫緊の課題であります。県では国の新たな財政支援制度を活用し、病院から在宅までの医療や介護サービスが切れ目なく提供される体制を整備するため、地域において医療と介護を総合的に確保していくことを目指した地域医療介護総合確保基金の設置につきまして、今議会にお諮りしております。
 また、医療と介護サービスの提供体制といたしましては、基金を活用し地域の在宅医療等を支援する病院等の整備を初め医療と介護の関係者が協力して在宅医療と介護を提供していくための体制整備の促進や、それらを担う医療従事者の確保と養成の強化に取り組んでまいります。
 県といたしましては、今後も基金の適正な運用に努め市町や医師会など関係団体と連携し、医療機関の病床の役割に応じた機能分化と連携の推進による効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と在宅医療と介護の充実等による地域包括ケアシステムの構築を図り、誰もが身近な地域で安心して暮らすことができる社会の実現に努めてまいります。
 次に、子ども・子育て支援新制度についてであります。
 県では、新制度に基づき全ての市町が策定する子ども・子育て支援事業計画について潜在需要も含め県民の皆様が真に必要とする施策や事業を反映した実効性のあるものとなるように、各市町に対し助言を行ってまいりました。ふじさんっこ応援プランは、こうして策定される市町の計画を踏まえて今後五年間の保育ニーズや保育サービスの内容や実施計画などを定めるものです。
 応援プランにおける待機児童対策につきましては、県内の約六割が共働き世帯という状況や今後増加する保育需要に応えるため、保育所と放課後児童クラブの施設整備や認定こども園への移行促進に積極的に取り組んでまいります。また増大する利用者の需要を満たすだけでなく、安心して利用できるよう保育人材の確保と研修に力を注ぎ資質向上を図ってまいります。
 今後、応援プランを推進するため、県では市町が子育て支援を着実に行うことができるようきめ細かな情報提供と相談に応じるほか、保育所等の施設整備を初め一時預かり事業や病児保育事業などに取り組む市町に対し財政支援や人材育成など積極的に支援することとしております。
 今後とも、子育てはとうとい仕事の理念のもと応援プランを着実に実現し、未来を担う子供と子育てを社会全体で応援する「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを市町とともに進めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) リニア中央新幹線の建設への対応についてお答えいたします。
 大井川の流量減少予測に対しましては、大井川流域の皆様を初め多くの県民の皆様から懸念の声が出されており、県といたしましてもその対応に万全を期すことが重要であると認識しております。このため、静岡県環境影響評価条例に基づき提出された事後調査計画書に対する知事意見には、環境影響評価審査会の答申や地元の静岡市長の意見などを踏まえ、工事後も工事前、工事中と同様に流量及び地下水位の調査を行うこと、調査地点については上流部も対象にすること、仮に流量の減少の兆候が生じた場合には下流域への影響を的確に調査するとともに原因究明を行い、その結果を関係者等に報告して適切な保全措置をとることなどを明記いたします。またこの保全措置については事前に複数案を検討し、水量の減少の防止へ万全を期すことを強く求めてまいります。
 リニア中央新幹線の整備は、工事実施計画が認可され環境影響評価の段階から工事実施の段階に移行しました。県といたしましては、事業の具体化を受け引き続き環境保全連絡会議などで環境への影響について注視し、水資源などに変化が生じた場合には事業者に詳細な説明を求めるとともに、環境に対する影響が大きい場合には環境影響評価条例に基づき国土交通大臣に対してJR東海への指導を強く要請いたします。また県みずからも静岡市など地域と緊密に連携し、JR東海に対しまして水資源保全のための十分な措置を求めるなど貴重な南アルプスの環境の保全に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、静岡式三十五人学級編制の評価と対応についてお答えいたします。
 静岡式三十五人学級編制の効果につきましては、小中学校を対象にした調査によりますと学級人数が少なくなったことで、一人一人の発表の機会がふえ学習内容の理解が深まってきた、子供の気持ちが落ちつき学校生活が安定してきたなどの声を聞いております。また昨年度小学校五年生で三十五人学級編制を実施した学校は、本年度の全国学力・学習状況調査におきまして全国の平均正答率を大きく上回り、県平均と比較しても全ての教科で上回るなどその効果を確認しているところであります。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、国におきましては少人数学級に向けた定数改善計画は進んでおらず、現在文部科学省が策定いたしました定数改善計画の来年度予算案への反映や少人数学級に必要な加配教員数の増減などを注視している段階であります。
 本県におきましては、平成二十一年度から国に先駆け静岡式三十五人学級編制を実施し、昨年度からは義務教育九カ年の全ての学年で少人数学級を実現いたしました。導入以来既に六年が経過し、本県の学校現場では少人数学級による指導は確実に定着してきております。
