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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成28年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野田 治久 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/29/2016

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:


1 東京オリンピック・パラリンピックについて
 (1) サイクルスポーツの振興
 (2) 道路整備
2 中山間地域の農村振興について
3 ワサビの生産振興について
4 伊豆地域におけるニホンジカ捕獲対策の強化について
5 宿泊施設の活性化と観光振興について



○議長(鈴木洋佑君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第九五号から第百七号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、六番 野田治久君。
       (六番 野田治久君登壇 拍手)
○六番(野田治久君) おはようございます。私は伊豆市選出自民改革会議の所属議員として通告に従い、知事、副知事及び関係部局長に当面する県政の諸課題について一括質問方式で伺います。
 本日は我が会派の伊豆の三人の議員が登壇いたします。伊豆シリーズの先陣を切らせていただきます。
 二〇二〇年夏、東京オリンピック・パラリンピック伊豆開催は、大きな喜びであり大変な名誉であります。私も静岡県民の一人として、また伊豆の住民として大きな期待を寄せているところであります。まずは今日に至るまで自転車競技の本県開催に御尽力いただきました多くの皆様に感謝申し上げます。今後は競技運営の成功に向け二〇二〇年までの四年間にインフラや環境の整備、受け入れ体制の構築など課題は山積をしております。その中にあって大会を開催する地元といたしましては、あと四年もあるではなくあと四年しかないという思いを一番強く抱いているところであります。オリンピック・パラリンピックの組織委員会と東京都そして静岡県のはざまにあって全容がなかなか見えてこない不安、なかなか前へ進んでいかない、そんなもどかしさを開催地として感じているのも事実であります。本日は直面している課題について伺います。
 初めに、東京オリンピック・パラリンピックについてのうち、サイクルスポーツの振興について伺います。
 本年一月に伊豆ベロドロームにおいてリオデジャネイロオリンピックの前哨戦となるアジア自転車競技選手権大会が開催をされました。この大会にはアジア十六カ国と地域の二百六十二名の選手が参加し、六日間熱戦が繰り広げられました。オリンピック開催決定のお祝いムードもあり市民の関心も高く最終日には過去最高となる満員の観客を動員するなどベロドロームの知名度を高めるとともに、自転車のトラック競技の迫力と生の臨場感を体感する貴重な大会となりました。
 しかし、ルールがわからないという観客の声も多く、今後に向けて一層の競技種目の周知や普及などさまざまな課題も浮き彫りになりました。
 一方で、開会式には地元伝承のはしご乗り披露や伊豆市及び伊豆の国市の小中学生による出場国の国旗や言葉での応援など地域のおもてなしの機運醸成を図る上で今後につながる貴重な経験を得たものと捉えています。
 こうした中、サイクルスポーツの聖地を目指す本県としては、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け盛り上がった機運をさらに高めていく必要があります。
 東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技の開催地である伊豆市では、市の職員一人一人が大会開催地職員としての自覚と責任を持ちそれぞれの業務に取り組めるようにすることや市民に対して大会の情報を適切に伝えられるようにすることを目的に職員研修を開催したところ多くの参加者があり盛況であったと聞いています。
 サイクルスポーツと一くくりに言っても本格的な競技志向者から健康重視の愛好者までその層はさまざまであります。サイクルスポーツそのものの魅力もさることながら本県を訪れるサイクリストがバラエティーに富んだ美しい景観や温泉、豊かな自然が育む食を堪能していただくことは、本県の新たなスポーツ、文化、観光の発展につながると確信しております。
 こうしたことから、東京オリンピック・パラリンピックの成功のため、さらにはその後のレガシーを見据えてサイクルスポーツの聖地として地にしっかりと足をつけて機運醸成を図る必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 東京オリンピック自転車競技の開催は、二〇二〇年の七月末から八月上旬にかけて、パラリンピックは八月下旬開催と伺っています。言うまでもなく例年夏休み期間中は伊豆を訪れる観光客の車で道路はあふれかえる時期であります。開催期間中の交通規制による交通渋滞が観光客はもとより市民生活への影響が懸念されるところであります。県では早々今年の夏に二〇二〇年の本番を見据え会場周辺地域の交通量調査に着手されると伺っています。今後この調査結果を踏まえ、選手や大会関係者、観客はもとより観光客や地元住民の移動に支障が出ない交通対策を講じていただけるものと期待しています。
 一方、大会の成功には、選手を選手村から会場まで安全かつ快適に輸送するなど会場へのアクセス道路の整備は開催地の最も優先して取り組む課題であると認識しています。このため県では、本年度より新たに東京五輪会場アクセス道路整備事業を立ち上げ国道百三十六号バイパスや県道熱海大仁線などアクセス道路の集中的整備事業が決定しています。
 しかし、二〇二〇年まで四年という限られた時間の中アクセス道路を確実に整備するには、伊豆中央道江間交差点の立体化については事業規模が大きくまた県道熱海大仁線については整備の実現に大きく影響を与える地元修善寺駅前地区などの理解や事業用地の取得が必要であるなど課題は多いと考えられます。
 そこで、これらの道路整備事業における今後の確実な実行に向けた現在の状況と取り組み方針について伺います。
 次に、中山間地域の農村振興について伺います。
 伊豆地域は、四季折々の豊かな自然環境に恵まれ美しい景観や温泉、歴史や文化もあり国内有数の観光地であります。また温暖な気候や天城山系の恵みである豊かな湧水など地域特有の条件を生かし、ワサビやシイタケ、かんきつ類など特徴のある農産物の栽培が盛んであり魅力あふれるすばらしい地域であります。
 しかし、半島振興地域や山村振興地域に指定された中山間地域が多く農業生産条件が不利であったり、産業基盤や生活環境などの整備が平地や都市部に比べおくれていることから農業生産活動の継続や地域資源の保全が困難になりつつある状況も見受けられます。このため、県営中山間総合整備事業等により用排水路やモノレールの改良等の農業生産基盤と集落道整備や農村活性化施設等の生活環境整備を総合的に実施していただいているところであります。
 こうした中、最近では地域資源を生かし都市と農村交流や観光と連携した六次産業化により農業や農村を守る活動を積極的に行う地域も出てきています。例えば私の地元である伊豆市修善寺地区では、美しい田園風景を生かした修禅寺奥の院までのウオーキングコースがありイベントに多くの観光客を集めています。また地元農家は整備された水田で平成二十五年度にはお米日本一コンテストinしずおかで金賞を受賞し、おいしいお米桂流コシヒカリのふる里としてふじのくに美しく品格のある邑にも登録されています。
 このように、農山村にはさまざまな資源がありポテンシャルは高いと考えられ、これらを保全活用し地域振興につなげていくためには農業や生活環境の基盤整備等とあわせ魅力あふれる地域づくりへの支援は重要と考えます。
 そこで、農業生産活動の継続や地域資源の保全が困難になりつつある中山間地域の農村振興に向けた今後の取り組みについて、県の所見を伺います。
 次に、ワサビの生産振興について伺います。
 本県は、豊かな自然に恵まれ山間部では豊富な湧水を活用しワサビの生産が盛んであります。平成二十六年の県内の生産者は約六百名で百二十九ヘクタールの栽培面積を誇ります。産出額も三十六億円と全国の約七三%を占め、面積、産出額とも断トツに全国一位であります。近年販売環境も好転し平成二十一年から二十六年までの五年間で単価が一・七倍となり、それに伴い産出額も十一億円増加しており国内市場は売り手市場の拡大傾向となっています。
 また、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで近年海外でもワサビへの関心が高まっています。