 県教育委員会といたしましては、今後とも全学年で実施しております静岡式三十五人学級編制の継続に努めてまいります。
 次に、児童生徒の歯の健康についてであります。
 子供たちの歯と口の健康づくりにつきましては、虫歯や歯周病を生活習慣病の一つとして捉え、予防のための健康的な生活習慣の確立と早期発見、早期治療のための歯科検診が重要であると考えております。学校におきましては、保健学習や学級活動の年間指導計画に基づいた取り組みが学校歯科医等の協力を得ながら行われております。このような指導により、永久歯が虫歯となった児童生徒の割合は平成二十一年度から平成二十五年度までの五年間で小学生においては五六%から五〇%に、中学生においては四八%から三七%に減少するなどの成果があらわれてきております。
 文部科学省は、フッ化物洗口が必要とされる場合には学校歯科医や学校薬剤師の管理と指導のもとに教職員、保護者、子供がその必要性と安全性を理解し、それぞれの同意を得た上で適切な手順により実施する必要があるとしております。県教育委員会といたしましては、今後とも歯と口の健康への理解を深めるため、歯科医師会が作成する学校歯科保健ニュースの発行への協力など関係機関や健康福祉部と連携し、学校でのフッ化物の活用についての情報収集と教職員、保護者等への広報に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 西川警察本部長。
       (警察本部長 西川直哉君登壇)
○警察本部長(西川直哉君) 警察署再編整備計画についてお答え申し上げます。
 初めに、仮称浜松西警察署新設計画の進捗状況についてであります。
 平成十七年に策定いたしました警察署再編整備計画は、市町村合併や警察事象の質的、量的な変化に対しまして警察署間の業務負担格差が顕著となったことなどをきっかけに策定したものであり、現在残っております仮称浜松西警察署の新設を目指しまして候補地の選定を進めているところであります。
 この候補地につきましては、東日本大震災の教訓などを踏まえまして県の第四次地震被害想定の浸水域等を外れた地域において選定することとし、現在のところ県道六十五号浜松環状線を中心としたエリアにおいて絞り込みをかけているところでございます。言うまでもなく警察署は地域の治安維持に欠かせない存在でありますことから、引き続き県、浜松市等関係機関の御協力を得ながら早期建設を目指してまいります。
 次に、下田警察署松崎分庁舎の整備方針についてであります。
 現在の松崎分庁舎は海岸から約百六十メートルの距離にあり、県の第四次地震被害想定におきましても浸水被害が予想されておりますことから、早期の移転、建てかえが必要であると判断しまして、その移転先について検討を行ってまいりました。その結果、このほど松崎町峰輪に所在します旧中川小学校の敷地内に移転先が決定いたしましたことから、引き続き関係部局と協議を進め西伊豆地域における災害対策、治安対策、地域住民への行政サービスなどに最大限の機能を発揮できる施設の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 二十番 東堂陽一君。
       (二十番 東堂陽一君登壇)
○二十番(東堂陽一君) それでは、要望と再質問をさせていただきます。
 まず、要望からでございますけれども、富士山静岡空港についての運用時間延長に向けた取り組みでございますけれども、地元の住民の皆様とも何十回も意見交換もされているということでございますが、早朝、深夜と時間延長になります。環境が悪化しないように十分な配慮をお願いしたいということを重ねて申し上げます。
 もう一つは、教育行政についてのうちの児童生徒の歯の健康でございますが、フッ化物洗口が大変虫歯に有効であるということはしっかり証明もされておりますし、数字も出ていることでございます。さらに特に小学校に対してフッ化物洗口が普及するように働きかけをいただくようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
 再質問でございます。
 まず、一番の来年度の財政運営のうちの当初予算の編成方針でございますけれども、その取り組みを見ますと、さっき言った集中的に取り組む分野、八分野においては特別枠を設定するという話でございます。所要額でという方針でございますが、そうは言ってもどの程度のものなのか。全然もう天井知らずなのか。ほかの事業との影響も出てくると思いますので、その辺をどう考えているかをお伺いしたいというふうに思います。
 二つ目は、再生可能エネルギーの導入、主に太陽光発電の送電系統のことでございますが、中電、東電に確認したということでありますが、それを聞いてああ、いいですねではちょっと心配だなという気がします。国が鳴り物入りで始めた施策でありますが、早々に制度が破綻したという――この管内ではございません。他の電力会社で破綻しているという印象でありますが――そういう意味で本当に静岡県は大丈夫か。太陽光百万キロワットを目指す川勝知事の施策において、これが大丈夫かということを大変心配しているわけでありまして、どういう方法で確認したか、やっぱりしっかり聞いて、聞いたけど大丈夫だという理由ではちょっと心配ですよね。ほかの電力会社ではまさにその不安が的中してしまったわけでありますが、中電、東電では本当に大丈夫なのか。もっとしっかりした、まあしっかり確認しているのかもしれませんが、どんな確認をしてそれが信頼できるかどうかということを再度伺いたいというふうに思います。