 私の地元伊豆市では、平成二十六年の生産者は三百三十名、ワサビ栽培面積が約八十二ヘクタールと県内最大の産地を形成しています。そのためワサビ漬けなどの加工食品販売や観光とリンクした事業も多く地域の基幹産業となっています。ワサビの生産は山間地での階段状のワサビ田で畳石式に代表される伝統的な栽培方法が今でも継承されています。また生産者の努力により全国ワサビ品評会で多くの賞を受賞するなど高品質のワサビが生産されています。
 しかし、生産に必要な苗については、農家個々の対応に委ねられ優良品種の親株は県外の種苗業者に育苗を委嘱している状況で苗の安定供給や品種の管理が喫緊の課題となっています。今後のワサビの振興のためには、地域全体で苗の安定供給等の課題に取り組むことが重要であると考えます。
 そこで、日本一を誇る本県ワサビの生産振興にどのように取り組むのか、県の所見を伺います。
 次に、伊豆地域におけるニホンジカ捕獲対策の強化について伺います。
 私は、昨年九月議会でもこの質問をいたしましたが伊豆地域における野生鳥獣被害は相変わらず深刻な状態にあり、中山間地域を中心に営農意欲の減退や自然植生悪化の原因になっています。
 県の調査によると、平成二十七年の野生鳥獣による農産物の被害額は約四億九千万円となりピークであった平成二十一年度の約七億円からは三割ほど減っていますが、平成二十六年度からは再び増加に転じています。特にニホンジカによる平成二十七年度の県全体の被害額は二億円に達し前年よりも六千万円も増加しています。その中でも賀茂・東部農林事務所管内では、伊豆市の特産であるワサビの被害を含め被害額は一億六千万円強と県内の約八割を占めています。また鳥獣別被害額でもニホンジカが初めてイノシシを抜き最大となって、今後の被害増加が懸念されています。
 県では、毎年目標捕獲頭数をふやして目標を上回る実績を上げています。また設置が比較的容易なわなによる捕獲の担い手を育成するなどその取り組みは高く評価していますが、伊豆地域の被害は依然として減少していない状況にあります。狩猟者の捕獲意欲を高めるためには、捕獲したニホンジカを利活用して収入を得られるような仕組みが有効であります。
 伊豆市では、平成二十三年から県内で唯一の市営の食肉加工処理施設イズシカ問屋の運営を開始し、捕獲したニホンジカやイノシシを買い上げ食品加工と販売を行うことにより狩猟者の捕獲意欲を高める政策を実施しています。また近年ジビエというフランス語が広く認知されるようになり県内にも食肉加工処理施設がふえており、ニホンジカやイノシシは食肉としての利用が広がっています。
 ただ、こうした仕組みづくりには、時間を要するとともに多くの関係者の協力が必要であり利活用できる捕獲個体も限られています。しかし増大していく被害を減らすためには、即効性の高い対策としてやはり原点に戻り捕獲の強化に注力することが重要であると考えます。
 そこで、県では伊豆地域においてニホンジカのより一層の捕獲対策を強化していくため、具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 最後に、宿泊施設の活性化と観光振興について伺います。
 我が国の観光事情は大きな変貌を遂げています。国の宿泊統計によると平成二十七年の延べ宿泊者数は、平成十九年の調査開始以来最高となる五億五百四十五万人泊となり初めて五億人泊を超えました。うち外国人延べ宿泊者数は、二千万人が射程圏内に入る千九百七十四万人に急増したこともあり前年比四八・一%増となる六千六百三十七万人泊となり、本県におきましては全国一の伸びとなる前年比二・二倍、約百七十六万人泊に達したところであります。
 こうした状況でもあることから、宿泊施設の稼働率は全国平均で六〇・五%、東京都、大阪府に至っては八二・三%、八五・二%と宿泊部屋数の供給不足になっています。
 このように、大都市部での宿泊需給の切迫状況などへの対応が迫られる中、国では住宅を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる民泊のルールづくりに向けた検討を進め、去る六月二十日に最終取りまとめが報告をされました。今後国では法案を作成していくものと承知をしております。
 私は、不安と不満と危機感を感じながらこの問題に大きな関心を寄せているところであります。というのも現在の状況を申し上げますと民泊の大多数は無許可、無届けであり、罰則も不明確であり、実態把握が困難な上是正も難しい状況にあります。こうした状況を放置すると公衆衛生管理、安全・安心の確保、近隣トラブル防止といった面も不安視され、これまでの観光地が築き上げてきたいわゆるおもてなし自体の質の劣化につながるのではないかと心配しているからにほかなりません。