 三番目は産業成長戦略会議でございますが、金融界の協力を求めるということがありました。余談でございますけど私の家に振り込め詐欺の話は来ておりません。それはいいですが、その会議の報告を見ますと、その中の一つでありますけど地域企業の共同受注体の組織化支援ということがあります。SOLAEとか小水力発電の応援ということは既に聞いておりますが、これ以外にも何か進めていくような考えであるのか。そしてもう一つ、その中には3Dプリンターの工業技術研究所への採択を目指したいという文言もありました。どのように利用していくかということもお伺いをしたいというふうに思います。
 茶業の振興についてでございますけれども、足元からそういう普及を進めていく、小学校でお茶を飲むということも、もちろんこれは本当に大事なことだと思いますが、私はお茶の機能性ということ、本当に健康にいいんだということが続々と発見されております。証明もされております。私の最初の一般質問でも掛川スタディの話もさせてもらいましたが、そういうことも含めてやっぱり機能性をしっかりアピールして、少し大きな、例えばテレビとかそういうマスメディアにも載せるようなそういうPR戦略が一番有効ではないかというふうに思います。多少お金はかかるかもしれませんが、いろんなところからお金を集めて少し集中をして、消費拡大策として機能性をPRすることをしたらどうだと。特に外国についてはこれは有効だと思いますので、知事に御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 それから、市町の避難勧告等でございますけれども、マニュアルもあったのに何でばらついたのか疑問に思いますので、その辺の理由。そして住民の皆さんにもしっかり理解をしてもらう必要があると思いますので、その避難勧告が十分理解されていないということもあります。その辺をどうするのかお伺いしたいというふうに思います。
 それから、リニア中央新幹線でございますけれども、水量減少に対して複数案を提示するということでございましたけれども、それは誰がどういう形で提案するのか再度確認したいというふうに思います。
 最後になりますが、静岡式三十五人学級編制でございますけれども、やはり国の方針はまだわかりませんが、現在でも先生が足りないという状況にあると思います。先生の増員ということをしっかり考えなければいけないと思いますが、その辺の対応をどのように考えているのかお伺いいたします。
 もう一つ抜けました。済みません。待機児童の話。来年度中に待機児童が六千人。学童保育においては六千二百人が不足というデータも読み取れますが、これが待機児童ということになるのかどうか。その辺の数がどうなるのかお伺いをして再質問にしたいと思います。以上、再質問よろしくお願いをいたします。
○議長(多家一彦君) 下山経営管理部長。
○経営管理部長(下山晃司君) 後期アクションプランについての予算の特別枠についての再質問にお答えをいたします。
 後期アクションプランを着実に推進するため特別枠を設定するわけですが、これは当該事業のうちの新規拡充事業に限っております。またそれにつきましての上限は設定しておりません。しかしながら答弁申し上げましたとおり三百四十億円の財源不足が生じるという大変厳しい財政環境の中でございますので、その事業が大きな効果を上げることができるのか、またその効果が費用に見合うものであるか、そうした議論を十分に尽くして予算調整をしてまいりたいと、そのように考えております。以上であります。
○議長(多家一彦君) 白井企画広報部長。
○企画広報部長(白井 滿君) 再生可能エネルギーの導入についての再質問にお答えいたします。
 東京電力及び中部電力の管内におきましては、通常時におきます電気の需要量、使用量とそれを賄うべき大規模な電源が非常にスケールが大きいということでありまして、その大規模電源を補うような形で再生可能エネルギーが入ってくるウエートが比較的小さいものですから、今後とも系統問題については当面の間は支障は生じないというふうな説明を受けております。
 しかしながら、そういうことが今後事業者の参入がどんどんふえた場合にも大丈夫なのかという点もありますので、国のほうでは今後の再生可能エネルギーの導入について基本的な方向性を定めておりまして、今後は参入する事業者の責任において送電量を大きくするとか、そういうふうな仕組みというものも考えられているようでございます。引き続きそういうふうな国の動向も注視しつつ、県といたしましては再生可能エネルギー、太陽光以外のものについても事業者の取り組みを支援できるような体制をとっていきたいというふうに考えております。以上であります。
○議長(多家一彦君) 土屋経済産業部長。
○経済産業部長(土屋優行君) 産業成長戦略の推進についての再質問にお答えいたします。
 地域企業の事業活動の活発化という戦略の三についてのことでございますけれども、地域企業の共同受注体の組織化ということに加えまして、来年度に向けてすぐれたものづくりの基盤技術の高度化を進めていきたいと。そのため議員からも御紹介いただきました3Dプリンターでございますが、これにつきましては樹脂熱溶融タイプの3Dプリンターということで樹脂を造形するシステムに使うための3Dプリンターでございます。これにつきましては予算計上してございませんが、これは国の地域オープンイノベーション促進事業ということで各県の公設試験研究機関のほうに配置されるということで六千万円ほどの経費がかかりますけれども、十二月から工事を始めて四月から稼働できるという体制をとりたいと思ってございます。