 この点については動向を注視する必要がありますが、その前に本県の観光振興に向けて考えなくてはならない大事なことがあると思っています。大都市部がその置かれた状況であるホテルが不足するから民泊を認めるという議論は、本県においてはいささか拙速であります。
 直近の数字である平成二十七年三月末における本県の宿泊施設数は、旅館数は二千八百五十七と日本一を誇りホテルの三百七十六は東京都には及ばないものの大阪府と同じ水準であります。ただ稼働率は全国二十三位の五四・九%、タイプ別宿泊稼働率はビジネスホテルが全国二十三位の七一・六%、旅館は全国十四位の四一・〇%などとなっています。民泊以前にこの空室となっている旅館を初めとした宿泊施設の外国人受け入れのための自助努力と、これからどのようにして生かしていくのかが重要な課題と考えます。
 私の住む修善寺温泉では、浴衣姿で散策をする外国人、最近では欧米人の姿を目にすることもふえました。やはり温泉情緒漂う伊豆の温泉街の町並みには旅館の存在を欠くことはできません。
 ラグビーワールドカップに向けて、オリンピック・パラリンピックに向けて、今後旅館を初めとした宿泊施設をいかに活性化して観光振興につなげていくかが重要になってくるものと考えますが、県の所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 本日は、この壇上に四人の県会議員がお立ちになるわけですがそのうち三人が伊豆御出身の由、その先陣をお務めになり伊豆を中心としたさまざまな御見識しっかりと拝聴いたしました。
 宿泊施設の活性化と観光振興について、野田議員の御質問にお答えをいたします。
 昨今の外国人の観光客は急増しております。議員の御紹介なさったとおりでございます。昨年は二千万人にほぼ近くなりことしは既にこの六月の初めで一千万を超えておりますから、ことしの外国人の訪問客数は優に二千万を超えることになるでしょう。さらにいわゆるワールドカップ、そしてオリンピック・パラリンピックがございますので一千万人単位でこの数年で伸びていくということでございます。そのための準備をせねばなりません。大都市圏において宿泊需要が逼迫しているのが現状です。
 そこで、首都圏に近接し日本一の旅館数を誇る本県にとりまして観光客をお迎えする絶好の機会と捉えております。そうした中で現在、空港の近く、さらに新幹線のとまる三島駅周辺でホテルの建設計画が上がっていることを歓迎しております。
 これからの宿泊に対しましては、例えば日本一を誇る旅館数ではございますが旅館は通常一泊二食つきでございます。仮に一週間お泊まりになるとすると旅館のシェフは献立に大変苦労されるのではないかと存じます。そうしたことから朝食はともかくも夕食は近隣でとれるような、そうしたシステムも必要です。さらにまた外国では、例えばスペインの南の海岸はコスタ・デル・ソルと言いますけれども、そこは長く皆滞留されるということでございますので一階にはスーパーマーケットがございまして、そして宿泊する部屋には簡単な調理道具がありますのでしたがってみずから簡単に調理することによって宿泊費を抑えるというやり方もございます。
 こうしたことから、これからの日本の宿泊のあり方については本気で考えるべき時期に来ているということでございます。
 本県では、大勢の方々に一日でも長く県内に滞在していただけますように旅行業者や宿泊施設等と連携し富士山、伊豆半島を初めとする豊かな自然、歴史、文化、食材など世界クラスの地域資源を生かした魅力ある体験型旅行商品の造成を促進しております。より多くの宿泊が見込めるインセンティブ旅行や訪日教育旅行の誘致などの取り組みにつきましても鋭意進めているところであります。
 また、旅館などの宿泊施設における外国人観光客の受け入れ促進につきましては、まずは旅館業者の方たちが外国のホテルのあり方について経験をなさるということも、一見遠いようですけれどもこれからの一つの対応策であるというふうに思っております。目下のところは県ホテル旅館生活衛生同業組合と連携し多言語対応を含めたおもてなしや異文化理解についての研修会を継続し開催するとともに、外貨での決済システムの導入やWiFiの環境整備を進めていただくなど課題の解決に取り組んでおります。
 さらに、今後は外国人の個人旅行者の増加が見込まれますことから、インターネットを活用した情報提供の重要性を一層周知するとともに、県観光協会と連携しデータ分析により把握した行動特性や顧客ニーズを宿泊施設へ提供してまいります。
 静岡県が世界から選ばれる観光地域となることを目指し、市町や観光協会、旅館組合など関係者と連携してストーリー性を持った魅力ある観光地域のネットワーク化などの滞在を促す仕組みづくりや地域ブランドの確立と発信など観光地経営の視点に立った地域づくりを推進するよう県内宿泊施設の活性化と観光振興を図ってまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事――副知事につきましては三人おりますのでぜひ御質問をいただきますように。伊豆半島に関しましては、できる限り伊豆半島担当の副知事に御答弁を願いたいというふうに思っております。ともあれこの御質問に対しまして副知事及び関係部局長から御答弁を申し上げます。以上でございます。
○議長(鈴木洋佑君) 土屋副知事。
       (副知事 土屋優行君登壇)
○副知事(土屋優行君) 東京オリンピック・パラリンピックについてのうち、サイクルスポーツの振興についてお答えいたします。
 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック自転車競技の本県開催を成功させさらにサイクルスポーツの聖地とするためには、議員御指摘のとおり本年一月のアジア自転車競技選手権大会で見られた盛り上がりをさらに高め、広く県内に拡大していくことが必要であります。
 このため、本年三月二十五日に設立いたしました周辺市町、スポーツ、産業、観光など幅広い分野の関係者による静岡県開催準備委員会を中心に今後一層の機運醸成に全県一丸となって取り組むことといたしました。
 具体的には、四月十六日、十七日に伊豆ベロドロームで開催されました全日本選手権からは観客に競技の解説書を配布するなどして観戦する楽しさ、おもしろさを感じていただく取り組みを始めました。また今月十五日には、開幕千五百日前イベントとして伊豆市において日本自転車競技連盟の橋本聖子会長による講演会と伊豆総合高校の生徒が制作いたしましたデー・カウンターボードの除幕式を行い多くの方々にお集まりいただいたところでございます。
 今後とも、伊豆ベロドロームで開催される大会を活用した競技の魅力の紹介や子供向けの体験教室の開催などを通じて、多くの県民の皆様に自転車競技に対する関心を高めていただく取り組みを推進してまいります。
 あわせまして、県内各地の実走調査によりサイクリストの視点に立った安全・快適なモデルコースの選定やサイクルツーリズムの受け入れ体制の指針づくりを行います。またイタリアとの交流事業として本年十月に実施する富士山ヒルクライムレースや伊豆半島一周サイクリング大会などを通じて観光交流の拡大や地域の活性化につなげる取り組みも進めてまいります。
 県といたしましては、東京オリンピック・パラリンピックの伊豆開催を契機に、サイクルスポーツがふじのくに静岡県の新たな魅力として国内外から認知され大会後も継続して多くの方々が訪れるサイクリストの聖地となるよう、県開催準備委員会を中心に関係者の力を結集して全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
       (交通基盤部長 村松 篤君登壇)
○交通基盤部長(村松 篤君) 東京オリンピック・パラリンピックについてのうち、道路整備についてお答えいたします。
 東京オリンピック・パラリンピックを成功に導くため、選手等を会場まで安全かつ快適に輸送するためのアクセス道路を整備することは不可欠であります。このため伊豆中央道江間交差点の立体化については有料道路事業に交付金事業を組み合わせて行うこととし、昨年度末に県が発注した地盤改良工事に続き本年度は道路公社が有料道路事業で行う橋梁の下部工工事に着手することとしております。
 また、県道熱海大仁線の交差点改良や現道拡幅については、情報共有を図り役割分担や進捗管理等について協議するため本年二月県と伊豆市が連絡会を設置して一丸となって取り組んでおり、四月から詳細設計に向けた現地の測量作業を実施しているところであります。
 県といたしましては、引き続き道路公社や伊豆市を初め関係機関と密接な連携を図り早期の用地取得に努めるとともに、計画的な工事発注等により東京オリンピック開催までに確実に事業を完了してまいります。
 次に、中山間地域の農村振興についてであります。
 中山間地域の農村振興を図る上で地域の住民の皆様が主体となって地元の資源を生かした魅力あふれる地域づくりに取り組んでいくことは極めて有効でありますことから、県ではこれまで農村の基盤整備とあわせ一社一村しずおか運動やしずおか棚田・里地くらぶなど主体となる地域住民の皆様と都市部の方々とが連携して地域の魅力を高める取り組みを進めてまいりました。