 それからもう一つ、茶業の振興についての再質問でございますが、お茶の機能性につきましては特に海外へ輸出する場合については大きなものかと思ってございます。機能性につきましては認知症予防とか肥満予防、あるいはがん予防等さまざまな機能について今健康に関係するということで提案されてございますので、こういうものと、もう一つあわせましてこの機能性について、静岡県の茶業会議所につきましても茶の機能の出版等もしているということで、これを世界に対してアピールしていきたいと思ってございます。
 マスメディアの活用につきましては、マスメディアの活用というのは有効かと思いますけれども、それに係る経費も踏まえまして検討させていただきたいと思ってございます。以上であります。
○議長(多家一彦君) 岩田危機管理監。
○危機管理監(岩田孝仁君) 市町の避難勧告等の若干のばらつきの問題でありますとか、住民の方々の対応に若干の混乱がございます。今回各市町、今現在、どのようなタイミングでどういった情報が出されたのかということの調査を進めております。一部、各地域ごとにやはり環境が違う、いわゆる災害のリスクに対しての環境が若干違いますので、同じ雨量の雨でも早目の避難勧告が必要な場所、それから若干そういった安全性が非常に高い場所、さまざまでありますので、一概に同時刻に避難勧告、避難指示が出される必要はないというふうに私どもは考えておりますけれども、そこに若干の課題があったのは、やはり避難勧告、避難指示等を出したときに住民の方々が本当にそれが必要だという実感をお持ちになっていたかどうか。そこら辺が若干のばらつきがあった原因になっていたと思います。
 今現在、各市町に対してはハザードマップをもう少しきちんと丁寧に住民の方々に御説明する。それともう一つは情報の発信の仕方でありますけれども、今回緊急速報メールという、いわゆる携帯電話のメール機能を使った速報メールを用いたところもございました。そういった内容がきちんとやはり各地区ごと細分化して地域の方々に伝わるように事前によく話し合いをする、こういった対策をぜひ進めていきたいというふうに考えております。今後各市町とそこら辺についてはきちんと協議をした上で、県としても一緒に御指導してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○議長(多家一彦君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) リニア中央新幹線の大井川の流量減少の関係でございますけれども、事前に複数案を検討するというのはこれは事業者であるJR東海にお願いをするということでございます。決してあってはならないわけでございますけれども、事前に減少する可能性、あるいはその対応策について複数の案をJR東海のほうで考えていただくと。それに当たってはJR東海のほうの専門家会議、あるいは県が持っている連絡調整会議、あるいは河川管理者である国等々と協議を重ねて事前に複数案をつくっていただくということを要請していくということでございます。以上であります。
○議長(多家一彦君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) 教育行政のうち、静岡式三十五人学級編制の充実についてでありますけれども、大きく三点あろうかなと思います。
 一つは、答弁でも申し上げましたけれども、国の少人数学級に必要な加配教員数、これをできる限り確保するというのが一点目であります。二点目は、現在も行っておりますけれども県単独の加配措置というものについてより充実をするということ。そして三点目は、これは地域とともにある学校づくりということに象徴されますように地域の人材の活用ということで、学校支援のための非常勤講師、あるいは地域支援のボランティアというものの確保、こういうものをする中で静岡式三十五人学級編制の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。以上であります。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 子ども・子育て支援新制度についての待機児童対策についてお答えいたします。
 確かに、子ども・子育て支援新制度になりまして保育のニーズも、また放課後児童クラブの利用者ニーズも大変大きく広がるわけです。そうしたことから今のままでは大変な数の待機児童が発生する可能性があるわけです。そのために今、市町と相談しながら施設整備を強力に進めているところでございます。こういった待機児童が生じることがないように市町とよく話し合い、支援策、それから施設整備を進めて待機児童が発生しないように努めてまいりたいと思っております。以上でございます。
○議長(多家一彦君) これで東堂陽一君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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