 しかしながら、こうした取り組みは、まだ一部の地域や団体にとどまっていることから今後全県に広めていくためにより多くの人々への周知を図るとともに、農村が求めている人やアイデア等の外部資源のさらなる発掘を支援していく必要があります。
 このため県では、本年四月からしずおか農山村サポーター制度「むらサポ」の運用を開始し農村への県民意識の向上を図るとともに、県民はもとより大学、企業等幅広い主体が農村を応援する体制の構築を進めております。
 さらに、地域みずからが取り組むさまざまな活動を推進するためこれらの活動資金を調達する手法の一つであるクラウドファンディングの活用を促すための講座を開設するとともに、市町等と連携してクラウドファンディングの企画立案やその実践を支援してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みにより魅力あふれる地域へのブラッシュアップや都市住民との交流推進を支援し、暮らす人が誇りを持ち訪れる人も住みたくなるような美しく品格のある農村づくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 若原農林水産戦略監。
       (農林水産戦略監 若原幸雄君登壇)
○農林水産戦略監(若原幸雄君) ワサビの生産振興についてお答えいたします。
 県は、平成二十五年度にワサビ産地の持続的発展を目指した静岡のわさび生産振興プランを策定し高品質ワサビの生産力向上等に取り組んでおります。
 ワサビ苗の生産につきましては、種でふやす方法と組織の一部を培養してふやす方法があり県内での割合はおおむね半々ではございますけれども、うち後者の培養の生産につきましては県外の業者に委託される部分が多くございます。
 この培養による苗生産を県内で行いますためには、苗と一口に申しましてもさまざまございますのでどのような苗をどのように生産、提供していくかにつきまして県内の生産者を初めとする関係者の意識の共有が不可欠となります。伊豆地域におきましてはこうした点につきまして関係者の意見交換を始めていらっしゃると伺っておりますので、まずはその進捗を促してまいりたいと考えております。
 こうした意見交換を通じまして共同育苗施設などの整備が計画された場合には、補助事業の活用などの支援を行ってまいります。また関係する取り組みといたしまして農林技術研究所で開発した新品種「伊づま」の普及を図るとともに、苗を年間通じて安定的、効率的に供給する技術の研究開発を進めております。
 県といたしましては、苗生産以外についての施策もあわせ引き続き関係市町や団体と連携いたしましてワサビの生産振興に取り組み、日本のトップランナーとして世界に誇れるワサビ王国しずおかを目指してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 伊豆地域におけるニホンジカ捕獲対策の強化についてお答えいたします。
 伊豆地域においては、五年間の捕獲計画に基づき狩猟や市町が行う有害鳥獣捕獲に加え県におきましても管理捕獲を積極的に進めた結果、昨年度の総捕獲数は目標の七千七百頭を上回る約八千頭と十年前の二倍にまで達しております。
 しかしながら、個体数に減少傾向が見られずワサビを中心とした農林業被害は増加していることから本年度の目標捕獲数を九千六百頭にふやしたところであります。この目標の達成に向け多くの鹿を一斉に囲い込んでの捕獲や特に被害の大きい里山地域に集中して六百個もの大量のわなを仕掛ける取り組み、本県が開発しました捕獲成功率が九五%以上と非常に効率の高い新型のくくりわな、名称を空はじき知らずと申しますけれども、この活用などさまざまな創意工夫による捕獲効率の向上に努めてまいります。
 また、捕獲数をふやすためには捕獲従事者の確保が欠かせないことから、猟友会の協力を得て新たに地域住民も参画する移動式囲いわなの導入や狩猟初心者の捕獲技術の向上を図るための研修による育成などもあわせて行っていくこととしております。
 さらに、本年度策定いたします平成二十九年度からの次期五カ年計画の中で原則三カ月間としている狩猟期間の延長や管理捕獲ができる委託先の拡大の検討、捕獲した鹿などの有効活用を図る獣肉加工処理施設の開設支援などにより伊豆地域における捕獲数の増加を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 野田治久君。
       (六番 野田治久君登壇)
○六番(野田治久君) それぞれの質問に丁寧に御答弁をいただきました。ありがとうございました。
 三点要望させていただきます。
 まず、サイクルスポーツの振興についてであります。
 伊豆市で行われました千五百日前デー・カウンター落成式、土屋副知事にもおいでいただきましてありがとうございました。
 今、伊豆市ではキャッチフレーズを公募しまして千五百点の応募の中から「自転車と伊豆 今、走り出す」というものに決まりました。これは世界に向け、未来に向け自転車と伊豆が手をつなぎ、さあこれから走り出そうと、そういった未来志向の大変強い思いが込められたキャッチフレーズだと評価しております。
 オリンピック・パラリンピックの競技会場となりますベロドローム、これからも自転車競技がめじろ押しでございますが、なるべく多くの皆様にごらんいただいてその自転車競技の楽しさ、おもしろさを実感をしていただきたいところであります。これが機運醸成につながってくるものと確信をしておりますが残念なことにですね、ベロドロームを持つサイクルスポーツセンターも地元の伊豆市も寂しいですがPR用の予算がなかなか限られておりましてもっともっと内外にPRをしたいところであります。どうかそのあたりをしんしゃくいただきまして、今後のバックアップを改めて要望いたします。
 次でございます。ワサビの生産振興についてであります。
 先ほど、苗の培養というような、培養された苗というお話がございました。メリクロン苗と申しまして、培養技術等で今地元では主流の育苗方法ということになっておりますがこれは品質を劣化させない、退化させない、それからウイルスフリーと言いまして病気に強い、そういった特性を持っております。地域にとっては今後不可欠な苗となっていくと思われます。地元の天城湯ヶ島山葵組合と中伊豆山葵組合も地元のJAと協力のもと協議が始まっております。
 しかしながら、設置には設置場所、技術の確保、技術者の確保、生産に関する多額なコスト、問題が山積しておりまして、これらの課題を克服するためにはなかなか組合単位や県連合会では対応できる事業規模を超えていると思っております。静岡県が今後ともワサビの生産地として発展していくために、また苗の安定供給や品種の管理のためにこのメリクロン苗の生産施設設置の実現に向けて県の御理解と協力体制の構築を要望いたします。
 最後に、宿泊施設の活性化でございます。
 知事から御答弁をいただきました宿泊施設の活性化について、県の取り組みを伺って大変心強く感じたところであります。観光地や旅館施設も、今後求められる多様なニーズに対応して国際化を目指してお客様に選ばれる施設となるようにみずからの創意工夫が改めて大切だと感じております。
 一方で、民泊でございますが、一部の形態はこれから宿泊の形態として普及してまいると思っております。特に二〇二〇年のインバウンドを四千万人を目標にするという我が国の方針、これは少し一時的かもしれない宿泊客室数不足の解消や住宅の空き家の活用を極端にした規制緩和、登録制などに向けた民泊ルールの動きには若干の違和感を感じておりますし不安や危惧を感じているところであります。
 実際に、観光大国で有名なフランスにおきまして、実は爆弾テロ事件が起きましたがこのテロリストの潜伏先となったのが民泊施設だと聞いております。そのほかこの民泊施設においてレイプなどの暴行事件や売春の温床になったり麻薬パーティーに使われたり盗難や窃盗の温床になったりといろいろな問題が最近は指摘されています。
 また、民泊の収益性の高さからゆえに家賃相場を大きく変動させて居住者の減少を引き起こすなどの地域へのマイナスの影響も出てきているのも事実であります。
 この民泊は、従来の宿泊施設と新たな民泊サービスの間で正当な競争を阻害するようなことになってはいけないと思っております。こういったダブルスタンダードには、これまで築き上げてきた地域のステータス、おもてなし、そういったものの崩壊へつながっていく危険性があると思っております。国のこの法案が今後の観光地の行く末を左右すると言っても私は言い過ぎではないと思っております。
 観光地の持続可能な発展や観光客への安心・安全の視点からも、この法案に関する国の議論につきましてはその成り行きを県でもしっかりと注視をしていただきたいと思っております。以上、要望いたしまして質問を終わらせていただきます。(拍手)

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